WO2012105052A1 - 二次電池 - Google Patents

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Abstract

 リチウムイオン二次電池100の負極活物質層243は、正極活物質層223に対向している部位243aと、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2とを備えている。このうち、正極活物質層223に対向している部位243aの平衡電位Eaは、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2の平衡電位Ebよりも高い(Ea>Eb)。

Description

二次電池
 本発明は、二次電池に関する。
 ここで、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充電可能な蓄電デバイス一般をいい、リチウムイオン二次電池(lithium-ion secondary battery)、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池などのいわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタなどの蓄電素子を包含する用語である。
 また、本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。
 二次電池について、例えば、特許文献1には、いわゆる円筒型の二次電池についての発明が開示されている。すなわち、ここで、二次電池は、帯状の正極集電体の両面に正極活性物質を塗布して形成された正極活物質層よりなる正極と、帯状の負極集電体の両面に負極活性物質を塗布して形成された負極活物質層よりなる負極とを備えている。かかる正極と負極は、ポリプロピレンフィルムよりなるセパレータを介して捲回されて捲回電極体を構成している。なお、特許文献1では、正極活物質層は「正極合剤層」と称されている。また、負極活物質層は「負極合剤層」と称されている。
 かかる捲回電極体は、上下に絶縁体を載置した状態で電池容器に収納されている。この場合、充電時においてリチウムが析出して電池内部で短絡が生じることを防止するために、正極に対向する負極は、幅及び長さについて正極よりも大きく形成されている。かかる二次電池では、捲回電極体の巻き始めの部分と巻き終わりの部分に、負極活物質層と正極活物質層とが対向していない部分が生じている。
 当該特許文献1では、かかる二次電池では、負極活物質層と正極活物質層とが対向していない部分にリチウムイオン(Li)が拡散するために、電池容量が劣化するとされている。そこで、当該特許文献1では、負極活物質層のうち、捲回電極体の正極活物質層と対向していない部分を、電解液に溶けない絶縁性樹脂で被覆することが開示されている。これにより、絶縁性樹脂で被覆された部分が電池の充電時において電解液との反応に全く関与しない状態で保持される。このため、負極活物質層と正極活物質層とが対向していない部分にリチウムイオンが拡散するのが防止される旨が記載されている。このような事項は、例えば、特許文献1の段落0030、0041に記載されている。
 特許文献2は、特許文献1とは直接関連しない。特許文献2には、金属リチウムの析出を防止するべく、正極活物質層に対して負極活物質層の幅が広い二次電池が開示されている。ここで開示されている二次電池は、正極活物質層と負極活物質層との間にセパレータを介在させた状態において、負極活物質層が正極活物質層を覆うように重ねられている。かかる二次電池によれば、例えば、充電時において、正極活物質層からリチウムイオンが放出された場合において、リチウムイオンはより確実に負極活物質層に吸蔵される。これにより、金属リチウムが析出するのが防止されている。
日本国特許出願公開平成7-130389号公報 日本国特許出願公開2005-190913号公報
 ところで、金属リチウムが析出するのを防止する構成として、正極活物質層と負極活物質層との間にセパレータを介在させた状態ではあるが、負極活物質層と正極活物質層とを重ねることが知られている。かかる構成では、負極活物質層には、正極活物質層に対向している部位と正極活物質層に対向していない部位とが生じる場合がある。充電時、負極活物質層には、リチウムイオンが吸蔵される。この際、負極活物質層のうち正極活物質層に対向していない部位でも、リチウムイオンが吸蔵され得る。これに対して、放電時には、負極活物質層に吸蔵されたリチウムイオンは放出される。
 ところで、かかる二次電池では、このように充電や放電が繰り返される場合において、電池容量が低下することがある。理論上は、充電時において電池の反応に活用されるリチウムイオンが多いほど、電池容量が大きくなると考えられる。電池容量が低下する要因について、本発明者は、リチウムイオンの一部が実質的に電池の反応に活用されなくなるためと考えている。
 リチウムイオンの一部が実質的に電池の反応に活用されなくなる事象の一つとして、負極活物質層のうち正極活物質層に対向していない部位にリチウムイオンが定着することを考えている。すなわち、負極活物質層には、正極活物質層に対向している部位と正極活物質層に対向していない部位とがある場合がある。負極活物質層のうち正極活物質層に対向していない部位では、正極活物質層に対向していないがゆえに、正極活物質層に対向している部位に比べて、リチウムイオンが放出され難い。
 このため、負極活物質層のうち正極活物質層に対向していない部位に吸蔵されたリチウムイオンは、電池の充放電において徐々に活用され難くなる。すなわち、電池に含まれるリチウムイオンの一部が、負極活物質層のうち正極活物質層に対向していない部位に実質的に定着し、電池の反応において活用されなくなる。リチウムイオンの一部が電池の反応に活用されなくなることは、電池容量が低下する要因になり得る。
 本発明では、二次電池は、正極集電体と、正極集電体に保持された正極活物質層と、負極集電体と、負極集電体に保持され、正極活物質層を覆う負極活物質層と、正極活物質層と負極活物質層との間に介在したセパレータとを備えている。ここで、正極活物質層に対向している部位における負極活物質層の平衡電位Eaが、正極活物質層に対向していない部位の負極活物質層の平衡電位Ebよりも高い(Ea>Eb)。
 この場合、正極活物質層に対向している部位における負極活物質層の平衡電位Eaが、正極活物質層に対向していない部位の負極活物質層の平衡電位Ebよりも高い(Ea>Eb)。このため、負極活物質層のうち正極活物質層に対向していない部位に、リチウムイオンが実質的に定着するのを防止することができる。これによって電池容量が低下するのを小さく抑えることができる。
 この場合において、負極活物質層は、正極活物質層に対向している部位と、正極活物質層に対向していない部位とで、異なる負極活物質が用いられていてもよい。また、少なくとも当該二次電池が繰り返し充放電され得る充電状態の範囲において、平衡電位Eaが平衡電位Ebよりも高いとよい。また、正極集電体と負極集電体はそれぞれ帯状のシート状であり、正極活物質層は、正極集電体に予め定められた面積で保持されており、負極活物質層は、正極活物質層よりも広い面積で負極集電体に保持されているとよい。
図1は、リチウムイオン二次電池の構造の一例を示す図である。 図2は、リチウムイオン二次電池の捲回電極体を示す図である。 図3は、図2中のIII-III断面を示す断面図である。 図4は、正極活物質層の構造を示す断面図である。 図5は、負極活物質層の構造を示す断面図である。 図6は、捲回電極体の未塗工部と電極端子との溶接箇所を示す側面図である。 図7は、リチウムイオン二次電池の充電時の状態を模式的に示す図である。 図8は、リチウムイオン二次電池の放電時の状態を模式的に示す図である。 図9は、サイクリックボルタモグラムを得る装置の構成例を示す図である。 図10は、リチウムイオン二次電池の構造を模式的に示す図である。 図11は、負極活物質層を形成する工程を示す図である。 図12は、電極材料塗布装置を示す図である。 図13は、ラミネート型の試験電池の構造を模式的に示す図である。 図14は、負極活物質層の平衡電位の測定例を示すグラフである。 図15は、評価試験における充放電サイクルの工程を示す工程図である。 図16は、二次電池を搭載した車両を示す図である。
