明 細 書 ァクチユエ一夕 技術分野
この発明は、 ケースの内部で移動自在な移動子、 磁力によりこの移動子を駆動す る固定子とを備えたァクチユエ一夕に関し、 特に、 高真空や高温璟境下での使用に 好適なァクチユエ一夕に関する。 背景技術
真空ボンプゃターボ分子ポンプなどの駆動源に用いられるァクチユエ一夕として、 真空モー夕が知られている。 真空モー夕は、 回転体とこの回転体を回転駆動するた めの電磁石からなるステ一夕とを備えている。 電磁石は、 周知のごとく、 鉄心の周 囲に磁気コイルを卷回して形成されている。 そして、 電磁石を形成する鉄心には、 渦電流の防止と吸引力強化のため、 積層鋼板が使われている。 積層鋼板は、 複数枚 の薄厚鋼板を樹脂製接着剤によって接着した構成である。
さて、 真空モー夕は、 ケースの内部を高真空雰囲気とする必要がある。 しかし、 従来の真空モー夕は、 このケースの内部に、 回転体とステ一夕とが配設されており
(例えば、 特開平 1 0— 2 8 8 1 9 1号公報参照) 、 しかもステ一夕を構成する電 磁石の鉄心に積層鋼板が用いられていたので、 この積層鋼板にサンドィツチされた 樹脂製接着剤から放出されるガスの影響により、 ケース内を高真空雰囲気とするこ とが困難であった。
さらに、 真空モー夕を高温下で運転する必要のある場合は、 積層鋼板にサンドィ ヅチされた樹脂製接着剤から多量のガスが放出されるため、 いっそう高真空雰囲気 を形成することが困難であった。
本発明は、 上述した事情に鑑みてなされたもので、 ケース内を高真空雰囲気に形
成することができ、 しかも高温下での運転にも充分な耐久性を保持することができ るァクチユエ一夕の提供を目的とする。
発明の開示
本発明は、 ケースと、 このケースの内部で移動自在な移動体と、 磁力により移動 体を駆動するステ一夕とを備えたァクチユエ一夕において、
ステ一夕は、
ケースの外部に装着された鉄心と当該鉄心に卷回された磁気コィルとを含み、 磁極を構成する鉄心の少なくとも端面が非積層強磁性体で形成され、 かつケース の内壁の一部を形成するように当該ケースの内面に露出していることを特徴とする c ここで、 移動体は、 ケースの内部で回転自在に支持された回転体で構成すること ができる。 その場合、 ステ一夕は、 回転体を回転駆動するように周方向に一定間隔 をおいてケースに配設する。
ステ一夕をケースの外部に配設することで、 ステ一夕を構成する鉄心が積層鋼板 で形成されていても、 積層鋼板からの放出ガスの影響を受けることなく、 ケース内 を高真空雰囲気とすることができる。
しかし、 ステ一夕をケースの外部に配設しただけでは、 回転体との間の間隔が広 がってしまい、 回転体を駆動するために必要な磁力が弱まり、 充分なトルクが得ら れないおそれがある。
そこで、 本発明は、 磁極を構成する鉄心の少なくとも端面を非積層強磁性体で形 成し、 さらにこの鉄心の端面をケースの内面に露出させることで、 回転体との間の 間隔を狭めている。 これにより、 強力な磁力を得ることができ、 充分に大きなトル クをもって回転体を回転駆動することが可能となる。 鉄心の端面は、 非積層強磁性 体で形成してあるので、 ケースの内面に露出させても当該部位からガスが放出され ることはない。 しかも非積層強磁性体で形成した鉄心は、 高温下や温度変化の激し い環境下においても高い耐久性, 耐食性を保持することができる。
また、 移動体を非接触にて移動自在に支持する磁気軸受を備えたァクチユエ一夕 においては、 磁気軸受についても上記ステ一夕と同様の構成を適用することが好ま しい。
磁気軸受は、 軸受用電磁石と、 移動体における軸受用電磁石の磁極と対向する部 位に設けられた軸受用強磁性体部とを備えている。
軸受用電磁石は、
ケースの外部に装着された鉄心と当該鉄心に卷回された磁気コイルとを含み、 磁極を構成する鉄心の少なくとも端面が非積層強磁性体で形成され、 ケースの内 壁の一部を形成するように当該ケースの内面に露出した構成とする。
