JP2008240745A - 油圧緩衝器 - Google Patents

油圧緩衝器 Download PDF

Info

Publication number
JP2008240745A
JP2008240745A JP2007077676A JP2007077676A JP2008240745A JP 2008240745 A JP2008240745 A JP 2008240745A JP 2007077676 A JP2007077676 A JP 2007077676A JP 2007077676 A JP2007077676 A JP 2007077676A JP 2008240745 A JP2008240745 A JP 2008240745A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chamber
oil
inner tube
oil chamber
partition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2007077676A
Other languages
English (en)
Inventor
Harusuke Murakami
陽亮 村上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Astemo Ltd
Original Assignee
Showa Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Corp filed Critical Showa Corp
Priority to JP2007077676A priority Critical patent/JP2008240745A/ja
Publication of JP2008240745A publication Critical patent/JP2008240745A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Fluid-Damping Devices (AREA)

Abstract

【課題】 油圧緩衝器において、油溜室の上部の空気室と環状の油室の間のシール性を向上すること。
【解決手段】 アウタチューブ11側に取付けたピストンロッド23がインナチューブ12に設けた隔壁部材19の隔壁部19Aを貫通し、隔壁部材19の隔壁部19Aの下部のインナチューブ12の内部に作動油室21を、上部に油溜室22を区画するとともに、アウタチューブ11の内周とインナチューブ12の外周との間に環状油室17を区画し、この環状油室17を作動油室21に連通してなるフロントフォーク10において、隔壁部材19の外周に、アウタチューブ11の内周と摺接して環状油室17を区画するシール部材20を設け、このシール部材20を常に油中に浸漬してなるもの。
【選択図】 図5

