JP7151020B1 - 緩衝装置、懸架装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、圧縮行程のみならず伸長行程においてもシリンダ内の圧力が高くなり過ぎないようにすることができる緩衝装置等を提供することを目的とする。
<第1実施形態>
図1は、懸架装置1の概略構成の一例を示す図である。
図2は、第1実施形態に係る第2ピストン部100を構成する部品の斜視図の一例である。
図3は、図1のIII部の拡大図の一例である。
懸架装置1は、ストラット式サスペンションであり、図1に示すように、油圧緩衝装置2と、油圧緩衝装置2の外側に配置されたコイルスプリング3とを備えている。また、懸架装置1は、コイルスプリング3における、後述するピストンロッド20の軸方向の第1側(図1では下側)の端部を支持する下スプリングシート4と、コイルスプリング3における、軸方向の第2側(図1では上側)の端部を支持する上スプリングシート5と、を備えている。以下では、ピストンロッド20の軸方向を、単に「軸方向」と称する場合がある。また、「軸方向の第1側」を単に「下側」、「軸方向の第2側」を単に「上側」と称する場合がある。
油圧緩衝装置2は、図1に示すように、複筒型式油圧緩衝装置であり、シリンダ部10と、ピストンロッド20と、ピストンロッド20における下側の端部に取付けられた第1ピストン部30と、を備えている。また、油圧緩衝装置2は、シリンダ部10の後述する内シリンダ12における下側の端部に取付けられたボトムバルブ40と、内シリンダ12において、第1ピストン部30よりも上側に設けられた第2ピストン部100と、を備えている。
シリンダ部10は、円筒状の外シリンダ11と、外シリンダ11内に収容される円筒状の内シリンダ12とを備えている。外シリンダ11および内シリンダ12は、円筒の中心線方向が軸方向と一致するように配置されている。また、シリンダ部10は、下側の端部を塞ぐ底蓋13を備えている。そして、シリンダ部10は、内シリンダ12の外周面と外シリンダ11の内周面とで、リザーバ室Rを形成している。外シリンダ11内部には流体の一例としてのオイルが充填されている。なお、外シリンダ11内には、水等の液体や、空気等の気体が充填されていても良い。以下の説明においては、外シリンダ11の中心線から半径方向において中心線側を「内側」と称し、中心線側とは反対側を「外側」と称する場合もある。
ピストンロッド20は、中実または中空の棒状の部材であり、円柱状または円筒状のロッド部21を有している。また、ピストンロッド20は、下側の端部に第1ピストン部30を取り付けるための下側取付部22と、上側の端部に車体側取付ブラケット6を取り付けるための上側取付部23とを有している。下側取付部22および上側取付部23の端部には雄ねじが形成されている。
また、ピストンロッド20には、軸方向に所定の範囲に亘って外周面から凹んだ軸方向溝202が形成されている。軸方向溝202は、周方向の一部に形成されている。軸方向溝202は、周方向に複数形成されていても良い。また、円周溝201と軸方向溝202は、重なり合うことも可能である。所定の範囲については、後で詳述する。
第1ピストン部30は、第1ピストン31と、第1ピストン31に形成された複数の油路の内の一部の油路における下側の端部を塞ぐ下側バルブ群32と、第1ピストン31に形成された一部の油路における上側の端部を塞ぐ上側バルブ群33と、を備えている。
第1ピストン31は、その外周面に設けられた、第1ピストン31の外周面と内シリンダ12の内周面との間の隙間をシールする部材を介して内シリンダ12の内周面に接触し、内シリンダ12内のオイルが封入された空間を、第1ピストン31よりも下側の第1室Y1と、第1ピストン31よりも上側の第2室Y2とに区画する。
ボトムバルブ40は、軸方向に貫通する複数の油路を有するバルブボディ41と、バルブボディ41の下側に設けられる下側バルブ42と、バルブボディ41の上側に設けられる上側バルブ43とを備えている。
ボトムバルブ40のバルブボディ41は、第1室Y1とリザーバ室Rとを区画する。
第2ピストン部100は、ピストンロッド20に保持された第2ピストン110と、第2ピストン110に対して移動可能に支持されたリング120と、リング120に対して軸方向の力を付与する弾性部材130と、を備えている。
