JP3178363B2 - 強誘電体薄膜形成剤 - Google Patents

強誘電体薄膜形成剤

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JP3178363B2
JP3178363B2 JP00457097A JP457097A JP3178363B2 JP 3178363 B2 JP3178363 B2 JP 3178363B2 JP 00457097 A JP00457097 A JP 00457097A JP 457097 A JP457097 A JP 457097A JP 3178363 B2 JP3178363 B2 JP 3178363B2
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正弥 松浦
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は赤外線センサー、圧
電フィルター、振動子、レーザーの変調素子、光シャッ
ター、キャパシタ膜、不揮発性のメモリー等に適用され
る高純度の層状ペロブスカイト型化合物からなる強誘電
体薄膜を形成するための強誘電体薄膜形成剤に関する。
【0002】
【従来の技術】強誘電体薄膜の成膜方法として、金属ア
ルコキシド及び/又は金属カルボン酸塩を有機溶媒に溶
かして調製された強誘電体薄膜形成剤を、スピンコート
法により基板上に塗布し、所望の厚さの塗膜を形成し、
これを焼成する方法がある。
【0003】この方法は、スパッタリング法による成膜
法に比べて、容易に目的とする組成の強誘電体薄膜を形
成することができ、しかもその設備が低コストであるな
どの利点を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、強誘電
体薄膜形成剤に用いる有機溶媒と金属アルコキシド及び
/又は金属カルボン酸塩の種類によっては、スピンコー
ト法により得られる塗膜には、ストリエーションと呼ば
れる不均質な部分が観察される。このストリエーション
のある不均質な塗膜を焼成して得られる強誘電体薄膜で
は、誘電特性に関して再現性のある薄膜を得ることが困
難である。このため、有機溶媒に対して、使用できる金
属アルコキシド及び/又は金属カルボン酸塩等に制約が
生じる。
【0005】例えば、従来、Sr−Bi−Ta−Nb系
強誘電体薄膜形成剤として、Sr及びBiの2−エチル
ヘキサン酸塩とTa及びNbの2−メトキシエトキシド
を酢酸イソアミルに溶解してなるものが提供されている
が、この強誘電体薄膜形成剤において、水に対する安定
性を付与するために、Ta及びNbの2−メトキシエト
キシドの代わりにTa及びNbの2−エチルヘキサン酸
塩を用いた場合には、形成される塗膜はストリエーショ
ンが観察されるものとなる。このため、この組み合せは
好ましくない。
【0006】このように、従来においては、使用する有
機溶媒に対して、適用可能な有機金属化合物が制約を受
けるため、強誘電体薄膜形成剤の安定性や取扱性、有機
金属化合物の価格や入手し易さ等の面から任意の有機金
属化合物を選定使用することはできないという不具合が
あった。
【0007】本発明は上記従来の問題点を解決し、有機
金属化合物の種類に影響されることなく、ストリエーシ
ョンのない均質な塗膜を確実に形成することができる強
誘電体薄膜形成剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の強誘電体薄膜形
成剤は、有機金属化合物を有機溶媒に溶解してなる、
(SrX Bi1-X )Bi2 (TaY Nb1-Y 2
Z (ただし、0.4≦X<1、0≦Y≦1で、Zは各金
属元素に付随する酸素原子の数の合計を示す。)、
[{Sr1-m (Pb及び/又はBa)m X Bi1-X
Bi2 (TaY Nb1-Y 2 Z (ただし、0<m≦
0.3、0.4≦X<1、0≦Y≦1で、Zは各金属元
素に付随する酸素原子の数の合計を示す。)、又は、
{(Sr1-n n x Bi1-x }Bi2 (TaY Nb
