明 糸田 書 薄膜の形成方法 技術分野
本発明は、 I型の結晶構造を有するフッ化ビニリデン単独重合体の薄膜 の形成方法に関する。 また、 薄膜形成に用いる I型の結晶構造を主成分と して有するフッ化ビニリデン単独重合体の製造方法に関する。 さらには新 規なフッ化ビニリデン単独重合体にも関する。 背景技術
ボリマー型の強誘電材料は、 セラミックなどの無機系強誘電材料に対し て、 フレキシブル、 軽量、 加工性が良く安価といった長所を有している。 その代表的なものとして、 ポリフッ化ビニリデン (P Vd F) ゃフッ化ビ 二リデン Zトリフルォロエチレン (Vd F T r FE) 共重合体といった フッ化ビニリデン系重合体が知られている。
ところで PVdFは大きく分けて I型 (/3型とも言う) 、 II 型 (α型 ) および III型 (ァ型) の 3種の結晶構造が存在し、 そのうち充分大きな 強誘電性を発現できるのは I型結晶のみである。
従来、 ラジカル重合法で製造した高分子量体の PVdFは II 型結晶構 造を形成し、 そのままでは強誘電性は示さない。 II 型結晶構造の PVd Fを I型結晶に変換するためには、 フィルムの延伸 ·熱処理工程や、 また キャスト時における高圧急冷など複雑な後工程が必要となる。
松重らは、 II 型の結晶構造を有するフッ化ビニリデンオリゴマー: C F3 (CH2CF2) n I (数平均重合度 n= 17) を用いて、 I型結晶構 造のフッ化ビニリデンオリゴマーの薄膜形成について検討している。 その
なかで、 KB r基板上において基材温度: T s>0°C、 例えば 25 °Cで蒸 着被覆しただけで I型の結晶構造のフッ化ビニリデンオリゴマー薄膜が形 成されることを見出している。 また、 KC 1基板において、 25°Cでの蒸 着被覆では I型結晶と II 型結晶の混在した被膜が形成され、 被覆後の熱 処理 (1 I O 以上) によりほぼ I型結晶構造のフッ化ピニリデンオリゴ マー薄膜に変換されることも見出している。 ただし、 フッ化ビニリデンォ リゴマーと相互作用の小さな基板 (S i 02、 P t、 Auなど) では、 蒸 着直後、 さらにはその後の熱処理後においても I型結晶と II 型結晶が混 在した薄膜しかえられていない (M&BE最前線: M&BE Vol.11, No.2, 145 (2000)) 。
また、 松重らは、 最近、 種々の基板において、 II 型結晶構造のフッ化 ビニリデンオリゴマーを蒸着時、 ― 130°C以下といった極低温環境下と することで、 I型結晶構造の薄膜を形成できることを見出している ( Polymer Preprint, Japan Vol.51, No.12, 3097(2002)) 。
このように、 KB r基板以外で, 常温での被覆のみで I型結晶の薄膜形 成はなされていない。
ところでフッ化ビニリデンを単量体とした重合体の製造方法は、 既に種 々知られている。
奥居らは、 CC 14を連鎖移動剤 (テロ一ゲン) として用い、 ジノルマ ルパ一ォキシジカ一ポネートを触媒としてラジカル重合して得たフッ化ピ 二リデンオリゴマー: CC 13 (CH2CF2) nC 1 (数平均重合度 n = 9) について結晶構造解析を行なっており、 このものが I型 ( 型) 結晶 構造と III型 (ァ型) 結晶構造の混合物であること、 さらに結晶融点 Tm を 2点 ( 74 °Cと 1 1 0 °C) 有することを報告している (Polymer Journal, Vol.30, No.8, pp659-663 (1998) 、 POLYMER Vol.38, No.7, ppl677-1683(1997)) 。
しかし、 この C C 1 4を連鎖移動剤 (テロ一ゲン) として用いる製造方 法では、 得られるフッ化ビニリデンオリゴマーの分子量分布が広く、 I型 ( ]3型) 結晶構造のものが得られても I I型 ( 型) や I I I型 (ァ型) と の混合物となりやすく、 I型 (3型) 結晶構造の純度が低いものとなり、 それを用いて形成した薄膜の強誘電特性を低下させてしまう。
例えば、 パーフルォロアルキルアイオダイドを連鎖移動剤 (またはテロ 一ゲン) として用いる 「ヨウ素移動重合法」 が知られており、 フッ化ビニ リデン Zへキサフルォロプロペン共重合体、 フッ化ビニリデン Zテトラフ ルォロエチレン Zへキサフルォロプロペン共重合体など、 特にフッ素ゴム などに用いられる非晶性ポリマーにおいて、 高分子量体での分子量分布を 狭くできる (Kobunshi Ronbunshu, 49 (10) , No. 10, pp765-783 (1992) ) 。 その他、 連鎖移動剤を使わない重合方法、 連鎖移動剤 (テロ一ゲン) と してイソペンタン、 アルコール類などの炭化水素系のものを用いる重合方 法も知られているが、 同様に得られる重合体の分子量分布が広くなり、 I 型 ( 3型) 結晶構造の純度を低下させるという問題がある。
また低分子量のフッ化ビニリデン系重合体の重合法については、 上記同 様のパーフルォロアルキルアイオダィドをテロ一ゲンとして用いるもの ( 特開昭 5 6 - 5 7 8 1 1号公報) 、 アルコール類をテロ一ゲンとして用い るもの (特開昭 5 9 - 1 1 7 5 0 3号公報) 、 パーフルォロアルキルプ口 マイドをテロ一ゲンとして用いるもの (特開昭 6 3 - 9 3 7 3 6号公報、 特開平 7— 1 7 9 5 2 3号公報など) が開示されている。
しかしこれらの製造方法は、 いずれもフッ化ビニリデン共重合体 (共重 合体オリゴマー) の製造を目的とするものであって、 結晶性を有するフッ 化ビニリデン単独重合体 (単独重合体オリゴマー) での検討はされていな い。 ましてやフッ化ビニリデン単独重合体のなかで強誘電特性を発現でき る I型 (iS型) の結晶構造の重合体を純度良く、 また効率良く製造する方
法は示されていない。
本発明の第一の目的は、 比較的簡便な方法 (被覆条件、 手法など) で、 種々の基材に適用可能な I型結晶構造のフッ化ビニリデン単独重合体の薄 膜の形成方法を提供することにある。
本発明の第二の目的は、 I型結晶構造のフッ化ビニリデン単独重合体を 純度良く、 さらに効率良く製造する方法を提供することにある。
本発明の第三の目的は、 新規なフッ化ビニリデン単独重合体を提供する ことにある。 発明の開示
本発明者らは鋭意研究を行なった結果、 重合により直接、 I型結晶構造 のフッ化ビニリデン単独重合体を得た。 さらに得られた I型結晶構造のフ ッ化ビ二リデン単独重合体を用いることで、 通常の塗布方法または塗布条 件、 種々の基材に対し、 例えばシリコンウェハ上への室温でのスピンコー トにおいても、 強誘電性を発現できる I型フッ化ビニリデン単独重合体薄 膜を形成できることを見出した。
また、 本発明者らはフッ化ビニリデン単独重合体の製造方法の研究にお いて、 特定のョゥ素化合物を連鎖移動剤 (テロ一ゲン) として用い、 数平 均重合度を特定の範囲に制御することで I型結晶構造のフッ化ビニリデン 単独重合体を純度良く得られることを見出した。
すなわち、 本発明の第一は、 フッ化ビニリデン単独重合体からなる薄膜 の形成方法であって、 つぎの U ) および (i i ) の工程を含む薄膜の形成 方法に関する。
工程 (i )
フッ化ピニリデンを式 ( 1 ) :
R f 1
I
—— C—— X1 (1) R f 2
(式中、 X1はヨウ素原子または臭素原子; R f 1, R f 2は同じかまたは 異なり、 フッ素原子または炭素数 1〜 5のパーフルォロアルキル基から選 ばれるもの) で示される部位を少なくとも 1個含む炭素数 1〜20のヨウ 素化合物または臭素化合物の存在下、 ラジカル重合することにより、 I型 結晶構造を単独または主成分とするフッ化ビニリデン単独重合体原末を製 造する工程。
工程 (ii)
前記 I型結晶構造を単独または主成分とするフッ化ビニリデン単独重合 体原末から得られる I型結晶構造を単独または主成分とするフッ化ビニリ デン単独重合体を用いて基材表面に薄膜を形成する工程。
本発明の薄膜の形成方法では、 さらに前記フッ化ビニリデン単独重合体 薄膜を 50 以上-, かつ該フッ化ビ二リデン単独重合体の結晶融点を下回 る温度で熱処理する工程 (iii) を含んでいてもよい。
また、 本発明の薄膜の形成方法では、 さらに前記フッ化ビニリデン単独 重合体薄膜を分極処理する工程 (iv) を含んでいてもよい。
前記式 (1) の部位を含むヨウ素化合物または臭素化合物がパー八口ィ匕 合物であるのが好ましく、 とくに前記式 (1) において、 X1がヨウ素原 子であることが好ましい。
さらに前記式 (1) において、 R f 2がともにフッ素原子であ ることも好ましい。
前記式 (1) の部位を含む化合物としては、 式 (2) :
X2— (CF2) n- I (2)
(式中、 X2はフッ素原子またはヨウ素原子; nは 1〜20の整数) で示
されるョゥ素化合物が好ましくあげられる。
前記 I型結晶構造を単独または主成分とするフッ化ビニリデン単独重合 体としては、 I R分析法により算出されるフッ化ビニリデン単独重合体原 末中の I型、 II 型および III 型結晶構造を有するそれぞれのフッ化ビニ リデン単独重合体の存在比率に着目したとき、 I型結晶構造を有するフッ 化ビニリデン単独重合体の存在比率が、 (数式 1) :
100≥ I型 / ( I型 +11型) >50重量% (数式 1) および (数式 2) :
100≥1型 / (I型 + ΙΠ型) >50重量% (数式 2) のいずれの関係をも満たすものが好ましく、 さらに
I型結晶構造を有するフッ化ビ二リデン単独重合体の存在比率が (数式 3
) :
100≥ I型./ ( I型 + 11型) 〉 70重量% (数式 3) および (数式 4) :
100≥1型/ (I型 + III型) >70重量% (数式 4) のいずれの関係をも満たすものが好ましい。
I型結晶構造を単独または主成分として含有するフッ化ビ二リデン単独 重合体原末の数平均重合度は 4〜 15であることが好ましい。
前記フッ化ビニリデン単独重合体の薄膜の形成工程 (ii) は、 該フッ化 ビニリデン単独重合体を含む液状組成物を基材表面に塗布することによつ てなされてもよいし、 該フッ化ビニリデン単独重合体を含むものを基材表 面に真空蒸着することによってなされてもよい。
フッ化ビニリデン単独重合体の薄膜の形成工程 (ii) は、 10°C以上か っ該フッ化ビ二リデン単独重合体の結晶融点を下回る温度でなされること が好ましい。
フッ化ピニリデン単独重合体の薄膜はシリコン基材表面に形成されても
よいし、 金属基材表面、 たとえばアルミニウム、 銅、 金、 銀および白金よ りなる群から選ばれる少なくとも 1種の表面に形成されてもよい。
I型結晶構造を単独または主成分とするフッ化ビニリデン単独重合体の 薄膜は、 基材表面に 0. 1〜 1000 nmの膜厚で薄膜状に形成すること ができる。
本発明の第二は、 フッ化ビニリデンを式 (2) :
X2— (CF2) n- I (2)
(式中、 X2はフッ素原子またはヨウ素原子; nは 1〜20の整数) で示 される少なくとも 1種のパーフルォロアイォダイドおよびラジカル重合開 始剤の存在下、 ラジカル重合することを特徴とする数平均重合度 4〜15 の I型結晶構造を単独または主成分とするフッ化ビニリデン単独重合体の 製造方法に関する。
かかる製造方法において 前記式 (2) のパ一フルォロアイオダイドは CF3 Iであるか、 式 (3) :
I一 (CF2CF2) nl- I (3)
(式中、 n 1は 1〜 5 ) であることが好ましい。
かかる製造方法によれば、 I型結晶構造を主成分として含有するフッ化 ビニリデン単独重合体の数平均重合度を 5〜 12にすることができる。 特に前記 I型結晶構造を単独または主成分として含有するフッ化ビニリ デン単独重合体として、 I R分析法により算出されるフッ化ビニリデン単 独重合体中の I型、 II 型および III 型結晶構造を有するそれぞれのフッ 化ビニリデン単独重合体の存在比率に着目したとき、 I型結晶構造を有す るフッ化ビニリデン単独重合体の存在比率が、 前記 (数式 1) および (数 式 2) のいずれの関係をも満たすもの、 さらには I型結晶構造を有するフ ッ化ビ二リデン単独重合体の存在比率が、 前記 (数式 3) および (数式 4 ) のいずれの関係をも満たすものを製造することができる。
本発明の第三は、 式 (4) :
CF3 - (A1) 一 I (4)
(式中、 A1は数平均重合度が 5〜12の I型結晶構造を単独または主成 分とするフッ化ビニリデン単独重合体の構造単位) で示される新規なフッ 化ビニリデン単独重合体、 および式 (5) : ,
I— (A2) - (CF2CF2) m- (A3) - I (5)
