JP4948328B2 - 空圧緩衝器 - Google Patents

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Description

本発明は、空圧緩衝器に関し、特に、自動車や産業車両等の車両のサスペンション装置に使用可能な空圧緩衝器の改良に関する。
従来、この種の空圧緩衝器としては、種々の構造のものを例示することができるが、車両のサスペンション装置に使用される空圧緩衝器としては、特許文献1に示すものを例示することができる。
この空圧緩衝器は、いわゆる片ロッドタイプであり、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されたピストンと、このシリンダ内に上記ピストンを介して移動自在に挿入されたピストンロッドと、上記ピストンに設けた減衰力発生部とを備えており、上記ピストンによってシリンダ内をロッド側室と反ロッド側室に画成している。
そして、この空圧緩衝器では、入力される振動の周波数が高い場合に流路を開放するリリーフ弁を設けることで、高周波数領域での減衰力が増大するのを防止するようになっている。
特開2000‐104778号公報(第3頁右欄第41行目〜第4頁左欄第22行目、図2および図3)
上記のように構成された空圧緩衝器は、作動媒体を気体としているので、同じく作動媒体として作動油を用いた油圧緩衝器に比較して軽量であると共に、作動油を使用しない分、環境にも優しい。
また、作動油を使用しないが故にエアレーションを招来しないので、予め定められた減衰力を正確に発生させることができ、緩衝器としては非常に有効であるが、この空圧緩衝器をそのまま車両のサスペンション装置に使用すると、以下に示す課題が発生する場合がある。
すなわち、上記気体は、作動油に比較し熱膨張率が高いので、高温の使用環境に置かれたり、連続使用されたりすると、内圧が上昇し易く、上記した片ロッドタイプの空圧緩衝器では、この内圧上昇によってピストンの受圧面積差、すなわち、ロッド側室に対するピストンの受圧面積と反ロッド側室に対するピストンの受圧面積との差に起因したピストンロッドのシリンダからの退出動作が行なわれる。
したがって、上記空圧緩衝器を車両のサスペンション装置に使用した場合、ピストンロッドのシリンダからの退出動作によって車両の車高が運転者の意思とは無関係に上昇することになるので、たとえば、乗員の乗降時の妨げとなる場合が考えられる。
そこで、本発明の目的は、内圧が上昇してもピストンロッドが勝手にシリンダから退出し難い構造を備えた空圧緩衝器を提供することである。
上記の目的を達成するため、本発明の一つの手段は、有底筒状のシリンダと、このシリンダの底部から当該シリンダ内に起立するインナーロッドと、このインナーロッドの外周面およびシリンダの内周面に摺動自在に挿入された環状のピストンと、上記シリンダ内に上記ピストンを介して区画したロッド側室および反ロッド側室と、上記ピストンから延びて上記インナーロッドの外周面を摺動しながら上記シリンダのヘッド側ロッドガイドを貫通する筒状のピストンロッドと、上記ピストンに設けられて上記ロッド側室と反ロッド側室とを連通する空路と、この空路の途中に設けた減衰力発生部と、上記インナーロッド内に設けられて外部に連通する冷却通路とを備え、上記シリンダ内にガスを封入すると共に、上記反ロッド側室又はロッド側室の少なくとも一方に潤滑油を注入したことを特徴とするものである。
