JP2002121228A - 架橋性組成物、架橋型樹脂およびその脱架橋型樹脂 - Google Patents
架橋性組成物、架橋型樹脂およびその脱架橋型樹脂Info
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Abstract
よびそれを加熱し脱架橋して得られる脱架橋型樹脂を提
供する。 【解決手段】 ビニル系単量体と特定の構造からなるジ
(メタ)アクリレートとラジカル発生剤とからなる架橋
性組成物、それを重合・架橋して得られる架橋型樹脂、
およびそれに含まれる3級アルコールに起因するエステ
ル結合を加熱切断し脱架橋して得られる脱架橋型樹脂。
Description
から得られる架橋型樹脂およびそれを加熱して得られる
リサイクル容易な脱架橋型樹脂に関する。
性樹脂に比べ、耐溶剤性、耐熱性等に優れる利点があ
る。例えば、メタクリル系樹脂は、透明性および耐候性
に優れているため、照明材料、光学材料、ディスプレ
イ、装飾部材、建築材料、温室用波板、人工大理石等の
分野に使用されているが、メタクリル系樹脂の耐溶剤
性、耐熱性を向上させるために、メタクリル系樹脂を架
橋型とすることが知られている。架橋型樹脂を製造する
方法として、スチレンやメチルメタクリレートのような
ビニル系単量体をジエチレングリコールジ(メタ)アク
リレート等のジ(メタ)アクリレートを架橋剤として用
い、その存在下でラジカル重合する方法が知られてい
る。
号、p65、1970年には、メチルメタクリレートお
よびスチレンの重合の際に、架橋剤としてジエチレング
リコールジメタクリレート、テトラエチレングリコール
ジメタクリレートのようなエチレングリコール誘導体に
起因するエステルを有するジメタクリレートを用いて架
橋型樹脂を製造する方法が開示されている。
は、メチルメタクリレートを主成分とするビニル系単量
体の重合の際に、架橋剤として1,6−ヘキサンジオー
ルジ(メタ)アクリレートのような直鎖状のアルカンジ
オールに起因するエステルを有するジ(メタ)アクリレ
ートを用いて架橋型樹脂を製造する方法が開示されてい
る。
用の観点から、樹脂のリサイクルは重要な課題となって
いる。しかしながら、前記従来技術に開示された架橋剤
を用いて得られる架橋型樹脂は不溶不融であることに加
え、加熱により脱架橋することが困難であるために、使
用後に有効に処理または再利用することが困難であっ
た。
術の存在する問題点に着目してなされたものである。そ
の目的とするところは、架橋性組成物それから得られる
架橋型樹脂およびそれを加熱して得られるリサイクル容
易な脱架橋型樹脂を提供するものである。
を達成するために鋭意検討した結果、3級アルコールに
起因するエステル結合を有するジ(メタ)アクリレート
を架橋剤として用いることにより、架橋型樹脂が容易に
得られ、かつそれを加熱することにより容易に脱架橋で
きることを見出し、本発明を完成した。
記式(1)に示すジ(メタ)アクリレートとラジカル発
生剤とからなる架橋性組成物である。
2は、炭素数1〜11の直鎖または分岐のアルキレン基
を表す。)
単量体の重合体をさらに含む第1の発明の架橋性組成物
である。第3の発明は、ビニル系単量体がメチルメタク
リレートを主体とする単量体である第1または第2の発
明の架橋性組成物である。
組成物を重合・架橋して得られる架橋型樹脂である。第
5の発明は、第4の発明の架橋型樹脂に含まれる3級ア
ルコールに起因するエステル結合を加熱切断し脱架橋し
て得られる脱架橋型樹脂である。
いて詳細に説明する。本発明において使用されるビニル
系単量体は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和化合
物であり、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタ
クリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリ
レート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘ
キシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等のメ
タクリル酸エステル類;メチルアクリレート、エチルア
クリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレー
ト、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシル
アクリレート、ラウリルアクリレート等のアクリル酸エ
ステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イ
タコン酸等の不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水
イタコン酸等の酸無水物;2−ヒドロキシエチルアクリ
レート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラ
