JP2020142756A - 液圧制御ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】液圧維持制御において、ホイールシリンダの液圧をより低い値で適切に維持する。【解決手段】マスタシリンダとホイールシリンダとを連通させる主流路、ホイールシリンダのブレーキ液を逃がす副流路、主流路のうち副流路のマスタシリンダ側端部よりマスタシリンダ側に設けられ電磁力で動作する主弁体及び主弁座部を有する電磁弁、及びホイールシリンダの液圧維持制御を行う制御装置を備え、電磁弁は、主弁座部が設けられ主流路の一部を形成する第1流路、第1流路の主弁座部よりマスタシリンダ側と第1流路の主弁座部よりホイールシリンダ側とを接続する第2流路、第2流路に設けられホイールシリンダ側からマスタシリンダ側へブレーキ液が流れることを制限する副弁体及び副弁座部、及び副弁体を副弁座部側に付勢する付勢部材を有し、主弁体により主弁座部が開放されている開放状態で副弁座部は副弁体により塞がれている、車両用の液圧制御ユニット。【選択図】図2

Description

本発明は、液圧制御ユニットに関する。
従来、車両用のブレーキシステムにおいて、ホイールシリンダの液圧を維持する制御(以下、液圧維持制御とも称する)が知られている。例えば、特許文献1には、登板路での停車後の再発進時に液圧維持制御を行うことにより、車両のずり下がりを抑制する方法が開示されている。
特開2018−122698号公報
上記のような液圧維持制御は、マスタシリンダとホイールシリンダとを接続するブレーキ液流路に設けられている特定の電磁弁を制御することにより実現される。ここで、当該電磁弁には、電磁力で動作する主弁体及び主弁座部とは別に、ホイールシリンダ側からマスタシリンダ側へブレーキ液が流れることを制限する副弁体及び副弁座部が設けられている。副弁体及び副弁座部が設けられることにより、主弁座部が主弁体により塞がれた状態で主弁体が移動不能となった場合であっても、マスタシリンダ側からホイールシリンダ側へブレーキ液を流すことができ、車両を制動させることが可能となっている。液圧維持制御が行われる場合には、当該電磁弁の主弁座部が主弁体により塞がれることにより、ホイールシリンダ側の液圧による力で副弁体が副弁座部側に押し付けられる。それにより、副弁座部が副弁体により塞がれる。
ところで、近年、上記のような液圧維持制御において、ホイールシリンダの液圧をより低い値で維持することが求められている。例えば、より低い車速でもアダプティブクルーズコントロールを禁止せずに作動させ続ける要求があり、アダプティブクルーズコントロール中の液圧維持制御において、ホイールシリンダの液圧をより低い値で維持することが求められている。しかし、ホイールシリンダの液圧を低い値に維持しようとした場合、副弁体を副弁座部側に押し付ける液圧による力が小さいため、副弁体と副弁座部との間での液密性が低下し、副弁座部を介してブレーキ液がマスタシリンダ側に逃げやすくなる。したがって、ホイールシリンダの液圧を低い値に維持することが困難となる。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、液圧維持制御において、ホイールシリンダの液圧をより低い値で適切に維持することが可能な、新規かつ改良された液圧制御ユニットを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、車両用のブレーキシステムの液圧制御ユニットであって、前記液圧制御ユニットは、マスタシリンダとホイールシリンダとを連通させる主流路と、前記主流路に接続され、前記ホイールシリンダのブレーキ液を逃がす副流路と、前記副流路に接続され、前記副流路にブレーキ液を供給する供給流路と、前記主流路のうち前記副流路の前記マスタシリンダ側端部より前記マスタシリンダ側に設けられ、電磁力で動作する主弁体及び主弁座部を有する電磁弁と、前記主弁体により前記主弁座部が塞がれた閉鎖状態において、前記ホイールシリンダの液圧を維持する制御を行う制御装置と、を備え、前記電磁弁は、前記主弁座部が設けられ、前記主流路の一部を形成する第1流路と、前記第1流路の前記主弁座部より前記マスタシリンダ側と前記第1流路の前記主弁座部より前記ホイールシリンダ側とを接続する第2流路と、前記第2流路に設けられ、前記ホイールシリンダ側から前記マスタシリンダ側へブレーキ液が流れることを制限する副弁体及び副弁座部と、を有し、前記電磁弁には、前記副弁体を前記副弁座部側に付勢する付勢部材が設けられ、前記主弁体により前記主弁座部が開放されている開放状態において、前記副弁座部は、前記副弁体により塞がれている、液圧制御ユニットが提供される。
