JP4323823B2 - 車両の制動力保持装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両の制動力保持装置に関し、特に、車両の停車時に、たとえ運転者の制動操作が意図せず不測に緩んでも、車両の動き出しを未然に防止する、車両の安全運転支援の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の停車時に、たとえ運転者の制動操作が意図せず不測に緩んでも、車両が不用意に動き出さないようにする技術が知られている。例えば、特許文献1には、マスタシリンダとホイルシリンダとを結ぶブレーキ液圧通路に電磁弁を設け、車両停車時には、上記電磁弁を閉状態として、ホイルシリンダ側のブレーキ液圧を保持する(換言すれば、運転者が車両停車の際に要求した制動力を保持する)技術が開示されている。これによれば、車両停車後、サイドブレーキを引かないまま、運転者のブレーキペダルの踏込みが知らず知らずのうちに弱まっても、車両が例えば自動変速機のクリープ現象によって前進する、又は下り坂で後退する、というような不具合が回避される。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−47987号公報(図2、図12〜図15)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術では、車両停車時に保持する制動力として、運転者が車両停車の際に要求した制動力がそのまま保持されるので、次のような不具合が発生する。すなわち、運転者が車両停車の際に要求する制動力は必ずしも一律ではなく、状況に応じてまちまちであり、例えば上り坂や下り坂等、路面勾配のあるところでは、平坦路等、路面勾配のないところに比べて、運転者は強くブレーキペダルを踏み込んで、より大きな制動力を要求する傾向にあるし、また、積荷や乗員が多く、積載重量が大きいときは、そうでないときに比べて、運転者はやはり強くブレーキペダルを踏み込んで、より大きな制動力を要求する傾向にある。また、短い制動力を求める場合、運転者はやはり強くブレーキペダルを踏み込んで、より大きな制動力を要求する傾向にある。
【0005】
一方、車両の発進時には、今度は、上記電磁弁を開状態として、上記保持した制動力を低減し、ブレーキの引摺り感のない、円滑・良好な車両の発進を図るのであるが、その場合に、ホイルシリンダ側のブレーキ液圧が高い状態のまま保持されているから、上記電磁弁を挟んでホイルシリンダ側とマスタシリンダ側との間でブレーキ液圧が大きく変動(低下)し、これが原因で不快な異音が発生するのである。
【0006】
特に、本発明者等の検討によれば、この異音は、電磁弁を閉状態から一気に開状態にしたとき(つまり、ブレーキ液圧を急激に下げて、保持していた制動力を速やかに抜くとき)よりも、むしろ、ショックを緩和するためブレーキ液圧を緩慢解放したとき、具体的には、電磁弁をデューティ制御又はディザー制御で繰返し開閉させ、該電磁弁を時間をかけて開状態に移行させたとき(つまり、ブレーキ液圧をデューティ制御又はディザー制御で徐々に下げて、保持していた制動力をゆっくりと抜くとき)に、顕著であった。これは、1つには、デューティ制御による電磁弁の周期的な開閉により、ブレーキ液圧通路内の圧力変動に起因する脈動が生じ、その脈動のたびに異音が発生するからであると考えられる。また、電磁弁が開くときの印加電流と閉じるときの印加電流との間にヒステリシスが生じ、電磁弁が開くのに十分な電流又は閉じるのに十分な電流を該電磁弁に同じ周期で印加しても、該電磁弁が開くタイミングと閉じるタイミングとが一定せずばらつくことも一因であると考えられる。いずれにせよ、ホイルシリンダ側の保持液圧が高く、車両発進時に該液圧を低減させるときの該液圧の変動が大きいことにより、上記脈動がより強くなったり、ヒステリシスがより大きくなったりして、発生する異音の程度がより大きくなると考えられる。
【0007】
そこで、本発明は、車両停車時に車両の移動を阻止する制動力を保持し、車両発進時に上記保持した制動力を低減する場合における、上記の異音発生の問題に対処することを主たる課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本願の請求項1に記載の発明は、マスタシリンダとホイルシリンダとを結ぶブレーキ液圧通路に電磁弁が設けられ、車両停車時に上記電磁弁を閉状態としてホイルシリンダ側のブレーキ液圧通路に車両の移動を阻止する制動力を保持する制動力保持手段と、車両発進時に上記電磁弁を開状態として上記保持した制動力を低減する制動力低減手段とを有する車両の制動力保持装置であって、上記制動力保持手段は、運転者の制動圧解放操作に伴い制動圧の減圧を許容すると共に、減圧された制動圧がクリープ力による車両の移動を抑制可能な制動圧以下とならないように、車両停車開始時、上記電磁弁に対する制御量をクリープ力による車両の移動を抑制可能な値に予め設定し、かつ、路面勾配に関連する値を検出する路面勾配関連値検出手段が備えられ、上記制動力低減