明 細 書
溶存酸素低減液剤とその製造方法、および溶存酸素量が低減された薬 液収容体
技術分野
[0001] 本発明は、溶存酸素が低減された液剤と、その製造方法と、溶存酸素量が低減さ れた薬液収容体とに関する。
背景技術
[0002] 経口摂取が困難な患者への栄養補給は、通常、糖類、アミノ酸、ビタミン類、電解 質、脂肪乳剤、微量金属元素などを含む輸液の経静脈投与により達成される。この 輸液に含まれるアミノ酸、ビタミン類などは、酸化しやすい成分である。また、輸液容 器の形成材料として周知のポリオレフイン系樹脂は、酸素を透過しやすレ、材料である 。このため、輸液は、その保存時においても、アミノ酸、ビタミン類などの易酸化性成 分の酸化が進行するおそれがある。
[0003] 一方、易酸化性成分を含む輸液を安定して保存するために、特許文献 1では、「ァ ミノ酸を含有した水溶液からなる輸液剤が気体透過性を有する医療用一次容器に充 填され、該医療用一次容器に充填された輸液剤が脱酸素剤と共に、実質的に酸素 を透過しな!/、二次包装容器内に収納されてなることを特徴とする輸液剤の包装体」 が提案されている。また、特許文献 2には、プラスチックフィルムの少なくとも片面に無 機化合物膜が形成され、酸素透過度が lcc/m2 * 24hr* atm以下、透湿度が lg/ m2 ' 24hr' atm以下、光線透過率が 80%以上、および色相 b値が 5以下の薬品容器 用フィルムが提案されている。
[0004] さらに、特許文献 3には、「少なくとも排出口が形成された可撓壁を有する樹脂容器 力、らなり、上記容器壁はポリビュルアルコールの中間層を境に内層と外層に分かれ て多層形成され、上記最内層は、厚みが 50乃至 800 mの範囲のポリオレフイン層 であり、上記外層の透湿量 So (g/m224hrs :温度 40°C、 90%RH)が上記内層の 透湿量 Si (g/m224hrs :温度 40°C、 90%RH)の 2倍以上になるように、上記外層が 設けられていることを特徴とするガスバリア性を有する輸液容器」を、乾燥剤を共存さ
せて包装体で包装したものが記載されている。この輸液容器によれば、外層の水蒸 気が速やかに外部に放出される。このため、オートクレープ滅菌処理後に、外部の乾 燥剤によって外層とこれに隣接するポリビュルアルコール層との水蒸気を低減でき、 その結果、ポリビュルアルコール層のガスバリア性を 24時間以内にほぼ完全に回復 できる。また、輸液容器内部から最内層を透過してポリビュルアルコール層に達した 水蒸気は、外層を通って、速やかにポリビュルアルコール層から外部へと抜けるため 、ポリビュルアルコール層のガスバリア性の低下を生じさせな!/、(段落 [0007] )。 特許文献 1 :特開昭 63— 275346号公報
特許文献 2:特開平 11 285520号公報
特許文献 3 :特開平 10— 80464号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] しかるに、特許文献 1に記載の輸液剤の包装体のように、一次容器が酸素透過性 を有している場合には、二次容器の開封後に一次容器が放置されることで、一次容 器内の輸液剤の酸化劣化を防止できなくなる。しかも、例えば、一次容器内に他の 薬剤を混注する場合に、誤って、細菌の混入が生じたときには、一次容器の外部か らの酸素の透過により、細菌の増殖が加速されるおそれがある。
[0006] 特許文献 2に記載の薬品容器用フィルムは、酸素バリア性に優れたフィルムである 。このため、ヘッドスペースに酸素が含まれている状態や、内容物の溶存酸素量が多 い状態で薬品容器が密封されることで、かえって、内容物の酸化劣化や好気性細菌 の増殖などを防止できなくなる。なお、容器の密封前に薬液の溶存酸素を低減させ る処理や、ヘッドスペースを窒素などの不活性ガスで置換する処理は、手間がかかり 、コストの上昇などを招く不具合がある。さらに、上記の薬品容器用フィルムは柔軟性 が十分ではないため、例えば、薬品容器の搬送時における衝撃などで、フィルムにピ ンホールが生じるおそれがある。
[0007] 特許文献 3に記載の輸液容器によれば、上述のとおり、外部の乾燥剤によって、ポ リビュルアルコール層の水蒸気を低減させ、そのガスバリア性を維持できる。しかしな がら、オートクレープ滅菌処理後に輸液容器内に残存している酸素については、全く
考慮されておらず、輸液容器内に残存する酸素に起因する内容物の酸化劣化、好 気性細菌の増殖などを防止することができない。
[0008] 本発明の目的は、溶存酸素量が低減され、酸化による変質が生じにくぐかつ経時 安定性に優れた液剤と、その製造方法とを提供することにある。
本発明の他の目的は、薬液の溶存酸素量が低い状態で維持され、酸化による変質 が生じにくぐかつ経時安定性に優れた薬液収容体を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0009] 上記目的を達成するための本発明の溶存酸素低減液剤は、
蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理後 12時間以内における温度 25°C、湿度 60% RHでの酸素透過度が 200cm3/m2.24h . atm以上であり、かつ酸素透過度が定 常状態であるときの温度 25°C、湿度 60%RHでの酸素透過度が 100cm3/m2 ' 24h •atm以下であるプラスチックからなる薬液容器に収容、密封されており、
前記蒸気滅菌処理または前記熱水滅菌処理が施されており、
溶存酸素濃度が、前記蒸気滅菌処理または前記熱水滅菌処理後、前記プラスチッ クの酸素透過度が定常状態に達したときに、 2ppm以下である、ことを特徴としている
[0010] 上記溶存酸素低減液剤にお!/ヽて、液剤を収容、密封するための薬液容器は、蒸気 滅菌処理または熱水滅菌処理を施してから 12時間以内において、酸素透過度(温 度 25°C、湿度 60%RH)が 200cm3/m2 ' 24h ' atm以上の高い値を示し、かつ、定 常状態において、酸素透過度(温度 25°C、湿度 60%RH)が 100cm3/m2 ' 24h ' at m以下の低い値を示すプラスチックで形成されている。このため、薬液容器に蒸気滅 菌処理または熱水滅菌処理を施してから、上記プラスチックの酸素透過度が定常状 態に達するまでの間には、上記プラスチックの高い酸素透過度を利用して、薬液容 器の外部から、液剤に溶存されている酸素や薬液容器内に残存している酸素を低減 させるための処理を施すことができる。また、上記プラスチックの酸素透過度が定常 状態に達した後には、上記プラスチックの酸素透過度が極めて低くなることを利用し て、液剤の溶存酸素量の上昇を抑制することができる。さらに、上記溶存酸素低減液 剤によれば、蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理後に、液剤の溶存酸素量を 2ppm
以下まで低減させることによって、または、液剤の溶存酸素量を予め 2ppm以下まで 低減させておくことによって、液剤の溶存酸素量を長期にわたって極めて低い値で 維持することができ、液剤の酸化による変質を防止することができる。
[0011] 本発明の溶存酸素低減液剤は、前記蒸気滅菌処理または前記熱水滅菌処理後に 、脱酸素手段を有する環境下で保存されてレ、ることが好ましレ、。
この場合、蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理後に、すなわち、上記薬液容器を形 成するプラスチックの酸素透過度が高い状態となっているときに、上記液剤の溶存酸 素や上記薬液容器内に残存する酸素を、薬液容器の外部から上記脱酸素手段によ つて除去すること力 Sできる。さらに、上記薬液容器を、脱酸素手段を有する環境下で 保存することにより、薬液容器への酸素の流入を防止しつつ、薬液容器を形成する プラスチックの酸素透過度を定常状態へと移行させることができる。
[0012] 本発明の溶存酸素低減液剤は、易酸化性液剤であることが好適であり、さらに具体 的には、例えば、アミノ酸含有液、ビタミン類含有糖液、および脂溶性ビタミン含有液 力、らなる群より選ばれる少なくとも 1種であることが好適である。
本発明の溶存酸素低減液剤においては、前記アミノ酸含有液が、 L一口イシン、 L イソロイシン、 Lーバリン、 L—リジン、 Lートレオニン、 L—トリプトファン、 L メチォ ニン、 L システィン、 L フエ二ルァラニン、 L チロジン、 L アルギニン、 L ヒス チジン、 Lーァラニン、 L—プロリン、 Lーセリン、 L—グリシン、 Lーァスパラギン酸、お よび L グルタミン酸からなる群より選ばれる少なくとも 1種のアミノ酸を含有している ことが好適である。
[0013] 本発明の溶存酸素低減液剤にお!/、ては、前記ビタミン類含有糖液が、糖類と、ビタ ミン B 、ビタミン B 、ビタミン B 、ビタミン B 、ビタミン C、葉酸、ナイァシン、ビォチン、
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およびパントテン酸類からなる群より選ばれる水溶性ビタミンと、を含有して!/、ること力 S 好適である。
本発明の溶存酸素低減液剤においては、前記脂溶性ビタミン含有液が、ビタミン A 、ビタミン D、ビタミン E、およびビタミン Kからなる群より選ばれる少なくとも 1種の脂溶 性ビタミンを含有して!/、ること力 S好適である。
[0014] 上記目的を達成するための本発明の溶存酸素低減液剤の製造方法は、
蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理後 12時間以内における温度 25°C、湿度 60% RHでの酸素透過度が 200cm3/m2.24h . atm以上であり、かつ酸素透過度が定 常状態であるときの温度 25°C、湿度 60%RHでの酸素透過度が 100cm3/m2 ' 24h •atm以下であるプラスチックからなる薬液容器に、液剤を収容、密封し、
次いで、前記薬液容器に対し、蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理を施し、 さらに、前記薬液容器を、前記プラスチックの酸素透過度が定常状態に達するまで 脱酸素手段を備える環境下で保存し、前記液剤の溶存酸素濃度を 2ppm以下に低 減する、ことを特 ί毁としている。
[0015] 上記溶存酸素低減液剤の製造方法にお!/、て、液剤を収容、密封するための薬液 容器は、蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理を施してから 12時間以内において、酸 素透過度(温度 25°C、湿度 60%RH)が 200cm3/m2 ' 24h ' atm以上の高い値を 示し、かつ、定常状態において、酸素透過度(温度 25°C、湿度 60%RH)が 100cm3 /m2 ' 24h ' atm以下の低い値を示すプラスチックで形成されている。このため、液剤 が収容、密封された薬液容器に蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理を施してから、上 記プラスチックの酸素透過度が定常状態に達するまでの間に、すなわち、上記プラス チックの酸素透過度が高い状態である間に、脱酸素手段を備える環境下で上記薬 液容器を保存することにより、液剤の溶存している酸素量や薬液容器内に残存して いる酸素量を薬液容器の外部から効率よく低減させることができる。さらに、上記ブラ スチックの酸素透過度が定常状態に達した後には、上記プラスチックの酸素透過度 が極めて低くなることを利用して、液剤の溶存酸素量の上昇を抑制することができる。 また、上記溶存酸素低減液剤の製造方法によれば、上記薬液容器に収容、密封さ れている液剤の溶存酸素量を、 2ppm以下という極めて低い値にまで低減させ、かつ 、その値を維持することが可能となる。
[0016] 本発明の溶存酸素低減液剤の製造方法においては、前記脱酸素手段を備える環 境力 脱酸素手段を備えており、かつ酸素バリア性を有する外装体により密閉されて V、る環境であることが好適である。
この場合、上記薬液容器に収容、密封されている液剤の溶存酸素や、上記薬液容 器内に残存している酸素を、上記脱酸素手段によって薬液容器の外部から除去する
操作を、より一層効率よく行うことができる。
[0017] 本発明の溶存酸素低減液剤の製造方法にお!/、ては、前記脱酸素手段が、脱酸素 剤であることが好適である。
上記目的を達成するための本発明の溶存酸素量が低減された薬液収容体は、 蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理後 12時間以内における温度 25°C、湿度 60% RHでの酸素透過度が 200cm3/m2.24h . atm以上であり、かつ酸素透過度が定 常状態であるときの温度 25°C、湿度 60%RHでの酸素透過度が 100cm3/m2 ' 24h •atm以下であるプラスチックからなる薬液容器と、前記薬液容器に収容、密封される 薬液と、を備え、
前記薬液は、前記薬液容器への収容、密封後に、前記蒸気滅菌処理または前記 熱水滅菌処理が施されており、かつ、前記蒸気滅菌処理または前記熱水滅菌処理 後、前記プラスチックの酸素透過度が定常状態に達したときに、溶存酸素濃度が 2p pm以下となるように脱酸素処理が施されて!/、ることを特徴として!/、る。
