明 細 書
静電吸引型流体吐出装置、静電吸引型流体吐出方法、およびそれを用 レヽた描画パターン形成方法
技術分野
[0001] 本発明は、インク等の導電性流体を帯電させ、その流体をノズルカゝら静電吸引する ことで、基板などの対象物上に流体を吐出する静電吸引型流体吐出装置に関するも のである。
背景技術
[0002] 一般に、インク等の流体を対象物(記録媒体)上に吐出する流体ジェット方式にはィ ンクジェットプリンタとして実用化されているピエゾゃサ一マルなどの方式がある力 そ の他の方式として、吐出する流体を導電性流体とし、導電性流体に電界を印加してノ ズルから吐出させる静電吸引方式がある。
[0003] このような静電吸引方式の流体吐出装置 (以下、静電吸引型流体吐出装置と称す る)としては、例えば、日本国特許公報である特公昭 36— 13768号公報 (公告日 196 1年 8月 18日)および日本国公開特許公報である特開 2001-88306号公報 (公開 日 2001年 4月 3日)にお!/、て開示がある。
[0004] また、日本国公開特許公報である特開 2000— 127410号公報 (公開日 2000年 5 月 9日)〖こは、ノズル孔をスリット状とすると共にノズル孔に突出した針電極を設け、該 針電極を用いて微粒子を含むインクを吐出する装置が開示されている。また、日本 国公開特許公報である特開平 8— 238774号公報 (公開日 1996年 9月 17日)には、 ノズル孔より内部のインク室に電圧印加用の電極を設けた装置が開示されて ヽる。
[0005] ここで、従来の静電吸引型流体吐出装置における流体吐出モデルを説明する。
[0006] 静電吸引型流体吐出装置とりわけオンデマンド型の静電吸引型流体吐出装置の 設計要因としては、インク液体の導電性 (例えば比抵抗 106— loU Q cm)、表面張力 (例えば 0. 020-0. 040NZm)、粘度(例えば 0. 011—0. 015Pa-s)、印カロ電圧 (電場)がある。そして、印加電圧としては、ノズルに印加する電圧、およびノズルと対 向電極間との距離が特に重要とされていた。
[0007] 静電吸引型流体吐出装置においては、電気流体的な不安定性を利用しており、図 32にこの様子を示す。一様電界の中に導電性流体を静置すると、導電性流体の表 面に作用する静電力が表面を不安定にし、曳き糸の成長を促す (静電曳き糸現象) 。この時の電場は、ノズルと、ノズル先端のノズル孔と距離 hを隔てて対向する対向電 極との間に電圧 Vを印加したときに発生する電場 Eとする。この時の成長波長え は
0 c 物理的に導くことが可能であり(例えば、「画像電子情報学会,第 17卷,第 4号, 198 8年, p.185-193」)、次式で表される。
[0008] ここで、 γ:表面張力(NZm)、 ε :真空の誘電率 (FZm)、 E:電界の強さ(VZ
0 0
m)である。ノズル径 d(m)が、 λよりも小さい場合、成長は起こらない。すなわち、
d > ^ = ^y … )
2 ε0Ε0
力 吐出のための条件となっていた。
[0009] ここで、 Εは平行平板を仮定した場合の電界強度 (VZm)で、ノズル一対向電極間
0
距離を Mm)、ノズルに印加する電圧を Vとして、
0 Vo … ) したがって、
d > - C4)
εονο
となる。
[0010] 流体吐出装置では、一般的により微細なドット形成やライン形成を可能とするため に、インクを吐出するノズルの径を小さくしたいといった要望がある。
[0011] し力しながら、現在実用化されているピエゾ方式ゃサーマル方式などの流体吐出 装置では、ノズル径を小さくして、例えば lplを下回るような微小量の流体の吐出は困
難である。これは、流体を吐出するノズルが微細になるほど吐出に必要な圧力が大き くなるためである。
[0012] また、上述のような流体吐出装置では、液滴の微細化と高精度化は相反する課題 であり、両方を同時に実現するのは困難であった。これは以下の理由による。
[0013] ノズルから吐出された液滴に付与される運動エネルギーは、液滴半径の 3乗に比 例する。このため、ノズルを微細化した場合に吐出される微細液滴は、吐出時の空気 抵抗に耐えるほどの十分な運動エネルギーを確保できず、空気滞留などによる撹乱 を受け、正確な着弾を期待できない。さらに、液滴が微細になるほど、表面張力の効 果が増すため、液滴の蒸気圧が高くなり蒸発量が激しくなる.このため、微細液滴は 飛翔中に著 、質量の消失を招き、着弾時に液滴の形態を保つことすら難 、と 、う 問題があった。
[0014] またさらに、上述した従来の静電吸引型流体吐出装置における流体吐出モデルに 基づくと、上記(2)式より、ノズル径の減少は吐出に必要な電界強度の増加を要請す ることとなる。そして、電界強度は、上記(3)式に示すように、ノズルに印加する電圧( 駆動電圧) Vとノズル一対向電極間距離 hとによって決まるため、ノズル径の減少は
0
駆動電圧の上昇を招来する。
[0015] ここで、従来の静電吸引型流体吐出装置における駆動電圧は、 1000V以上と非 常に高いため、各ノズル間でのリークや干渉ィ匕を考慮すると小型化および高密度化 は難しぐノズル径をさらに小さくすると上記問題がより大きなものとなる。また、 1000 Vを越えるような高電圧のパワー半導体は一般的に高価で周波数応答性も低い。
[0016] 尚、特公昭 36— 13768号公報で開示されているノズル径は 0. 127mmであり、特 開 2001— 88306号公報で開示されているノズル径の範囲は 50— 2000 μ m、より好 ましくは 100— 1000 mといった範囲であった。
[0017] ノズル径に関して、従来の静電吸引型流体吐出における典型的な動作条件を当て はめて計算してみると、表面張力 0. 020NZm、電界強度 107VZmとして、上記(1 )式に代入して計算すると、成長波長え は約 140 mとなる。すなわち、限界ノズル 径として 70 mという値が得られる。すなわち、上記条件下では 107VZmの強電界 を用いてもノズル径が直径 70 μ m程度以下の場合は背圧を印加して強制的にメニス
カス形成させるなどの処置をとらない限り、インクの成長は起こらず、静電吸引型流体 吐出は成立しないと考えられていた。すなわち、微細ノズルと駆動電圧の低電圧化 は両立しな 、課題と考えられて 、た。
[0018] 以上のように、従来の流体吐出装置では、ノズルの微細化と高精度化は相反する 課題であり、両方を同時に実現することは困難であった。また、特に静電吸引型流体 吐出装置では、ノズルの微細化と駆動電圧の低電圧化とは両立しな 、課題と考えら れていた。
発明の開示
[0019] 本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、ノズルの 微細化と微小流体の吐出及び着弾位置の高精度化、さらに、駆動電圧の低電圧化 をすベて実現した静電吸引型流体吐出装置を提供することにある。
[0020] 上記の目的を達成するために、本発明に係る静電吸引型流体吐出装置は、ノズル と吐出先部材、例えば絶縁性基板との間に駆動電圧印加手段力 駆動電圧を印加 して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この流体をノズル孔カゝら前記吐出 先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出装置において、前記ノズルの孔径は φ 0. 01 m— φ 25 mであり、前記駆動電圧印加手段は、前記駆動電圧として、正負 両極性に反転する両極性パルス電圧であり、周波数が 1Hz以上の電圧を出力するこ とを特徴としている。
[0021] また、本発明の静電吸引型流体吐出方法は、ノズルと吐出先部材、例えば絶縁性 基板との間に駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この 流体をノズル孔力 前記吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出方法におい て、前記ノズルの孔径は φ 0. 01 m— φ 25 mであり、前記駆動電圧は、正負両 極性に反転する両極性パルス電圧であり、周波数が 1Hz以上の電圧であることを特 徴としている。
[0022] 従来、静電吸引型流体吐出装置において、ノズル孔径の縮小は吐出に必要な電 界強度の増加を招来するため、ノズル孔径の微細化と駆動電圧の低電圧化は両立 し得ないと考えられていた。これに対し、本願発明では、ノズル孔径を φ θ. Οί μ m— Φ 25 μ mの微細径とした場合に局所電界が発生し、吐出における駆動電圧の低下
が可能になるという新たな知見に基づき、ノズル孔径を上記範囲内とすることにより、 ノズル孔径の微細化と駆動電圧の低電圧化の両立を実現している。
[0023] また、上記の構成では、ノズルに印加する駆動電圧が、正負両極性に反転する両 極性パルス電圧であり、周波数が 1Hz以上の電圧となっているので、吐出先部材の チャージアップによる吐出先部材での液滴の飛散領域の拡大と駆動電圧の上昇とを 抑制することができる。この結果、吐出先部材に対する微細パターンの形成を、ノズ ルの低電圧駆動により、かつ鮮明に行うことができる。
[0024] 本発明の静電吸引型流体吐出装置は、ノズルと吐出先部材、例えば絶縁性基板と の間に駆動電圧印加手段から駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電 荷を供給し、この流体をノズル孔力 前記吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体 吐出装置において、前記ノズルの孔径は φ 0. 01 m— φ 25 mであり、前記駆動 電圧印加手段は、前記駆動電圧として、正負両極性に反転する両極性パルス電圧 であり、前記流体の電気伝導度 σ S/mおよび比誘電率 εに対して、 τ = ε Ζ σに て決定される時定数てと駆動電圧周波数 fHzとの関係が f≤ 1/ (2 τ )となる電圧を 出力することを特徴として 、る。
[0025] また、本発明の静電吸引型流体吐出方法は、ノズルと吐出先部材、例えば絶縁性 基板との間に駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この 流体をノズル孔力 前記吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出方法におい て、前記ノズルの孔径は φ 0. 01 m— φ 25 mであり、前記駆動電圧は、正負両 極性に反転する両極性パルス電圧であり、前記流体の電気伝導度 σ S/mおよび比 誘電率 εに対して、 τ = ε Ζ σにて決定される時定数 τと駆動電圧周波数 fHzとの 関係が f≤ 1/ (2 τ )となる電圧であることを特徴として!/、る。
[0026] 従来、静電吸引型流体吐出装置において、ノズル孔径の縮小は吐出に必要な電 界強度の増加を招来するため、ノズル孔径の微細化と駆動電圧の低電圧化は両立 し得ないと考えられていた。これに対し、本願発明では、ノズル孔径を φ θ. Οί μ m— Φ 25 μ mの微細径とした場合に局所電界が発生し、吐出における駆動電圧の低下 が可能になるという新たな知見に基づき、ノズル孔径を上記範囲内とすることにより、 ノズル孔径の微細化と駆動電圧の低電圧化の両立を実現している。
[0027] また、上記の構成では、ノズルに印加する駆動電圧として、正負両極性に反転する 両極性パルス電圧であり、流体の電気伝導度 σ S/mおよび比誘電率 εに対して、 τ = ε / σにて決定される時定数 τと駆動電圧周波数 fHzとの関係が f≤ 1/ (2 τ )となる電圧を出力するので、ノズルからの吐出最低電圧の上昇を抑制し、かつ吐出 先部材上における液滴の飛散領域を狭くし、吐出先部材上において鮮明な微細パ ターンを形成することができる。
[0028] 本発明の静電吸引型流体吐出装置は、ノズルと吐出先部材、例えば絶縁性基板と の間に駆動電圧印加手段から駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電 荷を供給し、この流体をノズル孔力 前記吐出先部材に吐出させるとともに、移動手 段にて前記ノズルと吐出先部材とをこれら両者の対向方向に直交する方向に相対移 動させる静電吸引型流体吐出装置において、前記ノズルの孔径は φ 0. 01 m— φ 25 μ mであり、前記駆動電圧印加手段は、前記駆動電圧として、正負両極性に反転 し、周波数が fHzである両極性パルス電圧を出力するものであり、前記駆動電圧印 加手段の駆動電圧周波数 fHzと前記相対移動における相対速度 V mZsecとの関 係が、 f≥5vとなるように、前記駆動電圧出力手段と前記移動手段との少なくとも一方 を制御する制御手段をさらに備えて 、ることを特徴として 、る。
