明 細 書
光感応性基体及びパターニング方法
技術分野
[0001 ] 本発明は、 基体表面に、 特定の金属化合物と所定量の水を用いて第 1の薄 膜を形成し、 この第 1の薄膜上に、 有機金属化合物を用いて第 2の薄膜を形 成してなる光感応性基体、 及びその光感応性基体を用いるパターニング方法 に関する。
背景技術
[0002] 従来、 基体表面に金属化合物を含有する薄膜を形成する方法として、 ガラ ス基体の表面にシリカ下地層を付着させて、 シリカ下地層を、 特定のフルォ 口アルキル基を有するシラン化合物と接触させる工程を含む撥水撥油性被膜 を形成する方法が知られている (特開平 1 0 - 3 1 0 4 5 5号公報) 。 しかし ながら、 この方法は、 シリカ下地層表面を粗面化させて撥水撥油性被膜を形 成する方法であり、 この方法を適用して、 表面が平滑な金属化合物を含有す る薄膜上に機能性被膜を形成することは困難である。
[0003] 特開 2 0 0 0 - 3 4 3 8 4 8号公報には、 微細な凹凸構造を持った表面を持 つ光触媒体を撥水処理することによって撥水性又は撥油性を示し、 水性かつ 油性インクいずれに対しても反発させるインク反発層とし、 光照射による光 触媒層の励起と、 その酸化分解反応によって撥水撥油剤を容易に分解し除去 することによって光触媒層を露出させて高度な親油性表面にし、 これを油性 インク担持層とする光触媒体を用いた画像形成材料が記載されている。 この 画像形成材料は、 酸化チタン等の光触媒をガラス、 アルミ等の基板に焼成し て形成し、 撥水剤を塗布し、 波長 3 0 0 4 0 0 n mの紫外光を照射する方 法で、 光触媒の有機物分解機能を利用したものである。
[0004] また、 特開 2 0 0 4 - 1 3 0 4 2号公報には、 薄膜パターンの形成方法とし て、 酸化チタン膜を形成する工程と、 前記酸化チタン膜の表面に有機分子薄 膜を形成する工程と、 有機分子薄膜と接している酸化チタン膜の表面に露光
領域を形成する様に紫外線を照射し、 前記有機分子を分解する工程を含む薄 膜パターンの形成方法が記載されている。 この方法は、 有機分子薄膜を、 波 長 200-400 nmの紫外光を照射して光分解して薄膜パターンを形成す る方法であり、 蒸着法又はゾル-ゲル法により形成した酸化チタンの光触媒作 用を利用したものである。 紫外光として、 特に波長 365 nmのものが使用 されている。
[0005] しかしながら、 上記特開 2000-343848号公報ゃ特開 2004-1 3042号公報に記載の酸化チタンの光触媒作用を利用する方法は、 ガラス 、 アルミ等の基板上に焼成等の方法で光触媒層を形成する必要がある等の理 由から、 使用する基板に制限がある等の問題があった。
[0006] —方、 基板上への微細なパターンを形成するパターニング方法として、 例 えば、 基板を予め何らかの方法で洗浄した後、 該基板上に、 フッ化アルキル シランの単分子膜を化学気相蒸着法により形成し、 酸素を含む雰囲気下で紫 外線又は電子ビームを照射して単分子膜を除去する方法が開示されている ( 特開 2002-282240号公報) 。
[0007] しかしながら、 この方法によりパターニングを行うためには、 化学気相蒸 着法を用いて稠密な単分子膜を形成する必要があるが、 化学気相蒸着法は、 高温真空状態で行うため特殊な装置を必要とし、 さらに単分子膜を形成する のに時間を要するという問題があつた。
特許文献 1 :特開平 1 0-3 1 0455号公報
特許文献 2:特開 2000-343848号公報
特許文献 3:特開 2004 - 1 3042号公報
特許文献 4:特開 2002-282240号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0008] 本発明は、 かかる従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、 紫外光に 対して高い感応性を有する光感応性基体を提供することを第 1の課題とする
また本発明は、 この光感応性基体を使用して、 短時間でしかも微細なバタ 一二ングが可能なパターニング方法を提供することを第 2の課題とする。 課題を解決するための手段
[0009] 本発明者らは、 上記課題を解決すベ〈鋭意検討した結果、 基体表面に、 特 定の金属化合物と所定量の水を用いて第 1の薄膜を形成し、 この第 1の薄膜 上に、 有機金属化合物を用いて第 2の薄膜を形成した基体は、 紫外線に対し て高い感応性を示すことを見出した。 また、 この第 2の薄膜は、 紫外線照射 により撥水性から親水性に変化することから、 光照射による接触角の変化を 利用した微細なパターニングが可能であることを見出し、 本発明を完成する に至った。
[0010] かくして本発明の第 1によれば、 下記 (1 ) ( 2 5 ) の光感応性基体が 提供される。
( 1 ) 基体と、 該基体上に、 加水分解性基及び 又は水酸基を合計で 2以上 有する金属化合物、 加水分解性基及び 又は水酸基を合計で 2以上有する金 属キレート化合物、 金属有機酸塩、 並びにこれらの部分加水分解生成物から なる群から選ばれる少なくとも一種の有機溶媒溶液に、 所定量の水を添加し て得られた第 1の薄膜形成用組成物から形成されてなる第 1の薄膜と、 該第 1の薄膜上に、 有機金属化合物から形成されてなる第 2の薄膜を有すること を特徴とする光感応性基体。
