JP6827679B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、坂道発進補助機能が実装された車両の制御を司る制御装置に関する。
近時の車両には、ヒルホールドまたはヒルスタートアシスト等と呼称される坂道発進補助機能が実装されている(例えば、下記特許文献を参照)。これは、坂路上での停車中、運転者の足がブレーキペダルからアクセルペダルへと踏み換えられる際に、車両がずり下がることのないよう、ブレーキ液圧力を供給する液圧回路上に存在するソレノイドバルブに通電して液圧回路を遮断し、ブレーキ装置に供給された液圧力を保持、以て車両に対する制動力を維持しておくものである。
坂道発進補助機能による車両の制動は、運転者がブレーキペダルから足を離した後一定の時間(約二秒)が経過した、運転者がアクセルペダルを踏んだ、または運転者がパーキングブレーキを作動させたこと等を条件として終了する。
特開2016−068871号公報
手動変速機を搭載したMT(Manual Transmission)車の場合、坂路上で停車している車両の再発進時の運転操作の手順は、以下が原則である。即ち、運転者が右足でブレーキペダルを踏んで車両を制動し、かつ左足でクラッチペダルを踏んでクラッチを切断している状況から、(必要ならば変速機のギヤを操作しパーキングブレーキを解除して)右足をブレーキペダルから離し、その右足でアクセルペダルを踏み込んでエンジン回転数を上昇させ、しかる後アクセルペダルを踏んだまま左足によるクラッチペダルの踏み込みを徐々に緩める。これにより、クラッチをいわゆる半クラッチ状態、即ち滑り摩擦係合状態として、内燃機関側の回転速度と変速機側の回転速度とを合わせてゆく。そして、左足をクラッチペダルから離すことで、クラッチを完全に締結させる。
上掲の手順によれば、ブレーキペダルから足が離れた後、クラッチが係合してエンジントルクを車軸に伝達できるようになるまでの間にタイムラグが生じることになる。クラッチの係合が十分でない状態でブレーキ装置の制動力が消失すると、車両がずり下がるおそれがある。車両のずり下がりを適切に抑止するためには、坂道発進補助機能による車両の制動の終了条件が成立したとしても即時にはブレーキ装置の制動力を解除せず、または終了条件の成立後にブレーキ装置の制動力をゆっくりと減少させることで、クラッチが十分に係合するのを待つ必要がある。
一方で、運転経験を積んだ慣れた運転者は、車両の再発進時、ブレーキペダルから足を離した後すぐに(換言すれば、アクセルペダルを踏むのと同時かそれよりも早く)クラッチペダルの踏み込みを緩め始めることがある。そのような操作が行われると、クラッチが係合するタイミングが早くなり、ブレーキ装置の制動力が消失しても車両がずり下がるおそれが小さくなる。にもかかわらず、車両の制動の終了条件の成立から制動力の解除までの間の遅延時間を長く、または制動力の減少の速度を遅く設定していると、運転者がアクセルペダルを踏み込んでいながら車両の発進をブレーキ装置で制動することとなってしまい、ドライバビリティの低下またはドライブフィーリングの悪化に繋がる。
本発明は、以上の問題に初めて着目してなされたものであり、坂路上での停車後の再発進時の車両のずり下がりの抑止と運転者の意思に合致した発進加速との両立を図ることを所期の目的としている。
本発明では、坂路上で停車している車両を発進させる際に運転者がブレーキペダルから足を離したとしても、少なくとも下記終了条件が成立するまでは車両を制動しているブレーキ装置の制動力を即時には減少させずに維持する制御を実施するものであって、運転者がブレーキペダルから足を離した後一定の時間が経過したこと、運転者がブレーキペダルから足を離した後アクセルペダルの踏込量または車両の駆動源たる内燃機関の出力トルクが所要の閾値まで増大したこと、運転者がパーキングブレーキを作動させたこと、のうちの一つを含む、ブレーキ装置による車両の制動の解除を許可するための終了条件が成立したか否かを判断するとともに、現在のエンジン回転数とともにその回転数の単位時間あたりの変化量を参照して、内燃機関の出力軸と手動変速機の入力軸との間に配設しているクラッチが係合したか否かを判断し、それに応じて前記終了条件が成立してから実際にブレーキ装置の制動力を減少させ始めるまでの遅延時間の長さ、または制動力の単位時間あたりの減少量を調整することとし、前記終了条件が成立してからクラッチが係合したと判断されるまでの期間よりも、クラッチが係合したと判断された後の期間の方が、ブレーキ装置の制動力の単位時間あたりの減少量が大きい車両の制御装置を構成した。
