JP4702215B2 - 高誘電体薄膜形成用塗布組成物とその製造方法 - Google Patents

高誘電体薄膜形成用塗布組成物とその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高誘電体薄膜形成用塗布組成物とその製造方法に関し、さらに詳しくは、作製時及び塗膜時における安全性に優れた構成成分を用いて、しかも有機酸塩熱分解法(以下、MOD法と呼称する場合がある。)によるペロブスカイト型誘電物質からなる高誘電体薄膜形成用塗布組成物の形成において、クラックの発生がなく、膜の収縮が小さく、かつ誘電特性に優れた誘電体薄膜を形成することができる高誘電体薄膜形成用塗布組成物を効率的に製造する方法、及びその方法によって得られる高誘電体薄膜形成用塗布組成物に関する。
そして、本発明の高誘電体薄膜形成用塗布組成物は、薄膜コンデンサ及び半導体集積回路装置の容量絶縁膜、DRAMのキャパシタ材料等、電子デバイスにおける様々な用途のキャパシタ材料等に有効な、誘電率の高い薄膜を形成する際に塗布液として用いられる。
近年、コンデンサ素子の小型化、また半導体集積回路の高集積化に伴い、薄膜コンデンサ及び半導体集積回路装置の容量絶縁膜、DRAMのキャパシタ材料等に使用されるキャパシタ絶縁膜としては、誘電率の高い物質が求められている。このような高誘電率を有する物質としては、ペロブスカイト型の結晶構造を持つ複合酸化物が知られている。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、チタン酸バリウムストロンチウム((Ba、Sr)TiO)等、もしくは、前記複合酸化物を主成分とし、さらにBaサイトにマグネシウムを、Tiサイトにスズ、ジルコニウムを置換したペロブスカイト型複合酸化物が注目されている。
また、このような高誘電率を有する物質の薄膜形成法としては、スパッタリング法、ゾルゲル法、MOD法、CVD法等が行なわれている。しかしながら、スパッタリング法及びCVD法には、いずれも装置が複雑であり、また、膜形成速度が遅いという欠点を有する上に膜を形成することできる面積が小さいため、大面積の膜を得ることができないという問題点がある。これに対して、ゾルゲル法又はMOD法では、熱分解によりペロブスカイト型複合酸化物を形成する化合物を含有する液状材料を基板上に塗布し焼成するという比較的単純なプロセスにより、安価な設備で大面積の薄膜が得られるという利点があり、工業的に量産性に優れた有望な方法である。
従来、ゾルゲル法、MOD法等の塗布法に用いられる高誘電体薄膜形成用塗布組成物について、例えば、次の(イ)〜(ハ)が提案されている。
(イ)バリウム及びチタンの金属石鹸を使用する(例えば、特許文献1参照。)。
(ロ)酢酸バリウム等のカルボン酸バリウム塩と、チタンイソプロポキシドの原料をエチレングリコールモノメチルエーテルを含む有機溶媒に溶解し、これを加水分解してチタン酸バリウム薄膜形成用組成物とする(例えば、特許文献2参照。)。
(ハ) カルボン酸バリウム塩、カルボン酸ストロンチウム塩、及びチタンイソプロポキシドを原料としてエステルとした有機溶媒に溶解し、チタン酸バリウムストロンチウム薄膜形成用組成物とする(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、これらの提案においては、多くの技術的課題があり、実用上の問題があった。例えば、(イ)では、焼成での金属石鹸の熱分解時にバリウム及びストロンチウムの炭酸塩は生成されないが、有機成分の揮発による重量変化が大きいため、形成される薄膜にクラックが発生したり、膜の収縮が大きくなるという問題が生じる。また、(ロ)では、原料にカルボン酸塩を用いるため、焼成での結晶化の際に800℃を超える高温が必要である。これにより、絶縁性の悪化が避けられず、リーク電流が大きいために実用化には至っていない。この悪化原因は、高温焼成による膜の急激な収縮、或いは下地電極との反応等により、薄膜内に微小なクラック又はボイドが発生するためと考えられる。また、(ハ)では、溶剤にエステルを用いることで、有機成分の揮発による重量変化は小さく、クラックの発生及び膜の収縮は生じにくい。しかしながら、高価なカルボン酸バリウム塩、カルボン酸ストロンチウム塩を用いなければならないこと、下地電極に金属膜を用いた場合に濡れ性が悪く塗膜の均一性が得られにくいこと、さらに溶剤がエステルのみであると外気による保存性が悪化してしまうこと等の問題があった。