[001 1 ] ( 2 ) 前記第 1の薄膜形成用組成物が、 加水分解性基及び 又は水酸基を合 計で 2以上有する金属キレート化合物に、 該金属キレート化合物 1モルに対 して、 2モル未満の水を添加して得られたものであることを特徴とする (1 ) の光感応性基体。
( 3 ) 前記第 1の薄膜形成用組成物が、 加水分解性基及び 又は水酸基を合 計で 2以上有する金属キレート化合物に、 該金属キレート化合物 1モルに対 して、 2モル以上の水を添加して得られる、 透明な金属酸化物の分散液であ ることを特徴とする (1 ) の光感応性基体。
( 4 ) 前記金属キレート化合物が、 加水分解性基及び 又は水酸基を合計で
2以上有し、 -ジケトン又はヒドロキシカルボン酸を配位子とする金属キレ ート化合物であることを特徴とする (3) の光感応性基体。
( 5 ) 前記加水分解性基及び 又は水酸基を合計で 2以上有する金属化合物 が、 金属アルコキシドであることを特徴とする (1 ) の光感応性基体。
[0012] (6) 前記金属化合物、 金属キレート化合物及び金属有機酸塩中の金属が、 チタン、 ジルコニウム、 アルミニウム、 ケィ素、 ゲルマニウム、 インジウム 、 スズ、 タンタル、 亜鉛、 タングステン及び鉛からなる群から選ばれる一種 以上であることを特徴とする (1 ) (5) いずれかの光感応性基体。
(7) 前記第 1の薄膜が、 平均表面粗さが 20 nm以下の薄膜であることを 特徴とする (1 ) (6) いずれかの光感応性基体。
(8) 前記第 1の薄膜が、 有機物を含有する薄膜であることを特徴とする ( 1 ) ^ (7) いずれかの光感応性基体。
[0013] (9) 前記第 1の薄膜が、 炭素原子の含有比率が 2 40重量%の薄膜であ る薄膜であることを特徴とする (1 ) (8) いずれかの光感応性基体。
( 1 0) 前記第 1の薄膜が、 厚み 40 nm以下の薄膜であることを特徴とす る (1 ) (9) いずれかの光感応性基体。
( 1 1 ) 前記第 2の薄膜が、 有機金属化合物と触媒とを水の存在下に混合し て得られる第 2の薄膜形成用組成物を用いて形成されたものであることを特 徵とする (1 ) (1 0) いずれかの光感応性基体。
[0014] ( 1 2) 前記有機金属化合物が、 少なくとも 1以上の加水分解性基又は水酸 基を有する金属系界面活性剤であることを特徴とする (1 ) (1 1 ) いず れかの光感応性基体。
( 1 3) 前記金属系界面活性剤が、 式 ( I )
[0015] [化 1]
R1 nM 1Xm_n ( I )
[0016] (式中、 R1は、 置換基を有していてもよい炭化水素基、 置換基を有していて
もよいハロゲン化炭化水素基、 連結基を含む炭化水素基、 又は連結基を含む ハロゲン化炭化水素基を表し、 M1は、 ケィ素原子、 ゲルマニウム原子、 スズ 原子、 チタン原子及びジルコニウム原子からなる群から選ばれる少なくとも —種を表し、 Xは加水分解性基を表し、 nは 1 (m-1 ) のいずれかの整数 を表し、 mは M1の原子価を表し、 nが 2以上のとき、 R1は同一であっても相 異なっていてもよく、 (m-n) が 2以上のとき、 Xは同一であっても相異な つていてもよい。 ) で表される化合物であることを特徴とする (1 2) の光 感応性基体。
[0017] ( 1 4) 前記第 2の薄膜が、 単分子膜であることを特徴とする (1 ) (1 3) いずれかの光感応性基体。
( 1 5) 前記第 2の薄膜が、 自己集合膜であることを特徴とする (1 ) ( 1 4) いずれかの光感応性基体。
( 1 6) 前記第 2の薄膜が、 撥水性及び 又は撥油性の薄膜であることを特 徴とする (1 ) ( 1 5) いずれかの光感応性基体。
[0018] ( 1 7) 前記第 2の薄膜が、 光照射された部分が撥水性から親水性に変化す る薄膜であることを特徴とする (1 ) (1 6) いずれかの光感応性基体。
( 1 8) 前記第 2の薄膜が、 光照射された部分の水の接触角が 70° 以上変 化する薄膜であることを特徴とする (1 ) (1 7) いずれかの光感応性基 体。
( 1 9) 照射光が、 紫外線であることを特徴とする (1 7) 又は (1 8) の 光感応性基体。
[0019] (20) 感応する光の波長が、 350 nm以下であることを特徴とする (1 ) (1 9) いずれかの光感応性基体。
(2 1 ) 感応する光の波長が、 250 3 1 0 nmの範囲であることを特徴 とする (1 ) (20) いずれかの光感応性基体。
(22) 照射光量が、 40 JZcm2以下であることを特徴とする (1 7) (2 1 ) いずれかの光感応性基体。
[0020] (23) 照射光量が 5 JZcm2以下であることを特徴とする (1 7) - (2
2) いずれかの光感応性基体。
(24) 前記基体が、 金属、 セラミックス、 ガラス及びプラスチックからな る群から選ばれる少なくとも一種からなるものであることを特徴とする (1 ) (23) いずれかの光感応性基体。
(25) 前記プラスチックが、 ポリイミ ド系樹脂、 ポリエステル系樹脂、 ェ ポキシ系樹脂及びポリエーテル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一 種であることを特徴とする (24) の光感応性基体。
