JP4109184B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。
近年の携帯機器の発展には目覚しいものがあり、その原動力の一つとしてリチウムイオン二次電池をはじめとする高エネルギー電池によるところが大きい。今後、様々な携帯機器の発展に伴い、さらなる電池製造技術の進歩が要求される。リチウムイオン二次電池は、主として、カソード、アノード、セパレータ、非水電解質溶液から構成されている。カソードは、カソード活物質(正極活物質)と導電助剤と結着剤とを混合したものを集電体上に塗布し形成され、また、アノードは、アノード活物質(負極活物質)と導電助剤と結着剤とを混合したものを集電体上に塗布し形成される。このようなリチウムイオン二次電池において、最近では、より高性能化を図るため、構成要素であるカソード、アノード、非水電解質溶液の改良が進められている。
非水電解質溶液の非水溶媒としては、プロピレンカーボネートが、高誘電率、低融点を有し、電位窓(電気化学窓)が比較的広く、レート特性や低温特性に優れることから適している。しかし、高結晶化した黒鉛などの炭素材料を構成材料として使用したアノード(負極)を備える場合には、特に充電時において陰極(放電時においてアノードとして機能する電極)でのプロピレンカーボネートの分解が進行する問題があった。そこで、非水電解質溶液に添加剤を加えることによってプロピレンカーボネートの分解を抑制し、リチウムイオン二次電池の性能改善を図る方法が検討されている。このような添加剤としては、例えば、1,3−プロパンスルトン、1,4−プロパンスルトン、ビニレンカーボネート等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、リチウムイオン二次電池において、カソード、アノード、非水電解質溶液中に水分が含まれると、非水電解質溶液の成分と水分とが反応して非水電解質溶液の成分が分解し、初期充放電特性、充放電サイクル特性、保存特性等が低下するため、電極及び非水電解質溶液に含まれる水分を低減させるための検討がなされている。例えば、カソードを構成する正極活物質に含有する水分量を正極活物質1gに対して260ppm以下、アノードを構成する負極活物質に含有する水分量を負極活物質1gに対して10ppm以下、非水電解質溶液中の水分量を非水電解質溶液全体に対して20ppm以下に規定(低減)することにより、初期充放電特性及び充放電サイクル特性の向上を意図したリチウムイオン二次電池が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−43895号公報
特開2001−297750号公報
しかしながら、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度は他の電池に比較して非常に高いため、電池特性の向上を図る場合、使用中或いは保存中の電池の安全性を十分に確保することも同時に重要となる。この安全性の確保は、電解質溶液として可燃性の非水電解質溶液(有機溶媒を含む電解質溶液)を使用する場合には特に重要となる。例えば、リチウムイオン二次電池の安全性の評価試験の中で規格化されたものとしては、米国UL(Underwriters Laboratories)規格の「UL1642」又は「UL2054」がある。
近年、ノート型携帯コンピュータ用電源、電気自動車用電源、電力貯蔵用電源として、リチウムイオン二次電池に対してより高密度化、高容量化が求められているが、高密度化、高容量化へと進むに従い安全性を確保することが難しくなる。上述した特許文献1及び2に記載された従来のリチウムイオン二次電池であっても、高容量化(特に、2000mAh以上の高容量化、更には2500mAh以上の高容量化)を図る場合、安全性の評価試験規格「UL1642」の150℃加熱試験を確実にクリアすることが困難であった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、優れた初期充放電特性、充放電サイクル特性を有しており、かつ、高容量化(特に、2000mAh以上の高容量化、更には2500mAh以上の高容量化)を図った場合であっても充分な安全性を得ることのできるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、電極及び非水電解質溶液に含まれる水分量をできるだけ低減することが、非水電解質成分の分解量を減らし、リチウムイオン二次電池の性能向上を図る場合に有効であることが当業者の一般的認識であったにもかかわらず、非水電解質溶液中に特定の添加物を添加し、かつ、アノード中に意図的に特定量の水分を存在させた構成とすることが、上記目的を達成するために極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池は、
アノード活物質を含む導電性のアノード活物質含有層を有するアノードと、
カソード活物質を含む導電性のカソード活物質含有層を有するカソードと、
リチウム塩、プロピレンカーボネート、及び、鎖状カーボネートを含む非水電解質溶液と、
アノード、カソード、及び、非水電解質溶液を密閉した状態で収容するケースと、
を有しており、
非水電解質溶液中には、下記式(1)で表される条件を満たす添加物が更に含まれており、かつ、
アノード活物質含有層に含まれる水分量が下記式(2)で表される条件を満たすように調節されていること、
を特徴とする。
+0.9V≦(E2−E1)≦+2.5V …(1)
40ppm≦C1≦100ppm …(2)
[式(1)中、E1は酸化還元対Li/Liの標準電極電位(Vvs.SHE)を示し、E2は添加物の酸化還元対の標準電極電位(Vvs.SHE)を示し、式(2)中、C1は、アノード活物質含有層を構成する材料1g中の水分濃度を示す。]
ここで、本発明において、アノード及びカソードとなる電極は、リチウムイオン(又は金属リチウム)が酸化還元種として関与する電子移動反応を進行させることが可能な反応場となるものである。また、「電子移動反応を進行させること」とは、搭載されるべき機器の電源又は補助電源として要求される電池寿命の範囲内で上記電子移動反応を進行させることである。
そして、アノードに構成材料として含まれるアノード活物質及びカソードに構成材料として含まれるカソード活物質は、上記電子移動反応に寄与する物質を示す。アノード活物質及びカソード活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、又は、リチウムイオンの脱離及び挿入(デインターカレーション・インターカレーション)が可能な構造を有する炭素材料或いは金属酸化物であってもよい。また、アノード活物質及び/又はカソード活物質として導電性ポリマーのようなリチウムイオンと該リチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、ClO )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることの可能な物質を単独又は他の活物質とともに使用する構成としてもよい。
なお、説明の便宜上、本明細書において、「アノード活物質」という場合の「アノード」とは、電池の放電時の極性を基準とするもの(負極活物質)であり、「カソード活物質」という場合の「カソード」も、電池の放電時の極性を基準とするもの(正極活物質)である。アノード活物質及びカソード活物質の具体的な例示については後述する。
また、「SHE」とは、標準水素電極(の電位)、すなわち0Vを示す。
