JP2020085000A - 緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 絞り部材と緩衝器本体又はチューブ部材との間の隙間量を確保しつつ、位置依存の減衰力が不足するのを防止できる緩衝器を提供する。【解決手段】 緩衝器が緩衝器本体Dとその外周のチューブ部材Tとの間に形成される液溜室を上室r1と下室r2とに区画するとともに、上室r1と下室r2との間を移動する液体の流れに抵抗を与える環状のチョーク通路Oを緩衝器本体D又はチューブ部材Tとの間に形成する絞り部材Cを備えている。【選択図】 図2
Description
本発明は、緩衝器の改良に関する。
例えば、鞍乗型車両の前輪を懸架するフロントフォークに利用される緩衝器の中には、メインの減衰力を発揮する緩衝器本体と、その外周に設けられるチューブ部材との間に懸架ばねとしてのコイルばねを収容し、そのコイルばねの上端を緩衝器本体の外周に設けたばね受けで支えるものがある。
さらに、そのような緩衝器の中には、緩衝器本体とチューブ部材との間に形成されて液体を貯留する液溜室をばね受けで上下に仕切り、このばね受けを液体が通過する際にその液体の流れに抵抗を与えて、この抵抗に起因する減衰力を二次的に発生させるものがある(例えば、特許文献1)。
このように、上記した二次的な減衰力は、液体がばね受けを通過する所定のストローク領域で発生する位置依存の減衰力である。そして、その所定のストローク領域では、メインの減衰力に位置依存の減衰力が付加されて、緩衝器全体としての減衰力を大きくできる。
上記従来の緩衝器において、収容される懸架ばね等のコイルばねの上端と緩衝器本体との間にできる環状隙間の開口面積が狭い場合には、その環状隙間をオリフィス通路として利用して、そのオリフィス通路の抵抗に起因する位置依存の減衰力を得ることがある。この場合、発生する位置依存の減衰力を大きくするには、オリフィス通路の開口面積(流路面積)を小さくすればよい。
しかし、上記したようにコイルばねの上端のような絞り部材と緩衝器本体との間にできる環状隙間をオリフィス通路として利用したり、絞り部材とチューブ部材との間にできる環状隙間をオリフィス通路として利用したりする場合、オリフィス通路の開口面積を小さくするには限界があり、位置依存の減衰力が不足することがある。
なぜなら、オリフィス通路の開口面積を小さくするため、絞り部材と緩衝器本体、又は絞り部材とチューブ部材との間にできる環状隙間を狭くすると、緩衝器が外部からの横力を受けた撓んだときに、絞り部材が緩衝器本体又はチューブ部材に干渉して傷付けてしまう虞があるためである。
そこで、本発明は、絞り部材と緩衝器本体又はチューブ部材との間の隙間量を確保しつつ、位置依存の減衰力が不足するのを防止できる緩衝器の提供を目的とする。
上記課題を解決する緩衝器は、緩衝器本体とその外周のチューブ部材との間に形成される液溜室を上室と下室とに区画するとともに、これらの間を移動する液体の流れに抵抗を与える環状のチョーク通路を緩衝器本体又はチューブ部材との間に形成する絞り部材を備えている。
上記構成によれば、液体が絞り部材を通過する所定のストローク領域で、チョーク通路の抵抗に起因する位置依存の減衰力を発生できる。また、この場合、絞り部材と緩衝器本体又はチューブ部材との間の隙間量が従来と同等であっても、発生する位置依存の大きさを大きくできる。
また、上記緩衝器は、緩衝器本体の外周に装着されるホルダを備え、絞り部材が環状でホルダに保持されるとともに、緩衝器本体との間にチョーク通路を形成するとよい。このように、ホルダを利用すると、絞り部材を緩衝器本体に装着し、絞り部材と緩衝器本体との間にチョーク通路を形成するのが容易である。