(式中、 mは 1〜5の整数; A2、 A3は同じかまたは異なる I型結晶構 造を単独または主成分とするフッ化ビニリデン単独重合体の構造単位であ つて、 構造単位 A2と A3の合計の数平均重合度が 2〜20、 特に 4〜1 5である) で示される新規なフッ化ビニリデン単独重合体に関する。
さらにこれらの新規なフッ化ビニリデン単独重合体としては、 I型結晶 構造を単独または主成分として含有するものであって、 I R分析法により 算出されるフッ化ビニリデン単独重合体中の I型 II型および III型結晶 構造を有するそれぞれのフッ化ビニリデン単独重合体の存在比率に着目し たとき、 I型結晶構造を有するフッ化ビ二リデン単独重合体の存在比率が、 前記 (数式 1) および (数式 2) のいずれの関係をも満たすもの.. さらに は I型結晶構造を有するフッ化ビニリデン単独重合体の存在比率が、 前記 (数式 3) および (数式 4) のいずれの関係をも満たすものであるフッ化 ピニリデン単独重合体が特に有用である。 図面の簡単な説明
図 1は、 全 I型結晶構造のフッ化ビニリデン単独重合体の I Rチャート である。
図 2は、 全 II 型結晶構造のフッ化ビニリデン単独重合体の I Rチヤ一 卜である。
図 3は、 I型結晶構造と II 型結晶構造の混合物からなるフッ化ビニリ
デン単独重合体の I Rチャートから I型結晶構造と II 型結晶構造の特性 吸収のピーク高さを読み取る方法の説明の図面である。
図 4は、 II 型結晶構造と III 型結晶構造の混合物からなるフッ化ビニ リデン単独重合体の I Rチャートから II型結晶構造と III型結晶構造の 特性吸収のピーク高さを読み取る方法の説明の図面である。
図 5は、 I型結晶構造の含有率 F (I)が判っている I型と II 型と III 型の混合物からなるフッ化ビニリデン単独重合体の I Rチヤ一卜から I型 結晶構造と III型結晶構造の特性吸収のピーク高さを読み取る方法の説明 の図面である。
図 6は、 合成例 1の (卜 1) で得られた全 I型結晶構造のフッ化ビニリ デン単独重合体の I Rチヤ一トである。
図 7は、 合成例 1の (卜 8) で得られた I型結晶構造と III 型結晶構造 の混合物からなるフッ化ピニリデン単独重合体の I Rチャートである。 図 8は、 合成例 2の (2-1) で得られた II型結晶構造と III型結晶構造 の混合物からなるフッ化ビニリデン単独重合体の I Rチヤ一トである。 図 9は、 合成例 3の (3-1) で得られた I型結晶構造と II型結晶構造の 混合物からなるフッ化ピニリデン単独重合体の I Rチャートである。 発明を実施するための最良の形態
つぎに本発明を具体的に説明する。
まず本発明の第 1は、 前記のとおり、 フッ化ビニリデン単独重合体から なる薄膜の形成方法であって、 つぎの (i ) および (ii) の工程を含む薄 膜の形成方法に関する。
工程 ( i )
フッ化ビニリデンを式 (1) :
R f
C ( 1 )
R f 2
(式中、 X 1はヨウ素原子または臭素原子; R f R f 2は同じかまたは 異なり、 フッ素原子または炭素数 1〜 5のパーフルォロアルキル基から選 ばれるもの) で示される部位を少なくとも 1個含む炭素数 1〜2 0のヨウ 素化合物または臭素化合物の存在下、 ラジカル重合することにより、 I型 結晶構造を単独または主成分とするフッ化ビニリデン単独重合体原末を製 造する工程。
工程 (i i)
前記 I型結晶構造を単独または主成分とするフッ化ビニリデン単独重合 体原末から得られる I型結晶構造を単独または主成分とするフッ化ピニリ デン単独重合体を用いて基材表面に薄膜を形成する工程。
本発明の方法によると、 K B rや K C 1などの特定の基材だけでなくあ らゆる基材に対して適用できる点で、 また極低温といつた特殊な塗布条件 を設定しなくとも通常利用されている条件下で容易に被覆できる点で好ま しいものである。
その結果、 本発明の方法で得られた薄膜は I型結晶構造のフッ化ビニリ デン単独重合体からなるものであって、 薄膜自体、 分極処理等によって強 誘電性を発現する能力を有するものである。
本発明の薄膜形成に用いられるフッ化ビニリデン単独重合体は I型結晶 構造を単独または主成分とするものであり、 特に、 I型、 I I型および I I I 型結晶構造をそれぞれ有するフッ化ビ二リデン単独重合体に着目したとき、
I型結晶構造を有するフッ化ビニリデン単独重合体が I I 型結晶構造を有 するフッ化ビニリデン単独重合体よりも高い比率で存在し、 かつ I I I型結 晶構造を有するフッ化ビニリデン単独重合体よりも高い比率で存在するこ
とが好ましい。
フッ化ビニリデン単独重合体の I型結晶構造は、 重合体分子中の 1つの 主鎖炭素に隣り合う炭素原子に結合したフッ素原子と水素原子がそれぞれ トランスの立体配位 (T T型構造) 、 つまり隣り合う炭素原子に結合する フッ素原子と水素原子が炭素一炭素結合の方向から見て 1 8 0度の位置に 存在することを特徴とする。
本発明において I型結晶構造を有するフッ化ビニリデン単独重合体は、 1つの重合体分子全体が T T型構造を有していても良いし、 また重合体分 子の一部が T T型構造を有するものであっても良く、 かつ少なくとも 4つ の連続するフッ化ビニリデン単量体単位のュニッ卜において上記 T T型構 造の分子鎖を有するものを示すものである。 いずれの場合も T T型構造の 部分が T T型の主鎖を構成する炭素一炭素結合は平面ジグザグ構造をもち、 C一 F 2、 C一 H 2結合の双極子能率が分子鎖に対して垂直方向の成分を 有している。 I型結晶構造を有するフッ化ビニリデン単独重合体について I R分析を行なうと, 1 2 7 4 c m— 1 1 6 3 c m— 1および 8 4 0 c m一1付近に特徴的なピーク (特性吸収) を有し、 粉末 X線回折分析にお いては 2 9 = 1度付近に特徴的なピークを有する。
なお、 I R分析において、 I型結晶構造の特性吸収は認められるが実質 的に I I型結晶構造および I I I型結晶構造の特性吸収が認められないもの を 「全 I型結晶構造」 という。
フッ化ビニリデン単独重合体の I I 型結晶構造は、 重合体分子中のある 1つの主鎖炭素に結合するフッ素原子 (または水素原子) に対し、 一方の 隣接する炭素原子に結合した水素原子 (またはフッ素原子) がトランスの 位置にあり、 なおかつもう一方 (逆側) に隣接する炭素原子に結合する水 素原子 (またはフッ素原子) がゴーシュの位置 (6 0度の位置) にあり、 その立体構造の連鎖が 2つ以上連続して有すること (T G T 型構造)
を特徴とするものであって、 分子鎖が TGTG 型で C一 F2、 C一 H2 結合の双極子能率が分子鎖に垂直方向と平行方向とにそれぞれ成分を有し ている。 Π 型結晶構造を有するフッ化ビニリデン単独重合体について I R分析を行なうと、 1212 cm— 1 183 cm -1および 762 c m" 1付近に特徴的なピーク (特性吸収) を有し、 粉末 X線回折分析において は 20 = 17.7度、 1 8. 3度および 19. 9度付近に特徴的なピーク を有する。
なお、 I R分析において、 II 型結晶構造の特性吸収は認められるが実 質的に I型結晶構造および 111型結晶構造の特性吸収が認められないもの を 「全 II型結晶構造」 という。
フッ化ビニリデン単独重合体の III型結晶構造は、 TT型構造と TG型 構造が交互に連続して構成された立体構造 (T3GT3 "^型構造) を有す ることを特徴とし 分子鎖が T3GT3G"型で C— F2、 C一 H2結合の 双極子能率が分子鎖に垂直方向と平行方向とにそれぞれ成分を有している。 III 型結晶構造を有するフッ化ビニリデン単独重合体について I R分析を 行なうと、 1235 cm- 1および 8 1 1 cm—1付近に特徴的なピーク ( 特性吸収) を有し、 粉末 X線回折分析においては 29 = 18度付近に特徴 的なピークを有する。
なお、 通常、 III 型結晶構造は I型結晶構造および/または II 型結晶 構造と混在する形でその存在が確認される。
本発明で 「I型結晶構造を主成分とする」 とは、 好ましくは、 I型結晶 構造を有するフッ化ビニリデン単独重合体の存在比率が、 つぎの (数式 1 ) および (数式 2) のいずれの関係をも満たすものをいう。
100≥1型 Z (I型 +Π型) >50重量% (数式 1)
100≥ 1型 / (I型 + III型) 〉 50重量% (数式 2)
I型、 II 型および III 型結晶構造のフッ化ビニリデン単独重合体の確
認ゃ存在比率については、 X線解析や I R分析法など種々の方法で分析で きるが、 本発明において、 フッ化ビニリデン単独重合体中の I型結晶構造 の含有率 F(I)は、 I R分析により測定したチャートの各結晶構造の特性 吸収のピーク高さ (吸光度 A) から、 以下の方法により算出する。
(1) I型と II 型の混合物中の I型の含有率 (重量%。 F(I)X 100 ) の算出
(1-1) 計算式
Beerの法則: Α= ε b C
(式中、 Aは吸光度、 εはモル吸光係数、 bは光路長、 Cは濃度) から、
I型結晶構造の特性吸収の吸光度を A II型結晶構造の特性吸収の吸光 度を A1'.. I型結晶のモル吸光係数を ε Ι, II型結晶のモル吸光係数を ε 、
I型結晶の濃度を C1, II型結晶の濃度を C11とすると、
AVAI!= (ε ,ε11) X (C , C1') (1 a)
ここで、 モル吸光係数の補正係数 ( εゾ ε u) を E 1/11とすると、 I 型結晶構造の含有率 F(I) (=CV (C^ + C11) ) は、
1 11
x -Ά
A1
F(I)=
1 A11
. + X
II E I/II E I / A1
A
= (2 a)
EI/!I A'1 + A1
となる。
したがって、 補正係数 E 1/11を決定すれば、 実測した I型結晶構造の特 性吸収の吸光度 A1と II型結晶構造の特性吸収の吸光度 A11から、 I型結 晶構造の含有率 F ( I )を算出できる。
(1-2) 補正係数 E 1/11の決定方法
全 I型結晶構造のサンプル (図 1) と全 II 型結晶構造のサンプル (図 2) とを混合して I型結晶構造の含有率 F ( I )が分かっているサンプルを 調製し、 I R分析する。 得られたチヤ一卜から各特性吸収の吸光度(ピー ク高さ) A 1および A11を読み取る (図 3) 。
ついで上記式 (2 a) を E 1/11について解いた式 (3 a) :
A!X (l-F(D)
ΕΙ/Π= (3 a)
AnXF(I)
に代入して、 補正係数 E 1/11を求める。 混合比を変えたサンプルについて 繰り返し行なって補正係数 E 1/11を求め、 それらの平均値として 1. 68 1を得た。
I型結晶構造の特性吸収として 840 cm一1を用い (参照文献:バッ クマンら-, ジャーナル ·ォブ ·アプライド ·フイジクス、 50巻、 10号
(1979) (Bachmann et al., J. Appl. Phys., Vol.50, No.10(1979) ) ) 、 同文献から Π型結晶構造の特性吸収として 763 cm— 1を用いた。
(2) I型と III型の混合物中の I型の含有率 F(I)
III型結晶構造のみからなる物質が得にくいので、 II型と III型の混合 物を標準物質として使用する。
(2-1) まず、 II型と III型の標準混合物中の ΠΙ型結晶構造の含有率を 上記式 (2 a) において A1および A11をそれぞれ A11および A111とし、 II型と III型の混合物における補正係数 EII/mを文献 (エス ·ォサキら、 ジャーナル'ォブ'ポリマー 'サイエンス:ポリマー フイジクス ェデ イシヨン、 13巻、 p p l 071— 1083 ( 1975) (S.OSAKI et al., J. POLYMER SCIENCE: Polymer physics Edition, Vol.13, ppl071- 1083 (1975)) から 0. 81とし、 II 型と ΠΙ 型の標準混合物の I Rチヤ —ト (図 4) から読み取った A11および A111を代入して算出した (F (III) = 0. 573) 。 III 型結晶構造の特性吸収として 811 cm— 1を
用いた (参照文献:バックマンら、 ジャーナル ·ォブ 'アプライド ·フィ ジクス、 50巻、 10号 (1979) ) 。