 以下、本発明の一実施形態に係る二次電池を図面に基づいて説明する。ここでは、リチウムイオン二次電池を例に挙げて二次電池を説明する。なお、同じ作用を奏する部材、部位には適宜に同じ符号を付している。また、各図面は、模式的に描いており、必ずしも実物を反映しない。また、各図面は、一例を示すのみであり、各図面は、特に言及されない限りにおいて本発明を限定しない。
 図1は、リチウムイオン二次電池100を示している。このリチウムイオン二次電池100は、図1に示すように、捲回電極体200と電池ケース300とを備えている。また、図2は、捲回電極体200を示す図である。図3は、図2中のIII-III断面を示している。
 捲回電極体200は、図2に示すように、正極シート220、負極シート240およびセパレータ262、264を有している。正極シート220、負極シート240およびセパレータ262、264は、それぞれ帯状のシート材である。
≪正極シート220≫
 正極シート220は、図2に示すように、帯状の正極集電体221(正極芯材)を有している。正極集電体221には、例えば、正極に適する金属箔が好適に使用され得る。この正極集電体221には、所定の幅を有する帯状のアルミニウム箔が用いられている。また、正極シート220は、未塗工部222と正極活物質層223とを有している。未塗工部222は正極集電体221の幅方向片側の縁部に沿って設定されている。正極活物質層223は、正極活物質を含む層である。正極活物質層223は、正極集電体221に設定された未塗工部222を除いて、正極集電体221の両面に形成されている。
≪正極活物質層223、正極活物質610≫
 ここで、図4は、リチウムイオン二次電池100の正極シート220の断面図である。なお、図4において、正極活物質層223の構造が明確になるように、正極活物質層223中の正極活物質610と導電材620とバインダ630とを大きく模式的に表している。正極活物質層223には、図4に示すように、正極活物質610や導電材620やバインダ630が含まれている。
 正極活物質610には、リチウムイオン二次電池の正極活物質として用いられる物質を使用することができる。正極活物質610の例を挙げると、LiNiCoMnO(リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物)、LiNiO(ニッケル酸リチウム)、LiCoO(コバルト酸リチウム)、LiMn(マンガン酸リチウム)、LiFePO(リン酸鉄リチウム)などのリチウム遷移金属酸化物が挙げられる。ここで、LiMnは、例えば、スピネル構造を有している。また、LiNiOやLiCoOは層状の岩塩構造を有している。また、LiFePOは、例えば、オリビン構造を有している。オリビン構造のLiFePOには、例えば、ナノメートルオーダーの粒子がある。また、オリビン構造のLiFePOは、さらにカーボン膜で被覆することができる。
≪導電材620≫
 導電材620としては、例えば、カーボン粉末やカーボンファイバーなどのカーボン材料が例示される。このような導電材から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末などのカーボン粉末を用いることができる。
≪バインダ630≫
 また、バインダ630は、正極活物質610や導電材620の各粒子を結着させたり、これらの各粒子と正極集電体221とを結着させたりする。かかるバインダ630としては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、水性溶媒を用いた正極合剤組成物においては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロース系ポリマー、また例えば、ポリビニルアルコール(PVA)や、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系樹脂、酢酸ビニル共重合体やスチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)などのゴム類;などの水溶性または水分散性ポリマーを好ましく採用することができる。また、非水溶媒を用いた正極合剤組成物においては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリルニトリル(PAN)などのポリマーを好ましく採用することができる。上記で例示したポリマー材料は、バインダとしての機能の他に、上記組成物の増粘剤その他の添加剤としての機能を発揮する目的で使用されることもあり得る。
≪増粘剤、溶媒≫
 正極活物質層223は、例えば、上述した正極活物質610や導電材620を溶媒にペースト状(スラリ状)に混ぜ合わせた正極合剤を作成し、正極集電体221に塗布し、乾燥させ、圧延することによって形成されている。この際、溶媒としては、水性溶媒および非水溶媒の何れも使用可能である。非水溶媒の好適な例としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)が挙げられる。
 正極合剤全体に占める正極活物質の質量割合は、凡そ50wt%以上(典型的には50~95wt%)であることが好ましく、通常は凡そ70~95wt%(例えば75~90wt%)であることがより好ましい。また、正極合剤全体に占める導電材の割合は、例えば凡そ2~20wt%とすることができ、通常は凡そ2~15wt%とすることが好ましい。バインダを使用する組成では、正極合剤全体に占めるバインダの割合を例えば凡そ1~10wt%とすることができ、通常は凡そ2~5wt%とすることが好ましい。
≪負極シート240≫
 負極シート240は、図2に示すように、帯状の負極集電体241(負極芯材)を有している。負極集電体241には、例えば、負極に適する金属箔が好適に使用され得る。この実施形態では、負極集電体241には、所定の幅を有する帯状の銅箔が用いられている。また、負極シート240は、未塗工部242と、負極活物質層243とを有している。未塗工部242は負極集電体241の幅方向片側の縁部に沿って設定されている。負極活物質層243は、負極活物質を含む層である。負極活物質層243は、負極集電体241に設定された未塗工部242を除いて、負極集電体241の両面に形成されている。
≪負極活物質層243≫
 図5は、リチウムイオン二次電池100の負極シート240の断面図である。また、図5において、負極活物質層243の構造が明確になるように、負極活物質層243中の負極活物質710とバインダ730を大きく模式的に表している。ここでは、負極活物質710は、いわゆる鱗片状(Flake Graphite)黒鉛が用いられた場合を図示しているが、負極活物質710は、図示例に限定されない。負極活物質層243には、図5に示すように、負極活物質710や増粘剤(図示省略)やバインダ730などが含まれている。負極活物質層243に含まれる負極活物質710については後で述べる。
≪セパレータ262、264≫
 セパレータ262、264は、正極シート220と負極シート240とを隔てる部材である。この例では、セパレータ262、264は、微小な孔を複数有する所定幅の帯状のシート材で構成されている。セパレータ262、264には、例えば、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成された単層構造のセパレータや積層構造のセパレータがある。
≪捲回電極体200≫
 捲回電極体200は、正極活物質層223と負極活物質層243との間にセパレータ262、264を介在させつつ、正極シート220と負極シート240とを重ね、かつ、捲回した電極体である。この実施形態では、図2および図3に示すように、正極シート220と負極シート240とセパレータ262、264は、長さ方向を揃えて、正極シート220、セパレータ262、負極シート240、セパレータ264の順で重ねられている。この実施形態では、セパレータ262、264が介在した状態ではあるが、負極活物質層243は正極活物質層223を覆うように重ねられている。
 さらに、正極シート220の未塗工部222と負極シート240の未塗工部242とは、セパレータ262、264の幅方向において互いに反対側にはみ出るように重ねられている。重ねられたシート材(例えば、正極シート220)は、幅方向に設定された捲回軸周りに捲回されている。なお、かかる捲回電極体200は、正極シート220と負極シート240とセパレータ262、264とを捲回する工程において、各シートの位置をEPC(edge position control)のような位置調整機構で制御しつつ各シートを重ねる。
≪電池ケース300≫