以上のように、ペロブスカイト型誘電物質からなる高誘電体薄膜の形成に用いられる塗布液においては、液の保存性、膜加熱時の有機成分の揮発による重量変化、形成される膜のクラックの発生、膜の収縮、塗膜の均一性等の課題を解決することが求められ、そのため、これらに有効に作用することを基準として、有機溶媒が選ばれて用いられていた。ところが、例えば、アルカリ土類金属元素のアルコキシド及びカルボン酸塩の溶解において常用されるエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)(引火点:39℃)、酢酸イソペンチル(引火点:25℃)、酢酸ブチル(引火点:27℃)等は、いずれも引火点が低いために、一部の設備及び機械類を防爆仕様にする必要があるとともに、塗布液の作製時及び塗膜時に安全上の厳しい制約が生じるという問題があった。さらに、特にエーテル系溶剤では、メチル、エチル、酢酸メチル、酢酸エチルのセロソルブ等が、その有害性による健康安全上の問題があると指摘されている。
すなわち、ペロブスカイト型誘電物質からなる高誘電体薄膜の形成に用いられる塗布液においては、作製時及び塗膜時における安全性に優れた構成成分を使用し、しかも液の保存性、膜加熱時の有機成分の揮発による重量変化、形成される膜のクラックの発生、膜の収縮、塗膜の均一性等の性能上の課題を満足させることが困難であった。以上の状況から、作製時及び塗膜時における安全性に優れた構成成分を使用して、上記塗布液を製造する方法が求められている。
特開平1−308801号公報(第1頁) 特開平1−100024号公報(第1頁) 特開平8−337421号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、作製時及び塗膜時における安全性に優れた構成成分を用いて、しかもMOD法によるペロブスカイト型誘電物質からなる高誘電体薄膜形成用塗布組成物の形成において、クラックの発生がなく、膜の収縮が小さく、かつ誘電特性に優れた誘電体薄膜を形成することができる高誘電体薄膜形成用塗布組成物を効率的に製造する方法、及びその方法によって得られる高誘電体薄膜形成用塗布組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、ペロブスカイト型誘電物質からなる高誘電体薄膜を形成する際に用いる高誘電体薄膜形成用塗布組成物の製造方法について、鋭意研究を重ねた結果、特定の混合溶剤を用いて特定の条件でアルカリ土類金属元素の有機酸塩液(A)を調製し、一方、特定の有機溶剤を用いて特定の条件でチタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素のアルコキシド液(B)を調製した後、得られた有機酸塩液(A)とアルコキシド液(B)とを用いて特定の条件で複合有機酸塩液(C)を合成したところ、作製時及び塗膜時における安全性に優れた構成成分を用いて、MOD法によるペロブスカイト型誘電物質からなる高誘電体薄膜形成用塗布組成物の形成において、クラックの発生がなく、膜の収縮が小さく、かつ誘電特性に優れた誘電体薄膜を形成することができる高誘電体薄膜形成用塗布組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記の工程(1)〜(3)を含むことを特徴とする高誘電体薄膜形成用塗布組成物の製造方法が提供される。
工程(1):バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素の金属、そのアルコキシド又はカルボン酸塩を、2−メチル−1−ブタノール、カルボン酸類及びエステル類からなる混合溶剤に添加した後、窒素又は不活性ガス雰囲気下に80〜120℃の温度で加熱処理して、金属元素濃度が0.2〜1.0mol/Lの有機酸塩液(A)を調製する。
工程(2):チタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素のアルコキシドを、2−メチル−1−ブタノール又はエステル類のいずれかの溶剤中に添加して、金属元素濃度が0.2〜1.0mol/Lのアルコキシド液(B)を調製する。
工程(3):有機酸塩液(A)とアルコキシド液(B)とを、前者に含まれる金属元素の合計量と後者に含まれる金属元素の合計量とがモル比で等しくなるような配合割合で混合した後、窒素又は不活性ガス雰囲気下に100〜150℃の温度で加熱処理して、複合有機酸塩液(C)を合成する。