JP5168259B2 - アクリルシラップ - Google Patents

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Description

本発明はメタクリル酸メチルを主成分とする単量体を重合して得られる重合体を含む、アクリルシラップ組成物に関する。
アクリルシラップはメタクリル樹脂注型板、光伝送繊維や光導波路などの光学材料、アクリル人造大理石、人工印材、床材、接着剤、粘着剤、文化財・剥製等修復材料または医療用材料などの中間原料として用いられている。このうちメタクリル酸メチルを主成分とするシラップ製造方法は特許、文献等に多く紹介されており、アクリルシラップの製造方法は以下の2つに大別される。1つは特開昭49−104937号公報、特開平9−194673号公報等に開示されている、別途調製した重合体を単量体に溶解する方法である。本発明とは基本的に異なる製造方法であり、しかも一旦重合体を取り出した後再度単量体に溶解するため、エネルギー的にも経済的にも不利である。もう1つは、単量体を部分的に塊状重合させる方法であり部分重合法とも呼ばれ、更に部分重合法は回分法と連続法とに分けられる。
部分重合法のうち回分法による製造方法として、例えば特公昭36−3392号公報には、メタクリル酸メチルを主成分とする単量体および連鎖移動剤からなる原料を80℃に昇温し、少量の2,2’−アゾビスイソブチロニトリルまたは過酸化ベンゾイルを重合開始剤として加え、同時に100℃に昇温して27〜50分重合し、所定の粘度になった時点で重合禁止剤としてハイドロキノンを含有する冷たいメタクリル酸メチルを加えて急冷することによりアクリルシラップを製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法では重合開始剤が完全に分解しない状態で重合を停止するため、得られたシラップ中に重合開始剤が残存しており、たとえ重合禁止剤を加えても貯蔵安定性の劣ったものとなる。例えば重合開始剤に用いる過酸化ベンゾイルの100℃での半減期は約22分であるから、所定の粘度に達した時点では加えた量に対して42〜20%の重合開始剤が製品中に残存している。また反応に必要な量の重合開始剤を加えた後に昇温を行うため、僅かな温度変化により製品の重合率、分子量、引いては製品粘度に大きく影響するため安定した製造は行えない。
特公平1−11652号公報及び特開平9−67495号公報では、SMC(シートモールディングコンパウンド)またはBMC(バルクモールディングコンパウンド)の中間原料としてシラップを製造するに際し、メタクリル酸メチル89重量部、メタクリル酸5重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート6重量部からなる単量体100重量部に対しn−ドデシルメルカプタン0.4重量部、2,2' −アゾビスイソブチロニトリル0.05重量部を含む原料を仕込み、80℃で重合を行い、反応液が所定の粘度に達した時点で重合禁止剤としてハイドロキノンおよびp−メトキシフェノールを加え速やかに室温まで冷却し重合を停止する方法により、カルボン酸を含むアクリルシラップを製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法で得られたシラップ中には重合開始剤が残存しており、たとえ重合禁止剤を加えても貯蔵安定性の劣ったものとなり、貯蔵中に着色する原因ともなる。また反応に必要な量の重合開始剤を一度に添加するために反応の制御が困難であり、重合率、分子量及び製品粘度が大きく変化するので優れた製造方法とは言えない。重合開始剤が残存しないようにするため重合温度での半減期の短い重合開始剤を用いれば良いが、この場合多量の重合開始剤を必要とするため、重合反応が急速に進行する結果となり反応を制御することがはなはだ困難となる。このため回分法で使用可能な重合開始剤は重合温度での半減期が長いものに制限されると言うジレンマに陥る。
シラップ中の重合体の含有量が大きいほど成形時間の短縮が可能となる。適当な粘度を有しかつ重合体の含有量の大きいシラップを作るためには連鎖移動剤を使用し、シラップ中の重合体の重合度を小さくする方法が用いられる。しかし、この方法では重合反応の調整は容易であるが大量の連鎖移動剤を使用しなくてはならず、得られたシラップ中に連鎖移動剤が未反応のまま残留する。シラップ中にメルカプタンなどの連鎖移動剤が多く残存すると、メルカプタンに起因する臭気が発生することがある。またシラップ中にメルカプタンが残存していると、貯蔵中に徐々に粘度が上昇し、場合によってはゲル化する場合がある。つまり、メルカプタンが多く残存しているシラップは、貯蔵安定性に劣ることになる。このような未反応連鎖移動剤の残っているメタクリル酸メチル系のシラップを使用して成形品を製造するときは成形時間が著しく遅延されるばかりか、得られた成形品の分子量が小さくなり、成形品の機械的特性等を大きく損なうことになる。このようなシラップを用いて得られた成形品は屋外において使用した場合、水、光、熱などの複合反応により着色を生じ、耐候性を落とす場合もある。
