JP2001081240A - 熱可逆架橋性エラストマーおよびその組成物 - Google Patents

熱可逆架橋性エラストマーおよびその組成物

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JP2001081240A
JP2001081240A JP26270599A JP26270599A JP2001081240A JP 2001081240 A JP2001081240 A JP 2001081240A JP 26270599 A JP26270599 A JP 26270599A JP 26270599 A JP26270599 A JP 26270599A JP 2001081240 A JP2001081240 A JP 2001081240A
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Keisuke Chino
圭介 知野
Katsuhiro Igawa
勝弘 井川
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Yokohama Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】温度変化により架橋構造の解離と形成を可逆的
に繰り返し起こすことができ、リサイクルが容易な熱可
逆架橋性エラストマーおよびその組成物の提供。 【解決手段】酸無水物基と水酸基との反応を架橋反応に
利用した熱可逆架橋性エラストマーおよびその組成物
等。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温度変化により架
橋構造の解離と形成を可逆的に起こしうる熱可逆架橋性
エラストマーおよびその組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】以前から、エラストマーのリサイクル
性、省エネルギー性、加工性、各種物性等の向上につい
て、様々な検討が行われてきた。熱可塑性エラストマー
は、高分子物質と加硫剤とが共有結合した安定な三次元
網目構造を有する従来の加硫ゴムに対して、物理的架橋
を利用するものであり、予備成形などを含む煩雑な加硫
・成形工程を必要とせずに、熱可塑性樹脂と同様に加熱
溶融により容易に成形加工することができる点で、従来
のエラストマーに比べて、リサイクル性、省エネルギー
性、加工性の向上が図られたものである。
【0003】このような熱可塑性エラストマーの典型例
としては、樹脂成分とゴム成分とを含み、常温では微結
晶樹脂成分が三次元網目構造の架橋点の役割を果たす拘
束相(ハードセグメント)となって、ゴム成分(ソフト
セグメント)の塑性変形を阻止し、温度上昇により樹脂
成分の軟化あるいは融解により塑性変形するものが知ら
れている。上記のような樹脂成分とゴム成分とを含む熱
可塑性エラストマーとしては、具体的にはスチレン・ブ
タジエンブロック共重合体、イソプレンマルチブロック
共重合体などのブロック共重合体、およびポリプロピレ
ンとエチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPD
M)との樹脂/ゴムブレンド物などが知られている。さ
らに上記のような樹脂/ゴムブレンド物中のゴム成分
(EPDM)を過酸化物などで架橋したものも知られて
いる。
【0004】上記のような公知の熱可塑性エラストマー
では、拘束相を形成するために樹脂成分を含ませてお
り、従来の加硫ゴムに比べるとゴム弾性が低下すること
は否めない。このためもし、拘束相を形成するための樹
脂成分を含まなくても、温度変化により可逆的に流動性
を獲得するエラストマー、即ち、常温では架橋している
が、加熱により脱架橋し流動性を持ち、この転換を可逆
的に一定回数以上行うことができるエラストマーが出現
すれば、従来必要とされていた混練り、予備成形、加硫
などの煩雑な工程を行わなくても、簡便な加熱成形加工
によりゴム弾性体を得ることができ、その産業上の利用
価値は極めて高い。また、そのようなエラストマーは、
リサイクル性の点からも、極めて好ましい。
【0005】ところで、熱可塑性樹脂の改質方法とし
て、種々の結合反応を利用することが知られている。例
えば、特開平6−57062号公報には、不飽和カルボ
ン酸無水物をグラフトした変性ポリオレフィンと多価ア
ルコールからなる組成物が提案されており、その組成物
は、溶融成形性等に優れ、リサイクルして使用すること
ができる旨記載されている。特開平11−106578
号公報にも同様の組成物が記載されている。
【0006】また、特開昭60−179479号公報に
は、ジビニルエーテルと、オレフィンとエチレン不飽和
モノカルボン酸の共重合により製造されるコポリマーと
を反応させることにより得られる接着剤組成物が提案さ
れており、架橋の熱可逆性により接着剤組成物の接着性
がより向上する旨記載されている。
【0007】また、特開平11−35675号公報に
は、アルケニルエーテル基を含有する化合物とカルボキ
シル基を含有する化合物を特定触媒下で、付加反応させ
て得られる樹脂が提案されており、その樹脂は、高物性
が得られ、リサイクル性に優れる旨記載されている。
【0008】その他には、イソシアネートとフェノール
の反応を利用した樹脂(Bayer,Angew.Ch
em.,59A,257(1947)およびPoly
m.Prep.,30(1),287(1989))、
アズラクトンとフェノールの反応を利用した樹脂(Ma
cromolecules,24,6809(199
1))、ニトロソ二量体形成反応を利用した樹脂(米国
特許第4,168,882号明細書)が知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したよう
に、樹脂ポリマーにおける可逆反応による架橋形成は従
来技術として知られているが、エラストマーにおいては
このような技術思想がない。従って、上述の各反応を架
橋に利用し、実用面で使用しうるようなエラストマーは
知られていない。本発明は、温度変化により架橋構造の
