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明 細 書
金属アルコキシド加水分解生成物 技術分野:
本発明は、 有機溶媒中、 酸、 塩基、 及び または分散安定化剤の非存在下、 凝 集せずに安定に分散する性質を有する金属アルコキシド加水分解生成物に関する。 背景技術:
透明で均質な金属酸化物ゾルの製造方法として、 例えば、 1種若しくは 2種以 上の金属アルコキシドを加水分解および重合させて金属酸化物前駆体ゾルを製造 する方法において、 前記金属アルコキシドへの水の添加を一 2 0 °C以下の温度で 行うことを特徴とする金属酸化物前駆体ゾルの製造方法が知られている。 (特開 平 1 0— 2 9 8 7 6 9号公報を参照)
また、 テ卜ラアルコキシチタンを 1 . 0倍モル以上 1 . 7倍モル以下の水を用 いて 2 0〜9 0 °Cの温度で加水分解した有機溶剤溶解性の高分子量のラダー状ポ リチタノキサンの製造方法が知られている。 該髙分子量のラダー状ポリチ夕ノキ サンは、 従来の鎖状ポリチタノキサンではゲル化して有機溶剤に不溶となる高分 子量体においても有機溶剤に溶解し、 緻密な薄膜を提供するとしている。 (特開 平 1一 1 2 9 0 3 2号公報を参照)
また、 水を加えて加熱して一部を加水分解した金属塩 1モルに対して 0 . 1〜 2 . 0モルの水を含有するアルコール溶液を加え、 加熱して金属塩を加水分解し て金属水酸化物とし、 かつ脱水縮合した後、 濃縮して金属酸化物前駆体溶液の製 造方法が知られている。 該金属酸化物前駆体溶液は、 錯体を形成して保存安定性 に優れ、 クラックの無ない均質な金属薄膜を提供するとしている。 (特開 2 0 0 1 - 3 4 2 0 1 8号公報を参照)
発明の開示:
上記したいずれの方法において得られた金属酸化物ゾルを用いた金属薄膜にお いても、 尚、 膜の緻密性、 及び平滑性を満足するには不十分であるという問題が あった。
本発明は、 緻密性、 及び平滑性を十分に満足し得る膜を得るために使用される
その構造をスぺクトル的に明らかにした金属アルコキシド加水分解生成物からな る金属酸化物ゾルを提供することを目的とする。
本発明者らは、 上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、 金属アルコキシドに 対して、 水の混合温度、 混合量、 及び、 混合方法を工夫することにより、 有機溶 媒中に、 酸、 塩基、 及び分散安定化剤が存在しなくても安定に分散しうる金属酸 化物ゾルを見出し、 さらに、 その粒子の各種スペクトル測定したところ、 従来に ない特徴を有することを見出し、 本発明を完成するに至つた。
すなわち、 本発明は、
(1) 金属アルコキシドを加水分解して得られる生成物であって、 加水分解に用 いられた水中の該生成物に取り込まれた酸素原子の 70原子%以上が、 酸素 原子であることを特徴とする金属アルコキシド加水分解生成物に関し、
(2) 金属アルコキシドを加水分解して得られる生成物であって、 加水分解に用 いられた水中の該生成物に取り込まれた酸素原子の 80原子%以上が、 23酸素 原子であることを特徴とする金属アルコキシド加水分解生成物に関し、
(3) 加水分解に用いられた水中の該生成物に取り込まれた酸素原子の 30原 子%以下が、 2酸素原子であることを特徴とする (1) に記載の金属アルコキ シド加水分解生成物、
( 4 ) 加水分解に用いられた水中の該生成物に取り込まれた酸素原子の 20原 子%以下が、 //2酸素原子であることを特徴とする (2) に記載の金属アルコキ シド加水分解生成物、
(5) 加水分解に用いられた水中の該生成物に取り込まれた酸素原子の 1 0原 子%以下が、 4酸素原子であることを特徴とする (1) 〜 (4) のいずれかに 記載の金属アルコキシド加水分解生成物、
