JP2003183307A - メタクリル樹脂板 - Google Patents

メタクリル樹脂板

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JP2003183307A
JP2003183307A JP2001388197A JP2001388197A JP2003183307A JP 2003183307 A JP2003183307 A JP 2003183307A JP 2001388197 A JP2001388197 A JP 2001388197A JP 2001388197 A JP2001388197 A JP 2001388197A JP 2003183307 A JP2003183307 A JP 2003183307A
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syrup
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Hiroyuki Hirano
弘幸 平野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明によれば、製造時のシロップの作業性
が良好で、また得られる製品は、部分的に樹脂板の伸び
が大きい深絞り熱成形が可能で、耐溶剤性、耐熱水性も
バランス良く併せ持った、バスタブ、洗面ボール等のサ
ニタリー用途に最適のメタクリル樹脂板とすることが可
能となる。 【解決手段】 メチルメタクリレートを、ラジカル重合
開始剤を使用して予備重合し、その重合転化率が5〜1
3重量%である予備重合シロップ100部に対し、0.
05〜0.5部の連鎖移動剤と、0.1〜1部の架橋
剤、及びラジカル重合開始剤を追加配合し、セルキャス
ト法により得られるメタクリル樹脂板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、深絞り熱成形に使
用されるメタクリル樹脂板に関する。特に、耐溶剤性、
耐熱水性が要求されるバスタブ、洗面ボール等のサニタ
リー用途に適したメタクリル樹脂板の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】メタクリル樹脂板は透明性、着色性、成
形性、耐候性などに優れ、これらの特徴を生かして、看
板、照明カバー、自動販売機前面板、ディスプレー、カ
ーポート屋根等に広く使用されている。さらに、近年で
はバスタブ、洗面ボール等いわゆるサニタリー分野でも
多用されるようになって来た。
【0003】これらバスタブ、洗面ボールをメタクリル
樹脂板から得ようとするとき、真空成形、圧空成形等の
熱成形により成形品とするが、前記の看板、照明カバー
等のように比較的平坦な、いわゆる絞りが浅い成形とは
異なり、その形状を得るためには、部分的に樹脂板の伸
びが大きい深絞り成形をする必要がある。また、成形品
を補強するために裏側に不飽和ポリエステル系FRPの
バッキング処理を施すが、このFRPとの接着性を良く
する為に使用するプライマーに含まれる溶剤、及びFR
Pの樹脂成分である不飽和ポリエステル原料中のスチレ
ンモノマー等に対してクラック、ひび割れ他の不具合を
起こさない為の、耐溶剤性が要求される。
【0004】さらに、サニタリー用途では熱水に接触す
る機会が多く、僅かでも白化現象等を起こさない高い耐
熱水性が併せて要求されている。そのため、これらの要
求性能を向上したメタクリル樹脂板の開発が従来から試
みられている。そのような従来技術としては、特開昭5
4−6090号報に、メチルメタクリレートにアクリル
酸エステル、及び架橋重合性化合物を加えてなる混合物
を重合、固化せしめる方法が提案されている。
【0005】また、特開昭60−197707号報に
は、連鎖移動剤を予め添加して予備重合でシロップを製
造し、これに架橋剤を添加して熱成形性、及び耐溶剤性
に優れたメタクリル樹脂板の製造方法の提案がある。さ
らに、特開平8−3224号報ではシロップの製法とし
てメタクリル系樹脂を溶解する方法、特開平9−311
09号報には使用するメルカプタンに対して、特定の架
橋剤を定められた比率で配合し、高い耐熱水性と熱成形
性に優れたメタクリル樹脂板を得る方法が提案されてい
る。しかしながら、これら従来の技術では、深絞り熱成
形性、耐溶剤性、耐熱水性のそれぞれサニタリー用途で
要求される各性能を、バランスよく併せ持つには不十分
であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、樹脂
板の製造に際してシロップの作業性が良好で、また熱成