[0021] 本発明の第 2によれば、 下記 (26) (3 1 ) のパターニング方法、 ま た (32) の光感応性基体が提供される。
(26) 前記 (1 ) (25) のいずれかの光感応性基体の所定部分を光照 射し、 光照射された部分の有機金属化合物を分解及び 又は除去することを 特徴とするパターニング方法。
(27) 照射光として、 紫外線を用いることを特徴とする (26) のパター ニング方法。
(28) 照射光として、 波長 350 nm以下の光を用いることを特徴とする (26) のパターニング方法。
[0022] (29) 照射光として、 波長 250 3 1 0 nmの光を用いることを特徴と する (26) のパターニング方法。
(30) 照射光量が、 40 JZcm2以下であることを特徴とする (26) (29) いずれかのパターニング方法。
(3 1 ) 照射光量が、 5 J Zcm2以下であることを特徴とする (26) ( 29) いずれかのパターニング方法。
(32) 波長 350 nm以下の光に感応する第 1の薄膜と、 該第 1の薄膜上 に、 有機金属化合物から形成されてなる第 2の薄膜を有することを特徴とす る光感応性基体。
[0023] 以下、 本発明の光感応性基体及びパターニング方法を詳細に説明する。
1 ) 光感応性基体
本発明の光感応性基体は、 基体と、 該基体上に、 加水分解性基及び 又は
水酸基を合計で 2以上有する金属化合物、 加水分解性基及び 又は水酸基を 合計で 2以上有する金属キレート化合物、 金属有機酸塩、 並びにこれらの部 分加水分解生成物からなる群から選ばれる少なくとも一種の有機溶媒溶液に 、 所定量の水を添加して得られる第 1の薄膜形成用組成物を用いて形成され てなる第 1の薄膜と、 該第 1の薄膜上に、 有機金属化合物から形成されてな る第 2の薄膜を有することを特徴とする。
[0024] ( 1 ) 基体
本発明に用いる基体としては、 第 1の薄膜及び第 2の薄膜を担持できるも のであれば、 特に制限されず、 例えば、 金属、 セラミックス、 ガラス及びプ ラスチックからなる群から選ばれる少な〈とも一種からなるものが挙げられ る。 また、 用いる基体は透明なものであっても、 半透明なものであっても、 不透明なものであってもよい。
[0025] これらの中でも、 本発明に用いる基体としては、 ガラス又はプラスチック 製の基体が好ましい。
ガラスとしては、 特に制限されず、 例えば、 ソーダ一ライムガラス、 ホウ ケィ酸ガラス、 鉛ケィ酸ガラス等、 どのようなものも使用できる。
[0026] プラスチックとしては、 例えば、 ポリアミ ドイミ ド、 ポリエーテルイミ ド 、 ポリイミ ド、 ポリアミノビスマレインィミ ド等のポリイミ ド系樹脂;ポリ エチレンテレフタレート、 ポリエチレン 2 , 6 -ナフタレート等のポリエステ ル系樹脂; フエノール系エポキシ樹脂、 アルコール系エポキシ樹脂、 グリシ ジルエーテル型エポキシ樹脂、 グリシジルァミン型エポキシ樹脂等のェポキ シ系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン、 ポリエーテルケトン、 ポリエーテ ルニトリル、 ポリエーテルスルホン等のポリエーテル系樹脂;セルロースト リアセテート、 セルロースジアセテート、 ニトロセルロース等のセルロース 系樹脂;ポリスチレン、 シンジオタクチックポリスチレン等のポリスチレン 系樹脂; エチレン、 プロピレン、 ブテン等のォレフィンの単独重合体又は共 重合体等のポリォレフィン系樹脂; ノルポルネン系樹脂等のシク口才レフィ ン系樹脂;ナイロン 6、 ナイロン 1 2、 共重合ナイロン等のポリアミ ド系樹
月旨; エチレン-ポリビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール系樹 月旨; エチレン-四フッ化工チレン共重合体、 ポリ三フッ化塩化エチレン、 四フ ッ化エチレン-パーフルォロアルキルビニルエーテル共重合体、 ポリフッ化ビ ニル、 パーフルォロエチレン-パーフルォロプロピレン-パーフルォロビニル エーテル共重合体等のフッ素系樹脂;ポリカーボネート、 ポリビニルブチラ ート樹脂、 ポリアリレート樹脂等が挙げられる。 これらの中でも、 ポリイミ ド系樹脂、 ポリエステル系樹脂、 エポキシ系樹脂及びポリエーテル系樹脂か らなる群から選ばれる少な〈とも一種からなる基体が特に好ましい。
[0027] また、 プラスチックとして、 ラジカル反応性不飽和化合物を有するァクリ ル系化合物よりなる樹脂組成物や、 上記ァクリル系化合物とチオール基を有 するメルカプト化合物よりなる樹脂組成物、 エポキシァクリレート、 ウレタ ンァクリレート、 ポリエステルァクリレート、 ポリエーテルァクリレート等 のオリゴマーを多官能ァクリレートモノマーに溶解せしめた樹脂組成物等の 光硬化性樹脂及びこれらの混合物等を用いることができる。
[0028] 基体の大きさや形は特に制限されず、 平板、 立体物、 フィルム等いずれも 使用することができるが、 フィルム状のものが好ましい。
