JP2000043692A - 車両の制動制御装置 - Google Patents

車両の制動制御装置

Info

Publication number
JP2000043692A
JP2000043692A JP10211416A JP21141698A JP2000043692A JP 2000043692 A JP2000043692 A JP 2000043692A JP 10211416 A JP10211416 A JP 10211416A JP 21141698 A JP21141698 A JP 21141698A JP 2000043692 A JP2000043692 A JP 2000043692A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
negative pressure
pressure
booster
brake
passage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10211416A
Other languages
English (en)
Inventor
Shirou Kadosaki
司朗 門崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP10211416A priority Critical patent/JP2000043692A/ja
Publication of JP2000043692A publication Critical patent/JP2000043692A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Regulating Braking Force (AREA)
  • Braking Systems And Boosters (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、バキュームブースタを備えると共
にブレーキアシスト(BA)制御機能を有する車両の制
動制御装置において、バキュームブースタの負圧が低下
した場合にもBA制御を所要のタイミングで確実に開始
することを目的とする。 【解決手段】 制動制御装置10はバキュームブースタ
50を備える。バキュームブースタ50は、ブースタ負
圧PBを用いてブレーキ操作を助勢する。制動制御装置
10は、マスタシリンダ圧PM/C の変化速度ΔPM/C
閾値CBAを越えた場合(ステップ410)にBA制御を
開始する(ステップ412)。その際、ブースタ負圧P
Bが小さいほど、閾値CBAを小さな値に設定する(ステ
ップ408)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の制動制御装
置に関し、特に、バキュームブースタを備えると共に、
緊急ブレーキ操作が行われた場合に通常時に比して大き
な制動力を発生するブレーキアシスト制御機能を有する
車両の制動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開平9−16493
0号に開示される車両の制動制御装置が公知である。こ
の制動制御装置は、ブレーキ操作量の増加速度が所定の
閾値を越えた場合に、制動油圧の増圧勾配を増加させ
る。従って、上記従来の制動制御装置によれば、緊急ブ
レーキ操作が行われた場合に、通常のブレーキ操作時に
比して大きな制動力を発生することができる。以下、緊
急ブレーキ操作時に行われる上記制御を、BA制御と称
す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両のブレ
ーキ装置として、バキュームブースタを備えるバキュー
ムブースタ式ブレーキシステムが広く用いられている。
バキュームブースタは、例えばエンジンの吸気管から供
給された負圧を動力源としてブレーキペダルの踏み込み
を助勢する。この負圧が何らかの原因で不足すると、バ
キュームブースタによる十分な助勢力が得られなくなる
ことで、緊急ブレーキ操作が行われた際のブレーキ操作
量の立ち上がりは緩やかになる。一方、上述の如く、上
記従来の制動制御装置は、ブレーキ操作量の増加速度が
閾値を越えた場合にBA制御を開始する。従って、上記
従来の制動制御装置がバキュームブースタ式ブレーキシ
ステムに適用された場合、バキュームブースタの負圧が
不足した状況下では、緊急ブレーキ操作が行われた際、
BA制御の開始が遅れ、あるいは、BA制御が開始され
ないという事態を招くことがある。
【0004】本発明は上述の点に鑑みてなされたもので
あり、バキュームブースタの負圧が低下した場合にも、
BA制御を所要のタイミングで確実に開始することが可
能な車両の制動制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、負圧を動力源としてブレーキ操作を助
勢するバキュームブースタを備えると共に、ブレーキ操
作量の変化率が所定の閾値を越えた場合に、越えない場
合に比して大きな制動力を発生するブレーキアシスト制
御を実行する車両の制動制御装置であって、前記バキュ
ームブースタの負圧を検出するブースタ負圧検出手段
と、前記バキュームブースタの負圧に応じて前記所定の
閾値を変更する閾値変更手段とを備える車両の制動制御
装置により達成される。
【0006】本発明において、制動制御装置はバキュー
ムブースタを備えると共に、ブレーキ操作量の変化率が
所定の閾値を越えた場合にブレーキアシスト(BA)制
御を実行する。バキュームブースタは負圧を動力源とし
てブレーキ操作を助勢する。従って、バキュームブース
タの負圧(以下、ブースタ負圧と称す)が不足すると、
バキュームブースタによる助勢が十分に行われなくなる
ことで、ブレーキ操作量の変化率が減少する。本発明に
よれば、閾値変更手段は、BA制御の開始条件を判別す
るための上記閾値をブースタ負圧に応じて変更する。こ
のため、ブースタ負圧が不足することによりブレーキ操
作量の変化率が減少しても、それに応じて上記閾値が変
更されることで、BA制御は遅れを伴うことなく開始さ
れる。
【0007】また、上記の目的は、請求項2に記載する
如く、請求項1記載の車両の制動制御装置において、前
記閾値変更手段は、前記バキュームブースタの負圧が小
さい場合、前記バキュームブースタの負圧が大きい場合
に比して小さな値に前記所定の閾値を変更することを特
徴とする車両の制動制御装置により達成される。
【0008】本発明において、閾値変更手段は、BA制
御の開始条件を判別するための上記閾値を、ブースタ負
圧が小さいほど小さな値に変更する。このため、ブース
タ負圧が不足することに起因してブレーキ操作量の変化
率が減少しても、それに応じて上記閾値が小さな値に変
更されることで、BA制御は遅れを伴うことなく開始さ
れる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例である
システムの全体構成図を示す。本実施例のシステムは、
制動制御装置10及びエンジン11を備えている。エン