手段は、上記検出手段で路面が上り勾配であると検出されたときは、平坦であると検出されたときに比べて、制動力を低減する速度を小さくし、路面が下り勾配であると検出されたときは、平坦であると検出されたときに比べて、制動力を低減する速度を大きくすることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、運転者の制動圧解放操作に伴い、制動圧の減圧が許容されると共に、減圧された制動圧が、クリープ力による車両の移動を抑制可能な制動圧以下とならないように、車両停車開始時、上記電磁弁に対する制御量が、クリープ力による車両の移動を抑制可能な値に予め設定されるから、例えば上記従来技術のように、車両停車時に保持される制動力として、運転者が車両停車の際に要求した制動力がそのまま保持されるのではなく、例えば最低限クリープ力による車両の移動を阻止できる制動力が保持されるようになる。よって、車両停車時に車両の移動を阻止する制動力を保持する、という本来の目的を果たしつつ、そのためにホイルシリンダ側で保持されるブレーキ液圧が過度に高くならず、その結果、車両発進時に上記保持していた制動力を低減するときの、電磁弁を挟んでホイルシリンダ側とマスタシリンダ側との間におけるブレーキ液圧の変動が可及的に小さくなって、車両発進時における不快な異音発生の問題が抑制され又は解消される。
【0011】
そして、特にこの発明によれば、上り勾配のところで停車しているときは、平坦路や下り勾配のところで停車しているときに比べて、制動力をゆっくりと抜くから、車両は後退することなく円滑・良好に発進する。一方、下り勾配のところで停車しているときは、平坦路や上り勾配のところで停車しているときに比べて、制動力を速やかに抜くから、車両はブレーキの引摺り感なく円滑・良好に発進する。そして、平坦路で停車しているときは、車両はほどよい加速感で円滑・良好に発進する。
【0012】
次に、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、車両停車時に所定のエンジン停止条件が成立したときはエンジンを自動的に停止させ、その後、所定のエンジン始動条件が成立したときはエンジンを自動的に始動させるエンジン自動停止・始動手段が備えられ、制動力低減手段は、路面勾配関連値検出手段で路面が上り勾配であると検出されたときは、エンジンの自動始動後、クリープ力が車両を移動させることが可能な大きさまで増大したタイミングで、制動力の低減を開始し、路面が平坦であると検出されたとき及び下り勾配であると検出されたときは、エンジンの自動始動と同じタイミングで、制動力の低減を開始することを特徴とする。
【0013】
この発明は、燃費の向上や、環境汚染物質あるいは二酸化炭素等の排出低減、及び騒音の抑制等を図る、いわゆるアイドルストップ車両を対象としている。一般に、アイドルストップ車両では、車両停車時に所定のエンジン停止条件が成立したときは、エンジンが自動停止されるので、車両停車後、エンジンの自動停止中(アイドルストップ中)に、サイドブレーキを引かないまま、運転者のブレーキペダルの踏込みが知らず知らずのうちに弱まっても、車両がクリープ現象によって前進する、というような不具合、又は路面勾配の緩い下り坂で後退する、というような不具合は生じない。
【0014】
しかし、アイドルストップ車両では、アイドルストップがかかると、エンジンが停止され、クリープ力が発生しなくなる。したがって、上り坂や下り坂等、路面勾配の急なところで停車してアイドルストップがかかった場合に、サイドブレーキを引かないまま、運転者のブレーキペダルの踏込みが知らず知らずのうちに弱まると、車両は路面勾配により後退(上り坂の場合)又は前進(下り坂の場合)することになる。
【0015】
そして、アイドルストップ車両では、その後、所定のエンジン始動条件が成立したときには、エンジンが自動始動されるので、その場合に、サイドブレーキを引かないまま、運転者のブレーキペダルの踏込みが知らず知らずのうちに弱まっていると、車両がクリープ現象によって前進する、というような不具合が生じる。ただし、エンジンの自動始動と同時に、車両を移動させるほどのクリープ力が発生するわけではなく、エンジンが自動始動され、エンジン回転がある程度上昇した時点で、車両を移動させるほどのクリープ力が発生する。
【0016】
そこで、この発明によれば、特に、上り勾配のところで停車しているときは、エンジンの自動始動と同じタイミングでは制動力の低減を開始せず、それより後の時点で車両を移動させることができるほどのクリープ力が発生するタイミングで制動力を抜き始めるから、車両は後退することなく円滑・良好に発進する。一方、平坦路及び下り勾配のところで停車しているときは、エンジンの自動始動と同じタイミングで早期に制動力を抜き始めるから、車両はブレーキの引摺り感なく円滑・良好に発進する。
【0017】
