JP2006349138A - 空圧緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 正立型に形成されてもロッドの摺動部を確実に潤滑可能な空圧緩衝器を提供することである。
【解決手段】 シリンダ1と、シリンダ1内をロッド側室R1とピストン側室R2とに区画するピストン2と、ピストン2を介してシリンダ1内に移動自在に挿入されたロッド3と、を備えて正立型に形成される空圧緩衝器Kにおいて、ロッド3とロッド3の外周に摺接する環状シールSとが摺接する摺接部Aに臨む貯油室Tを設け、該貯油室T内に充填される油の油面O1が少なくとも上記摺接部Aの最下端より上方に位置するようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】 シリンダ1と、シリンダ1内をロッド側室R1とピストン側室R2とに区画するピストン2と、ピストン2を介してシリンダ1内に移動自在に挿入されたロッド3と、を備えて正立型に形成される空圧緩衝器Kにおいて、ロッド3とロッド3の外周に摺接する環状シールSとが摺接する摺接部Aに臨む貯油室Tを設け、該貯油室T内に充填される油の油面O1が少なくとも上記摺接部Aの最下端より上方に位置するようにした。
【選択図】 図1
Description
この発明は、車両等に搭載される緩衝器に関し、特に車両等のサスペンションとして使用可能な空圧緩衝器の改良に関する。
従来、空圧緩衝器としては、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されたピストンと、シリンダにピストンを介して移動自在に挿通されるロッドとを備えて、いわゆる倒立側に形成されたものが知られており、この空圧緩衝器では、少量の油をシリンダ内に充填しておき、この油を空圧緩衝器の伸縮運動によってポンプの要領でピストン側室とロッド側室とに循環させるようにしている(たとえば、特許文献1,2参照)。
一般に空圧緩衝器は、作動流体を気体としている為、ピストンとシリンダの当接部位およびロッドとシリンダ下端に設けた封止部材との当接部位である摺動部の摺動性の確保が一番の課題であるが、上述の空圧緩衝器では、上記のように油をピストン側室とロッド側室とに行き来させることで、ピストンとシリンダとの摺動部の潤滑と、シリンダ下端に設けた封止部材とロッドとの摺接部の潤滑を行って、摺動性の問題を解決し、伸縮作動の円滑を図っている。
特開2004−132429号公報
特開2004−132428号公報
さて、上述のような空圧緩衝器では、摺動性の確保という問題を解決している点で、有用な技術であるが、以下の問題がある。
すなわち、従来の空圧緩衝器は、ロッドと封止部材との摺動部の潤滑を行う観点から、倒立型に形成されているが、正立型として使用する場合、ロッドがシリンダの上方に突出するように配置されることから、ロッドと封止部材との間の摺動部の潤滑が難しくなり、構造が複雑になりかねない。
そこで、本発明は、上記した不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、正立型に形成されてもロッドの摺動部を確実に潤滑可能な空圧緩衝器を提供することである。
本発明の課題解決手段は、シリンダと、シリンダ内をロッド側室とピストン側室とに区画するピストンと、ピストンを介してシリンダ内に移動自在に挿入されたロッドと、を備えて正立型に形成される空圧緩衝器において、ロッドとロッドの外周に摺接する環状シールとが摺接する摺接部に臨む貯油室を設け、該貯油室内に充填される油の油面が少なくとも上記摺接部の最下端より上方に位置するようにした。
本発明の空圧緩衝器によれば、ロッドとロッドの外周に摺接する環状シールとが摺接する摺接部に臨む貯油室を設け、該貯油室内に充填される油の油面が少なくとも上記摺接部の最下端より上方に位置するので、貯油室内の油は、ロッドとの摺接部の潤滑を維持しつづける。
したがって、空圧緩衝器が伸縮を繰り返しても、貯油室内の油は、ロッドの摺接部の潤滑を維持しつづけることになり、正立型に形成された空圧緩衝器のロッドの摺動部を確実に潤滑することになる。
また、ロッドの摺接部に臨む貯油室を設けて油面を上記摺接部の最下端より上方に位置させることで上記摺動部の確実な潤滑が可能となるので、構造が複雑となることが無く、大幅なコスト上昇を伴わずに空圧緩衝器を正立型とすることができる。
そして、上記したようにロッドの摺接部が確実に潤滑されるから、空圧緩衝器の円滑な伸縮作動が保証されて空圧緩衝器の実用性が向上するとともに、環状シールの耐磨耗性が向上することから空圧緩衝器の密封性も向上することになる。
