WO2011108516A1 - オルガノポリシロキサンの製造方法、該製造方法により得られるオルガノポリシロキサン、該オルガノポリシロキサンを含有する組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
ところが、LED製品の発光波長の短波長化(主に青色発光をするLED製品で480nm以下の場合を示す)が進んだ結果、短波長の光の影響で前記封止材料がLEDチップ上で着色し最終的にはLED製品として、照度が低下してしまうという指摘がされている。
そこで、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキシルカルボキシレートに代表される脂環式エポキシ樹脂は、芳香環を有するグリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂組成物と比較して透明性の点で優れていることから、LED封止材として積極的に検討がなされてきた(特許文献1、2)。
このようなシロキサン骨格を含有する化合物は通常のエポキシ樹脂と比較し、樹脂そのものの熱安定性が悪く、長期保管の中でゲル化してしまうなどの問題も報告されている(特許文献4)。このことは、残存するアルコキシ基とシラノール基の反応に起因し、高温で放置した際に、分子量が伸び、最終的にはゲル化してしまう、又は粘度が上がるなどの問題も生じていることから、安全性・安定性の面を考え、本問題を解決することは急務である。
すなわち本発明は、
(1)
工程1:
重量平均分子量が1000~3000である末端にシラノール構造を有するシリコーンとアルコキシシラン化合物を反応させ、変性シリコーンオイルを得る工程、及び、
工程2:
加水分解反応により、変性シリコーンオイル同士、および/または、アルコキシシラン化合物とを重合させる工程
を含むオルガノポリシロキサン(A)の製造方法において、
(イ)使用するアルコキシシラン化合物の少なくとも1種がその分子中にグルシジル基および/またはエポキシシクロヘキシル基を有し、
(ロ)工程1において末端にシラノール構造を有するシリコーンオイルとアルコキシシラン化合物の総重量に対し、2~100重量%の炭素数1~10のアルコール存在下で反応を行う
ことにより得られたエポキシ基を含有するオルガノポリシロキサン(A)。
(2)
工程1:
重量平均分子量が1000~3000である末端にシラノール構造を有するシリコーンオイルとアルコキシシラン化合物を反応させ、変性シリコーンオイルを得る工程
工程2:
加水分解反応により、変性シリコーンオイル同士、および/または、アルコキシシラン化合物とを重合させる工程
を含むオルガノポリシロキサン(A)の製造方法において、
(イ)使用するアルコキシシラン化合物の少なくとも1種がその分子中にグルシジル基および/またはエポキシシクロヘキシル基を有し、
(ロ)工程1において末端にシラノール構造を有するシリコーンオイルとアルコキシシラン化合物の総量に対し、2~100重量%の炭素数1~10のアルコール存在下で反応を行う
ことを特徴とするエポキシ基を含有するオルガノポリシロキサンの製造方法。
(3)
工程2において炭素数1~10のアルコール存在下、反応を行うことを特徴として得られた(1)に記載のオルガノポリシロキサン。
(4)
炭素数1~10のアルコールが1級のアルコールであることを特徴として得られた(1)または(3)に記載のオルガノポリシロキサン。
(5)
炭素数1~10のアルコールが1級のアルコールと2級のアルコールの混合物であることを特徴として得られた(1)または(3)に記載のオルガノポリシロキサン。
(6)
末端にシラノール構造を有するシリコーンオイル、アルコキシシラン化合物の少なくとも1種がフェニル基を有することを特徴として得られた(1)、(3)~(5)のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン。
(7)
得られるオルガノポリシロキサン(A)のエポキシ当量が300~1500g/eq.であることを特徴とする(1)、(3)~(6)のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン。
(8)
(1)、(3)~(7)のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン(A)と酸無水物(B)を含むエポキシ樹脂組成物。
(9)
(1)、(3)~(7)のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン(A)と2つ以上のカルボキシル基を有し、脂肪族炭化水素基を主骨格とする多価カルボン酸(C)を含むエポキシ樹脂組成物。
(10)
(8)または(9)に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
(工程1)
末端にシラノール構造を有するシリコーンオイルとアルコキシシラン化合物を反応させ、変性シリコーンオイルを得る工程
(工程2)
変性シリコーンオイル同士、および/またはアルコキシシラン化合物との加水分解反応により重合させる工程
本発明においては2工程に分けて反応を行うこと(特徴1)、また特に工程1においてアルコール存在下で反応を行うこと(特徴2)が特徴的である。
特徴1においては反応を二段階に分けることで、変性シリコーンオイルの分子鎖に官能基ができるだけ多く導入されるという構造を形成することが可能になった。本反応は一段階でも可能ではあるが、シラノールとアルコキシ基との反応とアルコキシシラン同士の重合反応が競争反応となり、お互いの反応速度の差、生成物の相溶性の差により、不均一な化合物が得られたり、官能基を有さないシリコーンオイルが残存することにより製品に悪影響を及ぼしたりする。本発明によれば、二段階での反応を行い、シリコーンオイルを中に取り込んだシリコーンオイルセグメントとアルコキシシラン化合物の重合物とがそれぞれ順番に入った構造を有するブロック型オリゴシロキサン構造を形成させることで、これらの問題を回避できる。
また特徴2において、シラノールとアルコキシシラン化合物との反応は脱アルコール反応であるため、アルコールの存在は反応を抑制する働きを有し、好ましくないものである。
しかしながら本発明においては、あえてアルコールを添加することで脱アルコール反応の過度な進行を制御し、過度な分子量の増大を抑制させることができるという効果を有する。このような反応の制御は品質の安定化という観点で工業的に有用である。こうして得たエポキシ基を含有するオルガノポリシロキサンを用いることで非常にフレキシビリティーに富んだ硬化物を得ることに成功した。さらに、分子量が大きくなり過ぎる事を抑制することにより、リフロー時の基板からの剥離しにくい硬化物を得ることができた。