一方メルカプタン類により重合が進行することについては、例えば特公昭46−40693号公報で連鎖移動剤としてメルカプタン類のように活性水素を有する硫黄化合物を用い、重合開始剤を加えずに65〜105℃で部分重合を行いアクリルシラップを製造する方法が開示されている。この方法では所望の重合率まで重合するためには大量の連鎖移動剤を必要とし、分子量の高い重合体を含むアクリルシラップを得ることができない。また分子量の高い重合体を含むアクリルシラップを得るためには少量の連鎖移動剤を用いて長時間反応することが必要となり、いずれの場合にも実用的ではない。
そこで、例えば、特公昭53−2189号公報ではメタクリル酸メチルを含む単量体混合物をメルカプタン存在下にて部分重合してなるシラップ中に残存するメルカプタン化合物を、無水マレイン酸および塩基性化合物を用いて樹脂組成物を処理する方法が開示されている。しかしながら、この処理方法では冷却中または冷却後に添加物を加えるために工程が煩雑となり、しかも窒素を含む塩基性化合物により、メタクリル酸メチル系シラップより製造する成形品が着色し、実用的ではない。また、この処理方法では、メルカプタン化合物が有するメルカプト基を十分に失活させることができない。このため、処理後の樹脂組成物にメルカプタン化合物の臭気が残存していることがある。さらに、上記従来の処理方法を用いて単量体を含む樹脂組成物を処理することによって得られる樹脂材料は、貯蔵安定性に劣る場合や、該樹脂材料を硬化させてなる硬化物が耐溶剤性、耐水性、耐候性に劣る場合がある。
本発明の目的は、従来法の上記のような問題点を解決し、種々の用途に適しかつ安定した品質のアクリルシラップおよび該アクリルシラップの効率的かつ簡便な製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究した結果、特定の製造方法によって種々の用途に適し、かつ安定した品質のアクリルシラップを効率的、かつ容易に製造し得ることを見いだし本発明に到った。すなわち本発明は、(1)メタクリル酸メチルを主成分とする単量体原料20〜70重量部に消泡剤を添加したのち、この初めの単量体原料仕込み分に対して200〜1000vol%の不活性ガスの吹き込みを行ってもよく、その後、昇温し、(2)系内組成物の温度が沸点に達し、還流を開始した時点で連鎖移動剤の全量を、単量体原料全量100重量部に対し0〜0.1重量部となるよう添加し、(3)還流を維持しながら、残りの単量体原料30〜80重量部を、該沸点での半減期が10〜300秒である重合開始剤とともに0.1〜10時間かけて連続的又は分割して添加し、(4)添加終了後さらに加熱を継続し、(5)加熱終了後にヒンダードフェノール系重合禁止剤を加えることを特徴とするアクリルシラップの製造方法に関する。また本発明は、(A)メタクリル酸メチルを主成分とする単量体74〜99重量部、(B)メタクリル酸メチル単位を主成分とする単量体から得られ、GPCで測定した重量平均分子量が51万〜200万である重合体1〜26重量部、(C)炭素数4〜20のメルカプタン0〜0.1重量部、(D)炭素数1〜30の脂肪族カルボン酸とグリセリンとの部分エステル化合物及び/又はブタジエンを主成分とする単量体から得られたポリマー0.0001〜0.3重量部および(E)ヒンダードフェノール系重合禁止剤0.001〜1.0重量部からなり、25℃における粘度が10〜500,000mPa・sであることを特徴とするアクリルシラップに関する。
本発明により製造されるシラップは、シラップ中に残存する連鎖移動剤が極めて少量であるため、メルカプタンに起因する臭気の問題もなく、貯蔵安定性に優れている。またこのようなシラップを使用することにより成形時間が短縮されるばかりではなく、得られた成形品の耐溶剤性、耐水性、耐候性、耐煮沸性および強度において優れているという特徴を有する。
以下に本発明のアクリルシラップおよびその製造方法について具体的に説明する。本発明では単量体成分としてメタクリル酸メチルを必須成分とし、メタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル性単量体成分を任意に加えて用いることができる。この単量体成分はメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体であれば特に限定されず、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸および/またはフマル酸などの不飽和カルボン酸、メタクリル酸メチルを除く不飽和カルボン酸のエステル、ニトリルアミド、イミド及び/または酸無水物、スチレンなどの芳香族ビニル、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルなど、エチレン性二重結合を有する化合物が挙げられる。