同じく、他の手段は、有底筒状の外筒と、この外筒の内側に配置した同じく有底筒状のシリンダと、このシリンダと上記外筒との間に形成したリザーバ室と、上記のシリンダの底部から当該シリンダ内に起立するインナーロッドと、このインナーロッドの外周面およびシリンダの内周面に摺動自在に挿入された環状のピストンと、上記シリンダ内に上記ピストンを介して区画したロッド側室および反ロッド側室と、上記ピストンから延びて上記インナーロッドの外周面を摺動しながら上記シリンダのヘッド側ロッドガイドを貫通する筒状のピストンロッドと、上記ピストンに設けられて上記ロッド側室と反ロッド側室とを連通する空路と、この空路の途中に設けた減衰力発生部と、上記インナーロッド内に設けられて外部に連通する冷却通路と、上記リザーバ室と反ロッド側室とを連通する連通路と、同じく上記リザーバ室とロッド側室とを接続する接続路とを備え、上記シリンダ内にガスを封入すると共に、上記反ロッド側室とリザーバ室に潤滑油を注入したことを特徴とするものである。
同じく、他の手段は、有底筒状のシリンダと、このシリンダの底部から当該シリンダ内に起立するインナーロッドと、このインナーロッドの外周面およびシリンダの内周面に摺動自在に挿入された環状のピストンと、上記シリンダ内に上記ピストンを介して区画したロッド側室および反ロッド側室と、上記ピストンから延びて上記インナーロッドの外周面を摺動しながら上記シリンダのヘッド側ロッドガイドを貫通する筒状のピストンロッドと、上記ピストンに設けられて上記ロッド側室と反ロッド側室とを連通する空路と、この空路の途中に設けた減衰力発生部とを備え、更に、上記インナーロッドには一方が上記ピストンロッド内に開放され、他方がシリンダの底部と外筒の底部とを介して外部に開放される冷却通路を設けると共に、この冷却通路の途中に外部からの気体の流入のみを許容する冷却側逆止弁を設け、上記ピストンロッドの上端には当該ピストンロッド内を外部へ連通するロッド側連通路を形成し、このロッド側連通路の途中に上記ピストンロッド内からの気体の流出のみを許容する連通路側逆止弁を設け、また上記シリンダ内にガスを封入すると共に、上記反ロッド側室又はロッド側室の少なくとも一方に潤滑油を注入したことを特徴とするものである。
同じく、他の手段は、有底筒状の外筒と、この外筒の内側に配置した同じく有底筒状のシリンダと、このシリンダと上記外筒との間に形成したリザーバ室と、上記のシリンダの底部から当該シリンダ内に起立するインナーロッドと、このインナーロッドの外周面およびシリンダの内周面に摺動自在に挿入された環状のピストンと、上記シリンダ内に上記ピストンを介して区画したロッド側室および反ロッド側室と、上記ピストンから延びて上記インナーロッドの外周面を摺動しながら上記シリンダのヘッド側ロッドガイドを貫通する筒状のピストンロッドと、上記ピストンに設けられて上記ロッド側室と反ロッド側室とを連通する空路と、この空路の途中に設けた減衰力発生部と、上記リザーバ室と反ロッド側室とを連通する連通路と、同じく上記リザーバ室とロッド側室とを接続する接続路とを備え、更に、上記インナーロッドには一方が上記ピストンロッド内に開放され、他方が上記シリンダの底部と上記外筒の底部とを介して外部に開放される冷却通路を設けると共に、この冷却通路の途中に外部からの気体の流入のみを許容する冷却側逆止弁を設け、上記ピストンロッドの上端には当該ピストンロッド内を外部へ連通するロッド側連通路を形成し、このロッド側連通路の途中に上記ピストンロッド内からの気体の流出のみを許容する連通路側逆止弁を設け、また上記シリンダ内にガスを封入すると共に、上記反ロッド側室又はロッド側室の少なくとも一方に潤滑油を注入したことを特徴とするものである。
各請求項の発明によれば、インナーロッドの断面積をピストンロッドの断面積に近づけることで、ロッド側室に対するピストンの受圧面積と、反ロッド側室に対するピストンの受圧面積とを略等しくすることができるので、強度が十分確保される範囲で上記ピストンロッドを薄肉筒状に形成すれば、内圧が上昇しても受圧面積差に起因するピストンロッドのシリンダからの退出動作が発生し難くなる。