以上説明したように本発明によれば、液圧維持制御において、ホイールシリンダの液圧をより低い値で適切に維持することができる。
本発明の実施形態に係る液圧制御ユニットが適用されるブレーキシステムの概略構成を示す模式図である。 第1弁の概略構成を説明するための部分拡大断面図である。 第1弁が閉鎖状態である場合の副弁体の動作を説明するための図である。 第1弁が開放状態である場合の副弁体の動作を説明するための図である。 主弁座部が主弁体により塞がれた状態で主弁体が移動不能となったときにブレーキペダルが踏み込まれた場合の副弁体の動作を説明するための図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.ブレーキシステムの構成>
まず、図1を参照しながら、本発明の実施形態に係る液圧制御ユニットが適用されるブレーキシステムの構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る液圧制御ユニットが適用されるブレーキシステムの概略構成を示す模式図である。
図1に示されるように、ブレーキシステム1は、ブレーキ操作入力部としてのブレーキペダル16と、エンジンの負圧等を利用してブレーキペダル16の踏力を増幅する倍力装置17と、倍力装置17を介してブレーキペダル16と接続され、ブレーキペダル16と連動して往復動するピストンを内蔵するマスタシリンダ11と、マスタシリンダ11に付設されているリザーバ10と、各車輪の液圧ブレーキ18a,18b,18c,18dにそれぞれ設けられるホイールシリンダ12、ブレーキパッド19及びロータ20と、マスタシリンダ11とホイールシリンダ12とを接続するブレーキ液流路に設けられる液圧制御ユニット50とを備える。図1に示される例では、ブレーキシステム1は、四輪車両に搭載されている。なお、ブレーキシステム1が搭載される対象は、四輪車両に特に限定されず、二輪車両又はそれ以外の車両であってもよい。
液圧制御ユニット50は、マスタシリンダ11とホイールシリンダ12とを連通させる主流路13と、主流路13に接続され、ホイールシリンダ12のブレーキ液を逃がす副流路14と、副流路14に接続され、副流路14にブレーキ液を供給する供給流路15と、制御装置100とを備える。さらに、液圧制御ユニット50は、マスタシリンダ圧センサ48と、ホイールシリンダ圧センサ49とを備える。
主流路13には、込め弁31が設けられている。副流路14は、主流路13のうち込め弁31に対するホイールシリンダ12側とマスタシリンダ11側との間をバイパスする。副流路14には、ホイールシリンダ12側から順に、弛め弁32と、アキュムレータ33と、逆止弁71と、ポンプ34と、ダンパ72と、絞り弁73と、逆止弁74とが設けられている。主流路13のうち副流路14のマスタシリンダ11側端部よりマスタシリンダ11側には、第1弁35が設けられている。供給流路15は、マスタシリンダ11と、副流路14のうちのポンプ34の吸込側との間を連通させる。供給流路15には、第2弁36が設けられている。なお、第1弁35が本発明に係る電磁弁の一例に相当する。
込め弁31は、例えば、非通電状態で開放され、通電状態で閉鎖される電磁弁である。弛め弁32は、例えば、非通電状態で閉鎖され、通電状態で開放される電磁弁である。第1弁35は、例えば、非通電状態で開放され、通電状態で閉鎖される電磁弁である。第2弁36は、例えば、非通電状態で閉鎖され、通電状態で開放される電磁弁である。
