WO2006003983A1 - 電動式のケーブル駆動装置および電動式ブレーキ装置 - Google Patents

Abstract

　モータＭと、減速機Ｇと、減速機に連結されるナット部材２６と、ナット部材２６と螺合し、ガイド部材３４によって回転しないようにガイドされているロッド３２と、ロッドに連結される内索４５および内索を案内する導管４９からなるコントロールケーブル１５と、減速機Ｇの回転量からケーブルの操作量を検出するセンサおよびケーブルに加わる荷重を検出する荷重センサ１７とを備えているケーブル駆動装置１０。ケーブル駆動装置１０のコントロールケーブルとブレーキ機構とを連結すると、電動ブレーキ装置が得られる。

Description

明 細 書

電動式のケーブル駆動装置および電動式ブレーキ装置

技術分野

[0001] 本発明は電動式のケーブル駆動装置およびそれを用いた自動車などの電動式ブ レーキ装置に関する。 自動車などには、モータバイク、三輪自動車、パワーアシスト 式自転車、ゴルフカート、フォークリフトなどが含まれる。

背景技術

[0002] 特許文献 1 :特表 2001— 513179号公報

特許文献 2 :特開平 8— 295210号公報

特許文献 3 :特開 2004— 161063号公報

特許文献 4 :特開 2002— 205627号公報

特許文献 5：米国特許第 6386338号明細書

特許文献 6：特開 2002— 272076号公報

[0003] 特許文献 1には、図 25に示すような、車両用の駐車ブレーキ 200が開示されている 。この駐車ブレーキ 200は、外周に歯車 201が形成され、内周にスプラインハブが形 成されると共に、軸方向に移動しないように、かつ、回転自在に支持される構成部材 202と、その構成部材の内周のスプラインハブと嚙み合レ、、軸方向に移動自在に設 けられる中空のスプライン 203と、そのスプラインの内周に形成される雌ネジと螺合す る雄ネジ部材 (スピンドル） 204とを備えている。スプライン 203の一端には第 1ブレー キケーブル 205が係止され、雄ネジ部材 204の一端には第 2ブレーキケーブル 206 が係止されている。そして構成部材 202の外周の歯車 201はモータ Mによって駆動 され、モータが一方向に回転すると、スプライン 203の雌ネジと雄ネジ部材 204とが 相対的に螺進して左右のブレーキケーブル 205、 206同士が引き合う。それにより左 右のブレーキがかかる。

[0004] 他方、モータ Mが逆方向に回転すると、スプライン 203の雌ネジと雄ネジ部材 204 が前記とは逆周りに相対的に回転し、左右のブレーキケーブル 205、 206同士が引 き合う張力を弱める。それによりブレーキが解除される。スプライン 203と雄ネジ部材 2 04とからなるテレスコピック装置は、構成部材 202に対して軸方向移動自在であるの で、左右のブレーキには同一の力が加わる。このように特許文献 1の駐車ブレーキは 、モータによってパーキングブレーキをかけたり解除したりすることができ、左右のブ レーキ力を均等にすることができる。

[0005] さらに特許文献 1には、第 2ケーブル 206と雄ネジ部材 204の連結を遠隔操作によ つて解除する解離装置 207が示されている。この解離装置 207は、雄ネジ部材 204 の端部に固定され、ハウジングの内面によってガイドされるガイド部材 208と、そのガ イド部材に回動自在に設けられ、パネ 209によって時計方向に付勢されるロック解除 レバー 210と、そのロック解除レバーをバネ 209の付勢力に抗して反時計方向に回 動操作するロック解除ケーブル 211とを備えてレ、る。

[0006] 図 26に示すように、ロック解除レバー 210を支持する軸 212には、係止爪 213が口 ック解除レバーと共回りするように連結されている。ガイド部材 208には第 2ケーブル 206の端部に固定された係合部材 214が軸方向移動自在に収容されており、その 係合部材 214には、係止爪 213が離脱可能に係合する溝 215が形成されている。

[0007] この解離装置 207は、ブレーキをかけた状態（左右のケーブル 205、 206の間隔が 縮まった状態）で電気系統やモータ Mが故障した場合に、ロック解除ケーブル 211を 引くことにより、図 12に示すように、ケーブル 206と雄ネジ部材 204の連結を手動操 作で解除することができる。そして電気系統やモータ Mが回復したとき、ロック解除ケ 一ブル 211を引かない状態でモータ Mを左右のケーブル 205、 206の間隔を拡げる ように、すなわちガイド部材 208が左側に移動するように回転させることにより、係止 爪 213を溝 215に係合させて元の状態に復帰させることができる。

[0008] 特許文献 2には、図 27に示すような、モータ Mと、そのモータの回転によってギヤ 2 20を介して回転駆動される軸 221とを備えた自動車の駐車用制動装置が開示され ている。軸 221の左右には、それぞれ右ネジ 222と左ネジ 223が形成され、それらの ネジにナット部材 224、 225が螺合している。それらのナット部材には、それぞれブレ ーキケーブル 205、 206の一端が係止されてレ、る。

[0009] このものはモータ Mがー方向に回転すると、左右のナット部材 224、 225をそれぞ れ中心側に移動させ、それにより左右のブレーキをかけることができる。モータ Mが 逆方向に回転すると、左右のナット部材 224、 225が外側に移動する。それによりブ レーキを解除することができる。

[0010] 特許文献 3には、図 28に示すような、モータ Mによって回転駆動されるネジ軸 226 と、そのネジ軸と螺合するナット 227と、そのナットに揺動自在に設けられるイコライザ 228と、そのイコライザに連結される一対の引きケーブル 205、 206と、一方のケープ ル 205の向きを 180度変換するためのプーリ 229とを備えた電動パーキングブレーキ 装置 230が開示されている。さらに特許文献 3には、他方のケーブル 206の張力を検 出するための張力センサ TSを設け、張力が異常に上昇したときにモータ Mを停止さ せることが記載されている。上記の機構はハウジング 231に収容されている。

[0011] 特許文献 4には、図 29に示すような、出力シャフト 236を有する電気モータ Mと、出 力シャフト 236をリードスクリュー（ネジ） 237に接続するトランスミッション (減速機構） 2 38とを備えた電気パーキングブレーキアッセンブリ 239が開示されている。リードスク リュー 237にはネジ穴を備えたドライブナット 240が螺合されており、そのドライブナツ ト 240にブレーキ操作用のケーブル 241が連結されてレ、る。制御モジュールは電気 モータの作動電流などのケーブル張力を示す信号と、電気モータの回転数を検出す るホール効果センサからのケーブル移動距離を示す信号とに基づいて、電気モータ を制御する。

[0012] さらに特許文献 4には、トランスミッション 238に設けられるオーバーライドギヤ 242と 、そのオーバーライドギヤを手動による遠隔操作で回転させるためのオーバーライド ケーブル 243が開示されている。オーバーライドギヤ 242は、トランスミッション 238を 介してリードスクリュー 237を回転させることができる。オーバーライドケーブル 243は 、可撓性を有する導管と、その導管内に回転自在に、トルク伝達可能に収容されたコ ァとからなる、いわゆる回転ケーブルから構成されている。

[0013] それにより電気モータが停止している場合でも、オーバーライドケーブル 243の一 端を回転させることにより、パーキングブレーキをかけたり、解除したりすることができ る。特許文献 5には、そのようなオーバーライドケーブル 243の端部を回転操作する ための操作側の構造が開示されている。

[0014] 特許文献 6には、固定軸と、その固定軸回りに回転自在に設けられるプーリと、内 面に駆動磁石を備え、前記プーリと一緒に回転するカップ状のロータと、固定軸の周 囲に取り付けられ、ロータの内部に配置されるコイルと、前記ロータの先端内面に設 けられるセンサ磁石と、そのセンサ磁石の接近を検知するホールセンサとを備えたダ ィレクトドライブ ·ブラシレスモータが開示されている。このダイレクトドライブ ·ブラシレ スモータは、センサ磁石が 1個、ホールセンサが 12個設けられ、多パルス検出するこ とがでさる。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0015] 特許文献 1の駐車ブレーキ 200は、スプライン 203と雄ネジ部材 204と力 なるテレ スコピック装置で左右のブレーキケーブル 205、 206同士を互いに引っ張り合わせる 構成にしているので、両者の張力を均等にすることができ、スペースも小さくて済む。 しかしスプラインハブゃスプラインを必要とするため、機構が複雑で、組立作業も繁雑 である。また、解離装置 207の係合を解除する場合は、ケーブル 206の張力で強く 係合しているロック解除レバー 210を手動で回動させるため、かなりの労力を要する 。他方、特許文献 2の制動装置は、機構が比較的簡易であり、左右の操作量を均等 にすること力 Sできる。しかし左右のブレーキ力を均等にすることは困難である。

[0016] また、特許文献 3の電動パーキングブレーキ装置は、イコライザ 228により左右のブ レーキ力をほぼ均等にすることができる力 左右のケーブル 205、 206の間隔が拡が る。そのため、ハウジング 231が大きくなり、広い取りつけスペースを要する。さらに 2 本のケーブル 205、 206に力力 Sカロわるとき、ハウジング 231に大きいトルクが加わる。 そのためハウジング 231や取り付けネジなどの強度を高くする必要がある。

[0017] 特許文献 4の電気パーキングブレーキアッセンブリでは、ホール効果センサをどの ように設けるカ 明らかでないが、購入品の DCモータを採用する場合、通常はトラン スミッションにおける 2段減速の場合の中間ギヤ（あるいはリードスクリューに連結され る最終ギヤ）などの回転部材に磁石を取り付けて、ギヤハウジングにホール効果セン サ（ホール IC)を設け、減速機内部にロータリエンコーダを構成する。その場合、多数 のホール効果素子および検出用の磁石を設けなければケーブルの移動量を精度よ く検出することができないので、ロータリエンコーダおよび減速機の構成が煩雑になり 、部品点数および製造工数が増加する。

[0018] また、特許文献 4の電動パーキングブレーキアッセンブリ 219は、オーバーライドケ 一ブル 243を回転させて減速機内のオーバーライドギヤ 242を回転させるだけでよ いので、操作力は弱くて済む力 何回も回転させる必要があり、手動でブレーキを解 除する場合はかなり煩雑である。

[0019] 本発明はケーブルの操作を高精度にすることができる、電気駆動のケーブル駆動 装置および電動式ブレーキ装置を提供することを技術課題としている。さらに本発明 は機構が簡単で、左右のブレーキ力をほぼ均等にすることができ、し力も左右のケー ブルに力が加わったときでもハウジングなどに大きいトルクが生じないパーキングブレ ーキ装置を提供することを課題としてレ、る。

[0020] さらに本発明は電気系統やモータが故障したときでも、手動で容易にブレーキを解 除することができ、しかも構成が簡単な緊急解除機構を備えた電動式ケーブル駆動 装置を提供することを技術課題としてレヽる。

[0021] さらに本発明は騒音の発生が少ない電気駆動のケーブル駆動装置および電動式 ブレーキ装置を提供することを技術課題としてレ、る。

課題を解決するための手段

[0022] 本発明のケーブル駆動装置は、モータと、そのモータの出力軸に連結される減速 機と、その減速機の出力側に連結される回転部材と、その回転部材の回転を直進部 材の直進運動に変換する変換機構と、前記直進部材に連結されるケーブルと、その ケーブルの操作量を検出する手段とを有し、前記検出する手段が、前記モータの回 転に応じてパルスを発生するパルス発生手段の出力をカウントしてケーブルの操作 量に換算する手段を備えてレ、ることを特徴としてレ、る。

