JP3102210B2 - チタン酸系強誘電体膜形成用組成物と形成法 - Google Patents

チタン酸系強誘電体膜形成用組成物と形成法

Info

Publication number
JP3102210B2
JP3102210B2 JP05181482A JP18148293A JP3102210B2 JP 3102210 B2 JP3102210 B2 JP 3102210B2 JP 05181482 A JP05181482 A JP 05181482A JP 18148293 A JP18148293 A JP 18148293A JP 3102210 B2 JP3102210 B2 JP 3102210B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
composition
metal
forming
component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP05181482A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0737422A (ja
Inventor
勝実 小木
寛人 内田
信幸 曽山
英喜 善
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP05181482A priority Critical patent/JP3102210B2/ja
Publication of JPH0737422A publication Critical patent/JPH0737422A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3102210B2 publication Critical patent/JP3102210B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Inorganic Insulating Materials (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は誘電膜、圧電膜、焦電膜
として利用されるチタン酸系強誘電体膜の形成用組成物
と形成法とに関する。より詳しくは、ゾル−ゲル法によ
るチタン酸系強誘電体膜形成の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】一般式:Ax Tiy z (式中、A成分は
Ba、Sr、Ca、MgおよびPbから選ばれた1もしくは2以上
の金属であるか、またはBiであり、A成分がBiである時
はx=4、y=3、z=12であり、A成分がBi以外の金
属である時はx=y=1,z=3である) で示される、
ペロブスカイト型結晶構造をとるチタン酸系複合酸化物
が強誘電性を示し、この酸化物の薄膜が誘電膜、圧電
膜、焦電膜などとして利用可能なことは知られている。
【0003】このような膜の形成法として従来より知ら
れているのは、スパッタリング法、CVD法、ゾル−ゲ
ル法などである。このうち、スパッタリング法とCVD
法は、装置が高価で、生産性も低いので、量産には不向
きである上、組成変動が起こり、従って、強誘電体特性
も変動し易いという欠点がある。
【0004】これに対し、ゾル−ゲル法は、塗布と加熱
(焼成) という簡便な操作により、高価な装置を使用せ
ずに強誘電体膜を形成することができ、量産に適してい
る。より均質な膜を得るためのゾル−ゲル法の改善とし
て、アルコキシドなどの有機金属化合物を原料とする方
法、即ち、成分金属のアルコキシドの混合物を含有する
有機溶媒溶液を基板に塗布し、焼成する方法が提案され
ている。
【0005】しかし、この方法でも、金属アルコキシド
が大気中の水分により急速に加水分解されてしまうた
め、完全に均質な膜を形成することは困難である。これ
に関して、加水分解を抑制するために金属アルコキシド
の安定化剤を添加することが知られているが、なお満足
できる結果が得られていない。特に、焼成時にアルコキ
シドから酸化物への転化が不完全で、微細な小粒子から
なる緻密化が不完全な膜が生成し、より揮発性の金属成
分の損失による組成変動や、強誘電特性に低下が起こる
原因となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、有機
金属化合物を原料とするゾル−ゲル法によるチタン酸系
強誘電体膜の形成において、上記の問題点が解消された
改良された膜形成用組成物と膜形成法を提供することで
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、有機金属化