本発明のリチウムイオン二次電池は、非水電解質溶液中に含まれる添加物が上記式(1)を満たし、かつ、アノード活物質含有層に含まれる水分量が上記式(2)の条件を満たす構成とすることにより、優れた初期充放電特性、充放電サイクル特性を有し、かつ、電池を高容量化した場合であっても充分な安全性を有する。すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池によれば、高容量化(特に、2000mAh以上の高容量化、更には2500mAh以上の高容量化)を図った場合であっても、「UL1642」の150℃加熱試験を確実にクリアすることができる。
更に本発明においては、上述の効果を得ることができるので、従来では、「UL1642」の150℃加熱試験を確実にクリアすることが困難であった、2000mAh〜5000mAhの容量(好ましくは、2500mAh〜4000mAhの容量)を有するリチウムイオン二次電池を構成することができる。
上記の効果が得られることの詳細なメカニズムについては明確に解明されていないが、本発明者らは以下のように考えている。すなわち、式(1)を満たす添加物と、式(2)を満たす量の水分とを含有させることにより、アノード表面におけるプロピレンカーボネートの還元分解を充分に抑制することの可能な化学的に安定な皮膜が効率よく形成されるようになっているからであると考えている。
(E2−E1)が+0.9V未満である添加物を使用した場合、プロピレンカーボネートの分解が進行し、放電特性が著しく劣化する。これは、アノード表面にプロピレンカーボネートの還元分解を抑制する皮膜を形成することができないためと考えられる。また、(E2−E1)が+2.5Vを超える添加物を使用した場合、リチウムイオン二次電池の充放電特性が低下する。これは、皮膜がアノード表面のみに選択的に形成されていないためと考えられる。
また、アノード活物質含有層を構成する材料1g中の水分濃度が40ppm未満である場合(すなわち、アノード活物質含有層に含まれる水分量が不十分な場合)は、「UL1642」の150℃加熱試験を確実にクリアできない。一方、アノード活物質含有層を構成する材料1g中の水分濃度が100ppmを超える場合(すなわち、アノード活物質含有層に含まれる水分量が過剰な場合)は、充分な充放電特性や充放電サイクル特性が得られなくなる。
ここで、「アノード活物質含有層を構成する材料」とは、アノード活物質を少なくとも含み、アノード活物質含有層を形成している材料を示す。
本発明では、アノード活物質含有層を構成する材料として、アノード活物質、及び、アノード活物質の粒子同士を結着させることが可能な結着剤が少なくとも使用されていることが好ましい。この場合、アノード活物質含有層中のアノード活物質の含有率A[質量%]、及び、結着剤の含有率B[質量%]が、下記式(3)及び下記式(4)で表される条件を満たしていることが、本発明の効果をより確実に得る観点から好ましい。
70≦A≦97 …(3)
3≦B≦10 …(4)
また、アノード活物質含有層を構成する材料として、導電助剤が更に使用されていることが好ましい。この場合、アノード活物質含有層中の導電助剤の含有率が25質量%以下であることが好ましい。
また、本発明において、非水電解質溶液に含まれる鎖状カーボネートとして、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、及び、エチルメチルカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
また、本発明では、高温保存時におけるガス発生を抑制するという観点から、鎖状カーボネートが、ジエチルカーボネートであることが好ましい。
非水電解質溶液に含まれるプロピレンカーボネート及び鎖状カーボネートのそれぞれの含有率[体積%]については特に限定されないが、本発明の効果をより確実に得る観点から、プロピレンカーボネートは10〜60体積%、鎖状カーボネートは30〜80体積%の範囲内であることが好ましい。非水電解質溶液中のプロピレンカーボネートの含有率が60体積%を超えると、PCの分解反応が進行し易くなる傾向が大きくなる。プロピレンカーボネートの含有率が10体積%未満であると、低温(−20〜+25℃)で十分な充放電特性が得られにくくなる傾向が大きくなる。鎖状カーボネートの含有率が30体積%未満であると、十分な高レート放電特性が得られなくなる傾向が大きくなる。また、低温(−20〜+25℃)で十分な充放電特性が得られなくなる傾向が大きくなる。更に、鎖状カーボネートの含有率が80体積%を超えると、十分な放電容量を得ることができなくなる傾向が大きくなる。
また、本発明では、上記添加物の添加量は特に限定されないが、添加物の合計が非水電解質溶液100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましい。かかる範囲内であれば、充分な容量を確保しつつ、上記の本発明の効果をより確実に得ることができる。
本発明では、より安定な皮膜を形成するために、非水電解質溶液には、エチレンカーボネートが更に含まれていることが好ましい。
この場合、プロピレンカーボネートの含有率X[体積%]、エチレンカーボネートの含有率Y[体積%]、及び、鎖状カーボネートの含有率Z[体積%]が、下記式(6)〜(9)で表される条件を同時に満たしていることが好ましい。
10≦X≦60 …(6)
1≦Y≦20 …(7)
30≦Z≦80 …(8)
X+Y+Z=100 …(9)
非水電解質溶液に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、及び、鎖状カーボネートが含まれている場合、先に述べた本発明の効果をより確実に得る観点から、上記の各条件を同時に満たしていることが好ましい。非水電解質溶液中のプロピレンカーボネートの含有率が60体積%を超えると、PCの分解反応が進行し易くなる傾向が大きくなる。プロピレンカーボネートの含有率が10体積%未満であると、低温(−20〜+25℃)で十分な充放電特性が得られにくくなる傾向が大きくなる。鎖状カーボネートの含有率が30体積%未満であると、十分な高レート放電特性が得られなくなる傾向が大きくなる。また、低温(−20〜+25℃)で十分な充放電特性が得られなくなる傾向が大きくなる。更に、鎖状カーボネートの含有率が80体積%を超えると、十分な放電容量を得ることができなくなる傾向が大きくなる。エチレンカーボネートの含有率が1体積%未満となると、プロピレンカーボネートの分解反応が進行し易くなる傾向が大きくなる。また、エチレンカーボネートの含有率が20体積%を超えると、低温(−20〜+25℃)で十分な充放電特性が得られなくなる傾向が大きくなる。
本発明では、上記式(1)を満たす添加物として、下記一般式(I)で表される化合物、下記一般式(II)で表される化合物、及び、下記一般式(III)で表される化合物が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種の化合物を用いることが好ましい。
Figure 0004109184

[式(I)中、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子及び炭素数1〜6の炭化水素基のうちの何れかを示す。]
Figure 0004109184

[式(II)中、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子及び炭素数1〜3の炭化水素基のうちの何れかを示す。]
Figure 0004109184

[式(III)中、R、R10、R11及びR12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子及び炭素数1〜4の炭化水素基のうちの何れかを示し、nは0又は1を示す。]
上記の化合物を用いることにより、プロピレンカーボネートの分解をより確実に抑制し、本発明の効果をより確実に得ることができる。
