JP2011106609A - 緩衝器 - Google Patents

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【課題】コスト低減を図りつつ省スペース化に寄与できる緩衝器を提供することである。
【解決手段】上記した目的を解決するために、本発明における課題解決手段は、シェル3とシェル3の端部内周に嵌合された環状のロッドガイド4に軸支されてシェル3内に移動自在に挿入されるロッド2とを備えた緩衝器本体Dと、シェル3の外周に溶接される環状のばね受5とを備えた緩衝器において、シェル3のばね受5が溶接される溶接部16がシェル3の外周であって内周側にロッドガイド4が嵌合される軸方向範囲L内であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、外周にばね受を備える緩衝器に関する。
一般的に、車両においては、車体と車軸との間に懸架ばねと称される車体を弾性支持するばねが介装されている。そして、この懸架ばねは、車両走行中における路面の凹凸による車輪振動の車体或への伝達を妨げるようになっているが、懸架ばねだけでは振動を充分に減衰させることができず、また、振動周波数によっては共振してしまうため、これに並列して緩衝器を設置するようにしている。
緩衝器と懸架ばねを並列させる場合、たとえば、緩衝器の外周にばね受を設けて、懸架ばねの内周側に緩衝器を配置して緩衝器と懸架ばねとを一体とする構造が広く採用されるに到っている。
そして、このように懸架ばねと一体化される緩衝器は、たとえば、シェルと、シェル内に移動自在に挿入されるロッドとを備えた緩衝器本体と、緩衝器本体におけるシェルの外周に溶接される環状のばね受とを備えて構成されている。
外周にばね受を備えた緩衝器の多くは、シェルのばね受が溶接される溶接部にて、溶接歪が生じるため、溶接後、シェル内を切削する等といった加工を行うことによって、シェル内を面一とするようにしているが、後加工のコストの低減を図るため、センサやスタビライザを固定するためのブラケットをシェルの外周に圧入固定して、当該ブラケットにばね受を溶接することで、シェルの溶接歪を回避する緩衝器の提案がある(たとえば、特許文献1参照)。
特開2005−188532号公報
ところで、近年、車両に搭載される各種装置類は増加する一方であり、各設備類には省スペース化が要求されていて、緩衝器も当然に省スペース化が要望されている。そして、懸架ばねと一体化される緩衝器にあっては、ばね受が緩衝器の外径を大型にしていることから、懸架ばねの下端を支持するばね受の位置をシェルの上端部側へ配置して、省スペースに寄与することが求められるようになってきた。
そして、上記要望を満足させるため、懸架ばねの下端を支持するばね受の位置をシェルの上端部近傍に設ける場合、ばね受をシェル端部近傍に溶接しなくてはならないが、シェルが溶接歪によって変形すると、シール部材によってシェルを密封できなくなる可能性があるため、やはり、後加工が必要となる。
すなわち、通常、緩衝器にあっては、シェルとロッドとの間をシールしてシェル内を密封する環状のシール部材がシェルの端部に固定されるため、シェルに溶接歪が生じていると、密封状態に悪影響を与えるからである。
これに対して、上記提案の緩衝器のように、ブラケットを必要とする場合には、ブラケットを利用してばね受をブラケットに溶接する手段をとることができるが、特に、ブラケットを全く必要としない緩衝器や、ブラケットを必要としていても設置箇所がシェルの端部近傍でない緩衝器にあっては、シェルの外周にばね受を溶接するためだけに使用される筒を圧入することになり、部品点数が多くなってコスト高となる問題がある。
このように、従来の緩衝器では、後加工を必要とするか、溶接のためだけに必要とされる筒を設けなくてはならず、いずれにしても、製造コストがその分嵩んでしまうという問題がある。
そこで、本発明は、上記した問題を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、コスト低減を図りつつ省スペース化に寄与できる緩衝器を提供することである。
上記した目的を解決するために、本発明における課題解決手段は、シェルとシェルの端部内周に嵌合された環状のロッドガイドに軸支されてシェル内に移動自在に挿入されるロッドとを備えた緩衝器本体と、シェルの外周に溶接される環状のばね受とを備えた緩衝器において、シェルのばね受が溶接される溶接部がシェルの外周であって内周側にロッドガイドが嵌合される軸方向範囲内であることを特徴とする。
本発明の緩衝器によれば、シェルの端部近傍へばね受を溶接してもシェルに溶接歪を生じさせることが無いので、後加工を行わずとも、シール部材におけるシール性を損なうことが無く、また、ばね受の溶接にのみ使用される筒をシェルに圧入する必要も無いので、製造コストを低減することができる。また、シェルの端部近傍へばね受を溶接することができるので、緩衝器の小型化にも寄与することができる。すなわち、本発明の緩衝器によれば、製造コストの低減を図りつつ省スペース化を実現することができるのである。
一実施の形態における緩衝器の縦断面図である。