(6) 加水分解に用いられた水中の該生成物に取り込まれた酸素原子の 5原子% 以下が、 //4酸素原子であることを特徴とする (1) 〜 (4) のいずれかに記載 の金属アルコキシド加水分解生成物、
(7) 金属アルコキシドが、 式 (I)
M (OR) η · · · (I)
(式中、 Mは、 金属原子を表し、 Rは、 C 1〜( 10アルキル基を表し、 nは原
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子価を表す。) で表される化合物であることを特徴とする (1) 〜 (6) のいず れかに記載の金属アルコキシド加水分解生成物に関する。
(8) 式 (I)
M (OR) η · · · (I)
(式中、 Mは、 金属原子を表し、 Rは、 C 1〜(: 10アルキル基を表し、 nは原 子価を表す。) で表される金属アルコキシドを加水分解して得られる生成物であ つて、 生成物中に前記 Rで表される官能基を有し、 該官能基中の水素原子のプロ トン核磁気共鳴スぺクトルにおけるテトラメチルシランを 0 p pmの標準とした ケミカルシフト値が、 式 ( I) で表される金属アルコキシドにおける R中の水素 原子の該ケミカルシフト値より低磁場にシフトした該ケミカルシフト値である水 素原子を有することを特徴とする金属アルコキシド加水分解生成物に関し、
(9) 式 (I)
M (OR) η · · · ( I)
(式中、 Mは、 金属原子を表し、 Rは、 C 1〜C 10アルキル基を表し、 nは原 子価を表す。) で表される金属アルコキシドを加水分解して得られる生成物であ つて、 生成物中に前記 ORで表される官能基を有し、 該官能基中の酸素原子の α 位の炭素原子の力一ボン 13核磁気共鳴スぺクトルにおけるテトラメチルシラン を 0 p pmの標準としたケミカルシフト値が、 式 (I) で表される金属アルコキ シドにおける R中の酸素原子のひ位の該ケミカルシフト値より低磁場にシフトし た該ケミカルシフト値である炭素原子を有し、 該官能基中の酸素原子の /3位の炭 素原子の該ケミカルシフ卜値が、 式 ( I ) で表される金属アルコキシドにおける R中の酸素原子の 位の該ケミカルシフト値より高磁場にシフ卜した該ケミカル シフト値を有する炭素原子を有することを特徴とする金属アルコキシド加水分解 生成物に関し、
(10) 緩和時間 (Ί\) の異なる 2種類の炭素原子を有することを特徴とする (9) に記載の金属アルコキシド加水分解生成物、
(1 1) 低磁場にシフトした該ケミカルシフト値である炭素原子の緩和時間 (Τ χ) が、 低磁場にシフトした該ケミカルシフト値よりも高磁場側のケミカルシフ ト領域の該ケミカルシフト値である炭素原子の緩和時間 (Τ\) よりも短いこと
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を特徴とする (9) または (10) に記載の金属アルコキシド加水分解生成物、
(12) 高磁場にシフトした該ケミカルシフト値である炭素原子の緩和時間 (T ,) が、 高磁場にシフトした該ケミカルシフト値よりも低磁場側のケミカルシフ ト領域の該ケミカルシフト値である炭素原子の緩和時間 (1\) よりも短いこと を特徴とする (9) 〜 (1 1) のいずれかに記載の金属アルコキシド加水分解生 成物、
(13) 金属アルコキシド加水分解生成物が、 有機溶媒中、 酸、 塩基、 及び ま たは分散安定化剤の非存在下、 凝集せずに安定に分散している性質を有すること を特徴とする (1) 〜 (12) のいずれかに記載の金属アルコキシド加水分解生 成物、