これにより、 磁気軸受を構成する鉄心が積層鋼板で形成されていても、 積層鋼板 からの放出ガスの影響を受けることなく、 ケース内を高真空雰囲気とすることがで きる。
そして、 磁極を構成する鉄心の端面を少なくとも非積層強磁性体で形成し、 さら にこの鉄心の端面をケースの内面に露出することで、 移動体に設けられた軸受用強 磁性体部との間の間隔を狭めている。 これにより、 強力な磁力をもって移動体を非 接触で支持することが可能となる。 ここでも、 鉄心の端面は、 非積層強磁性体で形 成してあるので、 ケースの内面に露出させても当該部位からガスが放出されること はない。 しかも非積層強磁性体で形成した鉄心は、 高温下や温度変化の激しい環境 下においても高い耐久性, 耐食性を保持することができる。
さらに、 磁気軸受は、 軸受用強磁性体部を塊状の非積層強磁性体で形成すること が好ましい。 軸受用強磁性体部に積層鋼板を用いることなく、 塊状の非積層強磁性 体で形成することにより、 ケース内にガスの放出源がなくなり、 ケース内を高真空 雰囲気とすることができる。
このように、 軸受用強磁性体部を塊状の非積層強磁性体で形成しても、 軸受用電 磁石を形成する鉄心の端面をケースの内面に露出させて、 軸受用強磁性体部との間 隔を狭めているので、 それらの部材間に強力な磁力を生じさせることが可能である。
ここで、 移動体がケースの内部で回転自在に支持された回転体の場合には、 軸受 用電磁石と軸受用強磁性体部とを、 次のように構成することが好ましい。
すなわち、 軸受用電磁石は、 回転体を軸方向に支持するスラスト電磁石と、 回転 体を径方向に支持するラジアル電磁石とを含む構成とする。
また、 軸受用強磁性体部は、 スラスト電磁石の磁極と対向する部位に設けられた スラスト強磁性体部と、 ラジアル電磁石の磁極と対向する部位に設けられたラジア ル強磁性体部とを含む構成とする。
このように構成することで、 回転体をスラスト方向 (軸方向) とラジアル方向 (径方向) のそれぞれに非接触にて支持することができ、 摩擦による金属粉の飛散 がなく高真空雰囲気を持続させることが可能となる。
ここで、 回転体には、 各軸受用強磁性体部の間に非磁性体を介在させることが好 ましい。
各軸受用強磁性体部を電磁的に遮断することなく隣接させた場合、 相互に隣接す る軸受用強磁性体部から磁力線の干渉が発生して、 磁力が低下してしまうおそれが ある。 そこで、 各軸受用強磁性体部の間に非磁性体を介在させることで、 各軸受用 強磁性体部を磁気的に遮断してこの種の弊害を回避することができる。
さらに、 ラジアル電磁石は、 回転体の異なる 2箇所を径方向に支持する第 1 , 第 2ラジアル電磁石を含み、
ラジアル強磁性体部は、 第 1ラジアル電磁石の磁極と対向する部位に設けられた 第 1ラジアル強磁性体部と、 第 2ラジアル電磁石の磁極と対向する部位に設けられ た第 2ラジアル強磁性体部とを含む構成とすることが好ましい。
これにより回転体の傾きを防止して常に一定の姿勢で回転体を支持することが可 能となる。
ここで、 回転体は、 径方向に複数の磁極が突出した口一夕部と、 この口一夕部と 同軸上で軸方向に延びる回転軸部とを含み、 回転軸部を非磁性体で形成し、 第 1ラジアル強磁性体部を、 回転軸部の軸方向一端部に設けるとともに、 第 2ラ
ジアル強磁性体部を、 回転軸部の軸方向他端部に設けることが好ましい。 この構成により、 ロー夕部と各ラジアル強磁性体部とを、 非磁性体の回転軸部に よつて磁気的に遮断することができ、 簡単な構成で磁力線の干渉を回避することが 可能となる。
さらに、 回転体の口一夕部を塊状の非積層強磁性体で形成するとともに、 スラス ト強磁性体部を口一夕部と一体形成すれば、 スラスト強磁性体部を別個に設ける必 要がなくなり、 構成が簡素化されて製作コストの低価格化を実現することができる また、 各ラジアル電磁石は、 それぞれ回転体の周囲に一定間隔をおいて複数設置 することになる。 ここで、 各ラジアル電磁石の鉄心が磁極となる複数の端面を有す る場合、 これら各端面は軸方向に配置することが好ましい。