以下、本発明の緩衝器を図に基づいて説明する。一実施の形態における緩衝器は、図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内に移動自在に挿入されるロッド2と、シリンダ1を覆うシェル3と、シェル3に嵌合されてロッド2を摺動自在に軸支するロッドガイド4とを備えた緩衝器本体Dと、緩衝器本体Dにおけるシェル3の外周に溶接されて懸架ばねSの下端を支持する環状のばね受5と備えて構成されていて、いわゆる、複筒型緩衝器として構成されている。
以下、各部について詳細に説明すると、シリンダ1は、筒状であって、内部に摺動自在に挿入されるとともにロッド2に連結されるピストン6によって、当該内部が作動油等の液体が充填される図1中上方側の圧側室7と下方側の伸側室8とに仕切られている。そして、シリンダ1は、上端が有底筒状のシェル3の端部内周に嵌合されるロッドガイド4に嵌合されて、シェル3に対して位置決められ、シェル3との間に液体と気体が充填されるリザーバ9として機能する環状隙間を形成している。
ピストン6は、伸側室7と圧側室8とを連通する通路6a,6bを備えており、通路6aには圧側室8から伸側室7へ向かう液体の流れのみを許容して当該流れに抵抗を与えるリーフバルブ等の減衰弁6cが設けられ、通路6bには伸側室7から圧側室8へ向かう液体の流れのみを許容して当該流れに抵抗を与えるリーフバルブ等の減衰弁6dが設けられている。なお、この緩衝器の場合、複筒型緩衝器として構成されており、シリンダ1の下端とシェル3の底部との間には、リザーバ9と圧側室7との間を仕切る仕切部材15が設けられていて、当該仕切部材15に圧側室7からリザーバ9へ向かう液体の流れのみを許容して当該流れに抵抗を与える減衰弁15aが設けられているので、通路6aには減衰弁6cの代わりに液体の流れに抵抗を殆ど与えないチェック弁を設けるようにしてもよい。なお、仕切部材15には、リザーバ9から圧側室7へ向かう液体の流れのみを許容して当該流れに殆ど抵抗を与えないチェック弁15bが設けられている。
それゆえ、この緩衝器は、シリンダ1に対してピストン6が図1中下方へ移動する収縮行程時には、通路6aを介して圧側室8から伸側室7へ移動する液体の流れに減衰弁6cで抵抗を与えるとともに、減衰弁15aを介して圧側室8からリザーバ9へ移動する液体の流れに当該減衰弁15aで抵抗を与えて、ピストン6の移動を妨げる圧側減衰力を発揮する。また、シリンダ1に対してピストン6が図1中上方へ移動する伸長行程時には、チェック弁15bを介してリザーバ9から液体を圧側室8へ吸込むとともに、通路6bを介して伸側室7から圧側室8へ移動する液体の流れに減衰弁6dで抵抗を与えてピストン6の移動を妨げる伸側減衰力を発揮する。そして、この緩衝器にあっては、ロッド2がシリンダ1内に出入りする体積分の補償をリザーバ9によって行うようにしている。
戻って、ロッドガイド4は、シェル3の内周に嵌合する環状本体4aと、環状本体4aの図1中下端外周から垂下される筒状のソケット4bとを備えて構成されており、環状本体4aの内周にはロッド2の外周に摺接する筒状のベアリング11が装着されている。
また、ソケット4bの外周は、環状本体4aの外周と面一とされ、シェル3の内周に当接しており、さらに、ソケット4b内には、シリンダ1の図1中上端外周が嵌合され、当該ソケット4bにてシリンダ1がシェル3に対して位置決めされる。
さらに、ロッドガイド4は、環状本体4aの上端内周に設けた凹部4cと、凹部4cの途中に設けた環状の段部4dと、段部4dの外周から開口してソケット4bの図1中下端へ通じる通孔4eとを備えている。
このロッドガイド4の図1中上方には、環状のシール部材10が設けられており、当該シール部材10は、環状のインサートメタル10aと、インサートメタル10aの内周に設けられてロッド2の外周に摺接する内周シール部10bと、インサートメタル10aの外周下端に設けられてシェル3の端部内周に密着する外周シール部10cと、インサートメタル10aの下端に設けられてロッドガイド4の段部4dに離着座するチェックシール10dとを備えて構成されている。
シール部材10は、ロッドガイド4に積層された状態で、シェル3の最端3aをロール加締めによって、内周側へ折り込むことで、シェル3にロッドガイド4とともに固定される。
また、シール部材10は、上述のように構成されて、内周シール部10bと外周シール部10cとでロッド2とシェル3との間をシールするとともに、ロッドガイド4の凹部4d内に液体が溜まるとチェックシール10dを段部4dから離座させて凹部4dと通孔4eとを連通させて液体をリザーバ9へ還流させて、凹部4d内の蓄圧を阻止するようになっている。
ばね受5は、環状であって懸架ばねSの図1中下端を支承するシート部12と、シート部5aの内周から立ち上がる筒部13とを備えて構成されている。より詳しくは、シート部12は、環状の底部12aと、底部12aの内周から立ち上がり懸架ばねSの下端内周に配置される筒状の内周壁12bと、底部12aの外周から立ち上がり懸架ばねSの下端外周に配置される外周壁12cとで構成されている。また、筒部13は、シェル3の外周に嵌合される嵌合部13aと、嵌合部13aの下端から徐々に拡径しつつシート部12の内周壁12bに繋がる拡径部13bとを備えて構成されている。