(2-2) ついで、 ΙΠ型の含有率が判明した II型と III型の標準混合物と 全 I型結晶構造の物質を所定の割合で混合し、 I型の含有率 F ( I )が判つ ている I型と II型と III型の混合物を調製し、 この混合物を I R分析し てチャート (図 5) から A1および A111を読み取り、 上記式 (3 a) (た だし、 A11を A111とする) から補正係数 E 1/111 (8 l/sm) を算出する。
II 型と III 型の標準混合物と I型のみの物質混合比を変えたサンプルに ついて繰り返し行なって補正係数 E 1/111を求め、 それらの平均値として 6. 758を得た。
(2-3) この補正係数 EI/m= 6. 758を用い、. 上記式 (2 a) (ただ し、 A"を A'11とする) から I型と III 型の混合物中の I型の含有率 F (
I)を求める。
本発明の薄膜形成に用いるフッ化ビニリデン単独重合体の好ましいもの としては、 つぎの数式:
100≥ I型/ ( I型 +11型) >60重量 ¾'
および
100≥ I型 Z ( I型 + III型) >60重量%
のいずれの関係をも満たすものであり、 より好ましくは、 下式 (数式 3) および (数式 4) のいずれの関係をもみたすものである。
100≥ I型 / ( I型 +11型) >70重量% (数式 3 )
100≥ I型 / (I型 + ΙΠ型) 〉 70重量% (数式 4) さらには、 つぎの数式:
100≥1型 Z (I型 +11型) >80重量%
および
100≥1型 Z (I型 +ΙΠ型) >80重量%
のいずれの関係をも満たすものが好ましく、 これらは分極処理によって高 い強誘電特性を発現できる点で好ましい。
またさらに、 I型結晶の存在比率は、 式:
100≥1型/ (I型 + 11型 +ΙΠ型) >50重量%
の関係にあるのが好ましく、 より好ましくは、 式:
100≥1型/ (I型 +11型 +III型) >70重量%
特に好ましくは、 式:
100≥1型 Z (I型 +11型 +ΙΠ型) >80重量%
の関係を有するものである。
本発明の大きな特徴は、 重合方法を鋭意検討することにより、 I型結晶 構造を単独または上記の関係式を満たす形で主成分として有するフッ化ビ 二リデン単独重合体を、 特殊な後処理等を行なわなくとも重合後の原末の 形態で得ることができたことにある。
そこでまず、 工程 (i) の説明をする。 また、 併せて、 本発明の第二で あるフッ化ピニリデン単独重合体の製造方法についても言及する。
本発明の薄膜の形成法における工程 (i) は、 I型結晶構造を単独また は主成分として有するフッ化ビニリデン単独重合体を、 フッ化ピニリデン を式 (1) :
R f 1
I
—— C—— X1 (1)
R f 2
(式中、 X1はヨウ素原子または臭素原子; R f R f 2は同じかまたは 異なってなるフッ素原子または炭素数 1〜 5のパーフルォロアルキル基か ら選ばれるもの) で示される部位を少なくとも 1個含む炭素数 1〜20の ョゥ素化合物または臭素化合物の存在下、 ラジカル重合することにより得 る工程である。
つまり、 式 (1) の部位を有するヨウ素化合物または臭素化合物を連鎖 移動剤 (テロ一ゲン) として重合時に用いることで、 分子量分布が狭い重 合体や分岐の比率の少ない重合体鎖が合成でき、 I型結晶構造の含有比率 の高いフッ化ビニリデン単独重合体が得られるのである。
式 (1) の部位の具体例は、 一 CF2B r、 一 CF2 I、 し -Γ 3 し I' 3 C 2 F 5 し 2 5
1 1 1 1
-CFB r 、 -CF I 、 -CFB r 、 -CF I 、
CF CF
C-B r 、 C一 I 、 し 丄, 3 C F 3
などがあげられる。 なかでも.. 分子量分布をより狭くすることができ、 結 果的に I型結晶構造の含有比率の高いフッ化ピニリデン単独重合体がえら れる点で、 3ゥ素化合物であることが好ましい。
また、 式 (1) の部位において、 I型結晶構造の含有比率の高いフッ化 ピニリデン単独重合体が得られる点で、 R f 1および R f 2はなかでも F であることが好ましい。
式 (1) の部位を有するョゥ素化合物または臭素化合物は、 より重合反 応が収率よく進行し、 かつ分子量分布や分岐鎖の少ない重合体が得られる 点で、 式 (1) の部位を有するポリフルォロ化合物であることが好ましく、 式 (1) の部位を有するパーフルォロ化合物であることがより好ましい。 特に、 式 (2) :
X2- (CF2) n— I (2)
(式中、 X2はフッ素原子またはヨウ素原子、 nは 1〜20の整数) で示 される少なくとも 1種のパーフルォロアイオダィド、 またはヨウ素原子が 臭素原子に置き換えられたパーフルォロブ口マイドが好ましい。
このようなパーフルォロ化合物としては、 例えばモノアイオダィドパー フルォロメタン、 モノアイオダイドパーフルォロェタン、 モノアイオダィ ドパーフルォロプロパン、 モノアイオダィドパーフルォロブタン (たとえ ば 2—アイォダイドパーフルォロブタン、 1—アイォダイドパーフルォロ ( 1, 1—ジメチルェタン) ) 、 モノアイオダイドパーフルォロペンタン (たとえば 1一アイオダィドパーフルォロ ( 4—メチルブタン) ) 、 1一 アイォダイドパ一フルオロー n—ノナン、 モノアイオダィドパーフルォロ シクロブタン、 2—アイオダイドパーフルォロ ( 1 _シクロブチル) エタ ン、 モノアイオダィドパーフルォロシクロへキサンなどのパ一フルォロモ ノアィォダイド化合物;ジアイオダィドパーフルォロメタン、 1, 2—ジ アイォダイドパーフルォロェタン、 1, 3—ジアイオダィドパ一フルォロ 一 n—プロパン、 1, 4—ジアイオダイドパーフルオロー n—ブタン、 1 , 7—ジアイオダイドパ一フルオロー n—オクタン、 1 , 2—ジ (アイォ ダイドジフルォロメチル) パーフルォロシクロブタン、 2—アイオダイド 1, 1, 1—トリフルォロェタンなどのパーフルォロジアイオダィド化合 物などのヨウ素化合物、 およびこれらのヨウ素化合物のヨウ素原子を臭素 原子に置換した臭素化合物があげられる。
なお本発明の第二は、 上記連鎖移動剤 (テロ—ゲン) のなかから式 ( 2 ) で示されるパ一フルォロアイオダィドという特定のものを選択し、 重合 時に存在させることで、 またさらに特定の数平均重合度とすることで、 I 型結晶構造をより一層高純度で含有するフッ化ピニリデン単独重合体を比 較的簡単な条件で得る方法である。
具体的には、 I型結晶構造を単独または主成分とするフッ化ビニリデン 単独重合体の製造は、 式 (2 ) :
X 2— ( C F 2) n— I ( 2 )
(式中、 X 2はフッ素原子またはヨウ素原子、 nは 1〜2 0の整数) で示
される少なくとも 1種のパ一フルォロアイオダィドおよびラジカル重合開 始剤の存在下、 ラジカル重合することを特徴とし、 なおかつ、 重合体にお けるフッ化ビ二リデン単位の数平均重合度を 4〜 20、 好ましくは 4〜 1 5とすることで、 より確実に達成される。
つまり直鎖状のフルォロアルキル基を有するョゥ素化合物を用いること が重要であり、 (CF3) 2CF— Iなどの分岐状のフルォロアルキル基 を用いた場合に比べて、 I型結晶構造が高純度のものをより一層製造しゃ すい。
式 (2) のヨウ素化合物のなかでも、 nが 1または 4m (ただし mは 1 〜5) であることがより好ましい。
式 (2) のヨウ素化合物は具体的には、 CF3 I、 F (CF2) 4 I、 F (CF2) 3 Iのほか式 I (CF2CF2) nl I (1 1は1〜5の整数) で 示されるパ一フルォロジアイオダイド [たとえば I (CF2CF2) I (CF2CF2) 2 I、 I (CF2CF2) 3 I、 I (CF2CF2) 4 Iな ど] が好ましくあげられ、 特には、 CF3 I、 I (CF2CF2) nl I (n 1は 1〜 5の整数) が好ましく、 なかでも CF3 I , I (CF2C F2) 2 Iが好ましい。
これらョゥ素化合物を連鎖移動剤 (テロ一ゲン) として用いるときは、 I型結晶構造のフッ化ビニリデン単独重合体を高純度、 高効率でえられる。 フッ化ビニリデン単独重合体中のフッ化ビニリデンのみの繰り返し単位 に着目した数平均重合度は、 下限は 4、 特に 5であることが好ましく、 上 限は 20、 より好ましくは 15、 さらには 12、 とりわけ 10であるのが 好ましい。 数平均重合度が大きすぎると I型結晶構造の比率が低下するた め好ましくない。
本発明のフッ化ビニリデン単独重合体の製造方法は、 フッ化ビ二リデン を前述のョゥ素化合物の存在下、 ラジカル反応させることにより行われ、
通常ラジカル発生源を接触させることによって開始する。
ラジカル発生源としては、 ラジカル重合開始剤、 光、 熱などが利用可能 であり、 好ましくはラジカル重合開始剤の存在下で製造することが、 重合 度を制御できる点で、 反応をスムーズに進行させることができる点で、 ま た高収量で重合体が得られる点で好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、 パ一オキサイド類、 ァゾ系開始剤などが 利用できる。
パーォキサイド類としては、 たとえば n—プロピルパーォキシジ力一ポ ネー卜、 i 一プロピルパーォキシジカーポネ一卜、 n—ブチルパーォキシ ジカーボネート、 tーブチルバ一ォキシジカーボネート、 ビス (4一 t— ブチルシクロへキシル) パ一ォキシジカーボネートなどのパーォキシジカ ーポネート類; α、 α ' —ビス (ネオデカノィルバーオキシ) ジイソプロ ピルベンゼン., クミルパーォキシネオデカノネィト., 1, 1 3 , 3—テ トラメチルブチルパーォキシネオデカノネィト、 1ーシクロへキシル—1 一メチルェチルパーォキシネオデカノネィト, t—へキシルパーォキシネ ォデカノネィト. t一ブチルパーォキシネオデカノネィ卜、 t一へキシル パーォキシピバレイト、 t一ブチルパーォキシピバレイト、 1, 1 , 3, 3—テトラメチルプチルパ一ォキシ一 2—ェチルへキサノネ一ト、 2, 5 一ジメチルー 2, 5 -ビス ( 2—ェチルへキサノィルパ一ォキシ) へキサ ン、 t一へキシルパーォキシ一 2一ェチルへキサノネィト、 t一ブチルバ 一ォキシ一 2一ェチルへキサノネィト、 t一ブチルパーォキシィソブチレ ―卜、 t一へキシルパーォキシイソプロピルモノ力一ポネート、 t—ブチ ルパ一ォキシマレイツクアシッド、 t—ブチルバ一ォキシ一 3 , 5 , 5 - トリメチルへキサノネイト、 t _ブチルパーォキシラウレイト、 2 , 5— ジメチルー 2 , 5一ビス (m—トルオイルパ一ォキシ) へキサン、 tーブ チルパーォキシイソプロピルモノ力一ポネィト、 t一ブチルパーォキシ一
2一ェチルへキシルモノ力一ポネィト、 t一へキシルパーォキシベンゾネ 一卜、 2, 5—ジメチルー 2, 5 -ビス (ベンゾィル) へキサン、 tーブ チルパーォキシァセテ一ト、 t -ブチルパーォキシー m—トルレートとパ 一ォキシベンゾェ一ト混合物、 t—ブチルバ一ォキシベンゾエート、 ジ t 一ブチルパーォキシイソフタレートなどのォキシパーエステル類;イソブ チルパーオキサイド、 3, 5, 5—トリメチルへキサノィルパーォキサイ ド、 ォク夕ノィルパーオキサイド、 ラウロイルパーオキサイド、 ステア口 ィルパーオキサイド、 サクシニックァシッドパーォキサイド、 m—トルォ ィルパ一ォキサイド、 ベンゾィルパーォキサイドなどのジァシルバーォキ サイド類; 1, 1—ビス (t一へキシルパ一ォキシ) —3, 3, 5—卜リ メチルシクロへキサン、 1, 1一ビス ( t一へキシルパーォキシ) シクロ へキサン、 1, 1一ビス (t—プチルパーォキシ) -3, 3, 5 -卜リメ チルシクロへキサン 1, 1一ビス (t—プチルパ一ォキシ) 一 2—メチ ルシクロへキサン、 1, 1—ビス ( t一ブチルパ一ォキシ) シクロへキサ ン、 2, 2_ビス (t一ブチルパーォキシ) ブタン、 n—ブチルー 4, 4 —ビス ( t一ブチルパーォキシ) バレレー卜、. 2, 2 -ビス (4, 4ージ 一 t一ブチルパーォキシシクロへキシル) プロパンなどのパーォキシケ夕 ール類; α、 a' 一ビス ( tーブチルバ一ォキシ) ジイソプロピルべンゼ ン、 ジクミルパーオキサイド、 2, 5—ジメチルー 2, 5ビス ( t—ブチ ルバーオキシ) へキサン、 tーブチルクミルパーォキサイド、 ジー tーブ チルパーオキサイド、 2, 5—ジメチルー 2, 5ビス (t—ブチルパーォ キシ) へキシン一 3などのジアルキルパーォキサイド類; P—メンタン八 ィドロパーォキサイド、 ジイソプロピルベンゼンハイドロパーォキサイド、 1, 1, 3, 3—テトラメチルブチルハイドロパ一オキサイド、 クメンハ ィドロパーォキサイド、 tーブチル八ィドロパーォキサイドなどの八ィド 口パーオキサイド類;過硫酸アンモニゥム、 過硫酸カリウム、 過硫酸ナト