[0029] また、本発明の静電吸引型流体吐出方法は、ノズルと吐出先部材、例えば絶縁性 基板との間に駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この 流体をノズル孔カも前記吐出先部材に吐出させるとともに、前記ノズルと吐出先部材 とをこれら両者の対向方向に直交する方向に相対移動させる静電吸引型流体吐出 方法において、前記ノズルの孔径は φ 0. 01 m— φ 25 mであり、前記駆動電圧 として、正負両極性に反転し、周波数が fHzである両極性パルス電圧を出力し、前記 駆動電圧周波数 fHzと前記相対移動における相対速度 v /z mZsecとの関係力 f≥ 5vとなるように駆動電圧周波数と相対移動速度との少なくとも一方を制御することを 特徴としている。
[0030] 従来、静電吸引型流体吐出装置において、ノズル孔径の縮小は吐出に必要な電 界強度の増加を招来するため、ノズル孔径の微細化と駆動電圧の低電圧化は両立 し得ないと考えられていた。これに対し、本願発明では、ノズル孔径を φ 0. 01 m—
25 μ mの微細径とした場合に局所電界が発生し、吐出における駆動電圧の低下 が可能になるという新たな知見に基づき、ノズル孔径を上記範囲内とすることにより、 ノズル孔径の微細化と駆動電圧の低電圧化の両立を実現している。
[0031] また、ノズルに印加する駆動電圧として、正負両極性に反転し、周波数が fHzであ る両極性パルス電圧を出力し、ノズルと吐出先部材との相対移動における相対速度 v /z mZsecと駆動電圧周波数 fHzとの関係力 f≥5vとなるように駆動電圧周波数と 相対移動速度との少なくとも一方を制御するので、吐出先部材上における液滴の飛 散を抑制して、鮮明な微細パターンを形成することが可能となる。
[0032] 本発明の静電吸引型流体吐出装置は、ノズルと吐出先部材、例えば絶縁性基板と の間に駆動電圧印加手段から駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電 荷を供給し、この流体をノズル孔力 前記吐出先部材に吐出させるとともに、移動手 段にて前記ノズルと吐出先部材とをこれら両者の対向方向に直交する方向に相対移 動させる静電吸引型流体吐出装置において、前記ノズルの孔径は φ 0. 01 m— φ 25 μ mであり、前記駆動電圧印加手段は、前記駆動電圧として、正負両極性に反転 する両極性パルス電圧であり、 400V以下の電圧を出力することを特徴としている。
[0033] また、本発明の静電吸引型流体吐出方法は、ノズルと吐出先部材、絶縁性基板と の間に駆動電圧を印加して、ノズル内に供給された流体に電荷を供給し、この流体 をノズル孔力 前記吐出先部材に吐出させる静電吸引型流体吐出方法において、 前記ノズルの孔径は φ 0. 01 m— φ 25 mであり、前記駆動電圧は、正負両極性 に反転する両極性パルス電圧であり、 400V以下の電圧であることを特徴として ヽる。
[0034] 従来、静電吸引型流体吐出装置において、ノズル孔径の縮小は吐出に必要な電 界強度の増加を招来するため、ノズル孔径の微細化と駆動電圧の低電圧化は両立 し得ないと考えられていた。これに対し、本願発明では、ノズル孔径を φ θ. Οί μ m— Φ 25 μ mの微細径とした場合に局所電界が発生し、吐出における駆動電圧の低下 が可能になるという新たな知見に基づき、ノズル孔径を上記範囲内とすることにより、 ノズル孔径の微細化と駆動電圧の低電圧化の両立を実現している。
[0035] また、ノズルに印加する駆動電圧は、正負両極性に反転する両極性パルス電圧で あり、 400V以下の電圧であるので、吐出先部材上に流体を吐出してドット形成する
場合、そのドット周辺部への液滴の飛散を抑制し、鮮明な微細パターンを形成するこ とがでさる。
[0036] また、本発明の静電吸引型流体吐出装置は、電圧印加により帯電された吐出流体 を、流体吐出ヘッドのノズルの流体噴出孔力 静電吸引によって吐出させ基板に着 弾させることによって、該基板表面に吐出流体による描画パターンを形成する静電吸 引型流体吐出装置において、上記ノズルの流体噴出孔は、そのノズル径が 0. 01— 25 μ mであると共に、上記基板が絶縁性基板であり、該絶縁性基板への流体吐出 前に、該絶縁性基板表面の電荷を除電する除電手段と、除電された絶縁性基板に 対して、正負両極性のパルス電圧にて流体吐出を行う流体吐出手段とを備えている ことを特徴としている。
[0037] 上記の構成によれば、ノズルの流体噴出孔径(ノズル径)を 0. 01— 25 mの微細 径とすることで局所電界が発生し、微細ノズル化により吐出における駆動電圧の低下 が可能となる。このような駆動電圧の低下は、装置の小型化およびノズルの高密度化 において極めて有利となる。もちろん、駆動電圧を低下させることで、コストメリットの 高い低電圧駆動ドライバの使用をも可能にする。
[0038] さらに、上記吐出モデルでは、吐出に必要な電界強度は、局所的な集中電界強度 に依存することになるため、対向電極の存在が必須とならない。すなわち、対向電極 を要さずに絶縁性基板などに対しても印字を行うことが可能となり、装置構成の自由 度が増す。また、厚い絶縁体に対しても印字を行うことが可能となる。
[0039] また、上述のような微細ノズルィ匕は、絶縁基板上に付着した電荷が存在する場合、 その電荷の電界反発力を受けて、吐出形成した微細パターンに乱れが生じたり、逆 に吐出不良が発生したりと安定した微細パターンを形成するのが困難となるといつた 問題がある。
[0040] これに対し、上記静電吸引型流体吐出装置では、絶縁性基板への流体吐出前に、 除電手段によって絶縁性基板表面の電荷が除電され、さらに、除電された後の絶縁 性基板に対しては、流体吐出手段が正負両極性のパルス電圧にて流体吐出を行う。 このため、絶縁性基板のチャージアップを抑制しながら安定した吐出を行うことができ る。
[0041] また、上記静電吸引型流体吐出装置では、上記除電手段は、所定のパターンにて 絶縁性基板の除電を行う構成とすることができる。
[0042] 上記の構成によれば、上記除電手段は、所望のパターニングデータに対応して絶 縁性基板の必要な箇所のみを除電することができる。このため、上記除電手段は絶 縁性基板全体を除電する必要がなぐ例えば針状の除電ヘッドのような高電圧を必 要としない除電手段を使用できるため、該除電手段に対しコストメリットの高い低電圧 ドライバによる制御を行うことができる。また、絶縁性基板上の必要部分だけに除電が 施されるため、除電に費やす時間が短くてすむ。
[0043] また、上記静電吸引型流体吐出装置では、上記流体吐出手段は、流体吐出時に おけるメニスカス部への電荷集中によって生じる電界強度力 Paschen Curveの算出 式によって求められる放電開始電界強度よりも小さくなるような印加電圧にて流体吐 出を行う構成とすることが好まし 、。
[0044] 上記の構成によれば、上記流体吐出手段における流体吐出時に、気中放電が生 じることを抑制でき、放電による周辺部への流体微細液滴の飛散が無い、鮮明な微 細パターン像を形成することが可能となる。
[0045] また、本発明の静電吸引型流体吐出装置は、電圧印加により帯電された吐出流体 を、ノズルの流体噴出孔カも静電吸引によって吐出させ基板に着弾させることによつ て、該基板表面に吐出流体による描画パターンを形成する静電吸引型流体吐出装 置において、上記ノズルの流体噴出孔は、そのノズル径が 0. 01— 25 mであると 共に、上記基板が絶縁性基板であり、該絶縁性基板の表面に所定のパターンにて 電荷を付与する電荷付与手段を備えて ヽることを特徴として!ヽる。
[0046] 上記の構成によれば、ノズルの流体噴出孔径(ノズル径)を 0. 01— 25 mの微細 径とすることで局所電界が発生し、微細ノズル化により吐出における駆動電圧の低下 が可能となる。このような駆動電圧の低下は、装置の小型化およびノズルの高密度化 において極めて有利となる。もちろん、駆動電圧を低下させることで、コストメリットの 高い低電圧駆動ドライバの使用をも可能にする。
[0047] さらに、上記吐出モデルでは、吐出に必要な電界強度は、局所的な集中電界強度 に依存することになるため、対向電極の存在が必須とならない。すなわち、対向電極
を要さずに絶縁性基板などに対しても印字を行うことが可能となり、装置構成の自由 度が増す。また、厚い絶縁体に対しても印字を行うことが可能となる。
[0048] また、上述のような微細ノズル化は、絶縁基板上に付着した電荷が存在する場合、 その電荷の電界反発力を受けて、吐出形成した微細パターンに乱れが生じたり、逆 に吐出不良が発生したりと安定した微細パターンを形成するのが困難となるといつた 問題がある。
[0049] これに対し、上記電荷付与手段は、吐出流体によるパターン描画前に、該絶縁性 基板の表面に所定のパターンにて電荷を付与することができ、この電荷パターンによ つて、微細ノズルから吐出される流体によって描画されるパターンの乱れや、吐出不 良を防止し、安定した微細パターンを形成することができる。
[0050] 例えば、上記電荷付与手段によって付与される電荷の極性を駆動電圧極性とは逆 極性とし、ノターユングデータに基づいた所望の付与電荷パターンを形成する。そし て、この付与電荷パターンの真上力 流体吐出を行うことにより、付与電荷による引き 込み電界力が作用して、より鮮明な微細パターンを形成することができる。
[0051] あるいは、上記電荷付与手段によって付与される電荷の極性を駆動電圧極性とは 同極性とし、所望のパターンの周辺を囲むような付与電荷パターンを絶縁性基板上 に形成する。そして、この付与電荷パターンで囲まれた所望のパターン部分の真上 力 流体吐出を行うことにより、吐出された流体は絶縁性基板上に着弾する直前で、 付予電荷による反発電界力を横方向に受け、所望パターン部分に集中する方向に 液滴が着弾することで、その微細パターンをより鮮明に形成することができる。
[0052] また、上記静電吸引型流体吐出装置では、上記電荷付与手段は、感光性材料か らなる絶縁性基板に対して電荷を付与するものであり、上記絶縁性基板の表面を一 様に帯電させる一様帯電手段と、一様帯電された上記絶縁性基板の表面に所定の パターンにてレーザ照射を行い、レーザ照射された箇所の除電を行う除電手段とを 備えて 、る構成とすることができる。
[0053] 上記の構成によれば、上記付与電荷パターンを形成するにあたって、特に該付与 電荷パターンの極性を駆動電圧極性と同極性とする場合 (すなわち、付与電荷バタ ーンで囲まれた所望のパターンを描画パターン領域とする場合)、レーザ照射によつ
て形成される描画パターン領域は、レーザスポット径は最小で 5 μ m程度まで絞るこ とができるため、例えば針電極等による電荷付与方式に比べて精度の高いパターン 形成が可能となる。
[0054] また、本発明の他の静電吸引型流体吐出装置は、電圧印加により帯電された吐出 流体を、ノズルの流体噴出孔力 静電吸引によって吐出させ基板に着弾させることに よって、該基板表面に吐出流体による描画パターンを形成する静電吸引型流体吐出 装置において、上記ノズルの流体噴出孔は、そのノズル径が 0. 01— 25 mである と共に、上記基板が絶縁性基板であり、導電材カ Sパターユングされた該絶縁性基板 に対して接触配置可能であり、流体吐出時に該絶縁性基板上の導電部に電圧を印 加する電圧印加手段を備えて ヽることを特徴として ヽる。
[0055] 上記の構成によれば、絶縁性基板上に既にパターユングされている導電パターン がある場合、該導電パターンとなる導電部に対し電圧印加手段を接触配置させ、導 電部に電圧を印加しながら流体吐出を行うことができる。これにより、導電パターン上 への吐出の集中度が大きくなり、特に、導電パターンのライン上への重ね塗りや、導 電パターンのライン同士の連結を行う際に有効となる。
[0056] また、本発明の描画パターン形成方法は、電圧印加により帯電された吐出流体を、 ノズルの流体噴出孔力 静電吸引によって吐出させ絶縁性基板に着弾させることに よって、該絶縁性基板表面に吐出流体による描画パターンを形成する静電吸引型流 体吐出装置による描画パターン形成方法において、上記ノズルの流体噴出孔は、そ のノズル径が 0. 01— 25 mであると共〖こ、上記基板が絶縁性基板であり、該絶縁 性基板に対し、吐出流体の吐出前に、描画パターンを形成すべき箇所に、予め吐出 流体を帯電させるための駆動電圧極性とは逆極性の電荷を付与することで電荷バタ ーンを形成し、上記電荷パターンの上に流体吐出を行うことによって吐出流体による 描画パターンを形成することを特徴として 、る。