 また、この例では、電池ケース300は、図1に示すように、いわゆる角型の電池ケースであり、容器本体320と、蓋体340とを備えている。容器本体320は、有底四角筒状を有しており、一側面(上面)が開口した扁平な箱型の容器である。蓋体340は、当該容器本体320の開口(上面の開口)に取り付けられて当該開口を塞ぐ部材である。ここで、容器本体320は、例えば、深絞り成形やインパクト成形によって成形することができる。なお、インパクト成形は、冷間での鍛造の一種であり、衝撃押出加工やインパクトプレスとも称される。
 この電池ケース300は、捲回電極体200を収容する空間として、扁平な矩形の内部空間を有している。また、図1に示すように、当該電池ケース300の扁平な内部空間は、捲回電極体200よりも横幅が少し広い。この実施形態では、電池ケース300の内部空間には、捲回電極体200が収容されている。捲回電極体200は、図1に示すように、捲回軸に直交する一の方向において扁平に変形させられた状態で電池ケース300に収容されている。
 また、電池ケース300の蓋体340には、電極端子420、440が取り付けられている。電極端子420、440は、電池ケース300(蓋体340)を貫通して電池ケース300の外部に出ている。また、蓋体340には安全弁360が設けられている。
 捲回電極体200は、電池ケース300(この例では、蓋体340)に取り付けられた電極端子420、440に取り付けられている。捲回電極体200は、捲回軸に直交する一の方向において扁平に押し曲げられた状態で電池ケース300に収納されている。また、捲回電極体200は、セパレータ262、264の幅方向において、正極シート220の未塗工部222と負極シート240の未塗工部242とが互いに反対側にはみ出ている。このうち、一方の電極端子420は、正極集電体221の未塗工部222に固定されており、他方の電極端子440は、負極集電体241の未塗工部242に固定されている。
 また、この例では、図1に示すように、蓋体340の電極端子420、440は、捲回電極体200の未塗工部222、未塗工部242の中間部分224、244に延びている。当該電極端子420、440の先端部420a、440aは、図6に示すように、未塗工部222、242のそれぞれの中間部分に溶接されている。ここで、図6は、捲回電極体200の未塗工部222、242と電極端子420、440との溶接箇所を示す側面図である。
 セパレータ262、264の両側において、正極集電体221の未塗工部222、負極集電体241の未塗工部242はらせん状に露出している。図6に示すように、この実施形態では、これらの未塗工部222、242をその中間部分224、244において、それぞれ寄せ集め、電極端子420、440の先端部420a、440aに溶接している。この際、それぞれの材質の違いから、電極端子420と正極集電体221の溶接には、例えば、超音波溶接が用いられる。また、電極端子440と負極集電体241の溶接には、例えば、抵抗溶接が用いられる。
 このように、捲回電極体200は、扁平に押し曲げられた状態で、蓋体340に固定された電極端子420、440に取り付けられている。かかる捲回電極体200は、容器本体320の扁平な内部空間に収容される。容器本体320は、捲回電極体200が収容された後、蓋体340によって塞がれる。蓋体340と容器本体320の合わせ目322(図1参照)は、例えば、レーザ溶接によって溶接されている。このように、この例では、捲回電極体200は、蓋体340(電池ケース300)に固定された電極端子420、440によって、電池ケース300内に位置決めされている。
≪電解液≫
 その後、蓋体340に設けられた注液孔から電池ケース300内に電解液が注入される。電解液は、この例では、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(例えば、体積比1:1程度の混合溶媒)にLiPFを約1mol/リットルの濃度で含有させた電解液が用いられている。その後、注液孔に金属製の封止キャップを取り付けて(例えば溶接して)電池ケース300を封止する。なお、電解液としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる非水電解液を使用することができる。
≪ガス抜け経路≫
 また、この例では、当該電池ケース300の扁平な内部空間は、扁平に変形した捲回電極体200よりも少し広い。捲回電極体200の両側には、捲回電極体200と電池ケース300との間に隙間310、312が設けられている。当該隙間310、312は、ガス抜け経路になる。
 かかる構成のリチウムイオン二次電池100は、過充電が生じた場合に温度が高くなる。リチウムイオン二次電池100の温度が高くなると、電解液が分解されてガスが発生する。発生したガスは、捲回電極体200の両側における捲回電極体200と電池ケース300との隙間310、312、および、安全弁360を通して、スムーズに外部に排気される。かかるリチウムイオン二次電池100では、正極集電体221と負極集電体241は、電池ケース300を貫通した電極端子420、440を通じて外部の装置に電気的に接続される。
≪正極活物質層223、負極活物質層243≫
 図4に示すように、この実施形態では、正極集電体221の両面にそれぞれ正極合剤が塗工されている。かかる正極合剤の層(正極活物質層223)には、正極活物質610と導電材620が含まれている。図5に示すように、負極集電体241の両面にそれぞれ負極合剤が塗工されている。かかる負極合剤の層(負極活物質層243)には、負極活物質710が含まれている。
≪空孔≫
 また、この実施形態では、正極活物質層223は、例えば、正極活物質610と導電材620の粒子間などに、空洞とも称すべき微小な隙間を有している。かかる正極活物質層223の微小な隙間には電解液(図示省略)が浸み渡り得る。また、負極活物質層243は、例えば、負極活物質710の粒子間などに、空洞とも称すべき微小な隙間を有している。かかる負極活物質層243の微小な隙間には電解液(図示省略)が浸み渡り得る。ここでは、かかる隙間(空洞)を適宜に「空孔」と称する。
 以下、充電時と放電時のリチウムイオン二次電池100の動作を説明する。
≪充電時の動作≫
 図7は、かかるリチウムイオン二次電池100の充電時の状態を模式的に示している。充電時においては、図7に示すように、リチウムイオン二次電池100の電極端子420、440(図1参照)は、充電器290に接続される。充電器290の作用によって、充電時には、正極活物質層223中の正極活物質610(図4参照)からリチウムイオンが電解液280に放出される。また、正極活物質610(図4参照)からは電子が放出される。放出された電子は、図7に示すように、導電材620を通じて正極集電体221に送られ、さらに充電器290を通じて負極へ送られる。また、負極では電子が蓄えられるとともに、電解液280中のリチウムイオンが、負極活物質層243中の負極活物質710(図5参照)に吸収され、かつ、貯蔵される。
≪放電時の動作≫
 図8は、かかるリチウムイオン二次電池100の放電時の状態を模式的に示している。放電時には、図8に示すように、負極から正極に電子が送られるとともに、負極活物質層243に貯蔵されたリチウムイオン(Liイオン)が、電解液280に放出される。また、正極では、正極活物質層223中の正極活物質610に電解液280中のリチウムイオンが取り込まれる。
 このように、リチウムイオン二次電池100の充放電において、電解液280を介して、正極活物質層223と負極活物質層243との間でリチウムイオンが行き来する。このため、正極活物質層223では、電解液280が浸み渡り、リチウムイオンがスムーズに拡散することができる所要の空孔が、正極活物質610(図4参照)の周りや負極活物質710(図5参照)の周りにあることが望ましい。かかる構成によって正極活物質610や負極活物質710の周りに十分なリチウムイオンが存在し得る。このため、電解液280と正極活物質610との間、電解液280と負極活物質710との間でリチウムイオンの行き来がスムーズになる。
 また、充電時においては、正極活物質610から導電材620を通じて正極集電体221に電子が送られる。これに対して、放電時においては、正極集電体221から導電材620を通じて正極活物質610に電子が戻される。正極活物質610はリチウム遷移金属酸化物からなり導電性に乏しい。このため、正極活物質610と正極集電体221との間の電子の移動は、主として導電材620を通じて行なわれる。