[0023] 本発明の電動式のケーブル駆動装置の第 2の態様は、モータと、そのモータの出 力軸に連結される減速機と、その減速機の出力側に連結される回転部材と、その回 転部材の回転を直進部材の直進運動に変換する変換機構と、前記直進部材に連結 されるケーブルと、そのケーブルの張力を検出する荷重検出手段と、その荷重検出 手段の出力が所定の許容範囲を逸脱したとき、ワーニング信号を発信する制御手段 を備えてレ、ることを特徴としてレ、る。 [0024] その場合、前記制御手段が、ケーブルの送り出し操作のときに、ケーブルが無負荷 になった時点で、モータを停止させる制御手段を備えているものが好ましい。

[0025] これらのケーブル駆動装置では、前記ケーブルを自動車のパーキングブレーキを 操作するケーブルとすることができる。

[0026] 前記ケーブル駆動装置においては、前記変換機構の回転部材に雌ネジを設け、 前記直進部材をその回転部材の雌ネジと螺合する雄ネジとすることができる。また、 前記変換機構の回転部材を雄ネジとし、前記直進部材をその雄ネジと螺合するナツ ト部材とすることができる。直進部材をナット部材とする場合は、そのナット部材にィコ ライザを揺動自在に設けるのが好ましい。また、前記ナット部材に、グリース溜まりを 設けるのが好ましい。

[0027] さらに本発明の電動式のケーブル駆動装置においては、前記モータをブラシレス モータとし、前記パルス発生手段を、そのブラシレスモータ内部の駆動用機構に設け られる、コイル相への励磁タイミングを決定するためのものとするのが好ましい。

[0028] 前記本発明の電動式のケーブル駆動装置の第 2の態様においては、荷重を検出 する手段が歪みゲージを備えているものが好ましい。また、前記荷重を検出する手段 力 ケーブルの引っ張り力に対向して弾性変形するパネと、そのパネの変形量を検 出する手段とを備えているものが好ましい。

[0029] 本発明のケーブル駆動装置の第 3の態様は、モータと、そのモータの出力軸に連 結される減速機と、その減速機の出力側に連結される回転部材と、前記回転部材と 螺合して、回転部材の回転を直進運動に変換する直進部材と、前記直進部材に連 結されるケーブルと、外部操作でそのケーブルの操作力を開放するための緊急解除 機構とを備えており、その緊急解除機構が、外部から回転部材を回転させる手段を 備えてレ、ることを特徴としてレ、る。

[0030] このようなケーブル駆動装置においては、前記回転部材の端部が減速機のハウジ ングから突出しており、前記回転手段を回転させる手段が、その突出している回転部 材の端部に設けられる断面角形の係合部であるものが好ましい。

[0031] 本発明の電動式のケーブル駆動装置の第 4の態様は、モータと、そのモータの出 力軸に連結される減速機と、その減速機の出力側に連結される回転部材と、前記回 転部材と螺合して、回転部材の回転を直進運動に変換する直進部材と、前記直進部 材に連結されるケーブルと、外部操作でそのケーブルの操作力を開放するための緊 急解除機構とを備えており、その緊急解除機構が、前記回転部材を通常状態では軸 方向に移動しないように拘束すると共に、異常時には外部操作で拘束を解除する拘 束機構とを備えてレ、ることを特徴としてレ、る。

[0032] 前記拘束機構としては、回転部材の端部と対向するように配置され、その端部が拘 束機構に向かって押圧されるときに受け入れて拘束し、逆方向の加圧に対しては、 外部操作で解除するまで拘束するキャッチ機構を備えているものが好ましい。

[0033] 本発明の電動式のケーブル駆動装置の第 5の態様は、モータと、そのモータの出 力軸に連結される減速機と、その減速機の出力側に連結される回転部材と、前記回 転部材と螺合して、回転部材の回転を直進運動に変換する直進部材と、前記直進部 材に連結される内索およびその内索の反力を支持する導管を備えたコントロールケ 一ブルと、外部操作で前記内索の操作力を開放するための緊急解除機構とを備え ており、その緊急解除機構が、前記導管の端部を通常状態では軸方向に移動しな いように拘束すると共に異常時には外部操作で拘束を解除する拘束機構と、その拘 束を外部操作で開放する開放操作手段とを備えていることを特徴としている。

[0034] このようなケーブル駆動装置においては、前記拘束機構が、導管の端部を保持す るブラケットと、そのブラケットと係合して移動を妨げる拘束位置と移動を許す解除位 置との間で移動する係合部材と、その係合部材を拘束位置の側に付勢するパネとを 備えており、前記開放操作手段が、前記パネの付勢力に杭して係合部材を解除位 置の側に操作するものとするのが好ましい。その場合、係合部材が、導管の中心線を 挟んで一対で設けられているものが好ましい。さらに前記開放操作手段が、引っ張り 力を伝達する解除ケーブルを含むものが好ましい。

[0035] 本発明の電動式のケーブル駆動装置の第 6の態様は、モータと、そのモータの出 力軸に連結される減速機と、その減速機の出力側に連結される回転部材と、前記回 転部材と螺合して、回転部材の回転を直進運動に変換する直進部材と、前記直進部 材に連結される内索およびその内索の反力を支持する導管を備えたコントロールケ 一ブルと、外部操作で前記内索の操作力を開放するための緊急解除機構とを備え ており、その緊急解除機構が、前記導管の端部を軸方向移動自在に保持すると共に 、通常状態では導管を圧縮する位置で保持し、緊急時には外部操作で圧縮力を開 放する位置に移動させる保持機構を備えてレヽることを特徴としてレヽる。

[0036] 前記保持機構は、導管の端部を保持するブラケットと、そのブラケットとネジ—ナット 結合された回転部材と、その回転部材を外部から回転操作する操作手段とから構成 することができる。その場合、前記操作手段が回転ケーブルを含んでいるものが好ま しい。

[0037] 前記緊急解除機構を備えている場合は、前記被操作部材を操作するコントロール ケーブルをブレーキを操作するプルコントロールケーブルとし、そのプルコントロール ケーブルの内索に、ブレーキのリターンスプリングによる張力を常時付与することがで きる。

[0038] 本発明のケーブル駆動装置の第 7の態様は、モータと、そのモータの出力軸に連 結される減速機と、その減速機の出力側に連結される回転部材と、その回転部材の 回転を直進部材の直進運動に変換する変換機構と、前記直進部材に連結されるケ 一ブルとを有し、前記減速機が、複数個の回転要素と、それらの回転要素の間に掛 け渡される卷き掛け伝導要素とを備えてレ、ることを特徴としてレ、る。

[0039] このような電動式のケーブル駆動装置においては、前記回転要素がプーリであり、 前記卷き掛け伝導要素がベルトであるものが好ましい。さらに前記プーリが歯付きプ ーリであり、前記ベルトが歯付きベルトであるものが一層好ましい。

[0040] 本発明の自動車などの電動式ブレーキ装置は、前記いずれかのケーブル駆動装 置と、前記ケーブルが連結されるブレーキレバーと、そのブレーキレバーをブレーキ 解除側に付勢するパネと、ブレーキレバーと連結されるブレーキ用摩擦部材とを備え ていることを特徴としている。

発明の効果

[0041] 本発明のケーブル駆動装置は、モータが一方向に、たとえばケーブルを引く方向 に回転すると、回転部材が回転して変換機構により直進部材をケーブルを引く方向 に駆動する。また、モータが他方向に回転すると、ケーブルを押したり、あるいは引く 力を弱める。それにより、ケーブルの往復操作を行うことができる。そのときのケープ ルの操作量は、モータの回転数 (ないし回転角度）に対応するので、パルス発生手段 はケーブルの操作量に応じた数のパルスを発生する。それにより換算する手段がそ のパルス数をカウントして、ケーブルの操作量に換算するので、高精度のケーブルの 操作量を検出することができる。

[0042] 本発明の電動式のケーブル駆動装置の第 2の態様は、ケーブルに加わる荷重を検 出することができるので、ケーブルに過剰な負荷が加わったとき、ただちにワーニング 信号で運転者に異常であることを認知させることができる。また、そのワーニング信号 を用いてモータを停止させるなど、適切な対応をとることができる。それによりケープ ルの操作対象あるいは装置自体の安全性を確保することができる。

[0043] 前記電動式のケーブル駆動装置の第 2の態様において、ケーブルの張力を検出し 、ケーブルの送り出し操作のときに、無負荷になった時点でモータを停止させるもの は、ケーブルに永久伸びが生じた場合には、余分にケーブルを送り出すことがない。 したがってケーブルに弛みが生じにくぐつぎにケーブルを引っ張るときも余分な引つ 張り操作が不要である。また、ケーブルに加わる荷重を検出することができるので、ケ 一ブルに過剰な負荷が加わったとき、ただちにモータを停止させるなど、適切な対応 をとることができる。それによりケーブルの操作対象あるいは装置自体の安全性を確 保すること力 Sできる。

[0044] 前記ケーブルが自動車のパーキングブレーキを操作するケーブルである場合は、 ケーブルの操作量の精度が向上することにより、ブレーキ力の微妙な調整が可能と なる。そのため従来の電気駆動のパーキングブレーキ装置に比して、さらに適切なブ レーキ力でブレーキ操作ができる。

[0045] 前記変換機構の回転部材が雌ネジを備えており、前記直進部材がその回転部材 の雌ネジと螺合する雄ネジである場合は、モータが回転して回転部材が回転すると、 それに螺合している雄ネジが軸方向に移動する。それにより雄ネジに連結されたケ 一ブルが軸方向に操作される。そしてネジ機構により回転を直進運動に変換するの で、その部分でも大きい減速作用（増力作用）が得られる。また、ケーブルを介して伝 わる軸方向の外力は回転部材の回転力に変換されず、減速機やモータに影響しな い。 [0046] 前記変換機構の回転部材が雄ネジであり、前記直進部材がその雄ネジと螺合する ナット部材である場合は、モータが回転して雄ネジが回転すると、それに螺合してい るナット部材が軸方向に移動する。それによりナット部材に連結されたケーブルが軸 方向に操作される。そしてネジ機構により回転を直進運動に変換するので、その部分 でも大きい減速作用（増力作用）が得られる。また、ケーブルを介して伝わる軸方向 の外力は回転部材の回転力に変換されず、減速機やモータに影響しない。

[0047] 前記ナット部材にイコライザが揺動自在に設けられてレ、る場合は、 2本のケーブル を同調して引き操作あるいは緩め操作 (押し操作)することができ、しかも 2本のケー ブルの操作力の差はイコライザによって吸収される。したがって 2個所の操作対象物 を均等な力で同調して操作することができる。

[0048] 前記ナット部材に、グーリス溜まりが設けられている場合は、ナット部材と雄ネジの 螺合部に常時グリースを供給することができるので、耐久性が向上する。さらにダリー ス溜まりに大量のグリースを充填しておくことにより、メンテナンスの間隔をあけること ができる。