第2ピストン110は、円筒状の円筒状部111と、円筒状部111における下端部から内側に突出した内側突出部112と、を有している。また、第2ピストン110は、円筒状部111における上端部から外側に突出した上側突出部113と、内側突出部112と上側突出部113との間において円筒状部111の外周面から外側に突出した下側突出部114と、を有している。
リング120は、周方向の一部に切り欠き121が形成された略円筒状の部材である。言い換えれば、リング120は、軸方向に見た場合の形状がC字状である。リング120が内シリンダ12内に挿入される前の状態で、リング120の内周面の径は第2ピストン110の円筒状部111の外径以上であり、リング120の外周面の径は内シリンダ12の内周面の径以上である。そして、リング120を内シリンダ12内に挿入する際に、弾性変形させながら挿入することで、リング120の外周面が内シリンダ12の内周面と接触する。また、リング120が内シリンダ12内に挿入された状態で、リング120の内周面が第2ピストン110の円筒状部111の外周面と接触することが好ましい。
リング120の材質は、金属や樹脂であることを例示することができる。金属は、鉄鋼や、銅と亜鉛の合金の一種である真鍮であることを例示することができる。樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であることを例示することができる。
弾性部材130は、中央部に貫通孔131が形成された円環状であるとともに、周方向の一部に切り欠き132が形成されたC字状の部材である。弾性部材130の外径は、内シリンダ12の内径よりも小さい。貫通孔131の径は、第2ピストン110の円筒状部111の外径よりも大きい。弾性部材130における軸方向に平行な面で切断した断面形状は、上側に凸の半円弧状であることを例示することができる。
なお、弾性部材130は、上下逆向きに取り付けられていても良い。つまり、弾性部材130は、下側に凸の半円弧状であっても良い。また、弾性部材130は、皿ばねであっても良い。また、弾性部材130は、円筒状のゴムにて成形された部材であっても良い。
ピストンロッド20に第2ピストン部100を取り付けた後に、ピストンロッド20の下側の端部に第1ピストン部30を取り付ける。
図4は、シリンダ部10からピストンロッド20が突出した量(突出量)が少なくなる圧縮行程における第2ピストン部100の断面図の一例である。
図5は、ピストンロッド20の突出量が多くなる伸長行程における第2ピストン部100の断面図の一例である。
ピストンロッド20の突出量が少なくなる圧縮行程においては、リング120の下面に動圧が作用するため、リング120の上面が第2ピストン110の上側突出部113に突き当たる。これにより、リング120が、第2ピストン110の円筒状部111の貫通孔111hの開口部を塞ぐ。その結果、圧縮行程においては、第4室Y4のオイルは、ピストンロッド20の軸方向溝202および貫通孔111hを通って第3室Y3へ移動せず、リング120の切り欠き121(図2参照)を通って第3室Y3へ移動する。これにより、減衰力が生じる。
しかしながら、伸長行程における減衰力を高めすぎると、硬い乗り心地になってしまい、却って乗り心地を悪化させてしまうおそれがある。
伸長行程が始まると徐々に第3室Y3の圧力が高まる。そして、所定圧力で、リング120が第2ピストン110の円筒状部111の貫通孔111hの開口部を塞がなくなる位置まで下方へ移動して、オイルが第3室Y3から第4室Y4へ流れるので、伸長行程において内シリンダ12内の圧力がリリーフされる。
以下に、第3室Y3から第4室Y4へオイルを流通させることが可能な流路Cの変形例について説明する。
図7は、第1変形例に係る流路C1の概略構成の一例を示す図である。
第3室Y3から第4室Y4へオイルを流通させることが可能な流路C1は、ピストンロッド20の内部を用いて形成されていても良い。例えば、図7に示すように、流路C1の一部は、ピストンロッド20における第2ピストン110の円筒状部111の貫通孔111hに対応する位置から半径方向に延びる第1孔203と、ピストンロッド20における円周溝201の下方の第4室Y4と第1孔203とを連通する第2孔204とから構成されていても良い。
