WO2010055763A1 - 素子成形用部材、素子の製造方法、および素子 - Google Patents

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Abstract

光学素子を構成する素材を成形する型に対して気体を逃がすための溝を設けると、当該素材から成形されるレンズなどの光学素子に対して歪んだ形状が転写されることがある。また、型の外周面の外側に配置された中空の胴型に貫通孔を設けると、胴型の強度が著しく低下する。 本発明では、胴型の型と対向する内周面の少なくとも一部に、気体を逃がすための溝を設ける。

Description

素子成形用部材、素子の製造方法、および素子
  本発明は、ガラスレンズなどの光学素子を成形するための素子成形用部材および当該素子成形用部材を用いた素子の製造方法に関するものである。より特定的には、成形不良を抑制する素子成形用部材および当該素子成形用部材を用いた素子の製造方法、並びに当該部材や製造方法を用いて形成させた素子に関するものである。
  たとえばデジタルカメラや携帯電話など、各種光学機器や光学通信機器などに用いる光学素子としてのレンズは、ますます高性能が要求されている。そのため、前記レンズとしては、非球面レンズが用いられている。非球面レンズを研磨加工により製造することは非常にコストがかかるため、素子成形用部材を用いて成形加工を行なうことが主流である。
  成形加工により光学素子などの素子を成形する技術においては、素子成形用部材のうち、成形を行なうための1対の型を加熱する。ところがこの加熱を行なうときに、当該1対の型の加熱した部分と、型に配置した当該素子を構成する素材との間に空気などの気体が発生し、留置することがある。この気体が型と素材との間に挟まったまま加工を続けると、たとえば成形される素材が気体に圧迫されるため、当該素材から成形される素子が形状不良などの成形不良を起こすことがある。
  そこで、型と素材との間に留置する気体を有効に外部に放出するため、たとえば特開平8-337428号公報(以下、「特許文献1」という)には、上下1対の型のうち素子を構成する素材を配置する下側の型において、素材が配置される領域(光学有効径)の外側の領域に、気体を抜くための空気溝を形成する技術が開示されている。この技術では、素材が配置される最も外側の領域がなす円周から外側に向かって放射状に、気体を外部に放出するための空気溝を、上記円周の周方向において等間隔に4箇所配置している。これにより、気体が型と素材との間に滞留することなく放出されるため、当該素材から成形されるレンズなどの光学素子に対して形状不良などの成形不良を抑制することができ、その結果、成形されるレンズの光学的特性を損なわない。
  また、たとえば特開2007-314385号公報(以下、「特許文献2」という)には、上下1対の型のうち光学素子を構成する素材を配置する下側の型において、上側の型と下側の型とに拘束されて光学素子本体を形成する領域(光学機能面転写範囲)の外側の、光学素子の素材が配置される領域に粗面を形成する技術が開示されている。この粗面は、下側の型の光学機能面転写範囲と、光学機能面転写範囲における素材との間に滞留した気体を、当該粗面を介して型の外部に放射状に放出させるための面である。これにより、気体が型と素材との間に滞留することなく放出されるため、当該素材から成形されるレンズなどの光学素子に対して形状不良などの成形不良を抑制させることができ、その結果、成形されるレンズの光学的特性を損なわない。
  さらに、たとえば特開2007-176707号公報(以下、「特許文献3」という)にて開示されている素子成形用部材は、上下1対の型の噛み合う、光学素子の素材が配置される領域には周囲に一定の空間(キャビティ)が存在する。そのキャビティが、型の外周面を覆うように複数台配置された中空の胴型の外周面に設けられた貫通孔(連通孔)の少なくとも一部と相互に重なることにより、キャビティと胴型の外部の領域とが連通される。したがって、型と素材との間に滞留した気体は、当該連通された貫通孔を介して胴型の外部の領域へと放出される。このようにして気体を型と素材との間に滞留することなく放出する技術が特許文献3には開示されている。特許文献3においても、当該素材から成形されるレンズなどの光学素子に対して形状不良などの成形不良を抑制させることができるため、成形されるレンズの光学的特性を損なわない。
  また、たとえば特開2005-145777号公報(以下、「特許文献4」という)には、下側の型の外周面に段差を伴う溝形状を設けることにより、型と素材との間に滞留した気体を、当該段差を伴う溝形状を介して型の外部に放出させる素子成形用部材が開示されている。
特開平8-337428号公報 特開2007-314385号公報 特開2007-176707号公報 特開2005-145777号公報
  しかし、たとえば特許文献1および特許文献4に開示するような、光学素子を構成する素材を配置する型に対して気体を逃がすための溝を設ける場合には、型を加熱して素材を成形する過程において型や素材に加わる応力状態が不均一となることが考えられる。すると、型に配置した光学素子を構成する素材には、微小な弾性変形が発生することがある。
また特に、型に溝を設けることにより、当該型が長軸方向に沿った、断面の中心を通る軸に対して非対称になることがある。この場合、成形加工を行なう際に型や素材に加わる応力が、素材の領域によって不均衡に印加される。その結果、素材の変形が不均衡となることにより、当該素材から成形されるレンズなどの光学素子に対して歪んだ形状が転写されるため、形状不良などの成形不良を発生させる可能性がある。
  また、たとえば特許文献2に開示されるように、粗面を設けることを含め、素子成形用素材の型に傷(たとえば凹凸部)を形成することは、たとえその傷が光学機能面転写範囲の外側の領域に形成したものであっても、型の耐久性を劣化させることがある。耐久性が劣化することにより短寿命となる結果、型の製作費用が増大する可能性がある。また、粗面の上に光学素子を構成する素材を配置するため、素材の配置が不安定な状況になる場合がある。さらに、そのような不安定な状況で成型加工を行なおうとすると、型の芯出しが困難となり、結果として当該素材から成形されるレンズなどの光学素子に対して形状不良などの成形不良を発生させる可能性がある。
  さらに、たとえば特許文献3に開示されているように、型の外周面の外側に配置された中空の胴型に貫通孔を設けると、胴型の強度が著しく低下する。胴型は中空で外周面部のみ剛体成分として形成されているため、たとえ貫通孔が存在しないとしても、中空でない円筒形状の物体よりも強度が低い。したがって、このような貫通孔の存在する強度が充分でない胴型を用いて成形加工を行なう際には、胴型に応力が加えられることにより、胴型が破損する可能性がある。
  本発明は、上述した各問題に鑑みなされたものであり、その目的は、型と素材との間に滞留する気体や、素子成形用部材の構造に起因する成形不良を抑制する素子成形用部材、素子成形用部材を用いた製造方法、および当該部材や製造方法を用いて形成された素子を提供することである。
  本発明に係る素子成形用部材は、素子を成形する素子成形用部材であり、成形を行なうための1対の型と、当該1対の型の外周面を囲むように配置された中空の胴型と、1対の型の間において、当該素子を構成する素材の位置を調整する枠型とを備えている。そして、その胴型の、型の外周面と対向する内周面の少なくとも一部の領域に、凹部が形成される、素子成形用部材である。
  1対の型は、通常の使用状態において上下方向に1対存在する型であり、上下方向を長軸方向として、その長軸方向に交差する断面はたとえば円形をなす円筒形状である。その型の長軸方向に伸び、外面を覆う曲面をここでは外周面と定義する。上述した特許文献において開示されている素子成形用部材は、型と、素子を成形するための素材との間に滞留する気体を放出するための溝を、素材を配置する型に設ける。これに対し、本発明に係る素子成形用部材においては、当該溝(凹部)を、型の外周面を囲むように配置された中空の胴型に設ける。したがって、素子を成形するための素材を配置する型には溝を設けないので、素材に対して成形加工を行なう際に型や素材に加わる応力状態の均一を保つことができる。
  また、中空の胴型については、1対の型の外周面を覆うように配置されているため、型の外周面から放出される気体を素子成形用部材の外部に放出するための溝(凹部)を、型の外周面に対向する、胴型の内周面の少なくとも一部の領域に形成する。ここで内周面とは、胴型の長軸方向に伸び、内面を覆う曲面のことをいう。このようにすれば、胴型の内周面の溝を介して効率よく、気体を素子成形用部材の外部に放出させることができる。
  なお、胴型に凹部を設けた場合は、貫通孔を設けた場合のように、胴型の強度が低下する程度は小さい。したがって、適度な耐久性を有し、効率よく気体を放出させる素子成形用部材を提供することができる。このような部材によれば、形状不良などの成形不良の発生を抑制することができる。
  なお、先述したように、型と胴型と枠型との長軸方向に交差する断面の外形は円形状であることが好ましい。ここでは交差とは、たとえば長軸方向に直交している場合を指す。
本発明に係る素子成形用部材は、各種光学機器や光学通信機器などに用いる光学素子としてのレンズを成形するため、円形のレンズを成形するためには円形状の断面を有することが好ましい。
  上述した、胴型の内周面に形成される溝(凹部)の寸法については、型の長軸方向に交差する方向に広がる凹部の幅を2D(mm)、型の断面がなす円形の中心から、型の外周面までの半径をR(mm)、胴型の断面がなす円形の中心から、胴型の内周面までの半径をR(mm)とすれば、胴型および型の断面がなす円形の径方向に関して、型が凹部に嵌挿する距離L(mm)として、
L=R-√(R -D)-{R-√(R -D)}≦0.001
が成立することが好ましい。
  対向する上下1対の型が胴型の長軸方向に交差する断面の中心に関して点対称となるように配置されておれば、成形加工を行なうことにより形成される素子は、偏芯の存在しない理想の形状となる。しかし実際は、胴型の内周面に溝が存在するため、型の外周面近傍の領域が溝に嵌挿される場合がある。型が溝に嵌挿されると、型は胴型に対して偏芯を生じることになるため、成形加工を行なうことにより形成される素子は、一定の偏芯が存在する形状となる。型が溝に嵌挿される領域を極力少なくするためには、上述した胴型が凹部に嵌挿する距離Lが0.001mm以下であることが好ましく、0.0005mm以下であることがより好ましい。
