JP2002173171A - 積層フィルム製の医療溶液用袋 - Google Patents

積層フィルム製の医療溶液用袋

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JP2002173171A
JP2002173171A JP2000369523A JP2000369523A JP2002173171A JP 2002173171 A JP2002173171 A JP 2002173171A JP 2000369523 A JP2000369523 A JP 2000369523A JP 2000369523 A JP2000369523 A JP 2000369523A JP 2002173171 A JP2002173171 A JP 2002173171A
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polyamide
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adhesive layer
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Michio Nakada
道生 中田
Seiji Morimoto
精次 森本
Hiromichi Matsui
宏道 松井
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Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Original Assignee
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 医療溶液の酸素による変質を防止するととも
に、容積膨張の防止、衛生性や柔軟性の向上、透明性、
耐熱性、機械的強度に優れ、廃棄が容易な積層フィルム
製の医療溶液用袋を提供すること。 【解決手段】 積層フィルム製の医療溶液用袋であっ
て、積層フィルムが、その最内層がポリオレフィン層か
らなり、その最内層から外層に向かって順に接着層、ポ
リアミド層、接着層、ポリオレフィン層の少なくとも5
層とされた積層フィルムであって、ポリアミド層が相対
粘度が2.6〜5.0の範囲であり、かつ、末端カルボ
キシルキ基の数を[A](μeq/ポリマー1g)、末
端アミノ基の数を[B](μeq/ポリマー1g)とす
るとき、末端基量の差[C]([B]−[A])が5以
上であり、低分子量重合体の含有率が0.7重量%以下
のポリアミドによって構成されていることを特徴とす
る。 【効果】 上記課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層フィルム製の
医療溶液用袋に関する。さらに詳しくは、医療溶液の酸
素による変質を防止するとともに、容積膨張の防止、衛
生性や柔軟性の向上、透明性、耐熱性、耐ピンホ−ル性
や落袋強度などの機械的強度、ヒートシール性などに優
れ、また廃棄が容易な、医療溶液(薬液、血液等)を収
納するのに適した、積層フィルムからなる医療溶液用袋
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、医療溶液の容器としては、ガラ
ス、ポリエチレン、ポリプロピレンなどからなる硬質材
料製容器と、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロ
ピレンなどのフィルムからなる軟質材料製容器(パウ
チ、pouch)が知られている。しかしながら、前者の硬質
材料製容器は、容器から収納溶液を取り出すには、通気
針などによって空気を容器内に圧入して収納溶液を排出
しなければならず、この際、収納溶液が空気中の雑菌に
よって汚染される恐れがある。また、ポリエチレン、ポ
リプロピレンからなる硬質材料製容器は、透明性が不十
分で収納溶液の色や量が確認し難く、廃棄する際には嵩
張るという欠点がある。
【0003】後者のパウチでは、柔軟性があるため、収
納溶液を排出(排液)する際には、前記の硬質材料製容
器におけるように空気を圧入する必要がなく、大気圧に
よって容易に排出が可能であって、安全性に優れている
という特徴がある。したがってこれらパウチは、従来か
ら点滴用輸液の容器として使用されてきた。パウチを形
成する積層フィルムは、素材の観点から、柔軟性、透明
性、耐熱性、衛生性、機械的強度、ガスバリア性、加工
性などに優れていることが必要である。次に、製品の観
点からは、医療溶液の蒸散防止性、医療溶液の酸素によ
る変質防止性などに優れ、容器内部の容積膨張が生じな
い、使用後には嵩張らず廃棄しやすい、などの特性をバ
ランス良く備えたものでなければならない。
【0004】パウチ素材の柔軟性は、例えば、点滴液の
点滴は大気圧下で行うので、安定にかつ完全に点滴を行
うために必要であり、また、低温時に点滴液などを収納
した袋を床などに落とした(落袋)際には破れない(破
袋しない)ことが必要であり、さらに使用後に廃棄する
際に容易に容積を小さくすることができ、廃棄しやすい
(廃棄性に優れる)ように、柔軟性でなければならな
い。
【0005】パウチの素材の透明性は、例えば、輸液な
どの医療溶液をパウチに充填する過程、または充填後
に、目視観察によって輸液中の異物混入などの確認を行
うが、その目視確認を適正に行うために必要である。ま
た、医療現場においても、これら輸液の使用時には異物
混入・変色などについて目視検査による安全性確認を行
い、その他の必要な薬液・薬剤を混合した場合にも、目
視観察により確認を行う。また、患者へ輸液投与中に
は、輸液液面位置を目視で確認する必要がある。したが
って、パウチを形成する積層フィルムには、透明性に優
れていることが必要である。
【0006】輸液などの医療溶液の製造過程で、医療溶