形に際して部分的に樹脂板の伸びが大きい深絞り熱成形
が可能で、且つ耐溶剤性、耐熱水性をバランス良く併せ
持ったメタクリル樹脂板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
本発明者らは鋭意検討の結果、実質的に他のコモノマー
成分等を含まないメチルメタクリレートをラジカル重合
開始剤により予備重合したシロップ100部に、0.0
5〜0.5部の連鎖移動剤と0.1〜1部の架橋剤、及
びラジカル重合開始剤を追加配合し、セルキャスト法に
より重合、固化する事で、深絞り成形が可能で、耐溶剤
性、耐熱水性をバランス良く併せ持ったメタクリル樹脂
板が得られる事を見出し、本発明を完成させるに至っ
た。
【0008】ここで、セルキャスト法とはJIS K
6718−1に記載されているセルキャスト板を得る為
に、バルク重合してメタクリル樹脂板とする方法を指し
ている。すなわち本発明は、(1)メチルメタクリレー
トを、ラジカル重合開始剤を使用して予備重合し、その
重合転化率が5〜13重量%である予備重合シロップ1
00部に対し、0.05〜0.5部の連鎖移動剤と、
0.1〜1部の架橋剤、及びラジカル重合開始剤を追加
配合し、セルキャスト法により得られるメタクリル樹脂
板。
【0009】(2)連鎖移動剤がアルキルメルカプタン
であり、架橋剤がエチレングリコール、又はジエチレン
グリコール残基と結合した多官能アクリレート、又は多
官能メタクリレートである(1)に記載のメタクリル樹
脂板。 (3)予備重合シロップ100部に対し、正りん酸有機
エステルを0.0005〜0.01部配合することを特
徴とする(1)及び(2)に記載のメタクリル樹脂板に
係わる。
【0010】以下に本発明を詳細に説明する。本発明で
用いるラジカル重合開始剤は、アクリル系単量体の重合
に用いられている通常の重合開始剤であり、例えばラウ
ロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ
−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2
エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシジカ
ーボネート等の過酸化物系化合物や、2,2’−アゾビ
スイソブチロニトリル、2,2’アゾビス(2,4−ジ
メチルバレロニトリル)、1,1’アゾビス(シクロヘ
キサン−1−カルボニトリル)、アゾビス(2,4ジメ
チル4メトキシバレロニトリル)等のアゾ系化合物があ
げられ、これらの一種を単独でまたは2種以上混合して
使用される。
【0011】その使用量は、予備重合でシロップを得る
場合にはメチルメタクリレート100部に対して、0.
001〜0.01部を用い、公知の攪拌機付き反応釜を
使用してメチルメタクリレートの大気圧での沸点以下の
温度領域70〜95℃で、後述するように目標の重合転
化率が得られるまで反応を続行する。むろん加熱式連続
管にメチルメタクリレートを加圧注入すること等で12
0℃程度までの高温下で、短時間に連続して行うことも
できる。
【0012】セルキャスト法によりメタクリル樹脂板を
得る為には、シロップに該ラジカル重合開始剤を追加配
合するが、その使用量は開始剤活性の大小に起因する反
応スピードで決められ、概ね0.01〜0.5部であ
る。使用量が0.01部未満の場合、通常実施されてい
るセルキャスト法の温度範囲40〜70℃では反応が終
了するまで長時間を要し、また0.5部を超えると反応
スピードが速すぎて制御できずに暴走反応に至る場合も
あり、良品が得られず適当でない。
【0013】連鎖移動剤は、t−ブチルメルカプタン、
n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタ
ン、t−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタ
ン類、チオフェノール、チオナフトール等の芳香族メル
カプタン、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸
ブチル、チオグリコール酸オクチル等のチオグリコール
酸のエステル、β−メルカプトプロピオン酸メチル、β
−メルカプトプロピオン酸オクチル等のβ−メルカプト
プロピオン酸のエステル等があげられる。
【0014】これらは1種または2種以上を組み合わせ
て使用できるが、その使用量はシロップ100部に対し
て0.05〜0.5部が適当である。0.05部未満の
ときは、得られるメタクリル樹脂板が加熱してもスムー