また、上記緩衝器が下室に収容されるコイルばねを備えている場合には、そのコイルばねの上端をホルダで支持するとよい。当該構成によれば、絞り部材を保持するホルダがばね受けとしての役割も担うので、これらを個別に設ける場合と比較して緩衝器の部品数を削減できる。
また、上記緩衝器では、絞り部材の内径がコイルばねの上端のコイル内径より小さくなっているとよい。当該構成によれば、位置依存の減衰力が、コイルばねの上端と緩衝器本体との間を液体が通過する際の抵抗に支配されてしまうのを防止できるので、所望の位置依存の減衰力を確実に得られる。
また、上記緩衝器では、絞り部材を径方向へ移動可能にすると、緩衝器が外部からの横力を受けて撓んだときに、絞り部材が緩衝器本体又はチューブ部材に干渉してこれらが傷付くのを抑制できる。これにより、絞り部材と緩衝器本体又はチューブ部材との隙間量をより小さく設定できるので、発生する位置依存の減衰力をより大きくできる。
本発明に係る緩衝器によれば、絞り部材と緩衝器本体又はチューブ部材との間の隙間量を確保しつつ、位置依存の減衰力が不足するのを防止できる。
以下に本発明の実施の形態の緩衝器について、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品を示す。
図1に示す本発明の一実施の形態に係る緩衝器Aは、鞍乗型車両の前輪を懸架するフロントフォークに利用されている。以下の説明では、フロントフォークが車両に取り付けられた状態、即ち、取付状態での緩衝器Aの上下を、特別な説明がない限り、単に「上」「下」という。
緩衝器Aは、アウターチューブ1と、このアウターチューブ1内に摺動自在に挿入されるインナーチューブ2とを有して構成されるテレスコピック型のチューブ部材Tを備える。そのチューブ部材Tは、本実施の形態では倒立型であり、アウターチューブ1を車体側となる上側へ、インナーチューブ2を前輪側となる下側へ向けて車両に取り付けられる。
より詳しくは、車体側チューブとなるアウターチューブ1の外周には、車体側のブラケット(図示せず)が装着されており、このブラケットに固定されるステアリングシャフトが車体のヘッドパイプ内に回転自在に支持される。その一方、車輪側チューブとなるインナーチューブ2の下端部外周には、車輪側のブラケット20が装着されており、このブラケット20が前輪の車軸に連結される。
このようにしてチューブ部材Tは車体と前輪の車軸との間に介装される。そして、車両が凹凸のある路面を走行する等して前輪が上下に振動すると、インナーチューブ2がアウターチューブ1に出入りしてチューブ部材Tが伸縮する。このように、チューブ部材Tが伸縮することを緩衝器Aが伸縮するともいう。
なお、チューブ部材Tは、正立型になっていて、アウターチューブ1を車輪側チューブ、インナーチューブ2を車体側チューブとしてもよい。さらに、緩衝器Aの用途はフロントフォークに限られず、適宜変更できる。例えば、緩衝器Aを鞍乗型車両の後輪を懸架するリアクッションユニット、自動車のサスペンション、又は車両以外に利用してもよい。
つづいて、チューブ部材Tの上端となるアウターチューブ1の上端は、キャップ10で塞がれている。その一方、チューブ部材Tの下端となるインナーチューブ2の下端は、車輪側のブラケット20で塞がれている。さらに、アウターチューブ1の下端部には、インナーチューブ2の外周に摺接する環状のシール部材11が設けられ、アウターチューブ1とインナーチューブ2の重複部の間の筒状の隙間がそのシール部材11で塞がれている。
このようにしてチューブ部材T内は密閉空間とされており、そのチューブ部材T内に緩衝器本体Dと懸架ばねSが収容されている。さらに、懸架ばねSが配置されるチューブ部材Tと緩衝器本体Dとの間は液溜室Rとされている。この液溜室Rには、作動油等の液体が貯留されるとともに、その液面L上側にエア等の気体が封入されたガス室Gが形成されている。
