JP2007177170A - メタクリル系樹脂キャスト板の製造方法 - Google Patents

メタクリル系樹脂キャスト板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 重合時の発泡を低減させたメタクリル系樹脂キャスト板の製造方法を提供する。
【解決手段】 メタクリル系単量体または単量体混合物を主とする原料をラジカル重合開始剤の存在下にその一部を重合してなるシラップを用いてキャスト重合するメタクリル系樹脂キャスト板の製造方法において、メタクリル系単量体がメタクリル酸メチル単独であり、単量体混合物がメタクリル酸メチル60質量%以上を含有するものであり、メタクリル酸メチルがACH法により製造されたものを含むものであって、該メタクリル酸メチル中に含まれる特定の分子量の窒素系化合物が10ppm以下であり且つ、溶存酸素濃度を2ppm以下としたメタクリル系単量体またはメタクリル系単量体混合物をラジカル重合開始剤の存在下、重合体含有率が特定範囲となるようにその一部を重合したシラップを使用してキャスト重合することを特徴とするメタクリル系樹脂キャスト板の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、メタクリル系樹脂キャスト板の製造方法に関する。詳しくはキャスト板中に発生する重合発泡を無くし透明性に優れたメタクリル系樹脂キャスト板の製造方法に関する。
メタクリル系樹脂キャスト板を製造する方法としてはメタクリル酸メチルを主成分とする単量体または単量体混合物を用いて得る方法、若しくは、メタクリル酸メチルを主成分とする単量体または単量体混合物の一部を重合させてなるシラップを用いて得る方法がある。
前記の製造方法で得られたメタクリル系樹脂キャスト板は、透明性、耐候性、機械的強度等に優れた特性を有する事から、近年では、照明カバー、看板の他、パソコンの導光板等に見られる様に各種表示装置用部材として多方面で使用されている。ところが、樹脂キャスト板中に微小の重合発泡が生じることがあり、この発泡が最終製品に於ける歩留まり低下に繋がり大きな問題となる。セルキャスト重合においては、気泡防止を目的として、シラップ中の溶存酸素を低減する方法が挙げられている。例えば、特許文献1では、鋳型重合によるメタクリル樹脂板を製造する際に、単量体混合物の液中に気体窒素を吹き込み単量体溶液中の溶存酸素量を低減させたあと重合してなるメタクリル樹脂板を製造する方法が開示されている。これはメタクリル樹脂を鋳込重合により製造する際にラジカル重合開始剤の存在下の単量体を流し込んだ後、チュ−ブ等を使って気体窒素を単量体溶液中に供給しバブリングする置換方法によって単量体中の溶存酸素濃度を低下させ、透明性阻害物質として副生するピルビン酸メチルの含有量を低下させることにより透明性に優れたメタクリル樹脂を製造する方法である。
前記公報によれば確かに着色しにくい等、メタクリル樹脂板の品質向上できる手段となるものの、気体窒素を直接バブリングするという操作であるために、気体窒素をバブリングした後に加熱重合する際、セル内に溜まった気体窒素をセル外に放出する操作を要すること、若しくは、気体窒素の放出が不完全となった場合には鋳型内に残存した気体窒素により樹脂板の表面にクレ−タ−状の気泡が生成する恐れがあるため好ましくない。例えば、特許文献2では、溶存酸素濃度を低減する事で発泡を低減する方法が開示されているが充分では無かった。また、特許文献3では、テトラヒドロフラン誘導体の含有量を低減する方法が開示されているが、切断面の黄帯色には効果的であるが重合体発泡抑制には効果が少ない。
特公平7−94506号公報 特開2004−225011号公報 特開平9−188717号公報
重合時の発泡を低減させたメタクリル系樹脂キャスト板の製造方法の提供を目的とする。
本発明者は前記課題を解決するため鋭意検討した結果、メタクリル酸メチル単量体原料に含有される特定の窒素化合物濃度と溶存酸素が重合発泡と密接に関係する事を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、メタクリル酸メチル単独またはメタクリル酸メチルを含む単量体混合物をラジカル重合開始剤の存在下にその一部を重合してなるシラップを用いてキャスト重合するメタクリル系樹脂キャスト板の製造方法において、メタクリル酸メチルがアセトンシアンヒドリンを原料とするものを含むものであって、該メタクリル酸メチル中に含まれる分子量が100〜300の範囲にあり、且つ分子式CxHyNzOkで表され、x、y、z、kが各々6≦x≦15、6≦y≦20、1≦z≦6、1≦k≦4で示される窒素系化合物が10ppm以下であり、且つ、溶存酸素濃度を2ppm以下としたメタクリル酸メチル単独またはメタクリル酸メチルを含む単量体混合物をラジカル重合開始剤の存在下、重合体含有率が5質量%〜35質量%となるようにその一部を重合したシラップを使用してキャスト重合することを特徴とするメタクリル系樹脂キャスト板の製造方法である。
