JP5080816B2 - 塗布液組成物および該塗布液組成物を用いる金属酸化物膜の製造方法 - Google Patents

塗布液組成物および該塗布液組成物を用いる金属酸化物膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特定の有機酸金属化合物と、特定の有機酸無水物と、有機溶剤とを含有してなる塗布液組成物および該組成物を基体に塗布し、焼成することによる金属酸化物膜の製造方法に関する。
金属酸化物膜は、様々な用途への応用が検討されている。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどの1族金属、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどの2族金属、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムの4族金属、バナジウム、ニオブ、タンタルの5族金属を含有する金属酸化物膜は、誘電特性の特徴を応用した高誘電体キャパシタ、強誘電体キャパシタ、ゲート絶縁膜、バリア膜、コンデンサ、圧電特性を応用したアクチュエータ、圧電素子などの電子部品の部材として用いられている。
上記の金属酸化物膜の製造方法としては、MOD法、ゾル−ゲル法、セラミックス粒子の分散液を塗布後焼成する方法、CVD法、ALD法などが挙げられる。比較的加工精度の低い膜については、製造コストが小さく、膜形成が容易なゾル−ゲル法、MOD法、セラミックス粒子の分散液を塗布後焼成する方法などの湿式コーティング法が好適な方法であり、これらに用いられる膜の原料には、金属アルコキシド化合物、有機酸金属化合物またはセラミックス微粒子が使用されている。中でも有機酸金属化合物は、他の原料に比べて安定な塗布液を与える利点がある。
例えば、特許文献1には、ABO3(AはBa、Sr、Ca、Pb、Li、K、Na、BはTi、Zr、Nb、Ta、Fe)で表されるペロブスカイト構造を有し、平均一次粒子径が100nm以下である板状若しくは針状結晶である強誘電体酸化物粒子が分散され、かつ加熱により強誘電体酸化物を形成する可溶性金属化合物が溶解されている液状組成物が開示されており、ここでは可溶性金属化合物として硝酸塩などの無機塩、エチルヘキサン酸塩などの有機酸塩、アセチルアセトン錯体などの有機金属錯体および金属アルコキシドが開示されている。
特許文献2および3には、Bi2(TamNb1-m25系誘電体薄膜をMOD法により形成する技術が報告されており、ここではニオブプレカーサとして、有機酸塩の例示があり、有機酸塩としてオクチル酸塩が例示されている。
特許文献4には、一般式(I)で示される有機酸チタン化合物が、酸化チタン、P(L)ZT強誘電体などの塗布熱分解法の安定な材料であることが開示されており、これを与える有機酸として、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸が開示されている。
また、特許文献5には、チタンの有機酸塩を混合したチタン酸ジルコン酸鉛の製造方法が開示されており、ここではプレカーサとして、ステアリン酸チタン、ラウリン酸チタン、カプリル酸チタン、2−エチルヘキサン酸チタン、ネオデカン酸チタン、ナフテン酸チタン、ステアリン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、カプリル酸ジルコニウム、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム、ネオデカン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム或いはステアリン酸ジルコニル、カプリル酸ジルコニル、2−エチルヘキサン酸ジルコニル、ネオデカン酸ジルコニル、ナフテン酸ジルコニルが開示されている。
特許文献6には、カルボン酸マグネシウムを含有する液状前駆体溶液について、マグネシウムカルボン酸金属塩を可溶化または保持するためにカルボン酸を使用することが記載されている。
有機酸金属化合物を有機溶剤に溶解させた塗布液組成物の安定化には、上記有機酸金属化合物の溶解性の向上と化学的な安定性の向上が必要である。有機酸と4族、5族の金属との化合物は、加水分解性を有するのでこれを用いた塗布液組成物の安定性に改善の余地があり、有機酸と1族、2族の金属との化合物は溶解性が不充分であり、溶解性に改善の余地がある。