[0057] 上記の構成によれば、吐出流体の吐出前に、駆動電圧極性とは逆極性の電荷によ り、描画パターンと同一の箇所に電荷パターンを形成する。そして、この電荷パター ンの真上力 流体吐出を行うことにより、付与電荷による引き込み電界力が作用して 、より鮮明な微細パターンを形成することができる。
[0058] また、本発明の他の描画パターン形成方法は、電圧印加により帯電された吐出流 体を、ノズルの流体噴出孔力 静電吸引によって吐出させ絶縁性基板に着弾させる ことによって、該絶縁性基板表面に吐出流体による描画パターンを形成する静電吸 引型流体吐出装置による描画パターン形成方法において、上記ノズルの流体噴出 孔は、そのノズル径が 0. 01— 25 mであると共〖こ、上記基板が絶縁性基板であり、 該絶縁性基板に対し、吐出流体の吐出前に、描画パターンを形成すべき箇所の周 囲に、予め吐出流体を帯電させるための駆動電圧極性とは同極性の電荷を付与す ることで電荷パターンを形成し、上記電荷パターンにて囲まれた描画パターン形成領 域上に流体吐出を行うことによって吐出流体による描画パターンを形成することを特 徴としている。
[0059] 上記の構成によれば、吐出流体の吐出前に、駆動電圧極性とは同極性の電荷によ り所望の描画パターンの周辺を囲むような電荷パターンを形成する。そして、この電 荷パターンで囲まれた所望の描画パターン部分の真上力も流体吐出を行うことにより 、描画パターン部分に集中する方向に液滴が着弾し、その微細パターンをより鮮明 に形成することができる。
[0060] また、上記描画パターン形成方法では、感光性材料からなる絶縁性基板を用い、 上記電荷パターンは、上記絶縁性基板の表面を一様に帯電させた後、一様帯電さ れた絶縁性基板の表面に所定のパターンにてレーザ照射を行 、、レーザ照射された 箇所の除電を行うことによって形成される構成とすることができる。
[0061] 上記の構成によれば、電荷パターンを形成するにあたって、特に該付与電荷パタ ーンの極性を駆動電圧極性と同極性とする場合 (すなわち、付与電荷パターンで囲 まれた所望のパターンを描画パターン領域とする場合)、レーザ照射によって形成さ れる描画パターン領域は、レーザスポット径は最小で 5 m程度まで絞ることができる ため、例えば針電極等による電荷付与方式に比べて精度の高いパターン形成が可 能となる。
[0062] また、本発明のさらに他の描画パターン形成方法は、電圧印加により帯電された吐 出流体を、ノズルの流体噴出孔力 静電吸引によって吐出させ絶縁性基板に着弾さ せることによって、該絶縁性基板表面に吐出流体による描画パターンを形成する静
電吸引型流体吐出装置による描画パターン形成方法において、上記ノズルの流体 噴出孔は、そのノズル径が 0. 01— 25 mであると共〖こ、上記基板が絶縁性基板で あり、該絶縁性基板に対し、吐出流体の吐出前に、描画パターンを形成しない非描 画領域に、予め吐出流体を帯電させるための駆動電圧極性とは同極性の電荷を付 与することで電荷パターンを形成し、上記流体吐出への電圧印加を上記非描画領域 の上でも停止することなく描画パターンを形成することを特徴としている。
[0063] 上記の構成によれば、上記非描画領域に形成される電荷パターンは、連続した流 体吐出によって形成される描画パターンが、ー且途切れるような箇所において形成さ れる。このように、絶縁性基板上に予め非描画領域に対応した電荷パターンを流体 吐出電圧と同極性で与えることにより、流体吐出の停止を行うことなしに非描画領域 を的確に形成することができる。
[0064] また、本発明のさらに他の描画パターン形成方法は、電圧印加により帯電された吐 出流体を、ノズルの流体噴出孔力 静電吸引によって吐出させ絶縁性基板に着弾さ せることによって、該絶縁性基板表面に吐出流体による描画パターンを形成する静 電吸引型流体吐出装置による描画パターン形成方法において、上記ノズルの流体 噴出孔は、そのノズル径が 0. 01— 25 mであると共〖こ、上記基板が絶縁性基板で あり、該絶縁性基板の導電材による第 1の描画パターンがすでに形成されている状 態で、第 1の描画パターンの上力もさらに第 2の描画パターンを形成する際、第 1の 描画パターンを形成する導電部に電圧を印加しながら第 2の描画パターンを形成す ることを特徴としている。
[0065] 上記の構成によれば、絶縁性基板上に既にパターユングされている第 1の描画パ ターンがある場合、該第 1の描画パターンとなる導電部に対し電圧を印加しながら流 体吐出を行うことができ、第 1の描画パターン上への吐出の集中度が大きくなる。これ により、特に、第 1の描画パターンにおけるライン上への重ね塗りや、ライン同士の連 結を行う際に有効となる。
[0066] 本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十 分に理解されるであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明 白になるであろう。
図面の簡単な説明
[図 1]本発明の実施の一形態における静電吸引型流体吐出装置の概略構成図であ る。
[図 2]本発明の基本となる吐出モデルにぉ ヽて、ノズルの電界強度の計算を説明す るための図である。
[図 3]表面張力圧力および静電的圧力のノズル径依存性のモデル計算結果を示す グラフである。
[図 4]吐出圧力のノズル径依存性のモデル計算結果を示すグラフである。
[図 5]吐出限界電圧のノズル径依存性のモデル計算結果を示すグラフである。
[図 6]本発明の前提技術における、荷電液滴と基板との間に働く鏡像力とノズル-基 板間距離との相関を示したグラフである。
[図 7]本発明の前提技術における、ノズル力も流出する流量と印加電圧との相関関係 のモデル計算結果を示したグラフである。
[図 8]吐出開始電圧のノズル径依存性を実験的に求めた結果を示すグラフである。
[図 9]ノズルの駆動電圧として両極性パルス電圧を使用しての描画パターン形成時に 、描画パターンの周辺に微小な液滴の飛散りが発生した状態を示す説明図である。
[図 10(a)]ノズルの駆動電圧としての周波数の低いパルス電圧の一例を示す波形図 である。
[図 10(b)]絶縁性基板上において液滴の飛散りが発生する原理の説明図である。
[図 11]図 1に示した電源から出力される駆動電圧の一例を示す波形図である。
[図 12]図 1に示した静電吸引型流体吐出装置におけるノズルの駆動電圧周波数と吐 出最低電圧との関係を示すグラフである。
[図 13]図 1に示した静電吸引型流体吐出装置でのライン描画時におけるノズルの駆 動電圧周波数と絶縁性基板上での液滴飛散領域幅との関係を示すグラフである。
[図 14(a)]本発明の実施の他の形態の静電吸引型流体吐出装置におけるノズルの駆 動電極に印加される駆動電圧としての両極性パルス電圧の波形とノズル先端におけ る吐出材料の表面電位との関係を示す波形図であって、ノズルから吐出材料の吐出 が起きな ヽ場合を示すものである
[図 14(b)]本発明の実施の他の形態の静電吸引型流体吐出装置におけるノズルの駆 動電極に印加される駆動電圧としての両極性パルス電圧の波形とノズル先端におけ る吐出材料の表面電位との関係を示す波形図であって、ノズルから吐出材料の吐出 が起こる場合を示すものである。
圆 15]図 1に示した静電吸引型流体吐出装置のノズルにおいて駆動電極力も供給さ れる電荷がノズル先端のメニスカスに蓄積される動作の説明図である。
[図 16]図 14 (b)に示した駆動電圧を使用した場合のノズル力ゝらの吐出材料の吐出お よび不吐出の様子を示す説明図である。
圆 17]図 1に示した静電吸引型流体吐出装置における駆動電圧周波数と吐出最低 電圧との関係を示すグラフである。
圆 18]図 1に示した静電吸引型流体吐出装置における駆動電圧周波数と絶縁性基 板上での液滴の飛散領域幅との関係を示すグラフである。
[図 19]図 1に示した静電吸引型流体吐出装置において、吐出材料として染色インク および銀ナノペーストを使用した場合の駆動電圧周波数と吐出最低電圧との関係を 広 、周波数範囲で示しグラフである。
圆 20]本発明の実施のさらに他の形態の静電吸引型流体吐出装置の概略構成であ る。
[図 21]本発明の実施のさらに他の形態の静電吸引型流体吐出装置におけるステー ジの走査速度と絶縁性基板上での液滴の飛散領域幅との関係を示すグラフである。
[図 22]本発明の実施のさらに他の形態の静電吸引型流体吐出装置におけるノズル の駆動電極に印加する駆動電圧と絶縁性基板上における液滴の飛散領域との関係 を示すグラフである。
圆 23]実施の形態 5に係る静電吸引型流体吐出装置の概略構成を示す斜視図であ る。
圆 24]実施の形態 6に係る静電吸引型流体吐出装置の概略構成を示す斜視図であ る。
[図 25]静電吸引型流体吐出装置におけるノズル先端部のノズル径とメニスカス部で の電荷集中によって生じる電界強度との関係を示すグラフである。
[図 26]実施の形態 8に係る静電吸引型流体吐出装置の概略構成を示す斜視図であ る。
[図 27]付着電荷の表面電位と流体吐出における駆動最低電圧との関係を示すダラ フである。
[図 28]実施の形態 9に係る静電吸引型流体吐出装置の概略構成を示す斜視図であ る。
[図 29]実施の形態 10に係る静電吸引型流体吐出装置の概略構成を示す斜視図で ある。
[図 30]本発明の実施の形態 11に係る静電吸引型流体吐出装置の概略構成を示す 斜視図である。
[図 31]実施の形態 12に係る静電吸引型流体吐出装置の概略構成を示す斜視図で ある。
[図 32]静電吸引型流体吐出装置における静電曳き糸現象による吐出流体の成長原 理を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
[0068] 〔前提技術〕
先ず、本発明の前提技術について、図面を参照して以下に説明する。本発明の前 提技術に係る静電吸引型流体吐出装置は、そのノズル径を 0. 01 μ m— 25 μ mとし ており、かつ、 1000V以下の駆動電圧にて吐出流体の吐出制御を可能としている。
[0069] ここで、従来のインク吐出モデルにおいては、ノズル径の減少は駆動電圧の上昇に 繋がるため、 50— 70 m以下のノズル径では、吐出インクに背圧を与えるなどの他 の工夫を行わない限り、 1000V以下の駆動電圧でのインク吐出は不可能と考えられ ていた。し力しながら、本願発明者らは鋭意検討の結果、あるノズル径以下では、従 来のインク吐出モデルとは異なる吐出モデルでの吐出現象が起こることを突き止めた 。本前提技術は、このインク吐出モデルにおける新たな知見に基づいている。
[0070] 先ずは、本願の前提技術において究明されたインク吐出モデルについて説明する
[0071] 直径 d (以下の説明においては、特に断らない限りノズル孔の内径を指す)のノズル
に導電性インクを注入し、無限平板導体力 hの高さに垂直に位置させたと仮定する 。この様子を図 2に示す。このとき、ノズル先端 (ノズル孔:流体吐出孔)に誘起される 電荷 Qは、ノズル先端の吐出流体によって形成される半球部に集中すると仮定し、以 下の式で近似的に表される。
0 = 2πε0 νοά … (5)
[0072] ここで、 Q :ノズルの先端部に誘起される電荷 (C)、 ε :真空の誘電率 (FZm)、 d :
o
ノズルの直径 (m)、 V :ノズルに印加する総電圧である。また、 は、ノズル形状など
0
に依存する比例定数であり、 1- 1. 5程度の値を取る力 特に D< < h (h :ノズル一基 板間距離 (m) )の時はほぼ 1となる。
[0073] また、基板として導電基板を用いた場合、ノズルと対向して基板内の対称位置に、 上記電荷 Qと反対の極性を持つ鏡像電荷 Q 'が誘導されると考えられる。基板が絶縁 体の場合は、誘電率によって定まる対称位置に同様に電荷 Qと逆極性の映像電荷 Q 'が誘導される。
[0074] ノズル先端部における集中電界強度 E は、先端部の曲率半径を Rと仮定すると、
で与えられる。ここで、 kは、ノズル形状などに依存する比例定数であり、 1. 5-8. 5 程度の値を取る力 多くの場合 5程度と考えられる(P.J. Birdseye and D.A. Smith, Surface Science, 23(1970), p.198- 210)。また、ここでは、インク吐出モデルを簡単に するため、 R=dZ2と仮定する。これは、ノズル先端部において表面張力によって導 電性インクがノズル径 dと同じ曲率径を持つ半球形状に盛り上がつている状態に相当 する。
[0075] 次に、ノズル先端の吐出流体に働く圧力のバランスを考える。まず、静電的な圧力
Pは、ノズル先端部の液面積を
e sとすると、
となる。 (5)—(7)式より、圧力 Pは、 ひ =1とおいて、
p =4s
QV
Q 2V
Q = 8s
0V
0 ...
