JP2008004576A - 誘電体薄膜形成用基板の前処理方法 - Google Patents

誘電体薄膜形成用基板の前処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】MOD法によるペロブスカイト型複合酸化物からなる誘電体薄膜を形成してなる誘電特性に優れた誘電体薄膜被覆基板を得るための、誘電体薄膜形成用基板の前処理方法を提供する。
【解決手段】Pt膜/TiO膜/SiO層/Si基板(A)上に、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素と、チタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素とを含有する複合酸化物からなる誘電体薄膜を形成させる方法において、基板(A)を、成膜されたままの状態で、酸素雰囲気中700〜900℃の温度下に加熱処理し、次いで加熱処理された基板(A)の最上層のPt膜上に、有機酸塩熱分解法に用いられる塗布液を塗布した後、酸素雰囲気中700〜900℃の温度下で焼成して、膜厚が30〜80nmの誘電体薄膜を形成することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、誘電体薄膜形成用基板の前処理方法に関し、さらに詳しくは、有機酸塩熱分解法(以下、MOD法と呼称する場合がある。)によるペロブスカイト型複合酸化物からなる誘電体薄膜を形成してなる誘電特性に優れた誘電体薄膜被覆基板を得るための、誘電体薄膜形成用基板の前処理方法に関する。これを用いて、薄膜コンデンサ及び半導体集積回路装置の容量絶縁膜、DRAMのキャパシタ材料等、電子デバイスにおける様々な用途のキャパシタ材料等に有効な誘電率の高い誘電体薄膜被覆基板が得られる。
近年、コンデンサ素子の小型化、また半導体集積回路の高集積化に伴い、薄膜コンデンサ及び半導体集積回路装置の容量絶縁膜、DRAMのキャパシタ材料等に使用されるキャパシタ絶縁膜としては、誘電率の高い物質が求められている。このような高誘電率を有する物質としては、ペロブスカイト型の結晶構造を持つ複合酸化物が知られている。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、チタン酸バリウムストロンチウム((Ba、Sr)TiO)等、もしくは、前記複合酸化物を主成分とし、さらにBaサイトにマグネシウムを、Tiサイトにスズ、ジルコニウムを置換したペロブスカイト型複合酸化物が注目されている。
また、このような高誘電率を有する物質の薄膜形成法としては、スパッタリング法、ゾルゲル法、MOD法、CVD法等が行なわれている。しかしながら、スパッタリング法及びCVD法には、いずれも装置が複雑であり、また、膜形成速度が遅いという欠点を有する上に膜を形成することできる面積が小さいため、大面積の膜を得ることができないという問題点がある。これに対して、ゾルゲル法又はMOD法では、熱分解によりペロブスカイト型複合酸化物を形成する化合物を含有する液状材料を基板上に塗布し焼成するという比較的単純なプロセスにより、安価な設備で大面積の薄膜が得られるという利点があり、工業的に量産性に優れた有望な方法である。
ところで、誘電体薄膜被覆基板としては、Pt膜/TiO膜/SiO層/Si基板のPt膜上にペロブスカイト型複合酸化物からなる誘電体薄膜を形成した基板が汎用されている。一般に、ゾルゲル法又はMOD法による薄膜形成法においては、シリコン上に表面酸化によるSiO層を形成させたSiO/Si基板上にスパッタリング法でTiO膜、Pt膜を順次積層し、Pt膜/TiO膜/SiO層/Si基板とした後、この基板上に前記ペロブスカイト型複合酸化物からなる誘電体薄膜を形成して、誘電体薄膜被覆基板に加工する。なお、SiO膜は膜厚が30〜50nmの絶縁層、Pt膜は膜厚が100〜300nmの電極層、またTiO膜はPt電極層と絶縁層との接触強度を確保するための膜厚が80〜150nmの接触層である。この際、この誘電体薄膜は、形成後に結晶化させないと誘電特性が得られないため、600〜900℃で焼成を行う。しかしながら、Pt膜上にペロブスカイト型複合酸化物からなる誘電体薄膜を形成して高温焼成すると、誘電体薄膜とPt膜界面で反応が起こり、結果として誘電体薄膜被覆基板の誘電率が低下するという問題があった。
従来、MOD法で得られる誘電体薄膜被覆基板について、例えば、次の(イ)又は(ロ)の方法が提案されている。
(イ)金属原料等を有機溶媒に溶解し、ペロブスカイト型複合酸化物薄膜形成用組成物を得て、MOD法用塗布液とする(例えば、特許文献1、2、3参照。)。
(ロ)電極で被覆された基板をプリベーキングし、得られた電極上に誘電体薄膜を形成して誘電体薄膜被覆基板を製造する(例えば、特許文献4参照。)。
