JP2020085200A - バルブ、及び緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 バルブ開弁時の流量を大きくできるバルブ、及びそのバルブを備えた緩衝器を提供する。【解決手段】 バルブVが緩衝器本体Dとの間に環状隙間Xを形成し、その環状隙間Xに環状の主弁体8及び副弁体9を収容するハウジングとしてのばね受けBを備え、一方からの圧力を受けると、主弁体8がばね受けBに形成される弁座6fから離座して、その弁座6fと緩衝器本体Dとの間に形成される第一開口部P1と主弁体8とばね受けBとの間に形成される第一通路Paとの連通を許容するとともに、副弁体9が主弁体8から離れ、主弁体8と緩衝器本体Dとの間に形成されて第一開口部P1に通じる第二開口部P2と副弁体9とばね受けBとの間に形成される第二通路Pbとの連通を許容する。【選択図】 図2
Description
本発明は、バルブ、及びバルブを備えた緩衝器の改良に関する。
従来、緩衝器の中には、複数の筒部材を組み合わせて形成されるとともに、その筒部材の外周又は内周にバルブを設け、このバルブで液体の流れる方向を制限したり、液体の流れに抵抗を与えたりするものがある。
例えば、図9に示す従来のバルブV1は、チューブ部材Tと、その内側に収容される緩衝器本体Dとの間に形成される液溜室に配置され、その液溜室を上室r1と下室r2とに区画する。また、そのバルブV1は、緩衝器本体Dとの間に環状隙間Xを形成するハウジングB1と、その環状隙間Xに収容される弁体900とを備えている。
さらに、ハウジングB1の内周側には、下方へ向けて配置されて緩衝器本体Dとの間に上室r1に通じる開口部P3を形成する環状の弁座600が形成されていて、その弁座600に環状の弁体900が離着座するようになっている。この弁体900の内径は、緩衝器本体Dの外径よりも大きく、これらの間に液体の流れに抵抗を与える制限通路Oが形成される。また、弁体900の外周側には、切欠き901が形成されており、その切欠き901によって弁体900とハウジングB1との間にチェック通路Pcが形成される。
そして、ハウジングB1の下端が下室r2に開口しており、この下室r2からの圧力を受けると弁体900が弁座600に着座し、チェック通路Pcが塞がれる。このため、バルブV1を通って下室r2から上室r1へと向かう液体は、制限通路Oを通り、その流れに抵抗が付与される。
反対に、上室r1からの圧力を受けると弁体900が弁座600から離座し、これらの間にできる隙間を介して開口部P3とチェック通路Pcが連通される。このため、バルブV1を通って上室r1から下室r2へと向かう液体は、制限通路Oの他にもチェック通路Pcを通過できるようになる。
従来のバルブV1において、弁体900が弁座600から離座してチェック通路Pcを開くバルブV1の開弁時に通過する液体の流量を増やす場合には、チェック通路Pcの開口面積(流路面積)を大きくするのが一般的である。
しかし、そのチェック通路Pcを形成するための切欠き901は、弁体900が弁座600に着座した際にその弁座600で塞げる範囲でしか大きくできない。具体的には、図9に示すバルブV1のように、弁体900の外周側にチェック通路Pcを形成するための切欠き901が形成される場合には、その切欠き901の内周縁を弁座600の内周縁より外周側に配置する必要があり、弁座600よりも内周側までは広げられない。
このように、従来のバルブV1では、チェック通路Pcの流路面積を大きくしようにも限界があり、バルブ開弁時の流量が不足することがある。なお、このような不具合は、弁体900の内周側に制限通路Oを形成せず、環状隙間Xを一方通行にする場合にも生じるのは勿論、弁体900の内周側にその弁体900で開閉されるチェック通路を形成する場合にも生じ得る。
そして、このような従来のバルブを利用した緩衝器では、バルブ開弁時にそのバルブを通過する液体の流れに抵抗が付与されて、意図しない減衰力が発生したり、バルブ開弁時にそのバルブを通過する液体の流量が不足して、バルブの下流側で吸込不足となり、液中に気泡が発生して減衰力発生応答性の低下の原因となったりする虞がある。
そこで、本発明は、バルブ開弁時の流量を確保できるバルブ、及びそのバルブを備えた緩衝器の提供を目的とする。
上記課題を解決するバルブは、筒部材の外周又は内周に設けられ、前記筒部材との間に両端が開口する環状隙間を形成するハウジングと、その環状隙間に収容される環状の主弁体及び副弁体を備える。そして、環状隙間の一端開口部側からの圧力を受けると、主弁体がハウジングに形成される弁座から離座してその弁座と筒部材との間に形成される第一開口部と主弁体とハウジングとの間に形成される第一通路との連通を許容するとともに、副弁体が主弁体から離れて主弁体と筒部材との間に形成されて第一開口部に通じる第二開口部と副弁体とハウジングとの間に形成される第二通路との連通を許容する。
このようなバルブ開弁時において、第二通路には、環状隙間の一端開口部側からの液体が第一通路と、主弁体と副弁体との間にできる隙間の二つの経路から流入する。第一通路の開口面積は、主弁体が弁座に着座した際に、その弁座で塞げる範囲でしか大きくできないが、第二通路の開口面積は、そのような制限を受けないので、第一通路の開口面積と比較して大きくできる。このため、上記バルブによれば、バルブ開弁時の流量を多くできる。
また、上記バルブでは、主弁体が弁座に着座するとともに、副弁体が主弁体に当接する閉塞位置から反弁座側(弁座とは反対側)へ向かう主弁体の最大移動量が副弁体の最大移動量よりも少なく設定されているとよい。当該構成によれば、環状隙間の一端開口部側からの圧力を受けた際、副弁体が主弁体から離れ、これらの隙間を介して第二開口部と第二通路とを連通できる。