[0049] 前記モータがブラシレスモータであり、前記パルス発生手段が、そのブラシレスモー タ内部の駆動用機構に設けられる、コイル相への励磁タイミングを決定するためのも のである場合は、ブラシレスモータ内部にあらかじめ内蔵されているコイル相への励 磁タイミングを決定するための回転パルス発生手段を有効に利用し、その回転パル ス発生手段の出力をカウントしてケーブルの操作量に換算する手段としているので、 減速機にロータリエンコーダなどのパルス発生手段を別個に設ける必要がな 構成 が簡単になる。さらにモータ内蔵の回転ノ^レス発生手段は、 1回転につきコイル相の 相数に対応したパルスを発生するので、モータの 1回転について 2〜3パルス程度で あっても、減速機の中間ギヤの 1回転に対しては減速比に応じてその数倍のパルス が得られる。そのため、ケーブルの移動量を高精度で検出することができる。

[0050] 本発明のケーブル駆動装置の第 2の態様において、前記荷重を検出する手段が、 歪みゲージを備えている場合は、歪みゲージの出力に基づいてケーブルに加わる荷 重を高精度で連続的に検出することができる。そのため、ケーブルなどの保護を一層 確実に行うことができる。 [0051] また、前記荷重を検出する手段が、ケーブルの引っ張り力に対向して弾性変形す るパネと、そのパネの変形量を検出する手段とを備えている場合は、シンプルな構成 で安価に、し力も故障しにくい荷重検出手段を構成することができる。

[0052] 本発明の電動式ケーブル駆動装置の第 3の態様では、モータが回転するとその回 転は減速機を介して回転部材を回転させ、さらに回転部材と螺合する直進部材の直 進運動に変換する。モータが逆方向に回転すると、直進部材が逆方向に移動する。 そのため、モータの回転方向を選択することにより、直進部材に連結されているケー ブルを軸方向に往復操作することができる。

[0053] 電気系統に故障が生じたときは、緊急解除機構の回転部材を回転させる手段を用 いて、回転部材を回転させることができる。それにより直進部材を移動させてケープ ルを操作することができる。その場合、回転部材と直進部材の螺合により、大きい負 荷に杭してケーブルを操作することができ、し力も回転部材を回転させる抵抗により、 ケーブルの張力、ひいてはブレーキの効き状態などを感ずることができる。したがつ て適切な手動操作をすることができる。

[0054] 前記回転部材の端部が減速機のハウジングから突出しており、前記回転手段を回 転させる手段が、その突出している回転部材の端部に設けられる断面角形の係合部 である場合は、電気系統やモータが故障した場合などの緊急時には、減速機のハウ ジングから突出している断面角形の係合部を工具を用いて回転させることにより、容 易に回転部材を回転させることができ、ケーブルの手動操作が一層容易になる。

[0055] 本発明の電動式のケーブル駆動装置の第 4の態様においては、通常の状態では、 緊急解除機構の拘束機構が回転部材を軸方向に移動しないように拘束しているの で、モータおよび減速機が回転すると、回転部材が軸方向に移動しない状態で回転 する。そのため、直進部材が直進運動を行い、被操作部材の負荷に抗してケーブル を操作することができる。

[0056] ケーブルで被操作部材を一方向に操作している状態で電気系統の故障が生じた 緊急時には、外部操作で拘束機構を操作して、回転部材の軸方向の移動の拘束を 解除する。それにより回転部材と直進部材が一体になつて軸方向に移動自在となり、 ケーブルによる操作状態を解消することができる。 [0057] 前記拘束機構が、回転部材の端部と対向するように配置され、その端部が拘束機 構に向かって押圧されるときに受け入れて拘束し、逆方向の加圧に対しては、外部 操作で解除するまで拘束するキャッチ機構を備えてレ、る場合は、通常状態ではキヤ ツチ機構で回転部材の軸方向の移動を拘束する。それにより回転部材がケーブルの 操作の反力に杭して直進部材でケーブルを操作することができる。緊急事態には、 外部操作でキャッチ部材による回転部材の拘束を解除する。それによりケーブルの 操作力を解消できる。そのときの操作は、回転部材を回転させる必要がないので、短 時間で簡単にケーブルの操作力を解消できる利点がある。

[0058] キャッチ部材による回転部材の拘束を解除している状態で、電気系統の故障が回 復した場合は、モータを回転させて回転部材を回転させる。その場合、直進部材に 対して回転部材が回転し、回転部材はキャッチ部材の側に加圧される。したがって簡 単に元の拘束状態に復帰させることができる。

[0059] 本発明の電動式ケーブル駆動装置の第 5の態様は、モータが回転するとその回転 は減速機を介して回転部材を回転させ、さらに回転部材と螺合する直進部材の直進 運動に変換する。モータが逆方向に回転すると、直進部材が逆方向に移動する。そ のため、モータの回転方向を選択することにより、直進部材に連結されている内索を 軸方向に往復付勢することができる。そして通常の状態では導管が拘束機構によつ て軸方向の移動が拘束されているので、導管が内索の反力を支持することができ、 内索に付与された軸方向の付勢力は被操作部材に伝えられ、モータによって内索を 介して被操作部材を操作することができる。

[0060] 電気系統に故障が生じたときなどの異常時には、開放操作手段を外部から操作し て、拘束機構の拘束を解除する。それにより導管は内索の反力を支持することができ ず、被操作部材 (操作対象）に対する操作力が解消される。

[0061] 前記拘束機構が、導管の端部を保持するブラケットと、そのブラケットと係合して移 動を妨げる拘束位置と移動を許す解除位置との間で移動する係合部材と、その係合 部材を拘束位置の側に付勢するパネとを備えており、前記開放操作手段が、前記バ ネの付勢力に杭して係合部材を解除位置の側に操作するものである場合は、緊急 時には開放操作手段により、パネの付勢力に杭して係合部材を解除位置の側に移 動させる。そのとき、パネが弾性変形されながら、エネルギを蓄積する。そのため、電 気系統の故障などが復帰したとき、そのパネの復元力を利用して、爪を拘束位置側 に移動させることにより、元の拘束状態に容易に復帰させることができる。

[0062] 前記係合部材が導管の中心線を挟んで一対で設けられてレ、る場合は、ブラケット に係合する力が導管の中心位置近辺に来る。そのため、力のバランスを取りやすい。 また前記開放操作手段が、引っ張り力を伝達する解除ケーブルである場合 (請求項 4)は、離れた位置から操作し易い。

[0063] 本発明のケーブル駆動装置の第 6の態様は、通常の状態では保持機構が導管を 圧縮する位置で保持しているので、内索の緊張/弛緩ないし押し引き操作によって 被操作部材を操作することができる。緊急時には、保持機構によって導管を圧縮力 を開放する位置に移動させることにより、内索の緊張を開放することができる。

[0064] 前記保持機構が、導管の端部を保持するブラケットと、そのブラケットとネジーナット 結合された回転部材と、その回転部材を外部から回転操作する操作手段とを備えて いる場合は、操作手段によって回転部材を外部から操作することにより、ブラケットの 位置を移動させて導管を圧縮状態にしたり、圧縮力を開放させたりすることができる。 操作手段が回転ケーブルを備えている場合は、遠隔操作でブラケットの位置を移動 させることができる。

[0065] 前記コントロールケーブルがブレーキを操作するプルコントロールケーブルであり、 そのプルコントロールケーブルの内索力 ブレーキのリターンスプリングによって常時 張力が付与されている場合は、モータの一方向の回転により回転部材を回転させて 内索を引っ張り操作することができ、モータの他方向の回転により、内索を引く力を弱 めてリターンスプリングの付勢力に従わせてケーブルを送り出すことができる。また、 内索に大きい張力を負荷した状態で電気系統に故障が生じたときは、前述の緊急解 除機構によって内索の張力を解消することができ、被操作部材の作動状態を解消で きる。

[0066] 本発明の電動式ブレーキ装置は、前述の緊急解除機構を備えているので、モータ 駆動でケーブルを引き操作してブレーキをかけたり、解除したりすることができる。そ してブレーキをかけた状態で電気系統に故障が生じたときでも、緊急解除機構で手 動操作によってケーブルの張力を解消することができ、ブレーキを解除することがで きる。それにより、 自動車などを移動させることができる。なお、ケーブルによるブレー キ操作ができない状態でも、通常は油圧ブレーキなどのサービスブレーキが利用で きるので、 自動車などの運転は問題がない。

[0067] 本発明のケーブル駆動装置の第 7の態様は、モータが一方向に、たとえばケープ ルを引く方向に回転すると、回転部材が回転して変換機構により直進部材をケープ ルを弓 Iく方向に駆動する。また、モータが他方向に回転すると、ケーブルを押したり、 あるいは引く力を弱める。それにより、ケーブルの往復操作を行うことができる。そして 減速機が回転要素と卷き掛け伝導要素によって構成されているので、ギヤ同士が嚙 み合わなレ、。そのため減速機の騒音の発生が少なレ、。

[0068] 前記回転要素がプーリであり、前記卷き掛け伝導要素がベルトである場合は、一層 騒音の発生が少ない。また、プーリが歯付きプーリであり、前記ベルトが歯付きベルト である場合は、モータの回転と変換機構との間ですべりが生じない。そのため、モー タの制御が確実になる。さらにモータの回転や歯付きプーリの回転を検出することに より、ケーブルの操作量を検出することができる。また、ベルトではグリースが不要で あり、グリース切れという心配がない。

[0069] 前記ケーブルが自動車のパーキングブレーキを操作するケーブルである場合は、 エンジンがアイドル運転をしているときでも、ケーブルの操作音が目立たなレ、。したが つて運転者や同乗者の不快感が少ない。

[0070] 本発明の電動ブレーキ装置は、本発明の電動ブレーキ装置は、前述のケーブル駆 動装置を用いているので、構成が簡単で、し力もブレーキ力の制御精度が高レ、。また 、荷重センサを用いている場合は、安全性を向上しうる。さらにイコライザを用いる場 合は、左右のブレーキ力を均等にすることができる。緊急解除機構を備えている場合 は、電気系統に故障が生じたときでも、手動でブレーキを解除することができる。卷き 掛け伝導タイプの減速機を用いる場合は、騒音を減少することができる。 発明を実施するための最良の形態

[0071] 図 1に示すケーブル駆動装置 10は、本体 11とカバー 12と力もなるハウジング 13 と、そのハウジングに取り付けられるモータ Mと、ハウジング 13内に収容され、モータ の回転を減速する減速機 Gと、減速機の出力部に連結されるネジ—ナット機構（回転 Z直進変換機構） 14と、そのネジ—ナット機構によって往復駆動されるコントロール ケーブル 15とを備えている。なお符号 16はハウジング 13を保持するベースブラケッ トであり、符号 17はコントロールケーブル 15の途中に介在されてコントロールケープ ル 15の内索 45の荷重を検出する荷重センサである。荷重センサは設けなくてもよい 。し力 後述するように、その出力をケーブル駆動装置およびそれが用いられる種々 の装置、とくにパーキングブレーキ装置の安全のために用いるほうが好ましレ、。

[0072] 前記ハウジング 13の本体 11には、モータ Mを取り付けるための取り付け座 21が設 けられ、ネジ（図 2の符号 22)によってモータ Mが固定されている。本体 11とカバー 1 2との間には、減速機のギヤを支持する第 1軸 23、第 2軸 24がモータ Mの出力軸 25 と平行に配置され、固定されている。さらにハウジング 13には、ネジ一ナット機構 14 のナット部材 26が回転自在に支持されている。ナット部材 26の回転中心はモータ M の出力軸 25と平行である。