緩衝器本体Dの内部構造については、如何なる構造であってもよいので図示を省略するが、緩衝器本体Dは、内部に作動油等の液体を収容するシリンダ3と、このシリンダ3内に軸方向へ移動可能に挿入されるロッド4とを有し、シリンダ3とロッド4が軸方向へ相対移動する際にシリンダ3内を移動する液体の流れに抵抗を与えてメインの減衰力を発揮する。
また、本実施の形態において、緩衝器本体Dは倒立型となっており、ロッド4がシリンダ3から下方へ突出して、そのロッド4の下端が車輪側のブラケット20を介してインナーチューブ2に連結されている。その一方、シリンダ3の上端がキャップ10を介してアウターチューブ1に連結されている。
このようにして緩衝器本体Dは、アウターチューブ1とインナーチューブ2との間に介装されている。そして、インナーチューブ2がアウターチューブ1に出入りする緩衝器Aの伸縮時にロッド4がシリンダ3に対して軸方向へ移動して緩衝器本体Dが伸縮するとともに、伸縮速度に依存するメインの減衰力を発揮する。
なお、緩衝器本体Dは、正立型になっていて、ロッド4がシリンダ3から上方へ突出し、そのロッド4がアウターチューブ1に連結されるとともに、シリンダ3がインナーチューブ2に連結されていてもよい。そして、このように緩衝器本体Dが正立型の場合には、伸縮時に液体がシリンダ3内と液溜室Rとの間を行き来するようにしてもよい。
また、このようにシリンダ3内と液溜室Rとの間で液体のやり取りがある場合には、シリンダ3内に収容される液体と、液溜室Rに貯留される液体は同じになる。しかし、シリンダ3内と液溜室Rとの間で液体のやり取りがない場合には、シリンダ3内の液体と液溜室Rの液体が異なっていてもよい。
つづいて、懸架ばねSは、コイルばねである。そして、この懸架ばねSの上端がシリンダ3の外周に装着されたばね受けBで支持されるとともに、懸架ばねSの下端(図示せず)が車輪側のブラケット20で支持されている。前述の通り、車輪側のブラケット20はインナーチューブ2に連結されているので、懸架ばねSはシリンダ3とインナーチューブ(車輪側チューブ)2との間に介装されているといえる。
また、懸架ばねSは圧縮ばねであり、圧縮されると弾性変形して、その変形量に見合った弾性力を発揮する。緩衝器Aでは、その収縮作動に伴いシリンダ3がインナーチューブ2内へと侵入するようになっており、緩衝器Aの収縮時には懸架ばねSの変形量が大きくなって、発生する弾性力も大きくなる。そして、懸架ばねSは、その弾性力によって緩衝器Aを伸長方向へ付勢して、車体を弾性支持するようになっている。
その懸架ばねSの上端を支持するばね受けBは、シリンダ3の外周に嵌合するスナップリング30に固定される環状のストッパ5と、このストッパ5の下側に設けられ、円錐台形筒状で内側にシリンダ3が挿通される本体部6と、この本体部6の下端に嵌合する環状のばね座7とを有する。そして、本体部6の内周には、環状の絞り部材Cが装着される。この絞り部材Cについては、後に詳細に説明する。また、ばね座7には、懸架ばねSの上端が当接し、本体部6が懸架ばねSの付勢力によりストッパ5に押し付けられる。
このように、本実施の形態では、懸架ばねSの付勢力によりストッパ5と本体部6とが一体となってばね受けBが構成される。また、このばね受けBは、絞り部材Cを保持するホルダとしての役割も担う。なお、ストッパ5を廃し、本体部6をスナップリング30の外周に固定してもよい。また、スナップリング30以外を利用してばね受けBをシリンダ3の外周に装着してもよい。このように、ばね受け(ホルダ)Bの緩衝器本体Dへの取付構造は、適宜変更できる。