アキュムレータ33は、副流路14を介して供給されるブレーキ液の圧力に応じて容積を変化させながら、ブレーキ液を蓄積し、又は副流路14へ放出する。逆止弁71は、ポンプ34の吸入側からアキュムレータ33側へブレーキ液が流れることを制限する。ポンプ34は、モータにより駆動され、ブレーキ液を逆止弁71側から吸入し、ダンパ72側へ吐出する。ダンパ72は、液圧制御ユニット50の内部におけるブレーキ液の流量の変化に伴う振動又は振動音を低減する機能を有する。絞り弁73は、ポンプ34から供給されてくるブレーキ液の流量を調整可能である。逆止弁74は、副流路14のマスタシリンダ11側の端部の側から絞り弁73側へブレーキ液が流れることを制限する。
マスタシリンダ圧センサ48は、マスタシリンダ11の液圧を検出し、検出結果を出力する。ホイールシリンダ圧センサ49は、ホイールシリンダ12の液圧を検出し、検出結果を出力する。
制御装置100は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)及びCPUの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等で構成される。
制御装置100は、込め弁31、弛め弁32、ポンプ34、第1弁35及び第2弁36に対して動作指令を出力し、込め弁31、弛め弁32、ポンプ34、第1弁35及び第2弁36の動作を制御する。
例えば、通常時(つまり、後述されるアダプティブクルーズコントロール等の車両制御が実行されていない時)には、制御装置100によって、込め弁31が開放され、弛め弁32が閉鎖され、第1弁35が開放され、第2弁36が閉鎖される。その状態で、ブレーキペダル16が操作されると、マスタシリンダ11のピストンが押し込まれてホイールシリンダ12の液圧が増加し、ブレーキパッド19がロータ20に押し付けられて、車輪に制動力が生じる。
ここで、制御装置100は、込め弁31、弛め弁32、ポンプ34、第1弁35及び第2弁36の動作を制御することにより、ホイールシリンダ12の液圧を増加させる制御(以下、増圧制御とも称する)、ホイールシリンダ12の液圧を維持する制御(以下、液圧維持制御とも称する)、及びホイールシリンダ12の液圧を減少させる制御(以下、減圧制御とも称する)を行うことができる。
例えば、制御装置100は、込め弁31が開放され、弛め弁32が閉鎖され、第1弁35が閉鎖され、第2弁36が開放された状態にし、その状態で、ポンプ34を駆動することにより、増圧制御を行う。それにより、車輪に生じる制動力が増加する。
また、例えば、制御装置100は、上記の状態からポンプ34を停止することにより、液圧維持制御を行う。それにより、車輪に生じる制動力が維持される。
また、例えば、制御装置100は、上記の状態から第1弁35が開放された状態にすることにより、減圧制御を行う。それにより、車輪に生じる制動力が減少する。
なお、制御装置100が増圧制御、減圧制御及び液圧維持制御を行う方法は、上記の例に特に限定されない。例えば、制御装置100は、込め弁31が閉鎖され、弛め弁32が開放され、第1弁35が開放され、第2弁36が閉鎖された状態にし、その状態で、ポンプ34を駆動することにより、減圧制御を行ってもよい。また、例えば、通電量に応じて弁の開度が調整される比例制御弁が第1弁35として適用される場合、制御装置100は、込め弁31が開放され、弛め弁32が閉鎖され、第2弁36が開放され、ポンプ34が駆動された状態にし、その状態で、第1弁35の開度を調整する。それにより、増圧制御においてホイールシリンダ12の液圧を容易に調整することができる。
制御装置100は、このように、込め弁31、弛め弁32、ポンプ34、第1弁35及び第2弁36の動作を制御することにより、上述した増圧制御、液圧維持制御及び減圧制御を行い、車輪に生じる制動力を制御することができる。それにより、例えば、前走車両との車間距離を維持しつつ車両を走行させるアダプティブクルーズコントロールを実行することができる。また、制御装置100は、液圧維持制御を行い、車輪に生じる制動力を維持することにより、例えば、登板路での停車後の再発進時に車両のずり下がりを抑制するヒルホールド制御及び車両が降板路を走行している際に車両の速度を一定に維持する速度維持制御を実行することができる。