合物を有機溶媒中に溶解した、ゾル−ゲル法用のチタン
酸系強誘電体膜形成用組成物中に、酸化剤と安定剤とを
併用添加することによって達成できることが判明した。
【0008】ここに、本発明の要旨は、目的組成に相当
する割合で各成分金属の有機金属化合物を有機溶媒に溶
解させた溶液からなる、一般式: Ax Tiy z (式中、A成分はBa、Sr、Ca、MgおよびPbから選ばれた
1もしくは2以上の金属であるか、またはBiであり、A
成分がBiである時はx=4、y=3、z=12であり、A
成分がBi以外の金属である時はx=y=1,z=3であ
る) で示されるチタン酸系強誘電体膜を形成するための
組成物であって、少なくとも1つの有機金属化合物が金
属アルコキシドであり、前記溶液がさらにβ−ジケト
ン、ケトン酸およびケトエステルから選ばれた安定化剤
と酸化剤とを、いずれも液中の金属合計量に対して 0.5
〜3倍モルの量で含有することを特徴とする、チタン酸
系強誘電体膜形成用組成物にある。
【0009】本発明によれば、上記膜形成用組成物を基
板上に塗布し、加熱することからなるチタン酸系強誘電
体膜の形成法も提供される。
【0010】本発明において原料として使用する有機金
属化合物は、ゾル−ゲル法において従来より使用されて
いる任意の化合物でよい。このような化合物は、一般に
金属原子(即ち、Ba、Sr、Ca、Mg、Pb、Biのいずれか)
が酸素原子を介して有機基と結合した化合物であり、例
えば各金属の有機酸塩、アルコキシド等が例示される。
有機酸塩の具体例には、酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ
プロピオン酸塩、酪酸塩、イソ酪酸塩などの低級カルボ
ン酸塩がある。オキシ酢酸塩などのオキシカルボン酸塩
も使用できる。アルコキシドとしては、エトキシド、プ
ロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシドなどの低級
アルコキシドが好ましい。原料として好ましい有機金属
化合物は金属アルコキシドであり、成分金属の少なくと
も1つについてはアルコキシドを原料とすることが好ま
しい。各成分金属について、1種もしくは2種以上の有
機化合物を使用することができる。
【0011】有機溶媒としては、原料の有機金属化合物
を溶解できるものを使用する。使用可能な有機溶媒の例
には、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、
ブタノール、ヘキサノール、メトキシエタノールなどの
アルコール類、酢酸、プロピオン酸などの脂肪族低級カ
ルボン酸類、ジグリム、トリグリム、テトラグリムなど
の多エーテル類などがある。2種以上の有機溶媒から
なる混合溶媒も使用できる。混合溶媒の場合には、溶媒
の全体が上記溶媒からなる必要はなく、粘度調整などの
目的で上記以外の有機溶媒 (例、炭化水素系溶媒) を併
用することができる。
【0012】酸化剤としては、硝酸、過塩素酸、有機ペ
ルオキシド類およびヒドロペルオキシド類等も使用可能
であるが、経済性と効果の両面からみて好ましい酸化剤
は過酸化水素である。
【0013】安定化剤としては、β−ジケトン類、ケト
ン酸類、ケトエステル類などの1種または2種以上の
トン化合物を使用できる。
【0014】
【作用】本発明のチタン酸系強誘電体膜形成用組成物
は、成分金属の原料有機化合物と酸化剤と安定化剤とを
有機溶媒中に含有する混合液である。原料の有機金属化
合物は、アルコキシドの場合には基板上に塗布されると
大気中の水分による加水分解をまず受け、さらに加熱さ
れると縮重合と熱分解によって、有機分が気化し、金属
酸化物に転化される。有機酸の場合には、直接熱分解に
より有機分が気化し、金属酸化物に転化される。こうし
て、2種以上の成分金属の複合酸化物からなる膜が形成
される。
【0015】安定化剤は、混合液中における原料有機金
属化合物の加水分解を抑制するために添加する。それに
より、混合液が安定化し、その保存性が高まると同時
に、成膜時に加水分解の進行速度を抑え、膜の均質性が
高まる。
【0016】本発明により、安定化剤に加えて酸化剤を
添加することで、混合液中における原料の金属アルコキ
シドの加水分解をより効果的に抑制することができ、し
かも基板に塗布した後は、有機金属化合物から金属酸化
物により完全に転化できることから、有機分の残留が少
なく、均質かつ緻密で、強誘電特性に優れた強誘電体膜
をより低温での加熱により形成することができる。
【0017】本発明における酸化剤の作用について完全
には解明されていないが、現時点では次のように推測さ