  また、素材を成形する際に焼結する温度をT(℃)、胴型の長軸方向に交差する断面がなす円形の内側の径をD(mm)、型の、長軸方向に交差する断面がなす円形の外側の径をD(mm)、枠型の長軸方向に交差する断面がなす円形の外側の径をD(mm)とし、素材を1対の型の間に配置した室温からT(℃)における胴型の平均熱膨張係数をα(/℃)、室温からT(℃)における型の平均熱膨張係数をα(/℃)、室温からT(℃)における枠型の平均熱膨張係数をα(/℃)、焼結する温度であるT(℃)と、素材を1対の型の間に配置した室温との差をΔT(℃)とすれば、
  α<α
  α<αであり、かつ、
  0.030≧(α-α)ΔT+(D-D)≧0.005
  0.150≧(α-α)ΔT+(D-D)≧0.015
の関係を満たすことが好ましい。
  上述したように、対向する1対の型は、胴型に対して偏芯が存在しない状態で成形加工が行なわれることが好ましいが、実際に型を加熱する際における、当該1対の型と、胴型との間の熱膨張差を有効に利用することにより、成形を行なう加熱温度T(℃)にて、偏芯精度を非常に良好とすることができる。しかしここで、T(℃)にて断面で見た場合の胴型の内側の径D(mm)が、1対の型の断面の外径D(mm)よりも小さくなると、焼き嵌め状態となり、素子成形用部材としての摺動性が著しく低下することがある。そこで、T(℃)において胴型と1対の型との間を断面で見た場合に一定以上の隙間が存在することが好ましい。ただし、T(℃)にて断面で見た場合の胴型の内側の径D(mm)が、1対の型の断面の外形D(mm)よりも大きくなりすぎると、素子の偏芯精度が悪化する。この隙間が、0.005mm以上0.030mm以下であることが好ましいことを示すのが、上述した数式である。
  また同様に胴型と枠型との間にもT(℃)にて、断面で見た場合に一定以上の隙間が存在することが好ましい。枠型は素子を構成する素材を配置する位置を調整するために用いるものであり、高強度(高曲げ強度)な材料を用いて形成された部材である。このため、枠型が胴型に対して焼き嵌めを発生すると、胴型の耐久性が非常に問題となる。したがって枠型は、先述した1対の型よりも、胴型に対してさらに広い隙間が存在することが好ましい。ただし、当該隙間が非常に大きくなると、素子の位置決め精度が悪化する。この隙間が、0.015mm以上0.150mm以下であることが好ましいことを示すのが、上述した数式である。
  上述した胴型の凹部は、胴型の長軸方向に沿った方向に延在することが好ましい。たとえば胴型の凹部が、長軸方向に対して交差する方向(すなわち胴型の内周面の周方向にほぼ沿った方向)となるよう加工するよりも、長軸方向に沿った方向に延在するように加工する方が容易であり、加工のコストメリットも高い。
  ただし、上述した胴型の凹部は、胴型の長軸方向に対して交差する方向に延在してもよい。ここでは交差とは、たとえば胴型の長軸方向に対してある一定角度を有し、斜め方向に凹部が延在する構造、および胴型の長軸方向にほぼ垂直な方向に凹部が延在する構造の両方を含む。このように凹部が胴型の長軸方向に対して交差する方向に延在していれば、凹部の幅がたとえば先述した胴型の長軸方向に沿った方向に延在する凹部とほぼ同じだったとしても、型が凹部に嵌挿する量が少なくなる。このため、偏芯精度を適正に保つことができる。これは、たとえば凹部が胴型の内周面上において螺旋形状を描くように配置されていてもよい。この場合も、上述した胴型の凹部が胴型の長軸方向に対して交差する方向に延在する場合と同様に、型が凹部に嵌挿する量を少なくすることができる。
  この、胴型の内周面に配置される凹部は、胴型の内周面上において複数本形成されていてもよい。この場合、当該凹部は、胴型の内周面の周方向において等間隔に配置されることが好ましい。なお、ここで等間隔とは、ほぼ等間隔である(たとえば、複数本の凹部間の、胴型の周方向での距離の誤差が、平均値に対して±15%以内になっている)場合も含まれる。このように、凹部を等間隔に配置すれば、型と素材との間に滞留する気体を放出する作用を型全体において均等に行なうことができる。また、成形加工を行なう際に素子成形用部材全体に加わる応力を均一にすることができる。
  本発明に係る素子成形用部材の各構成要素を構成する材質に関して説明する。まず胴型は、先述した数式を満足するためには、熱膨張係数が1.0×10-7(/℃)以上3.5×10-6(/℃)以下の材料を少なくとも90質量%以上含むことが好ましく、たとえば石英ガラスを少なくとも90質量%以上含むことが好ましい。胴型の材料としては一般的に、石英ガラスを用いることが多い。また、熱膨張係数の値が上述した範囲内に存在する他の材質として、たとえばガラス状カーボンや、リチウム・アルミニウムケイ酸塩(LiAlSi)とケイ灰石(CaO・SiO)との複合セラミックスであるアドセラムなどを挙げることができ、これらの材質を胴型の材料として用いてもよい。
  あるいは、当該胴型の材料として、窒化珪素を90質量%以上含むものを用いてもよい。胴型の材料として、窒化珪素を含むものを用いることにより、上述した石英ガラスを含むものを用いる場合よりも、形成される胴型の強度を高くすることができる。
  また、1対の型の、少なくとも胴型の内周面と対向する摺動面は、炭素を含む材料にて形成されていることが好ましい。ここで、炭素を含む材料とは、グラファイト、ガラス状カーボン、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)及びダイヤモンドからなる群から選択されるいずれか1つを含むことが好ましい。
  1対の型は、胴型の内周面と対向する摺動面のみでなく、型全体が、炭素を含む材料で形成されていることが好ましい。炭素を含ませることにより、素子を成形した後に、形成した素子を型から外す脱型の程度(離型性)を高くすることができる。ただし、特に少なくとも胴型の内周面と対向する摺動面を優先的に炭素を含む材料により形成することにより、当該型と胴型との摺動性を向上させ、上述した離型性をより高くすることができる。なお、ここで、炭素の同素体として、黒鉛、ガラス状カーボン、DLC、及びダイヤモンドを挙げることができる。上述した1対の型の、少なくとも胴型の内周面と対向する摺動面は、これら同素体を含む材料にて形成されていてもよい。
  本発明に係る素子成形用部材においては、素子成形用部材を構成する上下1対の型の、摺動面と、素材を押圧する押圧面とが交差するエッジ部は、0.2mm以上1.0mm以下のR面またはC面を備えることが好ましい。ここでR面とは、2つの面の境界部がある半径(R)を有する曲面状の形状を形成した面をいう。C面とは、2つの交差する面に交差するよう設けられた面をいう。R面の場合、上述した半径(R)が0.2mm以上1.0mm以下であることが好ましい。C面の場合、C面部分が2つの交差する面のそれぞれを横切る領域の長さが0.2mm以上1.0mm以下であることが好ましい。
  このようなR面またはC面を設けることにより、型と胴型との摺動性を向上させることができる。また、R面やC面といった面取りは、型の胴型に対するカジリやカミコミを抑制する役割をも有する。
  枠型は、曲げ強度300MPa以上のセラミックスを少なくとも90質量%以上含むことが好ましい。より具体的には、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、炭化ボロン、ジルコニア及び炭化タンタルからなる群から選択されるいずれか1つを含む材料にて構成されることが好ましい。
  枠型は、1対の型の間において素子を構成する素材を配置する位置を調整するために用いるものである。成形時に押圧する圧力が側圧として枠型に直接的に負荷される。このため、枠型は、高強度(高曲げ強度)な材料を用いて形成されることが好ましい。したがって、枠型は、上述したような材料群から選択されるいずれか1つを含む材料にて構成されることが好ましい。また、枠型は、一般的には上述した強度の材質を含むことが好ましい。
  以上に述べた素子成形用部材を用いた素子の製造方法は、素材を準備する工程と、素材を型に配置する工程と、型を加熱する工程と、素材を押圧する工程とを備える。先述したように、素材を押圧する工程において、型が胴型の内周面に設けた溝(凹部)に嵌挿しても、型を加熱する工程において型を加熱すれば、型と胴型との熱膨張係数の差により、型の胴型に対する位置を修正しうる。このため、当該工程を経て形成される素子は、その偏芯精度が非常に良好である。
  本発明の素子成形用部材によれば、型と素材との間に滞留する気体や、素子成形用部材の構造に起因する、形成される素子の成形不良を抑制することができる。その結果、本発明の素子成形用部材を用いて形成された素子は、その偏芯精度が非常に良好なものとなる。
本発明の実施の形態に係る素子成形用部材の外観を示す概略図である。 図1の線分II-IIにおける概略断面図である。 上型外周面の近傍の領域の一部が溝に嵌挿された状態を示す概略図である。 型が溝に嵌挿する距離Lを計算するための図形である。 上型と下型との断面がなす円形の中心と、胴型の断面がなす円形の中心とが一致した状態を示す概略図である。 溝が存在しない胴型の内周面に上型の外周面が接触した状態を示す、概略図である。 図6の丸点線で囲んだ要部「VII」を拡大した概略図である。 本発明の実施の形態に係る素子成形用部材のうち、室温における1対の型と胴型と枠型との配置や寸法、熱膨張係数を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態に係る素子成形用部材のうち、成形温度T(℃)における1対の型と胴型と枠型との配置や寸法、熱膨張係数を示す概略断面図である。 R面が施された、上型の外周面と、上型の押圧面とが交差するエッジ部の状態を示す概略図である。 C面が施された、上型の外周面と、上型の押圧面とが交差するエッジ部の状態を示す概略図である。 長軸方向に沿った方向に溝が存在する胴型の展開図である。 胴型の上側半分にのみ長軸方向に沿った溝が存在する胴型の展開図である。 胴型の下側半分にのみ長軸方向に沿った溝が存在する胴型の展開図である。 胴型の下側半分にのみ長軸方向に沿った溝が存在し、溝の下端に溝から外部へ通じる水平溝が存在する胴型の展開図である。 長軸方向に交差する方向に溝が存在する胴型の展開図である。 胴型の上側半分にのみ長軸方向に交差する方向に溝が存在する胴型の展開図である。 胴型の下側半分にのみ長軸方向に交差する方向に溝が存在する胴型の展開図である。 胴型の下側半分にのみ長軸方向に交差する溝が存在し、溝の下端に溝から外部へ通じる水平溝が存在する胴型の展開図である。 胴型の内周面上において螺旋形状を描くように溝が配置される胴型の展開図である。 胴型の内周面上において溝が複数本配置される胴型の展開図である。 本発明に係る素子成形用部材を用いた素子の製造方法を示すフローチャートである。