液を無菌化する目的で、医療溶液をパウチに充填した
後、一般的に高圧蒸気によって滅菌処理を行うが、その
滅菌処理工程において、パウチの変形、破損、液漏れ、
透明性の低下、柔軟性の低下などが発生してはならな
い。このためパウチを形成する積層フィルムは、高圧蒸
気による滅菌処理に十分に耐える程度の耐熱性を備えて
いる必要がある。
【0007】さらに、輸液などの医療溶液の製造工程、
輸送時および取り扱い時などにおいて、パウチの摩擦、
摩耗、引っ掻き、落袋、振動などが発生し、これらの影
響によってパウチに傷、ピンホ−ル、破袋などが生じ、
溶液漏れの原因となることがある。このため、パウチを
形成する積層フィルムは、これら過酷な環境に耐える程
度の機械的強度を備えている必要がある。
【0008】また、近年、環境問題および病院内問題と
して、廃棄物量を減らすことが提唱されており、これら
医療用容器としても容積を減らすことが必要となってい
る。そこで、これらパウチにも各種品質要求に満足し、
廃棄性に優れる(廃棄し易い)ように、廃棄する際に嵩
張らないパウチを形成する積層フィルムの設計を行う必
要がある。
【0009】従来、これらパウチを形成する材料とし
て、可塑剤が配合された軟質ポリ塩化ビニルが柔軟性、
耐熱性、透明性、加工性などにおいて極めて良好である
ので多く使用されてきた。しかし、ポリ塩化ビニルの残
留モノマ−、ポリ塩化ビニルに配合された可塑剤、安定
剤などが収納溶液に溶出することがあり、また、可塑
剤、安定剤などが環境を汚染する危険性や、廃棄された
ものを焼却する際にダイオキシンが発生するという危険
性などが指摘されている。したがって、衛生性、安全性
の観点から、ポリ塩化ビニルに代わる材料の開発が望ま
れている。
【0010】上記の軟質ポリ塩化ビニルに代わる材料と
して、ポリオレフィン系樹脂で形成されたパウチが提案
されているが、ポリオレフィン系樹脂はガスのバリア性
が劣り、大気中の酸素がパウチ内に透過し、収納溶液が
変質する場合がある。さらに、ガスバリア性が劣るた
め、パウチ内部での水蒸気圧と大気圧との圧力差により
パウチ内部の容積が膨張し、パウチが胴膨れを起こし、
排液性などに問題が生じる恐れがある。
【0011】上記の欠点を排除したパウチ形成材料とし
て、ポリオレフィン系樹脂層/接着性樹脂層/ポリアミ
ド層/低水分透過性樹脂層(/は二層の境界面を意味
し、以下も同じ意味である。)、よりなる四層の積層フ
ィルムよりなる輸液バッグが提案されている(特開昭6
0−55958号公報参照)。発明者らの実験による
と、ここに提案されている積層フィルムは、柔軟性、加
工性、衛生性、安全性などにおいて優れているが、耐ピ
ンホール性、耐熱性、透明性などになお若干の難点があ
ることが分かった。また使用するポリアミド系樹脂も、
一般的に使用されているポリアミド系樹脂では、高圧蒸
気の滅菌処理によりポリアミド系樹脂の劣化が起こり、
ピンホールの発生や落袋時の破袋などに不安があった。
【0012】高圧蒸気による滅菌処理性を向上させる方
法として、一般には、酸化防止剤を添加する方法が提案
されており(特許第2917401号公報参照)、顕著
な効果がある。しかし、医療溶液用袋の用途では、医療
溶液への酸化防止剤のブリードアウトの懸念があり、高
圧蒸気による滅菌処理に耐えうるほど多量の酸化防止剤
を添加できない状況であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】発明者らは、上記状況
に鑑み、柔軟性、透明性、耐熱性、衛生性、機械的強
度、ガスバリア性、加工性などに優れ、医療溶液の蒸散
防止性、医療溶液への酸素による変質防止性などに優
れ、容器内部の容積膨張を生じず、使用後の廃棄性にも
優れた積層フィルム製の医療溶液用袋を提供すべく鋭意
検討の結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、積層フィルム製の医療溶液用袋であっ
て、積層フィルムが、その最内層がポリオレフィン系樹
脂層からなり、その最内層から外層に向かって順に接着
層、ポリアミド系樹脂層、接着層、ポリオレフィン系樹
脂層の少なくとも5層とされた積層フィルムであって、
ポリアミド系樹脂層が相対粘度が2.6〜5.0の範囲
であり、かつ、末端カルボキシルキ基の数を[A](μ
eq/樹脂1g)、末端アミノ基の数を[B](μeq
/樹脂1g)とするとき、末端基量の差[C]([B]
−[A])が5以上であり、低分子量重合体の含有率が
0.7重量%以下のポリアミド系樹脂によって構成され
ていることを特徴とする、積層フィルム製の医療溶液用
袋を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る積層フィルム製の医療溶液用袋は、積層フ
ィルムが、その最内層がポリオレフィン系樹脂層からな
り、その最内層から外層に向かって順に接着層、ポリア
ミド系樹脂層、接着層、ポリオレフィン系樹脂層の少な
くとも5層とされた積層フィルムを必須とする。少なく
とも5層とは、5層が最も少ない層構成であって、これ
ら層構成にさらに他の層が加えられて、6層、7層にさ
れているものを含むことを意味する。
【0016】積層フィルムのポリオレフィン系樹脂層を
構成する樹脂としては、、エチレン、プロピレンなどを
主たる構成成分とするポリオレフィン系樹脂をいう。具
体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−
プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸
共重合体、エチレン−エチルアクリル酸共重合体、エチ
レン−アクリル酸ナトリウム共重合体などの未変性ポリ
オレフィン樹脂が挙げられる。
【0017】エチレンを主たる構成成分とするポリオレ
フィン系樹脂は、そのMFR(MeltFlow Rate)が0.