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、工程(1)で溶剤として用いられる混合溶剤の配合割合は、2−メチル−1−ブタノール100容積部に対して、カルボン酸類が50〜100容積部、エステル類が50〜200容積部であることを特徴とする高誘電体薄膜形成用塗布組成物の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、工程(1)、(2)で溶剤として用いられるカルボン酸類又はエステル類は、40℃以上の引火点を有することを特徴とする高誘電体薄膜形成用塗布組成物の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3いずれかの発明において、前記カルボン酸類は、2−エチルヘキサン酸であることを特徴とする高誘電体薄膜形成用塗布組成物の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜3いずれかの発明において、前記エステル類は、酢酸ヘキシル又は酪酸ブチルであることを特徴とする高誘電体薄膜形成用塗布組成物の製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5いずれかの発明において、工程(1)〜(3)に引き続き、さらに、次の工程(4)、(5)を行なうことを特徴とする高誘電体薄膜形成用塗布組成物の製造方法が提供される。
工程(4):前記複合有機酸液(C)を、窒素又は不活性ガス雰囲気下に120〜140℃の温度で加熱処理し、複合反応を促進させながら、溶剤の一部を揮発させて濃縮し、金属元素濃度が1.0〜1.2mol/Lの濃縮液を得る。
工程(5):得られた濃縮液に、2−メチル−1−ブタノール、酢酸ヘキシル、酪酸ブチル、IPA又は1−ブタノールから選ばれる少なくとも1種の溶剤を添加することにより、金属元素濃度を0.2〜0.8mol/Lに希釈する。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6いずれかの発明の製造方法により得られる高誘電体薄膜形成用塗布組成物が提供される。
本発明の高誘電体薄膜形成用塗布組成物とその製造方法は、作製時及び塗膜時における安全性に優れた構成成分を用いて、しかもMOD法によるペロブスカイト型誘電物質からなる高誘電体薄膜の形成において、クラックの発生がなく、膜の収縮が小さく、かつ誘電特性に優れた誘電体薄膜を形成することができる高誘電体薄膜形成用塗布組成物を効率的に製造することができる方法であり、及びその方法によって得られる高誘電体薄膜形成用塗布組成物であるので、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の高誘電体薄膜形成用塗布組成物とその製造方法を詳細に説明する。
本発明の高誘電体薄膜形成用塗布組成物の製造方法は、下記の工程(1)〜(3)を含むことを特徴とする。
工程(1):バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素の金属、そのアルコキシド又はカルボン酸塩を、2−メチル−1−ブタノール、カルボン酸類及びエステル類からなる混合溶剤に添加した後、窒素又は不活性ガス雰囲気下に80〜120℃の温度で加熱処理して、金属元素濃度が0.2〜1.0mol/Lの有機酸塩液(A)を調製する。
工程(2):チタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素のアルコキシドを、2−メチル−1−ブタノール又はエステル類のいずれかの溶剤中に添加して、金属元素濃度が0.2〜1.0mol/Lのアルコキシド液(B)を調製する。
工程(3):有機酸塩液(A)とアルコキシド液(B)とを、前者に含まれる金属元素の合計量と後者に含まれる金属元素の合計量とがモル比で等しくなるような配合割合で混合した後、窒素又は不活性ガス雰囲気下に100〜150℃の温度で加熱処理して、複合有機酸塩液(C)を合成する。
本発明の製造方法において、工程(1)と工程(2)とは、手順上、同時または前後のいずれであってもよいが、工程(3)は、工程(1)、(2)の後で行なうことが必要である。この手順が違うと、作製時における安全性及び得られる塗布液の安定性と塗膜時の安全性が劣ったり、膜形成の際の焼成時に構成金属が揮発して膜組成が液組成からずれてしまうことが起こる。すなわち、適切な形態の原料を、作製時及び塗膜時における安全性に優れた引火点が40℃以上で、かつ熱分解性の高い特定の有機溶剤及びカルボン酸中に溶解し、アルカリ土類金属元素有機酸塩を含有する所定濃度の有機酸塩液とチタン、スズ又はジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の金属のアルコキシドを含有する所定濃度のアルコキシド液を別途調製した後に、これらの液を混合してペロブスカイト型誘電物質形成用の複合有機酸塩液を合成する。さらに、必要に応じて、この複合有機酸塩液を一旦所定濃度に濃縮した後、所定濃度に再調整する。これらの方法によって、作製時及び塗膜時における安全性に優れ、しかも溶解性、塗膜性、保存性等を満足させることができる塗布液が得られ、MOD法による誘電体薄膜の形成において、クラックの発生がなく、膜の収縮が小さく、かつ誘電特性に優れた誘電体薄膜を形成することができる高誘電体薄膜形成用塗布組成物が効率的かつ安定的に製造される。