このように構成されたばね受5は、筒部13における嵌合部13aの上端をシェル3に溶接することでシェル3に固定されるようになっている。そして、このばね受5と、ロッド2の上端に設けた上方ばね受14との間に懸架ばねSが介装され、緩衝器本体Dと懸架ばねSとが一体化されている。なお、懸架ばねSの形状は、図示したところに限定されるものではなく、種々のコイルばねを利用することができる。
上述したようにばね受5は、シェル3に溶接されるのであるが、シェル3の外周であってばね受5が溶接される溶接部16は、その内周側にロッドガイド4が嵌合される軸方向範囲L内に配置されている。つまり、シェル3のロッドガイド4が嵌合している軸方向範囲L内にて、ばね受5をシェル3の外周に溶接するようにしている。
ばね受5の溶接時に、シェル3にロッドガイド4を予め嵌合させておくようにすれば、シェル3が内周側からロッドガイド4によって支持されるので、シェル3に溶接歪を生じることなく、ばね受5のシェル3への溶接を完了させることができる。
このように本実施の形態の緩衝器にあっては、シェル3の端部近傍へばね受5を溶接してもシェル3に溶接歪を生じさせることが無いので、後加工を行わずとも、シール部材10におけるシール性を損なうことが無く、また、ばね受5の溶接にのみ使用される筒をシェル3に圧入する必要も無いので、製造コストを低減することができる。また、シェル3の端部近傍へばね受5を溶接することができるので、緩衝器の小型化にも寄与することができる。すなわち、本実施の形態の緩衝器によれば、製造コストの低減を図りつつ省スペース化を実現することができるのである。
また、本実施の形態の緩衝器にあっては、ロッドガイド4がシリンダ1の外周に当接してシェル3に対してシリンダ1を位置決めるソケット4bを備えているので、環状本体4aの軸方向長さを長尺化せずとも、シェル3のばね受5を溶接する溶接部16の設置可能範囲である軸方向範囲Lを確保することができる。
なお、ばね受5におけるシート部12および筒部13における詳細な形状は、一例であって、図示したところに限定されるものではないが、ばね受5のシート部12の軸方向位置がシェル3への溶接部16より下方側である場合には、ばね受5を環状のシート部12とシート部12の内周から立ち上がる筒部13とで構成することで、ばね受5の全長を短くすることができるとともに溶接にも支障がない。逆に、シート部が溶接部より上方に配置される場合には、ばね受を環状のシート部とシート部の内周から垂下される筒部とで構成すると同様にばね受の全長を短くすることができ溶接にも支障が無い。
また、内周側にロッドガイド4が嵌合されるシェル3の軸方向範囲L内にばね受5が溶接されればよいので、緩衝器の構造については、図示および上記説明した構造に限定されるものではなく、たとえば、シェルに直接ピストンが摺接する単筒型緩衝器として構成されてもよく、その場合も、内周側にロッドガイドが嵌合されるシェルの軸方向範囲内にばね受を溶接すればよい。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
本発明は、ばね受を備えた緩衝器に利用可能である。
1 シリンダ
2 ロッド
3 シェル
3a シェルにおける最端
4 ロッドガイド
4a ロッドガイドにおける環状本体
4b ロッドガイドにおけるソケット
4c ロッドガイドにおける凹部
4d ロッドガイドにおける段部
4e ロッドガイドにおける通孔
5 ばね受
6 ピストン
6a,6b 通路
6c,6d 減衰弁
7 伸側室
8 圧側室
9 リザーバ
10 シール部材
10a インサートメタル
10b 内周シール部
10c 外周シール部
10d チェックシール
11 ベアリング
12 シート部
12a シート部における底部
12b シート部における内周壁
12c シート部における外周壁
13 筒部
13a 筒部における嵌合部
13b 筒部における拡径部
14 上方ばね受
15 仕切部材
15a 仕切部材における減衰弁
15b 仕切部材におけるチェック弁
16 溶接部
D 緩衝器本体
L シェルにおける軸方向範囲
S 懸架ばね

Claims (3)

  1. シェルとシェルの端部内周に嵌合された環状のロッドガイドに軸支されてシェル内に移動自在に挿入されるロッドとを備えた緩衝器本体と、シェルの外周に溶接される環状のばね受とを備えた緩衝器において、シェルのばね受が溶接される溶接部がシェルの外周であって内周側にロッドガイドが嵌合される軸方向範囲内であることを特徴とする緩衝器。
  2. シェル内に収容されるシリンダを備え、ロッドガイドがシリンダの外周に嵌合するとともにシェルの内周に当接してシリンダをシェルに対して位置決めるソケットを備え、溶接部がシェルの外周であって内周にロッドガイドのソケットが当接する範囲内であること特徴とする請求項1に記載の緩衝器。
  3. ばね受は、懸架ばねを支承する環状のシート部と、シート部の内周からシェルのロッドガイドが嵌合される端部へ向けて立ち上がる筒部とを備え、筒部の管端がシェルの外周に溶接されることを特徴とする請求項1または2に記載の緩衝器。
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