JP2000001529A - リサイクル性エラストマー - Google Patents
リサイクル性エラストマーInfo
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Abstract
に起こすことができ、耐熱性に優れ、コールドフロー性
が低く、リサイクル容易なエラストマー、およびこれに
用いることができる原料エラストマーの提供。 【解決手段】共役ジエン構造とジエノフィル構造からデ
ィールス−アルダー反応によって形成される架橋構造を
有するエラストマー。
Description
ジエノフィル構造からディールス−アルダー反応によっ
て形成される架橋構造を有するエラストマーに関し、詳
しくは、温度変化により架橋構造の形成と崩壊を可逆的
に起こしうるエラストマーに関する。
がビスマレイミド存在下、100℃で架橋し、140℃
で解架橋が起こることが知られている(米国特許第3,
435,003号明細書)。また、シクロペンタジエン
を含むブチルゴムが室温で架橋し、無水マレイン酸存在
下、加熱することにより解架橋が起こり、エチレンプロ
ピレンゴムの場合にも、150℃で架橋し、170℃で
解架橋が起こることが知られている(J.Polym.
Sci.,Polym.Chem.Ed.,17(19
79)p.2039、J.Polym.Sci.,Po
lym.Chem.Ed.,17(1979)p.20
55、米国特許第4,138,441号明細書)。シク
ロペンタジエンを持つ共重合体でも熱可逆性が見出され
ている(米国特許第3,826,760号明細書)。オ
キサゾリジンやフランをつけたポリマーが熱可逆架橋性
を示すことも知られている(Macromolecul
es,1990,23,p.2636.)。フラン骨格
を有する樹脂は数多く知られており、これらにディール
ス−アルダー反応によりビスジエノフィルを結合させて
架橋させること、および得られた架橋体を加熱して脱架
橋させることについても知られている(Macromo
lecules,1998,31,p.314.)。
は、樹脂ポリマーにおける架橋−脱架橋が知られている
が、エラストマーについてはこのような技術思想がな
い。即ち、側鎖にヘテロ原子を含む共役ジエン構造を有
するエラストマーは知られておらず、側鎖に共役ジエン
構造を有するエラストマーにディールス−アルダー反応
により2つ以上のジエノフィルを有する化合物を結合さ
せて架橋させ、また、得られた架橋体を加熱して脱架橋
させた例はない。また、側鎖にジエノフィル構造を有す
るエラストマーは知られておらず、該エラストマーにデ
ィールス−アルダー反応により2つ以上の共役ジエンを
有する化合物を結合させて架橋させ、また、得られた架
橋体を加熱して脱架橋させた例はない。本発明は、温度
変化により架橋構造の形成と崩壊を可逆的に起こすこと
ができ、耐熱性に優れ、コールドフロー性が低く、リサ
イクル容易なエラストマー、およびこれに用いることが
できる原料エラストマーを提供することを課題とする。
エン構造とジエノフィル構造からディールス−アルダー
反応によって形成される架橋構造を有するエラストマー
を提供する。
ー(A)であって、該共役ジエン構造がヘテロ原子を含
む共役ジエン構造であるエラストマー(A)を提供す
る。
ラン骨格を有する共役ジエン構造であるのが好ましい。
ー(A)および2つ以上のジエノフィル構造を有する化
合物(B)を含有するエラストマー組成物を提供する。
前記エラストマー組成物を構成する前記エラストマー
(A)は特に限定されないが、前記共役ジエン構造がヘ
テロ原子を含む共役ジエン構造であるのが好ましく、フ
ラン骨格を有する共役ジエン構造であるのがより好まし
い。温度の調節により、架橋・脱架橋反応を起こさせ
て、該エラストマー組成物((A)+(B))と下記エ
ラストマー(C)との転換を自由に行うことができる。
エノフィル構造を有する化合物(B)により架橋されて
なるエラストマー(C)を提供する。前記エラストマー
(C)を構成する前記エラストマー(A)は特に限定さ
れないが、前記共役ジエン構造がヘテロ原子を含む共役
ジエン構造であるのが好ましく、フラン骨格を有する共