1-Y 2 Z (ただし、RはLa,Ce,Pr,Nd,
Eu,Sm,Tb,Gd及びErよりなる群から選ばれ
る1種又は2種以上の元素を示し、0<n≦0.1、
0.4≦X<1、0≦Y≦1で、Zは各金属元素に付随
する酸素原子の数の合計を示す。)の組成を有する強誘
電体薄膜を形成するための強誘電体薄膜形成剤におい
て、該有機溶媒として、1−アルコキシ−2−プロパノ
ール及びそのカルボン酸エステル並びにC6 122
分子式を持つカルボン酸とエタノールとのエステルより
なる群から選ばれる1種又は2種以上の混合溶媒を用い
たことを特徴とする。
【0009】本発明に従って、有機溶媒として1−アル
コキシ−2−プロパノール及びそのカルボン酸エステル
並びにC6 122 の分子式を持つカルボン酸とエタノ
ールとのエステルよりなる群から選ばれる1種又は2種
以上の混合溶媒を用いることにより、有機金属化合物の
種類に関わりなく、ストリエーションのない均質な塗膜
を形成して、高特性強誘電体薄膜を製造することができ
る。
【0010】本発明において、1−アルコキシ−2−プ
ロパノールとしては1−エトキシ−2−プロパノールが
好ましく、1−アルコキシ−2−プロパノールのカルボ
ン酸エステルとしては、1−エトキシ−2−アセトキシ
プロパンが好ましく、C6 122 の分子式を持つカル
ボン酸とエタノールとのエステルとしてはヘキサン酸エ
チルが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
する。
【0012】本発明の強誘電体薄膜形成剤は、有機金属
化合物を溶解する有機溶媒として、1−アルコキシ−2
−プロパノール及びそのカルボン酸エステル並びにC6
122 の分子式を持つカルボン酸とエタノールとのエ
ステルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合
溶媒を用いることを特徴とする。
【0013】本発明において、1−アルコキシ−2−プ
ロパノールとしては、1−メトキシ−2−プロパノー
ル、1−プロポキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ
−2−プロパノール等が挙げられ、これらのうち、特
に、1−エトキシ−2−プロパノールが好ましい。
【0014】また、1−アルコキシ−2−プロパノール
のカルボン酸エステルとしては、1−メトキシ−2−ア
セトキシプロパン、1−プロポキシ−2−アセトキシプ
ロパン、1−ブトキシ−2−アセトキシプロパン等の酢
酸エステル、1−メトキシ−2−プロピオニルオキシプ
ロパン、1−エトキシ−2−プロピオニルオキシプロパ
ン、1−プロポキシ−2−プロピオニルオキシプロパ
ン、1−ブトキシ−2−プロピオニルオキシプロパン等
のプロピオン酸エステル等が挙げられる。これらのう
ち、特に、1−エトキシ−2−アセトキシプロパンが好
ましい。
【0015】また、C6 122 の分子式を持つカルボ
ン酸とエタノールとのエステルとしては、ヘキサン酸エ
チル、2−エチルブタン酸エチル等が挙げられ、これら
のうち、特に、ヘキサン酸エチルが好ましい。
【0016】本発明において、有機溶媒として、これら
の3種類の溶媒の2種以上の混合溶媒を用いる場合、そ
の混合割合には特に制限はなく、任意の混合比を採用す
ることができる。
【0017】本発明においては、上記特定の有機溶媒を
用いることから、有機金属化合物には特に制限を受け
ず、強誘電体薄膜を構成する金属元素の金属アルコキシ
ド、例えば、ブトキシド、エトキシド、プロポキシド、
イソプロポキシド、2−メトキシエトキシド、1−エト
キシ−2−プロポキシド、イソアミルアルコキシド等、
及び、金属カルボン酸塩、例えば、2−エチルヘキサン
酸塩、オクチル酸塩、n−ヘキサン酸塩、2−エチル酪
酸塩、i−吉草酸塩、2,2−ジメチル酪酸塩、3,3
−ジメチル−酪酸塩、2,3−ジメチル−酪酸塩、3−
メチルペンタン酸塩、4−メチルペンタン酸塩、2−エ
チルペンタン酸塩、3−エチルペンタン酸塩、2,2−
ジメチルペンタン酸塩、3,3−ジメチルペンタン酸