しかしながら、(イ)の提案では、誘電体薄膜被覆基板の焼成での対策が行なわれていないので、ペロブスカイト型複合酸化物からなる誘電体膜/Pt膜/TiO膜/SiO層/Si基板においては結晶化の際に誘電体膜とPt膜界面で反応が起こるという問題があった。また、(ロ)の提案では、例えば窒素雰囲気中700℃以下のプリベーキングにより、誘電特性は改善されるとしているが、特により高温度の焼成を要する誘電体薄膜被覆基板では反応の進行を防止することができず、未だ不十分であった。
以上のように、MOD法によるペロブスカイト型複合酸化物からなる誘電体薄膜を形成したPt膜/TiO膜/SiO層/Si基板においては、高い誘電特性を達成することは難しいとされていた。
特開平1−308801号公報(第1頁) 特開平1−100024号公報(第1頁) 特開平8−337421号公報(第1頁、第2頁) 特開2000−164818号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、MOD法によるペロブスカイト型複合酸化物からなる誘電体薄膜を形成してなる誘電特性に優れた誘電体薄膜被覆基板を得るための、誘電体薄膜形成用基板の前処理方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、MOD法によるペロブスカイト型複合酸化物からなる誘電体薄膜で被覆された誘電体薄膜被覆基板の製造方法について、鋭意研究を重ねた結果、まずPt膜/TiO膜/SiO層/Si基板を特定の条件で加熱処理した後に、該基板のPt膜上に特定の条件で所定の膜厚を有する複合酸化物からなる誘電体薄膜を形成することにより誘電体薄膜形成用基板を前処理したところ、それに引き続いて形成される誘電体薄膜の結晶化のために行なう高温焼成時において誘電体薄膜とPt膜界面での反応が抑制されて誘電特性に優れた誘電体薄膜被覆基板が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、Pt膜/TiO膜/SiO層/Si基板(A)上に、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素と、チタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素とを含有する複合酸化物からなる誘電体薄膜を形成させる方法において、
(イ)基板(A)を、成膜されたままの状態で、酸素雰囲気中700〜900℃の温度下に加熱処理し、次いで
(ロ)加熱処理された基板(A)の最上層のPt膜上に、有機酸塩熱分解法に用いられる塗布液を塗布した後、酸素雰囲気中700〜900℃の温度下で焼成して、膜厚が30〜80nmの誘電体薄膜を形成する、
ことを特徴とする誘電体薄膜形成用基板の前処理方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記成膜されたままの状態の基板(A)は、TiO膜が酸素欠損型であることを特徴とする誘電体薄膜形成用基板の前処理方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記(イ)において、加熱処理時間は20分〜2時間であることを特徴とする誘電体薄膜形成用基板の前処理方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、前記(ロ)において、焼成時間は20分〜2時間であることを特徴とする誘電体薄膜形成用基板の前処理方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、前記(ロ)において、有機酸塩熱分解法に用いられる塗布液は、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を含有する有機酸塩と、チタン、スズ、又はジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の元素を含有するアルコキシドとを含む混合有機溶剤であることを特徴とする誘電体薄膜形成用基板の前処理方法が提供される。
本発明の誘電体薄膜形成用基板の前処理方法は、一旦Pt膜/TiO膜/SiO層/Si基板を加熱処理し、そのPt膜上にペロブスカイト型複合酸化物からなる誘電体薄膜を形成させた後に、ペロブスカイト型複合酸化物からなる誘電体薄膜を形成する方法により、得られた誘電体薄膜形成用基板を用いて、誘電体薄膜の結晶化のために行なう高温焼成時において誘電体薄膜とPt膜界面での反応を防止して誘電特性に優れた誘電体薄膜被覆基板が得られるので、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の誘電体薄膜形成用基板の前処理方法を詳細に説明する。