[0029] また、 これらの基体には、 いわゆる寸度安定性を向上する目的で、 ポリ塩 化ビニリデン系ポリマーを含む防水層を設けてもよい。 さらに、 ガスバリア 一の目的で、 有機化合物及び 又は無機化合物からなる薄膜を設けてもよい 。 無機化合物の例としては、 シリカ、 アルミナ、 タルク、 バーミキユラィ ト 、 力オリナイ ト、 雲母、 合成雲母等が挙げられる。 有機化合物の例としては 、 ポリビニルアルコール、 ポリエチレン-ビニルアルコール共重合体等が挙げ られる。
また、 その他諸機能を付与する目的で、 基体中に各種有機及び 又は無機 添加物が加えられていてもよい。 さらに、 塗装した物品も基体として用いる ことができる。
[0030] 前記基体としてプラスチック製の基体 (プラスチック基体) を用いる場合 、 プラスチック基体は、 フィルム状又はシート状であるのが好ましい。 フィ
ルム状の基体は、 未延伸フィルムからなるものであっても、 延伸フィルムか らなるものであってもよい。
また、 プラスチック基体としては、 単層フィルムや二層以上をラミネート 、 コーティング等の手段によって積層させた積層フィルム等が挙げられる。
[0031 ] フィルム状のプラスチック基体は、 従来公知の一般的な方法により製造す ることができる。 例えば、 材料樹脂を押し出し機により溶融し、 環状ダイや Tダイにより押し出して急冷することにより、 実質的に無定形で配向してい ない未延伸フィルムからなる基体を製造することができる。 また、 未延伸フ イルムからなる基体を一軸延伸、 テンター式逐次二軸延伸、 テンター式同時 二軸延伸、 チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、 基体の流れ (縦軸) 方向、 又は基体の流れ方向と直角 (横軸) 方向に延伸することによ リ延伸フィルムからなる基体を製造することができる。 この場合の延伸倍率 は、 基体の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することができるが、 縦軸方 向及び横軸方向にそれぞれ 2 1 0倍が好ましい。
フィルム状のプラスチック基体の厚みは、 特に制限されるものではないが 、 通常 1 1 0 0 0〃 m、 好まし〈は 3 5 0 0〃 mである。
[0032] ( 2 ) 第 1の薄膜
本発明の光感応性基体の第 1の薄膜は、 加水分解性基及び 又は水酸基を 合計で 2以上有する金属化合物、 加水分解性基及び 又は水酸基を合計で 2 以上有する金属キレート化合物、 金属有機酸塩、 並びにこれらの部分加水分 解生成物からなる群から選ばれる少なくとも一種の有機溶媒溶液に、 所定量 の水を添加して得られる第 1の薄膜形成用組成物を用いて形成されるもので
[0033] 本発明の光感応性基体の第 1の薄膜は、 プラスチック基体と良好な接着性 を有する。 従来公知のアナターゼ型酸化チタンからなる光触媒層は、 プラス チック基材との接着性に乏しく、 プラスチック基材と光触媒層との間に接着 剤層を設ける必要等があるが、 本発明によれば、 プラスチック基体の表面に 、 良好な接着性を有する第 1の薄膜を直接形成することができる。
[0034] ( i ) 加水分解性基及び 又は水酸基を合計で 2以上有する金属化合物 本発明に用いる加水分解性基及び 又は水酸基を合計で 2以上有する金属 化合物は、 加水分解性基及び 又は水酸基を合計で 2以上有している金属化 合物であれば、 特に制限されないが、 式 ( I I ) で表される化合物を好まし く例示することができる。
[0036] 上記式 ( I I ) 中、 M2は金属原子を表し、 好ましくは周期律表第 1 3族 第 1 5族の金属原子である。 より具体的には、 ケィ素、 ゲルマニウム、 スズ 、 鉛、 チタン、 ジルコニウム、 アルミニウム、 インジウム、 タンタル、 タン グステン及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも一種を例示することが できる。 これらの中でも、 ケィ素、 ゲルマニウム、 チタン、 ジルコニウム及 びアルミニゥムからなる群から選ばれる少な〈とも一種がよリ好ましい。
[0037] 前記 Rは、 水素原子又は金属原子と酸素原子を介して結合を形成し得る加 水分解性基を有していてもよい有機基を表す。
[0038] ここで加水分解性基は、 水と接触して加水分解する官能基、 又は水存在下 で金属原子と酸素原子を介して結合形成し得る官能基である (以後にて同じ である) 。
加水分解性基の具体例としては、 ハロゲン原子、 アミノ基、 アルコキシル 基、 エステル基、 力ルポキシル基、 ホスホリル基、 イソシアナ一ト基、 シァ ノ基、 エポキシ基等が挙げられる。
また有機基としては、 アルキル基、 アルケニル基、 芳香族基等が挙げられ る。
前記 Rが有機基である場合、 その炭素数は特に制限されないが、 通常 1 2 0、 好ましくは 1 1 2である。
[0039] 前記 Rの具体例としては、 水素原子; メチル基、 ェチル基、 プロピル基等
のアルキル基; クロロメチル基、 クロ口ェチル基、 クロ口プロピル基、 ブロ モプロピル基、 プロモォクチル基、 トリフロロプロピル基等のハロゲン化ァ ルキル基; グリシドキシプロピル基、 エポキシシクロへキシルェチル基等の エポキシアルキル基; ァミノプロピル基、 ァミノブチル基等のァミノアルキ ル基; ビニル基、 ァリル基等のアルケニル基; アクリルォキシプロピル基、 メタクリルォキシプロピル基等の (メタ) アクリルォキシアルキル基;ベン ジル基等のァラルキル基; フ Iニル基、 ナフチル基等の芳香族基;等が挙げ られる。
