JP2016196434A - (メタ)アクリレート含有ハロゲン化リン酸エステル混合物とその製法、及び混合物を含む組成物並びにその硬化物 - Google Patents

(メタ)アクリレート含有ハロゲン化リン酸エステル混合物とその製法、及び混合物を含む組成物並びにその硬化物 Download PDF

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康介 大石
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Masahiro Nakano
正浩 中野
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Abstract

【課題】 樹脂硬化体の難燃性能を維持しつつ、耐熱性を向上させる(メタ)アクリレート含有ハロゲン化リン酸エステル混合物を提供する。【解決手段】 下記式(1)で表される化合物群からなる混合物。n=0の化合物が50.0〜90.0モル%n=1の化合物が10.0〜50.0モル%n=2の化合物が0.0〜5.0モル%n=3の化合物が0.0〜0.5モル%【化1】(R1は水素またはメチル基、R2は水素またはメチル基、Xはハロゲン原子、nは0〜3の整数を表す)【選択図】なし

Description

本発明は、難燃剤等に用いられるハロゲン化リン酸エステルに、重合性官能基である(メタ)アクリレート部位を一部導入したハロゲン化リン酸エステルの混合物、及びその製造方法に関する。
従来の(メタ)アクリレート含有リン酸エステルの製造法としては、例えば特許文献1には、オキシ塩化リンやフェニルホスホロジクロリデート(フェニルホスホリルジクロライド)などのリン酸クロライド化合物に、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ含有(メタ)アクリレートを反応させる方法が、特許文献2には、五酸化二リンとヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ含有(メタ)アクリレートを反応させる方法が提案されている。
一方、メチルメタクリレート(以下、「MMA」と表記)を主成分とするメタクリル系樹脂は、透明性及び耐侯性に優れ、且つ、機械的強度、熱的性質、成形加工性等の樹脂物性においても比較的バランスのとれた性能を有している。そのために、照明材料、光学材料、看板、ディスプレイ、装飾部材、建築部材等の多くの用途に使用されている。しかしながら、メタクリル樹脂は比較的燃焼し易い性質を有しており、しばしばその用途が限定されることがある。
メタクリル系樹脂に難燃性を付与する方法の一つとして、リン酸エステルやハロゲン化リン酸エステルを配合することが提案されている。例えば特許文献3には、トリフェニルホスフェートやトリス(クロロエチル)ホスフェート等の(ハロゲン化)リン酸エステルを配合する方法が、特許文献4には、トリス(クロロエチル)ホスフェート等のハロゲン化リン酸エステルを配合した樹脂が提案されている。
しかしながら、これらリン酸エステル類は樹脂に配合させると可塑剤として働くため、しばしば樹脂の耐熱性を低下させてしまう。樹脂の難燃性を維持しつつ耐熱性を向上させる方法として、例えば特許文献5には、メタクリル酸メチルを主体とする単官能単量体とネオペンチルグリコールジメタクリレート及び/又はネオペンチルグリコールジアクリレートとが重合してなる重合体に、大八化学工業株式会社製のハロゲン化リン酸エステルである「CR−570」を配合する方法が提案されている。
特開昭57−154114号公報 特開2005−255608号公報 特開平9−302191号公報 特開平9−296090号公報 特開2009−132802号公報
メタクリル系樹脂の難燃性能発現は困難で、ハロゲン化リン酸エステルを樹脂に配合する方法しか効果が得られていなかったが、可塑剤として働く難燃成分により耐熱性の低下は避けられなかった。本発明は、ハロゲン化リン酸エステルを難燃剤として用いる場合に、難燃剤の一部を樹脂のポリマー鎖に導入して耐熱性を向上させるものであり、これまでにメタクリル系樹脂への難燃効果が報告されているハロゲン化リン酸エステルに重合性の(メタ)アクリル部位を一部導入した混合物やそれを簡便に製造する方法の提供を目的とする。
本発明は、下記式(1)で表される化合物群からなる混合物である。
n=0の化合物が50.0〜90.0モル%
n=1の化合物が10.0〜50.0モル%
n=2の化合物が0.0〜5.0モル%
n=3の化合物が0.0〜0.5モル%
(Rは水素またはメチル基、Rは水素またはメチル基、Xはハロゲン原子、nは0〜3の整数を表す。)
また、本発明は、下記式(2)で表される化合物と、下記式(3)で表される(メタ)アクリル酸塩類とを反応溶媒中で反応させる前述の混合物の製造方法である。
(Rは水素またはメチル基、Rは水素またはメチル基、Xはハロゲン原子、Mは金属原子、mは1〜2の整数を表す。)
さらに、本発明は、前述の混合物を含む、アクリル系樹脂組成物である。
またさらに、本発明は、前述のアクリル系樹脂組成物の硬化物である。
本発明の(メタ)アクリレート含有ハロゲン化リン酸エステル混合物は、樹脂硬化体の難燃性能を維持しつつ、耐熱性を向上させる。
以下に本発明を詳述する。