Description

本発明は車両用の油圧緩衝器に関する。
従来の油圧緩衝器として、特許文献1に記載の如く、車体側のアウタチューブ内に車軸側のインナチューブを摺動自在に挿入し、前記インナチューブに隔壁部材を設け、該隔壁部材の隔壁部の下部の該インナチューブの内部に作動油室を、上部に油溜室を区画し、前記アウタチューブ側に取付けたピストン支持部材を、前記隔壁部材の隔壁部を貫通して前記作動油室内に挿入し、該ピストン支持部材の先端部に前記作動油室内を摺動するピストンを設け、前記アウタチューブの内周とインナチューブの外周との間に環状の油室を区画し、この環状の油室をインナチューブに設けた油孔を介して前記作動油室に連通し、前記隔壁部材の隔壁部に、前記作動油室と前記油溜室との間で油を給排可能にする給排手段を設け、前記油溜室の上部の空気室が常に空気ばねを構成するものがある。
この従来の油圧緩衝器では、油溜室の上部の空気室が常に、従って最圧縮時にも必ず空気ばねを構成するから、車輪が路面から受ける衝撃を空気ばねの収縮により安定的に吸収し、インナチューブが挿入されるアウタチューブの開口部に設けてあるオイルシール等の破損等を回避できる。
特開2003-269515
特許文献1に記載の油圧緩衝器では、インナチューブの上端開口部の外周に、アウタチューブの内周と摺接するガイドブッシュを固定し、このガイドブッシュによりアウタチューブの内周とインナチューブの外周の間の環状の油室を区画している。ところが、このガイドブッシュは常に空気中に配置されているためにシール性が悪く、油溜室の上部の空気室の空気がガイドブッシュを通って環状の油室に入り、更にインナチューブに設けてある油孔から作動油室に入る結果、油圧緩衝器の減衰力応答性を損なう。尚、ガイドブッシュの代わりにゴム製シール部材を用いるときには、フリクションの増大、コストの増大を招く。
本発明の課題は、アウタチューブ側に取付けたピストン支持部材がインナチューブに設けた隔壁部材の隔壁部を貫通し、隔壁部材の隔壁部の下部のインナチューブの内部に作動油室を、上部に油溜室を区画するとともに、アウタチューブの内周とインナチューブの外周との間に環状の油室を区画し、この環状の油室を作動油室に連通してなる油圧緩衝器において、油溜室の上部の空気室と環状の油室の間のシール性を向上することにある。
請求項1の発明は、車体側のアウタチューブ内に車軸側のインナチューブを摺動自在に挿入し、前記インナチューブに隔壁部材を設け、該隔壁部材の隔壁部の下部の該インナチューブの内部に作動油室を、上部に油溜室を区画し、前記アウタチューブ側に取付けたピストン支持部材を、前記隔壁部材の隔壁部を貫通して前記作動油室内に挿入し、該ピストン支持部材の先端部に前記作動油室内を摺動するピストンを設け、前記アウタチューブの内周とインナチューブの外周との間に環状の油室を区画し、この環状の油室をインナチューブに設けた油孔を介して前記作動油室に連通し、前記隔壁部材の隔壁部に、前記作動油室と前記油溜室との間で油を給排可能にする給排手段を設け、前記油溜室の上部の空気室が常に空気ばねを構成する油圧緩衝器において、前記隔壁部材の外周に、アウタチューブの内周と摺接して前記環状の油室を区画するシール部材を設け、このシール部材を常に油中に浸漬してなるようにしたものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記隔壁部材の延長上端部を常に前記油溜室の油面より上位に設定するようにしたものである。
請求項3の発明は、請求項1の発明おいて更に、前記隔壁部材の上端部に付加した上部インナチューブを常に前記油溜室の油面より上位に設定するようにしたものである。
請求項4の発明は、車体側のアウタチューブ内に車軸側のインナチューブを摺動自在に挿入し、前記インナチューブに隔壁部材を設け、該隔壁部材の隔壁部の下部の該インナチューブの内部に作動油室を、上部に油溜室を区画し、前記アウタチューブ側に取付けたピストン支持部材を、前記隔壁部材の隔壁部を貫通して前記作動油室内に挿入し、該ピストン支持部材の先端部に前記作動油室内を摺動するピストンを設け、前記アウタチューブの内周とインナチューブの外周との間に環状の油室を区画し、この環状の油室をインナチューブに設けた油孔を介して前記作動油室に連通し、前記隔壁部材の隔壁部に、前記作動油室と前記油溜室との間で油を給排可能にする給排手段を設け、前記油溜室の上部の空気室が常に空気ばねを構成する油圧緩衝器において、前記インナチューブの外周に、アウタチューブの内周と摺接して前記環状の油室を区画するシール部材を設け、このシール部材を常に油中に浸漬してなるようにしたものである。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの発明において更に、前記環状の油室の断面積を前記ピストン支持部材の断面積より大きく形成し、前記給排手段を、伸側行程時に前記作動油室から前記油溜室への流れを阻止するチェック弁と、前記作動油室と前記油溜室を連通する微小流路にて形成するようにしたものである。
(請求項1)
(a)油圧緩衝器において、インナチューブに設けた隔壁部材の外周に、アウタチューブの内周と摺接して環状の油室を区画するシール部材を設け、このシール部材を常に油中に浸漬した。隔壁部材の外周のシール部材が常に油中にあって高いシール性を確保できるから、油溜室の上部の空気室の空気はシール部材によって封止されている環状の油室に入ることがなく、ひいてはインナチューブに設けた油孔から作動油室に入ることがないから、油圧緩衝器の減衰力応答性を向上できる。尚、隔壁部材は厚肉であり、強度を損なうことなく、シール部材を設けることができる。
(請求項2)