ヒドロフルフリルアクリレート、モノグリセロールアク
リレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−
ヒドロキシプロピルメタクリレート、テトラヒドロフル
フリルメタクリレート、モノグリセロールメタクリレー
ト等のヒドロキシル基含有単量体;アクリルアミド、メ
タクリルアミド、N−フェニルマレイミド、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミ
ド、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の窒素含有
単量体;アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリ
レート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含
有単量体;ポリエチレングリコールモノメタクリレー
ト、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポ
リエチレングリコールモノアリルエーテルなどのアルキ
レンオキサイド基含有単量体;スチレン、α−メチルス
チレン、p−メチルスチレン、クロルスチレン、t−ブ
チルスチレン等のスチレン系単量体;酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニ
ル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニル
エステル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニ
リデン、エチレン等が挙げられる。なお、これらは単独
または2種以上の組み合わせで使用することができる。
反応性が類似し、比較的均一な網目構造を与えることが
できるため、メチルメタクリレートを主体とする単量体
は好ましいものである。即ち、メチルメタクリレート単
独ないしメチルメタクリレートとさらにそれと共重合可
能な単量体とからなるビニル系単量体混合物であり、該
ビニル系単量体混合物中にメチルメタクリレートを50
重量%以上含むものである。メチルメタクリレートと共
重合可能な単量体としては前記ビニル系単量体から1種
以上が選択される。
げ、成形性をより良好とするのには、ビニル系単量体に
該単量体の重合体をさらに含ませることが好ましい。ビ
ニル系単量体の重合体を含有する該単量体溶液は通常シ
ロップと呼ばれ、ビニル系単量体の重合体を該単量体に
溶解することにより、またはビニル系単量体の重合をあ
る程度まで進行させることにより調製できる。
の重量平均分子量は通常5000〜2000000、好
ましくは10000〜1000000であり、また、含
有量は、通常60重量%以下、好ましくは50重量%以
下である。重量平均分子量が2000000を超えた
り、含有量が60重量%を越えるとシロップの粘度が高
くなりすぎて取り扱いが困難となる傾向にある。
タ)アクリレートは、前記一般式(1)で示される構造
であり、3級アルコールに起因するエステル結合を有す
るジ(メタ)アクリレートである。前記ビニル系単量体
との共重合により架橋体を形成し、架橋剤として作用す
る。前記式(1)において、R2は、炭素数1〜11の
直鎖または分岐のアルキレン基を表し、分岐の様式によ
り、1級および3級アルコールに起因するエステル、2
級および3級アルコールに起因するエステル、2個の3
級アルコールに起因するエステルを有する構造となる。
すると、例えば2−メチル−1,2−プロパンジオール
ジアクリレート、2−メチル−1,2−プロパンジオー
ルジメタクリレート、3−メチル−1,3−ブタンジオ
ールジアクリレート、3−メチル−1,3−ブタンジオ
ールジメタクリレート等の1級および3級アルコールに
起因するエステルを有するジ(メタ)アクリレート;2
−メチル−2,4−ペンタンジオールジアクリレート、
2−メチル−2,4−ペンタンジオールジメタクリレー
ト等の2級および3級アルコールに起因するエステルを
有するジ(メタ)アクリレート;2,3−ジメチル−2,
3−ブタンジオールジアクリレート、2,3−ジメチル
−2,3−ブタンジオールジメタクリレート、2,4−ジ
メチル−2,4−ペンタンジオールジアクリレート、2,
4−ジメチル−2,4−ペンタンジオールジメタクリレ
ート、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジア
クリレート、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオー
ルジメタクリレート、2,7−ジメチル−2,7−オク
タンジオールジアクリレート、2,7−ジメチル−2,
7−オクタンジオールジメタクリレート、2,9−ジメ
チル−2,9−デカンジオールジアクリレート、2,9
−ジメチル−2,9−デカンジオールジメタクリレー
ト、2,11−ジメチル−2,11−ドデカンジオール