塩、2,3−ジメチルペンタン酸塩、3−エチルヘキサ
ン酸塩等その他、アセチルアセトン金属錯体、ヒドロキ
シアセトン金属錯体等の有機金属化合物のなかから任意
の組み合せで用いることができる。
【0018】本発明の強誘電体薄膜形成剤は、前記特定
の有機溶媒に対して、このような有機金属化合物を、所
定の組成比で、強誘電体薄膜形成剤中の金属の酸化物換
算の合計濃度が5〜15重量%となるように溶解させる
ことにより調製することができる。
【0019】このような本発明の強誘電体薄膜形成剤に
より強誘電体薄膜を形成するには、スピンコート法によ
り、Pt,Si,Pt/Ti/SiO2 /Si,Pt/
Ta/SiO2 /Si,Pt/SiO2 /Si,Ru/
RuO2 /SiO2 /Si,RuO2 /Si,RuO2
/Ru/SiO2 /Si,Ir/IrO2 /Si,Pt
/Ir/IrO2 /Si,Pt/IrO2 /Si等の基
板上に本発明の強誘電体薄膜形成剤を塗布し、乾燥(仮
焼成)及び本焼成を行う。なお、1回の塗布では、所望
の膜厚が得られない場合には、塗布、乾燥の工程を複数
回繰り返し行った後、本焼成を行う。ここで、乾燥は、
150〜400℃で行われ、本焼成は450〜800℃
で30分〜2時間程度行われる。
【0020】このようにして形成される強誘電体薄膜の
厚さは、通常の場合、300〜5000Å程度である。
【0021】なお、本発明の強誘電体薄膜の組成は下記
〜である。
【0022】 (SrX Bi1-X )Bi2 (TaY
1-Y 2 Z (ただし、0.4≦X<1,0≦Y≦1
で、Zは各金属元素に付随する酸素原子の数の合計を示
す。) [{Sr1-m (Pb及び/又はBa)m X Bi
1-X ]Bi2 (TaY Nb1-Y 2 Z (ただし、0<
m≦0.3,0.4≦X<1,0≦Y≦1で、Zは各金
属元素に付随する酸素原子の数の合計を示す。) {(Sr1-n n X Bi1-X }Bi2 (TaY
1-Y 2 Z (ただし、RはLa,Ce,Pr,N
d,Eu,Sm,Tb,Gd及びErよりなる群から選
ばれる1種又は2種以上の元素を示し、0<n≦0.
1,0.4≦X<1,0≦Y≦1で、Zは各金属元素に
付随する酸素原子の数の合計を示す。) 上記〜の組成において、Xが0.4以上1未満であ
るため、残留分極が大きく、膜疲労の少ない強誘電体薄
膜が得られる。Xが0.4未満であると残留分極が著し
く低下する。
【0023】Taの一部又は全部をNbで置換すること
により残留分極を大きくすることができる。この置換割
合は、0≦Y≦0.7の範囲であることが好ましい。
【0024】上記の組成において、Srの一部をBa
で置換することにより、抗電界を小さくする作用が得ら
れるが、この置換割合が過度に多いと残留分極の低下を
引き起こす。また、Srの一部をPbで置換することに
より、残留分極の増大が図れるが、この置換割合が過度
に大きいと抗電界も増大する。このため、Ba及び/又
はPbの置換割合は、0<m≦0.3とする。
【0025】また、上記の組成において、Srの一部
をLa,Ce,Rr,Nb,Eu,Sm,Tb,Gd及
びErよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素
で置換することにより残留分極を大きくすることができ
るが、この割合が過度に大きいと強誘電性が損なわれる
ため、0<n≦0.1とする。
【0026】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0027】薄膜形成の熱処理時に、鉛、ビスマスは蒸
発することを考慮して、以下の実施例1〜102及び比
較例1〜12では、請求項で示した薄膜の金属組成と同
じ組成を持つ薄膜形成剤に、更に、鉛、ビスマスを過剰
に加えたものを用いてある。それらの薄膜形成剤を用い
て形成した薄膜の金属組成をEPMA及びICP発光分
析法により調べた結果、どの薄膜の金属組成もそれぞれ
対応する請求項に示した組成を満たした。
【0028】実施例1〜17、比較例1,2 有機金属化合物として、Sr,Bi,Ta及びNbの2