特許文献6における可溶化剤であるカルボン酸は、アルコールなどのヒドロキシ基を有する溶剤と反応して水を発生させるので、使用に制限がある。例えば、加水分解性を有する4族、5族の有機酸金属化合物とアルコールを含有する塗布液組成物には用いることができない。
国際公開第2004/097854号(特に、請求項1、第5頁第30〜37行) 特開平9−25124号公報 特開平9−142845号公報 特開平5−230079号公報(特に、請求項1、[0007][0014]) 特開平5−58636号公報(特に、請求項1、[0012]、[0013]) 特開2001−48588公報(特に、[0128])
したがって、本発明の課題は、湿式コーティング法による金属酸化物膜の製造、特に1族、2族、4族、5族の金属を含有する金属酸化物薄膜の製造において、好適に使用できる安定な塗布液組成物および金属酸化物膜の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、検討を重ねた結果、有機酸金属化合物と有機酸の無水物とを塗布液組成物に含有させることにより、上記課題が解決されることを知見し、本発明に到達した。
本発明は、炭素数6〜12の脂肪族有機酸と4族または5族の金属との化合物を含有してなるプレカーサ成分(以下単に「A成分」と云う場合がある)と、炭素数6〜12の脂肪族有機酸の酸無水物(以下単に「B成分」と云う場合がある)と、有機溶剤(以下単に「C成分」と云う場合がある)とを含有してなることを特徴とする塗布液組成物、および該組成物を基体上に塗布する塗布工程と、50〜200℃に加熱する乾燥工程と、400〜900℃に加熱する焼成工程とを経ることを特徴とする金属酸化物膜の製造方法を提供する。
本発明によれば、湿式コーティング法による金属酸化物膜の製造において、好適に使用できる安定な塗布液組成物および金属酸化物膜の製造方法を提供することができる。
本発明の塗布液組成物を構成するA成分について説明する。本発明におけるA成分は、本発明の塗布液組成物により形成される金属酸化物膜に金属元素を供給する金属化合物を含有する成分であり、当該金属化合物として、少なくとも1種類の炭素数6〜12の脂肪族有機酸と金属との化合物を、所望の組成の金属酸化物を与える濃度に含有する。該A成分は、炭素数6〜12の脂肪族有機酸と金属との化合物のみからなるものでもよく、これ以外の金属化合物をA成分の一部として含有してもよい。
上記A成分に必須成分として含有される炭素数6〜12の脂肪族有機酸と金属との化合物は、金属原子に有機酸残基が1つ以上結合している化合物であり、金属原子と結合する有機酸残基以外の基を有してもよい。有機酸残基以外の基としては、アルコキシ基、β−ジケトン残基、炭化水素基、β−ケトエステル残基などの有機性基、水酸基、酸素基、ハロゲン基などの無機性基を有していてもよい。
上記A成分の金属種としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどの1族元素、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどの2族元素、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド元素(ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム)、アクチノイド元素などの3族元素、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムの4族元素、バナジウム、ニオブ、タンタルの5族元素、クロム、モリブデン、タングステンの6族元素、マンガン、テクネチウム、レニウムの7族元素、鉄、ルテニウム、オスミウムの8族元素、コバルト、ロジウム、イリジウムの9族元素、ニッケル、パラジウム、白金の10族元素、銅、銀、金の11族元素、亜鉛、カドミウム、水銀の12族元素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムの13族元素、ゲルマニウム、錫、鉛の14族元素、砒素、アンチモン、ビスマスの15族元素、ポロニウムの16族元素が挙げられる。なお、上記において「族」とは周期律表の「族」を意味する。
また、炭素数6〜12の脂肪族有機酸は、飽和脂肪族有機酸でもよく、不飽和脂肪族有機酸でもよく、水酸基、エーテル基などで置換されてもよいが飽和脂肪族有機酸が好ましい。好ましいものとしては、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、シクロヘキサンカルボン酸が挙げられる。