(8)
e d kd kd2
と表される。
一方、ノズル先端部における吐出流体の表面張力による圧力 Pとすると、
となる。ここで、 γ:表面張力である。静電的な力により吐出が起こる条件は、静電的 な力が表面張力を上回ることなので、静電的な圧力 Ρと表面張力による圧力 Ρとの e s 関係は、
Pe>Ps …ひ。)
となる。
図 3に、ある直径 dのノズルを与えた時の、表面張力による圧力 Pと静電的な圧力 P s
との関係を示す。吐出流体の表面張力としては、吐出流体が水(γ =72mNZm) e
の場合を仮定している。ノズルに印加する電圧を 700Vとした場合、ノズル直径 dが 2 5 mにおいて静電的な圧力 Pが表面張力による圧力 Pを上回ることが示唆される。
e s
このことより、 Vと dとの関係を求めると、
-(ID が吐出の最低電圧を与える。
また、その時の吐出圧力 Δ Ρは、 AP = Pe-Ps - .. (12)
となる。
[0079] ある直径 dのノズルに対し、局所的な電界強度によって吐出条件を満たす場合の吐 出圧力 Δ Ρの依存性を図 4に、吐出臨界電圧 (すなわち吐出の生じる最低電圧) Vc の依存性を図 5に示す。
[0080] 図 4から、局所的な電界強度によって吐出条件を満たす場合 (V = 700V, y = 7 o
2mNZmと仮定した場合)のノズル径の上限が 25 μ mであることが分かる。
[0081] 図 5の計算では、吐出流体として水( γ = 72mN/m)および有機溶剤 ( y = 20m NZm)を想定し、 k= 5の条件を仮定した。この図より、微細ノズルによる電界の集中 効果を考慮すると、吐出臨界電圧 Vcはノズル径の減少に伴い低下することが明らか であり、吐出流体が水の場合においてノズル径が 25 mの場合、吐出臨界電圧 Vc は 700V程度であることが分かる。
[0082] 従来の吐出モデルにおける電界の考え方、すなわちノズルに印加する電圧 Vとノ
0 ズルー対向電極間距離 hとによって定義される電界のみを考慮した場合では、ノズル 径が微小になるに従 、、吐出に必要な駆動電圧は増加する。
[0083] これに対し、本前提技術にお!ヽて提案する新たな吐出モデルのように、局所電界 強度に注目すれば、微細ノズルィ匕により吐出における駆動電圧の低下が可能となる 。このような駆動電圧の低下は、装置の小型化およびノズルの高密度化において極 めて有利となる。もちろん、駆動電圧を低下させることで、コストメリットの高い低電圧 駆動ドライバの使用をも可能にする。
[0084] さらに、上記吐出モデルでは、吐出に必要な電界強度は、局所的な集中電界強度 に依存することになるため、対向電極の存在が必須とならない。すなわち、従来の吐 出モデルでは、ノズル一基板間に電界を印加するため、絶縁体の基板に対してはノ ズルと反対側に対向電極を配置するか、あるいは基板を導電性とする必要があった 。そして、対向電極を配置する場合、すなわち基板が絶縁体の場合では、使用でき る基板の厚さに限界があった。
[0085] これに対し、本前提技術の吐出モデルでは、対向電極を要さずに絶縁性基板など
に対しても印字を行うことが可能となり、装置構成の自由度が増す。また、厚い絶縁 体に対しても印字を行うことが可能となる。なお、ノズルから吐出される液体は帯電し ているので、この液体と基板との間には鏡像力が働く。この鏡像力の大きさと基板か らのノズルの距離 hとの相関を図 6に示す。
[0086] 次に、上記吐出流量の精密制御について考えて見る。円筒状の流路における流量 Qは、粘性流の場合、以下のハーゲン 'ポアズイユの式によって表される。いま、円筒 形のノズルを仮定し、このノズルを流れる流体の流量 Qは、次式で表される。
O ^d4 - (14)
r|L
[0087] ここで、 η 流体の粘性係数(Pa · s)、 L:流路すなわちノズルの長さ(m)、 d:流路す なわちノズルの径 (m)、 ΔΡ :圧力差(Pa)である。上式より、流量 Qは、流路の半径の 4乗に比例するため、流量を制限するためには、微細なノズルの採用が効果的であ る。この(14)式に、(13)式で求めた吐出圧力 ΔΡを代入し、次式を得る。
2
4nd3 2e0V,
Q (15)
kd
[0088] この式は、直径 d、長さ Lのノズルに電圧 Vを引加した際に、ノズル力 流出する流 体の流出量を表している。この様子を、図 7に示す。計算には L= 10mm、 r? = l (m Pa' s)、 γ = 72 (mNZm)の値を用いた。いま、ノズル径を先行技術の最小値 50 mと仮定する。電圧 Vを徐々に印加していくと、電圧 V= 1000Vで吐出が開始する。 この電圧は、図 5でも述べた吐出開始電圧に相当する。そのときのノズル力もの流量 が Y軸に示されている。吐出開始電圧 Vc直上で流量は急速に立ち上がつている。こ のモデル計算上では、電圧を Vcより少し上で精密に制御することで微小流量が得ら れそうに思えるが、片対数で示される図からも予想されるように実際上それは不可能 で、特に 10— 1C)m3Zs以下、微小量の実現は困難である。また、ある径のノズルを採用 した場合には、(11)式で与えられたように、最小駆動電圧が決まってしまう。このた め、先行技術のように、直径 50 m以上のノズルを用いる限り、 10— 1Gm3Zs以下の 微小吐出量や、 1000V以下の駆動電圧にすることは困難である。
[0089] 図力 分かるように、直径 25 μ mのノズルの場合 700V以下の駆動電圧で充分で あり、直径 10 μ mのノズルの場合 500V以下でも制御可能である。また、直径 1 μ m のノズルの場合 300V以下でも良いことが分力る。
[0090] 以上の考察は、連続流を考えた場合であるが、ドットを形成するためには、スィッチ ングの必要性がある。次にそれに関して述べる。
[0091] 静電吸引による吐出は、ノズル端部における流体の帯電が基本である。帯電の速 度は誘電緩和によって決まる時定数程度と考えられる。 τ = - · ' · (16)
σ
[0092] ここで、 ε:流体の比誘電率、 σ:流体の導電率(SZm)である。流体の比誘電率 を 10、導電率を 10— 6S/mを仮定すると、 τ = 1. 854 X 10— 5secとなる。あるいは、 臨界周波数を fcとすると、 fc = - - - - (17)
ε
となる。この fcよりも早い周波数の電界の変化に対しては、応答できず吐出は不可能 になると考えられる。上記の例について見積もると、周波数としては 10kHz程度とな る。
[0093] 次に、ノズル内における表面張力の低下について考える。電極の上に絶縁体を配 置し、その上に滴下した液体と電極の間に電圧を印加すると液体と絶縁体の接触面 積が増す、すなわちぬれ性がよくなることが見いだされ、エレクトロウエツティング( Electrowetting)現象と呼ばれている。この効果は、円筒形のキヤビラリ一形状におい ても成り立ち、エレクト口キヤピラリー(Electrocpapillary)と呼ばれることもある。エレクト ロウエツティング効果による圧力と、印加電圧、キヤビラリ一の形状、溶液の物性値と の間に以下の関係がある。
P = 2s。Sr p ' " (18)
ec t d
ここで、 ε :真空の誘電率、 ε :絶縁体の誘電率、 t :絶縁体の厚さ、 d :キヤビラリ一
の内径である。流体として、水を考えてこの値を計算してみると、上述の特許文献 1の 実施例の場合を計算してみると、高々 30000Pa (0. 3気圧)にすぎないが、本前提 技術の場合、ノズルの外側に電極を設けることにより 30気圧相当の効果が得られるこ とがわかった。これにより、微細ノズルを用いた場合でもノズル先端部への流体の供 給は、この効果により速やかに行われる。この効果は、絶縁体の誘電率が高いほど、 またその厚さが薄いほど顕著になる。エレクト口キヤピラリー効果を得るためには、厳 密には絶縁体を介して電極を設置する必要があるが、十分な絶縁体に十分な電場 がかかる場合、同様の効果が得られる。
[0094] 以上の議論において、注意すべき点は、これらの近似理論は従来のように電界強 度として、ノズルに印加する電圧 Vと、ノズルと対向電極間の距離 hとで決まる電界で
0
はなぐノズル先端における局所的な集中電界強度に基づいている。また、本前提技 術において重要なのは、局所的な強電界と、流体を供給する流路が非常に小さなコ ンダクタンスを持つことである。そして、流体自身が微小面積において十分に帯電す ることである。帯電した微小流体は、基板などの誘電体、または導体を近づけると、鏡 像力が働き基板に対し直角に飛翔する。このために、実施例ではノズルは作成の容 易さからガラスキヤピラリーを使っている力 これに限定されるものではない。
[0095] 以上のように、本実施の形態に係る静電吸引型流体吐出装置では、局所電界強度 に着目して新たに提案された吐出モデルに基づいているため、ノズル径 0. Ol ^ m 一 25 mの微細ノズルとすることが可能であり、かつ、 1000V以下の駆動電圧にて 吐出流体の吐出制御を行うことができる。尚、上記モデルに基づいて考察を行った 結果、直径 25 μ m以下のノズルの場合は 700V以下の駆動電圧で、直径 10 μ m以 下のノズルの場合は 500V以下の駆動電圧で、直径 1 μ m以下のノズルの場合は 30 0V以下の駆動電圧で吐出制御が可能である。
[0096] 図 8に、吐出臨界電圧 Vcのノズル径依存性を実験的に求めた結果を示す。ここで は、吐出流体として、ノ、リマ化成 (株)製の銀ナノペーストを用い、ノズル一基板間距離 100 mの条件で測定を行った。図 8より、微細ノズルになるにしたがって、吐出臨界 電圧 Vcが低下し、従来より低電圧で吐出が可能となって 、ることが分かる。
[0097] 本実施の形態に係る静電吸引型流体吐出装置では、上述したように、ノズル径ぉ
よび駆動電圧を共に小さくすることが可能であるが、この場合、従来の静電吸引型流 体吐出装置に比べ、以下のような問題が顕著に発生する。
[0098] 絶縁性基板上で静電吸引型流体吐出装置による流体吐出を行った場合、流体吐 出の前工程で絶縁性基板上に付着した電荷が存在すると、その電荷の電界反発力 を受けて、吐出形成した微細パターンに乱れが生じたり、逆に吐出不良が発生したり と安定した微細パターンを形成するのが困難となる。例えば、表面抵抗が 1015ΩΖ3 q程度のポリイミド、アクリル等の高分子材料上では、静電気は接触による摩擦等によ り簡単に発生するが、乾燥した環境下であると、表面抵抗が 101C)QZsq程度のガラ ス基板上でも容易に発生する。
[0099] また、予め絶縁性基板上に付着電荷がな 、場合でも、絶縁性基板上に吐出し着弾 した流体中には電荷が存在するため、 DCノ ィァスゃ片側極性のパルス電圧のように 駆動電圧として片側極性のバイアスを用いると、吐出した流体中の電荷によって絶縁 性基板がチャージアップし、絶縁性基板上で表面電位が上昇する。すなわち、絶縁 性基板上に吐出流体によるパターンを形成することで基板上に電荷の存在が生じ、 この電荷の反発電界力を受けて吐出特性が低下する。
[0100] 実際に、絶縁基板上に吐出流体によるパターンが形成され該基板がある程度帯電 した状態では、以下の表 1に示すように、表面抵抗値が 1015QZsqのポリイミド上で の吐出最低電圧が、表面抵抗値が 101GQZsqのガラス或いは導電体の SUS基板よ りも高くなつており、吐出特性が低下していることがわかる。尚、上記表 1は、ノズル径 力 mの場合の結果を示している。
[0101] [表 1]
基板の種類 吐出最低電圧
ポリイ ミ ド ( 1 0 1 5 Q Z s q ) 3 3 0 V
ガラス ( l O ^ Q/ s q ) 1 4 8 V
S U S 1 4 8 V
本実施の形態に係る静電吸引型流体吐出装置は、絶縁性基板上での電荷付着に よる表面電位上昇を抑制することにより、微小流体吐出を常に安定して行うことを可 能にし、より鮮明な微細パターンの形成を可能とする。このような静電吸引型流体吐 出装置について、以下の実施の形態について説明する。
[0102] 〔実施の形態 1〕
静電吸引型流体吐出装置においては、前述の前提技術にて説明したように、ノズ ル孔の直径(ノズル径)を φ 0. 01— 25 μ mの範囲とすることにより、ノズル孔径の微 細化と駆動電圧の低電圧化との両立が可能である。
[0103] また、ノズルからの吐出材料となる液体の吐出量は、ノズルと吐出先部材との間の 電位差やノズルと吐出先部材との間の距離、すなわちギャップによって制御すること ができる。基本的には、電位差が大きいほど、またギャップが小さいほど、ノズル先端 の電界強度を大きくすることができるため、その吐出量を制御することが容易となる。
[0104] し力しながら、上記のような静電吸引型流体吐出方法には、上述したように基板の チャージアップの問題がある。すなわち、絶縁性の吐出先部材に対して液体の吐出 を行った場合、 DCバイアスや片側極性のパルス電圧など、 +または一の片側極性の バイアスを駆動電圧としてノズルに印加した場合、吐出液体中の電荷によって吐出 先部材がチャージアップし、その表面電位が上昇する。そして、この表面電位上昇の 影響により、吐出駆動力となるノズル (ノズル内部の駆動電極)と吐出先部材との間の 電位差が不安定となり吐出不良が発生する。
[0105] この結果、片側極性のバイアスを使用して安定吐出を行うためには、上記電位差を 確保するために、ノズルの駆動電極にさらに高いバイアスを与える必要があり(吐出 最低電圧が上昇し)、ノズルの低電圧駆動が困難となる。