つづいて、ばね受けBの本体部6は、合成樹脂等で形成されており、シリンダ3の外周に摺接可能で上端がストッパ5に突き当たる環状の支持部6aと、この支持部6aの下端に連なり、支持部6aから離れるに従って内径及び外径が徐々に拡径されるとともに、側部に肉厚を径方向へ貫通する一以上の窓6bが形成される胴部6cと、この胴部6cの下端に連なり、インナーチューブ2の内周に摺接する環状のスライド部6dと、このスライド部6dの下端に連なり、外径がスライド部6dの外径よりも小さく、ばね座7が嵌合する環状の小径部6eとを含む。
ばね座7は、金属等で形成されており、図2に示すように、小径部6eの外周に嵌合する環状の外嵌部7aと、この外嵌部7aの下端から内周側へ張り出す環状のシート部7bとを含む。外嵌部7aの外径は、スライド部6dの外径よりも小さく、ばね座7がインナーチューブ2に干渉しない。また、スライド部6dの内周に形成された段差6fとシート部7bの上面との間に絞り部材Cの外周凸部c1が挟まれた状態で、絞り部材Cがばね受けBに固定される。さらに、シート部7bの下面には懸架ばねSの上端が当接する。
絞り部材Cは、環状であり、本体部6の内側であって窓6bより下方に設けられている。そして、その絞り部材Cの内径は、シリンダ3の外径よりも大きく、シリンダ3との間に液体の流れに抵抗を与える環状のチョーク通路Oを形成する。さらに、絞り部材Cの内径は、本体部6における窓6bより下側部分の内径、及びばね座7のシート部7bの内径よりも小さく、チョーク通路Oの開口面積(流路面積)は、全ての窓6bの総開口面積よりも小さい。
上記構成によれば、ばね受けBに、本体部6の窓6b、本体部6の胴部6cから下側部分とシリンダ3との間の隙間、及びシート部7bとシリンダ3との間の隙間によってばね受けBの上下を連通する連通路8が形成される。そして、その連通路8の途中に絞り部材Cが設けられ、この絞り部材Cによって液溜室Rが上室r1と下室r2が仕切られるとともに、絞り部材Cとシリンダ3との間に液体の流れに抵抗を与える環状のチョーク通路Oが形成される。
さらに、絞り部材Cの内径は、懸架ばねSの上端のコイル内径よりも小さい。この懸架ばねSの上端とシリンダ3との間の隙間Pは、下室r2におけるばね受けBの下側部分と連通路8との接続口となるが、上記構成によれば、その隙間Pの開口面積がチョーク通路Oの開口面積よりも大きくなる。このため、ばね受けBを通過する液体の流れに付与される抵抗(圧力損失)は、チョーク通路Oによる抵抗が支配的となる。
ここでいう懸架ばねSの上端のコイル内径とは、基本的に、懸架ばねSを構成する線材の上端から一巻目のコイル内径のことをいう。そして、懸架ばねSが上端部に一巻以上の座巻部を有する場合、その座巻部の内径が懸架ばねSの上端のコイル内径となる。なお、図1,2に示す懸架ばねSの上端は、クローズドエンドとなっていて研削されているが、懸架ばねSの上端形状は、オープンエンドであっても、研削されていなくてもよい。
また、本実施の形態の絞り部材Cは、その上端が窓6bにかからないように配置されている。しかし、窓6bの総開口面積がチョーク通路Oの開口面積よりも小さくならなければ、絞り部材Cの上端が窓6bにかかっていてもよい。また、本実施の形態では、絞り部材Cがその外周凸部c1を本体部6とばね座7とで挟まれているが、絞り部材Cの取付方法もこの限りではなく、適宜変更できる。例えば、絞り部材Cは、本体部6の内周に圧入されていてもよい。
以下に、本発明の一実施の形態に係る緩衝器Aの作動について説明する。
緩衝器Aの伸縮時には、ロッド4がシリンダ3に対して軸方向へ移動して緩衝器本体Dが伸縮し、メインの減衰力を発揮する。さらに、緩衝器Aの伸縮時には、シリンダ3がインナーチューブ2に出入りして、ばね受けBがインナーチューブ2内を上下に移動する。すると、懸架ばねSが伸縮して変形量に見合った弾性力を発揮する。
