JP2009241407A - 型アセンブリ - Google Patents

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Tomoyuki Ueno
友之 上野
Mikito Hasegawa
幹人 長谷川
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Abstract

【課題】焼結および/または成形用の型アセンブリを改善する。
【解決手段】型アセンブリは、筒状内面を有する胴型(4)と、この胴型の筒状内面内でプリフォーム(3)を押圧するための一対のコア型(1、2)とを含み、一対のコア型の少なくとも一方は胴型の筒状内面にガイドされて摺動可能であり、胴型の筒状内面の粗さにおける最大高さRy1が10μm≧Ry1≧1μmの範囲内にあって、コア型の摺動面の粗さにおける最大高さRy2も10μm≧Ry2≧1μmの範囲内にあることを特徴としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、プリフォームを成形および/または焼結するための型アセンブリの改善に関する。
特許文献1の特開2004−090326号公報は、ガラスや樹脂などの材料からなる成形品を作製する際に用いられる型アセンブリの一例を開示している。
図3は、特許文献1に開示された型アセンブリを示す模式的断面図である。この型アセンブリ10においては、円筒状内面を有する胴型13が型台31上に載置されている。胴型13は、透明な石英ガラスで形成されている。そして、胴型13の外周は、熱源としてのリング状のハロゲンランプ(図示せず)によって囲まれている。
胴型13の円筒状内面内には、下側コア型11と上側コア型12が挿入される。これら一対のコア型11、12は、不透明な超硬合金またはセラミックで形成されている。下側コア型11の押圧面S1と上側コア型12の押圧面S2との間には、例えばガラスのプリフォーム15が配置される。この状態で、ハロゲンランプからの光照射を行なうとともに、図3中の矢印Aで示されているように、上側コア型12が下側コア型11に向けて押圧される。
この場合、ハロゲンランプから放射された赤外光と可視光は、石英ガラスの胴型13を透過して、超硬合金またはセラミックの下側コア型11および上側コア型12で吸収されて熱を生じる。その結果、一対のコア型11、12の押圧面S1、S2に挟まれたプリフォーム15が加熱される。そして、矢印Aで示されているように上側コア型12を下側コア型11に向けて押圧することによって、加熱されたプリフォーム15が押圧面S1、S2による例えば凸レンズ状の形状に成形される。
特許文献1においては、図3に示されているような型アセンブリを利用することによって、胴型13の加熱を介することなくコア型11、12およびプリフォーム15の直接的な急速加熱が可能になって、成形サイクルを短くし得る旨が述べられている。
特開2004−090326号公報
図3に示されているような型アセンブリに関して、本発明者達が詳細に検討した結果、以下のような幾つかの問題点のあることが見出された。
例えば、上述のようなあまりに局所的かつ急激な加熱によって、プリフォーム15において温度の不均一性を生じやすい傾向になる。このような温度の不均一性は、プリフォーム15から得られた成形品における不均一性の原因となり得る。
また、石英ガラスの胴型13の光透過率を向上させてコア型11、12およびプリフォーム15の加熱の効率を高めるためには、胴型13の円筒状内面を鏡面状態に仕上げる必要がある。高い寸法精度を保ちつつ、このような鏡面仕上げをするためには、ホーニング加工が考えられる。しかし、ホーニング加工は、型アセンブリの製造コストを高めることになる。
さらに、胴型13の円筒状内面とコア型11、12の外周面とが鏡面状態で接触していれば、一対の押圧面S1、S2で挟まれた領域内のエア抜きが不十分になりやすい傾向になる。このエア抜きが不十分であれば、粉体のプリフォームを焼結成形するときに均一で高密度の成形品を得ることが困難になる。
他方、一対の押圧面S1、S2で挟まれた領域内のエア抜きを十分にするように胴型13に穴をあけることが考えられる。しかし、そのような穴は応力集中箇所になり得て、この応力集中によって石英ガラスの胴型13が破損することも考えられる。
図3に示されているような型アセンブリに関して本発明者達が見出した上述のような種々の問題に鑑み、本発明は型アセンブリを改善することを目的としている。