また、上記バルブでは、ハウジングに主弁体と副弁体の最大移動量を制限するストッパが設けられ、主弁体がストッパに当接可能な主弁体脚部を含んで構成されるとともに、その主弁体脚部が副弁体の軸方向長さよりも長く設定されていてもよい。このようにすると、閉塞位置から反弁座側へ向かう主弁体の最大移動量を副弁体の最大移動量より少なくするのが容易である。
また、上記バルブでは、主弁体がハウジングに摺接する一以上の円弧状のスライド部を含んで構成されるとともに、第一通路がスライド部の間隙にできる凹部により形成されており、主弁体脚部がスライド部に周方向に並んで複数配置され、その主弁体脚部と筒部材との間に副弁体が配置されていてもよい。このようにすると、第二通路の形成される副弁体のハウジング側に主弁体脚部が配置されるものの、第二通路の開口面積を大きくできる。
また、上記バルブでは、副弁体がハウジングへ向けて径方向に突出する爪部と、この爪部に設けられてストッパに当接可能な副弁体脚部とを含んで構成されていて、爪部が主弁体脚部の間であってスライド部のストッパ側に挿入されていてもよい。このようにすると、ストッパと筒部材との間にできる隙間を大きくしても、副弁体脚部をストッパに当接させて、副弁体の最大移動量を制限できる。
また、上記バルブでは、爪部と副弁体脚部の反筒部材側(筒部材とは反対側)に、副弁体の軸方向に沿って縦溝が形成されるとともに、副弁体脚部のストッパ側に、副弁体の径方向に沿って横溝が形成されていてもよい。このようにすると、縦溝によって副弁体とハウジングとの間にできる隙間を第二通路として利用できるので、第二通路の開口面積を一層大きくできる。
また、上記バルブでは、副弁体と筒部材との間に、第二開口部と環状隙間の他端開口部とを連通し、液体の流れに抵抗を与える制限通路が形成されていてもよい。このようにすると、第一通路と第二通路が閉塞される場合であっても、他端開口部から環状隙間内に流入した液体が制限通路を通って一端開口部へ向けて移動できる。
また、緩衝器がシリンダと、シリンダ内に軸方向へ移動可能に挿入されるロッドとを有する緩衝器本体と、緩衝器本体の外周に設けられて緩衝器本体との間に液体を貯留する液溜室を形成するチューブ部材と、液溜室に配置される上記バルブとを備え、そのバルブが液溜室を上室と下室とに区画するとともに、ハウジングが緩衝器本体又はチューブ部材を筒部材として緩衝器本体又はチューブ部材との間に環状隙間を形成し、環状隙間の一端開口部が上室に連通され、他端開口部が下室に連通されているとよい。
上記構成によれば、液溜室の液体がバルブを通過する所定のストローク領域であっても、そのバルブを通って上室から下室へ向かう緩衝器の伸長時にはバルブが開き、その液体の流れに付与される抵抗を小さくできる。このため、上記構成によれば、緩衝器の伸長時に意図しない減衰力が生じてしまうのを抑制できる。さらに、バルブ開弁時にバルブの下流側となる下室で吸込不足が起こって液中に気泡が発生するのを防止できるので、減衰力発生応答性を良好にできる。
本発明に係るバルブ、及びそのバルブを備えた緩衝器によれば、バルブ開弁時の流量を確保できる。
以下に本発明の実施の形態の緩衝器について、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品か対応する部品を示す。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係るバルブVは、緩衝器Aに利用されている。そして、この緩衝器Aは、鞍乗型車両の前輪を懸架するフロントフォークに利用されている。以下の説明では、フロントフォークが車両に取り付けられた状態、即ち、取付状態での緩衝器Aの上下を、特別な説明がない限り、単に「上」「下」という。
緩衝器Aは、アウターチューブ1と、このアウターチューブ1内に摺動自在に挿入されるインナーチューブ2とを有して構成されるテレスコピック型のチューブ部材Tを備える。そのチューブ部材Tは、本実施の形態では倒立型であり、アウターチューブ1を車体側となる上側へ、インナーチューブ2を前輪側となる下側へ向けて車両に取り付けられる。
より詳しくは、車体側チューブとなるアウターチューブ1の外周には、車体側のブラケット(図示せず)が装着されており、このブラケットに固定されるステアリングシャフトが車体のヘッドパイプ内に回転自在に支持される。その一方、車輪側チューブとなるインナーチューブ2の下端部外周には、車輪側のブラケット20が装着されており、このブラケット20が前輪の車軸に連結される。
このようにしてチューブ部材Tは車体と前輪の車軸との間に介装される。そして、車両が凹凸のある路面を走行する等して前輪が上下に振動すると、インナーチューブ2がアウターチューブ1に出入りしてチューブ部材Tが伸縮する。このように、チューブ部材Tが伸縮することを緩衝器Aが伸縮するともいう。
なお、チューブ部材Tは、正立型になっていて、アウターチューブ1を車輪側チューブ、インナーチューブ2を車体側チューブとしてもよい。さらに、緩衝器Aの用途はフロントフォークに限られず、適宜変更できる。例えば、緩衝器Aを鞍乗型車両の後輪を懸架するリアクッションユニット、自動車のサスペンション、又は車両以外に利用してもよい。
つづいて、チューブ部材Tの上端となるアウターチューブ1の上端は、キャップ10で塞がれている。その一方、チューブ部材Tの下端となるインナーチューブ2の下端は、車輪側のブラケット20で塞がれている。さらに、アウターチューブ1の下端部には、インナーチューブ2の外周に摺接する環状のシール部材11が設けられ、アウターチューブ1とインナーチューブ2の重複部の間の筒状の隙間がそのシール部材11で塞がれている。