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。図1は、空圧緩衝器の概略縦断面図である。
一実施の形態における空圧緩衝器Kは、図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内をロッド側室R1とピストン側室R2とに区画するピストン2と、ピストン2を介してシリンダ1内に移動自在に挿入されたロッド3と、ロッド3とロッド3の外周に摺接する環状シールSとが摺接する摺接部Aに臨む貯油室Tとを備え、いわゆる正立型の緩衝器として形成されている。
以下、詳細に説明すると、シリンダ1は、筒状に形成され、その上下端は、それぞれヘッド部材5とボトム部材6によって閉塞されるとともに、シリンダ1内に摺動自在に挿入されるピストン2によってシリンダ1内はロッド側室R1とピストン側室R2とに区画されている。
そして、ピストン2には、ロッド3が連結されるとともに、ロッド側室R1とピストン側室R2とを連通する第1通路となる通路21,22が設けられ、これら通路21,22の途中には減衰力発生要素23,24が設けられている。
また、上記通路21の途中には、ロッド側室R1からピストン側室R2へ向かう流れのみを許容する逆止弁25が設けられ、通路22の途中には、ピストン側室R2からロッド側室R1へ向かう流れのみを許容する逆止弁26が設けられている。したがって、通路21にあっては、空圧緩衝器Kが伸長する、すなわち、シリンダ1からロッド3が突出する作動を行うときのみに流体の通過を許容し、他方の通路22にあっては、空圧緩衝器Kが収縮する、すなわち、シリンダ1内にロッド3が進入する作動を行うときのみに流体が通過を許容するようになっている。
そして、減衰力発生要素23,24は、図示したところでは、可変絞り弁とされており、空圧緩衝器Kの伸縮周波数や伸縮速度等に応じて、流体の流れに与える抵抗を変化させることができるようになっている。なお、減衰力発生要素23,24は、この空圧緩衝器Kが搭載される車両に適せば可変絞り弁以外にも固定絞り弁や、リーフバルブ等とされてもよい。
転じて、ヘッド部材5は、環状に成型され、その内周側にはロッド3を軸支する軸受51を備えるとともに、上端側から開口する凹部52が設けられている。
そして、上記したシリンダ1は、シリンダ1の外方に配置される有底筒状の外筒10によって覆われており、この外筒10とシリンダ1との間の隙間でリザーバRが形成されている。また、この外筒10の底部には、ボトム部材6が嵌合され、また、外筒10の図中上端である開口端部には、内周側で環状シールSを保持する封止部材11が上記ヘッド部材5に積層された状態で固定されている。
上記した封止部材11において、図1中、上下方向長さとなる軸方向長さは、環状シールSの上下方向長さとなる軸方向長さより、短く設定されるととともに、環状シールSは、封止部材11の下端からシリンダ1の内方に向けて突出するように封止部材11によって保持されている。なお、上記したところでは、封止部材11は環状シールSを保持しているが、環状シールSを封止部材11に溶着して分離不能な状態としておくとしても差し支えない。
封止部材11から突出している環状シールSの下端は、ヘッド部材5の凹部52内に配置されており、この凹部52と封止部材11とで貯油室Tが隔成されている。
上記した環状シールSの内周側には、シリンダ1から突出し、ヘッド部材5の軸受51内に摺動自在に挿入されるロッド3が挿入され、この環状シールSは所定の緊迫力でロッド3の外周に圧接されている。
したがって、ロッド3は、貯油室Tを貫いており、この貯油室Tは、ロッド3と環状シールSとの摺接部Aに臨むようになっている。
さらに、貯油室Tは、ヘッド部材5に設けた第3通路53によってロッド側室R1に連通されるとともに、第2通路の一部をなす通路54によって、リザーバR内に連通されている。
ここで、第3通路53の貯油室T側の端部53aは、上記凹部52の側壁部52aから開口しており、この端部53aは、少なくとも環状シールSの図中最下端より上方に位置するように設定されている。また、第3通路53の途中には、貯油室Tからロッド側室R1へ向かう流体の流れのみを許容する第2逆止弁たる逆止弁55が設けられている。
他方、ボトム部材6には、ピストン側室R2とリザーバRとを連通する第2通路の一部をなす通路61が設けられ、この通路61の途中には、ピストン側室R2からリザーバRへ向かう流体の流れのみを許容する第1逆止弁たる逆止弁62が設けられている。