本発明によれば、坂路上での停車後の再発進時の車両のずり下がりの抑止と運転者の意思に合致した発進加速との両立を図ることができる。
本発明の一実施形態における車両用内燃機関及び制御装置の概略構成を示す図。 同実施形態における車両のブレーキアクチュエータの液圧回路の構造を示す図。 同実施形態における車両の駆動系の概略構成を示す図。 同実施形態の車両の制御装置が実行する制御の内容を示すタイミング図。 同実施形態の車両の制御装置が実行する制御の内容を示すタイミング図。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態における車両用内燃機関100の概要を示す。本実施形態における内燃機関100は、火花点火式の4ストロークエンジンであり、複数の気筒1(例えば、三気筒。図1には、そのうち一つを図示している)を具備している。各気筒1の吸気ポート近傍には、燃料を噴射するインジェクタ11を気筒1毎に設けている。また、各気筒1の燃焼室の天井部に、点火プラグ12を取り付けてある。点火プラグ12は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。点火コイルは、半導体スイッチング素子であるイグナイタとともに、コイルケースに一体的に内蔵される。
吸気を供給するための吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、電子スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。
排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化用の三元触媒41を配置している。
外部EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置2は、いわゆる高圧ループEGRを実現するものであり、排気通路4における触媒41の上流側と吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流側とを連通する外部EGR通路21と、EGR通路21上に設けたEGRクーラ22と、EGR通路21を開閉し当該EGR通路21を流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ23とを要素とする。EGR通路21の入口は、排気通路4における排気マニホルド42またはその下流の所定箇所に接続している。EGR通路21の出口は、吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流の所定箇所、具体的にはサージタンク33に接続している。
本実施形態の車両には、その制動時に必要となる操作力、即ちブレーキペダルの踏力を軽減するためのブレーキブースタ5が付帯している。ブレーキブースタ5は、吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流側の部位(または、サージタンク33)から吸気負圧を導き入れ、その負圧を用いてブレーキペダルの踏力を倍力する、この分野では広く知られているものである。ブレーキブースタ5は、負圧を蓄える定圧室と、大気圧が加わる変圧室とを有し、定圧室が負圧管路51を介して吸気通路3に接続している。負圧管路51は、スロットルバルブ32の下流側の吸気負圧を定圧室へと導く。負圧管路51上には、負圧を定圧室内に留め、定圧室に正圧が加わることを防止するためのチェックバルブ52を設けてある。
運転者によりブレーキペダルが操作されていないとき、定圧室と変圧室とが連通し、かつ変圧室が大気圧から隔絶される。ブレーキペダルが操作されると、定圧室と変圧室との間が遮断され、かつ変圧室に大気が導入される。結果、定圧室と変圧室との圧力差が、ブレーキペダルの踏力を倍力する制御圧力となる。ブレーキブースタ5により増幅されたブレーキ踏力は、マスタシリンダ6において液圧力に変換される。マスタシリンダ6が出力するマスタシリンダ圧、即ちマスタシリンダ6が吐出する作動液の圧力は、液圧回路を介して例えばブレーキキャリパ71、73やホイールシリンダ72、74等といったブレーキ装置に伝達され、当該ブレーキ装置71、72、73、74による車両の制動に用いられる。