このようにしてチューブ部材T内は密閉空間とされており、そのチューブ部材T内に緩衝器本体Dと懸架ばねSが収容されている。さらに、懸架ばねSが配置されるチューブ部材Tと緩衝器本体Dとの間は液溜室Rとされている。この液溜室Rには、作動油等の液体が貯留されるとともに、その液面L上側にエア等の気体が封入されたガス室Gが形成されている。
緩衝器本体Dの内部構造については、如何なる構造であってもよいので図示を省略するが、緩衝器本体Dは、内部に作動油等の液体を収容するシリンダ3と、このシリンダ3内に軸方向へ移動可能に挿入されるロッド4とを有し、シリンダ3とロッド4が軸方向へ相対移動する際にシリンダ3内を移動する液体の流れに抵抗を与えてメインの減衰力を発揮する。
また、本実施の形態において、緩衝器本体Dは倒立型となっており、ロッド4がシリンダ3から下方へ突出して、そのロッド4の下端が車輪側のブラケット20を介してインナーチューブ2に連結されている。その一方、シリンダ3の上端がキャップ10を介してアウターチューブ1に連結されている。
このようにして緩衝器本体Dは、アウターチューブ1とインナーチューブ2との間に介装されている。そして、インナーチューブ2がアウターチューブ1に出入りする緩衝器Aの伸縮時にロッド4がシリンダ3に対して軸方向へ移動して緩衝器本体Dが伸縮するとともに、伸縮速度に依存するメインの減衰力を発揮する。
なお、緩衝器本体Dは、正立型になっていて、ロッド4がシリンダ3から上方へ突出し、そのロッド4がアウターチューブ1に連結されるとともに、シリンダ3がインナーチューブ2に連結されていてもよい。そして、このように緩衝器本体Dが正立型の場合には、伸縮時に液体がシリンダ3内と液溜室Rとの間を行き来するようにしてもよい。
また、このようにシリンダ3内と液溜室Rとの間で液体のやり取りがある場合には、シリンダ3内に収容される液体と、液溜室Rに貯留される液体は同じになる。しかし、シリンダ3内と液溜室Rとの間で液体のやり取りがない場合には、シリンダ3内の液体と液溜室Rの液体が異なっていてもよい。
つづいて、懸架ばねSは、コイルばねである。そして、この懸架ばねSの上端がシリンダ3の外周に装着されたばね受けBで支持されるとともに、懸架ばねSの下端(図示せず)が車輪側のブラケット20で支持されている。前述の通り、車輪側のブラケット20はインナーチューブ2に連結されているので、懸架ばねSはシリンダ3とインナーチューブ(車輪側チューブ)2との間に介装されているといえる。
また、懸架ばねSは圧縮ばねであり、圧縮されると弾性変形して、その変形量に見合った弾性力を発揮する。緩衝器Aでは、その収縮作動に伴いシリンダ3がインナーチューブ2内へと侵入するようになっており、緩衝器Aの収縮時には懸架ばねSの変形量が大きくなって、発生する弾性力も大きくなる。そして、懸架ばねSは、その弾性力によって緩衝器Aを伸長方向へ付勢して、車体を弾性支持するようになっている。
その懸架ばねSの上端を支持するばね受けBは、シリンダ3の外周に嵌合するスナップリング30に固定される環状のストッパ5と、このストッパ5の下側に設けられ、円錐台形筒状で内側にシリンダ3が挿通される本体部6と、この本体部6の下端に嵌合する環状のばね座7とを有する。このばね座7には、懸架ばねSの上端が当接し、本体部6が懸架ばねSの付勢力によりストッパ5に押し付けられる。
このように、本実施の形態では、懸架ばねSの付勢力によりストッパ5と本体部6とが一体となってばね受けBが構成される。また、このばね受けBは、液溜室Rを上側の上室r1と下側の下室r2に仕切り、ばね受けBを通って下室r2から上室r1へ向かう液体の流れに抵抗を与えるバルブVのハウジングとしての役割も担い、主弁体8及び副弁体9を収容する。
なお、ストッパ5を廃し、本体部6をスナップリング30の外周に固定してもよい。また、スナップリング30以外を利用してばね受けBをシリンダ3の外周に装着してもよい。このように、ばね受け(ハウジング)Bの緩衝器本体Dへの取付構造は、適宜変更できる。
つづいて、ばね受け(ハウジング)Bの本体部6は、合成樹脂等で形成されており、シリンダ3の外周に摺接可能で上端がストッパ5に突き当たる環状の支持部6aと、この支持部6aの下端に連なり、支持部6aから離れるに従って内径及び外径が徐々に拡径されるとともに、側部に肉厚を径方向へ貫通する一以上の窓6bが形成される胴部6cと、この胴部6cの下端に連なり、インナーチューブ2の内周に摺接する環状のスライド部6dと、このスライド部6dの下端に連なり、外径がスライド部6dの外径よりも小さく、ばね座7が嵌合する環状の小径部6eとを含む。
また、図2に示すように、本体部6の下端には、環状の弁座6fが形成されていて、この弁座6fとシリンダ3との間に環状の第一開口部P1が形成されている。この第一開口部P1は、本体部6とシリンダ3との間にできる隙間と、窓6bを介して上室r1に連通されている。
また、ばね座7は、金属等で形成されており、上端部が小径部6eの外周に嵌合する環状の筒部7aと、この筒部7aの下端から内周側へ張り出す環状のシート部7bとを含む。筒部7aの外径は、スライド部6dの外径よりも小さく、ばね座7がインナーチューブ2に干渉しない。そして、筒部7aの内周側であって、本体部6の下端となる弁座6fとシート部7bとの間には、主弁体8と副弁体9がそれぞれ上下動可能に収容されている。さらに、シート部7bの下面には、懸架ばねSの上端が当接する。
図3,4に示すように、主弁体8は、環状であり、周方向に並んで配置されて筒部7aの内周に摺接する一以上の円弧状のスライド部8aを含む。そのスライド部8aの数は任意に変更できるが、本実施の形態のスライド部8aは四か所に設けられている。図3は主弁体8の底面図、図4は斜め下方から見た主弁体8の斜視図であり、スライド部8aの底には、主弁体8の脚部としての主弁体脚部8bがスライド部8aから下方へ突出するように設けられている。この主弁体脚部8bの数及び位置も任意に変更できるが、本実施の形態の主弁体脚部8bは各スライド部8aの周方向の両端部と、中央部の三か所に配置されている。