ジン11はエンジンECU12により制御される。エン
ジン11は、シリンダブロック13を備えている。シリ
ンダブロック13の内部には、シリンダ14が形成され
ている。エンジン11は、複数のシリンダを備えてい
る。図1は、複数のシリンダのうち一のシリンダ14を
表す。
【0010】シリンダ14の内部にはピストン16が配
設されている。ピストン16は、シリンダ14の内部
を、図1における上下方向に摺動することができる。シ
リンダ14の内部のピストン16より上方には燃焼室1
8が画成されている。燃焼室18には燃料噴射弁20の
噴射口が露出している。燃料噴射弁20はエンジンEC
U12に接続されている。燃料噴射弁20はエンジンE
CU12から供給される制御信号に応じて燃焼室18内
へ燃料を噴射する。すなわち、本実施例のエンジン11
は直噴式エンジンとして構成されている。
【0011】燃焼室18には、排気弁22を介して排気
管24が連通している。燃焼室18には、また、吸気弁
26を介して吸気マニホールド28の各枝管が連通して
いる。吸気マニホールド28はその上流側においてサー
ジタンク30に連通している。サージタンク30の更に
上流側には吸気管32が連通している。吸気管32には
スロットル弁34が配設されている。スロットル弁34
はスロットルモータ36に連結されている。スロットル
モータ36はエンジンECU12に接続されている。ス
ロットルモータ36はエンジンECU12から供給され
る制御信号に応じてスロットル弁34の開度を変化させ
る。スロットル弁34の近傍には、スロットル開度セン
サ38が配設されている。スロットル開度センサ38は
スロットル弁34の開度(以下、スロットル開度SCと
称す)に応じた電気信号をエンジンECU12に向けて
出力する。エンジンECU12はスロットル開度センサ
38の出力信号に基づいてスロットル開度SCを検出す
る。
【0012】吸気管32のスロットル弁34より下流側
の部位(以下、下流側吸気通路32aと称す)には、負
圧供給通路42の一端が接続されている。負圧供給通路
42の他端は、制動制御装置10が備えるバキュームブ
ースタ50に接続されている。負圧供給通路42にはチ
ェックバルブ46が配設されている。チェックバルブ4
6はバキュームブースタ50側から吸気管32側への空
気の流れのみを許容する一方向弁である。下流側吸気通
路32aに発生する負圧(以下、吸気管負圧PMと称
す)は負圧供給通路42を経由してバキュームブースタ
50に供給される。
【0013】アクセルペダル52の近傍には、アクセル
開度センサ54が配設されている。アクセル開度センサ
54は、アクセルペダル52の踏み込み量(以下、アク
セル開度ACと称す)に応じた電気信号をエンジンEC
U12に向けて出力する。エンジンECU12はアクセ
ル開度センサ54の出力信号に基づいてアクセル開度A
Cを検出する。
【0014】次に、制動制御装置10について説明す
る。図2は、制動制御装置10のシステム構成図を示
す。制動制御装置10は、ブレーキECU100により
制御される。図2に示す如く、制動制御装置10は、ブ
レーキペダル112を備えている。ブレーキペダル11
2は、バキュームブースタ50に連結されている。バキ
ュームブースタ50の構成については後述する。バキュ
ームブースタ50は、マスタシリンダ118に固定され
ている。バキュームブースタ50は、ブレーキペダル1
12が踏み込まれた場合に、ブレーキ踏力Fp に対して
所定の倍力比を有する助勢力Faを発生する。マスタシ
リンダ118は、その内部に第1油圧室120及び第2
油圧室122を備えている。第1油圧室120及び第2
油圧室122には、ブレーキ踏力Fp と助勢力Fa との
合力に応じたマスタシリンダ圧PM/Cが発生する。
【0015】リザーバタンク124には、フロントリザ
ーバ通路126、及び、リアリザーバ通路128が連通
している。フロントリザーバ通路126には、フロント
リザーバカットソレノイド130(以下、SRCF13
0と称す)が連通している。同様に、リアリザーバ通路
128には、リアリザーバカットソレノイド132(以
下、SRCR132と称す)が連通している。
【0016】SRCF130には、更に、フロントポン
プ通路134が連通している。同様に、SRCR132
には、リアポンプ通路136が連通している。SRCF
130は、オフ状態とされることでフロントリザーバ通
路126とフロントポンプ通路134とを遮断し、か
つ、オン状態とされることでそれらを導通させる2位置
の電磁弁である。また、SRCR132は、オフ状態と
されることでリアリザーバ通路128とリアポンプ通路
136とを遮断し、かつ、オン状態とされることでそれ
らを導通させる2位置の電磁弁である。
【0017】マスタシリンダ118の第1油圧室12
0、及び、第2油圧室122には、それぞれ第1液圧通
路138、及び、第2液圧通路140が連通している。
第1液圧通路138には、右前マスタカットソレノイド
142(以下、SMFR142と称す)、及び、左前マ
スタカットソレノイド144(以下、SMFL144と
称す)が連通している。一方、第2液圧通路140に
は、リアマスタカットソレノイド146(以下、SMR
146と称す)が連通している。
【0018】SMFR142には、右前輪FRに対応し
て設けられた液圧通路148が連通している。同様に、
SMFL144には、左前輪FLに対応して設けられた
液圧通路150が連通している。更に、SMR146に
は、左右後輪RL,RRに対応して設けられた液圧通路
152が連通している。SMFR142,SMFL14
4,及びSMR146の内部には、それぞれリリーフ弁
154,156,158が設けられている。SMFR1
42は、オフ状態とされた場合に第1液圧通路138と
液圧通路148とを導通状態とし、かつ、オン状態とさ
れた場合にリリーフ弁154を介して第1液圧通路13
8と液圧通路148とを連通させる2位置の電磁弁であ
る。また、SMFL144は、オフ状態とされた場合に
第1液圧通路138と液圧通路150とを導通状態と
し、かつ、オン状態とされた場合にリリーフ弁156を
介して第1液圧通路138と液圧通路150とを連通さ
せる2位置の電磁弁である。同様に、SMR146は、
オフ状態とされた場合に第2液圧通路140と液圧通路
152とを導通状態とし、かつ、オン状態とされた場合
にリリーフ弁158を介して第2液圧通路140と液圧
通路152とを連通させる2位置の電磁弁である。な
お、SMFR142がオン状態とされた場合、液圧通路
148側の液圧が第1液圧通路138の液圧に比してリ
リーフ弁154の開弁圧分だけ高圧とならない限り、第
1液圧通路138と液圧通路148とは遮断状態とされ
る。そこで、SMFR142のオン状態を、SMFR1
42の遮断状態とも称する。同様に、SMFL144及
びSMR146のオン状態を、SMFL144及びSM
R146の遮断状態とも称す。
【0019】第1液圧通路138と液圧通路148との
間には、第1液圧通路138側から液圧通路148側へ
向かうフルードの流れのみを許容する逆止弁160が配
設されている。同様に、第1液圧通路138と液圧通路