本発明の製造方法によって得られるメタクリル系樹脂キャスト板は、重合時の発泡を抑制させることができる。
以下、本発明をより詳しく説明する。メタクリル酸メチル単独またはまたはメタクリル酸メチルを含む単量体混合物を、ラジカル重合開始剤の存在下で重合体含有率が5質量%〜35質量%となるようにその一部を重合し、得られたメタクリル系シラップを、鋳型に注入して重合することにより、メタクリル系樹脂キャスト板を製造した際に重合発泡を抑制でき、外観不良のないメタクリル系樹脂板を得ることができる。
[シラップの製造]
本発明に用いられる単量体または単量体混合物は、メタクリル酸メチル単独、またはメタクリル酸メチル60質量%以上と、これと共重合し得る不飽和ビニル化合物の少なくとも1種40質量%以下とを含有する単量体混合物である。なお、単量体混合物を以下、便宜的に「単量体」と称する。
単量体を構成する、アセトンシアンヒドリンを原料とするメタクリル酸メチル中には、極微量の特定の窒素系化合物が存在する。この窒素系化合物は、メタクリル酸メチルを製造する時に生じる極微量の副生化合物である。この窒素系化合物はGC(ガスクロマトグラフィー)、GC/MS(ガスクロマトグラフィー/質量分析計)等、ガス化して測定する方法では検出されず、HPLC(高速液体クロマトグラフィー/ダイオードアレイ検出器)を用いる事で検出及び半定量が可能なものである。しかし、詳細な解析は、HPLCでは十分に行うことができない場合があり、その場合にはLC(液体クロマトグラフィー)とTOF/MS(飛行型質量分析計)を併用して行うことができる。構造解析の結果からこの窒素系化合物は分子式CxHyNzOkで表され、x、y、z、kが各々6≦x≦15、6≦y≦20、1≦z≦6、1≦k≦4で示されるものであり、その分子量が100〜300の範囲にあるものである。分子量が100〜300の範囲にある例えば、C12NO(分子量=199)やC(分子量=215)等の組成式で示される窒素系化合物の含有量は、HPLC測定において、得られたクロマトグラム中のメタクリル酸メチルの面積を100%とした時、窒素系化合物の含有量が面積百万分率で10ppm以下とすることが必要である。さらに単量体中の溶存酸素濃度を1ppm以下とする必要がある。窒素系化合物の含有量が10ppmを超え、あるいは系内の溶存酸素濃度が1ppmを超えるとメタクリル系樹脂キャスト板中の重合発泡が顕著となる。窒素系化合物の含有量は、メタクリル酸メチルの製造方法や精製方法で変化するが、常温保存状態ではその含有量が増減する事は無い。この窒素系化合物の含有量を低減する方法として、精密蒸留、あるいは蒸留精製前のメタクリル酸メチルの水洗浄等が挙げられる。精密蒸留の方法は特に制限はないが、例えば、多段の回分精留塔、あるいは連続精留塔を使用して行うことができる。水洗浄の方法は特に制限はないが、例えば当該単量体1質量部に対してイオン交換水0.5質量部を加えて攪拌洗浄し、静置して水層を分離したのち、さらに同量のイオン交換水を加えて同様の操作を繰返すことにより行うことができる。以下、必要に応じてこの操作を数回繰り返してもよい。
メタクリル酸メチル以外の単量体としては、これと共重合し得る不飽和ビニル化合物であれば特に制限はない。例えばメタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル、およびスチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明で使用されるラジカル重合開始剤としては、アゾ化合物あるいは有機過酸化物等が挙げられる。原料の一部を重合する場合に使用されるラジカル重合開始剤の添加量は、原料の一部を重合する単量体100重量部に対して、0.01〜0.5質量部の範囲で用いるのが好ましい。
ラジカル重合開始剤として用いられるアゾ化合物の例としては、2,2’−アゾビス(2,4,−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−シクロシクロヘキサンカルビニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が、また有機過酸化物の例としては、ジ−イソプロピルパ−オキシジカ−ボレ−ト、tert−ブチルネオデカノエ−ト、tert−ブチルパ−オキシピパレ−ト、ラウロイルパ−オキサド、ベンゾイルパ−オキサイド、tert−ブチルパ−オキシイソプロプルカ−ボネ−ト、tert−ブチルパ−オキシベンゾエ−ト、ジクミルパ−オキサイド、ジ−tert−ブチルパ−オキサイド等が挙げられる。