また、隣り合うスライド部8a,8aは、ブリッジ部8cで繋がれている。このブリッジ部8cは、スライド部8aの周方向の両端から内周側へ張り出すように設けられ、隣り合うスライド部8a,8aの間であってブリッジ部8cの外周側が凹部8dとなる。この主弁体8において、スライド部8aとブリッジ部8cとを含む環状の部分を開閉部8eとすると、軸方向視において、その開閉部8eの内周縁は、弁座6fの内周縁6gよりも内周側に位置し、開閉部8eの外周縁は、弁座6fの内周縁6gよりも外周側に位置する。
つづいて、図5,6に示すように、副弁体9も環状である。この副弁体9は、環状の絞り部9aと、この絞り部9aから径方向外方へ突出する複数の爪部9bとを含む。絞り部9aは、同一円周上に配置される主弁体脚部8bの内周側に挿入可能となっている。その一方、爪部9bは、スライド部8aの下側であって、隣り合う主弁体脚部8b,8bの間に挿入可能となっている。その爪部9bの数及び配置は、主弁体脚部8bの数及び配置に応じて適宜変更される。
また、図5は副弁体9の底面図、図6は斜め下方から見た副弁体9の斜視図であり、爪部9bの底から絞り部9aの底にかけて、副弁体9の脚部としての副弁体脚部9cが副弁体9の径方向に沿って、下方へ突出するように設けられている。さらに、副弁体9の外周側に位置する爪部9bの先端部から副弁体脚部9cの外周部にかけて、副弁体9の軸方向に沿う縦溝9dが形成されるとともに、副弁体脚部9cの先端(底)に、副弁体9の径方向に沿う横溝9eが形成されている。本実施の形態では、副弁体脚部9cが全ての爪部9bそれぞれに設けられているが、任意の爪部9bに設けるようにしてもよい。
図7,8は、主弁体8に副弁体9を組み付けた状態を示した斜視図であり、図7は斜め上方から見た状態、図8は斜め下方から見た状態を示す。図7に示すように、副弁体脚部9cを含む副弁体9の軸方向長さは、主弁体脚部8bの軸方向長さよりも短く、副弁体9は、その爪部9bを主弁体脚部8bで挟まれて回り止めされつつ、主弁体8に対して軸方向へ移動できる。
さらに、図2に示すように、主弁体脚部8bを含む主弁体8の軸方向長さは、弁座6fとシート部7bとの間の距離よりも短く、主弁体8はスライド部8a(図3)を筒部7aの内周に摺接させつつばね受けB内を軸方向へ移動できる。そして、副弁体9の絞り部9aが主弁体8の開閉部8eに当接可能で、その開閉部8eがばね受けBの弁座6fに離着座可能となっている。
このような取付状態において、主弁体8の開閉部8eとシリンダ3との間には、弁座6fの内周側にできる第一開口部P1に通じる環状の第二開口部P2が形成される。さらに、副弁体9の絞り部9aとシリンダ3との間には、第二開口部P2に連通し、液体の流れに抵抗を与える環状の制限通路Oが形成される。この制限通路Oは、ばね座7のシート部7bとシリンダ3との間にできる隙間Qを介して下室r2と連通される。
また、主弁体8の開閉部8eとばね座7の筒部7aとの間には、凹部8d(図3)によって第一通路Paが形成される。この第一通路Paは、主弁体8の開閉部8eが弁座6fから離座してこれらの間に隙間ができると(図2)、その隙間を介して第一開口部P1に連通される。さらに、副弁体9と筒部7aとの間には、第二通路Pbが形成される。この第二通路Pbは、副弁体9の絞り部9aが主弁体8の開閉部8eから離れてこれらの間に隙間ができると、その隙間を介して第二開口部P2に連通される(図2)。
より具体的に、第二通路Pbは、図7,8に示すように、主弁体8のブリッジ部8cに対向する副弁体9の絞り部9aと筒部7aとの間にできる径方向の隙間Yと、縦溝9dによって爪部9b及び副弁体脚部9cと筒部7aとの間にできる隙間Zとを含んで構成されている。そして、絞り部9aの外周にできる隙間Yは、副弁体脚部9cの間と、シート部7bの内周側の間にできる隙間Q(図2)を介して下室r2と連通される。また、縦溝9dによってできる隙間Zは、横溝9e(図5)によって副弁体脚部9cとシート部7bとの間にできる隙間と、シート部7bの内周側にできる隙間Qを介して下室r2と連通される。
上記構成によれば、主弁体8と副弁体9がばね受けBの内周側を上方へ移動していくと、主弁体8の開閉部8eが弁座6fに着座するとともに、副弁体9の絞り部9aが主弁体8の開閉部8eに当接し、それ以上の上方への移動が阻止される。このような閉塞位置では、主弁体8の外周側にできる第一通路Paと、副弁体9の外周側にできる第二通路Pbが塞がれる。このため、液体は、主弁体8の内周側にできる第二開口部P2と、副弁体9の内周側にできる制限通路Oを通って上室r1と下室r2との間を移動する。
副弁体9において、内周側に制限通路Oを形成する絞り部9aの内径は、本体部6における窓6bより下側部分の内径、主弁体8の開閉部8eの内接円の径、及びシート部7bの内径よりも小さく、制限通路Oの開口面積(流路面積)は、全ての窓6bの総開口面積よりも小さい。このため、主弁体8及び副弁体9の内周側を通って上室r1と下室r2との間を移動する液体の流れに付与される抵抗(圧力損失)は、制限通路Oによる抵抗が支配的となる。
反対に、主弁体8と副弁体9が前述の閉塞位置からばね受けBの内周側を下方へ同じ速度で移動していくと、先ず主弁体脚部8bがシート部7bに当接し、これに遅れて副弁体脚部9cがシート部7bに当接する。このように、主弁体脚部8bがシート部7bに当接すると、主弁体8のそれ以上の下方への移動が阻止される。同様に、副弁体脚部9cがシート部7bに当接すると、副弁体9のそれ以上の下方への移動が阻止される。