150との間、及び、第2液圧通路140と液圧通路1
52との間には、それぞれ第1液圧通路138側から液
圧通路150側へ向かう流体の流れのみを許容する逆止
弁162、及び、第2液圧通路140側から液圧通路1
52側へ向かう流体の流れのみを許容する逆止弁164
が配設されている。
【0020】右前輪FRに対応する液圧通路148に
は、右前輪保持ソレノイド166(以下、SFRH16
6と称す)が連通している。同様に、左前輪FLに対応
する液圧通路150には左前輪保持ソレノイド168
(以下、SFLH168と称す)が、左右後輪RL,R
Rに対応する液圧通路152には右後輪保持ソレノイド
170(以下、SRRH170と称す)及び左後輪保持
ソレノイド172(以下、SRLH172と称す)が、
それぞれ連通している。以下、これらのソレノイドを総
称する場合は「保持ソレノイドS**H」と称す。
【0021】SFRH166には、右前輪減圧ソレノイ
ド174(以下、SFRR174と称す)が連通してい
る。同様に、SFLH168、SRRH170及びSR
LH172には、それぞれ左前輪減圧ソレノイド176
(以下、SFLR176と称す)、右後輪減圧ソレノイ
ド178(以下、SRRR178と称す)及び左後輪減
圧ソレノイド180(以下、SRLR180と称す)
が、それぞれ連通している。以下、これらのソレノイド
を総称する場合には「減圧ソレノイドS**R」と称
す。
【0022】SFRR174には、右前輪FRのホイル
シリンダ182が連通している。同様に、SFLR17
6には左前輪FLのホイルシリンダ184が、SRRR
178には右後輪RRのホイルシリンダ186が、ま
た、SRLR180には左後輪RLのホイルシリンダ1
88がそれぞれ連通している。液圧通路148とホイル
シリンダ182との間には、SFRH166をバイパス
してホイルシリンダ182側から液圧通路148へ向か
うフルードの流れを許容する逆止弁190が配設されて
いる。同様に、液圧通路150とホイルシリンダ184
との間、液圧通路152とホイルシリンダ186との
間、及び、液圧通路152とホイルシリンダ188との
間には、それぞれSFLH168,SRRH170,及
びSRLH172をバイパスするフルードの流れを許容
する逆止弁192,194,196が配設されている。
【0023】SFRH166は、オフ状態とされること
により液圧通路148とホイルシリンダ182とを導通
状態とし、かつ、オン状態とされることにより液圧通路
148とホイルシリンダ182とを遮断状態とする2位
置の電磁弁である。同様に、SFLH168、SRRH
170及びSRLH172は、それぞれオン状態とされ
ることにより液圧通路150とホイルシリンダ184と
を結ぶ経路、液圧通路152とホイルシリンダ186と
を結ぶ経路、及び、液圧通路152とホイルシリンダ1
88とを結ぶ経路を遮断する2位置の電磁弁である。
【0024】左右前輪の減圧ソレノイドSFRR174
及びSFLR176には、フロント減圧通路198が連
通している。また、左右後輪の減圧ソレノイドSRRR
178及びSRLR180にはリア減圧通路200が連
通している。フロント減圧通路198及びリア減圧通路
200には、それぞれフロントリザーバ202及びリア
リザーバ204が連通している。
【0025】SFRR174は、オフ状態とされること
によりホイルシリンダ182とフロントリザーバ202
とを遮断状態とし、かつ、オン状態とされることにより
ホイルシリンダ182とフロントリザーバ202とを導
通状態とする2位置の電磁弁である。同様に、SFLR
186、SRRR178及びSRLR180は、それぞ
れオン状態とされることによりホイルシリンダ184と
フロントリザーバ202とを結ぶ経路、ホイルシリンダ
186とリアリザーバ204とを結ぶ経路、及びホイル
シリンダ188とリアリザーバ204を結ぶ経路を導通
する2位置の電磁弁である。
【0026】フロント減圧通路198及びリア減圧通路
200は、それぞれ逆止弁206,208を介してフロ
ントポンプ210の吸入側、及び、リアポンプ212の
吸入側に連通している。フロントポンプ210の吐出
側、及び、リアポンプ212の吐出側は、吐出圧の脈動
を吸収するためのダンパ214,216に連通してい
る。ダンパ214は、右前輪FRに対応して設けられた
右前ポンプ通路218及び左前輪FLに対応して設けら
れた左前ポンプ通路220に連通している。一方、ダン
パ216は、液圧通路152に連通している。
【0027】右前ポンプ通路218は、右前ポンプソレ
ノイド222(以下、SPFL222と称す)を介して
液圧通路148に連通している。また、左前ポンプ通路
220は、左前ポンプソレノイド224(以下、SPF
R224と称す)を介して液圧通路150に連通してい
る。SPFL222は、オフ状態とされることにより右
前ポンプ通路218と液圧通路148とを導通状態と
し、かつ、オン状態とされることによりそれらを遮断状
態とする2位置の電磁弁である。同様に、SPFR22
4は、オフ状態とされることにより左前ポンプ通路22
0と液圧通路150とを導通状態とし、かつ、オン状態
とされることによりそれらを遮断状態とする2位置の電
磁弁である。
【0028】液圧通路148と右前ポンプ通路218と
の間には、液圧通路148側から右前ポンプ通路218
側へ向かう流体の流れのみを許容するリリーフ弁226
が配設されている。同様に、液圧通路150と左前ポン
プ通路220との間には、液圧通路150側から左前ポ
ンプ通路220側へ向かう流体の流れのみを許容するリ
リーフ弁228が配設されている。
【0029】各車輪の近傍には、車輪速センサ230,
232,234,236が配設されている。ブレーキE
CU100は、車輪速センサ230〜236の出力信号
に基づいて各車輪の回転速度VW を検出する。また、マ
スタシリンダ118に連通する第2液圧通路140に
は、液圧センサ238が配設されている。ブレーキEC
U100は、液圧センサ238の出力信号に基づいてマ
スタシリンダ圧PM/C を検出する。
【0030】次に、バキュームブースタ50の構成及び
動作について説明する。図3は、バキュームブースタ5
0の構成図である。なお、図3において、マスタシリン
ダ118は、バキュームブースタ50に対してその左側
から固定される。また、ブレーキペダル112は、バキ
ュームブースタ50に対してその右側から連結される。
【0031】図3に示す如く、バキュームブースタ50
は、フロントシェル300とリアシェル302とで構成
されるハウジング304を備えている。ハウジング30
4の内部には、ダイアフラム306が配設されている。
ハウジング304の内部空間は、ダイアフラム306に
より、車両前方側(図3においては左側)の負圧室30
8と、車両後方側(図3においては右側)の変圧室31
0とに区分されている。
【0032】フロントシェル300には、負圧室308
に連通する負圧導入口311が設けられている。負圧導
入口311には、上記した負圧供給通路42が接続され
ている。上記の如く、負圧供給通路42には、制動制御