本発明による型アセンブリは、筒状内面を有する胴型と、この胴型の筒状内面内でプリフォームを押圧するための一対のコア型とを含み、一対のコア型の少なくとも一方は胴型の筒状内面にガイドされて摺動可能であり、胴型の筒状内面の粗さにおける最大高さRy1が10μm≧Ry1≧1μmの範囲内にあって、コア型の摺動面の粗さにおける最大高さRy2も10μm≧Ry2≧1μmの範囲内にあることを特徴としている。
なお、胴型が径D1(mm)の円筒状内面を有しかつコア型が径D2(mm)の円柱状外周面を有し、プリフォームを押圧する温度T(℃)において胴型とコア型との熱膨張率がそれぞれα1(/℃)とα2(/℃)であって、押圧温度Tと室温(℃)との差がΔTであるとした場合に、α1<α2および0.030≧(α11−α22)ΔT+(D1−D2)≧0.005の関係を満たすことが好ましい。
型アセンブリは、胴型の筒状内面内でプリフォームの周縁を包囲するための枠型をさらに含み得る。この際に、胴型が径D1(mm)の円筒状内面を有しかつ枠型が径D3(mm)の円柱状外周面を有し、プリフォームを押圧する温度T(℃)において胴型と枠型との熱膨張率がそれぞれα1(/℃)とα3(/℃)であって、押圧温度Tと室温(℃)との差がΔTであるとした場合に、α1<α3および0.150≧(α11−α33)ΔT+(D1−D3)≧0.015の関係を満たすことが好ましい。
胴型は、主として熱膨張係数3.0×10-6以下の材料で形成されていることが好ましい。このような胴型は、例えば主として石英ガラスで形成され得る。コア型の外周面は、少なくとも胴型の筒状内面内で摺動する領域において炭素材料で形成されていることも好ましい。
コア型の摺動面は、グラファイト、ガラス状カーボン、DLC、およびダイヤモンドのいずれかによって形成されてもよい。枠型は、主として曲げ強度300MPa以上のセラミックスで形成されていることが好ましい。このような枠型は、主として炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、B4C、およびジルコニアのいずれかで形成され得る。
胴型の外周は、波長5μm以下の光を透過しない材料で形成されたスリーブで覆われていてもよい。このスリーブは、主として熱伝導率100W/m・K以上の材料で形成することができる。
コア型の摺動面と押圧面とで形成されるエッジ部は、0.2mm以上のR面取りまたはC面取りがなされていることが好ましい。
上述のような型アセンブリを用いることによって、良好な品質の成形品を製造する方法が得られる。
本発明の型アセンブリによれば、胴型の筒状内面の粗さとコア型の摺動面の粗さとを敢えて所定範囲内で大きくすることによって、成形領域内からのエア抜きを促進させることができるとともに、光を散乱させて均一加熱を促すことができ、高品質の成形品を製造することが可能となる。
図1と図2は、本発明の一実施形態における型アセンブリによる成形を図解する模式的断面図である。この型アセンブリは、筒状内面を有する胴型4を含むとともに、この胴型の筒状内面内でプリフォーム3を押圧するための上側コア型1および下側コア型2とを含んでいる。胴型4の筒状内面の断面は、目的に応じて円状、多角形状、または他の任意の形状であり得る。一対のコア型1、2の少なくとも一方は胴型4の筒状内面にガイドされて摺動可能である。プリフォーム3の周囲には枠型6が配置されてもよい。また、胴型4の外周は、加熱光を透過しない材料で形成されたスリーブ5で覆われていてもよい。
なお、胴型4の外周は、熱源としての例えばリング状ハロゲンランプ(図示せず)によって囲まれている。
図1に示されているようなプリフォーム3が成形温度T℃において一対のコア型1、2の間で押圧されることによって、図2に示されているような成形品3aが得られる。例えば、ZnS(硫化亜鉛)の粉体のプリフォーム3を焼結成形することによって、凸レンズ状の遠赤外線用光学素子の成形品3aが得られる。
前述のように、特許文献1に開示された型アセンブリに関する本発明者達の検討によって見出されたように、図3における胴型13の円筒状内面とコア型11、12の外周面とが鏡面状態で接触していれば、一対の押圧面S1、S2で挟まれた成形領域内のエア抜きが不十分になりやすい傾向になる。そして、このエア抜きが不十分であれば、粉体のプリフォームを焼結成形するときに均一で高密度の成形品を得ることが困難になる。
本発明者達が見出したこのような新たな知見に鑑み、本発明者達は、図1および図2における胴型4の筒状内面とコア型1、2の外周面とを鏡面仕上げするのではなくて、むしろ敢えて所定の粗さで形成することに着想した。