[0018] 上記溶存酸素量が低減された薬液収容体にお!/、て、薬液を収容、密封するための 薬液容器は、蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理を施してから 12時間以内において 、酸素透過度(温度 25°C、湿度 60%RH)が 200cm3/m2 ' 24h ' atm以上の高い値 を示し、かつ、定常状態において、酸素透過度(温度 25°C、湿度 60%RH)が 100c m m2 · 24h · atm以下の低!/、値を示すプラスチックで形成されて!/、る。このため、 薬液容器に蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理を施してから、上記プラスチックの酸 素透過度が定常状態に達するまでの間には、上記プラスチックの高い酸素透過度を 利用して、薬液容器の外部から、薬液に溶存されている酸素や薬液容器内に残存し ている酸素を低減させるための処理を施すことができる。また、上記プラスチックの酸 素透過度が定常状態に達した後には、上記プラスチックの酸素透過度が極めて低く なることを利用して、薬液の溶存酸素量の上昇を抑制することができる。さらに、上記 溶存酸素量が低減された薬液収容体によれば、蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理 後に、薬液収容体内の薬液の溶存酸素量を 2ppm以下まで低減させることにより、ま たは、薬液収容体に収容される薬液の溶存酸素量を予め 2ppm以下まで低減させて おくことにより、上記薬液の溶存酸素量を長期にわたって極めて低い値で維持するこ
とができ、上記薬液の酸化による変質を防止することができる。
[0019] 本発明の溶存酸素量が低減された薬液収容体は、前記蒸気滅菌処理または前記 熱水滅菌処理後に、脱酸素手段を有する環境下で保存されていることが好ましい。 この場合、蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理後に、すなわち、上記薬液容器を形 成するプラスチックの酸素透過度が高い状態となっているときに、上記薬液の溶存酸 素や上記薬液収容体内に残存する酸素を、上記薬液収容体の外部から上記脱酸素 手段によって除去することができる。さらに、上記薬液収容体を、脱酸素手段を有す る環境下で保存することにより、上記薬液収容体への酸素の流入を防止しつつ、薬 液容器を形成するプラスチックの酸素透過度を定常状態へと移行させることができる
[0020] 本発明の溶存酸素量が低減された薬液収容体は、前記薬液が、易酸化性液剤を 含有していることが好適であり、さらに具体的には、例えば、アミノ酸含有液、ビタミン 類含有糖液、および脂溶性ビタミン含有液からなる群より選ばれる少なくとも 1種を含 有して!/、る液剤であることが好適である。
本発明の溶存酸素量が低減された薬液収容体は、前記薬液容器が、開通可能な 仕切りで区画された複数の収容部を備えており、複数の前記収容部のうちの一の収 容部に収容されている薬液がアミノ酸含有液であり、かつ前記一の収容部以外のい ずれかの収容部に収容されている薬液が糖液である、ことが好ましい。
[0021] 本発明の溶存酸素量が低減された薬液収容体は、前記薬液容器が、開通可能な 仕切りで区画された複数の収容部を備えており、複数の前記収容部のうちの一の収 容部が、他のいずれかの収容部の内部に備えられた小袋である、ことが好ましい。 この場合においては、前記小袋に収容されている薬液が、脂溶性ビタミン含有液ま たは脂肪乳剤であること、あるいは、前記小袋が、さらに 2つの小収容部に区画され ており、 2つの前記小収容部のうちの一方の小収容部に収容されている薬液力 脂 溶性ビタミン含有液であり、他方の小収容部に収容されている薬液が、微量金属元 素液剤であることが好適である。
[0022] 本発明の溶存酸素量が低減された薬液収容体においては、
前記アミノ酸含有液が、 L—ロイシン、 L—イソロイシン、 L—バリン、 L—リジン、 L-
トレオニン、 L—トリプトファン、 L メチォニン、 L—システィン、 L—フエニノレアラニン、 Lーチロジン、 L—アルギニン、 L—ヒスチジン、 Lーァラニン、 L—プロリン、 Lーセリン 、 L グリシン、 Lーァスパラギン酸、および L グルタミン酸からなる群より選ばれる 少なくとも 1種のアミノ酸を含有していることが好適であり、
前記ビタミン類含有糖液が、糖類と、ビタミン B 、ビタミン B 、ビタミン B 、ビタミン B
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、ビタミン c、葉酸、ナイァシン、ビォチン、およびパントテン酸類からなる群より選ば れる少なくとも 1種の水溶性ビタミンと、を含有して!/、ることが好適であり、
前記脂溶性ビタミン含有液が、ビタミン A、ビタミン D、ビタミン E、およびビタミン か らなる群より選ばれる少なくとも 1種の脂溶性ビタミンを含有していることが好適であり 、また、
前記微量金属元素液剤が、鉄、マンガン、亜鉛、銅、セレン、モリブデン、コバルト、 およびクロムからなる群より選ばれる少なくとも 1種の元素を含有していることが好適 である。
本発明の溶存酸素量が低減された薬液収容体は、好ましくは、開通可能な仕切り で区画された複数の前記収容部力 前記開通可能な仕切りを挟んで対向配置される 2つの収容部と、 2つの前記収容部のうちの一の収容部の内部に配置される小袋とか らなり、
前記小袋が、さらに 2つの小収容部に区画されており、
2つの前記収容部の一方の収容部に収容されている薬液力 L一口イシン、 L イソ ロイシン、 Lーバリン、 L—リジン、 Lートレオニン、 L—トリプトファン、 L メチォニン、 L システィン、 L—フエ二ルァラニン、 Lーチロジン、 L—アルギニン、 L—ヒスチジン、 L ァラニン、 L プロリン、 L セリン、 L グリシン、 L ァスパラギン酸、および L— グルタミン酸からなる群より選ばれる少なくとも 1種のアミノ酸を含有するアミノ酸含有 液であり、
2つの前記収容部の他方の収容部に収容されている薬液が、糖類と、ビタミン B 、 ビタミン B 、ビタミン B 、ビタミン B 、ビタミン C、葉酸、ナイァシン、ビォチン、および
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パントテン酸類からなる群より選ばれる少なくとも 1種の水溶性ビタミンと、を含有する ビタミン類含有糖液であり、
前記小袋の一方の小収容部に収容されている薬液が、ビタミン A、ビタミン D、ビタミ ン£、およびビタミン Kからなる群より選ばれる少なくとも 1種の脂溶性ビタミンを含有 する脂溶性ビタミン含有液であり、
前記小袋の他方の小収容部に収容されている薬液が、鉄、マンガン、亜鉛、銅、セ レン、モリブデン、コバルト、およびクロムからなる群より選ばれる少なくとも 1種の元素 を含有する微量金属元素液剤である。
また、この場合においては、 2つの前記収容部および 2つの前記小収容部に収容さ れている薬液を混合して得られる混合液力 L一口イシンを 0. 4-20. Og/L、 Lーィ ソロイシンを 0. 2〜; 14. Og/L、: L—ノ リンを 0. 1~16. 0g/:L、 L—リジンを 0. 2〜 14. 0g/L、 L—卜レオニンを 0. 1— 8. 0g/L、 L—卜リプ卜ファンを 0. 04— 3. 0g/ L、 L—メチォニンを 0· ;!〜 8· 0g/L、 L—システィンを 0· 01— 2. 0g/L、 L—フエ 二ルァラニンを 0· 2〜; 12. 0g/L、 L—チロジンを 0· 0;!〜 2g/L、 L—アルギニンを 0. 2—14. 0g/L、 L—ヒスチジンを 0. 1— 8. 0g/L、 L—ァラニンを 0. 2—14. 0g /レ L—プロリンを 0. 1— 10. Og/L、: L—セリンを 0. 1— 6. 0g/:L、 L—グリシンを 0. 1— 12. Og/L、: L—ァスノ ラギン酸を 0. 01—4. Og/L、: L—グノレタミン酸を 0〜 6. 0g/L、ブド、ゥ糖を 20〜800g/L、ビタミン Aを 400〜6500IU/L、ビタミン Dを コレカルシフエノールとして 0. 5—10. 0 g/L、ビタミン Eを酢酸トコフエノールとし て 1. 0〜20. 0mg/L、ビタミン Kをフイトナジオンとして 0. 2〜4. 0mg/L、ビタミン Bを塩酸チアミンとして 0. 4—30. 0mg/L、ビタミン Bをリボフラビンとして 0. 5〜6
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. 0mg/L、ビタミン Bを塩酸ピリドキシンとして 0· 5〜8· 0mg/L、ビタミン B をシ
6 12 ァノコバラミンとして 0· 5-50. O ii g ニコチン酸類をニコチン酸アミドとして 5· 0 〜80· 0mg/L、パントテン酸類をパントテン酸として 1 · 5—35. 0mg/L、葉酸を 5 0—800 ^ g/L,ビタミン Cをァスコルビン酸として 12〜200mg/L、ビォチンを 5〜 120 n g/L、ナトリウムイオンを 10〜; 160mEq/L、マグネシウムイオンを;!〜 40mE q/L、カリウムイオンを 5〜80mEq/L、カルシウムイオンを;!〜 40mEq/L、塩化 物イオンを 10〜; 160mEq/L、ヨウ化物イオンを 0〜5mEq/L、および、リン酸ィォ ンを l〜40mmol/Lの割合で、それぞれ含有していることが好適である。
発明の効果
[0025] 本発明の溶存酸素低減液剤によれば、液剤の溶存酸素量を極めて低!/、値で維持 すること力 Sできる。それゆえ、液剤の酸化による変質を長期にわたって抑制し、経時 安定性に優れた液剤を提供することができる。
本発明の溶存酸素低減液剤の製造方法によれば、溶存酸素量が極めて低!/、値に まで低減され、かつ、溶存酸素量が極めて低い状態を長期にわたって維持可能な液 剤を、効率よく製造することができる。それゆえ、薬液容器に収容、密封された液剤の 酸化による変質を長期にわたって抑制することができ、経時安定性に優れた液剤を 製造すること力 Sでさる。
[0026] また、本発明の溶存酸素量が低減された薬液収容体によれば、薬液の溶存酸素量 を極めて低い値で維持することができる。それゆえ、薬液の酸化による変質を長期に わたって抑制し、経時安定性に優れた薬液収容体を得ることができる。
図面の簡単な説明
[0027] [図 1]図 1は、薬液容器を形成するプラスチックの一例を示す概略断面図である。
[図 2]図 2は、薬液容器を形成するプラスチックの一例を示す概略断面図である。
[図 3]図 3は、薬液容器を形成するプラスチックの一例を示す概略断面図である。
[図 4]図 4は、薬液容器の一例を示す正面図である。
[図 5]図 5は、薬液容器の一例を示す正面図である。
符号の説明
[0028] 10 :薬液容器、 12 :収容部、 15 :薬液容器、 18:開通可能な仕切り(弱シール 部)、 19 :第 1収容部、 20 :第 2収容部、 21 :小袋、 22 :開通可能な仕切り(周 縁弱シール部)、 24 :開通可能な仕切り(弱シール部)、 25 :小収容部、 26 :小 収容部。
発明の実施形態
[0029] 本発明の溶存酸素低減液剤は、
蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理後 12時間以内における温度 25°C、湿度 60% RHでの酸素透過度が 200cm3/m2.24h . atm以上であり、かつ酸素透過度が定 常状態であるときの温度 25°C、湿度 60%RHでの酸素透過度が 100cm3/m2 ' 24h • atm以下であるプラスチックからなる薬液容器に収容、密封されていること、
前記蒸気滅菌処理または前記熱水滅菌処理が施されていること、かつ、 溶存酸素濃度が、前記蒸気滅菌処理または前記熱水滅菌処理後、前記プラスチッ クの酸素透過度が定常状態に達したときに、 2ppm以下であること、を特徴としている
〇
[0030] 本発明の溶存酸素低減液剤にぉレ、て、上記薬液容器に収容、密封される液剤とし ては、各種の液剤が挙げられる力 とりわけ、酸化しやすい薬剤(易酸化性薬剤)を 含有する液剤が好適である。上記溶存酸素低減液剤を収容する薬液容器は、外部 力 の酸素の侵入を高度に抑制可能な容器であるため、易酸化性薬剤であっても、 経時的に安定して収容、保存すること力 Sできる。
[0031] 易酸化性薬剤は、酸化しやすい成分を含む各種の薬剤である。酸化しやすい成分 としては、例えば、アミノ酸、ビタミン類などが挙げられる。
アミノ酸としては、例えば、いわゆる必須アミノ酸と、その他のアミノ酸と、これらァミノ 酸の塩、エステルおよび N ァシル体などが挙げられる。具体的には、例えば、 L ロイシン、 L イソロイシン、 L ノ リン、 L リジン、 L トレオニン、 L トリプトファン、 L メチォニン、 L システィン、 L フエニノレアラニン、 Lーチロジン、 Lーァノレギニン 、 L—ヒスチジン、 Lーァラニン、 L—プロリン、 Lーセリン、 L—グリシン、 Lーァスパラギ ン酸、 L—グルタミン酸などのアミノ酸が挙げられる。これらアミノ酸は、例えば、 Lーァ ルギニン塩酸塩、 L システィン塩酸塩、 L グルタミン酸塩酸塩、 L ヒスチジン塩 酸塩、 L リジン塩酸塩などの無機酸塩、例えば、 L リジン酢酸塩、 L リジンリンゴ 酸塩などの有機酸塩、例えば、 Lーチロジンメチルエスエル、 Lーメチオノンメチルェ スエル、 L メチォニンェチルエステルなどのエステル体、例えば、 N ァセチルー L —システィン、 N ァセチル一 L トリプトファン、 N ァセチル一 L プロリンなどの N—置換体、例えば、 L チロシノレ Lーチロジン、 Lーァラニノレー Lーチロジン、 L アルギニル Lーチロジン、 L チロシル L アルギニンなどのジペプチド類な どの形態であってもよい。また、これらアミノ酸は、単独で含まれていてもよぐ 2種以 上が混合して含まれて!/、てもよ!/、。
[0032] ビタミン類としては、各種のビタミンが挙げられる。具体的には、例えば、ビタミン A、 ビタミン D、ビタミン E、ビタミン Kなどの脂溶性ビタミンと、例えば、ビタミン B、ビタミン