この他に必要に応じて分子量調節のための連鎖移動剤を使用することができる。具体的にはアルキル基または置換アルキル基を有する第1級、第2級、第3級メルカプタン、例えばn−ブチルメルカプタン、イソ−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、sec−ブチルメルカプタン、sec−ドデシルメルカプタン、tert−ブチルメルカプタン等が挙げられる。
連鎖移動剤の添加量は、その一部を重合する単量体の全量中0〜0.5質量%の範囲で用いることが好ましい。
さらに、必要に応じて各種の添加剤、例えば、酸化安定剤、可塑剤、染料、顔料、剥離剤等を添加してもよい。
本発明に用いられる単量体の溶存酸素濃度を低減させるための容器の大きさは、該容器に供給したあとの単量体の総容量に対し0.5〜3倍の気相部を有するものが好ましい。気相部の容積が単量体の総容量に対し0.5倍以上であると、容器内の底部から気体窒素を供給してバブリングした場合や容器内の気相部を減圧して窒素置換する操作で、単量体が容器外に放出されにくい傾向にある。また、気相部の容積が単量体の総容量に対し3倍以下であると、窒素置換効率がよく、設備費が低減できる。
単量体中の溶存酸素濃度は、常温に於いて一般に10数ppm程度であるが、本発明で使用する単量体の溶存酸素濃度は前記のように1ppm以下とする必要がある。単量体の溶存酸素濃度を低減させるには予め容器内を気体窒素により酸素濃度を1ppm以下に置換し、単量体を供給するだけで、容器内に供給された単量体の溶存酸素濃度を1ppm以下にすることができる。この場合、単量体をシャワー状に供給することは気体窒素と単量体の接触面積が大きくなるため、単量体の溶存酸素濃度低減には特に好ましい。容器内に供給した単量体の溶存酸素濃度を1ppm以下とすることを確実にするため、さらに窒素置換することが好ましい。この窒素置換方法は何ら制約することなく公知の方法でよい。例えば、単量体中に気体窒素を直接吹き込む方式、いわゆる窒素バブリング方式、若しくは反応器内の気相部を減圧した後、気体窒素を大気圧まで供給する方式、いわゆる減圧窒素置換方式等の公知の置換方式が挙げられる。また窒素置換を速やかに完了させるために攪拌機により容器内の単量体を攪拌させる操作を加えても良い。
前記の単量体およびラジカル重合開始剤を用いて、重合体含有率が5質量%〜35質量%となるようにその一部を重合してシラップを製造する。重合体含有率が5質量%未満では、シラップの生産性低下や、得られる樹脂板の品質低下が起こりやすい傾向にある。更に軟質塩化ビニル製ガスケットを介して重合を行う場合に僅かな隙間から単量体が漏れる問題が生じやすい。一方、重合体含有率が35質量%を超えると、シラップの粘度が高くなり鋳型に注入する場合に空気の巻き込みや樹脂板表面欠陥の増加による樹脂板の品質低下を招きやすい。シラップ中の重合体含有率は、好ましくは、15質量%〜30質量%である。
更に、シラップ中の重合体の重量平均分子量は、樹脂板の品質及び加工性の観点から40,000〜100,000であることが好ましい。
本発明でシラップを製造する容器は、単量体の溶存酸素濃度を低減させるための容器と同一であってもよいし、別のものであってもよい。シラップを製造する容器の大きさは、供給したあとの単量体の総容量に対し、0.5〜3倍以下の気相部を有する容器が好ましい。気相部の容積が0.5倍以上の場合、原料の一部を重合してメタクリル系シラップを製造した後に、冷却時において、減圧窒素置換方式(脱気)を用いた場合、シラップの泡立ちを抑制することが容易となるなど、安定生産を行いやすい。また、気相部の容積が供給したあとの単量体に対し3倍以下である容器では、容器の容量が多大とならず、設備費を抑制できる。
[キャスト重合]
キャスト重合において用いられる鋳型としては、特に限定されないが、例えば強化ガラス、クロムメッキ板、ステンレス板等の一対の板状体と軟質塩化ビニル製ガスケットで構成した鋳型や、同一方向へ同一速度で走行する一対のエンドレスベルトの相対する面とその両側辺部において両エンドレスベルトと同一速度で走行するガスケットとで構成される鋳型が挙げられる。本発明で得られたシラップを重合して得られる樹脂板の厚さは1〜10mmの範囲であることが好ましい。