(b)隔壁部材の延長上端部を常に油溜室の油面より上位に設定した。隔壁部材の延長上端部は、最圧縮ストロークでキャップの下端面に設けてあるストッパに衝合して最圧縮ストロークを規制し、油溜室の上部に常に一定の空気室を維持できる。また、隔壁部材の延長上端部が、アウタチューブとインナチューブの嵌合長を長くし、アウタチューブとインナチューブの摺動性を向上できる。
(請求項3)
(c)隔壁部材の上端部に付加した上部インナチューブを常に油溜室の油面より上位に設定した。上部インナチューブは、最圧縮ストロークでキャップの下端面に設けてあるストッパに衝合して最圧縮ストロークを規制し、油溜室の上部に常に一定の空気室を維持できる。また、上部インナチューブが、アウタチューブとインナチューブの嵌合長を長くし、アウタチューブとインナチューブの摺動性を向上できる。
(請求項4)
(d)油圧緩衝器において、インナチューブの外周に、アウタチューブの内周と摺接して環状の油室を区画するシール部材を設け、このシール部材を常に油中に浸漬した。インナチューブの外周のシール部材が常に油中にあって高いシール性を確保できるから、油溜室の上部の空気室の空気はシール部材によって封止されている環状の油室に入ることがなく、ひいてはインナチューブに設けた油孔から作動油室に入ることがないから、油圧緩衝器の減衰力応答性を向上できる。
(請求項5)
(e)環状油室の断面積S1をピストン支持部材の断面積S2より大きくするものであり、S1とS2を略等しくするものに比して、アウタチューブとインナチューブの環状隙間の設定に繊細を必要としない。従って、アウタチューブとインナチューブの加工寸法公差によりインナチューブの内部の圧力条件が変化する如くがない。従って、同一外径のピストン支持部材を用いた場合、インナチューブが大径になっても、アウタチューブとインナチューブの環状隙間を必ずしも狭くする必要がなく、設計に制約を与えない。また、アウタチューブとインナチューブの環状隙間を一定にした場合、インナチューブが大径になってもピストン支持部材の外径を必ずしも大きくする必要がなく、ピストン支持部材の部品共通化を図ることができる。
図1は実施例1の油圧緩衝器の全体を示す断面図、図2は図1の下部拡大断面図、図3は図1の中間部拡大断面図、図4は図1の上部拡大断面図、図5は図1の要部拡大図、図6は実施例2の油圧緩衝器の全体を示す断面図、図7は図6の中間部拡大断面図、図8は図6の要部拡大図である。
(実施例1)(図1〜図5)
フロントフォーク(油圧緩衝器)10は、アウタチューブ11を車体側に、インナチューブ12を車輪側に配置する倒立型フロントフォークであり、図1〜図4に示す如く、アウタチューブ11の下端開口部の内周に固定したガイドブッシュ11Aと、インナチューブ12の上端部に設けた後述する隔壁部材19の延長上端部19Bの上端側の外周に固定したガイドブッシュ19C、隔壁部材19の外周に設けたシール部材20を介して、アウタチューブ11の内部にインナチューブ12を摺動自在に挿入する。11Bはオイルシール、11Cはダストシールである。アウタチューブ11の上端開口部にはキャップ13が液密に螺着され、アウタチューブ11の外周には車体側取付部材14A、14B(不図示)が設けられる。インナチューブ12の下端開口部には車軸ブラケット15が液密に挿着されて螺着されてインナチューブ12の底部を構成し、車軸ブラケット15には車軸取付孔16が設けられる。
フロントフォーク10は、アウタチューブ11の内周と、インナチューブ12の外周と、前記ガイドブッシュ11Aと、シール部材20にて区画される環状油室17を区画する。
フロントフォーク10は、インナチューブ12の上端側内周に隔壁部材19の外周を螺着するとともに、隔壁部材19の外周段差面をインナチューブ12の上端面に突き当てるようにして両者を一体固定化している。フロントフォーク10は、隔壁部材19のロッドガイド部19A(隔壁部)の下部のインナチューブ12の内部に作動油室21を区画するとともに、ロッドガイド部19Aの上部に油溜室22を区画する。油溜室22の中でその下側領域は油室22A、上側領域は空気室22Bである。空気室22Bは常にフロントフォーク10の空気ばねを構成する。
フロントフォーク10は、アウタチューブ11に取付けたピストンロッド23(ピストン支持部材)を隔壁部材19のロッドガイド部19Aに摺動自在に貫通して作動油室21に挿入する。具体的には、キャップ13の中心部の下端部に螺着した取付カラー24に中空ピストンロッド23を螺着し、これをロックナット24Aで固定する。
フロントフォーク10は、隔壁部材19のロッドガイド部19Aからインナチューブ12に挿入したピストンロッド23の先端部に螺着したピストンボルト25に、インナチューブ12の内周に摺接するピストン26を固定し、前記油室21をピストンロッド23が収容されるピストンロッド側油室21Aと、ピストンロッド23が収容されないピストン側油室21Bに区画する。ピストン26はナット27により固定される。
フロントフォーク10は、前記環状油室17を、インナチューブ12に設けた油孔28を介して、ピストンロッド側油室21A(ピストン側油室21Bでも可)に常時連通する。
フロントフォーク10は、ピストン26のピストン側油室21Bに臨む下端面に上ばね受け31を衝合し、車軸ブラケット15が形成するインナチューブ12の底部に下ばね受け32を配置し、上ばね受け31と下ばね受け32に設けたスプリングカラー32Aの間に懸架スプリング33を介装している。フロントフォーク10は、車両走行時に路面から受ける衝撃力を懸架スプリング33の伸縮振動により吸収する。このとき、後述するばね荷重調整装置80が下ばね受け32を昇降し、懸架スプリング33のばね荷重を調整可能にする。