本発明者達のこのような新たな着想に基づき、以下においては、図1と図2に図解されているような型アセンブリを用いて成形品を作製した本発明の種々の実施例がより具体的に説明される。
<実施例1>
本発明の実施例1において、胴型4は5.0×10-7/℃の熱膨張率を有する石英ガラスで形成された。この胴型4には、内径19.995mmの円筒状内面が形成された。また、胴型4の外周は、約110W/m・Kの熱伝導率を有するグラファイトのスリーブ5によって覆われた。
一対のコア型1、2は、2.8×10-6/℃の熱膨張率を有するガラス状カーボンによって形成された。これらのコア型1、2の円柱状外周面は、19.944mmの外径を有していた。
一対のコア型1、2の間には、ZnSの粉体プリフォーム3が配置された。そして、このプリフォーム3の周囲には枠型6が配置された。この枠型6はSi34で形成され、3.5×10-6/℃の熱膨張率、700MPaの曲げ強度、および19.915mmの外径を有していた。
一対のコア型1、2の間に配置されたZnSの粉体プリフォーム3は、1000℃の温度において50MPaの圧力で押圧されて焼結成形された。
本実施例1において、以下の実験1a〜1eが行なわれた。これらの実験1a〜1eにおいて、胴型4の内周面の粗さと一対のコア型1、2の外周面の粗さとが種々に変更された。すなわち、実験1a〜1eにおいては、胴型4の内周面の粗さおよびコア型1、2の外周面の粗さと得られる成形品の品質特性との関係が検討された。これらの実験の結果が表1にまとめられて示されている。なお、実験1a〜1eの各々において、100個のサンプルが成形されて調べられた。
Figure 2009241407
表1において、胴型4の内周面の粗さZy1(μm)とコア型1、2の外周面の粗さZy2(μm)とは、最大高さ(JIS B0601−1994)で表されている。
偏心精度としては、両側が凸面であるZnSレンズ(遠赤外線用レンズ)を成形し、対向する凸面の中心軸のずれ(上側コア型1と下側コア型2との中心軸ずれに対応)が測定された。表1においては、この中心軸ずれが30μm以下の場合に、評価基準を満たしているものとして○印が付されている。そして、中心軸ずれが30μmより大きい場合に、評価基準を満たしていないものとして×印が付されている。なお、偏心精度の測定には、三鷹光器製の非接触三次元測定装置(NH−3SP)が用いられた。
成形品の密度の測定においては、径20mmで厚さ5mmの円状平板を成形した。この円状平板において、中心部の径10mmで厚さ5mmの領域がZnSの密度4.1g/cm3に対する99.0%以上の相対密度を有する場合に、評価基準を満たしているものとして表1において○印が付されている。そして、その相対密度が99.0%未満の場合に、評価基準を満たしていないものとして×印が付されている。なお、密度の測定に関しては、成形品から切り出された測定部位の切断片の密度がアルキメデス法にて測定された。
成形品の密度の測定に伴って、密度変動の評価も行なわれた。この密度変動の評価においては、上述の円状平板成形品の中心部とそれ以外の周辺部との密度差が評価された。そして、中心部の相対密度に対する周辺部の相対密度の差が0.5%未満の場合に、プリフォームが均熱化されて全体が均一に焼結されており、評価基準を満たしているとして○印が付されている。他方、その密度差が0.5%以上の場合には、評価基準を満たしていないとして×印を付することとした。なお、一般に、中心部に比べて周辺部において相対密度が低下する傾向にある。
表1の結果から分かるように、実験1eにおいては偏心精度が評価基準を満たしていない。この理由としては、実験1eにおいて胴型4の内周面の粗さZy1とコア型1、2の外周面の粗さZy2とのいずれもが10μmより大きくなっているので、コア型1、2の軸安定性が低下した結果であると考えられる。
また、表1の結果から分かるように、実験1dにおいては成形品密度と成形品密度変動とが評価基準を満たしていない。この理由としては、実験1dにおいて胴型4の内周面の粗さZy1とコア型1、2の外周面の粗さZy2とのいずれもが1μm未満に小さくなっているので、胴型4の内周面とコア型1、2の外周面との間の微細な空隙を介するエア抜きが不十分になった結果であると考えられる。
<実施例2>
本発明の実施例2においても、実施例1の場合に類似した実験2a〜2eが行なわれた。すなわち、実験2a〜2eにおいも、胴型4の内周面の粗さと一対のコア型1、2の外周面の粗さとが種々に変更された。ただし、実施例1に比べて、本実施例2においては、図1および図2に示された型アセンブリの構成部材が変更された。