末端にシラノール構造を有するシリコーンオイルとしては下記式(1)
一般式(1)の式中、複数存在するR1は互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~14のアリール基、炭素数2~10のアルケニル基を示す。
炭素数1~10のアルキル基としては、炭素数1~10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、アミル基、n-ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等を挙げることができる。これらの中で、耐光性を考慮すると、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
炭素数6~14のアリール基としては、例えば、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、キシリル基等を挙げることができる。
炭素数2~10のアルケニル基としては、ビニル基、1-メチルビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基等を挙げることができる。
R1は耐光性、耐熱性の観点から、メチル基、フェニル基、シクロヘキシル基、n-プロピル基が好ましく、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
本発明において末端にシラノール構造を有するシリコーンオイルの分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて、下記条件下で測定された値に基づき、ポリスチレン換算で算出した重量平均分子量(Mw)を意味する。
GPCの各種条件
メーカー:島津製作所
カラム:ガードカラム SHODEX GPC LF-G LF-804(3本)
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
本反応に2級アルコールを併用することで工程1の反応系の単位時間あたりの重量平均分子量の変化量が、1級アルコールのみを用いた場合よりも小さくなるため、反応の制御がより容易である。一般的に工業生産など大スケールの反応の際には、反応時間、反応温度の厳密な制御が困難になるため、2級アルコールの併用は反応制御の観点から特に工業生産など大スケール反応の際に有用である。
工程1においてアルコールの使用量は、末端にシラノール構造を有するシリコーンオイルとアルコキシシラン化合物の総重量に対し、2重量%以上含有することが好ましい。より好ましくは2~100重量%、さらに好ましくは3~50重量%、特に好ましくは4~40重量%である。
100重量%を越えると反応の進みが極度に遅くなり、2重量%未満の場合、目的とする反応以外の反応が進行し、高分子量化が進み、ゲル化、粘度の上昇、硬化物として使用が困難となるほどの弾性率の増加、といった問題が生じてしまう。
本反応においては必要に応じて他の溶剤を併用しても構わない。
併用できる溶剤としては例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンのようなケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、ブタン酸イソプロピルなどのエステル類ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレンのような炭化水素等が例示できるが本反応においてはあまりこれらの溶剤の添加は好ましくない。
これらの中でも、特に塩基性触媒が好ましく、生成物からの触媒除去が容易である点で無機塩基が好ましい。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属塩、あるいはアルカリ土類金属塩、特に水酸化物が好ましい。
触媒の添加量は、末端にシラノール構造を有するシリコーンオイルとアルコキシシラン化合物の総重量に対し、通常0.001~5重量%、好ましくは0.01~2重量%である。
触媒の添加方法は、直接添加するか、可溶性の溶剤等に溶解させた状態で使用する。その中でもメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類に触媒をあらかじめ溶解させた状態で添加するのが好ましい。この際に、水などを用いた水溶液として添加することは、目的とする反応以外のゾルーゲル反応が競争的に進行してしまい、アルコキシシラン化合物の重縮合を一方的に進行させ、それにより生成した反応物と、シリコーンオイルとが相溶せず白濁する可能性があるので注意が必要である。
この際の水分の許容範囲は末端にシラノール構造を有するシリコーンオイルとアルコキシシラン化合物の総重量に対し0.5重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下であり、水分が可能な限り無いほうがより好ましい。
工程1の反応終了後、水を添加し、工程1で得られた変性シリコーンオイルの残存するアルコキシ基同士の重合(ゾルーゲル反応)を行なう。この際、必要に応じて前述のアルコキシシラン化合物、触媒を前述の量の範囲内で添加しても構わない。この反応は、(1)変性シリコーンオイル同士、および/または、(2)変性シリコーンオイル同士とアルコキシシラン化合物との間、および/または、(3)アルコキシシラン化合物同士、および、(4)アルコキシシラン化合物の部分重合物と変性シリコーンオイルとの間で重合反応を行う工程である。上記(1)~(4)の重合反応は、同時に平行して進行していると考えられる。
特に工程2においても先と同様、触媒としては塩基性無機触媒が好ましいことは代わりがなく、工程1の段階で必要な量を先に添加しておいても構わない。ただし、工程1で好ましい態様として記載した範囲を越えることは好ましくない。
工程2において溶剤として、工程1と同様にアルコールを用いることが好ましい。使用できるアルコールとしては炭素数1~10のアルコールが挙げられ、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t-ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナンアルコール、デカンアルコール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール等が挙げられる。本発明においては特に1級アルコール、2級アルコールが好ましく、特に1級アルコールが好ましい。また、後の除去性能の問題から、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t-ブタノール等の炭素数1~4の低分子量アルコールが好ましい。これらアルコールは混合して用いても構わない。これらアルコールの存在が分子量制御、およびその安定性に寄与する。