第3室Y3から第4室Y4へオイルを流通させることが可能な流路C2は、ピストンロッド20の外周面から凹んだ第1溝と、第2ピストン110の内周面から凹んだ第2溝とが対向する部位を用いて形成されていても良い。例えば、図8に示すように、第2ピストン110の円筒状部111における貫通孔111hの下方に、円筒状部111の内周面から凹むとともに軸方向に延びる軸方向溝111vを形成する。そして、ピストンロッド20に形成された軸方向溝202(第1溝の一例)と、第2ピストン110に形成された軸方向溝111v(第2溝の一例)とを対向するように配置して流路C2の一部を形成しても良い。
第3室Y3から第4室Y4へオイルを流通させることが可能な流路C3は、ピストンロッド20に形成された軸方向溝202を用いることなく、第2ピストン110の内周面から凹んだ溝を用いて形成されていても良い。例えば、図9に示すように、第2ピストン110の円筒状部111における貫通孔111hの下方に、円筒状部111の内周面から凹むとともに軸方向に延びる軸方向溝111wを形成するとともに、軸方向溝111wの下方における内側突出部112に切り欠き112wを形成する。そして、貫通孔111h、軸方向溝111wおよび切り欠き112wを通って第3室Y3から第4室Y4へオイルが流れる流路C3としても良い。
第3室Y3から第4室Y4へオイルを流通させることが可能な流路C4は、第2ピストン110の内部を用いて形成されていても良い。例えば、図10に示すように、第2ピストン110の円筒状部111における貫通孔111hの下方に、円筒状部111の内部および内側突出部112を軸方向に貫通する軸方向貫通孔112zを形成する。そして、貫通孔111hおよび軸方向貫通孔112zを通って第3室Y3から第4室Y4へオイルが流れる流路C4としても良い。
図11は、第2実施形態に係る油圧緩衝装置82の断面図の一例である。
第2実施形態に係る油圧緩衝装置82は、第1実施形態に係る油圧緩衝装置2に対して、第2ピストン部100に相当する第2ピストン部200が異なるとともに、ピストンロッド20に軸方向溝202が形成されていない点が異なる。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。第1実施形態と第2実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
第2ピストン210は、第2ピストン110に対して、円筒状部111の外周面から外側に突出して上側突出部113との間にリング220を保持する中央突出部215を有している。
リング220は、第1実施形態に係るリング120に対して、貫通孔222が形成されている点が異なる。
貫通孔222は、上側の開口部の位置が第2ピストン210の上側突出部113の半径方向の外側となるように形成され、下側の開口部の位置が上側の開口部の位置よりも、半径方向の内側となるように形成されている。そして、第2実施形態においては、貫通孔222が、第3室Y3から第4室Y4へオイルを流通させることが可能な流路Cとして機能する。つまり、第2実施形態においては、流路Cは、リング220の内部を用いて形成される。なお、貫通孔222は、軸方向に平行であっても良い。また、貫通孔222は、周方向に複数形成されていても良い。
介在部材240は、薄い円環状の部材である。介在部材240の内径は、第2ピストン210の中央突出部215の外径以上であり、介在部材240の外径は、第2ピストン210の下側突出部114と同じであることを例示することができる。そして、介在部材240は、外周部が、リング220の貫通孔222の下側の開口部よりも外側に位置し、貫通孔222の下側の開口部を塞ぐことが可能である。
図12は、圧縮行程における第2ピストン部200の断面図の一例である。
図13は、伸長行程における第2ピストン部200の断面図の一例である。
圧縮行程においては、介在部材240の下面に動圧が作用するため、介在部材240の上面がリング220の下面に突き当たる。これにより、介在部材240が、リング220の貫通孔222の下側の開口部を塞ぐ。その結果、圧縮行程においては、第4室Y4のオイルは、リング220の貫通孔222を通って第3室Y3へ移動せず、リング220の切り欠き121(図2参照)を通って第3室Y3へ移動する。これにより、減衰力が生じる。
図14は、第3実施形態に係る油圧緩衝装置83の断面図の一例である。