れる。即ち、混合液中に安定化剤とともに酸化剤が共存
すると、まず金属の過酸化物が生成することによって金
属−酸素−金属結合が形成され、成分金属のゆるやかな
重合により、アルコキシド型有機金属化合物の加水分解
と重縮合が部分的に抑制され、混合液が安定化する。一
方、塗布後の加熱(焼成)時には、酸化剤から酸素が供
給され、酸素が多くなるため、加水分解と重縮合による
酸化物への転化が助長され、より低温での加熱によっ
て、有機分の残留の少ないより均質で緻密な膜が生成す
る。
【0018】安定化剤と酸化剤の添加量は、上記の効果
を得るのに十分な量であればよく、実験により決定すれ
ばよいが、目安としては、安定化剤と酸化剤のいずれに
ついても、混合液中の金属合計量1モルに対して 0.5〜
3モルの範囲内である。
【0019】酸化剤の量が多すぎると、酸化反応により
生ずる水の量が多くなり、混合液の保存性に問題を生じ
る。一方、酸化剤が少なすぎると、混合液中に上記効果
の達成に十分な量の過酸化物が生成しなくなる。
【0020】安定化剤が少なすぎると、混合液の安定性
が悪く、保存性が低下する。一方、安定化剤が多過ぎる
と、熱分解温度が上昇し、生成膜の残存炭素量の増大と
言った問題や、混合液中における溶解度の変化による原
料有機金属化合物の結晶析出といった問題を生じる。
【0021】本発明のチタン酸系強誘電体膜形成用組成
物は、有機溶媒中に各成分金属の原料有機化合物を必要
により加熱・攪拌下に溶解させ、得られた溶液に安定化
剤と酸化剤を加えることにより調製できる。各成分金属
の原料有機化合物の配合割合は、成膜しようとする目的
の複合酸化物の組成に相当する割合とする。
【0022】原料の有機金属化合物の一部または全部を
その場で生成させることもできる。例えば、アルカリ土
類金属であるBa、Sr、Ca、Mgの各アルコキシドは、各金
属を有機溶媒のアルコール中に溶解させることにより、
また金属カルボン酸塩は、金属炭酸塩などの金属塩を有
機溶媒の低級脂肪族カルボン酸中に溶解させることによ
って、それぞれその場で生成させることができる。この
場合も、必要であれば加熱を行う。
【0023】必要であれば、さらに有機溶媒を追加し
て、塗布に適した粘度に調整する。また、使用前に、加
水分解の促進のために、水や無機酸 (例、塩酸) を少量
添加してもよい。
【0024】この組成物を基板上に塗布し、次いで加熱
すると、一般式:Ax Tiy z で示される目的とする複
合酸化物組成を持ったチタン酸系強誘電体膜が得られ
る。基板は用途に応じて選択される。塗布は、ロールコ
ート、スピンコートなどの塗工法以外に、噴霧塗布、浸
漬塗布などの手段も可能である。加熱温度および加熱時
間は複合酸化物への転化と結晶化が達成されるように選
択する。加熱温度は一般に 400〜900 ℃の範囲内である
が、低温加熱後に高温加熱を行う二段もしくは多段加熱
方式を採用することもできる。その場合には、最終の加
熱温度が上記範囲内であればよい。
【0025】この塗布と加熱は、必要に応じて、所定膜
厚の強誘電体膜が得られるまで繰り返してもよい。その
場合には、各塗布後の加熱温度は上記より低くし、最終
的に得られた膜を上記範囲内の温度で加熱して結晶化さ
せることもできる。本発明の方法で形成されるチタン酸
系強誘電体膜の厚みには特に制限はないが、一般には0.
01〜5μmの範囲内である。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。な
お、実施例および比較例中、%は特に指定しない限り重
量%である。
【0027】
【実施例1】金属バリウム20gをイソプロピルアルコー
ル 150gに溶解し、得られた溶液にチタンテトライソプ
ロポキシド42.3gを加え、さらに安定化剤としてアセチ
ルアセトン43gを加えた。この混合液を3時間還流加熱
した後、過酸化水素15gを加えてさらに充分に攪拌還流
し、水4gとトルエンとで全量を339.64gとし、合計金
属濃度が酸化物換算で10%のBaTiO3膜形成用組成物を調
製した。
【0028】この溶液をスピンコート法で白金基板上に
塗布し、空気中で400 ℃に10分間加熱した。この塗布と
加熱操作を5回繰り返した後、空気中で700 ℃に1時間
加熱して成膜した。得られた厚み0.3 μmの膜をX線回
折で測定したところ、ペロブスカイト型結晶となってい
ることを確認した。この膜上に白金電極を形成し、基板
の白金電極との間に電圧を印加して、膜の電気的特性を
測定したところ、次の通りであった。
【0029】 ここで、歩留りとは、膜の上下の白金電極間で導通が生
じていない正常な膜部分、具体的には初期耐圧が0.5 V
以上の膜部分の面積率を意味する。膜が均質かつ緻密で