解離と形成を可逆的に繰り返し起こすことができ、リサ
イクルが容易な熱可逆架橋性エラストマーおよびその組
成物を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、酸無水
物基と水酸基との反応を架橋反応に利用した熱可逆架橋
性エラストマーを提供する。
【0011】また、本発明は、カルボキシル基とビニル
エーテル基との反応を架橋反応に利用した熱可逆架橋性
エラストマーを提供する。
【0012】また、本発明は、ハロゲン化アルキル基と
第三級アミノ基との反応を架橋反応に利用した熱可逆架
橋性エラストマーを提供する。
【0013】また、本発明は、イソシアネート基とフェ
ノール性水酸基との反応を架橋反応に利用した熱可逆架
橋性エラストマーを提供する。
【0014】また、本発明は、アズラクトン基とフェノ
ール性水酸基との反応を架橋反応に利用した熱可逆架橋
性エラストマーを提供する。
【0015】また、本発明は、ニトロソ基の二量化反応
を架橋反応に利用した熱可逆架橋性エラストマーを提供
する。
【0016】また、本発明は、前記熱可逆架橋性エラス
トマーを少なくとも1つ含有する熱可逆架橋性エラスト
マー組成物を提供する。
【0017】また、本発明は、更に、前記熱可逆架橋性
エラストマー以外のエラストマーを含有する前記熱可逆
架橋性エラストマー組成物を提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。初めに、本発明の熱可逆架橋性エラストマーについ
て説明する。本発明の熱可逆架橋性エラストマーは、特
定の熱可逆反応を架橋反応に利用した熱可逆架橋性エラ
ストマーである。ここで、特定の熱可逆反応とは、本発
明の第一の態様においては、酸無水物基と水酸基とのエ
ステル形成反応であり、本発明の第二の態様において
は、カルボキシル基とビニルエーテル基とのヘミアセタ
ールエステル形成反応であり、本発明の第三の態様にお
いては、ハロゲン化アルキル基と第三級アミンとのアイ
オネン形成反応であり、本発明の第四の態様において
は、フェノール性水酸基とイソシアネート基とのウレタ
ン形成反応であり、本発明の第五の態様においては、ア
ズラクトン基とフェノール性水酸基との反応であり、本
発明の第六の態様においては、2つのニトロソ基による
ニトロソ二量体形成反応である。これらの反応は、いず
れもある反応部位と別の反応部位との間の結合反応であ
り、加熱により結合を解離し、冷却により再び結合を形
成するという点で共通する。以下、本発明の第一から第
六の態様について、これらの熱可逆反応を反応部位Aと
反応部位Bとの熱可逆反応に一般化して、説明する。
【0019】本発明の熱可逆架橋性エラストマーは、反
応部位AとBとの反応を架橋反応に利用したものであ
り、常温では架橋が形成されており、これを一定温度以
上に加熱すると架橋が解離し、その後冷却すると再び架
橋を形成する。本発明の熱可逆架橋性エラストマーは、
次のいずれかの態様をとる。 反応部位AとBとの両方またはいずれか一方を有する
エラストマーであって、反応部位AとBとが反応して分
子間で結合しており、常温において架橋が形成されてい
るエラストマー(本発明の第六の態様では、反応部位A
とBとが同一であるので、ニトロソ基を有するエラスト
マーであって、ニトロソ基同士が反応して分子間で結合
しており、常温において架橋が形成されているエラスト
マー)。 反応部位AとBとのいずれか一方を有するエラストマ
ー分子と、他方を有する化合物とを有するエラストマー
であって、反応部位AとBとが反応してエラストマー分
子と化合物との間で結合しており、常温において架橋が
形成されているエラストマー(本発明の第六の態様で
は、反応部位AとBとが同一であるので、ニトロソ基を
有するエラストマー分子と、ニトロソ基を有する化合物
とを有するエラストマーであって、ニトロソ基同士が反
応してエラストマー分子と化合物との間で結合してお
り、常温において架橋が形成されているエラストマ
ー)。
【0020】なお、本発明の熱可逆架橋性エラストマー
は、常温では架橋構造をとるため、の態様において
は、各エラストマー分子が分子間で結合した状態で存在
し、の態様においては、エラストマー分子と化合物が
結合した状態で存在するが、一定の温度以上では架橋構
造が解離するため、の態様においては、各エラストマ
ー分子が分離した状態で存在し、の態様においては、
エラストマー分子と化合物が分離した状態で存在する。
【0021】の態様においては、エラストマー1分子
中に反応部位AとBとの両方を有していてもよく、1分
子中に反応部位Aのみ有するエラストマーと1分子中に
反応部位Bのみ有するエラストマーとが混合されていて
もよい。中でも、エラストマー1分子中に反応部位Aと
Bとの両方を有しているのが好ましい。また、エラスト
マー1分子中に反応部位AとBとの両方を有するエラス
トマーと、1分子中に反応部位Aのみ有するエラストマ
ーおよび1分子中に反応部位Bのみ有するエラストマー
の少なくとも一方とが混合されていてもよい。
【0022】の態様においては、エラストマー分子が
有する反応部位は、反応部位Aであっても反応部位Bで
あってもよい。エラストマー分子が反応部位Aを有する
場合には、化合物が反応部位Bを有し、エラストマー分
子が反応部位Bを有する場合には、化合物が反応部位A
を有する。
【0023】本発明の第一の態様においては、反応部位
AとBは、酸無水物基と水酸基である。酸無水物基は、
脂肪族、芳香族系のカルボン酸の酸無水物基をさし、環
状酸無水物基および非環状無水物基のいずれも用いるこ
とができるが、特に環状酸無水物基が好適に用いられ
る。環状酸無水物基は、例えば、無水マレイン酸基、無
水フタル酸基、無水コハク酸基、無水グルタル酸基が挙
げられ、非環状酸無水物基は、例えば、無水酢酸基、無
水プロピオン酸基、無水安息香酸基が挙げられる。中で
も、無水マレイン酸が付加した無水コハク酸基が好まし
い。本発明の第二の態様においては、反応部位AとB
は、カルボキシル基とビニルエーテル基である。本発明
の第三の態様においては、反応部位AとBは、ハロゲン