つまり、シート部7bは、主弁体8及び副弁体9の閉塞位置からの最大移動量を制限するストッパとして機能する。そして、主弁体8の最大移動量は、副弁体9の最大移動量よりも少なくなるように設定されており、主弁体8及び副弁体9がシート部7bに当接した状態では、主弁体8が弁座6fから離座するとともに、副弁体9が主弁体8から離れる。このため、液体が主弁体8と副弁体9の外周側にできる第一通路Paと第二通路Pbを通って上室r1と下室r2との間を移動できるようになる。
以上をまとめると、ばね受けBは、バルブVのハウジングとして機能し、筒部材である緩衝器本体Dとの間に軸方向の両端が開口する環状隙間Xを形成する。そして、ばね受けBの窓6bが環状隙間Xの一端開口部となって上室r1に連通される一方、シート部7bとシリンダ3との間の隙間Qが環状隙間Xの他端開口部となって下室r2に連通される。
さらに、ばね受け(ハウジング)Bの内周側には、下室r2側を向く環状の弁座6fが形成されていて、この弁座6fと緩衝器本体(筒部材)Dとの間に窓(環状隙間Xの一端開口)6bに通じる第一開口部P1が形成される。そして、この弁座6fに主弁体8が離着座し、さらにその主弁体8に副弁体9が離着座するようになっている。
このように、副弁体9の弁座としても機能する主弁体8と緩衝器本体(筒部材)Dとの間には、第一開口部P1に通じる第二開口部P2が形成される。また、主弁体8とばね受け(ハウジング)Bとの間には、第一通路Paが形成されており、この第一通路Paは主弁体8が弁座6fから離座すると開き、主弁体8が弁座6fに着座すると閉じる。
その一方、副弁体9と緩衝器本体(筒部材)Dとの間には、第二開口部P2とシート部7bの内周側にできる隙間Q(環状隙間Xの他端開口)を連通するとともに、液体の流れに抵抗を与える制限通路Oが形成されている。また、副弁体9とばね受け(ハウジング)Bとの間には、制限通路Oを迂回する第二通路Pbが形成されており、この第二通路Pbは副弁体9が主弁体8から離れると開き、副弁体9が主弁体8に当接すると閉じる。
以下に、本発明の一実施の形態に係るバルブVを備えた緩衝器Aの作動について説明する。
緩衝器Aの伸縮時には、ロッド4がシリンダ3に対して軸方向へ移動して緩衝器本体Dが伸縮し、メインの減衰力を発揮する。さらに、緩衝器Aの伸縮時には、シリンダ3がインナーチューブ2に出入りして、ばね受けBがインナーチューブ2内を上下に移動する。すると、懸架ばねSが伸縮して変形量に見合った弾性力を発揮する。
また、緩衝器Aが最伸長状態から収縮していくと、ばね受けBがシリンダ3とともに液溜室Rの液面Lに接近し、シリンダ3が液中に浸かると液面L自体が上昇してばね受けBが浸漬される。このように、緩衝器Aの伸縮時には、ばね受けBと液溜室Rの液面Lとが上下方向に相対移動するようになっている。そのばね受けBは、バルブVのハウジングとして機能するので、緩衝器Aの伸長時にバルブVと液溜室Rの液面Lとが上下方向に相対移動するともいえる。
そして、緩衝器Aの最伸長状態からの収縮量が所定よりも大きくなってバルブVが液中に浸かる所定のストローク領域であって、緩衝器Aが収縮作動を呈する場合には、下室r2内の液体がシート部7bの内周側から環状隙間Xへ流入し、副弁体9が下室r2の圧力と、下室r2から上室r1へと向かう液体の流体力を受けて主弁体8とともに押し上げられる。これにより、副弁体9が主弁体8に当接し、主弁体8が弁座6fに着座する。
このため、所定のストローク領域において緩衝器Aが収縮作動を呈する場合には、主弁体8により第一通路Paと第一開口部P1との連通が遮断されるとともに、副弁体9により第二通路Pbと第二開口部P2との連通が遮断される。よって、下室r2から環状隙間X内に流入した液体は、制限通路O、第二開口部P2、及び第一開口部P1を通って窓6bから上室r1へと流出する。この液体の流れに対しては、制限通路Oによって抵抗が付与されるので、その抵抗に起因する減衰力が二次的に発生する。
その一方、所定のストローク領域であって緩衝器Aが伸長作動を呈する場合には、上室r1内の液体が窓6bから環状隙間Xへ流入し、主弁体8及び副弁体9が上室r1の圧力と、上室r1から下室r2へと向かう液体の流体力を受けて押し下げられる。これにより、主弁体8と副弁体9がシート部7bに当接するまで下降して、主弁体8が弁座6fから離座するとともに、副弁体9が主弁体8から離れる。
このため、所定のストローク領域において緩衝器Aが伸長作動を呈する場合には、主弁体8と弁座6fとの間にできる軸方向の隙間によって第一通路Paと第一開口部P1が連通されるとともに、副弁体9と主弁体8との間にできる軸方向の隙間によって第二通路Pbと第二開口部P2が連通される。よって、上室r1から環状隙間X内に流入した液体は、第一通路Pa又は副弁体9と主弁体8との間にできる隙間から第二通路Pbに流入し、シート部7bの内周側にできる隙間Qから下室r2へと移動する。
第二通路Pbの開口面積は制限通路Oの流路面積と比較して非常に広く、その第二通路Pbには、液体が第一通路Paと、主弁体8と副弁体9との間にできる隙間の二つの経路から流入できる。よって、ばね受けBが液中に浸かる所定のストローク領域であっても緩衝器Aが伸長作動を呈する場合には、二次的な減衰力が略生じない。また、ばね受けBがガス室G内を移動する所定のストローク領域以外の領域では、緩衝器Aの作動方向が伸長か収縮かによらず、二次的な減衰力を得られない。
このように、制限通路Oの抵抗に起因する二次的な減衰力は、緩衝器Aの収縮行程において、液溜室Rの液面LとバルブVの位置関係に応じて発生する位置依存の減衰力である。そして、緩衝器Aにおける全ストローク領域のうちの、一部のストローク領域(所定のストローク領域)で緩衝器Aが収縮作動を呈する場合にのみメインの減衰力に二次的な減衰力が付加されて、緩衝器A全体としての減衰力が大きくなる。