[0040] Yは、 M2に結合した加水分解性基を表す。 具体的には、 メ トキシ基、 エト キシ基、 プロポキシ基、 ブトキシ基、 ペントキシ基等の炭素数 1 1 2のァ ルコキシル基; ヒドロキシィミノ基、 ヒドロキシァミノ基、 エノキシ基、 ァ ミノ基、 力ルバモイル基等の窒素原子を含有する基;塩素原子、 臭素原子等 のハロゲン原子;等を例示することができる。
[0041 ] a及び bはそれぞれ独立して、 0から m ( mは金属原子の原子価である。
) の整数を表す。 ただし、 a + b = mである。
[0042] 前記式 ( I I ) で表される化合物は、 分子内に 2以上の加水分解性基を有 する化合物である。
前記式 ( I I ) で表される化合物の具体例としては、 メチルトリメ トキシ シラン、 メチルトリエトキシシラン、 ェチルトリメ トキシシラン、 ェチルト リエトキシシラン、 プロビルトリメ トキシシラン、 プロピルトリエトキシシ ラン、 テトラメ トキシシラン、 テトラエトキシシラン、 テトラプロホ千シシ ラン、 ゲルマニウムテトラメ トキシド、 ゲルマニウムテトラエトキシド、 チ タンテトラプロポキシド、 チタンテトラブトキシド、 ジルコニウムテトラプ ロポキシド、 ジルコニウムテトラブトキシド、 アルミニウムトリエトキシド 、 アルミニウムトリプロポキシド、 アルミニウムトリブトキシド、 テトラク ロロシラン、 テトラブロモシラン、 ジメチルジクロロシラン、 テトラキス ( ジェチルァミノ) シラン、 4 -アミノブチルトリエトキシシラン、 3 -ァミノ プロピルトリエトキシシラン、 3 -ァミノプロビルトリメ トキシシラン、 ベン
ジルトリクロロシラン、 ベンジルトリエトキシシラン、 t -ブチルフエニルジ クロロシラン、 2 -クロ口ェチルトリエトキシシラン、 3 -クロ口プロビルト リクロロシラン、 8 -ブロモォクチルトリクロロシラン、 3 -ブロモプロピル トリクロロシラン、 (3 , 3 , 3 -トリフルォロプロピル) ジクロロシラン、 ( 3 , 3 , 3 -トリフルォロプロピル) トリクロロシラン、 クロロメチルトリ クロロシラン、 β - ( 3 , 4 -エポキシシクロへキシル) ェチルトリメ トキシ シラン、 (3 -グリシドキシプロピル) メチルジェトキシシラン、 3 -グリシ ドキシプロビルトリメ トキシシラン、 ァリルトリクロロシラン、 ァリルトリ エトキシシラン、 ビニルメチルジァセトキシシラン、 ビニルメチルビス (メ チルェチルケトキシミン) シラン、 3 -メタクリロキシプロビルトリメ トキシ シラン、 3 -メタクリロキシプロビルトリメ トキシシラン、 3 -ァクリロキシ プロピルトリクロロシラン、 3 -ァクリロキシプロビルトリメ トキシシラン等 が挙げられる。 これらの中でも、 テトラメ トキシシラン、 テトラエトキシシ ラン、 チタンテトラプロポキシド、 ジルコニウムテトラプロポキシド、 ジル コニゥムテトラブトキシドがより好ましい。
[0043] ( i i ) 加水分解性基及び 又は水酸基を合計で 2以上有する金属キレート 化合物
本発明に用いる加水分解性基及び 又は水酸基を合計で 2以上有する金属 キレート化合物は、 加水分解性基及び 又は水酸基を合計で 2以上有し、 か つ、 金属キレート化合物が結合してなるものであれば特に制限されない。 な かでも、 加水分解性基及び 又は水酸基を合計で 2以上有する金属化合物の 部分加水分解物のキレート化合物が好ましい。
[0044] 用いるキレート化合物としては、 金属と結合してキレートを形成し得る配 位子であれば特に制限されず、 中性配位子でも陰イオンでも構わない。 少な くとも一箇所で金属原子に結合していればよく、 単座配位子であっても、 多 座配位子であってもよい。 また、 例えば、 2座配位子であっても 2座で一つ の金属原子に結合していなくてもよい。
[0045] キレート配位子の具体例としては、 以下のものが挙げられる。 ただし、 キ
レート配位子となり得るキレート化合物として例示する。
シユウ酸、 マロン酸、 コハク酸、 グルタル酸、 アジピン酸、 ピメリン酸、 スベリン酸、 ァゼライン酸、 セバシン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸類; ァ セチルアセトン、 ベンゾィルアセトン、 へキサフルォロアセチルアセトン等 の S-ジケトン類; ァセト酢酸メチル、 ァセト酢酸ェチル等の S-ケトエステ ル類; エチレングリコール等のグリコール類;ォキシ酢酸等のグリコール酸 類; エチレンジァミン四酢酸 (EDTA) 及びそのナトリウム塩、 エチレン ジァミン、 1 , 3-プロパンジァミン、 ジエチレントリアミン、 ペンタメチル ジエチレントリアミン、 へキサメチルトリエチレンテトラミン、 トリス [2-
(ジメチルァミノ) ェチル] ァミン、 トリ (ピリジニルメチル) ァミン等の 含窒素化合物;