また、本発明では、上記一般式(I)〜(III)で表される化合物の添加量は特に限定されないが、用いる化合物の合計が、非水電解質溶液100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましい。かかる範囲内であれば、充分な容量を確保しつつ、上述の本発明の効果をより確実に得ることができる。
本発明では、前記一般式(I)で表される化合物におけるR及びRが水素原子であるビニレンカーボネートを用いることが好ましい。ビニレンカーボネートは、上記式(1)を満たす化合物であり{(E2−E1)が+1.3V}、本発明の効果をより確実に得ることができる。添加量の好ましい範囲としては、非水電解質溶液100質量部に対して、1〜10質量部である。
また、前記一般式(II)で表される化合物におけるR、R、R、R、R及びRが水素原子である1,3−プロパンスルトンを用いることが好ましい。1,3−プロパンスルトンは、上記式(1)を満たす化合物であり{(E2−E1)が+1.3V}、本発明の効果をより確実に得ることができる。添加量の好ましい範囲としては、非水電解質溶液100質量部に対して、1〜10質量部である。
また、前記一般式(III)で表される化合物におけるR、R10、R11、R12、R13及びR14が水素原子である1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイドを用いることが好ましい。1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド、上記式(1)を満たす化合物であり{(E2−E1)が+1.9V}、本発明の効果をより確実に得ることができる。添加量の好ましい範囲としては、非水電解質溶液100質量部に対して、1〜10質量部である。
上記の化合物(ビニレンカーボネート、1,3−プロパンスルトン、1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド)は単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。組み合わせて用いる場合、各化合物の添加量の割合については、本発明の効果が得られる範囲であれば特に限定されないが、例えば、ビニレンカーボネート(以下、必要に応じて「VC」という)と1,3−プロパンスルトン(以下、必要に応じて「PS」という)とを用いる場合、それぞれの化合物の質量比VC/PSが0.01〜0.30であることがより好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、アノード及びカソードの間には、多孔質のセパレータが更に配置されており、セパレータの内部に前記非水電解質溶液が含浸されていることが好ましい。多孔質のセパレータとしては、絶縁性の多孔体から形成されていれば特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池に用いられているセパレータを使用することができる。例えば、絶縁性の多孔体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いは、セルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
先に述べたように、本発明のリチウムイオン二次電池は、高容量化を図った場合であっても、充分な安全性を得ることができるので、電池容量が2000mAh〜5000mAhであることを特徴としていてもよい。更には、電池容量が2500mAh〜4000mAhであることを特徴としていてもよい。
本発明によれば、優れた初期充放電特性、充放電サイクル特性を有しており、かつ、高容量化(特に、2000mAh以上の高容量化、更には2500mAh以上の高容量化)を図った場合であっても充分な安全性を得ることのできるリチウムイオン二次電池を提供することができる。
以下、図面を参照しながら本発明のリチウムイオン二次電池の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は本発明のリチウムイオン二次電池の好適な一実施形態を示す正面図である。また、図2は図1に示すリチウムイオン二次電池の内部をアノード10の表面の法線方向からみた場合の展開図である。更に、図3は図1に示すリチウムイオン二次電池を図1のX1−X1線に沿って切断した場合の模式断面図である。また、図4は図1に示すリチウムイオン二次電池を図1のX2−X2線に沿って切断した場合の要部を示す模式断面図である。また、図5は図1に示すリチウムイオン二次電池を図1のY−Y線に沿って切断した場合の要部を示す模式断面図である。
図1〜図5に示すように、リチウムイオン二次電池1は、主として、互いに対向する板状のアノード10及び板状のカソード20と、アノード10とカソード20との間に隣接して配置される板状のセパレータ40と、非水電解質溶液30と、これらを密閉した状態で収容するケース50と、アノード10に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケース50の外部に突出されるアノード用リード12と、カソード20に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケース50の外部に突出されるカソード用リード22とから構成されている。ここで、「アノード」10及び「カソード」20は説明の便宜上、リチウムイオン二次電池1の放電時の極性を基準に決定したものである。従って、充電時には、「アノード10」が「カソード」となり、「カソード20」が「アノード」となる。なお、上記板状とは、平板状、湾曲している板状も含む。
そして、リチウムイオン二次電池1は、先に述べた本発明の目的を達成するために、以下に説明する構成を有している。
以下に図1〜図9に基づいて本実施形態の各構成要素の詳細を説明する。
ケース50は、互いに対向する一対のフィルム(第1のフィルム51及び第2のフィルム52)を用いて形成されている。ここで、図2に示すように、本実施形態における第1のフィルム51及び第2のフィルム52は連結している。すなわち、本実施形態におけるケース50は、一枚の複合包装フィルムからなる矩形状のフィルムを、図2に示す折り曲げ線X3−X3において折り曲げ、矩形状のフィルムの対向する1組の縁部同士(図中の第1のフィルム51の縁部51B及び第2のフィルム52の縁部52B)を重ね合せて接着剤を用いるか又はヒートシールを行うことにより形成されている。
そして、第1のフィルム51及び第2のフィルム52は、1枚の矩形状のフィルム53を上述のように折り曲げた際にできる互いに対向する面を有する該フィルムの部分をそれぞれ示す。ここで、本明細書において、接合された後の第1のフィルム51及び第2のフィルム52のそれぞれの縁部を「シール部」という。
これにより、折り曲げ線X3−X3の部分に第1のフィルム51と第2のフィルム52とを接合させるためのシール部を設ける必要がなくなるため、ケース50におけるシール部をより低減することができる。その結果、リチウムイオン二次電池1の設置されるべき空間の体積を基準とする体積エネルギー密度をより向上させることができる。
そして、本実施形態の場合、図1及び図2に示すように、アノード10に接続されたアノード用リード12及びカソード用リード22のそれぞれの一端が、上述の第1のフィルム51の縁部51Bと第2のフィルム52の縁部52Bとを接合したシール部から外部に突出するように配置されている。