[0073] 減速機 Gは、モータ Mの出力軸 25に固定されているピニオン 27と、第 1軸 23によ つて回転自在に支持され、ピニオン 27と嚙み合う第 1ギヤ 28と、前記第 2軸 24によつ て回転自在に支持され、第 1ギヤ 28と嚙み合う第 2ギヤ 29と、ナット部材 26の外周に 固定され、第 2ギヤ 29と嚙み合う第 3ギヤ 30とからなる。図 2に示すように、第 1ギヤ 2 8はピニオン 27と嚙み合う大径ギヤ 28aと、その大径ギヤと一体に回転する小径ギヤ 28bとを備えている。第 2ギヤ 29は第 1ギヤの小径ギヤ 28bと嚙み合う大径ギヤ 29aと 、その大径ギヤと一体に回転して第 3ギヤ 30と嚙み合う小径ギヤ 29bとを備えてレ、る 。なお図 2では、煩雑さを避けるために各ギヤは一点鎖線で有効径のみを示している

[0074] 前記減速機 Gでは、モータ Mの回転は、ピニオン 27から第 1ギヤの大径ギヤ 28aへ 伝達されるとき、第 1ギヤの小径ギヤ 28bから第 2ギヤの大径ギヤ 29aに伝達されると き、および第 2ギヤの小径ギヤ 29bから第 3ギヤ 30に伝達されるときにそれぞれ減速 され、全体として 3段減速の作用が奏される。ギヤ比がたとえばそれぞれ 1/3であれ ば、全体の減速比は 1Z27となる。

[0075] 図 1に戻って、前記ネジ—ナット機構 14は、前述のナット部材 26と、そのナット部材 26と螺合するロッド 32と、そのロッドに固定される角形のスライダ 33と、ロッドの回転 を拘束するため、スライダ 33を摺動自在にガイドするガイド部材 34とを備えている。 ナット部材 26は円筒状を呈しており、ハウジングの本体 11に設けられる筒状の受け 部 11aによって回転自在に支持される。ナット部材 26の先端の内面には雌ネジ 35が 形成されている。長手方向の中心部の外周には、ケーブル操作の時のスラスト荷重、 とくにケーブルを引っ張るときの反力を支持するフランジ 36が形成されている。なお、 符号 37、 38はスラスト荷重を受けるヮッシャ 39、 40を保持する Cリングであり、ナット 部材 26の外周に形成される環状溝に嵌合している。

[0076] 第 3ギヤ 30の内周は回り止めのための四角形の貫通孔が形成されており、ナット部 材 26の第 3ギヤ 30と嵌合する表面には、その貫通孔と嵌合する 4個所の平坦面 41 が形成されている。さらにナット部材 26の基端、すなわち雌ネジ 35が形成されている 側と反対側の端部はカバー 12から突出しており、その端部内に、手動でブレーキ解 除操作を行うための係合部材 42がカシメなどで固定されている。係合部材 42はいわ ゆる六角レンチと嵌合する断面六角形の係合穴 42aを備えている。さらに係合部材 4 2の内面には、ゴムなどからなるストッパ 43が取り付けられている。

[0077] 前記ロッド 32の一端近辺にはナット部材 26の雌ネジ 35と螺合する雄ネジ 44が形 成されている。他端にはコントロールケーブル 15の内索 45の端部を嵌入してカシメ などで固定する穴 46が形成されている。穴の周囲は薄肉の筒状部とされ、カシメカ口 ェのときに角形に成形されて角形部 47となる。その角形部の外周には前記スライダ 3 3が嵌合され、固定されている。スライダ 33の外周は図 3に示すように、略四角形とさ れており、筒状のガイド部材 34の内面と回転しないように、軸方向に摺動自在に嵌 合してレ、る。ガイド部材 34の基端はハウジングの本体 11に設けられる前記受け部 11 aの外周に嵌合固定されてレ、る。

[0078] 前記コントロールケーブル 15は、可撓性を有する導管 49と、その導管内に摺動自 在に収容される前述の内索 45とからなる公知のものである。導管 49は断面角形の金 属線を密に螺旋状に卷レ、た鎧層とその外周に設けられる合成樹脂製の被覆とからな る。内面に合成樹脂製のチューブ状のライナが設けられる場合もある。内索 45は金 属素線を撚り合わせたものであり、この実施形態ではその外周に合成樹脂製のコート を設けている。

[0079] 導管 49の端部には筒状のケーシングキャップ 50がカシメなどで固定され、そのケ 一シングキャップに設けられているフランジ部が前記ガイド部材 34の自由端のフラン ジ部（図 3の符号 34a)に固定されている。ケーシングキャップ 50の内側の端部には、 筒状のクッションラバー 51が設けられている。内索 45の端部は前述のようにロッド 32 の穴 46に嵌入され、カシメなどによって固定されている。この実施形態ではコントロー ルケーブル 15は引き力を伝達するプルコントロールケーブルを採用している。ただし 用途によってはプッシュプルコントロールケーブルであってもよレ、。

[0080] 前記のように構成されるネジ—ナット機構 14とコントロールケーブル 15においては 、第 3ギヤ 30が回転するとナット部材 26も一緒に回転する。そしてナット部材 26と螺 合しているロッド 32は、ガイド部材 34およびスライダ 33によって回転が拘束されてい るので、ナット部材 26に対して相対的に回転し、軸方向に移動する。それによりロッド 32に連結されている内索 45が軸方向に操作される。ネジ—ナット機構 14では、ナツ ト部材 26がー回転するときにロッド 32がネジの 1ピッチ分（1リード分)移動するので、 この機構でも減速作用が奏される。

[0081] 前記モータ Mは、たとえば 3相のコイル相を備えた DCブラシレスモータが用いられ る。図 4に示す回路では、モータ Mのロータとそのロータと対向する固定要素（たとえ ばモータハウジングなど）との間に、コイル相の磁極を反転励磁させるための位置検 出用センサ Se：!〜 3が設けられる。

[0082] そのようなセンサとしては、ロータに設けられる 3個の検出用磁石とモータハウジン グに設けられるホール ICセンサ（ホール効果素子センサ）との組み合わせが好適で ある。検出用磁石に代えて、コイル Co：!〜 3と作用する駆動用の磁石を用いることも できる。そのほうが構成が簡単である。 3個のホール ICセンサのほ力、光センサなど、 他のセンサを用いることもできる。それらのセンサの出力はコンパレータなどの増幅回 路 52、コイルの磁極を反転させる転流回路 53などを備えたモータドライバ 54に送ら れる。

[0083] 本発明のケーブル駆動装置では、前記センサのパルス出力をケーブル操作位置 検出回路 55に送り、パルス数をカウントし、ケーブル位置を示す信号に換算する。得 られたケーブル位置信号は、基本的にケーブルによる操作対象の位置信号として、 マイクロプロセッサ 56に送られ、ブレーキの〇NZ〇FF操作などのための操作スイツ チ SW、各種のインターロック信号に基づいてモータ Mの正転、停止、逆転の制御、 回転数の制御信号を作成し、モータドライバ 54を介してモータ Mを回転/停止させ る。

[0084] また、内索の永久伸びの補償、ブレーキ用摩擦部材の摩耗などによるケーブル基 準位置の変化は、毎回あるいは数回のブレーキ操作のたびに演算され、記憶され、 適切なブレーキ操作のために用いることができる。内索の永久伸びの補償をする場 合、たとえば後述するように、ケーブルを送り出す操作において荷重センサが無負荷 状態を検出したときにモータを停止させると共に、ケーブル位置の基準位置をゼロに 再設定するなどにより行うことができる。

[0085] 上記のケーブル駆動装置 10では、モータ Mが 1回転すると、減速機 Gでたとえば 1 /27に減速されてナット部材 26が 1/27回転する。それによりネジの 1ピッチの 1/ 27だけ内索 45を操作する。そして第 2ギヤ 29に検出用磁石をたとえば 10個設け、 ハウジングのカバー 12にそれらの磁石を検知するホール IC素子を設けるとすると、 モータ 1回転当たり、パルスが 10/9パルス発生する。しかしモータ Mに内蔵されて レ、る励磁センサをカウントすると、モータ Mの 1回転で 3パルスとしても、 3/10 X 9で 2. 7倍の分解能となる。

[0086] つぎに図 5を参照して前記ケーブル駆動装置を備えた電動ブレーキ装置の実施形 態を説明する。この電動ブレーキ装置 60は、前述のケーブル駆動装置 10と、そのコ ントロールケーブル 15の内索 45の他端側に揺動自在に連結されるイコライザ 61と、 そのイコライザに連結される左右の第 2コントロールケーブル 62、 62と、第 2コント口 ールケーブル 62の他端側に連結されるブレーキ機構 63とからなる。ブレーキ機構 6 3は、ブレーキドラム 64と、そのブレーキドラムに取り付けられるブレーキシュ一 65と、 ブレーキドラム 64を戻し方向（矢印 R方向）に付勢するリターンスプリング 66と、第 2コ ントロールケーブル 62で作動するパーキングレバー 67とを備えた公知のものである。 内索 45の途中に荷重センサ 17を介在してもよい。

[0087] この電動ブレーキ装置 60は、通常の状態ではリターンスプリング 66の付勢力でブ レーキドラム 64が矢印 R方向に回動してブレーキ解除の状態になっている。そして運 転者がスィッチ SWを入れるとケーブル駆動装置 10のモータ Mがー方向に回転し、 図 1のナット部材 26が回転し、ロッド 32をナット部材の内部に引き込む。それにより口 ッドに連結されているコントロールケーブル 15の内索 45が引っ張られ、図 5のィコライ ザ 61を介して 2本の第 2コントロールケーブル 62の内索を引く。それによりパーキン グレバー 67がブレーキ作動方向（矢印 K)に回動してブレーキがかかる。

[0088] このブレーキ作用のときは、前述のケーブル操作位置検出回路であらかじめ記憶さ れているデータと比較して停止信号が出され、モータが停止する。さらにケーブルの 荷重センサ 17の出力が制御回路に送られ、所定の上限の値を超えたときに、モータ を停止させるように構成している。そして前記ケーブルの操作量の検出回路がケープ ルの位置を検出し、ブレーキが掛カ ているまでケーブルが移動していないにも関わ らず、ケーブルの荷重が所定値を越えたときは、システム異常と判断し、ワーニング 信号を発信させ、ワーニングランプやワーニングブザーなどで運転者に故障を認知さ せること力 Sできる。

[0089] 運転者がブレーキを解除する場合は、スィッチ（図 4の符号 SW)の操作によりモー タ Mを逆方向に回転させ、ナット部材 26からロッド 32を送り出す。それにより内索 45 は図 5の 2本の第 2コントロールケーブル 62の内索およびイコライザ 61を介してブレ ーキ機構 63のリターンスプリング 66の付勢力により引き戻される。モータ Mを停止さ せるタイミングでは、ブレーキが充分に掛かっている状態で、し力も内索 45などに弛 みが生じない状態である必要がある。荷重センサ 17を備えている場合は、前記制御 回路では、ケーブルの送り出し操作のときに、無負荷になった時点でモータを停止さ せるようにしている。そのため、ケーブルに永久伸びが生じた場合には、余分にケー ブルを送り出すことがなレ、。したがってケーブルに弛みが生じにくぐつぎにケーブル を引っ張るときも余分な引っ張り操作が不要である。さらに前述のようにケーブル駆動 装置 10のモータ Mの制御は高精度であるので、ブレーキ操作は適切に行われ、摩 擦部材の無駄な摩耗が抑制されると共に、内索 45の弛みや張り過ぎに基づく損耗が 抑制される。