次に、請求項3に記載の発明は、上記請求項1又は2に記載の発明において、電磁弁は、ブレーキ液圧通路を全開とするか全閉とするオンオフ型の電磁弁であることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、比較的安価なオンオフ型の電磁弁(DCソレノイドを用いたオンオフ高速弁)を採用するから、例えばDCソレノイドを用いた比例制御弁等を採用した場合に比べて、この車両の制動力保持装置のコストが抑制できる。なお、DCソレノイドに流す電流をPWM制御(デューティ制御)することにより、オンオフ電磁弁を比例制御弁のごとく使用できることはよく知られている。以下、実施の形態を通して本発明をさらに詳しく説明する。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、本実施の形態に係る車両1は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両であって、車体前部のエンジンルーム内に、エンジン10が横置きに配置され、該エンジン10にトルクコンバータ20を介して変速機30が接続されている。そして、該変速機30の出力が差動装置40を経由して左右の前輪61,62に伝達される。この車両1は、燃費の向上や、環境汚染物質あるいは二酸化炭素の排出低減、及び騒音の抑制等を図る、いわゆるアイドルストップ車両であって、エンジン10の始動用のスタータモータ50を備える。
【0020】
この車両1のブレーキシステムは、本実施形態においては、周知のディスク式ブレーキを採用している。すなわち、運転者のブレーキペダル71の踏力が、エンジン10の吸気管内の負圧(吸引負圧)を利用したブレーキブースタ(倍力装置)72で助勢されて、マスタシリンダ73に伝達され、上記踏力に応じたブレーキ液圧が発生する。ブレーキ液圧は、ブレーキ液圧通路74,75を通って、各車輪61〜64のキャリパ76〜76に内蔵されたホイルシリンダに伝達され、各車輪61〜64と一体回転するディスク77〜77をパッドが挟み込んで制動力が発生する。もちろん、ディスク式ブレーキに限らず、他にも、各車輪と一体回転するドラムにシューが押し付けられて制動力が発生するドラム式ブレーキ、同じく各車輪と一体回転するドラムをバンドで締め付けて制動力が発生するバンド式ブレーキ等を採用してもよい。
【0021】
上記マスタシリンダ73は、吐出口を2つ有するタンデム型であり、ブレーキ液圧通路74,75は、本実施形態においては、クロス方式(X配管方式)である。すなわち、マスタシリンダ73の各吐出口から延びる液圧通路74,75がそれぞれ途中で2つに分岐して、一方の通路(第1の通路)74は、左前駆動輪61のキャリパ76及び右後従動輪64のキャリパ76に至り、他方の通路(第2の通路)75は、右前駆動輪62のキャリパ76及び左後従動輪63のキャリパ76に至る。もちろん、クロス方式に限らず、他にも、一方の通路が左右の前輪に、他方の通路が左右の後輪に至る、前後分割方式であってもよい。
【0022】
各ブレーキ液圧通路74,75に電磁弁80,90が配設されている。図2及び図3に第1の電磁弁80を例に取って明示したように、この電磁弁80は、DCソレノイドを用いたノーマルオープン型のオンオフ電磁弁である。コイル81に電流が流されていないオフ時には、図2に示したように、プランジャ82がスプリング83で付勢されて液圧通路74から退避する。これにより、電磁弁80を挟んで位置するマスタシリンダ73側の液圧通路(上流側通路)74aと、キャリパ76側(ホイルシリンダ側)の液圧通路(下流側通路)74bとが完全に連通し、液圧通路74が全開となる。一方、コイル81に電流が流されたオン時には、図3に示したように、プランジャ82がスプリング83を縮めながら液圧通路74に進出する。これにより、上流側通路74aと下流側通路74bとが完全に遮断され、液圧通路74が全閉となる。
【0023】
ただし、DCソレノイドに流す電流をPWM方式でデューティ制御することにより、上記電磁弁80を比例制御弁のごとく用いることが可能である。デューティ制御におけるデューティ値(1オンオフ周期あたりのオン時間の比率)を変化させることにより、上流側通路74aと下流側通路74bとの連通度を変化させ、下流側通路74bのブレーキ液圧(制動力)を制御することができる。なお、電磁弁80がオフのときのデューティ値は0%、オンのときのデューティ値は100%である。また、ディザー制御の場合、電圧を変化させ、目標となる電流値になるようにディザー制御し、電磁力を変化させてもよい。
【0024】
図2に示したように、通常は、電磁弁80はオフで、液圧通路74は全開である。ブレーキペダル71が踏み込まれると、該ペダル70の操作ロッド71aがブレーキブースタ72の弁付ロッド72aを押し、該弁付ロッド72aがプッシュロッド72bを押し、該プッシュロッド72bがマスタシリンダ73のピストン73aを押す。ブレーキブースタ72の内部はダイヤフラム72cで2つの室72d,72eに仕切られている。ダイヤフラム72cはプッシュロッド72bに連結されている。
【0025】