ここで、本実施形態に係る液圧制御ユニット50によれば、第1弁35を適切に構成することによって、液圧維持制御において、ホイールシリンダ12の液圧をより低い値で適切に維持することができる。以下、このような第1弁35の構成について詳細に説明する。
<2.第1弁の構成>
図2を参照しながら、本実施形態に係る液圧制御ユニット50が備える第1弁35の構成について説明する。図2は、第1弁35の概略構成を説明するための部分拡大断面図である。具体的には、図2では、第1弁35のうちブレーキ液が流通するブレーキ液流路の周囲の構成が示されている。
図2に示されるように、第1弁35は、主弁体301と、主弁座部302と、第1流路311と、第2流路312と、副弁体321と、副弁座部322と、付勢部材323とを備える。さらに、第1弁35は、嵌合部324と、第1ポート341と、第2ポート342とを備える。
第1ポート341は、第1弁35におけるブレーキ液の出入口であり、主流路13のうち第1弁35に対してマスタシリンダ11側と接続される。第2ポート342は、第1弁35におけるブレーキ液の出入口であり、主流路13のうち第1弁35に対してホイールシリンダ12側と接続される。
第1流路311は、第1ポート341と第2ポート342とを接続し、主流路13の一部を形成する。第1流路311には、主弁座部302が設けられる。第2流路312は、第1流路311の主弁座部302よりマスタシリンダ11側と第1流路311の主弁座部302よりホイールシリンダ12側とを接続する。
主弁体301は、電磁力で動作する。具体的には、第1弁35には図示しない電磁コイルが設けられており、電磁コイルに電流が流されることにより発生する電磁力により主弁体301が動作する。電磁コイルに電流が流されていない非通電状態から電磁コイルに電流が流されている通電状態になると、主弁体301が主弁座部302側に移動し、主弁体301により主弁座部302が塞がれる。具体的には、主弁座部302には、第1流路311のうち第1ポート341側と第2ポート342側とを連通させる開口302aが設けられており、主弁体301が主弁座部302側に移動することにより開口302aが塞がれる。一方、通電状態から非通電状態になると、主弁体301が主弁座部302とは逆側に移動し、主弁体301により主弁座部302が開放される。図2に示される例では、通電状態における主弁体301の位置が二点鎖線で表され、非通電状態における主弁体301の位置が実線で表されている。主弁体301により主弁座部302が塞がれた状態である閉鎖状態は、上述した第1弁35が閉鎖された状態に相当し、主弁体301により主弁座部302が開放された状態である開放状態は、上述した第1弁35が開放された状態に相当する。
副弁体321及び副弁座部322は、第2流路312に設けられ、ホイールシリンダ12側からマスタシリンダ11側へブレーキ液が流れることを制限する。
副弁体321は、ホイールシリンダ12側の液圧により副弁体321に加えられる力と、マスタシリンダ11側の液圧により副弁体321に加えられる力と、付勢部材323により副弁体321に加えられる力との関係により移動する。副弁体321は、基本的には副弁座部322を塞いでいる。具体的には、副弁座部322には、第2流路312のうち第1ポート341側と第2ポート342側とを連通させる開口322aが設けられており、副弁体321が副弁座部322に押し当てられることより開口322aが塞がれている。副弁体321は、後述するように、主弁座部302が主弁体301により塞がれた状態で主弁体301が移動不能となったときにブレーキペダル16が踏み込まれることにより、副弁座部322とは逆側に移動する。それにより、副弁座部322が副弁体321により塞がれた状態から開放される。このような副弁体321の動作については、後述にて詳細に説明する。
副弁体321の副弁座部322側には、副弁座部322に挿通される凸部が形成されている。副弁体321が副弁座部322側へ移動する際に、副弁体321が予定された副弁体321の移動方向に対して傾斜しかけると、当該凸部が副弁座部322の内壁と接触し、副弁体321が傾斜することが抑制される。それにより、副弁座部322に対する副弁体321の姿勢が適切に保たれた状態で、副弁体321と副弁座部322とが接触する。したがって、副弁体321と副弁座部322との間での液密性が低下するおそれを低減することができる。