[0090] 上記のような電動ブレーキ装置 60は、通常はパーキングブレーキの操作に用いら れる。ただし緊急時にサービスブレーキに代わる非常用ブレーキとして操作できるよ うにしておくのが好ましい。前記実施形態ではモータ Mとして 3相のブラシレスモータ を用いているが、ブラシ付きのモータであってもよぐ 3相以上の励磁形式のモータも 使用しうる。

[0091] ブラシ付きのモータのように、内部にパルス発生手段を備えていないモータを用い る場合は、モータの出力軸、あるいは減速機のギヤ、ナット部材などの回転によって ノ ルスを発生する手段を設けるのが好ましい。そのようなパルス発生手段は、回転軸 やギヤなどの回転部材に設けられる検出用磁石（基本的に多極磁石 1個）と、ケーシ ングなどの固定要素に設けられるホール ICセンサ（ホール効果素子センサ）との組み 合わせが好適である。

[0092] 本発明のケーブル操作装置は、ブレーキ操作のほか、種々のケーブルを押し引き するリニアァクチユエータとして多の用途にも使用することもできる。ケーブルを押し 引きして用いる場合は、プッシュプルケーブルが用いられる。

[0093] 図 6および図 7に示すケーブル駆動装置 70は、 2本のコントロールケーブル 15、 15 を同調して引き操作および戻し操作をするネジーナット機構を備えている。モータ M および減速機 Gは図 1および図 2のケーブル駆動装置 10と実質的に同一であるので 、同じ符号を付して説明を省略する。ケーブルの荷重センサ 17は、片方のコントロー ルケーブル 15の内索 45の途中に介在させることができる。このケーブル駆動装置 7 0では、第 3ギヤ 30を支持するスクリューシャフト 71に雄ネジ 44が形成されており、そ の雄ネジにナット部材 26が螺合されており、両者でネジ—ナット機構を構成している

[0094] ナット部材 26は図 7および図 8に示すように、合成樹脂製の円柱状の本体 26aと、 その本体内にインサート成形により固定された金属製の角柱状のナット 26bとからな る。ナット部材 26は図 7に示すように、イコライザ 61の有底円筒部 61aによって回動 自在に抱持されている。イコライザ 61は図 8に示すように、金属板を折り曲げないし 絞り成形した部品であり、中央部は 2個の有底円筒部 61aを向かい合わせにした形 態で、上端および下端は 2枚の金属板が向かい合わせに配置された形態である。上 端の 2枚の金属板同士はつながっている。イコライザ 61の有底円筒部 61aは筒状の ガイド部材 72の内面によってケーブルの移動方向に摺動自在にガイドされている。

[0095] ハウジング 13に固定される筒状のガイド部材 72の先端には、 2本のコントロールケ ーブノレ 15、 15の導管がケーシングキャップ 50、 50によって固定されている。ケーシ ングキャップ 50、 50の一端はガイド部材 72の内部に入り込んでおり、それらの先端 に支持プレート 73が固定されている。その支持プレート 73は前記スクリューシャフト 7 1の先端を回転自在に支持している。 2本のコントロールケーブル 15、 15の内索 45、 45の先端は、それらの先端に固着したケーブルエンド 74、 74によってイコライザ 61 の上端および下端に形成された係止孔 75、 75に保止されている。

[0096] このケーブル駆動装置 70は 2本のコントロールケーブル 15、 15の内索 45、 45を同 調して引き操作および戻し操作をすることができるので、それらのコントロールケープ ノレ 15、 15ίま図 5の第 2コントローノレケープノレ 62、 62のように、直接ブレーキ機構 63 に連結することができる。

[0097] 図 9aおよび図 9bはナット部材 26にグリース溜まり 76を設ける場合を示している。グ リース溜まり 76は上面側に開口しており、その前後に突出する突出部 77に雌ネジ 78 を形成している。ナット部材 26は図 9bに示すように、イコライザ 61を介してガイド部材 72によって回動しないように拘束されているので、その上面側に開口するグリース溜 まり 76を設けてもグリースは流れない。さらにグリース溜まり 76の開口はイコライザ 61 によって塞がれているので、グリースが保護される。なお、図 7の断面図は、通常は図 面の左側は上側になる。図 2についても同様である。ただし他の向きにすることもでき る。

[0098] グリースは半固形でもよ 流動体であってもよレ、。上記のようにグリース溜まり 76を 設けることにより、グリース給油の間隔を大幅に延ばすことができる。そのため、ガイド 部材 72によって囲まれているナット部材 26へのグリース給油が楽になる。

[0099] 図 6のケーブル駆動装置 70では、荷重センサ 17が片方のコントロールケーブル 15 の内索 45に設けられている。すなわちイコライザ 61の作用で両方のコントロールケ一 ブル 15の内索 45の張力は均等になっているので、片方のみを検出すれば足りるか らである。しかし両方のコントロールケーブル 15の内索 45に設け、両者の平均によつ て張力を検出することもできる。 [0100] 図 10はブレーキ操作用のケーブル（図 1や図 6の内索 45)の途中に介在させる荷 重センサの一実施形態を示している。図 10の荷重センサ 80は、市販の歪みゲージ で構成することができ、内索が連結されるプレート 81と、そのプレート 81の表面に取 りつけた歪みゲージ 82と、その歪みゲージ 82から延びる電線 83とを備えている。ま た、プレート 81の両端には、内索 45の端部にダイカストなどで形成 ·固着されるケー ブルエンド 74を係止するための係止部 81a、 81bが設けられている。

[0101] これらの係止部 81a、 81bは、プレート 81の両端力も側方に延びている部分を隙間 をあけて折り曲げ、折り曲げた上板 81cと元のプレート（下板）の対応する部分にそれ ぞれダイカストなどで形成したケーブルエンド 74を係止する係止孔 75を形成し、上 板 81cの係止孔 75は側方に延びる導入溝 81dによって外部と連通させている。なお 、ケーブルに加わるテンションによって弾性伸びが生じやすいように、プレート 81の 途中を細くしてもよい。

[0102] この荷重センサ 80は、ケーブルに荷重が加わり、プレート 81が弾性伸び変形する と、歪みゲージ 82の電気抵抗が変化する。その変化をホイーストンブリッジなどで精 密に測定することにより、荷重を検出することができる。

[0103] 図 11に示す荷重センサ 84は、箱状のケース 85と、その内部に軸方向移動自在に 収容されるケーブル 45aないしロッドと、そのケーブル 45aの先端に固定したピストン 状の係止部材 87と、その係止部材 87とケース 85の内面の間に介在され、ケープノレ 45aの周囲に配置される圧縮バネ 88と、係止部材 87のケース 85に対する相対位置 を検出する位置センサ 89とを備えている。位置センサ 89としては、係止部材 87に取 りつけた磁石 90と、ケース 85に取りつけたホール IC91などがあげられる。リミットスィ ツチを用レ、ることもできる。図 11の場合は圧縮パネ 88として、圧縮コイルパネを採用 している。ただし多数枚重ねた皿バネを採用することもできる。ケース 85の一端には ケーブル 45aが貫通する貫通孔 85aが形成されている。

[0104] 上記のように構成されるストローク検出タイプの荷重センサ 84は、ケース 85の他端 あるいは他の部位に係止部 85bを設け、その係止部にブレーキ操作用ケーブル 15 の内索 45をケーブルエンド 74によって係止する。また、ケーブル 45aの他端は、図 1 の雄ネジ付きのロッド 32の端部あるいはスライダ 33に連結する。図 6の場合は、ケー ブル 45aの端部にケーブルエンド 74を固着してイコライザ 61に連結する。それにより ブレーキを操作する内索 45の張力を荷重センサ 84で検出することができる。

[0105] すなわちロッド 86と内索 45の間に加わる張力が小さい場合は、圧縮パネ 88の作用 で係止部材 87が図 11の左側に移動している。そして内索 45に大きい張力が加わつ たとき、係止部材 87が圧縮パネ 88の付勢力に抗して右側に移動する。それによりホ ール IC90が磁石 91の磁気を検出し、内索 45の張力が過大になったこと、あるいは 無負荷になったことを検知することができる。

[0106] 図 10および図 11の荷重センサ 80、 84は、たとえば図 1のケーブル駆動装置 10お よび図 6のケーブル駆動装置 70における内索 45の途中に介在させる荷重センサ 17 として用いることができる。それにより、パーキングブレーキの操作時に内索 45に過 大な張力が加わっていないか、検出することができる。ブレーキをかける操作の時に このような過大な張力が検出された場合は、一時モータ Mを停止させ、 2〜3回程度 ブレーキをかける操作をしても過大な張力が残る場合は、異常が発生したとして、ドラ ィバーに知らせるべく表示灯を点灯し、あるいはブザーを鳴らす。さらにモータ Mを 停止させるようにしてもよレヽ。

[0107] 前記実施形態では荷重センサ 80、 84はケーブル（内索 45)の途中に介在させて いるが、図 1のロッド 32と内索 45の間、あるいは図 6の内索 45とイコライザ 61の間に 介在させることもできる。さらに前記実施形態では、荷重センサはケーブル駆動機構 のハウジング 13の内部に設けている力 図 5に示すように、外部に設けることもできる 。ただし荷重センサの保護のため、ハウジング 13の内部に設ける方が好ましい。

[0108] 図 12のケーブル駆動装置 100は、遠隔操作ができる緊急解除機構（ェマージヱン シー機構） 101を備えている。この緊急解除機構 101は、図 1あるいは図 6などのケー ブル駆動装置 10、 70に用いられる。このケーブル駆動装置 100の基本構成は、図 6 のケーブル駆動装置 10とほぼ同様であり、モータ Mおよび減速機 Gを介してスクリュ 一シャフト 71を回転させ、そのスクリューシャフトと螺合するナット部材 26を直進駆動 し、プルコントロ一ルケ一ブルの内索 45を引き操作および送り出し操作するするもの である。

[0109] この緊急解除機構 101では、スクリューシャフト（回転部材） 71をケーブルから離れ た通常位置と、ケーブル側に近づいた解除位置との間で軸方向に移動自在に構成 している。このような構成は、たとえば第 3ギヤ 30とスクリューシャフト 71とをスプライン などで、軸方向に移動自在かつ、トルク伝達可能に連結することにより実現すること ができる。そしてこのエマージェンシー機構 101はさらに、通常時はスクリューシャフト 71の回転を許しながら通常位置に拘束すると共に、緊急時には回転部材スクリュー シャフト 71を解除位置に移動させるキャッチ機構 102と、そのキャッチ機構 102を遠 隔操作するための手段、たとえば引きコントロールケーブルからなる解除ケーブル 10 3とを備えている。

[0110] 図 12の実施形態では、回転部材カ Sスクリューシャフト 71であり、直進部材はナット 部材 26である。しかし図 1の場合のように、回転部材をナット部材 26とし、直進部材を 雄ネジを備えたロッド 32とすることもできる。この実施形態ではスクリューシャフト 71の 一端は減速機 Gのハウジング (あるいはカバー 12)から突出させ、その端部に有底筒 状のキャッチ部材 104を軸方向に移動自在に、かつ回転自在に設け、第 1パネ 105 でキャッチ部材 104をスクリューシャフト 71の端部から突出させるように付勢している