スに伸びず熱成形困難となり、0.5部を超えると耐溶
剤性が低くなり好ましくない。次にメチルメタクリレー
トは、不純物以外には実質的に他の成分を含まない高純
度のもので、例えばアクリル酸エステル類を含まないも
のをいう。
【0015】特開昭54−6090号報に記載されてい
る共重合可能なアクリル酸エステル類、例えばアクリル
酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2エチルヘキ
シルを混合して用いた場合は、得られるメタクリル樹脂
板の耐熱分解性が向上し、またTgが低下することより
メタクリル樹脂板の軟化温度が低くなり、熱成形には有
利であるが、熱水との接触で加水分解を起こし易くな
り、その結果白化現象等の好ましくない現象を生ずる。
【0016】本発明の予備重合シロップは、前述の通り
ラジカル重合開始剤を使用し予備重合して得るが、転化
率は5〜13重量%が好ましい。転化率が5重量%未満
では、該シロップの粘度が低く液漏れ等でキャスト作業
性が悪くなり、13重量%を超えると粘度が高くなりす
ぎて、計量、注入等のキャスト作業性が悪くなる。この
予備重合で生成するメタクリル重合体は、常法によりク
ロロホルム溶液の極限粘度〔η〕から求められる粘度平
均分子量が40〜120万で、本来のセルキャスト法で
得られるメタクリル樹脂の特徴である高い分子量を有し
ており、耐溶剤性を確保することが出来る。
【0017】これに対し、特開昭60−197707号
報では、シロップ製造時に連鎖移動剤を用いて分子量を
小さくする為のコントロールをしており、また特開平8
−3224号報では、前記粘度平均分子量が5〜20万
のメタクリル樹脂粉末をメチルメタクリレートに溶解す
ることが好ましいと規定されているが、こうしたいずれ
の場合においても、シロップに分子量が低いメタクリル
重合体を含ませることは、分子量が高いメタクリル重合
体を含ませるのに比べシロップの粘度が低い為、より多
くの重合体を含ませることができ、キャスト重合時間の
短縮等の有利さはあるが、他方耐溶剤性を相対的に低下
させることは否めない。
【0018】シロップに架橋剤を配合し、得られるメタ
クリル樹脂を3次元網目構造とする事で、熱成形温度領
域での粘弾性を深絞り成形に適したものとすることは公
知であるが、本発明においては前記予備重合シロップに
さらに0.05〜0.5部の連鎖移動剤と、0.1〜1
部の架橋剤を用いることで、この熱成形温度領域での粘
弾性をより深絞り成形に適したものとし、局部的に引き
伸ばされた部位の肉厚が極端に薄くなることを防ぐこと
ができる。
【0019】さらには耐溶剤性、耐熱水性をバランス良
く併せ持ったメタクリル樹脂板とする事が可能となる。
さらに、連鎖移動剤がアルキルメルカプタンであり、架
橋剤がエチレングリコール、又はジエチレングリコール
残基と結合した多官能アクリレート、又は多官能メタク
リレートである場合に、上記性能バランスを得る為には
より好ましい。特開平9−31109号報には、使用す
るメルカプタンに対し、ネオペンチルグリコール基のよ
うに炭素数の多い炭化水素残基と結合した多官能アクリ
レート、又は多官能メタクリレートを定められた比率で
使用することが提案されているが、耐溶剤性の確保に関
しては技術が示されていない。
【0020】また、通常セルキャスト法でメタクリル樹
脂板を製造するには、使用する硝子セルからの離型性を
良くする目的で内部添加離型剤を使用するが、正りん酸
有機エステルを予備重合シロップ100部に対し、0.
0005〜0.01部配合することが好ましい。こうし
て好ましく製造されたメタクリル樹脂板は、従来のオレ
イン酸誘導体等の高分子量ワックス、シリコーン系ワッ
クス等を内部添加離型剤として使用する樹脂板と比較し
て、サニタリー用途用に熱成形される前後に、例えば、
印刷、塗装、接着等の二次的な加工をする際に、インキ
のハジキ、密着不良等の不具合を起こさず良好に仕上が
る。
【0021】また、セルキャストの後にメタクリル樹脂
板を取り外した時に、正りん酸有機エステルは硝子セル
表面に残り難く、硝子セルを繰り返して使用しても残っ
た離型剤が影響して離型性過多とならずに平滑で表面状
態の良いメタクリル樹脂板を得られ、生産の効率が高
い。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に実施例、比較例を用いて本
発明をさらに具体的に説明する。尚、実施例、比較例で
用いた測定、及び評価の方法は次の通りである。 1.シロップの重合転化率:シロップをメタノール中に
攪拌下注ぎ入れてポリメチルメタクリレートを分離し、
乾燥後その重量を測定する。もとのシロップ重量との重
