WO2014021111A1

WO2014021111A1 - 緩衝器

Info

Publication number: WO2014021111A1
Application number: PCT/JP2013/069475
Authority: WO
Inventors: 秀謙竹内
Original assignee: カヤバ工業株式会社
Priority date: 2012-08-03
Filing date: 2013-07-18
Publication date: 2014-02-06
Also published as: JP2014031836A; TW201406574A; JP5871392B2; CN104471273A; CN104471273B; US9517672B2; US20150197132A1; TWI608948B; DE112013003849T5

Abstract

　懸架ばねを有する緩衝器であって、タイヤを有する車軸側部に下端部が連結される筒と、筒の外周に設けられ、懸架ばねの下端を支持する下側ばね受と、を備え、下側ばね受は、懸架ばねの下端が着座する受部と、受部に連続する当接部と、を備え、当接部は、筒の外径より大きな外径を有する緩衝器。

Description

緩衝器

　本発明は、緩衝器に関するものであり、特に、懸架ばねを有し、車両のサスペンションを構成する緩衝器に関するものである。

　車両におけるサスペンションを構成する緩衝器は、車両のタイヤハウスに設けられ、上端部が車両の車体側部に連結されると共に下端部が車両の車軸側部に連結される。

　緩衝器をタイヤハウスに設ける際には、例えば、ＪＰ２０１０－２４７６７８Ａに開示されているように、緩衝器をタイヤの裏側となるタイヤハウスの奥側上方に位置決めして、緩衝器がタイヤに干渉することを回避する。

　しかしながら、近年、例えば、車両における衝突安全性の観点からボンネットの高さ位置が低くなる傾向にあり、これに伴ってタイヤハウスの上端位置が低くなっている。したがって、緩衝器を設ける高さ位置が従前に比較して低くなり、その結果、緩衝器に巻かれている懸架ばねの下端部がタイヤの裏側に位置決めされる傾向になっている。

　懸架ばねの下端部がタイヤの裏側に位置決めされても、緩衝器が正常な作動状態にあるときには、懸架ばねの下端部がタイヤに干渉するおそれはない。しかし、例えば、車両が耐用年数を超える長期間使用されて懸架ばねに錆が生じた場合には、緩衝器への想定外の外力作用で懸架ばねの錆びた下端部が折れてしまうおそれがある。この場合には、折れた懸架ばねの下端部がタイヤに干渉し、タイヤが破損してしまう可能性がある。

　本発明は、懸架ばねの下端部が折れても、折れた懸架ばねの下端部がタイヤに干渉することを回避できる緩衝器を提供することを目的とする。

　本発明のある態様によれば、懸架ばねを有する緩衝器であって、タイヤを有する車軸側部に下端部が連結される筒と、筒の外周に設けられ、懸架ばねの下端を支持する下側ばね受と、を備え、下側ばね受は、懸架ばねの下端が着座する受部と、受部に連続する当接部と、を備え、当接部は、筒の外径より大きな外径を有する。

図１は、本発明の実施形態に係る緩衝器の部分側面図である。図２は、図１における下側ばね受の部分拡大縦断面図である。図３は、本発明の他の実施形態に係る緩衝器を示す部分縦断面図である。

　以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。

　図１～３を参照して、本発明の実施形態に係る緩衝器１００について説明する。

　図１に示すように、緩衝器１００は、タイヤＴを有する車軸側部に下端部が連結される筒１と、筒１の外周に設けられる下側ばね受２と、下側ばね受２に下端が支持される懸架ばねＳと、を備える。

　緩衝器１００は、本実施形態では複筒型である。筒１は外筒であり、筒１の内側にはシリンダが設けられ、シリンダ内にはピストンロッド３が摺動自在に挿入される。ピストンロッド３の上端側は、筒１の上端部から上方に突出している。

　筒１は、下端側部材として構成され、例えば、ナックルブラケット（図示せず）を介して車両における車軸側部に連結される。ピストンロッド３は、上端側部材として構成され、例えば、マウント（図示せず）介して車両における車体側部に連結される。