本発明では重合法として半回分法が採用される。本発明ではメタクリル酸メチルを必須成分とする単量体原料の初めの仕込み分に消泡剤を添加した後、単量体原料の沸点まで昇温する。消泡剤としては、重合反応および得られた製品に悪影響を及ぼさず、気泡を安定化させる物質の活動を抑制し、液中より泡抜けをよくさせるもの、表面の泡を破泡するもの、かつ液体粘度を低下させる性質を有する物質が選択される。この様な消泡剤として本発明では炭素数1〜30の脂肪族カルボン酸とグリセリンとの部分エステル化合物及び/又はブタジエンを主成分とする単量体から得られたポリマーからなる消泡剤が用いられる。具体的にはビックケミー・ジャパン(株)「プラスチック添加剤」や、花王(株)「花王のプラスチック用滑剤」等に記載されているカプリル酸モノグリセリド、ラウリン酸モノグリセリド、ミリスチン酸モノグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、リノレン酸モノグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノグリセリドおよびベヘニン酸モノグリセリドなどの炭素数1〜30の脂肪酸とグリセリンとの部分エステル化合物;ブタジエンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンエラストマーなどのブタジエンを主成分とする単量体のポリマーである。
消泡剤添加量は、必要な性能を発揮するために単量体原料全量(初めに仕込む単量体と後に加える単量体との合計量)を100重量部としたとき、0.0001〜0.3重量部とすることが望ましい。0.3重量部を超えて添加しても消泡効果に大きな違いは見られない。添加した消泡剤は最終製品を製造する際に気泡の内包を抑制し、成型時の脱泡を良くするために、注型板、光伝送繊維や光導波路などの光学材料、アクリル人造大理石、人工印材、床材、接着剤、粘着剤、文化財・剥製等修復材料または医用材料などの最終製品においても外観不良率または機械的欠陥を低減させると言う効果も期待できる。
本発明では単量体原料の初めの仕込み分に消泡剤を添加した後、窒素などの不活性ガスで溶存酸素を置換してもよく、次いで単量体原料の沸点まで昇温する。沸点に達したら、還流を開始する。還流の目的は追加原料の添加により系内にもたらされる酸素を系外に除去することにあり、それにより重合反応を安定に行うことが出来る。単量体原料中に酸素が溶存していると、酸素が単量体と反応してパーオキサイドや共重合体を生成し、温度や酸素濃度等の条件により、重合を抑制したり、あるいは逆に重合を開始したりするので重合反応が不安定となる。本発明においては、消泡剤を添加した後昇温する前に、初めに仕込む単量体原料に対し200〜1000vol%の不活性ガスを単量体に接触させて溶存酸素を置換してもよい。不活性ガスの量が200vol%未満では溶存酸素を十分低減することはできない。1000vol%を超える量を用いることも可能であるがいたずらに不活性ガスの消費量を増加させるだけで経済的でない。また不活性ガスを単量体に接触させる手段には、バブリング、アトマイジングあるいはモーションレスミキサーによる気液接触および気液の分離など、公知の手段を用いることができる。
還流を開始した時点で全量添加される連鎖移動剤としては重合反応を阻害せず所望の分子量の製品が得られるメルカプタン類が用いられ、例えば、1−ブタンチオール、2,2−ジメチルエタンチオール、1−オクタンチオール、2,2−ジメチルヘキサンチオール、1−ドデカンチオール、2,2−ジメチルデカンチオール、1−ヘキサデカンチオール、1−オクタデカンチオール、ベンゼンチオール、チオクレゾール、チオナフトールなど炭素数4〜20のメルカプタン類の少なくとも1種を使用する。本発明では得られる重合体の分子量を目的の大きさにするため、連鎖移動剤の添加量を制御することが重要であり、その添加量は単量体原料全量を100重量部としたとき0〜0.1重量部である。