 このように、充電時においては、リチウムイオンの移動および電子の移動がスムーズなほど、効率的で急速な充電が可能になると考えられる。また、放電時においては、リチウムイオンの移動および電子の移動がスムーズなほど、電池の抵抗が低下し、放電量が増加するので、電池の出力が向上すると考えられる。また、充電時や放電時に電池反応に活用されるリチウムイオンの数が多いほど、電池容量が多くなると考えられる。
 以下、このリチウムイオン二次電池100の負極活物質層243をより詳細に説明する。この実施形態では、図2および図3に示すように、負極活物質層243の幅b1は正極活物質層223の幅a1よりも少し広い。さらにセパレータ262、264の幅c1、c2は、負極活物質層243の幅b1よりも少し広い(c1、c2>b1>a1)。正極シート220、負極シート240およびセパレータ262、264は、正極シート220、セパレータ262、負極シート240、セパレータ264の順で重ねられている。そして、セパレータ262、264が介在した状態ではあるが負極活物質層243が正極活物質層223を覆い、かつ、セパレータ262、264が負極活物質層243を覆っている。
 このため、負極活物質層243は、正極活物質層223に対向している部位243aと、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2とを有している。この実施形態では、負極活物質層243の幅方向の中間部分に、正極活物質層223に対向している部位243aが設けられている。また、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2は、負極活物質層243の幅方向の両側に正極活物質層223に設けられている。このうち、正極活物質層223に対向していない部位243b1は、負極シート240の未塗工部242に沿って設けられている。正極活物質層223に対向していない部位243b2は、負極シート240の未塗工部242とは反対側の縁に沿って設けられている。
≪負極活物質層243の平衡電位≫
 この実施形態では、負極活物質層243は、正極活物質層223に対向している部位243aの平衡電位Eaが、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2の平衡電位Ebよりも高い(Ea>Eb)。
≪平衡電位≫
 ここで、「平衡電位」は、電解液中に浸された試験電極上において酸化体が還元される反応と還元体が酸化される反応とが平衡しているときに示される電位である。かかる平衡電位(equilibrium potential)は、電極電位とも称される。
 この実施形態では、負極活物質層243には、平衡電位が高い部位243aと低い部位243b1、243b2とがある。この場合、放電時において、負極活物質層243のうち平衡電位が低い部位243b1、243b2は、負極活物質層243のうち平衡電位が高い部位243aよりも、リチウムイオンを放出し易いとの傾向がある。また、充電時には、負極活物質層243のうち平衡電位が高い部位243aは、平衡電位が低い部位243b1、243b2よりも、リチウムイオンを吸収し易いとの傾向がある。また、負極活物質層243のうち平衡電位が低い部位243b1、243b2から平衡電位が高い部位243aにリチウムイオンが実質的に移動する事象が見られる。
 換言すれば、放電時において、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2(平衡電位が低い部位)は、正極活物質層223に対向している部位243a(平衡電位が高い部位)よりも、リチウムイオンを放出し易いとの傾向がある。また、充電時には、正極活物質層223に対向している部位243aは、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2よりも、リチウムイオンを吸収し易いとの傾向がある。このようなことから正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2から正極活物質層223に対向している部位243aにリチウムイオンが実質的に移動する事象が見られる。
≪平衡電位の測定方法≫
 なお、負極活物質層の平衡電位は、例えば、サイクリックボルタモグラム(cyclic
voltammogram)で求めることができる。図9は、かかるサイクリックボルタモグラムを得る装置800の構成例を示している。かかるサイクリックボルタモグラムを得るには、例えば、図9に示すように、測定対象となる試験用電極810と、基準電極820を用意する。試験用電極810は、ここでは、集電体812に、評価対象となる活物質層814が形成されている。また、基準電極820は、集電体822に、金属リチウム824を保持させた電極が用いられている。
 かかる装置800では、図9に示すように、評価対象となる活物質層814と、セパレータ830を介在させた状態で基準電極820とを対向させ、かつ、電解液に浸したセルを用意する。試験用電極810と基準電極820を、試験用電極810と基準電極820との間に所定の電位差を付与し、サイクリックボルタモグラムを得る測定装置840に接続する。そして、低電流(例として1/10C)で充電時のSOC-電圧特性および同条件での放電時のSOC-電圧特性との電圧値の平均値を平衡電位としてもよい。
 ここでは、試験用電極810の集電体812は、負極シート240に用いられる負極集電体241と同じ材料が用いられている。また、試験用電極810の活物質層814には、負極活物質層243のうち正極活物質層223に対向している部位243aや、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2の活物質層が再現されている。
 すなわち、ここでは、測定対象となる電極810として、活物質層814に正極活物質層223に対向している部位243aと同様の活物質層を有する電極や、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2と同様の活物質層を有する電極を用意する。
 次に、かかる装置800によって、各試験用電極810について、それぞれ上記のサイクリックボルタモグラムを基に平衡電位を求める。そして、各試験電極の平衡電位を基に、正極活物質層223に対向している部位243aの平衡電位Eaと、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2の平衡電位Ebを推測するとよい。
 なお、ここで、平衡電位は、セルの充電状態によって変化する。このため、特に、リチウムイオン二次電池100が通常使用される充電状態(SOC:state of charge)の範囲を考慮して、平衡電位を推測するとよい。この際、リチウムイオン二次電池100の通常使用される状態で負極活物質層243に作用する電位の範囲を考慮して、サイクリックボルタモグラムを求めるとよい。例えば、サイクリックボルタモグラムを得る際にセルに印加印加する電位を、リチウムイオン二次電池100の通常使用される状態で負極活物質層243に作用する電位の範囲を考慮して定めるとよい。そして、かかるサイクリックボルタモグラムに基づいて、正極活物質層223に対向している部位243aの平衡電位と、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2の平衡電位を推測するとよい。
 このため、少なくとも当該リチウムイオン二次電池100が繰り返し充放電され得る充電状態の範囲において、正極活物質層223に対向している部位243aの平衡電位Eaが、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2の平衡電位Ebよりも高い(Ea>Eb)とよい。これにより、リチウムイオンが正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2に定着するのをより確実に防止できる。
 図10は、かかるリチウムイオン二次電池100の構造を模式的に示している。図10では、捲回電極体200(図1参照)中の負極活物質層243と正極活物質層223を、幅方向(例えば、正極シート220の幅方向)で切断した断面を示している。なお、図10では、正極活物質層223は正極集電体221の片面に形成された正極活物質層223のみが示されている。また、負極活物質層243は負極集電体241の片面に形成された負極活物質層243のみが示されている。また、セパレータ262、264は、破線で簡単に示されている。