[0111] 第 1パネ 105は圧縮コイルパネなどが用いられ、一端がキャッチ部材 104に、他端 力 Sスクリューシャフト 71に設けた Cリング 71aなどの係止部にそれぞれ係止されている 。キャッチ部材 104の内面には、ボール 106の一部が入り込む凹部 104aが形成され ている。凹部 104aは環状に形成されており、その端部はボール 106が乗り上げやす レ、ようにテーパ状にしている。

[0112] そして自動車の車体などの静止部分に、キャッチ部材 104の外周面とスライド自在 に嵌合する円筒状のボール保持部材 107を設けている。ボール保持部材 107には、 ボール 106を収容する貫通孔 108が複数個形成されており、その内部に前記ボール 106が保持されている。ボール 106は通常の鋼球などを用いることができる。

[0113] ボール保持部材 107の内部には、制御ロッド 109が軸方向に移動自在に収容され ている。制御ロッド 109の外周には、ボール 106の一部を収容するための凹溝 109a が形成されている。凹溝 109aは環状に形成されており、その端部はボール 106が乗 り上げやすいようにテーパ状にしている。制御ロッド 109の端部には、遠隔操作用の 解除ケーブル 103の一端が連結されている。その解除ケーブル 103あるいは制御口 ッド 109は、第 2バネ 110によって図 12の左側に付勢されている。第 2バネ 110はたと えば圧縮コイルバネであり、一端が制御ロッド 109のフランジ部 109bに係止され、他 端が静止部材 111に係止されている。なお、弓 Iつ張りコイルパネを用いることもできる

[0114] 上記のように構成される緊急解除機構 101は、通常の状態では図 12 (および図 13 の第 1工程 S1)のように、解除ケーブル 103が引かれておらず、第 2バネ 110の付勢 力にしたがって制御ロッド 109が左側に移動している。そのためボール 106が制御口 ッド 109の外周に乗り上げて、その一部がキャッチ部材 104の凹部 104aに入り込ん でいる。それによりスクリューシャフト 71は図 7の右側、すなわち通常位置に拘束され ている。したがってモータ Mの回転は減速機 Gを介してスクリューシャフト 71に伝達さ れ、ネジ結合を介してナット部材 26を軸方向に操作する。それにより、引きコントロー ルケ一ブルの内索 45を引き操作および緩め操作をすることができ、たとえばパーキ ングブレーキのブレーキ作動および解除の操作を電気駆動によって行うことができる

[0115] ブレーキをかけた状態でモータ Mへの通電が止まるなどの緊急の事態では、解除 ケーブル 103を第 2バネ 115の付勢力に抗して図 12の右側に引っ張る。それにより、 図 13の第 2工程 S2のように、制御ロッド 109が引かれ、制御ロッド 109の凹溝 109a にボール 106が落ち込む。それによりボール 106とキャッチ部材 104の係合が外れ、 スクリューシャフト 71およびそれに螺合しているナット部材 26は軸方向に移動自在と なる。それにより、ケーブル 15が操作している対象物の操作、たとえばパーキングブ レーキの作動が解除される。図 13の第 3工程 S3は、ブレーキ側のリターンスプリング でケーブルが引かれ、スクリューシャフト 71およびナット部材 26が左側に移動してい る状態を示す。それにより、自動車を運転したり、手で押して移動させることができる。

[0116] 解除ケーブル 103を弓 Iく操作は、通常はドライバが手元のレバーなどで操作する。

ただし電気系統を別にしたソレノィドアクチユエータなどの他の手段で行うこともできる 。モータ Mの通電が回復した後は、図 13の第 4工程 S4に示すように、解除ケーブル 103を引く力を緩め、第 2バネ 110の付勢力で制御ロッド 109を左側に移動させる。 それによりボール 106は再び制御ロッド 109の表面に乗り上げる。この状態でモータ Mをブレーキ解除方向と同方向に回転させる。この場合、スクリューシャフト 71が軸 方向に移動自在であるので、ナット部材 26はブレーキ側のリターンスプリングの付勢 力に杭して右側に移動することができず、逆にスクリューシャフト 71が右側に移動す る（図 14の第 5工程 S5)。

[0117] このときキャッチ部材 104がボール保持部材 107の外周に嵌合する力 キャッチ部 材 104の端部がボール 106に当たっても、ボール 106が制御ロッド 109の表面に乗 つているので、キャッチ部材 104はそれ以上進まなレ、。そしてスクリューシャフト 71の みが第 2パネ 110に抗して右側に移動し、その先端が制御ロッド 109の先端に当接 する（第 6工程 S6)。そしてさらにスクリューシャフト 71が回転すると、スクリューシャフ ト 71は制御ロッド 109を第 1パネ 105の付勢力に抗して右側に押し込む（第 7工程 S7 )。そして制御ロッド 109が右側に後退すると、制御ロッド 109の表面の凹溝 109aに ボール 106が入り込みむ。それによりキャッチ部材 104がボール保持部材 107の外 周に深く嵌合し、キャッチ部材 104がボール 106の外周に被さることになる（第 8工程 S8)。その後は通常のパーキングブレーキ操作モードに戻り、モータ Mをブレーキを かける方向、すなわちケーブル 15を引き込む方向に回転させることにより、ブレーキ 操作をすることができ、逆方向に回転することによりブレーキを解除することができる。

[0118] 前記実施の形態では、キャッチ部材 104をスクリューシャフト 71に対して軸方向移 動自在および回転自在に設けている力 キャッチ部材 104をスクリューシャフト 71に 対して回転しないように設け、キャッチ部材 104とボール 106の間で回転を許すよう に構成することもできる。また、ボール保持部材 107の外周にキャッチ部材 104を被 せ、内周に制御ロッド 109を揷入している力 ボール保持部材 107の内周にキャッチ 部材 104を揷入して、筒状の制御部材をボール保持部材 107の外周に設けることも できる。

[0119] また、前記実施形態では、ボール 106を利用したキャッチ機構 102を用いているが 、弾力的に閉じる一対の爪部材などでキャッチ機構を構成することもできる。たとえば 図 15に示すように、スクリューシャフトや筒状のナット部材 26などの回転部材の端部 に回転自在に設けた係合部材 112を一対の爪部材 113が掴むように構成し、爪部 材 113をパネ 114によって常時掴む方向に付勢する。さらに係合部材 112が外れて レ、る状態から戻るときに、係合部材 112の端部が爪部材 113をパネ 114の付勢力に 抗して押し広げるように、爪部材 113あるいは係合部材 112にテーパ面を設けるのが 好ましい。そして解除ケーブル 103は、爪部材 113を拡げるように操作できるように構 成する。

[0120] 図 12のケーブル駆動装置 100では、解除ケーブル 103の引き操作でスクリューシ ャフト 71の軸方向の移動の拘束/解除を操作しているが、電気的な駆動手段を含む 他の機構により、スクリューシャフト 71の軸方向の移動の拘束/解除を遠隔操作する ようにしてもよい。なお、緊急時の一時的な操作であるので、解除ケーブル 103など の遠隔操作手段を用いず、ドライバや乗客が直接制御ロッド 109などを操作するよう に構成することもできる。

[0121] 図 16に示すケーブル駆動装置 120は、基本的な構成は図 1のケーブル駆動装置 10と同一であるが、爪キャッチタイプの緊急解除機構 121を備えている。すなわち、 前記ガイド部材 34の自由端近辺には、軸方向に延びる切り欠き溝 34bが形成されて おり、その近辺に係合爪 122がハウジング 13によって回転自在に支持されている（図 17参照）。係合爪 122には、支持軸 123と、回動中心から半径方向外側に向かって 延びる操作片（操作レバー） 124とが設けられている。係合爪 122は支持軸 123から 斜め方向に延び、先端がブラケット 51aの内面側と係合している。係合爪 122は、捻 りコイルバネなどのバネ 125によって図 16の時計方向に付勢されている。そして通常 の状態では、係合爪 122の先端は、ブラケット 51aと係合して、ブラケット 51aの図 16 おける右側への移動を拘束している。操作片 124を操作して係合爪 122を反時計方 向に回動させると、その拘束が開放される。

[0122] すなわち係合爪 122およびバネ 125はブラケット 51aの軸方向の移動を拘束する 拘束機構であり、操作片 124は、その拘束を解除する開放操作手段である。そして 係合爪 122、パネ 125および操作片 124は全体で緊急解除機構 121を構成してい る。なお、操作片 124に遠隔操作用の解除ケーブル 126を連結することもできる。解 除ケーブル 126としては、内索と導管とからなるプルコントロールケーブルの内索を 用いることができる。ただしプーリやスライドガイドなどの適切なガイド手段を採用すれ ば、内索のみを解除ケーブルとすることもできる。また、プルコントロールケーブルの 導管を解除ケーブルとして用いたり、プッシュプルコントロールケーブルの内索あるい は導管を解除ケーブルとして用いることもできる。

[0123] 前記のように構成されるケーブル駆動装置 120において、緊急解除機構 121が操 作されていない状態では、図 1の場合と同様に作動する。すなわちネジ—ナット機構 14とコントロールケーブル 15において、第 3ギヤ 30が回転するとナット部材 26も一緒 に回転する。そしてナット部材 26と螺合しているロッド 32は、ガイド部材 34およびスラ イダ 33によって回転が拘束されているので、ナット部材 26に対して相対的に回転し、 軸方向に移動する。それによりロッド 32に連結されている内索 45が軸方向に操作さ れる。このような操作においては、ブラケット 51aの右側への移動が係合爪 122によつ て拘束されているので、導管 49は内索 45の反力を支持することができ、内索 45が右 側へ移動し、被操作部材を引き操作することができる。また、モータ Mの反対方向の 回転により、引き操作を解除することができる。

[0124] 前記ケーブル駆動装置 120において、コントロールケーブル 15の内索 45を引っ張 り操作した状態 (スライダ 33が右側に移動している状態）で、モータ Mの電線が断線 するなどの障害が発生したときは、パネ 125の付勢力に抗して操作片 124を反時計 方向に回動させ、係合爪 122とブラケット 51aの係合を開放する。それによりブラケッ ト 51aおよび導管 49の端部が内索 45に付与されている張力の反作用として右側に 移動し、内索 45の張力がなくなる。すなわち導管 49が内索 45の反力を支持できなく なるので、内索 45による被操作部材の引き操作が解消される。電気系統の故障が回 復した場合は、モータ Mによってナット部材 26を回転させ、ロッド 32を左側に移動さ せ、クッションラバー 51を押してブラケット 51aを元の位置に押し戻す。

[0125] なお、この実施形態では、係合爪 122が斜め方向に延びており、内側の面がカム の作用を奏する。すなわち、係合爪 122はパネ 125の付勢力で時計方向に回動し、 ブラケット 51 aの端部に当接する。そして電気系統の故障が回復してブラケット 51 aを 元の位置に戻すとき、ブラケット 51aが係合爪 122の内側の面を押して操作片 124を 押し開きながら元の位置に戻る。そしてブラケット 51aが元の位置に戻ったとき、バネ 125の付勢力で自動的にブラケット 51aと再び係合する。 [0126] 上記のようなケーブル駆動装置は、図 1の場合と同様に、図 5の電動ブレーキ装置 60として、パーキングブレーキの操作に用いられる。前述の手動で操作ができる緊 急解除機構 121は、電動ブレーキ装置 60のようにブレーキをかけた状態で電気系統 が故障したときに困る場合に採用される。すなわちブレーキをかけた状態で電気系 統が故障すると、ブレーキを解除できなくなり、 自動車を移動させることができない。 その場合、緊急解除機構 121の解除ケーブル 126を引くと、前述のように係合爪 12 2がブラケット 51aから外れ、ブラケット 51aおよび導管 49が前方（図 1の右側）に移動 する。それにより内索 45の張力がなくなり、ブレーキが解除される。したがって自動車 を移動させること力 Sできる。