以下に、本発明の一実施の形態に係るバルブVと、そのバルブVを備えた緩衝器Aの作用効果について説明する。
本実施の形態において、バルブVは、緩衝器本体(筒部材)Dの外周に設けられ、そのシリンダ3との間に両端が開口する環状隙間Xを形成するハウジングとしてのばね受けBと、そのばね受けBに設けられ、環状隙間Xの一端開口部(窓6b)に通じる第一開口部P1を緩衝器本体Dとの間に形成する弁座6fとを備える。
さらに、上記バルブVは、ばね受け(ハウジング)Bの内周側にできる環状隙間Xに弁座6fに離着座可能に収容されるとともに、緩衝器本体(筒部材)Dとの間に第一開口部P1に通じる第二開口部P2を形成し、ばね受けBとの間に第一通路Paを形成する環状の主弁体8と、環状隙間Xにおける主弁体8の下側(反弁座側)に主弁体8に対して軸方向へ移動可能に収容されるとともに、ばね受けBとの間に環状隙間Xの他端開口部(隙間Q)に通じる第二通路Pbを形成する環状の副弁体9とを備える。
そして、環状隙間Xの一端開口部(窓6b)側からの圧力を受けると、主弁体8が弁座6fから離座して第一開口部P1と第一通路Paとの連通を許容するとともに、副弁体9が主弁体8から離れて第二開口部P2と第二通路Pbとの連通を許容する。その一方、環状隙間Xの他端開口部(隙間Q)側からの圧力を受けると、副弁体9が主弁体8に当接して第二開口部P2と第二通路Pbの連通を遮断するとともに、主弁体8が弁座6fに着座して第一開口部P1と第一通路Paの連通を遮断する。
上記構成によれば、主弁体8が弁座6fから離座するとともに、副弁体9が主弁体8から離れるバルブVの開弁時に、一端開口部(窓6b)から環状隙間X内に流入した液体が主弁体8の外周側にできる第一通路Paと、主弁体8と副弁体9との間にできる軸方向の隙間の二つの経路を通って第二通路Pbに流入し、他端開口部(隙間Q)から環状隙間X外へと向かう。
第一通路Paの開口面積は、主弁体8が弁座6fに着座した際に、この弁座6fで塞げる範囲でしか大きくできない。これに対して、第二通路Pbの開口面積は、副弁体9が主弁体8に当接した際に主弁体8で塞げる範囲で大きくできるので、弁座6fよりも緩衝器本体D側に張り出すように第二通路Pbを形成できる。そして、前述のように、バルブVの開弁時には、液体が第一通路Paと、主弁体8と副弁体9との間にできる隙間の両方からその第二通路Pbへ流入できる。このため、上記構成によれば、バルブ開弁時の流量を確保できる。
また、本実施の形態において、副弁体9とシリンダ(筒部材)3との間に、第二開口部P2と環状隙間Xの他端開口部(隙間Q)とを連通し、液体の流れに抵抗を与える制限通路Oが形成されている。当該構成によれば、主弁体8が弁座6fに着座するとともに、副弁体9が主弁体8に当接するバルブVの閉弁時に液体が制限通路Oを流れ、その液体の流れに対して抵抗を付与できる。
そして、本実施の形態における上記バルブVは、緩衝器Aに利用されている。具体的に、その緩衝器Aは、シリンダ3と、このシリンダ3内に軸方向へ移動可能に挿入されるロッド4とを有する緩衝器本体Dと、この緩衝器本体Dの外周に設けられて緩衝器本体Dとの間に液体を貯留する液溜室Rを形成するチューブ部材Tとを備え、その液溜室RにバルブVを設け、そのバルブVで液溜室Rを上室r1と下室r2とに区画している。さらに、そのバルブVのハウジングであるばね受けBが緩衝器本体(筒部材)Dとの間に環状隙間Xを形成し、その環状隙間Xの一端開口部(窓6b)が上室r1に連通され、他端開口部(隙間Q)が下室r2に連通されている。
上記構成によれば、液溜室Rの液体がバルブVを通過する所定のストローク領域であって、そのバルブVを通って下室r2から上室r1へ向かう緩衝器Aの収縮時に、その液体の流れに対して制限通路Oによって抵抗が付与される。このため、所定のストローク領域であって緩衝器Aが収縮作動を呈する場合に、制限通路Oの抵抗に起因する位置依存の減衰力を二次的に発生し、緩衝器A全体としての減衰力を大きくできる。
さらに、上記緩衝器Aでは、所定のストロー領域であっても、液体がそのバルブVを通って上室r1から下室r2へ向かう緩衝器Aの伸長時には、バルブVが開き、液体の流れに付与される抵抗を小さくできるので、緩衝器Aの伸長時に意図しない減衰力が生じてしまうのを抑制できる。加えて、バルブ開弁時にバルブVの下流側となる下室r2で吸込不足が起こって液中に気泡が発生するのを防止できるので、減衰力発生応答性を良好にできる。
また、本実施の形態では、主弁体8が弁座6fに着座するとともに、副弁体9が主弁体8に当接する閉塞位置から下方(反弁座側)へ向かう主弁体8の最大移動量が、副弁体9の最大移動量よりも少なくなるように設定されている。当該構成によれば、上室r1側(環状隙間Xの一端開口部側)からの圧力を受けたとき、副弁体9が主弁体8から離れてこれらの間に隙間ができ、その隙間を介して第二開口部P2と第二通路Pbとを連通できる。
さらに、本実施の形態では、バルブVのハウジングであるばね受けBに、主弁体8と副弁体9の前記最大移動量を制限するシート部(ストッパ)7bが設けられている。そして、主弁体8は、副弁体9の軸方向長さよりも長く、シート部7bに当接可能な主弁体脚部8bを含む。当該構成によれば、閉塞位置から下方へ向かう主弁体8の最大移動量を副弁体9の最大移動量より少なくするのが容易である。
しかし、主弁体8用のストッパと副弁体9用のストッパを軸方向にずらした位置に設け、閉塞位置から下方へ向かう主弁体8と副弁体9の最大移動量に差を付けてもよい。このように、上室r1側からの圧力を受けた際、副弁体9を主弁体8から離間させ、第二開口部P2と第二通路Pbとの連通を許容するための構成は、適宜変更できる。