炭素数が5以下の脂肪族有機酸から得られる有機酸金属化合物は、融点の高い固体であるものが多く、MOD法用の原料として充分に安定な塗布液組成物を与えにくい。また、このような炭素数の少ない脂肪族有機酸から得られる有機酸金属化合物は、有機溶剤に対する溶解性が低いので、溶解性のマージンが得られない場合がある。一方で炭素数が12より大きい脂肪族有機酸から得られる有機酸金属化合物は、金属含有量が小さいのでモル換算の濃度における充分な溶解性のマージンが得られない。また、このような炭素数の多い脂肪族有機酸から得られる有機酸金属化合物をA成分に用いて得られる薄膜中の不純物カーボン残渣が大きくなる場合がある。また、有機酸としては、安定した品質のものが安価に入手できることが必要である。2−エチルヘキサン酸は溶解性に優れた有機酸金属化合物を与えること、また、合成有機酸であるのでより好ましい。
MOD法を用いる金属酸化物膜の製造方法が特に有効なのは、電子部材に使用される誘電体、強誘電体、圧電体、超電導体の製造であり、膜中に主に含有される金属は、4族、5族、1族および2族の金属である。
4族または5族金属を含有する酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、ニオブ添加チタン酸鉛、ニオブ添加チタン酸ジルコン酸鉛、ランタン添加チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸ビスマス、ランタン添加チタン酸ビスマス、ネオジム添加チタン酸ビスマス、ニオブ添加チタン酸ビスマス、珪素−ハフニウム酸化物、アルミニウム−ハフニウム酸化物、ニオブ−タンタル酸化物、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸カリウムリチウム、ニオブ酸カリウムナトリウム、ニオブ酸ビスマス、タンタル酸ビスマス、ニオブ酸ビスマスストロンチウム、ニオブ酸ビスマスバリウム、タンタル酸ビスマスストロンチウム、タンタル酸ビスマスバリウム、ニオブタンタル酸ビスマス、ニオブタンタル酸ビスマスストロンチウム、ニオブタンタル酸ビスマスバリウム、ニオブタンタル酸ビスマスストロンチウムバリウム、チタン添加酸化タンタルなどの酸化物、複合酸化物が挙げられる。
また、1族または2族金属を含有する酸化物としては、上記と重複するもの以外では、イットリウム−バリウム−銅酸化物、イットリウム−バリウム−銅酸化物のイットリウムサイトの一部または全部をランタノイド元素で置換した(イットリウム)−ランタノイド−バリウム−銅酸化物、ビスマス−ストロンチウム−カルシウム−銅酸化物が挙げられる。
4族、5族金属の有機酸金属化合物は、4族、5族金属と結合する他の有機基として、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基を有してもよいが、有機基としては有機酸残基のみを有するものが安定な塗布液組成物を与えるので好ましい。
有機基として有機酸残基のみを有する4族金属の有機酸金属化合物は、L−M結合(Lは炭素数6〜12の脂肪族有機酸残基、Mは4族金属)のみで形成される化合物、L−M結合とM−O−M結合から形成される化合物、L−M結合とM=O結合から形成される化合物、L−M結合とM−O−M結合とM=O結合から形成される化合物が挙げられる。
M−O−M結合により形成される骨格は直鎖でもよく、分枝していてもよく、環を形成してもよい。例えば、四塩化金属などのテトラハライド、テトラキスイソプロポキシドなどのテトラキスアルコキシドなどのモノメリックな金属化合物を原料として得られるものは、通常、1分子当たりの金属原子の数は1〜6となる。このようなものは、製造が容易で有機溶剤に対する溶解性が良好であり、本発明の塗布液組成物の有機酸金属化合物として好ましいものである。下記に代表的な構造を化学式で示す。
Figure 0005080816
(上記化学式において、Mは、チタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、Lは炭素数6〜12の脂肪族有機酸残基を表し、aは0〜4の数を表し、bは1または2を表す。)
有機基として有機酸残基のみを有する5族金属の有機酸金属化合物は、L−X結合(Lは炭素数6〜12の脂肪族有機酸残基、Xは5族金属)のみで形成される化合物、L−X結合とX−O−X結合から形成される化合物、L−X結合とX=O結合から形成される化合物、L−X結合とX−O−X結合とX=O結合から形成される化合物が挙げられる。