連鎖移動剤を添加したのち、残りの単量体を該沸点での半減期が10〜300秒である重合開始剤とともに0.1〜10時間かけて連続的又は分割して添加する。本発明で使用する重合開始剤は、反応温度での半減期が10〜300秒になるような重合開始剤であり、この様な重合開始剤を用いることにより重合開始剤を完全に消費させ、得られるシラップの貯蔵安定性を向上させることができる。この様な重合開始剤は日本油脂(株)「有機過酸化物」資料第13版、アトケム吉富(株)技術資料 および和光純薬工業(株)「Azo Polymerization Initiators」等に記載の諸定数等により容易に求めることができ、例えば2,2' −アゾビスイソブチロニトリル、2,2' −アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2' −アゾビス(2,4ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、1,1' −アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートおよび/またはビス( 4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどが例示される。
重合開始剤は、単独あるいは2種以上組み合わせて用いることができ、所望の重合率を得るために必要な量が添加される。そして重合開始剤は単独で添加する方法、または単量体原料と混合して添加する方法のいずれも用いることができる。本発明により製造されたアクリルシラップの粘度は重合率、分子量および重合体中のメタクリル酸メチルと共重合可能な不飽和単量体単位の組成により影響を受けるが、必要な粘度範囲を満足するためには、重合開始剤の使用量は単量体原料全量を100重量部としたとき5 .0×10-5〜2.0重量部が好ましく、5.0×10-4〜1.0重量部がさらに好ましい。
追加の単量体と重合開始剤との添加時間が10時間を超えることも可能であるが、仕込から製品取出までの工程時間が長くなり生産性の点から好ましくない。また、連鎖移動剤としてメルカプタン類を用いた場合には僅かずつ重合が進行することが知られている。最初に仕込む原料中にメルカプタン類を加えた状態で昇温すると、昇温速度の長短により重合率が変動するため安定した製造が行えない。また、重合開始剤と同時に連鎖移動剤を調合すると、重合開始剤と連鎖移動剤とのレドックス反応による原料槽内での重合が起こる虞があり好ましくない。
本発明においては追加の単量体と重合開始剤との添加終了後、一定時間加熱を継続し重合反応を完結させた後、重合禁止剤を添加した後冷却し製品を取り出す。加熱終了時に重合禁止剤を加えることにより、冷却操作中にメルカプタン類による重合を完全に防止し、さらに安全に製造でき、安定した製品品質のアクリルシラップを製造することができる。また加熱終了時に重合禁止剤を加えることによりアクリルシラップの貯蔵安定性は良好となるため、アクリルシラップ中に残存するメルカプタン類の不活性化処理を行う必要はない。
得られたシラップの重合及び着色をさけるため、本発明ではヒンダードフェノール系重合禁止剤を用いる。ヒンダードフェノール系重合禁止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、6−t−ブチル−2,4−ジメチルフェノール、4,4' −チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)および/または2,2' −メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。これらのヒンダードフェノール系重合禁止剤は単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。ヒンダードフェノール系重合禁止剤の添加量は単量体原料全量を100重量部としたとき0.001〜1.0重量部が好ましく、0.005〜0.3重量部がより好ましい。
以上のようにして得られたアクリルシラップは、(A)メタクリル酸メチルを主成分とする単量体74〜99重量部、(B)メタクリル酸メチル単位を主成分とする単量体から得られ、GPCで測定した重量平均分子量が51万〜200万である重合体1〜26重量部、(C)炭素数4〜20のメルカプタン0〜0.1重量部、(D)炭素数1〜30の脂肪族カルボン酸とグリセリンとの部分エステル化合物及び/又はブタジエンを主成分とする単量体から得られたポリマー0.0001〜0.3重量部および(E)ヒンダードフェノール系重合禁止剤0.001〜1.0重量部からなり、25℃における粘度が10〜500,000mPa・sである。
本発明の方法により得られたアクリルシラップは注型板、光伝送繊維や光導波路などの光学材料、アクリル人造大理石、人工印材、床材、接着剤、粘着剤、文化財・剥製等修復材料または医用材料などの中間原料として用いることができる。必要に応じ充填材、繊維補強材、低収縮剤、滑剤、可塑剤、増粘剤、有機溶剤等の希釈剤、架橋剤、レベリング剤、沈降防止剤、離型剤、酸化防止剤、UV吸収剤、顔料および/または染料等の公知の添加剤を混合し用いることもできる。