フロントフォーク10は、ピストン26に減衰力発生装置40を備える(図3)。
減衰力発生装置40は、圧側流路41と伸側流路42(不図示)を備える。圧側流路41は、バルブストッパ41Bにバックアップされる圧側ディスクバルブ41A(圧側減衰バルブ)により開閉される。伸側流路42は、バルブストッパ42Bにバックアップされる伸側ディスクバルブ42A(伸側減衰バルブ)により開閉される。尚、バルブストッパ41B、バルブ41A、ピストン26、バルブ42A、バルブストッパ42Bは、ピストンボルト25に挿着されるバルブ組立体を構成し、ピストンボルト25に螺着されるナット27に挟まれて固定される。
減衰力発生装置40は、キャップ13の中心部に後に詳述する減衰力調整装置40Aを設け、減衰力調整装置40Aのニードル弁71Aをピストンロッド23の中空部に挿入し、ピストンロッド23に設けたバイパス路45の開度をニードル弁71Aの上下動により調整する。バイパス路45は、ピストン26をバイパスし、ピストンロッド側油室21Aとピストン側油室21Bを連絡する。
減衰力発生装置40は、圧側行程では、低速域で、ニードル弁71Aにより開度調整されたバイパス路45の通路抵抗により圧側減衰力を発生し、中高速域で、圧側ディスクバルブ41Aの撓み変形により圧側減衰力を発生する。また、伸側行程では、低速域で、ニードル弁71Aにより開度調整されたバイパス路45の通路抵抗により伸側減衰力を発生し、中高速域で、伸側ディスクバルブ42Aの撓み変形により伸側減衰力を発生する。この圧側減衰力と伸側減衰力により、前述した懸架スプリング33の伸縮振動を制振する。
フロントフォーク10は、キャップ13の下端面に、インナチューブ12に設けた隔壁部材19の上端部が最圧縮ストロークで衝合するストッパラバー13A、ストッパ板13Bを固着しており、このストッパラバー13Aによって最圧縮ストロークを規制する。
フロントフォーク10は、インナチューブ12の上端側の隔壁部材19のピストンロッド側油室21Aに臨む下端部に止め輪51Aを用いて固定したスプリングシート51と、ピストンロッド23に設けたストッパリング52Aに係止させたスプリングシート52との間にリバウンドスプリング53を介装してある。フロントフォーク10の最伸長時に、隔壁部材19がリバウンドスプリング53をスプリングシート52との間で加圧することにより、最伸長ストロークを規制する。
フロントフォーク10にあっては、アウタチューブ11とインナチューブ12の環状隙間からなる前記環状油室17の断面積S1を、ピストンロッド23の断面積(外径に囲まれる面積)S2より大きく形成している(S1>S2)。
フロントフォーク10は、隔壁部材19のロッドガイド部19Aに、作動油室21と油溜室22との間で油を給排可能にする給排手段を以下の如くに設けている。即ち、隔壁部材19のロッドガイド部19Aに、圧側行程では油溜室22からピストンロッド側油室21Aへの油の流れを許容し、伸側行程ではピストンロッド側油室21Aから油溜室22への油の流れを阻止するチェック弁60を設けている。隔壁部材19のロッドガイド部19Aの内周にはバルブ室61が設けられ、バルブ室61の上端側の段差部61Aと、バルブ室61の下端側に設けられた前述のスプリングシート51上のバックアップスプリング62との間にチェック弁60のフランジ部が挟持されて収容される。チェック弁60のフランジ部は、段差部61Aとスプリングシート51の間隔より短尺とされる。チェック弁60は、隔壁部材19のロッドガイド部19Aに設けたバルブ室61の内周に上下変位可能に設けられる。チェック弁60の外周は、隔壁部材19のロッドガイド部19Aに設けたバルブ室61の内周との間に、油溜室22からピストンロッド側油室21Aへの油の流れを許容する流路を形成する。チェック弁60は、ピストンロッド23を摺動自在に支持するブッシュ63をその内周に圧入されて備える。圧側行程では、チェック弁60はインナチューブ12に進入するピストンロッド23に連れ移動して下方に移動し、スプリングシート51の側に変位するとともに、段差部61Aとの間に隙間を形成し、油溜室22の油をその外周経由で段差部61Aとの隙間を通ってピストンロッド側油室21Aへ流入可能とする。伸側行程では、チェック弁60はインナチューブ12から退出するピストンロッド23に連れ移動して上方に移動し、段差部61Aに衝合して該段差部61Aとの間の隙間を閉じ、ピストンロッド側油室21Aの油が上述した圧側行程の逆経路で油溜室22へ排出されることを阻止する。
また、隔壁部材19のロッドガイド部19Aはピストンロッド23の周囲にオイルシールを封着していないから、チェック弁60の内周に圧入してあるブッシュ63がピストンロッド23の周囲に形成する微小間隙(又はチェック弁60が段差部61Aとの間に形成する微小間隙)により、ピストンロッド側油室21Aと油溜室22を連通する微小流路(オリフィス)64(不図示)を構成する。微小流路64は、隔壁部材19のロッドガイド部19Aに穿設され、ピストンロッド側油室21Aと油溜室22を連通するオリフィスにより構成されるものでも良い。
以下、減衰力調整装置40Aについて説明する。