また、第1のフィルム51及び第2のフィルム52を構成するフィルムは、可とう性を有するフィルムである。フィルムは軽量であり薄膜化が容易なため、リチウムイオン二次電池自体の形状を薄膜状とすることができる。そのため、本来の体積エネルギー密度を容易に向上させることができるとともに、リチウムイオン二次電池の設置されるべき空間の体積を基準とする体積エネルギー密度も容易に向上させることができる。
このフィルムは可とう性を有するフィルムであれば特に限定されないが、ケースの充分な機械的強度と軽量性を確保しつつ、ケース50外部からケース50内部への水分や空気の侵入及びケース50内部からケース50外部への電解質成分の逸散を効果的に防止する観点から、非水電解質溶液30に接触する合成樹脂製の最内部の層と、最内部の層の上方に配置される金属層とを少なくとも有する「複合包装フィルム」であることが好ましい。
第1のフィルム51及び第2のフィルム52として使用可能な複合包装フィルムとしては、例えば、図6及び図7に示す構成の複合包装フィルムが挙げられる。図6に示す複合包装フィルム53は、その内面F53において非水電解質溶液30に接触する合成樹脂製の最内部の層50aと、最内部の層50aのもう一方の面(外側の面)上に配置される金属層50cとを有する。また、図7に示す複合包装フィルム54は、図6に示す複合包装フィルム53の金属層50cの外側の面に更に合成樹脂製の最外部の層50bが配置された構成を有する。
第1のフィルム51及び第2のフィルム52として使用可能な複合包装フィルムは、上述の最内部の層をはじめとする1以上の合成樹脂の層、金属箔などの金属層を備えた2以上の層を有する複合包装材であれば特に限定されないが、上記と同様の効果をより確実に得る観点から、図7に示した複合包装フィルム54のように、その内面F54において非水電解質溶液30に接触する最内部の層50aと、最内部の層50aから最も遠いケース50の外表面の側に配置される合成樹脂製の最外部の層50bと、最内部の層50aと最外部の層50bとの間に配置される少なくとも1つの金属層50cとを有する3層以上の層から構成されていることがより好ましい。
最内部の層50aは可とう性を有する層であり、その構成材料は上記の可とう性を発現させることが可能であり、かつ、使用される非水電解質溶液30に対する化学的安定性(化学反応、溶解、膨潤が起こらない特性)、並びに、酸素及び水(空気中の水分)に対する化学的安定性を有している合成樹脂であれば特に限定されないが、更に酸素、水(空気中の水分)及び非水電解質溶液30の成分に対する透過性の低い特性を有している材料が好ましい。例えば、エンジニアリングプラスチック、並びに、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン酸変成物、ポリプロピレン酸変成物、ポリエチレンアイオノマー、ポリプロピレンアイオノマー等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。
なお、「エンジニアリングプラスチック」とは、機械部品、電気部品、住宅用材等で使用されるような優れた力学特性と耐熱性、耐久性を有しているプラスチックを意味し、例えば、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリオキシテトラメチレンオキシテレフタロイル(ポリブチレンテレフタレート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド等が挙げられる。
また、図7に示した複合包装フィルム54のように、最内部の層50a以外に、最外部の層50b等のような合成樹脂製の層を更に設ける場合、この合成樹脂製の層も、上記最内部の層と同様の構成材料を使用してよい。
金属層50cとしては、酸素、水(空気中の水分)及び非水電解質溶液30に対する耐腐食性を有する金属材料から形成されている層であることが好ましい。例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、クロム等からなる金属箔を使用してもよい。
また、ケース50における全てのシール部のシール方法は、特に限定されないが、生産性の観点から、ヒートシール法であることが好ましい。
次に、アノード10及びカソード20について説明する。図8は図1に示すリチウムイオン二次電池のアノードの基本構成の一例を示す模式断面図である。また、図9は、図1に示すリチウムイオン二次電池のカソードの基本構成の一例を示す模式断面図である。
図8に示すようにアノード10は、集電体16と、該集電体16上に形成されたアノード活物質含有層18とからなる。また、図9に示すようにカソード20は、集電体26と、該集電体26上に形成されたカソード活物質含有層28とからなる。
集電体16及び集電体26は、アノード活物質含有層18及びカソード活物質含有層28への電荷の移動を充分に行うことができる良導体であれば特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池に用いられている集電体を使用することができる。例えば、集電体16及び集電体26としては、アルミニウム、銅などの金属箔が挙げられる。
また、アノード10のアノード活物質含有層18は、主として、アノード活物質と、導電助剤と、結着剤とから構成されている。
アノード活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(デインターカレーション・インターカレーション)、又は、リチウムイオンと該リチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、ClO )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知のアノード活物質を使用できる。このような活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛(難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等)等の炭素材料、Al、Si、Sn等のリチウムと化合することのできる金属、SiO、SnO等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)が挙げられる。
中でも、炭素材料が好ましく、炭素材料の層間距離d002が0.335〜0.338nmであり、かつ、炭素材料の結晶子の大きさLc002が30〜120nmであるものがより好ましい。このような条件を満たす炭素材料としては、人造黒鉛、MCF(メソカーボンファイバ)等が挙げられる。なお、上記層間距離d002及び結晶子の大きさLc002は、X線回折法により求めることができる。
特に、アノード活物質として炭素材料を用いた場合、非水溶媒の構成成分として、プロピレンカーボネートを用いると、従来はプロピレンカーボネートの分解量が多かったが、本発明においては、非水電解質溶液30に後述する添加物を添加し、さらにアノード活物質含有層18に含まれる水分量を後述するように調節する構成とすることにより、プロピレンカーボネートの分解を充分に抑制することが可能となる。
導電助剤は特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、カーボンブラック類、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITOのような導電性酸化物が挙げられる。
結着剤は、上記のアノード活物質の粒子と導電助剤の粒子とを結着可能なものであれば特に限定されない。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。また、この結着剤は、上記のアノード活物質の粒子と導電助剤の粒子との結着のみならず、箔(集電体16)への結着に対しても寄与している。