アルコールの添加量としては工程1において仕込んだ末端にシラノール構造を有するシリコーンオイルとアルコキシシラン化合物の総重量に対し、20~200重量%、好ましくは20~150重量%、特に好ましくは30~120重量%である。
水の使用量としては、残存するアルコキシ基量に対し、0.5~8.0当量、より好ましくは0.6~5.0当量、特に好ましくは0.65~2.0当量である。
水の量が0.5当量を切る場合、反応の進行が遅くなり、アルコキシシラン化合物が反応せずに残存する等の問題が生じたり、十分なネットワークを組めず、後のエポキシ樹脂組成物とした後の硬化後も硬化不良を起こしたりする可能性がある。また8.0当量を越える場合、分子量制御が効かず、必要以上に高分子量となる。さらに、エポキシ樹脂の安定性を阻害する可能性がある。
中和反応には酸性または塩基性を示す化合物であれば使用する事ができる。酸性を示す化合物の例としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸や蟻酸、酢酸、蓚酸等の有機酸が挙げられる。また、塩基性を示す化合物の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウムのようなアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩、燐酸、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸トリナトリウム、ポリ燐酸、トリポリ燐酸ナトリウムのようなリン酸塩類等の無機塩基、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチレントリアミン、n-ブチルアミン、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の有機塩基を使用することができる。これらの中でも、特に生成物からの除去が容易である点で無機塩基もしくは無機酸が好ましく、さらに好ましくは中性付近へのpHの調整がより容易である燐酸塩類などである。
活性白土としては、例えば、東新化成社製として、活性白土SA35、SA1、T、R-15、E、ニッカナイトG-36、G-153、G-168が、水沢化学工業社製として、ガレオンアース、ミズカエースなどが挙げられる。活性炭としては、例えば、味の素ファインテクノ社製として、CL-H、Y-10S、Y-10SFがフタムラ化学社製として、S、Y、FC、DP、SA1000、K、A、KA、M、CW130BR、CW130AR、GM130Aなどが挙げられる。ゼオライトとしては、例えば、ユニオン昭和社製として、モレキュラーシーブ3A、4A、5A、13Xなどが挙げられる。合成吸着剤としては、例えば、協和化学社製として、キョーワード100、200、300、400、500、600、700、1000、2000や、ローム・アンド・ハース社製として、アンバーリスト15JWET、15DRY、16WET、31WET、A21、アンバーライトIRA400JCl、IRA403BLCl、IRA404JCl、ダウケミカル社製として、ダウエックス66、HCR-S、HCR-W2、MAC-3などが挙げられる。
吸着剤を反応液に加え、攪拌、加熱等の処理を行い、触媒を吸着した後に、吸着剤をろ過、さらには残渣を水洗することによって、触媒、吸着剤を除くことができる。
重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて下記条件下測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
GPCの各種条件
メーカー:島津製作所
カラム:ガードカラム SHODEX GPC LF-G LF-804(3本)
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
存在するケイ素原子の割合は、エポキシ樹脂の1H NMR、29Si NMR、元素分析等によって求めることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は本発明のエポキシ樹脂と硬化剤を必須成分とする。
本発明において硬化剤としては硬度、作業性という観点から特に酸無水物(B)、多価カルボン酸(C)が好ましい。
特にメチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン-1,3,4-トリカルボン酸-3,4-無水物などが、耐光性、透明性、作業性の観点から好ましい。
多価カルボン酸(C)としては、2~6官能のカルボン酸が好ましく、2~6官能の多価アルコールと酸無水物との反応により得られた化合物がより好ましい。さらには上記酸無水物が飽和脂肪族環状酸無水物である多価カルボン酸が好ましい。
2~6官能の多価アルコールとしてはアルコール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、2,4-ジエチルペンタンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネンジオールなどのジオール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、2-ヒドロキシメチル-1,4-ブタンジオールなどのトリオール類、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパンなどのテトラオール類、ジペンタエリスリトールなどのヘキサオール類などが挙げられる。
付加反応の条件としては公知の方法であれば特に限定なく用いることができるが、具体的な反応条件としては、例えば、酸無水物、多価アルコールを無触媒、無溶剤の条件下、40~150℃で反応させ加熱し、反応終了後、そのまま取り出す手法が挙げられる。
本発明の多価カルボン酸(C)としては、シリコーン化合物(a)と酸無水物(b)との反応により製造される化合物も使用することができる。
シリコーン化合物(a)としては下記式(5)