X−O−X結合により形成される骨格は直鎖でもよく、分枝していてもよく、環を形成してもよい。例えば、五塩化金属などのペンタハライド、ペンタキスエトキシド、ペンタキスブトキシドなどのペンタキスアルコキシドなどのモノメリックな金属化合物を原料として得られるものは、通常、1分子当たりの金属原子の数は1〜4となる。このようなものは、製造が容易で有機溶剤に対する溶解性が良好であり、本発明の塗布液組成物の有機酸金属化合物として好ましいものである。下記に代表的な構造を化学式で示す。
Figure 0005080816
(上記化学式において、Xは、バナジウム、ニオブ、タンタルを表し、Lは炭素数6〜12の脂肪族有機酸残基を表し、cは0〜2の数を表す。)
Figure 0005080816
(上記化学式において、Xは、バナジウム、ニオブ、タンタルを表し、Lは炭素数6〜12の脂肪族有機酸残基を表す。)
本発明の組成物に好適に使用される上記の4族、5族金属の有機酸金属化合物は、その製造方法により区別されることなく、周知一般の製造方法を応用して得られたものを使用することができる。製造方法としては、例えば、塩化金属などのハロゲン化金属を原料に用いる方法、金属アルコキシドを原料に用いる方法が挙げられる。
ハロゲン化金属を原料に用いる方法としては、ナトリウム、ナトリウムアミド、ナトリウムハイドライド、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどのアルカリ反応剤の存在下で、ハロゲン化金属と脂肪族有機酸とを反応させる方法、ハロゲン化金属と脂肪族有機酸ナトリウム、脂肪族有機酸リチウム、脂肪族有機酸アンモニウムなどの脂肪族有機酸塩とを反応させる方法が挙げられる。
また、金属アルコキシドを原料に用いる方法としては、金属アルコキシドに脂肪族有機酸を加え加熱する方法が挙げられる。例えば、本発明の塗布液組成物に好ましく使用される2−エチルヘキサン酸チタニウムの場合、テトラキス(イソプロポキシ)チタンを出発原料に、テトラキス(イソプロポキシ)チタン1モルに対して、2−エチルヘキサン酸2〜6モルを反応させることで製造することができる。
本発明の塗布液組成物に好ましく使用される2−エチルヘキサン酸ニオブの場合、ペンタキス(エトキシ)ニオブを出発原料に、ペンタキス(エトキシ)ニオブ1モルに対して、2−エチルヘキサン酸2〜6モルを反応させることで製造することができる。また、金属アルコキシドと脂肪族有機酸との反応時に副生する水を取り除き、分子あたりの金属含有量をコントロールする場合には、酸無水物などの脱水剤を上記の反応系に加えてもよい。
1族、2族金属の有機酸金属化合物として好ましいものは、(RCOO)nM’の化学式で表されるものである。Rは炭素数5〜11の脂肪族炭化水素基を表し、M’は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムを表し、nはM’が1族金属原子の場合は1であり、M’が2族金属原子の場合は2である。このような1族、2族の有機酸金属化合物は、結晶水を含有する場合もある。本発明の塗布液組成物に用いる場合は、水和物でも無水物でもよいが、水和水が塗布液組成物の安定性に悪影響を及ぼす場合が多いので無水物が好ましい。
上記A成分に含有されてもよい炭素数6〜12の脂肪族有機酸と金属との化合物以外のA成分となる金属化合物としては、有機性のものとしては、炭素数2〜5および炭素数13以上の脂肪族有機酸または芳香族有機酸と金属との化合物、金属アルコキシド化合物、β−ジケトン金属錯体、β−ケトエステル金属錯体などが挙げられる。また、無機性の金属化合物としては、水酸化物、酸化物、硝酸塩、硫酸塩、セラミックス粒子が挙げられる。セラミックス粒子は、所望の金属酸化物膜と同組成のものでもよく、所望の金属酸化物膜を構成する一部の組成を有するものでもよい。
上記A成分が塗布液組成物中に占める割合が3.5質量%より小さいと、得られる膜が薄くなるので、金属酸化物膜の生産性が悪化する場合があり、一方、40質量%を超えると得られる膜にクラックが発生する場合ある。したがってA成分の塗布液組成物中に占める割合は3.5〜40質量%が好ましく、15〜30質量%がより好ましい。また、A成分において、必須成分である少なくとも1種類の炭素数6〜12の脂肪族有機酸と金属との化合物がA成分中に占める割合は、10〜100質量%が好ましく、25〜100質量%がより好ましい。
