JPH0686576A - 電磁アクチュエータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 比較的大振幅の振動を制振することのできる
電磁アクチュエータを提供する。 【構成】 制振対象となる軸１に固定した磁性体継鉄５
と、該磁性体継鉄５を磁気力により非接触で吸引する制
振用電磁石３と、該制振用電磁石３と該磁性体継鉄５の
隙間を測定する変位センサ７と、該変位センサ７からの
出力を基に前記電磁石３の励磁電流を出力する補償回路
９、パワーアンプ１０から構成されるコントローラ８を
備えた電磁アクチュエータにおいて、前記制振用電磁石
３による前記磁性体継鉄５内の磁路は、前記制振対象と
なる軸１の軸方向に形成され、該電磁石３のコの字状の
磁極間の距離ｃが、前記制振用電磁石３と前記磁性体継
鉄５の隙間ａよりも大きいことを特徴とする電磁アクチ
ュエータ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電磁アクチュエータに
係り、特に比較的大きな振動（振幅）の外乱が予想され
る制振対象に対し、十分な制振効果を与えるための電磁
アクチュエータの制振用電磁石の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】図３は、電磁アクチュエータの説明図で
ある。この電磁アクチュエータは、例えば、磁気浮上方
式の除振装置に用いられるものであり、制振対象の除振
テーブルを磁気力により非接触で浮上支持するものであ
る。軸１には、例えば除振テーブルが固定され（図示せ
ず）、該テーブル上には振動を嫌う制振対象の機械装置
が搭載されている。軸１には磁性体継鉄５が固定されて
おり、制振用電磁石３はその磁気力により、ターゲット
である磁性体継鉄５を吸引することにより軸１を浮上支
持する。従って、軸１に固定された制振対象となる機械
装置が搭載された除振テーブルは、設置床の振動から免
振される。

【０００３】軸１の浮上ならびに制振制御は、電磁石３
の磁極と磁性体継鉄５の隙間ａを測定する変位センサ７
と、変位センサ７からの出力を基に電磁石の励磁電流を
出力する補償回路９、パワーアンプ１０から構成される
コントローラ８によって行われる。補償回路９は浮上支
持力ならびに振動に対する減衰力が与えられるよう制御
信号を生成し、パワーアンプは該制御信号を電力増幅し
て、制振用電磁石３に励磁電流を供給することにより制
振のための磁気力を生成する。

【０００４】図４は、係る従来の制振用電磁石の構造の
説明図である。従来の電磁アクチュエータにおいては、
制振用電磁石３は、凸状の磁極１２を周方向に備えてお
り、即ち、コの字状の継鉄の磁極を周方向に配置してい
る。したがって、制振対象となる軸１を制御する磁束の
磁路１３は、例えばＮ極からギャップ（隙間）ａを通っ
て磁性体継鉄５に入り、また磁性体継鉄５よりギャップ
（隙間）ａを通って磁極１２のＳ極に入り、電磁石の継
鉄を通って、前述のＮ極に戻る閉磁路を形成する。した
がって、制振用電磁石３による、制振対象の軸１に固定
された磁性体継鉄５内の磁路は、制振対象となる軸の周
方向に形成されていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ように制振用電磁石による制振対象の軸に固定された磁
性体継鉄内の磁路が軸の周方向に形成されていると、相
隣接する磁極間の間隔ｂに対して磁極と磁性体継鉄との
ギャップａが小さい場合には問題は生じないが、制振対
象の軸の振動（振幅）が比較的大きくなり、大振幅の振
動を制御する場合には、ギャップａが大きくなり、磁極
間の間隔ｂと比較して大きくなる。

【０００６】ギャップａが磁極間の間隔ｂと比較して大
きくなると、磁束が制振対象の軸１に固定した磁性体継
鉄５に届かず、相隣接する磁極に戻ってしまい、充分な
磁気力を制振対象となる軸１に与えることができないと
いう問題が生じる。

【０００７】本発明は、係る従来技術の問題点に鑑み、
制振対象の軸と電磁石の磁極面との間隔が大きい、即
ち、制振対象の大きな振動（振幅）を制御する電磁アク
チュエータにおいて、十分な磁気力を制振対象の軸に与
えることのできる電磁石構造を提供するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明に係る電磁アクチ
ュエータは、制振対象となる軸に固定した磁性体継鉄
と、該磁性体継鉄を磁気力により非接触で吸引する制振
用電磁石と、該制振用電磁石と該磁性体継鉄の隙間を測
定する変位センサと、該変位センサからの出力を基に前
記電磁石の励磁電流を出力する補償回路、パワーアンプ
から構成されるコントローラを備えた電磁アクチュエー
タにおいて、前記制振用電磁石による前記磁性体継鉄内
の磁路は、前記制振対象となる軸の軸方向に形成され、
該電磁石のコの字状の磁極間の距離が、前記制振用電磁
石と前記磁性体継鉄の隙間よりも大きいことを特徴とす
るものである。