分子内にカルボン酸無水物基を1個以上もつ化合物(b)は1種又は2種以上混合して用いることができる。この中でも、カルボン酸化合物(C)が室温で液状であり、カルボン酸化合物(C)とエポキシ樹脂とを硬化してなる硬化物の透明性が優れるため、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチルノルボルナン-2,3-ジカルボン酸無水物、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸-1,2-無水物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物が好ましい。より好ましくはメチルヘキサヒドロフタル酸無水物、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸-1,2-無水物であり、特に好ましくはメチルヘキサヒドロフタル酸無水物である。
これらエポキシ樹脂としては、シクロヘキセンカルボン酸とアルコール類とのエステル化反応あるいはシクロヘキセンメタノールとカルボン酸類とのエステル化反応(Tetrahedron vol.36 p.2409 (1980)、Tetrahedron Letter p.4475 (1980)等に記載の手法)、あるいはシクロヘキセンアルデヒドのティシェンコ反応(日本国特開2003-170059号公報、日本国特開2004-262871号公報等に記載の手法)、さらにはシクロヘキセンカルボン酸エステルのエステル交換反応(日本国特開2006-052187号公報等に記載の手法)によって製造できる化合物を酸化した物などが挙げられる(これらの引例の全内容はここに参照として取り込まれる)。
アルコール類としては、アルコール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されないがエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、2,4-ジエチルペンタンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネンジオールなどのジオール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、2-ヒドロキシメチル-1,4-ブタンジオールなどのトリオール類、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパンなどのテトラオール類などが挙げられる。またカルボン酸類としてはシュウ酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれに限らない。
これらエポキシ樹脂の具体例としては、ERL-4221、UVR-6105、ERL-4299(全て商品名、いずれもダウ・ケミカル製)、セロキサイド2021P、エポリードGT401、EHPE3150、EHPE3150CE(全て商品名、いずれもダイセル化学工業製)およびジシクロペンタジエンジエポキシドなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない(参考文献:総説エポキシ樹脂 基礎編I p76-85、その全内容はここに参照として取り込まれる))。
これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
併用できる硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物、カルボン酸系化合物などが挙げられる。使用できる硬化剤の具体例としては、アミン類やポリアミド化合物(ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂など)、酸無水物とシリコーン系のアルコール類との反応物(無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン-1,3,4-トリカルボン酸-3,4-無水物、などの酸無水物とカルビノール変性シリコーンなどのシリコーン系アルコール類との反応物など)、多価フェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビフェノール、3,3’,5,5’-テトラメチル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、o-ヒドロキシベンズアルデヒド、p-ヒドロキシアセトフェノン、o-ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1’-ビフェニル、4,4’-ビス(メトキシメチル)-1,1’-ビフェニル、1,4’-ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4’-ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物およびこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、テルペンとフェノール類の縮合物、その他(イミダゾール、トリフルオロボラン-アミン錯体、グアニジン誘導体、など)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記アミン化合物としては、例えば、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(2,2,6,6-トトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシラート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールおよび3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-ウンデカンオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カーボネート、2,2,6,6,-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-〔2-〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕-4-〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル-メタアクリレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)〔〔3