−エチルヘキサン酸塩を用い、これらをSr:Bi:T
a:Nb=0.8:2.4:1.3:0.7のモル比と
なるように、かつ、金属の酸化物換算の合計濃度が10
重量%となるように、表1に示す有機溶媒に溶解して強
誘電体薄膜形成剤を調製した。
【0029】得られた強誘電体薄膜形成剤をスピンコー
ト法により3000rpmで15秒間の条件で4インチ
Pt/Ti/SiO2 /Si基板上に塗布した。
【0030】得られた塗膜表面を光学顕微鏡により観察
し、ストリエーションの有無を調べ、結果を表1に示し
た。
【0031】また、得られた強誘電体薄膜形成剤をスピ
ンコート法により3000rpmで15秒間の条件で、
4インチのPt/Ti/SiO2 /Si基板上に塗布し
た。その後、400℃で10分間乾燥させた。この工程
を3回行った。その後、800℃の酸素雰囲気中で1時
間焼成した。得られた強誘電体薄膜の膜厚と、印加電圧
3Vにおける、その強誘電体薄膜の誘電特性を調べ、結
果を表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】実施例18〜34、比較例3,4 有機金属化合物として、Sr及びBiの2−エチルヘキ
サン酸塩とTa及びNbのエトキシドを用い、これらを
Sr:Bi:Ta:Nb=0.8:2.4:1.3:
0.7のモル比となるように、かつ、金属の酸化物換算
の合計濃度が10重量%となるように、表2に示す有機
溶媒に溶解して強誘電体薄膜形成剤を調製した。
【0034】得られた強誘電体薄膜形成剤をスピンコー
ト法により3000rpmで15秒間の条件で4インチ
Pt/Ti/SiO2 /Si基板上に塗布した。
【0035】得られた塗膜表面を光学顕微鏡により観察
し、ストリエーションの有無を調べ、結果を表2に示し
た。
【0036】また、得られた強誘電体薄膜形成剤をスピ
ンコート法により3000rpmで15秒間の条件で、
4インチのPt/Ti/SiO2 /Si基板上に塗布し
た。その後、400℃で10分間乾燥させた。この工程
を3回行った。その後、800℃の酸素雰囲気中で1時
間焼成した。得られた強誘電体薄膜の膜厚と、印加電圧
3Vにおける、その強誘電体薄膜の誘電特性を調べ、結
果を表2に示した。
【0037】なお、実施例18〜34において、エトキ
シドの代りにブトキシド、プロポキシド、イソプロポキ
シド、2−メトキシエトキシド又はアルコキシドを用い
た場合にも同等の結果が得られた。
【0038】
【表2】
【0039】実施例35〜51、比較例5,6 有機金属化合物として、Sr,Pb,Ba,Bi,Ta
及びNbの2−エチルヘキサン酸塩を用い、これらをS
r:Pb:Ba:Bi:Ta:Nb=0.7:0.1:
0.05:2.4:1.30:0.70のモル比となる
ように、かつ、金属の酸化物換算の合計濃度が10重量
%となるように、表3に示す有機溶媒に溶解して強誘電
体薄膜形成剤を調製した。
【0040】得られた強誘電体薄膜形成剤をスピンコー
ト法により3000rpmで15秒間の条件で4インチ
Pt/Ti/SiO2 /Si基板上に塗布した。
【0041】得られた塗膜表面を光学顕微鏡により観察
し、ストリエーションの有無を調べ、結果を表3に示し
た。
【0042】また、得られた強誘電体薄膜形成剤をスピ
ンコート法により3000rpmで15秒間の条件で、
4インチのPt/Ti/SiO2 /Si基板上に塗布し
た。その後、400℃で10分間乾燥させた。この工程
を3回行った。その後、800℃の酸素雰囲気中で1時
間焼成した。得られた強誘電体薄膜の膜厚と、印加電圧
3Vにおける、その強誘電体薄膜の誘電特性を調べ、結
果を表3に示した。
【0043】
【表3】
【0044】実施例52〜68、比較例7,8 有機金属化合物として、Sr,Pb,Ba及びBiの2
−エチルヘキサン酸塩とTa及びNbのエトキシドを用
い、これらをSr:Pb:Ba:Bi:Ta:Nb=
0.7:0.1:0.05:2.4:1.30:0.7
0のモル比となるように、かつ、金属の酸化物換算の合