減衰力調整装置40Aは、図3に示す如く、ピストンロッド23の中空部に回転方向及び軸方向に移動自在な非円形断面、本実施例ではD形断面の唯1本のプッシュロッド70を設け、プッシュロッド70を回転方向に移動させる第1調整部71と、プッシュロッド70を軸方向に移動させる第2調整部72を、フロントフォーク10の上部、かつプッシュロッド70の延長上に同軸配置する。そして、減衰力調整装置40Aは、プッシュロッド70の非円形断面内に摺動自在に係入するニードル弁71Aをピストンロッド23の中空部に螺合し、第1調整部71の回転によりニードル弁71Aを螺動させ、このニードル弁71Aによりバイパス路45の開度を調整し、ひいてはバイパス路45の通路抵抗による減衰力を調整可能にする。また、減衰力調整装置40Aは、第2調整部72の回転によりプッシュロッド70を軸方向に移動させ、このプッシュロッド70と軸方向に衝合するスプリング72Aにより、圧側ディスクバルブ41Aを閉じ方向にて該圧側ディスクバルブ41Aを付勢し、圧側ディスクバルブ41Aの撓み変形による圧側減衰力を調整可能にする。尚、減衰力調整装置40Aの減衰力調整構造の詳細は、特願2006-177358に記載の通りである。
次に、下ばね受け32を昇降し、懸架スプリング33のばね荷重を調整するばね荷重調整装置80について説明する。
ばね荷重調整装置80は、図2に示す如く、インナチューブ12の底部を構成する車軸ブラケット15の車軸取付孔16を外れる位置(車軸取付孔16の側傍)で外部に臨むアジャストボルト81を該底部に設ける。車軸ブラケット15の内側底部(下ばね受け32の下端部を臨むことになる面)に設けたスライダ82をアジャストボルト81の回転力によりインナチューブ12の中心軸に交差する方向(アジャストボルト81の軸方向)に直線移動可能にする。下ばね受け32の下部斜面A1をスライダ82の上部斜面A2に載置させ、アジャストボルト81の回転により下ばね受け32を昇降させて懸架スプリング33のばね荷重を調整する。尚、ばね荷重調整装置80のばね荷重調整構造の詳細は、特願2006-177358に記載の通りである。
フロントフォーク10の動作は以下の如くになる。
(圧側行程)
圧側行程でインナチューブ12に進入するピストンロッド23の進入容積分の作動油がインナチューブ12の内周の油室21Aからインナチューブ12の油孔28を介して環状油室17に移送される。このとき、環状油室17の容積増加分ΔS1(補給量)がピストンロッド23の容積増加分ΔS2より大きいから、環状油室17への油の必要補給量のうち、(ΔS1−ΔS2)の不足分が油溜室22からチェック弁60を介して補給される。
この圧側行程では、前述した通り、低速域で、ニードル弁71Aにより開度調整されたバイパス路45の通路抵抗により圧側減衰力を発生し、中高速域で、圧側ディスクバルブ41Aの撓み変形により圧側減衰力を発生する。
(伸側行程)
伸側行程でインナチューブ12から退出するピストンロッド23の退出容積分の作動油が環状油室17からインナチューブ12の油孔28を介してインナチューブ12の内周の油室21Aに移送される。このとき、環状油室17の容積減少分ΔS1(排出量)がピストンロッド23の容積減少分ΔS2より大きいから、環状油室17からの油の排出量のうち、(ΔS1−ΔS2)の余剰分が微小流路64を介して油溜室22へ排出される。
この伸側行程では、前述した通り、低速域で、ニードル弁71Aにより開度調整されたバイパス路45の通路抵抗により伸側減衰力を発生し、中高速域で、伸側ディスクバルブ42Aの撓み変形により伸側減衰力を発生する。また、上述の微小流路64の通路抵抗による伸側減衰力も発生する。
しかるに、フロントフォーク10にあっては、図5に示す如く、インナチューブ12の上端側内周に前述の如くに螺着した隔壁部材19において、インナチューブ12の上端面に突き当てられている隔壁部材19の外周段差面の上部を上方に延長した延長上端部19Bとし、延長上端部19Bの上端側外周に前述のガイドブッシュ19Cを固定するとともに、延長上端部19Bの下端側厚肉部の外周に設けた環状溝20Aに樹脂等からなる環状シール部材20を装填してある。シール部材20は、アウタチューブ11の内周と液密に摺接し、前述の環状油室17の上端部を区画する。このとき、油溜室22の油室22Aの油面レベルLは図5に示す如くであり、シール部材20は常にこの油面レベルLより低位の油中に浸漬される。尚、隔壁部材19の延長上端部19Bは、常に油溜室22の油室22Aの油面レベルLより上位に設定される。
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)フロントフォーク10において、インナチューブ12に設けた隔壁部材19の外周に、アウタチューブ11の内周と摺接して環状油室17を区画するシール部材20を設け、このシール部材20を常に油中に浸漬した。隔壁部材19の外周のシール部材20が常に油中にあって高いシール性を確保できるから、油溜室22の上部の空気室22Bの空気はシール部材20によって封止されている環状油室17に入ることがなく、ひいてはインナチューブ12に設けた油孔28から作動油室21に入ることがないから、フロントフォーク10の減衰力応答性を向上できる。尚、隔壁部材19は厚肉であり、強度を損なうことなく、シール部材20を設けることができる。
(b)隔壁部材19の延長上端部19Bを常に油溜室22の油面Lより上位に設定した。隔壁部材19の延長上端部は、最圧縮ストロークでキャップ13の下端面に設けてあるストッパラバー13A、ストッパ板13に衝合して最圧縮ストロークを規制し、油溜室22の上部に常に一定の空気室22Bを維持できる。また、隔壁部材19の延長上端部19Bが、アウタチューブ11とインナチューブ12の嵌合長を長くし、アウタチューブ11とインナチューブ12の摺動性を向上できる。
(c)環状油室の断面積S1をピストンロッド23の断面積S2より大きくするものであり、S1とS2を略等しくするものに比して、アウタチューブ11とインナチューブ12の環状隙間の設定に繊細を必要としない。従って、アウタチューブ11とインナチューブ12の加工寸法公差によりインナチューブ12の内部の圧力条件が変化する如くがない。従って、同一外径のピストンロッド23を用いた場合、インナチューブ12が大径になっても、アウタチューブ11とインナチューブ12の環状隙間を必ずしも狭くする必要がなく、設計に制約を与えない。また、アウタチューブ11とインナチューブ12の環状隙間を一定にした場合、インナチューブ12が大径になってもピストンロッド23の外径を必ずしも大きくする必要がなく、ピストンロッド23の部品共通化を図ることができる。