このため、たとえば、車両のサスペンション装置に本発明の空圧緩衝器が使用された作動状態において、高温の使用環境に置かれたり、連続使用されたりして内圧が上昇しても、上記受圧面積差に起因したピストンロッドのシリンダからの退出動作を出来る限り防止することができる。
したがって、上記ピストンロッドの退出動作によって車両の車高が運転者の意思とは無関係に上昇し、たとえば、乗員の乗降時の妨げとなることを確実に防止することができる。
更に、各請求項の発明は、冷却通路をインナーロッドに設けているので、冷却通路内に空気を侵入させ、この空気でインナーロッドが冷されて反ロッド側室内およびロッド側室内の温度が上昇するのを確実に防止することができる。
以下に、本発明を自動車のサスペンション装置に使用する空圧緩衝器に具体化した一実施の形態を図に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施の形態の空圧緩衝器1は、有底筒状の外筒2と、この外筒2の内側に配置された同じく有底筒状のシリンダ3と、このシリンダ3および上記外筒2間に形成されたリザーバ室Rと、上記シリンダ3の底部3aから突出するインナーロッド4と、このインナーロッド4の外周面およびシリンダ3の内周面に摺動可能に挿入されると共に、上記シリンダ3内をロッド側室40および反ロッド側室50に画成する環状のピストン5と、このピストン5から筒状に延びると共に、内周面が上記インナーロッド4の外周面を摺動することでシリンダ3から突出可能としたピストンロッド6と、上記ロッド側室40および反ロッド側室50を連通するために上記ピストン5に設けた空路と、この空路に設けた減衰力発生部と、、上記インナーロッド4内に設けられて外部に連通する冷却通路33と、上記リザーバ室Rおよび反ロッド側室50を連通する連通路9と、同じく上記リザーバ室Rおよびロッド側室40を接続する接続路とを備え、上記シリンダ3内にガスGが封入されると共に、上記反ロッド側室50およびリザーバ室Rに潤滑油Oが注入されている。

以下、さらに詳述すると、外筒2の上端部内周となるシリンダ3の開口端部に上記ピストンロッド6を案内するロッドガイド12が設けられ、このロッドガイド12の上面にはオイルシール13が載置されている。
そして、上記外筒2の上端を内側に折り曲げることでこの外筒2、オイルシール13、ロッドガイド12およびシリンダ3が一体的に加締め固定されている。
上記オイルシール13は、環状のインサートメタル14と、このインサートメタル14の内周側に一体形成された環状の内周リップ15とを備え、この内周リップ15は、図示はしないが、ピストンロッド6の外周面に摺接して大気側からのダストの侵入を防止するダストリップと、同じくピストンロッド6の外周面に摺接して後述する貯留凹部18からの潤滑油Oがシリンダ3内に封入されたガスGと共に外部側へ漏れるのを防止するオイルリップとから構成されている。
上記ロッドガイド12は、中心部に上記ピストンロッド6を案内する案内孔17を備えた円柱状に形成されると共に、上面中央側には潤滑油Oを蓄えるための貯留凹部18が形成されている。
上記貯留凹部18には上記リザーバ室Rへ連通する接続路としてのリザーバ室側接続路19と、上記ロッド側室40へ連通する同じく接続路としてのロッド側室側接続路20とが接続されており、リザーバ室Rの潤滑油Oが貯留凹部18を介してロッド側室40へ流出するようになっている。
また、上記貯留凹部18内には上記内周リップ15の下端が浸漬する位置まで潤滑油Oが蓄えられ、内周リップ15とピストンロッド6との間の油膜切れを防止すると共に、内周リップ15の下端よりも上方まで溜まった余剰な潤滑油Oがロッド側室40へ流出するようロッド側室側接続路20の貯留凹部18に対する接続位置が決定されている。