役ジエン構造であるのがより好ましい。
構造を有する化合物(D)を含有するエラストマー組成
物を提供する。
物(B)と共役ジエン構造を有する化合物(D)との反
応物(E)および前記エラストマー(A)を含有するエ
ラストマー組成物を提供する。前記エラストマー組成物
を構成する前記エラストマー(A)は特に限定されない
が、前記共役ジエン構造がヘテロ原子を含む共役ジエン
構造であるのが好ましく、フラン骨格を有する共役ジエ
ン構造であるのがより好ましい。温度の調節により、架
橋・脱架橋反応を起こさせて、該エラストマー組成物
((E)+(A))と上記エラストマー組成物((C)
+(D))との転換を自由に行うことができる。また、
化合物(D)を系外に除いてエラストマー(C)を得る
ことができる。
ーに、メルカプト基を有するフラン化合物を反応させる
ことを特徴とする前記エラストマー(A)の製造方法を
提供する。
マー(A′)を提供する。
有する構造であるのが好ましい。
の共役ジエン構造を有する化合物(B′)を含有するエ
ラストマー組成物を提供する。温度の調節により、架橋
・脱架橋反応を起こさせて、該エラストマー組成物
((A′)+(B′))と下記エラストマー(C′)と
の転換を自由に行うことができる。
共役ジエン構造を有する化合物(B′)により架橋され
てなる請求項1に記載のエラストマー(C′)を提供す
る。
ィル構造を有する化合物(D′)を含有するエラストマ
ー組成物を提供する。
(B′)とジエノフィル構造を有する化合物(D′)と
の反応物(E′)および前記エラストマー(A′)を含
有するエラストマー組成物を提供する。温度の調節によ
り、架橋・脱架橋反応を起こさせて、該エラストマー組
成物((E′)+(A′))と上記エラストマー組成物
((C′)+(D′))との転換を自由に行うことがで
きる。また、化合物(D′)を系外に除いてエラストマ
ー(C′)を得ることができる。
る。
構造からディールス−アルダー反応によって形成される
架橋構造を有するエラストマーを提供する。前記エラス
トマーは、共役ジエン構造およびジエノフィル構造の一
方を有する原料エラストマーと他方を2つ以上有する化
合物とがディールス−アルダー反応によって架橋してな
る。即ち、前記エラストマーの例として、側鎖に共役ジ
エン構造を有するエラストマー(A)が、2つ以上のジ
エノフィル構造を有する化合物(B)により架橋されて
なるエラストマー(C)、および、側鎖にジエノフィル
構造を有するエラストマー(A′)が、2つ以上の共役
ジエン構造を有する化合物(B′)により架橋されてな
るエラストマー(C′)が挙げられる。
エラストマーについて説明する。本発明に用いられる原
料エラストマーは、側鎖に共役ジエン構造を有するエラ
ストマー(A)または側鎖にジエノフィル構造を有する
エラストマー(A′)である。即ち、エラストマー
(A)は、エラストマーの側鎖に共役ジエンを有し、エ
ラストマー(A′)は、エラストマーの側鎖にジエノフ
ィル構造を有する。
ジエンおよび環状共役ジエンを用いることができるが、
熱等に対する安定性が優れるため、環状共役ジエンが好
ましい。本発明に用いられる共役ジエンを第1表に列記
する。
C2 H5 、C3 H7 、C6 H5 、F、Cl、Brおよび
Iからなる群から選ばれる基を表し、それぞれ同じであ
っても異なっていてもよい。) なかでも、ヘテロ原子を有するもの、特にフラン骨格を
有するものを好適に使用することができる。
応で、ジエンと付加的に反応して環式化合物を与える不
飽和化合物である。本発明に用いられるジエノフィル
は、特に限定されない。本発明に用いられるジエノフィ
ルを第2表に列記する。
しているエラストマーは、特に限定されず、主鎖にオレ
フィン構造を有するものまたは有しないもののいずれも
用いることができる。主鎖にオレフィン構造を有するエ
ラストマーは、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム、イ
ソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエ
ンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、アクリロ
ニトリル−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴ
ム、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエン、液状ス
チレン−ブタジエンゴム、液状ポリクロロプレンが挙げ
られる。主鎖にオレフィン構造を有しないエラストマー
は、例えば、1,2−ポリブタジエンゴム、エチレン−
プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アク
リルゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリ
コーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、液状1,2−
ポリブタジエン、液状シリコーンゴム、液状フッ素ゴム
を用いることができる。なかでも、主鎖にオレフィン構
造を有するものが好ましい。
(A′)の製造方法は、特に限定されない。例えば、下
記式(I)に表されるように、主鎖にオレフィン構造を
有するエラストマーにメルカプト基を有するフラン化合
物を反応させる方法を用いて、エラストマー(A)を得
ることができる。
および2つ以上のジエノフィル構造を有する化合物
(B)を含有するエラストマー組成物、ならびに、前記
エラストマー(A′)および2つ以上の共役ジエン構造
を有する化合物(B′)を含有するエラストマー組成物
を提供する。化合物(B)が有するジエノフィルは、前
述した化合物(A′)に用いられるジエノフィルを用い
ることができ、化合物(B′)が有する共役ジエンは、
前述した化合物(A)に用いられる共役ジエンを用いる
ことができる。
以上のジエノフィル構造を有するので、第2表に列記さ
れたジエノフィルのうち、2つ以上が結合している化合
物であれば特に限定されず、ポリマーであってもよい。
化合物(B)の有する2つ以上のジエノフィル構造は、
同一であっても、異なっていてもよい。具体的には、例
えば、ビスマレイミド等のビスジエノフィル、トリマレ
イミド等のトリジエノフィルが挙げられる。ビスマレイ
ミドは、下記式(II)に表されるものを好適に用いるこ
とができる。なかでも、4,4′−ビスマレイミドジフ
ェニルメタンが特に好適に用いられる。
7 、F、Cl、BrおよびIからなる群から選ばれる基
を表し、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
また、Xは、第3表に列記する群から選ばれる基を表
し、第3表中、pおよびqは1以上の整数を表す。)
つ以上の共役ジエン構造を有するので、第1表に列記さ
れた共役ジエンのうち、2つ以上が結合している化合物
であれば特に限定されない。化合物(B′)の有する2
つ以上の共役ジエン構造は、同一であっても、異なって
いてもよい。
マー(A)と化合物(B)の含有量またはエラストマー
(A′)と化合物(B′)の含有量は、エラストマー
(A)が側鎖に有する共役ジエン構造1当量またはエラ
ストマー(A′)が側鎖に有するジエノフィル構造1当
量に対して、化合物(B)の有するジエノフィル構造ま
たは化合物(B′)の有する共役ジエン構造が0.01
〜1.5当量とするのが好ましく、0.1〜1.0当量
とするのがより好ましい。
が、前記化合物(B)により架橋されてなるエラストマ
ー(C)、および、前記エラストマー(A′)が、前記
化合物(B′)により架橋されてなるエラストマー
(C′)を提供する。エラストマー(C)においては、
エラストマー(A)が側鎖に有する共役ジエン構造と化
合物(B)の有するジエノフィル構造とが、ディールス
−アルダー反応で結合している。その結果、エラストマ
ー(C)は、エラストマー(A)が化合物(B)により
架橋されたかたちとなっている。エラストマー(C′)
においても同様のことがいえる。
(A)と化合物(B)の比率またはエラストマー
(C′)中のエラストマー(A′)と化合物(B′)の
比率は、エラストマー(A)が側鎖に有する共役ジエン