第3実施形態に係る油圧緩衝装置83は、第1実施形態に係る油圧緩衝装置2に対して、第2ピストン部100に相当する第2ピストン部300が異なるとともに、ピストンロッド20に軸方向溝202が形成されていない点が異なる。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。第1実施形態と第3実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
第2ピストン部300は、ピストンロッド20に保持された第2ピストン310と、第2ピストン310に保持されてボール弁350を支持する支持部材360とを備えている。
下側突出部114は、コイルバネ352における下側の端部を支持する。貫通孔311の径は、コイルバネ352のコイル径よりも小さい。
図15は、第4実施形態に係る油圧緩衝装置84の断面図の一例である。
第4実施形態に係る油圧緩衝装置84は、第1実施形態に係る油圧緩衝装置2に対して、シリンダ部10に相当するシリンダ部410が異なる。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。第1実施形態と第4実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
第2ピストン部100は、第1実施形態とは異なり、サブシリンダ417内に挿入可能な大きさに設定されている。つまり、第2ピストン110(図2参照)および弾性部材130(図2参照)の外径は、内シリンダ12の内径よりも小さい。
図16は、第5実施形態に係る油圧緩衝装置85の断面図の一例である。
第5実施形態に係る油圧緩衝装置85は、第4実施形態に係る油圧緩衝装置84に対して、シリンダ部410に相当するシリンダ部510が異なる。以下、第4実施形態と異なる点について説明する。第4実施形態と第5実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
Claims (9)
- オイルシールにてシールされた、流体を収容するシリンダ内を第1室と第2室とに区画する第1ピストン部と、
前記第2室内に設けられて、前記第2室内を、前記オイルシール側の第3室と前記第1ピストン部側の第4室とに区画するとともに、前記第3室内の圧力が予め定められた所定圧力以上となった場合に前記第3室内の流体が前記第4室に流れるのを許容する流路を有する第2ピストン部と、
を備え、
前記第2ピストン部は、前記シリンダの内周面を摺動する摺動部と、前記摺動部を移動可能に保持する保持部と、前記流体を前記第3室と前記第4室との間で流通可能に設けられるとともに前記摺動部によって開口面積が変更され得る前記流路と、前記摺動部と前記保持部との間に設けられ、前記摺動部に前記流路の前記開口面積を減少させる方向の力を付与する弾性体と、を備える、
緩衝装置。 - 前記流路は、前記第2ピストン部を保持するロッドに形成される、
請求項1に記載の緩衝装置。 - 前記流路は、前記保持部の内周面または前記保持部の内部に形成される、
請求項1に記載の緩衝装置。 - 前記流路は、前記第2ピストン部を保持するロッドの外周面から凹んだ第1溝と、前記ロッドの外側に設けられた前記保持部の内周面から凹んだ第2溝とが対向する部位を用いて形成される、
請求項1に記載の緩衝装置。 - 前記流路は、前記摺動部の内部を用いて形成される、
請求項1に記載の緩衝装置。 - 前記摺動部は、前記シリンダの内周面を摺動し、前記流路が形成されている摺動部材と、前記流路の開口部を閉塞可能な弁体とを有する、
請求項5に記載の緩衝装置。 - 前記シリンダは、前記第1ピストン部が摺動する第1シリンダと、前記第1シリンダの内側に設けられて前記第2ピストン部が摺動する第2シリンダとを有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の緩衝装置。 - 前記シリンダは、前記第1ピストン部が摺動する第1シリンダと、前記第1シリンダよりも内径が小さいとともに前記第2ピストン部が摺動する第2シリンダと、前記第1シリンダと前記第2シリンダとを接続する接続部とが一体的に成形されている、
請求項1~6のいずれか1項に記載の緩衝装置。 - 請求項1から8のいずれか1項に記載の緩衝装置と、前記緩衝装置の外側に配置されたコイルスプリングと、
を備える懸架装置。
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