  以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態が説明される。なお、各実施の形態において、同一の機能を果たす部位には同一の参照符号が付されており、その説明は、特に必要がなければ、繰り返さない。
  (実施の形態)
  図1は、本発明の実施の形態に係る素子成形用部材の外観を示す概略図である。また、図2は、図1の線分II-IIにおける概略断面図である。すなわち、図2は図1の長軸方向(上下方向)に沿った方向の断面を表わしている。図1および図2に示すように、本発明の実施の形態に係る素子成形用部材10は、通常の使用状態において上下方向に1対存在する、成形を行なうための型である上型11および下型12を備えている。また、型(上型11および下型12)の外周面を囲むように配置された中空の胴型14が配置される。この胴型14は、上型11および下型12を収納し、当該胴型14の内周面の内部にて上型11および下型12の位置決めを行ない、かつ摺動させるために設けられる。下型12の上面には、素子を構成する素材の位置を調整するための枠型16(リング)が配置される。また、特に図2の断面図に示すように、胴型14の左側の内周面には、内周面に沿った方向に一定の幅を有する凹部としての溝14cが、胴型14の上面から下面まで、胴型14の長軸方向に沿った方向に配置されている。この溝14cには、上型11および下型12の位置によっては、胴型14および型(上型11および下型12)の断面がなす円形の径方向に、上型11および下型12のそれぞれの外周面である、上型外周面11cおよび下型外周面12cの近傍の領域の一部が嵌挿される。
  図1および図2に示す素子成形用部材10は、たとえばカメラ(可視光カメラ、赤外線カメラ)や携帯電話、ウィンドウ(可視光透過、赤外線透過、可視光カット)などの各種光学機器や光学通信機器などに用いる光学素子としてのレンズやウィンドウの成形に用いる。レンズの主面が円形である場合、リングである枠型16の内周面の内部の領域に、素子を構成する素材を配置する。この場合、素子の外面が円形状となるよう成形するために、枠型16および、素子成形用部材10を構成する、上型11と下型12と胴型14との長軸方向(図1および図2における上下方向)に交差する断面の外形は円形状であることが好ましい。
  そして図2の断面図に示すように、下型12に配置された枠型16の内部の領域には、素子を構成する素材13が配置される。図2に示すように、素材13を上側から押圧するために上型11を下型12にセットした際に、この素材13は、上型11と下型12とに上下方向に挟まれる構成となる。したがって、下型12のうち素材13が配置される下型成形面12dおよび、素材13を押圧するために上型11のうちこれを下型12にセットした際に素材13が密着する上型成形面11dは、成形したいレンズの形状に沿った形状としている。
  図1および図2に示すように、胴型14の外周面の全面を覆うように、スリーブ15が配置されている。上型11や下型12、素材13を急激に加熱すると温度制御が困難となる。このため、加熱光を遮断して輻射熱や伝熱を用いて上型11や下型12、素材13を加熱する目的で、スリーブ15が配置される。
  図3は、上型外周面の近傍の領域の一部が溝に嵌挿された状態を示す概略図である。すなわち図3は、図1および図2を図の上側の平面から見た状態、または素子成形用部材10の長軸方向(図の上下方向)に交差する断面を見た状態を示すものである。図3においては、胴型14の胴型外周面14a、胴型内周面14bおよび溝14cを示している。なお、胴型内周面14bのうち、図3において点線で示す部分は、溝14cが存在しないと仮定した場合における胴型内周面14bを示している。図3に示すように、胴型14および上型11の断面が示す円形の径方向(図における右側から左側)に関して、溝14cが存在しないと仮定した場合における胴型内周面14bに対して、上型11の上型外周面11cの近傍の領域が溝14cに嵌挿する距離Lが大きいと、上型11および下型12が胴型14に対して溝14cの存在する側(図3においては左側)に大きく偏芯する。その状態で成形を行なえば、成形された素子においても大きな偏芯が発生することになる。このため、Lを極力少なくすることが好ましい。
  図4は、型が溝に嵌挿する距離Lを計算するための図形である。先述した図3と図4とを対比して、図3におけるLは図4においては以下に述べる部分にあたる。まず、溝14cに嵌挿した上型外周面11cが溝14cの深さ方向(図4における左側)に最も深く嵌挿した点Aと、上型11の断面がなす円形の中心点Oとを結ぶ直線を考える。このとき、胴型14に溝14cが存在しないと仮定した場合における胴型内周面14bと、直線AOとの交点A’を考えたときにおけるAA’の距離がLである。
  図4に示すように、上型11の断面がなす円形の半径をR(mm)、胴型内周面14bの半径をR(mm)(胴型内周面14bの中心はO’)とする。すなわち、上型11の断面がなす円形の中心点Oから、上型外周面11cまでの半径がR(mm)であり、胴型14の断面がなす円形の中心O’から、胴型内周面14bまでの半径がR(mm)である。すると、上型外周面11cと胴型内周面14bとの交点2点間の距離は、図4において図示しない溝14c(図3参照)の、上型11の長軸方向に交差する方向に広がる幅である。たとえば点Aと点Oとを結ぶ直線により溝14cは2等分されるため、図4に示すように溝14cの幅は2D(mm)で表わせる。ここで、図4に示すように、上型外周面11cと胴型内周面14bとの2つの交点のうち一方(図4においては上側の交点)を点P、当該2つの交点のうち他方(図4においては下側の交点)を点Qとする。ここで、直線PQと直線AOとの交点をBとすれば、点Bは溝14cを2等分する点である。したがって、PB=Dとなる。ここで、直角三角形BOPに着目すれば、三平方の定理より、
BO=√(R -PB)=√(R -D
となる。また、直角三角形BO’Pに着目すれば、
BO’=√(R -PB)=√(R -D
である。また、A’O’=Rであることから、
A’B=A’O’-BO’=R-√(R -D)である。
AO=Rmであることから、
L=AA’=AO-BO-A’B=R-√(R -D)-{R-√(R -D)}である。
  この、上型11が溝14cに嵌挿する距離Lは、0.001mm以下、すなわち1μm以下となるように、溝14cの幅や1対の型の断面の半径などの寸法を設計することが好ましい。成形するレンズなどの素子の偏芯量が大きくなると、レンズとしての性能が低下する。具体的にはレンズを通して結像した画像の鮮明度を保つためには、成形する素子の偏芯量が存在しない(ゼロである)ことが理想である。図5は、上型と下型との断面がなす円形の中心と、胴型の断面がなす円形の中心とが一致した状態を示す概略図である。図5に示す状態においては、上型11と、図示しない下型12との断面がなす円形の中心と、胴型14の断面がなす円形の中心とが一致している。このため、素材13を押圧するために上型11が下型12にセットされて上型11と下型12とが1対の型として配置された状態を考えても、1対の型の断面がなす円形の中心と、胴型14の断面がなす円形の中心とは一致する。この状態において成形加工を行なえば、成形する素子の偏芯量はゼロとなる。
  図6は、溝が存在しない胴型の内周面に上型の外周面が接触した状態を示す、概略図である。また、図7は、図6の丸点線で囲んだ要部「VII」を拡大した概略図である。光学シミュレーションの結果から決定することができる、当該レンズの偏芯の許容量は10μm程度である。しかし、たとえば偏芯量の設計値をゼロにして成形を行なうと、加工誤差や成型時の温度分布の影響を受けて、成形を行なった後にたとえば胴型内周面14b(溝14cを含む)の径が上型外周面11cの径よりも小さくなり、いわゆる焼き嵌め状態となる可能性がある。そこで、これを回避するためには図6に示すように、上型11(および図示しない下型12)の外周面の示す半径は、胴型14の内周面の示す半径よりも小さいことが好ましい。すると図6および図7に示すように、上型11(および図示しない下型12)の断面がなす円形の中心が、胴型14の断面がなす円形の中心に対して偏芯を生じる(図6および図7においては左側に偏芯を生じている)。しかし、ここでは胴型14には溝14c(図2~図4参照)が存在しないため、仮に胴型14に溝14cが存在する場合において、上型11の上型外周面11cが図6または図7に示すように胴型14の胴型内周面14bに接する位置に来るよう偏芯しても、先述した定義に基づくLの値はゼロとなる。すなわち、上述した数式によるLの値よりも、実際の上型11(下型12)の胴型14に対する偏芯量は大きいということである。
  以上の事実ならびに、上型11や下型12などの素子成形用部材10の各構成要素の加工精度や、上型11を下型12にセットする際のハンドリングの精度などを考慮すれば、溝14cに上型外周面11cが嵌挿することによる偏芯量の基準となるLに割ける余裕は、許容される偏芯量10μmのうちせいぜい1μmとなる。したがって、Lは1μm以下とすることが好ましいため、上述したようにL≦0.001(mm)とすることが好ましい。なお、L≦0.0005(mm)、すなわちLを0.5μm以下とすることがさらに好ましい。したがって、上述したように実際の偏芯量はLよりも大きいことが考えられる。
