JP7015447B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
Siを構成元素に含む負極活物質は、Liイオンと固溶体や金属間化合物を形成することにより、Liイオンを多量に貯蔵することができる。なかでも、一般式SiOxで表される、Si及びSiO2がミクロに相分離した状態で存在する活物質は、約1500mAh/gと、従来の炭素材料の約4倍もの容量を示すことから、高容量非水電解質二次電池の負極材料として期待されている。
また、段落[0030]には、「図2に示すように、本実施形態における負極は、集電体11と、当該集電体の表面中央部に形成された負極活物質層15とを有する。図2に示す形態において、負極活物質層15は、リチウムと合金化しうる元素であるケイ素(Si)を含有する負極活物質(合金系負極活物質)である酸化ケイ素(SiO)を含む。」との記載があり、段落[0031]には、「そして、集電体11の表面の負極活物質層15の外周部には、負極活物質層15よりも厚さの大きい緩衝層23が形成されている。緩衝層23は、導電助剤として、アセチレンブラック(AB)を含む。また、これに加えて、緩衝層23は、バインダとして、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む。かような構成によって、緩衝層23のヤング率は負極活物質層15のヤング率よりも小さくなるように制御されている。」との記載があり、段落[0042]には、「緩衝層23は、上述した合金系負極活物質以外の負極活物質(つまり、リチウムと合金化しうる元素を含まない負極活物質)を含んでもよい。かような負極活物質の具体的な種類については、従来公知の知見が適宜参照されうる。例えば、活性炭、グラファイト、ハードカーボンなどの炭素材料・・・・が、負極活物質として緩衝層23に含まれうる。これらの負極活物質が緩衝層23に含まれることで、電池の容量密度の低下を最小限に抑制しつつ、合金系負極活物質の膨張収縮に起因する当該活物質の滑落を効果的に防止することが可能である。」との記載がある。
そして、実施例には、導電助剤であるアセチレンブラック(AB)(90質量部)及びバインダであるポリイミド(PI)(10質量部)、並びに導電助剤であるアセチレンブラック(AB)(85質量部)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)(9質量部)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)(6質量部)を、それぞれスラリー粘度調整溶媒であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)の適量に対して添加して調製した緩衝層形成用スラリーを用いて、負極集電体である銅箔の表面外周縁部に緩衝層を形成した後、該緩衝層の内部領域全体に、合金系負極活物質である酸化ケイ素(SiO)(平均粒子径:8μm)(85質量部)及びバインダであるポリイミド(PI)(15質量部)を、スラリー粘度調整溶媒であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)の適量に対して添加して調製した負極活物質スラリーを用いて負極活物質層を形成して負極を完成させたことが記載されている。(段落[0090]~[0096])
[数3]
α(Si材料)+β(炭素材料) (4)
式中、Si材料は、アモルファスSiO2粒子とSi粒子との混合体であるSiOx(xはSiの原子価を満足する酸素数を表す)およびSi含有合金からなる群から選択される1種または2種以上であり、αおよびβは負極活物質層における各成分の重量%を表し、80≦α+β≦98、3≦α≦40、40≦β≦95である、
で表される負極活物質を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の電気デバイス。」(請求項4)が記載されている。
また、段落[0099]~[0100]には、「従来、一般に、リチウムイオン二次電池等の電気デバイスでは、負極におけるリチウムデンドライトの生成や正負極間での対向ずれといった不具合を抑制してデバイスの性能を向上させる目的で、負極活物質層のサイズを一回り大きく設計することが行われている。本発明者らの検討では、従来このように行われている設計によると、負極活物質層のサイズが正極活物質層に比して相対的に大き過ぎることで、ケイ素含有負極活物質を用いた場合にサイクル耐久性が低下することが判明した。これは、ケイ素含有負極活物質の有する不可逆容量が大きいことに起因するものである。具体的には、不可逆容量の大きいケイ素含有負極活物質を用いて充放電を行うと、充電時において、負極活物質層の正極活物質層と対向した領域(正極対向領域)に吸蔵されたLiが正極活物質層と対向していない領域(正極非対向領域)へと拡散して不可逆化することがある。このような不可逆化は、充放電容量に本来は寄与しないはずの正極非対向領域における不可逆容量によってLiが消費されることを意味する。このため、せっかく潜在的に大きな電気容量を有するケイ素含有負極活物質を用いても、最終的に取り出せる電池容量は低下してしまうことが判明したのである。