1.工程(1)
上記製造方法の工程(1)は、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素の金属、そのアルコキシド又はカルボン酸塩を、2−メチル−1−ブタノール、カルボン酸類及びエステル類からなる混合溶剤に添加した後、窒素又は不活性ガス雰囲気下に80〜120℃の温度で加熱処理して、金属元素濃度が0.2〜1.0mol/Lの有機酸塩液(A)を調製する工程である。
上記工程(1)では、原料形態、並びに有機溶剤等とその配合比を選ぶことにより、作製時における安全性に優れた有機酸塩液(A)を得るとともに、有機酸塩液(A)中の金属の溶解性と保存性、さらに高誘電体薄膜形成用塗布組成物の塗膜性、及び膜欠陥の原因となる揮発又は分解性等を満足させる効果が得られる。
上記カルボン酸塩としては、特に限定されるものではないが、酢酸バリウム、酢酸カルシウム、エチルヘキサン酸カルシウム等の低級カルボン酸塩が好ましい。
上記アルコキシドとしては、特に限定されるものではなく、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素の金属のメトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、ブトキシド等が挙げられるが、特に、適当な反応速度であることから、イソプロポキシド又はブトキシドを用いるのが好ましい。なお、アルコキシドは、一般式:M(OR )(ただし、式中Rは直鎖状又は分岐状アルキル基を、式中Mは金属元素を表す。また、式中nは2又は4である。)で表され、例えば、チタンアルコキシドの化学式はTi(OR )である。
上記工程(1)で用いる混合溶剤としては、2−メチル−1−ブタノールと、カルボン酸類と、エステル類との3種類の溶剤からなる混合物が用いられる。その際、2−メチル−1−ブタノールのほか、カルボン酸類とエステル類としては、安全性等の問題から、40℃以上の引火点を有するものが望ましい。ここで、好ましい混合溶剤の具体例を示すと、2−メチル−1−ブタノール(引火点:46℃)に対して、カルボン酸類として2−エチルヘキサン酸(引火点:118℃)、また、エステル類としては、酢酸ヘキシル(引火点:45℃)又は酪酸ブチル(引火点:53℃)を用いることができる。
これら3種類の溶剤を組合せてなる混合溶剤を用いることにより、膜特性を悪化させることなく、かつ作製時に安全に使用できる。しかも、溶解性に問題なく、かつ溶媒単独でも水混和性が低いため、保存性において従来のものより優れたものができる。
上記混合溶剤の配合割合としては、特に限定されるものではないが、2−メチル−1−ブタノール100容積部に対して、好ましくはカルボン酸類が50〜100容積部、より好ましくは50〜70容積部、また、エステル類が好ましくは50〜200容積部、より好ましくは70〜140容積部である。すなわち、配合割合がこの範囲外になると、溶解が不十分となり、未溶解物が発生しやすくなり、沈殿が生成して液が不安定になる。また、これにより、液安定性は高まるので、即座にアルコキシド液(B)と混合してペロブスカイト型誘電物質を合成しなくとも、密閉容器に入れておけば3ヶ月間はまったく変化がないものが得られる。
これに対して、エーテル類、アルコール類、カルボン酸類又はエステル類等の有機溶剤を単独で、或いは本発明の条件以外で任意に組合わせて用いると、上記効果が得られない。例えば、アルカリ土類金属元素の原料として金属を用いた場合、アルコール類又はエーテル類に容易に溶解するが、得られる有機酸塩液は水に対する安定性が欠けるため、外気に晒すことができず、また保存性が悪いという問題がある。また、低級カルボン酸塩を原料とした場合、その多くは低級アルコールに溶解しにくいため、一般的には、エステル類又はカルボン酸類を用いて溶解される。しかしながら、エステル類だけを用いると、カルボン酸塩の溶解度が低いため、保存時に粒子が析出する。さらに、誘電体薄膜の下地電極である金属膜とのぬれ性が悪く、均一な膜が得られないという問題がある。一方、カルボン酸類は、溶解性が高く、かつ水混和性も低いために保存性を安定させる有用な有機溶剤であるが、加熱により揮発除去されにくい。したがって、カルボン酸類を多量に用いると、膜形成時に有機成分が残留する。エステル類とカルボン酸類の混合溶液にしても同様である。