このような配置とすれば、 ラジアル電磁石の鉄心の端面から放出される磁力線が、 隣接するラジアル電磁石の鉄心の端面から放出される磁力線と干渉して磁力が不安 定となる弊害を回避することができる。
上述したように、 本発明によれば、 ケース内を高真空雰囲気に形成することがで き、 しかも高温下や温度変化の激しい環境下においても充分な耐久性, 耐食性を保 持することができる。 、
上述した構成において、 移動体は、 ケースの内部で直線移動自在な構成としても よく、 またステ一夕は、 移動体を直線的に駆動するように当該移動方向へ一定間隔 をおいてケースに配設してもよい。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明を回転式のモ一夕装置に適用した実施形態を示す断面正面図であ る。
図 2は、 回転体の構成を示す一部断面正面図である。
図 3は、 ケースとそこに装着された部品を示す正面断面図である。
図 4は、 ロー夕部およびステ一夕の鉄心に関する図 1の A— A線断面図である。
図 5は、 第 1ラジアル強磁性体部および第 1ラジアル電磁石の鉄心に関する図 1 の B— B線断面図である。
図 6は、 本発明をリニァモータに適用した実施形態を示す断面正面図である。 発明を実施するための最良の形態
本発明に係る好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図 1は本発明を回転式のモ一夕装置に適用した実施形態を示す断面正面図である 図 2および図 3はそれぞれ図 1に示したモー夕装置の構成要素を示す図で、 図 2は 回転体の構成を示す一部断面正面図である。 図 3はケースとそこに装着された部品 を示す正面断面図である。
これらの図面に示すモー夕装置は、 高温下で運転される真空モー夕に好適な構成 を備えている。
モー夕装置は、 ケース 1 0 0と、 このケース 1 0 0の内部で回転自在に支持され た回転体 2 0 0とを備えている。
回転体 2 0 0は、 図 2に示すように、 非磁性体からなる丸棒状の回転軸部 2 1 0 と、 そのほぼ中央に装着された円盤状のロータ部 2 2 0と備えており、 回転軸部 2 1 0の一端部側には、 環状の第 1ラジアル強磁性体部 2 3 0が外嵌固定されている c また、 回転軸部 2 1 0の他端部側には、 環状の第 2ラジアル強磁性体部 2 4 0が外 嵌固定されている。 そして、 口 夕部 2 2 0と各ラジアル強磁性体部 2 3 0 , 2 4 0の間には、 非磁性体からなる回転軸部 2 1 0又は環状の非磁性体 2 1 1が介在し ている。
この構成により、 口一夕部 2 2 0と各ラジアル強磁性体部 2 3 0 , 2 4 0とを、 非磁性体の回転軸部 2 1 0や環状の非磁性体 2 1 1によって磁気的に遮断すること ができ、 簡単な構成で磁力線の干渉を回避することが可能となる。
ロー夕部 2 2 0は、 塊状の非積層強磁性体で形成してある。 この口一夕部 2 2 0 は、 図 4に示すように、 径方向に複数の磁極 2 2 0 aが突出して形成されており、
これら磁極の内側 (中心寄り) の部分がスラスト強磁性体部 2 2 1を形成している c ケース 1 0 0は、 内部が中空となっており、 その中空部内に回転体 2 0 0が収容 される (図 1参照) 。 ケース 1 0 0の外部には、 図 3に示すように、 ステ一夕 1 1 0が設けられ、 さらにスラスト電磁石 1 2 0、 第 1ラジアル電磁石 1 3 0、 第 2ラ ジアル電磁石 1 4 0の各軸受用電磁石が設けられている。 さらに、 適所に回転体 2 0 0との間の間隔を検出するための非接触センサ 1 5 0 , 1 5 1, 1 5 2が設けら れている。 これら非接触センサとしては、 例えば、 渦電流センサ、 静電容量センサ、 光学式センサなどを適用することができる。