これに対し、本実施形態のようにC/Aの値を制御すると、充電の際に負極活物質に吸蔵されたLiが負極活物質層の正極対向領域から正極非対向領域へと移動することによる不可逆化が抑制される。その結果、充放電サイクルの進行に伴う電池容量の低下が防止され、サイクル耐久性に優れた電気デバイスが提供される。」との記載がある。
そして、実施例には、負極活物質としてSiOxを1.00重量部及び黒鉛を8.45重量部、導電助剤としてSuperPを0.20重量部、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を0.35重量部、並びに溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を10.0重量部含む負極用スラリーを用いて作製した、活物質層面積が縦2.6cm×横2.1cm(実施例1)、縦2.55cm×横2.05cm(実施例2)又は縦2.525cm×横2.02cm(実施例3)の負極、及び活物質層面積が縦2.5cm×横2.0cmの正極を備えた発電要素を作製したことが記載されている(段落[0161]~[0170],[0173]~[0175))。
また、段落[0047]~[0048]には、「2つ以上のピークが上記範囲内とすることで、ケイ素酸化物内に生成するSiO2成分の一部をLi化合物へ選択的に変更することができる。
2つ以上のピークが、SiO2、Li4SiO4、Li2SiO3、Li2O、Li2CO3、Li2Si2O5、Li2Si2O3から選ばれる少なくとも2種以上に起因するピークであることが好ましい。
その中でも2つ以上のピークが、Li4SiO4、Li2SiO3、Li2CO3、Li2Oから選ばれる少なくとも2種以上に起因するピークである場合に、特に良い特性を示す。
選択的化合物(Li化合物)の作成方法としては、電気化学法を用いることが好ましい。
電気化学法において、リチウム対極に対する電位規制や電流規制などの条件を変更することで選択的化合物の作製が可能となる。また、選択的化合物は一部電気化学法により生成した後に、炭酸雰囲気下、又は、酸素雰囲気下などで乾燥させることでより緻密な物質を得られる。
電気化学法による改質回数は特に限定しないが、1度のリチウム挿入及び一部離脱よりも複数回リチウム挿入及び一部離脱を行う方がより安定的な物質生成が可能である。この時、挿入電位/電流、離脱電位/電流、改質回数は、負極活物質の特性改善と密接な関係を有している。」との記載がある。
そして、実施例には、金属ケイ素と二酸化ケイ素を混合した原料を反応炉中で気化させて吸着板上に堆積させ、冷却後粉砕した粉末に必要に応じて熱分解CVDで炭素層を被覆し、電気化学法のLi挿入離脱法を用いてバルク内改質を行って作製した、SiO2、Li4SiO4、Li2SiO3等を含む負極活物質を備えたリチウム二次電池が記載されている(段落[0114],[0123],[0127],表2,3等)。
また、段落[0076]には、「このように、正極活物質層223に対向している部位243aと、正極活物質層223に対向していない部位243b1、243b2とで、異なる負極活物質を用いることによって、平衡電位に差が生じる。リチウムイオン二次電池100の負極活物質には、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、天然黒鉛や人造黒鉛のアモルファスカーボンなどの黒鉛(炭素系材料)を用いることができる。かかる黒鉛は、種類によって負極活物質層の平衡電位が異なる。例えば、負極活物質層の平衡電位を異ならせるのに寄与する黒鉛として、易黒鉛化炭素(soft carbon)や、難黒鉛化性炭素(hard carbon)や、黒鉛質材料(graphite)がある。」との記載があり、段落[0080]には、「本発明者の知見によれば、負極活物質に易黒鉛化性炭素を用いた場合は、負極活物質に難黒鉛化性炭素や黒鉛質材料を用いた場合よりも負極活物質層243の平衡電位が高くなる。また、負極活物質層に難黒鉛化性炭素を用いた場合は、負極活物質に黒鉛質材料を用いた場合よりも負極活物質層243の平衡電位が高くなる。」との記載がある。