上記工程(1)で用いる加熱溶解条件としては、温度が80〜120℃である。すなわち、加熱温度が80℃未満では、有機酸塩の形成が不十分である。一方、加熱温度が120℃を超えると、有機溶剤の揮発が活発になる。
例えば、上記混合溶剤を40〜80℃に加熱し、原料を投入して溶解させると、溶解熱により温度上昇し120℃まで達する。また、加熱時間としては、特に限定されるものではなく、1〜10時間が好ましく、有機酸塩の生成が十分に行なわれる時間が選ばれる。
上記工程(1)で得られる有機酸塩液(A)の金属元素濃度としては、0.2〜1.0mol/Lである。すなわち、金属元素濃度が0.2mol/L未満では、濃度が希薄なため生産性が低下し、一方金属元素濃度が1.0mol/Lを超えると、溶解が不十分になり液が安定しない問題がある。
2.工程(2)
上記製造方法の工程(2)は、チタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素のアルコキシドを、2−メチル−1−ブタノール又はエステル類のいずれかの溶剤中に添加して、金属元素濃度が0.2〜1.0mol/Lのアルコキシド液(B)を調製する工程である。
上記工程(2)では、原料形態、並びに有機溶剤等とその配合比を選ぶことにより、作製時における安全性に優れたアルコキシド液(B)を得るとともに、アルコキシド液(B)中の金属の溶解性と保存性、さらに高誘電体薄膜形成用塗布組成物の塗膜性、及び膜欠陥の原因となる揮発又は分解性等を満足させる効果が得られる。
上記工程(2)で用いるアルコキシドとしては、特に限定されるものではなく、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、ブトキシド等が挙げられるが、特に、適当な反応速度であることから、イソプロポキシド又はブトキシドを用いるのが好ましい。
上記エステル類としては、引火点が40℃以上である酢酸ヘキシル(引火点:45℃)又は酪酸ブチル(引火点:53℃)が好ましい。
上記工程(2)で用いる加熱溶解条件としては、特に限定されるものではないが、20〜60℃の温度が好ましい。すなわち、加熱温度が20℃未満では、金属アルコキシドの形成が不十分である。一方、加熱温度が60℃を超えると、有機溶剤の揮発が活発になる。また、加熱時間としては、特に限定されるものではなく、10分〜2時間が好ましく、金属アルコキシドの形成が十分に行なわれる時間が選ばれる。
上記工程(2)において得られるアルコキシド液(B)の金属元素濃度としては、0.2〜1.0mol/Lである。すなわち、金属元素濃度が0.2mol/L未満では、濃度が希薄になると生産性が低下し、一方、金属元素濃度が1.0mol/Lを超えると、溶解が不十分となり液が安定しない。
3.工程(3)
上記製造方法の工程(3)は、有機酸塩液(A)とアルコキシド液(B)とを、前者に含まれる金属元素の合計量と後者に含まれる金属元素の合計量とがモル比で等しくなるような配合割合で混合した後、窒素又は不活性ガス雰囲気下に100〜150℃の温度で加熱処理して、複合有機酸塩液(C)を合成する工程である。ここで、有機酸塩液(A)とアルコキシド液(B)が反応して、熱分解によりペロブスカイト型複合酸化物を形成する複合有機酸塩が合成される。
上記工程(3)では、有機酸塩液(A)とアルコキシド液(B)の配合比を選ぶことにより、作製時及び塗布時における安全性に優れた複合有機酸塩液(C)を得るとともに、複合有機酸塩液(C)中の金属の溶解性と保存性、さらに高誘電体薄膜形成用塗布組成物の塗膜性、及び膜欠陥の原因となる揮発又は分解性等を満足させる効果が得られる。
上記工程(3)で用いる加熱条件としては、温度が100〜150℃である。すなわち、加熱温度が100℃未満では、合成反応が不十分であり構成元素が単独で存在し、加水分解速度に差が生じて膜組成の均一性が劣る。一方、加熱温度が150℃を超えると、有機溶媒の揮発が活発化するだけでなく、金属アルコキシドも同時に揮発して組成ずれが起こる。また、加熱時間としては、特に限定されるものではなく、2〜10時間が好ましく、合成が十分に行なわれる時間が選ばれる。
4.工程(4)、及び工程(5)
上記製造方法の工程(4)は、前記工程(3)により得られた複合有機酸液(C)を、窒素又は不活性ガス雰囲気下に120〜140℃の温度で加熱処理し、複合反応を促進させながら、溶剤の一部を揮発させて濃縮し、金属元素濃度が1.0〜1.2mol/Lの濃縮液を得る工程である。なお、工程(4)は、濃縮による膜特性への影響も少ないので、必要に応じて行なわれる。
