JP4389357B2 - 架橋剤、架橋樹脂、脱架橋方法およびその再利用方法 - Google Patents

架橋剤、架橋樹脂、脱架橋方法およびその再利用方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有するジメタクリレートからなる架橋剤、それを用いて得られる架橋樹脂、その脱架橋方法および架橋樹脂の再利用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートに代表されるジメタクリレートは、一分子中に二個のラジカル重合性ビニル基を有するため架橋剤として有用である。例えば、高分子化学(第27巻、第297号、65頁、1970年)には、メチルメタクリレートおよびスチレンの重合の際に架橋剤として、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートのようなエチレングリコール誘導体に起因するエステルを有するジメタクリレートを用いる方法が開示されている。
また、特開昭57−167340号公報には、メチルメタクリレートを主成分とするビニル系単量体の重合の際に、架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートのような直鎖状のアルカンジオールに起因するエステルを有するジメタクリレートを用いる方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、地球環境の保全および資源の有効利用の観点から、樹脂のリサイクルは重要な課題となっている。しかしながら、前記架橋剤を用いて得られる架橋樹脂は不溶不融であることに加え、脱架橋させることが困難である。そのため、使用後に有効に処理または再利用することが困難であった。
【0004】
本発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、1分子中に2級および3級アルコールに起因するエステルを有するジメタクリレートからなる架橋剤、それを用いて得られる架橋樹脂、その脱架橋方法および架橋樹脂の再利用方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の構造を有するジメタクリレート、即ち1分子中に2級および3級アルコールに起因するエステルを有するジメタクリレートを用いて得られる架橋樹脂は、加熱により容易に脱架橋できることを見出し本発明を完成した。
【0007】
【化2】
Figure 0004389357
【0008】
の発明は、2−メチル−2,4−ペンタンジオールジメタクリレートからなる架橋剤である。第の発明は、スチレン系単量体、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸の金属塩、不飽和カルボン酸エステル、ビニルエステル類、不飽和グリシジル基含有単量体、アクリロニトリル、アクリルアミド、N−フェニルマレイミド、塩化ビニル及び塩化ビニリデンからなる群から選択される1種または2種以上のビニル系単量体と、前記2−メチル−2,4−ペンタンジオールジメタクリレートとが共重合した架橋樹脂である。第の発明は、架橋樹脂を180〜300℃の温度で加熱することを特徴とする脱架橋方法である。第の発明は、架橋樹脂から架橋結合部位の選択的切断により熱可塑性樹脂を得ることを特徴とする架橋樹脂の再利用方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施形態について詳細に説明する。第1の発明で用いる2−メチル−2,4−ペンタンジオールジメタクリレート(以下、HGDMAと略記する。)は、従来のメタクリレート製造の一般的な方法に従い製造できる。
【0010】
例えば、メタクリル酸クロライドと2−メチル−2,4−ペンタンジオールを塩基の存在下でエステル化反応させることにより得ることができる。
エステル化反応に用いる塩基としては、第三級アミンおよび無機塩基が挙げられる。具体例としては、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。
これらの中では、反応性が高いトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンが好ましい。
【0011】
エステル化反応は通常有機溶媒中で行われる。例えば、塩化メチレン、クロロホルムのようなハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンのような芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、3−メチルペンタン、2−ヘキセン、シクロヘキサン、石油ナフサ、ミネラルスピリット、シェルゾール(シェル化学社製)のような脂肪族炭化水素溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキサイド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0012】
エステル化反応の温度は、通常−10〜80℃、好ましくは0〜60℃である。−10℃未満では反応が十分に進行せず、また、80℃を越えると重合反応等の副反応が起こり易くなる傾向にある。