リウムなどの過硫酸塩類;その他、 過塩素酸類、 過酸化水素などがあげら れる。
また、 フッ素原子を有するパーオキサイド類も利用可能であり、 含フッ 素ジァシルパ一ォキサイド類、 含フッ素バーオキシジカーボネート類、 含 フッ素パーォキシジエステル類、 含フッ素ジアルキルパーォキサイド類か ら選ばれる 1種または 2種以上が好ましい。 なかでも例えば、 ペン夕フル ォロプロピオノィルパ一オキサイド (CF3CF2C〇〇) 2、 ヘプ夕フル ォロブチリルパ一オキサイド (CF3CF2CF2C〇〇) 2、 7H-ドデ カフルォロヘプタノィルパ一ォキサイド (CHF2CF2CF2CF2CF2 CF2CO〇) 2などのジフルォロアシルパ一ォキサイド類が好ましくあ げられる。
ァゾ系ラジカル重合開始剤としては、 たとえば 2, 2 ' ーァゾビスイソ プチロニトリル、 2, 2 ' —ァゾビス (2, 4—ジメチルバレロニトリル ) 、 2, 2 ' ーァゾビス (2—メチルバレロニトリル) 、 2, 2 ' —ァゾ ビス ( 2—シクロプロピルプロピオ二トリル) 、 2, 2' ーァゾビスイソ 酪酸ジメチル、 2, 2 ' ーァゾビス [2 - (ヒドロキシメチル) プロピオ 二トリル] 、 4, 4' —ァゾビス (4—シァノペンテン酸) などがあげら れる。
ラジカル重合開始剤としては、 なかでも、 パ一ォキシジカーボネート類、 ジフルォロアシルパ一ォキサイド類、 ォキシパーエステル類、 過硫酸塩類 などが好ましい。
本発明のフッ化ビニリデン単独重合体の製造法において、 ヨウ素化合物 の使用量は、 使用するフッ化ビニリデン単量体 1モルに対し、 下限は 0. 01モル、 好ましくは 0. 02モル、 より好ましくは 0. 03モル、 特に 好ましくは 0. 08モルであり、 上限は 10モル、 好ましくは 6モル、 よ り好ましくは 2モル、 特に好ましくは 1モルである。
ヨウ素化合物の使用量が少なすぎると、 重合度が大きくなりすぎ、 それ によって I型結晶構造の含有比率が低下するため好ましくない。 ヨウ素化 合物の使用量が多すぎると、 重合反応が進行しにくく、 収量が低下したり、 重合度が低くなりすぎるため好ましくない。
また、 ラジカル重合開始剤の使用量は、 使用するヨウ素化合物 1モルに 対し、 下限は 0 . 0 0 0 1モル、 好ましくは 0 . 0 1モル、 より好ましく は 0 . 0 3モル、 特に好ましくは 0 . 0 4モルであり、 上限は 0 . 9モル、 好ましくは、 0 . 5モル、 より好ましくは 0 . 1モル、 特に好ましくは 0 . 0 8モルである。
ラジカル重合開始剤の使用量が少なすぎると、 重合反応が進行しにくく なり、 また使用量が多すぎると I型結晶構造の含有比率が低下するため好 ましくない。
本発明のフッ化ビニリデン単独重合体の製造法において、 重合方法とし ては、 重合溶媒を使用しないバルク重合法、 重合場におけるモノマ一を溶 解させる溶剤を使用した溶液重合法、 重合場におけるモノマ一を溶解また は分散させる溶剤と必要に応じて水などの分散媒を加えた懸濁重合法、 乳 化剤を含む水性溶剤中で行なう乳化重合法などが採用できる。
なかでも、 溶液重合法および懸濁重合法が、 重合度を制御しやすい点で 好ましい。
溶液重合法、 懸濁重合法で製造する場合の重合溶媒としては、 アセトン、 メチルェチルケトン、 メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;酢酸 ェチル、 セロソルブアセテート、 酢酸 n—ブチル、 酢酸イソブチル、 メチ ルセ口ソルブアセテート、 酢酸カルビトールなどのエステル系溶剤;メチ ルアルコール、 エチルアルコール、 イソプロピルアルコール、 n一ブチル アルコール、 イソブチルアルコール、 ter t—ブチルアルコール、 sec—ブ チルアルコール、 ter t—ァミルアルコール、 3一ペン夕ノール、 ォクチル
アルコール、 3—メチルー 3—メトキシブ夕ノールなどのアルコール系溶 剤;ベンゼン、 トルエン、 キシレンなどの芳香族系溶剤などが利用可能で あり、 またさらに、 CHF2CF2OCHF2、 (CF3) 2CFOCH3、 CF3CF2CF2〇CH3、 CHF2CF2OCH3、 CF3CF2CH2OC HF2、 CF3CFHCF2〇CH3、 CHF 2 C F 2〇 CH2 C F 3、 CF3 CF2CF2CF2〇CH3、 CF3CF2CH2〇CF2CHF2、 (CF3) 2CHCF2〇CH3、 CF3CFHCF2〇CH2CF3、 CF3CF2CF2 CF2OCH2CH3、 CF3CHFCF2OCH2CF2CF3、 CF3CH FCF2CH2〇CHF2、 CHF2CF2CH2〇CF2CHF2、 CF3C FHCF2〇CH2CF2CF2H、 CHF2CF2CF2CF2CH2OCH3、 C 6 F ! 2> C g F ! 8 C 6 F ! 4, C F 3 C H 2 C F 2 C H 3、 CHF2CF2C F2CHF2、 (CF3) 2CFCHFCHFCF3、 CF3CHFCHFC F 2 C F 3、 (C F 3) 2 C H C F 2 C F 2 C F 3. C4H2 F 6 , C F 3 C F 2 C HF2、 CF2C 1 CF2CF2CHF2、 C F 3 C F C 1 C F C 1 C F 3、 CF C 1 CF2CF2CF2C 1、 CF2C 1 CF2CF2CF2CF2CF2 CHF2、 CF2C 1 CFC 1 CFC 1 CF2C 1、 HCFC - 225, H CFC - 141 b、 CF2C 1 CFC 1 CFC 1 CF2C 1、 CF2C 1 C F2C 1、 CF2C 1 CF C 12、 H (CF2) nH (n : 1〜20の整数) 、 CF30 (C2F40) n C F 2 C F 3 (n : 0または 1〜1 0の整数) 、 N (C4F9) 3などのフッ素系溶剤も利用できる。
なかでもフッ素系溶剤が、 重合度を制御しゃすい点で好ましく、 特に H CFC - 225、 HCFC - 141 b、 CF2C 1 CFC 1 CFC 1 CF 2C 1、 CF2C 1 CF2C 1、 CF2C I CFC 12、 H (CF2) nH ( n : 1〜20の整数) 、 CF30 (C2F40) nCF2CF3 (n : 0また は 1〜10の整数) 、 N (C4F9) 3などのフッ素系溶剤が好ましい。 重合温度は、 使用するラジカル重合開始剤の種類によって適宜選択でき
るが、 通常— 10〜200°Cであり、 下限は好ましくは 5° (:、 より好まし くは 10 °Cであり、 上限は好ましくは 150 °C、 より好ましくは 100 °C である。
本発明者らは、 さらに前述の特定の連鎖移動剤 (例えば式 (2) の連鎖 移動剤) を用いることで、 I型結晶構造の存在比率が特に高い新規なフッ 化ビニリデン単独重合体を見出した (本発明の第三) 。
すなわち、 新規なフッ化ビニリデン単独重合体の第一は、 式 (4) :
CF3— (A1) 一 I (4)
(式中、 A 1は数平均重合度が 5〜12の I型結晶構造を単独または主成 分とするフッ化ビ二リデン単独重合体の構造単位) で示されるフッ化ビ二 リデン単独重合体である。
この新規なフッ化ビニリデン単独重合体は 1つの重合体分子において 一方の末端に CF3基を、 もう一方の末端にヨウ素原子を有するフッ化ビ 二リデン単独重合体であり、 構造単位 A 1は、 数平均重合度で 5〜12の フッ化ビニリデンの繰り返し単位を有する。
この式 (4) の重合体は特に I型の結晶構造の純度が高いものである。 構造単位 A 1の数平均重合度が 4以下になると室温で結晶を形成しにく くなる。 また数平均重合度が 13以上になると I型結晶構造の純度が低く なる (例えば II型結晶の比率が増大する)
また、 一方の末端の構造は CF3基であることが、 I型結晶構造の純度 が高くなる点で特に好ましく、 例えば、 長鎖のパ一フルォロアルキル基や 分岐状のパーフルォロアルキル基が末端である場合は I型結晶構造の純度 が低くなる (例えば II型結晶の比率が増大する) 。
この式 (4) の重合体は種々の方法で合成可能であるが、 CF3 Iを連 鎖移動剤に用いた前述の製造法を用いることが、 分子量分布の狭い重合体 を合成できる点で好ましく、 それによつて I型結晶構造の純度を高められ
る点でも好ましい。
式 (4) の重合体の分子量分布は、 平均重合度によって異なるが、 例え ば GPC分析により求められる MwZMnで 1以上で 3以下のもの、 好ま しくは 2以下のもの、 より好ましくは 1. 5以下のものであり、 分子量分 布が大きくなると I型結晶構造の純度が低くなる傾向にある。
また、 式 (4) の重合体は、 より詳しくは、 フッ化ビニリデン単位が重 合体 1分子中に同じ方向を向いた式 (4一 1) :
CF3- (CH2CF2) n- I (4- 1) のみからなるものであっても良く、 また重合体 1分子中にフッ化ビニリデ ン単位の一部が逆向きに結合した式 (4一 2) :
CF3- (CH2CF2) nl (CF2CH2) n2— I (4— 2) の構造 (n l+n 2 = n=l〜20) の重合体分子を含んでいても良い。 なかでも, 式 (4一 1) のフッ化ピニリデン単位が同方向を向いた重合 体分子のみからなるものが好ましい。
式 (4- 1) と (4-2) の混合物であっても、 n 2の比率 (異常結合 率と言う) が小さなほど好ましく., 例えば、 NMR分析などで算出できる 異常結合率: { n 2 /' (n + n 1 +n 2) } X 100
が 20%以下、 さらには 10%以下、 特に 5 %以下のものが好ましい。 本発明の新規なフッ化ビニリデン単独重合体の第二は、 式 (5) : I - (A2) 一 (CF2CF2) m - (A3) 一 I (5) (式中、 mは 1〜5の整数; A2、 A3は同じかまたは異なる I型結晶構 造を単独または主成分とするフッ化ビ二リデン単独重合体の構造単位であ つて、 構造単位 A2と A3の合計の数平均重合度が 2〜20である) で示 されるフッ化ビニリデン単独重合体であり、 これら重合体は、 予想外にも I型結晶構造の純度の高いものである。
構造単位 A 2と A 3の合計の数平均重合度は 2〜 20の範囲から選ばれ
るが、 下限はより好ましくは 4、 さらに好ましくは 5であり、 上限は好ま しくは 15、 さらに好ましくは 12である。
つまり、 数平均重合度が低すぎると室温で結晶を形成しにくくなり、 ま た数平均重合度が高すぎると I型結晶の純度が低くなる (例えば II 型結 晶の比率が増大する) 。
式 (5) の重合体において、 mは 1〜 5の整数から選択できるが、 より 好ましくは 2であり、 このものは I型結晶構造の純度の特に高いものであ る。
式 (5) の重合体は種々の方法で合成できるが、 例えば、 式 (5-1) :
I一 (CF2CF2) m- I (5- 1)
(式中、 mは 1〜 5の整数) を連鎖移動剤として前述の製造法により合成 できる。 この連鎖移動剤を使用するときは、 分子量分布の狭い重合体を合 成できる点で好ましく、 それによつて I型結晶構造の純度を高められる点 でも好ましい。
式 (5) の重合体において構造単位 A 2および A 3の部分の分子量分布 は、 構造単位 A2と A3の合計の数平均重合度によって異なるが、 例えば GPC分析により求められる Mw/Mnで 1以上で 3以下のもの、 好まし くは 2以下のもの、 より好ましくは 1. 5以下のものであり、 分子量分布 が大きくなると I型結晶の純度が低くなる傾向がある。
式 (4) および式 (5) で示した本発明のフッ化ピニリデン単独重合体 は、 それぞれ、 前述と同様に、 (数式 1 ) および (数式 2) で示した関係 を満たす I型結晶構造を含有するものが好ましく、 さらには (数式 3) お よび (数式 4) で示した関係を満たす高純度で I型結晶を含有するものが 好ましく、 それによつて本発明の薄膜に強誘電特性を効果的に付与するこ とができる。
本発明における工程 (i) で直接得られるフッ化ビニリデン単独重合体
の末端基はヨウ素原子または臭素原子であるが、 この末端基を式 (6) : - CnX6 2n + 1 (6)
(式中、 nは 0〜4の整数; X6は Hまたは F) で示される Hまたは F ( n = 0) 、 またはフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基 (n=l〜4 ) に変性した末端変性フッ化ビニリデン単独重合体も、 本発明の薄膜の形 成方法に使用できる。