本発明において、形成すべき所望の金属酸化物膜が4族および/または5族金属の酸化物である場合には、前記A成分は、4族および/または5族金属と炭素数6〜12の脂肪族有機酸との化合物単独でもよい。しかし、形成すべき所望の金属酸化物膜が4族および/または5族金属と、1族および/または2族との複合金属酸化物である場合には、前記A成分は、炭素数6〜12の脂肪族有機酸と4族および/または5族の金属との化合物(A’成分)と、炭素数6〜12の脂肪族有機酸と1族および/または2族の金属との化合物(A”成分)とを含むことになる。上記A’成分とA”成分の割合は、所望の複合金属酸化物中の金属元素のモル比と同様にすることが好ましい。例えば、複合金属酸化物が、ニオブ酸リチウムの場合には、A’成分とA”成分とを含むA成分中のニオブとリチウムとのモル比は、約1:1とし、複合金属酸化物が、チタン酸バリウムストロンチウムの場合には、A’成分とA”成分とを含むA成分中のチタンとバリウムとストロンチウムとのモル比は、約2:1:1とすることが好ましい。他の複合金属酸化物の場合も同様である。
次に本発明の塗布液組成物を構成するB成分について説明する。B成分は、2分子の脂肪族有機酸を脱水縮合したものであり、炭素数6〜12の脂肪族有機酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、シクロヘキサンカルボン酸が挙げられる。
上記B成分は、本発明の塗布液組成物の安定性向上剤および可溶化剤として機能する。4族または5族の有機酸金属化合物は、安定性が不充分であり、水分などと反応して固相を発生する問題を有しているが、上記B成分は、4族または5族の有機酸金属化合物を安定化させ、固相発生を防止する。1族または2族金属の有機酸金属化合物は、有機溶剤に対する溶解性が充分ではなく、充分な金属含有量を有する安定な塗布液組成物を得ることが難しい問題を有しているが、B成分は、1族または2族の有機酸金属化合物に対し、可溶化剤として機能するので、充分な濃度を有し、安定な塗布液組成物を与える。
上記B成分は、1種類でもよく、2種類以上混合して用いてもよいが、前記で説明したA成分の必須成分である炭素数6〜12の脂肪族有機酸と同一の脂肪族有機酸の無水物が、上記の効果を安定に発現するので好ましい。B成分中の、A成分を与える脂肪族有機酸と同一の脂肪族有機酸の無水物の含有量は50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、100質量%が最も好ましい。B成分が、A成分中の有機酸とは異なる有機酸の無水物であると、塗布液組成物中或いは塗布後の加熱工程で有機酸残基の交換がおこり、固相の発生、膜中の凝集物の生成などの好ましくない事態が発生するおそれがある。例えば、本発明において、好ましい形態である2−エチルヘキサン酸金属化合物がA成分の必須成分である場合は、B成分としては2−エチルヘキサン酸無水物が好ましい。
本発明の塗布液組成物における上記B成分の含有量は、A成分に含まれる有機酸金属化合物(必須成分で炭素数6〜12の脂肪族有機酸金属化合物と、任意成分であるそれ以外の有機酸金属化合物の両方)の質量の3〜20質量%が好ましい。3質量%より小さいと、充分な使用効果を得ることができない場合があり、一方、20質量%を超えて使用しても使用効果の向上が得られない。より好ましい範囲は5〜10質量%である。
次に本発明の塗布液組成物を構成するにC成分について説明する。本発明の塗布液組成物に使用されるC成分としては、アルコール系溶剤、ジオール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、脂肪族または脂環族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、シアノ基を有する炭化水素溶剤、その他の溶剤などが挙げられ、これらは1種類または2種類以上混合して用いることができる。
アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、第3ブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、2−ペンタノール、ネオペンタノール、第3ペンタノール、ヘキサノール、2−ヘキサノール、ヘプタノール、2−ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、2−オクタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、メチルシクロペンタノール、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘプタノール、ベンジルアルコール、2−メトキシエチルアルコール、2−ブトキシエチルアルコール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(N,N−ジメチルアミノ)エタノール、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロパノールなどが挙げられる。