(実施例2)(図6〜図8)
実施例2のフロントフォーク10が実施例1のフロントフォーク10と異なる点は、前述の隔壁部材19に代わる隔壁部材90にシール部材20を設けたことにある。
隔壁部材90は、隔壁部材19のロッドガイド部19Aに相当するロッドガイド部91(隔壁部)の下部と上部に、ロッドガイド部91の外周より小径の下筒部92と上筒部93を設けた。隔壁部材90は、インナチューブ12の上端側内周に下筒部92の外周を螺着し、ロッドガイド部91の外周下部段差面をインナチューブ12の上端面に突き当てるようにしてインナチューブ12を一体固定化した。また、隔壁部材90は、上筒部93の外周に上部インナチューブ94の下端側内周を螺着し、上部インナチューブ94の下端面をロッドガイド部91の外周上部段差面に突当てるようにして上部インナチューブ94を一体固定化した。
隔壁部材90は、上部インナチューブ94の上端側の外周に前述のガイドブッシュ19Cに相当するガイドブッシュ94Aを設けるとともに、ロッドガイド部91の外周にシール部材20を設け、アウタチューブ11の下端側の内周に固定したガイドブッシュ11Aと、これらのガイドブッシュ94A、シール部材20を介して、アウタチューブ11の内部にインナチューブ12を摺動自在に挿入した。
シール部材20は、隔壁部材90のロッドガイド部91の厚肉部の外周に設けた環状溝20Aに装填され、アウタチューブ11の内周と液密に摺接し、前述の環状油室17の上端部を区画する。このとき、油溜室22の油室22Aの油面レベルLは図8に示す如くであり、シール部材20は常にこの油面レベルLより低位の油中に浸漬される。尚、隔壁部材90に付加した上部インナチューブ94の上端部は、常に油溜室22の油室22Aの油面レベルLより上位に設定される。
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)フロントフォーク10において、インナチューブ12に設けた隔壁部材90の外周に、アウタチューブ11の内周と摺接して環状油室17を区画するシール部材20を設け、このシール部材20を常に油中に浸漬した。隔壁部材90の外周のシール部材20が常に油中にあって高いシール性を確保できるから、油溜室22の上部の空気室22Bの空気はシール部材20によって封止されている環状油室17に入ることがなく、ひいてはインナチューブ12に設けた油孔28から作動油室21に入ることがないから、フロントフォーク10の減衰力応答性を向上できる。尚、隔壁部材90は厚肉であり、強度を損なうことなく、シール部材20を設けることができる。
(b)隔壁部材90の上端部に付加した上部インナチューブ94を常に油溜室22の油面より上位に設定した。上部インナチューブ94は、最圧縮ストロークでキャップ13の下端面に設けてあるストッパラバー13A、ストッパ板13Bに衝合して最圧縮ストロークを規制し、油溜室22の上部に常に一定の空気室22Bを維持できる。また、上部インナチューブ94が、アウタチューブ11とインナチューブ12の嵌合長を長くし、アウタチューブ11とインナチューブ12の摺動性を向上できる。
尚、本発明は、車体側のアウタチューブ内に車軸側のインナチューブを摺動自在に挿入し、前記インナチューブに隔壁部材を設け、該隔壁部材の隔壁部の下部の該インナチューブの内部に作動油室を、上部に油溜室を区画し、前記アウタチューブ側に取付けたピストン支持部材を、前記隔壁部材の隔壁部を貫通して前記作動油室内に挿入し、該ピストン支持部材の先端部に前記作動油室内を摺動するピストンを設け、前記アウタチューブの内周とインナチューブの外周との間に環状の油室を区画し、この環状の油室をインナチューブに設けた油孔を介して前記作動油室に連通し、前記隔壁部材の隔壁部に、前記作動油室と前記油溜室との間で油を給排可能にする給排手段を設け、前記油溜室の上部の空気室が常に空気ばねを構成する油圧緩衝器において、前記インナチューブの外周に、アウタチューブの内周と摺接して前記環状の油室を区画するシール部材を設け、このシール部材を常に油中に浸漬してなるようにすることもできる。これによれば、インナチューブの外周のシール部材が常に油中にあって高いシール性を確保できるから、油溜室の上部の空気室の空気はシール部材によって封止されている環状の油室に入ることがなく、ひいてはインナチューブに設けた油孔から作動油室に入ることがないから、油圧緩衝器の減衰力応答性を向上できる。
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
図1は実施例1の油圧緩衝器の全体を示す断面図である。 図2は図1の下部拡大断面図である。 図3は図1の中間部拡大断面図である。 図4は図1の上部拡大断面図である。 図5は図1の要部拡大図である。 図6は実施例2の油圧緩衝器の全体を示す断面図である。 図7は図6の中間部拡大断面図である。 図8は図6の要部拡大図である。
符号の説明
10 フロントフォーク(油圧緩衝器)
11 アウタチューブ
12 インナチューブ
17 環状油室
19、90 隔壁部材
19A、91 ロッドガイド部(隔壁部)
19B 延長上端部
20 シール部材
21 作動油室
22 油溜室
22B 空気室
23 ピストンロッド(ピストン支持部材)
26 ピストン
28 油孔
60 チェック弁(給排手段)
64 微小流路
94 上部インナチューブ