【０００９】

【作用】制振用電磁石による磁性体継鉄内の磁路は、制
振対象となる軸の軸方向に形成するように電磁石の磁極
が配置されているので、即ち、電磁石のコの字状の継鉄
の磁極が軸方向に配置されているので、周方向に相隣接
する磁極の間隔ｂを大きくとることができる。又、電磁
石のコ字状の磁極間の距離ｃが、電磁石と磁性体継鉄の
隙間ａよりも大きい。従って、電磁石３によって形成さ
れる磁束は、周方向にも軸方向にも、隣接する磁極に逃
げる磁束が少なくなり、ターゲットの磁性体継鉄に届く
ので、制振用電磁石は、効率的に磁気力を磁性体継鉄が
固定された制振対象となる軸１に及ぼすことができる。
それ故、ギャップ（隙間）ａが大きく軸１が大振幅動作
する場合でも、制振用電磁石３は制振対象の軸１を制振
制御することが可能となる。

【００１０】

【実施例】本発明の電磁アクチュエータの基本的な構成
は、図３に示すものと同様であり、同一の構成要素には
同一の符号を付してその説明を省略する。即ち、制振対
象となる軸１には、磁性体継鉄５が固定され、制振用電
磁石３は非接触で磁性体継鉄５に磁気力を作用させるこ
とにより、制振対象となる軸１を制振する。磁気力の制
御は変位センサ７により電磁石３と磁性体継鉄５の隙間
の変位を検出し、変位センサ７からの出力を基に、電磁
石の励磁電流を補償回路９、パワーアンプ１０を備えた
コントローラ８によって制御することによって行われ
る。

【００１１】図１は本発明の一実施例の制振用電磁石の
構造の説明図である。（Ｂ）に示されるように、コの字
状に形成される電磁石継鉄の一対の磁極１４，１５は、
制振対象となる軸１の軸方向に配置されている。そし
て、該電磁石３のコの字状の磁極１４，１５間の距離ｃ
が、磁極１４，１５とターゲットとなる磁性体継鉄５の
ギャップ（隙間）ａよりも大きい。したがって、磁路１
６は、Ｎ極である磁極１４からギャップａを介して磁性
体継鉄５に入り、磁性体継鉄５の中を軸方向に通って、
再びギャップａを通って、Ｓ極である磁極１５に入り、
電磁石の継鉄を通って磁極１４に戻るように形成され
る。したがって、（Ａ）に示されるように、周方向に相
隣る磁極との間隔ｂがギャップａに対して大きくなり、
相隣る周方向の磁極との間に磁路が生じる、いわゆる磁
束の漏れが少なくなる。

【００１２】また、制振対象となる軸の外周には、４対
の制振用電磁石が周方向に相隣接して配置され、該電磁
石の周方向に相隣接する磁極は同一極性（例えば上側磁
極はＮ極同士、下側磁極はＳ極同士）としている。円周
方向に相隣る磁極を同極とすることにより、相隣接する
磁極への磁束の漏れはいっそう低減される。それ故、ギ
ャップａが大きくても、制振対象の軸１に、より効果的
に磁気力を及ぼすことが可能となり、大振幅動作におけ
る制御性がより改善される。

【００１３】したがって、係る電磁石を用いた電磁アク
チュエータによれば、周方向に相隣接する磁極への漏れ
磁束が低減されることから、磁極と制振対象となる軸の
磁性体継鉄へのギャップａを大きくとることができる。
例えば、磁気浮上方式の除振装置に用いることにより、
除振テーブルが大振幅で振動するものでも、ギャップａ
を大きく取ることができることから、安定に制振するこ
とができる。

【００１４】図２は、本発明の一実施例の電磁アクチュ
エータの説明図である。図１に示す構造の制振用電磁石
３は、水平方向を制振するものであり、変位センサ７で
検出されたギャップａの変位信号に基づき、電磁石３の
磁気吸引力により、大きなギャップａを介して制振対象
となる軸１を効率的に制振する。