上記工程(4)で用いる加熱処理の温度としては、合成反応が進行する120〜140℃である。すなわち、温度が120℃未満では、溶剤の揮発が遅い。一方、温度が140℃を超えると、金属アルコキシの揮発が起こる。ここで、加熱しながら窒素又は不活性ガスを導入することにより、溶媒の一部を揮発させ、液の濃縮して、一旦、金属元素濃度が好ましくは1.0〜1.2mol/Lの高濃度液を調製する。この際、揮発する有機溶媒の大部分は、沸点の低い2−メチル−1−ブタノール及びエステル類である。これにより濃度が高まることにより、合成反応は一層促進され前駆体を形成する。ただし、2メチル1ブタノールへの溶解度が低いため、高濃度化しすぎると析出が起こるために、金属元素濃度は1.2mol/Lが上限となる。しかしながら、金属元素濃度が1.0mol/L未満では効果は希薄となる。
上記製造方法の工程(5)は、得られた濃縮液に、2−メチル−1−ブタノール、酢酸ヘキシル、酪酸ブチル、IPA又は1−ブタノールから選ばれる少なくとも1種の溶剤を添加することにより、金属元素濃度を0.2〜0.8mol/Lに希釈する工程である。これによって、塗膜性と保存性等を満足させ、クラックの発生がなく、膜の収縮が小さく、かつ誘電特性に優れた誘電体薄膜を形成することができる高誘電体薄膜形成用塗布組成物が得られる。
上記希釈液としては、得られる塗布組成物の塗布時には塗布量も少なく、特に熱源も用いないので引火の問題もないため、2−メチル−1−ブタノール、酢酸ヘキシル、又は酪酸ブチルのほか、IPA又は1−ブタノールも添加することができる。しかしながら、設備上の問題があるようなら、2−メチル−1−ブタノール、酢酸ヘキシル、又は酪酸ブチルが好ましい。
上記工程(5)により、塗膜性と保存性等を満足させ、クラックの発生がなく、膜の収縮が小さく、かつ誘電特性に優れた誘電体薄膜を形成することができる高誘電体薄膜形成用塗布組成物が得られる。ここで、工程(5)で得られた液を、さらに0.2ミクロンのフィルタで濾過して不純物を除去すればより好ましい塗布液を作製することができる。
本発明の高誘電体薄膜形成用塗布組成物は、上記製造方法により得られる高誘電体薄膜形成用塗布組成物であり、作製時及び塗膜時における安全性に優れた構成成分を用いて、しかも塗膜性と保存性等を満足させ、クラックの発生がなく、膜の収縮が小さく、かつ誘電特性に優れた誘電体薄膜を形成することができるものである。
また、上記高誘電体薄膜形成用塗布組成物中には、塗膜性、保存性、結晶性等の塗布液としての性能を向上させるための各種の添加剤を加えることができる。前記添加剤の添加は、工程(5)において、又はそれ以降において行なわれる。
本発明の高誘電体薄膜形成用塗布組成物を用いる薄膜の形成方法としては、例えば、Si、Pt/Ti/SiO/Si、Pt/Ta/SiO/Si、Pt/SiO/Si、Ru/RuO/SiO /Si、RuO/Si、RuO/Ru/SiO/Si、Ir/IrO/Si、Pt/Ir/IrO/Si、Pt/IrO/Si、Pt/TiO/SiO/Si等の基板に、塗布液を滴下した後、スピンコート、ディップコート等により塗布し乾燥する。次に、400〜600℃の温度で10分〜1時間程度の仮焼成する。ここで、所望の膜厚にするために、塗布、乾燥、仮焼成を数回繰り返した後、700〜900℃の温度で20分〜2時間程度本焼成して、高誘電体薄膜を形成する。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析及び薄膜の形成方法と評価方法は、以下の通りである。
(1)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
(2)薄膜の形成方法と評価方法:塗布液をスピンコート法によりチタン白金基板上に塗布し、200℃で乾燥した後、大気中、または酸化性雰囲気中600℃で10分間の仮焼成した。塗布、乾燥、仮焼成を6回繰り返した後、酸素ガス気流中900℃で1時間本焼成して、チタン酸バリウム(BaTiO)誘電物質からなる薄膜を形成した。その後、膜表面のAFM観察して、クラック及び収縮の発生を評価した。さらに、薄膜に直径0.4mmの白金上部電極を蒸着し、25℃に保った室内でAC電圧1.0V、周波数1MHz時の比誘電率及び誘電損失を測定した。
(実施例1)
以下のとおり、チタン酸バリウム(BaTiO)薄膜を形成し評価した。
まず、工程(1)として、金属バリウムを容量比で2−メチル−1−ブタノール:2−エチルヘキサン酸:酪酸ブチル=2:1:1で配合した混合溶剤80mL中に添加し、窒素気流中120℃で2時間攪拌混合して、Ba濃度0.8mol/Lのバリウム有機酸塩液(A)を調製した。また、工程(2)として、チタンイソプロポキシドを酪酸ブチル20mLに添加し、大気中25℃で0.4時間攪拌混合して、Ti濃度0.8mol/Lのチタンアルコキシド液(B)を調製した。