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル,1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、N,N’,N″,N″′-テトラキス-(4,6-ビス-(ブチル-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミンとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ〔〔6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル〕〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕〕、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールの重合物、2,2,4,4-テトラメチル-20-(β-ラウリルオキシカルボニル)エチル-7-オキサ-3,20-ジアザジスピロ〔5・1・11・2〕ヘネイコサン-21-オン、β-アラニン,N,-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-ドデシルエステル/テトラデシルエステル、N-アセチル-3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)ピロリジン-2,5-ジオン、2,2,4,4-テトラメチル-7-オキサ-3,20-ジアザジスピロ〔5,1,11,2〕ヘネイコサン-21-オン、2,2,4,4-テトラメチル-21-オキサ-3,20-ジアザジシクロ-〔5,1,11,2〕-ヘネイコサン-20-プロパン酸ドデシルエステル/テトラデシルエステル、プロパンジオイックアシッド,〔(4-メトキシフェニル)-メチレン〕-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)エステル、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールの高級脂肪酸エステル、1,3-ベンゼンジカルボキシアミド,N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)等のヒンダートアミン系、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系化合物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミド-メチル)-5-メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコールの反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系化合物、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-〔(ヘキシル)オキシ〕フェノール等のトリアジン系化合物等が挙げられるが、特に好ましくは、ヒンダートアミン系化合物である。
市販されているアミン系化合物としては特に限定されず、例えば、チバスペシャリティケミカルズ製として、TINUVIN765、TINUVIN770DF、TINUVIN144、TINUVIN123、TINUVIN622LD、TINUVIN152、CHIMASSORB944、アデカ製として、LA-52、LA-57、LA-62、LA-63P、LA-77Y、LA-81、LA-82、LA-87などが挙げられる。
次に本発明のエポキシ樹脂組成物を光半導体の封止材又はダイボンド材として用いる場合について詳細に説明する。
注入方法としては、ディスペンサー、トランスファー成形、射出成形等が挙げられる。
加熱は、熱風循環式、赤外線、高周波等の方法が使用できる。加熱条件は例えば80~230℃で1分~24時間程度が好ましい。加熱硬化の際に発生する内部応力を低減する目的で、例えば80~120℃、30分~5時間予備硬化させた後に、120~180℃、30分~10時間の条件で後硬化させることができる。
本明細書において、比率、パーセント、部などは、特に断りのない限り、重量に基づくものである。本明細書において、「X~Y」という表現は、XからYまでの範囲を示し、その範囲はX、Yを含む。
(1)分子量:GPC法により、下記条件下測定されたポリスチレン換算、重量平均分子量を算出した。
GPCの各種条件
メーカー:島津製作所
カラム:ガードカラム SHODEX GPC LF-G LF-804(3本)
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
(2)エポキシ当量:JIS K-7236に記載の方法で測定。
(3)粘度:東機産業株式会社製E型粘度計(TV-20)を用いて25℃で測定。
(4)透過率:日立製作所社製U-3300を用い、400nmの光線透過率測定を行った。
工程1として、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン158部、重量平均分子量1700(GPC測定値)のシラノール末端メチルフェニルシリコーンオイル546部(シラノール当量850、GPCを用いて測定した重量平均分子量の半分として算出した。)、0.5%水酸化カリウム(KOH)メタノール溶液40部を反応容器(攪拌装置、ジムロートコンデンサ、温度計を設置したガラス製4つ口フラスコ)に仕込み、還流下にて8時間反応させた。この時の重量平均分子量は2230であった。
工程2として、メタノールを598部追加後、50%蒸留水メタノール溶液69.2部を60分かけて滴下し、還流下、8時間反応させた。反応終了後、5%リン酸二水素ナトリウム水溶液で中和後、メタノールの約90%を蒸留回収した。次いで、メチルイソブチルケトン(MIBK)700部を添加し、水洗を3回繰り返した。得られた有機相を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより本発明のオルガノポリシロキサン(S-1)634部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は1015g/eq、重量平均分子量は2290、外観は無色透明の液状樹脂であった。