アノード活物質含有層を構成する材料として、アノード活物質、導電助剤、結着剤を使用する場合、本発明の効果をより確実に得る観点から、アノード活物質含有層中でのそれぞれの含有率は、アノード活物質が70〜97質量%、導電助剤が0〜25質量%、結着剤が3〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
また、本発明では、アノード活物質含有層18に含まれる水分量が、アノード活物質含有層18を構成する材料1g中の濃度で40ppm〜100ppmとなるように調節されている。水分量の調節方法については後述する。
また、カソード20のカソード活物質含有層28は、アノード活物質含有層18と同様に、主として、カソード活物質と、導電助剤と、結着剤とから構成されている。
カソード活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(デインターカレーション・インターカレーション)、又は、リチウムイオンと該リチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、ClO )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知の電極活物質を使用できる。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMn(x+y+z=1)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn又はFeを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)等の複合金属酸化物が挙げられる。
更に、カソード活物質含有層28に含まれるカソード活物質以外の各構成要素は、アノード活物質含有層18を構成するものと同様の物質を使用することができる。また、このカソード活物質含有層28に含まれる結着剤も、上記のカソード活物質の粒子と導電助剤の粒子との結着のみならず、箔(集電体26)への結着に対しても寄与している。
また、カソード20の集電体28は、例えばアルミニウムからなるカソード用リード22の一端に電気的に接続され、カソード用リード22の他端はケース50の外部に延びている。一方、アノード10の集電体18も、例えば銅又はニッケルからなるアノード用リード12の一端に電気的に接続され、アノード用リード12の他端は封入袋14の外部に延びている。
アノード10とカソード20との間に配置されるセパレータ40は、絶縁性の多孔体から形成されていれば特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池に用いられているセパレータを使用することができる。例えば、絶縁性の多孔体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いは、セルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
非水電解質溶液30はケース50の内部空間に充填され、その一部は、アノード10、カソード20、及びセパレータ40の内部に含有されている。非水電解質溶液30は、リチウム塩と、非水溶媒としてプロピレンカーボネート及び鎖状カーボネートが含まれており、さらに添加物を含んでいる。
リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiAsF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)等の塩が使用される。なお、これらの塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、非水電解質溶液30は、ゲルポリマーなどのゲル化剤を添加することによりゲル状としてもよい。
また、非水溶媒として、プロピレンカーボネート、鎖状カーボネートの他に、エチレンカーボネートが非水電解質溶液30に更に含まれていてもよい。また、この場合、先に述べた本発明の効果をより確実に得る観点から、非水電解質溶液中のプロピレンカーボネートの含有率X[体積%]、エチレンカーボネートの含有率Y[体積%]、及び、鎖状カーボネートの含有率Z[体積%]が、下記式(6)〜(9)で表される条件を同時に満たしていることが好ましい。
10≦X≦60 …(6)
1≦Y≦20 …(7)
30≦Z≦80 …(8)
X+Y+Z=100 …(9)
非水電解質溶液中のプロピレンカーボネートの含有率が60体積%を超えると、PCの分解反応が進行し易くなる傾向が大きくなる。プロピレンカーボネートの含有率が10体積%未満であると、低温(−20〜+25℃)で十分な充放電特性が得られにくくなる傾向が大きくなる。鎖状カーボネートの含有率が30体積%未満であると、十分な高レート放電特性が得られなくなる傾向が大きくなる。また、低温(−20〜+25℃)で十分な充放電特性が得られなくなる傾向が大きくなる。更に、鎖状カーボネートの含有率が80体積%を超えると、十分な放電容量を得ることができなくなる傾向が大きくなる。エチレンカーボネートの含有率が1体積%未満となると、プロピレンカーボネートの分解反応が進行し易くなる傾向が大きくなる。また、エチレンカーボネートの含有率が20体積%を超えると、低温(−20〜+25℃)で十分な充放電特性が得られなくなる傾向が大きくなる。
鎖状カーボネートとしては、例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、及び、エチルメチルカーボネートなどが挙げられる。本発明では、ジエチルカーボネートを用いるのが好ましい。
また、先に述べたように、非水電解質溶液30中に含まれる添加物は、下記式(1)で表される条件を満たすものである。
+0.9V≦(E2−E1)≦+2.5V …(1)
[式(1)中、E1は酸化還元対Li/Liの標準電極電位(Vvs.SHE)を示し、E2は添加物の酸化還元対の標準電極電位(Vvs.SHE)を示す。]
上記の条件を満たす添加物として、下記一般式(I)で表される化合物、下記一般式(II)で表される化合物、及び、下記一般式(III)で表される化合物が挙げられる。これらのうちの少なくとも1種の化合物を添加することができる。
Figure 0004109184

[式(I)中、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子及び炭素数1〜6の炭化水素基のうちの何れかを示す。]
Figure 0004109184

[式(II)中、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子及び炭素数1〜3の炭化水素基のうちの何れかを示す。]
Figure 0004109184

[式(III)中、R、R10、R11及びR12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子及び炭素数1〜4の炭化水素基のうちの何れかを示し、nは0又は1を示す。]
上記添加物の添加量は特に限定されないが、添加物の合計が非水電解質溶液100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましい。かかる範囲内であれば、充分な容量を確保しつつ、上記の本発明の効果をより確実に得ることができる。
さらに具体的には、前記一般式(I)で表される化合物におけるR及びRが水素原子であるビニレンカーボネートや、前記一般式(II)で表される化合物におけるR、R、R、R、R及びRが水素原子である1,3−プロパンスルトンや、前記一般式(III)で表される化合物におけるR、R10、R11、R12、R13及びR14が水素原子である1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイドが好適に使用できる。