図2に、本実施形態における車両のブレーキアクチュエータの液圧回路を示す。マスタシリンダ圧は、ブレーキアクチュエータの入力ライン51、52に入力される。入力ライン51、52は、二系統存在する。第一の系統の入力ライン51は、車両の右前輪及び左後輪に付帯するブレーキ装置71、72に接続しており、これらブレーキ装置71、72に液圧力を供給する。第二の系統の入力ライン52は、車両の左前輪及び右後輪に付帯するブレーキ装置73、74に接続しており、これらブレーキ装置73、74に液圧力を供給する。
ブレーキ装置71、72、73、74は、例えば、ディスクブレーキにおいて車輪とともに回転するディスクの両面にパッドを押し付けて制動力を発生させるためのブレーキキャリパ71、73であったり、ドラムブレーキにおいて車輪とともに回転するドラムの内面にシューを押し付けて制動力を発生させるためのホイールシリンダ72、74であったりする。本実施形態では、前輪側にブレーキキャリパ71、73を、後輪側にホイールシリンダ72、74を、それぞれ設けている。
各系統の入力ライン51、52とブレーキ装置71、72、73、74とを繋ぐ液圧回路上には、マスタシリンダカットソレノイドバルブ61、62を配置している。マスタシリンダカットソレノイドバルブ61、62は、電流信号m、nの通電を受けている間は閉止し、通電を受けていない間は開放する。
第一の系統の回路上に存在する第一のマスタシリンダカットソレノイドバルブ61は、閉止することにより、同系統に接続しているブレーキ装置である右前輪ブレーキキャリパ71及び左後輪ホイールシリンダ72に供給された液圧力を維持する役割を担う。第二の系統の回路上に存在する第二のマスタシリンダカットソレノイドバルブ62は、閉止することにより、同系統に接続しているブレーキ装置である左前輪ブレーキキャリパ73及び右後輪ホイールシリンダ74に供給された液圧力を維持する役割を担う。
加えて、液圧回路上には、ABS(Antilock Brake System)を構成するための保持ソレノイドバルブ63及び減圧ソレノイドバルブ64をも配置してある。保持ソレノイドバルブ63は、電流信号oの通電を受けている間は閉止し、通電を受けていない間は開放する。逆に、減圧ソレノイドバルブ64は、電流信号pの通電を受けている間は開放し、通電を受けていない間は閉止する。
これらバルブ63、64の開放/閉止を組み合わせることにより、各ブレーキ装置71、72、73、74に供給される液圧力を調節することが可能である。通常は、保持ソレノイドバルブ63を開放し減圧ソレノイドバルブ64を閉止することで増圧しているが、保持ソレノイドバルブ63を閉止し減圧ソレノイドバルブ64を開放することで減圧を実現できる。リザーバ65は、減圧時にブレーキ装置71、72、73、74から流入するブレーキ液を一時蓄える。電動ポンプ66は、リザーバ65に蓄えられたブレーキ液をマスタシリンダに向けて還流させる。なお、保持ソレノイドバルブ63及び減圧ソレノイドバルブ64の両方を閉止すれば、各ブレーキ装置71、72、73、74に供給された液圧力を保持することもできる。
本実施形態では、車両として、手動変速機300を搭載したMT車を想定している。周知の通り、MT車においては、車両の駆動源となる内燃機関100と車両の車軸(及び、駆動輪)との間に、運転者が変速比(減速比)を手動で変更することのできる手動変速機300が介在している。その上で、内燃機関100の出力軸であるクランクシャフトと、手動変速機300の入力軸との間に、運転者の操作により断接切換が可能なクラッチ200を配設している。運転者がクラッチペダル201を踏むとこのクラッチ200が切断され、内燃機関100の出力する駆動トルクであるエンジントルクが変速機300及び車軸に伝達されなくなる。そして、運転者がクラッチペダル201を踏むのを止めると、再びクラッチ200が接続されて、エンジントルクが変速機300及び車軸に伝達されるようになる。
本実施形態の車両の制御装置たるECU(Electronic Control Unit)0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。