式(1)のn=0で表されるリン酸エステル化合物(=式(2)で表される化合物)としては、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート(「TCEP」と略されることがある)や、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート(「TMCPP」と略されることがある)が挙げられる。これらは式(1)で表される混合物を製造するための原料としても用いられる。
式(1)のn=1で表されるリン酸エステル化合物としては、ジ(2−クロロエチル)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジ(2−クロロエチル)メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジ(2−クロロプロピル)アクリロイルオキシプロピルホスフェート、ジ(2−クロロプロピル)メタクリロイルオキシプロピルホスフェートが挙げられる。
式(1)のn=2で表されるリン酸エステル化合物としては、2−クロロエチル−(ジアクリロイルオキシエチル)ホスフェート、2−クロロエチル−(ジメタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、2−クロロプロピル−ジ(アクリロイルオキシプロピル)ホスフェート、2−クロロプロピル−ジ(メタクリロイルオキシプロピル)ホスフェートが挙げられる。
式(1)のn=3で表されるリン酸エステル化合物としては、トリ(アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、トリ(メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、トリ(アクリロイルオキシプロピル)ホスフェート、トリ(メタクリロイルオキシプロピル)ホスフェートが挙げられる。
式(1)で表される化合物群からなる混合物は、式(2)で表されるリン酸エステル化合物に式(3)で表される(メタ)アクリル酸塩類を反応させて得ることができる。式(3)で表される(メタ)アクリル酸塩類としては特に限定されないが、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム、メタクリル酸マグネシウム等が挙げられる。
式(1)で表される化合物群からなる混合物は、式(2)で表されるリン酸エステル化合物に式(3)で表される(メタ)アクリル酸塩類を反応させて得ることができるが、式(2)で表されるリン酸エステル化合物のモル数に対して、式(3)で表される(メタ)アクリル酸塩類を5〜90%のモル数で反応させることが好ましく、10〜50%が特に好ましい。(メタ)アクリル酸塩類が少なすぎると導入される(メタ)アクリロイルオキシ部位が少なくなり、多すぎるとn=2、n=3で表される化合物が増えすぎて樹脂やそれを硬化物にした時の特性に大きな悪影響が出てくるためである。
本反応は、混合物に含まれるどの化合物のハロゲン原子に対してもほぼ同確率で(メタ)アクリレート部位が導入されるため、例えば式(2)のリン酸エステル化合物に式(3)の(メタ)アクリル酸塩類を10〜50%のモル数で反応させた時、反応生成物(混合物)中にはn=1の化合物の他に、n=2の化合物が0.0〜5.0モル%程度、n=3の化合物は0.0〜0.5モル%程度生成する。
本反応において溶媒を使用してもよい。式(3)で表される(メタ)アクリル酸塩類は通常粉体であるため、この使用量が多い場合は、反応系の流動性確保の観点から溶媒を使用することが好ましい。また一般的に、反応の進行とともに生成する金属ハロゲン化物の方が、(メタ)アクリル酸塩よりも流動性がよいため、(メタ)アクリル酸塩類を分割添加すると流動性を確保しやすく、より好ましい。
使用できる溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ヘキサン、トルエン、クロロホルム、THF、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、メチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、アセトニトリル(ATN)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などが挙げられるが、中でも反応の特徴から非プロトン性極性溶媒を用いることが好ましく、また反応温度を高く設定できるDMF、DMSOを用いることが好ましい。これらの溶媒は1種で用いても良いし、混合して用いても良い。
本反応における反応温度は高いほど好ましい。溶媒の種類にもよるが、本反応は50℃以上が好ましく、80℃以上溶媒の沸点以下(たとえばDMF100%であれば153℃、DMSO100%であれば189℃)がさらに好ましい。