[0046] フランカルポン酸、 チオフヱンカルボン酸、 ニコチン酸、 イソニコチン酸 、 フエナント口リン、 フエナント口リン、 ジフエナント口リン、 置換フエナ ントロリン、 2, 2' : 6' , 2" -ターピリジン、 ピリジンィミン、 架橋脂 肪族ジァミン、 4-4' -ジ (5-ノニル) -2, 2' -ビピリジン、 O, S, S e, T eの配位したビピリジン、 アルキルィミノピリジン、 アルキルビピリ ジニルァミン、 アルキル置換トリピリジン、 ジ (アルキルァミノ) アルキル ピリジン、 エチレンジアミンジピリジン、 その他の複素環化合物;
[0047] 2-メルカプトエタノール等のメルカプトアルコール類; エタンジチオール 等のジチオール類; 2-メルカプトェチルァミン等のメルカプトアミン類; 2 , 4-ペンタンジチオン等のジチオケトン類;等の硫黄含有化合物等が挙げら れる。
これらは 1種単独で、 あるいは 2種以上を組み合わせて用いることができ る。
[0048] 加水分解性基及び 又は水酸基を合計で 2以上有する金属キレート化合物 は、 例えば、 加水分解性基及び 又は水酸基を合計で 2以上有する金属化合 物に、 所定量のキレート化合物を作用させることにより得ることができる。 得られる金属キレート化合物は単離することもできるが、 このまま次の加
水分解及び縮重合反応に供することもできる。
[0049] ( i i i ) 金属有機酸塩
本発明に用いる金属有機酸塩の金属としては、 チタン、 ジルコニウム、 ァ ルミ二ゥム、 ケィ素、 ゲルマニウム、 インジウム、 スズ、 タンタル、 亜鉛、 タングステン、 鉛からなる群から選ばれる一種以上が挙げられる。
[0050] 有機酸としては、 酢酸、 シユウ酸、 酒石酸、 安息香酸等のカルボン酸類; スルフォン酸、 スルフィン酸、 チオフヱノール等の含硫黄有機酸; フヱノー ル; ェノール;ォキシム; イミ ド;芳香族スルフォンアミ ド;等の酸性を呈 する化合物が挙げられる。
[0051 ] 金属有機酸塩は、 市販品をそのまま使用することもできるが、 公知の製造 方法、 例えば、 有機酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等の有機酸塩 に、 金属ハロゲン化物、 金属硫酸塩、 金属硝酸塩等の金属塩を作用させる方 法等により製造したものを使用することもできる。
[0052] ( i V ) 上記 ( i ) ( i i i ) の部分加水分解生成物
本発明に用いる部分加水分解生成物は、 加水分解性基及び 又は水酸基を 合計で 2以上有する金属化合物、 加水分解性基及び 又は水酸基を合計で 2 以上有する金属キレート化合物、 並びに金属有機酸塩からなる群から選ばれ る少なくとも一種に、 水を添加して部分的に加水分解して得られるものであ る。
[0053] 第 1の薄膜形成組成物は、 具体的には、 前記加水分解性基及び 又は水酸 基を合計で 2以上有する金属化合物、 加水分解性基及び 又は水酸基を合計 で 2以上有する金属キレート化合物、 金属有機酸塩、 並びにこれらの部分加 水分解生成物からなる群から選ばれる少なくとも一種 (以下、 「金属化合物 等」 という。 ) の有機溶媒溶液に、 所定量の水を添加して、 全容を撹拌する ことにより調製することができる。
[0054] 前記金属化合物等の溶液に用いる有機溶媒としては、 水の溶解度が大きく 、 低温で凝固しない有機溶媒が好ましい。
[0055] 用いる有機溶媒としては、 メタノール、 エタノール、 プロパノール、 ブタ
ノール、 ペンタノール、 へキサノール、 ヘプタノール、 ォクタノール、 ノナ ノール、 ベンジルアルコール、 メチルシクロへキサノール、 エタンジオール
、 プロパンジオール、 ブタンジオール、 ペンタンジオール、 へキシレングリ コール、 ォクチレングリコール、 へキサントリオール、 3 , 5 , 5 -トリメチ ル - 1 -へキサノール等のアルコール類;ギ酸ブチル、 ギ酸ペンチル、 酢酸メ チル、 酢酸ェチル、 酢酸プロピル、 酢酸プチル、 酢酸ペンチル、 酢酸へキシ ル、 酢酸ベンジル、 3 -メ トキシブチルアセテート、 2 -ェチルブチルァセテ ート、 2 -ェチルへキシルアセテート、 プロピオン酸メチル、 プロピオン酸ェ チル、 プロピオン酸ブチル、 プロピオン酸ペンチル等のエステル類; ジメチ ルケトン、 メチルェチルケトン、 ペンタノン、 へキサノン、 メチルイソプチ ルケトン、 ヘプタノン、 ジイソプチルケトン等のケトン類; ァセトニトリル 等の二トリル類; ジェチルエーテル、 ジプロピルエーテル、 ジイソプロピル エーテル、 ジブチルエーテル、 ジへキシルエーテル、 ァニソール、 テトラ匕 ドロフラン、 テトラヒドロピラン、 ジメ トキシェタン、 ジェトキシェタン、 ジブトキシェタン、 ジエチレングリコールジメチルエーテル、 ジエチレング リコールジェチルエーテル、 ジエチレングリコールジブチルエーテル等のェ 一テル類; メチラール等のァセタール類;ペンタン、 へキサン、 ヘプタン、 オクタン、 ノナン、 デカン、 ドデカン等の脂肪族炭化水素類; トルエン、 キ シレン、 ェチルベンゼン、 クメン、 ミシチレン、 テトラリン、 ブチルベンゼ ン、 シメン、 ジェチルベンゼン、 ペンチルベンゼン、 ジペンチルベンゼン等 の芳香族炭化水素類; シクロペンタン、 シクロへキサン、 メチルシクロへキ サン、 ェチルシクロへキサン、 デカリン等の脂環式炭化水素類; ジクロロメ タン、 クロ口ホルム、 四塩化炭素、 ジクロロェタン、 トリクロロェタン、 ク ロロベンゼン、 ジクロロベンゼン、 ブロモベンゼン等のハロゲン化炭化水素 類;等が挙げられる。 これらの有機溶媒は一種単独で、 あるいは二種以上組 み合わせて使用することができる。