ECU0の入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、内燃機関100のクランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するクランク角センサから出力されるクランク角信号b、アクセルペダルの踏込量またはスロットルバルブ32の開度をアクセル開度(いわば、内燃機関100に対する要求負荷)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、吸気通路3(特に、サージタンク33)内の吸気温及び吸気圧を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号d、内燃機関100の温度を示唆する冷却水温を検出する水温センサから出力される冷却水温信号e、車両が現在所在している路面の勾配や車両の加速度を検出する加速度センサから出力される加速度信号f、吸気カムシャフトまたは排気カムシャフトの複数のカム角にてカム角センサから出力されるカム角信号g、ブレーキペダルの踏込量またはマスタシリンダ圧を検出するセンサから出力されるブレーキ踏量信号h等が入力される。
ECU0の出力インタフェースからは、点火プラグ12のイグナイタに対して点火信号i、インジェクタ11に対して燃料噴射信号j、スロットルバルブ32に対して開度操作信号k、EGRバルブ23に対して開度操作信号l、第一のマスタシリンダカットソレノイドバルブ61に対して閉弁制御信号m、第二のマスタシリンダカットソレノイドバルブ62に対して閉弁制御信号n、保持ソレノイドバルブ63に対して閉弁制御信号o、減圧ソレノイドバルブ64に対して開弁制御信号p等を出力する。
ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関100の運転を制御する。ECU0は、内燃機関100の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、hを入力インタフェースを介して取得し、エンジン回転数及びアクセル開度を知得するとともに気筒1に充填される吸気量を推算する。そして、それらエンジン回転数、アクセル開度及び吸気量等に基づき、吸気量に見合った要求燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、要求EGR率(または、EGR量)、点火タイミング、ブレーキ装置71、72、73、74の制動力等といった各種運転パラメータを決定する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、l、m、n、o、pを出力インタフェースを介して印加する。
本実施形態のECU0は、坂道発進補助機能として、車両が坂路上で停車している状況下で、運転者の足がブレーキペダルからアクセルペダルへと踏み換えられる際の車両のずり下がりを予防するための制御を実施する。具体的には、加速度センサを介して検出される路面の勾配の大きさが所定以上であり、ブレーキペダルが踏まれ、アクセルペダルが踏まれておらず、並びに運転者がパーキングブレーキを作動させていない場合に、第一のマスタシリンダカットソレノイドバルブ61及び/または第二のマスタシリンダカットソレノイドバルブ62に通電してこれを閉弁し、以て液圧回路を遮断して、ブレーキ装置71、72、73、74に供給されている液圧力を保持する。これにより、坂路上で車両がブレーキ装置71、72、73、74により制動された状態となる。
この車両の制動は、運転者がブレーキペダルから足を離した後一定の時間(例えば、約二秒)が経過した、運転者がアクセルペダルを踏んだことで内燃機関100が出力するエンジントルクが所要の閾値まで増大した、または運転者がパーキングブレーキを作動させたこと等を条件として終了する。つまり、上記の何れかの終了条件が成立しない限りはマスタシリンダカットソレノイドバルブ61、62の閉弁を維持しておき、同終了条件が成立した後、閉弁していたマスタシリンダカットソレノイドバルブ61、62を開弁する。マスタシリンダカットソレノイドバルブ61、62の開弁により、ブレーキ装置71、72、73、74に供給された圧液がマスタシリンダ6に向かって流下し始め、ブレーキ液圧力が減少、即ちブレーキ装置71、72、73、74が車両に対して発揮していた制動力が減少し、最終的には消失することとなる。