ブレーキペダル71が踏み込まれていない図2の状態では、第1室72d及び第2室72e共に、吸引負圧(ブレーキブースタ負圧)が作用している。しかし、ブレーキペダル71が踏み込まれた図3の状態では、第1室72dへの負圧の作用が停止すると共に、弁付プランジャ72aの移動に伴い、第1室72dへ大気圧が導入される。これにより、運転者のブレーキペダル71の踏力が、第1室72d側から第2室72e側へ助勢される。このとき、マスタシリンダ73のピストン73aは、図外の第2通路75用のピストンとの間に介設されたスプリング73eを縮める。
【0026】
マスタシリンダ73においては、ピストン73aがリザーバ73bのリリーフポート73cを横切った瞬間から、加圧室73d内のブレーキ液圧が上昇する。そして、その加圧されたブレーキ液圧が液圧通路74に吐出され、電磁弁80を経てホイールシリンダに到達する(図2の矢印参照)。この状態で電磁弁80がオンとなって液圧通路74が全閉となると、下流側通路74bには、上記加圧されたブレーキ液圧が残る。この状態では、たとえブレーキペダル71の踏込みが戻されても、下流側通路74bの制動力は低下しない(図3の矢印参照)。
【0027】
例えば、ピストン73aがリザーバ73bのリリーフポート73cの位置まで戻る間は、上流側通路74aには過渡的に負圧が発生し、ピストン73aは比較的緩慢に戻る。その結果、上流側通路74aのブレーキ液圧は緩慢に低下する。しかし、ピストン73aがリリーフポート73cの位置まで戻った後は、上流側通路74aはリザーバ73bと連通し、ピストン73aは速やかに戻る。その結果、上流側通路74aのブレーキ液圧は速やかに大気圧(残圧)まで低下する。そして、いずれにおいても、このように上流側通路74aのブレーキ液圧が低下していく間、下流側通路74bのブレーキ液圧は、プランジャ82及び逆止弁84に遮られて、一緒に低下することがない。
【0028】
なお、電磁弁80がオンとなって液圧通路74が全閉となった後、ブレーキペダル71が踏み増しされると、その踏増し分は、上記逆止弁84を介して下流側通路74bに導入され、該下流側通路74bのブレーキ液圧は増圧される。
【0029】
以上が、マスタシリンダ73とホイルシリンダとを結ぶブレーキ液圧通路74,75に電磁弁80,90が設けられた、このブレーキシステムの基本的な動作である。いまは、第1液圧通路74及び第1電磁弁80を例に取り説明したが、第2液圧通路75及び第2電磁弁90についても同様である。以下の記述において、図示しないが、第2液圧通路75の上流側通路に符号75aを、下流側通路に符号75bを付す。
【0030】
図4に示すように、この車両1には、エンジン10の燃料噴射弁11…11、点火栓12…12、及びスタータモータ50を制御するアイドルストップ用のコントロールユニット100と、上記電磁弁80,90を制御するヒルホールド用のコントロールユニット200とが搭載されている。アイドルストップコントロールユニット(ISECU)100は、ブレーキペダルが踏み込まれたときにオンとなるブレーキスイッチ110の信号、エンジン10のスロットル弁の開度を検出するスロットル開度センサ120の信号、車速を検出する車速センサ130の信号、選択されたレンジを検出するレンジスイッチ140の信号、エンジン10の冷却水の温度を検出する水温センサ150の信号、ブレーキペダル71とマスタシリンダ73との間に介設された上記ブレーキブースタ72に導入されるブレーキブースタ負圧を検出するブースタ負圧センサ160の信号、エンジン10の回転数を検出するエンジン回転センサ170の信号、等を入力する。ヒルホールドコントロールユニット(HHECU)200は、路面勾配を検出する傾斜角センサ210の信号、下流側通路74b,75bのブレーキ液圧を検出するブレーキ液圧センサ220の信号、等を入力する他、上記エンジン回転センサ170の信号、及びISECU100からブレーキ保持フラグ信号及びアイドルストップフラグ信号を入力する。
【0031】
図5に、ISECU100が行うアイドルストップ制御の具体的動作の1例をフローチャートで示す。まず、ステップS11で、初期化を行ったうえで、ステップS12〜S17で、各種の判定を行い、すべてYESのとき(すなわち、車両停車時に所定のエンジン停止条件が成立したとき)に、ステップS18で燃料噴射を停止し、かつステップS19で火花点火を停止して、エンジン10を自動停止する。そして、ステップS20で、制動力を保持すべきであることを示すため、ブレーキ保持フラグを1にセットし、また、ステップS21で、エンジン10が自動停止中であることを示すため、アイドルストップフラグを1にセットした後、ステップS12に戻る。
【0032】
この例では、ブレーキスイッチ110がオンであること(ステップS12)、スロットル弁が全閉であること(ステップS13)、車速がゼロであること(ステップS14)、選択されたレンジがDレンジ又はNレンジであること(ステップS15)、ブレーキブースタ負圧が所定の基準圧Pよりも低いこと(ステップS16)、及び他の禁止条件が成立していないこと(ステップS17)、がアイドルストップ条件とされている。ここで、ステップS16で、ブレーキブースタ負圧が所定の基準圧Pよりも低いことを、アイドルストップ条件の1つとしたのは、エンジン10がアイドルストップし、ブレーキブースタ負圧が所定の基準圧Pよりも高くなると、該ブレーキブースタ負圧の度合いが小さくなり、ブレーキブースタ72の助勢力が減少して、運転者の制動操作の負担(ブレーキペダル71の踏力等)が増加してしまうから、そのような不具合を未然に防止するためである。また、ステップS17の他の禁止条件には、例えばエンジン水温が所定温度よりも低いことや、エアコン等が作動していて電気的負荷が大きいこと、等が含まれる。