ここで、 口一夕部 2 2 0とステ一夕 1 1 0は、 回転体 2 0 0を磁力によって回転 駆動するための回転駆動部を形成している。 ステ一夕 1 1 0は、 U字状の鉄心 1 1 1と、 この鉄心 1 1 1の各腕部に卷回された電磁コイル 1 1 2とで構成された電磁 石である。 鉄心 1 1 1は、 複数枚の薄厚鋼板を積層してなる積層鋼板で形成してあ り、 その端面には非積層強磁性体の薄板 1 1 3が貼り付けてある (図 3参照) 。 そ して、 この非積層強磁性体の薄板 1 1 3が貼り付けられた鉄心 1 1 1の端面を、 ケ —ス 1 0 0の内面に露出させるようにして、 ケース 1 0 0の外部にステ一夕 1 1 0 が装着されている。 ここで、 鉄心 1 1 1の端面は、 ケース 1 0 0の内壁の一部を形 成する。
ステ一夕 1 1 0をケース 1 0 0の外部に配設することで、 ステ一夕 1 1 0を構成 する鉄心 1 1 1が積層鋼板で形成されていても、 積層鋼板からの放出ガスの影響を 受けることなく、 ケ一ス 1 0 0内を高真空雰囲気とすることができる。 さらに、 鉄 心 1 1 1の端面をケース 1 0 0の内面に露出させることで、 回転体 2 0 0との間の 間隔を狭め、 強力な磁力を得ることができる。
ステ一夕 1 1 0は、 図 4に示すように、 口一夕部 2 2 0の周囲で等間隔をおいて 複数個 (図 4では 1 2個) 配設されている。 これら各ステ一夕 1 1 0の鉄心 1 1 1 が有する 2つの端面は、 軸方向に沿って配置してある。 このような配置とすれば、 各ステ一夕 1 1 0の鉄心 1 1 1の端面から放出される磁力線 aが、 隣接するステ一
夕 1 1 0の鉄心から放出される磁力線 aと干渉して磁力が不安定となる弊害を回避 することができる。
ロー夕部 2 2 0とステ一夕 1 1 0は、 スィヅチトリラクタンスモ一夕 (Switched Reluctance Motor; S Rモ一夕) の動作原理をもって、 回転体 2 0 0を回転駆動す る。 すなわち、 ステ一夕 1 1 0の電磁コイル 1 1 2に電流を流すと、 鉄心 1 1 1の 端面が磁極となり、 一方の端面から磁力線 aが発生する (図 1参照) 。 この磁力線 aは、 ロー夕部 2 2 0の外周に突出形成された磁極 2 2 0 aを通って、 鉄心 1 1 1 の他方の端面に帰還するループを描く。 この磁力線 aによって、 口一夕部 2 2 0の 磁極 2 2 0 aが吸引されて、 ステ一夕 1 1 0の鉄心 1 1 1の端面に近づいていく。 複数のステ一夕 1 1 0の各電磁コイル 1 1 2に流す電流を制御することで、 逐次、 周方向に口一夕部 2 2 0の吸引力を移動させることができ、 これにより回転体 2 0 0を回転させることができる。
スラスト電磁石 1 2 0とスラスト強磁性体部 2 2 1、 第 1ラジアル電磁石 1 3 0 と第 1ラジアル強磁性体部 2 3 0、 そして、 第 2ラジアル電磁石 1 4 0と第 2ラジ アル強磁性体部 2 4 0は、 互いに対になって磁気軸受を構成している。 すなわち、 スラスト電磁石 1 2 0とスラスト強磁性体部 2 2 1は、 回転体 2 0 0を軸方向 (上 方) へ磁気浮上させる機能を有しており、 第 1ラジアル電磁石 1 3 0と第 1ラジア ル強磁性体部 2 3 0は、 回転体 2 0 0の一端部を径方向に非接触で支持する機能を 有しており、 そして第 2ラジアル電磁石 1 4 0と第 2ラジアル強磁性体部 2 4 0は、 回転体 2 0 0の他端部を径方向に非接触で支持する機能を有している。
スラスト電磁石 1 2 0は、 回転体 2 0 0のロー夕部 2 2 0に一体形成したスラス ト強磁性体部 2 2 1を上下方向から挟むように、 ケース 1 0 0の軸方向中間部に一 対設けられている (図 1参照) 。
本実施形態では、 図 3に示すように、 スラスト電磁石 1 2 0を、 塊状の非積層強 磁性体からなる環状の鉄心 1 2 1と、 この鉄心 1 2 1の中間部に形成した環状の凹 部 1 2 1 a内に卷回した磁気コイル 1 2 2とで構成してある。 鉄心 1 2 1および磁