ジオール系溶剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、イソプレングリコール(3−メチル−1,3−ブタンジオール)、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、オクタンジオール(2−エチル−1,3−ヘキサンジオール)、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
ケトン系溶剤としては、アセトン、エチルメチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどが挙げられる。
エステル系溶剤としては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第2ブチル、酢酸第3ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸第3アミル、酢酸フェニル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸第2ブチル、プロピオン酸第3ブチル、プロピオン酸アミル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸第3アミル、プロピオン酸フェニル、2−エチルヘキサン酸メチル、2−エチルヘキサン酸エチル、2−エチルヘキサン酸プロピル、2−エチルヘキサン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ第2ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ第3ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ第2ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノイソブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ第3ブチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノ第2ブチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノイソブチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノ第3ブチルエーテルアセテート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、オキソブタン酸メチル、オキソブタン酸エチル、γ−ラクトン、δ−ラクトンなどが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルホリン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサンなどが挙げられる。
脂肪族または脂環族炭化水素系溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカリン、ソルベントナフサなどが挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン、ジエチルベンゼン、クメン、イソブチルベンゼン、シメン、テトラリンが挙げられる。
シアノ基を有する炭化水素溶剤としては、1−シアノプロパン、1−シアノブタン、1−シアノヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3−ジシアノプロパン、1,4−ジシアノブタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノベンゼンなどが挙げられる。
その他の有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドが挙げられる。