そして、作用効果を評価するための試験電池として、正極活物質層に対向している部位に易黒鉛化性炭素を備え、正極活物質層に対向していない部位に黒鉛質材料ないし難黒鉛化性炭素を備えた負極シート、及び正極活物質層に対向している部位に難黒鉛化性炭素を備え、正極活物質層に対向していない部位に黒鉛質材料を備えた負極シート、をそれぞれ備えた試験電池が記載されている(段落[0094]~[0095],[0098],表1)。
また、段落[0031]には、「第1負極活物質および第2負極活物質の組み合わせの例として、好ましくは、第1負極活物質が非晶質炭素であり、第2負極活物質が黒鉛である組み合わせ、更に好ましくは第1負極活物質が易黒鉛化性炭素であり、第2負極活物質が黒鉛である組み合わせが挙げられる。」との記載がある。
そして、実施例には、第1負極活物質として易黒鉛化炭素、第2負極活物質として黒鉛を使用した負極板を備えた非水電解質二次電池が記載されている(段落[0049]~[0057])。
負極活物質がSiOxの場合には、充放電サイクルの初期に正極非対向部において上述したLi+を消費する反応が進行するため、正極対向部に吸蔵されたLi+の正極非対向部への拡散が促進されると共に、正極非対向部に拡散したLi+が放電時に正極に一層戻り難くなる結果、従来の炭素材料よりも初期数サイクルにおける効率の低下が顕著になると考えられる。
本実施形態の非水電解質二次電池は、正極集電体上に正極活物質層を有する正極板と、負極集電体上に負極活物質層を有する負極板とを備えている。当該正極板と負極板との間にはセパレータが介在されて電極群が形成され、上記電極群は非水電解質と共に電池ケースに収納される。
図2に、本発明に係る非水電解質二次電池の一実施形態である矩形状の非水電解質二次電池1の概略図を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。図2に示す非水電解質二次電池1は、電極群2が電池容器3に収納されている。電極群2は、正極活物質を備える正極と、負極活物質を備える負極とが、セパレータを介して捲回されることにより形成されている。正極は、正極リード4’を介して正極端子4と電気的に接続され、負極は、負極リード5’を介して負極端子5と電気的に接続されている。
図3及び図4に、本実施形態の非水電解質二次電池における、正極板及び負極板の構造及び配置の概略断面図を示す。図3は、正極板及び負極板の位置関係を説明しており、図4は、負極活物質層の構造及び配置を説明している。図3に示すように、本実施形態の非水電解質二次電池は、正極集電体61上に正極活物質層62を有する正極板6、及び負極集電体71上に負極活物質層72を有する負極板7を備え、負極集電体71上の負極活物質層72は、正極活物質層62と対向する領域(正極対向部)72aと、正極活物質層62に対向しない領域(正極非対向部)72bとを備える。正極対向部72aと正極非対向部72bとの比率は、一般に非水電解質二次電池で採用されている値を採用できる。
ここで、「相互に接触した状態」とは、機能的には、相互にリチウムイオンが伝導しうる状態で接続されていればよく、構造的には、各活物質層が層面の少なくとも一部を露出した状態で、層の端部同士が接触された状態を意味する。図5(a)~(c)に示すような、活物質層同士が一部重なった状態も、ここでいう「相互に接触した状態」に含まれる。
なお、図3~図5では、便宜上、正極集電体61及び負極集電体71の片面に正極活物質層62及び負極活物質層72を設けた場合の例を挙げているが、正極活物質層62及び負極活物質層72は、正極集電体61及び負極集電体71の両面に形成されていてもよい。
また、第2負極活物質層722は、正極非対向部72bのみに配置されてもよく(図4,図6(b),(c))、また正極非対向部72bに配置されつつ、その一部が正極対向部72aに配置されてもよい(図6(a))。
第2負極活物質層722は、非水電解質二次電池の初期効率の向上効果を高める点で、正極対向部72aにも配置されることが好ましい。
第1負極活物質層721に対する第2負極活物質層722の面積比率は、0.01~0.2が好ましく、0.05~0.15がより好ましい。該比率を0.01以上とすることで、正極非対向部の本来の機能である、Li電析の防止効果が確実に得られ、0.2以下とすることで、高容量の非水電解質二次電池が得られる。なお、各負極活物質層の面積は、セパレータ8に対向する面に露出している部分で決定する。その際、複数の正極板、負極板、及びセパレータを積層して極板群を構成する場合は、一枚の負極板7に形成された各負極活物質層721及び722の総面積を該各活物質層の面積とし、長尺シート形状の正極板、負極板、及びセパレータを捲回して極板群を構成する場合は、長尺シート形状の負極集電体上の、幅方向に第1負極活物質層721及び第2負極活物質層722が共に形成された単位長さの領域における各負極活物質層721及び722の総面積を、該各活物質層の面積とする。