(14) 金属アルコキシドが、 金属テトライソプロボキシドであり、 図 1及び図 2に示す核磁気共鳴スぺクトルを有することを特徵とする (1) 〜 ( 13) のい ずれかに記載の金属アルコキシド加水分解生成物に関する。
本発明のスぺクトル的構造上の特徴を有する金属アルコキシド加水分解生成物 は、 有機溶媒中、 酸、 塩基、 及び/または分散安定化剤の非存在下、 凝集せずに 安定に分散し得る性質を有している。
凝集せずに安定に分散している状態とは、 有機溶媒中、 金属アルコキシド加水 分解生成物が、 凝結して不均質に分離していない状態を表し、 好ましくは透明で 均質な状態を表す。 この場合、 透明とは、 可視光における透過率が高い状態をい い、 具体的には、 分散質の濃度を酸化物換算で 0. 5重量%とし、 石英セルの光 路長を l cmとし、 対象試料を有機溶媒とし、 光の波長を 550 nmとする条件 で測定した分光透過率で表して好ましくは 80〜100%の透過率を表す状態を いう。 また、 金属アルコキシドの平均粒子径は、 1〜 50 nmの範囲が好ましく、 さらに、 1〜20 nmの範囲が好ましく、 さらに粒径分布が 0〜 50 n m範囲で 単分散であるのが好ましい。
ここでいう有機溶媒とは、 有機溶媒は、 有機物質で分散質を分散できるもので あれば特に限定されず、 具体的には、 メタノール、 エタノール、 イソプロピルァ ルコール等のアルコール系溶媒、 塩化メチレン、 クロ口ホルム等の塩素系溶媒、 へキサン、 シクロへキサン、 ベンゼン、 トルエン、 キシレン、 クロ口ベンゼン等
の炭化水素系溶媒、 テトラヒドロフラン、 ジェチルエーテル、 ジォキサン等のェ 一テル系溶媒、 アセトン、 メチルェチルケトン、 メチルイソプチルケトン等のケ トン系溶媒、 ジメチルホルムアミド、 ジメチルスルホキシド、 N—メチルピロリ ドン等の非プロトン性極性溶媒、 また特開平 9一 2 0 8 4 3 8号公報に記載され ている二酸化チタン分散体の分散媒に用いられているメチルポリシロキサン、 ォ チルフエニルポリシロキサン等のシリコーン等を例示することができ、 後述する ように、 水を用いた加水分解反応を低温で行うためには、 水の溶解度が大きく、 低温で凝固しない溶媒が好ましく、 具体的には低級アルコール系溶媒、 エーテル 系溶媒等を好ましく例示することができる。 また、 これらの溶媒は 1種単独で、 または 2種以上を混合して用いることができる。
この場合の酸または塩基は、 凝結してできた沈殿を再び分散させる解膠剤とし て、 また、 金属アルコキシド等を加水分解、 脱水縮合させてコロイド粒子等の分 散質を製造するための触媒として、 及び生成した分散質の分散剤として機能する ものであれば特に制限されず、 酸として具体的には、 塩酸、 硝酸、 ホウ酸、 ホウ フッ化水素酸等の鉱酸、 酢酸、 ギ酸、 シユウ酸、 炭酸、 トリフルォロ酢酸、 P— トルエンスルホン酸、 メタンスルホン酸等の有機酸等を例示することができ、 さ らには、 光照射によって酸を発生する光酸発生剤、 具体的には、 ジフエ二ルョー ドニゥムへキサフルォロホスフェート、 トリフエニルホスホニゥムへキサフルォ 口ホスフェート等を例示することができる。 また、 塩基として、 トリエタノール ァミン、 トリェチルァミン、 1 , 8—ジァザピシクロ [ 5 , 4 , 0 ] — 7—ゥン デセン、 アンモニア、 ジメチルホルムアミド、 ホスフィン等を例示することがで きる。
また、 この場合の分散安定化剤とは、 分散質を分散媒中になるべく安定に分散 させるために添加させる成分をいい、 解膠剤、 保護コロイド、 界面活性剤等の凝 結防止剤等を示す。 このような作用を有する化合物として、 具体的には、 キレー ト性の化合物を例示することができ、 分子骨格中に少なくとも 1個のカルポキシ ル基が含まれており、 金属に対して強いキレート効果を有するものが好ましく、 このような化合物として、 グリコール酸、 ダルコン酸、 乳酸、 酒石酸、 クェン酸、