[0106] そこで、このような吐出最低電圧の上昇を抑制するために、ノズルの駆動電圧として 両極性パルス電圧を使用するのが好ましい。この場合には、以下の表 2に示すよう〖こ 、 DCバイアスを使用する場合と比較して、吐出最低電圧が低下することがわかる。こ れは、吐出先部材への着弾液滴の帯電電荷が正負交互となり、吐出先部材上へは 順次逆極性の電荷が滴下されるため、吐出先部材でのチャージアップを抑制しなが ら吐出が行われること〖こよる。このように、ノズルの駆動電圧として両極性パルス電圧
を使用することは、ノズルからの吐出安定性を高める上で有効である。
[0107] [表 2]
ところが、ノズルの駆動電圧として両極性パルス電圧を使用した場合であっても、図
9に示すように、吐出先部材への描画パターン形成時に、描画パターンの周辺に微 小な液滴の飛散りが発生し、描画パターンが乱れる事態を招来する。これは次の理 由による。
[0108] 例えば、図 30 (a)に示すように、ノズルの駆動電圧として周波数の低 、パルス電圧 を使用し、このパルス電圧の正極性パルスにてノズルからの吐出が行われる構成の 場合、吐出先部材である絶縁性基板 16上には正電荷を有する液体が連続的に吐 出される。このとき、図 30 (b)に示すように、先に滴下されている液体上に後から液体 が滴下されると、両液体は同極性に帯電しているために絶縁性基板 16上において 反発し合 ヽ、例えば後から滴下された液体がさらに微細な液滴となって絶縁性基板 1 6上に飛び散ることになる。
[0109] 上記のような微細液滴の飛散りは、例えば、吐出材料を導電性材料として絶縁性基 板 16上に配線パターンを描画した場合に、基板の電気特性に悪影響を及ぼすこと になる。
[0110] そこで、本発明の静電吸引型流体吐出装置では、さらに、ノズルの駆動電圧として 両極性パルス電圧を使用する構成にぉ ヽて、吐出先部材上における吐出材料の飛 散りを抑制して、描画像の乱れの少な 、鮮明な微細パターンを形成できるようにする
[0111] 以下、本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置について詳細に説明する。
[0112] 図 1は本実施の形態における静電吸引型流体吐出装置の概略構成図である。図 1 に示すように、静電吸引型流体吐出装置では、液滴吐出ヘッドとなるノズル 11とステ ージ 12とが対向配置されている。すなわち、ノズル 11は先端部が下方を向くように配 置され、ノズル 11の下方にステージ 12が水平に設けられている。ノズル 11は図示し ない駆動装置に駆動されて任意の方向へ移動可能となっている。例えば、ノズル 11 はノズル 11を独立して移動させるための 3次元ロボットに備え付けられている。なお、 ノズル 11とステージ 12とは相対移動すればよぐしたがってテージ 12が駆動装置に 駆動されて移動するものであってもよ 、。
[0113] ノズル 11内には駆動電極 13が設けられ、この駆動電極 13には電源(駆動電圧印 加手段) 14が接続されている。また、ノズル 11内には液体力もなる吐出材料 (流体) 1 5が充填され、ステージ 12上には吐出材料 15の吐出先である絶縁性基板(吐出先 部材) 16が固定される。ステージ 12は接地されており、したがって絶縁性基板 16は ステージ 12を通じて接地される。絶縁性基板 16にはノズル 11から吐出された吐出材 料 15により、例えば微細な配線パターンが形成される。
[0114] ノズル 11は、超微細液体を吐出可能とするために、低コンダクタンスの流路がノズ ル 11の近傍に設けられている力、もしくはノズル 11自身が低コンダクタンスのものと なっている。このために、ノズル 11は、ガラス製キヤビラリ一が好適であるが、導電性 物質に絶縁材でコーティングしたものでも可能である。
[0115] ノズル 11をガラス製とする理由は、容易に数/ z m程度のノズル孔を形成できること、 ノズル孔の閉塞時にはノズル端を破砕することにより新しいノズル端を再生できること 、ガラスノズルの場合、テーパー角がついているために、不要な溶液が表面張力によ つて上方へと移動し、ノズル端に滞留せず、ノズル詰まりの原因にならないこと、およ びノズル 11が適度な柔軟性を持っため、可動ノズルの形成が容易であること等によ る。
[0116] 具体的には、芯入りガラス管(商品名:株式会社ナリシゲ製 GD— 1)を用い、キヤピ ラリーブラーにより作成することができる。芯入りガラス管を用いた場合には次のような 禾 IJ点がある。
[0117] (1)芯側ガラス力インクに対し濡れやすいために、インクの充填が容易になる。 (2)
芯側ガラスが親水性で、外側ガラスが疎水的であるためにノズル端部において、イン クの存在領域が芯側のガラスの内径程度に限られ、電界の集中効果がより顕著とな る。(3)微細ノズルィ匕が可能となる。(4)十分な機械的強度が得られる。
[0118] ノズル径の下限値は、制作上の都合から 0. 01 μ mが好ましぐまた、ノズル径の上 限値は、図 3に示した静電的な力が表面張力を上回る時のノズル径の上限が 25 m であること、および図 4に示した局所的な電界強度によって吐出条件を満たす場合の ノズル径の上限が 25 μ mであることから 25 μ mが好ましぐ 15 μ mがより好ましい。 特に、局所的な電界集中効果をより効果的に利用するには、ノズル径は 0. 01— 8 mの範囲が望ましい。本実施の形態において、ノズル径は φ 0. 1— φ 20 mの範囲 に設定している。
[0119] また、ノズル 1 1は、キヤビラリ一チューブに限らず、微細加工により形成される 2次 元パターンノズルでも力まわない。ノズル 11を成形性の良いガラスとした場合、ノズル 11を電極として利用することはできないから、ノズル 11内には、金属線 (例えばタン ダステン線)を駆動電極 13として挿入する。なお、ノズル 11内にメツキにて駆動電極 13を形成しても良い。また、ノズル 11自体を導電性物質で形成した場合には、その 上に絶縁材をコーティングする。
[0120] また、駆動電極 13は、ノズル 11内に充填された液体である吐出材料 15に浸される ように配置する。吐出材料 15は図示しない供給源力 供給される。
[0121] 電源 (駆動電圧印加手段) 14の動作は、例えばコンピュータ力もなる制御装置 (駆 動電圧印加手段) 17により制御される。すなわち、制御装置 17からの吐出信号が電 源 14に供給され、この吐出信号に応じて電源 14からパルス波形の電圧が駆動電極 13に印カロされる。ノズル 11内の吐出材料 15はこの電圧により帯電し、ノズル 11力 吐出される。上記駆動電圧の一例を図 11に示す。この駆動電圧は、極性が順次正 負に判定する両極性パルス電圧であり、その周波数は 1Hz以上となっている。
[0122] 絶縁性基板 16としては、表面抵抗値が 101G Q Zsq以上のものであれば良ぐポリイ ミドゃアクリル、ポリカーボネード等の高分子材料以外に、低湿度環境下のガラス等 力もなるものも上記範囲内に当てはまる。
[0123] 上記の構成において、まず、ノズル 11からの微細液体の吐出原理について説明す
る。この吐出原理は次のように考えられている。静電吸引型流体吐出装置では、電源
14から駆動電極 13に駆動電圧が印加されることにより、駆動電極 13から吐出材料 1 5に電荷が供給される。この電荷は、ノズル 11内部の吐出材料 15を通じて、ノズル 1 1の先端部に形成された、静電容量を有するメニスカス 40に移動する。そして、静電 吸引型流体吐出装置 40の電荷量が所定量に達すると、ノズル 11から絶縁性基板 1 6への液体の吐出が行われる。
[0124] 次に、静電吸引型流体吐出装置におけるノズル 11から吐出材料 15を吐出して絶 縁性基板 16に所望のパターンを形成する場合の動作について説明する。
[0125] ノズル 11は、 3次元ロボット等の駆動装置により、所望のパターニングデータに応じ て X軸方向および Y軸方向に 2次元駆動される。この際、ノズル 11は、さら〖こノズル 1 1の先端と絶縁性基板 16との距離 (ギャップ)が常に 30— 200 mの範囲内となるよ うに、 Z軸方向の位置が制御される。上記のギャップ測定手段としては、レーザを利用 した変位計ある ヽはレーザを利用したギャップ測長計が利用される。
[0126] ノズル 11の上記移動に伴い、ノズル 11の駆動電極 13に対して電源 14から両極性 パルス電圧(駆動電圧)が印加される。これにより、ノズル 11内の吐出材料 15におい てノズル 11の先端方向に向けて電荷の移動が始まる。そして、ノズル 11の先端部に おいて吐出材料 15により形成されるメニスカス 40に電荷が蓄積されてその周辺部の 電界強度が上昇する。その後、電界強度がノズル 11から吐出材料 15を吐出させる ための臨界点を超えると、ノズル 11から吐出材料 15が吐出され、絶縁性基板 16上 に着弾する。この場合、ノズル 11の駆動電圧として 1Hz以上の両極性パルス電圧が 駆動電極 13に印加されているので、絶縁性基板 16上に着弾する液体の極性は正 負交互となる。また、 1発の吐出時間は 500msec以下となる。
[0127] 次に、静電吸引型流体吐出装置による絶縁性基板 16への描画動作における両極 性パルス電圧の周波数特性にっ ヽて説明する。
[0128] 図 12には、ポリイミド基板 (絶縁性基板 16)上に銀ナノペーストを吐出材料として吐 出した場合の駆動電圧周波数と吐出最低電圧との関係を示し、図 13には駆動電圧 周波数とライン描画時における絶縁性基板 16上での液滴飛散領域幅との関係を示 している。
[0129] 駆動電極 13に駆動電圧として両極性パルス電圧を印加した場合、交互に印加され る正電圧および負電圧のそれぞれに応じてノズル 11から吐出材料 15の液滴が吐出 される。このときの吐出時間は両極性パルス電圧の周波数に応じて変化し、この吐出 時間に比例して絶縁性基板 16上に着弾する吐出材料 15の一滴の電荷量が変化す る。
[0130] この場合、両極性パルス電圧の周波数を下げて一発(一回の吐出)あたりの電荷量 を増やすと、図 12に示すように、吐出最低電圧 (ノズル 11からの吐出開始電圧)が上 昇する。これは、一発あたりの電荷量が増加すると、絶縁性基板 16上に着弾した液 滴の電荷量 (絶縁性基板 16のチャージ量)が大きくなつて絶縁性基板 16とノズル 11 との間の電位差が低下し、持続的に安定吐出を行うのに必要な駆動電極 13への印 加電圧 (駆動電圧)の値が高くなることによる。
[0131] すなわち、図 12においては、駆動電圧周波数が 1Hzよりも低くなると吐出最低電圧
(吐出開始電圧)が上昇し始めており、このように駆動電圧周波数が 1Hz未満の条件 では、駆動電圧が DCバイアス(DC電圧)である場合のように、ノズル 11からの吐出 動作が、絶縁性基板 16のチャージアップの影響を受け始めて 、る。
[0132] 実際に、図 12に示すように、絶縁性基板 16上への吐出材料 15の吐出による描画 時における絶縁性基板 16上での液滴の飛散領域幅は、駆動電圧周波数が 1Hz未 満の条件下において急激に増大していることが確認できる。逆に、駆動電圧周波数 力 SlHz以上の条件下では、絶縁性基板 16上での液滴の飛散領域幅を 50 m以下 に抑制することができ、良好な描画像を安定して形成することができる。
[0133] 以上のように、本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置では、ノズル 11の駆動電 極 13に印加する駆動電圧として 1Hz以上の両極性パルス電圧を使用しているので、 絶縁性基板 16のチャージアップによる絶縁性基板 16での液滴の飛散領域の拡大と 駆動電圧の上昇とを抑制することができる。この結果、絶縁性基板 16に対する微細 パターンの形成を、ノズル 11の低電圧駆動により、かつ鮮明に行うことができる。
[0134] なお、本実施の形態では、駆動電圧としての両極性パルス電圧をノズル 11の駆動 電極 13に印加するものとして説明した力 ノズル 11からの吐出に必要な駆動電圧は 駆動電極 13に印加される電圧と対向電極として機能するステージ 12との間の電位
差である。したがって、駆動電圧は、ステージ 12にのみ印加される電圧である構成、 あるいはステージ 12に印加される電圧と駆動電極 13に印加される電圧との合成電 圧 (電位差)である構成であってもよ 、。
[0135] また、駆動電圧である両極性パルス電圧としては、 AC等のようなスルーレートの低 V、波形であっても利用可能である。
[0136] 〔実施の形態 2〕
本発明の実施の他の形態を図面に基づいて以下に説明する。
[0137] 図 14 (a)および図 14 (b)は、ノズル 11の駆動電極 13に印加される駆動電圧として の両極性パルス電圧の波形とノズル 11先端における吐出材料 15の表面電位との関 係を示す波形図であって、図 14 (a)はノズル 11から吐出材料 15の吐出が起きない 場合、図 14 (b)は同吐出が起こる場合を示している。図 15は、ノズル 11において駆 動電極 13から供給される電荷がノズル 11先端のメニスカス 40に蓄積される動作の 説明図である。図 16は、図 14 (b)の駆動電圧 (駆動電圧周波数)を使用した場合の ノズル 11からの吐出材料 15の吐出および不吐出の様子を示す説明図である。図 17 は、駆動電圧周波数と吐出最低電圧との関係を示すグラフ、図 18は、駆動電圧周波 数と絶縁性基板 16上における液滴の飛散領域幅との関係を示すグラフである。図 1 9は、吐出材料 15として、染色インクおよび銀ナノペーストを使用した場合における 駆動電圧周波数と吐出最低電圧との関係を広い周波数範囲で示すグラフである。な お、本実施の形態においては、前記の実施形態と同じ部分の説明は省略し、異なる 部分のみを説明する。