B、ビタミン B、ビタミン B 、ビタミン C、葉酸、ナイァシン(ニコチン酸類)、ビォチン(
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ビタミン H)、パントテン酸類などの水溶性ビタミンとが挙げられる。
[0033] ビタミン Aとしては、例えば、レチノール、レチナール、レチノイン酸、レチノールのェ ステル(例えば、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノールなど)が挙げられ、好ましく は、ノ ルミチン酸レチノールが挙げられる。ビタミン Dとしては、例えば、ビタミン D、ビ タミン D (ェルゴカルシフェローノレ)、ビタミン D (コレカルシフエロール)、これらの活
2 3
性型(ヒドロキシ誘導体)が挙げられ、好ましくは、コレカルシフエロールが挙げられる
。ビタミン Eとしては、例えば、 α—トコフェローノレ、 β—トコフェローノレ、 7—トコフエ口 ール、 δ —トコフエロール、 α—トコトリエノーノレ、 β —トコトリエノーノレ、 γ —トコトリエ ノーノレ、 δ トコトリエノーノレ、これらのエステル(例えば、酢酸エステル、コハク酸エス テルなど)が挙げられ、好ましくは、酢酸トコフエロールが挙げられる。ビタミン Κとして は、例えば、ビタミン Κ (フイロキノン;一般名フイトナジオン)、ビタミン Κ (メナキノン)
1 2
、ビタミン (メナジオン)などが挙げられ、好ましくは、フイトナジオンが挙げられる。
3
[0034] ビタミン Βとしては、チアミンや、チアミンの誘導体(例えば、塩酸チアミン、プロスル チアミン、ォクトチアミンなど)が挙げられ、好ましくは、塩酸チアミンが挙げられる。ビ タミン Βとしては、例えば、リボフラビン、リン酸リボフラビン(リボフラビンのリン酸エス
2 チドなどが挙げられ、好ましくは、リン酸リボフラビンが挙げられる。ビタミン Βとしては
6
、例えば、ピリドキサール、ピリドキシン、ピリドキサミン、塩酸ピリドキシンなどが挙げら れ、好ましくは、塩酸ピリドキシンが挙げられる。ビタミン Β としては、例えば、シァノコ
12
バラミンなどが挙げられる。ビタミン Cとしては、例えば、ァスコルビン酸、ァスコルビン 酸ナトリウムなどが挙げられ、好ましくは、ァスコルビン酸が挙げられる。ナイァシンと しては、例えば、ニコチン酸、ニコチン酸アミドなどが挙げられる。パントテン酸類とし ては、パントテン酸、そのカルシウム塩、還元体であるパンテノールなどが挙げられ、 好ましくは、パンテノールが挙げられる。ビタミン Ρとしては、例えば、フラボノイド類な どが挙げられる。
[0035] 上記ビタミン類は、単独で含まれていてもよぐ 2種以上が混合して含まれていても よい。また、上記水溶性ビタミンは、単独でまたは 2種以上を混合して、アミノ酸を含
有する液剤や、糖類を含有する液剤に配合されて!ゝてもよレヽ。
上記易酸化性薬剤を含有する液剤の具体例としては、例えば、アミノ酸含有液、ビ タミン類などを含む糖液 (ビタミン類含有糖液)、脂溶性ビタミン含有液などが挙げら れる。
[0036] アミノ酸含有液としては、上記例示のアミノ酸を単独でまたは 2種以上混合して含有 する液剤が挙げられる。また、アミノ酸含有液は、任意の成分として、例えば、電解質 、水溶性ビタミンなどを含有していてもよい。
アミノ酸含有液に含有される水溶性ビタミンとしては、例えば、上記例示の水溶性ビ タミンが挙げられ、なかでも好ましくは、ニコチン酸アミドおよび葉酸が挙げられる。こ れら水溶性ビタミンは、アミノ酸含有液中に、単独でまたは 2種以上混合して含有さ れる。また、これら水溶性ビタミンは、上記アミノ酸との共存下において、互いに安定 して存在する。
[0037] アミノ酸含有液に含有される電解質としては、例えば、ナトリウムイオン (Na+)、マグ ネシゥムイオン (Mg2+)、カリウムイオン (K+)、カルシウムイオン (Ca2+)、塩化物ィォ ン(C1—)、ヨウ化物イオン (1—)、リン酸イオン(具体的に、リン酸水素イオン (HPO 2一)
4 またはリン酸二水素イオン(H PO―) )、グリセ口リン酸イオン(C H〇 P〇 2 )などの
2 4 3 7 3 3 イオンを供給する水溶性塩が挙げられる。これら電解質は、単独でまたは 2種以上混 合して含有される。また、これら電解質は、上記アミノ酸との共存下において、互いに 安定して存在する。
[0038] ナトリウムイオン供給源としての水溶性塩には、例えば、塩化ナトリウム、酢酸ナトリ ゥム、クェン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ニナトリ ゥム、グリセ口リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウムなどが挙げられる。マグネシウムイオン 供給源としての水溶性塩には、例えば、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸 マグネシウムなどが挙げられ、好ましくは、硫酸マグネシウムが挙げられる。カリウムィ オン供給源としての水溶性塩には、例えば、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、酢酸力リウ ム、クェン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、グリセ口リン酸カリ ゥム、硫酸カリウム、乳酸カリウムなどが挙げられ、好ましくは、酢酸カリウムが挙げら れる。カルシウムイオン供給源としての水溶性塩には、例えば、塩化カルシウム、ダル
コン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸カルシウムなどが 挙げられ、好ましくは、塩化カルシウムが挙げられる。
[0039] 塩化物イオン供給源としての水溶性塩には、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム 、塩化カルシウムなどが挙げられ、好ましくは、塩化カルシウムが挙げられる。ヨウ化 物イオン供給源としての水溶性塩には、例えば、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化マグネシウム 、ヨウ化カリウム、ヨウ化カルシウムなどが挙げられる。リン酸イオン供給源としての水 溶性塩には、例えば、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ニナトリウム、リン酸一水素 マグネシウム、リン酸二水素マグネシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二力リウ ム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウムなどが挙げられる。グリセ口リン 酸イオン供給源としての水溶性塩には、例えば、グリセ口リン酸ナトリウム、グリセ口リン 酸カリウム、グリセ口リン酸カルシウムなどが挙げられる。
[0040] なお、アミノ酸含有液には、電解質として、カルシウムイオンを含む水溶性塩と、リン 酸イオンを含む水溶性塩とを共存させな!/、ことが好まし!/、。カルシウムイオンとリン酸 イオンの両方を同時に投与する用途においては、薬液容器として、 2以上の収容部 を備える複室容器を使用し、カルシウムイオンを含む水溶性塩と、リン酸イオンを含 む水溶性塩との少なくとも!/、ずれか一方を、アミノ酸含有液が収容されて!/、な!/、収容 部に収容させることが好ましい。
[0041] アミノ酸含有液には、さらに、例えば、抗酸化剤、 pH調整剤などが含まれていても よい。抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウムなどが挙げられる。 pH調整 剤としては、例えば、塩酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クェン酸などの酸や、例 えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリが挙げられる。これら pH調整 剤の酸およびアルカリは、電解質のイオン供給源である水溶性塩として配合してもよ い。
[0042] アミノ酸含有液の pHは、例えば、 pH調整剤などを適宜用いて、好ましくは、 2. 5〜 10となるように、より好ましくは、 5〜8となるように調整される。
アミノ酸含有液は、糖液と混合して保存された場合に、経時的な安定性が損なわれ る。それゆえ、アミノ酸含有液と糖液とを同時に投与する用途においては、例えば、 薬液容器として、 2以上の収容部を備える複室容器を使用し、アミノ酸含有液と糖液
とを分離して収容する。
[0043] ビタミン類含有糖液としては、例えば、糖類と、水溶性ビタミンとを含有する液剤が 挙げられる。
ビタミン類含有糖液に含有される糖類としては、各種輸液に慣用されているものが 挙げられ、特に限定されないが、例えば、ブドウ糖、フルクトース、ガラクトースなどの 単糖類、マルトース、ラタトース、スクロースなどの二糖類などが挙げられ、なかでも、 好ましくは、ブドウ糖が挙げられる。これら糖類は、単独でまたは 2種以上を混合して 用いられる。
[0044] ビタミン類含有糖液に含有される水溶性ビタミンとしては、上記例示の水溶性ビタミ ンが挙げられ、これら水溶性ビタミンは、単独でまたは 2種以上混合して含有される。 これら水溶性ビタミンは、上記糖液との共存下において、互いに安定して存在する。 また、ビタミン類含有糖液は、任意の成分として、電解質などを含有していてもよい ビタミン類含有糖液に含有される電解質としては、例えば、ナトリウムイオン、マグネ シゥムイオン、カリウムイオン、カノレシゥムイオン、塩化物イオン、ヨウ化物イオン、リン 酸イオン、グリセ口リン酸イオンなどのイオンを供給する水溶性塩が挙げられる。これ ら電解質は、単独でまたは 2種以上混合して含有される。また、これら電解質は、上 記糖液との共存下にお!/、て、互いに安定して存在する。
[0045] ナトリウムイオン供給源としての水溶性塩には、アミノ酸含有液に含有されるものと 同じものが挙げられ、好ましくは、塩化ナトリウムおよび乳酸ナトリウムが挙げられる。 マグネシウムイオン供給源としての水溶性塩には、アミノ酸含有液に含有されるものと 同じものが挙げられる。カリウムイオン供給源としての水溶性塩には、アミノ酸含有液 に含有されるものと同じものが挙げられ、好ましくは、塩化カリウム、ヨウ化カリウムおよ びリン酸二水素カリウムが挙げられる。カルシウムイオン供給源としての水溶性塩に は、アミノ酸含有液に含有されるものと同じものが挙げられる。
[0046] 塩化物イオン供給源としての水溶性塩には、アミノ酸含有液に含有されるものと同 じものが挙げられ、好ましくは、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムが挙げられる。ヨウ 化物イオン供給源としての水溶性塩には、アミノ酸含有液に含有されるものと同じも
のが挙げられ、好ましくは、ヨウ化カリウム力 S挙げられる。リン酸イオン供給源としての 水溶性塩には、アミノ酸含有液に含有されるものと同じものが挙げられ、好ましくは、 リン酸二水素カリウムが挙げられる。グリセ口リン酸イオン供給源としての水溶性塩に は、アミノ酸含有液に含有されるものと同じものが挙げられる。
[0047] ビタミン類含有糖液には、さらに、例えば、 pH調整剤、糖アルコール、グリセリンな どが含まれていてもよい。
pH調整剤としては、上記したのと同じものが挙げられ、これら pH調整剤の酸および アルカリは、電解質のイオン供給源である水溶性塩として配合してもよ!/、。
糖アルコールとしては、例えば、ソノレビトーノレ、キシリトール、マノレチトール、パラチ ニット、ラタチトール、エリトリトールなどが挙げられる。
[0048] ビタミン類含有糖液の pHは、例えば、 pH調整剤などを適宜用いて、好ましくは、 2
〜6となるように、より好ましくは、 2. 5〜5となるように調整される。
なお、上記の説明では、易酸化性薬剤を含有する液剤として、ビタミン類含有糖液 を例示したが、糖類は、ビタミン類との混合が必須ではなぐ例えば、糖類のみを含 有する液剤や、糖類と電解質とを含有する液剤として供給することもできる。
[0049] また、糖類を含有する液剤 (糖液)は、アミノ酸含有液と混合して保存した場合に、 経時的な安定性が損なわれる。それゆえ、糖液とアミノ酸含有液とを同時に投与する 用途においては、例えば、薬液容器として、 2以上の収容部を備える複室容器を使 用し、糖液とアミノ酸含有液とを分離して収容する。
脂溶性ビタミン含有液としては、上記例示の脂溶性ビタミンを単独でまたは 2種以上 混合して含有する液剤が挙げられる。また、この脂溶性ビタミン含有液は、ビタミン B
2 を含有していてもよい。
[0050] また、脂溶性ビタミン含有液は、任意の成分として、例えば、脂溶性ビタミンを水性 媒体に可溶化するための界面活性剤を含有していてもよい。また、脂溶性ビタミンが 、上記界面活性剤とともに、水性媒体に含有される場合には、さらに、必要に応じて、 水溶性ビタミンを含有して!/、てもよレ、。
界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤であるソルビタン脂肪酸エステ ノレ(具体的には、ポリソルベート)などが挙げられる。
[0051] 水溶性ビタミンとしては、例えば、上記したのと同様の水溶性ビタミンが挙げられる。 脂溶性ビタミンは、一般に、アミノ酸含有液中や糖液中での分散性が乏しぐしかも 、アミノ酸含有液や糖液と混合して保存された場合に、経時的な安定性が損なわれ るおそれがある。それゆえ、脂溶性ビタミンを含むビタミン含有液と、アミノ酸含有液ま たは糖液とを、同時に投与する用途においては、例えば、薬液容器として、 2以上の 収容部を備える複室容器を使用し、ビタミン含有液と、アミノ酸含有液や糖液とを分 離して収容する。