構造1当量またはエラストマー(A′)が側鎖に有する
ジエノフィル構造1当量に対して、化合物(B)の有す
るジエノフィル構造または化合物(B′)の有する共役
ジエン構造が0.01〜1.5当量とするのが好まし
く、0.1〜1.0当量とするのがより好ましい。
(C′)には、本発明の目的を損なわない範囲で、その
他の添加剤、例えば、各種安定剤、難燃剤、帯電防止
剤、着色剤、充填剤等を製造中にまたは製造後に添加す
ることができる。
ジエン構造を有する化合物(D)を含有するエラストマ
ー組成物とすることもでき、前記エラストマー(C′)
およびジエノフィル構造を有する化合物(D′)を含有
するエラストマー組成物とすることもできる。
特に限定されず、鎖状共役ジエンおよび環状共役ジエン
を用いることができる。化合物(D)には、第1表に列
記した共役ジエンが好適に用いられる(第1表中、R1
〜R6 は、H、CH3 、C2H5 、C3 H7 、C
6 H5 、F、Cl、BrおよびIからなる群から選ばれ
る基を表し、それぞれ同じであっても異なっていてもよ
い。)。これらは、エラストマー(C)を構成するエラ
ストマー(A)の側鎖に結合しているジエンと同じであ
っても、異なっていてもよい。なかでも、フラン、チオ
フェン、シクロヘキサジエン等が好適に用いられる。エ
ラストマー(C)と化合物(D)の含有量は、特に限定
されない。ジエノフィル構造を有する化合物(D′)
は、第2表に列記したジエノフィルが好適に用いられ
る。これらは、エラストマー(C′)を構成するエラス
トマー(A′)の側鎖に結合しているジエノフィルと同
じであっても、異なっていてもよい。
定されないが、例えばエラストマー(A)、化合物
(B)および必要に応じてその他の添加剤と2軸押出
機、バンバリミキサー、ニーダー等を用いて、加熱下、
混練して製造する方法を用いることができる。エラスト
マー(C′)も同様である。架橋温度は特に限定されな
いが、フラン骨格を有するエラストマーとビスマレイミ
ドを用いる場合は、50〜100℃で行うことができ
る。エラストマー(C)の脱架橋は、温度は特に限定さ
れないが、フラン骨格を有するエラストマーとビスマレ
イミドを用いる場合は、100〜180℃、好ましくは
130℃±10℃で行うことができる。
下記式(III)である。 (A)+(B)→(C) (III) 上記式(III)に例示されるディールス−アルダー反応
は、可逆反応であり、架橋体であるエラストマー(C)
は、加熱により逆(レトロ)ディールス−アルダー反応
を起こして、エラストマー(A)と化合物(B)に解離
(脱架橋)する(式(IV))。 (A)+(B)←(C) (IV)
共役ジエン構造を有する化合物(D)を含有するエラス
トマー組成物を加熱下に混練すると、脱架橋反応が起こ
り、化合物(B)と化合物(D)との反応物(E)およ
びエラストマー(A)を含有する組成物を生じる(式
(V))。 (C)+(D)→(E)+(A) (V) 逆に、反応物(E)およびエラストマー(A)を含有す
る組成物を加熱下に混練すると、架橋反応が起こり、エ
ラストマー(C)および共役ジエン構造を有する化合物
(D)を含有するエラストマー組成物を生じる(式(V
I))。 (C)+(D)←(E)+(A) (VI) 上記式(V)および(VI)の反応は、必要に応じてトル
エン等の溶媒の存在下で行うことができる。
(V)および(VI)を具体的に例示したものを下記式
(VII)に表す。
共役ジエン構造とジエノフィル構造からディールス−ア
ルダー反応によって形成される架橋構造を有するエラス
トマーとしてエラストマー(C)を用いたものである
が、エラストマー(C′)についても同様の反応が起こ
る。
は、上記式(III)および(IV)の反応に比べて反応速度
が速いので、エラストマー(C)の使用時に化合物
(D)を用いることにより、架橋構造の形成と崩壊を速
く起こさせることができる。エラストマー(C′)につ
いても同様である。
するが、本発明はこれらに限られるものではない。(1)エラストマー(A1)の調製(フラン骨格の導
入) 液状ブタジエンゴム(Polyoil130、ヒュルス
社製)15.52g(ブタジエンユニットについて0.