上記ピストン5は、その外周面に外側取付溝5aが形成されており、この外側取付溝5a内には外側シール部材16aが装着されると共に、ピストン5の内周面には同じく内側取付溝5bが形成されており、この内側取付溝5b内には内側シール部材16bが装着されている。
上記外側シール部材16aは、上記シリンダ3の内周面と摺接することで、上記ロッド側室40内のガスGや潤滑油Oが上記反ロッド側室50内へ漏れたり、逆に上記反ロッド側室50内のガスGや潤滑油Oが上記ロッド側室40内へ漏れたりするのを防止すると共に、上記内側シール部材16bは上記インナーロッド4の外周面と摺接することで、上記反ロッド側室50内のガスGや潤滑油Oが後述する空気室60を介して外部へ漏れるのを防止している。
上記ピストン5の上面の外周側にはロッド側室40と、反ロッド側室50とを連通する上記空路としての圧側連通路21および伸側連通路22が夫々下面に向かって穿設されている。
上記圧側連通路21の途中には減衰力発生部としての圧側減衰弁23と、その圧側減衰弁23の上方に反ロッド側室50からロッド側室40へと向かうガスGおよび潤滑油Oの流れのみを許容する圧側逆止弁24とが設けられており、上記伸側連通路22の途中には同じく減衰力発生部としての伸側減衰弁25と、その伸側減衰弁25の下方にロッド側室40から反ロッド側室50へと向かうガスGおよび潤滑油Oの流れのみを許容する伸側逆止弁26とが設けられている。
上記減衰力発生部としての伸側および圧側減衰弁25、23は、オリフィスやリーフバルブ等の種々の減衰力発生構造を採用することができる。
上記シリンダ3の下端にはその底部3aを構成するバルブケース31が設けられており、このバルブケース31には上記リザーバ室Rと反ロッド側室50とを連通する上記連通路9が形成されると共に、この連通路9の途中には反ロッド側室50からリザーバ室Rへと向かうガスOおよび潤滑油Gの流れのみを許容するケース側逆止弁32が設けられている。
上記バルブケース31の上面中央部には取付凹部37が設けられており、この取付凹部37には上記インナーロッド4の下端の取付部4aが環状の弾性部材38を介して取付固定されている。
上記弾性部材38は、天然又は合成ゴム、合成樹脂等よりなる弾性体で形成されており、この弾性部材38が弾性変形する範囲内で上記インナーロッド4がバルブケース31の円周方向へ移動可能となっている。
上記インナーロッド4は、円筒状に形成されると共に、その先端(図1における上端を言う)外周にはテーパ部4bが形成されており、このインナーロッドに沿ってピストンロッド6が摺動する際、ピストンロッド6の内周面がインナーロッド4の先端に引っ掛かるのを防止して良好な摺動状態を確保できるようになっている。
また、インナーロッド4には一方が上記先端に開放され、他方が上記バルブケース31および外筒2の底部2aを介して外部に開放される冷却通路33が設けられると共に、この冷却通路33には外部からの気体の流入のみを許容する冷却側逆止弁34が設けられている。
上記ピストンロッド6は、上記インナーロッド4が摺動可能な挿入孔6aを備えた筒状に形成されると共に、この挿入孔6aの上端には外部へ連通するロッド側連通路29が形成されており、このロッド側連通路29には上記挿入孔6a側からの気体の流入のみを許容する連通路側逆止弁30が設けられている。
したがって、上記挿入孔6a内にインナーロッド4で画成された空気室60が上記ピストンロッド6の進退動作に併せて膨張と収縮を繰り返すと、この空気室60には冷却通路33を介して気体が侵入し、その後、上記ロッド側連通路29を通って外部へ放出されるようになっている。
なお、上記ピストンロッド6は、強度が十分確保される範囲で薄肉筒状に形成されており、インナーロッド4の断面積S1をピストンロッド6の断面積S2に近づけることで、ロッド側室40に対するピストン5の受圧面積と、反ロッド側室50に対するピストン5の受圧面積とを略等しくし、上記した受圧面積差に起因したピストンロッド6の退出動作が発生し難いようになっている。