上記の化合物(ビニレンカーボネート、1,3−プロパンスルトン、1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド)は単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。組み合わせて用いる場合、各化合物の添加量の割合については、本発明の効果が得られる範囲であれば特に限定されないが、例えば、ビニレンカーボネートと1,3−プロパンスルトンとを用いる場合、それぞれの化合物の質量比VC/PSが0.01〜0.30であることが好ましい。
更に、図1及び図2に示すように、第1のフィルム51の縁部51B及び第2のフィルム52の縁部52Bからなる封入袋のシール部に接触するアノード用リード12の部分には、アノード用リード12と各フィルムを構成する複合包装フィルム中の金属層との接触を防止するための絶縁体14が被覆されている。更に、第1のフィルム51の縁部51B及び第2のフィルム52の縁部52Bからなる封入袋のシール部に接触するカソード用リード22の部分には、カソード用リード22と各フィルムを構成する複合包装フィルム中の金属層との接触を防止するための絶縁体24が被覆されている。
これら絶縁体14及び絶縁体24の構成は特に限定されないが、例えば、それぞれ合成樹脂から形成されていてもよい。なお、アノード用リード12及びカソード用リード22のそれぞれに対する複合包装フィルム中の金属層の接触が充分に防止可能であれば、これら絶縁体14及び絶縁体24は配置しない構成としてもよい。
つぎに、上述したケース50及びリチウムイオン二次電池1の作製方法について説明する。
素体60(アノード10、セパレータ40及びカソード20がこの順で順次積層された積層体)の製造方法は、特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池の製造に採用されている公知の方法を用いることができる。
アノード10及びカソード20を作製する場合、先ず、上述した各構成成分を混合し、結着剤が溶解可能な溶媒に分散させ、電極形成用塗布液(スラリー等)を作製する。溶媒としては、結着剤が溶解可能であり、導電助剤を分散可能であれば特に限定されるものではないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドを用いることができる。
次に、上記電極形成用塗布液を集電体表面上に塗布し、乾燥させ、圧延することにより集電体上に活物質含有層を形成し、アノード10及びカソード20の作製を完了する。ここで、電極形成用塗布液を集電体の表面に塗布する際の手法は特に限定されるものではなく、集電体の材質や形状等に応じて適宜決定すればよい。例えば、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
また、電極形成において、電極形成用塗布液を調製せずに、いわゆる乾式方法によりアノードやカソードを形成してもよい。例えば、アノードを乾式方法により作製する場合、以下の手順で作製できる。先ず、アノード活物質、導電助剤、及び、結着剤を含む粉体を、公知の粉体製造技術により調製する。得られた粉体を、熱ロールプレス機の1対の熱ロールの間に投入し、加熱及び加圧してシート化する。さらに、得られたシートを集電体と積層することにより、アノードが作製される。また、粉体を集電体と共に加熱及び加圧してシート化する方法を用いると、シートと集電体とを積層する工程を省くことができる。
作製したアノード10及びカソード20のそれぞれに対して、アノード用リード12及びカソード用リード22をそれぞれ電気的に接続する。そのアノード10とカソード20との間にセパレータ40を接触した状態(非接着状態)で配置し、素体60を完成する。
本発明のリチウムイオン二次電池は、アノード活物質含有層に含まれる水分量が、アノード活物質含有層を構成する材料1g中の水分濃度で40ppm〜100ppmになるように調節されていることが必要であるが、この水分量は、素体60を作成後、所定の温度にて真空乾燥を行うことにより調節することができる。
次に、ケース50の作製方法の一例について説明する。まず、第1のフィルム及び第2のフィルムを先に述べた複合包装フィルムから構成する場合には、ドライラミネーション法、ウエットラミネーション法、ホットメルトラミネーション法、エクストルージョンラミネ−ション法等の既知の製法を用いて作製する。
例えば、複合包装フィルムを構成する合成樹脂製の層となるフィルム、アルミニウム等からなる金属箔を用意する。金属箔は、例えば金属材料を圧延加工することにより用意することができる。
次に、好ましくは先に述べた複数の層の構成となるように、合成樹脂製の層となるフィルムの上に接着剤を介して金属箔を貼り合わせる等して複合包装フィルム(多層フィルム)を作製する。そして、複合包装フィルムを所定の大きさに切断し、矩形状のフィルムを1枚用意する。
次に、先に図2を参照して説明したように、1枚のフィルムを折り曲げて、第1のフィルム51のシール部51B(縁部51B)と第2のフィルムのシール部52B(縁部52B)を、例えば、シール機を用いて所定の加熱条件で所望のシール幅だけヒートシールする。このとき、素体60をケース50中に導入するための開口部を確保するために、一部のヒートシールを行わない部分を設けておく。これにより開口部を有した状態のケース50が得られる。
そして、開口部を有した状態のケース50の内部に、アノード用リード12及びカソード用リード22が電気的に接続された素体60を挿入する。そして、非水電解質溶液30を注入する。続いて、アノード用リード12、カソード用リード22の一部をそれぞれケース50内に挿入した状態で、シール機を用いて、ケース50の開口部をシールする。このようにしてケース50及びリチウムイオン二次電池1の作製が完了する。なお、本発明のリチウムイオン二次電池は、このような形状のものに限定されず、円筒形等の形状でもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、リチウムイオン二次電池1は、1つの素体60を用いて作製されているが、図10に示すような、素体60を複数積層した積層体70を用いてもよい。図10では、積層体70を構成する素体のうちで、両端にある素体60以外の素体61、62、63、64、65、66は、隣接する素体と集電体を共有している。例えば、素体60と素体61との間では集電体16が共有されており、素体61と素体62との間では集電体26が共有されている。このように、素体を複数積層して用いることにより、所望の容量を有するリチウムイオン二次電池を得ることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されない。
以下に示す手順により図10と同様の構成の積層体を有する実施例1〜4、比較例1〜3のリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例1)
アノードの作製を行った。先ず、アノード活物質として人造黒鉛(90質量部)、導電助剤としてカーボンブラック(2質量部)、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(8質量部)をプラネタリーミキサーで混合し、溶剤として適量のN−メチル−ピロリドン(NMP)を加えて粘度調整して、スラリーを得た。得られたスラリーを、アノード活物質担持量が14.0mg/cmとなるように、集電体である電解銅箔(15μm)にドクターブレード法により塗布乾燥し、アノード活物質含有層を形成した。乾燥後、作製したアノードの空孔率が30%になるようにカレンダーロールにより圧延を行い、83mm×102mmの大きさに打ち抜いてアノードを得た。