また、本実施の形態では、主弁体8がばね受け(ハウジング)Bに摺接する一以上の円弧状のスライド部8aを含み、そのスライド部8aの間隙にできる凹部8dによって第一通路Paが形成されている。そして、主弁体脚部8bがスライド部8aに周方向に並んで複数配置され、副弁体9がその主弁体脚部8b,8bと緩衝器本体(筒部材)Dとの間に配置されている。当該構成によれば、第二通路Pbが形成される副弁体9のばね受け(ハウジング)B側に主弁体脚部8bが配置されるものの、第二通路Pbの開口面積を大きくできる。
また、本実施の形態において、副弁体9がばね受け(ハウジング)Bへ向けて径方向へ突出する爪部9bと、この爪部9bに設けられてシート部(ストッパ)7bに当接可能な副弁体脚部9cを含む。そして、その爪部9bが主弁体脚部8bの間であってスライド部8aのシート部(ストッパ)7b側に挿入されている。
上記構成によれば、シート部7bと緩衝器本体Dとの間にできる隙間(環状隙間Xの他端開口部)Qの開口面積を大きくしても、副弁体脚部9cがシート部7bに当接できる。換言すると、上記構成によれば、シート部(ストッパ)7bの内周側にできる隙間Qの開口面積を大きくできるので、バルブ開弁時の流量が隙間Qによって制限されてしまうのを防止できる。
さらに、上記構成によれば、主弁体脚部8bと爪部9bによって主弁体8と副弁体9の周方向の相対回転が阻止されるので、軸方向視で爪部9bが凹部8dの内側へ突出するのを防止できる。このため、副弁体9にばね受け(ハウジング)B側へ径方向に突出する爪部9bを設けても、その爪部9bで第一通路Paを通過する液体の流れが妨げられるのを防止できる。
また、本実施の形態では、爪部9bと副弁体脚部9cの外周側(反緩衝器本体側)には、副弁体9の軸方向に沿って縦溝9dが形成されており、副弁体脚部9cのシート部(ストッパ)側には、副弁体9の径方向に沿って横溝9eが形成されている。
上記構成によれば、副弁体9が主弁体8から離れた場合に、液体がこれらの間にできる隙間から縦溝9dによって副弁体9とばね受け(ハウジング)Bとの間にできる隙間Yに流入し、横溝9eによって副弁体脚部9cとシート部(ストッパ)7bとの間にできる隙間を通って環状隙間Xの他端開口部(隙間Q)へと向かう。
つまり、上記構成によれば、爪部9bから副弁体脚部9cにかけての外周側にできる隙間Yを第二通路Pbとして利用できるので、第二通路Pbの開口面積を一層大きくできる。しかし、バルブ開弁時の流量を確保できれば、縦溝9d及び横溝9eを廃するとしてもよい。
また、本実施の形態では、バルブVを有する緩衝器Aが懸架ばね(コイルばね)Sを備え、この懸架ばねSの上端を支えるばね受けBがバルブのハウジングとして機能する。このため、ハウジングとばね受けを個別に設ける場合と比較して緩衝器Aの部品数を削減できる。
さらに、本実施の形態では、副弁体9における絞り部9aの内径が懸架ばね(コイルばね)Sの上端のコイル内径よりも小さい。当該構成によれば、位置依存の減衰力が懸架ばねSの上端と緩衝器本体Dとの間にできる隙間を液体が通過する際の抵抗に支配されてしまうのを防止できる。このため、上記構成によれば、所望の位置依存の減衰力を確実に得られる。
しかし、例えば、緩衝器Aはエアばねからなる懸架ばねSを備えていてもよく、この場合には、バルブVのホルダがばね受けとして機能しなくてもよい。さらに、バルブVと液溜室Rの液面Lとの相対位置が緩衝器Aの伸縮時に変化する場合に限らず、緩衝器Aの伸縮時に液体がバルブVを通過するようになっていれば、バルブVの取付対象は、緩衝器本体Dのロッド4であっても、チューブ部材Tであっても、その他の筒部材であってもよい。
より詳しくは、本実施の形態では、バルブVのハウジングであるばね受けBとシリンダ3との間に環状隙間を形成しているが、ハウジングとロッド4との間に環状隙間Xを形成してもよく、ハウジングとチューブ部材Tとの間に環状隙間Xを形成してもよい。そして、本実施の形態のように、ハウジングの内周側に筒部材が配置される場合には、筒部材が中実となっていてもよい。
また、ハウジングとチューブ部材Tとの間に環状隙間Xを形成する場合等、ハウジングの外周側に筒部材が配置される場合には、弁座6f、主弁体8、及び副弁体9の外周側に第一開口部P1、第二開口部P2、及び制限通路Oを形成し、主弁体8、及び副弁体9の内周側に第一通路Pa、及び第二通路Pbを形成すればよい。
さらに、本実施の形態のバルブVにおいて、副弁体9は一つであるが、その副弁体9の下側に第二、第三、或いはそれ以上の副弁体を軸方向に並べて設け、副弁体と筒部材との間にできる隙間を主弁体8から離れるほど小さく、副弁体とハウジングとの間にできる通路の開口面積を主弁体8から離れるほど大きくして、上室r1側からの圧力を受けると副弁体同士が離れ、下室r2側からの圧力を受けると副弁体同士が当接するようにしてもよい。
このような場合には、主弁体8に当接する副弁体9とハウジングとの間にできる第二通路Pbの開口面積は、副弁体9が主弁体8に当接した際に、その主弁体8で塞げる範囲でしか大きくできない。しかし、主弁体8から離れた位置にある二番目以降の副弁体とハウジングとの間にできる通路の開口面積は、そのような制限を受けない。このため、上記構成によれば、バルブ開弁時の流量を一層大きくできる。
また、本実施の形態のチューブ部材Tは、テレスコピック型で伸縮できるが、チューブ部材がシリンダ3の外周に設けられるアウターシェルからなり、伸縮しなくてもよい。そして、バルブVの利用目的によっては、制限通路Oを必ずしも設けなくてもよく、バルブVの閉弁時に環状隙間Xを閉じ切るようにしてもよい。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、及び変更が可能である。