ジアクリレート、2,11−ジメチル−2,11−ドデ
カンジオールジメタクリレート等の2個の3級アルコー
ルに起因するエステルを有するジ(メタ)アクリレート
が挙げられる。
ールジアクリレート、2−メチル−2,4−ペンタンジ
オールジメタクリレート、2,5−ジメチル−2,5−ヘ
キサンジオールジアクリレート、2,5−ジメチル−2,
5−ヘキサンジオールジメタクリレートは、架橋反応お
よび脱架橋反応が効率よく進行するので好ましい。
(メタ)アクリレート製造の一般的な方法に従い製造で
きる。例えば、(メタ)アクリル酸クロライドと相当す
るジオールをトリエチルアミンのような塩基の存在下で
エステル化反応させることにより得ることができる。
目的とする架橋度により異なるが、通常ビニル系単量体
100重量部に対して0.5〜100重量部、好ましく
は1〜80重量部である。0.5重量部未満では、架橋
が効果的に進行しない。また、100重量部を超えると
架橋樹脂の強度等の物性が低下する傾向にある。
または光によりラジカル分解し効果的にフリーラジカル
を発生する化合物である。例えば、ジ−t−ブチルペル
オキシド、ジ−t−ヘキシルペルオキシド、ジクミルペ
ルオキシド等のジアルキルペルオキシド類;1,1−ビ
ス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−
ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチ
ルシクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブ
チルペルオキシシクロヘキシル)プロパン等のペルオキ
シケタール類;t−ブチルペルオキシベンゾエート、t
−ヘキシルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオ
キシアセテート、t−ブチルペルオキシラウレート、t
−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノ
エート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブ
チルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキ
シルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチ
ルペルオキシピバレート、t−ヘキシルペルオキシピバ
レート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−
ヘキシルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキ
シネオデカノエート等のペルオキシエステル類;t−ブ
チルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘ
キシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−
ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネー
ト等のモノペルオキシカーボネート類;ベンゾイルペル
オキシド、ラウロイルペルオキシド、3,5,5−トリ
メチルヘキサノイルペルオキシド等のジアシルペルオキ
シド類;ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、
ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エ
チルヘキシルペルオキシジカーボネート等のペルオキシ
ジカーボネート類;2,2’−アゾビスイソブチロニト
リル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニ
トリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4
−メトキシバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シ
クロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス
(2,4,4−トリメチルペンタン)等のアゾ化合物;
ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、キサン
トン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、
4,4’−ビス(N,N’−ジメチルアミノ)ベンゾフェ
ノン、ベンジル、9,10−フェナントラキノン、9,1
0−アントラキノン、α,α−ジメチル-α−ヒドロキシ
アセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニ
ルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチ
ルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾ
インイソブチルエーテル、α,α−ジメトキシ−α−フ
ェニルアセトフェノン、α,α−ジエトキシアセトフェ
ノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−
(O−ベンゾイル)オキシム、ジフェニル(2,4,6−
トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、α−ジメ
チルアミノ−α−エチル−α−ベンジル−3,5−ジメ
チル−4−モルホリノアセトフェノン、3,3’,4,
4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベン
ゾフェノン等の光開始剤が挙げられる。
上を組み合わせて使用することができる。また、反応を
促進するためにナフテン酸コバルト、ジメチルアニリン
等の促進剤を併用することも可能である。これらラジカ
ル発生剤の中で、ラジカル発生速度を容易に制御できる
点から、ペルオキシドやアゾ化合物などの熱分解型ラジ
カル発生剤が好ましいものである。
量体100重量部に対し0.001〜10重量部、好ま
しくは0.01〜5重量部である。0.001重量部未
満では、重合速度が遅く単量体の残存量が増加する傾向
にある。また、10重量部を越えると重合速度の調節が
困難となる傾向にある。
を重合・架橋することにより得られる。重合・架橋と
は、ビニル系単量体と前記架橋剤との共重合により、重
合反応と同時に架橋反応を進行させることを意味する。
そのようにして得られる本発明の架橋型樹脂は、架橋部
位に3級アルコールに起因するエステル結合が導入され
た構造となる。重合・架橋する方法は、前記ラジカル発
生剤が効果的にラジカルを発生するように架橋性組成物
を加熱もしくは紫外光照射すればよい。特に熱分解型ラ
ジカル発生剤の存在下で加熱による方法は、容易に行え
る点で好ましい。
速度で分解する温度であり、通常50〜150℃、好ま
しくは60〜140℃である。50℃未満では重合速度
が遅く単量体の残存量が増加する傾向にある。また、1
50℃を越えると重合速度の調節が困難となる傾向にあ
る。
やビニル系単量体の重合速度を調整するために、例えば
n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタ
ン、t−ドデシルメルカプタン、2−エチルヘキシル−
β−メルカプトプロピオネート、α−メチルスチレン二
量体等の連鎖移動剤を使用することができる。
繊維、ビニロン繊維、炭素繊維等の補強材、炭酸カルシ
ウム、水酸化アルミニウム、クレー等の無機充填剤、離
型剤、紫外線吸収剤、着色剤、安定剤、難燃剤等の添加
物を混合しても差し支えない。
に、成形を同時に行うことにより各種成形体を得ること
ができる。成形法としては、熱硬化性樹脂に対し通常行
われている公知の成形法の全てが適用可能であり、例え
ば注型成形法、圧縮成形法、トランスファー成形法、射
出成形法、押出成形法等が挙げられる。上記成形手段に
よりメタクリル板、浴槽・台所製品用人工大理石等の成
形体を得ることができる。
て得られた架橋型樹脂に含まれる3級アルコールに起因
するエステル結合を加熱切断して得られるリサイクル容
易な樹脂である。3級アルコールに起因するエステル結
合は、通常樹脂本体の分解温度に比べ低くなるため、適
切な温度で加熱することにより選択的にその結合を切断
できる。加熱温度は使用した式(1)に示すジ(メタ)
アクリレートや樹脂本体の種類などにより適宜選択され
るが、通常180〜300℃の温度であり、好ましくは
200〜280℃である。加熱温度が180℃未満では
3級アルコールに起因するエステル結合の切断が生起し
ないか、もしくは効率よく進行しなくなる傾向にある。
また、300℃を越えると解重合等の樹脂本体の分解が
起こり易くなる傾向にあり、樹脂としての再生が困難と
なる。
も完全な脱架橋をする場合だけではなく、部分的に脱架
橋する場合も含んでいる。脱架橋の度合いは加熱温度と
加熱時間により調整し、最適な条件を選択する。脱架橋
度を比較的小さくしたい場合は、温和な条件での脱架
橋、即ち、前記加熱温度範囲の中の比較的低い温度で加
熱処理するか、または高い温度であっても短時間で加熱
処理すればよい。
ば、オーブン中での加熱、プレスによる加圧下での加
熱、混練しながらの加熱等が挙げられる。また、部分的
脱架橋した樹脂を必要とする場合には、架橋樹脂の一部
分だけを加熱するような条件を選択することにより容易
に得ることができる。
成形材料として再利用でき、脱架橋の度合いに応じて種
々の用途に用いることができる。例えば、ほぼ完全に脱
架橋した樹脂は通常熱可塑性樹脂で行われる成形方法、
例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形等により各種
成形品とすることができる。また、その際に他の熱可塑
性樹脂を混合して成形することもできる。一方、脱架橋