現在のエンジントルクの大きさは、アクセル開度及びエンジン回転数から推算することできる。車両の制動の終了条件となるエンジントルクの閾値は、路面の勾配が大きいほど大きく設定することが好ましい。なお、エンジントルクが閾値まで増大したことに代えて、アクセル開度が所要の閾値まで拡大したことを以て、車両の制動の終了条件が成立したと判断するようにしてもよい。この場合のアクセル開度の閾値もまた、路面の勾配が大きいほど大きく設定することが好ましい。
停車した車両を再発進させる際、運転者は、原則として、右足をブレーキペダルから離し、その右足でアクセルペダルを踏み込んでエンジン回転数を上昇させた後、左足によるクラッチペダル201の踏み込みを徐々に緩めることで、切断していたクラッチ200を締結しようとする。この操作手順によれば、ブレーキペダルから足が離れた後、クラッチ200が係合してエンジントルクを変速機300ひいては車軸に伝達できるようになるまでの間にタイムラグが生じる。クラッチ200の係合が十分でなく、大きなエンジントルクを伝達できない状態でブレーキ装置71、72、73、74の制動力が消失すると、坂路上で車両がずり下がるおそれがある。
車両のずり下がりを適切に抑止するためには、車両の制動の終了条件が成立したとしても即時にはマスタシリンダカットソレノイドバルブ61、62を開弁せず、及び/または、マスタシリンダカットソレノイドバルブ61、62の開度をゆっくりと拡大させることでブレーキ装置71、72、73、74の制動力の減少の速度を緩やかにする。さすれば、クラッチ200を介して変速機300及び車軸に必要十分な大きさのエンジントルクを伝達できるようになる前に、ブレーキ装置71、72、73、74の制動力が失われてしまうことを回避できる。結果として、車両のずり下がりが防止される。
一方で、運転経験を積んだ慣れた運転者は、停車した車両の再発進時において、右足をブレーキペダルから離した後すぐに、換言すれば右足でアクセルペダルを踏むのと同時かそれよりも早く、左足によるクラッチペダル201の踏み込みを緩めることがある。このような操作は、クラッチ200を可及的速やかに締結して発進しようとする運転者の意思の表れと言える。クラッチ200の係合のタイミングが早くなれば、その分だけ車両がずり下がるおそれが小さくなる。にもかかわらず、車両の制動の終了条件の成立からマスタシリンダカットソレノイドバルブ61、62の開弁までの遅延時間を長く設定し、及び/または、マスタシリンダカットソレノイドバルブ61、62の開度の単位時間あたりの拡大量を小さく設定していると、既にクラッチ200を介して変速機300及び車軸に必要十分な大きさのエンジントルクを伝達できるようになっているにもかかわらず、車両の発進をブレーキ装置71、72、73、74で制動することとなってしまう。運転者から見れば、アクセルペダルを踏み込んでいながらブレーキ装置71、72、73、74に引き摺られる(拘束される)のに等しく、車両のドライバビリティの低下またはドライブフィーリングの悪化となる。
従って、現在クラッチ200がどのような状態にあるか、即ち切断されているのか、滑り摩擦しながら係合しているいわゆる半クラッチ200状態となっているのか、完全に締結されたのかに応じて、マスタシリンダカットソレノイドバルブ61、62の開度を操作することが望ましい。本実施形態のECU0は、現在のエンジン回転数及びその回転数の単位時間あたりの変化量に応じて、クラッチ200の現在の係合の状態を判断する。具体例を挙げると、
・車速が0で、アクセル開度が10%であり、エンジン回転数が4000rpmと高く、エンジン回転数の単位時間あたりの上昇量が大きい急加速のとき:クラッチ200は未係合で切り離されていると判断する
・車速が0で、アクセル開度が10%であり、エンジン回転数が2000rpmとより低くなっており、エンジン回転数の単位時間あたりの下降量が大きい急減速かまたは単位時間あたりの上昇量が小さい緩加速(エンジン回転数の立ち上がりが衰えてきた)のとき:クラッチ200は半クラッチ200状態であると判断する
・車速が2km/hで0ではなく、アクセル開度が10%であり、エンジン回転数が1000rpmとさらに低くなっており、エンジン回転数の単位時間あたりの上昇量または下降量が小さく特段加速も減速もしていないとき:半クラッチ200状態を脱してクラッチ200が完全に締結されたと判断する