[0052] 本発明の溶存酸素低減液剤の好適態様としては、 3以上の収容部を備える複室容 器に、アミノ酸含有液と、ビタミン類含有糖液と、脂溶性ビタミン含有液とを、それぞれ 分別して収容する態様が挙げられる。
このような態様において、アミノ酸、糖類、ビタミン類および電解質の含有量は、特 に限定されないが、液剤全体において、すなわち、全収容部の薬剤を混合し、実際 に経静脈投与などに用いられる状態において、以下の範囲であることが好ましい。な お、以下に示す値のうち、アミノ酸の含有量は、遊離形態のアミノ酸で換算した値で ある。
[0053] アミノ酸
L ロイシン:0. 4—20. Og/L,好ましくは、 0. 8— 10. Og/:L。
L イソロイシン:0. 2—14. Og/L,好ましく (ま、 0. 4—7. Og/:L。
L ノ リン: 0. 1— 16. Og/L、好ましく (ま、 0. 3—8. 0g /し。
L リジン: 0. 2—14. 0g/L,好ましくは、 0. 5— 7. Og/L
Lートレオニン: 0. ;!〜 8· 0g/L,好ましくは、 0. 3〜4· 0g/L。
L 卜リプ卜ファン: 0. 04—3. 0g/L,好ましくは、 0. 08— 1. 5g/L。
L メチ才ニン: 0. 1— 8. 0g/L、好ましく (ま、 0. 2—4. 0g /し。
L システィン: 0. 01— 2. 0g/L,好ましく (ま、 0. 03—1. 0g /し。
L フエニノレアラニン: 0. 2—12. 0g/L,好ましく (ま、 0. 4—6. 0g/:L。
L チロジン: 0. 01~2g/L,好ましくは、 0. 02—1. 0g/:L。
L ァノレギニン: 0. 2—14. Og/L、好ましく (ま、 0. 5—7. 0g/:L。
L ヒスチジン: 0. 1— 8. 0g/L、好ましく (ま、 0. 3—4. 0g /し。
しーァラニン: 0. 2- 14. Og/し、好ましく (ま、 0. 4〜7. 0g/し。
L—プロリン:0. 1— 10. Og/L,好ましくは、 0. 2—5. 0g/Lo
L—セリン:0. 1 -6. Og/ 好ましくは、 0. 2〜3. 0g/Lo
L—グリシン:0. 1 - 12. Og/L、好ましくは、 0. 3—6. 0g/、
L—ァスノ ラギン酸: 0. 01—4. Og/ 好ましく (ま、 0. 03—2. 0g/Lo
L—グノレタミン酸: 0〜6· Og/L、好ましく (ま、 0· 1 ~3. 0g/Lo
糖類
ブドウ糖: 20〜800g/L、好ましくは、 50〜400g/L。
ビタミン類
ビタミン A : 400〜6500IU/L、好ましく ίま、 800—6500IU/L,より好ましく (ま、約 800〜4000IU/L。
ビタミン D :コレカノレシフェノーノレとして、 0. 5~ 10. 0 μ g/ 好ましくは、 1. 0~ 10 . 0 μ g/ より好ましくは、 1. 0—6. 0 μ g/L0
ビタミン E :酢酸トコフエノーノレとして、 1. 0— 20. Omg/L、好ましくは、 2. 5— 20. 0 mg/L,より子ましく ίま、 2. 5- 12. Omg/し。
ビタミン K :フィ卜ナジ才ンとして、 0. 2〜4· Omg/L,好ましくは、 0. 5〜4. Omg/L 、より好ましくは、 0. 5—2. 5mg/:L。
ビタミン B :塩酸チアミンとして、 0. 4-30. Omg/L, 子ましくは、 0. 8-30. Omg /し、より好ましく ίま、 1. 0〜5. Omg/し。
ビタミン B :リボフラビンとして、 0. 5—6. Omg/L,好ましくは、 1. 0—6. Omg/L,
2
より好ましく (ま、 1. 0〜4· Omg/し。
ビタミン B :塩酸ピリドキシンとして、 0. 5—8. Omg/L, 子ましくは、 1 . 0—8. Omg
6
/し、より好ましく ίま、 1. 0〜5. Omg/し。
ビタミン B :シァノコノ ラミンとして、 0. 5—50. 0 μ gZレ好ましくは、 1. 0—20. 0
12
g/L、より好ましくは、 1. 0- 10. 0 g/L。
ニコチン酸類:ニコチン酸アミドとして、 5. 0—80. Omg/L, 子ましくは、 10. 0—80 . Omg /し、より好ましく (ま、 10. 0—50. Omg /し。
ノ ントテン酸類:ノ ントテン酸として、 1. 5—35. Omg/L,好ましくは、 3. 0—30. 0
mg/し。
葉酸: 50〜800 μ g/ 好ましく (ま、 100—800 μ g/ より好ましく (ま、 100—12 g L。
ビタミン C :ァスコノレビン酸として、 12〜200mg/L、好ましくは、 25〜200mg/L、 より好ましく (ま、 25~120mg/Lo
ビ才チン: 5〜; 120〃 g/L、好ましく (ま、 15〜; 120〃 g/L、より好ましく (ま、 15— 70
[0055] 電解質
ナ卜ジゥムイオン: 10〜; 160mEq/L、好ましくは、 20〜80mEq/L。
マグネシウムイオン:;!〜 40mEq/L、好ましくは、 2〜20mEq/L。
カリウムィ才ン:5〜80mEq/:L、好ましく (ま、 10~40mEq/Lo
カルシウムイオン:;!〜 40mEq/L、好ましくは、 2〜20mEq/L。
塩化物イオン: 10〜; 160mEq/L、好まし <は、 20〜80mEq/L。
ヨウ化物イオン: 0〜5mEq/L、好ましくは、 0. 2〜5mEq/L。
リン酸イオン::!〜 40mmol/L、好ましくは、 2〜20mmol/L。
[0056] なお、本発明においては、脂肪乳剤を、必要に応じて上記液剤に配合し、または、 薬液容器中に、上記液剤とともに収容することができる。
脂肪乳剤としては、公知の各種脂肪乳剤が挙げられる。また、これら脂肪乳剤は、 単独で含まれてレ、てもよく、 2種以上が混合して含まれて!/、てもよ!/、。
脂肪乳剤を形成する油脂としては、脂肪乳剤に慣用されているものが挙げられ、具 体的には、例えば、大豆油、綿実油、サフラワー油、トウモロコシ油、ヤシ油、シソ油、 エゴマ油などの植物油、例えば、タラ肝油などの魚油などが挙げられる。これら油脂 は、単独で用いてもよぐ 2種以上を混合して用いてもよい。また、脂肪乳剤を形成す る乳化剤としては、脂肪乳剤などの医薬用製剤に慣用されているものが挙げられ、具 体的には、例えば、卵黄リン脂質、大豆リン脂質などが挙げられる。これら乳化剤は、 単独で用いてもよく、 2種以上を混合して用いてもょレ、。
[0057] 上記溶存酸素低減液剤を収容、密封するための薬液容器は、蒸気滅菌処理また は熱水滅菌処理後 12時間以内における温度 25°C、湿度 60%RHでの酸素透過度
力 S200cm3/m2'24h'atm以上であり、かつ、酸素透過度が定常状態であるときの 温度 25°C、湿度 60%RHでの酸素透過度が 100cm3/m2'24h'atm以下であるプ ラスチックカゝらなるものである。
[0058] 上記薬液容器は、これに限定されないが、例えば、ヘッドスペースの体積をできる だけ低減させた状態で液剤を収容できるように、液剤の収容量に応じて変形可能な 可撓性または柔軟性を有する容器であることが好ましい。
上記薬液容器を形成するプラスチックについての、蒸気滅菌処理または熱水滅菌 処理後 12時間以内における温度 25°C、湿度 60%RHでの酸素透過度は、 200cm3 /m2'24h'atm以上であって、好ましくは、 500cm3/m2'24h'atm以上であり、よ り好ましくは、 700cm3/m2 · 24h' atm以上である。
[0059] 蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理後 12時間以内における温度 25°C、湿度 60% RHでの酸素透過度が上記範囲を下回ると、蒸気滅菌処理後または熱水滅菌処理 後にお!/、て、液剤の溶存酸素や薬液容器のヘッドスペースに含まれる酸素を薬液容 器力 除去しに《なり、液剤の酸化を抑制する効果が低下する。蒸気滅菌処理後ま たは熱水滅菌処理後の酸素透過度の上限は、特に限定されないが、一般には、薬 液容器の形成に用いられるプラスチックの性質上、 1000cm3/m2'24h'atm程度 である。
[0060] 蒸気滅菌処理の条件は、例えば、処理温度が 100〜121°Cであり、処理時の雰囲 気が水蒸気飽和状態であり、処理時間が 10〜60分間であり、処理時の気圧が常圧 下、または気圧 4000hPa以下の加圧下である。また、熱水滅菌処理の条件は、例え ば、処理時の気圧が常圧下または加圧下であり、熱水の温度が 100〜; 120°Cであり 、処理時間が 10〜60分間である。
[0061] 上記薬液容器を形成するプラスチックについて、酸素透過度が定常状態であるとき の温度 25°C、湿度 60%RHでの酸素透過度は、 100cm3/m2'24h'atm以下であ つて、好ましくは、 70cm3/m2'24h'atm以下、より好ましくは、 30cm3/m2-24h-a tm以下、さらに好ましくは、 10cm3/m2'24h'atm以下である。
[0062] 酸素透過度が定常状態であるときの温度 25°C、湿度 60%RHでの酸素透過度が 上記範囲を上回ると、蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理後に、薬液容器の冷却後
に、薬液容器内への酸素の透過と、それに伴う液剤の酸化とを抑制できなくなる。酸 素透過度が定常状態であるときの酸素透過度の下限は、ゼロであることが好まし!/、が 、一般には、薬液容器の形成に用いられるプラスチックの性質上、 5cm3/m2' 24h' atm程度であり、好ましくは、 lcm3/m2' 24h' atm程度であり、より好ましくは、 0. 5 cm z m · 241ιϋη程度でめる。
[0063] プラスチックの酸素透過度の「定常状態」とは、プラスチックに蒸気滅菌処理または 熱水滅菌処理を施した後、一定条件(温度 25°C、湿度 60%RH)下で測定された酸 素透過度の経時的変化が、 1時間あたり ± 5%以内、好ましくは、 ± 3%以内となった ときをいう(以下、同じ)。
プラスチックの酸素透過度は、 JIS K 7126 「プラスチックフィルム及びシート
- 1987
の気体透過度試験方法」の B法(等圧法)に従い、酸素透過度(O GTR)として測定
2
される(以下、同じ)。酸素透過度の測定機器としては、例えば、 MOCON社製の商 品名「OX— TRAN (登録商標)」、 LYSSY社製の商品名「OPT— 5000」などが挙 げられる。
[0064] 薬液容器を形成するプラスチックの酸素透過度は、プラスチックの種類、厚みなど によって、適宜の値に設定することができる。また、プラスチックが多層構造を有して いる場合は、層構成、各層の厚みなどによって、酸素透過度を適宜設定できる。 蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理後 12時間以内における温度 25°C、湿度 60% RHでの酸素透過度や、酸素透過度が定常状態であるときの温度 25°C、湿度 60% RHでの酸素透過度が上記範囲を満たすプラスチックとしては、例えば、ポリオール 系樹脂が挙げられ、なかでも好ましくは、エチレン ビュルアルコール共重合体が挙 げられる。
[0065] エチレン ビュルアルコール共重合体は、例えば、エチレン含有量が 10〜45モル %であることが好ましぐ 25〜35モル%であることがより好ましい。エチレン一ビュル アルコール共重合体のエチレン含有量が上記範囲を下回ると、例えば、蒸気滅菌処 理または熱水滅菌処理後に冷却しても酸素透過度が低下しなくなるおそれや、蒸気 滅菌処理や熱水滅菌処理に耐え得る十分な耐水性を確保できなくなるおそれが生 じる。一方、エチレン ビュルアルコール共重合体のエチレン含有量が上記範囲を
上回ると、酸素透過度が定常状態であるときの酸素透過度が大きくなり、薬液容器内 への酸素の透過を抑制できなくなるおそれが生じる。さらに、この場合には、蒸気滅 菌処理や熱水滅菌処理によってプラスチックが白化し、容器の透明性が著しく低下 するおそれもある。
[0066] ポリオール系樹脂には、薬液容器の耐熱性を向上させる目的で、任意に、例えば、 ナイロン 6などのポリアミド系樹脂や、例えば、トリス(2, 4 ジー t ブチルフエニル )ホスフアイトなどのリン系酸化防止剤を配合することができる。これらポリアミド系樹脂 やリン系酸化防止剤の配合量は、薬液容器に収容される液剤に対して影響を及ぼさ な!/、範囲で設定すればよ!/、。
[0067] 上記薬液容器を形成するプラスチックは、薬液容器としての基本的性質を維持する という観点から、ポリオール系樹脂からなる層を中間層とし、この中間層よりも薬液容 器の内側面側に、ポリオレフイン系樹脂からなるシール層(最内層)を備え、上記中間 層よりも薬液容器の外側面側に保護層(最外層)を備える、多層構造体であることが 望ましい。
シール層(最内層)は、例えば、薬液容器を形成する際にその溶着面をなす層であ り、また、薬液容器の内側に配置され、薬液と直接に接触する層である。それゆえ、 シール層(最内層)を形成するプラスチックは、例えば、熱シール性(具体的には、例 えば、加熱温度、加熱時間、圧力などの熱シール条件、例えば、熱シール部のシー ル強さおよびその経時安定性など)や、薬液に対する安全性が確立されて!/、ることな どが求められる。
[0068] シール層(最内層)を形成するためのプラスチックの具体例としては、例えば、ポリ ォレフィン系樹脂が挙げられる。