次に、工程(3)として、モル比でバリウム:チタン=1:1となるようにバリウム有機酸塩液(A)中にチタンアルコキシド液(B)を滴下し、窒素気流中120℃で1時間攪拌混合して、金属元素濃度0.8mol/Lの複合有機酸塩液(C)を得た。
次いで、工程(4)、(5)として、複合有機酸塩液(C)を窒素気流中で120℃で1時間加熱して有機溶媒の一部を揮発させ、金属元素濃度1.0mol/Lの濃縮液を得た。最後に、濃縮液に希釈剤として2−メチル−1−ブタノールを添加し、金属元素濃度を0.4mol/Lに調整して塗布液を得た。
その後、上記薄膜の形成方法と評価方法に従って薄膜を形成し、膜表面の観察及び誘電特性の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
(実施例2)
以下のとおり、チタン酸バリウム(BaTiO)薄膜を形成し評価した。
工程(1)、(2)、及び(3)を実施例1と同様に行ない、得られた金属元素濃度を0.8mol/Lの複合有機酸塩液(C)を塗布液とした。その後、上記薄膜の形成方法と評価方法に従って薄膜を形成し、膜表面の観察及び誘電特性の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
(実施例3)
以下のとおり、チタン酸バリウム(BaTiO)薄膜を形成し評価した。
工程(1)で、容量比で2−メチル−1−ブタノール:2−エチルヘキサン酸:酢酸ヘキシル=2:1:1で配合した混合溶剤を用いて、Ba濃度0.4mol/Lのバリウム有機酸塩液(A)を調製し、工程(2)で、酢酸ヘキシルを用いて、Ti濃度0.4mol/Lのチタンアルコキシド液(B)を調製し、及び工程(3)で、140℃で2時間攪拌混合して、金属元素濃度0.4mol/Lの複合有機酸塩液(C)を得たこと以外は実施例1と同様に行ない、得られた複合有機酸塩液(C)を塗布液とした。その後、上記薄膜の形成方法と評価方法に従って薄膜を形成し、膜表面の観察及び誘電特性の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
(比較例1)
以下のとおり、チタン酸バリウム(BaTiO)薄膜を形成し評価した。
まず、工程(1)として、金属バリウムを容量比でメチルセロソルブ(エチレングリコールモノメチルエーテル):2−エチルヘキサン酸:酢酸ブチル=2:1:1で配合した混合溶剤80mL中に添加し、窒素気流中80℃で2時間攪拌混合して、Ba濃度0.4mol/Lのバリウム有機酸塩液(A)を調製した。また、工程(2)として、チタンイソプロポキシドを酢酸ブチル20mLに添加し、大気中で25℃で0.4時間攪拌混合して、Ti濃度0.4mol/Lのチタンアルコキシド液(B)を調製した。
次に、工程(3)として、モル比でバリウム:チタン=1:1となるようにバリウム有機酸塩液(A)中にチタンアルコキシド液(B)を滴下し、窒素気流中110℃で2時間攪拌混合して、金属元素濃度0.4mol/Lの複合有機酸塩液(C)を得て、塗布液を得た。
その後、上記薄膜の形成方法と評価方法に従って薄膜を形成し、膜表面の観察及び誘電特性の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
(比較例2)
以下のとおり、チタン酸バリウム(BaTiO)薄膜を形成し評価した。
まず、工程(1)として、金属バリウムを容量比で2−メチル−1−ブタノール:酢酸ヘキシル=3:1で配合した混合溶剤80mL中に添加し、窒素気流中80℃で2時間攪拌混合して、Ba濃度0.4mol/Lのバリウム有機酸塩液(A)を調製した。また、工程(2)として、チタンイソプロポキシドを酢酸n−ブチル20mLに添加し、大気中25℃で0.4時間攪拌混合して、Ti濃度0.4mol/Lのチタンアルコキシド液(B)を調製した。
次に、工程(3)として、モル比でバリウム:チタン=1:1となるようにバリウム有機酸塩液(A)中にチタンアルコキシド液(B)を滴下し、窒素気流中140℃で2時間攪拌混合して、金属元素濃度0.4mol/Lの複合有機酸塩液(C)を得て、塗布液を得た。
得られた作製直後の塗布液には問題なく、スピンコート法によりチタン白金基板上に塗布してBaTiO薄膜の形成が可能であった。しかしながら、10日間液を室温放置しておくと沈殿物が生成し、液が不安定であった。結果を表1、2に示す
Figure 0004702215
Figure 0004702215