したがって、第2通路は、上記した通路54、リザーバRおよび通路61とで構成されていることになる。
そして、シリンダ1内には作動気体が封入されるとともに、貯油室T内およびリザーバR内には、油が充填されるが、貯油室T内の油の油面O1が、貯油室T内の気体圧力とリザーバR内の気体圧力のバランスによって環状シールSの最下端より下方に下がらないような配慮のもと、リザーバR内には充分な量の油が充填される。具体的には、リザーバR内の油の油面O2は、上記通路54の開口より上方に位置するように設定されている。
なお、ロッド側室R1およびピストン側室R2内にも少量の油が充填されるが、ロッド側室R1内に充填される油は、空圧緩衝器が伸縮動作を初めて行うときに、シリンダ1とピストン2と間を潤滑するためであり、ピストン側室R2内の油は、空圧緩衝器の収縮時にリザーバR内に気体に先んじて油を供給して貯油室T内の油面O1の下降を防止するためである。
つづいて、上述のように構成された空圧緩衝器の作動について説明する。まず、空圧緩衝器Kが伸長作動する場合、ロッド側室R1が圧縮され、ピストン側室R2が膨張させられるので、ロッド側室R1内の気体は、通路21を介してピストン側室R2内に移動する。この移動時に、気体は減衰力発生要素23を通過するので、圧力損失が生じロッド側室R1とピストン側室R2の圧力差に見合った減衰力が発生する。
このとき、ロッド側室R1内の油は、油は気体より重たく、通路21の開口部に溜まった状態となることから、該油も気体とともにピストン側室R2内に移動する。
このロッド側室R1内の油は、上述したように、シリンダ1とピストン2との間を潤滑する役割を有しているが、気体より先んじて減衰力発生要素23を通過することからロッド側室R1内の速やかな圧力上昇を促すことになる。
つづいて、空圧緩衝器Kが収縮作動する場合、ピストン側室R2が圧縮され、ロッド側室R1が膨張させられるので、ピストン側室R2内の気体は、通路22を介してロッド側室R1内に移動する。この移動時に、気体は減衰力発生要素24を通過するので、圧力損失が生じロッド側室R1とピストン側室R2の圧力差に見合った減衰力が発生する。
また、上記ピストン側室R2内の圧力上昇によって、ピストン側室R2内の気体は、第2通路の一部である通路61を介してリザーバR内にも流入する。
このとき、ピストン側室R2内の油は、油は気体より重たく、通路61の開口部に溜まった状態となることから、該油も気体とともにリザーバR内に移動する。
このピストン側室R2内の油は、気体より先んじて通路61を通過することからピストン側室R2内の速やかな圧力上昇を促すことになる。
そして、リザーバR内および貯油室Tは、ピストン側室R2と同様に加圧されることになるので、リザーバR内の油は、貯油室T内に流入し、さらに、貯油室T内の油の油面O1が上昇することになる。
すると、この油面O1の上昇と貯油室T内の圧力上昇とによって、貯油室T内の油は、第3通路53を通過してロッド側室R1内に気体とともに流入する。ここで、第3通路53の端部53aの開口位置は環状シールSの最下端より上方に位置しているので、上記のごとく貯油室Tから油がロッド側室R1内に移動しても、貯油室T内の油の油面O1は、必ず環状シールSの最下端より上方に位置することになり、貯油室T内の油は、ロッド3と環状シールSとの摺接部Aの潤滑を維持しつづける。
したがって、空圧緩衝器Kが伸縮を繰り返しても、貯油室T内の油は、ロッド3と環状シールSとの摺接部Aの潤滑を維持しつづけることになり、正立型に形成された空圧緩衝器Kのロッド3の摺動部Aを確実に潤滑することになる。
また、ロッド3の摺接部に臨む貯油室を設けて油面を上記摺接部Aの最下端より上方に位置させることで、上記摺動部Aの確実な潤滑が可能となるので、構造が複雑となることが無く、大幅なコスト上昇を伴わずに空圧緩衝器を正立型とすることができる。
そして、上記したようにロッド3と環状シールSの摺接部Aが確実に潤滑されるから、空圧緩衝器Kの円滑な伸縮作動が保証されて空圧緩衝器の実用性が向上するとともに、環状シールSの耐磨耗性が向上することから空圧緩衝器の密封性も向上することになる。
この空圧緩衝器Kが伸縮作動しつづけると、空圧緩衝器K内の油は、ロッド側室R1、ピストン側室R2、リザーバRおよび貯油室Tを循環し、空圧緩衝器Kの摺動部分、すなわち、シリンダ1とピストン2との間の摺動部、ロッド3と環状シールSの摺動部Aを潤滑しつづけることになる。