【0013】
なお上記エステル化反応は、ヒドロキノン、メトキシフェノール等の重合禁止剤の存在下で行ってもよい。
【0014】
反応終了後の精製法は、使用する溶媒や塩基により異なり特に限定はされないが、例えば、水洗、酸水洗、アルカリ水洗、蒸留、シリカゲルカラム等により精製することができる。
【0015】
の発明の架橋剤は、HGDMAからなるものであり、合成品をそのまま、またはエステル化反応で使用可能な有機溶剤、例えば塩化メチレンのようなハロゲン系溶媒、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒、ペンタンのような脂肪族炭化水素溶媒、アセトンのようなケトン系溶媒、酢酸エチルのようなエステル系溶媒、ジエチルエーテルのようなエーテル系溶媒等で希釈した状態で用いることができる。
【0016】
HGDMAは、それが有する2個のビニル基がラジカル付加攻撃を受けることにより、両方のビニル基にポリマー構造単位が形成されるため、結果として架橋剤として有効に作用する。例えば、ビニル系単量体のラジカル重合をHGDMA存在下で行うことにより、ビニル系単量体とHGDMAが共重合して架橋構造を形成することができる。従って、ラジカル反応により架橋構造を形成させる目的に好適に利用できる。
【0017】
前記ビニル系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸、酸無水物およびその金属塩、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、フマル酸エステル、マレイン酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル等の不飽和グリシジル基含有単量体、アクリロニトリル、アクリルアミド、N−フェニルマレイミド、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。これらビニル系単量体は、1種または2種以上が適宜組み合わせて用いられる。
好ましいビニル系単量体としては、HGDMAと共重合しやすいスチレン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0018】
また、本発明のHGDMAは、有機過酸化物のようなラジカル発生剤を用いて樹脂やゴムの架橋を行う際に架橋反応を促進する架橋助剤として使用することもできる。本発明の架橋剤とはこのような架橋助剤としての用途も含んでいる。
架橋助剤として利用可能な樹脂やゴムとしては、例えば、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンスチレンゴム、シリコーンゴム、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、ポリエチレン、エチレンプロピレンコポリマー、エチレンブテンコポリマー、エチレンペンテンコポリマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンプロピレンジエンコポリマー、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレンエチルアクリレートコポリマー、エチレンメチルメタクリレートコポリマー、エチレングリシジルメタクリレートコポリマー、エチレンアクリロニトリルコポリマー等が挙げられる。架橋方法は公知の方法をそのまま利用できる。
【0019】
の発明の架橋樹脂は、ビニル系単量体と架橋剤とをラジカル重合させる際に、架橋剤を2−メチル−2,4−ペンタンジオールジメタクリレートとした架橋樹脂である。ビニル系単量体としては前述と同じものが使用される。
【0020】
架橋剤の使用量は、目的とする架橋度により異なるが、通常ビニル系単量体100重量部に対して通常0.5〜100重量部、好ましくは1〜80重量部である。0.5重量部未満では、架橋が効果的に進行しない。また、100重量部を超えると架橋樹脂の強度等の物性が低下する傾向にある。
【0021】
ラジカル重合させる手段としては例えば、ラジカル発生剤存在下における熱または光による開始手段、レドックス機構を利用する開始手段、放射線による開始手段等が挙げられる。この中で、ラジカル発生剤存在下における熱による開始手段が比較的容易に行える点で好ましい。
前記ラジカル発生剤としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−ヘキシルペルオキシド、ジクミルペルオキシド等のジアルキルペルオキシド類;1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン等のペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ヘキシルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシネオデカノエート等のペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート等のモノペルオキシカーボネート類;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド等のジアシルペルオキシド類;ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート等のペルオキシジカーボネート類;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等のアゾ化合物が挙げられる。