計濃度が10重量%となるように、表4に示す有機溶媒
に溶解して強誘電体薄膜形成剤を調製した。
【0045】得られた強誘電体薄膜形成剤をスピンコー
ト法により3000rpmで15秒間の条件で4インチ
Pt/Ti/SiO2 /Si基板上に塗布した。
【0046】得られた塗膜表面を光学顕微鏡により観察
し、ストリエーションの有無を調べ、結果を表4に示し
た。
【0047】また、得られた強誘電体薄膜形成剤をスピ
ンコート法により3000rpmで15秒間の条件で、
4インチのPt/Ti/SiO2 /Si基板上に塗布し
た。その後、400℃で10分間乾燥させた。この工程
を3回行った。その後、800℃の酸素雰囲気中で1時
間焼成した。得られた強誘電体薄膜の膜厚と、印加電圧
3Vにおける、その強誘電体薄膜の誘電特性を調べ、結
果を表4に示した。
【0048】なお、実施例52〜68において、エトキ
シドの代りにブトキシド、プロポキシド、イソプロポキ
シド、2−メトキシエトキシド又はアルコキシドを用い
た場合にも同等の結果が得られた。
【0049】
【表4】
【0050】実施例69〜85、比較例9,10 有機金属化合物として、Sr,La,Bi,Ta及びN
bの2−エチルヘキサン酸塩を用い、これらをSr:L
a:Bi:Ta:Nb=0.76:0.04:2.4:
1.30:0.70のモル比となるように、かつ、金属
の酸化物換算の合計濃度が10重量%となるように、表
5に示す有機溶媒に溶解して強誘電体薄膜形成剤を調製
した。
【0051】得られた強誘電体薄膜形成剤をスピンコー
ト法により3000rpmで15秒間の条件で4インチ
Pt/Ti/SiO2 /Si基板上に塗布した。
【0052】得られた塗膜表面を光学顕微鏡により観察
し、ストリエーションの有無を調べ、結果を表5に示し
た。
【0053】また、得られた強誘電体薄膜形成剤をスピ
ンコート法により3000rpmで15秒間の条件で、
4インチのPt/Ti/SiO2 /Si基板上に塗布し
た。その後、400℃で10分間乾燥させた。この工程
を3回行った。その後、800℃の酸素雰囲気中で1時
間焼成した。得られた強誘電体薄膜の膜厚と、印加電圧
3Vにおける、その強誘電体薄膜の誘電特性を調べ、結
果を表5に示した。
【0054】なお、実施例69〜85において、Laの
代りにCe、Pr、Nd、Eu、Sm、Tb、Gd又は
Er、或いは、これらとLaのうちの2種以上の元素を
用いた場合も同様の結果が得られた。
【0055】
【表5】
【0056】実施例86〜102、比較例11,12 有機金属化合物として、Sr,La,及びBiの2−エ
チルヘキサン酸塩とTa及びNbのエトキシドを用い、
これらをSr:La:Bi:Ta:Nb=0.76:
0.04:2.4:1.30:0.70のモル比となる
ように、かつ、金属の酸化物換算の合計濃度が10重量
%となるように、表6に示す有機溶媒に溶解して強誘電
体薄膜形成剤を調製した。
【0057】得られた強誘電体薄膜形成剤をスピンコー
ト法により3000rpmで15秒間の条件で4インチ
Pt/Ti/SiO2 /Si基板上に塗布した。
【0058】得られた塗膜表面を光学顕微鏡により観察
し、ストリエーションの有無を調べ、結果を表6に示し
た。
【0059】また、得られた強誘電体薄膜形成剤をスピ
ンコート法により3000rpmで15秒間の条件で、
4インチのPt/Ti/SiO2 /Si基板上に塗布し
た。その後、400℃で10分間乾燥させた。この工程
を3回行った。その後、800℃の酸素雰囲気中で1時
間焼成した。得られた強誘電体薄膜の膜厚と、印加電圧
3Vにおける、その強誘電体薄膜の誘電特性を調べ、結
果を表6に示した。
【0060】なお、実施例86〜102において、La
の代りにCe、Pr、Nd、Eu、Sm、Tb、Gd又
はEr、或いは、これらとLaのうちの2種以上の元素
を用いた場合も同様の結果が得られた。また、エトキシ
ドの代りにブトキシド、プロポキシド、イソプロポキシ
ド、2−メトキシエトキシド、1−エトキシ−2−プロ
ポキシド、イソアミルアルコキシドを用いた場合にも同
等の結果が得られた。
【0061】