また、緩衝器Aが最伸長状態から収縮していくと、絞り部材Cがばね受けB及びシリンダ3とともに液溜室Rの液面Lに接近し、シリンダ3が液中に浸かると液面L自体が上昇して絞り部材Cが浸漬される。このように、緩衝器Aの伸縮時には、絞り部材Cと液溜室Rの液面Lとが上下方向に相対移動するようになっている。
そして、緩衝器Aの最伸長状態からの収縮量が所定よりも大きくなって絞り部材Cが液中に浸かる所定のストローク領域では、液体がチョーク通路Oを通って上室r1と下室r2との間を移動し、この液体の流れに対して抵抗が付与されて、その抵抗に起因する減衰力が二次的に発生する。その一方、絞り部材Cがガス室G内を移動する所定のストローク領域外の領域では、その二次的な減衰力を得られない。
このように、二次的な減衰力は、液溜室Rの液面Lと絞り部材Cの位置関係に応じて発生する位置依存の減衰力である。そして、緩衝器Aにおける全ストローク領域のうちの、一部のストローク領域(所定のストローク領域)においてのみ、メインの減衰力に二次的な減衰力が付加されて、緩衝器A全体としての減衰力が大きくなる。
以下に、本発明の一実施の形態に係る緩衝器Aの作用効果について説明する。
本実施の形態において、緩衝器Aは、シリンダ3と、このシリンダ3内に軸方向へ移動可能に挿入されるロッド4とを有する緩衝器本体Dと、この緩衝器本体Dの外周に設けられてその緩衝器本体Dとの間に液体を貯留する液溜室Rを形成するチューブ部材Tと、液溜室Rを上室r1と下室r2とに区画する絞り部材Cとを備えている。
そして、本実施の形態では、その絞り部材Cと緩衝器本体Dとの間に、上室r1と下室r2との間を移動する液体の流れに抵抗を与える環状のチョーク通路Oが形成されている。当該構成によれば、液体がチョーク通路Oを通過する所定のストローク領域で、チョーク通路Oの抵抗に起因する位置依存の減衰力を二次的に発生し、緩衝器A全体としての減衰力を大きくできる。
また、チョーク通路Oは、軸方向に長い通路であり、位置依存の減衰力が緩衝器Aの伸縮速度に比例して大きくなる。さらに、チョーク通路Oの開口面積が従来のオリフィス通路の開口面積と同等である場合には、発生する位置依存の減衰力を大きくできる。ここでいう開口面積とは、絞り部材の内径から、この絞り部材に対向する緩衝器本体の外径を減じた値(絞り部材と緩衝器本体との間の隙間量)に等しい。
つまり、本実施の形態の緩衝器Aでは、従来の緩衝器と比較して、絞り部材と緩衝器本体との間の隙間量が同じであっても、発生する位置依存の減衰力を大きくできるといえる。換言すると、絞り部材と緩衝器本体との間の隙間量が従来の隙間量より大きくても、同等の位置依存の減衰力を得られる。よって、本実施の形態の緩衝器Aによれば、絞り部材Cと緩衝器本体Dとの間の隙間量を確保しつつ、位置依存の減衰力が不足するのを防止できる。
また、本実施の形態の緩衝器Aは、緩衝器本体Dの外周に装着されるばね受け(ホルダ)Bと、下室r2に収容されて上端をばね受け(ホルダ)Bで支持される懸架ばね(コイルばね)Sとを備えている。そして、絞り部材Cが環状で、ばね受けBに保持されている。
このように、本実施の形態では、懸架ばね(コイルばね)Sの上端を支えるばね受けBが、絞り部材Cを保持するホルダとしての役割も担うので、絞り部材とばね受を個別に設ける場合と比較して、緩衝器Aの部品数を削減できる。さらに、ばね受けBのようなホルダを利用すると、絞り部材Cを緩衝器本体Dに取り付けるのが容易であるのは勿論、絞り部材Cを径方向へ移動可能にするのも容易である。
そして、絞り部材Cを径方向へ移動可能に設けると、絞り部材Cの内径を小さくしてチョーク通路Oの開口面積を小さくしたとしても、緩衝器Aが外部からの横力を受けて撓んだときに、絞り部材Cによって緩衝器本体Dが傷付くのを抑制できる。