リンゴ酸、 コハク酸等の多価カルボン酸、 またはヒドロキシカルボン酸等を例示 することができ、 さらに、 ピロ燐酸、 トリポリ燐酸等を例示することができる。 また、 同じく金属原子に対して強いキレート能力を有する多座配位子化合物とし て、 ァセチルアセトン、 ァセト酢酸メチル、 ァセ卜酢酸ェチル、 ァセ卜酢酸一 n 一プロピル、 ァセト酢酸一 i一プロピル、 ァセト酢酸一 n—プチル、 ァセ卜酢酸 — s e c—プチル、 ァセト酢酸— t一プチル、 2, 4—へキサンージオン、 2, 4—ヘプタン一ジオン、 3 , 5一ヘプタン一ジオン、 2, 4一オクタン一ジオン、
2, 4—ノナンージオン、 5—メチルーへキサンージオン等を例示することがで きる。 また、 その他、 脂肪族ァミン系、 ハイドロステアリン酸系、 ポリエステル ァミンとして、 スルパース 3000、 9000、 1 7000、 20000、 24 000 (以上、 ゼネカ社製)、 D i s p e r b y k— 1 6 1、 — 162、 ― 1 6
3、 - 164 (以上、 ビックケミ一社製) 等を例示することができ、 特開平 9— 208438号公報、 特開平 2000- 5342 1号公報等に記載されているジ メチルポリシロキサン ·メチル (ポリシロキシアルキレン) シロキサン共重合体、 トリメチルシロキシケィ酸、 カルポキシ変性シリコーンオイル、 ァミン変性シリ コーン等のシリコーン化合物等を例示することができる。
本発明におけるスぺクトル的構造上の特徴を有する金属アルコキシド加水分解 生成物の製造方法として、 具体的には、 金属アルコキシドを含む溶液に、 金属ァ ルコキシドに対して 1 Z 2倍モル以上 2倍モル未満の水を複数回に分割して添加 する工程を有し、複数回に分割して添加する工程のうち少なくとも一つの工程が、 金属アルコキシドのモル数に対して 1 / 2倍モル以上 1倍モル未満の水を添加す る工程である製造方法等を例示することができる。
上記方法に用いられる金属アルコキシドとして、 具体的には、 式 ( I ) で表さ れる化合物を好ましく例示することができる。 式 ( I ) 中、 Mは.. 金属原子を表 し本発明に用いられる金属原子として具体的には、 周期律表の第 2周期から第 6 周期までのアルカリ金属元素、 アルカリ土類金属元素および第 3 B族元素、 周期 律表の第 3周期から第 6周期までの第 4 B族元素および第 5 B族元素、 遷移金属 元素、 ならびにラン夕ノィド元素からなる群より選ばれた元素の 1種または 2種 以上の金属の組合せを例示することができ、 チタン、 ジルコニウム、 アルミニゥ
ム、 ケィ素、 ゲルマニウム、 インジウム、 スズ、 タンタル、 亜鉛、 タングステン、 鉛からなる群から選ばれる 1種を特に好ましく例示することができる。
式 (I ) 中、 Rは、 C 1〜C 1 0アルキル基を表し、 具体的には、 メチル基、 ェチル基、 n—プロピル基、 イソプロピル基、 n—プチル基、 イソブチル基、 s 一プチル基、 t—プチル基、 n—ペンチル基、 ネオペンチル基、 n—へキシル基、 n—ヘプチル基、 n—ォクチル基、 n—ノニル基、 n _デカニル基等を例示する ことができる。