このように構成された空圧緩衝器1は、たとえば、ピストンロッド6先端に設けられたロッド側アイ35を車体側に取付けると共に、外筒の下端に設けられた外筒側アイ36を車軸側に取付けることで自動車のサスペンション装置に組み込まれる。
続いて、その作用を説明すると、ピストンロッド6がシリンダ3内から退出する、すなわち、空圧緩衝器1の伸長行程では、ロッド側室40内に封入されたガスGおよび潤滑油Oがピストン5に設けた伸側連通路22を通過して反ロッド側室50に流入すると共に、この伸側連通路22の途中に設けた伸側減衰弁25によって伸側減衰力が発生する。
また、ピストンロッド5がシリンダ3内へ侵入する、すなわち、空圧緩衝器1の収縮行程では、反ロッド側室50内に封入されたガスGがピストン5に設けた圧側連通路21を通過してロッド側室40に流入すると共に、この圧側連通路21の途中に設けた圧側減衰弁23によって圧側減衰力が発生する。
このとき、貯留凹部18内に溜まった余剰な潤滑油Oがロッド側室側接続路20を介してロッド側室40へ流出し、ピストン5とシリンダ3との摺接部分に付着して摺動性を向上させる。
また、反ロッド側室50に注入された潤滑油Oはバルブケース31に設けられた上記連通路9を通過してリザーバ室Rに流れ込み、その後、上記ロッドガイド12に設けたリザーバ室側接続路19を介して上記貯留凹部18へ導かれる。
なお、空圧緩衝器1の収縮行程において、反ロッド側室50内に封入されたガスGがピストン5に設けた圧側連通路21を通過してロッド側室40に流入することから明らかなように、連通路9、リザーバ室R、リザーバ室側接続路19およびロッド側室側接続路20の少なくとも一つ以上は、ガスGおよび潤滑油Oの流れに圧側減衰弁23より大きな抵抗を与えるが、この抵抗はピストン側室50からリザーバ室Rを介してロッド側室40へ至る間に弁を設けて与えるようにしてもよいし、ピストン側室50からリザーバ室Rを介してロッド側室40へ至る間の管路抵抗で与えてもよく、具体的にはたとえば、ケース側逆止弁32をリーフバルブとしたり、連通路9、リザーバ室側接続路19およびロッド側室側接続路20の流路面積を小さくしたり、リザーバ室Rの環状の断面積を極小さくするようにしてもよい。
そして、上記した空圧緩衝器1の伸縮行程では、ピストンロッド6内にインナーロッド4で画成された空気室60が、上記ピストンロッド6の侵入退出動作に供なって収縮と膨張を繰り返すことになる。
すなわち、空圧緩衝器1の伸長行程では、上記空気室60が膨張状態となり、この空気室60内には、外部側からの気体が上記冷却通路33に設けた冷却側逆止弁34を押し開いて流入する。
この状態から上記した空圧緩衝器1が収縮行程となると、上記した空気室60が収縮状態となると共に、この空気室60内の気体はロッド側連通路29に設けた連通路側逆止弁30を押し開いて外部に放出される。
したがって、上記した空圧緩衝器1の伸縮行程では、冷却通路33内に強制的に空気を侵入させると共に、侵入した空気は空気室60およびロッド側連通路29を介して必ず外部に放出されるので、この空気でインナーロッド4が冷されて上記反ロッド側室50内およびロッド側室40内の温度が上昇するのを確実に防止することができる。
また、上記空圧緩衝器1が高温の使用環境に置かれた場合、特に空圧緩衝器自体を作動させなくとも上記ロッド側室40および反ロッド側室50の内圧が上昇する。
ところが、本実施の形態では、上記ピストンロッド6を薄肉状とすることで、上記反ロッド側室50に対する上記ピストン5の受圧面積と、上記ロッド側室40に対する上記ピストン5の受圧面積とが略等しく設定されているので、従来例で示したような受圧面積差に起因したピストンロッド6のシリンダ3からの退出動作を防止することができる。