本発明の誘電体薄膜形成用基板の前処理方法は、Pt膜/TiO膜/SiO層/Si基板(A)上に、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素と、チタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素とを含有する複合酸化物からなる誘電体薄膜を形成させる方法において、
(イ)基板(A)を、成膜されたままの状態で、酸素雰囲気中700〜900℃の温度下に加熱処理し、次いで
(ロ)加熱処理された基板(A)の最上層のPt膜上に、MOD法に用いられる塗布液を塗布した後、酸素雰囲気中700〜900℃の温度下で焼成して、膜厚が30〜80nmの誘電体薄膜を形成する、ことを特徴とする。
本発明の方法において、Pt膜/TiO膜/SiO層/Si基板を所定条件で加熱処理すること、及び得られた基板上に所定条件で複合酸化物からなる誘電体薄膜を反応抑制層として形成することが重要である。これによって、誘電体薄膜の結晶化のために行なう高温焼成時において誘電体薄膜とPt膜界面での反応を防止することができるので、誘電体膜が本来持つ誘電率を最大限に得ることができる。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)膜であれば、誘電率1000以上を得ることができる。
これに対して、従来方法で得られた誘電体薄膜で被覆されたPt膜/TiO膜/SiO層/Si基板からなる誘電体薄膜被覆基板では、誘電体薄膜の結晶化のために行なう高温焼成時において、次に示す現象により誘電体薄膜とPt膜界面での反応が進行すると見られる。すなわち、前記基板のTiO膜は、その上にスパッタリング法でPt膜を成膜する際に導電性を得るため、酸素欠損状態であり、完全に酸化されていないため、高温焼成時にTi成分が酸素と反応するため誘電体膜側に拡散してくる。そして、Pt膜を通り抜けて表面上に拡散してきたTi成分の一部が誘電体薄膜と反応する。しかも、反応は誘電体薄膜の内部にまで進行するため、有効な誘電体層が減少してしまう。この対策として、例えば、Pt膜を成膜する際にTiO膜を完全に酸化させておくと、Pt膜とTiO膜間で剥離が生じる。
上記(イ)の工程は、上記基板(A)を、成膜されたままの状態で、酸素雰囲気中700〜900℃の温度下に加熱処理する工程である。これによって、事前にTiO膜中のTi成分を完全に酸化しておくことにより、高温焼成時にPt膜内にさらに拡散するTi成分を抑制することができる。なお、このときPt膜とTiO膜間で剥離は生じない。
上記(イ)の工程に用いるPt膜/TiO膜/SiO層/Si基板としては、特に限定されるものではなく、SiO層/Si基板上に、TiO膜及びPt膜が成膜されたままの状態であり、Pt膜の膜厚が100〜300nm、TiO膜の膜厚が80〜150nmであるものが用いられるが、その作成方法としては、例えば、市販のSiO/Si基板上にスパッタリング法でTiを100nmの膜厚で成膜した後、一旦取り出して、大気中600〜700℃で1〜2時間加熱して酸化処理し、得られた基板のTiO膜上にPt膜をスパッタリング法で200nmの膜厚で成膜する。
上記(イ)の工程で加熱処理する際の温度としては、700〜900℃であり、この温度で2時間以内で加熱処理することが好ましく、20分〜2時間加熱処理することがより好ましい。すなわち、温度が700℃未満では、Ti成分の拡散の抑制が不十分である。一方、900℃を超えると、Pt膜自体の結晶化が促進されて、表面の凹凸が激しくなり、膜の平坦性が問題となる。また、加熱時間が2時間を超えると、Pt膜自体の結晶化が促進される。
上記(イ)の工程で加熱処理する際の設備としては、特に限定されるものではなく、マッフル炉や管状炉等の加熱設備が使用される。
上記(イ)の工程加熱処理する際の酸素雰囲気としては、特に限定されるものではなく、例えば、1〜3L/minの酸素ガス気流中が好ましい。
上記(ロ)の工程は、上記加熱処理された基板(A)の最上層のPt膜上に、MOD法に用いられる塗布液を塗布した後、酸素雰囲気中700〜900℃の温度下で焼成して、膜厚が30〜80nmの誘電体薄膜を形成する工程である。すなわち、前記加熱処理後の基板のPt膜上をMOD法用塗布液で被覆し、乾燥後酸素雰囲気中700〜900℃で焼成することにより、30〜80nmの膜厚を有し、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素と、チタン、スズ、及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する複合酸化物からなる誘電体薄膜を形成する。これにより、反応抑制層が形成され、その上に誘電体薄膜を形成すれば誘電率の高い誘電体薄膜被覆基板を得ることができる。すなわち、上記加熱処理後の基板のPt膜表面には一部拡散されたTi成分によるTiOが生成するために、このままでは誘電体薄膜の高温焼成時に反応が起こる。これを回避するために、前記反応抑制層として誘電体薄膜を形成し、反応の進行が誘電体薄膜内部で完了するようにする。