具体的には、胴型4は、2.8×10-6/℃の熱膨張率を有するガラス状カーボンで形成された。この胴型4には、内径19.949mmの円筒状内面が形成された。また、胴型4の外周は、約170W/m・Kの熱伝導率を有するAlNのスリーブ5によって覆われた。
一対のコア型1、2は、4.4×10-6/℃の熱膨張率を有するSiCによって形成された。ただし、これらのコア型の摺動面は、DLC(ダイヤモンド状カーボン)膜でコーティングされていた。そして、コア型の円柱状外周面は、19.912mmの外径を有していた。
枠型6はSiCで形成され、4.4×10-6/℃の熱膨張率、530MPaの曲げ強度、および19.897mmの外径を有していた。
以上のように構成された型アセンブリを用いて、実施例1の場合と同様に成形が行なわれた本実施例2における実験2a〜2eの結果が、表2にまとめて示されている。
Figure 2009241407
表2に示されているように、実験2eにおいては偏心精度が評価基準を満たしていない。この理由も、実験2eにおいて胴型4の内周面の粗さZy1とコア型1、2の外周面の粗さZy2とのいずれもが10μmより大きくなっているので、コア型1、2の軸安定性が低下した結果であると考えられる。
また、表2の結果から分かるように、実験2dにおいては成形品密度と成形品密度変動とが評価基準を満たしていない。この理由としても、実験2dにおいて胴型4の内周面の粗さZy1とコア型1、2の外周面の粗さZy2とのいずれもが1μm未満に小さくなっているので、胴型4の内周面とコア型1、2の外周面との間の微細な空隙を介するエア抜きが不十分になった結果であると考えられる。
<実施例3>
本発明の実施例3においては、実験3a〜3cが行なわれ、これらの実験においてそれぞれの型アセンブリの構成部材が変更された
(実験3a)
実験3aにおいて、胴型4は、1.4×10-6/℃の熱膨張率を有する山陽セラテック社製のアドセラム(太平洋セメント社の登録商標)−CSタイプD3で形成された。なお、アドセラムは、リチュウム・アルミニウムケイ酸塩(LiAlSi26)とケイ灰石(CaO・SiO2)との複合セラミックである。この胴型4には、内径19.977mmの円筒状内面が形成された。また、胴型4の内周面の粗さZy1は3.9μmであった。さらに、胴型4の外周は、約130W/m・Kの熱伝導率を有するSiCのスリーブ5によって覆われた。
一対のコア型1、2は、5.0×10-6/℃の熱膨張率を有する超硬合金によって形成された。ただし、これらのコア型の外周摺動面は、ダイヤモンドで形成され、その粗さZy2は2.6μmであった。そして、コア型の円柱状外周面は、19.901mmの外径を有していた。
枠型6はB4Cで形成され、4.5×10-6/℃の熱膨張率、400MPaの曲げ強度、および19.895mmの外径を有していた。
以上のように構成された型アセンブリを用いて、実施例1の場合と同様に成形が行なわれた本実験3aにおいては、偏心精度、成形品密度、および成形品密度変動の全ての評価項目に関して基準を満たす○印が得られた。
(実験3b)
実験3bにおいて、胴型4は、5.0×10-7/℃の熱膨張率を有する石英ガラスで形成された。この胴型4には、内径20.010mmの円筒状内面が形成された。また、胴型4の内周面の粗さZy1は4.2μmであった。さらに、胴型4の外周は、約100W/m・Kの熱伝導率を有するグラファイトのスリーブ5によって覆われた。
一対のコア型1、2は、5.5×10-6/℃の熱膨張率を有するグラファイトによって形成された。このコア型において、その外周摺動面の粗さZy2は9.3μmであった。そして、コア型の円柱状外周面は、19.891mmの外径を有していた。枠型6はAl23で形成され、19.766mmの外径を有していた。
以上のように構成された型アセンブリを用いて、実施例1の場合と同様に成形が行なわれた本実験3bにおいても、偏心精度、成形品密度、および成形品密度変動の全ての評価項目に関して基準を満たす○印が得られた。
(実験3c)
実験3cにおいて、胴型4は、5.0×10-7/℃の熱膨張率を有するガラス状カーボンで形成された。この胴型4には、内径19.974mmの円筒状内面が形成された。また、胴型4の内周面の粗さZy1は5.1μmであった。さらに、胴型4の外周は、約125W/m・Kの熱伝導率を有するSiCのスリーブ5によって覆われた。
一対のコア型1、2は、5.0×10-6/℃の熱膨張率を有する超硬合金によって形成された。ただし、これらのコア型の外周摺動面は、DLC膜でコーティングされ、その粗さZy2は2.3μmであった。そして、コア型の円柱状外周面は、19.901mmの外径を有していた。枠型6はジルコニアで形成され、19.664mmの外径を有していた。