 また、この実施形態では、上述したように負極活物質層243の幅方向の中間部分が正極活物質層223に対向しているが、負極活物質層243の幅方向の両側は正極活物質層223に対向していない。図10では、この点を明確にするために、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2の幅は、実際よりも大きく図示されている。
 この実施形態では、負極活物質層243のうち正極活物質層223に対向している部位243aの平衡電位Eaが、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2の平衡電位Ebよりも高い(Ea>Eb)。放電時において、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2(平衡電位が低い部位)は、正極活物質層223に対向している部位243a(平衡電位が高い部位)よりも、リチウムイオンを放出し易い傾向がある。また、充電時には、正極活物質層223に対向している部位243aは、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2よりも、リチウムイオンを吸収し易い傾向がある。また、このようなことから正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2から正極活物質層223に対向している部位243aにリチウムイオンが実質的に移動する事象が見られる。
 かかるリチウムイオン二次電池100によれば、負極活物質層243のうち、正極活物質層223に対向している部位243aの平衡電位Eaは、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2の平衡電位Ebよりも高い(Ea>Eb)。
 このため、負極活物質層243のうち正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2に吸蔵されたリチウムイオンが、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2に定着することがない。これにより、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2に吸蔵されたリチウムイオンは、後の電池の反応において活用され、電池容量が低下するのを小さく抑えることができる。
 リチウムイオン二次電池100は、特に、繰り返し充放電される用途でも、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2にリチウムイオンが定着するのをより確実に防止できる。このため、リチウムイオン二次電池100は、繰り返し充放電されるような用途においても、電池容量が低下するのをより小さく抑えることができる。
 また、この実施形態では、正極集電体221と負極集電体241はそれぞれ帯状のシート状である。そして、正極活物質層223は、正極集電体221に予め定められた面積で保持されている。また、負極活物質層243は、正極活物質層223よりも広い面積で正極集電体221に保持されている。そして、セパレータ262、264が介在した状態ではあるが、負極活物質層243が正極活物質層223を覆っている。このため、負極活物質層243には、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2が存在する。
 かかる正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2は、正極活物質層223から放出されるリチウムイオンをより確実に補足することができる。このため、リチウムイオン二次電池100内でリチウムが析出するのをより確実に防止できる。さらに、かかる正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2の平衡電位Ebが、正極活物質層223に対向している部位243aの平衡電位Eaよりも低い(Ea>Eb)。このため、リチウムイオン二次電池100は、負極活物質層243に正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2があるにも拘らず、当該部位243b1、243b2にリチウムイオンが定着され難く、電池容量が低下し難い。
 この実施形態では、負極活物質層243は、正極活物質層223に対向している部位243aと、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2とで、異なる負極活物質が用いられている。これにより、負極活物質層243のうち正極活物質層223に対向している部位243aの平衡電位Eaと、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2とで平衡電位Ebとに差を付けている。
 なお、製造方法によっては、厳密には、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2と、正極活物質層223に対向している部位243aとで用いられている負極活物質が完全に異ならせることが難しい場合がある。
 ここでは、負極活物質層243に複数の種類の負極活物質が用いられているとよい。具体的には、負極活物質層243には、相対的に平衡電位が高くなるのに寄与する負極活物質と、相対的に平衡電位が低くなるのに寄与する負極活物質とが用いられている。そして、正極活物質層223に対向している部位243aでは、平衡電位Eaが高くなるのに寄与する負極活物質の割合が、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2よりも高いとよい。反対に、正極活物質層223に対向している部位243aでは、平衡電位Eaが低くなるのに寄与する負極活物質の割合が、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2よりも低いとよい。
 この場合、例えば、正極活物質層223に対向している部位243aでは、平衡電位Eaが高くなるのに寄与する負極活物質の重量割合が、70wt%以上(より好ましくは80wt%以上、さらに好ましくは90wt%以上)であるとよい。これに対して、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2では、平衡電位Eaが低くなるのに寄与する負極活物質の重量割合が、70wt%以上(より好ましくは80wt%以上、さらに好ましくは90wt%以上)であるとよい。
 また、例えば、正極活物質層223に対向している部位243aの平衡電位Eaは、正極活物質層223に対向している部位243aと正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2との境界から、少し離れた部位(例えば、少なくとも5mm、より好ましくは10mm程度離れた部位)において評価するとよい。
≪負極活物質層243に含まれる負極活物質≫
 このように正極活物質層223に対向している部位243aと、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2とで、異なる負極活物質を用いることによって、平衡電位に差が生じる。リチウムイオン二次電池100の負極活物質には、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、天然黒鉛や人造黒鉛のアモルファスカーボンなどの黒鉛(炭素系材料)を用いることができる。かかる黒鉛は、種類によって負極活物質層の平衡電位が異なる。例えば、負極活物質層の平衡電位を異ならせるのに寄与する黒鉛として、易黒鉛化性炭素(soft carbon)や、難黒鉛化性炭素(hard carbon)や、黒鉛質材料(graphite)がある。
≪易黒鉛化性炭素≫
 ここでは、易黒鉛化性炭素は、黒鉛化が進行し易い炭素質材料である。易黒鉛化性炭素には、例えば、コークスを1000℃~2000℃程度の高温雰囲気で熱処理した炭素材料が挙げられる。かかる炭素材料は、機械強度が低く「ソフトカーボン」とも称される。
≪難黒鉛化性炭素≫
 難黒鉛化性炭素は、黒鉛化が進み難い炭素質材料である。難黒鉛化性炭素は、微小な黒鉛の結晶がランダムな方向に配置されており、結晶と結晶の間に数nm程度の大きさの空孔がある。難黒鉛化性炭素は、例えば、熱硬化性樹脂を炭素化することによって得られる。熱硬化性樹脂を炭素化した難黒鉛化性炭素は、熱処理温度を高くしても黒鉛構造は発達しない。負極活物質としての難黒鉛化性炭素は、例えば、フェノール樹脂焼成体、フルフリルアルコール(furfuryl alcohol)樹脂焼成体、ポリアクリルニトリル(PAN:polyacrylonitrile)系炭素繊維、疑似等方性炭素、コーヒー豆や砂糖などの天然素材の焼成体などがある。かかる炭素材料は、上述したソフトカーボンに比べて機械強度が高いことから「ハードカーボン」とも称される。