次に、カソードの作製を行った。先ず、正極活物質としてLiNi0.33Co0.34Mn0.33(式中の数字は原子比である)(90質量部)、導電助剤としてアセチレンブラック(6質量部)、結着剤としてPVDF(4質量部)をプラネタリーミキサーで混合し、溶剤として適量のNMPを加えて粘度調整して、スラリーを得た。得られたスラリーを、カソード活物質担持量が26.5mg/cmとなるように、集電体であるアルミニウム箔(20μm)にドクターブレード法により塗布乾燥し、カソード活物質含有層を形成した。乾燥後、作製したカソードの空孔率が28%になるようにカレンダーロールにより圧延を行い、83mm×102mmの大きさに打ち抜いてカソードを得た。
得られたアノード及びカソードの一部をリボン状に延長して、接続端子を形成した。次いで、このアノードとカソードの間に、84mm×104mmの大きさに打ち抜いたポリオレフィンからなるセパレータを配置し、アノードとカソードの対が8層となるように積層し、両端面を熱圧着して積層体を得た。さらに、得られた積層体を真空下において60℃で1時間乾燥させた。
非水電解質溶液の調製は以下のように行った。先ず、プロピレンカーボネート(以下、場合によりPCという)、エチレンカーボネート(以下、場合によりECという)及びジエチルカーボネート(以下、場合によりDECという)を体積比がPC:EC:DEC=2:1:7で混合したものを非水溶媒とし、LiPFを1.5mol dm−3の割合で溶質として添加した。更に、非水溶媒と溶質とを混合した溶液100質量部に対して、添加物として1,3−プロパンスルトン5質量部とビニレンカーボネート0.5質量部を添加して非水電解質溶液を得た。
得られた積層体を、アルミラミネートフィルムからなる外装体に入れ、その状態で真空槽に保持し、この外装体に上記で得られた非水電解質溶液を注入した。減圧下で、積層体が非水電解質溶液に含浸した後、外装体を真空シールし、リチウムイオン二次電池(縦:115mm、横:85mm、厚さ:2.7mm)を作製した。なお、アルミラミネートパックのフィルムには、非水電解質溶液に接触する合成樹脂製の最内部の層(変性ポリプロピレンからなる層)、アルミニウム箔からなる金属層、ナイロンからなる層がこの順で順次積層された積層体を使用した。そして、この複合包装フィルムを2枚重ね合せてその縁部をヒートシールして作製した。
得られたリチウムイオン二次電池のアノード活物質含有層に含まれる水分量は、以下の方法により求めた。
同じ条件で作成し、同一条件にて乾燥させた(真空下にて60℃、1時間)水分分析用サンプル積層体のアノード活物質含有層の一部を分析試料として採取し、この試料中の水分量をカールフィッシャー法を用いて測定し、更に試料の質量を求めることにより、アノード活物質含有層を構成する材料1g中の水分量を求め、実施例1に含まれるアノード活物質含有層中の水分量とした。水分濃度は80ppmであった。
得られたリチウムイオン二次電池について、初期充放電特性評価試験、充放電サイクル特性評価試験及び安全性評価試験を行った。
(実施例2)
実施例1において、積層体の乾燥条件を真空下、60℃、12時間とし、アノード活物質含有層に含まれる水分の濃度が45ppmであったこと以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。得られたリチウムイオン二次電池について、初期充放電特性評価試験、充放電サイクル特性評価試験及び安全性評価試験を行った。
(実施例3)
実施例1において、積層体の乾燥条件を真空下、60℃、6時間とし、アノード活物質含有層に含まれる水分の濃度が50ppmであったこと以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。得られたリチウムイオン二次電池について、初期充放電特性評価試験、充放電サイクル特性評価試験及び安全性評価試験を行った。
(実施例4)
実施例1において、積層体の乾燥条件を真空下、25℃、3時間とし、アノード活物質含有層に含まれる水分の濃度が100ppmであったこと以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。得られたリチウムイオン二次電池について、初期充放電特性評価試験、充放電サイクル特性評価試験及び安全性評価試験を行った。
(比較例1)
実施例1において、積層体の乾燥条件を真空下、60℃、48時間とし、アノード活物質含有層に含まれる水分の濃度が35ppmであったこと以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。得られたリチウムイオン二次電池について、初期充放電特性評価試験、充放電サイクル特性評価試験及び安全性評価試験を行った。
(比較例2)
実施例1において、乾燥後の積層体を再び室温雰囲気に24時間放置して、アノード活物質含有層に含まれる水分の濃度を110ppmとしたこと以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。得られたリチウムイオン二次電池について、初期充放電特性評価試験、充放電サイクル特性評価試験及び安全性評価試験を行った。
(比較例3)
実施例1において、積層体の乾燥を行わず、アノード活物質含有層に含まれる水分の濃度を120ppmとしたこと以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。得られたリチウムイオン二次電池について、初期充放電特性評価試験、充放電サイクル特性評価試験及び安全性評価試験を行った。
なお、初期充放電特性評価試験、充放電サイクル特性評価試験及び安全性評価試験は以下のとおりである。
(初期充放電特性評価試験)
リチウムイオン二次電池作製後、25℃で初回の充電を行い、その直後に放電を行った。その際の充電容量と放電容量との比率により初期充放電特性を評価した。なお、充電は定格容量値の0.2倍の電流値である0.2C(500mA)で4.2Vまで定電流定電圧充電を行い、放電は0.2Cで2.5Vまで定電流放電を行った。得られた結果を表1に示すが、結果が85%以上の電池を、初期充放電特性が実用的に充分なものと評価した。また、電池容量は、上記の条件での放電容量の値とした。
(充放電サイクル特性評価試験)
電池作製後、25℃で100回の充放電を繰り返した後の放電容量A2を測定した。初回の充放電を行った後の放電容量A1とA2との比率{100×(A2/A1)}[%]により充放電サイクル特性を評価した。なお、充電は定格容量値の1倍の電流値である1C(2500mA)で4.2Vまで定電流定電圧充電を行い、放電は1C(2500mA)で2.5Vまで定電流放電を行った。得られた結果を表1に示すが、結果が90%以上の電池を、充放電サイクル特性が実用的に充分なものと評価した。
(安全性評価試験)
得られた実施例1〜4及び比較例1〜3のリチウムイオン二次電池のそれぞれについて、UL1642規定の150℃加熱試験を行い各々の安全性を評価した。UL1642規定の150℃加熱試験は、各電池(4.2Vでの充電を終了させた状態のもの)を恒温槽に入れ、昇温速度5℃/minで室温から150℃まで昇温し、150℃で1時間保持することにより行った。表1にその結果を示す。なお、表1に示す150℃加熱試験の結果のうち、記号「○」は「試験中に電池が破裂又は発火しなかった」という評価結果を示し、記号「×」は「試験中に電池が破裂又は発火した」という評価結果を示す。
Figure 0004109184