ないと、上下の電極板の間に直接導通が起こる割合が増
えるため、歩留りが低くなり、絶縁膜として有効に機能
しなくなる。
【0030】
【実施例2】金属ストロンチウム15gをイソプロピルア
ルコール 150gに溶解し、得られた溶液にチタンテトラ
イソプロポキシド48.6gを加え、さらに安定化剤として
アセチルアセトン50gを加えた。この混合液を3時間還
流加熱した後、過酸化水素17gを加えてさらに充分に攪
拌還流し、水4gとトルエンとで全量を314.14gとし、
合計金属濃度が酸化物換算で10%のSrTiO3膜形成用組成
物を調製した。
【0031】この溶液を使用して実施例1と同様に成膜
した。得られた厚み0.3 μmの膜はX線回折によりペロ
ブスカイト型結晶となっていることが確認された。この
膜上に白金電極を形成し、電気的特性を測定したところ
次の通りであった。
【0032】
【実施例3】金属バリウム10gと金属ストロンチウム6.
38gをイソプロピルアルコール 150gに溶解し、得られ
た溶液にチタンテトライソプロポキシド 41.39gを加
え、さらに安定化剤としてアセチルアセトン 47.43gを
加えた。この混合液を3時間還流加熱した後、過酸化水
素 16.1317gを加えてさらに充分に攪拌還流し、水4g
とイソプロピルアルコールとで全量を303.42gとして、
合計金属濃度が酸化物換算で10%のBa0.5Sr0.5TiO3膜形
成用組成物を調製した。
【0033】この溶液を使用して実施例1と同様に成膜
した。得られた厚み0.3 μmの膜はX線回折によりペロ
ブスカイト型結晶となっていることが確認された。この
膜上に白金電極を形成し、電気的特性を測定したところ
次の通りであった。
【0034】
【実施例4】金属カルシウム7gを2−メトキシエタノ
ール 100gに溶解し、得られた溶液にチタンテトライソ
プロポキシド 49.64gを加え、さらに安定化剤としてア
セチルアセトン 34.97gを加えた。この混合液を3時間
還流加熱した後、過酸化水素15gを加えてさらに充分に
攪拌還流し、水6gと2−メトキシエタノールとを加え
て全量を237.46gとし、合計金属濃度が酸化物換算で10
%のCaTiO3膜形成用組成物を調製した。
【0035】この溶液を使用して実施例1と同様に成膜
した。得られた厚み0.3 μmの膜はX線回折によりペロ
ブスカイト型結晶となっていることが確認された。この
膜上に白金電極を形成し、電気的特性を測定したところ
次の通りであった。
【0036】
【実施例5】金属ストロンチウム6gを2−メトキシエ
タノール 100gに溶解し、得られた溶液に鉛ジイソプロ
ポキシド9.54gとチタンイソプロポキシド 27.29gとを
加え、さらに安定化剤としてアセチルアセトン 19.58g
を加えた。この混合液を3時間還加熱した後、過酸化水
素6.65gを加えてさらに充分に攪拌還流し、水6gと2
−メトキシエタノールとで全量を214.48gとして、合計
金属濃度が酸化物換算で10%のSr0.5Pb0.5TiO3膜形成用
組成物を調製した。
【0037】この溶液を使用して実施例1と同様に成膜
した。得られた厚み0.3 μmの膜はX線回折によりペロ
ブスカイト型結晶となっていることが確認された。この
膜上に白金電極を形成し、電気的特性を測定したところ
次の通りであった。
【0038】
【実施例6】オキシ酢酸ビスマス10gを酢酸 181.6gに
溶解して均一溶液とした。この溶液にチタンテトライソ
プロポキシド7.51gとアセチルアセトン5.29gを加え、
この混合液を2時間還流加熱した後、過酸化水素1.80g
を加えて充分に攪拌還流し、合計金属濃度が酸化物換算
で5%のBi4Ti3O12 膜形成用組成物を調製した。
【0039】この溶液を使用して実施例1と同様に成膜
した。得られた厚み0.3 μmの膜はX線回折によりペロ
ブスカイト型結晶となっていることが確認された。この
膜上に白金電極を形成し、電気的特性を測定したところ
次の通りであった。 以上の実施例において調製した溶液は、いずれも3カ月
放置しても、溶液状態を保持していた。
【0040】
【比較例1】過酸化水素を加えないこと以外は全て実施
例1と同様に処理して、合計金属濃度が酸化物換算で10
%のBaTiO3膜形成用組成物を調製した。この溶液を実施
例1と同様に成膜し、得られた厚み0.3 μmの膜をX線
回折で測定したところ、ペロブスカイト型結晶となって
いることが確認された。この膜上に白金電極を形成し、
電気的特性を測定したところ次の通りであった。
【0041】 なお、調製した溶液は、1週間後に沈殿が生じ、長期保
存することができなかった。
【0042】
【比較例2】過酸化水素を加えないこと以外は全て実施