[0127] つぎに図 18〜21を参照して本発明のケーブル駆動装置の他の実施形態を説明 する。図 18に示すケーブル駆動装置 130は、緊急解除機構 131を除いて図 16のケ 一ブル駆動装置 120と実質的に同一である。また、緊急解除機構 131についても、 ガイド部材 34を軸方向に移動可能にしたり、係合爪 122を上下に設けたりするなど、 一部が異なるが、図 16の緊急解除機構 121と基本的に同じ構成を備えている。その ため、同じ部分に同じ符号を付して説明を省略する。

[0128] 図 18の緊急解除機構 131では、ガイド部材 34をハウジング 13から分離し、ネジな どでブラケット 51aと一体化すると共に、ガイド部材 34とスライド自在に嵌合する第 2 ガイド 132をハウジング 13から突出させている。さらにガイド部材 34および第 2ガイド 132をそれぞれ略角筒状に形成し、ガイド部材 34を第 2ガイド 132の外側にテレスコ ピックに嵌合させている。すなわち元のガイド部材を二分して摺動自在に嵌合された 形態としている。なおガイド部材 34を第 2ガイド 132の内面側に嵌合させてもよい。さ らにガイド部材 34や第 2ガイド 132は、上下の板のみから構成することもできる。

[0129] さらにこの実施形態では、図 19に示すように、上下一対の係合爪 122、 122をハウ ジング 13に取りつけた支持ブラケット 134の上端および下端にそれぞれ回動自在に 設けている。すなわち支持ブラケット 134は平面視でコ字状に折り曲げた板材とし、 係合爪 122の左右に突出させた支持軸 123を支持ブラケット 134の折り曲げ片に回 動自在に支持させている。なお、支持ブラケット 134と第 2ガイド 132とは一体に形成 することちできる。 [0130] また、図 20に示すように、操作片 124を支持軸 123の端部に固定すると共に、操作 片 124と支持ブラケット 134の間に隙間を設け、その隙間に係合爪 122を付勢する バネ 125を介在させている。バネ 125はたとえば捻りコイルバネとすることができ、そ の捻りコイルパネの両端を操作片 122と支持ブラケット 134に係止している（図 19参 照）。

[0131] また、上下一対の係合爪 122を設けたことに伴い、解除ケーブル 126の先端に共 通プレート 135を連結し、その共通プレート 135を上下の係合爪 122の操作片 124と 連結している。この実施形態では図 19および図 20に示すように、共通プレート 135 を略三角形とし、解除ケーブル 126の先端をケーブルエンド 136とピン 137によって 回動自在に連結している。さらに操作片 124に長孔 138を形成して、共通プレート 1 35に突設したピン 139と嵌合させることにより、共通プレート 135の直進運動と操作 片 124の回動運動を許すように構成している。ただし共通プレート 135に長孔を形成 し、操作片 124にピンを設けるなど、他の連結手段を採用することもできる。

[0132] さらにガイド部材 34とブラケット 51aを一体化したことに伴レ、、それらの全体を気密 および液密に封入できるケース 69内に収容している。ケース 69はハウジング 13と一 体ィ匕することもできる。そして解除ケーブル 126をプルコントロールケーブルの内索と し、ケース 69に設けた段部 69aに、その内索を摺動自在に案内する導管 126aの端 部を固定している。

[0133] 上記のように構成される緊急解除機構 130は、通常の状態では図 21の上側に示 すように、係合爪 122の先端がガイド部材 34の先端と係合している。そのため、図 18 に示すように、ブラケット 51aおよび導管 49の端部は右側に移動することができず、ス ライダ 33に連結される内索 45の張力を維持できる。したがってモータ Mの回転により 、雄ネジ 44を備えたロッド 32が右側に移動して、スライダ 33がガイド部材 34によって ガイドされながら右側に移動する。それによりスライダ 33ないしロッド 32に連結された 内索 45を介してパーキングブレーキなどの被操作部材を引き操作することができる。 なお、図 9の上の状態では、係合爪 122の先端はパネ 125の付勢力で第 2ガイド 13 2の表面に当接しており、その状態でガイド部材 34の先端と係合している。そのため 、係合が確実である。 [0134] 電気系統が故障するなどの緊急時には、解除ケーブル 126を矢印 P1方向に引く。 それにより図 21の下側に示すように、共通プレート 135が左に移動し、上側の操作片 124を時計方向に、下側の操作片 124を反時計方向に、それぞれ回動させ、上下一 対の係合爪 122、 122も同様に回動させる。それによつて係合爪 122、 122とガイド 部材 34の先端の係合が解除され、ガイド部材 34はブレーキ操作用の内索 45の反力 によって右側に押されて移動する。それにより内索 45の張力が開放され、パーキン グブレーキなどの被操作部材を弓 Iく力が解消される。その状態では、解除ケーブル 1 26を引く力を弱めると、パネ 125の付勢力で係合爪 122の先端がガイド部材 34の表 面に当接する。したがって解除ケーブル 126を引かなくても解除状態を維持させるこ とがでさる。

[0135] 電気系統の故障が回復したときは、内索 45を送り出す方向にモータ Mを回転させ る。それにより図 18のロッド 32が左側に移動し、スライダ 33がブラケット 51aのクッショ ンラバー 51を左側に押していく。そのため、ガイド部材 34も一緒に左側に移動し、ガ イド部材 34の先端が係合爪 122の先端より左側に移動したときに、係合爪 122がバ ネ 125の付勢力でガイド部材 34の先端と係合する位置に回動する。それにより図 21 の上の状態に戻り、通常のモータ Mによる内索 45の引き操作を行うことができる。

[0136] 図 16および図 18のケーブル駆動装置 120、 130では、導管 49によって押される力 に対向するように、係合爪 122がブラケット 51aやガイド部材 34の先端を突っ張って いるが、図 22a、図 22bに示すように、ブラケット 51aやガイド部材 34の先端の後方か ら引っかける係合爪 122を採用することもできる。この場合も、係合爪 122を係合方 向に戻すパネ 125を設けておき、ブラケット 51aが前進しているときに係合爪 122が 元の位置に戻らないようにブラケット 51aの外面に係合爪 122を当接させておくのが 好ましい。それにより一旦係合爪 122の係合を外して導管 49の圧縮を解除した後、 ブラケット 51aを元の位置に戻すときに自動的に係合状態に復帰させることができる。

[0137] また、図 22cに示すように、ブラケット 51aやガイド部材 34の移動方向に対して直角 方向力も係合する係合ピン 140を採用することもできる。その場合も係合ピン 140を 係合方向に付勢するパネ 125を設ける。

[0138] 図 23に示す解除機構 141は、導管 49を保持するブラケット 51aに雌ネジ 142が形 成され、その雌ネジと螺合するネジ軸 143を回転自在に設けている。そしてネジ軸 1 43に、回転ケーブル 144が連結されている。ただしハンドルなど、他の回転操作手 段を連結してもよい。なお、符号 145はブラケット 51aを回転しないように軸方向にガ イドするガイド軸である。

[0139] この解除機構 141を備えたケーブル駆動装置では、内索 45に張力が加わった状 態で電気系統が故障したとき、回転ケーブル 144の他端を回転させることにより、ブラ ケット 51aを移動させることができ、それにより導管 49の圧縮力を解除することができ る。そして電気系統が復帰したとき、回転ケーブル 144を逆向きに回転させることによ り、ブラケット 51aを元の位置に戻すことができる。なお、ブラケット 51aにネジ軸 143 を固定し、そのネジ軸と螺合する雌ネジ 142を回転自在に設けることもできる。

[0140] 前記実施の形態では、係合爪 122や係合ピン 140をパネ 125によって係合位置側 に付勢している力 S、いわゆるセンターオーバーバネを用いて、係合爪 122や係合ピン

140が係合位置に近づいたときには係合側に付勢し、離脱側に近づいたときに離脱 側に付勢するように構成することもできる。その場合は自動的には復帰しないので、 運転者などがその都度外部から操作することになる。

[0141] 図 1などのケーブル駆動装置 10では、モータ Mの回転をギヤ並列タイプの減速機 で減速して回転部材に伝達している。しかし本発明のケーブル駆動装置はそのよう な減速機に限られるものではなぐ遊星ギヤ減速機を用いてもよい。さらにプーリとベ ルトを用いた減速機、あるいはチェーンとスプロケットを用いた、いわゆる卷き掛け伝 導機構を利用した減速機を採用することもできる。さらに通常のギヤ式の減速機と卷 き掛け伝導機構とを直列的に連結した減速機を採用することもできる。

[0142] 図 24は図 1などのケーブル駆動装置 10に用いられるプーリタイプの減速機の一実 施形態を示している。この減速機 Gbは、小径の歯付きプーリ 147a、 148a, 149aと、 大径の歯付きプーリ 147b、 148b, 149bと、それらの小径プーリと大径プーリの組の 周囲に卷き掛けられて連結する歯付きベルト（タイミングベルト） 147c、 148c, 149c の 3組の減速部 147、 148、 149を備えてレヽる。すなわち第 1の減速部 147は、モー タ Mの出力軸 25に固定されている第 1小径歯付きプーリ 147aと、第 1軸 150によつ て回転自在に支持され、第 1小径歯付きプーリ 147aと第 1歯付きベルト 147cで連結 されている第 1大径歯付きプーリ 147bとからなる。

[0143] 第 2減速部 148は、第 1大径歯付きプーリ 147bと共回りするように第 1軸 150によつ て回転自在に支持されている第 2小径歯付きプーリ 148aと、第 2軸 151によって回転 自在に支持され、第 2小径歯付きプーリ 148aと第 2歯付きベルト 148cで連結されて レ、る第 2大径歯付きプーリ 148bとからなる。

[0144] 第 3減速部 149は、第 2大径歯付きプーリ 148cと共回りする第 3小径歯付きプーリ 1

49aと、前記ナット部材 26の外周に固定され、第 3歯付きベルト 149cを介して第 3小 径歯付きプーリ 149aと連結されている第 3大径歯付きプーリ（出力プーリ） 149bとを 備えている。

[0145] 第 3大径歯付きプーリ 149bの内周は回り止めのための四角形の貫通孔 152が形 成されており、たとえば図 1のナット部材 26に嵌合される。その場合は、ナット部材 26 の表面には、その貫通孔と嵌合する 4個所の平坦面が形成される。第 3大径歯付き プーリ 149bは図 6のスクリューシャフト 71と嵌合させることもでき、その場合もスクリュ 一シャフトの表面に断面角形の平坦面が形成される。