気コイル 1 2 2は、 ケース 1 0 0と同軸状に設けてある。 そして、 鉄心 1 2 1はケ —ス 1 0 0の一部を構成している。 一対のスラスト電磁石 1 2 0は、 鉄心 1 2 1の 端面がケース 1 0 0の内壁を形成しており、 それら鉄心 1 2 1の端面が、 スラスト 強磁性体部 2 2 1に対して上下方向から対向している。 なお、 磁気コイル 1 2 2が 卷回された鉄心 1 2 1の凹部 1 2 1 aは、 その開口部に非磁性体 1 2 3が装着して あり、 この非磁性体 1 2 3によって磁気コイル 1 2 2がケース 1 0 0の中空部から 隔離されている。
各スラスト電磁石 1 2 0の磁気コィル 1 2 2に電流を流すと、 鉄心 1 2 1の端面 が磁極となって磁力線 aが発生する (図 1参照) 。 この磁力線 aによって、 回転体 2 0 0のロー夕部 2 2 0に一体形成したスラスト強磁性体部 2 2 1が、 上下両方向 から吸引されてその中間部に磁気浮上する。 回転体 2 0 0の上下位置は、 非接触セ ンサ 1 5 0によって監視されており、 この非接触センサ 1 5 0からの検出信号をフ イードバックして、 回転体 2 0 0が磁気浮上状態を保つように磁気コイル 1 2 2へ 流す電流が制御される。
第 1ラジアル電磁石 1 3 0は、 図 3に示すように、 U字状の鉄心 1 3 1と、 この 鉄心の各腕部に卷回された電磁コイル 1 3 2とで構成してある。 鉄心は、 複数枚の 薄厚鋼板を積層してなる積層鋼板で形成してあり、 その端面には非積層強磁性体の 薄板 1 3 3が貼り付けてある。 そして、 この非積層強磁性体の薄板 1 3 3が貼り付 けられた鉄心 1 3 1の端面を、 ケース 1 0 0の内面に露出させるようにして、 ケ一 ス 1 0 0の外部に第 1ラジアル電磁石 1 3 0が装着されている。 ここで、 鉄心 1 3 1の端面は、 ケース 1 0 0の内壁の一部を形成する。
このように、 第 1ラジアル電磁石 1 3 0をケース 1 0 0の外部に配設することで、 第 1ラジアル電磁石 1 3 0を構成する鉄心 1 3 1が積層鋼板で形成されていても、 積層鋼板からの放出ガスの影響を受けることなく、 ケース 1 0 0内を高真空雰囲気 とすることができる。 さらに、 鉄心 1 3 1の端面をケース 1 0 0の内面に露出させ ることで、 回転体 2 0 0との間の間隔を狭まり、 強力な磁力を得ることができる。
第 1ラジアル電磁石 1 3 0は、 図 5に示すように、 回転体 2 0 0の回転軸部 2 1 0に外嵌した第 1ラジアル強磁性体部 2 3 0の周囲で等間隔をおいて複数個 (図 5 では 4個) 配設されている。 各第 1ラジアル電磁石 1 3 0の鉄心 1 3 1の端面は、 第 1ラジアル強磁性体部 2 3 0と対向している。
ここで、 各第 1ラジアル電磁石 1 3 0の鉄心 1 3 1が有する 2つの端面は、 軸方 向に並べて配置してある。 このような配置とすれば、 各第 1ラジアル電磁石 1 3 0 の鉄心 1 3 1の端面から放出される磁力線 aが、 隣接する第 1ラジアル電磁石 1 3 0の鉄心 1 3 1から放出される磁力線 aと干渉して磁力が不安定となる弊害を回避 することができる。
各第 1ラジアル電磁石 1 3 0の磁気コイル 1 3 2に電流を流すと、 鉄心 1 3 1の 端面が磁極となって磁力線 aが発生する (図 1参照) 。 この磁力線 aによって、 回 転体 2 0 0の回転軸部 2 1 0に外嵌した第 1ラジアル強磁性体部 2 3 0が、 径方向 から吸引されてその中間部に非接触にて支持される。 回転体 2 0 0の一端部の傾き は、 非接触センサ 1 5 1によって監視されており、 この非接触センサ 1 5 1からの 検出信号をフィ一ドバックして、 回転体 2 0 0の一端部が軸中心位置を保つように 磁気コイル 1 3 2へ流す電流が制御される。