【００１５】更に、鉛直方向に制振対象の軸１を支承す
る浮上用電磁石２１を備える。浮上用電磁石２１は、制
振対象の軸１に固定されたターゲットとなる磁性体継鉄
２２をその磁気吸引力により浮上支承する。浮上制御
は、変位センサ２３により磁性体継鉄２２の鉛直方向変
位を検出して、その出力を補償回路２９とパワーアンプ
３０とからなるコントローラ２８に入力し、電磁石２１
の励磁電流を制御することによって行われる。

【００１６】ここで、浮上用電磁石２１のターゲットと
なる磁性体継鉄２２の外径は、浮上用電磁石２１の外径
よりもｄだけ大きく、このｄは、水平方向の制振用電磁
石３と、そのターゲットとなる磁性体継鉄５の隙間ａよ
りも大きい。従って、制振対象となる軸１が、大振幅で
振動しても、浮上支承するターゲット２２の外周面２５
が、浮上用電磁石２１の磁極の内側に入ることは無い。
それ故、浮上用電磁石２１の磁気力を磁性体継鉄２２に
十分に及ぼせなくなるという問題を防止することができ
る。

【００１７】即ち、制振対象となる軸が外乱等により大
振幅の動作が予想される装置に対して、十分な磁気力を
制振対象となる軸に与えることができる。尚、以上の説
明は除振装置への応用についてものであるが、軸を電磁
石の磁気力によって支承する、磁気軸受装置、磁気浮上
搬送装置等に応用可能なことはもとよりである。

【００１８】

【発明の効果】以上に説明したように、本発明は制振用
電磁石の磁路を制振対象となる軸の軸方向に形成するも
のである。従って、相隣接する周方向の磁極に対する漏
れ磁束が低減されることから、制振対象の軸に対して効
率的に磁気力を作用させることが可能となる。それ故、
制振対象の軸と電磁石の磁極とのギャップが大きい除振
装置等に適用して良好な制振特性が実現される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の電磁石の配置を説明するも
のであり、（Ａ）は断面図であり、（Ｂ）は軸方向に沿
った側断面図である。

【図２】本発明の一実施例の電磁アクチュエータの説明
図である。

【図３】電磁アクチュエータの説明図である。

【図４】従来の電磁石の配置を説明するものであり、
（Ａ）は断面図であり、（Ｂ）は軸方向に沿った側断面
図である。

【符号の説明】

１ 制振対象となる軸 ３ 制振用電磁石 ５，２２ 磁性体継鉄 ７，２３ 変位センサ ８，２８ コントローラ ９，２９ 補償回路 １０，３０ パワーアンプ １２，１４，１５ 磁極 １３，１６ 磁路 ２１ 浮上用電磁石 ａ ギャップ（隙間） ｂ 周方向に相隣接する磁極間の間隔 ｃ 電磁石の磁極間の間隔 ｄ 磁性体継鉄と浮上用電磁石との外径の差

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 制振対象となる軸に固定した磁性体継鉄
   と、該磁性体継鉄を磁気力により非接触で吸引する制振
   用電磁石と、該制振用電磁石と該磁性体継鉄の隙間を測
   定する変位センサと、該変位センサからの出力を基に前
   記電磁石の励磁電流を出力する補償回路、パワーアンプ
   から構成されるコントローラを備えた電磁アクチュエー
   タにおいて、前記制振用電磁石による前記磁性体継鉄内
   の磁路は、前記制振対象となる軸の軸方向に形成され、
   該電磁石のコの字状の磁極間の距離が、前記制振用電磁
   石と前記磁性体継鉄の隙間よりも大きいことを特徴とす
   る電磁アクチュエータ。
2. 【請求項２】 前記制振対象となる軸の外周には、複数
   の制振用電磁石が周方向に相隣接して配置され、該電磁
   石の周方向に相隣接する磁極は同一極性であることを特
   徴とする請求項１記載の電磁アクチュエータ。
3. 【請求項３】 前記制振用電磁石は水平方向を制振する
   ものであり、更に、鉛直方向に制振対象を支承する浮上
   用電磁石と、該浮上用電磁石を制御するための変位セン
   サと、補償回路とパワーアンプからなるコントローラと
   を備えることを特徴とする請求項１又は請求項２記載の
   電磁アクチュエータ。
4. 【請求項４】 前記浮上用電磁石のターゲットとなる磁
   性体継鉄の外径は、前記浮上用電磁石の外径よりも、少
   なくとも、前記水平方向の制振用電磁石と前記磁性体継
   鉄の隙間以上に大きいものであることを特徴とする請求
   項３記載の電磁アクチュエータ。