本発明に用いられる金属アルコキシドとして具体的には、 メチルトリメトキシ シラン、 メチルトリエトキシシラン、 ェチルトリメトキシシラン、 ェチルトリエ トキシシラン、 プロピルトリメトキシシラン、 プロピルトリエトキシシラン、 テ トラメトキシシラン、 テ卜ラエトキシシラン、 テ卜ラプロボキシシラン、 ゲルマ ニゥムテトラメトキシド、 ゲルマニウムテトラエトキシド、 チタンテトラプロボ キシド、 チタンテトラブトキシド、 ジルコニウムテトラプロポキシド、 ジルコ二 ゥムテトラブ卜キシド、 アルミニウムトリェ卜キシド、 アルミニウムトリプロボ キシド、 アルミニウムトリプトキシド、 テトラクロロシラン、 テトラブロモシラ ン、 ジメチルジクロロシラン、 テトラキス (ジェチルァミノ) シラン、 4一アミ ノブチルトリエトキシシラン、 3—ァミノプロピル卜リエトキシシラン、 3—ァ ミノプロビルトリメトキシシラン、 ベンジルトリクロロシラン、 ベンジルトリエ トキシシラン、 t —ブチルフエニルジクロロシラン、 2—クロ口ェチルトリエト キシシラン、 3—クロ口プロピルトリクロロシラン、 8—プロモォクチルトリク ロロシラン、 3—ブロモプロピルトリクロロシラン、 (3 , 3, 3—トリフルォ 口プロピル) ジクロロシラン、 ( 3, 3 , 3—卜リフルォロプロピル) トリクロ ロシラン、 クロロメチルトリクロロシラン、 β一 ( 3 , 4—エポキシシクロへキ シル) ェチル卜リメトキシシラン、 ( 3—グリシドキシプロピル) メチルジェ卜 キシシラン、 3—グリシドキシプロビルトリメトキシシラン、 ァリルトリクロ口 シラン、 ァリルトリエトキシシラン、 ピニルメチルジァセトキシシラン、 ピニル メチルビス (メチルェチルケトキシミン) シラン、 3—メタクリロキシプロピル 卜リメトキシシラン、 3—メタクリロキシプロビルトリメトキシシラン、 3—ァ クリロキシプロピルトリクロロシラン、 3—ァクリロキシプロピルトリメトキシ
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シラン等を例示することができ、 特にテトラメトキシシラン、 テトラエトキシシ ラン、 チタンテトライソプロポキシド、 チタンテトラブトキシド、 ジルコニウム テトライソプロポキシド、 ジルコニウムテトラブトキシド等を好ましく例示する ことができる。
これらの金属アルコキシドは、 単独であるいは 2種以上組み合わせて使用する ことができる。
本発明のスぺクトル的構造上の特徴を有する金属アルコキシド加水分解生成物 の製造方法は、 上記記載した工程を実施するにあたり、 さらに以下の (1 ) から ( 3 ) の少なくともいずれか一つの条件の下に実施するのが好ましい。
( 1 ) 水を混合する工程の少なくとも一つの工程の温度が、 金属アルコキシドの 加水分解開始温度以下であること、
( 2 ) 水を添加する工程の後、 金属アルコキシドの加水分解開始温度以上に昇温 すること、
( 3 ) 金属アルコキシドのモル数に対して、 1 Z 2倍モル以上 1倍モル未満の水 を添加する工程の後、 残りの必要量の水を金属アルコキシドの加水分解開始温度 以下の温度で添加すること。
これらの条件を加えることにより、 より安定的に、 有機溶媒中で凝集せずに安 定に分散可能な金属アルコキシド加水分解生成物を得ることができる。
また、 金属アルコキシドを含む溶液と水の混合方法は特に、 限定されず、 金属 アルコキシド溶液に、 水を添加しても、 水を含む溶液に、 金属アルコキシドを添 加してもよいが、 水を後から添加するのが好ましい。
混合する水としては、 一般水道水、 蒸溜水、 イオン交換水などを用いることが できる。 これらのうち、 蒸溜水またはイオン交換水が好ましく、 特に電気電導 度が 2 a s Z c m以下のイオン交換水が好ましい。
また、 上記水は、 有機溶媒により希釈して用いるのが好ましい。 そのような有 機溶媒としては、 金属アルコキシドが水と反応して加水分解しない温度以下の凝 固点を有するもの、 すなわち凝固点が 0 °C以下、 特に一 1 0 °C以下のものが好ま しい。 このような有機溶媒としては、 金属アルコキシドとの反応性を有しない ものが好ましく、 具体的にはアルコール類、 脂肪族炭化水素類、 芳香族炭化水素