≪黒鉛質材料≫
 黒鉛質材料は、黒鉛化が進んだ炭素材料である。黒鉛質材料には、例えば、コークスを2000℃以上(例えば、2800℃程度)の高温雰囲気で熱処理した炭素材料が挙げられる。
 本発明者の知見によれば、負極活物質に易黒鉛化性炭素を用いた場合は、負極活物質に難黒鉛化性炭素や黒鉛質材料を用いた場合よりも負極活物質層243の平衡電位が高くなる。また、負極活物質に難黒鉛化性炭素を用いた場合は、負極活物質に黒鉛質材料を用いた場合よりも負極活物質層243の平衡電位が高くなる。
 なお、ここでは、特に、リチウムイオン二次電池100が通常使用される充電状態(SOC:state of charge)の範囲での平衡電位が重要になる。このため、平衡電位は、当該二次電池が繰り返し充放電され得る充電状態の範囲において評価されるとよい。かかる範囲において、負極活物質層の負極活物質に、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、黒鉛質材料を使用した場合について、それぞれ負極活物質層の平衡電位を比べる。リチウムイオン二次電池100の通常の充電状態において、負極活物質層に使われた負極活物質で負極活物質層の平衡電位を評価すると、負極活物質層の平衡電位は、易黒鉛化性炭素>難黒鉛化性炭素>黒鉛質材料の順になる。
 このため、例えば、負極活物質層243の正極活物質層223に対向している部位243aに、負極活物質に難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)が用いられる場合には、負極活物質層243の正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2では負極活物質に黒鉛質材料が用いられるとよい。また、負極活物質層243の正極活物質層223に対向している部位243aにおいて、負極活物質に易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)が用いられている場合には、負極活物質層243の正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2では、負極活物質に難黒鉛化性炭素や黒鉛質材料が用いられるとよい。これにより、負極活物質層243の正極活物質層223に対向している部位243aは、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2よりも高い平衡電位を示す。
≪負極活物質層243の形成方法≫
 図11は、負極活物質層243が形成される工程を示す図である。負極活物質層243は、図11に示すように、負極活物質を含む合剤を負極集電体241に所定の幅で塗布し、乾燥後、圧延して形成される。この負極活物質層243を形成する製造装置においては、図11に示すように、負極集電体241を走行させる走行経路12と、負極集電体241に負極活物質層243となる合剤を塗布する塗布装置14と、負極集電体241に塗布された合剤を乾燥させる乾燥炉16とを備えている。
≪走行経路12≫
 走行経路12は、負極集電体241を走行させる経路である。この実施形態では、走行経路12には、負極集電体241を走行させる所定の経路に沿って複数のガイド12bが配置されている。走行経路12の始端には、負極集電体241を供給する供給部32が設けられている。供給部32には、予め巻き芯32aに巻き取られた負極集電体241が配置されている。供給部32からは適宜に適当な量の負極集電体241が走行経路12に供給される。また、走行経路12の終端には負極集電体241を回収する回収部34が設けられている。回収部34は、走行経路12で所定の処理が施された負極集電体241を巻き芯34aに巻き取る。
 この実施形態では、回収部34には、例えば、制御部34bとモータ34cとが設けられている。制御部34bは、回収部34の巻き芯34aの回転を制御するためのプログラムが予め設定されている。モータ34cは、巻き芯34aを回転駆動させるアクチュエータであり、制御部34bに設定されたプログラムに従って駆動する。かかる走行経路12には、電極材料塗布装置14と、乾燥炉16とが順に配置されている。
≪電極材料塗布装置14(塗布工程)≫
 この実施形態では、その後の捲回電極体200(図2参照)において、正極活物質層223に対向する部位243aと、正極活物質層223に対向しない部位243b1、243b2とで、負極活物質層243に含まれる負極活物質を異ならせている。このため、電極材料塗布装置14は、正極活物質層223に対向する部位243aと、正極活物質層223に対向しない部位243b1、243b2とで、異なる負極活物質を含む合剤を塗布する。
 電極材料塗布装置14は、図11に示すように、流路41、42と、フィルタ43、44と、塗布部45とを備えている。この実施形態では、電極材料塗布装置14は、走行経路12に配設されたバックロール46を走行する負極集電体241に対して合剤を塗布するように構成されている。このため、この実施形態では、電極材料塗布装置14は、さらにタンク47、48と、ポンプ49、50とを備えている。ここで、タンク47、48は、それぞれ異なる合剤を貯留した容器である。ポンプ49、50は、それぞれタンク47、48から流路41、42に合剤を送り出す装置である。
≪流路41、42≫
 流路41、42は、それぞれ溶媒に負極活物質が分散したスラリーが流通し得る流路である。この実施形態では、流路41、42は、それぞれタンク47、48から塗布部45へ至っている。フィルタ43、44は、流路41、42内に配置されている。この実施形態では、タンク47、48には、相対的に平衡電位が高い負極活物質層を形成するのに用いられる第1合剤と、相対的に平衡電位が低い負極活物質層を形成するのに用いられる第2合剤とが用意されている。第1合剤と第2合剤は、上述したように溶媒に含まれる負極活物質の種類が異なっている。また、第1合剤と第2合剤とは、容易に混ざり合わないことが好ましく、例えば、固形分濃度が調整されている。
≪塗布部45≫
 塗布部45は、負極集電体241に対し、正極活物質層223に対向している部位243aに平衡電位が高い負極活物質を含む第1合剤を塗布する。また、塗布部45は、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2に、平衡電位が低い負極活物質を含む第2合剤を塗布する。この実施形態では、塗布部45には、例えば、図12に示すように、横長の吐出口62を有するダイ60が用いられている。ダイ60の吐出口62は、中間部分62aと両側部62b1、62b2とが仕切られている。
 ダイ60の内部には、それぞれ中間部分62aと両側部62b1、62b2に連なる流路が形成されている。吐出口62の中間部分62aは、第1合剤が供給される流路41に連通している。また、吐出口62の両側部62b1、62b2は、第2合剤が供給される流路42に連通している。第1合剤は、相対的に平衡電位が高い負極活物質層を形成するのに用いられる合剤である。第2合剤は相対的に平衡電位が低い負極活物質層を形成するのに用いられる合剤である。このため、吐出口62の中間部分62aは、相対的に平衡電位が高い負極活物質層を形成するのに用いられる第1合剤を吐出する。また、吐出口62の両側部62b1、62b2は、相対的に平衡電位が低い負極活物質層を形成するのに用いられる第2合剤を吐出する。
 かかるダイ60は、正極活物質層223に対向している部位243aに第1合剤が塗布されるように、当該部位243aに吐出口62の中間部分62aを合わせて配置される。この際、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2に第2合剤が塗布されるように、当該部位243b1、243b2に吐出口62の両側部62b1、62b2が合わせられる。
 これにより、正極活物質層223に対向している部位243aに第1合剤を塗布し、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2に第2合剤を塗布することができる。そして、このように正極活物質層223に対向している部位243aに第1合剤が塗布され、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2に第2合剤が塗布された負極集電体241は、乾燥炉16(図11参照)に供給される。