第 2ラジアル電磁石 1 4 0も、 第 1ラジアル電磁石 1 3 0と同様に、 U字状の鉄 心 1 4 1と、 この鉄心 1 4 1の各腕部に卷回された電磁コイル 1 4 2とで構成して ある。 鉄心 1 4 1は、 複数枚の薄厚鋼板を積層してなる積層鋼板で形成してあり、 その端面には非積層強磁性体の薄板 1 4 3が貼り付けてある。 そして、 この非積層 強磁性体の薄板 1 4 3が貼り付けられた鉄心 1 4 1の端面を、 ケース 1 0 0の内面 に露出させるようにして、 ケース 1 0 0の外部に第 2ラジアル電磁石 1 4 0が装着 されている。 ここで、 鉄心 1 4 1の端面は、 ケース 1 0 0の内壁の一部を形成する。 このように、 第 2ラジアル電磁石 1 4 0をケース 1 0 0の外部に配設することで、 第 2ラジアル電磁石 1 4 0を構成する鉄心 1 4 1が積層鋼板で形成されていても、 積層鋼板からの放出ガスの影響を受けることなく、 ケース 1 0 0内を高真空雰囲気
とすることができる。 さらに、 鉄心 1 4 1の端面をケース 1 0 0の内面に露出させ ることで、 回転体 2 0 0との間の間隔を狭まり、 強力な磁力を得ることができる。 第 2ラジアル電磁石 1 4 0も、 回転体 2 0 0の回転軸部 2 1 0に外嵌した第 2ラ ジアル強磁性体部 2 4 0の周囲で等間隔をおいて複数個 (本実施形態では、 第 1ラ ジアル電磁石 1 3 0と同様に 4個) 配設されている。 各第 2ラジアル電磁石 1 4 0 の鉄心 1 4 1の端面は、 第 2ラジアル強磁性体部 2 4 0と対向している。
ここでも、 各第 2ラジアル電磁石 1 4 0の鉄心 1 4 1が有する 2つの端面は、 軸 方向に並べて配置してある。 このような配置とすれば、 各第 2ラジアル電磁石 1 4 0の鉄心 1 4 1の端面から放出される磁力線 aが、 隣接する第 2ラジアル電磁石 1 4 0の鉄心 1 4 1から放出される磁力線 aと干渉して磁力が不安定となる弊害を回 避することができる。
各第 2ラジアル電磁石 1 4 0の磁気コイル 1 4 2に電流を流すと、 鉄心 1 4 1の 端面が磁極となって磁力線 aが発生する (図 1参照) 。 この磁力線 aによって、 回 転体 2 0 0の回転軸部 2 1 0に外嵌した第 2ラジアル強磁性体部 2 4 0が、 径方向 から吸引されてその中間部に非接触にて支持される。 回転体 2 0 0の他端部の傾き は、 非接触センサ 1 5 2によって監視されており、 この非接触センサ 1 5 2からの 検出信号をフィードバックして、 回転体 2 0 0の他端部が軸中心位置を保つように 磁気コイル 1 4 2へ流す電流が制御される。
上述した実施形態において、 口一夕部 2 2 0、 ステ一夕 1 1 0の鉄心 1 1 1の端 面に貼り付けた薄板 1 1 3、 スラスト電磁石 1 2 0の鉄心 1 2 1、 第 1 , 第 2ラジ アル強磁性体部 2 3 0, 2 4 0は、 非積層強磁性体で形成したが、 これら各部材に 好適な非積層強磁性体としては、 J I S規格 (日本工業規格) で 4 0 0番台が付さ れたステンレス (電磁ステンレス) がある。 この他にも、 純鉄、 鋼、 パ一メンジュ —ル (Fe50/Co50 )等の合金、 フェライ トなどを適用することも可能である。 ただし、 透磁率が高く、 耐食性に優れ、 渦電流特性が良好で、 ガス吸着性が低いという点に おいて、 上記電磁ステンレスがもっとも好ましい。
〔その他の実施形態〕
本発明は、 上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、 本発明はステツピングモ一夕等のモー夕装置にも適応が可能である。 また、 渦電流特性および吸引力の低下は否めないものの、 必要に応じてステ一夕
1 1 0、 第 1ラジアル電磁石 1 3 0、 第 2ラジアル電磁石 1 4 0の各鉄心を、 塊状 の非積層強磁性体で構成することも可能である。