[0146] 図 24に示すプーリ式の減速機 146を用いる場合は、歯車式の減速機を用いる場 合と同様のケーブル駆動作用を奏することができ、し力も音が静かである。なお、ベ ルトとプーリの間に滑りが生じてもよい場合は、歯付きベルトと歯付きプーリの組み合 わせに代えて、 Vベルトと V溝プーリの組み合わせを用いることもできる。さらにチェ一 ンとスプロケットの組み合わせを用いることもできる。チェーンとしては、サイレントチヱ ーンが好ましい。

図面の簡単な説明

[0147] [図 1]本発明のケーブル駆動装置の一実施形態を示す一部断面平面図である。

[図 2]図 1の Π-Π線断面図である。

[図 3]図 1の ΠΗΠ線断面図である。

[図 4]図 1のケーブル駆動装置におけるモータの制御回路を示すブロック図である。

[図 5]図 1のケーブル駆動装置を用いた電動ブレーキ装置の一実施形態を示す概略 平面図である。

[図 6]図 1のケーブル駆動装置のほかの実施形態を示す概略平面図である。 [図 7]図 6の Vn-νΠ断面図である。

園 8]図 6におけるイコライザおよびナット部材の要部斜視図である。

園 9]図 9aは本発明に関わるナット部材の他の実施形態を示す斜視図、図 9bはその ナット部材の断面図である。

園 10]本発明のケーブル駆動装置に用レ、られる荷重センサの実施形態を示す斜視 図である。

園 11]本発明のケーブル駆動装置に用いられる荷重センサの他の実施形態を示す 一部断面斜視図である。

[図 12]本発明のケーブル駆動装置の他の実施形態を示す一部断面平面図である。 園 13]図 12のケーブル駆動装置における緊急解除機構の作用を示す工程図である

[図 14]図 13に続く緊急解除機構の作用を示す工程図である。

園 15]本発明に関わるキャッチ機構の他の実施形態を示す概略側面図である。 園 16]本発明のケーブル駆動装置のさらに他の実施形態を示す一部断面平面図で ある。

[図 17]図 16の XVn-XVn線断面図である。

園 18]本発明のケーブル駆動装置のさらに他の実施形態を示す一部切り欠き平面 図である。

園 19]そのケーブル駆動装置における緊急解除機構の斜視図である。

園 20]その緊急解除機構の拘束機構を示す分解斜視図である。

園 21]図 20の緊急解除機構の作用を示す工程図である。

園 22]図 22a〜cは本発明に関わる解除機構のさらに他の実施形態を示す概略平面 図である。

園 23]本発明に関わる解除機構のさらに他の実施形態を示す概略平面図である。 園 24]本発明に関わる減速機の一実施形態を示す斜視図である。

園 25]従来のパーキングブレーキ装置の一例を示す斜視図である。

[図 26]そのパーキングブレーキ装置の要部拡大図である。

[図 27]従来のパーキングブレーキ装置の他の例を示す平面図である。 [図 28]従来のパーキングブレーキのさらに他の例を示す一部切り欠き平面図である, [図 29]従来のパーキングブレーキ装置のさらに他の例を示す斜視図である。

Claims

請求の範囲

[1] モータと、そのモータの出力軸に連結される減速機と、その減速機の出力側に連結 される回転部材と、その回転部材の回転を直進部材の直進運動に変換する変換機 構と、前記直進部材に連結されるケーブルと、そのケーブルの操作量を検出する手 段とを有し、

前記検出する手段が、前記モータの回転に応じてパルスを発生するパルス発生手段 の出力をカウントしてケーブルの操作量に換算する手段を備えている、

電動式のケーブル駆動装置。

[2] モータと、そのモータの出力軸に連結される減速機と、その減速機の出力側に連結 される回転部材と、その回転部材の回転を直進部材の直進運動に変換する変換機 構と、前記直進部材に連結されるケーブルと、そのケーブルの張力を検出する荷重 検出手段と、その荷重検出手段の出力が所定の許容範囲を逸脱したとき、ヮーニン グ信号を発信する制御手段を備えている、

電動式のケーブル駆動装置。

[3] 前記制御手段が、ケーブルの送り出し操作のときに、ケーブルが無負荷になった時 点でモータを停止させるものである、請求項 2記載の電動式のケーブル駆動装置。

[4] 前記ケーブルが自動車のパーキングブレーキを操作するケーブルである請求項 1

、 2または 3記載のケーブル駆動装置。

[5] 前記変換機構の回転部材が雌ネジを備えており、前記直進部材がその回転部材 の雌ネジと螺合する雄ネジである請求項 1、 2または 3記載のケーブル駆動装置。

[6] 前記変換機構の回転部材が雄ネジであり、前記直進部材がその雄ネジと螺合する ナット部材である請求項 1、 2または 3記載のケーブル駆動装置。

[7] 前記ナット部材にイコライザが揺動自在に設けられてレ、る請求項 6記載のケーブル 駆動装置。

[8] 前記ナット部材に、グリース溜まりが設けられている請求項 6または 7記載のケープ ル駆動装置。

[9] 前記モータがブラシレスモータであり、

前記パルス発生手段が、そのブラシレスモータ内部の駆動用機構に設けられる、コ ィル相への励磁タイミングを決定するためのものである、

請求項 1記載のケーブル駆動装置。

[10] 前記荷重を検出する手段が、歪みゲージを備えている請求項 2または 3記載のケー ブル駆動装置。

[11] 前記荷重を検出する手段が、ケーブルの引っ張り力に対向して弾性変形するパネ と、そのパネの変形量を検出する手段とを備えている請求項 2または 3記載のケープ ル駆動装置。

[12] モータと、そのモータの出力軸に連結される減速機と、その減速機の出力側に連結 される回転部材と、前記回転部材と螺合して、回転部材の回転を直進運動に変換す る直進部材と、前記直進部材に連結されるケーブルと、外部操作でそのケーブルの 操作力を開放するための緊急解除機構とを備えており、

その緊急解除機構が、外部から回転部材を回転させる手段を備えている、 電動式のケーブル駆動装置。

[13] 前記回転部材の端部が減速機のハウジングから突出しており、前記回転手段を回 転させる手段が、その突出している回転部材の端部に設けられる断面角形の係合部 である請求項 12記載の電動式のケーブル駆動装置。

[14] モータと、そのモータの出力軸に連結される減速機と、その減速機の出力側に連結 される回転部材と、前記回転部材と螺合して、回転部材の回転を直進運動に変換す る直進部材と、前記直進部材に連結されるケーブルと、外部操作でそのケーブルの 操作力を開放するための緊急解除機構とを備えており、

その緊急解除機構が、前記回転部材を通常状態では軸方向に移動しないように拘 束すると共に、異常時には外部操作で拘束を解除する拘束機構とを備えている電動 式のケーブル駆動装置。

[15] 前記拘束機構が、回転部材の端部と対向するように配置され、その端部が拘束機 構に向かって押圧されるときに受け入れて拘束し、逆方向の加圧に対しては、外部 操作で解除するまで拘束するキャッチ機構を備えている請求項 3記載の電動式のケ 一ブル駆動装置。

[16] モータと、そのモータの出力軸に連結される減速機と、その減速機の出力側に連結 される回転部材と、前記回転部材と螺合して、回転部材の回転を直進運動に変換す る直進部材と、前記直進部材に連結される内索およびその内索の反力を支持する導 管を備えたコントロールケーブルと、外部操作で前記内索の操作力を開放するため の緊急解除機構とを備えており、

その緊急解除機構が、前記導管の端部を通常状態では軸方向に移動しないように 拘束すると共に異常時には外部操作で拘束を解除する拘束機構と、その拘束を外 部操作で開放する開放操作手段とを備えている電動式のケーブル駆動装置。

[17] 前記拘束機構が、導管の端部を保持するブラケットと、そのブラケットと係合して移 動を妨げる拘束位置と移動を許す解除位置との間で移動する係合部材と、その係合 部材を拘束位置の側に付勢するパネとを備えており、

前記開放操作手段が、前記パネの付勢力に杭して係合部材を解除位置の側に操作 するものである請求項 16載の電動式のケーブル駆動装置。

[18] 前記係合部材が、導管の中心線を挟んで一対で設けられている請求項 17記載の 電動式のケーブル駆動装置。

[19] 前記開放操作手段が、引っ張り力を伝達する解除ケーブルを含む請求項 17記載 の電動式のケーブル駆動装置。

[20] モータと、そのモータの出力軸に連結される減速機と、その減速機の出力側に連結 される回転部材と、前記回転部材と螺合して、回転部材の回転を直進運動に変換す る直進部材と、前記直進部材に連結される内索およびその内索の反力を支持する導 管を備えたコントロールケーブルと、外部操作で前記内索の操作力を開放するため の緊急解除機構とを備えており、

その緊急解除機構が、前記導管の端部を軸方向移動自在に保持すると共に、通常 状態では導管を圧縮する位置で保持し、緊急時には外部操作で圧縮力を開放する 位置に移動させる保持機構を備えている電動式のケーブル駆動装置。

[21] 前記保持機構が、導管の端部を保持するブラケットと、そのブラケットとネジ—ナット 結合された回転部材と、その回転部材を外部から回転操作する操作手段とを備えて レ、る請求項 20記載の電動式のケーブル駆動装置。

[22] 前記操作手段が回転ケーブルを含んでレ、る請求項 21記載の電動式のケーブル駆 動装置。

[23] 前記コントロールケーブルがブレーキを操作するプルコントロールケーブルであり、 そのプルコントロールケーブルの内索に、ブレーキのリターンスプリングによる張力が 常時付与されてレヽる請求項 12、 13、 14、 15、 16、 17、 18、 19、 20、 21または 22記 載の電動式のケーブル駆動装置。

[24] モータと、そのモータの出力軸に連結される減速機と、その減速機の出力側に連結 される回転部材と、その回転部材の回転を直進部材の直進運動に変換する変換機 構と、前記直進部材に連結されるケーブルとを有し、

前記減速機が、複数個の回転要素と、それらの回転要素の間に掛け渡される卷き掛 け伝導要素とを備えている、

電動式のケーブル駆動装置。

[25] 前記回転要素がプーリであり、前記卷き掛け伝導要素がベルトである請求項 1記載 のケーブル駆動装置。

[26] 前記プーリが歯付きプーリであり、前記ベルトが歯付きベルトである請求項 2記載の ケーブル駆動装置。

[27] 前記ケーブルが自動車のパーキングブレーキを操作するケーブルである請求項 1 記載のケーブル駆動装置。

[28] 前記直進部材に対し、直接またはケーブルを介してイコライザが連結されており、 そのイコライザの両端に左右のブレーキを操作する一対の第 2ケーブルが連結され ており、それらの第 2ケーブルが、それぞれ導管と内索とからなり、略左右対称に配 索されてレ、る請求項 4記載のケーブル駆動装置。

[29] 前記変換機構の回転部材が雌ネジを備えており、前記直進部材がその回転部材 の雌ネジと螺合する雄ネジである請求項 1記載のケーブル駆動装置。

[30] 前記変換機構の回転部材が雄ネジであり、前記直進部材がその雄ネジと螺合する ナット部材である請求項 1記載のケーブル駆動装置。

[31] 請求項 1〜30のいずれかに記載のケーブル駆動装置と、そのブレーキ装置の前記 ケーブルまたは内索が連結されるブレーキレバーと、そのブレーキレバーをブレーキ 解除側に付勢するパネと、ブレーキレバーと連結されるブレーキ用摩擦部材とを備え てレ、る自動車などの電動式ブレーキ装置。