装置10側から吸気管32側への空気の流れのみを許容
するチェックバルブ46が配設されている。このため、
吸気管負圧PMが負圧室308の負圧(以下、ブースタ
負圧PBと称す)よりも大きい場合には、吸気管負圧P
Mが負圧室308に供給され、一方、吸気管負圧PMが
ブースタ負圧PBよりも小さい場合には、ブースタ負圧
PBが吸気管32側へ流出することが防止される。な
お、本明細書において、「負圧」は大気圧との圧力差で
表されるものとする。従って、「負圧が大きい」とは、
大気圧との圧力差が大きいこと、すなわち、絶対的な圧
力としては低圧であることを意味する。
【0033】負圧室308には負圧センサ312が配設
されている。負圧センサ312はブースタ負圧PBに応
じた信号をブレーキECU100に向けて出力する。ブ
レーキECU100は負圧センサ312の出力信号に基
づいてブースタ負圧PBを検出する。ダイアフラム30
6の中央部には、ブースタピストン314が嵌着されて
いる。ブースタピストン314はその一端が負圧室30
8に露出するように、リアシェル302により摺動可能
に保持されている。ブースタピストン314は、負圧室
308に配設されたスプリング316により図3におけ
る右側へ付勢されている。ブースタピストン314に
は、その中央部を軸方向に貫通する内部空間318が形
成されている。ブースタピストン314の内部空間31
8には、踏力伝達部材320が、その軸方向に摺動可能
に配設されている。
【0034】内部空間318には、また、エアバルブ3
22が配設されている。エアバルブ322は、環状の弁
体324と、弁体324を保持する円筒状の保持部32
6とを備えている。保持部326の図3における右端部
は、内部空間318の内壁に固定されている。保持部3
26は、軸方向に弾性変形できるように構成されてい
る。従って、弁体324は軸方向に所定の範囲で変位す
ることができる。なお、内部空間318の弁体324よ
り図3中左側の、踏力伝達部材320を取り囲む空間
を、以下、バルブ室328と称す。また、内部空間31
8のエアバルブ322より図3中右側の空間を、以下、
大気室330と称す。大気室330には、その図3中右
端部に設けられたエアフィルター332を介して大気が
導入されている。
【0035】エアバルブ322の弁体324の中央部に
は、入力ロッド334が挿通されている。弁体332の
内径は、入力ロッド334の外径に比して大きく設定さ
れている。このため、入力ロッド334の外周と弁体3
24の内周との間には、適当なクリアランス(以下、こ
のクリアランスを導通路335と称す)が形成されてい
る。入力ロッド334はその図3中左側端部において踏
力伝達部材320に連結されていると共に、その図3中
右側端部において図2に示すブレーキペダル112に連
結されている。入力ロッド334には、スプリング33
6の一端が掛止されている。スプリング336の他端
は、エアバルブ322の保持部326に掛止されてい
る。スプリング336は、入力ロッド334及び踏力伝
達部材320を、ブースタピストン314に対してブレ
ーキペダル112側へ付勢している。従って、入力ロッ
ド334にペダル踏力が入力されていない場合、入力ロ
ッド334及び踏力伝達部材320は、スプリング33
6が発する上記付勢力により、図3に示す基準位置に保
持される。
【0036】入力ロッド334には、また、スプリング
338の一端が掛止されている。スプリング338の他
端は、エアバルブ322の弁体324に当接している。
スプリング338の付勢力は、弁体324を踏力伝達部
材320側へ付勢する力として作用する。踏力伝達部材
320は、弁体324と対向する部位に、環状の大気弁
座340を備えている。弁体324が大気弁座340に
着座した状態では、バルブ室328と大気室330とは
互いに遮断される。また、弁体324が大気弁座340
から離座すると、バルブ室328と大気室330とは、
導通路335を介して互いに連通する。図3に示す基準
位置では、弁体324はスプリング338により付勢さ
れることで大気弁座340に着座している。
【0037】ブースタピストン314の内周の弁体32
4と対向する部位には、環状の真空弁座342が形成さ
れている。真空弁座342は、図3に示す基準位置で、
弁体324との間に所定のクリアランスが確保されるよ
うに形成されている。ブースタピストン314には、内
部空間318の真空弁座342より外周側の部位に開口
し、内部空間318と負圧室308とを連通させる負圧
通路344が形成されている。負圧通路344は、弁体
324が真空弁座342から離座した状態でバルブ室3
28と導通し、弁体332が真空弁座342に着座する
とバルブ室328から遮断される。また、ブースタピス
トン314には、バルブ室328と変圧室310とを連
通する変圧通路346が形成されている。
【0038】ブースタピストン314は、その図3中左
側端面において、リアクションディスク350に当接し
ている。リアクションディスク350は、弾性部材で形
成された円板状の部材である。リアクションディスク3
50の他端面は、出力ロッド352に当接している。出
力ロッド352は、図2に示すマスタシリンダ118の
入力軸に連結されている。ブレーキペダル112に対し
てブレーキ踏力Fp が作用すると、そのブレーキ踏力F
p に応じた押圧力が出力ロッド352を介してマスタシ
リンダ118に伝達される。一方、リアクションディス
ク350には、出力ロッド352を介してマスタシリン
ダ圧PM/C に応じた反力が入力される。
【0039】リアクションディスク350は、その中央
部において、踏力伝達部材320と対向している。踏力
伝達部材320は、ブースタピストン314に対して図
3に示す基準位置にある場合に、リアクションディスク
350との間に所定のクリアランスが確保されるように
形成されている。次に、バキュームブースタ50の動作
について説明する。ブレーキペダル112に対してブレ
ーキ踏力Fp が付与されていない場合、入力ロッド33
4及び踏力伝達部材320は、上記の如く、図3に示す
基準位置に保持される。この場合、エアバルブ322の
弁体324が大気弁座340に着座し、かつ、弁体32
4が真空弁座342から離座した状態、すなわち、変圧
通路346が大気室330から遮断され、かつ、変圧通
路346がバルブ室328を介して負圧通路344と連
通した状態が形成される。
【0040】かかる状況下では、負圧室308と変圧室
310とが導通状態となる。従って、変圧室310の内
圧は負圧室308の内圧(すなわち、ブースタ負圧P
B)に等しくなる。負圧室308の内圧と変圧室310
の内圧とが等しい場合、ダイアフラム306にはブース
タ負圧PBに起因する力は何ら作用しない。このため、
ブレーキ踏力Fp が入力されていない場合は、出力ロッ
ド352からマスタシリンダ118に対して、押圧力は
伝達されない。
【0041】ブレーキペダル112に対してブレーキ踏
力Fp が付与されると、入力ロッド334は、ブースタ
ピストン314に対して相対的に図3における左側へ変
位する。入力ロッド334の相対変位量が所定量に達す