 これにより、図2に示すように、正極活物質層223に対向している部位243aの平衡電位Eaが、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2の平衡電位Ebよりも高い(Ea>Eb)、負極活物質層243を形成することができる。このように、電極材料塗布装置14は、それぞれ仕切られた複数の吐出口62a、62b1、62b2と、複数の吐出口62a、62b1、62b2にそれぞれ合剤を供給する複数の流路41、42とを備えているとよい。
≪試験的評価≫
 本発明者は、かかる負極シート240の作用効果を評価するべく試験をした。図13は、かかる試験で用いられたラミネート型の試験電池100Aを示している。試験電池100Aは、正極集電体221Aの片面に正極活物質層223Aが形成された正極シート220Aと、負極集電体241Aの片面に負極活物質層243Aが形成された負極シート240Aとを備えている。負極活物質層243Aは、正極活物質層223Aよりも面積が広い。この負極活物質層243Aは、セパレータ262Aを介在させた状態ではあるが、正極活物質層223Aと対向している。また、正極集電体221Aと、負極集電体241Aは、それぞれ未塗工部222A、242Aを備えている。正極集電体221Aと、負極集電体241Aは、当該未塗工部222A、242Aを通じて測定装置270に接続されている。
 ここでは、正極の理論容量と負極の理論容量との比が、1:1.5になるように、正極シート220Aの正極活物質層223Aに対して、負極活物質層243Aの電気的な容量を調整した。なお、ここでは、正極活物質層223を5cm×5cmの正方形とし、負極活物質層243Aを9cm×9cmの正方形とした。そして、長さ方向、および、幅方向において、それぞれ2cmずつ対向しない領域ができるように、正極活物質層223と負極活物質層243Aとを重ねた。
≪正極シート220A≫
 ここで、正極シート220Aは、正極活物質層223に含まれる正極活物質としてLiFePOが用いられている。導電材にアセチレンブラック(AB)、結着剤としてPVDFを用いた。ここで、正極活物質層223Aを形成する際の合剤には、LiFePOと、ABと、PVDFを、重量割合にて、LiFePO:AB:PVDF=85:5:10とし、NMPを分散溶媒として混合した合剤を用意した。そして、かかる合剤を、正極集電体221Aとしてのアルミニウム箔の上に塗布し、乾燥させ、ロールプレスによる圧延を行なって、正極シート220Aを形成した。
 ≪セパレータ262A、電解液≫
 ここでは、セパレータ262Aには、ポリプロピレンとポリエチレンの複合材料からなる多孔質膜が用いられている。また、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比率において、5:5で配合し、LiPfを1モル溶解させた電解液が用いられている。
≪負極シート240A≫
 負極シート240Aは、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向している部位243A1と、正極活物質層223Aに対向していない部位243A2とに含まれる負極活物質を変えた複数のサンプル(例えば、表1のサンプル1~7)を形成した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 負極活物質層243Aを形成する際の合剤は、結着剤としてスチレンブタジエン共重合体(SBR)、増粘材としてカルボキシメチルセルロース(CMC)、溶媒として水を用いた。また、負極活物質として適当な複数種類の炭素材料を用意した。ここでは、負極活物質として炭素材料と、結着剤(SBR)と、増粘材(CMC)とを、所定の重量割合で、溶媒としての水に混合した。ここで、炭素材料とSBRとCMCの重量割合は、炭素材料:SBR:CMC=95:2.5:2.5にした。そして、かかる合剤を、負極集電体241としての銅箔の上に塗布し、乾燥させ、ロールプレスによる圧延を行なって、負極シート240Aを形成した。
≪サンプル1~7≫
 サンプル1~7では、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向している部位243A1と、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向していない部位243A2とに含まれる負極活物質が異なる。また、サンプル1~7は、かかる部位243A1と243A2に含まれる負極活物質を除き、同じ構成にした。
 ここで、サンプル1では、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向している部位243A1と、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向していない部位243A2とに含まれる負極活物質が共に黒鉛質材料(黒鉛系の炭素材料)である。
 サンプル2では、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向している部位243A1と、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向していない部位243A2とに含まれる負極活物質が共に易黒鉛化性炭素である。
 サンプル3では、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向している部位243A1と、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向していない部位243A2とに含まれる負極活物質が共に難黒鉛化性炭素である。
 サンプル1~3では、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向している部位243A1と、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向していない部位243A2とに含まれる負極活物質がそれぞれ同じである。このため、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向している部位243A1の平衡電位Eaと、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向していない部位243A2の平衡電位Ebとは、概ね差がない(Ea=Eb)。
 サンプル4では、負極活物質層243Aのうち、正極活物質層223Aに対向している部位243A1に含まれる負極活物質が黒鉛質材料である。また、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向していない部位243A2に含まれる負極活物質は難黒鉛化性炭素である。かかるサンプル4では、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向している部位243A1の平衡電位Eaは、正極活物質層223Aに対向していない部位243A2の平衡電位Ebよりも低い(Eb>Ea)。
 これに対して、サンプル5では、負極活物質層243Aのうち、正極活物質層223Aに対向している部位243A1に含まれる負極活物質が易黒鉛化性炭素である。また、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向していない部位243A2に含まれる負極活物質が黒鉛質材料である。かかるサンプル5では、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向している部位243A1の平衡電位Eaは、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向していない部位243A2の平衡電位Ebよりも高い(Ea>Eb)。
 サンプル6では、負極活物質層243Aのうち、正極活物質層223Aに対向している部位243A1に含まれる負極活物質が難黒鉛化性炭素である。また、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向していない部位243A2に含まれる負極活物質が黒鉛質材料である。かかるサンプル6では、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向している部位243A1の平衡電位Eaは、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向していない部位243A2の平衡電位Ebよりも高い(Ea>Eb)。