【0033】
一方、上記アイドルストップ条件が1つでも満足されないときは、ステップS22で、アイドルストップフラグが1か否かを判定し、YESのとき(アイドルストップ中であるとき)は、ステップS23で燃料噴射を実行(再開)し、ステップS24で火花点火を実行(再開)し、かつステップS25でスタータモータ50をオンとして、エンジン10を自動始動(自動再始動)する。
【0034】
次に、ステップS26で、選択されたレンジがDレンジであるか否かを判定し、Dレンジであるときは、ステップS27で、制動力を保持すべきでないことを示すため、ブレーキ保持フラグを0にリセットし、Dレンジでないとき(Nレンジであるとき)は、ステップS27を飛ばして(つまりまだ制動力を保持すべきであることを示すため、ブレーキ保持フラグを1に維持して)、ステップS28に進む。
【0035】
そして、ステップS28で、エンジン10の完爆を確認したとき(例えばエンジン回転数が500rpmまで上昇したとき)に、ステップS29で、スタータモータ50をオフとした後、ステップS30で、エンジン10が自動停止中でないことを示すため、アイドルストップフラグを0にリセットする。
【0036】
一方、ステップS22でNOのとき(アイドルストップ中でないとき)は、ステップS31で、ブレーキ保持フラグが0か否かを判定し、0のとき(ステップS26の判定でDレンジであると判定されているとき)は、そのままステップS12に戻り、0でないとき(ステップS26の判定でNレンジであると判定されているとき)は、ステップS32に進んで、再度、選択されたレンジがDレンジであるか否かを判定する。そして、Dレンジであるときは、ステップS33で、制動力を保持すべきでないことを示すため、ブレーキ保持フラグを0にリセットし、まだNレンジであるときは、そのままステップS12に戻る。
【0037】
このようにする理由は、Nレンジが選択されているときに、ブレーキ保持が解除されると、坂道でずり下がる可能性があるため、Nレンジのときは、ブレーキ圧の保持を解除せず、Dレンジのときに限り、ブレーキ保持を解除するようにしたのである。
【0038】
このようなISECU100の動作に呼応して、HHECU200は、図6にフローチャートで例示した動作(ヒルホールド制御動作)を行う。まず、ステップS41で、初期化を行ったうえで、ステップS42で、アイドルストップフラグが1か否かを判定し、YESのとき(アイドルストップ中であるとき)は、ステップS43で、ヒルホールド制御弁80,90に対するデューティ値(Duty値)を所定のデューティ値(α)に設定した後、ステップS42に戻る。この所定デューティ値(α)は、クリープ力による車両1の移動を阻止する制動力(ブレーキ液圧)を、下流側通路74b,75bに生成するデューティ値(クリープ相当デューティ値)である。
【0039】
一方、ステップS42でNOのとき(アイドルストップ中でないとき)は、ステップS44で、路面が上り勾配か否かを判定し、YESのときは、ステップS45で、ヒルホールド制御弁80,90に対するデューティ値の減衰値を上り勾配用の減衰値(X)に設定する。上記ステップS44でNOのとき(上り勾配でないとき)は、ステップS46で、路面が下り勾配か否かを判定し、YESのときは、ステップS47で、ヒルホールド制御弁80,90に対するデューティ値の減衰値を下り勾配用の減衰値(Y)に設定する。上記ステップS46でNOのとき(上り勾配でも下り勾配でもないとき)は、ステップS48で、ヒルホールド制御弁80,90に対するデューティ値の減衰値を平坦路用の減衰値(Z)に設定する。
【0040】
ここで、上り勾配用減衰値(X)は3つのなかで最も小さく、下り勾配用減衰値(Z)は3つのなかで最も大きく、平坦路用減衰値(Z)はその間の値である。すなわち、路面が上り勾配のときは、アイドルストップ中保持していた制動力を低減する速度を最も小さくし、路面が下り勾配のときは、アイドルストップ中保持していた制動力を低減する速度を最も大きくする。
【0041】