ると、踏力伝達部材320の端面がリアクションディス
ク350に当接すると共に、エアバルブ322の弁体3
24が真空弁座342に着座して、負圧通路344と変
圧通路346とが遮断状態とされる。
【0042】かかる状態から更に入力ロッド334がリ
アクションディスク350に向けて押圧されると、入力
ロッド334及び踏力伝達部材320は、リアクション
ディスク350の中央の踏力伝達部材320に当接する
部分(以下、単に中央部分と称す)を弾性変形させなが
ら相対変位し続ける。このようにして踏力伝達部材32
0の相対変位量が増加すると、入力ロッド334にはリ
アクションディスク350の弾性変形量に応じた反力、
すなわち、ブレーキ踏力Fp に応じた反力が伝達され
る。
【0043】また、弁体324が真空弁座342に着座
すると、以後、弁体324のブースタピストン314に
対する相対変位は阻止される。このため、かかる状態が
形成された後、更に入力ロッド334がリアクションデ
ィスク350に向けて押圧されると、踏力伝達部材32
0が弁体324に対して相対変位する。その結果、弁体
324が大気弁座340から離座することで、変圧通路
346と大気室330とが導通路335を介して導通す
る状態が形成される。
【0044】かかる状態が形成されると、以後、導通路
335、バルブ室328、及び変圧通路346を通っ
て、変圧室310に大気が導入され始める。その結果、
変圧室310の内圧は、負圧室308の内圧に比して高
圧となる。このようにして、変圧室310と負圧室30
8との間に圧力差ΔPが生ずると、ダイアフラム306
には、図3中左向きの押圧力(以下、助勢力FA と称
す)が作用する。このようにして発生する助勢力F
A は、ダイアフラム306からブースタピストン314
に伝達され、更に、リアクションディスク350のブー
スタピストン314に当接する部分(以下、単に周辺部
分と称す)に伝達される。
【0045】ブースタピストン314からリアクション
ディスク350の周辺部分に助勢力FA が入力される
と、リアクションディスク350の周辺部分には弾性変
形が生ずる。この弾性変形は、ダイアフラム306の両
側の圧力差ΔPが大きくなるにつれて、すなわち、変圧
室310への大気の導入が継続されるにつれて、増大す
る。
【0046】リアクションディスク296の周辺部分に
おける弾性変形量が増大する過程では、ブースタピスト
ン314が踏力伝達部材320に対して相対的に図3中
左側へ変位する。そして、リアクションディスク350
の周辺部分の弾性変形量が中央部分の弾性変形量とほぼ
等しい値に達すると、弁体324が大気弁座340に着
座することで、変圧室310への大気の導入が停止され
る。従って、ダイアフラム306の両側に生ずる圧力差
ΔPは、リアクションディスク350の周辺部分の弾性
変形量と中央部分の弾性変形量が等しくなった状態で保
持される。
【0047】リアクションディスク350の周辺部分の
弾性変形量と中央部分の弾性変形量が等しい状態は、リ
アクションディスク350の周辺部分に作用する圧力P
1 と中央部分に作用する圧力P2 とが一致する場合に形
成される。上記の如く、圧力P1 はリアクションディス
ク350の周辺部分に助勢力FA が伝達することにより
生じ、また、圧力P1 はリアクションディスク350の
中央部分にブレーキ踏力Fp が伝達されることにより生
ずる。これらの圧力P1 、及びP2 は、リアクションデ
ィスク350の周辺部分の面積S1 、及び中央部分の面
積S2 を用いて次式で表される。
【0048】P1 =FA /S12 =Fp /S2 従って、上記の如くダイアフラム306の両側の差圧Δ
Pが保持された状態(すなわち、P1 =P2 が成立する
状態)で、助勢力FA とブレーキ踏力Fp との間には次
式で表される関係が成立する。
【0049】FA =(S1 /S2 )・Fp すなわち、バキュームブースタ50によれば、ブレーキ
踏力Fp に対して所定の倍力比を有する助勢力FA が発
生する。そして、助勢力FA とブレーキ踏力Fpとの合
力がマスタシリンダ118に伝達される。次に、本実施
例の制動制御装置10の動作を説明する。本実施例の制
動制御装置は、油圧回路内に配設された各種の電磁弁の
状態を切り換えることにより、通常ブレーキ機能、AB
S機能、及びBA機能を実現する。
【0050】通常ブレーキ機能は、図2に示す如く、制
動制御装置が備える全ての電磁弁をオフ状態とすること
により実現される。以下、図2に示す状態を通常ブレー
キ状態と称す。また、制動制御装置において通常ブレー
キ機能を実現するための制御を通常ブレーキ制御と称
す。図2に示す通常ブレーキ状態において、前輪側のホ
イルシリンダ182,184は、共に第1液圧通路13
8を介してマスタシリンダ118の第1油圧室120に
連通している。また、後輪側のホイルシリンダ186,
188は、第2液圧通路140を介してマスタシリンダ
118の第2油圧室122に連通している。この場合、
ホイルシリンダ182〜188のホイルシリンダ圧P
W/C は、常にマスタシリンダ圧PM/C と等圧に制御され
る。従って、図2示す状態によれば、通常ブレーキ機能
が実現される。
【0051】ABS機能は、図2に示す状態において、
フロントポンプ210及びリアポンプ212をオン状態
とし、かつ、保持ソレノイドS**H及び減圧ソレノイ
ドS**RをABSの要求に応じて適当に駆動すること
により実現される。以下、制動制御装置においてABS
機能を実現するための制御をABS制御と称す。ブレー
キECU100は、車両が制動状態にあり、かつ、何れ
かの車輪について過剰なスリップ率が検出された場合に
ABS制御を開始する。ABS制御は、ブレーキペダル
112が踏み込まれている状況下、すなわち、マスタシ
リンダ118が高圧のマスタシリンダ圧PM/C を発生し
ている状況下で開始される。
【0052】ABS制御の実行中は、マスタシリンダ圧
M/C が、第1液圧通路138及び第2液圧通路140
を介して、それぞれ左右前輪に対応して設けられた液圧
通路148,150、及び、左右後輪に対応して設けら
れた液圧通路152に導かれる。従って、かかる状況下
で保持ソレノイドS**Hを開弁状態とし、かつ、減圧
ソレノイドS**Rを閉弁状態とすると、各車輪のホイ
ルシリンダ圧PW/C をマスタシリンダ圧PM/C に向けて
増圧することができる。以下、この状態を増圧モードと
称す。
【0053】また、ABS制御の実行中に、保持ソレノ
イドS**H及び減圧ソレノイドS**Rの双方を閉弁
状態とすると、各車輪のホイルシリンダ圧PW/C を保持
することができる。以下、この状態を保持モードと称
す。更に、ABS制御の実行中に、保持ソレノイドS*
*Hを閉弁状態とし、かつ、減圧ソレノイドS**Rを
開弁状態とすると、各車輪のホイルシリンダ圧PW/C
減圧することができる。以下、この状態を減圧モードと
称す。
【0054】ブレーキECU100は、ABS制御中
に、各車輪毎に適宜上記の増圧モード、保持モード、及
び、減圧モードが実現されるように、各車輪のスリップ
状態に応じて保持ソレノイドS**H及び減圧ソレノイ