[0138] 本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置は図 1に示した構成を有する。この静電 吸引型流体吐出装置においては、ノズル 11の駆動電極 13に両極性パルス電圧を 印加した場合の電圧波形、およびこの電圧印加に基づ!/、てノズル 11先端の吐出材 料 15に蓄積される電荷による表面電位との関係が図 14 (a)または図 14 (b)のように なる。
[0139] すなわち、図 14 (a) , (b)および図 15において、ノズル 11の駆動電極 13に両極性 パルス電圧 101を印加すると、ノズル 11内部の駆動電極 13からノズル 11先端に向 けて吐出材料 15内を電荷が移動し、この電荷がノズル 11先端のメニスカス 40に蓄
積される。これにより、メニスカス表面電位 102は、立上り電位 101aおよび立下り電 位 101bで最大となるような飽和曲線を描きながら上昇する。この場合、メニスカス表 面電位 102が吐出に必要な駆動力を得るための吐出可能最低電位 103に達した時 点にて、ノズル 11からの吐出材料 15の吐出が開始される。
[0140] したがって、図 14 (a)に示すように、メニスカス表面電位 102が吐出可能最低電位 103に到達しないうちにパルスが反転するような (逆極性電圧が印加されるような)駆 動電圧周波数の場合には、ノズル 11からの吐出材料 15の吐出は生じない。そこで、 ノズル 11からの吐出材料 15の吐出が行われるようにするには、両極性パルス電圧 1 01の振幅を大きくする力 あるいは駆動電圧周波数を下げて両極性パルス電圧 101 の正電圧および負電圧それぞれの印加時間を長くする必要がある。
[0141] ここで、駆動電圧周波数を低下させる場合に注目すると、吐出材料 15の電気伝導 度 σ S/mおよび比誘電率 εにて決定される帯電時定数てと両極性パルス電圧 101 における正電圧および負電圧それぞれの印加時間 Τとの大小関係によりノズル 11か らの吐出の有無を設定することができる。したがって、図 14 (b)に示すように、駆動電 圧周波数 fHzを帯電時定数てよりも印加時間 Tが大きくなるように設定すること、すな わち、駆動電圧周波数 fを、 f≤l/ (2 τ )を満たすように設定することにより、ノズル 1 1からの吐出材料 15の吐出を行わせることができる。図 16には、図 14 (b)の駆動電 圧 (駆動電圧周波数)に対応してノズル 11からの吐出材料 15の吐出および不吐出 の様子を示す。
[0142] 具体例として、ポリイミド基板 (絶縁性基板 16)上に銀ナノペーストを吐出材料 15と して吐出させた場合について、図 17には駆動電圧周波数と吐出最低電圧との関係 を示し、図 18には駆動電圧周波数と絶縁性基板 16における液滴の飛散領域幅との 関係を示す。
[0143] 図 17の結果では、駆動電圧周波数が約 50Hz以上になると吐出最低電圧が上昇 している。これは、メニスカス表面電位 102を吐出可能最低電位 103に到達させるた めに、印加電圧(両極性パルス電圧)を大きくせざるを得な!ヽ駆動電圧周波数条件で あることを意味している。すなわち、駆動電圧周波数が 50Hz以上である場合は、 f≤ 1/ (2 τ )を満たさない駆動周波数条件である。
[0144] また、図 18の結果では、駆動電圧周波数が 50Hz以上において、絶縁性基板 16 上における液滴の飛散領域が大きくなり、絶縁性基板 16上の描画像の乱れが大きく なっていることがわかる。すなわち、絶縁性基板 16上における液滴の飛散をできるだ け抑制して、鮮明な微細パターンを得るためには、 50Hz以下の駆動電圧周波数で 吐出を行う必要がある。
[0145] 図 19には、吐出材料 15として、電気伝導度が 10— 4— 6(SZcm)の染色インクおよ び電気伝導度が 10— 7—9(SZcm)の銀ナノペーストを使用した場合における駆動電 圧周波数と吐出最低電圧との関係を広い周波数範囲で示す。すなわち、図 19は銀 ナノペーストにつ 、ては、低 、周波数範囲を示す図 12と高 、周波数範囲を示す図 1 7とを合成したものとなっている。
[0146] なお、図 19に基づく駆動電圧周波数 fの好ましい範囲は、 lHz≤fかつ f≤lZ(2
τ )である。
[0147] 以上のように、本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置では、駆動電圧として、 駆動電圧周波数 f≤ 1, (2 τ )を満たすような両極性パルス電圧を使用してノズ ル 11を駆動することにより、吐出最低電圧の上昇を抑制し、かつ絶縁性基板 16上に おける液滴の飛散領域を狭くし、絶縁性基板 16上において鮮明な微細パターンを 形成することができる。
[0148] なお、本実施の形態では、駆動電圧としての両極性パルス電圧をノズル 11の駆動 電極 13に印加するものとして説明した力 ノズル 11からの吐出に必要な駆動電圧は 駆動電極 13に印加される電圧と対向電極として機能するステージ 12との間の電位 差である。したがって、駆動電圧は、ステージ 12にのみ印加される電圧である構成、 あるいはステージ 12に印加される電圧と駆動電極 13に印加される電圧との合成電 圧 (電位差)である構成であってもよ 、。
[0149] また、駆動電圧である両極性パルス電圧としては、 AC等のようなスルーレートの低 V、波形であっても利用可能である。
[0150] 〔実施の形態 3〕
本発明の実施のさらに他の形態を図面に基づいて以下に説明する。
[0151] 本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置は図 20に示す構成を有する。すなわち
、本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置では、ステージ 12が移動装置 (移動手 段) 21に駆動されて移動する。制御装置 (制御手段) 22は、移動装置 21の移動方向 、移動速度および移動タイミング等を制御する。制御装置 22は、さらに電源 14からノ ズル 11の駆動電極 13に供給される駆動電圧の電圧値、駆動電圧周波数および駆 動電圧の印加タイミング等を制御する。
[0152] 図 21は、本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置におけるステージ 12の走査速 度と絶縁性基板 16上における液滴の飛散領域幅との関係を示すグラフである。図 2 1には、ポリイミド基板 (絶縁性基板 16)上に銀ナノペーストを吐出材料 15としてライ ン描画を行った場合の吐出実験結果を示している。この場合のノズル径は約 1 μ m であり、駆動電圧周波数は 50Hzである。ノズル 11と絶縁性基板 16 (ステージ 12)と の相対移動は、ステージ 12を移動させて行っている。
[0153] 図 21の結果では、走査速度が 10 mZsec以下となる範囲において、絶縁性基板 16上における液滴の飛散領域が急激に狭くなつていることがわかる。これは、ノズル 11から吐出材料 15を吐出する場合において、絶縁性基板 16上に既に着弾している ドット (液滴)の位置に対する次に着弾するドット (液滴)の位置のずれ量が、絶縁性 基板 16上における液滴の飛散領域幅に影響することを意味している。
[0154] したがって、絶縁性基板 16上における液滴の飛散領域幅を最小限に抑制する上 での理想的な状態は、絶縁性基板 16に対して走査速度がゼロの状態にて、すなわ ち絶縁性基板 16上に既に着弾して ヽる液滴上の位置〖こノズル 11が存在する状態に て、両極性パルス電圧の正電圧と負電圧とで交互に吐出材料 15を吐出するもので ある。この状態では、常にほぼ OVに除電された周辺絶縁部(絶縁性基板 16の表面) よりも低抵抗な描画部 (着弾液滴部)がノズル 11の真下位置に存在することになり、 絶縁性基板 16上の着弾位置のチャージアップが抑制される。したがって、この場合 には、吐出最低電圧の上昇が抑制され、かつ絶縁性基板 16上における、同極性電 荷を有する液滴同士の反発による液滴の飛散が抑制される。
[0155] これに対し、ノズル 11と絶縁性基板 16とが相対移動しながら吐出材料 15の吐出が 行われ、その走査速度 (相対速度)が速くなると、ノズル 11からの吐出材料 15の吐出 位置が直前の着弾位置よりも少しずれた状態となる。この場合には、絶縁性基板 16
上の電位と描画ライン上の電位との両方の影響を受けながら吐出が行われるため、 吐出安定性が低下し、絶縁性基板 16上において吐出位置周囲への吐出材料 15の 飛散が起きやすくなる。
[0156] 具体的に、図 21に示した結果において、液滴の飛散領域幅が広くなる臨界点であ る走査速度 (ステージ速度) lO ^ m/sec,駆動周波数 50Hzの条件とは、直前の着 弾位置カゝら 0. 1 μ m離れた位置に次の逆極性電荷を持った液滴が着弾するような条 件である。すなわち、一般的に駆動電圧周波数 fHz、吐出走査速度 v /z mZsecの 吐出条件において、ドット間隔 vZ2fを 0. 1 m以下とすること〖こより、絶縁性基板 16 上における液滴の飛散を低減することができる。上記の結果から、両極性パルス電圧 における駆動電圧周波数 fHzと吐出走査速度 v/z mZsecの関係を導くと、 v/2f≤ 0.: mより、 f≥5vとなる。
[0157] なお、上記の条件は、描画するラインの幅およびドットの直径が 1一 10 μ mの範囲 において好適である。
[0158] 以上のように、本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置では、絶縁性基板 16上 に吐出材料 15の微細液滴を吐出してライン描画を行う場合、 f≥ 5vを満たすように、 駆動電圧周波数 fHzおよび吐出走査速度 v /z mZsecを設定することにより、絶縁性 基板 16上における液滴の飛散を抑制して、鮮明な微細パターンを形成することが可 能となる。
[0159] なお、本実施の形態では、駆動電圧としての両極性パルス電圧をノズル 11の駆動 電極 13に印加するものとして説明した力 ノズル 11からの吐出に必要な駆動電圧は 駆動電極 13に印加される電圧と対向電極として機能するステージ 12との間の電位 差である。したがって、駆動電圧は、ステージ 12にのみ印加される電圧である構成、 あるいはステージ 12に印加される電圧と駆動電極 13に印加される電圧との合成電 圧 (電位差)である構成であってもよ 、。
[0160] また、駆動電圧である両極性パルス電圧としては、 AC等のようなスルーレートの低 V、波形であっても利用可能である。
[0161] また、本実施の形態において、移動装置 21はステージ 12を移動させるものとして いるが、絶縁性基板 16に描画するためにはステージ 12 (絶縁性基板 16)とノズル 11
とが相対移動すればよぐしたがって移動装置 21はノズル 11とステージ 12との少なく とも一方を移動させるものであればょ 、。
[0162] 〔実施の形態 4〕
本発明の実施のさらに他の形態を図面に基づいて以下に説明する。
[0163] 本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置は図 1に示した構成を有する。図 22は 、本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置におけるノズル 11の駆動電極 13に印 加する駆動電圧(両極性パルス電圧)と絶縁性基板 16上における液滴の飛散領域と の関係を示すグラフである。
[0164] 図 22では、ポリイミド基板 (絶縁性基板 16)上に銀ナノペーストを吐出材料 15として 吐出し、描画を行った実験結果を示している。この場合のノズル径は約: L mであり、 駆動電圧周波数は 50Hz、ノズル 11と絶縁性基板 16 (ステージ 12)との相対移動速 度(走査速度)は 200 /z mZsecとしている。このような条件で吐出を行うと、吐出ピッ チは 2 μ mとなり、ノズル径 1 μ mで吐出された着弾ドット径 (着弾液滴径)は約 1 m であるため、着弾形態はラインではなくドットとなる。
[0165] 図 22の結果では、駆動電圧 (パルス印加電圧)を大きくするに連れて、吐出材料 1 5を吐出した場合における絶縁性基板 16での液滴の飛散領域幅が急激に広くなつ ている。これは、同一の位置に同極性の電荷を持った液滴が大量に着弾されるため である。すなわち、駆動電圧が高くなるとノズル 11からの吐出材料 15の吐出量が多く なり、それが絶縁性基板 16上に着弾した場合における着弾液滴中の同極性電荷同 士の反発により、液滴の飛散領域が拡大する。特に、駆動電圧が 400Vを超えると飛 散領域が急激に拡大している。逆に、駆動電圧力 00以下では飛散領域が相対的 に狭くなつている。すなわち、駆動電圧を 400V以下とすることにより、周辺部への液 滴の飛散を抑制した吐出を行うことができる。なお、この場合、駆動電圧の下限値は 例えば吐出最低電圧となる。