ポリオレフイン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(エチレンホモポリマー)、ェチ レン' α—ォレフィンコポリマー、ポリプロピレン(プロピレンホモポリマー)、プロピレン • a一才レフインランダムコポリマー、プロピレン' α—才レフインブロックコポリマーな ど力《挙げられる。また、上記エチレン' aーォレフィンコポリマーの α—ォレフインとし ては、例えば、プロピレン、 1—ブテン、 1—ペンテン、 1—へキセン、 4—メチル 1— ペンテンなどの炭素数 3〜6の α—ォレフインが挙げられ、上記プロピレン' aーォレ
フィンランダムコポリマーおよびプロピレン' α—ォレフインブロックコポリマーの α— ォレフィンとしては、例えば、エチレン、または、例えば、 1ーブテン、 1 ペンテン、 1 一へキセン、 4ーメチルー 1 ペンテンなどの炭素数 4〜6の α—ォレフインが挙げら れる。これらポリオレフイン系樹脂は、単独で用いてもよぐ 2種以上を混合して用いて あよい。
[0069] シール層に用いられるポリオレフイン系樹脂は、上記例示のもののなかでも、好まし くは、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの混合樹脂などが挙げられる。
また、例えば、易剥離性を有する隔壁 (易剥離シール部)で区画された複数の収容 部を有する袋状の薬液容器 (いわゆる複室バッグなど)を作製する場合には、易剥離 シール部の形成を容易にするために、シール層をポリエチレンとポリプロピレンとの混 合樹脂で形成することが好ましレ、。
[0070] 保護層(最外層)は、薬液容器の外側面をなす層である。それゆえ、保護層(最外 層)を形成する樹脂としては、例えば、蒸気滅菌処理時または熱水滅菌処理時にお いて、ポリオール系樹脂からなる中間層が直接水分の影響を受けないようにするとい う観点や、薬液容器の形状、用途などに応じて、所定の強度を保つことができるよう にするという観点から、適宜選択すればよい。
[0071] また、保護層(最外層)、または上記多層フィルムの中間層より薬液容器外側面側 に設けられる層全体については、ポリオール系樹脂からなる中間層が直接水分の影 響を受けないように留意しつつ、本発明の作用効果上、ある程度の水蒸気透過性を 示すように設定することが求められる。
保護層、または上記多層フィルムの中間層より薬液容器外側面側に設けられる層 全体についての水蒸気透過度としては、例えば、温度 25°C、湿度 90%RHにおいて 、好ましく (ま、;!〜 50g/m2' 24hであり、より好ましく (ま、 3〜30g/m2 ' 24hであり、さ らに好ましくは、 3〜; 10g/m2' 24hである。水蒸気透過度は、 JIS K 7129— 199 2「プラスチックフィルム及びシートの水蒸気透過度試験方法 (機器測定法)」に規定 の A法 (感湿センサー法)に従って測定される(以下、同じ)。
[0072] 保護層(最外層)を形成するための樹脂の具体例としては、例えば、ポリオレフイン 系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。ポリオレフイン系樹
脂としては、上記したのと同じものが挙げられる。また、ポリアミド系樹脂としては、例 えば、ナイロン 6、ナイロン 6, 6、ナイロン 6, 10のナイロン類などが挙げられる 。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ フタレートなどが挙げられる。
[0073] 薬液容器を形成するプラスチックが、多層フィルムである場合にお!/、て、その具体 的態様としては、例えば、上述のとおり、薬液容器の内側面側をなす最内層にポリオ レフイン系樹脂からなるシール層を有しており、薬液容器の外側面側をなす最外層 に保護層を有しており、かつ、シール層と保護層との間にポリオール系樹脂からなる 中間層を有している、少なくとも 3層以上の積層構造を有する多層フィルムが挙げら れる。
[0074] また、多層フィルムは、中間層よりも薬液容器の内側面側(シール層側)に、さらに、 低吸水性樹脂からなる低吸水性層を有していることが好ましい。この場合、ポリオ一 ル系樹脂からなる中間層が、薬液中の水分による影響を受けに《することができる。 低吸水性樹脂としては、例えば、ポリ環状ォレフィンなどが挙げられる。 ポリ環状ォレフィンは、吸水率が極めて低ぐ具体的には、 0. 01 %以下であること から、ポリオール系樹脂からなる中間層の水分による影響を少なくするという目的を 達成する上で、好適である。吸水率は、 JIS K 7209— 2000「プラスチック 吸水 率の求め方」に規定の B法 (沸騰水に浸漬後の吸水率)に従って測定される(以下、 同じ)。
[0075] ポリ環状ォレフィンの具体例としては、例えば、エチレンとジシクロペンタジェン系化 合物との共重合体(またはその水素添加物)、エチレンとノルボルネン系化合物との 共重合体(またはその水素添加物)、シクロペンタジェン系化合物の開環重合体ほ たはその水素添加物)、 2種以上のシクロペンタジェン系化合物ほたはその水素添 加物)からなる開環共重合体などのポリ環状ォレフィンが挙げられる。なかでも好まし くは、エチレンとノルボルネン系化合物との共重合体の水素添加物、 1種以上のシク 口ペンタジェン誘導体の開環(共)重合体の水素添加物が挙げられる。また、これら ポリ環状ォレフィンは、単独で用いてもよぐ 2種以上を混合して用いてもよい。
[0076] 上記多層フィルムには、さらに、例えば、薬液容器に柔軟性、透明性、耐衝撃性を
付与する目的で、エラストマ一を含むエラストマ一層を設けることができる。
エラストマ一としては、例えば、ポリエチレン系エラストマ一、ポリプロピレン系エラス トマ一などのポリオレフイン系エラストマ一や、例えば、スチレン エチレン/ブチレン スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン ブタジエン スチレンブロック共重 合体(SBS)、スチレン イソプレン スチレンブロック共重合体(SIS)、マレイン酸な どで変性された変性 SEBS、スチレン エチレン/プロピレン スチレンブロック共重 合体(SEPS)、スチレン エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEB)、スチレン エチレン/プロピレンブロック共重合体(SEP)などのスチレン系エラストマ一などが 挙げられ、なかでも、好ましくは、ポリエチレン系エラストマ一が挙げられる。
[0077] 薬液容器を形成するプラスチックは、これに限定されな!/、が、例えば、 Tダイ法ゃィ ンフレーシヨン法などの押出成形法によってフィルム状に成形される。こうして得られ たフィルムを用いて薬液容器を形成することにより、可撓性および柔軟性に優れた薬 液容器を形成することができる。
薬液容器を形成する多層フィルムの好適態様としては、例えば、下記の(Ι)〜(ΠΙ) に示す態様が挙げられる。
[0078] (I) 薬液容器の内側面(最内層)側 Iから外側面(最外層)側 Οにかけて、順に、ポ リエチレンとポリプロピレンとの混合樹脂からなるシール層 1と、ポリエチレンからなる 層 2と、ポリ環状ォレフィンからなる低吸水性層 3と、エチレン ビュルアルコール共 重合体からなる中間層 4と、ポリエチレンからなる保護層 5とを備え、さらに、低吸水性 層 3と中間層 4との間、および、中間層 4と保護層 5との間に、それぞれ、接着性樹脂 からなる 2層の接着層 6, 7を備える、 7層構造の多層フィルム(図 1参照)。
[0079] (II) 薬液容器の内側面(最内層)側 Iから外側面(最外層)側 Οにかけて、順に、ポ リエチレンとポリプロピレンとの混合樹脂からなるシール層 1と、ポリエチレンからなる 層 2と、エチレン ビュルアルコール共重合体からなる中間層 4と、ポリエチレンから なる保護層 5とを備え、さらに、ポリエチレンからなる層 2と中間層 4との間、および、中 間層 4と保護層 5との間に、それぞれ、接着性樹脂からなる 2層の接着層 8, 7を備え る、 6層構造の多層フィルム(図 2参照)。
[0080] (III) 薬液容器の内側面(最内層)側 Iから外側面(最外層)側 Οにかけて、順に、
ポリエチレンからなる層 2と、ポリ環状ォレフィンからなる低吸水性層 3と、エチレン ビュルアルコール共重合体からなる中間層 4と、ポリエチレンからなる保護層 5とを備 える、 4層構造の多層フィルム(図 3参照)。
上記 (I)および (II)に示す多層フィルムでは、低吸水性層 3と中間層 4との接着や、 中間層 4と保護層 5との接着が、各層間に 2層の接着層 6, 7を介在させることにより、 達成されている。また、各層間の接着は、接着層を介在させずに、単に、各上記層間 に接着剤を塗布する方法によっても達成できる。
[0081] 上記 (III)に示す多層フィルムでは、低吸水性層 3と中間層 4との接着や、中間層 4 と保護層 5との接着が、各層間に接着剤を塗布することにより、達成されている。また 、各層間の接着は、上記 (I)および (Π)に示す多層フィルムの場合と同様に、接着性 樹脂からなる接着層を介在させても達成できる。なお、上記 (III)に示す多層フィルム では、ポリエチレンからなる層 2が最内層であって、シール層となっている。
[0082] 接着層を形成する接着性樹脂としては、例えば、接着性ポリオレフインが挙げられ、 具体的には、例えば、三井化学 (株)製の接着性ポリオレフイン(商品名「アドマー(登 録商標)」シリーズ)などが挙げられる。
接着剤としては、例えば、ポリウレタン樹脂などが挙げられ、具体的には、例えば、 三井化学ポリウレタン (株)製のポリウレタン樹脂(商品名「タケラック (登録商標)」シリ ーズ、商品名「タケネート (登録商標)」シリーズ)などが挙げられる。
[0083] 上記多層フィルムにおいて、各層の厚みは特に限定されず、薬液容器全体として、 蒸気滅菌処理後または熱水滅菌処理後の酸素透過度や、定常状態での酸素透過 度力 上述の範囲を満たすように設定すればよい。
なお、これに限定されないが、例えば、薬液容器を、後述するバッグタイプの容器と して形成する場合には、中間層の厚みを 3〜20 111とし、多層フィルム全体の厚さを 180〜300 111程度とすることカ 子ましぃ。
[0084] 薬液容器の態様としては、例えば、可撓性および柔軟性に優れた扁平な態様、す なわち、いわゆるバッグタイプのものや、例えば、可撓性を有しつつ、容器自体がそ の形状を維持し得る強度を備える態様、すなわち、いわゆるボトルタイプのものなど 力 S挙げられる。なかでも好ましくは、バッグタイプの薬液容器が挙げられる。
これら薬液容器の形成方法は、特に限定されず、各種の形成方法を、薬液容器の 形態に応じて適宜選択すればよ!/、。
[0085] ノ^グタイプの薬液容器は、例えば、薬液の収容部を 1つのみ備える薬液容器であ つてもよく、弱シール部で区画された複数の収容部を有する、いわゆる複室容器であ つてもよい。
薬液容器の好適態様としては、例えば、図 4および図 5に示すバッグタイプの薬液 容器が挙げられる。
[0086] 図 4を参照して、バッグタイプの薬液容器 10は、表面側フィルムと裏面側フィルムと の 2枚のプラスチックフィルムを互いに重ね合わせ、各上記プラスチックフィルムの周 縁部分を互いに熱シールすることにより形成された周縁強シール部 11と、この周縁 強シール部 11により区画される、液剤を収容するための収容部 12と、を備えている。 また、周縁強シール部 11の一部には、表面側フィルムと裏面側フィルムとの間に狭 持され、収容部 12と、薬液容器 10の外部とを連通する筒状部材 13が設けられており 、この筒状部材 13は、例えば、中空針を刺通可能な弾性体によって密栓されている
[0087] 図 5を参照して、ノ ッグタイプの薬液容器における複室容器 15は、表面側フィルム と裏面側フィルムとの 2枚のプラスチックフィルムを互いに重ね合わせ、各上記プラス チックフィルムの周縁部分を互いに強く熱シールすることにより形成された周縁強シ ール部 16と、この周縁強シール部 16により区画される、液剤を収容するための収容 部と、を備えている。周縁強シール部 16のうち、 2枚の上記プラスチックフィルムの長 手方向と直交する幅方向で互いに間隔を隔てて伸びる一対の側方強シール部 17間 には、上記幅方向に伸びる弱シール部 18が架設されており、上記収容部は、上記 弱シール部 18により、正面視下方に配置される第 1収容部 19と、正面視上方に配置 される第 2収容部 20とに区画されている。
[0088] また、第 2収容部 20の内部には、内部に液剤を収容するための正面視略矩形状の 小袋 21が設けられている。小袋 21は、表面側フィルムと裏面側フィルムとの 2枚のプ ラスチックフィルムを互いに重ね合わせ、各上記プラスチックフィルムの周縁部分を弱 く熱シールすることにより形成された周縁弱シール部 22と、この周縁弱シール部 22
によって区画される液剤の収容部とを備えており、この収容部は、周縁弱シール部 2 2と、周縁弱シール部 22の一対の長辺 23間に架設される弱シール部 24とにより、 2 つの小収容部 25, 26に区画されている。また、この小袋 21は、小袋 21の表面側フィ ルムと裏面側フィルムとの両側のフィルム力、複室容器 15を形成する表面側フィルム と裏面側フィルムとに、それぞれ固着されている。
[0089] 第 1収容部 19と第 2収容部 20との間に設けられる弱シール部 18は、 2つの収容部
19, 20のいずれかを押圧し、上記収容部 19, 20に収容されている液剤で液圧を負 荷することにより開封される。また、弱シール部 18の開封と、それに伴う 2つの収容部 19, 20間の開通に連動して、小袋 21の周縁弱シール部 22が開封される。これにより 、第 1収容部 19と、第 2収容部 20と、小袋 21の 2つの小収容部 25, 26とにそれぞれ 分別して収容されて!/、る液剤が、互いに混合される。