05〜50g/分の範囲のものが好ましい。MFRが上
記範囲より大きいと耐熱性、フィルム強度などが低下
し、またフィルムを製造する際の工程が安定せず好まし
くない。一方、MFRが上記範囲より小さいと、フィル
ムを製造する際に樹脂が溶融し難く、押出性が低下する
ので好ましくない。上記範囲でも好ましいMFRは0.
1〜30g/分であり、より好ましくは0.3〜20g
/分である。なお、本発明でMFRとは、JIS−K7
210(190℃、2.16kg荷重)に準拠して測定
した値を意味する。
【0018】プロピレンを主たる構成成分とするポリオ
レフィン系樹脂は、そのMFRが0.05〜100g/
分の範囲のものが好ましい。MFRが上記範囲より大き
いとフィルム強度が低下し、またフィルムを製造する際
の工程が安定せず好ましくない。一方、MFRが上記範
囲より小さいと、フィルムを製造する際に樹脂が溶融し
難く、押出性が低下するので好ましくない。上記範囲で
も好ましいMFRは0.1〜80g/分であり、より好
ましくは0.3〜60g/分である。
【0019】積層フィルムの接着層を構成する接着剤
は、変性ポリオレフィン系樹脂が好適である。変性ポリ
オレフィン系樹脂は、α、β−不飽和カルボン酸によっ
て変性されたポリオレフィン系樹脂をいう。具体的に
は、エチレン、プロピレンを主たる構成成分とするオレ
フィン類と、α、β−不飽和カルボン酸またはその誘導
体との共重合物(a)、および、エチレン、プロピレン
を主たる構成成分とするオレフィンの重合物に、α、β
−不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトさせた
グラフト重合物(b)などが挙げられる。
【0020】上記共重合物(a)におけるα、β−不飽
和カルボン酸またはその誘導体としては、例えば、アク
リル酸、メタクリル酸、メチルメタクリル酸、アクリル
酸ナトリウム、アクリル酸亜鉛、酢酸ビニル、グリシジ
ルメタクリレートなどが挙げられる。共重合物(a)の
具体例としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチル
アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸ナトリウム
共重合体などが挙げられる。上記共重合物(a)におけ
るα、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体の割合
は、好ましくは40モル%以下である。
【0021】グラフト重合物(b)の基本となるオレフ
ィン類の重合物としては、例えば、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン
−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチル
アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸ナトリウム
共重合体などが挙げられる。
【0022】上記オレフィン類の重合物にグラフトされ
るα、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体として
は、アクリル酸、メタアクリル酸、エタクリル酸、マレ
イン酸、フマル酸、これらの酸無水物、これらの酸とテ
トラヒドロフルフリルアルコールなどとのエステル類が
挙げられる。グラフトされる成分の中で特に好ましいの
は、無水マレイン酸である。オレフィン類の重合物に対
するグラフト量は、好ましくは、オレフィン重合物の
0.05〜1.5重量%である。
【0023】オレフィン類の重合物にα、β−不飽和カ
ルボン酸またはその誘導体をグラフトさせるには、常法
に従って両成分を混合し、得られた混合物を150〜3
00℃の温度で溶融・混練させればよい。このように溶
融・混練法によってグラフトさせる際に、α、α´−ビ
ス−t−ブチルパーオキシ−p−ジイソプロピルベンゼ
ンのような有機過酸化物を、オレフィン類の重合物に対
し0.001〜0.05重量%配合すると、効率よくグ
ラフト重合を遂行することができる。
【0024】上記の変性ポリオレフィン系樹脂のうちエ
チレンを主たる構成成分とする樹脂は、そのMFRが
0.05〜50g/分の範囲のものが好ましい。MFR
が上記範囲より大きいと耐熱性、フィルム強度などが低
下し、またフィルムを製造する際の工程が安定せず好ま
しくない。一方、MFRが上記範囲より小さいと、フィ
ルムを製造する際に樹脂が溶融し難く、押出性が低下す
るので好ましくない。上記範囲でも好ましいMFRは
0.1〜30g/分であり、より好ましくは0.3〜2
0g/分である。
【0025】上記の変性ポリオレフィン系樹脂のうち、
プロピレンを主たる構成成分とする変性ポリオレフィン
系樹脂は、そのMFRが0.05〜100g/分の範囲
のものが好ましい。MFRが上記範囲より大きいとフィ
ルム強度が低下し、またフィルムを製造する際の工程が
安定せず好ましくない。一方、MFRが上記範囲より小
さいとフィルムを製造する際に樹脂が溶融し難く、押出
性が低下するので好ましくない。上記範囲でも好ましい
MFRは0.1〜80g/分であり、より好ましくは
0.3〜50g/分である。
【0026】接着層を構成するのに好適な上記の変性ポ
リオレフィン系樹脂には、未変性ポリオレフィン系樹脂
を0〜90重量%の範囲で混合することができる。未変
性ポリオレフィン系樹脂の割合が90重量%以上になる
と、接着性が低下して好ましくない。
【0027】積層フィルムのポリアミド系樹脂層を構成
するポリアミド系樹脂は、ポリアミド6、ポリアミド6
−66、および、これらの混合物よりなる群から選ばれ
た一種である。ポリアミド6またはポリアミド6−66
は、ε−カプロラクタムを100〜3重量部、アジピン
酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩を0〜97重量
部の割合で、全体量を100重量部としたこれらの原料
を重縮合することによって得られる。ポリアミド6また
はポリアミド6−66におけるε−カプロラクタムから
誘導される繰り返し単位の割合は、好ましくは100〜
10重量%であり、ε−カプロラクタムのみの場合は、
ポリアミド6である。ε−カプロラクタムから誘導され
る繰り返し単位の割合が少なすぎると、ポリアミド系樹
脂層の機械的強度および成形性が低下し、好ましくな
い。ε−カプロラクタムから誘導される繰り返し単位の
量は、より好ましくは100〜30重量%であり、最も
好ましくは100〜50重量%である。
【0028】上記ポリアミド6またはポリアミド6−6
6の相対粘度は、JIS K6810に従って、98%
硫酸中濃度1%、温度25℃で測定した値で、2.6〜
5.0の範囲であることが必要である。相対粘度が2.