  成形を行なった後に胴型内周面14bが上型外周面11cに対して焼き嵌め状態になる可能性について上述したが、胴型14や1対の型など、素子成形用部材10の各構成要素の材質が有する熱膨張係数の差を有効に利用して、焼き嵌め状態の発生を抑制することができる。ここで、図8は、本発明の実施の形態に係る素子成形用部材のうち、室温における1対の型と胴型と枠型との配置や寸法、熱膨張係数を示す概略断面図である。また、図9は、本発明の実施の形態に係る素子成形用部材のうち、成形温度T(℃)における1対の型と胴型と枠型との配置や寸法、熱膨張係数を示す概略断面図である。
  図8に示すように、たとえば成形のための加熱を行なう前(素材13を押圧する際など)の室温における素子成形用部材10のうち、胴型14の長軸方向(図の上下方向)に交差する断面がなす円形の内側の径をD(mm)、上型11および下型12の、長軸方向に交差する断面がなす円形の外側の径をD(mm)、枠型16の長軸方向に交差する断面がなす円形の外側の径をD(mm)とし、室温からT(℃)における胴型14の平均熱膨張係数をα(/℃)、室温からT(℃)における上型11および下型12の平均熱膨張係数をα(/℃)、室温からT(℃)における枠型16の平均熱膨張係数をα(/℃)とする。このとき図8に示すように、先述した焼き嵌めの問題を回避するためには、D>D>Dであることが好ましい。
  ここで、図8の素子成形用部材10を、成形時の加熱温度T(℃)まで昇温した場合の素子成形用部材10の各構成要素の寸法について説明する。室温とT(℃)との温度差をΔT(℃)とすれば、たとえば胴型14の断面がなす円形の内側の径はD+αΔT(mm)となる。同様に、上型11および下型12の断面がなす円形の外側の径はD+αΔT(mm)、枠型16の断面がなす円形の外側の径はD+αΔT(mm)となる。成形時の加熱温度T(℃)において、図9に示すように、胴型14と上型11および下型12との間に一定の隙間が存在することが、上述した焼き嵌めの問題を回避するために好ましい。すなわち、(D+αΔT)>(D+αΔT)となる。さらに、当該隙間は
0.030≧(D+αΔT)-(D+αΔT)=(α-α)ΔT+(D-D)≧0.005(mm)、すなわち5μm以上30μm以下とすることが好ましい。このようにすれば、上述した焼き嵌めの問題や、素子の偏芯精度の悪化を抑制することができる。
  同様に胴型14と、リングである枠型16との間にも、一定の隙間が存在することが好ましい。しかも枠型16はその内周面の内部の領域に配置する、成形したい素材13の位置決めに用いるものであり、かつ高強度な材料を用いるため、成形時の加熱により焼き嵌め状態になると、胴型14の耐久性を著しく低下させる可能性がある。そこで、胴型14と枠型16との間には、胴型14と上型11(下型12)との間以上に広い隙間を設けることが好ましい。具体的には、
0.150≧(D+αΔT)-(D+αΔT)=(α-α)ΔT+(D-D)≧0.015(mm)、すなわち隙間を15μm以上150μm以下となるように設けることが好ましい。以上の寸法以上の隙間を設けることにより、成形時に焼き嵌め状態となることや、素子の位置決め精度の悪化を抑制することができる。
  またここで、胴型14と上型11(下型12)と枠型16とのそれぞれの材質を選定するにあたっては、α<α、α<αであることが好ましい。このようにすれば、熱膨張係数の差を利用して、たとえば室温においては胴型14と枠型16、胴型14と上型11(下型12)との間に適度に広い隙間を設けることにより、素材13を配置させる工程を容易にすることができる。同時にたとえば成形温度T(℃)においては胴型14と枠型16、胴型14と上型11(下型12)との間の隙間を適度に狭くすることにより、偏芯精度を高く保つことができる。
  ここで、素子成形用部材10の各構成要素を形成する具体的な材質について述べる。まず胴型14は、熱膨張係数が1.0×10-7(/℃)以上3.5×10-6(/℃)以下の材料を少なくとも90質量%以上含む材料を用いて形成することが好ましい。中でも特に、熱膨張係数が5.0×10-7(/℃)である石英ガラスを少なくとも90質量%以上含む材料を用いることが好ましい。ただし、上述した石英ガラスからなる(石英ガラスを100質量%含む)材料を、胴型14の材料として用いることがより好ましい。
  胴型14として石英ガラスを用いれば、石英ガラスは熱膨張係数が小さいため、たとえば室温においては胴型14と上型11(下型12)との間に適度に広い隙間を設けることにより、素材13を配置させる工程を容易にすることができる。また、加熱光または輻射光が石英ガラス内を透過するために型一式全体の温度制御が容易となるという効果を奏する。
  あるいは、胴型14として窒化珪素を少なくとも90質量%以上含む材質を用いてもよい。胴型14の材料として、窒化珪素を含むものを用いることにより、上述した石英ガラスを含むものを用いる場合よりも、形成される胴型14の強度を高くすることができる。
  また、胴型14の長軸方向の外周面を覆うように配置されたスリーブ15は、たとえばガラス状カーボン、グラファイト、窒化珪素、炭化珪素、アルミナ、炭化ボロン、ジルコニア、炭化タンタル、モリブデン及びタングステンからなる群から選択されるいずれか1つを材料として用いることが好ましい。スリーブ15としてこれらの材質を用いることにより、加熱光を遮断して輻射熱や伝熱を用いて上型11、下型12及び素材13を含む素子成形用部材10全体を加熱するという効果を奏する。
  また、上型11および下型12の1対の型については、炭素を含む材料にて形成されていることが好ましい。ここで、炭素を含む材料とは、グラファイト、ガラス状カーボン、DLC及びダイヤモンドからなる群から選択されるいずれか1つを含むことが好ましい。
  胴型内周面14bと対向する摺動面、たとえば上型外周面11c(下型外周面12c)のみでなく、1対の型全体が、上述したような炭素を含む材料で形成されていることが好ましい。炭素を含ませることにより、加熱を行なう構成要素である上型11および下型12が素材13を成形した後に、形成した素子を上型11(下型12)から外す脱型の程度(離型性)を高くすることができるためである。また、たとえばガラス状カーボンの熱膨張係数は2.8×10-6(/℃)、ダイヤモンドの熱膨張係数は1.1×10-6(/℃)であるため、1対の型の熱膨張係数を、上述したα<αにすることが容易となる。
  ただし、特に少なくとも胴型14の内周面と対向する摺動面、たとえば上型外周面11c(下型外周面12c)を優先的に炭素を含む材料にて形成することにより、当該1対の型と胴型14との摺動性を向上させ、上述した離型性をより高くすることができる。
なお、ここで、炭素の同素体として、黒鉛、ガラス状カーボン、DLC、ダイヤモンドを挙げることができる。上述した1対の型の、少なくとも胴型14の内周面と対向する摺動面である上型外周面11c(下型外周面12c)は、これら同素体を含む材料にて形成されていても、胴型14に対して充分な摺動性を確保することができる。
  リングである枠型16には、成形時に素材を押圧する工程において、上型11の下型12と対向する面が大きな側圧を加える。このため枠型16には強度、特に側方より大きな応力が加わった場合を想定して曲げ強度が高い材料を用いることが好ましい。具体的には、曲げ強度300MPa以上のセラミックスにて形成されていることが好ましく、少なくとも90質量%以上のセラミックスを含むことが好ましい。このような材料を用いて枠型16を形成させれば、成形時(押圧時)に大きな圧力が加わっても高い耐久性を維持することができる。
  具体的には、枠型16は、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、炭化ボロン、ジルコニア及び炭化タンタルからなる群から選択されるいずれか1つを含む材料にて構成されることが好ましい。
  図10は、R面が施された、上型の外周面と、上型の押圧面とが交差するエッジ部の状態を示す概略図である。また図11は、C面が施された、上型の外周面と、上型の押圧面とが交差するエッジ部の状態を示す概略図である。特に上型11および下型12と、胴型14との摺動性をさらに向上させるためには、図10および図11に示すように、たとえば上型11の、摺動面である上型外周面11cと、素材13を押圧する押圧面とが交差するエッジ部には、0.2mm以上1.0mm以下のR面17またはC面18を備えることがより好ましい。エッジ部がR面17やC面18のような加工がされていない鋭利な角部となっていれば、型が長軸方向に沿った方向に摺動する際に、エッジ部が胴型14の内周面と干渉したり、エッジ部が胴型14の内周面との間で異物を捕捉する結果、カジリやカミコミといわれる現象を誘発する可能性がある。この現象を抑制するため、R面17やC面18を施した構造とすることが好ましい。
  このようにすれば、たとえ上型外周面11cが胴型14の内周面と接触したとしても、エッジ部には胴型14の内周面に対して空間(逃げ)が発生するため、エッジ部が胴型14の内周面と干渉する可能性を小さくすることができる。また、たとえば成形加工を行なうために1対の型を加熱した際に上型11と下型12との間に発生する気体を、R面17やC面18の形成された部分に存在する空間(逃げ)を介して、溝14c(図2、図3参照)へ放出させることが容易となる。
  なお、図10に示すように、エッジ部のR部分の半径(図10における寸法A)は0.2mm以上が好ましい。図11に示すように、エッジ部のCカット部分の寸法(図11における寸法B)は0.2mm以上とすることが好ましい。
  ただし当該R部分の半径やCカット部分の寸法を大きくしすぎると、加工コストが高くなることがあるという問題がある。さらに、当該R部分の半径やCカット部分の寸法を大きくしすぎると、たとえば上型11のうち長軸に交差する断面がなす円形の外側の径(たとえば図8におけるD(mm))の値がDpよりも小さくなっている部分の割合が大きくなる。すなわち上型11の上述した径の値がDpとなっている部分の割合が小さくなる。このため、上型11の長軸方向が胴型14の長軸方向に対して傾きやすくなるという問題がある。以上より、当該R部分の半径は1.0mm以下が好ましい。また、当該Cカット部分の寸法は1.0mm以下とすることが好ましい。
  以上に述べた各構成により、素子成形用部材10は、胴型14に対する上型11や下型12の摺動性が良好で、かつ成形加工にて加熱を行なう際に上型11と下型12との間に滞留した気体を容易に放出することができる。上型11と下型12との間に滞留した気体を上型11ないし下型12の外部に放出した後、さらに容易に胴型14の外部に放出するために、胴型14の内周面の少なくとも一部の領域に対しては、凹部である溝14cが配置されている。