化アルキル基と第三級アミノ基である。ハロゲン化アル
キル基は、例えば、アルキルブロミド、アルキルクロリ
ド、フェニルブロミド、フェニルクロリド、ベンジルブ
ロミド、ベンジルクロリドが挙げられる。中でも、ベン
ジルブロミドが好ましい。第三級アミノ基は、例えば、
ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミ
ノ基が挙げられる。中でも、ジメチルアミノ基が好まし
い。ハロゲン化アルキル基と第三級アミノ基との組み合
わせは、特に限定されないが、ベンジルブロミドとジメ
チルアミノ基との組み合わせが好ましい。本発明の第四
の態様においては、反応部位AとBは、フェノール性水
酸基とイソシアネート基である。本発明の第五の態様に
おいては、反応部位AとBは、アズラクトン基とフェノ
ール性水酸基である。本発明の第六の態様においては、
反応部位AとBは、同一であり、ニトロソ基である。
【0024】の態様の熱可逆架橋性エラストマーは、
原料となるエラストマーを反応部位AとBとがすでに反
応している状態で変性することにより、または、反応部
位AとBとがすでに反応している状態で直接重合するこ
とにより、直接得られる場合もあるし、原料となるエラ
ストマーを反応部位AとBとの両方を有するよう変性す
ることにより得られたエラストマーや、反応部位AとB
との両方を有するように重合されたエラストマーに、加
熱、冷却等の作用を加えて得られる場合もある。の態
様の熱可逆架橋性エラストマーにおいて、化合物と架橋
を形成するエラストマーは、反応部位AとBとのいずれ
か一方を有するよう原料となるエラストマーを変性する
ことにより、または、反応部位AとBとのいずれか一方
を有するようなエラストマーを重合することにより得ら
れる。また、反応部位AとBとが反応した状態で重合あ
るいは変性することにより得られる。
【0025】これらの場合において、変性を受けるエラ
ストマーとしては、特に限定はなく一般的なエラストマ
ーを用いることができる。このようなエラストマーとし
て、通常のエラストマー(液状エラストマーを含
む。)、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー
が含まれる。具体的には、通常のエラストマーとして
は、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴ
ム、1,2−ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエ
ンゴム(SBR)、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、
ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホ
ン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロロヒドリン
ゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレ
タンゴムが挙げられる。熱可塑性エラストマーとして
は、例えば、ポリスチレン系(例えば、スチレン−ブタ
ジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチ
レン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SI
S)、スチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマ
ーの水素添加物(SEBS))、ポリオレフィン系、ポ
リウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリ塩
化ビニル系の熱可塑性エラストマーが挙げられる。熱硬
化性エラストマーとしては、例えば、ウレタン系、シリ
コーン系の熱硬化性エラストマーが挙げられる。
【0026】の態様の反応部位AとBとの両方を有す
るエラストマーの製造方法は、特に限定されず、反応部
位AとBとを反応した状態で同時に、または別々にエラ
ストマーに導入する方法により製造される。以下、反応
部位Aをエラストマーに導入する方法および反応部位B
をエラストマーに導入する方法について、具体的に説明
する。なお、の態様の反応部位AとBとのいずれか一
方を有するエラストマーの製造方法は、特に限定され
ず、下記の反応部位Aをエラストマーに導入する方法お
よび反応部位Bをエラストマーに導入する方法、または
反応部位AとBとが反応した状態でエラストマーに導入
する方法のいずれかを用いて製造される。
【0027】本発明の第一の態様のエラストマーに用い
られる酸無水物基をエラストマーに導入する方法および
水酸基をエラストマーに導入する方法について説明す
る。酸無水物基をエラストマーに導入する方法は、例え
ば、無水マレイン酸等のオレフィン含有酸無水物モノマ
ーを共重合する方法や、変性を受けるエラストマーに酸
無水物骨格含有化合物を反応させる方法、具体的には、
ジエン系ゴムに無水マレイン酸をエン反応させる方法が
挙げられる。水酸基をエラストマーに導入する方法は、
例えば、酢酸ビニル等のモノマーを共重合した後、加水
分解を行う方法や、変性を受けるエラストマーに水酸基
含有化合物を反応させる方法、具体的には、ジエン系ゴ
ムにメルカプトエタノール等の水酸基含有メルカプト化
合物を反応させる方法が挙げられる。反応部位AとBと
を反応した状態でエラストマーに導入する方法として
は、例えば、酸無水物骨格と水酸基が反応したハーフエ
ステル骨格を有する化合物を高分子反応により導入する
方法または共重合する方法が挙げられる。
【0028】本発明の第二の態様のエラストマーに用い
られるカルボキシル基をエラストマーに導入する方法お
よびビニルエーテル基をエラストマーに導入する方法に
ついて説明する。カルボキシル基をエラストマーに導入
する方法は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカ
ルボキシル基含有モノマーを共重合する方法や、変性を
受けるエラストマーにカルボキシル基含有化合物を反応
させる方法、具体的には、ジエン系ゴムにチオグリコー
ル酸等のカルボン酸含有メルカプト化合物を反応させる
方法が挙げられる。ビニルエーテル基をエラストマーに
導入する方法は、例えば、ジビニルエーテル等のビニル
エーテル基含有モノマーを共重合する方法や、変性を受
けるエラストマーにビニルエーテル基含有化合物を反応
させる方法、具体的には、ジエン系ゴムにメルカプトエ
チルビニルエーテル等のビニルエーテル含有メルカプト
化合物を反応させる方法が挙げられる。反応部位AとB
とを反応した状態でエラストマーに導入する方法として
は、例えば、カルボキシル基とビニルエーテル基が反応
したヘミアセタールエステル骨格を有する化合物を高分
子反応により導入する方法または共重合する方法が挙げ
られる。
【0029】本発明の第三の態様のエラストマーに用い
られるハロゲン化アルキル基をエラストマーに導入する
方法および第三級アミノ基をエラストマーに導入する方
法について説明する。ハロゲン化アルキル基をエラスト
マーに導入する方法は、例えば、ブロモメチルスチレ
ン、クロロメチルスチレン等のハロゲン化アルキル基含
有モノマーを共重合する方法や、変性を受けるエラスト
マーにメルカプトブロモトルエン、メルカプトクロロト
ルエン等のハロゲン化アルキル基含有化合物を反応させ
る方法が挙げられる。第三級アミノ基をエラストマーに
導入する方法は、例えば、ジメチルアミノスチレン、ジ
エチルアミノスチレン等の第三級アミノ基含有モノマー
を共重合する方法や、変性を受けるエラストマーにジメ
チルアミノチオフェノール、ジエチルアミノチオフェノ
ール等の第三級アミノ基含有化合物を反応させる方法が
挙げられる。反応部位AとBとを反応した状態でエラス
トマーに導入する方法としては、例えば、ハロゲン化ア
ルキル基と第三級アミノ基が反応したアイオネン骨格を
有する化合物を高分子反応により導入する方法または共
重合する方法が挙げられる。
【0030】本発明の第四の態様のエラストマーに用い
られるフェノール性水酸基をエラストマーに導入する方
法およびイソシアネート基をエラストマーに導入する方
法について説明する。フェノール性水酸基をエラストマ
ーに導入する方法は、例えば、ヒドロキシスチレン等の
フェノール性水酸基含有モノマーを共重合する方法や、
変性を受けるエラストマーにメルカプトフェノール等の
フェノール性水酸基含有化合物を反応させる方法が挙げ
られる。イソシアネート基をエラストマーに導入する方
法は、例えば、イソシアネートスチレン、イソシアネー
トアクリレート等のイソシアネート基含有モノマーを共
重合する方法や、変性を受けるエラストマーにフェノー
ルキャップドイソシアネートチオフェノール等の保護さ
れたイソシアネート基を含有する化合物を反応させた
後、保護基を除去する方法が挙げられる。反応部位Aと
Bとを反応した状態でエラストマーに導入する方法とし
ては、例えば、イソシアネート基とフェノール性水酸基
が反応したウレタン骨格を有する化合物を高分子反応に
より導入する方法または共重合する方法が挙げられる。
【0031】本発明の第五の態様のエラストマーに用い
られるアズラクトン基をエラストマーに導入する方法お
よびフェノール性水酸基をエラストマーに導入する方法
について説明する。アズラクトン基をエラストマーに導
入する方法は、例えば、アズラクトンスチレン、アズラ
クトンアクリレート等のアズラクトン基含有モノマーを
共重合する方法や、変性を受けるエラストマーにアズラ
クトンチオフェノール等のアズラクトン基含有化合物を
反応させる方法が挙げられる。フェノール性水酸基をエ
ラストマーに導入する方法は、本発明の第四の態様のエ
ラストマーに用いられる方法と同様の方法が挙げられ
る。反応部位AとBとを反応した状態でエラストマーに
導入する方法としては、例えば、アズラクトン基とフェ
ノール性水酸基が反応した骨格を有する化合物を高分子
反応により導入する方法または共重合する方法が挙げら
れる。
【0032】本発明の第六の態様のエラストマーに用い
られるニトロソ基をエラストマーに導入する方法につい
て説明する。ニトロソ基をエラストマーに導入する方法
は、例えば、ニトロソスチレン、ニトロソアクリレート
等のニトロソ基含有モノマーを共重合する方法や、変性
を受けるエラストマーにニトロソチオフェノール、塩化
ニトロシル等のニトロソ基含有化合物を反応させる方法
が挙げられる。ニトロソ基が反応した状態でエラストマ
ーに導入する方法としては、例えば、ニトロソ基が二量
化した骨格を有する化合物を高分子反応により導入する
方法または共重合する方法が挙げられる。
【0033】の態様に用いられる化合物は、反応部位
AまたはBを分子内に2個以上有するものであるのが好
ましいが、反応部位AまたはBを分子内に1個有するも
のが混合されていてもよい。
【0034】の態様に用いられる化合物は、本発明の
第一の態様においては、酸無水物基を有する化合物また
は水酸基を有する化合物である。酸無水物基を有する化
合物としては、例えば、ビス無水フタル酸化合物、ビス
無水コハク酸化合物、ビス無水グルタル酸化合物、ビス
無水マレイン酸化合物が挙げられる。水酸基を有する化
合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール
類;1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオ
ール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリトリット等のアルコール化合物が挙げら
れる。中でも、1,6−ヘキサンジオール、エチレング
リコール、ジエチレングリコールが好ましい。
【0035】の態様に用いられる化合物は、本発明の
第二の態様においては、カルボキシル基を有する化合物
またはビニルエーテル基を有する化合物である。カルボ
キシル基を有する化合物としては、例えば、シュウ酸、
マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル
酸、マレイン酸、フマル酸が挙げられる。ビニルエーテ
ル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコ
ールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテ
ル、2,2−ビス〔p−(2−ビニロキシエトキシ)フ
ェニル〕プロパンが挙げられる。中でも、エチレングリ
コールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエー
テルが好ましい。
【0036】の態様に用いられる化合物は、本発明の
第三の態様においては、ハロゲン化アルキル基を有する
化合物または第三級アミノ基を有する化合物である。ハ
ロゲン化アルキル基を有する化合物としては、例えば、
α,α´−ジブロモキシレン、α,α´−ジクロロキシ
レン、ビスブロモメチルビフェニル、ビスクロロメチル
ビフェニル、ビスブロモジフェニルメタン、ビスクロロ
ジフェニルメタン、ビスブロモメチルベンゾフェノン、
ビスクロロメチルベンゾフェノン、ビスブロモジフェニ
ルプロパン、ビスクロロジフェニルプロパンが挙げられ
る。第三級アミノ基を有する化合物は、例えば、テトラ
メチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミ
ン、ビスジメチルアミノベンゼンが挙げられる。中で
も、テトラメチルヘキサンジアミンが好ましい。
【0037】の態様に用いられる化合物は、本発明の
第四の態様においては、フェノール性水酸基を有する化
合物またはイソシアネート基を有する化合物である。フ
ェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、ジ
ヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシビフェニル、レゾー
ル型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂が挙
げられる。イソシアネート基を有する化合物としては、
例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−
トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタ
ンジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート等の芳
香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシア
ネート等の脂環式ジイソシアネート、キシリレンジイソ
シアネート等のアリール脂肪族ジイソシアネート等が挙
げられる。
【0038】の態様に用いられる化合物は、本発明の
第五の態様においては、アズラクトン基を有する化合物
またはフェノール性水酸基を有する化合物である。アズ
ラクトン基を有する化合物としては、例えば、ビスアズ
ラクトンブタン、ビスアズラクトンベンゼン、ビスアズ
ラクトンヘキサンが挙げられる。フェノール性水酸基を
有する化合物としては、上述した本発明の第四の態様に
おいて用いられるものと同様のものが挙げられる。
【0039】の態様に用いられる化合物は、本発明の
第六の態様においては、ニトロソ基を有する化合物であ
る。ニトロソ基を有する化合物としては、例えば、ジニ
トロソプロパン、ジニトロソヘキサン、ジニトロソベン
ゼン、ジニトロソトルエンが挙げられる。
【0040】の態様における反応部位AとBとのいず
れか一方を有するエラストマーと他方を有する化合物と
の組み合わせは、特に限定されないが、本発明の第一の
態様においては、エラストマーが無水マレイン酸基含有
ジエン系ゴムであり、化合物が1,6−ヘキサンジオー
ル等の脂肪族ジオールである組み合わせが好ましい。
【0041】本発明の第二の態様においては、エラスト
マーがカルボキシル基含有ジエン系ゴムであり、化合物
がブタンジオールジビニルエーテル等のアルキルジオー
ルのジビニルエーテルである組み合わせが好ましい。
【0042】本発明の第三の態様においては、エラスト
マーがハロゲン化アルキル含有ジエン系ゴムであり、化
合物がテトラメチルヘキサンジアミン等のアルキルジア
ミンである組み合わせが好ましい。
【0043】本発明の第四の態様においては、エラスト
マーがフェノール性水酸基含有ジエン系ゴムであり、化
合物がジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジ
イソシアネートである組み合わせが好ましい。
【0044】本発明の第五の態様においては、エラスト
マーがフェノール性水酸基含有ジエン系ゴムであり、化
合物がビスアズラクトンブタン等のアルキルビスアズラ
クトンであるのが好ましい。
【0045】本発明の第六の態様においては、エラスト
マーがニトロソ基含有ジエン系ゴム単独であるのが好ま
しい。
【0046】の態様において、エラストマー中の架橋
部位の量、即ち、エラストマー分子中の反応部位AとB
との反応により生じた結合部分の量は、エラストマーの
モノマーユニットに対して0.1mol%以上であるの
が好ましい。上記範囲で、本発明の熱可逆架橋性エラス
トマーの強度等が優れたものとなる。
【0047】の態様において、エラストマー中の架橋
部位の量、即ち、エラストマー分子中の反応部位AとB
とのいずれか一方と、化合物中の他方との反応により生
じた結合部分の量は、エラストマーのモノマーユニット
に対して0.1mol%以上であるのが好ましい。上記
範囲で、本発明の熱可逆架橋性エラストマーの強度等が
優れたものとなる。
【0048】の態様において、反応部位AとBとのい
ずれか一方を有するエラストマーと他方を有する化合物
との比率は、エラストマー分子中の反応部位1当量に対
し、化合物中の反応部位が0.1〜5当量とするのが好
ましく、0.5〜1.5当量とするのがより好ましい。
上記範囲で、架橋に関与する反応部位が多くなり、架橋
効率が高くなる。