上記誘電体薄膜を構成する複合酸化物としては、特に限定されるものではなく、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、チタン酸バリウムストロンチウム((Ba、Sr)TiO)等、もしくは、前記複合酸化物を主成分とし、さらにBaサイトにマグネシウムを、Tiサイトにスズ、ジルコニウムを置換したペロブスカイト型複合酸化物が用いられる。
上記(ロ)の工程で用いるMOD法用塗布液としては、特に限定されるものではなく、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素と、チタン、スズ、及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する複合酸化物からなる誘電体薄膜を形成することができる塗布液が用いられる。例えば、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を含有する有機酸塩と、チタン、スズ、又はジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の元素を含有するアルコキシドとを含む混合有機溶剤からなる塗布液、又は、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素と、チタン、スズ、又はジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の元素を含有する複合有機酸塩を含む混合有機溶剤からなる塗布液が用いられる。
また、上記MOD法用塗布液は、後続の誘電体薄膜被覆基板の誘電体薄膜の形成において使用する塗布液と同様の構成成分のものを用いる必要はなく、所望の組成のものが選択される。
上記複合有機酸塩を含む混合有機溶剤からなる塗布液の製造方法としては、特に限定されるものではなく、種々の方法が用いられるが、例えば、下記の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とするMOD法用塗布液の製造方法が好ましい。
(1)バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素の金属、アルコキシド又はカルボン酸塩を、エーテル及び/又はアルコールと、カルボン酸、又はカルボン酸及びエステルとからなる混合溶剤中に添加後、窒素又は不活性ガス雰囲気下に80〜110℃の温度で加熱して溶解し、金属元素濃度が0.2〜0.8mol/Lの有機酸塩溶液(A)を調製する。
(2)チタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素のアルコキシド又はカルボン酸塩を、エステル中に添加後、窒素又は不活性ガス雰囲気下に20〜60℃の温度で加熱して溶解し、金属元素濃度が0.2〜0.8mol/Lのアルコキシド液(B)を調製する。
(3)有機酸塩溶液(A)とアルコキシド液(B)とを、前者に含まれる金属元素の合計量と後者に含まれる金属元素の合計量とがモル比で等しくなるような配合割合で混合した後、窒素又は不活性ガス雰囲気下に80〜130℃の温度で加熱処理して複合有機酸塩を合成し、複合有機酸塩液(C)を得る。
(4)前記複合有機酸塩液(C)を、窒素又は不活性ガス雰囲気下80〜125℃の温度で加熱し、その金属元素濃度が1.0〜1.6mol/Lになるように濃縮させた後、希釈剤としてエステルとアルコールを添加して、金属元素濃度を0.2〜0.4mol/Lに調整する。
なお、アルコキシドは、一般式:M(OR )(ただし、式中Rは直鎖状又は分岐状アルキル基を、式中Mは金属元素を表す。また、式中nは2又は4である。)で表され、例えば、チタンアルコキシドの化学式はTi(OR )である。
上記(1)の工程では、原料形態、並びに有機溶剤とその配合比を選ぶことにより、有機酸塩溶液(A)の有機酸塩の溶解性と保存性、さらに塗布液の塗膜性、及び膜欠陥の原因となる揮発又は分解性等を満足させる効果が得られる。
例えば、エステル及びエーテルは加えることで、液の安定性が向上する。特に、エステルは液に加えることで塗膜性を向上させる効果がある。