副弁体321の材質は特に限定されないが、副弁体321と副弁座部322との間での液密性を向上する観点では、副弁体321のうち副弁座部322と接触する部分は、樹脂製であることが好ましい。例えば、副弁体321は、樹脂製のシール部材325を有し、シール部材325が副弁座部322と接触する。シール部材325は、具体的には、オーリングである。それにより、副弁体321が副弁座部322側に移動し副弁座部322と接触した際に、シール部材325が副弁座部322の形状に合わせて弾性変形し、副弁体321と副弁座部322との間での液密性が向上する。
また、副弁座部322の材質は特に限定されないが、副弁体321と副弁座部322との間での液密性を向上する観点では、副弁座部322のうち副弁体321と接触する部分は、樹脂製であることが好ましい。それにより、副弁体321が副弁座部322側に移動し副弁座部322と接触した際に、副弁座部322が副弁体321の形状に合わせて弾性変形し、副弁体321と副弁座部322との間での液密性が向上する。
付勢部材323は、副弁体321を副弁座部322側に付勢する。付勢部材323は、例えば、第1弁35の内壁326と副弁体321との間に設けられるコイルばねである。付勢部材323は、例えば、耐油性及び耐熱性を有する材料(例えば、ピアノ線)から形成されるのが好ましい。
嵌合部324は、第1弁35の内壁326に形成され、付勢部材323と嵌合される。具体的には、嵌合部324は、付勢部材323の内側に嵌合される。それにより、付勢部材323の位置及び姿勢の変化が制限され、副弁体321と副弁座部322と付勢部材323との間の位置姿勢関係が適正に保たれる。したがって、副弁体321が副弁座部322側へ移動する際に、副弁座部322に対する副弁体321の位置及び姿勢が適切に保たれた状態で、副弁体321と副弁座部322とが接触する。ゆえに、副弁体321と副弁座部322との間での液密性が低下するおそれを低減することができる。
<3.副弁体の動作>
続いて、図3〜図5を参照しながら、副弁体321の動作について説明する。
図3は、第1弁35が閉鎖状態である場合の副弁体321の動作を説明するための図である。上述したように、液圧維持制御が行われる場合、第1弁35は、閉鎖状態となっている。第1弁35が閉鎖状態である場合、副弁体321に対してマスタシリンダ11側の液圧よりホイールシリンダ12側の液圧が大きくなる。それにより、副弁体321には副弁体321を副弁座部322側に押し付ける液圧による力F20が加えられる。
ところで、従来の液圧維持制御において、ホイールシリンダ12の液圧を比較的低い値で維持する場合、力F20が副弁体321と副弁座部322との間での液密性を長時間維持することができる程度の値に満たず、副弁体321と副弁座部322との間での液密性が短時間で低下し、副弁座部322を介してブレーキ液がマスタシリンダ11側に逃げやすくなることがある。ここで、長時間とは、液圧維持制御において副弁体321と副弁座部322との間での液密性を維持することが求められる時間をいう。上記のような場合、ホイールシリンダ12の液圧を長時間維持することが困難となる。
ここで、本実施形態に係る液圧制御ユニット50では、第1弁35に付勢部材323が設けられているため、副弁体321には副弁体321を副弁座部322側に付勢する力F10が加えられる。力F10は、例えば、付勢部材323がコイルばねである場合、コイルばねによる復元力に相当する。この場合、副弁体321が力F10と力F20とを足し合わせた力によって副弁座部322側に押し付けられるので、ホイールシリンダ12の液圧が比較的低い場合であっても、副弁体321と副弁座部322との間での液密性が向上し、副弁座部322を介してブレーキ液がマスタシリンダ11側に逃げることが抑制される。したがって、ホイールシリンダ12の液圧をより低い値で長時間維持することができる。つまり、液圧維持制御において、ホイールシリンダ12の液圧をより低い値で適切に維持することができる。