[0090] 図 4に示す薬液容器を形成する 2枚のプラスチックフィルムや、図 5に示す複室容 器 15を形成する 2枚のプラスチックフィルムには、上記の薬液容器を形成するための プラスチックからなるフィルムや多層フィルムが用いられる。
また、図 5に示す複室容器 15の小袋 21を形成する 2枚のプラスチックフィルムとし ては、これに限定されないが、好ましくは、酸素易透過性プラスチックが挙げられる。 小袋 21を酸素易透過性プラスチックで形成することにより、小袋 21と第 2収容部 20と の間で酸素が容易に透過するため、小袋 21内に収容される液剤の溶存酸素を、 2つ の収容部 19, 20に収容される液剤と同様にして低減させることができる。
[0091] 酸素易透過性プラスチックとしては、安全性が確立し、医療用容器の素材として汎 用されているポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフイン、ポリ環状ォレフィンな どが挙げられる。
なお、図 5に示す複室容器 15のような、一の収容部内に配置された小袋を備える 薬液容器自体は周知であり、具体例としては、例えば、国際公開 WO2003/0925 74号パンフレットに記載の医療用複室容器や、特表 2005— 523772号に記載の医 療用複室容器などが挙げられる。
[0092] 図 5に示す複室容器 15のように、一の収容部内に配置された小袋を備える薬液容 器においては、これに限定されないが、例えば、小袋 21内に、脂溶性ビタミン含有液
などを収容する態様が好適である。また、小袋が 2つの小収容部に区画されている場 合には、これに限定されないが、例えば、一方の小収容部 25に、脂溶性ビタミン含有 液を収容し、他方の収容部 26に、微量金属元素含有液を収容する態様が好適であ
[0093] 上記溶存酸素低減液剤は、上記のとおり、上記薬液容器に収容、密封された後、 蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理が施されたものであり、さらに、蒸気滅菌処理ま たは熱水滅菌処理後において、上記プラスチックの酸素透過度が定常状態に達した ときの溶存酸素濃度が、 2ppm以下であることを特徴として!/、る。
蒸気滅菌処理の具体的方法としては、例えば、高圧蒸気滅菌 (オートクレープ)法 などが挙げられる。また、熱水滅菌処理の具体的方法としては、例えば、熱水浸漬滅 菌法、熱水シャワー滅菌法などが挙げられる。
[0094] 液剤を収容する薬液容器 (薬液収容体)に対し、蒸気滅菌処理または熱水滅菌処 理を施すことで、薬液容器が一定時間加熱されることから、薬液容器を形成するブラ スチックの酸素透過度を上昇させることができる。具体的には、薬液容器を形成する プラスチックの蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理後 12時間以内における温度 25°C 、湿度 60%RHでの酸素透過度を、 200cm3/m2 ' 24h ' atm以上に設定することが できる。
[0095] 薬液容器に対する蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理の処理条件は、例えば、薬 液容器に収容される液剤の種類、量、薬液容器を形成するプラスチックの材質、厚 みなどに合わせて、適宜設定すればよい。
それゆえ、特に限定されないが、例えば、蒸気滅菌処理の処理条件は、上記の条 件に設定すればよぐ好ましくは、処理温度を 100〜121°C、処理時間を 10〜60分 間、処理時の気圧を 2000〜3500hPaの加圧下に設定すればよい。また、熱水滅菌 処理の処理条件は、上記の条件に設定すればよい。熱水滅菌処理において、熱水 は、薬液容器に対し、噴射または噴霧される。
[0096] 蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理は、好ましくは、不活性ガス雰囲気下で行われ る。この場合、蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理中に、薬液容器のヘッドスペース を、不活性ガスによってある程度置換させることができ、薬液容器内の酸素量、すな
わち、蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理にヘッドスペースから除去すべき酸素量を 予め低減させることができる。
[0097] 不活性ガスは、特に限定されな!/、が、例えば、窒素、アルゴンなどの、薬剤に対し て酸化分解、その他の変質を生じさせにくい (好ましくは、生じさせない)気体であるこ とが好ましい。
液剤を収容する薬液容器 (薬液収容体)に対し、上記の蒸気滅菌処理または熱水 滅菌処理を施した後には、薬液容器を形成するプラスチックの酸素透過度が定常状 態に達するまでの間、液剤を収容する薬液容器を、脱酸素手段を有する環境下で保 存する。これにより、薬液容器を形成するプラスチックの酸素透過度が定常状態に達 したときに、液剤の溶存酸素濃度を、 2ppm以下となるように調整すること力 Sできる。
[0098] 液剤の溶存酸素濃度は、蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理後、プラスチックの酸 素透過度が定常状態に達した後において、 2ppm以下である。
蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理を施した後、薬液容器を形成するプラスチック の酸素透過度が定常状態に達するまでには、通常、 7日間、好ましくは、 10日間、よ り好ましくは、 14日間の期間を要する。それゆえ、薬液容器に収容された液剤の溶存 酸素量や、薬液容器のヘッドスペースにおける酸素含有量を低減させるには、蒸気 滅菌処理または熱水滅菌処理後、上記の期間に亘つて、脱酸素手段を有する環境 下で薬液容器を保存すればょレ、。
[0099] 脱酸素手段としては、酸素と反応し、または、酸素を吸着し、密閉環境下での酸素 含有量を低下させるための手段であって、具体的には、例えば、脱酸素剤が挙げら れる。
脱酸素剤としては、公知の各種の脱酸素剤が挙げられ、具体的には、例えば、水 酸化鉄、酸化鉄、炭化鉄などの鉄化合物を有効成分とする脱酸素剤や、低分子フエ ノールと活性炭を有効成分とする脱酸素剤が挙げられる。市販品としては、例えば、 三菱ガス化学 (株)製の商品名「エージレス (登録商標)」、 日本化薬 (株)製の商品名 「モジュラン」、 日本曹達 (株)製の「セキユール (登録商標)」、王子化工 (株)製の「タ モッ (登録商標)」、東亜合成化学工業 (株)製の商品名「バイタロン」、(株)ファインテ ック製の商品名「サンソカット」、東洋製罐 (株)製の商品名「ォキシガード」などが挙げ
られる。
[0100] 脱酸素手段による液剤の溶存酸素の低減処理は、好ましくは、酸素バリア製を有す る外装体による密閉環境下で行われる。
酸素ノ リア製を有する外装体としては、アルミラミネートフィルムなどが挙げられる。 本発明の溶存酸素低減液剤の製造方法は、
蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理後 12時間以内における温度 25°C、湿度 60% RHでの酸素透過度が 200cm3/m2.24h . atm以上であり、かつ酸素透過度が定 常状態であるときの温度 25°C、湿度 60%RHでの酸素透過度が 100cm3/m2 ' 24h •atm以下であるプラスチックからなる薬液容器に、液剤を収容、密封する液剤収容 工程と、
液剤収容工程の後、前記薬液容器に対し、蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理を 施す滅菌処理工程と、
前記滅菌処理工程の後、前記薬液容器を、前記プラスチックの酸素透過度が定常 状態に達するまで脱酸素手段を備える環境下で保存し、前記液剤の溶存酸素濃度 を 2ppm以下に低減する溶存酸素低減工程と、を有している。
[0101] 上記薬液容器は、本発明の溶存酸素低減液剤を収容、密封するための薬液容器 と同じである。具体的に、例えば、薬液容器の態様、製造方法など、例えば、薬液容 器を形成するプラスチックや多層フィルムについての物性(とりわけ、蒸気滅菌処理ま たは熱水滅菌処理後の酸素透過度、定常状態での酸素透過度)、形成材料、層構 成などは、いずれも上記と同じである。この薬液容器は、蒸気滅菌処理または熱水滅 菌処理後の所定の時間において、酸素透過度が極めて高くなることから、薬液容器 の外部から薬液の溶存酸素や薬液容器内に残存する酸素を低減させることができる 。さらに、定常状態において、酸素透過度が極めて低くなることから、外部からの酸素 の侵入を高度に抑制することができ、例えば、易酸化性薬剤を、経時的に安定して 収容、保存すること力できる。
[0102] 上記薬液容器に収容、密封される液剤としては、各種の液剤が挙げられる。なかで も、上記液剤は、易酸化性薬剤を含有していることが好適である。また、薬液容器に 収容、密封される液剤には、上記溶存酸素低減液剤において薬液容器に収容、密
封される液剤と同じものが挙げられる。具体的に、例えば、易酸化性薬剤の具体例( アミノ酸、ビタミン類など)、例えば、アミノ酸含有液、ビタミン含有糖液、脂溶性ビタミ ン含有液などの配合成分、組成例などは、いずれも上記と同じである。
[0103] 液剤収容工程での薬液容器への液剤の充填方法としては、特に限定されない。液 剤は、常法に従って薬液容器に充填すればょレ、。
滅菌処理工程は、液剤収容工程後において、薬液容器に対し、蒸気滅菌処理また は熱水滅菌処理を施す工程である。蒸気滅菌処理の具体的方法としては、例えば、 高圧蒸気滅菌 (オートクレープ)法などが挙げられる。また、熱水滅菌処理の具体的 方法としては、例えば、熱水浸漬滅菌法、熱水シャワー滅菌法などが挙げられる。
[0104] 薬液容器に対する蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理の処理条件や、これら滅菌 処理に用いられる不活性ガスなどは、上記と同じである。
溶存酸素低減工程は、滅菌処理工程において、薬液容器を、プラスチックの酸素 透過度が定常状態に達するまで、脱酸素手段を備える密閉環境下で冷却して、前記 液剤の溶存酸素濃度を 2ppm以下に低減する工程である。この溶存酸素低減工程 において、液剤を収容する薬液容器に対し、上記の蒸気滅菌処理または熱水滅菌 処理後、薬液容器を形成するプラスチックの酸素透過度が定常状態に達するまでの 間、脱酸素手段を有する環境下で保存することにより、薬液容器を形成するプラスチ ックの酸素透過度が定常状態に達したときに、液剤の溶存酸素濃度を 2ppm以下と なるように調整することカでさる。
[0105] 蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理後における保存方法、脱酸素手段、脱酸素手 段による溶存酸素の低減処理方法などについては、上記と同じである。
上記の溶存酸素低減液剤およびその製造方法によれば、薬液容器に収容されて いる液剤の溶存酸素量や、上記薬液容器のヘッドスペースにおける酸素の含有量を 低減することができ、液剤の酸化劣化を抑制できる。それゆえ、上記の溶存酸素低減 液剤およびその製造方法は、例えば、アミノ酸含有液、ビタミン類含有糖液、脂溶性 ビタミン含有液、脂肪乳剤などの易酸化性薬剤を長期に亘つて安定させるための液 剤、およびその製造方法として好適である。
[0106] 本発明の溶存酸素量が低減された薬液収容体において、薬液を収容するための
薬液容器は、蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理後 12時間以内における温度 25°C 、湿度 60%RHでの酸素透過度が 200cm3/m2 ' 24h ' atm以上であり、かつ、酸素 透過度が定常状態であるときの温度 25°C、湿度 60%RHでの酸素透過度が 100cm Vm2 · 24h' atm以下であるプラスチックからなって!/、る。
[0107] 上記薬液容器は、本発明の溶存酸素低減液剤を収容、密封するための薬液容器 と同じである。具体的に、例えば、薬液容器の態様、製造方法など、例えば、薬液容 器を形成するプラスチックや多層フィルムについての物性(とりわけ、蒸気滅菌処理ま たは熱水滅菌処理後の酸素透過度、定常状態での酸素透過度)、形成材料、層構 成などは、いずれも上記と同じである。この薬液容器は、蒸気滅菌処理または熱水滅 菌処理後の所定の時間において、酸素透過度が極めて高くなることから、薬液容器 の外部から薬液の溶存酸素や薬液容器内に残存する酸素を低減させることができる 。さらに、定常状態において、酸素透過度が極めて低くなることから、外部からの酸素 の侵入を高度に抑制することができ、例えば、易酸化性薬剤を、経時的に安定して 収容、保存すること力できる。
[0108] 上記溶存酸素量が低減された薬液収容体にお!/、て、薬液容器に収容、密封される 薬液としては、各種の薬液が挙げられる。なかでも、上記薬液は、易酸化性薬剤を含 有していること力 S好適である。また、薬液容器に収容、密封される薬液には、上記溶 存酸素低減液剤にぉレ、て薬液容器に収容、密封される液剤と同じものが挙げられる 。具体的に、例えば、易酸化性薬剤の具体例(アミノ酸、ビタミン類など)、例えば、ァ ミノ酸含有液、ビタミン含有糖液、脂溶性ビタミン含有液などの配合成分、組成例など は、いずれも上記と同じである。
[0109] また、上記溶存酸素量が低減された薬液収容体において、薬液容器と、この薬液 容器に収容、密封される薬液との組合せは、上述の溶存酸素低減液剤における薬 液容器と、この薬液容器に収容される液剤との組合せと同様である。