したがって、ピストンロッド6のシリンダ3からの退出動作によって車両の車高が運転者の意思とは無関係に上昇することで、たとえば、乗員の乗降時の妨げとなることを防止することができる。
そして、インナーロッド4の上端外周にテーパ部4bを設けたので、このインナーロッド4に沿ってピストンロッド6が摺動する際、ピストンロッド6の内周面がインナーロッド4の先端に引っ掛かるのを防止して良好な摺動状態を確保することができる。
また、上記インナーロッド4をバルブケース31に対して弾性部材38を介して取付けることで、この弾性部材38が弾性変形する範囲内で上記インナーロッド4がバルブケース31の円周方向へ移動可能としたので、ピストンロッド6の内周面とインナーロッド4の先端部との摺動摩擦を低減することが可能となり、たとえば、横力により空圧緩衝器1が曲がるような場合でも、上記した摺動摩擦が増加することで乗り心地を損ねることもない。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、たとえば、以下のように変更して具体化することも可能である。
1)本実施の形態では、インナーロッド4内に設けた冷却通路33がピストンロッド6に設けたロッド側連通路29に接続するよう構成することで、冷却通路33内を通過した空気がピストンロッド6の外部側へ放出されるようにしたが、これに限定されるものではなく、上記冷却通路33をインナーロッド6内だけを循環する構成としても良い。
2)本実施の形態では、冷却通路33を一本としたが、これに限定されるものではなく、複数本の冷却通路33を形成しても良く、また、冷却通路33の径も常に一定とする必要はなく、冷却効率を上げたい部分を大径にしても良い。
3)本実施の形態では、ロッド側室40には潤滑油Oを積極的には注入させていないが、これに限定されるものではなく、ピストン5の摺動性を向上させるために上記潤滑油Oをロッド側室40に注入しても良い。
4)本実施の形態では、シリンダ3の外側に外筒2を有するいわゆる複筒型構造の空圧緩衝器1に具体化したが、これに限定されるものではなく、シリンダ3の外側に外筒2を有しないいわゆる単筒型の空圧緩衝器1に具体化しても良いことはもちろんである。
本発明の一実施の形態を示す断面図である。
符号の説明
1 空圧緩衝器
2 外筒
2a 外筒の底部
3 シリンダ
4 インナーロッド
5 ピストン
6 ピストンロッド
6a 挿入孔
9 連通路
19 リザーバ室側接続路(接続路)
20 ロッド側室側接続路(接続路)
21 圧側連通路(空路)
22 伸側連通路(空路)
23 圧側減衰弁(減衰力発生部)
25 伸側減衰弁 (減衰力発生部)
29 ロッド側連通路
30 連通路側逆止弁
31 バルブケース(シリンダの底部)
33 冷却通路
34 冷却側逆止弁
40 ロッド側室
50 反ロッド側室
O 潤滑油
G ガス
R リザーバ室

Claims (4)

  1. 有底筒状のシリンダと、このシリンダの底部から当該シリンダ内に起立するインナーロッドと、このインナーロッドの外周面およびシリンダの内周面に摺動自在に挿入された環状のピストンと、上記シリンダ内に上記ピストンを介して区画したロッド側室および反ロッド側室と、上記ピストンから延びて上記インナーロッドの外周面を摺動しながら上記シリンダのヘッド側ロッドガイドを貫通する筒状のピストンロッドと、上記ピストンに設けられて上記ロッド側室と反ロッド側室とを連通する空路と、この空路の途中に設けた減衰力発生部と、上記インナーロッド内に設けられて外部に連通する冷却通路とを備え、上記シリンダ内にガスを封入すると共に、上記反ロッド側室又はロッド側室の少なくとも一方に潤滑油を注入したことを特徴とする空圧緩衝器。