287mol)に、フルフリルメルカプタン16.38
g(0.144mol)および2,2 ′−アゾビスイソ
ブチロニトリル1.18g(0.00718mol)を
加え、窒素雰囲気下、60℃で24時間かくはんした。
反応溶液をメタノールに沈殿させ、減圧乾燥することに
より側鎖にフラン骨格を有するエラストマー(A1)を
得た。液状ブタジエンゴムおよび得られたエラストマー
(A1)について、 1H NMRスペクトルを測定した
(図1および図2)。図2においては、図1にみられな
いフラン骨格の水素に由来するシグナル(図2中のg、
h、iおよびj)の発生が見られる一方、液状ブタジエ
ンゴム主鎖中の二重結合炭素に結合している水素に由来
するシグナル(図2中のb)が小さくなっている。これ
により、側鎖にフラン骨格が導入されていることが確認
された。エラストマー(A1)におけるフラン骨格の導
入率は、ブタジエンユニットに対して、23%であっ
た。
ールス−アルダー反応による架橋) エラストマー(A1)2.39g(フルフリル基につい
て6.9mmol)をトルエン(5mL)に溶解し、
4,4′−ビスマレイミドジフェニルメタン0.24g
(0.69mmol)を加え、60℃でかくはんした。
架橋反応が進むにつれて粘度が高くなり、数時間後には
かくはんが不可能となり、さらに4時間後には完全にゲ
ル状となったエラストマー(C1)が得られた。エラス
トマー(A1)および得られたエラストマー(C1)に
ついて、IRスペクトルを測定した(図3および図
4)。図4において生成した1715cm-1のピークよ
り、エラストマー(A1)と4,4′−ビスマレイミド
ジフェニルメタンが結合していることが確認された。
橋) ゲル状のエラストマー(C1)をフラン溶媒に加え、1
10℃でかくはんした。1時間後、ゲル状のエラストマ
ー(C1)は溶解し、均一な溶液となった。この溶液を
メタノールに沈殿させ、乾燥物を得た。得られた乾燥物
について、 1H NMRスペクトルを測定した(図
5)。図5と図2の比較より、得られた乾燥物が(1)
項で得られたエラストマー(A1)であることが確認さ
れた。一方、溶液中には、4,4′−ビスマレイミドジ
フェニルメタンのフラン付加体(E1)が確認された。
また、エラストマー(C1)について示差走査熱量測定
(DSC)を行ったところ、106℃付近から脱架橋に
よる吸熱ピークが観測され(図6)、熱重量測定分析
(TGA)でも110℃付近からの重量減少が観測され
たことより(図7)、脱架橋が行われたことが確認され
た。
橋後の再架橋) (3)項の脱架橋により生成した4,4′−ビスマレイ
ミドジフェニルメタンのフラン付加体(E1)とエラス
トマー(A1)の溶液を130℃に加熱してフラン溶媒
を気化させ、ゲル状物を得た。得られたゲル状物につい
て、IRスペクトルを測定し、エラストマー(A1)と
4,4′−ビスマレイミドジフェニルメタンの架橋体、
すなわちエラストマー(C1)であることを確認した。
これは、フラン溶媒の気化時に4,4′−ビスマレイミ
ドジフェニルメタンのフラン付加体(E1)からフラン
が解離して生じた4,4′−ビスマレイミドジフェニル
メタンと、エラストマー(A1)の側鎖が反応したこと
によると推定された。
可逆反応であり、温度を変化させることにより、何度で
も繰り返し行わせることができた。
溶媒の系) 第4表に示される量比で、(1)項で得られたエラスト
マー(A1)に4,4′−ビスマレイミドジフェニルメ
タンを加え、140℃で1時間かくはんし、室温中に放
置して冷却し、完全にゲル状となったエラストマー(C
2)を得た。エラストマー(A1)および得られたエラ
ストマー(C2)について、IRスペクトルを測定し、
エラストマー(A1)と4,4′−ビスマレイミドジフ
ェニルメタンが結合していることを確認した。ゲル状の
エラストマー(C2)を150℃で1時間かくはんした
ところ、ゲル状のエラストマー(C2)は溶解し、均一
なエラストマー(A1)の溶液となった。その後冷却し
て溶液がゲル化を開始した温度を脱架橋温度とした。即
ち、溶液を冷却する際、脱架橋温度より高い温度におい
ては、脱架橋した状態(架橋していない状態)にある。
ゲル化を開始した溶液をさらに冷却して、溶液が流動性
を失い、ゴム状のエラストマー(C2)になったときの
温度を再架橋温度とした。無溶媒の系における脱架橋温
度と再架橋温度を第4表に示す。なお、実施例1におい
ては、溶液を冷却して再架橋させてもゴム状までには至
らず、ゲル状物が得られた。