図4は、第1弁35が開放状態である場合の副弁体321の動作を説明するための図である。第1弁35が開放状態である場合、副弁体321に対してマスタシリンダ11側の液圧とホイールシリンダ12側の液圧とが同一となるので、副弁体321には液圧による力が加えられない。ここで、付勢部材323の自然長は、副弁体321が副弁座部322と接触している状態において、副弁体321を副弁座部322側に付勢する力F10を発生させる程度の長さとなっている。それにより、第1弁35の開放状態においても、副弁体321は、力F10によって副弁座部322側に付勢される。つまり、第1弁35の開放状態において、副弁座部322は、副弁体321により塞がれる。このように、本実施形態に係る液圧制御ユニット50では、付勢部材323の自然長を適切な長さとすることにより、ホイールシリンダ12の液圧が比較的低い場合であっても、副弁体321と副弁座部322との間での液密性が向上し、副弁座部322を介してブレーキ液がマスタシリンダ11側に逃げることが抑制される。
図5は、主弁座部302が主弁体301により塞がれた状態で主弁体301が移動不能となったときにブレーキペダル16が踏み込まれた場合の副弁体321の動作を説明するための図である。主弁座部302が主弁体301により塞がれた状態で主弁体301が移動不能となったときにブレーキペダル16が踏み込まれると、副弁体321に対してマスタシリンダ11側の液圧がホイールシリンダ12側の液圧より大きくなる。それにより、副弁体321には副弁体321を副弁座部322とは逆側に押し付ける液圧による力F30が加えられる。ここで、副弁体321を副弁座部322側に付勢する力F10を決定する付勢部材323の機械特性(例えば、付勢部材323がコイルばねである場合、ばね定数及び自然長等)は、力F10が力F30の最大値(例えば、車両の緊急時にブレーキペダル16が急激に踏み込まれることによって副弁体321に加えられる力)よりも小さくなるように選定されている。したがって、力F30が力F10よりも大きい場合、副弁体321は、力F30から力F10を減じた力によって副弁座部322とは逆側に押され、副弁座部322とは逆側に移動する。それにより、副弁座部322が副弁体321により開放される。ゆえに、主弁座部302が主弁体301により塞がれた状態で主弁体301が移動不能となった場合であっても、ブレーキペダル16が踏み込まれることによってマスタシリンダ11側からホイールシリンダ12側へブレーキ液を流すことができ、車両を制動させることができる。
<4.液圧制御ユニットの効果>
続いて、本実施形態に係る液圧制御ユニット50の効果について説明する。
本実施形態に係る液圧制御ユニット50は、電磁力で動作する主弁体301及び主弁座部302を有する第1弁35と、ホイールシリンダ12の液圧を維持する制御を行う制御装置100とを備える。また、第1弁35は、ホイールシリンダ12側からマスタシリンダ11側へブレーキ液が流れることを制限する副弁体321及び副弁座部322を有する。また、第1弁35には、副弁体321を副弁座部322側に付勢する付勢部材323が設けられる。それにより、液圧維持制御において、副弁体321は、副弁体321を副弁座部322側に付勢する付勢部材323による力F10と、副弁体321を副弁座部322側に押し付ける液圧による力F20とを足し合わせた力によって副弁座部322側に押し付けられる。したがって、ホイールシリンダ12の液圧が比較的低い場合であっても、副弁体321と副弁座部322との間での液密性が向上し、副弁座部322を介してブレーキ液がマスタシリンダ11側に逃げることが抑制される。ゆえに、ホイールシリンダ12の液圧をより低い値で長時間維持することができる。つまり、液圧維持制御において、ホイールシリンダ12の液圧をより低い値で適切に維持することができる。