末端基のヨウ素原子または臭素原子の式 (6) の末端基への変性は、 ョ ゥ素原子または臭素原子から直接、 H、 Fまたはアルキル基に変性しても よいし、 他の官能基に一旦変性した後、 式 (6) の末端基に変性してもよ い。
式 (6) の末端基は、 nが小さい方が強誘電性が高くなることから、 n =0、 すなわち Hまたは Fが特に好ましい。
本発明の第一の発明である薄膜の形成方法は、 前述の工程 (i) で得た I型結晶構造を単独または主成分とするフッ化ビ二リデン単独重合体を用 いて、 基材上に薄膜を形成する工程 (ii) を実施することによってなされ る。
工程 ( i) で製造したフッ化ビニリデン単独重合体の原末を直接基材に 適用しても良いし、 工程 (i) で製造したフッ化ビニリデン単独重合体原 末に対して I型結晶構造を損なわない範囲で、 何らかの処理工程を加えて 得られる I型結晶構造を単独または主成分とするフッ化ビニリデン単独重 合体を基材に適用しても良い。
加える処理工程としては、 例えば、 工程 (i) のすぐ後に行なう重合体 原末中の低分子量不純物などを除去する洗浄処理工程のほか、 I型結晶構 造を単独または主成分とするフッ化ビニリデン単独重合体を特定の分子量 のものに分離する分離工程、 再沈および再結晶などの工程、 乾燥を目的と する加熱工程、 真空処理工程、 結晶を成長させる目的の熱処理工程などが
あげられる。
このうち分離工程により、 特定の分子量のものに分離することで、 I型 結晶の純度が高まり、 それによつて本発明の薄膜に強誘電特性をより効果 的に付与することができる。 分離工程はたとえば再沈法、 蒸留法、 クロマ 卜グラフィ一法、 蒸着法などにより好ましく実施できる。
再沈法によれば、 フッ化ビニリデン単独重合体原末をできるだけ少量の 溶媒 (良溶媒) に溶解させておき、 ついでフッ化ビニリデン単独重合体原 末に対して溶解度の低い溶媒 (貧溶媒) に投入してフッ化ビニリデン単独 重合体を再沈させることにより、 単一分子量のフッ化ビニリデン単独重合 体を分離できる。
このときフッ化ピニリデン単独重合体原末は、 良溶媒に対して通常 1〜 8 0重量%、 好ましくは 1〜7 0重量%、 より好ましくは 1〜5 0重量% 溶解させておくのが好ましい。 また、 貧溶媒は良溶媒の 1 0〜 2 0倍量程 度とすることが好ましい。 再沈時の温度は、 通常— 3 0〜1 5 0 °C、 好ま しくは 0〜8 0 :、 より好ましくは 2 5〜5 0 °Cが採用される。
前記良溶媒や貧溶媒は、 再沈させるフッ化ピ二リデン単独重合体の溶解 性に応じて適宜選択すればよい。 例えばアセトン、 メチルェチルケトン、 メチルイソブチルケトン、 シクロへキサノン、 ァセチルァセトンなどのケ 卜ン系溶剤;酢酸ェチル、 セロソルブアセテート、 酢酸 n—ブチル、 酢酸 イソブチル、 メチルセ口ソルブアセテート、 酢酸カルビトール、 ジブチル フタレートなどのエステル系溶剤;ベンズアルデヒドなどのアルデヒド系 溶剤;ジメチルァミン、 ジブチルァミン、 ジメチルァニリン、 メチルアミ ン、 ベンジルァミンなどのアミン系溶剤; N, N—ジメチルホルムアミド、 N, N—ジメチルァセトアミド、 N—メチルー 2—ピロリドンなどのアミ ド系溶剤;無水酢酸などのカルボン酸無水物系溶剤;酢酸などのカルボン 酸系溶剤;クロ口ホルム、 ジクロロメタン、 1 , 2—ジクロロェタン、 ク
ロロベンゼン、 塩化ベンジル、 1 , 1, 2, 2—テトラクロロェタンなど のハロゲン系溶剤;テトラヒドロフラン、 ジォキサンなどのエーテル系溶 剤;ジメチルスルホキシドなどのスルホンアミド系溶剤;へキサン、 ヘプ タン、 オクタン、 石油エーテルなどの脂肪族炭化水素系溶剤;メタノ一ル、 エタノール、 1一プロパノ一ルなどのアルコール系溶剤;ベンゼン、 トル ェン、 キシレン、 スチレンなどの芳香族炭化水素系溶剤;またはこれらの 2種以上の混合溶剤などが好ましく利用できる。
蒸留法によれば、 フッ化ビニリデン単独重合体原末を一定圧力 (減圧) 状態において一定温度下で蒸留することにより、 単一分子量のフッ化ビニ リデン単独重合体を効率よく分離できる。
蒸留時の圧力は、 通常 1 P a〜l 0 1 K P a、 好ましくは 1 P a〜 5 O K P a , より好ましくは 1 0 0 P a〜l K P aである。 蒸留時の温度 は、 通常 0〜5 0 0 °C、 好ましくは 0〜2 5 0 °C より好ましくは 2 5〜 2 0 0 °Cである。
洗浄法によれば、 溶剤によりフッ化ビ二リデン単独重合体原末を洗浄す る操作を施すことにより、 単一分子量のフッ化ピニリデン単独重合体を分 離できる。
洗浄に用いる溶剤としては、 目的とするフッ化ビニリデン単独重合体を 溶解させることのできるものを任意に用いればよい。 具体的には、 再沈法 で例示したものと同様のものが使用できる。
洗浄の際の溶剤の温度は、 通常一 3 0〜1 5 0 °C、 好ましくは 0〜8 0 °C、 より好ましくは 2 5〜5 0 °Cである。
また、 洗浄操作は使用する洗浄用の溶剤により異なるが、 原則として何 回でもよく、 通常 1 0 0回以下、 好ましくは 5 0回以下、 より好ましくは 1 0回以下である。
クロマトグラフィー法によれば、 効率よく単一分子量のフッ化ビニリデ
ン単独重合体を単離できる。
移動相がフッ化ビ二リデン単独重合体を溶解するものであれば、 公知の 方法のうちのどの方法を採用してもよく、 例えば液相ク口マトグラフィー やガスクロマトグラフィーが好ましく採用される。 その際の温度は、 通常 _ 30〜150° (:、 好ましくは 0〜; L 00°C、 より好ましくは 25〜 80 である。
蒸着法によれば、 フッ化ビニリデン単独重合体原末を一定圧力 (減圧) の状態において一定温度下で蒸着することにより、 効率よく単一分子量の フッ化ビニリデン単独重合体を単離できる。
蒸着の際、 フッ化ビニリデン単独重合体原末を加熱または冷却するが、 その温度は、 通常 _ 30〜1000t、 好ましくは 0〜800°C、 より好 ましくは 0〜 500°Cである。 蒸着の際の系内の圧力は、 通常 I X 10一6 Pa〜100KP a、 好ましくは lKP a以下 より好ましくは 1 P a以 下である。
より簡易かつ効率的にフッ化ビニリデン単独重合体から単一分子量のフ ッ化ビ二リデン単独重合体を単離できる点から、 蒸留法またはクロマトグ ラフィ一法を採用することが好ましい。
かかる分離工程により、 分子量分布を狭くするほど I型結晶の純度が高 まり、 本発明の薄膜に強誘電特性をより効果的に付与することができるこ とから、 単一分子量のフッ化ビニリデン単独重合体の純度を 70重量%以 上、 さらには 80重量%以上、 さらに好ましくは 90重量%以上、 特には 95重量%以上にまで高めることが好ましい。
またさらに、 I型結晶構造を単独または主成分とするフッ化ピニリデン 単独重合体を溶剤や添加剤などとプレンドして塗料の形態とする工程を経 由したのち、 薄膜形成工程 (ii) を行なっても良い。
本発明の工程 (ii) において、 薄膜の形成には種々の方法が利用できる
が、 例えば、 フッ化ビニリデン単独重合体を液状媒体に溶解または分散さ せ、 コーティング溶液 (塗料) の形態で塗布する方法 (コーティング溶液 法) ;フッ化ビニリデン単独重合体を粉体の形態で直接基材に塗布する方 法 (粉体塗布法) ;フッ化ビニリデン単独重合体の粉体を真空下および Z または加熱下において昇華させ、 蒸着により被覆する方法 (真空蒸着法) などが好ましく利用できる。
フッ化ビニリデン単独重合体を用いてコーティング溶液 (塗料) の形態 で塗布する方法において使用する液状媒体としては、 フツイ匕ビニリデン単 独重合体を溶解または均一に分散させることができるものが利用できる。 なかでも、 薄層被膜の膜厚をコントロールするためにはフッ化ビニリデン 単独重合体を溶解させる液状媒体が好ましい。
そうした液状媒体としては、 例えばアセトン.. メチルェチルケトン、 メ チルイソプチルケトン シクロへキサノン、 ァセチルアセトンなどのケト ン系溶剤;酢酸ェチル、 セロソルブアセテート、 酢酸 n—プチル、 酢酸ィ ソブチル、 メチルセ口ソルブァセテ一ト、 酢酸カルビトール、 ジブチルフ 夕レートなどのエステル系溶剤;ベンズアルデヒドなどのアルデヒド系溶 剤;ジメチルァミン、 ジブチルァミン、 ジメチルァニリン、 メチルァミン、 ベンジルァミンなどのアミン系溶剤; N, N—ジメチルホルムアミド、 N , N—ジメチルァセトアミド、 N—メチル—2—ピロリドンなどのアミド 系溶剤;無水酢酸などのカルボン酸無水物系溶剤;酢酸などのカルボン酸 系溶剤;クロ口ホルム、 ジクロロメタン、 1 , 2—ジクロロェタン、 1, 1 , 2, 2—テトラクロロェタンなどのハロゲン系溶剤;テトラヒドロフ ラン、 ジォキサンなどのエーテル系溶剤;ジメチルスルホキシドなどのス ルホンアミド系溶剤などが好ましい。
なかでも、 ケトン系溶媒、 アミド系溶媒がフッ化ビニリデン単独重合体 を良好に溶解させる点で好ましい。
また、 フッ化ビニリデン単独重合体が微粒子の形状で媒体中に安定に均 一分散したものであれば液状溶媒に不溶であつても薄膜の形成が可能であ る。 たとえばフッ化ビニリデン単独重合体の水性分散体などが利用可能で ある。
これらのコ一ティング溶液におけるフッ化ビニリデン単独重合体の濃度 は、 目的とする膜厚やコーティング溶液の粘度などによって異なるが、 0 . 1重量%以上、 好ましくは 0 . 5重量%以上、 より好ましくは 1重量% 以上であり、 5 0重量%以下、 好ましくは 3 0重量%以下、 より好ましく は 2 0重量%以下である。
これらのコ一ティング溶液を用いて基材に塗布する方法としては、 スピ ンコート、 ディップコート、 スプレーコ一卜、 ロールコート、 グラビアコ —トなどの公知の塗装方法が採用可能であり、 なかでも薄膜を効率よく形 成する方法として スピンコート法 グラビアコ一卜法などが好ましく 特にスピンコートが好ましい。
上記の方法で塗布した後、 溶媒を除去するための乾燥工程を行なつても 良い。 乾燥方法としては、 例えば室温での風乾、 加熱乾燥、 真空乾燥など が採用できるが、 過度に高温での乾燥は I型の結晶構造を変化させること があるので注意を要する。
したがって、 フッ化ビ二リデン単独重合体の融点を下回る温度での加熱 乾燥が好ましい。 加熱による乾燥の温度は、 使用する溶媒の沸点などによ つて異なるが、 3 0 °C以上、 好ましくは 4 0 °C以上、 より好ましくは 5 0 °C以上であり、 1 0 0 °C以下、 好ましくは 8 0 °C以下、 より好ましくは 7 0 以下である。
このようにして、 コーティング溶液の形態で塗布され基材に形成された フッ化ビニリデン単独重合体薄膜は I型の結晶構造を維持しており、 優れ た強誘電性を発現する能力を有するものである。
また、 真空蒸着装置を用い、 真空蒸着法によって基材に薄膜を形成する 方法も好ましい。
真空蒸着時における温度や真空度はフッ化ビ二リデン単独重合体の重合 度や昇華性などによって適宜選択されるが、 蒸着温度は室温〜 2 0 0 °C、 好ましくは 1 0 0 °C以下である。 基材温度は 0〜 1 0 0 °c、 好ましくは室 温以上、 そして 5 0 °C以下である。 真空度は 1 0— 2 P a以下、 好ましく は 1 0— 4 P a以下である。
これら真空蒸着方法において、 工程 (i ) を含む本発明の薄膜形成方法 を利用することで、 特に基材を極低温に設定しなくとも室温などの通常の 条件下において、 容易に I型結晶構造のフッ化ビニリデン単独重合体薄膜 を形成できる。
本発明の薄膜形成方法によれば、 基材の種類が限定されず、 種々の基材 上に I型結晶構造のフッ化ピニリデン単独重合体薄膜を形成できる。
基材の種類は、 目的とする積層体の狙いと用途によって適宜選択される が、 シリコン系基材、 金属系基材、 ガラス系基材、 セラミックス系基材、 樹脂系基材などから選ばれる。
本発明の I型結晶構造のフッ化ビニリデン単独重合体薄膜の電気特性を 利用する場合、 基材としては、 例えば、 電極を形成できる導電性の基材で あることが好ましい。 また、 シリコン系基材、 ガラス系基材、 セラミック ス系基材、 樹脂系基材など絶縁性基材の上に、 導電性材料の薄膜を形成し たものも導電性の基材として好ましい。
導電性の基材または薄膜用の金属系材料としては、 アルミニウム、 銅、 クロム、 ニッケル、 亜鉛、 ステンレス、 金、 銀、 白金、 タンタル、 チタン、 ニオブ、 モリブデン、 インジウム錫酸化物 ( I T O) などを用いることが できる。 なかでも、 シリコンウェハ上にアルミニウム、 金、 銀、 白金、 夕 ンタル、 チタンなどの薄膜を形成したものが好ましい。 また、 金属系基材
として、 アルミニウム、 銅、 金、 銀および白金なども好ましい。.