【0022】
これらラジカル発生剤の添加量は、使用するビニル系単量体、重合温度等により異なるが通常単量体100部に対し通常0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。
【0023】
重合温度は重合開始手段により異なるが、通常0〜150℃、好ましくは20〜140℃である。
【0024】
また、架橋樹脂の重合度や重合速度を調整するために、例えばn−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、2−エチルヘキシル−β−メルカプトプロピオネート、α−メチルスチレン二量体等の連鎖移動剤を使用することができる。
【0025】
重合方法としては例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の方法が適用できる。
また、ビニル系単量体中にその重合物を含有するシロップを調製し、それを鋳型に注入して重合する注型重合法も可能である。その際、用途に応じてガラス繊維、ビニロン繊維、炭素繊維等の補強材、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、クレー等の充填剤、離型剤、紫外線吸収剤、着色剤、安定剤、難燃剤等を添加しても差し支えない。
【0026】
の発明である架橋樹脂の脱架橋方法は、第の発明の架橋樹脂を通常180〜300℃の温度で加熱することを特徴としている。第4の発明は架橋樹脂から架橋結合部位の選択的切断により熱可塑性樹脂を得ることを特徴とする架橋樹脂の再利用方法である。
【0027】
前記温度範囲で加熱することにより、架橋樹脂中の架橋結合を選択的に切断することができ、溶剤に可溶な熱可塑性樹脂に変換することができる。より好ましい加熱温度は、200〜280℃である。加熱温度が180℃未満では架橋結合の切断が生起しないか、もしくは効率よく進行しなくなる傾向にある。また、300℃を越えると樹脂本体の分解が起こり易くなる傾向にある。
【0028】
加熱方法は、特に限定はされないが、例えば、オーブン中での加熱、プレスによる加圧下での加熱、混練しながらの加熱等が挙げられる。また、架橋樹脂を部分的に加熱することも可能である。
【0029】
【実施例】
次に、実施例および比較例を挙げて、この発明をさらに具体的に説明する。
なお、各例中の部、%は特に断らない限り重量部および重量%を示す。
また、各例中の略号は以下の化合物を示す。
HGDMA:2−メチル−2,4−ペンタンジオールジメタクリレート
DEGDMA:ジエチレングリコールジメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
【0030】
参考例1
攪拌機と温度計を備えた200ccの四つ口フラスコ中に、2−メチル−2,4−ペンタンジオール5g、トリエチルアミン12.9g、塩化メチレン50ミリリットルを入れ、攪拌しながら水浴で15℃に保った。そこに、メタクリル酸クロライド13.3gを15分かけて滴下した。滴下終了後、15〜20℃の温度で攪拌を4時間続けた。反応終了後、加水して溶液を分離し、有機層を5%水酸化ナトリウム水溶液、5%塩酸水、水の順序で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水した後、溶媒を減圧下で留去し、9.75gの粗生成物を得た。これを、シリカゲルカラムにより精製することにより無色透明の液体を得た。その赤外吸収スペクトル(IR)および核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定することにより、得られた化合物が下記式(2)に示すHGDMAであることが確認された。
【0031】
【化3】
Figure 0004389357
【0032】
IR:1714cm-1 (C=O伸縮)、1637cm-1 (C=C伸縮)
1H−NMR(CDCl3):
(a):δ=1.12(d,3H,J=6.2Hz)
(b):δ=1.36(s,3H)
(c):δ=1.38(s,3H)
(d):δ=1.72(s,3H)
(e):δ=1.77(s,3H)
(f):δ=1.94(dd,1H,J=14.7Hz,3.1Hz)
(g):δ=2.20(dd,1H,J=15.0Hz,8.8Hz)
(h):δ=5.11(m,1H)
(o):δ=5.33(s,1H)
(p):δ=5.39(s,1H)
(q):δ=5.85(s,1H)
(r):δ=5.92(s,1H)
【0033】
実施例2
スチレン95部、HGDMA5部およびスチレンに対し重合開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート0.005モル/リットルを含有した混合溶液をガラスアンプルに入れ、窒素置換後封管し、120℃の恒温槽に浸し、5時間重合を行った。次いで、重合物をオーブン中で250℃、30分間加熱した。