[0166] 以上のように、本実施の形態の静電吸引型流体吐出装置では、絶縁性基板 16上 に微細液滴を吐出してドット形成する場合に、ノズル 11の駆動電極 13に印加する駆 動電圧を 400V以下としているので、絶縁性基板 16上において、着弾ドット (着弾液 滴)周辺部への液滴の飛散を抑制し、鮮明な微細パターンを形成することができる。
[0167] なお、本実施の形態では、駆動電圧としての両極性パルス電圧をノズル 11の駆動 電極 13に印加するものとして説明した力 ノズル 11からの吐出に必要な駆動電圧は 駆動電極 13に印加される電圧と対向電極として機能するステージ 12との間の電位 差である。したがって、駆動電圧は、ステージ 12にのみ印加される電圧である構成、 あるいはステージ 12に印加される電圧と駆動電極 13に印加される電圧との合成電 圧 (電位差)である構成であってもよ 、。
[0168] また、駆動電圧である両極性パルス電圧としては、 AC等のようなスルーレートの低 V、波形であっても利用可能である。
[0169] また、以上の実施の形態において、液滴の飛散領域幅は、描画するラインの幅に 厳密に影響されるものではなぐ描画パターン領域を含みその両側に広がる、液滴が 不要に飛散している領域全体の幅と見なすことができる。
[0170] 〔実施の形態 5〕
実施の形態 5に係る静電吸引型流体吐出装置の構成を図 23に示す。上記静電吸 引型流体吐出装置では、接地されたステージ 12上に絶縁性基板 16を固定している 。絶縁性基板 16の種類としては、表面抵抗値が 101G Q Zsq以上であれば良ぐポリ イミドゃアクリル、ポリカーボネード等の高分子材料以外に、低湿度環境下のガラス等 も当てはまる。そして、絶縁性基板 16に先端が対向するように、コロナチャージャ 30 と流体吐出ヘッド (ノズル) 11とが設置されて!ヽる。
[0171] コロナチャージャ 30では、電極ワイヤ 31と、電極ワイヤ 31に対して絶縁性基板 16 側に水平に設けられたスリット電極 32とが配置され、さらに、電極ワイヤ 31を囲む形 でケース電極 33が設置されている。電極ワイヤ 31の材料としては、線径が約 10— 7 O /z mのニッケル、或いはタングステンが使用される。また、各電極には独立して電圧 が印加できるように電源が繋がっている。スリット電極 32と絶縁性基板 16との間の距 離は常に一定に保たれており、そのギャップは 100 μ m— 2mm程度である。
[0172] 流体吐出ヘッド 11は、先端孔径が φ 0. 1一 20 m程度で形成されており、内部に 駆動電極 13を有している。またその駆動電極 13には、独立に両極性パルス電圧で 且つその周波数を 1Hz以上に制御をするための電源 14が繋がっている。また、流体 吐出ヘッド 11の内部全体は所望の吐出材料、すなわち吐出流体で充填されている。
流体吐出ヘッド 11は、これを独立して駆動するための 3次元ロボットに備え付けられ ている。
[0173] 次に、本実施の形態 5に係る静電吸引型流体吐出装置の動作について説明する。
先ず、ステージ 12をコロナチャージャ 30に対して走査させる、あるいはステージ 12に 対してコロナチャージャ 30を走査させることにより、ステージ 12とコロナチャージャ 30 とを相対移動させ、この相対移動の間にコロナチャージャ 30によって絶縁性基板 16 の基板表面を除電する。
[0174] 絶縁性基板 16の除電の際、電極ワイヤ 31に約数 kVの AC電圧を印加することによ り、電極ワイヤ 31周囲にコロナ放電を発生させる。そして、この時、スリット電極 32の 電位を約ゼロ Vに設定することにより、絶縁性基板 16上でチャージアップしている電 荷 50 (ここでは負電荷)とは逆の電荷を絶縁性基板 16上に供給することができ、これ によって絶縁性基板 16の除電を行う。
[0175] そして、除電が行われた絶縁性基板 16に向け、所望のパターユングデータに対応 して流体吐出ヘッド 11による流体吐出が行われる。その際、流体吐出ヘッド 11とステ ージ 12との相対速度にて流体吐出ヘッド 11の走査速度を決定している。また、流体 吐出ヘッド 11の先端は、絶縁性基板 16との間で常に 30— 200 mの一定ギャップ を得るように Z軸制御される。ギャップ制御手段としては、レーザを利用した変位計及 びギャップ測長計が利用される。
[0176] 流体吐出ヘッド 11において流体吐出を行うために、電源 14から両極性パルス電圧 が駆動電極 13に印加され、これによつて吐出流体内部ではノズル先端方向に向け て電荷の移動が始まる。そして、ノズル先端部の流体界面であるメニスカス上に電荷 が蓄積されながらその周辺部の電界強度が向上し、その電界力が必要最小限の吐 出力を超えた時点で流体の吐出が開始され絶縁性基板 16上に着弾される。
[0177] 流体吐出ヘッド 11では、駆動電極 13を両極性パルス電圧で駆動して 、るため、該 流体吐出ヘッド 11から吐出される流体は正負交互に帯電する。このため、絶縁性基 板 16上には常に着弾ドットのチャージアップを抑制する極性の電荷を持った流体が 着弾され、絶縁性基板 16上でのチャージアップを抑制しながら安定した吐出を行うこ とがでさる。
[0178] 以上のように本実施の形態 5に係る静電吸引型流体吐出装置の構成では、絶縁性 基板 16に対して、予めコロナチャージャ 30により除電を行い、その後から両極性パ ルス電圧駆動で流体吐出を行うことにより、絶縁性基板 16上でのチャージアップによ る吐出不安定性を発生させることがない。このため、吐出時の飛散を抑制しながら安 定した微細流体吐出を行うことができ、鮮明な微細パターユング形成を行うことができ る。
[0179] 〔実施の形態 6〕
実施の形態 6に係る静電吸弓 I型流体吐出装置の構成を図 24に示す。本実施の形 態 6については、上記実施の形態 5と同じ部分の説明は省略し、異なる部分のみを 説明する。実施の形態 5では、除電方法としてコロナチャージャを使用したが、本実 施の形態 6では針状電極を使用して 、る。
[0180] 図 24における静電吸引型流体吐出装置の構成を以下に説明する。上記静電吸引 型流体吐出装置では、絶縁性基板 16に先端が対向するような形で除電ヘッド 34と 流体吐出ヘッド 11とが設置されている。除電ヘッド 34は先端径が φ 0. 1— 20 /z m 程度に形成された金属製または金属コートされた絶縁性の針状構造であり、絶縁性 基板 16に対して針先端とのギャップが 以下に設定されている。また、除電へ ッド 34の先端は絶縁性基板 16上に接していても構わない。そして除電ヘッド 34には 、独立に電圧制御するための電源 35が繋がっている。また除電ヘッド 34は、独立し て駆動するための 3次元ロボットに備え付けられている。
[0181] 次に除電動作について説明する。先ず、除電ヘッド 34が、所望のパターニングデ ータに対応して XY2次元の駆動をされ、その際ヘッド先端と基板との間の距離を常 に 5 m以下に保持しながらヘッド先端に AC電圧を与えることで、コロナ放電を発生 させる。除電ヘッド 34先端への印加電圧は、先端径により異なるが基本的に先端径 が φ 5 μ m以下であれば振幅が 400V以上で除電が可能である。そして、コロナ放電 により発生する除電電荷は、除電ヘッド 34先端と絶縁性基板 16との間の電界力によ り、絶縁性基板 16上で除電ヘッド 34の真下に付着する。このような除電作用を、除 電ヘッド 34を XY走査させながら行うことで、絶縁性基板 16上に所望のパターユング データに応じた除電部分が形成される。
[0182] そして除電された部分の上に流体吐出ヘッド 11によって流体が吐出され微細パタ ーンが形成される。このように、予め除電ヘッド 34をパターユングデータに対応して 走査させることにより、ノターユング領域における流体吐出ヘッド 11からの安定した 流体吐出を行うことができる。また、除電ヘッド 34は実施の形態 5におけるコロナチヤ ージャのように、高電圧を必要としないため、コストメリットの高い低電圧ドライバによる 制御を行うことができる。また、絶縁性基板 16上の必要部分だけに除電が施されるた め、除電に費やす時間が短くてすむ。
[0183] 以上のように本実施の形態 6に係る静電吸引型流体吐出装置の構成では、絶縁性 基板 16上の所望のパターユング領域に対して、予め針状の除電ヘッド 34により除電 を行い、その後から両極性パルス電圧駆動で流体吐出を行うことにより、絶縁性基板 16上でのチャージアップによる吐出不安定性を発生させることがない。このため、吐 出時の飛散を抑制しながら安定した微細流体吐出を行うことができ、鮮明な微細バタ 一-ング形成を行うことができる。
[0184] 尚、上記説明では、除電ヘッド 34と流体吐出ヘッド 11とはそれぞれ独立に駆動さ れるものであつたが、これらは一体的に駆動されるものであっても良い。
[0185] 〔実施の形態 7〕
流体吐出ヘッド 11では、電圧印加された駆動電極 13から供給される電荷が吐出 流体中をノズル先端に向けて移動し始め、ノズル先端部に蓄積されながらメニスカス が形成される。また、そのメニスカス径は、基本的にノズルの孔径とほぼ同等の大きさ で形成される。
[0186] そして、メニスカスに蓄積された電荷で形成される電界力が、吐出に必要な駆動力 を超えた瞬間に流体吐出ヘッド 11における流体吐出が開始される。つまり、各ノズル 径を有した流体吐出ヘッド 11の駆動電極 13に対して、吐出開始電圧以上の電圧を 与えれば流体吐出が行われる。具体的には、ノズル径が φ 1一 10 mの場合、吐出 開始電圧は約 140Vである。そして、印加電圧を大きくするにつれて吐出量を増加さ せることができ、高速走査に対応した多量吐出や大きな径のドット形成に対して有効 である。
[0187] し力しながら、印加電圧が所定の値を超えると気中放電開始電界を超えてしまう虡
がある。具体的には、メニスカス部での電荷集中によって生じる電界の強度力 下記 式 (Paschen Curveの算出式)によって求められる放電開始電界強度を越えてしまうと 、ノズル先端部周辺の高電界部分で空気の絶縁破壊による放電が発生する可能性 が高くなる。実際に、流体吐出時に放電が起きると吐出流体の飛散りが発生し、所望 の微細パターン周辺にサテライト状の微小液滴が着弾し、画像ノイズとなる。
E = 4.03 106 ·!1 + 3.08 χ 10— 2 / D° M + 4.48 χ 10— 7 /DL41 }
E:放電開始電界強度 (V/m)
D :ノズル径(m)
[0188] ここで、印カロ電圧を 200V, 340V, 400V, 500Vとした場合のそれぞれについて、 ノズル先端部のノズル径とメニスカス部での電荷集中によって生じる電界強度との関 係を図 25のグラフに示す。また、図 25のグラフでは、上述の Paschen Curveの算出式 によって求められるノズル径と放電開始電界強度との関係を共に示している。
[0189] 上記図 25において、各印加電圧におけるノズル径ー電界強度線図力 Paschen
Curveの算出式によって求められるノズル径ー放電開始電界強度線図を上回る条件 において、流体吐出時における気中放電が発生すると考えられる。
[0190] そして、上記図 25より、本発明の静電吸引型流体吐出装置にて対象とされるノズル 径 0. 01— 25 mの条件では、印加電圧 340V以下とすることで、放電が確実に起 きない条件下での流体吐出が可能であることが分かる。これにより、飛散現象の無い 安定した流体吐出が可能となり、より鮮明な微小パターンの形成が可能となる。また、 同様に上記図 25より、ノズル径が 16 m以上または 0. 25 m以下の場合は 500V 以下の印加電圧にて放電を伴わない流体吐出が可能であり、ノズル径が 7. 以 上または 0. 65 m以下の場合は 400V以下の印加電圧にて放電を伴わない流体 吐出が可能であることが分かる。
[0191] 以上、本実施の形態 7に係る構成では、絶縁性基板 16の基板に対し予め除電を行 い、さらに流体吐出時における電界強度が Paschen Curveの算出式によって求めら れる放電開始電界強度よりも小さくなるような印加電圧にて流体吐出を行うことで、放 電による周辺部への飛散を抑制することができ、より鮮明な微細パターン像を形成す
ることが可能となる。
[0192] 尚、上記実施の形態 5— 7では、流体吐出ヘッド 11内部の駆動電極 13に印加され る両極性パルス電圧を駆動電圧として説明したが、実際、駆動力として必要な電圧 はヘッド内部の電極 210に印加された信号電圧とステージ 12側に印加された電圧の 電位差であるため、ステージ側のみへの両極性パルス電圧の印カロ、もしくは、ヘッド 側、ステージ側の両方の信号の合成でも構わない。また、両極性パルス電圧は、 AC 等のようなスルーレートの低 、波形にぉ 、ても当てはまる。
[0193] 〔実施の形態 8〕
実施の形態 8に係る静電吸引型流体吐出装置の構成を図 26に示す。上記静電吸 引型流体吐出装置では、接地されたステージ 12上に絶縁性基板 16を設置している 。そして、絶縁性基板 16に先端が対向するように、電荷付与ヘッド 60と流体吐出へ ッド 11が設置されている。