好ましくは、液圧制御ユニット50では、制御装置100は、前走車両との車間距離を維持しつつ車両を走行させるアダプティブクルーズコントロールを実行し、アダプティブクルーズコントロールにおいてホイールシリンダ12の液圧を維持する制御が行われる。アダプティブクルーズコントロール中の液圧維持制御では、ホイールシリンダ12の液圧をより低い値で維持することが求められている。したがって、アダプティブクルーズコントロールを実行する制御装置を備える液圧制御ユニットとして、本実施形態にかかる液圧制御ユニット50を適用することにより、液圧維持制御において、ホイールシリンダ12の液圧をより低い値で適切に維持する効果を有効に活用することができる。
好ましくは、液圧制御ユニット50では、副弁体321のうち副弁座部322と接触する部分は、樹脂製である。それにより、副弁体321が副弁座部322側に移動し副弁座部322と接触した際に、副弁体321を副弁座部322の形状に合わせて変形させ、副弁体321と副弁座部322との間での液密性をより向上させることができる。
好ましくは、液圧制御ユニット50では、副弁座部322のうち副弁体321と接触する部分は、樹脂製である。それにより、副弁体321が副弁座部322側に移動し副弁座部322と接触した際に、副弁座部322を副弁体321の形状に合わせて変形させ、副弁体321と副弁座部322との間での液密性をより向上させることができる。
好ましくは、液圧制御ユニット50では、付勢部材323は、第1弁35の内壁326と副弁体321との間に設けられるコイルばねであり、第1弁35の内壁326には、コイルばねと嵌合される嵌合部324が形成される。それにより、副弁体321と副弁座部322と付勢部材323との間の位置姿勢関係が適正に保たれる。したがって、副弁座部322に対する副弁体321の位置及び姿勢が適切に保たれた状態で、副弁体321と副弁座部322とが接触する。ゆえに、副弁体321と副弁座部322との間での液密性が低下するおそれを低減することができる。
好ましくは、液圧制御ユニット50では、副弁体321の副弁座部322側には、副弁座部322に挿通される凸部が形成されている。それにより、副弁体321が傾斜することが抑制される。したがって、副弁座部322に対する副弁体321の姿勢が適切に保たれた状態で、副弁体321と副弁座部322とが接触する。ゆえに、副弁体321と副弁座部322との間での液密性が低下するおそれを低減することができる。
<5.むすび>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、液圧制御ユニット50の構成は、上記実施形態及び図面の例に特に限定されない。例えば、上記実施形態では、供給流路15に設けられる対象が第2弁36である例について説明したが、上記供給流路15に設けられる対象は、調圧リザーバであってもよい。また、例えば、上記実施形態では、副流路14にダンパ72、絞り弁73及び逆止弁74が設けられる構成について説明したが、副流路14には、ダンパ72、絞り弁73及び逆止弁74の一部又は全部が設けられなくてもよい。
また、例えば、第1弁35の構成は、上記実施形態及び図面の例に特に限定されない。例えば、上記実施形態では、副弁体321のうち副弁座部322と接触する部分が副弁体321とは別部材から形成される例について説明したが、副弁体321のうち副弁座部322と接触する部分が副弁体321と一体形成されてもよい。また、例えば、上記実施形態では、副弁座部322のうち副弁体321と接触する部分が副弁座部322と一体形成されている例について説明したが、副弁座部322のうち副弁体321と接触する部分が副弁座部322とは別部材から形成されてもよい。
また、例えば、上記実施形態では、嵌合部324が付勢部材323の内側に嵌合される例について説明したが、嵌合部324は、付勢部材323の外側に嵌合されてもよい。嵌合部324が付勢部材323の外側に嵌合される場合、嵌合部324の形状は、例えば、筒状に形成される。なお、嵌合部324の形状は、筒状に特に限定されず、副弁体321と副弁座部322と付勢部材323との間の位置姿勢関係を適正に保つことが可能な形状であればよい。
また、例えば、上記実施形態では、副弁体321の副弁座部322側に凸部が形成されている例について説明したが、副弁体321の形状は、このような例に特に限定されない。副弁体321の形状は、例えば、副弁座部322とは逆側に進むにつれて拡径する円錐形状であってもよく、略球体の形状であってもよい。