工程1として、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン39.4部、重量平均分子量1700(GPC測定値)のシラノール末端メチルフェニルシリコーンオイル136.6部(シラノール当量850、GPCを用いて測定した重量平均分子量の半分として算出した。)、0.5%水酸化カリウム(KOH)メタノール溶液10部、メタノール140部を反応容器(攪拌装置、ジムロートコンデンサ、温度計を設置したガラス製4つ口フラスコ)に仕込み、還流下にて8時間反応させた。この時の重量平均分子量は1770であった。
工程2として、50%蒸留水メタノール溶液17.3部を60分かけて滴下し、還流下、8時間反応させた。反応終了後、5%リン酸二水素ナトリウム水溶液で中和後、メタノールの約90%を蒸留回収した。次いで、メチルイソブチルケトン(MIBK)160部を添加し、水洗を3回繰り返した。得られた有機相を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより本発明のオルガノポリシロキサン(S-2)151部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は1042g/eq、重量平均分子量は2050、外観は無色透明の液状樹脂であった。
工程1として、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン59部、重量平均分子量1700(GPC測定値)のシラノール末端メチルフェニルシリコーンオイル131部(シラノール当量850、GPCを用いて測定した重量平均分子量の半分として算出した。)、0.5%水酸化カリウム(KOH)メタノール溶液10部(KOH部数としては、0.05部)を反応容器(攪拌装置、ジムロートコンデンサ、温度計を設置したガラス製4つ口フラスコ)に仕込み、バス温度を75℃に設定し、昇温した。昇温後、還流下にて8時間反応させた。この時の重量平均分子量は1540であった。
工程2として、メタノールを135部追加後、50%蒸留水メタノール溶液25.9部を60分かけて滴下し、還流下75℃にて8時間反応させた。反応終了後、5%リン酸二水素ナトリウム水溶液で中和後、80℃でメタノールの蒸留回収を行った。メチルイソブチルケトン(MIBK)170部を添加し、水洗を3回繰り返した。次いで有機相を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより本発明のオルガノポリシロキサン(S-3)162部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は729g/eq、重量平均分子量は2200、外観は無色透明の液状樹脂であった。
工程1として、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン296部、重量平均分子量1700(GPC測定値)のシラノール末端メチルフェニルシリコーンオイル505部(シラノール当量850、GPCを用いて測定した重量平均分子量の半分として算出した。)、0.5%水酸化カリウム(KOH)メタノール溶液40部(KOH部数としては、0.2部)を反応容器(攪拌装置、ジムロートコンデンサ、温度計を設置したガラス製4つ口フラスコ)に仕込み、バス温度を75℃に設定し、昇温した。昇温後、還流下にて8時間反応させた。この時の重量平均分子量は1380であった。
工程2として、メタノールを510部追加後、50%蒸留水メタノール溶液129.6部を60分かけて滴下し、還流下75℃にて8時間反応させた。反応終了後、5%リン酸二水素ナトリウム水溶液で中和後、80℃でメタノールの蒸留回収を行った。メチルイソブチルケトン(MIBK)704部を添加し、水洗を3回繰り返した。次いで有機相を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより本発明のオルガノポリシロキサン(S-4)692部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は611g/eq、重量平均分子量は2120、外観は無色透明の液状樹脂であった。
工程1として、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン355部、重量平均分子量1700(GPC測定値)のシラノール末端メチルフェニルシリコーンオイル487部(シラノール当量850、GPCを用いて測定した重量平均分子量の半分として算出した。)、0.5%水酸化カリウム(KOH)メタノール溶液40部を反応容器(攪拌装置、ジムロートコンデンサ、温度計を設置したガラス製4つ口フラスコ)に仕込み、還流下にて10時間反応させた。この時の重量平均分子量は1130であった。
工程2として、メタノールを640部追加後、50%蒸留水メタノール溶液155.6部を60分かけて滴下し、還流下、8時間反応させた。反応終了後、5%リン酸二水素ナトリウム水溶液で中和後、メタノールの約90%を蒸留回収した。次いで、メチルイソブチルケトン(MIBK)757部を添加し、水洗を3回繰り返した。得られた有機相を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより本発明のオルガノポリシロキサン(S-5)724部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は526g/eq、重量平均分子量は2200、外観は無色透明の液状樹脂であった。
工程2として、メタノールを656部追加後、50%蒸留水メタノール溶液172.8部を60分かけて滴下し、還流下、8時間反応させた。反応終了後、5%リン酸二水素ナトリウム水溶液で中和後、メタノールの約90%を蒸留回収した。次いで、メチルイソブチルケトン(MIBK)782部を添加し、水洗を3回繰り返した。得られた有機相を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより本発明のオルガノポリシロキサン(S-6)741部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は487g/eq、重量平均分子量は2250、外観は無色透明の液状樹脂であった。
工程1として、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン394部、重量平均分子量1700(GPC測定値)のシラノール末端メチルフェニルシリコーンオイル475部(シラノール当量850、GPCを用いて測定した重量平均分子量の半分として算出した。)、0.5%水酸化カリウム(KOH)メタノール溶液4部、イソプロピルアルコール36部を反応容器(攪拌装置、ジムロートコンデンサ、温度計を設置したガラス製4つ口フラスコ)に仕込み、還流下にて4時間反応させた。この時の重量平均分子量は840であった。その後さらに還流下にて6時間反応(合計10時間)させた。この時の重量平均分子量は940であった。