【0049】本発明の熱可逆架橋性エラストマーの製造
方法は、特に限定されないが、例えば、溶液混合法、ド
ライ混合法を用いることができる。溶液混合法は、可溶
溶媒中で架橋反応を行わせた後、溶媒留去して製造する
方法である。ドライ混合法は、溶媒を使わずにニーダー
等で混合、架橋反応を行わせる方法である。本発明の第
一から第六の態様の各熱可逆架橋性エラストマーの製造
には、溶液混合法、ドライ混合法のいずれの方法を用い
ることもでき、全ての場合において、反応温度は50℃
以上である。
【0050】本発明の第一から第六の態様において、熱
可逆架橋性エラストマーがの態様である場合には、そ
の製造には、反応部位AとBとの両方を有するエラスト
マーの1種または2種以上を用いることができる。ま
た、発明の第一から第六の態様において、熱可逆架橋性
エラストマーがの態様である場合には、その製造に
は、反応部位AとBとのいずれか一方を有するエラスト
マーの1種または2種以上を用いることができ、他方を
有する化合物の1種または2種以上を用いることができ
る。
【0051】本発明の熱可逆架橋性エラストマーは、反
応部位AとBとが反応してエラストマー分子間またはエ
ラストマー分子と化合物との間で結合しており、常温に
おいて架橋が形成されている。本発明の熱可逆架橋性エ
ラストマーは、一定温度以上に加熱すると、上記結合が
解離して架橋が崩壊する。
【0052】本発明の第一の態様においては、酸無水物
基と水酸基とがエステルを形成して架橋となっている。
この架橋の崩壊(脱架橋)と再生(再架橋)は、下記式
(1)で例示される。脱架橋および再架橋が起こる温度
(流動開始温度)は、架橋密度等にもよるが、通常、1
00〜200℃程度である。
【0053】
【化1】
【0054】本発明の第二の態様においては、カルボキ
シル基とビニルエーテル基とがヘミアセタールエステル
を形成して架橋となっている。この架橋の崩壊(脱架
橋)と再生(再架橋)は、下記式(2)で例示される。
脱架橋および再架橋が起こる温度(流動開始温度)は、
架橋密度等にもよるが、通常、100〜200℃程度で
ある。
【0055】
【化2】
【0056】本発明の第三の態様においては、ハロゲン
化アルキル基と第三級アミンとがアイオネンを形成して
架橋となっている。この架橋の崩壊(脱架橋)と再生
(再架橋)は、下記式(3)で例示される。脱架橋およ
び再架橋が起こる温度(流動開始温度)は、架橋密度等
にもよるが、通常、100〜200℃程度である。
【0057】
【化3】
【0058】本発明の第四の態様においては、フェノー
ル性水酸基とイソシアネート基とがウレタンを形成して
架橋となっている。この架橋の崩壊(脱架橋)と再生
(再架橋)は、下記式(4)で例示される。脱架橋およ
び再架橋が起こる温度(流動開始温度)は、架橋密度等
にもよるが、通常、100〜200℃程度である。
【0059】
【化4】
【0060】本発明の第五の態様においては、アズラク
トン基とフェノール性水酸基とが結合を形成して架橋と
なっている。この架橋の崩壊(脱架橋)と再生(再架
橋)は、下記式(5)で例示される。脱架橋および再架
橋が起こる温度(流動開始温度)は、架橋密度等にもよ
るが、通常、100〜200℃程度である。
【0061】
【化5】
【0062】本発明の第六の態様においては、2つのニ
トロソ基がニトロソ二量体を形成して架橋となってい
る。この架橋の崩壊(脱架橋)と再生(再架橋)は、下
記式(6)で例示される。脱架橋および再架橋が起こる
温度(流動開始温度)は、架橋密度等にもよるが、通
常、100〜200℃程度である。
【0063】
【化6】
【0064】本発明の熱可逆架橋性エラストマーは、常
温においては架橋が形成されているためゴム弾性を示
し、一定温度(加工温度、通常50℃以上)以上に加熱
すると架橋が崩壊して、流動性を示し、耐熱老化性に優
れ、長時間安定的に連続溶融成形することができ、成形
後冷却過程において急速に架橋構造を形成する。再び加
工温度以上に加熱すると架橋が完全に解離し、再び冷却
すると架橋を形成する。本発明の熱可逆架橋性エラスト
マーは、この架橋構造の解離と形成の繰り返しを3回以
上行うことができる。従って、本発明の熱可逆架橋性エ
ラストマーは、ゴム弾性に優れ、加熱成形およびリサイ
クルが容易である。
【0065】次に、本発明の熱可逆架橋性エラストマー
組成物について説明する。本発明の熱可逆架橋性エラス
トマー組成物は、上述した本発明の熱可逆架橋性エラス
トマーを含有する。含有する熱可逆架橋性エラストマー
は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。本
発明の熱可逆架橋性エラストマー組成物は、各種安定
剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、充填剤等の添加剤を
含有することができる。これらの添加剤は、熱可逆架橋
性エラストマーの製造中に添加することもでき、製造後
に添加することもできる。
【0066】また、本発明の熱可逆架橋性エラストマー
組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、更に、本
発明の熱可逆架橋性エラストマー以外のエラストマーを
1種または2種以上含有することができる。これによ
り、本発明の熱可逆架橋性エラストマー組成物の強度特
性等を調節することができる他、原料費の低廉等を図る
ことができる。本発明の熱可逆架橋性エラストマー以外
のエラストマーは、未加硫のエラストマーであってもよ
く、加硫後のエラストマーであってもよい。例えば、上
述した本発明の熱可逆架橋性エラストマーの原料となる
エラストマーが挙げられる。中でも、熱可逆架橋性エラ
ストマー以外のエラストマーが加硫後のものである場合
には、熱可塑性エラストマーが好ましい。特に、本発明
の熱可逆架橋性エラストマー組成物のゴム弾性、加工容
易性、リサイクル性等を考慮すると、エラストマーと熱
可塑性樹脂をその樹脂の軟化点以上の温度で混練しなが
ら行う架橋、いわゆる動的架橋により得られ、少なくと
も一部が連続相となり樹脂相に少なくとも一部が不連続