ドS**Rを制御する。保持ソレノイドS**H及び減
圧ソレノイドS**Rが上記の如く制御されると、全て
の車輪のホイルシリンダ圧PW/C が対応する車輪に過大
なスリップ率を発生させることのない適当な圧力に制御
される。このように、上記の制御によれば、制動制御装
置においてABS機能を実現することができる。
【0055】図4は、BA機能を実現するための制動制
御装置の状態を示す。ブレーキECU100は、運転者
によって制動力の速やかな立ち上がりを要求する緊急ブ
レーキ操作が実行された後に、図4に示す状態を実現す
ることでBA機能を実現する。具体的には、ブレーキE
CU100はマスタシリンダ圧PM/C の時間変化率(以
下、変化速度ΔPM/C と称す)が所定の閾値CBAを上回
った場合に、BA機能を実現する。図4に示す状態をB
A状態と称し、また、制動制御装置においてBA機能を
実現させるための制御をBA制御と称す。
【0056】図4に示す如く、BA状態では、リザーバ
カットソレノイドSRCF130,SRCR132、及
び、マスタカットソレノイドSMFR142,SMFL
144,SMR146をオン状態とし、かつ、フロント
ポンプ210及びリアポンプ212をオン状態とされ
る。図4に示すBA状態が実現されると、リザーバタン
ク124に貯留されているブレーキフルードがフロント
ポンプ210及びリアポンプ212に汲み上げられて液
圧通路148,150,152に供給される。BA状態
では、液圧通路148,150,152の内圧が、リリ
ーフ弁154,156,158の開弁圧を超えてマスタ
シリンダ圧PM/C に比して高圧となるまでは、液圧通路
148,150,152からマスタシリンダ18へ向か
うブレーキフルードの流れがSMFR142,SMFL
144,SMR146によって阻止される。
【0057】このため、図4に示すBA状態が実現され
ると、その後、液圧通路148,150,152には、
マスタシリンダ圧PM/C に比して高圧の液圧が発生す
る。BA状態では、ホイルシリンダ182〜188と、
それらに対応する液圧通路148,150,152とが
導通状態に維持されている。従って、BA状態が実現さ
れると、その後、全ての車輪のホイルシリンダ圧PW/C
は、フロントポンプ210またはリアポンプ212を液
圧源として、速やかにマスタシリンダ圧PM/C を超える
圧力に昇圧される。
【0058】このように、本実施例によれば、運転者に
よって緊急ブレーキ操作が実行された後速やかに、ホイ
ルシリンダ圧PW/C をマスタシリンダ圧PM/C に比して
高い圧力に昇圧することができる。従って、本実施例の
制動制御装置によれば、緊急ブレーキ操作が実行された
場合に、車両の減速度Gを速やかに増加させることがで
きる。
【0059】ところで、図1に示すシステムにおいて、
エンジン11は、その負荷状態が所定の条件を満足する
場合に、成層燃焼モードで作動する。成層燃焼モード
は、スロットル開度SCを全開とし、多量の空気を燃焼
室18に供給すると共に、アクセル開度ACに応じた燃
料を圧縮工程において噴射することにより、燃焼室18
内で成層燃焼を実現する動作モードである。成層燃焼モ
ードによれば、ストイキ燃焼よりも大きな空燃比で燃焼
が行われることによりエンジン11の燃費が向上すると
共に、スロットル開度SCが全開とされることで、エン
ジン11のポンピングロスが低減されることによっても
燃費が向上する。
【0060】エンジン11が成層燃焼モードで作動して
いる場合、アクセル開度ACにかかわらずスロットル開
度SCは全開にされる。スロットル開度SCが全開にさ
れると、下流側吸気通路32aに生ずる負圧、すなわ
ち、吸気管負圧PMは小さくなる。一方、図3に示すブ
レーキブースタ50において、ブースタ負圧PBは、負
圧室308に負圧供給通路42を介して吸気管負圧PM
が供給されることにより確保される。従って、成層燃焼
モードが実行されることにより吸気管負圧PMが小さく
なると、ブースタ負圧PBもまた小さくなることで、基
準位置における変圧室310の内圧と大気圧との差圧が
減少する。このため、ブレーキペダル112の踏み込み
に伴って、大気室330から変圧室310へ大気が流入
する場合に、その流入速度が低下することで、変圧室3
10の内圧の上昇は緩やかなものとなる。その結果、助
勢力FA も緩やかに立ち上がり、マスタシリンダ圧P
M/C は、十分なブースタ負圧PBが確保されている場合
と比較して遅れを伴いながら上昇することになる。
【0061】図5(A)及び(B)は、それぞれ、緊急
ブレーキ操作が行われた際のマスタシリンダPM/C 及び
その変化速度ΔPM/C の時間変化の一例を、十分なブー
スタ負圧PBが確保されている場合について実線で、ブ
ースタ負圧PBが低下した場合について破線で、また、
ブースタ負圧PBが更に低下した場合を一点鎖線で示し
ている。図5(A)に実線で示す如く、十分なブースタ
負圧PBが確保されている場合は、緊急ブレーキ操作の
開始後、バキュームブースタ50の変圧室310に大気
が速やかに流入することで、マスタシリンダ圧PM/C
速やかに立ち上がる。このため、図5(B)に実線で示
す如く、変化速度ΔPM/C も速やかに立ち上がり、時刻
t1 において閾値CBAを上回っている。
【0062】一方、図5(A)に破線で示す如く、ブー
スタ負圧PBが低下した場合は、緊急ブレーキ操作の開
始後、変圧室310への大気の流入速度が遅くなること
で、マスタシリンダPM/C は緩やかに上昇する。このた
め、図5(B)に破線で示す如く、変化速度ΔPM/C
立ち上がりも緩やかとなり、変化速度ΔPM/C は時刻t
1 より遅れた時刻t2 において閾値CBAを上回ってい
る。また、ブースタ負圧PBが更に低下した場合は、図
5(C)に一点鎖線で示す如く、変化速度ΔPM/ C に達
していない。
【0063】上述の如く、BA制御は、変化速度ΔP
M/C が閾値CBAを上回った場合に開始される。このた
め、図5に例示する状況下では、十分なブースタ負圧P
Bが確保された場合は時刻t1 でBA制御が開始される
のに対して、ブースタ負圧PBが低下した場合は、BA
制御の開始は時刻t2 まで遅れ、あるいは、BA制御は
開始されないことになる。このように、変化速度ΔP
M/C が一定の閾値CBAを上回った場合にBA制御を開始
することとしたのでは、ブースタ負圧PBが低下した場
合に、緊急ブレーキ操作が行われた後、BA制御の開始
が遅れ、あるいは、BA制御が開始されないといった不
都合が生ずる。
【0064】これに対して、本実施例のシステムは、ブ
ースタ負圧PBの値に応じて閾値C BAを変化させること
により、上記の不都合を回避し得る点に特徴を有してい
る。すなわち、図5に例示する状況下において、同図
(B)に示す如く、ブースタ負圧PBの低下に応じて、
閾値CBAをCBA' あるいはCBA ''に減少させることとす
れば、十分なブースタ負圧PBが確保されている場合と
同じタイミングの時刻t1 においてBA制御を確実に開
始することができるのである。
【0065】本実施例のシステムが有する上記の性能
は、ブレーキECU100が所定の制御ルーチンを実行