工程2として、メタノールを656部追加後、50%蒸留水メタノール溶液172.8部を60分かけて滴下し、還流下、10時間反応させた。反応終了後、5%リン酸二水素ナトリウム水溶液で中和後、メタノールの約90%を蒸留回収した。次いで、メチルイソブチルケトン(MIBK)782部を添加し、水洗を3回繰り返した。得られた有機相を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより本発明のオルガノポリシロキサン(S-10)731部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は491g/eq、重量平均分子量は2090、外観は無色透明の液状樹脂であった。
工程2として、メタノールを576部追加後、50%蒸留水メタノール溶液86.4部を60分かけて滴下し、還流下、10時間反応させた。反応終了後、5%リン酸二水素ナトリウム水溶液で中和後、メタノールの約90%を蒸留回収した。次いで、メチルイソブチルケトン(MIBK)660部を添加し、水洗を3回繰り返した。得られた有機相を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより本発明のオルガノポリシロキサン(S-11)648部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は857g/eq、重量平均分子量は1860、外観は無色透明の液状樹脂であった。
工程1として、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン118部、重量平均分子量1700(GPC測定値)のシラノール末端メチルフェニルシリコーンオイル262部(シラノール当量850、GPCを用いて測定した重量平均分子量の半分として算出した。)、水酸化カリウム(KOH、固体のまま添加)0.1部を反応容器(攪拌装置、ジムロートコンデンサ、温度計を設置したガラス製4つ口フラスコ)に仕込み、バス温度を75℃に設定し、昇温した。昇温後、還流下にて8時間反応させた。この時の重量平均分子量は2140であった。
工程2として、メタノールを170部追加後、50%蒸留水メタノール溶液51.8部を60分かけて滴下し、還流下75℃にて8時間反応させた。反応終了後、5%リン酸二水素ナトリウム水溶液で中和後、80℃でメタノールの蒸留回収を行った。メチルイソブチルケトン(MIBK)340部を添加し、水洗を3回繰り返した。次いで有機相を減圧下、100℃で溶媒を除去することによりオルガノポリシロキサン(S-7)320部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は710g/eq、重量平均分子量は3100、外観は無色透明の液状樹脂であった。
工程1として、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン59.7部、重量平均分子量1700(GPC測定値)のシラノール末端メチルフェニルシリコーンオイル130.6部(シラノール当量850、GPCを用いて測定した重量平均分子量の半分として算出した。)、0.5%水酸化カリウム(KOH)メタノール溶液10部を反応容器(攪拌装置、ジムロートコンデンサ、温度計、ディーンスターク装置を設置したガラス製4つ口フラスコ)に仕込み、バス温度を75℃に設定し昇温した。昇温後1時間までに、ディーンスタークからメタノールを9.8g反応系から抜き出した。更には昇温後3時間30分までに、メタノールを6.1g反応系から抜き出した。そのまま昇温後から8時間反応させた。この時の重量平均分子量は2740であった。
工程2として、メタノールを135部追加後、50%蒸留水メタノール溶液25.9部を60分かけて滴下し、還流下75℃にて8時間反応させた。反応終了後、5%リン酸二水素ナトリウム水溶液で中和後、80℃でメタノールの蒸留回収を行った。メチルイソブチルケトン(MIBK)170部を添加し、水洗を3回繰り返した。次いで有機相を減圧下、100℃で溶媒を除去することによりオルガノポリシロキサン(S-8)158部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は715g/eq、重量平均分子量は3600、外観は無色透明の液状樹脂であった。
工程1として、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン39.4部、重量平均分子量1700(GPC測定値)のシラノール末端メチルフェニルシリコーンオイル136.6部(シラノール当量850、GPCを用いて測定した重量平均分子量の半分として算出した。)、0.5%水酸化カリウム(KOH)メタノール溶液10部を反応容器(攪拌装置、ジムロートコンデンサ、温度計、ディーンスターク装置を設置したガラス製4つ口フラスコ)に仕込み、バス温度を75℃に設定し昇温した。昇温後1時間までに、ディーンスタークからメタノールを5.8g反応系から抜き出した。更には昇温後2時間までに、メタノールを4.0g反応系から抜き出した。そのまま昇温後から8時間反応させた。この時の重量平均分子量は3460であった。
工程2として、メタノールを140部追加後、50%蒸留水メタノール溶液17.3部を60分かけて滴下し、還流下75℃にて8時間反応させた。反応終了後、5%リン酸二水素ナトリウム水溶液で中和後、80℃でメタノールの蒸留回収を行った。メチルイソブチルケトン(MIBK)158部を添加し、水洗を3回繰り返した。次いで有機相を減圧下、100℃で溶媒を除去することによりオルガノポリシロキサン(S-9)152部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は1045g/eq、重量平均分子量は3660、外観は無色透明の液状樹脂であった。
実施例1~6、比較例1~3で得られた樹脂S-1~S11についての性状を表1にまとめた。
*2)添加したメタノールと共に、工程1の反応により生成したメタノールも系中から除いたため、工程1時の最終的なアルコール量(重量%)
両末端ヒドロキシエトキシプロピル変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業社製 X22-160AS)50部、メチルヘキサヒドロフタル酸(新日本理化社製 リカシッドMH)15.4部を反応容器(撹拌装置、ジムロート、温度計を設置したガラス製セパラブルフラスコ)に仕込み、60℃に昇温し、4時間後にGPCを測定したところ、メチルヘキサヒドロフタル酸のピークが消失していた。その後さらに2時間反応させた。反応終了後、ポリシロキサンを主骨格とする多価カルボン酸(C-1)65.4部を得た。得られた化合物の重量平均分子量は1700、官能基当量は700g/eq.、外観は無色透明の液状樹脂であった。