6未満であると機械的強度が低下し、またフィルムを製
造する際の工程が安定せず好ましくない。一方、相対粘
度が5.0を越えると、フィルムを製造する際に樹脂が
溶融し難く、押出性が低下するので好ましくない。ポリ
アミド6またはポリアミド6−66の相対粘度は、より
好ましいのは2.8〜4.7であり、最も好ましいのは
3.0〜4.5である。
【0029】本発明者らの実験によれば、医療溶液用袋
を高圧蒸気によって滅菌処理した後の強度劣化や、ピン
ホールが発生し難くするためには、上記ポリアミド6ま
たはポリアミド6−66は、これらポリアミド系樹脂の
末端カルボキシルキ基の数を[A](μeq/樹脂1
g)、末端アミノ基の数を[B](μeq/樹脂1g)
とするとき、末端基量の差[C]([B]−[A])を
5以上とする必要であることが分かった。末端基量の差
[C]が5未満であると、医療溶液用袋を高圧蒸気によ
って滅菌処理した後の強度劣化や、ピンホールが発生し
易く、好ましくない。末端基量の差[C]は、より好ま
しくは15以上であり、さらに好ましくは25以上であ
る。
【0030】末端基量の差[C]が5以上のポリアミド
系樹脂を製造する際ジアミン類によって変性する場合
は、比較的少量のジアミン類で末端カルボキシル基量を
減らすと同時に、末端アミノ基量を増やすことができ
る。ポリアミド系樹脂をモノアミン類によって変性する
場合は、末端カルボキシル基量を減らすことができる
が、末端アミノ基量は増えず、モノアミン類の添加量を
多くすることが必要であり、その結果重合速度の低下な
どを伴ない好ましくない。従って、相対粘度を下げずに
末端基量の差[C]を大きくするためには、ジアミン類
によって変性することが工業的に好ましい。末端基量の
差[C]を5以上とするには、3員環以上のラクタム類
やω−アミノ酸類を原料とする場合は、ジアミン類を過
剰量にして重縮合をおこなえばよい。変性用のジアミン
類としては、前述のポリアミド原料におけるのと同様の
ジアミン類を用いることができ、好ましくは、ヘキサメ
チレンジアミンである。
【0031】上記ポリアミド系樹脂の末端基量[A]、
[B]の測定は、例えば「高分子分析ハンドブック」
(日本分析化学会編)に記載されているような方法で行
うことができる。すなわち、末端アミノ基量は、ポリア
ミド系樹脂をフェノールに溶解し、0.05N塩酸で滴
定する方法によって測定することができ、末端カルボキ
シル基量は、ポリアミド系樹脂をベンジルアルコールに
溶解し、0.1N苛性ソーダで滴定する方法によって測
定することができる。
【0032】上記ポリアミド6またはポリアミド6−6
6は、反応終期に減圧条件を採用する公知の方法によっ
て製造することができる。そして変性用のジアミン類
は、重合開始から反応終期の減圧条件を採用するまでの
任意の段階で、添加することができる。反応終期の圧力
は、通常500Torr以下、好ましくは、400Torr以下
である。また、減圧反応の時間は、通常1〜2時間程度
である。
【0033】上記ポリアミド6またはポリアミド6−6
6の低分子量重合体の含有率は、JIS 6810に準
拠して、0.7重量%以下とする必要がある。一般的な
食品や医療用途に用いられているポリアミド6やポリア
ミド6−66は、その低分子量重合体の含有率は1.5
重量%以下であるが、本発明に係る医療溶液用袋を製造
する積層フィルムの用途では0.7重量%を越えると、
医薬溶液用袋の収納溶液に低分子量重合体が浸出して好
ましくない。低分子量重合体の含有率は好ましくは0.