　筒１の上端部には、断面が下向き角Ｕ字状であるキャップ状のバンプストッパ４が設けられる。ピストンロッド３は、バンプストッパ４の上端部の軸芯部に形成された孔を挿通する。

　バンプストッパ４の軸芯部に形成された孔とピストンロッド３との間には隙間が形成される。この隙間を通じてバンプストッパ４の上端に溜まるダストはバンプストッパ４の下方へ排出される。

　バンプストッパ４の内側となる筒１の上端部には、内側にロッドガイドと、ロッドガイドに保持されるシール部材と、が設けられる。ロッドガイドは、筒１に対するピストンロッド３の軸方向の相対移動をガイドする。シール部材は、ピストンロッド３と筒１との間をシールする。

　緩衝器１００のシリンダ内は、ピストンロッド３の端部に設けられるピストンによって２つの圧力室に区画される。ピストンには、ピストンロッド３の移動に伴って２つの圧力室の間を行き来する作動流体に抵抗を付与する減衰力発生要素が設けられる。このように、緩衝器１００は、筒１に対するピストンロッド３の出入の際に、減衰力発生要素が減衰作用を発揮する。

　緩衝器１００は複筒型であるため、下側ばね受２は、筒１の外周に溶接によって固定される。下側ばね受２に下端が支持される懸架ばねＳは、圧縮ばねであるコイルばねにて形成される。コイルばねは金属製である。

　懸架ばねＳの上端は、マウントの下方に位置しピストンロッド３の上端部に設けられる上側ばね受に係止される。したがって、下側ばね受２と上側ばね受との間に設けられる懸架ばねＳは、伸張しようとする付勢力で車両の車体を弾性支持する。

　懸架ばねＳの下端は、無研削とされる。これは、懸架ばねＳの下端が無研削の場合には、懸架ばねＳの下端が研削される場合と比較して、懸架ばねＳの下端部における折れに対する強度が大きくなるためである。しかし、本実施形態として、懸架ばねＳの下端が研削されているものを排除するものではない。

　図２に示すように、下側ばね受２は、懸架ばねＳの下端が着座する受部２１と、筒１の外周に連設される基部２２と、基部２２と受部２１とを連結する連結部２３と、を備える。連結部２３は、筒１の外周面と同心円状の円筒部材として形成される当接部２４を備える。当接部２４は、筒１の外径より大きな外径を有する。

　受部２１は、懸架ばねＳの巻径と略同径の環状に形成され、懸架ばねＳが着座するように上向きに湾曲した凹状断面を有している。基部２２は、内周が筒１の外周に一致する筒状に形成される。連結部２３は、径方向に適宜の幅を有する環状に形成される。

　図１および図２に示すように、基部２２は、受部２１および連結部２３の裏側に位置決めされる。これに代えて、図３に示すように、連結部２３の上方に位置決めされてもよい。この場合には、上方のバンプストッパ４と筒１の上端部との間を通じて落下してくるダストが基部２２の外側を伝わって下方に落下するため、基部２２と連結部２３との境界部分にダストが溜まる不具合を回避できる。

　図２に示すように、下側ばね受２の連結部２３は、受部２１から連設される外環状部２３ａと、基部２２から連設される内環状部２３ｂと、を備える。外環状部２３ａは、受部２１の内周側から径方向内側に突出して設けられる環状部材である。内環状部２３ｂは、基部２２の上端側から径方向外側に突出して設けられる環状部材である。内環状部２３ｂの外側端部（符示せず）と外環状部２３ａの内側端部（符示せず）とは、適宜の高さ寸法を備える当接部２４で連結される。

　従来の下側ばね受でも、受部、基部および連結部を備えて同様に形成される。これに対し、本実施形態における下側ばね受２の連結部２３では、受部２１から連設される外環状部２３ａと基部２２から連設される内環状部２３ｂとが区分されて、内環状部２３ｂの高さ位置を外環状部２３ａの高さ位置より高くしている。