上記C成分は、A成分に対する充分な溶解性を示し塗布溶剤として使用し易いものを選択すればよい。上記C成分の中でも、アルコール系溶剤およびジオール系溶剤はシリコン基体、金属基体、セラミックス基体、ガラス基体、樹脂基体などの様々な基体に対する塗布溶媒として良好な塗布性を示すので好ましく、1−ブタノールがより好ましい。また、C成分として混合溶剤を用いる場合もアルコール系溶剤、またはジオール系溶剤を主成分としたものが好ましく、これらを50質量%以上使用するものがより好ましい。
本発明の塗布液組成物における上記C成分の含有量が50質量%より小さいと、得られる膜にクラックが発生する場合あり、一方、95質量%を超えると、得られる膜が薄くなるので金属酸化物膜の生産性が悪化する場合があるので、50〜95質量%が好ましく、60〜85質量%がより好ましい。
本発明の塗布液組成物は、上記A成分とB成分とC成分とを含有してなるものであり、溶液の状態でもよく、安定した分散液の状態でもよい。A成分中に無機性の金属化合物を使用しない限りは溶液の状態が好ましい。
また、本発明の塗布液組成物には、A成分とB成分とC成分以外に、任意の成分を本発明の効果を阻害しない範囲で含有してもよい。任意成分としては、増粘剤、揺変剤、レベリング剤、消泡剤、ゲル化防止剤、分散安定剤などが挙げられ、使用する場合の含有量は、それぞれ5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
次に本発明の金属酸化物膜の製造方法について説明する。本発明の膜の製造方法は、上記本発明の塗布液組成物を基体上に塗布する塗布工程と、50〜200℃に加熱する乾燥工程と、400〜900℃に加熱する焼成工程とを経るものである。
上記の塗布工程における塗布方法としては、スピンコート法、ディップ法、スプレーコート法、ミストコート法、フローコート法、カーテンコート法、ロールコート法、ナイフコート法、バーコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法、刷毛塗りなどが挙げられる。
塗布された塗布液組成物中の溶剤を乾燥させる乾燥工程の後で、焼成工程よりも低い温度で加熱する仮焼工程を組み入れることもでき、焼成工程の後にアニール工程を組み入れてもよい。また、必要な膜厚を得るためには、上記の塗布工程から任意の工程までを複数繰り返せばよい。例えば、塗布工程から焼成工程の全ての工程を複数回繰り返してもよく、塗布工程と乾燥工程および/または仮焼工程を複数回繰り返してもよい。乾燥工程における温度は、100℃〜200℃が好ましい。焼成工程における温度は、450℃〜700℃が好ましい。仮焼工程における温度は150℃〜600℃が好ましく、200℃〜400℃がより好ましい。アニール工程における温度は450℃〜1,200℃が好ましく、600℃〜1,000℃がより好ましい。
上記の仮焼工程、焼成工程、アニール工程には、膜形成を促進する目的や膜の表面状態や電気特性を改善する目的で種々のガスを導入してもよい。該ガスとしては、酸素、オゾン、水、二酸化炭素、過酸化水素、窒素、ヘリウム、水素、アルゴンなどが挙げられる。また、プラズマや各種放射線などの熱以外のエネルギーを印加または照射してもよい。
次に製造例および実施例をもって本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例などによって何ら制限を受けるものではない。
[製造例1]2−エチルヘキサン酸チタン化合物の製造
乾燥アルゴンガス雰囲気下で、反応フラスコにテトラキス(イソプロポキシ)チタン0.5モルおよび乾燥トルエン250mlを仕込み、これに2−エチルヘキサン酸2モルを加え、4時間還流させた。バス温度135℃でトルエンおよび低沸点物を反応系から留去した後、さらに系内を3〜1torrに減圧し、145℃で濃縮を行い黄色粘性液体を257g得た。得られた黄色液体について、元素分析を行った。チタン含有量は、灰化法により二酸化チタンとして定量し、炭素および水素含有量は、CHN元素分析で定量した結果、Tiは13.1質量%、Cは54.9質量%、Hは8.5質量%であった。
[製造例2]2−エチルヘキサン酸ニオブ化合物の製造
乾燥アルゴンガス雰囲気下で、反応フラスコにペンタキス(エトキシ)ニオブ0.5モルおよび乾燥キシレン200mlを仕込み、これに無水酢酸2.6モル、2−エチルヘキサン酸2.6モルを加え、バス温度145℃で4時間還流させた。バス温度135℃でキシレンおよび低沸点物を反応系から留去した後、さらに系内を3〜1torrに減圧して濃縮を行い黄色粘性液体を304g得た。得られた黄色液体について、元素分析を行った。ニオブ含有量は、63質量%硝酸中、100℃で酸化分解しNb25として定量し、炭素および水素含有量は、CHN元素分析で定量した結果、Nbは15.7質量%、Cは55.1質量%、Hは8.3質量%であった。