例2と同様に処理して、合計金属濃度が酸化物換算で10
%のSrTiO3膜形成用組成物を調製した。この溶液を実施
例1と同様に成膜し、得られた厚み0.3 μmの膜をX線
回折で測定したところ、ペロブスカイト型結晶となって
いることが確認された。この膜上に白金電極を形成し、
電気的特性を測定したところ次の通りであった。
【0043】 なお、調製した溶液は、1週間後に沈殿が生じ、長期保
存することができなかった。
【0044】以上の結果からわかるように、実施例では
塗布液中に安定化剤と共に酸化剤を加えることにより、
1例は99%、残りは100 %という非常に高い歩留りを示
す膜が得られた。これは、形成された膜が緻密で均質で
あることを意味している。一方、酸化剤を添加しなかっ
た比較例においては、膜の緻密・均一性がよくないた
め、歩留りが1/3以下に大きく低下し、絶縁性能が著
しく劣っていた。なお、比較例の膜の誘電特性 (誘電
率、誘電損失) が、対応する実施例に比べて大きく低下
していないのは、比較例の膜の正常な部分で誘電特性を
測定しているためである。従って、絶縁膜としての優劣
は主に歩留りによって評価される。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、有機金属化合物を原料
とするゾル−ゲル法によるチタン酸系強誘電体膜形成用
組成物の貯蔵安定性が向上し、しかも成膜時には、有機
分の残留を減少させて、原料有機金属化合物を実質的に
完全に複合金属酸化物に転化させることによって、均質
かつ緻密で、誘電特性、特に歩留りに優れたチタン酸系
強誘電体膜を得ることができる。その結果、この膜を利
用した誘電膜、圧電膜、焦電膜の品質が一段と改善され
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 善 英喜 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三 菱マテリアル株式会社 中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭64−52074(JP,A) 特開 昭63−252301(JP,A) 特開 平3−83816(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 23/00 C04B 35/46 H01B 3/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 目的組成に相当する割合で各成分金属の
    有機金属化合物を有機溶媒に溶解させた溶液からなる、
    一般式: Ax Tiy z (式中、A成分はBa、Sr、Ca、MgおよびPbから選ばれた
    1もしくは2以上の金属であるか、またはBiであり、A
    成分がBiである時はx=4、y=3、z=12であり、A
    成分がBi以外の金属である時はx=y=1,z=3であ
    る) で示されるチタン酸系強誘電体膜を形成するための
    組成物であって、少なくとも1つの有機金属化合物が金属アルコキシドで
    あり、前記溶液が さらにβ−ジケトン、ケトン酸および
    ケトエステルから選ばれた安定化剤と酸化剤とを、いず
    れも液中の金属合計量に対して 0.5〜3倍モルの量で含
    有することを特徴とする、チタン酸系強誘電体膜形成用
    組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の組成物を基板上に塗布
    し、加熱することからなるチタン酸系強誘電体膜の形成
    法。
JP05181482A 1993-07-22 1993-07-22 チタン酸系強誘電体膜形成用組成物と形成法 Expired - Lifetime JP3102210B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05181482A JP3102210B2 (ja) 1993-07-22 1993-07-22 チタン酸系強誘電体膜形成用組成物と形成法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05181482A JP3102210B2 (ja) 1993-07-22 1993-07-22 チタン酸系強誘電体膜形成用組成物と形成法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0737422A JPH0737422A (ja) 1995-02-07
JP3102210B2 true JP3102210B2 (ja) 2000-10-23