本実施形態の負極板7は、上述の構造を有すると共に、負極活物質層72における正極対向部72aがSiOxを備え、負極活物質層72における正極非対向部72bの活物質が含有するSiOxの質量比率が、正極対向部72aよりも小さくなるよう構成される。ここで、ある領域がSiOxを「備える」とは、該領域に含まれる負極活物質の全質量に対するSiOxの質量割合が、概ね5質量%以上であることを意味する。
このように構成された負極板7の詳細を、以下に説明する。
なお、本実施形態における黒鉛とは、層間距離d002が0.34nm未満の炭素材料を指し、易黒鉛化炭素は、層間距離d002が0.34nm以上0.36nm未満、難黒鉛化炭素は、0.36nm以上の炭素材料である。
上述の構造を有する正極板6について、以下に詳細を説明する。
本実施形態に係る非水電解質二次電池に用いる非水電解質に制限はなく、一般に非水電解質二次電池への使用が提案されているものが使用可能である。非水電解質に用いる非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、フッ素化エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル、フッ素化プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジブトキシエタン、メチルジグライム、フッ素化エーテル等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、非水電解質として常温溶融塩やイオン液体を用いてもよい。
セパレータ8としては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。非水電解質二次電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン-エチレン共重合体、フッ化ビニリデン-プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
本実施形態に係る非水電解質二次電池におけるその他の電池の構成要素としては、端子、絶縁板、電池ケース等があるが、本発明の非水電解質二次電池において、これらの構成要素は従来用いられているものをそのまま用いても差し支えない。
本実施形態は、上述の非水電解質二次電池を複数個集合した蓄電装置としても実現することができる。本発明の一態様に係る蓄電装置を図7に示す。図7において、蓄電装置30は、複数の蓄電ユニット20を備えている。それぞれの蓄電ユニット20は、複数の非水電解質二次電池1を備えている。前記蓄電装置30は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として搭載することができる。
(第1負極活物質層の形成)
SiOxと黒鉛を20.4:79.6の質量比率で含有する負極活物質、導電助剤としてカーボンブラック、結着剤としてスチレン-ブタジエンゴム、及び増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを用い、水を分散媒とする第1負極活物質層用ペーストを作製する。該ペースト中の前記負極活物質、前記導電助剤、前記結着剤、及び前記増粘剤の質量比率は、94.8:1.9:2.1:1.2である。この第1負極活物質層用ペーストを、長尺シート形状の負極集電体である厚さ8μmの銅箔の両面に対して、幅方向の両端部を除く中央部に、両面の塗布形状が同じで、かつ幅が正極の正極活物質層と同じになるように塗布し、100℃で乾燥することで、第1負極活物質層を形成する。
負極活物質として黒鉛、結着剤としてスチレン-ブタジエンゴム、及び増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを用い、水を分散媒とする第2負極活物質層用ペーストを作製した。該ペースト中の前記負極活物質、前記結着剤、及び前記増粘剤の質量比率は96.7:2.1:1.2である。この第2負極活物質層用ペーストを、第1負極活物質層が形成された前記銅箔の両面に対して、第1負極活物質層を形成しなかった幅方向の両端部の一部に、両面の塗布形状が同じで、かつ第1負極活物質層と第2負極活物質層とが相互に接触するように塗布し、100℃で乾燥することで第2活物質層を形成し、実施例1に係る負極板を得る。
このとき、長尺シート形状の負極集電体上の、幅方向に第1負極活物質層及び第2負極活物質層を共に形成した単位長さの領域における、第1負極活物質層に対する第2負極活物質層の面積比は、0.09である。