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類、 ハロゲン化炭化水素類、 ケ卜ン類、 エステル類、 エーテル類、 ケ卜ンエーテ ル類、 ケトンエステル類、 エステルエーテル類等を例示することができる。 こ れらの有機溶媒のさらに詳細な具体例としては、 メタノール、 エタノール、 プロ パノール、 ブタノール、 ペン夕ノール、 へキサノール、 ヘプ夕ノール、 ォクタノ ール、 ノナノール、 ベンジルアルコール、 メチルシクロへキサノール、 エタンジ オール、 プロパンジオール、 ブタンジオール、 ペンタンジオール、 へキシレング リコール、 ォクチレンダリコール、 へキサントリオール、 3, 5 , 5—トリメチ ルー 1一へキサノール、 ギ酸プチル、 ギ酸ペンチル、 酢酸メチル、 酢酸ェチル、 酢酸プロピル、 酢酸プチル、 酢酸ペンチル、 酢酸へキシル、 酢酸ベンジル、 3— メトキシプチルァセテー卜、 2一ェチルブチルアセテート、 2一ェチルへキシル アセテート、 プロピオン酸メチル、 プロピオン酸ェチル、 プロピオン酸プチル、 プロピオン酸ペンチル、 ジメチルケトン、 メチルェチルケトン、 ペンタノン、 へ キサノン、 メチルイソプチルケトン、 ヘプ夕ノン、 ジィソブチルケトン、 ァセト 二トリル、 ジェチルェ一テル、 ジプロピルエーテル、 ジイソプロピルエーテル、 ジブチルエーテル、 ジへキシルエーテル、 ァニソール、 テトラヒドロフラン、 テ トラヒドロピラン、 ジメトキシェタン、 ジエトキシェタン、 ジブトキシェタン、 ジエチレングリコールジメチルェ一テル、 ジエチレングリコ一ルジェチルェ一テ ル、 ジエチレングリコールジブチルエーテル、 メチラール、 ァセタール、 ペン夕 ン、 へキサン、 ヘプタン、 オクタン、 ノナン、 デカン、 ドデカン、 トルエン、 キ シレン、 ェチルベンゼン、 クメン、 ミシチレン、 テトラリン、 ブチルベンゼン、 シメン、 ジェチルベンゼン、 ペンチルベンゼン、 ジペンチルベンゼン、 シクロべ ンタン、 シクロへキサン、 メチルシクロへキサン、 ェチルシクロへキサン、 デカ リン、 クロロメタン、 ジクロロメタン、 トリクロロメタン、 テトラクロロメタン、 クロロェタン、 ジクロロエタン、 卜リクロロェタン、 テ卜ラクロロェタン、 ペン 夕クロロェタン、 クロ口プロパン、 ジクロロプロパン、 トリクロ口プロパン、 ク ロロブタン、 クロ口ペンタン、 クロ口ベンゼン、 ジクロロベンゼン、 クロ口トル ェン、 ブロモメタン、 プロモェタン、 ブロモプロパン、 プロモベンゼン、 クロ口 ブロモメタンなどを挙げることができる。 これらのうち、 アルコール類、 エステ ル類および炭化水素類が好ましく、 特に、 イソプロパノール、 ブタノール、 ペン
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夕ノール、 へキサノール、 トリメチルへキサノール、 酢酸ェチル、 酢酸プロピル、 酢酸プチル、 ペンタン、 へキサン、 キシレンなどが好ましい。 また、 前記有機溶 媒は、 単独でまたは 2種以上組み合わせて使用することができる。 水と有機溶媒 とが均一に溶解混合する場合には、 そのまま使用することができる。 また、 水 と有機溶媒とが均一に混合しない場合には、 撹拌処理、 超音波処理などの方法で 均一に分散して使用することができる。 希釈する有機溶媒の使用量は、 水 1重量 部に対し、 2〜 1 0 0重量部の範囲が好ましい。
使用する水の量は、 該金属化合物のモル数に対して、 1 2倍モル以上、 2倍 モル未満の範囲であるのが好ましい。 1 / 2倍モル未満では、 加水分解及び縮重 合が均一に進行せず、 式 ( I ) 等で表される金属化合物が未反応のまま残る場合 があり、 均質で稠密な膜を形成できない。