これらの中でも、 アルコール類、 エステル類及び炭化水素類が好ましく、 特にブタノール、 ペンタノール、 へキサノール、 トリメチルへキサノール、
酢酸ェチル、 酢酸プロピル、 酢酸プチル、 ペンタン、 へキサン、 キシレン等 が好ましい。
[0057] 有機溶媒の使用量は、 前記金属化合物等 1 0 0重量部に対し、 好ましくは
1 0 - 5 , 0 0 0重量部、 さらに好ましくは 1 0 0 3 , 0 0 0重量部であ リ、 1 0重量部未満では生成する微粒子が結合した状態で成長し、 粒径制御 が困難になる場合があり、 一方、 5 , 0 0 0重量部を超えると溶液が希薄す ぎて、 微粒子の生成が困難な場合がある。
[0058] 本発明に用いる金属化合物等を含有する有機溶媒溶液中の金属化合物の含 有量は、 特に制限はないが、 緻密な薄膜を製造するためには、 0 . 1 3 0 重量%の範囲が好ましい。
[0059] 前記第 1の薄膜形成用組成物に調製に用いる水の添加量は、 特に制約され ないが、 前記金属化合物等として、 加水分解性基及び 又は水酸基を合計で 2以上有する金属キレート化合物を用いる場合、 特に、 加水分解性基及び 又は水酸基を合計で 2以上有し、 β -ケトエステルを配位子とする金属キレー ト化合物を用いる場合には、 該金属キレート化合物 1モルに対して、 2モル 未満であるのが好ましく、 0 . 5モル以上 2モル未満であるのがより好まし い。
[0060] また、 前記金属化合物等として、 加水分解性基及び 又は水酸基を合計で
2以上有する金属キレート化合物を用いる場合、 好ましくは、 加水分解性基 及び 又は水酸基を合計で 2以上有し、 -ジケトン又はヒドロキシカルボン 酸を配位子とする金属キレート化合物を用いる場合は、 該金属キレート化合 物 1モルに対して、 2モル以上の水を用いると、 透明な金属酸化物の分散液 を得ることができる。 ここで透明とは、 後述するように、 可視光における透 過率が高い状態をいう。 このような分散液を用いることで、 均質で稠密な第 1の薄膜を形成することができる。
[0061 ] 前記第 1の薄膜形成用組成物の調製に用いる水としては、 一般水道水、 蒸 溜水、 イオン交換水等が挙げられる。 これらのうち、 蒸溜水又はイオン交換 水の使用が好ましく、 電気伝導度が 2 s Z c m以下のイオン交換水の使用
が特に好ましい。
[0062] また、 前記第 1の薄膜形成用組成物に添加する水は、 有機溶媒によリ希釈 したものを用いるのが好ましい。 水の希釈に用いる有機溶媒としては、 金属 化合物との反応性を有しないものであって、 かつ、 金属化合物が水と反応し て加水分解しない温度以下の凝固点を有するもの、 すなわち凝固点が 0 °C以 下、 特に- 1 0 °C以下のものが好ましい。 具体的には、 前記金属化合物等の有 機溶媒溶液に用いる有機溶媒として列記したものと同様のものが挙げられる
[0063] 水と有機溶媒の混合割合は、 有機溶媒 1 0 0重量部に対し、 水の量が、 好 ましくは 1 5 0重量部、 より好ましくは 1 3 0重量部、 さらに好ましく は 1 1 5重量部となる量である。 水の使用割合が 5 0重量部を超えると生 成する粒子の凝集が激し〈なることがある。
[0064] また、 水と有機溶媒とが均一に溶解混合する場合には、 そのまま使用する ことができるが、 水と有機溶媒とが均一に混合しない場合には、 例えば、 1 , 2 -ビス- ( 2 -ェチルへキシルォキシ力ルポニル) - 1 -エタンスルホン酸ナ トリウム、 ポリオキシエチレン (6 ) ノニルフエニルエーテル等の界面活性 剤を利用したり、 撹拌処理、 超音波処理等の方法で均一に分散させるのが好 ましい。
[0065] 金属化合物等の有機溶媒溶液に水を添加して、 全容を攪拌する温度は、 通 常- 1 0 0 °C + 2 0 0 °C、 好ましくは- 8 0 °C + 1 5 0 °Cである。 金属化 合物等の有機溶媒溶液に水を添加して、 全容を攪拌することで、 金属化合物 等の加水分解及び縮重合反応が進行する。 全容を攪拌する時間は、 通常、 数 分間から数十時間である。
[0066] この場合、 金属化合物等の加水分解及び縮重合反応を制御するために、 金 属化合物等の有機溶媒溶液に水を添加する温度、 全容を攪拌する温度等を段 階的に変化させることもできる。 例えば、 金属化合物等の溶液の温度を- 8 0 °C - 2 0 °Cに冷却しておき、 攪拌下、 - 1 0 °C + 2 0 °Cの水 (又は水と有 機溶媒の混合物) をゆつ〈りと滴下し、 水 (又は水と有機溶媒の混合物) の
滴下終了後、 段階的に反応液の温度を溶媒の沸点まで徐々に昇温させて、 加 水分解■縮合反応を完結させる方法を採用することができる。 また、 水 (又 は水と有機溶媒の混合物) の滴下を複数回に分割し、 水 (又は水と有機溶媒 の混合物) の滴下温度を異なる温度に設定することもできる。 さらに、 金属 化合物等を加水分解した後、 反応液を適当な塩基で中和してもよい。
[0067] 以上のようにして得られる第 1の薄膜形成用組成物は、 金属酸化物前駆体 を含有する透明な溶液である。