そして、いずれの場合も、ステップS50で、上記クリープ相当デューティ値(α)を、各減衰値(X),(Y)又は(Z)で徐々に減少させていくのであるが、路面が上り勾配のときは、ステップS49で、エンジン10の完爆を確認するまで(例えばエンジン回転数が500rpmまで上昇するまで)は、ステップS43に進んで、上記クリープ相当デューティ値(α)を保持する。そして、エンジン10の完爆を確認したときに初めて(つまり、エンジンの自動始動後、クリープ力が車両を移動させることが可能な大きさまで増大したタイミングで)、ステップS50に進んで、デューティ値を最小減衰値(X)で最もゆっくりと減衰させる。これに対し、路面が下り勾配又は平坦路のときは、エンジン10の完爆を待つことなく、アイドルストップフラグが0にリセットされた時点で直ちに(つまり、エンジンの自動始動と同じタイミングで)、ステップS50に進んで、デューティ値を最大減衰値(Y)で最も速やかに減衰させる(下り勾配のとき)。あるいは中間減衰値(Z)で速やかに減衰させる(平坦路のとき)。
【0042】
次いで、ステップS51で、下流側通路74b,75bのブレーキ液圧が、所定の微小液圧(例えば大気圧(残圧)より少し高い液圧:この例では0.3MPa)以下か否かを判定し、NOと判定されるうちは、そのままステップS32に戻り、YESと判定されたときは、ステップS52で、デューティ値を一気にゼロにして、ステップS52に戻る。
【0043】
以上のような制御動作で得られる作用を図7のタイムチャートを参照して説明する。いま、運転者がブレーキペダル71を踏み込んで、時刻taに、車速がゼロになり、車両1が停車したとする。アイドルストップ条件が成立し、アイドルストップがかかり、アイドルストップフラグが1にセットされる。これに伴い、エンジン回転数がゼロになる。また、ヒルホールド制御弁80,90に対するデューティ値(Duty値)がクリープ相当デューティ値(α)に設定される。なお、このクリープ相当デューティ値(α)は、この例では、エンジン回転数がアイドル回転数I(例えば500rpm)のときに生じるクリープ力に対向し得る値である(図例では1.0MPaのブレーキ液圧が下流側通路74b,75bに生成する)。
【0044】
この状態で、車両1の停車後、サイドブレーキを引かないまま、運転者のブレーキペダル71の踏込みが知らず知らずのうちに弱まったすると、実線で例示したように、ブレーキ操作量(踏込量)の減少に追随して、ブレーキ液圧通路74,75のブレーキ液圧もまた低下し、そして、ついにクリープ力に対向し得る1.0MPaまで低下する(時刻tb)。しかし、ヒルホールド制御弁80,90に対するデューティ値がクリープ相当デューティ値(α)に設定されているから、たとえ上流側通路74a,75aのブレーキ液圧がさらに1.0MPa以下に低下しても、下流側通路74b,75bのブレーキ液圧は1.0MPa以下には低下しない。したがって、たとえ車両1が上り坂で停車していても不測に後退することが防がれ、また下り坂で停車していても不測に前進することが防がれる。つまり、アイドルストップ車両では、エンジン10の自動始動性を高めるため、アイドルストップがかかると、変速機30の動力伝達経路はPレンジやNレンジのときのように遮断状態とされるから、下流側通路74b,75bにある程度の制動力を保持しておかないと、車両1が路面勾配によって不用意に動き出してしまうのである。
【0045】
もちろん、車両1の停車中、及びエンジン10のアイドルストップ中、鎖線で例示したように、ブレーキ操作量が減少しなければ、ブレーキ液圧通路74,75のブレーキ液圧もまた低下することがなく、運転者が車両1の停車の際に要求した制動力がそのまま保持されて、車両1は、ヒルホールド制御弁80,90によってではなく、運転者の継続的な制動操作によって、確実に移動が防がれる。
【0046】
そして、その後、運転者が発進しようとして、ブレーキペダル71の踏込みを解除し、アクセルペダルの踏込みを開始する等、エンジン始動条件が成立すると、アイドルストップが解除され、アイドルストップフラグが0にリセットされる(時刻tc)。これに伴い、エンジン回転数が上昇を始める。その場合に、特に、路面が上り勾配のときは、実線で例示したように、エンジン10が完爆し、エンジン回転数がアイドル回転数I(500rpm)まで上昇する時刻tdまでは、クリープ相当デューティ値(α)が保持されて、ブレーキ液圧が1.0MPaに保持される。これにより、エンジン回転数がアイドル回転数Iまで上昇した時刻tdに、車両がクリープ力により前進する、というような不具合が防がれる。
【0047】
そして、符号アで例示したように、エンジン10が完爆し、エンジン回転数がアイドル回転数Iまで上昇した時刻tdに、上記デューティ値が最小減衰値(X)で最もゆっくりと減衰されて、制動力が最もゆっくりと低減される。これにより、車両1は後退することなく円滑・良好に発進する。なお、図7の車速は、この路面が上り勾配のときの変化を例示している。
【0048】
一方、路面が下り勾配のときは、破線(イ)で例示したように、エンジン10の自動始動と同時刻tcに、上記デューティ値が最大減衰値(Y)で最も速やかに減衰されて、制動力が最も速やかに低減される。これにより、車両1はブレーキの引摺り感なく円滑・良好に発進する。また、路面が平坦路のときは、破線(ウ)で例示したように、エンジン10の自動始動と同時刻tcに、上記デューティ値が中間の減衰値(Z)で速やかに減衰されて、制動力が速やかに低減される。これにより、車両1はほどよい加速感で円滑・良好に発進する。
【0049】