ここで、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウム等のアルカリ土類金属元素の原料として金属を用いて、2−プロパノール又はメチルセロソルブで溶解する場合、溶解度が高く、かつ水混和性の低いカルボン酸又はエステルを適量混合しておけば、その一部は有機酸塩のアルキル基と置換反応し安定した溶液が調製される。
また、カルボン酸塩としては、特に限定されるものではないが、酢酸バリウム、酢酸カルシウム、エチルヘキサン酸カルシウム等の低級カルボン酸塩が好ましい。これらを原料とする場合、その多くは低級アルコールに溶解しにくいため、カルボン酸、又はエステルとカルボン酸で溶解した後、アルコールで希釈して用いる。
また、アルコキシドとしては、特に限定されるものではなく、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、ブトキシド等が挙げられるが、特に、適当な反応速度であることから、イソプロポキシド又はブトキシドを用いるのが好ましい。これらを原料とする場合、高級アルコール、カルボン酸、エステル、またはこれらの混合溶媒で溶解して用いる。
上記(1)の工程において、混合溶剤中のエーテル及びアルコールと、カルボン酸及びエステルとの配合割合としては、特に限定されるものではなく、容積比で2:3〜3:2であることが好ましい。すなわち、液組成がこの範囲外になると溶解が不完全となり、未反応物が観察される。これにより沈殿物が生成して液が不安定となる。これにより、液安定性は高まるので、即座にアルコキシド液(B)と混合してペロブスカイと型誘電物質を合成しなくとも、密閉容器に入れておけば3ヶ月間はまったく変化がないものが得られる。ただし、カルボン酸を加えず、例えばアルコールとエステルとの混合溶剤であると、金属アルコキシドの溶解度が低く、かつ液の保存性が劣る。
上記(1)の工程において用いるエーテルとしては、沸点が200℃以下であるメチルセロソルブ又はエチルセロソルブが好ましく、メチルセロソルブがより好ましい。
上記(1)の工程において用いるアルコールとしては、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール及びメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、2−プロパノール及び1−ブタノールがより好ましい。すなわち、使用するアルコールの沸点としては、80〜160℃が好ましく、80〜130℃がより好ましい。すなわち、沸点が160℃以下のものを混合することで、形成された膜の熱処理時の揮発又は分解性を向上させ、収縮及びクラックの少ない膜が得られる。しかしながら、沸点が80℃未満のアルコール溶剤を用いた場合、金属アルコキシド液を混合し加熱して複合有機酸塩液を合成する際に液濃度が変動して、合成が不安定になる。
上記(1)の工程において用いるカルボン酸としては、沸点が200℃以下であり、取り扱い性、溶解性及び安定性に優れる2−エチルヘキサン酸、3−エチルヘキサン酸、及び3−メチルペンタン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のエチルヘキサン酸類が好ましく、2−エチルヘキサン酸がより好ましい。
上記(1)の工程において用いるエステルとしては、沸点が200℃以下である酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、及び酢酸イソペンチルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、酢酸n−ブチル又は酢酸イソペンチルがより好ましい。
上記(2)の工程において用いるアルコキシドとしては、特に限定されるものではなく、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、ブトキシド等が挙げられるが、特に、適当な反応速度であることから、イソプロポキシド又はブトキシドを用いるのが好ましい。
また、上記(2)の工程において用いるカルボン酸塩としては、特に限定されるものではなく、酢酸塩又はエチルヘキサン酸塩を用いることができる。
上記(2)の工程において用いる有機溶剤としては、エステル、特に酢酸エステルを用いる。すなわち、アルコールを加えた混合溶液であると、徐々に白濁し沈殿する場合がある。
上記エステルとしては、沸点が200℃以下である酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、及び酢酸イソペンチルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、酢酸n−ブチル又は酢酸イソペンチルがより好ましい。
上記(3)の工程によって、有機酸塩溶液(A)とアルコキシド液(B)に含まれる金属アルコキシドが反応して、熱分解によりペロブスカイト型複合酸化物を形成する複合有機酸塩液(C)が合成される。