本発明をさらに具体的に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。重合率は重量法により、試料を大量の冷ヘキサン中に投入し生じた沈澱物を精製・減圧乾燥し求めた。重合体の分子量は東ソー(株)製8010型ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、シラップ中の残存メルカプタン量はGLサイエンス(株)製GL―390Bにより測定した。粘度はB型粘度計を用い25℃で測定した。
実施例1
温度計、還流冷却器、定量ポンプ、撹拌装置を取り付けた2リットルセパラブル四つ口フラスコに、メタクリル酸メチル840gおよびブタジエンを主成分とする単量体のポリマー(ビックケミー社、商品名BYK−A515)0.084gからなる混合物を投入し、100rpmで攪拌しながら昇温した。温度が100℃に達したところで連鎖移動剤としての1−ドデカンチオール0.454gをすばやく加え、次いで重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.0151gを溶解したメタクリル酸メチル840gを3時間かけて定量ポンプを用いて4.7g/分で滴下した。滴下終了後0.25時間加熱を継続し重合禁止剤としての2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.34gを加え重合を停止した。その後室温まで冷却し、無色透明なアクリルシラップを得た。重合の進行に伴い反応溶液の粘度が高くなり泡が発生したが、界面に於いて直ちに破泡し、重合後期及び終了時に於いても泡の相はみられなかった。得られたシラップの重合率は13.5%で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)は59.6万、25℃における粘度は2,200mPa・sであった。またシラップ中に残存する1−ドデカンチオールは0.3gであった。
実施例2
実施例1と同じ装置を用い、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.0580gに、またBYK−A515を0.168gに変更する以外は、実施例1と同様の仕込み組成で反応を行いアクリルシラップを得た。重合の進行に伴い反応溶液の粘度が高くなり泡が発生したが、界面に於いて直ちに破泡し、重合後期及び終了時に於いても泡の相はみられなかった。得られたアクリルシラップは無色透明であり、重合率は17.5%で、重量平均分子量(Mw)は61.5万、25℃における粘度は20,500mPa・sであった。またシラップ中に残存する1−ドデカンチオールは0.3gであった。
実施例3
実施例1と同じ装置を用い、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.0042gに、またBYK−A515をステアリン酸モノグリセリド2.520gに変更する以外は、実施例1と同様の仕込み組成で反応を行いアクリルシラップを得た。重合の進行に伴い反応溶液の粘度が高くなり泡が発生したが、界面に於いて直ちに破泡し、重合後期及び終了時に於いても泡の相はみられなかった。得られたアクリルシラップは無色透明であり、重合率は10.1%で、重量平均分子量(Mw)は60.3万、25℃における粘度は230mPa・sであった。またシラップ中に残存する1−ドデカンチオールは0.2gであった。
実施例4
実施例1と同じ装置を用い、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.0461gに、また1−ドデカンチオールを0.168gに変更する以外は、実施例1と同様の仕込み組成で反応を行いアクリルシラップを得た。重合の進行に伴い反応溶液の粘度が高くなり泡が発生したが、界面に於いて直ちに破泡し、重合後期及び終了時に於いても泡の相はみられなかった。得られたアクリルシラップは無色透明であり、重合率は15.8%で、重量平均分子量(Mw)は75万、25℃における粘度は33,000mPa・sであった。またシラップ中に残存する1−ドデカンチオールは0.1gであった。
実施例5
実施例1と同じ装置を用い、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.0084gに、また1−ドデカンチオールを加えない以外は、実施例1と同様の仕込み組成で反応を行いアクリルシラップを得た。重合の進行に伴い反応溶液の粘度が高くなり泡が発生したが、界面に於いて直ちに破泡し、重合後期及び終了時に於いても泡の相はみられなかった。得られたアクリルシラップは無色透明であり、重合率は9.9%で、重量平均分子量(Mw)は150万、25℃における粘度は7,500mPa・sであった。