度が比較的小さい樹脂は、他の熱可塑性樹脂と溶融混練
して熱可塑性樹脂マトリックス中に微細分散させて各種
成形品とすることができる。また、架橋型樹脂を部分的
に加熱し、脱架橋した部分だけを溶剤洗浄や加工処理す
ることにより取り除くことも可能である。
明をさらに具体的に説明する。なお、各例中の部、%は
特に断らない限り重量部および重量%を示す。また、各
例中の略号は以下の化合物を表している。なお、25D
MA及びHGDMAは参考例1及び参考例2の方法によ
り合成し、25DAは特開平9−52864号公報に記
載の方法に準じて合成した。
ールジメタクリレート、 HGDMA:2−メチル−2,4−ペンタンジオールジ
メタクリレート、 25DA:2,5−ジメチル−2,5−ヘンキサンジオ
ールジアクリレート、 DEGDMA:ジエチレングリコールジメタクリレー
ト、 MMA:メチルメタクリレート。
ラスコに、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオー
ル5g、トリエチルアミン10.4g、塩化メチレン5
0ミリリットルを入れ、攪拌しながら水浴で15℃に保
った。そこに、メタクリル酸クロライド10.8gを1
5分かけて滴下した。滴下終了後、15〜20℃の温度
で攪拌を4時間続けた。
トルと5%塩酸水100ミリリットルを添加し、有機層
を分離した。有機層を5%水酸化ナトリウム水溶液、5
%塩酸水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順序で
洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水した
後、溶媒を減圧下で留去し、8.79gの粗生成物を得
た。これを、シリカゲルカラムにより精製することによ
り無色透明液体を得た。その赤外吸収スペクトル(I
R)および核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)によ
り、得られた化合物は25DMAであることが確認され
た。
ラスコに、2−メチル−2,4−ペンタンジオール5
g、トリエチルアミン12.9g、塩化メチレン50ミ
リリットルを入れ、攪拌しながら水浴で15℃に保っ
た。そこに、メタクリル酸クロライド13.3gを15
分かけて滴下した。滴下終了後、15〜20℃の温度で
攪拌を4時間続けた。反応終了後、加水して溶液を分離
し、有機層を5%水酸化ナトリウム水溶液、5%塩酸
水、水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで脱
水した後、溶媒を減圧下で留去して9.75gの粗生成
物を得た。これを、シリカゲルカラムにより精製するこ
とにより無色透明液体を得た。得られた化合物の赤外吸
収スペクトル(IR)および核磁気共鳴スペクトル( 1
H−NMR)により、得られた化合物はHGDMAであ
ることが確認された。
重合開始剤としてt−ブチルペルオキシベンゾエート
0.1重量部を含有した混合溶液をガラスアンプルに入
れ、窒素置換後封管し、120℃の恒温槽に浸し、5時
間重合を行い重合物を得た。この重合物から約0.1g
の試料を採取し、ベンゼン10ミリリットル中に室温で
一晩浸した結果、試料は膨潤したゲル状となった。さら
に、下式に従って溶解率を求めた結果、溶解率は10%
以下であった。このことから、この重合物は架橋構造を
有しており、耐溶剤性に優れることが確認された。
を採取し、オーブン中で250℃、30分間加熱した
後、上記と同様な溶解性試験を行った。その結果、加熱
後試料の溶解率は100%でありベンゼンに完溶した。
加熱後の試料についてテトラヒドロフラン(THF)を
溶媒として用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー(GPC)により、標準ポリスチレンによる検量線
を用いて分子量を測定した。その結果、重量平均分子量
は31.6万であった。
た。得られた重合体について、実施例1に準じてベンゼ
ンへの溶解性を調べた結果、溶解率は100%でありベ
ンゼンに完溶した。また、GPCにより求めた重量平均
分子量は31.7万であった。
1と同様に試験した。その結果、250℃で加熱前およ
び加熱後の試料ともに溶解率は10%以下であった。
ロイルペルオキシドをMMAに対し0.21重量部およ
び連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン0.3%
(全溶液の容積に対する重量%)を含有した混合溶液を
ガラスアンプルに入れ、窒素置換後封管し、70℃の恒
温槽に浸し、5時間重合を行い重合物を得た。
し、ベンゼン10ミリリットル中に40℃で一晩浸した
結果、試料は膨潤したゲル状となった。さらに、上式に
従って溶解率を求めた結果、溶解率は10%以下であっ
た。このことから、この重合物は架橋構造を有してお
り、耐溶剤性に優れることが確認された。
を採取し、オーブン中で250℃、30分間加熱した