というように、現在のクラッチ200の状態を推測する。ECU0のメモリには予め、アクセル開度、エンジン回転数及びその単位時間あたりの変化量と、クラッチ200の係合の状態との関係を規定するマップデータが格納されている、ECU0は、現在のアクセル開度、エンジン回転数及びその単位時間あたりの変化量をキーとして当該マップを検索し、現在のクラッチ200の係合の状態を知得する。
しかして、ECU0は、エンジン回転数及びその単位時間あたりの変化量を基に推測した現在のクラッチ200の状態に応じて、車両の制動の終了条件が成立してから実際にマスタシリンダカットソレノイドバルブ61、62を開き始めるまでの遅延時間の長さ、及び/または、マスタシリンダカットソレノイドバルブ61、62の開度の単位時間あたりの拡大量を調整する。
例えば、図4に示すように、車両の制動の終了条件が成立した、即ちエンジントルクまたはアクセル開度が所要の閾値以上に大きくなった時点t0から、即座にマスタシリンダカットソレノイドバルブ61、62を開弁してブレーキ装置71、72、73、74に印加していたブレーキ液圧力を低減させるのではなく、クラッチ200が半クラッチ200状態となったと判断した時点t1またはt1’以降、マスタシリンダカットソレノイドバルブ61、62を開弁してブレーキ装置71、72、73、74に印加していたブレーキ液圧力を低減させるように制御する。
図4中、実線は、運転者がアクセルペダルを踏み込んだ後クラッチペダル201の踏み込みを緩めるような原則に則った操作を行った場合の推移を示している。この場合、クラッチ200が半クラッチ200状態まで係合される時点t1が比較的遅く、故に車両の制動の終了条件の成立(時点t0)からブレーキ装置71、72、73、74の制動力を減少させ始める(時点t1)までの間の遅延時間を比較的長くとり、坂路上での車両のずり下がりを防止する。
これに対し、鎖線は、運転者がアクセルペダルを踏み込むよりも早くクラッチペダル201の踏み込みを緩める操作を行った場合の推移を示している。この場合には、クラッチ200が半クラッチ200状態まで係合される時点t1’が比較的早くなることから、車両の制動の終了条件の成立(時点t0)からブレーキ装置71、72、73、74の制動力を減少させ始める(時点t1’)までの間の遅延時間を比較的短くして、内燃機関100からクラッチ200及び変速機300を介して車軸に伝達される駆動トルクがブレーキ装置71、72、73、74において浪費されることを回避する。
あるいは、図5に示すように、車両の制動の終了条件が成立した時点t0から、マスタシリンダカットソレノイドバルブ61、62を開弁してブレーキ装置71、72、73、74に印加していたブレーキ液圧力を低減させることとし、その際のマスタシリンダカットソレノイドバルブ61、62の開度の単位時間あたりの拡大量を、クラッチ200が半クラッチ200状態となったと判断される時点t1またはt1’までは比較的小さくし、クラッチ200が半クラッチ200状態となったと判断した時点t1またはt1’以後はより大きくする。つまり、マスタシリンダカットソレノイドバルブ61、62を開き始める時点t0から半クラッチ200状態となる時点t1またはt1’までの期間はブレーキ装置71、72、73、74に印加していたブレーキ液圧力の単位時間あたりの減少量が小さく、半クラッチ200状態となった時点t1またはt1’以後の期間はブレーキ液圧力の単位時間あたりの減少量がより大きくなるように制御する。但し、車両の制動の終了条件が成立した時点t0から所要の遅延時間が経過した後に、マスタシリンダカットソレノイドバルブ61、62を開き始めるようにしても構わない。
図5中、実線は、運転者がアクセルペダルを踏み込んだ後クラッチペダル201の踏み込みを緩めるような原則に則った操作を行った場合の推移を示している。この場合、クラッチ200が半クラッチ200状態まで係合される時点t1が比較的遅く、故にブレーキ装置71、72、73、74の制動力を減少させ始めて(時点t0)からクラッチ200が係合される(時点t1)までの間は制動力の単位時間あたりの減少量を小さくし、坂路上での車両のずり下がりを防止する。