上記薬液収容体においては、必要に応じて、脂肪乳剤を配合し、または、薬液容 器内にて、易酸化性液剤とともに脂肪乳剤を収容する(例えば、互いに異なる収容部 に分別して収容する)ことができる。
[0110] 脂肪乳剤としては、公知の各種脂肪乳剤が挙げられる。また、これら脂肪乳剤は、
単独で含まれてレ、てもよく、 2種以上が混合して含まれて!/、てもよ!/、。
脂肪乳剤を形成する油脂としては、脂肪乳剤に慣用されているものが挙げられ、具 体的には、例えば、大豆油、綿実油、サフラワー油、トウモロコシ油、ヤシ油、シソ油、 エゴマ油などの植物油、例えば、タラ肝油などの魚油などが挙げられる。これら油脂 は、単独で用いてもよぐ 2種以上を混合して用いてもよい。また、脂肪乳剤を形成す る乳化剤としては、脂肪乳剤などの医薬用製剤に慣用されているものが挙げられ、具 体的には、例えば、卵黄リン脂質、大豆リン脂質などが挙げられる。これら乳化剤は、 単独で用いてもよく、 2種以上を混合して用いてもょレ、。
[0111] 溶存酸素量が低減された薬液収容体の好適態様としては、薬液容器が、開通可能 な仕切りで区画された複数の収容部を備えており、複数の収容部のうち一の収容部 に収容されている薬液が、アミノ酸含有液であり、かつ、上記一の収容部以外のいず れかの収容部に収容されている薬液力 糖液である態様が挙げられる。
開通可能な仕切りで区画された複数の収容部を備える薬液容器としては、上述し たバッグタイプの薬液容器などが挙げられる。
[0112] 複数の収容部のうち一の収容部に収容されるアミノ酸含有液としては、上記したの と同様のアミノ酸含有液が挙げられ、一の収容部以外のいずれかの収容部に収容さ れる糖液としては、上記のビタミン類含有糖液や、上記のビタミン類含有糖液からビタ ミン類を除外したものなどが挙げられる。
また、本発明の溶存酸素量が低減された薬液収容体の好適態様としては、上記薬 液容器が、開通可能な仕切りで区画された複数の収容部を備えており、複数の上記 収容部のうち一の収容部力 他のいずれかの収容部の内部に備えられた小袋である 態様や、さらに、上記小袋が、 2つの小収容部に区画されており、 2つの上記小収容 部のうち一方の小収容部に収容されている薬液が、脂溶性ビタミン含有液であり、他 方の小収容部に収容されて!/、る薬液が、微量金属元素液剤である態様が挙げられ
[0113] 複数の収容部のうち一の収容部力 他のいずれかの収容部の内部に備えられた小 袋である態様において、小袋としては、これに限定されないが、上述の小袋(図 5参 照)などが挙げられる。
小袋内に収容される脂溶性ビタミン含有液としては、上記したのと同様の脂溶性ビ タミン含有液が挙げられる。
[0114] また、小袋内に収容される微量金属元素液剤としては、例えば、例えば、鉄、マン ガン、亜鉛、銅、セレン、モリブデン、コバルトおよびクロムからなる群より選ばれる少 なくとも 1種の元素を含有する微量金属元素成分を含む液剤が挙げられる。
上記微量金属元素成分は、例えば、ヒトに対して高カロリー輸液療法などを施す際 に生じ得る各種欠乏症状を改善するための金属元素である。これらの微量金属元素 は、対象となる患者の状態に対応して 1種のみを使用してもよぐ 2種以上を使用して もよい。微量金属元素の充填量は、輸液分野における各種の文献に記載された、 1 日当たりの各微量金属元素の投与量(1日必要量)として一般的な範囲内であれば、 特に限定されない。銅、マンガン、亜鉛は水に溶解させ、鉄はコロイドとして充填させ るのが好ましい。但し、マンガン、亜鉛は、アミノ酸液または糖液と混合して用いること もできる。
[0115] なお、鉄、銅などの微量金属元素は、それ自体が酸化しやすい成分ではないもの の、他の成分を酸化しやすくする触媒としての作用を示す場合がある。すなわち、微 量金属元素含有液と、アミノ酸含有液、ビタミン含有液などとを混合して保存すると、 アミノ酸やビタミンの酸化、変質を促進するおそれがある。このため、微量金属元素 含有液を、アミノ酸含有液、ビタミン含有液などと同時に投与する場合には、液剤の 安定性の観点より、例えば、 2以上の収容部を備える複室容器において、微量金属 元素含有液と、アミノ酸含有液、ビタミン含有液などとを分離して収容することが好ま しい。
[0116] 微量金属元素含有溶液は、通常、 pH調整剤(例えば、塩酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸 、クェン酸などの酸類や水酸化ナトリウムなどのアルカリ)を適宜用いて、好ましくは p H約 4〜8、より好ましくは約 4. 5〜6に調整される。
さらに、本発明の溶存酸素量が低減された薬液収容体の好適態様としては、 3以上 の収容部を備える複室容器に、アミノ酸含有液と、ビタミン含有糖液と、脂溶性ビタミ ン含有液とを、それぞれ分別して収容する態様が挙げられる。このような態様におい て、アミノ酸、糖類、ビタミン類および電解質の含有量は、溶存酸素低減液剤の好適
様として ί列示したものと同じである。
[0117] 上記溶存酸素量が低減された薬液収容体にお!/、て、薬液は、前記薬液容器への 収容、密封後に、蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理が施されており、かつ、蒸気滅 菌処理または熱水滅菌処理後、前記プラスチックの酸素透過度が定常状態に達した ときに、溶存酸素濃度が 2ppm以下である。
薬液が収容、密封されている薬液容器 (薬液収容体)に対し、蒸気滅菌処理または 熱水滅菌処理を施すことで、薬液容器が一定時間加熱されることから、薬液容器を 形成するプラスチックの酸素透過度を上昇させることができる。具体的には、薬液容 器を形成するプラスチックの蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理後 12時間以内にお ける温度 25°C、湿度 60%RHでの酸素透過度を、 200cm3/m2 ' 24h ' atm以上に 設定すること力でさる。
[0118] 上記薬液容器に対する蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理の具体的方法、処理条 件や、これら滅菌処理に用いられる不活性ガスなどは、上記と同じである。さらに、上 記薬液容器に対する蒸気滅菌処理または熱水滅菌処理後の保存方法、脱酸素手 段、脱酸素手段による溶存酸素の低減処理方法などについては、上記したとおりで ある。
上記の溶存酸素量が低減された薬液収容体によれば、薬液容器に収容された液 剤の溶存酸素量や、薬液容器のヘッドスペースにおける酸素の含有量を低減するこ とができ、これにより、薬液容器に収容された液剤の酸化劣化を抑制することができる 。それゆえ、上記の溶存酸素量が低減された薬液収容体は、例えば、アミノ酸含有 液、ビタミン類含有糖液、脂溶性ビタミン含有液、脂肪乳剤などの酸化しやすい薬剤 、およびこれらの組合せを収容し、保存するための薬液収容体として好適である。 実施例
[0119] 次に、実施例および比較例を挙げて、本発明を説明する。
液剤の調製
製剤例 1 (アミノ酸含有液の調製)
下記のアミノ酸と、下記の電解質と、下記の抗酸化剤とを、注射用蒸留水に溶解し 、コハク酸で pHを 6. 8に調整後、窒素置換 (パブリング)した。さらに、下記の水溶性
ビタミンを配合し、無菌ろ過して、アミノ酸含有液を調製した。
[0120] 上記アミノ酸含有液に含まれる成分は、下記のとおりである。なお、カツコ内のィ直は 、アミノ酸含有液 300mL中での含有量を示している。
アミノ酸: L ロイシン(4· 2g)、 L—イソロイシン(2· 40g)、 L—バリン(2· 40g)、酢 酸 L リジン(4. 44g ; L リジンとして、 3· 15g)、 L—トレオニン(1. 71g)、L—トリプ トフアン(0. 60g)、: L メチォニン(1. 17g)、 N—ァセチル一 L システィン(0· 40g ; L システィンとして、 0· 30g)、 L—フエ二ルァラニン(2. 10g)、 L—チロジン(0. 1 5g)、 L—アルギニン(3. 15g)、 L—ヒスチジン(1. 50g)、 L—ァラニン(2· 40g)、 L プロリン(1. 50g)、 Lーセリン(0. 90g)、 L—グリシン(1. 77g)、 Lーァスパラギン 酸(0· 30g)、および L グルタミン酸(0· 30g)。
電解質:塩化カルシウム(0. 37g ; Ca2+として、 5. 03mEq)、硫酸マグネシウム(0. 6 2g ; Mg2+として、 5. 03mEq)、および酢酸カリウム(1 · 08g ;K+として、 11. OmEq)
〇
水溶性ビタミン:ニコチン酸アミド(20mg)、および葉酸(0· 2mg)。
抗酸化剤:亜硫酸水素ナトリウム(15mg)。
[0121] 製剤例 2 (糖液の調製)
下記の糖と、下記の電解質とを、注射用蒸留水に溶解し、酢酸で pHを 4. 0に調整 後、窒素置換 (窒素パブリング)した。さらに、下記の水溶性ビタミンを配合し、無菌ろ 過して、糖液を調製した。
上記糖液に含まれる成分は、下記のとおりである。なお、カツコ内の値は、糖液 696 mL中での含有量を示している。
糖:ブドウ糖(175g)。
電解質:塩化ナトリウム(2· 05g ; Na+として、 35. OmEq)、乳酸ナトリウム(1. 65g ; Na+として、 14. 7mEq)、塩ィ匕カリウム(0· 746g ;K+として、 10. OmEq/L)、ヨウ ィ匕カリウム(0. 083g ;K+として、 0. 50mEq)、およびリン酸二水素カリウム(0. 821g ; K+として、 6. 03mEq)。
水溶性ビタミン:塩酸チアミン(1. 95mg)、塩酸ピリドキシン(2· 45mg)、シァノコバ ラミン(2. 5 u g) ^およびパンテノール(7· Omg)。
[0122] 製剤例 3 (ビタミン含有液の調製)
下記の脂溶性ビタミンと、ポリソルベート 80およびポリソルベート 20 (いずれも、ソル ビタン脂肪酸エステル、非イオン性界面活性剤)とを配合し、これを注射用蒸留水に 溶解後、さらに、ァスコルビン酸およびビォチンを配合し、クェン酸および水酸化ナト リウムで pHを 6〜6. 5に調整した。次に、リン酸リボフラビンナトリウムを配合し、無菌 ろ過して、ビタミン含有液を得た。
[0123] 上記ビタミン含有液に含まれる成分は、下記のとおりである。なお、カツコ内のィ直は 、ビタミン含有液 4mL中での含有量を示している。
脂溶性ビタミン:ビタミン A油(1650IU (ビタミン A単位))、コレカルシフエロール(0. 0025mg)、酢酸トコフェローノレ(5. Omg)、およびフイトナジオン(1 · Omg)。
水溶性ビタミン:リン酸リボフラビンナトリウム(2· 3mg)、ァスコルビン酸(50mg)、ビ ォチン(0· 030mg)。
非イオン界面活性剤:ポリソノレべート 80 (20mg)、ポリソノレべート 20 (4mg)。
[0124] 製剤例 4 (微量金属元素含有液の調製)
コロイド化剤(コンドロイチン硫酸ナトリウム)と、塩化鉄 (III)六水和物と、水酸化ナト リウムとを、注射用蒸留水に配合し、鉄コロイド溶液を調製した。さらに、この鉄コロイ ド溶液に、所定量の硫酸銅五水和物、塩化マンガン、および硫酸亜鉛を、それぞれ
、注射用蒸留水に溶解した状態で配合し、水酸化ナトリウムで pHを 5. 5〜6に調整 した。これを常法により濾過して、微量金属元素含有液を調製した。
[0125] 上記微量金属元素含有液に含まれる成分と、微量金属元素含有液 4mL中での含 有量とは、下記のとおりである。
塩化鉄(III)六水和物: 4. 730mg
塩化マンガン四水和物: 0. 09895mg
硫酸亜鉛七水和物:8. 625mg
硫酸銅五水和物: 0. 624mg
薬液容器の形成
薬液容器形成用のプラスチックを構成する各成分は、次のとおりである。
PE— 1 :エチレン · 1ーブテン共重合体、密度 0. 940g/cm3、水蒸気透過度 7g/m
•24h (25°C、 90%RH、 20 m)、商品名「ウルトゼッタス(登録商標) 4020B」、 (株 )プライムポリマー製。
PE— 2 :エチレン · 1ーブテン共重合体(密度 0. 920g/cm3、商品名「ウルトゼッタス (登録商標)2010」、(株)プライムポリマー製) 45重量%と、エチレン · 1—ブテン共 重合体 (密度 0. 885g/cm3、商品名「タフマー(登録商標) Α0585Χ」、(株)プライ ムポリマー製) 50重量%と、ポリエチレンホモポリマー(密度 0. 965g/cm3、商品名 「ノ、ィゼッタス(登録商標) 65150B」、(株)プライムポリマー製) 5重量0 /0との混合物 EVOH—1:エチレンビュルアルコール、エチレン含有量 27モル%、商品名「エバー ル (登録商標) L101」、(株)クラレ製。
EVOH— 2 :エチレンビュルアルコール、エチレン含有量 44モル%、商品名「エバー ル (登録商標) E105」、(株)クラレ製。
COP :ノルボルネン系開環重合体水素添加物、吸水率 0. 01 %未満、商品名「ゼォ ノア(登録商標) 1020R」、 日本ゼオン (株)製。
PP :ポリプロピレン、密度 0· 900g/cm3、商品名「B355」、(株)プライムポリマー製
〇
NY :ナイロン— 6、商品名「アミラン (登録商標) CM1017」、東レ (株)製。
?£ー??:上記?£ (1) 85重量%と、ポリプロピレンホモポリマー(密度 0· 910g/cm3 、商品名「J103WA」、(株)プライムポリマー製) 15重量%との混合物
adherent PE:不飽和カルボン酸変性ポリエチレン、密度 0. 905g/cm3、水蒸気 透過度 10g/m2' 24h (25°C、 90%RH、 20 111)、(株)プライムポリマー製の接着 性ポリオレフイン、商品名「アドマー(登録商標)」。