また、 2倍モル以上では、 加水分解及び縮重合過程において、 ゲル化または粒 子の凝集がおこり、 やはり、 均質で稠密な膜を形成することができない。
また、 加水分解開始温度とは、 金属アルコキシドと水が接触した際に、 加水分 解が進行する最下限温度である。 具体的には、 特開平 1一 2 3 0 4 0 7号公報に 記載されている加水分解開始温度を例示することができる。 加水分解開始温度以 下の温度は、 溶液が凝固しない範囲の温度であれば、 特に限定されないが、 特に - 5 0〜― 1 0 0 °Cの範囲の温度であることが好ましい。 加水分解開始温度以下 で水と混合した後、 加水分解開始温度以上に昇温して反応を行うのが好ましく、 場合によって、 溶媒還流温度まで、 昇温して反応を行うのが好ましい。
金属アルコキシドの上記条件下における加水分解及び縮重合の過程は、 有機溶 媒中で行うのが好ましく、 そのような有機溶媒として、 水と混合して用いる有 機溶媒と同様のものを具体的に例示することができ、 特に、 ベンゼン、 トルエン 等の炭化水素系溶媒、 テトラヒドロフラン、 ジェチルエーテル等のエーテル系溶 媒を好ましく例示することができる。
有機溶媒の使用量は、 金属アルコキシド 1 0 0重量部に対し、 1 0〜1 0 , 0 0 0重量部、 好ましくは 1 0 0〜3, 0 0 0重量部であり、 1 0重量部未満では 生成する微粒子が結合した状態で成長し、 粒径制御が困難になる場合があり、 一 方 1 0, 0 0 0重量部を超えると溶液が希薄すぎて、 微粒子の生成が困難な場合
がある。
また、 前記した酸、 塩基、 および Zまたは分散安定化剤の非存在下に行うのが 好ましい。 これらの化合物は、 反応後、 除去するのが困難の場合が多く、 後のェ 程において、 障害となる場合があるからである。
以上のような方法で得られた金属アルコキシド加水分解物は、 用いた有機溶媒 中において、 酸、 塩基、 または分散安定化剤等を用いることなく、 凝集せずに、 溶解もしくは均一に分散しており、 透明な溶液を形成している。 膜を成形する場 合には、 この溶液をそのまま用いることもできるし、 適当な溶媒で希釈して、 ま た溶媒を留去した後別の溶媒に再溶解して用いることができる。 この結果、 この 分散液を用いると、 有機物含有量の少ないゲル膜、 ゲルファイバー、 バルクゲル などが得られ、加熱処理などによりそれらのゲルから有機物を脱離させたときに、 得られた成形体における微細組織の破壊や残留気孔量を低減させることができる。 以上のようにして得られた金属アルコキシド加水分解生成物についてその各種 スペクトルを測定したところ、 従来にない特徴を有することを見出した。 その詳 細については、 実施例に記載する。
図面の簡単な説明:
図 1は、 実施例 1で調整されたチタンアルコキサイド加水分解生成物の
M Rのスぺクトル図を表す。
図 2は、 実施例 1で調整されたチタンアルコキサイド加水分解生成物の 13 C N M Rのスぺクトル図を表す。
図 3は、 実施例 1で調整されたチタンアルコキサイド加水分解生成物の緩和時 間を変更させた 13 C NM Rのスぺクトル図を表す。
図 4は、 実施例 2で調整されたチタンアルコキサイド加水分解生成物の 17O N M Rのスぺクトル図を表す。
発明を実施するための最良の形態:
以下実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、 本発明は実施例に限定 されるものではない。
実施例 1
チタンテトライソプロボキシド (日本曹達 (株)製 A— 1 :純度 9 9 . 9 %、 酸