表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜4のリチウムイオン二次電池は、優れた初期充放電特性、優れた充放電サイクル特性、及び実用的に充分な容量を有することが確認され、また、充分な安全性を有していることが確認された。
本発明のリチウムイオン二次電池は、電子機器、特に携帯用電子機器の電源として有用である。
本発明のリチウムイオン二次電池の好適な一実施形態を示す正面図である。 図1に示すリチウムイオン二次電池の内部をアノード10の表面の法線方向からみた場合の展開図である。 図1に示すリチウムイオン二次電池を図1のX1−X1線に沿って切断した場合の模式断面図である。 図1に示すリチウムイオン二次電池を図1のX2−X2線に沿って切断した場合の要部を示す模式断面図である。 図1に示すリチウムイオン二次電池を図1のY−Y線に沿って切断した場合の要部を示す模式断面図である。 図1に示すリチウムイオン二次電池のケースの構成材料となるフィルムの基本構成の一例を示す模式断面図である。 図1に示すリチウムイオン二次電池のケースの構成材料となるフィルムの基本構成の別の一例を示す模式断面図である。 図1に示すリチウムイオン二次電池のアノードの基本構成の一例を示す模式断面図である。 図1に示すリチウムイオン二次電池のカソードの基本構成の一例を示す模式断面図である。 本発明のリチウムイオン二次電池の別の好適な実施形態に用いられる積層体の基本構成の一例を示す模式断面図である。
符号の説明
1…リチウムイオン二次電池、10…アノード、12…アノード用リード、14…絶縁体、20…カソード、22…カソード用リード、24…絶縁体、30…非水電解質溶液、40…セパレータ、50…ケース、60…素体、70…積層体。

Claims (14)

  1. アノード活物質を含む導電性のアノード活物質含有層を有するアノードと、
    カソード活物質を含む導電性のカソード活物質含有層を有するカソードと、
    リチウム塩、プロピレンカーボネート、及び、鎖状カーボネートを含む非水電解質溶液と、
    前記アノード、前記カソード、及び、前記非水電解質溶液を密閉した状態で収容するケースと、
    を有しており、
    前記非水電解質溶液中には、下記式(1)で表される条件を満たす添加物が更に含まれており、かつ、
    前記アノード活物質含有層に含まれる水分量が下記式(2)で表される条件を満たすように調節されていること、
    を特徴とするリチウムイオン二次電池。
    +0.9V≦(E2−E1)≦+2.5V …(1)
    40ppm≦C1≦100ppm …(2)
    [式(1)中、E1は酸化還元対Li/Liの標準電極電位(Vvs.SHE)を示し、E2は前記添加物の酸化還元対の標準電極電位(Vvs.SHE)を示し、式(2)中、C1は、前記アノード活物質含有層を構成する材料1g中の水分濃度を示す。]
  2. 前記アノード活物質含有層を構成する前記材料として、前記アノード活物質、及び、前記アノード活物質の粒子同士を結着させることが可能な結着剤が少なくとも使用されていることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記アノード活物質含有層中の前記アノード活物質の含有率A[質量%]、及び、前記結着剤の含有率B[質量%]が、下記式(3)及び下記式(4)で表される条件を満たしていることを特徴とする請求項2に記載のリチウムイオン二次電池。
    70≦A≦97 …(3)
    3≦B≦10 …(4)
  4. 前記アノード活物質含有層を構成する前記材料として、導電助剤が更に使用されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記アノード活物質含有層中の前記導電助剤の含有率D[質量%]が、下記式(5)で表される条件を満たしていることを特徴とする請求項4に記載のリチウムイオン二次電池。
    D≦25 …(5)
  6. 前記非水電解質溶液中には、エチレンカーボネートが更に含有されていることを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  7. 前記プロピレンカーボネートの含有率X[体積%]、前記エチレンカーボネートの含有率Y[体積%]、及び、前記鎖状カーボネートの含有率Z[体積%]が、下記式(6)〜(9)で表される条件を同時に満たしていること、を特徴とする請求項6に記載のリチウムイオン二次電池。
    10≦X≦60 …(6)
    1≦Y≦20 …(7)
    30≦Z≦80 …(8)
    X+Y+Z=100 …(9)
  8. 前記鎖状カーボネートが、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、及び、エチルメチルカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から7のうちのいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  9. 前記添加物が、下記一般式(I)で表される化合物、下記一般式(II)で表される化合物、及び、下記一般式(III)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であること、
    を特徴とする請求項1から8のうちのいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
    Figure 0004109184

    [式(I)中、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子及び炭素数1〜6の炭化水素基のうちの何れかを示す。]
    Figure 0004109184

    [式(II)中、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子及び炭素数1〜3の炭化水素基のうちの何れかを示す。]
    Figure 0004109184

    [式(III)中、R、R10、R11及びR12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子及び炭素数1〜4の炭化水素基のうちの何れかを示し、nは0又は1を示す。]
  10. 前記一般式(I)で表される化合物が、ビニレンカーボネートであること、を特徴とする請求項9に記載のリチウムイオン二次電池。
  11. 前記一般式(II)で表される化合物が、1,3−プロパンスルトンであること、を特徴とする請求項9又は10に記載のリチウムイオン二次電池。
  12. 前記一般式(III)で表される化合物が、1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイドであること、を特徴とする請求項9から11のうちのいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  13. 前記アノード及び前記カソードの間には、多孔質のセパレータが更に配置されており、
    前記セパレータの内部に前記非水電解質溶液が含浸されていること、
    を特徴とする請求項1から12のうちのいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  14. 電池容量が、2000mAh〜5000mAhであることを特徴とする請求項1〜13のうちのいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。

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