上記実施形態では、 スラスト強磁性体部 2 2 1をロータ部 2 2 0と一体に形成し たが、 これらを別の部材としてスラスト強磁性体部を別所に設けることもできる。 また、 上記構成のスラスト電磁石 1 2 0、 およびスラスト強磁性体部 2 2 1のみ を利用して、 移動体(回転体 2 0 0に相当) を磁気浮上させるァクチユエ一夕を構 成することもできる。 図 6は、 本発明をリニアモ一夕に適用した他の実施形態を示す断面図である。 な お、 図 6に示す実施形態において、 先に示した実施形態と同一部分又は相当する部 分には同一符号を付すこととし、 その部分の詳細な説明は省略する。
図 6に示すリニアモータは、 ケース 1 0 0と、 このケース 1 0 0の内部で長手方 向に直線的に移動自在な移動体 2 0 0とを備えている。
移動体 2 0 0は強磁性体からなり、 その外周面には一定間隔毎に複数の磁極 2 2 0 aが突出して形成されている。
一方、 ケース 1 0 0は内部が中空となっており、 その中空部内に移動体 2 0 0が 収容される。 ケース 1 0 0の外部には、 長手方向に一定間隔をおいて複数のステー 夕 1 1 0が設けられている。
ここで、 移動体 2 0 0の磁極 2 2 0 aとステ一夕 1 1 0は、 移動体 2 0 0を磁力 2 2 0 aによって直線的に駆動するための駆動部を形成している。 ステ一夕 1 1 0 は、 U字状の鉄心 1 1 1と、 この鉄心 1 1 1の各腕部に卷回された電磁コイル (図
示せず) とで構成された電磁石である。 鉄心 1 1 1は、 複数枚の薄厚鋼板を積層し てなる積層鋼板で形成してあり、 その端面には非積層強磁性体の薄板 1 1 3が貼り 付けてある。
そして、 この非積層強磁性体の薄板 1 1 3が貼り付けられた鉄心 1 1 1の端面を、 ケース 1 0 0の内面に露出させるようにして、 ケ一ス 1 0 0の外部にステ一夕 1 1 0が装着されている。 ここで、 鉄心 1 1 1の端面は、 ケース 1 0 0の内壁の一部を 形成する。
ステ一夕 1 1 0をケース 1 0 0の外部に配設することで、 ステ一夕 1 1 0を構成 する鉄心 1 1 1が積層鋼板で形成されていても、 積層鋼板からの放出ガスの影響を 受けることなく、 ケース 1 0 0内を高真空雰囲気とすることができる。 さらに、 鉄 心 1 1 1の端面をケース 1 0 0の内面に露出させることで、 移動体 2 0 0との間の 間隔を狭め、 強力な磁力を得ることができる。
ステ一夕 1 1 0の電磁コイル (図示せず) に電流を流すと、 鉄心 1 1 1の端面が 磁極となり、 一方の端面から磁力線が発生する。 この磁力線は、 移動体 2 0 0の外 周に突出形成された磁極 2 2 0 aを通って、 鉄心 1 1 1の他方の端面に帰還するル —プを描く。 この磁力線によって、 移動体 2 0 0の磁極 2 2 0 aが吸引されて、 ス テ一夕 1 1 0の鉄心 1 1 1の端面に近づいていく。 複数のステ一夕 1 1 0の各電磁 コイル 1 1 2に流す電流を制御することで、 逐次、 長手方向に移動体 2 0 0の磁極 2 2 0 aに対し吸引力を移動させることができ、 これにより移動体 2 0 0を直線的 に移動させることができる。
なお、 図 6に示した構成のリニアモー夕は、 移動体 2 0 0を任意の高さ位置まで 浮上させて静止させておく磁気浮上装置としての応用も可能である。
上述した実施形態においても、 移動体 2 0 0、 およびステ一夕 1 1 0の鉄心 1 1 1の端面に貼り付けた薄板 1 1 3を形成する非積層強磁性体としては、 J I S規格 で 4 0 0番台が付されたステンレス (電磁ステンレス) が好適である。 この他にも、 純鉄、 鋼、 パ一メンジュール(Fe50/Co50)等の合金、 フェライ トなどを適用するこ
とも可能である。 ただし、 透磁率が高く、 耐食性に優れ、 渦電流特性が良好で、 ガ ス吸着性が低いという点において、 上記電磁ステンレスがもつとも好ましい。 産業上の利用可能性
本発明によれば、 ケース内を高真空雰囲気に形成することができ、 しかも高温下 や温度変化の激しい環境下においても充分な耐久性, 耐食性を保持することができ る。