　そして、下側ばね受２では、高低差を有する内環状部２３ｂの外周端部と外環状部２３ａの内周端部とを、円筒状の当接部２４で連結する。このため、当接部２４の高さ寸法を、たとえば、懸架ばねＳの線径寸法より大きくすることにより、当接部２４の外周が懸架ばねＳの内周に確実に当接することができる。

　このように、本実施形態に係る緩衝器１００では、筒１に設けた下側ばね受２が従来のこの種のばね受と異なり、連結部２３に筒１に対して膨径した当接部２４を備えている。このため、膨径した当接部２４は、何らかの原因で下端部が折れて、短くなった懸架ばねＳがタイヤＴ側に移動する場合には、図１中に二点鎖線図で示すように、折れた懸架ばねＳの下端部Ｓ１に当接して、懸架ばねＳがそれ以上タイヤＴ側へ移動することを阻止することができる。

　つまり、本実施形態の緩衝器１００では、下側ばね受２の連結部２３が膨径した当接部２４を備え、当接部２４が折れた懸架ばねＳの下端部Ｓ１の移動を阻止するから、タイヤＴに対向する側にある折れた懸架ばねＳの下端部Ｓ２（図１参照）がタイヤＴに向けてそれ以上移動することが阻止される。そのため、折れた懸架ばねＳの下端部Ｓ２がタイヤＴに干渉することを回避できる。

　言い換えると、懸架ばねＳは、錆などでその下端部が折れると、短くなって下側ばね受２の受部２１に着座しなくなる。このため、折れた懸架ばねＳの下端部Ｓ１は、筒１の径方向に自在に移動し得ることになる。

　その結果、タイヤＴに対向する側にある折れた懸架ばねＳの下端部Ｓ２がタイヤＴに向けて移動してタイヤＴに干渉する場合には、タイヤＴが破損するおそれがある。このため、本実施形態に係る緩衝器１００では、タイヤＴに対向する側とは反対側にある下側ばね受２の膨径した当接部２４により、折れた懸架ばねＳの下端部Ｓ１のタイヤＴへの移動を阻止する。これにより、タイヤＴに対向する側の折れた懸架ばねＳの下端部Ｓ２がタイヤＴに干渉することを回避する。

　以上からすると、下側ばね受２における膨径した当接部２４は、懸架ばねＳの折れた下端部Ｓ１のタイヤＴに向けての移動を阻止することを可能にする限りには、任意に形成されてよい。

　下側ばね受２における膨径した当接部２４の形成は、図示しないが、従来の下側ばね受の連結部に衝立状に立上る立上り部を溶接するなどの方法によるとしてもよい。しかし、立上り部を溶接などで設ける場合には、下側ばね受２の製作に手間を要すことになるので、基本的には、選択しないのが好ましい。

　一方、本実施形態では、下側ばね受２は、プレス加工で形成されるため、当接部２４は、連結部２３と一体として形成される。このように、筒１に当接部２４を形成するために別部材を利用しないため、部品点数の増大を招かない。

　また、本実施形態では、当接部２４が別部品の後付けによって形成されないため、後付け部分の錆びや劣化などに起因して、当接部２４が脱落するなどのおそれがなく、当接部２４の配設状態の恒久的な維持を可能にする。

　上記実施形態では、プレス加工によって連結部２３に当接部２４を形成している。しかし、当接部２４が形成されれば足りる観点からすれば、他の方策によるとしてもよい。当接部２４を形成するための具体的な方策については、種々あるので、ここでは、その説明を省略する。

　当接部２４の外径は、折れた懸架ばねＳの下端部Ｓ１が筒１の径方向に移動しても、当接部２４が折れた懸架ばねＳの下端部Ｓ１に当接し、折れた懸架ばねＳの下端部Ｓ２がタイヤＴに干渉することを回避できるように、筒１の外径や懸架ばねＳの巻径および線径から最適な数値が選択される。なお、懸架ばねＳが正常な状態にあるときには、当接部２４の外周に懸架ばねＳの内周が干渉しないように寸法設定される。