5重量%以下であり、より好ましくは0.4重量%以下
である。
【0034】積層フィルムの最内層、最外層構成用の前
記ポリオレフィン系樹脂、接着剤層構成用の前記変性ポ
リオレフィン系樹脂、および中間層構成用の上記ポリア
ミド系樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、顔
料、染料、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤など、従来
から使用されている各種の樹脂添加剤を配合することが
できる。
【0035】積層フィルムは、(1)まず各層を構成する
単層の樹脂フィルム押出成形法によってそれぞれ製造
し、ついで単層フィルムを積層して積層フィルムとする
方法、(2)多層フィルム製造装置を使用して一挙に積層
フィルムとする方法、のいずれかによって製造すること
ができる。単層または多層フィルムは、例えば、Tダイ
法によって製造し、まずロール方式で縦延伸を行い、さ
らにテンター方式で横延伸する逐次二軸延伸法、縦横同
時にテンター方式で延伸する同時二軸延伸法などにより
二軸延伸することができる。さらに、環状ダイによって
製造する積層フィルムは、縦横同時に延伸できるチュー
ブラー延伸法により二軸延伸することができる。
【0036】環状ダイ法には、環状のダイスより連続的
に押出し、水を接触させて冷却する水冷インフレーショ
ン法、同様に環状ダイスより連続的に押出し、空気によ
って冷却する空冷インフレーション法などが挙げられ
る。これら製造方法では、積層フィルム内面への異物混
入の観点から、水冷インフレーション法、空冷インフレ
ーション法がより好ましく、透明性、柔軟性の観点か
ら、水冷インフレーション法が特に好ましい。
【0037】上記積層フィルムは、最外層、中間層とも
に一層で構成してもよく、特性の異なる樹脂層を重ねて
二層に構成して特性を補完することもできる。上記積層
フィルムを構成する際には、ポリアミド系樹脂層を中間
層に配置する。ポリアミド系樹脂層が最外層に配置され
ていると、積層フィルムがカールし易く、特に水冷イン
フレーション法によって製造したものは外カールが激し
く、製袋作業上問題が生じる場合がある。しかしポリア
ミド系樹脂層を中間層に配置すると、カールし難い積層
フィルムとすることができ、製袋作業の際に開口部を設
ける工程で、不良率の発生を低くすることができるので
好ましい。
【0038】上記積層フィルムの厚さは0.08mm(8
0μm)〜0.6mmの範囲が好ましい。厚さが0.08
mm未満では、質量感が損なわれ、一方、0.6mmを越え
ると柔軟性が不足気味となる。上記範囲で特に好ましい
厚さは、0.10(100μm)〜0.5mmである。本
発明に係る医療溶液用袋の最内層のポリオレフィン層の
厚さは、0.003mm(3μm)〜0.1mmの範囲が好
ましい。厚さが0.003mm(3μm)未満では耐熱性
が低下し、0.1mmを越えると柔軟性、透明性が失われ
て好ましくない。
【0039】上記積層フィルムのポリアミド層の厚さ
は、0.003mm(3μm)〜0.06mm(60μm)
の範囲が好ましい。厚さが、0.003mm未満では機械
的強度、ガスバリア性が低下し、0.06mmを越えると
柔軟性、透明性が失われて好ましくない。上記範囲で特
に好ましいのは、0.005mm(5μm)〜0.05mm
(50μm)である。上記積層フィルムの接着層の厚さ
は0.003mm(3μm)〜0.2mmの範囲が好まし
い。厚さが0.003(3μm)mm未満では接着性が低
下し、0.2mmを越えると柔軟性、透明性が失われて好
ましくない。上記範囲で特に好ましいのは、0.005
mm(5μm)〜0.15mmである。
【0040】本発明に係る医療溶液用袋の製造用に使用
される積層フィルムの構成例を挙げれば、次のとおりで
ある。以下に挙げた積層フィルムの構成例は、最内層か
ら外層に向かって順に積層されていることを意味し、P
Oとはポリオレフィン系樹脂、PAとはポリアミド系樹
脂、PETとはポリエステル樹脂をそれぞれ意味する。
なおPO(1)とPO(2)とは、曲げ弾性率がPO
(1)>PO(2)なる関係の異なるポリオレフィン系
樹脂を意味し、PA(1)とPA(2)とは、異なるポ
リアミド系樹脂であることを意味する。
【0041】PO/接着層/PA/接着層/PO、PO
/接着層/PA(1)/PA(2)/接着層/PO、P
O(1)/PO(2)/接着層/PA/接着層/PO
(2)/PO(1)、PO(1)/PO(2)/接着層
/PA(1)/PA(2)/接着層/PO(2)/PO
(1)、PO/接着層/PA/接着層/PA/接着層/
PO、PO/接着層/PA(1)/接着層/PA(2)
/接着層/PO、PO(1)/PO(2)/接着層/P
A/接着層/PA/接着層/PO(2)/PO(1)、
PO(1)/PO(2)/接着層/PA(1)/接着層
/PA(2)/接着層/PO(2)/PO(1)、PE
T/接着層/PA/接着層/PO、PET/接着層/P
A(1)/PA(2)/接着層/PO、PET/接着層
/PA/接着層/PO(2)/PO(1)、PET/接
着層/PA(1)/PA(2)/接着層/PO(2)/
PO(1)、PET/接着層/PO(2)/接着層/P
A/接着層/PO(1)、PET/接着層/PO(2)
/接着層/PA(1)/PA(2)/接着層/PO
(1)、PET/接着層/PO(2)/接着層/PA/
接着層/PO(2)/PO(1)、PET/接着層/P
O(2)/接着層/PA(1)/PA(2)/接着層/
PO(2)/PO(1)。積層フィルムの構成は、ここ
に例示したものに限定されるものではない。
【0042】上記積層フィルムから、本発明に係る積層