前記シラップを鋳型に注入して重合硬化するのに使用される重合開始剤は、生産性や得られた樹脂キャスト板の物性の観点から、その10時間半減期温度が50〜58℃の範囲内にあることが好ましく、52〜56℃の範囲にあることがより好ましい。重合開始剤としては過酸化物開始剤が好ましく、例えば、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオヘキサノエート等のパーオキシエステル類或いは、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド等のジアシル類が挙げられる。これらの中でもメタクリル系樹脂キャスト板に顔料を含有させて着色する際の発色性が良好であるためパーオキシエステル類がより好ましく、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート等が特に好ましい。
また、パーオキシエステル類以外のパーオキサイド、例えばジアシル類やジカーボネート類はパーオキシエステル並みの生産性向上が図れるが、着色板製板時に例えばグリーン系染料など特定の着色剤の色調を大幅に退色させる場合があるので、十分配慮をしなければならない。
なお、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)のようなアゾ系の重合開始剤を多量に用いると、重合速度を早くすることができるが、得られたメタクリル系樹脂キャスト板には多数の気泡が発生する、あるいはメタクリル系樹脂キャスト板を加熱成形する際に、その中に含まれる重合開始剤末端基の影響から発泡しやすくなる、等の問題が起きることがある。
過酸化物開始剤を使用する場合、その添加量は、目的とする樹脂板の厚さによって適宜決定することができる。具体的にはシラップ1g当り0.2×10−6〜20.0×10−6molが好ましく、0.4×10−6mol以上であることがより好ましく、1.0×10−6mol以上であることが更に好ましい。
さらにシラップには、必要に応じて各種の添加剤、例えば酸化安定剤、可塑剤、染料、顔料、離型剤等を添加してもよい。
得られたシラップは、前記の減圧窒素置換方式等により窒素置換することが好ましい。
次にシラップを鋳型に注入して、重合硬化させる。
特定の単量体を用い、その一部を重合して得た本発明のシラップを鋳型に注入し、キャスト重合させる方法としては、特に制限はないが、例えば次のような方法が挙げられる。
シラップを70〜90℃の範囲内の雰囲気下で5分〜1時間重合し、重合率が80〜95質量%とした後、更に90〜140℃の範囲内の雰囲気下で3分〜2時間かけて重合硬化させて重合率を96質量%以上、好ましくは99質量%以上の板状物とする。
重合時の加熱方法としては、水浴加熱、温水噴霧加熱、蒸気加熱、温風加熱、電熱加熱、赤外線加熱、電磁誘導加熱等の公知の方法を用いることができる。
更に重合させた板状物は鋳型から剥離させてメタクリル系樹脂キャスト板を製造することができる。その剥離させる際の温度は鋳型表面で70〜110℃の範囲内であることが好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
尚、実施例中の評価は以下の方法によって行った。
(1)メタクリル酸メチル中の窒素系化合物濃度の調整及びその濃度の測定方法
アセトンシアンヒドリンを原料とする特定の窒素系化合物を15ppm含むメタクリル酸メチル1部に対して、0.5部のイオン交換水を加えて攪拌洗浄し、下層のイオン交換水を抜き取り、更に同量のイオン交換水を加えて攪拌洗浄を繰返した。その後、30段の精密蒸留装置(オールダーショー製)を用いて蒸留した。得られたメタクリル酸メチル中の窒素系化合物濃度は測定下限0.5ppm以下であった。この蒸留後のメタクリル酸メチルと、前記窒素系化合物を15ppm含むメタクリル酸メチルを所定の比率で混合することにより、後述する窒素系化合物濃度が異なるメタクリル酸メチルを得た。
アジレントテクノロジー製高速液体クロマトグラフィーHP1100(ダイオードアレイ検出器)を使用して、メタクリル酸メチル中の窒素系化合物濃度を面積百万分率法で算出した。
(2)シラップの重合体含有率の測定方法
得られたシラップを大量のn−ヘキサンに投入し、生じた沈殿物を濾過し、残渣を減圧乾燥して質量を秤量し、元のシラップとの割合を算出し、その値をシラップの重合体重合率とした。
(3)溶存酸素量の測定方法
DOメ−タ−(セントラル科学株式会社製;UL−12型)を用い、容器内の雰囲気の酸素量及び単量体溶液中に溶存している酸素量の測定表示値であるmg/L表示を読み取った。尚、本文ではmg/L表示を濃度単位であるppmで表した。
(4)樹脂キャスト板の外観及び発泡性の評価
得られた樹脂キャスト板の表面欠陥及び樹脂キャスト板内部の発泡状態を目視にて観察した。
(5)樹脂キャスト板の重合率と重量平均分子量測定方法