相となる加硫ゴム相が微細に分散した状態となっている
熱可塑性エラストマー組成物が好ましい。
【0067】本発明の熱可逆架橋性エラストマー組成物
における熱可逆架橋性エラストマーの含有量は、組成物
全体の10重量%以上であるのが好ましく、50重量%
以上であるのがより好ましい。上記範囲で、本発明の熱
可逆架橋性エラストマー組成物のゴム弾性、加工容易
性、リサイクル性が十分となる。
【0068】本発明の熱可逆架橋性エラストマー組成物
の用途は、特に限定されず、種々の用途に用いられる。
例えば、ゴム弾性を持つことから、種々の加硫ゴム用途
に利用することができる。具体的には、自動車用タイヤ
等のタイヤ;コンベヤベルト、Vベルト等のベルト;高
圧ホース、自動車ホース等のホース;遮水シート、免震
ゴム支承、ゴム継手、シールパッキン、ラバーフェンス
等の土木・建築用資材;ゴム製ブイ、防舷材等の海洋関
連品;防音マット、空気バネ、制振ゴム等の防振ゴム;
各種ローラー;駐車場ゴムシート等の各種シートが挙げ
られる。
【0069】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限られるものではない。 1.各種熱可逆架橋性エラストマーの調製 (実施例1)酸無水物基と水酸基との反応を架橋反応に
利用した熱可逆架橋性エラストマー(エステル形成ゴ
ム)の調製 スチレン−ブタジエンゴム(Nipol 1502、日
本ゼオン社製、スチレン23%含有)300g(ブタジ
エンユニット4.3mol)をキシレン2.54Lに溶
解し、無水マレイン酸105g(1.1mol)および
イルガノックス1520(日本チバガイギー社製)18
0g(0.43mol)を加え、140℃で20時間か
くはんし、反応させた。反応溶液をアセトニトリルに沈
殿させ、減圧乾燥することにより、無水マレイン酸基を
導入したスチレン−ブタジエンゴム(無水マレイン酸基
含有SBR)を得た。得られた無水マレイン酸基含有S
BRにおける導入された無水マレイン酸基の割合は、ブ
タジエンユニットに対し、3.0mol%であった。得
られた無水マレイン酸基含有SBR(変性率3mol
%)100gに、1,6−ヘキサンジオール4.3gを
加えて、ニーダーにより120℃、60rpm、20分
間の条件で、かくはん混合して、本発明の第一の態様の
熱可逆架橋性エラストマー(エステル形成ゴム)を得
た。
【0070】(実施例2)カルボキシル基とビニルエー
テル基との反応を架橋反応に利用した熱可逆架橋性エラ
ストマー(ヘミアセタールエステル形成ゴム)の調製 イソプレンゴム(Nipol IR−2200、日本ゼ
オン社製)260g(イソプレンユニット3.8mo
l)をキシレン2.54Lに溶解し、無水マレイン酸1
86g(1.9mol)およびイルガノックス1520
162g(0.38mol)を加え、140℃で20
時間かくはんし、反応させた。反応溶液をアセトニトリ
ルに沈殿させ、減圧乾燥することにより無水マレイン酸
基を導入したイソプレンゴム(無水マレイン酸基含有I
R)を得た。得られた無水マレイン酸基含有IRにおけ
る導入された無水マレイン酸基の割合は、イソプレンユ
ニットに対し、3.0mol%であった。得られた無水
マレイン酸基含有IRをピリジン触媒中、メタノールと
反応させ、カルボキシル基を導入したイソプレンゴム
(カルボキシル基含有IR)を得た。得られたカルボキ
シル基含有IR134.3g(69.1mmol)に
1,4−ブタンジオールジビニルエーテル4.91g
(69.1mmol)およびイルガノックス1520
2.77g(全体の2重量%)を加えて、ニーダーによ
り180℃、60rpm、10分間の条件で、かくはん
混合して、本発明の第二の態様の熱可逆架橋性エラスト
マー(ヘミアセタールエステル形成ゴム)を得た。
【0071】(実施例3)ハロゲン化アルキル基と第三
級アミノ基との反応を架橋反応に利用した熱可逆架橋性
エラストマー(アイオネン形成ゴム)の調製 ハロゲン化アルキル含有ブチルゴム(Exxpro89
−1、エクソン化学社製、臭素含有量1.2wt%)4
59g(68.94mmol)にテトラメチルヘキサン
ジアミン5.94gを加え、ニーダーにより、120
℃、60rpm、20分間の条件で、かくはん混合し
て、本発明の第三の態様の熱可逆架橋性エラストマー
(アイオネン形成ゴム)を得た。
【0072】(実施例4)イソシアネート基とフェノー
ル性水酸基との反応を架橋反応に利用した熱可逆架橋性
エラストマー(ウレタン形成ゴム)の調製 イソプレンゴム(Nipol IR−2200)200
gをキシレン2Lに溶解し、4−メルカプトフェノール
126g(1.0mol)を加え、140℃で20時間
かくはんし、反応させた。反応溶液をメタノールに沈殿
させ、減圧乾燥することによりフェノール性水酸基を導
入したイソプレンゴム(フェノール性水酸基含有IR)
を得た。得られたフェノール性水酸基含有IRにおける
導入されたフェノール性水酸基の割合は、イソプレンユ
ニットに対し、3.0mol%であった。得られたフェ
ノール性水酸基含有IR100gにジフェニルメタンジ
イソシアネート5.43gを加え、ニーダーにより12
0℃、60rpm、20分間の条件で、かくはん混合し
て、本発明の第四の態様の熱可逆架橋性エラストマー
(ウレタン形成ゴム)を得た。
【0073】(実施例5)アズラクトン基とフェノール
性水酸基との反応を架橋反応に利用した熱可逆架橋性エ
ラストマー(アズラクトン・フェノール付加ゴム)の調
製 実施例4と同様の方法により、フェノール性水酸基含有
IRを得た。得られたフェノール性水酸基含有IR10
0gにビスアズラクトンブタン6.08gを加え、ニー
ダーにより120℃、60rpm、20分間の条件で、
かくはん混合して、本発明の第五の態様の熱可逆架橋性
エラストマー(アズラクトン・フェノール付加ゴム)を
得た。
【0074】(実施例6)ニトロソ基の二量化反応を架
橋反応に利用した熱可逆架橋性エラストマー(ニトロソ
二量体形成ゴム)の調製 イソプレンゴム(Nipol IR−2200)200
gをクロロホルム2Lに溶解し、塩化ニトロシル65.