フィルム製の医療溶液用袋を調整するには、フィルムか
ら製袋する従来から知られている方法によって製袋する
ことができる。医療溶液用袋の構造は、用途により複室
容器の袋、単室容器の袋などとすることができ、また、
口栓部(スパウト)を備えた構造であってもよい。積層
フィルム製の医療溶液用袋は、端部がカールすることが
なく、透明性、柔軟性、耐熱性、機械的強度、ガスバリ
ア性、ヒ−トシ−ル性などに優れている。
【0043】本発明に係る積層フィルム製の医療溶液用
袋は、医療用途における各種溶液の収納袋として有用で
あり、輸液、人工腎臓透析液、腹膜透析液、血液その他
体液や薬剤などの注入、排出、保存などの容器として好
ましく使用することができる。
【0044】本発明に係る積層フィルム製の医療溶液用
袋は、医療分野における各種溶液の収納袋として有用で
あり、輸液、点滴液、人工腎臓透析液、腹膜透析液、血
液その他体液や薬液などの注入、排出、保存などの容器
として好ましく使用することができる。
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。
【0046】なお、以下の実施例および比較例において
用いた原料は次の通りである。 <ポリアミド樹脂の調製>撹拌機、温度計、還流冷却
器、ジャケットなどを装備した、容量が200リットル
のオートクレーブに、ε−カプロラクタム60kg、水
および必要に応じてジアミンを仕込み、窒素雰囲気下に
密封し、270℃に昇温、撹拌を行いながら2時間加圧
下で縮合反応を行なった。ついで、オートクレーブ内の
圧力を徐々に放圧して所定の圧力まで減圧し、更に2時
間反応をおこなった。その後、窒素を導入して常圧に復
帰後、撹拌を止め、得られたポリアミドをストランド状
にして抜き出してチップ化した。上記のチップ50gを
採取してガラス管に入れ、窒素雰囲気下に260℃で溶
融保持し、30時間経過後にガラス管から取り出し、沸
水に投入して未反応モノマーを抽出除去した。この際、
必要に応じて沸水量および抽出時間を変化させた。抽出
除去後、真空乾燥し、下記ポリアミド(PA)(A)〜(C)
を得た。
【0047】(1)PA(A):ヘキサメチレンジアミンで
末端変性したポリアミド6、相対粘度=3.7、末端ア
ミノ基量[B]=56μeq/樹脂1g、末端カルボキ
シル基量[A]=14μeq/樹1g、末端基量の差
[C]([B]−[A])=42、低分子重合体含有率
0.35%。 (2)PA(B):ポリアミド6、相対粘度=3.7、末端ア
ミノ基量=56μeq/樹脂1g、末端カルボキシル基
量=14μeq/樹脂1g、末端基量の差[C]
([B]−[A])=42、低分子重合体含有率0.3
5%。
【0048】(3)PA(C):ポリアミド6、相対粘度=
3.7、末端アミノ基量=35μeq/樹脂1g、末端
カルボキシル基量=35μeq/樹脂1g、末端基量の
差[C]([B]−[A])=0、低分子重合体含有率
1.0%。 (4)PO(D):密度0.936g/cm3(JIS K6760
に準拠して測定)、MFR2.0g/10分(JIS K6
760に準拠して測定)のポリエチレン。 (5)PO(E):融解ピ−ク温度136℃(JIS K71
21)、MFR3.7g/10分(JIS K6758)の
ポリプロピレン。
【0049】(6)PO(F):85重量%と、密度0.91
3g/cm3(JIS K6760)、MFR2.0g/10分
(JIS K6760)のポリエチレン15重量%との
混合物。 (7)PO(G):融解ピ−ク温度136℃(JIS K71
21)、MFR3.7g/10分(JIS K6758)の
ポリプロピレン85重量%と、密度0.898g/cm
3(JIS K6760)、MFR3.5g/10分(JI
S K6760)のポリエチレン15重量%との混合
物。
【0050】(8)PO(H):融解ピ−ク温度136℃(J
IS K7121)、MFR3.7g/10分(JIS K
6758)のポリプロピレン60重量%と、密度0.8
98g/cm3(JIS K6760)、MFR3.5g/10
分(JIS K6760)のポリエチレン40重量%と
の混合物。 (9)AD(I):密度0.920g/cm3(JIS K676
0)、MFR1.5g/10分(JIS K6760)の変
性ポリエチレン(三菱化学社製、グレ−ド:M552)
45重量%と、密度0.898g/cm3(JIS K67
60)、MFR3.5g/10分(JIS K6760)の
ポリエチレン55重量%との混合物よりなる接着層用の
樹脂。
【0051】(10)AD(J):密度0.900g/cm3(JI
S K6760)、MFR2.3g/10分(JIS K6
758)の変性ポリプロピレン(三菱化学社製、グレ−
ド:P513V)60重量%と、密度0.913g/cm3
(JIS K6760)、MFR2.0g/10分(JIS
K6760)のポリエチレン40重量%との混合物よ
りなる接着層用の樹脂。 (11)AD(K):密度0.900g/cm3(JIS K676
0)、MFR2.3g/10分(JIS K6758)の変
性ポリプロピレン(三菱化学社製、グレ−ド:P513
V)60重量%と、密度0.898g/cm3(JIS K
6760)、MFR3.5g/10分(JIS K676
0)のポリエチレン40重量%との混合物よりなる接着
層用の樹脂。
【0052】[実施例1〜実施例3] <積層フィルムの成形方法>多層インフレーション成形
機のシリンダー先端に、水冷式の5種5層多層インフレ
ーションダイを装着した。この多層インフレーションダ
イを使用し、ダイス温度を235℃、最内層200℃、
中内層200℃、中間層240℃、中外層200℃、最
外層190℃とし、表−1に掲げた原料樹脂の組み合わ