【表6】
【0062】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の強誘電体薄
膜形成剤によれば、スピンコート法により基板上にスト
リエーションのない均質な塗膜を形成することができ、
この塗膜を焼成することで、誘電特性に関して再現性の
ある強誘電体薄膜を形成することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小木 勝実 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三 菱マテリアル株式会社総合研究所内 (56)参考文献 特開 平8−153854(JP,A) 特開 平9−286619(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 35/00 H01B 3/12 312 C01B 13/32 CA(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機金属化合物を有機溶媒に溶解してな
    る、(SrX Bi1-X )Bi2 (TaY Nb1-Y 2
    Z (ただし、0.4≦X<1,0≦Y≦1で、Zは各金
    属元素に付随する酸素原子の数の合計を示す。)の組成
    を有する強誘電体薄膜を形成するための強誘電体薄膜形
    成剤において、 該有機溶媒として、1−アルコキシ−2−プロパノール
    及びそのカルボン酸エステル並びにC6 122 の分子
    式を持つカルボン酸とエタノールとのエステルよりなる
    群から選ばれる1種又は2種以上の混合溶媒を用いたこ
    とを特徴とする強誘電体薄膜形成剤。
  2. 【請求項2】 有機金属化合物を有機溶媒に溶解してな
    る、[{Sr1-m (Pb及び/又はBa)m X Bi
    1-X ]Bi2 (TaY Nb1-Y 2 Z (ただし、0<
    m≦0.3,0.4≦X<1,0≦Y≦1で、Zは各金
    属元素に付随する酸素原子の数の合計を示す。)の組成
    を有する強誘電体薄膜を形成するための強誘電体薄膜形
    成剤において、 該有機溶媒として、1−アルコキシ−2−プロパノール
    及びそのカルボン酸エステル並びにC6 122 の分子
    式を持つカルボン酸とエタノールとのエステルよりなる
    群から選ばれる1種又は2種以上の混合溶媒を用いたこ
    とを特徴とする強誘電体薄膜形成剤。
  3. 【請求項3】 有機金属化合物を有機溶媒に溶解してな
    る、{(Sr1-n n X Bi1-X }Bi2 (TaY
    1-Y 2 Z (ただし、RはLa,Ce,Pr,N
    d,Eu,Sm,Tb,Gd及びErよりなる群から選
    ばれる1種又は2種以上の元素を示し、0<n≦0.
    1,0.4≦X<1,0≦Y≦1で、Zは各金属元素に
    付随する酸素原子の数の合計を示す。)の組成を有する
    強誘電体薄膜を形成するための強誘電体薄膜形成剤にお
    いて、 該有機溶媒として、1−アルコキシ−2−プロパノール
    及びそのカルボン酸エステル並びにC6 122 の分子
    式を持つカルボン酸とエタノールとのエステルよりなる
    群から選ばれる1種又は2種以上の混合溶媒を用いたこ
    とを特徴とする強誘電体薄膜形成剤。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項におい
    て、1−アルコキシ−2−プロパノールが1−エトキシ
    −2−プロパノールであり、1−アルコキシ−2−プロ
    パノールのカルボン酸エステルが1−エトキシ−2−ア
    セトキシプロパンであり、C6 122 の分子式を持つ
    カルボン酸とエタノールとのエステルがヘキサン酸エチ
    ルであることを特徴とする強誘電体薄膜形成剤。
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