なお、 基材表面に設けられたこれら導電性薄膜は、 必要に応じてフォト リソグラフィ一やマスクデポなどの公知の方法で所定の回路にパターニン グしていても良い。
こうした基材の上に、 前述の方法 (工程 (i i) ) で I型結晶構造のフッ 化ビニリデン単独重合体薄膜が形成される。
I型結晶構造のフッ化ビニリデン単独重合体薄膜の膜厚は、 目的とする 積層体の狙いと用途によって適宜選択されるが、 通常、 l n m以上、 好ま しくは 5 n m以上、 特に好ましくは 1 0 n m以上であり、 1 0 m以下、 好ましくは 1 m以下、 特に好ましくは 5 0 0 n m以下程度である。
本発明の薄膜の形成方法においては、 基材上にフッ化ビニリデン単独重 合体の薄膜を形成した後、 形成されたフッ化ビニリデン単独重合体薄膜の 強誘電特性を高めるために、 熱処理する工程 (熱処理工程 (i i i) ) をさ らに加えても良い。 フッ化ビニリデン単独重合体薄膜の熱処理工程 (i i i ) は通常、 フッ化ビニリデン単独重合体薄膜中の結晶を成長させ、 結晶サ ィズを大きくする目的で行なわれ、 その結果、 強誘電特性を向上させるこ とができる。
熱処理工程 (i i i) は、 具体的にはフッ化ビニリデン単独重合体の数平 均重合度や結晶融点、 基材の種類により適宜選択できるが、 通常 5 0 °C以 上、 好ましくは 6 0 °C以上、 より好ましくは 7 0で以上、 特に好ましくは 8 0 以上であり、 上限は通常、 結晶融点を下回る温度、 好ましくは結晶 融点より 5 °C低い温度、 より好ましくは結晶融点より 1 0 低い温度であ る。
熱処理時間は、 通常、 約 1 0分間以上、 好ましくは 2 0分間以上、 より 好ましくは 3 0分間以上であり、 約 1 0時間以下、 好ましくは 5時間以下、 より好ましくは 3時間以下、 特には 2時間以下程度である。 加熱後は、 室
温などで放置しゆっくり放冷するのが好ましい。
ただし、 本発明の I型結晶構造を単独または主成分として有するフッ化 ビニリデン単独重合体の好ましいものを用いる場合は、 上記熱処理工程 ( i i i) をはぶいても充分な強誘電性を発現できる点で好ましい。
本発明の薄膜の形成方法においては、 薄膜を形成した後、 または上記熱 処理工程 (i i i) を経た後または経ないで、 分極処理工程 (iv) をさらに 行なっても良い。 分極処理工程 (iv) は本発明の薄膜に強誘電性を確実に 発現させる目的で行なわれる。
分極処理としては従来から知られている方法が同様に利用できる。 例え ば、 被膜に電極を蒸着するか電極を接触させてこれに直流または交流電界 あるいは直流または交流電圧を印加する方法、 またはコロナ放電で分極処 理する方法などが利用できる。
分極処理工程 (iv) における印加電界は、 薄膜の膜厚や I型結晶構造の 存在比率などにより適宜選択できるが、 通常、 1 O MV/m以上、 好まし くは 5 O MV/m以上、 より好ましくは 8 O MV/m以上であり 絶縁破 壊電界強度の電界以下、 好ましくは 2 5 O MV/m以下、 より好ましくは 2 0 O MV/mである。 印加電界が低すぎるまたは印加時間が短すぎると、 充分な分極処理が達成されず、 また、 印加電界が高すぎるまたは印加時間 が長すぎると、 部分的にでもポリマー分子の結合が解裂してしまうため好 ましくない。
印加時間は、 通常、 2 0ナノ秒間以上、 好ましくは 1秒間以上、 より好 ましくは 1分間以上であり、 約 4 8時間まで、 好ましくは 6時間まで、 よ り好ましくは 2時間までである。
分極処理工程 (iv) における薄膜の温度は、 通常、 0 °C以上、 好ましく は 1 0 °C以上、 より好ましくは 2 5 °C以上であり、 フッ化ビニリデン単独 重合体の結晶融点以下、 好ましくは 1 2 0 °C以下、 より好ましくは 8 5 °C
以下に維持する。
また、 前述の熱処理工程 (i i i) と分極処理工程 (iv) を同時に行なつ ても良い。 それによつてより高い強誘電特性を発現することができる。 またさらに、 このようにして得られた積層体におけるフッ化ビニリデン 単独重合体薄膜層は、 必要に応じてフォトリソグラフィ一やマスクデポな どの公知の方法で所定の回路にパターニングしていても良い。
このようにして得られた積層体において、 必要に応じてフッ化ビニリデ ン単独重合体薄膜層の上に、 さらに他の材料の層を設けても良い。
例えば、 前述と同様の電極になりうる導電性材料の層、 シリコン、 セラ ミックス、 樹脂などの絶縁体層などを、 フッ化ビニリデン単独重合体薄膜 を挟む形でサンドィツチ状に設けて多層化することも可能である
このようにして得られた積層体は、 強誘電性を有している。
本発明において強誘電性とは 物質内部の永久双極子が何らかの力の作 用によって同じ向きに配向しており、 電場を加えていないときでも分極を もっている性質をいい (電場がなくても生じている分極を自発分極という ) 、 また、 自発分極を外部からの電場によって反転することができる性質 のことである。 物質が強誘電体であるかどうかは、 電界 Eと電気変位 Dの 関係を調べれば、 強誘電体であればある程度振幅の大きい交流電場を加え たとき強磁性体のようなヒステリシス (履歴) 曲線を示すことでわかる。 例えばフッ化ビニリデン単独重合体の層の両側に A 1薄膜などの電極を 施した積層体について、 両電極間に周波数 1 5 mH z、 振幅 1 2 0 Vの三 角波電圧を印加した場合、 矩形状のヒステリシス力一ブが得られるととも に、 そこから算出される残留分極値で 7 5 m C/m2以上のものが可能で あり、 好ましくは 9 O m C Zm2以上、 より好ましくは 1 1 O m C /m 2 以上、 特には 1 2 O m C /m2以上、 とりわけ 1 3 5 m C Zm2以上のも のが好ましく、 本発明の方法により可能となる。
強誘電性をもつ物質は、 圧電性、 焦電性、 電気光学効果あるいは非線形 光学効果といつた電気的あるいは光学的な機能に結びつく性質を併せもつ ている。
これらの性質により、 本発明で得られた薄膜または積層体は、 FE-R AM, 赤外線センサー、 マイクロホン、 スピーカー、 音声付ポスター、 へ ッドホン、 電子楽器、 人工触覚、 脈拍計、 補聴器、 血圧計、 心音計、 超音 波診断装置、 超音波顕微鏡、 超音波ハイパーサーミア、 サ一モグラフィー、 微小地震計、 土砂崩予知計、 近接警報 (距離計) 侵入者検出装置、 キーポ —ドスイッチ、 水中通信バイモルフ型表示器、 ソナ一、 光シャッター、 光 ファイバー電圧計、 八イド口ホン、 超音波光変調偏向装置、 超音波遅延線、 超音波カメラ、 POSFET 加速度計、 工具異常センサ、 AE検出、 口 ボット用センサ、 衝撃センサ、 流量計、 振動計、 超音波探傷、 超音波厚み 計、 火災報知器、 侵入者検出 焦電ビジコン 複写機、 夕ツチパネル、 吸 発熱反応検出装置、 光強度変調素子、 光位相変調素子、 光回路切換素子な どの圧電性、 焦電性、 電気光学効果あるいは非線形光学効果を利用したデ バイスに利用可能である。
つぎに本発明を合成例、 実施例などをあげて説明するが、 本発明はかか る例のみに限定されるものではない。
まず、 本発明の説明で使用するパラメ一夕一の測定法について説明する。
[1] フッ化ビニリデン (VdF) 重合体の重合度の測定法
(1) CF3 (VdF) n Iの重合度 (n)
19F— NMRより求める。 具体的には、 _ 61 p pm付近のピーク面 積 (CF3—由来) と、 一 90〜一 96 p pm付近のピーク面積 (― CF 2— CH2—由来) からつぎの計算式で算出する。
(重合度) = ( (- 90〜一 96 p pm付近のピーク面積) /2)/ ((— 61 ppm付近のピ一ク面積) /3)
(2) CF3CF2 (VdF) n Iの重合度 (n)
19F— NMRより求める。 具体的には、 — 86 p pm付近のピーク面 積 (CF3_由来) と、 一 90〜一 96 ppm付近のピーク面積 (― CF 2— CH2_由来) からつぎの計算式で算出する。
(重合度) =( (- 90〜一 96 ppm付近のピーク面積) /2)/(( — 8 6 p pm付近のピーク面積) /3)
(3) I (VdF) nCF2CF2CF2CF2 (VdF) m Iの重合度 (n +m)
19F— NMRより求める。 具体的には、 - 1 12 p pm付近のピーク 面積と一 124 p pm付近のピーク面積 (いずれも— CF2CF2CF2C F2—由来) の合計と、 -90〜― 96 p pm付近のピーク面積 (-CF 2— CH2—由来) からつぎの計算式で算出する。
(重合度) =( (-90〜― 96 ppm付近のピーク面積) /2)/((— 11 2 pm付近のピーク面積と一 124 p pm付近のピーク面積の合計) / 8 )
[2] 各種の測定 (分析) 方法および装置
(1) I R分析
(1-1) 測定条件
KB r法。 1〜 5 m gのフッ化ビニリデン重合体粉末を 100〜500 mgの KB r粉末に混合し、 加圧してペレツト化した後、 測定装置にペレ ットを固定し、 25 °Cにて測定する。
(1-2) 測定装置
PERK I N ELMER社製の FT— I R s p e c t r ome t e r 176 OX
(2) — NMRおよび19 F— NMR分析
(2-1) 測定条件
フッ化ビニリデン重合体粉末 10〜2 Omgを d 6—アセトン中に溶解 し、 得られたサンプルをプロ一ブにセットして測定する。
(2-2) 測定装置
B r u k e r社製の AC— 3 O OP
(3) 粉末 X線回折分析
(3-1) 測定条件
専用のガラスプレート上にフッ化ビニリデン重合体粉末を塗布し、 ガラ スプレートを測定装置にセットして測定する。
(3-2) 測定装置
R i ga k u社製の R o t a f 1 e x
(4) 強誘電性の確認 (D— Eヒステリシス曲線)
ある材料が強誘電性である場合、 その材料の D一 Eヒステリシス曲線は 矩形状を示す。 そこで、 本発明においては、 つぎの条件で電流電圧特性を 調べ、 D— Eヒステリシス曲線を描き、 強誘電性の有無を判断する。
(4-1) 測定条件
周波数 15mHz、 振幅 120 Vの三角波電圧を V d F薄膜の両側に形 成したアルミニウム電極に加える。
(4-2) 測定装置
アジレン卜社製の誘電薄膜電気特性評価装置。
(5) 分子量分布分析
(5-1) 測定条件
フッ化ビニリデン重合体を、 THF中に 0. 1〜0. 2重量%溶解し、 測定装置にセットして 35 °Cで測定を行なう。
(5-2) 測定装置
東ソー (株) 製の HLC— 8020 (本体) 、 昭和電工 (株) 製の s h od e x GPC-KF-801, GPC— KF— 802、 GP C-KF
— 806MX2X二本 (カラム) 使用。
(6) 異常結合率の測定
異常結合率 (%) = {n 2/ (n + n 1+n 2) } X 100