化チタン換算濃度 28重量%) 5 30 g (1. 86mo 1 ) を 4つ口フラスコ中 で、 トルエン 1 9 60g に溶解し、 窒素ガス置換した後に、 ドライアイスを加え たメタノール浴 (約一 1 5°C) で冷却した。 別に調整したイソプロパノール 27 4 gで希釈したイオン交換水 30 · 4 g (H20/T i = 0. 9 mo I /mo I ) の混合溶液を撹拌しながら 90分間で滴下した。 滴下中のフラスコの液温を— 1 5〜一 1 0°Cに保持した。 滴下終了後、 一 1 0°Cに 30分間保持し、 更に室温ま で昇温して 1時間撹拌を継続して無色透明の液体を得た。 次にドライアイスを加 えたメタノール浴で約一 80°Cに冷却して、 イソプロパノール 1 83 gで希釈し たイオン交換水 20. 3 g (H20/T i = 0. 6 mo 1 "mo 1 ) の混合溶液 を撹拌しながら 90分間で滴下した。滴下終了後、 3時間要して室温に昇温した。 この溶液を 9 0〜10 0°Cで 2時間還流して無色透明な酸化チタン換算濃度 5重 量%のゾルを得た。 この溶液の光透過率 50 %の光の透過波長は、 3 58 nmで あった。 また、 ゾルは、 平均粒径 5. 6 nmでシャープな単分散の粒度分布を示 した。 また、 得られたゾル溶液を、 減圧加熱下溶媒を留去して固形物を得た。 選 られた固形物を、 重ベンゼンに溶解し、 iHNMR および 13CNMRを測定し た。 その結果を図 1および図 2に示す。
また、 13CNMRにおいては、 緩和時間 (T を変更させて測定した。 おの結 果を図 3に示す。
図 1より、 固形生成物中には、 イソプロピル基を有することがわかり、 原料で あるテトライソプロポキシチタンのイソプロピル基のケミカルシフトよりも低磁 場にシフ卜することがわかった。 尚、 本発明において、 低磁場にシフトした水素 原子を有するとは、 原料に比して、 全ての水素原子が低磁場にシフトする場合、 および、 一部が低磁場にシフトする場合いずれかの場合も含む。
図 2より、 原料であるテトライソプロポキシチタンのイソプロピル基のメチン 炭素の一部は低磁場にシフ卜しており、 メチル炭素の一部は高磁場にシフトして いることがわかった。
図 3より、 高磁場側にシフトしたピークおよび低磁場側にシフトしたピークの 緩和時間が、 シフトしないピークに比べ短いことがわかり、結合状態が同じだが、 環境の異なる 2種類の炭素が存在することがわかった。
実施例 2
イオン交換水の代わりに、 H2017 (O17含有量: 20. 3原子%) を用い、 実 施例 1の 1 / 10のスケールで同様に行い、 〇17が取り込まれた固形物を得た。 得られた固形物を重ベンゼンに溶解し、 017NMRを測定した。 その結果を、 図 4に示す。
図 4より、 その積分値を測定したところ、 3酸素原子: ^2酸素原子: /X4酸 素原子のモル原子比は、 85 : 13 : 1であった。
実施例 3
実施例 1で得られた溶液を表面をオゾン処理したポリエチレンテレフ夕レート (PET) 基板上に、 No. 3のバーコ一夕一を用いて塗布し、 100°C、 10 分間乾燥し、 該基板上に透明な金属酸化物膜を形成した。 SPM装置 (セイコー インスツルメント社製、 S PA— 400 (S I I )) を用いて該膜表面の形状を 測定したところ、 その表面の平均粗さは、 5 nm以下であり、 本発明の金属酸化 物膜の表面が平滑であることがわかった。
産業上の利用可能性:
以上述べたように、 本発明の金属アルコキシドを加水分解して得られる加水分 解生成物は、 平均粒径の小さい、 単分散な微粒子であり、 有機溶媒中においても、 均一で透明な溶液でり、 その膜は、 透明でかつ平滑な金属酸化物薄膜を形成でき 光学材料等として広く利用できるなど、 産業上の利用価値は高いといえる。