得られた樹脂キャスト板の一部をアセトンに溶解後、アジレントテクノロジー社製:HP−6890型ガスクロマトグラフィーを使用して測定し、内部標準法で各成分を算出して重合率を求めた。また、重量平均分子量は、樹脂キャスト板の一部をTHF(テトラヒドロフラン)に溶解し、東ソー製:HLC−8220型液体クロマトグラフィーを使用して測定し、ポリスチレン換算で算出した。
[実施例1]
冷却管、攪拌翼、外側にジャケットを備えた内容量が5リットルの窒素置換した容器を使用し、窒素系化合物の濃度が測定下限0.5ppm以下であるメタクリル酸メチルを用いて、次のようしてその一部を重合しシラップを製造した。なお、ここでは単量体の溶存酸素を低減させる容器と、シラップを製造する容器とは同一であり、容器内の酸素濃度、及び容器への供給前後の単量体中の溶存酸素濃度は表1に示す通りであった。なお、この容器の気相部は3.3リットルであった。メタクリル酸メチル100重量部(1650g、1.7リットル)に対して2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.05重量部(0.825g)添加し、その後加温し、内温が80℃に達してから10分間保持した後、容器内を冷却し内温が30℃のメタクリル系シラップを得た。このシラップの重合体含有率は24質量%であった。次にこのシラップ100重量部に対しt−ヘキシルパーオキシピバレート0.2重量部を添加し、混合溶解した後、攪拌下において容器内の圧力を−90kPaとし5分間減圧窒素置換(脱気)した。この得られたシラップを、軟質塩化ビニル製ガスケットを介して約8mmの間隔で積層された大きさ300×300×3mmの一対のステンレス板をクリップで固定することにより構成された鋳型セルに注入した。シラップを注入した鋳型を76℃の温水噴霧状態で30分間保持し重合硬化させた後、130℃の空気過熱炉中で40分間熱処理し、90℃まで冷却した後、この鋳型セル中の硬化物をセルから剥離し、板厚が6mmのメタクリル系樹脂キャスト板を得た。シラップを製造する前の容器内の酸素濃度、単量体であるメタクリル酸メチルの窒素置換前後の溶存酸素濃度の変位、及び得られたメタクリル系樹脂キャスト板の外観評価結果を表1に示す。
[実施例2]
メタクリル酸メチル中の窒素系化合物濃度を3ppmに調整したものを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてメタクリル系樹脂キャスト板を得た。各評価結果を表1に示す。
[実施例3]
メタクリル酸メチル中の窒素系化合物濃度を2ppmに調整したものを用い、単量体としてメタクリル酸メチル/アクリル酸n−ブチル=95質量%/5質量%を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてメタクリル系樹脂キャスト板を得た。各評価結果を表1に示す。
[比較例1]
単量体の溶存酸素濃度を低減させるための容器内の酸素濃度を8.5ppmとしたこと以外は、実施例2と同様にしてメタクリル系樹脂キャスト板を得た。各評価結果を表1に示す。
[比較例2]
メタクリル酸メチル中の窒素系化合物濃度を15ppmに調整したものを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてメタクリル系樹脂キャスト板を得た。各評価結果を表1に示す。
Figure 2007177170
表1のMMAは、メタクリル酸メチルを示し、n−BAは、アクリル酸ブチルを示す。

Claims (2)

  1. メタクリル酸メチル単独またはメタクリル酸メチルを含む単量体混合物をラジカル重合開始剤の存在下にその一部を重合してなるシラップを用いてキャスト重合するメタクリル系樹脂キャスト板の製造方法において、メタクリル酸メチルがアセトンシアンヒドリンを原料とするものを含むものであって、該メタクリル酸メチル中に含まれる分子量が100〜300の範囲にあり、且つ分子式CxHyNzOkで表され、x、y、z、kが各々6≦x≦15、6≦y≦20、1≦z≦6、1≦k≦4で示される窒素系化合物が10ppm以下であり、且つ、溶存酸素濃度を2ppm以下としたメタクリル酸メチル単独またはメタクリル酸メチルを含む単量体混合物をラジカル重合開始剤の存在下、重合体含有率が5質量%〜35質量%となるようにその一部を重合したシラップを使用してキャスト重合することを特徴とするメタクリル系樹脂キャスト板の製造方法。
  2. 単量体または単量体混合物の残存酸素濃度を低減させるための容器の大きさ、あるいはシラップを製造する容器の大きさが、該容器に供給した単量体または単量体混合物の総容量に対し、0.5〜3倍の気相部を有するものである請求項1に記載のメタクリル系樹脂キャスト板の製造方法。
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