  図12は、長軸方向に沿った方向に溝が存在する胴型の展開図である。図12に示す胴型展開図24は、胴型14の内周面の展開図である。上下方向が胴型14の長軸方向、左右方向が胴型14の内周方向を示す。図12に示す溝14cは、先述した図2にて説明した溝14cと同様に、胴型14の長軸方向(図12の上下方向)に沿った方向に延在する構造となっている。そして内周方向に一定の幅を有することにより、先述した図4に示す幅2D(mm)を有する構造となっている。
  たとえば図2に示す上型11と下型12との間の、素材13が配置された領域が、素材13を成形加工するために加熱されると、加熱時にたとえば吸着ガスの脱離や揮発(蒸発)および化学反応を起こすことにより、空気などの気体が発生する。発生した気体は、図2に示す上型11の上型成形面11dと下型12の下型成形面12dとに挟まれた、素材13が配置された領域に滞留する。このように気体が滞留すれば、素材13を成形する際に素材13に応力が加わる。そのため、素子が成形される素材13の形状に歪みが発生したり、成形物(素子)内に気泡が残留したり、焼結を伴う成形の際には緻密に焼結されないことがある。その結果、成形物(素子)には形状不良などの成形不良を発生することがある。胴型14の内周面に配置された、一定の(胴型14の断面のなす円形の径方向の)深さを有する溝14cは、この滞留した気体を効率よく素子成形用部材10の外部へ放出する役割を有する。
  なお、図12に示すように、溝14cは、胴型14の長軸方向の全体(すなわち胴型14の上端から下端まで)にわたって形成されることが好ましい。このようにすれば、たとえば上型11と下型12とに挟まれた、気体の滞留する領域は長軸方向で見れば中央付近に存在するが、中央付近に存在する溝14cが長軸方向に沿った構造である溝14cに沿って胴型14の上端または下端まで移動し、その上端または下端から気体を放出させることが容易となる。気体が外部へ放出されるために、上方向への放出と、下方向への放出との2通りが存在するため、効率よく気体を外部に放出させることができる。
  図13は、胴型の上側半分にのみ長軸方向に沿った溝が存在する胴型の展開図である。
図13に示すように、胴型14の長軸方向の中央付近(すなわち上型11と下型12とに挟まれた領域)から上側(すなわち上型11の外周面である上型外周面11cと対向する領域)にのみ、一定の幅を有する溝14cが、胴型14の長軸方向に沿った方向に配置されている。このような構成にしても、上型11と下型12とに挟まれた領域に滞留している気体を、当該領域付近の溝部分(すなわち溝14cの下端付近)から溝14cを上方向に向かって通過させ、胴型14の上端部分から素子成形用部材10の外部へ放出させることができる。胴型14の上端部分には、気体の放出を遮るものが存在しないため、上型11の上端から効率よく気体を外部へ放出させることができる。
  また、胴型14の上側半分にのみ溝14cが配置されることにより、たとえば図12に示す、胴型14の上端から下端まで溝14cが配置されている場合に比べて、溝14cに対向する1対の型(上型11)が溝14cに嵌挿する量が少なくなる。上型11が溝14cに嵌挿しようとしても、溝14cが下方向に延在する部分には下型12が嵌挿するための溝14cが存在しないため、1対の型全体の溝14cへの嵌挿が遮られる。したがって、図13に示すように、溝14cを配置する延在方向の長さを短くすることにより、1対の型の溝14cへの嵌挿を抑制することができ、その結果、成形する素子の偏芯の量を少なくすることができる。
  図14は、胴型の下側半分にのみ長軸方向に沿った溝が存在する胴型の展開図である。
図14に示すように、胴型14の長軸方向の中央付近(すなわち上型11と下型12とに挟まれた領域)から下側(すなわち下型12の外周面である下型外周面12cと対向する領域)にのみ、一定の幅を有する溝14cが、胴型14の長軸方向に沿った方向に配置されている。このような構成にしても、上型11と下型12とに挟まれた領域に滞留している気体を、当該領域付近の溝部分(すなわち溝14cの上端付近)から溝14cを下方向に向かって通過させ、胴型14の下端部分から素子成形用部材10の外部へ放出させることができる。
  このようにすれば、溝14cに導入された気体は、効率よく素子成形用部材10の外部へ放出される。また、溝14cに導入された気体は溝14cを下方向へ流れるため、重力の作用によりスムーズに外部へ放出させることができる。
  また、この場合も図13に示す溝14cと同様に、たとえば図12に示す溝14cと比べて溝14cを配置する延在方向の長さが短くなっている。このため、1対の型の溝14cへの嵌挿を抑制することができ、その結果、成形する素子の偏芯の量を少なくすることができる。
  図15は、胴型の下側半分にのみ長軸方向に沿った溝が存在し、溝の下端に溝から外部へ通じる水平溝が存在する胴型の展開図である。先述した図14に示す、胴型14の長軸方向の中央付近から下側にのみ溝14cが配置された胴型14の場合、たとえば溝14cの上端付近から溝14cに導入された、上型11と下型12とに挟まれた領域に滞留する気体は、溝14cを下方向に向かって通過し、胴型14の下端部分に達する。しかし、胴型14を設置する床や台に遮られ、胴型14の下端部分に達した気体が胴型14の外部(素子成形用部材10の外部)に放出する効率が悪くなることがある。そこで図15に示すように、胴型14の下端付近から、溝14cを水平方向に沿った方向に配置させることにより、気体を胴型14およびスリーブ15を貫通させ、素子成形用部材10の外部へ放出させる構成としている。
  なお、先述した図12に示す、長軸方向に沿った方向に胴型14の上端から下端まで貫通する溝14cにおいても、図15に示す溝14cと同様に、胴型14の下端付近から、溝14cを水平方向に沿った方向に設けてもよい。このようにすれば、溝14cを下方向に流れる気体をより効率よく外部に放出させることができる。
  図16は、長軸方向に交差する方向に溝が存在する胴型の展開図である。図16に示す胴型展開図24における溝14cは、先述した図12~図15に示す溝14cと異なり、溝14cは、長軸方向(図16の上下方向)に対して交差する方向に、すなわち長軸方向に対して斜めに延在する構成となっている。ただし胴型14における溝14cの幅は図12~図15における溝14cと同様に2D(mm)である。図16における溝14cは、上述したように長軸方向に対して斜めに延在している点に関してのみ、図12における溝14cと異なる。
  このように溝14cが長軸方向に対して斜めに延在していても、溝14cが長軸方向に沿った方向に延在している場合と同様に、上型11と下型12との間に滞留する気体を放出する機能を有する。また、たとえば図16における溝14cの幅が、図12における溝14cの幅と同様に2D(mm)であったとしても、図16における溝14cのように長軸方向に対して斜めに延在している方が、図12における溝14cのように長軸方向に沿った方向に延在している場合よりも、溝14cに対向する1対の型(上型11および下型12)が溝14cに嵌挿する量が少なくなる。1対の型は長軸方向に沿った方向に延在する形状を有する。そのため、1対の型が長軸方向に交差する形状を有する溝14cに嵌挿しようとしても、長軸方向に沿った方向に見れば溝14cの長さは短いため、溝14cの存在しない部分が、1対の型が溝14cに嵌挿することに対して機械的に干渉する。したがって、溝14cが長軸方向に対して大きな角度を有するほど、溝14cに対する1対の型の干渉が起こりやすくなるため、1対の型の溝14cへの干渉を抑制することができる。
  図17は、胴型の上側半分にのみ長軸方向に交差する方向に溝が存在する胴型の展開図である。図17に示すように、胴型14の長軸方向の中央付近(すなわち上型11と下型12とに挟まれた領域)から上側(すなわち上型11の外周面である上型外周面11cと対向する領域)にのみ、一定の幅を有する溝14cが、胴型14の長軸方向に交差する方向に配置されている。このような構成にしても、上型11と下型12とに挟まれた領域に滞留している気体を、当該領域付近の溝部分(すなわち溝14cの下端付近)から溝14cを上方向に向かって通過させ、胴型14の上端部分から素子成形用部材10の外部へ放出することができる。胴型14の上端部分には、気体の放出を遮るものが存在しないため、上型11の上端から効率よく気体を外部へ放出させることができる。
  図17における溝14cは、上述した図13における溝14cと同様に、溝14cの延在方向の長さが短くなっていることにより、1対の型が溝14cに嵌挿することを抑制することができる。さらに、上述した図16における溝14cと同様に、溝14cが長軸方向に交差する方向に延在することにより、1対の型が溝14cに嵌挿することを抑制することができる。両者の効果により、図17における溝14cは、先述した溝14cよりもさらに、1対の型が溝14cに嵌挿することを抑制することができる。その結果、成形する素子の偏芯の量をさらに少なくすることができる。
  図18は、胴型の下側半分にのみ長軸方向に交差する方向に溝が存在する胴型の展開図である。図18に示すように、胴型14の長軸方向の中央付近(すなわち上型11と下型12とに挟まれた領域)から下側(すなわち下型12の外周面である下型外周面12cと対向する領域)にのみ、一定の幅を有する溝14cが、胴型14の長軸方向に交差する方向に配置されている。このような構成にしても、上型11と下型12とに挟まれた領域に滞留している気体を、当該領域付近の溝部分(すなわち溝14cの上端付近)から溝14cを下方向に向かって通過させ、胴型14の下端部分から素子成形用部材10の外部へ放出させることができる。また、このようにすれば、溝14cに導入された気体は溝14cを下方向へ流れるため、重力の作用によりスムーズに外部へ放出させることができる。
  図18における溝14cは、上述した図14における溝14cと同様に、溝14cの延在方向の長さが短くなっていることにより、1対の型が溝14cに嵌挿することを抑制することができる。さらに、上述した図16における溝14cと同様に、溝14cが長軸方向に交差する方向に延在することにより、1対の型が溝14cに嵌挿することを抑制することができる。両者の効果により、図18における溝14cは、図17における溝14cと同様に、1対の型が溝14cに嵌挿することを抑制することができる。その結果、成形する素子の偏芯の量をさらに少なくすることができる。