A・・・緩衝器、B・・・ばね受け(ハウジング)、b・・・環状隙間、D・・・緩衝器本体(筒部材)、O・・・制限通路、P1・・・第一開口部、P2・・・第二開口部、Pa・・・第一通路、Pb・・・第二通路、Q・・・隙間(環状隙間の他端開口部)、R・・・液溜室、r1・・・上室、r2・・・下室、T・・・チューブ部材、V・・・バルブ、X・・・環状隙間、3・・・シリンダ、4・・・ロッド、6b・・・窓(環状隙間の一端開口部)、6f・・・弁座、7b・・・シート部(ストッパ)、8・・・主弁体、8a・・・スライド部、9b・・・主弁体脚部、9d・・・凹部、9・・・副弁体、9b・・・爪部、9c・・・副弁体脚部、9d・・・縦溝、9e・・・横溝
Claims (8)
- 筒部材の外周又は内周に設けられ、前記筒部材との間に両端が開口する環状隙間を形成するハウジングと、
前記ハウジングに設けられ、前記筒部材との間に前記環状隙間の一端開口部に通じる第一開口部を形成する弁座と、
前記環状隙間に前記弁座に離着座可能に収容されるとともに、前記筒部材との間に前記第一開口部に通じる第二開口部を形成し、前記ハウジングとの間に第一通路を形成する環状の主弁体と、
前記環状隙間における前記主弁体の反弁座側に前記主弁体に対して軸方向へ移動可能に収容されるとともに、前記ハウジングとの間に前記環状隙間の他端開口部に通じる第二通路を形成する環状の副弁体とを備え、
前記環状隙間の一端開口部側からの圧力を受けると、前記主弁体が前記弁座から離座して前記第一開口部と前記第一通路との連通を許容するとともに、前記副弁体が前記主弁体から離れて前記第二開口部と前記第二通路との連通を許容する一方、
前記環状隙間の他端開口部側からの圧力を受けると、前記副弁体が前記主弁体に当接して前記第二開口部と前記第二通路の連通を遮断するとともに、前記主弁体が前記弁座に着座して前記第一開口部と前記第一通路の連通を遮断する
ことを特徴とするバルブ。 - 前記主弁体が前記弁座に着座するとともに、前記副弁体が前記主弁体に当接する閉塞位置から反弁座側へ向かう前記主弁体の最大移動量は、前記副弁体の最大移動量よりも少ない
ことを特徴とする請求項1に記載のバルブ。 - 前記ハウジングには、前記主弁体と前記副弁体の前記最大移動量を制限するストッパが設けられ、
前記主弁体は、前記ストッパに当接可能な主弁体脚部を含み、
前記主弁体脚部は、前記副弁体の軸方向長さよりも長い
ことを特徴とする請求項2に記載のバルブ。 - 前記主弁体は、前記ハウジングに摺接する一以上の円弧状のスライド部を含み、
前記第一通路は、前記スライド部の間隙にできる凹部により形成されており、
前記主弁体脚部は、前記スライド部に周方向に並んで複数配置され、
前記副弁体は、前記主弁体脚部と前記筒部材との間に配置されている
ことを特徴とする請求項3に記載のバルブ。 - 前記副弁体は、前記ハウジングへ向けて径方向に突出する爪部と、前記爪部に設けられて前記ストッパに当接可能な副弁体脚部とを含み、
前記爪部は、前記主弁体脚部の間であって前記スライド部のストッパ側に挿入されている
ことを特徴とする請求項4に記載のバルブ。 - 前記爪部と前記副弁体脚部の反筒部材側には、前記副弁体の軸方向に沿って縦溝が形成されており、
前記副弁体脚部のストッパ側には、前記副弁体の径方向に沿って横溝が形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載のバルブ。 - 前記副弁体と前記筒部材との間には、前記第二開口部と前記環状隙間の前記他端開口部とを連通し、液体の流れに抵抗を与える制限通路が形成されている
ことを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載のバルブ。 - シリンダと、前記シリンダ内に軸方向へ移動可能に挿入されるロッドとを有する緩衝器本体と、
前記緩衝器本体の外周に設けられて前記緩衝器本体との間に液体を貯留する液溜室を形成するチューブ部材と、
前記液溜室に配置される請求項7に記載のバルブとを備える緩衝器であって、
前記バルブは、前記液溜室を上室と下室とに区画するとともに、
前記ハウジングは、前記緩衝器本体又は前記チューブ部材を前記筒部材として前記緩衝器本体又は前記チューブ部材との間に前記環状隙間を形成し、
前記環状隙間の前記一端開口部が前記上室に連通され、前記他端開口部が前記下室に連通されている
ことを特徴とする緩衝器。
Priority Applications (1)
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JP2018224380A JP2020085200A (ja) | 2018-11-30 | 2018-11-30 | バルブ、及び緩衝器 |
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JP2018224380A JP2020085200A (ja) | 2018-11-30 | 2018-11-30 | バルブ、及び緩衝器 |
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Family Applications (1)
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JP2018224380A Pending JP2020085200A (ja) | 2018-11-30 | 2018-11-30 | バルブ、及び緩衝器 |
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-
2018
- 2018-11-30 JP JP2018224380A patent/JP2020085200A/ja active Pending
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