せとし、最内層/接着層/中間層/接着層/最外層の順
に、各層の暑さを30μm/77.5μm/20μm/
77.5μm/15μmとし、最内層200℃、中内層
200℃、中間層240℃、中外層200℃、最外層1
90℃、折り径200mmのチューブ状積層フィルムと
し、引き取り速度9m/min.、押出量60kg/hの条件で5
層積層フィルムを製造した。
【0053】[比較例1〜比較例4]実施例1に記載の
例において、原料樹脂の組み合わせを表−2に掲げたよ
うに変更した他は、同例におけると同様の手順で5層積
層フィルムを製造した。
【0054】<積層フィルム製の袋の評価方法>得られ
た積層フィルムから袋を調整し、得られた袋について次
の評価方法で、評価試験を行った。評価結果は、表−1
および表−2に掲げた。 (a)121℃耐熱性:チュ−ブ(円筒)状になってい
る積層体(2枚重ねにされている)を、210mm×21
0mmの大きさに切り、3方ヒ−トシ−ルして袋状にし
た。次に、この袋の中に純水を700ミリリットル充填
し、残り一辺をもヒ−トシ−ルして密封した。このよう
にして得られたサンプル袋を、高温高圧調理殺菌試験機
(日阪製作所社製、RCS・40RTGN型)の中に入
れ、加圧し、121℃まで雰囲気温度を上昇させて、2
時間121℃を保持した。その後、該サンプル袋を試験
機から取り出し、以下の基準で評価する方法。耐熱性が
あり、殺菌用途の使用に適していると判断されるものを
○、サンプル袋にシワが発生したり透明性が悪化し、殺
菌用途の使用に適さないと判断されるものを×、とそれ
ぞれ判定した。
【0055】(b)ヘイズ(%):上記(a)の試験を行
なったサンプル袋1枚につき、JISK7105に準拠
して測定する方法。この値が小さいほど、透明性に優れ
ていることを意味する。 (c)柔軟性(kg/cm2):上記(a)の試験を行なったサン
プル袋1枚につき、ル−プスティフネステスタ(東洋精
機製作所社製)によって柔軟性(スティフネス)を測定
する方法。この値が小さいほど、柔軟性に優れているこ
とを意味する。 (d)ヒ−トシ−ル強度(kg/15mm):熱板型シ−ル機を用
い、シ−ル温度100℃(下側)、180℃(上側)、
シ−ル時間7秒の条件でヒ−トシ−ルを行い、引張試験
機(オリエンテック社製、UCT−100型)によっ
て、JIS Z1707に準拠してヒ−トシ−ル部の強
度を測定する方法。この値が大きいほど、ヒートシール
部の強度が強く好ましい。
【0056】(e)厚さ保持率(%):顕微鏡によって、ヒ
−トシ−ルエッジ部の厚さおよび未シ−ル部の厚さを測
定し、これらの値よりヒ−トシ−ルによる厚さ保持率を
算出する方法。この値が100%に近いほど好ましい。 (f)カ−ル性(cm):積層フィルムから15mm×100mm
の大きさの試験片を作成し、その試料を平面台より75
mm突出するよう固定し、平面よりのカ−ル度合いをJI
S 1級スケ−ルを用い測定した。この値が小さいほど
好ましい。 (g)耐ピンホ−ル性(個):積層フィルムを、ゲルボフレ
ックステスター(理学工業社製)によって、MIL−B
−131Cに準拠した方法で、温度0℃で、3000回
の繰り返し屈曲疲労を与えた後、積層フィルムに生じた
ピンホール数を数える方法である。本試験では、数値0
が望ましい。
【0057】(h)落袋強度:上記(a)の試験を行なったサ
ンプル袋を、5℃の雰囲気下で24時間保管後、平行落
下で2mの高さから5回落袋して、破袋しなかったもの
を○、破袋したものを×、とそれぞれ判定した。 (i)蒸
発残留物試験:日本薬局方13局、プラスチックス製医
薬品容器試験法、溶出物試験に準拠して袋の蒸発残留物
の測定する方法。規格値上この値が1.0mg以下である
必要があり、1.0mg以下のものを○、1.0mgを超え
るものを×、とそれぞれ判定した。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】表−1および表−2より、次のことが明ら
かとなる。 (1)本発明に係る積層フィルム製の医療溶液用袋は、
積層フィルムを特定構造の5層以上とし、かつ、中間層
のポリアミド系樹脂を特定の特性を有するものとしてい
るので、耐熱性、柔軟性、ヒートシール強度、耐ピンホ
ール性に優れている(実施例1〜実施例3参照)。 (2)本発明に係る積層フィルム製の医療溶液用袋は、
積層フィルムを特定構造の5層以上とし、かつ、中間層
のポリアミド系樹脂を特定の特性を有するものとしてい
るので、耐熱処理後、落袋しても破損し難い(実施例1
〜実施例3参照)。 (3)本発明に係る積層フィルム製の医療溶液用袋は、積
層フィルムを特定構造の5層以上として、かつ、中間層
のポリアミド系樹脂を特定の特性を有するものとしてい
るので、蒸発残査が少なく、医療溶液に溶解する成分が
少ない(実施例1〜実施例3参照)。
【0061】(4)これに対して、積層フィルムの中間
層を構成するポリアミド系樹脂を、[C]の値が5以下
のものとした積層フィルム製の医療溶液用袋は、耐熱処
理後の落袋で破損し易い(比較例1参照)。 (5)また、積層フィルムの中間層を構成するポリアミド
系樹脂を、低分子量重合体の含有率が0.7%を越える
ものとした積層フィルム製の医療溶液用袋は、蒸発残査
が多く、医療溶液に溶解する成分が多い(比較例2参
照)。 (6)さらに、中間層としてポリアミド層を含まない積層
フィルム製の医療溶液用袋は、ヒートシール強度や厚さ
保持率に劣る(比較例3参照)。 (7)最外層としてポリオレフィン層を有しない積層フィ
ルム製の医療溶液用袋は、カールし易く、耐ピンホール
性にも劣る(比較例4参照)。
【0062】
【発明の効果】本発明は、以上詳細に説明したとおりで