なお、路面が上り勾配のとき、破線(エ)で例示したように、エンジン10の完爆後、エンジン回転数がいったん吹き上り、エンジン回転数が再びアイドル回転数Iに低下して安定した時刻teに、上記デューティ値の減衰を開始してもよい。これにより、完爆直後における上記エンジン回転数の吹上りに伴う車両の飛び出しを抑制できる。
【0050】
また、路面が下り勾配のとき、破線(オ)で例示したように、エンジン10の自動始動と同時刻tcに、上記デューティ値を徐々にではなく一気にゼロまで低下させてもよい。これにより、ブレーキの引摺り感がほとんどなくなり、車両1は下り坂によって一層円滑・良好に前進する。
【0051】
そして、いずれにしても、運転者の制動圧解放操作に伴い、制動圧の減圧が許容されると共に、減圧された制動圧が、クリープ力による車両1の移動を抑制可能な制動圧(この例では1.0MPa)以下とならないように、車両1の停車開始時に、電磁弁80,90に対する制御量が、クリープ力による車両1の移動を抑制可能な値に予め設定されるから、車両1の停車時に保持する制動力として、運転者が継続的に制動操作を行った場合(図7の鎖線)を除き、運転者が車両1の停車の際に要求した制動力がそのまま保持されるのではなく、例えば最低限クリープ力による車両1の移動を阻止できる制動力(この例では1.0MPa)が保持されるようになる。よって、車両1の停車時に、該車両1の移動を阻止する制動力を保持する、という本来の目的を果たしつつ、そのために下流側通路74b,75bで保持されるブレーキ液圧が過度に高くならず、その結果、電磁弁80,90を挟んで上流側通路74a,75aと下流側通路74b,75bとの間におけるブレーキ液圧の変動が可及的に小さくなって、不快な異音発生の問題が抑制され又は解消される。
【0052】
なお、ヒルホールド制御弁80,90として、例えばDCソレノイドを用いた比例制御弁等を採用することも可能である。ただし、上記オンオフ電磁弁80,90は比例制御弁等に比べて安価であるから、上記オンオフ電磁弁80,90を用いた上記実施形態に係る車両1のブレーキシステムはコストが抑制できるという利点がある。
【0053】
また、上記の実施の形態は、特にアイドルストップ車両を対象としていたが、本発明は、非アイドルストップ車両にも好ましく適用可能である。その場合のタイムチャートを図8に例示する。図7と最も大きく異なるところは、時刻taに車両が停止しても、エンジンが自動停止されないから、エンジン回転数はゼロにならず、アイドル回転数Iに維持されるところである。したがって、車両の停車中は、この車両には、継続してクリープ力が作用している。
【0054】
この状態で、車両の停車後、サイドブレーキを引かないまま、運転者のブレーキペダルの踏込みが知らず知らずのうちに弱まったすると、実線で例示したように、ブレーキ操作量(踏込量)の減少に追随して、ブレーキ液圧通路のブレーキ液圧もまた低下し、そして、ついにクリープ力に対向し得る1.0MPaまで低下する(時刻tb)。しかし、ヒルホールド制御弁に対するデューティ値がクリープ相当デューティ値(α)に設定されているから(あるいは前述したようにヒルホールド制御弁に対する電流量がクリープ相当電流量に設定されているから)、たとえ上流側通路のブレーキ液圧がさらに1.0MPa以下に低下しても、下流側通路のブレーキ液圧は1.0MPa以下には低下しない。したがって、たとえ車両にクリープ力が継続して作用していても車両が不測に前進することが防がれる。
【0055】
そして、やはり、運転者の制動圧解放操作に伴い、制動圧の減圧が許容されると共に、減圧された制動圧が、クリープ力による車両の移動を抑制可能な制動圧(この例では1.0MPa)以下とならないように、車両の停車開始時に、電磁弁に対する制御量が、クリープ力による車両の移動を抑制可能な値に予め設定されるから、車両の停車時に保持する制動力として、運転者が継続的に制動操作を行った場合(図8の鎖線)を除き、運転者が車両の停車の際に要求した制動力がそのまま保持されるのではなく、例えば最低限クリープ力による車両の移動を阻止できる制動力(この例では1.0MPa)が保持されるようになる。よって、車両の停車時に、該車両の移動を阻止する制動力を保持する、という本来の目的を果たしつつ、そのために下流側通路で保持されるブレーキ液圧が過度に高くならず、その結果、電磁弁を挟んで上流側通路と下流側通路との間におけるブレーキ液圧の変動が可及的に小さくなって、不快な異音発生の問題が抑制され又は解消される。
【0056】
そして、その後、例えば運転者が発進しようとしてブレーキペダルの踏込みを解除した時刻txに、制動力の低減が開始される。その場合に、図7と同様、特に、路面が上り勾配のときは、実線(ア)で例示したように、制動力が最もゆっくりと低減される。これにより、車両は後退することなく円滑・良好に発進する。なお、図8の車速は、この路面が上り勾配のときの変化を例示している。一方、路面が下り勾配のときは、破線(イ)で例示したように、制動力が最も速やかに低減される。これにより、車両はブレーキの引摺り感なく円滑・良好に発進する。また、路面が平坦路のときは、破線(ウ)で例示したように、制動力が速やかに低減される。これにより、車両はほどよい加速感で円滑・良好に発進する。なお、路面が下り勾配のとき、破線(オ)で例示したように、制動力を徐々にではなく一気に低減させてもよい。これにより、ブレーキの引摺り感がほとんどなくなり、車両は下り坂によって一層円滑・良好に前進する。