構造からディールス−アルダー反応によって形成される
架橋構造を有するエラストマーは、通常のエラストマー
に比べて耐熱性が高く、コールドフロー性が低い。ま
た、前記エラストマーは、温度変化を与えることによ
り、脱架橋して流動性を持ったり、再架橋してゲル状に
なったりする。この転換は可逆的に何度でも行うことが
できるので、リサイクルが可能である。従って、前記エ
ラストマーをホットメルト接着剤に配合すると、リサイ
クル性を向上させることができる。また、室温ではコー
ルドフローを起こす樹脂やゴムに前記エラストマーを配
合すると、押出時の流れ防止や、コールドフローを防止
することができる。従って、前記エラストマーは、樹脂
やゴムの流れ防止剤として好適に用いることができ、接
着剤の改質剤として有用である。さらに、前記エラスト
マーは、共役ジエン構造を有する化合物またはジエノフ
ィル構造を有する化合物の存在により、温度変化による
架橋・脱架橋の速度を速くすることができるので、各用
途において作業性等を改善することもできる。
ラストマー(C)の原料等として、本発明が提供するエ
ラストマー(A)、ならびに、前記エラストマー(A)
および2つ以上のジエノフィル構造を有する化合物
(B)を含有するエラストマー組成物は好適である。同
様に、前記エラストマーの1態様であるエラストマー
(C′)の原料等として、本発明が提供するエラストマ
ー(A′)、ならびに、前記エラストマー(A′)およ
び2つ以上のジエノフィル構造を有する化合物(B′)
を含有するエラストマー組成物は好適である。
ルを示す図である。
トルを示す図である。
す図である。
す図である。
ある。
である。
ある。
Claims (14)
- 【請求項1】共役ジエン構造とジエノフィル構造からデ
ィールス−アルダー反応によって形成される架橋構造を
有するエラストマー。 - 【請求項2】側鎖に共役ジエン構造を有するエラストマ
ー(A)であって、該共役ジエン構造がヘテロ原子を含
む共役ジエン構造であるエラストマー(A)。 - 【請求項3】前記ヘテロ原子を含む共役ジエン構造がフ
ラン骨格を有する共役ジエン構造である請求項2に記載
のエラストマー(A)。 - 【請求項4】側鎖に共役ジエン構造を有するエラストマ
ー(A)または請求項2もしくは3に記載のヘテロ原子
を含む共役ジエン構造を有するエラストマー(A)およ
び2つ以上のジエノフィル構造を有する化合物(B)を
含有するエラストマー組成物。 - 【請求項5】側鎖に共役ジエン構造を有するエラストマ
ー(A)または請求項2もしくは3に記載のヘテロ原子
を含む共役ジエン構造を有するエラストマー(A)が、
2つ以上のジエノフィル構造を有する化合物(B)によ
り架橋されてなる請求項1に記載のエラストマー
(C)。 - 【請求項6】請求項5に記載のエラストマー(C)およ
び共役ジエン構造を有する化合物(D)を含有するエラ
ストマー組成物。 - 【請求項7】2つ以上のジエノフィル構造を有する化合
物(B)と共役ジエン構造を有する化合物(D)との反
応物(E)および側鎖に共役ジエン構造を有するエラス
トマー(A)または請求項2もしくは3に記載のヘテロ
原子を含む共役ジエン構造を有するエラストマー(A)
を含有するエラストマー組成物。 - 【請求項8】主鎖にオレフィン構造を有するエラストマ
ーに、メルカプト基を有するフラン化合物を反応させる
ことを特徴とする請求項3に記載のエラストマー(A)
の製造方法。 - 【請求項9】側鎖にジエノフィル構造を有するエラスト
マー(A′)。 - 【請求項10】前記ジエノフィル構造がマレイミド骨格
を有する構造である請求項9に記載のエラストマー
(A′)。 - 【請求項11】請求項9または10に記載のエラストマ
ー(A′)および2つ以上の共役ジエン構造を有する化
合物(B′)を含有するエラストマー組成物。 - 【請求項12】請求項9または10に記載のエラストマ
ー(A′)が、2つ以上の共役ジエン構造を有する化合
物(B′)により架橋されてなる請求項1に記載のエラ
ストマー(C′)。 - 【請求項13】請求項12に記載のエラストマー
(C′)およびジエノフィル構造を有する化合物
(D′)を含有するエラストマー組成物。 - 【請求項14】2つ以上の共役ジエン構造を有する化合
物(B′)とジエノフィル構造を有する化合物(D′)
との反応物(E′)および請求項9または10に記載の
エラストマー(A′)を含有するエラストマー組成物。
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