なぜなら、緩衝器Aが外部からの横力を受けて撓み、絞り部材Cと緩衝器本体Dとの間の環状の隙間(チョーク通路O)の径方向幅が周方向で変わると、その幅が狭い部分と広い部分とで通過する液体の流速が変わる。このとき、絞り部材Cの径方向の移動が許容されていれば、その流速が均等になる方へ絞り部材Cが動いて、絞り部材Cの中心が緩衝器本体Dの中心と合うように自動調心され、絞り部材Cと緩衝器本体Dとの干渉が抑制されるためである。
よって、絞り部材Cを径方向へ移動可能に装着すると、チョーク通路Oの開口面積を小さくできる。このため、所定のストローク領域で発生する位置依存の減衰力をより大きく設定できるとともに、位置依存の減衰力の調整幅を大きくできる。
また、本実施の形態では、絞り部材Cの内径が懸架ばね(コイルばね)Sの上端のコイル内径よりも小さい。当該構成によれば、位置依存の減衰力が懸架ばねSの上端と緩衝器本体Dとの間にできる隙間Pを液体が通過する際の抵抗に支配されてしまうのを防止できる。このため、上記構成によれば、所望の位置依存の減衰力を確実に得られる。
なお、絞り部材Cを緩衝器本体Dに取り付けるホルダの構造は、ばね受けBに限らず適宜変更できる。例えば、懸架ばねSがエアばねである場合には、そのホルダがばね受けとして機能しなくてもよい。さらに、絞り部材Cと液溜室Rの液面Lとの相対位置が緩衝器Aの伸縮時に変化するようになっていれば、絞り部材Cの取付対象は、緩衝器本体Dのロッド4であってもチューブ部材Tであってもよい。
また、ばね受けB等のホルダを廃し、絞り部材Cを緩衝器本体D又はチューブ部材Tに直接取り付けてもよく、チョーク通路Oを絞り部材Cとチューブ部材Tとの間に形成してもよい。さらに、本実施の形態のチューブ部材Tは、テレスコピック型で伸縮できるが、チューブ部材がシリンダ3の外周に設けられるアウターシェルからなり、伸縮しなくてもよい。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、及び変更が可能である。
A・・・緩衝器、B・・・ばね受け(ホルダ)、C・・・絞り部材、D・・・緩衝器本体、O・・・チョーク通路、R・・・液溜室、r1・・・上室、r2・・・下室、S・・・懸架ばね(コイルばね)、T・・・チューブ部材、3・・・シリンダ、4・・・ロッド
Claims (5)
- シリンダと、前記シリンダ内に軸方向へ移動可能に挿入されるロッドとを有する緩衝器本体と、
前記緩衝器本体の外周に設けられて前記緩衝器本体との間に液体を貯留する液溜室を形成するチューブ部材と、
前記液溜室を上室と下室とに区画するとともに、前記上室と前記下室との間を移動する液体の流れに抵抗を与える環状のチョーク通路を前記緩衝器本体又は前記チューブ部材との間に形成する絞り部材とを備えている
ことを特徴とする緩衝器。 - 前記緩衝器本体の外周に装着されるホルダを備え、
前記絞り部材は、環状で前記ホルダに保持されていて、前記緩衝器本体との間に前記チョーク通路を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の緩衝器。 - 前記下室に収容されて上端を前記ホルダで支持されるコイルばねを備えている
ことを特徴とする請求項2に記載の緩衝器。 - 前記絞り部材の内径は、前記コイルばねの上端のコイル内径より小さい
ことを特徴とする請求項3に記載の緩衝器。 - 前記絞り部材が径方向へ移動可能とされている
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の緩衝器。
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