本反応は反応温度や溶媒によっては無触媒でも反応が進行するが、触媒を使用してもよい。触媒として使用可能な化合物としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラプロピルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラオクチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリメチルアンモニウムブロマイドなどのテトラアルキルアンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムブロマイド、メチルトリフェニルホスホニウムブロマイドなどのホスホニウム塩、18−クラウン−6、ジベンゾ18−クラウン−6、15−クラウン−5、ジアザ18−クラウン−6などのクラウンエーテル類、PEG(ポリエチレングリコール)−200、PEG−300、PEG−400などのポリエチレングリコール類などが挙げられる。中でも触媒活性の高さでテトラメチルアンモニウムクロライドやクラウンエーテル類を用いることが好ましく、さらには安価な点で、テトラメチルアンモニウムクロライドを使用することが最も好ましい。
触媒の使用量は特に限定されないが、例えば(メタ)アクリル酸塩1モルに対して0.001モル〜0.1モルとすることができ、より好ましくは0.01〜0.05モルである。
本反応は生成物に重合性の(メタ)アクリレート部位を含むため、重合禁止剤を用いることが好ましい。重合禁止剤としては公知の重合禁止剤を使用することができる。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、パラメトキシフェノール等のフェノール系、フェノチアジン等のアミン系、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(HO−TEMPO)、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(BTOX)等のN−オキシル系化合物等を使用することができる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
用いる重合禁止剤の量は、(メタ)アクリル酸塩の質量に対して10〜10000質量ppmが好ましく、50〜5000質量ppmがより好ましい。重合禁止剤の量を10質量ppm以上とすることにより、十分に重合を抑制することができる。また、重合禁止剤の量を10000質量ppm以下とすることにより、製品の着色等による品質低下の発生を抑制することができる。
また酸素には重合を防止する効果があるため、反応時に酸素又は空気等の酸素を含む気体をバブリングしながら反応を行うことが好ましい。
本発明における、メタクリル系樹脂組成物とは、メタクリル酸メチルを主成分とし、その他以下に示す(メタ)アクリル酸エステル類や、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な重合性単量体や、架橋成分などを含む混合物の一部または全部が重合したものを指す。
本発明におけるメタクリル系樹脂組成物の硬化物とは、上述のメタクリル系樹脂組成物を硬化させて、ペレットなどの成型材料や、押出成型プロセスなどを経て硬化させた成形品を指す。
(メタ)アクリル酸エステル類は具体的には、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアダマンチル、メタクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ノルボルニルメチル、(メタ)アクリル酸メンチル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロデシル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリメチルシクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類、などが挙げられる。これらは単独であるいは2種以上を併用できる。
また必要に応じ、メタクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な重合性単量体を含むこともできる。(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド誘導体、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン及びそれらの誘導体、メタクリルアミド、アクリロニトリル等の窒素含有単量体、(メタ)アクリル酸グリシジルアクリレート等のエポキシ基含有単量体、スチレン、α−メチルスチレン等の分子中にエチレン性不飽和結合を有する芳香族化合物が挙げられる。
また必要に応じ、架橋成分を加えることもできる。架橋成分としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用できる。
重合方法は特に限定されるものではないが、予め一部を重合させてシラップとして用いてもよいし、一気に全てを重合させてもよい。シラップとする場合、メタクリル酸メチルや他の重合性単量体を含む単量体組成物の一部を重合させてもよいし、全てを重合させてからメタクリル酸メチルや他の重合性単量体を含む単量体組成物を加えてもよい。複数回に分けて重合してもよいし、複数回に分けて原料を調製してもよい。式(1)で表される化合物群からなる混合物は、これらのどの工程で投入してもよい。