  図19は、胴型の下側半分にのみ長軸方向に交差する溝が存在し、溝の下端に溝から外部へ通じる水平溝が存在する胴型の展開図である。図19における溝14cは、先述した図15に示す溝14cと同様に、図18における溝14cに対して、胴型14の下端付近から、溝14cを水平方向に沿った方向に配置させることにより、気体を胴型14およびスリーブ15を貫通させ、素子成形用部材10の外部へ放出させる構成としている。
  なお、先述した図16に示す、長軸方向に交差する方向に胴型14の上端から下端まで貫通する溝14cにおいても、図19に示す溝14cと同様に、胴型14の下端付近から、溝14cを水平方向に沿った方向に設けてもよい。このようにすれば、溝14cを下方向に流れる気体をより効率よく外部に放出させることができる。
  図20は、胴型の内周面上において螺旋形状を描くように溝が配置される胴型の展開図である。図20における溝14cは、胴型14の内周面上において螺旋形状を描く構成となっている。図20における螺旋形状を描く2本の溝14cの場合、それぞれは胴型14の長軸方向の上側半分、および下側半分に配置される。このため、たとえば胴型14の長軸方向の上側半分に存在する溝14cの下端付近(胴型14の長軸方向の中央付近)から溝14cに導入された、上型11と下型12とに挟まれた領域に滞留する気体は、胴型14の長軸方向の上側半分に存在する溝14cに沿って胴型14の上端に達し、そこから素子成形用部材10の外部へ放出される。また同様に、たとえば胴型14の長軸奉公の下側半分に存在する溝14cの上端付近(胴型14の長軸方向の中央付近)から溝14cに導入された、上型11と下型12とに挟まれた領域に滞留する気体は、胴型14の長軸方向の下側半分に存在する溝14cに沿って胴型14の下端に達し、そこから素子成形用部材10の外部へ放出される。このように気体が外部へ放出されるために、上方向への放出と、下方向への放出との2通りが存在するため、効率よく気体を外部に放出させることができる。
  また、図20における溝14cが描く螺旋形状は、先述した図16~図19における溝14cと同様に、溝14cが長軸方向に交差する方向に延在する。しかも図16~図19における溝14c以上に、胴型14の長軸方向に対する溝14cの延在方向の角度が大きい。このため、図16~図19における溝14c以上に、溝14cが胴型14の長軸方向に交差していることに起因して、1対の型が溝14cに嵌挿することを抑制することができる。また、長軸方向に関する各溝14cの長さが、図20における溝14cの場合、胴型14の長軸方向の長さの半分と短くなっている。このため、上述した図13~図15、図17~図19における溝14cと同様に、溝14cの延在方向の長さが短くなっていることにより、1対の型が溝14cに嵌挿することを抑制することができる。両者の効果により、図20における溝14cは、1対の型が溝14cに嵌挿することを抑制することができる。その結果、成形する素子の偏芯の量をさらに少なくすることができる。
  図21は、胴型の内周面上において溝が複数本配置される胴型の展開図である。図21に示すように、溝14cが、胴型14の内周面上に複数本配置されていてもよい。このようにすれば、溝14cが1本の場合に比べて、より効率よく、外部への気体の放出を行なうことができる。
  図21に示すように、溝14cが、胴型14の内周面上に複数本配置される場合には、胴型14の内周方向に関して、それぞれの溝14cが等間隔に配置されることが好ましい。ここでいう等間隔とは、完全に等間隔の場合のみならず、たとえば間隔の誤差が間隔の平均値の15%以内など、ほぼ等間隔である場合も含む。このように溝14cを等間隔に配置すれば、1対の型と素材13との間に滞留する気体を放出する作用を、1対の型、ひいては素子成形用部材10全体においてほぼ均等に行なうことができる。その結果、成形加工を行なう際に素子成形用部材10全体に加わる応力をほぼ均一にすることができるため、成形させる素子に対する形状不良などの成形不良を抑制させることができる。
  なお、図21においては先述した図12に示したような、胴型14の長軸方向に延在する溝14cが複数本存在する場合の胴型展開図24を示している。しかし、たとえば図13~図19に示したような溝14cが複数本存在してもよい。また、図13~図19に示したような溝14cを適宜組み合わせた構成を有する胴型14としてもよい。このようにすれば、たとえば1対の型が溝14cに嵌挿することを抑制させることができる。
  本発明の実施の形態に係る、胴型14の内周面上の少なくとも一部に、先述した凹部である溝14cを配置させた素子成形用部材10と、溝14cを配置させない素子成形用部材10とを用いて形成させた素子の成形状態を確認する試験を行なった。
  先述した図2、図3に示す、胴型14の長軸方向に延在する溝14cが有る素子成形用部材10と、当該溝14cが無い素子成形用部材とを準備した。以下の表1は、実施例1におけるそれぞれの素子成形用部材の各構成要素の材質と寸法を示す表である。表1に示すように、溝14cが有る素子成形用部材10と、溝14cが無い素子成形用部材のいずれも、図2~図4を参照して、上型11および下型12については、それらが胴型14と対向する面である上型外周面11cおよび下型外周面12cを含めて、ガラス状カーボンを用いて形成した。この上型11および下型12の、長軸方向に交差する断面がなす円形の外径(図8におけるD参照)は19.944mmである。また、胴型14は石英ガラスで形成されており、その長軸方向に交差する断面がなす円形の内径(図8におけるD参照)は20.01mmであり、胴型の断面がなす円形の肉厚は10.00mmである。
また、溝14cが有る素子成形用部材10について、胴型14の内表面に形成させた溝14cの幅2D(図4参照)は2.0mmである。そして、枠型16は窒化珪素(Si)で形成されており、その断面がなす円形の外径(図8におけるD参照)は19.915mmである。また、1対の型および胴型14の長軸方向の長さ(すなわち上下方向の高さ)は40mmである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
  なお、表1中、たとえば上型11および下型12の内径(mm)については、上型11や下型12の構造上、内径が存在しないため、記載を割愛している。さらに、たとえば枠型16の内径(mm)や胴型14の外径(mm)などは、本発明に係る実施例を実施するにあたりポイントとなる要件ではないため、記載を割愛している。
  上述したそれぞれの素子成形用部材を用いて、実際に素子の成形を行なった。図22は、本発明に係る素子成形用部材を用いた素子の製造方法を示すフローチャートである。図22に示すように、まず素材を準備する工程(S10)を実施する。本実施例1において具体的には、表1に示すように、素材13として、ZnS(硫化亜鉛)を準備した。そして図22に示すように、素材を型に配置する工程(S20)を実施する。本実施例1において具体的には、下型12のうち、上型11と対向する面である上面に配置させた枠型16の断面をなす円形の内部の領域に、上述した素材13を配置させた。次に型を加熱する工程(S30)を実施した。実施例1において具体的には、1対の型を1000℃に加熱した。続いて図22に示すように、素材を押圧する工程(S40)を実施する。本実施例1において具体的には、先の工程(S30)にて1対の型を1000℃に加熱した状態で、図2に示すように上型11を下型12にセットし、上下1対の型が噛み合うように配置した上で、上型11の上面の上側から、図2において図示しない装置の加圧軸を用いて上型11側から下型12側へ圧力を50MPa印加した。このようにして、先の工程(S20)にて下型12の上面に配置させた素材13(ZnS)に圧力を50MPa印加した。
  以上の各工程により形成させた素子の状態を、アルキメデス法で相対密度を測定することにより評価した。表2は溝14cの存在する素子成形用部材10と溝14cの存在しない素子成形用部材とを用いて形成した素子のサンプルの測定結果を示す表である。「有り」は溝14cの有る素子成形用部材10を用いて形成させた素子のサンプルにおける測定結果を示し、「無し」は溝14cの無い素子成形用部材を用いて形成した素子のサンプルにおける測定結果を示す。表2に示すように、それぞれの素子成形用部材を用いて100個ずつ形成した合計200個の素子のサンプルの全てに対して素材の相対密度を測定し、相対密度が99%以上であるサンプルを合格とした。相対密度が99%以上で合格となったサンプルの個数を表2に示している。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
  表2に示すとおり、溝14cの有る素子成形用部材10を用いて形成した素子のサンプルは、100個中100個すべてが相対密度が99%以上の「合格」サンプルであった。これに対し、溝14cの無い素子成形用部材を用いて形成させた素子のサンプルは、100個中0個が相対密度が99%以上の「合格」サンプル、すなわちサンプル100個中100個すべてが相対密度が99%未満であった。
  以上の結果から、本発明に係る、胴型14の内周面の少なくとも一部の領域に対して溝14cを配置させた素子成形用部材10を用いて素子を形成させた方が、素子を成形する過程において1対の型に挟まれた領域に発生する気体を、溝14cを介して効率よく外部に放出することができる。そのため、形成される素子中に気体が含有される割合が少なくなるといえる。したがって、本発明に係る素子成形用部材10を用いて素子を形成した方が、胴型に溝の存在しない素子成形用部材を用いて素子を形成した場合よりも、相対密度の大きい、高品質な素子を形成させることができるといえる。
  実施例2においては、胴型14に溝14cが有る素子成形用部材10を用いて形成した素子における偏芯量を評価する試験を行なった。