上記(4)の工程によって、一旦、加熱しながら不活性ガスを導入することにより、有機溶媒を揮発させ、高濃度液を調製する。次に、高濃度液に希釈剤としてエステルとアルコールを室温で添加し混合して、金属元素濃度を0.2〜0.4mol/Lに調整する。これにより、塗膜性と保存性等を満足させ、クラックの発生がなく、膜の収縮が小さく、かつ誘電特性に優れた誘電体薄膜を形成することができる塗布液が得られる。
ここで、希釈剤としては、合成した液の構造が壊れにくいアルコールを主成分として添加を行なう。ただし、高濃度化によりエステルが減少しているので、このままでは塗膜性が劣る。そのため、エステルを加えておくことが必要である。上記エステルとしては、特に限定されるものではなく、酢酸n−ブチル又は酢酸イソブチルが好ましく、かつ前記アルコールとしては、2−プロパノール及び/又は1−ブタノールが好ましい。その配合比としては、アルコール:エステル=4:1〜2:1が好ましい
上記(ロ)の工程で誘電体薄膜の形成方法としては、上記MOD法用塗布液を焼成後に30〜80nmの膜厚が得られるように滴下した後、スピンコート、ディップコート等により塗膜する。その後、乾燥し焼成する。誘電体薄膜の膜厚が30nm未満では、TiOとの反応の抑制効果が低く、一方、80nmを超えると、それ以上の抑制効果は見られず、また全体の誘電特性に影響を与え、誘電率を引き下げてしまう。
上記(ロ)の工程焼成する際の温度としては、700〜900℃であり、この温度で20分〜2時間加熱処理することが好ましい。すなわち、温度が700℃未満では、TiOとの反応の抑制効果が不十分である。一方、900℃を超えると、Pt膜自体の結晶化が促進されて問題となる。
上記(ロ)の工程焼成する際の設備としては、特に限定されるものではなく、マッフル炉や管状炉等の焼成設備が使用される。
上記(ロ)の工程焼成する際の酸素雰囲気としては、特に限定されるものではなく、例えば、1〜3L/minの酸素ガス気流中が好ましい。
以上の工程からなる前処理方法により得られる誘電体薄膜形成用基板を用いて、誘電体薄膜の結晶化のために行なう高温焼成時において誘電体薄膜とPt膜界面での反応を防止して誘電特性に優れた誘電体薄膜被覆基板が得られる。例えば、その製造方法としては、上記誘電体薄膜形成用基板上をMOD法用塗布液で被覆し、乾燥後焼成することにより、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素と、チタン、スズ、及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する複合酸化物からなる誘電体薄膜を形成する。
上記誘電体薄膜を構成する複合酸化物としては、特に限定されるものではなく、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、チタン酸バリウムストロンチウム((Ba、Sr)TiO)等、もしくは、前記複合酸化物を主成分とし、さらにBaサイトにマグネシウムを、Tiサイトにスズ、ジルコニウムを置換したペロブスカイト型複合酸化物が用いられる。
上記製造方法で用いる誘電体薄膜の形成方法としては、例えば、まず、MOD法用塗布液を滴下した後、スピンコート、ディップコート等により塗布し乾燥する。次に、酸素ガス気流中400〜600℃の温度で10分〜1時間程度の仮焼成する。ここで、所望の誘電特性を得るために、所望の膜厚にするため、塗布、乾燥、仮焼成を数回繰り返した後、酸素雰囲気中で700〜900℃の温度で20分〜2時間本焼成して、誘電体薄膜を形成する。
上記製造方法で焼成する際の設備としては、特に限定されるものではなく、マッフル炉や管状炉等の焼成設備が使用される。
上記工程で焼成する際の酸素雰囲気としては、特に限定されるものではなく、例えば、1〜3L/minの酸素ガス気流中が好ましい。
上記製造方法で用いるMOD法用塗布液としては、特に限定されるものではなく、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素と、チタン、スズ、及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する複合酸化物からなる誘電体薄膜を形成することができる塗布液が用いられる。例えば、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を含む有機酸塩と、チタン、スズ、及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有するアルコキシドとを含む混合有機溶剤からなる塗布液が用いられるが、高誘電特性が得られる複合有機酸塩を含む混合有機溶剤からなる塗布液が好ましい。