実施例6
実施例1と同じ装置を用い、実施例1と同様の装置にメタクリル酸メチル821g、メタクリル酸19.3gおよびBYK−A515の0.084gを仕込み、100rpmで攪拌しながら85ml/分の吹き込み速度で30分間窒素置換を行ったのち昇温した。温度が101℃に達したところで連鎖移動剤としての1−ドデカンチオール0.454gをすばやく加え、次いで重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.0336gを溶解したメタクリル酸メチル840gを3時間かけて定量ポンプより加えた。滴下終了後0.25時間加熱を継続し重合禁止剤としての6−t−ブチル−2,4−ジメチルフェノール0.85gを加え重合を停止した。その後室温まで冷却し、無色透明なアクリルシラップを得た。重合の進行に伴い反応溶液の粘度が高くなり泡が発生したが、界面に於いて直ちに破泡し、重合後期及び終了時に於いても泡の相はみられなかった。得られたシラップの重合率は15.4%で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)は57.2万であった。また、25℃における粘度は6,000mPa・sであった。またシラップ中に残存する1−ドデカンチオールは0.2gであった。
比較例1
実施例1と同じ装置を用い、実施例1における初期仕込み溶液中のメタクリル酸メチルを834gに、また2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.1132gに、さらに連鎖移動剤1−ドデカンチオールを6.050gに変更する以外は、実施例1と同様の仕込み組成で反応を行った。重合の進行に伴い反応溶液の粘度が高くなり泡が発生したが、界面に於いて直ちに破泡し、重合後期及び終了時に於いても泡の相はみられなかった。得られたアクリルシラップは無色透明であり、重合率は32.8%で、重量平均分子量(Mw)は8.1万、25℃における粘度は2,300mPa・sであった。またシラップ中に残存する1−ドデカンチオールは2.5gであった。この時得られたシラップはメルカプタンに起因すると思われる臭気が発生した。
比較例2
実施例1と同じ装置を用い、実施例1における初期仕込み溶液中のメタクリル酸メチルを823gに、また2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.0580gに、さらに1−ドデカンチオールを16.81gに、変更する以外は、実施例1と同様の仕込み組成で反応を行いアクリルシラップを得た。重合の進行に伴い反応溶液の粘度が高くなり泡が発生したが、界面に於いて直ちに破泡し、重合後期及び終了時に於いても泡の相はみられなかった。得られたアクリルシラップは無色透明であり、重合率は37.6%で、重量平均分子量(Mw)は3.2万、25℃における粘度は1,600mPa・sであった。またシラップ中に残存する1−ドデカンチオールは9.7gであった。この時得られたシラップはメルカプタンに起因すると思われる強烈な臭気が発生した。
比較例3
実施例1と同じ装置を用い、実施例1における初期仕込み溶液中のメタクリル酸メチルを835gに、また2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.0580gに、さらに1−ドデカンチオールを4.706gに、変更する以外は、実施例1と同様の仕込み組成で反応を行いアクリルシラップを得た。得られたアクリルシラップは無色透明であり、重合率は37.0%で、重量平均分子量(Mw)は10.0万、25℃における粘度は20,300mPa・sであった。またシラップ中に残存する1−ドデカンチオールはシラップに対して2.4gであった。この時得られたシラップはメルカプタンに起因すると思われる臭気が発生した。

Claims (1)

  1. (A)メタクリル酸メチルを97.7重量%以上含む単量体74〜99重量部、(B)メタクリル酸メチルを97.7重量%以上含む単量体から得られ、GPCで測定した重量平均分子量が51万〜200万である重合体1〜26重量部、(C)炭素数4〜20のメルカプタン0〜0.1重量部、(D)炭素数1〜30の脂肪族カルボン酸とグリセリンとの部分エステル化合物及び/又はブタジエンを主成分とする単量体から得られたポリマー0.0001〜0.3重量部および(E)ヒンダードフェノール系重合禁止剤0.001〜1.0重量部からなり、25℃における粘度が10〜500,000mPa・sであることを特徴とするアクリルシラップ。
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