Claims (5)

  1. 車体側のアウタチューブ内に車軸側のインナチューブを摺動自在に挿入し、
    前記インナチューブに隔壁部材を設け、該隔壁部材の隔壁部の下部の該インナチューブの内部に作動油室を、上部に油溜室を区画し、
    前記アウタチューブ側に取付けたピストン支持部材を、前記隔壁部材の隔壁部を貫通して前記作動油室内に挿入し、該ピストン支持部材の先端部に前記作動油室内を摺動するピストンを設け、
    前記アウタチューブの内周とインナチューブの外周との間に環状の油室を区画し、この環状の油室をインナチューブに設けた油孔を介して前記作動油室に連通し、
    前記隔壁部材の隔壁部に、前記作動油室と前記油溜室との間で油を給排可能にする給排手段を設け、
    前記油溜室の上部の空気室が常に空気ばねを構成する油圧緩衝器において、
    前記隔壁部材の外周に、アウタチューブの内周と摺接して前記環状の油室を区画するシール部材を設け、このシール部材を常に油中に浸漬してなることを特徴とする油圧緩衝器。
  2. 前記隔壁部材の延長上端部を常に前記油溜室の油面より上位に設定する請求項1に記載の油圧緩衝器。
  3. 前記隔壁部材の上端部に付加した上部インナチューブを常に前記油溜室の油面より上位に設定する請求項1に記載の油圧緩衝器。
  4. 車体側のアウタチューブ内に車軸側のインナチューブを摺動自在に挿入し、
    前記インナチューブに隔壁部材を設け、該隔壁部材の隔壁部の下部の該インナチューブの内部に作動油室を、上部に油溜室を区画し、
    前記アウタチューブ側に取付けたピストン支持部材を、前記隔壁部材の隔壁部を貫通して前記作動油室内に挿入し、該ピストン支持部材の先端部に前記作動油室内を摺動するピストンを設け、
    前記アウタチューブの内周とインナチューブの外周との間に環状の油室を区画し、この環状の油室をインナチューブに設けた油孔を介して前記作動油室に連通し、
    前記隔壁部材の隔壁部に、前記作動油室と前記油溜室との間で油を給排可能にする給排手段を設け、
    前記油溜室の上部の空気室が常に空気ばねを構成する油圧緩衝器において、
    前記インナチューブの外周に、アウタチューブの内周と摺接して前記環状の油室を区画するシール部材を設け、このシール部材を常に油中に浸漬してなることを特徴とする油圧緩衝器。
  5. 前記環状の油室の断面積を前記ピストン支持部材の断面積より大きく形成し、
    前記給排手段を、伸側行程時に前記作動油室から前記油溜室への流れを阻止するチェック弁と、前記作動油室と前記油溜室を連通する微小流路にて形成する請求項1〜4のいずれかに記載の油圧緩衝器。
JP2007077676A 2007-03-23 2007-03-23 油圧緩衝器 Withdrawn JP2008240745A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007077676A JP2008240745A (ja) 2007-03-23 2007-03-23 油圧緩衝器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007077676A JP2008240745A (ja) 2007-03-23 2007-03-23 油圧緩衝器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008240745A true JP2008240745A (ja) 2008-10-09