トリシクロデカンジメタノール(オクセア社製 TCD-AL)12部、メチルヘキサヒドロフタル酸(新日本理化社製 リカシッドMH)73部、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸-1,2-無水物(三菱瓦斯化学社製 H-TMAn)を反応容器(撹拌装置、ジムロート、温度計を設置したガラス製4つ口フラスコ)に仕込み、40℃に昇温し1時間、次いで60℃で1時間反応後にGPCを測定したところトリシクロデカンジメタノールのピークが消失していた。反応終了後、環状脂肪族炭化水素基(トリシクロデカンジメチル)を主骨格とする多価カルボン酸(C-2)と、酸無水物(B)との混合物である硬化剤(H-1)を100部得た。得られた硬化剤(H-1)の官能基当量は171g/eq.であった(カルボン酸、酸無水物基をそれぞれ1官能基として考える)。外観は無色透明の液状であった。
実施例7で得られたエポキシ基を含有するオルガノポリシロキサン(S-10)100部、合成例1で得られた多価カルボン酸(C-1)128部を混合、20分間脱泡を行い、エポキシ樹脂組成物を得た。
実施例7で得られたエポキシ基を含有するオルガノポリシロキサン(S-10)50部、実施例8で得られたエポキシ基を含有するオルガノポリシロキサン(S-11)50部、合成例2で得られた硬化剤(H-1)19部を混合、20分間脱泡を行い、エポキシ樹脂組成物を得た。
実施例9、10で得られたエポキシ樹脂組成物を、30mm×20mm×高さ0.8mmになるように耐熱テープでダムを作成したガラス基板上に静かに注型した。その注型物を、120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化させ、厚さ0.8mmの透過率用試験片を得た。
(2)リフロー試験
実施例9、10で得られたエポキシ樹脂組成物を、シリンジに充填し精密吐出装置を使用して、発行波長465nmを持つ発光素子を搭載した表面実装型LED(外形5mm角、内径4.4mm、外壁高さ1.25mm)に注型した。その注型物を、120℃×1時間の予備校化の後150℃×3時間で硬化させ、表面実装型LEDを封止した。このように封止したLEDを、IR型リフロー装置を用いて下記プロファイルにて半田リフローを行い、アルミ基板に固定した際の外観変化を観察した。表中、○;リフロー後に封止材とLEDとに剥離が生じていない、×;リフロー後に封止材とLEDとに剥離が生じている。
リフロープロファイル;
室温(30℃以下)から180℃まで2℃/秒で昇温し、180℃で2分間保持する(プレヒート)。その後2℃/秒で260℃まで昇温し、260℃で10秒保持した後、40℃以下になるまで空冷する。
なお、本出願は、2010年3月2日付で出願された日本特許出願(特願2010-045891)に基づいており、その全体がここに参照として取り込まれる。また、本明細書に引用した文献は全体として取り込まれる。
Claims (10)
- 工程1:
重量平均分子量が1000~3000である末端にシラノール構造を有するシリコーンオイルとアルコキシシラン化合物を反応させ、変性シリコーンオイルを得る工程、及び、
工程2:
加水分解反応により、変性シリコーンオイル同士、および/または、アルコキシシラン化合物とを重合させる工程
を含むオルガノポリシロキサン(A)の製造方法において、
(イ)使用するアルコキシシラン化合物の少なくとも1種がその分子中にグルシジル基および/またはエポキシシクロヘキシル基を有し、
(ロ)工程1において末端にシラノール構造を有するシリコーンオイルとアルコキシシラン化合物の総重量に対し、2~100重量%の炭素数1~10のアルコール存在下で反応を行う
ことにより得られたエポキシ基を含有するオルガノポリシロキサン(A)。 - 工程1:
重量平均分子量が1000~3000である末端にシラノール構造を有するシリコーンオイルとアルコキシシラン化合物を反応させ、変性シリコーンオイルを得る工程
工程2:
加水分解反応により、変性シリコーンオイル同士、および/または、アルコキシシラン化合物とを重合させる工程
を含むオルガノポリシロキサン(A)の製造方法において、
(イ)使用するアルコキシシラン化合物の少なくとも1種がその分子中にグルシジル基および/またはエポキシシクロヘキシル基を有し、
(ロ)工程1において末端にシラノール構造を有するシリコーンオイルとアルコキシシラン化合物の総重量に対し、2~100重量%の炭素数1~10のアルコール存在下で反応を行う
ことを特徴とするエポキシ基を含有するオルガノポリシロキサンの製造方法。 - 工程2において炭素数1~10のアルコール存在下、反応を行うことを特徴として得られた請求項1に記載のオルガノポリシロキサン。
- 炭素数1~10のアルコールが1級のアルコールであることを特徴として得られた請求項1または請求項3に記載のオルガノポリシロキサン。
- 炭素数1~10のアルコールが1級のアルコールと2級のアルコールの混合物であることを特徴として得られた請求項1または請求項3に記載のオルガノポリシロキサン。
- 末端にシラノール構造を有するシリコーンオイル、アルコキシシラン化合物の少なくとも1種がフェニル基を有することを特徴として得られた請求項1、請求項3~5のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン。
- 得られるオルガノポリシロキサン(A)のエポキシ当量が300~1500g/eq.であることを特徴とする請求項1、請求項3~6のいずれか1項に記載のオルガノポリシロキサン。
- 請求項1、請求項3~7のいずれか1項に記載のオルガノポリシロキサン(A)と酸無水物(B)を含むエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1、請求項3~7のいずれか1項に記載のオルガノポリシロキサン(A)と2つ以上のカルボキシル基を有し、脂肪族炭化水素基を主骨格とする多価カルボン酸(C)を含むエポキシ樹脂組成物。
- 請求項8または請求項9に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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