PBT :ポリブチレンテレフタレート、水蒸気透過度 23g/m2' 24h (25°C、 90%RH、 ΙΟ ΐη)、三菱エンジニアプラスチックス (株)製。
実施例 1
(1) 小袋の作製
COPからなる中間層(厚さ 10 m)と、上記中間層の厚み方向の一方側表面に積 層される、 PE—1からなる内側層(厚さ 20 111)と、上記一方側表面とは反対側の他 方側表面に積層される、 PE— PPからなる外側層(厚さ 20 m)とを備える、総厚み 5
Ο ΐηのプラスチックフィルムを、共押出成形により作製した。得られた 3層構造のブラ スチックフィルムは、略矩形状に切り取った。
[0127] 次いで、図 5を参照して、略矩形状の上記 3層構造のプラスチックフィルム 2枚を、 互いの内側層が向かい合うようにして重ね合わせ、その周縁を熱シールすることによ り、周縁弱シール部 22を形成し、扁平な可撓性の小袋 21を得た。この小袋の周縁弱 シール部 22のうち、一対の長辺 23の長手方向中央部には、一対の長辺 23間に架 設され、一対の短辺と並行して伸びる弱シール部 24を形成し、小袋 21内を、 2つの 小収容部 25, 26に区画した。
[0128] なお、小袋 21の周縁弱シール部 22の一対の長辺 23には、各小収容部 25, 26と それぞれ連通する未シール部を 1箇所ずつ残存させ、その未シール部を、各小収容 部 25, 26内への液剤の充填口とした。
次に、一方側の小収容部 25に、一方側の小収容部 25と連なる充填口から、上記 製剤例 3で調製されたビタミン含有液 4mLを充填し、窒素雰囲気下で上記充填口を 熱シールした。さらに、他方側の小収容部 26に、他方側の小収容部 26と連なる充填 口から、上記製剤例 4で調製された微量金属元素含有液 4mLを充填し、窒素雰囲 気下で上記充填口を熱シールした。
[0129] (2) 薬液容器および薬液収容体の作製
下記表 1中のサンプル 1に示す層構成を有する 7層構造のプラスチックフィルム(図 1参照)を、共押出成形により作製した。
次に、図 5を参照して、上記 7層構造のプラスチックフィルム 2枚を、それぞれ略矩 形状に切り取り、各プラスチックフィルムの内側層が互いに向かい合うようにして重ね 合わせ、その周縁を熱シールして、周縁強シール部 16を形成し、さらに、周縁強シ ール部 16のうち、プラスチックフィルムの長手方向に伸びる一対の側方強シール部 1 7の長手方向中央部に、一対の側方強シール部 17間に架設される弱シール部 18を 形成し、周縁強シール部 16で区画される収容部を、第 1収容部 19と第 2収容部 20と に区画した。
[0130] なお、周縁強シール部 16の形成前に、第 2収容部 20の形成領域に上記(1)で得 られた小袋 21を揷入し、小袋 21の一方の長辺 23近傍の外側表面と、第 2収容部 20
の弱シール部 18近傍の内側表面とを、熱シールにより固定した。
周縁強シール部 16には、液剤排出'注入用の筒状部材 13を、それぞれ第 1収容 部 19と第 2収容部 20とに連なるように、 1つずつ配置し、第 1収容部 19と第 2収容部 20とのそれぞれと連なるように、 1箇所ずつ未シール部を残存させ、その未シール部 を、第 1収容部 19および第 2収容部 20内への液剤の充填口とした。
[0131] 次に、窒素雰囲気下で、第 1収容部 19に、上記製剤例 1で調製されたアミノ酸含有 液 300mLを充填し、第 2収容部 20に、上記製剤例 2で調整された糖液 696mLを充 填した後、上記未シール部を熱シールして、全量 1004mLの薬液収容体を得た。な お、ヘッドスペースの容量は約 30mLとし、その酸素濃度が 10%となるように窒素置 換 (約 50%)した。
[0132] (3) 蒸気滅菌処理および溶存酸素低減処理
上記(2)で得られた薬液収容体を滅菌釜に入れて、水蒸気飽和状態の窒素雰囲 気(温度 110°C、圧力 2700hPa)中で 30分間加熱することにより、高圧蒸気滅菌処 理を施した。上記窒素雰囲気の酸素濃度は、 2%以下となるように調節した。
次いで、蒸気滅菌処理が施された薬液収容体を、脱酸素剤(三菱ガス化学 (株)製 の商品名「エージレス (登録商標)」)とともに外層袋内に収容し、 20日間保管した。
[0133] 上記外装袋は、内側層がポリエチレン、中間層がポリビュルアルコール、外側層が 延伸ポリプロピレンからなる、 3層構造の多層フィルムからなる袋体であって、温度 25 °C、湿度 60%RHでの酸素透過度力 S、 0. lcm3/m2' 24h' atm以下であり、温度 25 °C、湿度 90%RHでの水蒸気透過度が、 0. 5g/m2' 24hであるものを用いた。また 、上記外装袋は、内部の空間の容積を約 300〜500mLとし、窒素置換により、外装 袋内の酸素濃度が 2%以下となるように調整した。なお、高圧蒸気滅菌処理後、薬液 ノ ッグを外装袋内に収容し、密封するまでの時間は、 1時間以内とした。
[0134] 実施例 2
下記表 1中のサンプル 2に示す層構成を有する 6層構造のプラスチックフィルム(図 2参照)を、共押出成形により作製した。
次いで、上記 6層構造のプラスチックフィルム 2枚を用いたこと以外は、実施例 1の( 2)と同様にして、薬液収容体を作製し、実施例 1の(3)と同様にして、蒸気滅菌処理
および溶存酸素低減処理を施した。
[0135] 実施例 3
下記表 1中のサンプル 3に示す層構成を有する 7層構造のプラスチックフィルム(図 1参照)を、共押出成形により作製した。なお、この多層フィルムの保護層 5と接着層 7 とからなる積層体についての水蒸気透過度は、 4. lg/m2' 24h (25°C、 90%RH) であった。
[0136] 次いで、上記 7層構造のプラスチックフィルム 2枚を用いたこと以外は、実施例 1の(
1)と同様にして、薬液収容体を作製し、実施例 1の(3)と同様にして、蒸気滅菌処理 および溶存酸素低減処理を施した。
実施例 4
下記表 2中のサンプル 4に示す層構成を有する 7層構造のプラスチックフィルム(図 1参照)を、共押出成形により作製した。なお、この多層フィルムの保護層 5と接着層 7 とからなる積層体についての水蒸気透過度は、 7. 0g/m2' 24h (25°C、 90%RH) であった。
[0137] 次いで、上記 7層構造のプラスチックフィルム 2枚を用いたこと以外は、実施例 1の(
1)と同様にして、薬液収容体を作製した。
また、外層袋として、中間層がエチレン'ビュルアルコール共重合体、内側層およ び外側層がポリエチレンからなる、 3層構造の多層フィルムからなる袋体であって、温 度 25°C、湿度 60%RHでの酸素透過度力 0. 5cm3/m2' 24h' atmであり、温度 2 5°C、湿度 90%RHでの酸素透過度力 3cm3/m2 ' 24h' atmであるものを用いたこ と以外は、実施例 1の(3)と同様にして、蒸気滅菌処理および溶存酸素低減処理を 施した。
[0138] 実施例 5
下記表 2中のサンプル 5に示す層構成を有する 6層構造のプラスチックフィルム(図 2参照)を、共押出成形により作製した。なお、この多層フィルムの保護層 5と接着層 7 とからなる積層体についての水蒸気透過度は、 5. lg/m2' 24h (25°C、 90%RH) であった。
[0139] 次いで、上記 6層構造のプラスチックフィルム 2枚を用いたこと以外は、実施例 1の(
1)と同様にして、薬液収容体を作製し、実施例 1の(3)と同様にして、蒸気滅菌処理 および溶存酸素低減処理を施した。
実施例 6
下記表 2中のサンプル 6に示す層構成を有する 7層構造のプラスチックフィルム(図 1参照)を、共押出成形により作製した。なお、この多層フィルムの保護層 5と接着層 7 とからなる積層体についての水蒸気透過度は、 3. 2g/m2' 24h (25°C、 90%RH) であった。
[0140] 次いで、上記 7層構造のプラスチックフィルム 2枚を用いたこと以外は、実施例 1の(
1)と同様にして、薬液収容体を作製し、実施例 1の(3)と同様にして、蒸気滅菌処理 および溶存酸素低減処理を施した。
比較例 1
下記表 3中の比較サンプル 1に示す層構成を有する 7層構造のプラスチックフィル ム(図 1参照)を、共押出成形により作製した。
[0141] 次いで、上記 7層構造のプラスチックフィルム 2枚を用いたこと以外は、実施例 1の(
1)と同様にして、薬液収容体を作製し、実施例 1の(3)と同様にして、蒸気滅菌処理 および溶存酸素低減処理を施した。
比較例 2
下記表 3中の比較サンプル 2に示す層構成を有する、接着層を有しない 5層構造の プラスチックフィルムを、共押出成形により作製した。
[0142] 次いで、上記 5層構造のプラスチックフィルム 2枚を用いたこと以外は、実施例 1の(
1)と同様にして、薬液収容体を作製し、実施例 1の(3)と同様にして、蒸気滅菌処理 および溶存酸素低減処理を施した。
溶存酸素低減処理に対する評価試験
高圧蒸気滅菌処理後の薬液収容体の表面を、約 40°Cの温風で 1分間除水させた 。さらに、温度 25°C、湿度 60%RHの環境下に放置し、薬液容器収容体中の液剤の 酸素濃度を非破壊酸素濃度計 (製品名「Fibox 3」、 PreSens社製)で測定した。酸 素濃度の測定は、まず、蒸気滅菌処理から 6時間経過後に実施し、次いで、蒸気滅 菌処理から 1日経過する毎に実施した。なお、酸素透過度の測定には、 MOCON社
製の商品名「OX—TRAN (登録商標)」を使用した。
[0143] その結果、実施例および比較例の!/、ずれの薬液収容体につ!/、ても、外装袋への 収容、密封後、約 7日を経過することにより、内容液の酸素濃度を 2ppm以下に低減 させること力 Sでさた。
上記実施例および比較例で使用した多層フィルムの酸素透過度についての測定 結果を、表;!〜 3に示す。
[0144] [表 1] 表 1
O o
で o o ¾ サ ン プル
1 2 3
多層フィルムの層構成
(外側面 0側)
PE-1
保護層 5 M一 (20 y m)
Adherent PE Adherent PE Adherent PE
接着層 7
{20 μ η\) (20 μ νη) (20 / m)
EVOH-1 EVOH-2 EVOH-1
中 間層 4
Adherent PE Adherent PE Adh Oe orent PE
接着層 6
(20 a m) (20 / m) (20 o 1=
/ m)
で 3
低吸水性層 3 ―
PE-2 PE-2 PE-2
ポリエチレン層 2
(145 / m) (130 m)
PE-PP PE-PP PE-PP
シ一ル層 1
(30m) (30m) (30m)
(内側面 I側)
水蒸気透過度
4.1 4.1 4.1
(保護層 5+接着層 7)
多層フィルムの総厚み 250 m 250 μ πι 250〃m
酸素透過度
定常状態 5 20 1
滅菌処理から
800 800 500
6時間経過後
[0145] [表 2]
表 2
サ ン プル
4 5 6 多層フィルムの層構成
(外側面 0側)
PBT-1 PE-1
保護層 5
(10/7 m) (16^m)
Adherent PE Adherent PE Adherent PE 接着層 7
(20 urn) (16μηι) (20μιη)
EVOH-1 EVOH-1 EVOH-1 中 間層 4
Adherent PE Adherent PE Adherent PE 接着層 6
(20j m) (16/im) (20 μ m) 低吸水性層 3 O o
O ¾
PE-2 PE-2 PE-2 ポリエチレン層 2
(155jum一) (124 im) (175jum)
PE-PP PE-PP PE-PP シール層 1
(30m) (24m) (40m)
(内側面 I側)
水蒸気透過度
7.0 5.1 3.2 (保護層 5+接着層 7)
多層フィルムの総厚み 250〃 m 250〃 m 一 250 jum 酸素透過度
定 常状態 5 25 O ■te 5 滅菌処理から
200 1000 500 6時間経過後
表 3
比較サ ン プル
1 2
多層フィルムの層構成
(外側面 0側)
保護層 5
Adherent PE
接着層 7
(20 μ ιη) ―
NY PE-2
中 間層 4
Adherent PE
接着層 6
(20 / m) ―
PP
低吸水性層 3
ポリエチレン層 2
w O一 o
PE-PP
シール層 1
旦一 (30 m)
(内側面 I側)
水蒸気透過度
4.1
(保護層 5+¾«層 7) ―
多層フィルムの総厚み 250〃m 260〃m
酸素透過度
定常状態 270 900
滅菌処理から
―
6時間経過後 ―
[0147] 表;!〜 3中、「多層フィルムの層構成」欄の記載は、上段が、各層を形成したプラス チックの種類を示しており、下段(カツコ内の数ィ直)が、各層の厚みを示している。また 、「水蒸気透過度」の単位は、 [g/m2 ' 24h]であり、「酸素透過度」の単位は、 [cm3 / m · 241ι ϋη]である。
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示 にすぎず、限定的に解釈してはならない。上記発明の属する技術分野の当業者によ つて明らかな本発明の変形例は、後記特許請求の範囲に含まれるものである。 産業上の利用可能性
[0148] 本発明の溶存酸素低減液剤およびその製造方法は、例えば、アミノ酸含有液、ビタ ミン類含有糖液、脂溶性ビタミン含有液、脂肪乳剤などを長期に亘つて安定して保存 するための液剤、およびその製造方法として好適である。また、本発明の溶存酸素量
が低減された薬液収容体は、例えば、アミノ酸含有液、ビタミン類含有糖液、脂溶性 ビタミン含有液、脂肪乳剤などの酸化しやすい薬剤、およびこれらの組合せを収容し 、保存する用途に好適である。