  実施例2においては、先述した図2~図4に示す、胴型14の長軸方向に延在する溝14cが有る素子成形用部材10を準備した。以下の表3は、実施例2において準備した素子成形用部材の各構成要素の材質と寸法とを示す表である。表3に示すように、実施例2において準備した素子成形用部材10は、溝14cが有るものであり、その材質は、先の実施例1において使用した、溝14cが有る素子成形用部材10とほぼ同様であるが、寸法は先の実施例1において使用した素子成形用部材10の約半分の大きさである。そして、胴型14の内周面に形成した溝14cの幅2D(図4参照)の大きさが、1.5mm、2mm、3mm、4mmという、4種類の胴型14を準備した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
  そして、先の実施例1と同様に、図22のフローチャートの手順に基づき、溝14cの幅が異なるそれぞれの胴型14を用いて、素材13としてZnSを用いた素子のサンプルを100個ずつ形成した。形成した各サンプルの偏芯量(素子であるレンズ両面の中心のズレの量)を、非接触三次元形状測定装置(三鷹光器)を用いて測定した。使用した胴型14ごとの、測定した偏芯量の平均値を算出し、評価を行なった。評価結果は、溝14cがない素子成形用部材を用いて形成した素子の偏芯量の平均値と比較して、実施例2にて形成した各サンプルの偏芯量の増加量の平均値が0.5μm以下であれば◎(最良)、当該偏芯量の増加量の平均値が0.5μmを超え1.0μm以下であれば○(良)、1.0μmを超えれば×(不良)という方法で表記した。表4は、実施例2における、溝14cの幅が異なる各胴型を用いて形成した素子の偏芯量の増加量の平均値を評価した結果を示す表である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
  表4に示すように、溝14cの幅が1.5mmまたは2mmの胴型14を有する素子成形用部材10を用いて形成した素子については、サンプル100個の偏芯量の増加量の平均値がそれぞれ0.2μm、0.3μmと最良の結果となった。また、溝14cの幅が3mmの胴型14を有する素子成形用部材10を用いて形成した素子においては、サンプル100個の偏芯量の増加量の平均値が0.7μmであり、偏芯量の増加量の許容量である1μm以下に収まった。それに対し、溝14cの幅を4mmとした胴型14を用いて形成した素子においては、サンプル100個の偏芯量の増加量の平均値が1μmを超える結果となった。
  以上より、本発明に係る素子成形用部材10を用いて素子を形成すれば、胴型14の溝14cの幅が3mm以下、より好ましくは2mm以下であれば、形成される素子の偏芯量の増加量を許容範囲内に収めた、高品質な素子を形成することができるといえる。
  実施例3においては、1対の型や胴型、枠型の材質や寸法を実施例2に対して変更した素子成形用部材10を用いて、実施例2と同様の試験を実施した。以下の表5は、実施例3において準備した素子成形用部材の各構成要素の材質と寸法とを示す表である。表5に示すように、実施例3において準備した素子成形用部材10は、溝14cが有るものであり、図2~図4を参照して、上型11および下型12については、炭化珪素を用いて形成した。ただし上型11、下型12ともに、その外周面であるそれぞれ上型外周面11cおよび下型外周面12cとしては、これらが胴型14と対向する摺動面となることから、DLCを成膜した。当該DLCの薄膜は、その厚みを3μmとした。なお、摺動面として成膜させる薄膜は、その厚みを1μm以上5μm以下とすることが好ましく、2μm以上4μm以下とすることがさらに好ましい。このように、上型11と下型12との外周面に薄膜を形成することにより、たとえば図22に示す素材を押圧する工程(S40)において上型11や下型12を移動させる際に、胴型14に対する摺動抵抗が低減される。このため、上型11や下型12の胴型14に対するカジリやカミコミを抑制するという効果を奏する。
  また、この上型11および下型12の、長軸方向に交差する断面がなす円形の外径(図8におけるD参照)は11.947mmである。また、胴型14はガラス状カーボンで形成させており、その長軸方向に交差する断面がなす円形の内径(図8におけるD参照)は11.996mmである。なお、胴型14は、その内表面の溝14cの幅2D(図2参照)の大きさが2mm、3mm、4mm、5mmである、4種類の胴型14を準備した。そして、枠型16は炭化珪素(SiC)で形成されており、その断面がなす円形の外径(図8におけるD参照)は11.853mmである。また、1対の型および胴型14の長軸方向の長さ(すなわち上下方向の高さ)は40mmである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
  そして、先の実施例2と同様に、図22のフローチャートの手順に基づき、溝14cの幅が異なるそれぞれの胴型14を用いて、素材13としてZnSを用いた素子のサンプルを100個ずつ形成した。形成した各サンプルの偏芯量を、非接触三次元形状測定装置(三鷹光器)を用いて測定した。そして使用した胴型14ごとの、偏芯量の平均値を算出し、評価を行なった。評価結果は、先の実施例2と同様の方法で表記している。表6は、実施例3における、溝の幅が異なる各胴型を用いて形成した素子の偏芯量の増加量の平均値を評価した結果を示す表である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
  表6に示すように、溝14cの幅が2mmまたは3mmの胴型14を有する素子成形用部材10を用いて形成した素子については、サンプル100個の偏芯量の増加量の平均値がそれぞれ0.2μm、0.5μmと最良の結果となった。また、溝14cの幅が4mmの胴型14を有する素子成形用部材10を用いて形成した素子においては、サンプル100個の偏芯量の増加量の平均値が0.9μmであり、偏芯量の増加量の許容量である1μm以下に収まった。それに対し、溝14cの幅を5mmとした胴型14を用いて形成した素子においては、サンプル100個の偏芯量の平均値が1μmを超える結果となった。
  以上より、本発明に係る素子成形用部材10を用いて素子を形成すれば、胴型14の溝14cの幅が4mm以下、より好ましくは3mm以下であれば、形成される素子の偏芯量の増加量を許容範囲内に収めた、高品質な素子を形成することができるといえる。
  実施例4は、素子成形用部材10を構成する各構成要素に用いることができる材質の範囲を検証するために行なった試験である。表7は、本発明の実施例4の一の局面において準備した素子成形用部材の各構成要素の材質と寸法、および評価結果を示す表である。表7に示すように、本発明の実施例4の一の局面において準備した素子成形用部材10は、上型11および下型12については、超硬を用いて形成した。ただし上型11、下型12ともに、その外周面であるそれぞれ上型外周面11cおよび下型外周面12cとしては、これらが胴型14と対向する摺動面となることから、ダイヤモンドの薄膜を成膜した。当該ダイヤモンドの薄膜は、その厚みを3μmとした。また、この上型11および下型12の、長軸方向に交差する断面がなす円形の外径(図8におけるD参照)は19.901mmである。また、胴型14は窒化珪素で形成されており、その長軸方向に交差する断面がなす円形の内径(図8におけるD参照)は19.930mmである。なお、胴型14は、その内表面の溝14cの幅2D(図2参照)の大きさが5mmのものを用いた。そして、枠型16はBC(炭化ボロン)で形成されており、その断面がなす円形の外径(図8におけるD参照)は19.895mmである。また、1対の型および胴型14の長軸方向の長さ(すなわち上下方向の高さ)は40mmである。
  そして、先の実施例3と同様に、図22のフローチャートの手順に基づき、上述した素子成形用部材10を用いて、素材13としてZnSを用いた素子のサンプルを100個形成し、形成した各サンプルの偏芯量を、非接触三次元形状測定装置(三鷹光器)を用いて測定した。そして使用した胴型14ごとの、測定した偏芯量の平均値を算出し、評価を行なった。評価結果は、先の実施例2および3と同様の方法で表記している。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
  表7に示すように、偏芯量の増加量の平均値は0.1μmであり、これは0.5μm以下であるため、評価結果は◎(最良)であった。すなわち、1対の型としてはガラス状カーボンのほかにたとえば超硬を用い、1対の型の外周面にダイヤモンドの薄膜を成膜させることによっても、型の本体および外周面には炭素を含む材料を用いている。そのため、上述した本発明の実施例4の一の局面における各構成要素の材質を用いて素子成形用部材10を構成しても、当該素子成形用部材10は、偏芯量の増加量の少ない、良好な素子を形成することができる。
  表8は、本発明の実施例4の第二の局面において準備した素子成形用部材の各構成要素の材質と寸法、および評価結果を示す表である。表8に示すように、本発明の実施例4の一の局面において準備した素子成形用部材10は、上型11および下型12については、上型外周面11cおよび下型外周面12cを含めて、グラファイトを用いて形成した。この上型11および下型12の、長軸方向に交差する断面がなす円形の外径(図8におけるD)は7.956mmである。また、胴型14は石英で形成されており、その長軸方向に交差する断面がなす円形の内径(図8におけるD)は8.016mmである。なお、胴型14は、その内表面の溝14cの幅2Dの大きさが2mmのものを用いた。そして、枠型16はAl(アルミナ)で形成されており、その断面がなす円形の外径(図8におけるD参照)は7.908mmである。その他の条件は先述した本発明の実施例4の一の局面と同様である。また、素子の製造方法や評価方法についても、先述した本発明の実施例4の一の局面と同様である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
  表8に示すように、偏芯量の増加量の平均値は0.3μmであり、これは0.5μm以下であるため、評価結果は◎(最良)であった。1対の型としてはガラス状カーボンや超硬の代わりにグラファイトを用いても、型の本体および外周面には炭素を含む材料を用いている。このため、上述した本発明の実施例4の第二の局面における各構成要素の材質を用いて素子成形用部材10を構成しても、当該素子成形用部材10は、偏芯量の増加量の少ない、良好な素子を形成することができる。