シラップを得る方法としては、ラジカル重合開始剤を添加して重合性原料とし、その一部を重合させる方法があり、使用するラジカル重合開始剤は特に制限されない。具体例としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤;ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート等の有機過酸化物系重合開始剤;等が挙げられる。これらは1種を単独で、または必要に応じて2種以上を併用することができる。ラジカル重合開始剤の添加量は、使用する単量体混合物等により適宜決められ、単量体混合物100質量部に対し、0.01〜0.5質量部が好ましい。また必要に応じて、ラジカル重合開始剤とアミン類やメルカプタン類のような促進剤を併用することができる。
重合温度は、通常、使用するラジカル重合開始剤の種類に応じて常温〜150℃の範囲で適宜設定される。また、必要に応じて多段階の温度条件で重合を行うことができる。
重合反応の方式としては、例えば、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法及び分散重合法が挙げられるが、これらの中で、塊状重合法、特にキャスト重合(注型重合)が好ましい。
キャスト重合法により成型品を得る場合、例えば、樹脂組成物を鋳型に注入して重合させることにより行うことができる。鋳型としては、例えば、2枚のSUS板と軟質塩化ビニル樹脂チューブ等のシール材から構成されるものを用いることができる。鋳型の空隙の間隔は所望の厚さの樹脂板が得られるように適宜調整されるが、一般的には1〜30mmである。樹脂成形体の形状としては、例えば、樹脂板が挙げられる。樹脂板の厚みとしては、例えば、1〜30mmのものが挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
反応の経過はガスクロマトグラフィー(GC)にて追跡した。また樹脂板の難燃性評価、耐熱性評価は以下のようにして行った。
(1)ガスクロマトグラフィー(GC)条件
GC:SHIMADZU製 GC−2014
カラム:UA+−1(HT) FRONTIER LAB製
LENGTH:15m
I.D.:0.5mm
FILM:0.25μm
INJ.:300℃
DET.:300℃
カラム:50℃ 10min → 10℃/minで300℃まで
→ 10min保持 (TOTAL 40min)
(2)難燃性評価
樹脂成形体の試験片を、JIS K 6911−1979の耐燃性試験A法に準拠して自消までに要した時間(自消時間)を測定した。
(3)耐熱性評価
JIS K 7191に準拠して、樹脂成形体の試験片の荷重たわみ温度(以下、「HDT」と示す)(℃)を測定し、耐熱性を評価した。
[実施例1]
<ハロゲン化リン酸エステルと(メタ)アクリル酸塩との反応>
100ml試験管にTMCPP(トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート)2.0g(6.106mmol)、溶媒としてDMF10.0g、メタクリル酸ナトリウム0.330g(3.053mmol)、重合禁止剤としてBTOX(4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル)0.0005g、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド(TMACl)0.0335gを投入し、加熱して反応を開始した。100℃になった時点を0時間として6時間後、GC分析によりTMCPPの転化率は48%であった。
[実施例2]
<ハロゲン化リン酸エステルと(メタ)アクリル酸塩との反応>
溶媒をDMFからDMSOに変更したところ以外は実施例1と同様にして、6時間後のTMCPPの転化率を分析したところ、転化率は49%であった。
[比較例1]
<ハロゲン化リン酸エステルと(メタ)アクリル酸塩との反応>
溶媒をDMFからメチルエチルケトンに変更し、反応温度を80℃に変更したところ以外は実施例1と同様にして、6時間後のTMCPPの転化率を分析したところ、転化率は0%であった。
[比較例2]
<ハロゲン化リン酸エステルと(メタ)アクリル酸塩との反応>
溶媒をDMFからアセトニトリルに変更し、反応温度を80℃に変更したところ以外は実施例1と同様にして、6時間後のTMCPPの転化率を分析したところ、転化率は1%未満であった。
[比較例3]
<ハロゲン化リン酸エステルと(メタ)アクリル酸塩との反応>
溶媒をDMFからメチルイソブチルケトンに変更したところ以外は実施例1と同様にして、6時間後のTMCPPの転化率を分析したところ、転化率は1%未満であった。
[比較例4]
<ハロゲン化リン酸エステルと(メタ)アクリル酸塩との反応>
溶媒をDMFからトルエンに変更したところ以外は実施例1と同様にして、6時間後のTMCPPの転化率を分析したところ、転化率は1%未満であった。
実施例1,2及び比較例1〜4をまとめると、以下の表の通りである。
この結果から、溶媒を用いる場合はDMFかDMSOが好ましい。
[実施例3]
<ハロゲン化リン酸エステルと(メタ)アクリル酸塩との反応>