19F— NMR分析より求める。 具体的には、 — 1 12 p pm付近のピ ーク面積と一 124ppm付近のピーク面積 (いずれも異常結合由来) の 合計 (=n 2) と、 — 90〜― 96 p pm付近のピーク面積 (― CF2— CH2—由来) (=n + n l) から上記の計算式で算出する。
(重合度) =(— 1 12 ppm付近のピーク面積と— 124ppm付近の ピーク面積の合計)/ ((一 112 p pm付近のピーク面積と一 124 p pm 付近のピーク面積の合計) + (-90〜一 96 ppm付近のピーク面積) ) ここで、 (― 90〜― 96 p pm付近のピーク面積) =n 1、 (— 1 1 2 p pm付近のピーク面積と一 124 p pm付近のピーク面積の合計) = n 2。
合成例 1 (CF3 (VdF) nIの合成)
(1-1) CF3 (VdF) 3. XI (n=8. 1) の合成
バルブ、 圧力ゲージ、 温度計を備えた 300ml容のステンレススチー ル製ォ一トクレーブに、 HCFC- 225を 50 g入れ、 ドライアイス/ メタノ一ル溶液で冷却しながら、 ジー n―プロピルパーォキシジカーポネ イト (50重量%メタノール溶液) 0. 78 gを加え、 系内をチッ素ガス で充分置換した。 系内を減圧にした後、 バルブから CF3 Iを 5. 2 g仕 込み、 系を 45 °Cまで昇温の後、 Vd Fを系内圧が 0. 8 MP a Gになる まで仕込み、 系内圧 0. 8MP aG、 系内温度を 45°Cに維持しながら V dFを連続供給し、 9時間反応を行なった。
反応終了後、 系内温度を 25 °Cまで冷却し、 未反応物 (VdFと CF3 I) を放出した後、 析出した反応固形物 (以下、 「VdF重合体」 という ) を取り出し、 デシケ一ター内で恒量になるまで真空乾燥し、 VdF重合
体 13.2 gを得た。
この VdF重合体を 19 F— NMRにより分析し、 VdFの重合度 (n ) を求めたところ、 重合度 (n) は 8. 1であった。 また、 異常結合率は 4. 0%、 Mw/Mnは 1. 06であった。
この VdF重合体について I R分析および粉末 X線回折分析を行なった ところ、 I型結晶構造に特徴的なピークのみが観測され、 全 I型結晶構造 であることを確認した (図 6参照) 。
(1-2) CF3 (VdF) 5. 2 I (n= 5. 2) の合成
バルブ、 圧力ゲージ、 温度計を備えた 30 Oml容のステンレススチ一 ル製オートクレープに、 HCFC— 225を 50 g入れ、 ドライアイス/ メ夕ノール溶液で冷却しながら、 ジー n—プロピルパーォキシジカーボネ イト (50重量%メタノール溶液) 0. 53 gを加え、 系内をチッ素ガス で充分置換した。 系内を減圧にした後 バルブから CF3 Iを 5. 4g仕 込み、 系を 45 °Cまで昇温の後、 1 を系内圧が0. 8 MP a Gになる まで仕込み、 系内圧 0. 8MP aG、 系内温度を 45 に維持しながら V dFを連続供給し、 7. 5時間反応を行なった。
反応終了後、 系内温度を 25 まで冷却し、 未反応物 (VdFと CF3 I) を放出した後、 析出した反応固形物 (VdF重合体) を取り出し、 デ シケ一夕一内で反応固形物を恒量になるまで真空乾燥し、 V d F重合体 1 0.0 gを得た。
この VdF重合体を 19 F—NMRにより分析し、 VdFの重合度 (n ) を求めたところ、 5.2であった。 また、 異常結合率は 4. 3%、 Mw ZMnは 1. 08であった。
この Vd F重合体について I R分析および粉末 X線回折分析を行なった ところ、 I型結晶構造に特徴的なピークのみが観測され、 全 I型結晶構造 であることを確認した。
(1-3) CF3 (VdF) 10. i I (n= 10. 1) の合成
バルブ、 圧力ゲージ、 温度計を備えた 300m 1容のステンレススチー ル製オートクレープに、 HCFC—225を 50 g入れ、 ドライアイス Z メタノール溶液で冷却しながら、 ジー n—プロピルパーォキシジカーポネ イト (50重量%メタノール溶液) 0. 53 gを加え、 系内をチッ素ガス で充分置換した。 系内を減圧にした後、 バルブから CF3 Iを 5. 2 g仕 込み、 系を 45 °Cまで昇温の後、 VdFを系内圧が 0. 8 MP a Gになる まで仕込み、 系内圧 0. 8MP aG、 系内温度を 45°Cに維持しながら V dFを連続供給し、 12時間反応を行なった。
反応終了後、 系内温度を 25 °Cまで冷却し、 未反応物 (VdFと CF3 I) を放出した後、 析出した反応固形物 (VdF重合体) を取り出し、 デ シケ一夕一内で反応固形物を恒量になるまで真空乾燥し、 Vd F重合体 1 3. 4gを得た。
この VdF重合体を 19 F— NMRにより分析し、 VdFの重合度 (n ) を求めたところ、 10. 1であった。 また、 異常結合率は 3. 9%、 M w/M nは 1. 08であつた。
この VdF重合体について I R分析および粉末 X線回折分析を行なつた ところ、 I型結晶構造に特徴的なピークのみが観測され、 全 I型結晶構造 であることを確認した。
(1-4) CF3 (VdF) X1. o I (n=l l. 0) の合成
バルブ、 圧力ゲージ、 温度計を備えた 30 Om 1容のステンレススチ一 ル製オートクレープに、 HCFC— 225を 50 g入れ、 ドライアイス/ メタノール溶液で冷却しながら、 ジー n—プロピルパ一ォキシジカーポネ イト (50重量%メタノール溶液) 0. 38 gを加え、 系内をチッ素ガス で充分置換した。 系内を減圧にした後、 バルブから C F 3 Iを 3 · 5 g仕 込み、 系を 45 °Cまで昇温の後、 VdFを系内圧が 0. 8 MP a Gになる
まで仕込み、 系内圧 0. 8MPaG、 系内温度を 45°Cに維持しながら V dFを連続供給し、 9時間反応を行なった。
反応終了後、 系内温度を 25°Cまで冷却し、 未反応物 (VdFと CF3 I) を放出した後、 析出した反応固形物 (VdF重合体) を取り出し、 デ シケーター内で反応固形物を恒量になるまで真空乾燥し、 重合体ェ 1. 2 gを得た。
この VdF重合体を 19 F— NMRにより分析し、 VdFの重合度 (n ) を求めたところ、 11. 0であった。 また、 異常結合率は 4. 4%、 M w/Mnは 1. 13であった。
この VdF重合体について I R分析を行なったところ、 I型結晶構造に 特徵的なピークと II 型結晶構造に特徴的なピークの両方が観測され、 I 型結晶構造と II 型結晶構造のものが混在していることを確認した。 さら に、 I型結晶構造の含有率 (F(I)) を算出したところ、 85重量%であ つた。
(1-5) CF3 (VdF) 18.4 I (n= 18. 4) の合成
バルブ、 圧力ゲージ、 温度計を備えた 300m 1容のステンレススチー ル製オートクレーブに、 HCFC— 225を 50 g入れ、 ドライアイス/ メタノ—ル溶液で冷却しながら、 ジ— n—プロピルパーォキシジ力一ポネ イト (50重量%メタノール溶液) 0. 16 gを加え、 系内をチッ素ガス で充分置換した。 系内を減圧にした後、 バルブから C F 3 Iを 1. 5 g仕 込み、 系を 45°Cまで昇温の後、 VdFを系内圧が 0. 8MPaGになる まで仕込み、 系内圧 0. 8MP aG、 系内温度を 45°Cに維持しながら V dFを連続供給し、 9時間反応を行なった。
反応終了後、 系内温度を 25°Cまで冷却し、 未反応物 (VdFと CF3 I) を放出した後、 析出した反応固形物 (VdF重合体) を取り出し、 デ シケ一夕一内で反応固形物を恒量になるまで真空乾燥し、 V d F重合体 7
. 9 gを得た。
この VdF重合体を l9F— NMRにより分析し、 VdFの重合度 (n ) を求めたところ、 18. 4であった。 また、 異常結合率は 3. 8%、 M w/Mnは 1. 17であった。
この VdF重合体について I R分析を行なったところ、 I型結晶構造に 特徴的なピークと II 型結晶構造に特徴的なピークの両方が観測され、 I 型結晶構造と II 型結晶構造のものが混在していることを確認した。 さら に、 I型結晶構造の含有率 (F(I)) を算出したところ、 18重量%でぁ つた。
(1-6) CF3 (VdF) 14.6 I (n = 14. 6) の合成
バルブ、 圧力ゲージ、 温度計を備えた 30 Oml容のステンレススチー ル製ォ一トクレーブに、 HCFC— 225を 50 g入れ、 ドライアイス/7 メタノ一ル溶液で冷却しながら、 ジ _ n—プロピルパーォキシジ力一ポネ イト (50重量%メタノール溶液) 0. 27 gを加え、 系内をチッ素ガス で充分置換した。 系内を減圧にした後、 バルブから C F 3 Iを 2. 5 g仕 込み、 系を 45 まで昇温の後、 Vd Fを系内圧が 0. 8 MP aGになる まで仕込み、 系内圧 0. 8MP aG、 系内温度を 45°Cに維持しながら V (IFを連続供給し、 9時間反応を行なった。
反応終了後、 系内温度を 25 °Cまで冷却し、 未反応物 (VdFと CF3 I) を放出した後、 析出した反応固形物 (VdF重合体) を取り出し、 デ シケ一夕一内で反応固形物を恒量になるまで真空乾燥し、 V d F重合体 1 2. 2 gを得た。
この VdF重合体を 19 F— NMRにより分析し、 VdFの重合度 (n ) を求めたところ、 14. 6であった。 また、 異常結合率は 4. 1%、 M wZMnは 1. 14であった。
この VdF重合体について I R分析を行なったところ、 I型結晶構造に
特徴的なピークと II 型結晶構造に特徴的なピークの両方が観測され、 I 型結晶構造と II 型結晶構造のものが混在していることを確認した。 さら に、 I型結晶構造の含有率 (F(I)) を算出したところ、 60重量%であ つた。
(1-7) CF3 (VclF) 3 I (n=3) の合成と分離
バルブ、 圧力ゲージ、 温度計を備えた 3リットル容のステンレススチ一 ル製ォ一トクレーブに、 HCFC- 225を 500 g入れ、 ドライアイス /メタノ一ル溶液で冷却しながら、 ジ— n -プロピルパーォキシジカーボ ネイト (50重量%メタノール溶液) 21 gを加え、 系内をチッ素ガスで 充分置換した。 系内を減圧にした後、 バルブから CF3 Iを 200 g仕込 み、 系を 45 °Cまで昇温の後、 VdFを系内圧が 0. 8 MP a Gになるま で仕込み、 系内圧 0. 8MP aG, 系内温度を 45°Cに維持しながら Vd Fを連続供給し、 3. 5時間反応を行なった。
反応終了後、 系内温度を 25 t:まで冷却し、 未反応物 (VdFと CF3
I) を放出した後、 析出した反応固形物を濾去し、 濾液を減圧下 (5mm Hg) に分留し、 55°Cの留分を 19 F— NMRにより分析し、 55°C留 分の重合度 (n) を求めたところ、 3であった。 n=3の重合体は 25°C で液状であった。
(1-8) CF3 (VdF) 3. l I (n = 8. 1) の I型結晶構造と III型結 晶構造の混合物の合成