また、上記MOD法用塗布液は、(ロ)の工程で誘電体薄膜の形成において使用する塗布液と同様の構成成分のものを用いる必要はなく、所望の誘電体薄膜の組成によって選択される。なお、前記複合有機酸塩を含む混合有機溶剤からなる塗布液の製造方法としては、前述したMOD法用塗布液の製造方法が同様に用いられる。
上記製造方法によって、Pt膜/TiO膜/SiO層/Si基板のPt膜上に、反応抑制層として、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素と、チタン、スズ、及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する複合酸化物からなる誘電体薄膜を有し、その上にバリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素と、チタン、スズ、及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する複合酸化物からなる誘電体薄膜が形成された、誘電特性に優れた誘電体薄膜被覆基板が得られる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析及び薄膜の評価方法は、以下の通りである。
(1)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
(2)薄膜の評価方法:薄膜に直径0.3mmの白金上部電極を蒸着し、25℃に保った雰囲気下でAC電圧1.0V、周波数1MHz時の比誘電率及び誘電損失を測定した。
また、実施例及び比較例で用いた塗布液は以下の調製方法にしたがった。
[塗布液(a)の調製方法]
金属バリウムを容量比でメチルセロソルブ:2−エチルヘキサン酸:酢酸n−ブチル=2:1:1で配合した混合溶剤80mL中に添加し、窒素気流中80℃で2時間攪拌混合して、Ba濃度0.8mol/Lのバリウム有機酸塩溶液(A)を調製した。また、チタンイソプロポキシドを酢酸n−ブチル20mL中に添加し、大気中室温で10分攪拌混合し、Ti濃度0.8mol/Lのチタンアルコキシド液(B)を調製した。
次に、モル比でバリウム:チタン=1:1となるようにバリウム有機酸塩溶液(A1)中にチタンアルコキシド液(B1)を滴下し、窒素気流中110℃で2時間攪拌混合して、合計濃度0.8mol/Lの複合有機酸塩液(C)を得た。
次いで、複合有機酸塩液(C)を窒素気流中で125℃で1時間加熱して有機溶媒の一部を揮発させ濃縮させ、金属元素濃度1.2mol/Lの高濃度液を得た。最後に、高濃度液に2−プロパノールと酢酸n−ブチルを容量比で2:1として得た希釈剤を添加し、金属元素濃度を0.4mol/Lに調整して塗布液を得た。
[塗布液(b)の調製方法]
複合有機酸塩液の濃縮を行なわないこと以外は、[塗布液(a)の調製方法]と同様に行ない、金属元素濃度0.4mol/Lの塗布液を得た。
(実施例1)
市販のSiO/Si基板上にスパッタリング法でTiを100nmの膜厚で成膜した後、一旦取り出して、大気中700℃で2時間加熱して酸化処理し、得られた基板のTiO膜上にPt膜をスパッタリング法で200nmの膜厚で成膜して得たPt膜/TiO膜/SiO層/Si基板を用い、まず、2L/minの酸素ガス気流中で800℃で1時間加熱処理した。次に、Pt膜上に塗布液(a)をスピンコート法により薄く塗布させ、乾燥後、2L/minの酸素ガス気流中で800℃で1時間焼成し誘電体薄膜を形成し誘電体薄膜形成用基板を得た。ここで、得られた誘電体薄膜の膜厚は60nmであった。
続いて上記誘電体薄膜形成用基板の誘電体薄膜上にスピンコート法により塗布液(a)を塗布し、200℃で乾燥し、600℃で10分間の仮焼成を行なった。塗布、乾燥及び仮焼成を7回繰り返した後、800℃で酸素ガス気流中で1時間本焼成して、BaTiO薄膜を形成した誘電体薄膜被覆基板を得た。
得られた誘電体薄膜被覆基板の膜表面をAFM観察すると空隙の発生は無く、かつ膜の収縮も大きくなかった。この薄膜の比誘電率及び誘電損失測定した。結果を表1、表2に示す。
(実施例2)
Pt膜/TiO膜/SiO層/Si基板の加熱処理の温度が700℃であったこと、及び誘電体薄膜の焼成温度が700℃であったこと以外は、実施例1と同様に行ない、誘電体薄膜形成用基板を得て、その後、BaTiO薄膜を形成した誘電体薄膜被覆基板を得た。なお、誘電体薄膜の膜厚は80nmであった。得られた誘電体薄膜被覆基板の膜表面をAFM観察すると空隙の発生は無く、かつ膜の収縮も大きくなかった。この薄膜の比誘電率及び誘電損失測定した。結果を表1、表2に示す。
(比較例1)