　当接部２４の外周面の形状は、この種のばね受をプレス加工する場合を勘案すると、筒１の外周面と同心円の円周面に形成される。しかし、折れた懸架ばねＳの下端部Ｓ１を当接させてそれ以上の移動を阻止するとの観点からすれば、図示しないが、筒１の外周面と同心円の円周面にならないとしてもよい。

　また、当接部２４の外周面は、筒１の外周面と同心円にならずに周方向に連続する波形面や複数の平坦面を連続させる多角形面に形成されてもよい。この場合には、当接部２４、つまり、筒１の外観に趣味性を持たせることが可能になる。

　また、本実施形態では、当接部２４は、下側ばね受２の全周に亙って形成されるが、折れた懸架ばねＳの下端部Ｓ１がタイヤＴ側に移動することを阻止するとの観点からすれば、当接部２４がタイヤＴに対向する外周の反対となる外周部分にのみ形成されるとしてもよい。この場合には、当接部２４が下側ばね受２に方向性を持たせることになる。

　また、上記実施形態では、連結部２３における外環状部２３ａおよび内環状部２３ｂは、ほぼ平坦な環状に形成されている。しかし、外環状部２３ａおよび内環状部２３ｂが連結部２３として機能するところからすれば、上記以外の任意な形状に形成されてもよい。

　懸架ばねＳの内側には、図１中に二点鎖線図で示すように、ダストカバー５の下端側部（符示せず）が位置決めされる。このことを勘案すると、当接部２４が筒１とダストカバー５との間の開口を塞ぐように機能することになる。したがって、当接部２４を設けることによって、外部からのダストのダストカバー５の内側への侵入を抑制することが可能になる。

　上記実施形態では、懸架ばねＳは、緩衝器１００に対して傾斜しない姿勢で巻装される。これに代えて、懸架ばねＳは、緩衝器１００に対して傾斜する姿勢で巻装するようにしてもよい。その場合でも、折れた懸架ばねＳの下端部Ｓ１がタイヤＴ側へ移動することを当接部２４によって阻止できる。

　また、上記実施形態では、懸架ばねＳの下端が下側ばね受２に直接接触するものである。これに代えて、懸架ばねＳの下端と下側ばね受２との間にゴムシートを設けるようにしてもよい。この場合には、懸架ばねＳの下端と下側ばね受２との直接接触に起因して生じるおそれのある懸架ばねＳの下端の錆の発生を極力抑えることが可能になると共に、両者間の衝撃吸収が可能になるため、衝撃音の発生を低減することができる。

　さらに、上記実施形態では、下側ばね受２がプレス加工で形成されて、当接部２４が一体成形されるとした。これに代えて、車両が耐用年数を超える長期間使用されても、当接部２４が錆で劣化したり脱落したりしないことが保障されるのであれば、別部材を利用して当接部２４を設けてもよい。

　以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。

　本願は２０１２年８月３日に日本国特許庁に出願された特願２０１２－１７２７３１に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。

Claims

　懸架ばねを有する緩衝器であって、
　タイヤを有する車軸側部に下端部が連結される筒と、
　前記筒の外周に設けられ、前記懸架ばねの下端を支持する下側ばね受と、を備え、
　前記下側ばね受は、
　前記懸架ばねの下端が着座する受部と、
　前記受部に連続する当接部と、を備え、
　前記当接部は、前記筒の外径より大きな外径を有する緩衝器。
　請求項１に記載の緩衝器であって、
　前記下側ばね受は、前記当接部から連設され前記筒の外周に溶接される基部をさらに備え、
　前記基部は前記筒の下端部または上端部に向けて延設される緩衝器。
　請求項１に記載の緩衝器であって、
　前記当接部は、前記筒と同心円状の円筒部材として形成される緩衝器。