以上のように構成された型アセンブリを用いて、実施例1の場合と同様に成形が行なわれた本実験3cにおいても、偏心精度、成形品密度、および成形品密度変動の全ての評価項目に関して基準を満たす○印が得られた。
<実施例のまとめ>
以上の種々の実験1a〜1e、2a〜2e、および3a〜3cから明らかなように、一対のコア型1、2の相互の軸ずれに関する偏心精度の評価基準を満たすためには、胴型4の内周面の粗さZy1とコア型1、2の外周面の粗さZy2とのいずれもが10μm以下でなければならないことが理解されよう。なお、胴型は、主として熱膨張係数3.0×10-6以下の材料で形成されていることが望まれる。なぜならば、胴型の熱膨張係数大きければ、成形温度T℃において、コア型の外周面と胴型の内周面とのクリアランスが大きくなって偏心精度が低下する傾向になるからである。
他方、成形品密度に関する評価基準を満たすためには、胴型4の内周面の粗さZy1とコア型1、2の外周面の粗さZy2とのいずれもが1μm以上でなければならないことが理解されよう。すなわち、この条件を満たすことによって、一対のコア型1、2の外周面と胴型4の内周面との間には径寸法の差による隙間以外に面粗さに起因する隙間も発生し、胴型4にエア抜き穴を設けずとも、焼結成形時のエア抜き効果を改善することができる。
ところで、一対のコア型1、2と胴型4との間の熱膨張差を利用することによって、成形温度T℃における偏心精度を高く維持することができる。しかし、成形温度T℃において、熱膨張によってコア型1、2の外周径が胴型4の内周径より大きくなれば焼き嵌め状態となり、コア型の摺動性が著しく低下する。従って、成形温度T℃においても、コア型1、2の外周面と胴型4の内周面との間に5μm以上のクリアランスを維持することが望まれる。
このような熱膨張の影響を考慮すれば、胴型が径D1(mm)の円筒状内面を有しかつコア型が径D2(mm)の円柱状外周面を有し、プリフォームを押圧する温度T(℃)において胴型とコア型との熱膨張率がそれぞれα1(/℃)とα2(/℃)であって、押圧温度Tと室温(℃)との差がΔTであるとした場合に、α1<α2および0.030≧(α11−α22)ΔT+(D1−D2)≧0.005の関係を満たすことが望まれる。
また、枠型6の外周面と胴型4の内周面との間においても、同様にクリアランスが必要である。ここで、枠型はプリフォーム3の位置決めに用いられ、高強度(曲げ強度)材料で形成される。したがって、枠型6と胴型4との間で焼き嵌め状態が生じれば胴型の耐久性に顕著な悪影響を及ぼすので、枠型6の外周面と胴型4の内周面との間には比較的大きな15μm以上のクリアランスが望まれる。
すなわち、胴型が径D1(mm)の円筒状内面を有しかつ枠型が径D3(mm)の円柱状外周面を有し、プリフォームを押圧する温度T(℃)において胴型と枠型との熱膨張率がそれぞれα1(/℃)とα3(/℃)であって、押圧温度Tと室温(℃)との差がΔTであるとした場合に、α1<α3および0.150≧(α11−α33)ΔT+(D1−D3)≧0.015の関係を満たすことが望まれる。
また、枠型6には成形圧力が側圧として負荷されるので、その曲げ強度が重要であって、300MPa以上の曲げ強度を有することが望まれる。上述の種々の実験で用いられた枠型6はいずれもがこの強度を有し得るものである。また、光を直接透過しない枠型は、プリフォームの均熱性を高めるようにも作用し得る。また、この均熱性の改善の観点から、枠型6は100W/m・K以上の熱伝導率を有することが好ましい。
なお、上述のいずれの実験においても、コア型1、2の摺動面と押圧面とで形成されるエッジ部は、0.2mm以上のR面取りまたはC面取りがなされていた。これらの面取りは、コア型1、2と胴型4の内周面との間のカジリやカミコミを防止するためである。
以上のように、本発明の型アセンブリによれば、胴型の筒状内面の粗さとコア型の摺動面の粗さとを敢えて所定範囲内で大きくすることによって、成形領域内からのエア抜きを促進させるとともに、光を散乱させて均一加熱を促すことができ、高品質の成形品を製造することが可能となる。
本発明の一実施形態による型アセンブリを図解する模式的断面図である。 図1の型アセンブリによってプリフォームを成形した状態を示す模式的断面図である。 特許文献1に開示された型アセンブリを図解する模式的断面図である。
符号の説明
1 上側コア型、2 下側コア型、3 プリフォーム、3a 成形品、4 胴型、5 スリーブ、6 枠型、10 先行技術による型アセンブリ、11 下側コア型、12 上側コア型、13 胴型、15 プリフォーム、31 型台、A 押圧方向、S1 下側コア型の押圧面、S2 上側コア型の押圧面。