[0194] 電荷付与ヘッド 60は、先端径が φ 0. 1-5 μ mで形成された金属製または金属コ ートされた絶縁性の針状構造であり、絶縁性基板 16に対して針先端とのギャップが 5 O /z m以下に設定されている。また、電荷付与ヘッド 60の先端は絶縁性基板上に接 していても構わない。そして電荷付与ヘッド 60には、独立に電圧制御するための電 源 61が繋がっている。また電荷付与ヘッド 60は、独立して駆動するための 3次元ロボ ットに備え付けられている。
[0195] 流体吐出ヘッド 11は、先端孔径が φ 1一 5 μ mで形成されており、内部に駆動電極 13を有している。またその駆動電極 13には、独立に電圧制御をするための電源 14 が繋がっている。また、ヘッドの内部全体は所望の吐出材料、すなわち吐出流体で 充填されている。流体吐出ヘッド 11も電荷付与ヘッド 60と同様に、独立して駆動する ための 3次元ロボットに備え付けられている。
[0196] 次に、本実施の形態 8に係る静電吸引型流体吐出装置の動作について説明する。
まず、所望のパターユングデータに対応して電荷付与ヘッド 60が XY2次元の駆動を するが、その際、電荷付与ヘッド 60の先端と絶縁性基板 16との間の距離を常に 5 m以下に保持しながら、電源 61によって電荷付与ヘッド 60の先端に電圧を与え、コ ロナ放電を発生させる。
[0197] 電荷付与ヘッド 60の先端への印加電圧は、その先端径により異なるが基本的に先 端径が φ 5 μ m以下であれば 400V以上で放電が可能である。そして、放電された電 荷は、電荷付与ヘッド 60の先端と絶縁性基板 16との間の電界力により、絶縁性基板 16上の電荷付与ヘッド 60の真下に付着し、付着電荷 70となる。
[0198] このような放電作用を電荷付与ヘッド 60を XY走査させながら行うことで、絶縁性基 板 16上にパターニングデータに基づいた所望の付与電荷パターンが形成される。そ して次に、付着電荷 70にてパターユングされた部分の真上から、流体吐出ヘッド 11 を近づけてヘッド先端と絶縁性基板 16表面との距離を 30— 200 μ mに保ちながら、 付着電荷 70とは逆極性の電圧を駆動電極 13に印加して流体吐出を行うことにより、 付着電荷 70による引き込み電界力が作用して、より鮮明な微細パターンを形成する ことができる。
[0199] また、図 27に示すように、流体吐出時の駆動電圧は、付着電荷 70による表面電位 に依存し、予め付着電荷量を多くすることにより駆動電圧を低減することが可能であ る。
[0200] 以上のように本実施の形態 8に係る静電吸引型流体吐出装置の構成では、絶縁性 基板 16に対して流体吐出前に予め描画すべき箇所に駆動電圧極性とは逆極性の 電荷を付与することにより、駆動電圧を低下することができ、且つ鮮明な微細流体吐 出による微細パターユング形成を行うことができる。
[0201] 〔実施の形態 9〕
実施の形態 9に係る静電吸引型流体吐出装置の構成を図 28に示す。本実施の形 態 9については、上記実施の形態 8と同じ部分の説明は省略し、異なる部分のみを 説明する。本実施の形態 9では、装置構成は上記実施の形態 8と同じである。但し、 実施の形態 8に係る静電吸引型流体吐出装置の場合、電荷付与ヘッド 60が絶縁性 基板 16に付与する電荷が流体吐出の駆動電圧極性とは逆極性の電荷であつたの に対し、本実施の形態 9の場合、絶縁性基板 16に付与される電荷の極性は流体吐 出の駆動電圧極性と同極性である点で異なる。
[0202] 実施の形態 9の動作について説明すると以下の通りである。まず、所望のパター二 ングデータに応じて電荷付与ヘッド 60が XYの 2次元駆動をする力 その際、電荷付
与ヘッド 60の先端が所望のパターユングポイントに対して数 m— 10 m外れた周 辺位置全体を走査するようにプログラムされて!/、る。そして電荷付与ヘッド 60の先端 と絶縁性基板 16との間の距離を常に 5 μ m以下に保持しながらヘッド先端に電圧を 与え、コロナ放電を発生させる。ヘッド先端への印加電圧は、先端径により異なるが 基本的に先端径が φ 5 μ m以下であれば 400V以上で放電が開始する。
[0203] そして、放電された電荷は電荷付与ヘッド 60の先端と絶縁性基板 16との間の電界 力により、絶縁性基板 16上に付着し付着電荷 70となる。このような放電作用を電荷 付与ヘッド 60を XY走査させながら行うことで、最終的に、所望のパターンの周辺を 囲むような付着電荷パターンを絶縁性基板 16上に形成することができる。
[0204] 次に、電荷パターユングで囲まれた所望のパターン部分の真上に、流体吐出ヘッド 11を近づけてヘッド先端と絶縁性基板 16表面との距離を 30— 200 mに保ちなが ら、付着電荷 70と同極性の電圧を印加して流体吐出を行う。これにより、吐出された 流体は絶縁性基板 16上に着弾する直前で、付着電荷 70による反発電界力を横方 向に受け、所望パターン部分に集中する方向に液滴が着弾することで、その微細パ ターンをより鮮明に形成することができる。
[0205] 以上、本実施の形態 9に係る構成では、流体吐出の駆動電圧極性と同極性の付着 電荷 70を絶縁性基板 16に予め与えることにより、付着電荷 70の反発力を横方向に 受けて、所望のポイントの周辺に吐出流体が着弾するのを抑制してパターンをより鮮 明にし、さらに、その付着電荷 70の着弾位置を最適化することにより、所望パターン のライン幅及びドット径を最小にすることが可能である。
[0206] 〔実施の形態 10〕
実施の形態 10に係る静電吸引型流体吐出装置の構成を図 29に示す。本実施の 形態 10については、上記実施の形態 8および 9と同じ部分の説明は省略し、異なる 部分のみを説明する。
[0207] 実施の形態 10では、絶縁性基板 16の材料として感光性材料を用いて 、る。そして 、上記絶縁性基板 16に電荷を付与する手段としては、実施の形態 8および 9のような 針状の電荷付与ヘッドを用いるのではなぐ絶縁性基板 16の表面全体を一様に帯 電させることのできるコロナチャージャ等の一様電荷付与システム(図示せず)が用い
られる。
[0208] また、表面全体を一様に帯電された絶縁性基板 16に対し、所望のパターンにて除 電を行う除電機構としてレーザユニット 62が設置されている。レーザユニット 62は電 子写真技術で使用されるポリゴンミラーや f 0レンズ、シリンドリカルレンズ等で構成さ れている。
[0209] 次に、本実施の形態 10の動作について説明する。まず、一様電荷付与システムに より絶縁性基板 16の上に一様に電荷が付与される。このような電荷付与手段としてコ ロナ放電が使用される場合は、絶縁性基板 16上に与える電荷の表面電位をコロナ 帯電器のスリット電圧で制御して所望の電荷量を付与することができる。
[0210] そして、一様電荷が付与された感光性材料カゝらなる絶縁性基板 16に対し、レーザ ユニット 62にて所望のパターン部分にのみレーザ 63を照射することで除電が行われ る。その際のレーザスポット径は最小で 5 m程度まで絞ることができる。そのため、 針電極による電荷付与方式に比べて精度の高い除電パターンの形成が可能である
[0211] そして、実施の形態 9と同様に、付着電荷 70で囲まれた所望の除電パターン部分 に、流体吐出ヘッド 11を近づけてヘッド先端と絶縁性基板 16表面との距離を 30— 2 00 mに保ちながら、付着電荷 70とは同極性の電圧を印加して流体吐出を行うこと により、付着電荷 70から横方向に反発電界力を受けて、より鮮明に微細パターンを 形成することができる。
[0212] 本実施の形態 10に係る構成では、有機感光体である絶縁性基板 16を用い、該絶 縁性基板に対して、一様帯電機構とレーザによる除電機構とを組み合わせて使用す ることにより、より高精度な除電パターンを形成することができ、吐出の乱れを生じるこ となぐ除電パターン上に的確に吐出流体を着弾させることが可能になる。
[0213] 〔実施の形態 11〕
実施の形態 11に係る静電吸引型流体吐出装置の構成を図 30に示す。本実施の 形態 11については、上記実施の形態 8ないし 10と同じ部分の説明は省略し、異なる 部分のみを説明する。
[0214] 実施の形態 11に係る静電吸引型流体吐出装置の基本構成は、実施の形態 9に係
る静電吸引型流体吐出装置の構成と同じである。すなわち、図 30に示す電荷付与 は、実施の形態 9に示すように針電極によるコロナ放電や、微細パターン電極による 接触帯電などで行われる。但し、実施の形態 9は所望のパターン部周辺に吐出流体 に印加する電圧と同極性の電荷を付与するものであった力 本実施の形態 11では 所望のパターン部の非描画部分に電荷を付与する。
[0215] 次に、本実施の形態 11の動作について説明する。まず、コロナ帯電などの電荷付 与手段(図 26または図 28に示す電荷付与ヘッド 60等が使用可能)により予め絶縁 基板 20上に付着電荷 70を与え、該付着電荷 70によって所望の非描画パターンを 形成する。そして、その上から、所望の描画パターンを流体吐出ヘッド 11を用いて形 成するが、その際、非描画パターンを形成する付着電荷 70上では、選択的に反発 電界力を受けるので吐出流体が絶縁性基板 16上に着弾することができない。このた め、流体吐出ヘッド 11内部の駆動電圧を停止することなく描画パターンの合間に非 描画パターンを形成することが可能である。
[0216] すなわち、上記付着電荷 70によって形成される非描画パターンは、連続した流体 吐出によって形成される描画パターンが、ー且途切れるような箇所において形成され る。
[0217] 非描画パターンの形成条件は、付着電荷 70による絶縁性基板 16上の表面電位と 流体吐出ヘッド 11の駆動電圧との電位差を考慮し、例えば、絶縁性基板 16がポリイ ミドの場合、その電位差を 330V未満に設定しておけば非描画領域を形成することが できる。また、非描画領域の大きさは、絶縁性基板 16上の表面電位と流体吐出へッ ド 11の駆動電圧との電位差の大きさにより制御することができる。
[0218] 本実施の形態 11に係る構成では、絶縁性基板 16上に予め非描画領域に対応した パターンの電荷を流体吐出電圧と同極性で与えることにより、流体吐出ヘッド 11の停 止を行うことなしに非描画領域を的確に形成することができ、さらには、付与電荷 50 の表面電位とヘッドの駆動電圧との差を制御することによって、非描画領域の大きさ を制御することができる。
[0219] 〔実施の形態 12〕
実施の形態 12に係る静電吸引型流体吐出装置の構成を図 31に示す。本実施の
形態 12については、上記実施の形態 8ないし 11と同じ部分の説明は省略し、異なる 部分のみを説明する。
[0220] 本実施の形態 12に係る静電吸引型流体吐出装置は、既にパターユングされてい る導電パターン 80を有する絶縁性基板 16に対し、導電パターン 80のライン上の重 ね塗り、もしくはライン同士の連結のための流体吐出を高精度に行うことを目的とする ものである。
[0221] 上記静電吸引型流体吐出装置にて、ラインの重ね塗り、またはライン同士の連結を 行う場合には、絶縁性基板 16上にパターユングされた導電パターン 80の端に共通 電極 81が配置される。この共通電極 81は、静電吸引型流体吐出装置が備えるもの であり、絶縁性基板 16に対する描画実施時に導電パターン 80の端部に接触するよ うに置かれるものである。共通電極 81には電圧制御が可能になるように電源 82が繋 がれている。
[0222] 次に、実施の形態 12の動作について説明する。図 31に示すように、電源 82から共 通電極 81に電圧を印加し、さらに、流体吐出ヘッド 11に共通電極 81に対して逆極 性の電圧を印加すると、共通電極 81に接触した導電パターン 80に対して集中して 流体の吐出が行われる。
[0223] この時、共通電極 81と流体吐出ヘッド 11の駆動電極 13との間の電位差が大きい ほど、導電パターン 80上への吐出の集中度が大きくなり、特に、導電パターン 80上 への重ね塗り吐出パターン 83や、導電パターン 80同士の連結パターン 84を描画す る際に有効となる。
[0224] また、導電パターン 80同士を連結する際、連結部分の接触抵抗値をできるだけ下 げるために連結部分の吐出量を少し大きくして、ラインの重なり部分の面積を大きく することが好ましいが、その吐出量は共通電極 81への印加電圧により制御すること ができる。
[0225] 本実施の形態 12に係る構成では、絶縁基板 20上に存在する導電パターン 80に 予め電圧を印加することにより、導電パターン 80上への吐出を集中して行うことがで き、ラインの重ね塗りやライン同士の連結の描画精度を向上することができる。
[0226] 尚、上記実施の形態 8— 12では、流体吐出ヘッド 11内部の駆動電極 13に印加さ
れる電圧を駆動電圧として説明したが、実際、駆動力として必要な電圧はヘッド 11内 部の電極 13に印加された信号電圧とステージ 12側に印加された電圧の電位差であ るため、各電極の信号形態は任意で構わない。また、駆動電圧の符号は、正負どち らでも構わない。
産業上の利用の可能性
絶縁性基板上に導電性の配線パターンを描画する装置や、インクジェットプリンタ 等に適用できる。