加熱前および加熱後の重合物からそれぞれ約0.1gの試料を採取し、それらをベンゼン10ミリリットル中に室温で一晩浸して溶解性を調べた。その結果、加熱前の試料は、膨潤するだけでベンゼンには溶解しなかった。一方、加熱後の試料はベンゼンに完全に溶解した。
加熱後の試料についてテトラヒドロフラン(THF)を溶媒として用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンによる検量線を用いて分子量を測定した。その結果、重量平均分子量は31.7万であった。
【0034】
比較例1
HGDMAを用いない他は実施例2と同様に重合を行った。得られた重合体について、実施例2に準じてベンゼンへの溶解性を調べた結果、ベンゼンに完全に溶解した。また、GPCにより求めた重量平均分子量は31.7万であった。
【0035】
比較例2
HGDMAの代わりにDEGDMAを用いた他は実施例2に準じて重合を行った。次いで、重合物をオーブン中で250℃、30分間加熱し、実施例2の方法に準じて溶解性を調べた。その結果、加熱前および加熱後の試料ともに膨潤するだけでベンゼンには溶解しなかった。
【0036】
実施例3
MMA95部、HGDMA5部、MMAに対し重合開始剤としてラウロイルペルオキシド0.005モル/リットルおよび全溶液に対し連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン0.3%(全溶液の容積に対する重量%)を含有した混合溶液をガラスアンプルに入れ、窒素置換後封管し、70℃の恒温槽に浸し、5時間重合を行った。
次いで、重合物をオーブン中で250℃、30分間加熱した。加熱前および加熱後の重合物からそれぞれ約0.1gの試料を採取し、それらをベンゼン10ミリリットル中に40℃で一晩浸して溶解性を調べた。その結果、加熱前の試料は膨潤するだけでベンゼンには溶解しなかった。一方、加熱後の試料はベンゼンに完全に溶解した。
また、加熱後の試料についてGPCにより分子量を測定した結果、ポリスチレン換算の重量平均分子量は10.2万であった。
【0037】
比較例3
HGDMAを用いない他は実施例3に準じて重合を行った。得られた重合体はベンゼンに完全に溶解した。また、GPCにより求めたポリスチレン換算の重量平均分子量は10.4万であった。
【0038】
比較例4
HGDMAの代わりにDEGDMAを用いた他は実施例3に準じて重合を行った。次いで、重合物をオーブン中で250℃、30分間加熱し、実施例3の方法に準じて溶解性を調べた。その結果、加熱前および加熱後の試料ともに膨潤するだけでベンゼンには溶解しなかった。
【0039】
実施例2および比較例2の加熱前の重合物の溶解性結果より、本発明のHGDMAは従来のDEGDMAと同様にスチレン重合の際、架橋剤として有効に機能して溶剤不溶の架橋物(ゲル)を容易に与えることがわかった。
一方、実施例2および比較例2の加熱後の重合物に対する溶解性結果の比較より、DEGDMAを用いて得られた架橋物は加熱しても溶剤不溶であったが、HGDMAを用いて得られた架橋物は加熱することにより溶剤可溶となることがわかった。
またその加熱後に得られるものは、実施例2と比較例1のGPC測定結果から明らかなように、架橋剤を用いないで得られるポリスチレンと分子量がほぼ一致しており、HGDMAを用いて得られる架橋物は加熱することにより、架橋結合の部位だけが選択的に切断し、直線状のポリマー(熱可塑性樹脂)に変換できることがわかった。
実施例3と比較例3〜4との比較から明らかなように、MMAを単量体として用いた場合もスチレンの場合と同様の事実が認められた。
【0040】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のHGDMAは架橋剤として有用な新規化合物である。
加えて、それを用いて架橋樹脂が容易に得られる。
そして重合させて得られる架橋樹脂は、単に加熱するだけで架橋結合が選択的に切断し、溶剤可溶、成形容易な熱可塑性樹脂に変換できる。
これらの点から、架橋樹脂が有効に処理、加工、または再利用できる点で本発明の価値は極めて大きい。

Claims (4)

  1. 2−メチル−2,4−ペンタンジオールジメタクリレートからなる架橋剤。
  2. スチレン系単量体、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸の金属塩、不飽和カルボン酸エステル、ビニルエステル類、不飽和グリシジル基含有単量体、アクリロニトリル、アクリルアミド、N−フェニルマレイミド、塩化ビニル及び塩化ビニリデンからなる群から選択される1種または2種以上のビニル系単量体と、前記2−メチル−2,4−ペンタンジオールジメタクリレートとが共重合した架橋樹脂。
  3. 請求項2に記載の架橋樹脂を180〜300℃の温度で加熱することを特徴とする脱架橋方法。
  4. 請求項2に記載の架橋樹脂から架橋結合部位の選択的切断により熱可塑性樹脂を得ることを特徴とする架橋樹脂の再利用方法。
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