することにより実現される。以下、図6を参照してブレ
ーキECU100が実行する処理の内容を説明する。図
6は、本実施例においてブレーキECU100がBA制
御を開始させるべく実行する制御ルーチンの一例のフロ
ーチャートである。図6に示すルーチンは所定の時間間
隔で起動される定時割り込みルーチンである。
【0066】図6に示すルーチンが起動されると、先ず
ステップ400の処理が実行される。ステップ400で
は、BA制御中であるか否かが判別される。その結果、
BA制御中であるならば、以後何ら処理が実行されるこ
となく今回のルーチンは終了される。一方、ステップ4
00においてBA制御の実行中でなければ、次にステッ
プ402の処理が実行される。
【0067】ステップ402では、液圧センサ238の
出力信号に基づいてマスタシリンダPM/C が検出され
る。続くステップ404では、今回のマスタシリンダP
M/C の値と過去のマスタシリンダPM/C の値とに基づい
て、マスタシリンダPM/C の変化速度ΔPM/C が演算さ
れる。ステップ404の処理が終了されると、次にステ
ップ406において、負圧センサ312の出力信号に基
づいてブースタ負圧PBが検出される。ステップ406
の処理が終了すると、ステップ408へ進む。
【0068】ステップ408では、ブースタ負圧PBに
基づいて閾値CBAが決定される。図7は、ステップ40
8において閾値CBAを決定すべく参照されるマップであ
る。図7において、横軸はブースタ負圧PBを表し、縦
軸は閾値CBAを表す。図7に示す如く、ブースタ負圧P
Bが所定値PB0 以上の領域では、十分なブースタ負圧
PBが確保されているものとして、閾値CBAは所定値C
0 に設定される。一方、ブースタ負圧PBが所定値PB
0 未満の領域では、ブースタ負圧PBが小さくなるにつ
れて、閾値CBAも小さくなるように設定される。なお、
図7に示すマップは、例えば、一定の緊急ブレーキ操作
が行われた場合に、ブースタ負圧PBの各値に対してほ
ぼ同一のタイミングでBA制御が開始される(すなわ
ち、変化速度ΔPM/C がCBAを上回る)ような閾値CBA
の値を実験的に求めることにより得ることができる。ス
テップ408の処理が終了すると、次にステップ410
へ進む。
【0069】ステップ410では、変化速度ΔPM/C
閾値CBAを上回っているか否かが判別される。その結
果、ΔPM/C >CBAが成立するならば、次にステップ4
12において、BA制御を開始するための処理、すなわ
ち、図4に示すBA状態を実現するための処理が実行さ
れる。ステップ412の処理が終了すると今回のルーチ
ンは終了される。一方、ステップ410においてΔP
M/C >CBAが不成立ならば、BA制御が開始されること
なく今回のルーチンは終了される。
【0070】上述の如く、本ルーチンによれば、ブース
タ負圧PBが所定値PB0 より低下した場合には、BA
制御の開始条件を判別するための閾値CBAは、ブースタ
負圧PBが低下するほど小さな値に設定される。このた
め、ブースタ負圧PBの低下に起因して変化速度ΔP
M/C の立ち上がりが緩やかになった場合にも、十分なブ
ースタ負圧PBが確保されている場合とほぼ同一のタイ
ミングでBA制御を開始することができる。このよう
に、本実施例のシステムによれば、ブースタ負圧PBが
低下した状況下で緊急ブレーキ操作が行われた場合に、
BA制御を所要のタイミングで確実に開始することがで
きる。
【0071】なお、上記実施例においては、負圧センサ
312が請求項に記載したブースタ負圧検出手段に相当
し、また、ブレーキECU100が図6に示すルーチン
のステップ408の処理を実行することにより上記した
閾値変更手段が実現されている。なお、上記実施例にお
いては、請求項に記載したブレーキ操作量としてマスタ
シリンダ圧PM/C を用い、その変化速度ΔPM/C が閾値
BAを上回った場合にBA制御を開始することとした。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではな
く、ブレーキ操作量として、例えばブレーキペダルのス
トローク量を用い、その変化速度(すなわちストローク
速度)が所定の閾値を上回った場合にBA制御を開始す
るものであってもよい。ブースタ負圧PBの低下に伴っ
て助勢力FAが減少した場合には、マスタシリンダ圧P
M/C の変化速度ΔPM/C と同様に、ストローク速度の立
ち上がりも緩やかになる。従って、ストローク速度に基
づいてBA制御の開始条件を判別する場合にも、その閾
値をブースタ負圧PBの低下に応じて減少させること
で、緊急ブレーキ操作の開始後、BA制御を速やかに開
始することが可能となる。
【0072】また、上記実施例では、本発明が、フロン
トポンプ210及びリアポンプ212を液圧源としてB
A制御を実現するブレーキシステムに適用されるものと
した。しかしながら、本発明はこれに限定されるもので
はなく、例えば、バキュームブースタ50の変圧室31
0に(ブレーキ踏力Fp の大きさにかかわらず)強制的
に大気圧を流入させる手段を備え、その際に発生する大
きな助勢力FA により昇圧されたマスタシリンダ圧P
M/C を液圧源としてBA制御を実現するブレーキシステ
ムに適用することも可能である。
【0073】また、上記実施例では、負圧センサ312
の出力信号をブレーキECU100に向けて直接に出力
することで、ブレーキECU100がブレーキ負圧PB
を検出する構成とした。しかしながら、本発明はこれに
限定されるものではなく、例えば負圧センサ312の出
力信号をエンジンECU12に向けて出力することで、
エンジンECU12がブレーキ負圧PBを検出し、エン
ジンECUとブレーキECU100との間の通信により
ブレーキECU100がブレーキ負圧PBを検出する構
成とすることも可能である。
【0074】更に、上記実施例では、本発明が直噴式エ
ンジンを備えるシステムに適用されるものとした。しか
しながら、スロットル開度に応じて出力が制御される通
常のエンジンにおいても、例えば負圧の漏れなどの原因
でブースタ負圧PBが低下することが起こり得る。この
意味で、本発明は、直噴式エンジンを備えるシステムの
みならず、通常のエンジンを備えるシステムにも有効に
適用することができる。
【0075】
【発明の効果】上述の如く、請求項1および2記載の発
明によれば、バキュームブースタの負圧が低下した場合
にも、BA制御を所要のタイミングで確実に開始するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるシステムの全体構成図
である。
【図2】本実施例のシステムが備える制動制御装置のシ
ステム構成図である。
【図3】図2に示す制動制御装置が備えるバキュームブ
ースタの構成図である。
【図4】図2の制動制御装置のBA状態を示す図であ
る。
【図5】(A)は、緊急ブレーキ操作が実行された際の
マスタシリンダPM/C の時間変化を、十分なブースタ負
圧PBが確保された場合(実線)、及びブースタ負圧P
Bが低下した場合(破線)について示す図である。
(B)は、緊急ブレーキ操作が実行された際のマスタシ