1・・・ブレーキシステム、11・・・マスタシリンダ、12・・・ホイールシリンダ、13・・・主流路、14・・・副流路、15・・・供給流路、16・・・ブレーキペダル、31・・・込め弁、32・・・弛め弁、34・・・ポンプ、35・・・第1弁、36・・・第2弁、50・・・液圧制御ユニット、100・・・制御装置、301・・・主弁体、302・・・主弁座部、311・・・第1流路、312・・・第2流路、321・・・副弁体、322・・・副弁座部、323・・・付勢部材、324・・・嵌合部、326・・・内壁

Claims (6)

  1. 車両用のブレーキシステム(1)の液圧制御ユニット(50)であって、
    前記液圧制御ユニット(50)は、
    マスタシリンダ(11)とホイールシリンダ(12)とを連通させる主流路(13)と、
    前記主流路(13)に接続され、前記ホイールシリンダ(12)のブレーキ液を逃がす副流路(14)と、
    前記副流路(14)に接続され、前記副流路(14)にブレーキ液を供給する供給流路(15)と、
    前記主流路(13)のうち前記副流路(14)の前記マスタシリンダ(11)側端部より前記マスタシリンダ(11)側に設けられ、電磁力で動作する主弁体(301)及び主弁座部(302)を有する電磁弁(35)と、
    前記主弁体(301)により前記主弁座部(302)が塞がれた閉鎖状態において、前記ホイールシリンダ(12)の液圧を維持する制御を行う制御装置(100)と、
    を備え、
    前記電磁弁(35)は、
    前記主弁座部(302)が設けられ、前記主流路(13)の一部を形成する第1流路(311)と、
    前記第1流路(311)の前記主弁座部(302)より前記マスタシリンダ(11)側と前記第1流路(311)の前記主弁座部(302)より前記ホイールシリンダ(12)側とを接続する第2流路(312)と、
    前記第2流路(312)に設けられ、前記ホイールシリンダ(12)側から前記マスタシリンダ(11)側へブレーキ液が流れることを制限する副弁体(321)及び副弁座部(322)と、
    を有し、
    前記電磁弁(35)には、前記副弁体(321)を前記副弁座部(322)側に付勢する付勢部材(323)が設けられ、
    前記主弁体(301)により前記主弁座部(302)が開放されている開放状態において、前記副弁座部(322)は、前記副弁体(321)により塞がれている、
    液圧制御ユニット(50)。
  2. 前記制御装置(100)は、前走車両との車間距離を維持しつつ前記車両を走行させるアダプティブクルーズコントロールを実行し、前記アダプティブクルーズコントロールにおいて前記ホイールシリンダ(12)の液圧を維持する制御が行われる、
    請求項1に記載の液圧制御ユニット(50)。
  3. 前記副弁体(321)のうち前記副弁座部(322)と接触する部分は、樹脂製である、
    請求項1又は2に記載の液圧制御ユニット(50)。
  4. 前記副弁座部(322)のうち前記副弁体(321)と接触する部分は、樹脂製である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の液圧制御ユニット(50)。
  5. 前記付勢部材(323)は、前記電磁弁(35)の内壁(326)と前記副弁体(321)との間に設けられるコイルばねであり、
    前記電磁弁(35)の内壁(326)には、前記コイルばねと嵌合される嵌合部(324)が形成される、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の液圧制御ユニット(50)。
  6. 前記副弁体(321)の前記副弁座部(322)側には、前記副弁座部(322)に挿通される凸部が形成されている、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の液圧制御ユニット(50)。
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