市販のSiO/Si基板上にスパッタリング法でTiを100nmの膜厚で成膜した後、一旦取り出して、大気中700℃で20分間加熱して酸化処理し、得られた基板のTiO膜上にPt膜をスパッタリング法で200nmの膜厚で成膜して得たPt膜/TiO膜/SiO層/Si基板を用い、Pt膜上にスピンコート法により塗布液(b)を塗布し、200℃で乾燥し、600℃で10分間の仮焼成を行なった。塗布、乾燥及び仮焼成を7回繰り返した後、800℃で酸素ガス気流中で1時間本焼成して、BaTiO薄膜を形成した誘電体薄膜被覆基板を得た。
得られた誘電体薄膜被覆基板の薄膜の比誘電率及び誘電損失測定した。結果を表1、表2に示す。
(比較例2)
Pt膜/TiO膜/SiO層/Si基板の加熱処理の温度が500℃であったこと、及び誘電体薄膜の焼成温度が500℃であったこと以外は実施例1と同様に行ない、誘電体薄膜形成用基板を得て、その後、BaTiO薄膜を形成した誘電体薄膜被覆基板を得た。なお、誘電体薄膜の膜厚は60nmであった。得られた誘電体薄膜被覆基板の薄膜の比誘電率及び誘電損失測定した。結果を表1、表2に示す。
Figure 2008004576
Figure 2008004576
表1、表2より、実施例1又は2では、Pt膜/TiO膜/SiO層/Si基板を700〜800℃で加熱処理し、得られた基板のPt膜上に700〜800℃で焼成したペロブスカイト型複合酸化物からなる誘電体薄膜を形成することにより誘電体薄膜形成用基板を前処理することにより、本発明の方法に従って行われたので、誘電特性に優れた誘電体薄膜被覆基板が得られることが分かる。これに対して、比較例1又は2では、Pt膜/TiO膜/SiO層/Si基板の加熱処理及び誘電体薄膜の形成が行なわれないか、又は加熱処理及び誘電体薄膜形成時の焼成温度がこれらの前処理条件に合わないので、誘電特性において満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明の誘電体薄膜形成用基板の前処理方法は、得られた誘電体薄膜形成用基板を用いて誘電特性に優れた誘電体薄膜被覆基板を得ることができるので、薄膜コンデンサ及び半導体集積回路装置の容量絶縁膜、DRAMのキャパシタ材料等に使用される誘電体薄膜被覆基板の製造に用いると誘電体薄膜形成用基板の前処理方法として好適である。

Claims (5)

  1. Pt膜/TiO膜/SiO層/Si基板(A)上に、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素と、チタン、スズ及びジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素とを含有する複合酸化物からなる誘電体薄膜を形成させる方法において、
    (イ)基板(A)を、成膜されたままの状態で、酸素雰囲気中700〜900℃の温度下に加熱処理し、次いで
    (ロ)加熱処理された基板(A)の最上層のPt膜上に、有機酸塩熱分解法に用いられる塗布液を塗布した後、酸素雰囲気中700〜900℃の温度下で焼成して、膜厚が30〜80nmの誘電体薄膜を形成する、
    ことを特徴とする誘電体薄膜形成用基板の前処理方法。
  2. 前記成膜されたままの状態の基板(A)は、TiO膜が酸素欠損型であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体薄膜形成用基板の前処理方法。
  3. 前記(イ)において、加熱処理時間は20分〜2時間であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体薄膜形成用基板の前処理方法。
  4. 前記(ロ)において、焼成時間は20分〜2時間であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体薄膜形成用基板の前処理方法。
  5. 前記(ロ)において、有機酸塩熱分解法に用いられる塗布液は、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を含有する有機酸塩と、チタン、スズ、又はジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の元素を含有するアルコキシドとを含む混合有機溶剤であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体薄膜形成用基板の前処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101860856B1 (ko) * 2017-07-14 2018-07-06 (주)상아프론테크 연료전지 전해질막용 고연신 다공성 지지체 및 이의 제조방법

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