  2. 有底筒状の外筒と、この外筒の内側に配置した同じく有底筒状のシリンダと、このシリンダと上記外筒との間に形成したリザーバ室と、上記のシリンダの底部から当該シリンダ内に起立するインナーロッドと、このインナーロッドの外周面およびシリンダの内周面に摺動自在に挿入された環状のピストンと、上記シリンダ内に上記ピストンを介して区画したロッド側室および反ロッド側室と、上記ピストンから延びて上記インナーロッドの外周面を摺動しながら上記シリンダのヘッド側ロッドガイドを貫通する筒状のピストンロッドと、上記ピストンに設けられて上記ロッド側室と反ロッド側室とを連通する空路と、この空路の途中に設けた減衰力発生部と、上記インナーロッド内に設けられて外部に連通する冷却通路と、上記リザーバ室と反ロッド側室とを連通する連通路と、同じく上記リザーバ室とロッド側室とを接続する接続路とを備え、上記シリンダ内にガスを封入すると共に、上記反ロッド側室とリザーバ室に潤滑油を注入したことを特徴とする空圧緩衝器。
  3. 有底筒状のシリンダと、このシリンダの底部から当該シリンダ内に起立するインナーロッドと、このインナーロッドの外周面およびシリンダの内周面に摺動自在に挿入された環状のピストンと、上記シリンダ内に上記ピストンを介して区画したロッド側室および反ロッド側室と、上記ピストンから延びて上記インナーロッドの外周面を摺動しながら上記シリンダのヘッド側ロッドガイドを貫通する筒状のピストンロッドと、上記ピストンに設けられて上記ロッド側室と反ロッド側室とを連通する空路と、この空路の途中に設けた減衰力発生部とを備え、更に、上記インナーロッドには一方が上記ピストンロッド内に開放され、他方がシリンダの底部と外筒の底部とを介して外部に開放される冷却通路を設けると共に、この冷却通路の途中に外部からの気体の流入のみを許容する冷却側逆止弁を設け、上記ピストンロッドの上端には当該ピストンロッド内を外部へ連通するロッド側連通路を形成し、このロッド側連通路の途中に上記ピストンロッド内からの気体の流出のみを許容する連通路側逆止弁を設け、また上記シリンダ内にガスを封入すると共に、上記反ロッド側室又はロッド側室の少なくとも一方に潤滑油を注入したことを特徴とする空圧緩衝器。
  4. 有底筒状の外筒と、この外筒の内側に配置した同じく有底筒状のシリンダと、このシリンダと上記外筒との間に形成したリザーバ室と、上記のシリンダの底部から当該シリンダ内に起立するインナーロッドと、このインナーロッドの外周面およびシリンダの内周面に摺動自在に挿入された環状のピストンと、上記シリンダ内に上記ピストンを介して区画したロッド側室および反ロッド側室と、上記ピストンから延びて上記インナーロッドの外周面を摺動しながら上記シリンダのヘッド側ロッドガイドを貫通する筒状のピストンロッドと、上記ピストンに設けられて上記ロッド側室と反ロッド側室とを連通する空路と、この空路の途中に設けた減衰力発生部と、上記リザーバ室と反ロッド側室とを連通する連通路と、同じく上記リザーバ室とロッド側室とを接続する接続路とを備え、更に、上記インナーロッドには一方が上記ピストンロッド内に開放され、他方が上記シリンダの底部と上記外筒の底部とを介して外部に開放される冷却通路を設けると共に、この冷却通路の途中に外部からの気体の流入のみを許容する冷却側逆止弁を設け、上記ピストンロッドの上端には当該ピストンロッド内を外部へ連通するロッド側連通路を形成し、このロッド側連通路の途中に上記ピストンロッド内からの気体の流出のみを許容する連通路側逆止弁を設け、また上記シリンダ内にガスを封入すると共に、上記反ロッド側室又はロッド側室の少なくとも一方に潤滑油を注入したことを特徴とする空圧緩衝器。
JP2007218048A 2006-09-14 2007-08-24 空圧緩衝器 Expired - Fee Related JP4948328B2 (ja)

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