5g(1.0mmol)を加え、0℃で20時間かくは
んし、反応させた。反応溶液をメタノールに沈殿させ、
減圧乾燥することによりニトロソ基を導入したイソプレ
ンゴム(ニトロソ二量体形成ゴム)を得た。得られたニ
トロソ二量体形成ゴムにおける導入されたニトロソ基の
割合は、イソプレンユニットに対し、4.0mol%で
あった。
【0075】2.各種熱可逆架橋性エラストマーを用い
た熱可逆架橋性エラストマー組成物等の調製 以下に示される原料をそれぞれ第1表に示される重量比
で用いて、第1表に示される各実施例の熱可逆架橋性エ
ラストマー組成物および各比較例のエラストマー組成物
を得た。 (1)エラストマー 上記で得られたエステル形成ゴム 上記で得られたヘミアセタールエステル形成ゴム 上記で得られたアイオネン形成ゴム 上記で得られたウレタン形成ゴム 上記で得られたアズラクトン・フェノール付加ゴム 上記で得られたニトロソ二量体形成ゴム SBR(スチレン−ブタジエンゴム):Nipol
1502 IR(イソプレンゴム):Nipol IR−220
0 ハロゲン化アルキル含有ブチルゴム:Exxpro8
9−1 (2)配合剤 カーボンブラック:ショウブラックN339 HAF−
HS、昭和キャボット社製 亜鉛華:銀嶺亜鉛華R、東邦亜鉛社製 ステアリン酸:ビーズステアリン酸、日本油脂社製 硫黄:油処理硫黄、軽井沢精練所社製 加硫促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル
スルフェンアミド):サンセラーCM−PO、三新化学
工業社製
【0076】3.物性評価 上記で得られた各エラストマー組成物の物性を評価し
た。 (1)流動開始温度 高化式フローテスター(島津CFT−500)を用い
て、10Mpaの圧力下で加温することにより、長さ1
0mm、直径1mmのキャピラリーから流出を開始する
温度を測定した。
【0077】(2)引張試験 JIS K6251の規定に準拠して、引張強さ(破断
強度、TB )および伸び(破断伸び、EB )の測定を行
った。
【0078】結果を第1表に示す。本発明の熱可逆架橋
性エラストマー組成物は、常温ではゴム弾性を示し、引
張強さおよび伸びは、通常のエラストマー組成物と同程
度の値を示すが、流動開始温度は149〜175℃と高
く、加工容易性およびリサイクル性に優れることが分か
る(実施例1〜13)。これに対して、未加硫のエラス
トマー組成物(実施例1、3および5)は、引張強さに
劣り、耐熱性もない。また、加硫のエラストマー組成物
(実施例2、4および6)は、引張強さおよび伸びに優
れるものの、加熱により流動化するものではないので、
リサイクルすることができない。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【発明の効果】本発明の熱可逆架橋性エラストマーおよ
びその組成物は、常温においては架橋が形成されている
ためゴム弾性を示し、一定温度以上に加熱すると架橋が
崩壊して、流動性を示し、成形後冷却過程において急速
に架橋構造を形成する。この架橋構造の解離と形成は、
繰り返し行うことができるので、加熱成形およびリサイ
クルが容易であり、有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AA031 AC031 AC032 AC041 AC042 AC061 AC062 AC071 AC072 AC081 AC082 AC091 AC092 AC111 AC112 AC121 AC122 BB151 BB152 BB181 BB182 BB271 BB272 BD051 BD052 BG041 BG042 BP011 BP012 CF101 CF102 CF171 CF172 CH051 CH052 CK021 CK022 CL001 CL002 CP031 CP032 FD010 FD030 FD090 FD100 FD130 FD140 FD150 GL00 GM01 GN01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸無水物基と水酸基との反応を架橋反応に
    利用した熱可逆架橋性エラストマー。
  2. 【請求項2】カルボキシル基とビニルエーテル基との反
    応を架橋反応に利用した熱可逆架橋性エラストマー。
  3. 【請求項3】ハロゲン化アルキル基と第三級アミノ基と
    の反応を架橋反応に利用した熱可逆架橋性エラストマ
    ー。
  4. 【請求項4】イソシアネート基とフェノール性水酸基と
    の反応を架橋反応に利用した熱可逆架橋性エラストマ
    ー。
  5. 【請求項5】アズラクトン基とフェノール性水酸基との
    反応を架橋反応に利用した熱可逆架橋性エラストマー。
  6. 【請求項6】ニトロソ基の二量化反応を架橋反応に利用
    した熱可逆架橋性エラストマー。
  7. 【請求項7】請求項1〜6に記載の熱可逆架橋性エラス
    トマーを少なくとも1つ含有する熱可逆架橋性エラスト
    マー組成物。
  8. 【請求項8】更に、前記熱可逆架橋性エラストマー以外
    のエラストマーを含有する請求項7に記載の熱可逆架橋
    性エラストマー組成物。
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