上記 (1-1) で合成した CF3 (VdF) s. , I (η = 8. 1) の全 I型 結晶構造の VdF重合体の粉末をシャーレに 3 g入れ、 乾燥機内に静置し、 200°Cで 1時間加熱して粉末を完全に溶融した。 その後乾燥機内から取 り出し、 25。Cで放置することによって 25°Cまで急冷した。
得られた VdF重合体について I R分析を行なったところ、 I型結晶構 造に特徴的なピークと III型結晶構造に特徴的なピークの両方が観測され、
I型結晶構造と III型結晶構造のものが混在していることを確認した。 さ らに、 I型結晶構造の含有率 (F(I)) を算出したところ、 67重量%で あった (図 7参照) 。
合成例 2 (CF3CF2 (VdF) „ Iの合成)
(2—1) CF3CF2 (VdF) 10.9 I (n= 10. 9) の合成
バルブ、 圧力ゲージ、 温度計を備えた 30 Om 1容のステンレススチ一 ル製オートクレープに、 HCFC- 225を 50 g入れ、 ドライアイス Z メ夕ノール溶液で冷却しながら、 ジー n—プロピルパーォキシジカーポネ イト (50重量%メタノール溶液) 0. 08 gを加え、 系内をチッ素ガス で充分置換した。 系内を減圧にした後、 バルブから CF3CF2 Iを 1. 96 g仕込み、 系を 45 まで昇温の後、 VdFを系内圧が 0. 8 MP a Gになるまで仕込み、 系内圧 0. 8MP aG、 系内温度を 45 °Cに維持し ながら V d Fを連続供給し、 9時間反応を行なつた。
反応終了後、 系内温度を 25 まで冷却し、 未反応物 (VdFと CF3 CF2 I) を放出した後、 析出した反応固形物 (VdF重合体) を取り出 し、 デシケ一夕―内で反応固形物を恒量になるまで真空乾燥し、 VdF重 合体 7. 3 gを得た。
この Vd F重合体を 19 F—NMRにより分析し、 VdFの重合度 (n ) を求めたところ、 10. 9であった。 また、 Mw/Mnは 1. 10であ つた。
この VdF重合体について I R分析を行なったところ、 II 型結晶構造 に特徴的なピークと III型結晶構造に特徴的なピークの両方が観測され、 II 型結晶構造と III 型結晶構造のものが混在していることを確認した。 さらに、 III 型結晶構造の含有率 (F(III)) を算出したところ、 57重 量%であった (図 8参照) 。
合成例 3 (I (VdF) nC F8 (VdF) m Iの合成)
(3-1) I (VdF) n (CF2CF2) 2 (VdF) mI (n+m=8, 7 ) の合成
バルブ、 圧力ゲージ、 温度計を備えた 300ml容のステンレススチー ル製オートクレープに、 HCFC- 225を 50 g入れ、 ドライアイスノ メ夕ノール溶液で冷却しながら、 ジー n—プロピルパーォキシジ力一ポネ イト (50重量%メタノール溶液) 0. 27 gを加え、 系内をチッ素ガス で充分置換した。 系内を減圧にした後、 バルブから I (CF2CF2) 2 I を 1. 96 g仕込み、 系を 45 °Cまで昇温の後、 Vd Fを系内圧が 0. 8 MP a Gになるまで仕込み、 系内圧 0. 8MP aGゝ 系内温度を 45 に 維持しながら V d Fを連続供給し、 9時間反応を行なった。
反応終了後、 系内温度を 25でまで冷却し、 未反応物 (VdFと I (C F2CF2) 2 I) を放出した後、 析出した反応固形物 (VdF重合体) を 濾取し、 HCFC— 225で洗浄した後 デシケ一夕一内で反応固形物を 恒量になるまで真空乾燥し、 V d F重合体 8. 8 gを得た。
この Vd F重合体を 19 F— NMRにより分析し., VdFの重合度 (n +m) を求めたところ、 8. 7であった。 また、 MwZMnは 1. 03で あつ/こ。
この VdF重合体について I R分析を行なったところ、 I型結晶構造に 特徴的なピークと II 型結晶構造に特徴的なピークの両方が観測され、 I 型結晶構造と II 型結晶構造のものが混在していることを確認した。 さら に、 I型結晶構造の含有率 (F(I)) を算出したところ、 79重量%であ つた (図 9参照) 。
(3-2) I (VdF)n (CF2CF2)2 (Vd F)mI (n+m= 10. 4) の合成
バルブ、 圧力ゲージ、 温度計を備えた 300m 1容のステンレススチー ル製オートクレーブに、 HCFC- 225を 50 g入れ、 ドライアイス/
メタノール溶液で冷却しながら、 ジー n—プロピルパーォキシジ力一ポネ イト (50重量%メタノール溶液) 0. 162 gを加え、 系内をチッ素ガ スで充分置換した。 系内を減圧にした後、 バルブから I (CF2CF2) 2 Iを 3. 5 g仕込み、 系を 45 °Cまで昇温の後、 VdFを系内圧が 0. 8 MP a Gになるまで仕込み、 系内圧 0. 8MP aG、 系内温度を 45 に 維持しながら V d Fを連続供給し、 9時間反応を行なった。
反応終了後、 系内温度を 25 °Cまで冷却し、 未反応物 (VdFと I (C F2CF2) 2 I) を放出した後、 析出した反応固形物 (VdF重合体) を 濾取し、 HCFC- 225で洗浄した後、 デシケーター内で反応固形物を 恒量になるまで真空乾燥し、 VdF重合体 7. 2 gを得た。
この VdF重合体を 19 F— NMRにより分析し、 VdFの重合度 (n + m) を求めたところ、 10. 4であった。 また、 Mw/'M nは 1. 04 であった。
この VdF重合体について I R分析を行なったところ、 I型結晶構造に 特徴的なピークと II 型結晶構造に特徴的なピークの両方が観測され、 I 型結晶構造と II 型結晶構造のものが混在していることを確認した。 さら に、 I型結晶構造の含有率 (F(D) を箅出したところ、 70重量%であ つた。
合成例 4
(4-1) CF3 (VdF) nC2H4 I (n=8. 1) の合成
バルブ、 圧力ゲージ、 温度計を備えた 300ml容のステンレススチー ル製オートクレーブに、 系内温度は 25°Cのまま、 合成例(1-1)で合成し たフッ化ビニリデンオリゴマー (n=8.1) を 3 g、 酢酸ェチルを 30 g、 A I BNを0. 034 g加え、 系内をチッ素ガスで充分置換した。 系 内を減圧にし、 65°Cまで昇温の後、 エチレンガスを系内圧が 0. 7MP aGになるまで仕込み、 系内圧 0. 7MP aG、 系内温度 65°Cを維持し
ながら、 ェチレンガスを連続供給し 5時間反応を行つた。
反応終了後、 系内温度を 25 °Cまで冷却し、 未反応物のエチレンガスを 放出した後、 系中の酢酸ェチル溶液をへキサン中に投入し、 析出した反応 固形物 (以下、 「フッ化ピニリデンオリゴマーエチレン付加体」 という) をろ過により取り出した。 デシケ一夕一内でフッ化ビニリデンオリゴマー エチレン付加体を恒量になるまで真空乾燥し、 2. 7 gを得た。
このフッ化ビニリデンオリゴマ一エチレン付加体は、 1 H— NMRおよ び 19 F— NMRにより分析したところ、 -CF2 I末端由来の— 38 p p m付近のピークの消失が確認され、 付加したエチレン由来のピークが 3. 4〜3. 2 ppmと 2. 8〜2. 6 p pmに〖 H— NMRより観測された。 このとき1 H— NMRより求められた末端変性率は 95 %であった。
また、 I R分析および粉末 X線回折分析を行なったところ、 I型結晶構 造に特徴的なピークのみが観測され、 全 I型結晶構造であることが確認さ れた。
(4-2) CF3 (VdF) nC2H5 (n=8. 1) の合成
環流冷却器、 温度計、 撹拌装置、 滴下漏斗を備えた 5 Oml四ッロフラ スコに、 酢酸 30 m 1、 合成例(4-1)で合成されたフッ化ピニリデンオリ ゴマ一エチレン付加体: C F 3 (VdF) nC2H4 I (n= 8. 1) を 0 . 5 g、 亜鉛粉末を 0. 53 g仕込み加熱還流を 4時間行った。
反応終了後、 系内温度を 25°Cまで冷却し、 亜鉛粉末をろ過により除い た後、 反応物の酢酸溶液を純水中に投入し、 反応固形物を再沈殿すること により取り出した。 デシケ一ター内で反応固形物を恒量になるまで真空乾 燥し、 0. 32 gを得た。
反応固形物は、 'H— NMRにより分析したところ、 付加したエチレン 由来の 3. 4〜3. 2 ppmと 2. 8〜2. 6 p pmのピークが消失し、 末端メチル基由来のピークが 1. 1〜0. 8 ppmに観測され、 フッ化ビ
二リデンオリゴマーエチレン付加体の末端ヨウ素がプロトン化されている ことが確認された。 このとき1 H— NMRより求められた末端変性率は 9 6%であった。
また、 I R分析および粉末 X線回折分析を行なったところ、 I型結晶構 造に特徴的なピークのみが観測され、 全 I型結晶構造であることが確認さ れた。
実施例 1 (全 I型結晶構造の Vd F重合体の薄膜のスピンコート法での製 造)
アルミニウム電極上に合成例 1の (卜 3) で合成した全 I型結晶構造の CF3 (VdF) 1Q. 丄 I重合体をアセトンに溶解させて 3重量%のァセト ン溶液とし、 スピンコート法により回転速度 2000 r pmで薄膜を形成 し、 ついでデシケ一夕一内で溶媒を留去して膜厚 200 nmの全 I型結晶 構造の V d F重合体薄膜を形成した。
スピンコートは、 つぎの条件と装置で行なった。
塗布条件
回転数: 2000 r pm ミカサ (株) 製の MIKASA SPINCOATER 1H-D7
実施例 2 (全 I型結晶構造の V d F重合体の薄膜の真空蒸着法での製造) 合成例 1の (1-3) で合成した全 I型結晶構造の C F 3 (VdF) 10. ! I重合体の粉末を用い、 アルミニウム電極上に真空蒸着法により膜厚 20 0 nmの全 I型結晶構造の Vd F重合体薄膜を形成した。
真空蒸着は、 つぎの条件と装置で行なった。 基板温度: 25
城南工業 (株) 製の有機薄膜形成装置
実施例 3 (V d F重合体の強誘電薄膜の製造)
実施例 1および 2でそれぞれ製造したアルミニウム電極上に形成された 全 I型結晶構造の V d F重合体薄膜に、 第 2電極としてアルミ二ゥムを常 法により真空蒸着した。
得られた各積層体につぎの条件で分極処理を施した。
薄膜温度: 2 5 °C
印加電圧: 2 0 O MV/m
処理時間: 3 0分間
分極処理された全 I型結晶構造の V d F重合体薄膜について電気特性を 調べたところ、 得られた D— Eヒステリシス曲線は強誘電材料に典型的な 矩形状であった。 産業上の利用可能性
本発明によれば、 比較的簡便な方法 (被覆条件、 手法など) で、 種々の 基材に適用可能な I型結晶構造のフッ化ビニリデン単独重合体の薄膜の形 成方法を提供することができる。
また本発明によれば、 I型結晶構造のフッ化ビニリデン単独重合体を純 度良く、 さらに効率良く製造する方法を提供することができる。
さらに本発明によれば、 強誘電性に優れた薄膜を与え得る新規なフッ化 ビニリデン単独重合体を提供することができる。