Family

ID=16101534

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP05181482A Expired - Lifetime JP3102210B2 (ja) 1993-07-22 1993-07-22 チタン酸系強誘電体膜形成用組成物と形成法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3102210B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002047011A (ja) * 2000-08-02 2002-02-12 Mitsubishi Materials Corp 緻密質ペロブスカイト型金属酸化物薄膜の形成方法及び緻密質ペロブスカイト型金属酸化物薄膜
JP4599817B2 (ja) * 2003-08-08 2010-12-15 株式会社豊田中央研究所 NOx吸蔵材の担持方法
JP4534749B2 (ja) * 2004-12-20 2010-09-01 株式会社豊田中央研究所 NOx吸蔵材とその担持方法及びNOx吸蔵還元型触媒
JP4711744B2 (ja) * 2005-05-27 2011-06-29 京セラ株式会社 チタン酸バリウム粉末の製法およびチタン酸バリウム粉末
KR100638890B1 (ko) 2005-10-04 2006-10-27 삼성전기주식회사 고유전성 박막용 코팅용액 및 이를 이용한 유전박막의제조방법
JP5594027B2 (ja) * 2010-09-30 2014-09-24 三菱マテリアル株式会社 誘電体薄膜形成用組成物及び誘電体薄膜の形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0737422A (ja) 1995-02-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100453416B1 (ko) 강유전성박막및용액:조성물및가공법
Kotova et al. Role of precursors in the formation of lead zirconate titanate thin films
US5645634A (en) Composition and method for forming Ba1-X Srx Tiy O3 thin films
JPH06158328A (ja) 酸化物系誘電体薄膜用cvd原料およびメモリー用キャパシタ
JP4329287B2 (ja) Plzt又はpzt強誘電体薄膜、その形成用組成物及び形成方法
JPH04506791A (ja) ゾル・ゲル処理による薄膜セラミックの製造
JP3102210B2 (ja) チタン酸系強誘電体膜形成用組成物と形成法
US4937213A (en) Process for preparing titanates and zirconates
JP2002047011A (ja) 緻密質ペロブスカイト型金属酸化物薄膜の形成方法及び緻密質ペロブスカイト型金属酸化物薄膜
JPH11163273A (ja) 誘電体薄膜、誘電体キャパシタの製造方法、および誘電体メモリ
JP4329289B2 (ja) Sbt強誘電体薄膜、その形成用組成物及び形成方法
JPH0891841A (ja) 強誘電体膜の製造方法
JP4702215B2 (ja) 高誘電体薄膜形成用塗布組成物とその製造方法
JP4329288B2 (ja) Blt又はbt強誘電体薄膜、その形成用組成物及び形成方法
JP2007329030A (ja) 高誘電体膜形成用組成物とその製造方法
JP2956356B2 (ja) 鉛含有ペロブスカイト構造複合酸化物強誘電体薄膜、その製法及び材料
JP3446461B2 (ja) Ba1−xSrxTiyO3薄膜形成用組成物、Ba1−xSrxTiyO3薄膜の形成方法及び薄膜コンデンサの製造方法
JP3106913B2 (ja) Bi系強誘電体薄膜形成用組成物並びにBi系強誘電体薄膜及びその製造方法
JP2001139329A (ja) Pb系ペロブスカイト型金属酸化物薄膜の形成方法及びPb系ペロブスカイト型金属酸化物薄膜
JPH0790594A (ja) チタン系複合酸化物形成用塗布液
JP2996776B2 (ja) チタン酸ジルコン酸鉛の製造方法
JP3485417B2 (ja) 誘電体薄膜の製法
JPH034488B2 (ja)
JP3178363B2 (ja) 強誘電体薄膜形成剤
JP3178303B2 (ja) Ba1−xSrxTiyO3薄膜形成用組成物及びBa1−xSrxTiyO3薄膜の形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20000725

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080825

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080825

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090825

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090825

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100825

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100825

Year of fee payment: 10

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100825

Year of fee payment: 10

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100825

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110825

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120825

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120825

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130825

Year of fee payment: 13

EXPY Cancellation because of completion of term