 サンプル7では、負極活物質層243Aのうち、正極活物質層223Aに対向している部位243A1に含まれる負極活物質が易黒鉛化性炭素である。また、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向していない部位243A2に含まれる負極活物質が難黒鉛化性炭素である。かかるサンプル7では、負極活物質層243Aの正極活物質層223Aに対向している部位243A1の平衡電位Eaは、正極活物質層223Aに対向していない部位243A2の平衡電位Ebよりも高い(Ea>Eb)。
 なお、図14は、負極活物質として黒鉛質材料が用いられた負極活物質層の平衡電位v1、負極活物質として難黒鉛化性炭素が用いられた負極活物質層の平衡電位v2、および、負極活物質として易黒鉛化性炭素が用いられた負極活物質層の平衡電位v3を、それぞれ示している。図14では、基準電極に金属リチウムが用いられており、横軸に充電状態、縦軸に平衡電位が示されている。なお、ここでの平衡電位の測定方法は図9に示す例に準じている。ここで用いた易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、黒鉛質材料は、同じ充電状態において、負極活物質層の平衡電位に0.1V以上の差を生じさせる材料を選択的に用いた。
≪評価手法≫
 ここでは、各サンプル1~7の試験電池を、初期工程(コンディショニング工程)として定電流で充放電を行った。その後、正極の理論容量より予測した電池容量の1/3の電流値(例えば、予測した電池容量が300mAhであれば、100mA)で充電上限電圧(例えば、4.1V)まで定電流で充電した。さらに、最終電流値が初期の電流値の1/10になるまで定電圧で充電を行なった。
 次に、図15は、かかる評価試験においてセル容量を測定する工程を示す図である。図15に示すように、正極理論容量より予測した電池容量の1/3の電流値(100mA)で3回、放電と充電を繰り返した。この際、充電時の上限電圧を4.1Vとし、放電時の下限電圧を2.5Vにした。そして、4回目の放電の容量を初期セル容量とした。
 次に、試験電池を60℃の雰囲気の恒温槽に置き、正極の理論容量から予測した電池容量の3倍の電流値(例えば、予測した電池容量が300mAhであれば、900mA)で充放電を1000回繰り返した。ここで、1000回目は、充電した状態で終える。その後、図15に示すように、正極の理論容量より予測した電池容量の1/3の電流値で3回放電と充電を繰り返し、4回目の放電の容量を劣化後セル容量とした。そして、劣化後セル容量を初期セル容量で割って容量維持率(%)を求めた。
 その結果、正極活物質層223Aに対向している部位243A1の平衡電位Eaと、正極活物質層223Aに対向していない部位243A2の平衡電位Ebとで概ね差がないサンプル1~3、および、正極活物質層223Aに対向している部位243A1の平衡電位Eaが、正極活物質層223Aに対向していない部位243A2の平衡電位Ebよりも低いサンプル4では、容量維持率(%)は、82%~84%程度であった。
 これに対して、サンプル5~7は、正極活物質層223Aに対向している部位243A1の平衡電位Eaが、正極活物質層223Aに対向していない部位243A2の平衡電位Ebよりも高い(Ea>Eb)。これらのサンプル5~7では、容量維持率が91%~92%程度と格段に良好な結果が得られた。
 このように、正極活物質層223Aに対向している部位243A1の平衡電位Eaが、正極活物質層223Aに対向していない部位243A2の平衡電位Ebよりも高い(Ea>Eb)ことにより、リチウムイオン二次電池100は容量維持率が向上する。本発明者の知見では、好ましくは、正極活物質層223Aに対向している部位243A1の平衡電位Eaが、正極活物質層223Aに対向していない部位243A2の平衡電位Ebの差は、0.1V以上の差があると、より顕著にその効果が得られる。
 以上、本発明の一実施形態に係る二次電池を説明した。本発明に係る二次電池は、上述した実施形態に限定されない。本発明は、特に言及がない限りにおいて上述した何れの実施形態にも限定されない。
≪他の電池形態≫
 例えば、他の電池形態として、円筒型電池やラミネート型電池などが知られている。円筒型電池は、円筒型の電池ケースに捲回電極体を収容した電池である。また、ラミネート型電池は、正極シートと負極シートとをセパレータを介在させて積層した電池である。
 また、上述したように、本発明は二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池)の容量維持率の向上に寄与し得る。このため、本発明は、経年的な使用に対して容量維持率について要求されるレベルが特に高い、ハイブリッド車や、電気自動車の駆動用電池など車両駆動電源用のリチウムイオン二次電池に好適である。すなわち、リチウムイオン二次電池は、例えば、図16に示すように、自動車などの車両1のモータ(電動機)を駆動させる電池1000として好適に利用され得る。車両駆動用電池1000は、複数の二次電池を組み合わせた組電池としてもよい。
1 車両
12 走行経路
14 電極材料塗布装置
16 乾燥炉
32 供給部
32a 巻き芯
34 回収部
34a 巻き芯
34b 制御部
34c モータ
41、42 流路
43、44 フィルタ
45 塗布部
46 バックロール
47、48 タンク
49、49 ポンプ
60 ダイ
62 吐出口
62a 中間部分(吐出口)
62b1、62b2 両側部(吐出口)
100 リチウムイオン二次電池
100A 試験電池
200 捲回電極体
220、220A 正極シート
221、221A 正極集電体
222、222A 未塗工部
224 未塗工部222の中間部分
223、223A 正極活物質層
240、240A 負極シート
241、241A 負極集電体
242、242A 未塗工部
243、243A 負極活物質層
243a、243A1 正極活物質層に対向している部位
243b1、243b2、243A2 正極活物質層に対向していない部位
244 未塗工部242の中間部分
262、262A、264 セパレータ
270 測定装置
280 電解液
290 充電器
300 電池ケース
310 隙間
320 容器本体
322 蓋体と容器本体の合わせ目
340 蓋体
360 安全弁
420 電極端子(正極)
440 電極端子(負極)
610 正極活物質
620 導電材
630 バインダ
710 負極活物質
730 バインダ
800 装置
810 試験用電極
812 集電体
814 活物質層
820 基準電極
822 集電体
824 金属リチウム
830 セパレータ
840 測定装置
1000 車両駆動用電池

Claims (6)

  1.  正極集電体と、
     前記正極集電体に保持された正極活物質層と、
     負極集電体と、
     前記負極集電体に保持され、前記正極活物質層を覆う負極活物質層と、
     前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に介在したセパレータとを備え、
     前記負極活物質層は、前記正極活物質層に対向している部位の平衡電位Eaが、前記正極活物質層に対向していない部位の平衡電位Ebよりも高い(Ea>Eb)、二次電池。
  2.  負極活物質層は、前記正極活物質層に対向している部位と、前記正極活物質層に対向していない部位とで、異なる負極活物質が用いられている、請求項1に記載された二次電池。
  3.  少なくとも当該二次電池が繰り返し充放電され得る充電状態の範囲において、前記平衡電位Eaが前記平衡電位Ebよりも高い(Ea>Eb)、請求項1又は2に記載された二次電池。
  4.  前記正極集電体と前記負極集電体はそれぞれ帯状のシート状であり、
     前記正極活物質層は、前記正極集電体に予め定められた幅で保持されており、
     前記負極活物質層は、前記正極活物質層よりも広い幅で前記負極集電体に保持されている、請求項1から3までの何れか一項に記載された二次電池。
  5.  請求項1から4までの何れか一項に記載された二次電池を、複数組み合わせた組電池。
  6.  請求項1から4までの何れか一項に記載された二次電池、又は、請求項5に記載された組電池を搭載した、車両。
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