すなわち、この空圧緩衝器Kでは、上記油の循環によって、ロッド側室R1内に油が無くならないようにすることができ、シリンダ1とピストン2との間の摺動部をも潤滑することができ、上記摺動部Aの潤滑と相まって、空圧緩衝器Kの円滑な伸縮作動が実現され、摺動抵抗を低減することができ、車両における乗り心地を向上することができるとともに、空圧緩衝器Kの耐久性の向上が可能となる。
なお、この実施の形態では、上記油を循環させる循環手段は、ロッド側室R1、ピストン側室R2、リザーバRおよび貯油室Tをループ状に連通する第1通路、第2通路および第3通路と、第2通路に設けた逆止弁62と、第3通路に設けた逆止弁55ということになる。
また、本実施の形態においては、リザーバRを設けているので、充分な油量が確保され、上記油の循環によっても貯油室T内の油面O1の下降を防止できるとともに、ロッド側室R1内にも油を留めおくことが可能であり、これによって、空圧緩衝器Kの伸縮作動をより確実に円滑にでき、空圧緩衝器Kのさらなる耐久性の向上と実用性の向上が可能となる。
なお、本実施の形態では、特に本発明の空圧緩衝器が車両用緩衝器に具現化した場合について説明したが、車両用緩衝器以外の緩衝器にこの空圧緩衝器が具現化可能であることは明らかである。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
1 シリンダ
2 ピストン
21,22 第1通路たる通路
23,24 減衰力発生要素
25,26 逆止弁
3 ロッド
5 ヘッド部材
51 軸受
52 凹部
53 第3通路
53a 第3通路における端部
54,61 第2通路の一部をなす通路
55 第2逆止弁
6 ボトム部材
62 第1逆止弁
10 外筒
11 封止部材
A 摺動部
K 空圧緩衝器
O1 貯油室内の油の油面
O2 リザーバ内の油の油面
R リザーバ室
R1 ロッド側室
R2 ピストン側室
S 環状シール部材
T 貯油室
2 ピストン
21,22 第1通路たる通路
23,24 減衰力発生要素
25,26 逆止弁
3 ロッド
5 ヘッド部材
51 軸受
52 凹部
53 第3通路
53a 第3通路における端部
54,61 第2通路の一部をなす通路
55 第2逆止弁
6 ボトム部材
62 第1逆止弁
10 外筒
11 封止部材
A 摺動部
K 空圧緩衝器
O1 貯油室内の油の油面
O2 リザーバ内の油の油面
R リザーバ室
R1 ロッド側室
R2 ピストン側室
S 環状シール部材
T 貯油室
Claims (5)
- シリンダと、シリンダ内をロッド側室とピストン側室とに区画するピストンと、ピストンを介してシリンダ内に移動自在に挿入されたロッドと、を備えて正立型に形成される空圧緩衝器において、ロッドとロッドの外周に摺接する環状シールとが摺接する摺接部に臨む貯油室を設け、該貯油室内に充填される油の油面が少なくとも上記摺接部の最下端より上方に位置することを特徴とする空圧緩衝器。
- 貯油室内の油を貯油室とロッド側室とピストン側室とを順に循環させる循環手段を設けたことと特徴とする請求項1に記載の空圧緩衝器。
- ピストンに内設されるロッド側室とピストン側室とを連通する第1通路と、ピストン側室と貯油室とを連通する第2通路と、貯油室とロッド側室とを連通する第3通路と、第2通路の途中に設けられピストン側室から貯油室へ向かう流体の流れのみを許容する第1逆止弁と、第3通路の途中に設けられ貯油室からロッド側室へ向かう流体の流れのみを許容する第2逆止弁とを備え、少なくとも貯油室の容積以上の油が充填されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の空圧緩衝器。
- 第3通路の貯油室側の開口部は、少なくとも摺接部の最下端より上方に位置するように設定されてなる請求項3に記載の空圧緩衝器。
- シリンダの外方にシリンダを覆う外筒を設け、該シリンダと外筒との間で第2通路の一部をなすリザーバを形成し、該リザーバ内に少なくとも貯油室の油面を摺接部の最下端以上に維持する量の油が充填されてなることを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の空圧緩衝器。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005179342A JP2006349138A (ja) | 2005-06-20 | 2005-06-20 | 空圧緩衝器 |
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JP4476772B2 (ja) | 作動油の注入構造 |
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