【0057】
なお、以上は、車両がアイドルストップ車両でないことを前提に説明したが、車両がアイドルストップ車両ではあるが、車両の停車時にアイドルストップ条件が成立せず、エンジンが自動停止されなかった場合も同様である。
【0058】
【発明の効果】
以上、具体例を挙げて詳しく説明したように、本発明によれば、車両の停車時に、たとえ運転者の制動操作が意図せず不測に緩んでも、車両の動き出しを未然に防止するように構成した車両において、車両の発進時に、それまで保持していた制動力を低減する際に起こり得る、不快な異音発生の問題を抑制又は解消することができる。本発明は、車両の制動力保持装置に用いて好適であり、自動車等の車両の技術分野一般において、特に、アイドルストップ車両等の低公害型車両あるいは環境対応型車両の技術分野において、幅広い産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るアイドルストップ車両のパワートレイン及びブレーキシステムを示す全体構成図である。
【図2】 上記ブレーキシステムの基本的な動作を説明する拡大構成図であって、ブレーキペダルが非踏込み状態及び電磁弁が開状態を例示している。
【図3】 同じく、ブレーキペダルが踏込み状態及び電磁弁が閉状態を例示している。
【図4】 上記アイドルストップ車両のシステム構成図である。
【図5】 上記アイドルストップ車両に搭載されたアイドルストップコントロールユニットが実行するアイドルストップ制御の具体的動作の1例を示すフローチャートである。
【図6】 上記アイドルストップ車両に搭載されたヒルホールドコントロールユニットが実行するヒルホールド制御の具体的動作の1例を示すフローチャートである。
【図7】 第1の実施の形態(車両がアイドルストップ車両である場合)の作用を説明するタイムチャートである。
【図8】 第2の実施の形態(車両がアイドルストップ車両でない場合)の作用を説明するタイムチャートである。
【符号の説明】
1 アイドルストップ車両
10 エンジン
30 変速機
50 スタータモータ
61〜64 車輪
71 ブレーキペダル
72 ブレーキブースタ
73 マスタシリンダ
74,75 ブレーキ液圧通路
74a,75a 上流側通路
74b,75b 下流側通路
76 キャリパ
77 ディスク
80,90 電磁弁
100 アイドルストップ用コントロールユニット(エンジン自動停止・始動手段)
200 ヒルホールド用コントロールユニット(制動力保持手段、制動力低減手段)
210 傾斜角センサ(路面勾配関連値検出手段)

Claims (3)

  1. マスタシリンダとホイルシリンダとを結ぶブレーキ液圧通路に電磁弁が設けられ、車両停車時に上記電磁弁を閉状態としてホイルシリンダ側のブレーキ液圧通路に車両の移動を阻止する制動力を保持する制動力保持手段と、車両発進時に上記電磁弁を開状態として上記保持した制動力を低減する制動力低減手段とを有する車両の制動力保持装置であって、上記制動力保持手段は、運転者の制動圧解放操作に伴い制動圧の減圧を許容すると共に、減圧された制動圧がクリープ力による車両の移動を抑制可能な制動圧以下とならないように、車両停車開始時、上記電磁弁に対する制御量をクリープ力による車両の移動を抑制可能な値に予め設定し、かつ、路面勾配に関連する値を検出する路面勾配関連値検出手段が備えられ、上記制動力低減手段は、上記検出手段で路面が上り勾配であると検出されたときは、平坦であると検出されたときに比べて、制動力を低減する速度を小さくし、路面が下り勾配であると検出されたときは、平坦であると検出されたときに比べて、制動力を低減する速度を大きくすることを特徴とする車両の制動力保持装置。
  2. 車両停車時に所定のエンジン停止条件が成立したときはエンジンを自動的に停止させ、その後、所定のエンジン始動条件が成立したときはエンジンを自動的に始動させるエンジン自動停止・始動手段が備えられ、制動力低減手段は、路面勾配関連値検出手段で路面が上り勾配であると検出されたときは、エンジンの自動始動後、クリープ力が車両を移動させることが可能な大きさまで増大したタイミングで、制動力の低減を開始し、路面が平坦であると検出されたとき及び下り勾配であると検出されたときは、エンジンの自動始動と同じタイミングで、制動力の低減を開始することを特徴とする請求項1に記載の車両の制動力保持装置。
  3. 電磁弁は、ブレーキ液圧通路を全開とするか全閉とするオンオフ型の電磁弁であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の制動力保持装置。
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