  表9は、本発明の実施例4の第三の局面において準備した素子成形用部材の各構成要素の材質と寸法、および評価結果を示す表である。表9に示すように、本発明の実施例4の一の局面において準備した素子成形用部材10は、上型11および下型12については、超硬を用いて形成した。ただし、上型外周面11cおよび下型外周面12cには、厚みが3μmのDLCを形成した。上型11および下型12の、長軸方向に交差する断面がなす円形の外径(図8におけるD)は24.876mmである。また、胴型14はガラス状カーボンで形成されており、その長軸方向に交差する断面がなす円形の内径(図8におけるD)は24.96mmである。なお、胴型14は、その内表面の溝14cの幅2Dの大きさが6.5mmのものを用いた。そして、枠型16はジルコニアで形成されており、その断面がなす円形の外径(図8におけるD参照)は24.676mmである。その他の条件は先述した本発明の実施例4の一の局面と同様である。また、素子の製造方法や評価方法についても、先述した本発明の実施例4の一の局面と同様である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
  表9に示すように、偏芯量の増加量の平均値は0.6μmであり、これは1.0μm以下であるため、評価結果は○(良)であった。1対の型としてはガラス状カーボンのほかにたとえば超硬を用い、1対の型の外周面にDLCの薄膜を成膜させることによっても、型の本体および外周面には炭素を含む材料を用いている。このため、上述した本発明の実施例4の第三の局面における各構成要素の材質を用いて素子成形用部材10を構成しても、当該素子成形用部材10は、偏芯量の増加量の少ない、良好な素子を形成することができる。
  実施例5は、胴型14に形成する溝14cの形状、本数を様々に変更させたときの効果を試験したものである。表10は、実施例5において準備した素子成形用部材の各構成要素の材質と寸法とを示す表である。表10に示すように、本発明の実施例5において素子を形成するために準備した素子成形用部材10は、各構成要素の材質や寸法は全て同じとし、溝14cの形状のみを様々に変更した形態としている。具体的には、表10に示すように、各構成要素の材質や寸法(外径、内径)はすべて、先述した実施例2において準備した素子成形用部材10と同様である。また、実施例5において形成した素子の素材13も、先述した実施例1~4と同じくZnSである。ただし、形成した溝14cの幅についてはすべて2mmとしている。また、先述した実施例1~4と同様に、図22に示すフローチャートの手順に基づき、素子を形成した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
  表11は、実施例5における各胴型の溝の形状や本数、およびそれぞれを用いて形成した素子の偏芯の評価結果を示す表である。溝の形状は表11に示すように、先述した図12~図20の胴型展開図24のそれぞれの溝14cの形状のいずれかである。また、溝14cを胴型14に設けた本数を示しているが、複数本存在する場合はいずれも、内周面の周方向に関してほぼ等間隔になるよう配置させている。
  それぞれの溝14c形状を有する胴型14を用いて、素子のサンプルを100個ずつ形成し、形成した各サンプルの偏芯量を、非接触三次元形状測定装置(三鷹光器)を用いて測定した。そして使用した胴型14ごとの、測定した偏芯量の平均値を算出し、評価を行なった。評価結果は、先の実施例2~4と同様の方法で表記している。
  なお、表11に示すように、図16、17、19、20のように溝14cの延在方向が胴型14の長軸方向(図の上下方向)に対して交差方向(斜め方向)となっている場合においては、鉛直に対する溝傾斜角度(すなわち長軸方向に対する溝傾斜角度)を示している。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
  表11に示すように、図12~図20に示したいずれの形状を用いて、幅が2mmの溝14cを形成した胴型14を用いても、当該胴型14を用いた素子成形用部材10にて形成した素子は、その偏芯量の増加量の平均値が0.3μm以下となり(評価結果は◎)、偏芯量の増加量の少ない、良好な素子を形成することができた。また、図16、図17、図19、図20に示す、溝14cの延在方向が胴型14の長軸方向に対して交差方向(斜め方向)となっている場合には、先述したように溝14cへの1対の型の嵌挿が発生しにくくなるため、偏芯量の増加量の平均値が0.1μm以下となり、さらに偏芯量の増加量を減少させた良好な素子が形成できた。特に図20に示す、溝14cが螺旋形状を描く構成とした胴型14を用いた場合においては、偏芯量の増加量の平均値をほぼゼロとすることができた。
  今回開示された実施の形態および各実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
  本発明は、相対密度が高く高品質で、偏芯の量が少ない良好な素子を形成する技術として、特に優れている。
  10  素子成形用部材、11  上型、11c  上型外周面、11d  上型成形面、12  下型、12c  下型外周面、12d  下型成形面、13  素材、14  胴型、14a  胴型外周面、14b  胴型内周面、14c  溝、15  スリーブ、16  枠型、17  R面、18  C面、24  胴型展開図。

Claims (19)

  1.   素子を成形する素子成形用部材であり、
      成形を行なうための1対の型と、
      前記型の外周面を囲むように配置された中空の胴型と、
      前記1対の型の間において、前記素子を構成する素材の位置を調整する枠型とを備えており、
    前記胴型の、前記型の外周面と対向する内周面の少なくとも一部の領域に、凹部が形成される、素子成形用部材。
  2.   前記型と前記胴型と前記枠型との長軸方向に交差する断面の外形は円形状である、請求項1に記載の素子成形用部材。
  3.   前記型の長軸方向に交差する方向に広がる前記凹部の幅を2D(mm)、前記型の前記断面がなす円形の中心から、前記型の外周面までの半径をR(mm)、前記胴型の前記断面がなす円形の中心から、前記胴型の内周面までの半径をR(mm)とすれば、前記胴型および前記型の前記断面がなす円形の径方向に関して、前記型が前記凹部に嵌挿する距離L(mm)として、
    L=R-√(R -D)-{R-√(R -D)}≦0.001
    が成立する、請求項2に記載の素子成形用部材。
  4.   前記素材を成形する際に焼結する温度をT(℃)、前記胴型の前記長軸方向に交差する断面がなす円形の内側の径をD(mm)、前記型の、前記長軸方向に交差する断面がなす円形の外側の径をD(mm)、前記枠型の前記長軸方向に交差する断面がなす円形の外側の径をD(mm)とし、前記素材を前記1対の型の間に配置した室温からT(℃)における前記胴型の平均熱膨張係数をα(/℃)、室温からT(℃)における前記型の平均熱膨張係数をα(/℃)、室温からT(℃)における前記枠型の平均熱膨張係数をα(/℃)、前記焼結する温度であるT(℃)と前記室温との差をΔT(℃)とすれば、
      α<α
      α<αであり、かつ、
      0.030≧(α-α)ΔT+(D-D)≧0.005
      0.150≧(α-α)ΔT+(D-D)≧0.015
    の関係を満たす、請求項2または3に記載の素子成形用部材。
  5.   前記凹部は、前記胴型の長軸方向に沿った方向に延在する、請求項1~4のいずれか1項に記載の素子成形用部材。
  6.   前記凹部は、前記胴型の長軸方向に対して交差する方向に延在する、請求項1~4のいずれか1項に記載の素子成形用部材。
  7.   前記凹部は、前記胴型の内周面上において螺旋形状を描くように配置される、請求項1~4のいずれか1項に記載の素子成形用部材。
  8.   前記凹部は、前記胴型の内周面上において複数本形成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の素子成形用部材。
  9.   前記複数本形成された凹部は、前記胴型の内周面の周方向において等間隔に配置される、請求項8に記載の素子成形用部材。
  10.   前記胴型は、熱膨張係数が1.0×10-7(/℃)以上3.5×10-6(/℃)以下の材料を少なくとも90質量%以上含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の素子成形用部材。
  11.   前記胴型は、石英ガラスを少なくとも90質量%以上含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の素子成形用部材。
  12.   前記胴型は、窒化珪素を少なくとも90質量%以上含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の素子成形用部材。
  13.   前記型の、少なくとも前記胴型の内周面と対向する摺動面は、炭素を含む材料にて形成されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の素子成形用部材。
  14.   前記炭素を含む材料は、グラファイト、ガラス状カーボン、DLC及びダイヤモンドからなる群から選択されるいずれか1つを含む、請求項13に記載の素子成形用部材。
  15.   前記型の、前記摺動面と、前記素材を押圧する押圧面とが交差するエッジ部は、0.2mm以上1.0mm以下のR面またはC面を備える、請求項13または14に記載の素子成形用部材。
  16.   前記枠型は、曲げ強度300MPa以上のセラミックスにて構成される、請求項1~15のいずれか1項に記載の素子成形用部材。
  17.   前記枠型は、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、炭化ボロン、ジルコニア及び炭化タンタルからなる群から選択されるいずれか1つを含む材料にて構成される、請求項1~16のいずれか1項に記載の素子成形用部材。
  18.   請求項1~17のいずれか1項に記載の素子成形用部材を用いた素子の製造方法。
  19.   請求項1~17のいずれか1項に記載の素子成形用部材を用いて形成した素子。
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