量分率を求め、重合転化率とする。
【0023】2.シロップに含まれるポリメチルメタク
リレートの分子量:前記重合転化率の測定で得られたポ
リメチルメタクリレートを濃度0.1重量%のクロロホ
ルム溶液とし、常法によりオストワルド粘度計を用いて
極限粘度〔η〕を求め、粘度平均分子量を算出する。 3.伸張厚み残存率:150℃に温度調節したエヤーチ
ャンバー内で、断面が5mm角、平行部長さ20mmの
くびれた形状を持つダンベル形状試験片を、支持間長さ
が2.5倍になるまで毎分5mmの速度で引っ張り試験
を行い、試験前後の平行部長さ方向の中央厚みを測定し
て下式から伸張厚み残存率を求め記録する。 伸張厚み残存率(%)=試験後の厚み÷試験前の厚み×
100
【0024】4.耐溶剤性:スチレンモノマーに30分
浸漬し、空気中に取り出して風乾後の表面状態を観察
し、クラック、白化等異常のないものを○、そうでない
場合×として耐溶剤性浸漬欄に記録する。また、厚さ5
mm、幅12.7mm、長さ127mmの短冊状試験片
を用いて通常カンチレバー法(MIL−P−8184P
規格を準用)と呼ばれている試験を行う。すなわち、前
記短冊状試験片をフラット状態に置き、長さ方向中央部
で長さ方向に直交する線状の支点で支え置き、その一端
を固定し、長さ方向中央から50mm離れた他端近くに
4kgの荷重をかけながら、長さ方向中央部の支え部と
は反対面の曲げ伸び応力が集中している試験片部位に、
10mm角に切った濾紙にスチレンモノマーを含ませて
接触させ、発生するクラックにより該試験片が破断する
までの時間を測定し、耐溶剤性荷重欄に記録する。
【0025】5.耐熱水性:80℃に温度調節した蒸留
水に、厚さ5mmで幅50mm、長さ100mmの試験
片を42時間浸漬し、取り出して室内で自然乾燥後の厚
さ方向のヘーズ(曇価)をJIS−K7105法に準じ
て、日本電色工業社製1001−DP型ヘーズメーター
を用いて測定する。
【0026】
【実施例1】メチルメタクリレート3000g、2,
2’アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.
15gを加え、加熱冷却ジャケット及び攪拌機付き反応
槽で90℃〜95℃に15分間保ち、その後室温まで冷
却してシロップを得る。得られたシロップの重合転化率
は8重量%である。また得られたポリメチルメタクリレ
ートの粘度平均分子量は100万である。当該シロップ
に、3gのノルマルオクチルメルカプタンと6gのエチ
レングリコールジメタクリレートを加え、さらに3gの
2,2’アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
を加えた後均一に混合して、配合シロップとする。別
途、仕上がり厚みが5mmとなるように軟質塩化ビニル
製パッキンを介して2枚の強化ガラス板の周囲をクラン
プで挟んだ40×50cmのセルを作り、この中に前記
配合シロップ1200gを減圧して脱気した後に注ぎ入
れ、50℃の水槽内で12時間加熱し、さらに反応を完
結させる為、120℃のエヤーオーブン内で2時間加熱
する。その後室温まで冷却し、セルを解枠してメタクリ
ル樹脂板を取り出す。こうして得られたメタクリル樹脂
板を評価し、結果をまとめて表1に示す。
【0027】
【実施例2】シロップに対し、エチレングリコールジメ
タクリレートの代わりにジエチレングリコールジアクリ
レートを9g加える他は、実施例1と同様にしてメタク
リル樹脂板を得、評価して結果をまとめて表1に示す。
【0028】
【実施例3】配合シロップ12kgを準備し、正りん酸
有機エステルとして、ZelecUN(デュポン社製
品)0.18gを追加配合し、仕上がり厚みが5mm
で、100×200cmのセルを使用する他は、実施例
1と同様にしてメタクリル樹脂板を得た。セルを解枠し
てメタクリル樹脂板を取り出す際は、強化ガラス板から
スムースに離型し、取り出した後の強化ガラス板表面に
水滴を置いてそのはじき方を観察した所、使用前の洗浄
面と同様であり、油膜等は残っていなかった。また、こ
のメタクリル樹脂板は油性マジックで通常に描字でき、
ハジキ現象は認められなかった。実施例1と同様に評価
し、結果をまとめて表1に示す。以上実施例1〜3に記
載したいずれのメタクリル樹脂板も、熱成形により伸ば
された部分の伸張厚み残存率が高く、この伸張厚み残存
率の大きいものは熱成形時に局部的に肉厚が薄くなるこ
とを防ぐことができ深絞り成形には有利であり、また耐
溶剤性、及び耐熱水性もバランス良く優れており、バス
タブ、洗面ボール等のサニタリー用途に好適である。
【0029】