90質量%のLiNi0.333Co0.333Mn0.333O2、5質量%のPVdF及び5質量%のアセチレンブラックを含む混合物に、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を適量加えて正極活物質形成用ペーストを作製する。
厚さ15μmのアルミニウム箔製の正極集電体の両面に、ダイヘッドコータを用いて、前記正極活物質形成用ペーストを、前記負極板上の第1負極活物質層と同形状となるように塗布する。
その後、乾燥処理によってNMPを揮散させた後に、プレス機にて圧延することにより正極活物質層の厚さを調整し、実施例1に係る正極板を作製する。
非水電解質として、フルオロエチレンカーボネート(FEC):エチルメチルカーボネート(EMC)=1:9(体積比)の混合溶媒にLiPF6を1mol/Lとなるように溶解した溶液を用意する。セパレータとして、ポリプロピレン製の微孔膜を用意する。また、外装体として、アルミニウム製の角形電槽缶を用意する。
負極板上の第1負極活物質層が正極板上の正極活物質層と対向するように、前記負極板及び正極板をセパレータを介して配置し、図4に示す態様の電極体を作製した。その後、前記外装体に前記電極体を収納し、正極及び負極を2つの外部端子それぞれに電気的に接続させた後に、ケース本体に蓋板を取り付けた。さらに、前記非水電解質を外装体の蓋板に形成された注液孔から外装体内に注液後、注液孔を封止して、実施例1に係る非水電解質二次電池を作製する。
(第1負極活物質層の形成)
SiOxと黒鉛を68.2:31.8の質量比率で含有する負極活物質、導電助剤としてカーボンブラック、結着剤としてポリアクリル酸ナトリウムを用い、水を分散媒とする第1負極活物質層用ペーストを作製する。該ペースト中の前記負極活物質、前記導電助剤、及び前記結着剤の質量比率は88:2:10である。この第1負極活物質層用ペーストを、実施例1と同様の方法で集電体に塗布及び乾燥することで、第1負極活物質層を形成する。
負極活物質として難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを用い、N-メチルピロリドンを分散媒とする第2負極活物質層用ペーストを作製する。該ペースト中の前記負極活物質と結着剤との質量比率は95:5である。この第2負極活物質層用ペーストを、第1負極活物質層が形成された前記銅箔の両面に対して、第1負極活物質層を形成しなかった幅方向の両端部の一部に、両面の塗布形状が同じで、かつ第1負極活物質層と第2負極活物質層とが相互に接触するように塗布し、120℃で乾燥することで第2活物質層を形成し、実施例2に係る負極板を得る。
このとき、長尺シート形状の負極集電体上の、幅方向に第1負極活物質層及び第2負極活物質層を共に形成した単位長さの領域における、第1負極活物質層に対する第2負極活物質層の面積比は、0.09である。
実施例1と同様の方法で、実施例2に係る正極板を作製する。
実施例1と同様の方法で、実施例2に係る非水電解質二次電池を作製する。
2 電極群
3 電池容器
4 正極端子
4’ 正極リード
5 負極端子
5’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置
6 正極板
61 正極集電体
62 正極活物質層
7 負極板
71 負極集電体
72 負極活物質層
72a 正極対向部
72b 正極非対向部
721 第1負極活物質層
722 第2負極活物質層
8 セパレータ
Claims (3)
- 正極集電体上に正極活物質層を有する正極板と、負極集電体上に負極活物質層を有する負極板とを備える非水電解質二次電池であって、
前記負極活物質層が、
前記正極活物質層に対向する領域である正極対向部と、前記正極活物質層に対向していない領域である正極非対向部とを備え、
前記正極対向部に配置された第1負極活物質層と、前記正極非対向部に少なくとも一部が配置された第2負極活物質層とを相互に接触した状態で含み、
前記第2負極活物質層は、含有する活物質が、充放電過程でケイ酸リチウムを生じない活物質、又はこれとSiOxであり、
前記正極対向部が備える負極活物質層は、SiOxを備え、
前記正極非対向部が備える負極活物質層は、活物質層の活物質が含有するSiOxの質量比率が、前記正極対向部が備える負極活物質層よりも小さい、
非水電解質二次電池。 - 前記第2負極活物質層が、前記正極対向部にも配置された、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 前記第2負極活物質層が、黒鉛、難黒鉛化性炭素及び易黒鉛化性炭素から選ばれる少なくとも1つを備える、請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池。
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