リンダPM/C の変化速度ΔPM/C の時間変化を、十分な
ブースタ負圧PBが確保された場合(実線)、及びブー
スタ負圧PBが低下した場合(破線及び一点鎖線)につ
いて示す図である。
【図6】本実施例においてブレーキECUが実行する制
御ルーチンの一例のフローチャートである。
【図7】図6に示すルーチンにおいて、ブレーキECU
が閾値CBAを決定すべく参照するマップの一例を示す図
である。
【符号の説明】
10 制動制御装置 50 バキュームブースタ 100 ブレーキECU 312 負圧センサ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 負圧を動力源としてブレーキ操作を助勢
    するバキュームブースタを備えると共に、ブレーキ操作
    量の変化率が所定の閾値を越えた場合に、越えない場合
    に比して大きな制動力を発生するブレーキアシスト制御
    を実行する車両の制動制御装置であって、 前記バキュームブースタの負圧を検出するブースタ負圧
    検出手段と、 前記バキュームブースタの負圧に応じて前記所定の閾値
    を変更する閾値変更手段とを備えることを特徴とする車
    両の制動制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の車両の制動制御装置にお
    いて、 前記閾値変更手段は、前記バキュームブースタの負圧が
    小さい場合、前記バキュームブースタの負圧が大きい場
    合に比して小さな値に前記所定の閾値を変更することを
    特徴とする車両の制動制御装置。
JP10211416A 1998-07-27 1998-07-27 車両の制動制御装置 Pending JP2000043692A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10211416A JP2000043692A (ja) 1998-07-27 1998-07-27 車両の制動制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10211416A JP2000043692A (ja) 1998-07-27 1998-07-27 車両の制動制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000043692A true JP2000043692A (ja) 2000-02-15

Family

ID=16605602

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10211416A Pending JP2000043692A (ja) 1998-07-27 1998-07-27 車両の制動制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000043692A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001001874A (ja) * 1999-06-05 2001-01-09 Robert Bosch Gmbh 特に自動車用ブレーキ圧力制御装置およびその油圧式ブレーキ力増幅の制御方法
WO2011042987A1 (ja) * 2009-10-09 2011-04-14 トヨタ自動車株式会社 車両制御装置
CN103707864A (zh) * 2012-10-09 2014-04-09 日信工业株式会社 车辆用制动器液压控制装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001001874A (ja) * 1999-06-05 2001-01-09 Robert Bosch Gmbh 特に自動車用ブレーキ圧力制御装置およびその油圧式ブレーキ力増幅の制御方法
WO2011042987A1 (ja) * 2009-10-09 2011-04-14 トヨタ自動車株式会社 車両制御装置
JP5278552B2 (ja) * 2009-10-09 2013-09-04 トヨタ自動車株式会社 車両制御装置
US8876660B2 (en) 2009-10-09 2014-11-04 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Vehicle controller system
CN103707864A (zh) * 2012-10-09 2014-04-09 日信工业株式会社 车辆用制动器液压控制装置
CN103707864B (zh) * 2012-10-09 2017-04-12 日本奥托立夫日信制动器系统株式会社 车辆用制动器液压控制装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6612660B2 (en) Vacuum booster apparatus and a brake apparatus
JP3812147B2 (ja) ブレーキブースタ用負圧制御装置
JPH09290743A (ja) 制動力制御装置
JPH11348765A (ja) ブレーキブースタ用負圧制御装置
US20040183373A1 (en) Brake pressure control device in brake system
JP3454078B2 (ja) 制動力制御装置
JP4323823B2 (ja) 車両の制動力保持装置
JP3721834B2 (ja) ブレーキブースタ用負圧制御装置
JP3815312B2 (ja) 車両のエンジン自動停止・自動再始動装置
JP2000043692A (ja) 車両の制動制御装置
JPH10264793A (ja) 電気自動車用回生制動併用式制動装置
JP2001071878A (ja) 制動力制御装置
JP3451883B2 (ja) 制動力制御装置
JP3296235B2 (ja) 制動力制御装置
JP5039125B2 (ja) 真空アシストポンプシステム
JP3451874B2 (ja) 制動力制御装置
JP2000211494A (ja) 液圧ブレ―キ装置
JP3296236B2 (ja) 制動力制御装置
JP3721837B2 (ja) ブレーキブースタ用負圧制御装置
JP3433783B2 (ja) 制動力制御装置
JP3489336B2 (ja) 制動液圧倍力装置
JPH08230640A (ja) ブレーキ液圧制御装置およびリザーバ
JPH10329674A (ja) 液圧ブレーキ装置
JPH10244916A (ja) 制動力制御装置
JPH10305766A (ja) 制動液圧制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060110

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060308

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060404