Claims (14)

  1. 筒状内面を有する胴型と、
    前記胴型の筒状内面内でプリフォームを押圧するための一対のコア型とを含み、
    前記一対のコア型の少なくとも一方は前記胴型の筒状内面にガイドされて摺動可能であり、
    前記胴型の筒状内面の粗さにおける最大高さRy1が10μm≧Ry1≧1μmの範囲内にあって、
    前記コア型の摺動面の粗さにおける最大高さRy2も10μm≧Ry2≧1μmの範囲内にあることを特徴とする型アセンブリ。
  2. 前記胴型が径D1(mm)の円筒状内面を有し、かつ前記コア型が径D2(mm)の円柱状外周面を有し、
    前記プリフォームを押圧する温度T(℃)において、前記胴型と前記コア型との熱膨張率がそれぞれα1(/℃)とα2(/℃)であって、
    前記押圧温度Tと室温(℃)との差がΔTであるとした場合に、
    α1<α2および0.030≧(α11−α22)ΔT+(D1−D2)≧0.005の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の型アセンブリ。
  3. 前記胴型の筒状内面内で前記プリフォームの周縁を包囲するための枠型をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の型アセンブリ。
  4. 前記胴型が径D1(mm)の円筒状内面を有し、かつ前記枠型が径D3(mm)の円柱状外周面を有し、
    前記プリフォームを押圧する温度T(℃)において、前記胴型と前記枠型との熱膨張率がそれぞれα1(/℃)とα3(/℃)であって、
    前記押圧温度Tと室温(℃)との差がΔTであるとした場合に、
    α1<α3および0.150≧(α11−α33)ΔT+(D1−D3)≧0.015の関係を満たすことを特徴とする請求項3に記載の型アセンブリ。
  5. 前記胴型は、主として熱膨張係数3.0×10-6以下の材料で形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の型アセンブリ。
  6. 前記胴型は、主として石英ガラスで形成されていることを特徴とする請求項5に記載の型アセンブリ。
  7. 前記コア型の外周面は、少なくとも前記胴型の筒状内面内で摺動する領域において炭素材料で形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の型アセンブリ。
  8. 前記コア型の摺動面は、グラファイト、ガラス状カーボン、DLC、およびダイヤモンドのいずれかによって形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の型アセンブリ。
  9. 前記枠型は、主として曲げ強度300MPa以上のセラミックスで形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の型アセンブリ。
  10. 前記枠型は、主として炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、B4C、およびジルコニアのいずれかで形成されていることを特徴とする請求項9に記載の型アセンブリ。
  11. 前記胴型の外周は、波長5μm以下の光を透過しない材料で形成されたスリーブで覆われていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の型アセンブリ。
  12. 前記スリーブは、主として熱伝導率100W/m・K以上の材料で形成されていることを特徴とする請求項11に記載の型アセンブリ。
  13. 前記コア型の摺動面と押圧面とで形成されるエッジ部は、0.2mm以上のR面取りまたはC面取りがなされていることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の型アセンブリ。
  14. 請求項1から13のいずれかに記載の型アセンブリを用いて製造することを特徴とする成形品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112588965A (zh) * 2020-12-03 2021-04-02 惠州市欣宇五金部件有限公司 一种制造家具用的电动工具模具及加工方法

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