あり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上
の利用価値は極めて大である。 1.本発明に係る積層フィルム製の医療溶液用袋は、積層
フィルムを特定構造の少なくとも5層とされているの
で、耐熱性、柔軟性、ヒートシール強度、耐ピンホール
性に優れている。 2.本発明に係る積層フィルム製の医療溶液用袋は、中間
層を末端アミノ基量が末端カルボキシルキ基量より一定
量以上多い特定の特性を有するポリアミド系樹脂によっ
て構成しているので、耐熱処理後の落袋、振動などによ
って傷がついたり破損したりし難い。 3.発明に係る積層フィルム製の医療溶液用袋は、中間層
を低分子量重合体の含有率が0.7%以下とされている
ポリアミド系樹脂によって構成しているので、医療溶液
に溶解する成分が少なく、蒸発残査が少ない。 4.発明に係る積層フィルム製の医療溶液用袋は、積層フ
ィルムを特定構造の5層以上とされているので、従来の
ポリオレフィン系樹脂層のみで構成された積層フィルム
製の医療溶液用袋と比較してガスバリア性が向上し、バ
ッグの容積膨張を防止することができる。 5.本発明に係る積層フィルム製の医療溶液用袋は、柔軟
性に優れているので、医療溶液の安全性を著しく向上で
きると共に、使用後廃棄する際に容量を小さくして廃棄
することができ、燃焼処理する際に有害物を発生するこ
ともない。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61J 1/00 331C (72)発明者 森本 精次 神奈川県平塚市東八幡五丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 (72)発明者 松井 宏道 神奈川県平塚市東八幡五丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 Fターム(参考) 3E064 BA24 BA36 BB03 BC01 BC08 BC12 BC18 EA18 FA04 3E086 AA23 AD01 BA04 BA15 BA24 BB02 BB05 BB87 CA28 4F100 AK03A AK03C AK04A AK04C AK07A AK07C AK46B AK48B AK64A AK64C BA03 BA06 BA10A BA10C BA16 BA25 DA01 EJ38 GB00 GB17 GB66 JA06B JA09B JB20B JJ03 JK01 JK13 JK14 JK17 JL12 JN01 YY00B

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 積層フィルム製の医療溶液用袋であっ
    て、積層フィルムが、その最内層がポリオレフィン系樹
    脂層からなり、その最内層から外層に向かって順に接着
    層、ポリアミド系樹脂層、接着層、ポリオレフィン系樹
    脂層の少なくとも5層とされた積層フィルムであって、
    ポリアミド系樹脂層が相対粘度が2.6〜5.0の範囲
    であり、かつ、末端カルボキシルキ基の数を[A](μ
    eq/樹脂1g)、末端アミノ基の数を[B](μeq
    /樹脂1g)とするとき、末端基量の差[C]([B]
    −[A])が5以上であり、低分子量重合体の含有率が
    0.7重量%以下のポリアミド系樹脂によって構成され
    ていることを特徴とする、積層フィルム製の医療溶液用
    袋。
  2. 【請求項2】 ポリアミド系樹脂層が、末端基量の差
    [C]([B]−[A])が15以上のポリアミド系樹
    脂によって構成されている、請求項1に記載の積層フィ
    ルム製の医療溶液用袋。
  3. 【請求項3】 積層フィルムの層構成が、その最内層か
    ら外層に向かって順にポリオレフィン系樹脂層、接着
    層、ポリアミド系樹脂層、接着層、ポリオレフィン系樹
    脂層の順に積層された5層の積層フィルムである、請求
    項1または請求項2に記載の積層フィルム製の医療溶液
    用袋。
  4. 【請求項4】 積層フィルムの厚さが0.08〜0.6
    mmであり、最内層その他それぞれのポリオレフィン系樹
    脂層の厚さが0.003〜0.1mm、ポリアミド系樹脂
    層の厚さが0.003〜0.06mm、接着層の厚さが
    0.003〜0.2mmである、請求項1ないし請求項3
    のいずれか一項に記載の積層フィルム製の医療溶液用
    袋。
  5. 【請求項5】 ポリアミド系樹脂層が、ポリアミド6、
    ポリアミド6−66、およびこれらの混合物よりなる群
    から選ばれた一種である、請求項1ないし請求項4のい
    ずれか一項に記載の積層フィルム製の医療溶液用袋。
  6. 【請求項6】 ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン、
    ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体とポリ
    エチレンとの混合物よりなる群から選ばれた一種であ
    る、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の積
    層フィルム製の医療溶液用袋。
  7. 【請求項7】 積層フィルムが、水冷インフレーション
    成形法によって製造されたものである、請求項1ないし
    請求項6のいずれか一項に記載の積層フィルム製の医療
    溶液用袋。
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