これに対し、鎖線は、運転者がアクセルペダルを踏み込むよりも早くクラッチペダル201の踏み込みを緩める操作を行った場合の推移を示している。この場合、クラッチ200が半クラッチ200状態まで係合される時点t1’が比較的早くなるが、ブレーキ装置71、72、73、74の制動力を減少させ始めて(時点t0)からクラッチ200が係合される(時点t1’)までの間は制動力の単位時間あたりの減少量を小さくし、クラッチ200が係合された(時点t1’)後は制動力の単位時間あたりの減少量を大きくすることにより、内燃機関100から車軸に伝達される駆動トルクがブレーキ装置71、72、73、74において浪費されることを回避する。
本実施形態では、坂路上で停車している車両を発進させる際に運転者がブレーキペダルから足を離したとしても車両を制動しているブレーキ装置71、72、73、74の制動力を即時には減少させずに維持する制御を実施するものであって、現在のアクセルペダルの踏込量または現在内燃機関100が出力しているエンジントルクの大きさに基づき、ブレーキ装置71、72、73、74による車両の制動の解除を許可するための終了条件が成立したか否かを判断するとともに、現在のエンジン回転数及びその回転数の単位時間あたりの変化量に応じて、前記終了条件が成立してから実際にブレーキ装置71、72、73、74の制動力を減少させ始めるまでの遅延時間の長さを調整し、及び/または、ブレーキ装置71、72、73、74の制動力の単位時間あたりの減少量を調整する車両の制御装置0を構成した。
本実施形態によれば、坂路上での停車後の再発進時の車両のずり下がりの抑止と運転者の意思に合致した発進加速との両立を図ることが可能となる。また、内燃機関100からクラッチ200及び変速機300を介して車軸に伝達される駆動トルクがブレーキ装置71、72、73、74で制動されながら車両が微速前進するような引き摺りを回避でき、燃料の浪費が抑制される。
現在のクラッチ200の状態を検出するセンサ、または運転者によるクラッチペダル201の踏込量を検出するクラッチスイッチを設置することは不要であり、コストの低減に資する。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、制動力を制御する対象となるブレーキ装置は、ディスクブレーキのブレーキキャリパ71、73やドラムブレーキのホイールシリンダ72、74には限定されず、坂路上で停車した車両のずり下がりを抑止し得る制動力を発揮できるものであればどのような態様のものであっても構わない。
その他各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は、坂道発進補助機能が実装された車両の制御に適用できる。
0…制御装置(ECU)
100…内燃機関
200…クラッチ
300…変速機
61、62…マスタシリンダカットソレノイドバルブ
71、72、73、74…ブレーキ装置(ブレーキキャリパ、ホイールシリンダ)
a…車速信号
b…クランク角信号
c…アクセル開度信号
f…加速度信号
m、n…閉弁制御信号

Claims (1)

  1. 坂路上で停車している車両を発進させる際に運転者がブレーキペダルから足を離したとしても、少なくとも下記終了条件が成立するまでは車両を制動しているブレーキ装置の制動力を即時には減少させずに維持する制御を実施するものであって、
    運転者がブレーキペダルから足を離した後一定の時間が経過したこと、運転者がブレーキペダルから足を離した後アクセルペダルの踏込量または車両の駆動源たる内燃機関の出力トルクが所要の閾値まで増大したこと、運転者がパーキングブレーキを作動させたこと、のうちの一つを含む、ブレーキ装置による車両の制動の解除を許可するための終了条件が成立したか否かを判断するとともに、
    現在のエンジン回転数とともにその回転数の単位時間あたりの変化量を参照して、内燃機関の出力軸と手動変速機の入力軸との間に配設しているクラッチが係合したか否かを判断し、それに応じて前記終了条件が成立してから実際にブレーキ装置の制動力を減少させ始めるまでの遅延時間の長さ、または制動力の単位時間あたりの減少量を調整することとし、
    前記終了条件が成立してからクラッチが係合したと判断されるまでの期間よりも、クラッチが係合したと判断された後の期間の方が、ブレーキ装置の制動力の単位時間あたりの減少量が大きい車両の制御装置。
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