Family

ID=39912363

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007077676A Withdrawn JP2008240745A (ja) 2007-03-23 2007-03-23 油圧緩衝器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008240745A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010096222A (ja) * 2008-10-15 2010-04-30 Showa Corp 車両の油圧緩衝器
JP2011007212A (ja) * 2009-06-23 2011-01-13 Kyb Co Ltd エアバネ構造
JP2011252589A (ja) * 2010-06-04 2011-12-15 Kyb Co Ltd 懸架装置におけるシール構造

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010096222A (ja) * 2008-10-15 2010-04-30 Showa Corp 車両の油圧緩衝器
JP2011007212A (ja) * 2009-06-23 2011-01-13 Kyb Co Ltd エアバネ構造
JP2011252589A (ja) * 2010-06-04 2011-12-15 Kyb Co Ltd 懸架装置におけるシール構造

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4055843B2 (ja) 車両用の油圧緩衝器
US9388877B2 (en) Pressure shock absorbing apparatus
JP5150397B2 (ja) 油圧緩衝器
CN107429775B (zh) 前叉
US8641022B2 (en) Front fork
CN111108302B (zh) 前叉及前叉的制造方法
JP2010236577A (ja) 車両の油圧緩衝器
JP4902497B2 (ja) 油圧緩衝器
JP2009108884A (ja) 油圧緩衝器
JP2008240745A (ja) 油圧緩衝器
JP4965490B2 (ja) 油圧緩衝器
JP4999814B2 (ja) 車両の油圧緩衝器
JP2009204118A (ja) 油圧緩衝器
JP4212850B2 (ja) 車両の油圧緩衝器
JP2004044670A (ja) 車両用の油圧緩衝器
US7240776B2 (en) Bottom valve apparatus of hydraulic shock absorber
JP5485061B2 (ja) 油圧緩衝器
JP4318208B2 (ja) 二輪車等の倒立型フロントフォーク
JP5642606B2 (ja) 油圧緩衝器
JP2007120676A (ja) 油圧緩衝器
JP2007146947A (ja) 油圧緩衝器
JP2009133412A (ja) 油圧緩衝器
JP2005147210A (ja) 車両の油圧緩衝装置
JP5905310B2 (ja) 油圧緩衝器
JP4090793B2 (ja) 車両用の油圧緩衝器

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20100601