2000ml四ツ口フラスコにスリーワンモーターとテフロン製撹拌羽根を備え、TMCPP(トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート)600g(1.832モル)、DMF600g、重合禁止剤としてBTOX(4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル)0.0102g、メタクリル酸ナトリウム14.85g(0.137モル)を投入して撹拌し、オイルバスに浸して加熱を開始した。重合防止のため、50ml/h量のエアを釜内に供給しながら反応を行った。内温が100℃に到達して4時間後、8時間後、12時間後にメタクリル酸ナトリウム14.85g(0.137モル)を追投入した。メタクリル酸ナトリウムの合計投入量は59.4g(0.546モル)であった。16時間後加熱を停止し、内温が十分に冷却してから2000ml分液ロートに移し、トルエン253g、純水759gを加えて、分液操作を行った。約10分静置した後、上層(水層)を分離した。続いて下層の有機層954gに0.5%重曹水749gを投入し、分液操作を行った。約10分静置した後、上層(水層)を分離した。続いて下層の有機層848gにトルエン107gと純水749gを投入し、分液操作を行った。約15分静置した後、上層(水層)を分離し、トルエン層に硫酸ナトリウムを加えて脱水操作を行った後、エバポレーター及び真空ポンプを用いてトルエンを除去し、585.6gの薄い褐色液体を得た。GC分析の結果、式(1)におけるn=0の化合物の割合は76.0%、n=1の化合物の割合は20.0%、n=2の化合物の割合は1.3%、n=3の化合物は未検出であった。
[比較例5]
(TMCPPを難燃剤として用いた板の作製)
<メタクリル樹脂板の作成>
1.シラップの製造
冷却管、温度計及び攪拌機を備えた反応器に、アクリエステル(登録商標)M(三菱レイヨン(株)製MMA、商品名)100部を供給し、撹拌しながら窒素ガスでバブリングした後、加熱を開始した。内温が60℃になった時点で、ラジカル重合開始剤としてV−65(和光純薬(株)製2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、商品名)0.1部を添加し、更に内温100℃まで加熱して10分間保持した。その後、減圧冷却により室温まで冷却して、シラップを得た。得られたシラップ中のポリメチルメタクリレート(以下、「PMMA」と表記)は30%であり、MMAは70%であった。
2.注型重合
シラップ100部、エチレングリコールジメタクリレート(以下、「EDMA」と表記)0.15部を混合し、次いでTMCPP(大八化学工業(株)製含塩素リン酸エステル、商品名)12部、並びにt−ヘキシルパーオキシピバレート0.3部及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.05部を添加して重合性組成物を得た。次いで、2枚のSUS板を対向させ、それらの間のSUS板の端部に塩化ビニル樹脂製ガスケットを配置して得られる、空隙の間隔が4.1mmのセルに上記重合性組成物を流し込み、82℃にて30分、次いで130℃にて30分加熱して、重合性組成物を重合させたのち、冷却した。その後、SUS板を取り除いて厚さ3mmの板状の樹脂成形体を得た。鋸刃などを用いて樹脂成形体を切断することで難燃性評価用の試験片および、耐熱性評価用の試験片を作製した。 得られた試験片をJIS K 6911−1979の耐燃性試験A法に準拠して燃焼試験を実施したところ、自消時間(2回試験の平均値)は1分21秒であった。またJIS K 7191に準拠して、樹脂成形体の試験片の荷重たわみ温度(HDT)を測定したところ、80℃であった。
[実施例5]
TMCPPの代わりに、実施例3で製造したリン酸エステル混合物を用いた以外は比較例5と同様にして試験片を作製した。得られた試験片をJIS K 6911−1979の耐燃性試験A法に準拠して燃焼試験を実施したところ、自消時間(2回試験の平均値)は44秒であった。またJIS K 7191に準拠して、樹脂成形体の試験片の荷重たわみ温度(HDT)を測定したところ、85℃であった。
実施例5、比較例5をまとめると以下の表の通りである。
この結果より、式(1)で表されるハロゲン化リン酸エステルを難燃剤として用いると、樹脂成型体の難燃性能を良化させながら、耐熱性(HDT)が向上していることがわかる。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表される化合物群からなる混合物。
    n=0の化合物が50.0〜90.0モル%
    n=1の化合物が10.0〜50.0モル%
    n=2の化合物が0.0〜5.0モル%
    n=3の化合物が0.0〜0.5モル%

    (Rは水素またはメチル基、Rは水素またはメチル基、Xはハロゲン原子、nは0〜3の整数を表す。)
  2. 下記式(2)で表される化合物と、下記式(3)で表される(メタ)アクリル酸塩類とを反応溶媒中で反応させる請求項1に記載の混合物の製造方法。

    (Rは水素またはメチル基、Rは水素またはメチル基、Xはハロゲン原子、Mは金属原子、mは1〜2の整数を表す。)
  3. 式(2)で表される化合物に対して、式(3)で表される(メタ)アクリル酸塩類を10〜50モル%反応させる請求項2に記載の混合物の製法。
  4. 反応溶媒がN,N−ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドの少なくとも1種である請求項2または3に記載の混合物の製法。
  5. 反応温度が、80℃以上反応溶媒の沸点以下である、請求項2〜4のいずれかに記載の混合物の製法。
  6. 請求項1に記載の混合物を含む、メタクリル系樹脂組成物。
  7. 請求項6に記載のメタクリル系樹脂組成物の硬化物。
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