表1より、実施例1〜3では、特定の混合溶剤を用いてアルカリ土類金属元素の有機酸塩液(A)を調製する工程、特定の有機溶剤を用いてチタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素のアルコキシド液(B)を調製する工程、及び有機酸塩液(A)とアルコキシド液(B)を用いて複合有機酸塩液(C)を合成する工程を順次行ない(実施例2又は3)、さらには複合有機酸塩液(C)を濃縮させた後、希釈して、金属元素濃度を調整する工程を順次行ない(実施例1)、本発明の方法に従って行われたので、作製時及び塗膜時における安全性に優れた構成成分を用いて、MOD法によるチタン酸バリウム(BaTiO)誘電物質からなる高誘電体薄膜の形成において、クラックの発生がなく、膜の収縮が小さく、かつ従来のエーテルを用いた場合(例えば、比較例1)と同等以上に誘電特性に優れた誘電体薄膜を形成することができる高誘電体薄膜形成用塗布組成物が効率的に得られることが分かる。
これに対して、比較例1又は2では、工程(1)において特定の混合溶剤を用いていないことで本発明の条件に合わないので、比較例1では、作製時及び塗膜時における安全性、比較例2では、塗布液が不安定である等の問題があり、満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明の高誘電体薄膜形成用塗布組成物とその製造方法は、誘電特性に優れた誘電体薄膜を形成することができる安全性に優れた高誘電体薄膜形成用塗布組成物とその効率的な製造方法であるので、得られた高誘電体薄膜形成用塗布組成物は、薄膜コンデンサ及び半導体集積回路装置の容量絶縁膜、DRAMのキャパシタ材料等に使用されるキャパシタ絶縁膜に用いられる。

Claims (7)

  1. 下記の工程(1)〜(3)を含むことを特徴とする高誘電体薄膜形成用塗布組成物の製造方法。
    工程(1):バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素の金属、そのアルコキシド又はカルボン酸塩を、2−メチル−1−ブタノール、カルボン酸類及びエステル類からなる混合溶剤に添加した後、窒素又は不活性ガス雰囲気下に80〜120℃の温度で加熱処理して、金属元素濃度が0.2〜1.0mol/Lの有機酸塩液(A)を調製する。
    工程(2):チタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素のアルコキシドを、2−メチル−1−ブタノール又はエステル類のいずれかの溶剤中に添加して、金属元素濃度が0.2〜1.0mol/Lのアルコキシド液(B)を調製する。
    工程(3):有機酸塩液(A)とアルコキシド液(B)とを、前者に含まれる金属元素の合計量と後者に含まれる金属元素の合計量とがモル比で等しくなるような配合割合で混合した後、窒素又は不活性ガス雰囲気下に100〜150℃の温度で加熱処理して、複合有機酸塩液(C)を合成する。
  2. 工程(1)で溶剤として用いられる混合溶剤の配合割合は、2−メチル−1−ブタノール100容積部に対して、カルボン酸類が50〜100容積部、エステル類が50〜200容積部であることを特徴とする請求項1に記載の高誘電体薄膜形成用塗布組成物の製造方法。
  3. 工程(1)、(2)で溶剤として用いられるカルボン酸類又はエステル類は、40℃以上の引火点を有することを特徴とする請求項1に記載の高誘電体薄膜形成用塗布組成物の製造方法。
  4. 前記カルボン酸類は、2−エチルヘキサン酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高誘電体薄膜形成用塗布組成物の製造方法。
  5. 前記エステル類は、酢酸ヘキシル又は酪酸ブチルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高誘電体薄膜形成用塗布組成物の製造方法。
  6. 工程(1)〜(3)に引き続き、さらに、次の工程(4)、(5)を行なうことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高誘電体薄膜形成用塗布組成物の製造方法。
    工程(4):前記複合有機酸液(C)を、窒素又は不活性ガス雰囲気下に120〜140℃の温度で加熱処理し、複合反応を促進させながら、溶剤の一部を揮発させて濃縮し、金属元素濃度が1.0〜1.2mol/Lの濃縮液を得る。
    工程(5):得られた濃縮液に、2−メチル−1−ブタノール、酢酸ヘキシル、酪酸ブチル、IPA又は1−ブタノールから選ばれる少なくとも1種の溶剤を添加することにより、金属元素濃度を0.2〜0.8mol/Lに希釈する。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られる高誘電体薄膜形成用塗布組成物。
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