後、上記と同様な溶解性試験を行った。その結果、加熱
後試料の溶解率は100%であり、ベンゼンに完溶し
た。加熱後の試料についてテトラヒドロフラン(TH
F)を溶媒として用い、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンによる
検量線を用いて分子量を測定した。結果を表1に示し
た。
ールジメタクリレート、 HGDMA:2−メチル−2,4−ペンタンジオールジ
メタクリレート、 25DA:2,5−ジメチル−2,5−ヘンキサンジオ
ールジアクリレート、 DEGDMA:ジエチレングリコールジメタクリレー
ト、 MMA:メチルメタクリレート。
した以外は実施例2と同様にして試料を製造し、250
℃で加熱前および加熱後における試料のベンゼンへの溶
解率および加熱後試料の分子量を求めた。結果を表1に
示した。なお、比較例4の場合、加熱後の試料はTHF
に溶解しなかったので分子量の測定はできなかった。
た以外は同様にして試験した。加熱後試料の溶解率を求
めた結果、溶解率は86%であった。ベンゼンに完溶は
しなかったが、部分的な脱架橋による溶解率の向上が認
められた。
MMAシロップ100部にメチルアクリレート1部、2
5DMA5部、n−ドデシルメルカプタン0.1部、t
−ヘキシルペルオキシピバレート0.3部及び少量の離
型剤を添加し、溶解した後真空脱気した。これを2枚の
ガラス板とポリ塩化ビニルのガスケットで作られたキャ
スト用セルに注入し、70℃の水浴中で8時間保持した
後、更に120℃の空気浴で2時間重合させ、厚さ3m
mの樹脂板を得た。
2の方法により溶解率を求めた結果、溶解率は10%以
下であり、得られた樹脂板は耐溶剤性に優れることがわ
かった。次いで、別途樹脂板から試料を採取しオーブン
中で250℃、30分間加熱した後、上記と同様に溶解
率を求めた結果、溶解率は100%でありベンゼンに完
溶した。
実施例7と同様に試験した。250℃で加熱前および加
熱後の試料ともに溶解率は10%以下であった。
溶解性試験より、本発明の架橋性組成物に含まれる架橋
剤は、従来のDEGDMAと同様にスチレン重合の際、
架橋剤として有効に機能して耐溶剤性に優れた架橋型樹
脂を与えることがわかった。また実施例1および比較例
2の加熱後重合物の溶解性試験より、従来の架橋型樹脂
は加熱しても溶剤不溶のままであったが、本発明の架橋
型樹脂は加熱することにより溶剤可溶となることがわか
った。また、その加熱後に得られるものは、実施例1と
比較例1のGPC測定結果から明らかなように、架橋剤
を用いないで得られるポリスチレンと分子量がほぼ一致
しており、架橋型樹脂の架橋部位に含まれる3級アルコ
ールに起因するエステル結合が選択的に切断した結果、
脱架橋し線状高分子となっていることがわかった。即
ち、本発明の架橋型樹脂は単に加熱するだけで再成形容
易な熱可塑性樹脂に変換できることが明かとなった。
り、MMAをビニル系単量体として用いた場合も上記ス
チレンの場合と同様の事実が認められた。実施例7の結
果から明らかなように、比較的低い温度で加熱すること
により部分的な脱架橋が可能であることがわかった。さ
らに、実施例8と比較例5との比較から明らかなよう
に、鋳型に注入後、加熱成形して得た成形体に対しても
本発明の架橋剤を用いて得られた成形体は加熱により容
易に脱架橋できることがわかった。
成物には、ビニル系単量体とラジカル共重合性に優れる
ジ(メタ)アクリレート型の架橋剤が含有されているた
め、耐溶剤性に優れる架橋型樹脂を容易に得ることがで
きる。本発明の架橋型樹脂は前記特性に加え、架橋部位
に樹脂本体の分解温度よりも低い温度で分解する架橋剤
由来の3級アルコールに起因するエステル結合が付与さ
れているため、加熱により樹脂本体を分解することなく
脱架橋することができる。そのようにして得られる脱架
橋型樹脂は、射出成形、押出成形、ブロー成形等により
各種成形品として利用できる。そして、架橋型樹脂を部
分的に加熱し、脱架橋した部分だけを溶剤洗浄や加工処
理することにより取り除くこともできる。さらに、架橋
型樹脂を使用後に有効に処理または再利用できる点で本
発明の価値は極めて大きい。
Claims (5)
- 【請求項1】 ビニル系単量体と下記式(1)に示すジ
(メタ)アクリレートとラジカル発生剤とからなる架橋
性組成物。 【化1】 (式中、R1は、水素原子またはメチル基であり、R
2は、炭素数1〜11の直鎖または分岐のアルキレン基
を表す。) - 【請求項2】 架橋性組成物中にビニル系単量体の重合
体をさらに含む請求項1記載の架橋性組成物。 - 【請求項3】 ビニル系単量体がメチルメタクリレート
を主体とする単量体である請求項1または2記載の架橋
性組成物。 - 【請求項4】 請求項1〜3記載の架橋性組成物を重合
・架橋して得られる架橋型樹脂。 - 【請求項5】 請求項4記載の架橋型樹脂に含まれる3
級アルコールに起因するエステル結合を加熱切断し脱架
橋して得られる脱架橋型樹脂。
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