[実施例1]
上記の製造例1で得た2−エチルヘキサン酸チタン化合物14.6gと1−ブタノール80gとを混合して溶液を調製した。これに2−エチルヘキサン酸無水物が2−エチルヘキサン酸チタン化合物の10質量%となる量を添加したもの(塗布液組成物A)と、添加しないもの(塗布液組成物B)を、それぞれ20mlのサンプル瓶に15ml入れ、開放状態で湿度60%、25℃で5日間放置し、放置後の組成物の状態を目視で比べた。塗布液組成物Aは、沈殿および濁りは発生しなかったが、塗布液組成物Bは、濁りを生じた。この結果から、2−エチルヘキサン酸無水物は、2−エチルヘキサン酸チタンの1−ブタノール溶液に対して安定剤として機能することが確認できた。
参考
2−エチルヘキサン酸ストロンチウム7.64g、2−エチルヘキサン酸バリウム8.63g、1−ブタノール80gを混合したところ溶解しなかった。これに2−エチルヘキサン酸無水物を1.25g加えたところ、透明な溶液(塗布液組成物C)を得た。この結果から、2−エチルヘキサン酸無水物は、2−エチルヘキサン酸ストロンチウム、2−エチルヘキサン酸バリウムに関しては、可溶化剤として機能することが確認できた。
[実施例3]
上記の実施例1で得た塗布液組成物Aと参考で得た塗布液組成物Cを質量比1:1で混合し、塗布液組成物Dを得た。当該塗布液組成物のチタン:ストロンチウム:バリウムのモル比は2:1:1である。また、上記製造例で得た2−エチルヘキサン酸ニオブ、2−エチルヘキサン酸リチウム、1−ブタノールをニオブ、リチウムのモル比が1:1となり、ニオブ濃度が0.2モル/リットルとなるように混合し、これに2−エチルヘキサン酸無水物を2−エチルヘキサン酸リチウムの10質量%加えて溶液化させて、塗布液組成物Eを得た。塗布液組成物Dと塗布液組成物Eを20mlのサンプル瓶に15ml入れ、開放状態で湿度60%、25℃で5日間放置し、放置後の組成物の状態を目視で比べた結果、濁りおよび沈殿は発生していなかった。この結果から、2−エチルヘキサン酸無水物が有する安定化効果と可溶化効果を確認することができた。
[実施例4、5]
上記で得た塗布液組成物DおよびEをそれぞれ、Si/SiO2/Ti/Ptの積層基板にキャストし、500rpmで5秒、2,000rpmで15秒スピンコート法で塗布した後、120℃10分間の乾燥工程、400℃で15分の仮焼工程、700℃で30分の焼成工程による形成工程を3回行い、基板のPt層上にセラミックス膜を形成した。得られた膜について、目視と光学顕微鏡による表面クラック、断面SEM像による膜厚測定およびX線回折による組成分析を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005080816
上記結果より、本発明の塗布液組成物である塗布液組成物D、Eを使用したスピンコート法により、クラックのない、複合金属酸化物膜を得ることが確認できた。

Claims (6)

  1. 炭素数6〜12の脂肪族有機酸と4族または5族の金属との化合物を含有してなるプレカーサ成分(A)と、
    炭素数6〜12の脂肪族有機酸の酸無水物(B)と、
    有機溶剤(C)とを含有してなることを特徴とする塗布液組成物。
  2. 前記プレカーサ成分(A)が、炭素数6〜12の脂肪族有機酸と4族または5族の金属との化合物と、炭素数6〜12の脂肪族有機酸と1族または2族の金属との化合物とを含む請求項1に記載の塗布液組成物。
  3. 前記酸無水物(B)が、前記プレカーサ成分(A)を与える前記脂肪族有機酸と同一の有機酸の酸無水物である請求項1または2に記載の塗布液組成物。
  4. 前記プレカーサ成分(A)が、2−エチルヘキサン酸の金属化合物の少なくとも1種類を含み、かつ前記酸無水物(B)が、2−エチルヘキサン酸無水物である請求項1〜のいずれか1項に記載の塗布液組成物。
  5. 前記有機溶剤(C)が、炭素数1〜6のアルコール系溶剤またはジオール系溶剤を50質量%以上含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の塗布液組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の塗布液組成物を基体上に塗布する塗布工程と、
    50〜200℃に加熱する乾燥工程と、
    400〜900℃に加熱する焼成工程とを経ることを特徴とする金属酸化物膜の製造方法。
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