【比較例1】メチルメタクリレート3000gに、2,
2’アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3
g、及びn−ドデシルメルカプタン3.5gを添加して
実施例1と同様にシロップを得る。このシロップの重合
転化率は23%で、含まれるポリマーの粘度平均分子量
は12万である。当該シロップに、6gのエチレングリ
コールジメタクリレートと、2.5gの2,2’アゾビ
ス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加えた後均一
に混合して、配合シロップとする。実施例1と同様にし
てメタクリル樹脂板を得、評価して結果をまとめて表−
1に示すが、耐溶剤性が前記実施例のいずれに比較して
も劣っている。
【0030】
【比較例2】メチルメタクリレート2850g、ブチル
アクリレート150gに、2,2’アゾビス(2,4−
ジメチルバレロニトリル)3g、及びn−ドデシルメル
カプタン3.5gを添加して実施例1と同様にシロップ
を得る。このシロップの重合転化率は20%で、含まれ
るポリマーの粘度平均分子量は13万である。当該シロ
ップに、6gのエチレングリコールジメタクリレート
と、2.5gの2,2’アゾビス(2,4−ジメチルバ
レロニトリル)を加えた後均一に混合して、配合シロッ
プとする。実施例1と同様にしてメタクリル樹脂板を
得、評価して結果をまとめて表−1に示すが、耐溶剤
性、及び耐熱水性が前記実施例のいずれに比較しても劣
っている。
【0031】
【比較例3】メチルメタクリレート2250gに、通常
の懸濁重合で得られたメチルメタクリレート90重量%
とメチルアクリレート10重量%からなる粘度平均分子
量10万の粉末状ポリマー750gを攪拌しながら溶解
し、シロップとする。このシロップに実施例1と同様に
3gのノルマルオクチルメルカプタンと6gのエチレン
グリコールジメタクリレートを加え、さらに3gの2,
2’アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加
えた後均一に混合して、配合シロップとし、メタクリル
樹脂板を得、評価の結果をまとめて表1に示すが、耐溶
剤性、及び耐熱水性が前記実施例のいずれに比較しても
劣っている。
【0032】
【比較例4】シロップにエチレングリコールジメタクリ
レートを加えない他は、実施例1と同様にしてアクリル
樹脂を得て、伸張厚み残存率を測定し結果を表1に示す
が、伸張厚み残存率が小さく、深絞り熱成形には不適当
な材料の為、表中の記号−は、その他の性能は評価して
いない意味である。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、製造時のシロップの作
業性が良好で、また得られる製品は、部分的に樹脂板の
伸びが大きい深絞り熱成形が可能で、耐溶剤性、耐熱水
性もバランス良く併せ持った、バスタブ、洗面ボール等
のサニタリー用途に最適のメタクリル樹脂板とすること
が可能となる。
【0034】
【表1】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メチルメタクリレートを、ラジカル重合
    開始剤を使用して予備重合し、その重合転化率が5〜1
    3重量%である予備重合シロップ100部に対し、0.
    05〜0.5部の連鎖移動剤と、0.1〜1部の架橋
    剤、及びラジカル重合開始剤を追加配合し、セルキャス
    ト法により得られるメタクリル樹脂板。
  2. 【請求項2】 連鎖移動剤がアルキルメルカプタンであ
    り、架橋剤がエチレングリコール、又はジエチレングリ
    コール残基と結合した多官能アクリレート、又は多官能
    メタクリレートである請求項1に記載のメタクリル樹脂
    板。
  3. 【請求項3】 予備重合シロップ100部に対し、正り
    ん酸有機エステルを0.0005〜0.01部配合する
    ことを特徴とする請求項1、及び2に記載のメタクリル
    樹脂板。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006219578A (ja) * 2005-02-10 2006-08-24 Sumitomo Chemical Co Ltd メタクリル樹脂成形体の製造法
JP2017132905A (ja) * 2016-01-28 2017-08-03 大阪有機化学工業株式会社 (メタ)アクリル系誘電体材料

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