この金属酸化物前駆体は、 平均粒径 1 1 0 n mの範囲の粒子状物であつ て、 単分散の分散質が有機溶媒中において凝集することなく、 溶解若し〈は 均一に分散したものである。 すなわち、 金属化合物等は、 有機溶媒中、 酸、 塩基及び 又は分散安定化剤の非存在下、 凝集することなく安定に分散して なる、 金属-酸素結合を有する分散質となっている。
[0068] ここで、 凝集せずに安定に分散している状態とは、 有機溶媒中、 金属-酸素 結合を有する分散質が、 凝結して不均質に分離していない状態を表し、 好ま し〈は透明で均質な状態を示す。 透明とは可視光における透過率が高い状態 をいう。 具体的には、 分散質の濃度を酸化物換算で 0 . 5重量%、 石英セル の光路長を 1 c m、 対照試料を有機溶媒とし、 光の波長を 5 5 0 n mとする 条件で測定した分光透過率で表して、 好ましくは 8 0 1 0 0 %の透過率を 表す状態をいう。 また、 可視光における高い透過率を得るための粒子径は、 1 5 0 n mの範囲が好ましい。
[0069] 本発明においては、 上記で得られた溶液をそのまま第 1の薄膜形成用組成 物として用いることもできるし、 適当な溶媒で希釈し、 あるいは溶媒を留去 した後別の溶媒に再溶解させたものを第 1の薄膜形成用組成物として用いる こともできる。
[0070] 第 1の薄膜は、 第 1の薄膜形成用組成物を基体上に塗布又は吹き付け、 得 られた塗膜を 2 0 0 °C以下の温度で乾燥することにより形成することができ る。
[0071 ] 第 1の薄膜形成用組成物を基体上に塗布又は吹き付ける方法としては、 特
に制限されず、 デイツビング法、 スピンコート法、 メイャバ一法、 はけ塗り 法等、 平滑な表面を有する薄膜を形成できる方法であれば、 特に制限はされ ない。
[0072] 得られた塗膜を、 通常 20 200°C、 好ましくは 20 1 50°Cで、 数 分から数十時間乾燥することにより、 第 1の薄膜を形成することができる。 以上のようにして形成される第 1の薄膜の厚みは、 通常 50 n m以下、 好 ましくは 40 nm以下、 より好ましくは 1 20 nmである。
[0073] 以上のようにして形成される第 1の薄膜は、 表面をオゾン洗浄することに より、 平滑な表面を有する超親水性の薄膜とすることができる。
[0074] その平均表面粗さは、 20 nm以下、 好まし〈は 1 O nm以下である。 平 滑な表面を有する第 1の薄膜上には、 光、 紫外線又は電子ビーム等を照射す ることにより、 ナノスケールの微細なパターンを形成できる緻密な単分子膜 を効率よく形成することができる。
[0075] 形成される第 1の薄膜は、 有機物を含有する薄膜であるのが好まし〈、 炭 素原子を含有する薄膜であって、 炭素原子の含有比率が 2 40重量%の薄 膜であるのが好ましい。 このような第 1の薄膜上には、 光感応性、 特に 25
0-3 1 0 nmの波長の光に対する光感応性に優れる第 2の薄膜を効率よく 形成することができる。
[0076] 第 1の薄膜に含まれる有機物は、 例えば、 前記金属化合物等として金属ァ ルコキシドを使用する場合であれば、 アルコキシド基である。
第 1の薄膜に含まれる炭素原子、 チタン原子、 酸素原子等の含有比率は、 例えば、 X線光電子分析装置 (ES CA) により測定し、 求めることができ る。
[0077] また、 形成される第 1の薄膜は、 波長 35 O nm以下、 好ましくは波長 2
50-350 nmの紫外光を吸収する性質を有する。
[0078] (2) 第 2の薄膜
第 2の薄膜は、 前記第 1の薄膜上に、 有機金属化合物を用いて形成するこ とができる。
本発明においては、 第 2の薄膜の形成に用いる有機金属化合物として、 少 なくとも 1以上の加水分解性基又は水酸基を有する金属系界面活性剤である のが好ましい。
[0079] 前記金属系界面活性剤としては、 少なくとも一つの加水分解可能な官能基 を有し、 該官能基を介して基体表面上の活性水素と反応して結合を形成する ことができ、 該結合を形成し得る親水性部位と、 疎水性部位を同一分子内に 有するものであれば、 特に制限されないが、 下記式 ( I ) で表される化合物 が好ましい。
[0080] [化 3]
(R1)n M1( X )m-n (
[0081 ] 前記式 ( I ) 中、 R1は置換基を有していてもよい炭化水素基、 置換基を有 していてもよいハロゲン化炭化水素基、 連結基を含む炭化水素基又は連結基 を含むハロゲン化炭化水素基を表す。
[0082] 前記置換基を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基としては、 メチル 基、 ェチル基、 n -プロピル基、 イソプロピル基、 n -ブチル基、 イソブチル 基、 s e c -ブチル基、 t -ブチル基、 n -ペンチル基、 イソペンチル基、 ネオ ペンチル基、 t -ペンチル基、 n -へキシル基、 イソへキシル基、 n -ヘプチル 基、 n -ォクチル基、 n -デシル基等の炭素数 1 3 0のアルキル基; ビニル 基、 プロぺニル基、 ブテニル基、 ペンテニル基等の炭素数 2 3 0のァルケ ニル基; フヱニル基、 ナフチル基等のァリール基;等が挙げられる。
[0083] 前記置換基を有していてもよいハロゲン化炭化水素基のハロゲン化炭化水 素基としては、 炭素数 1 3 0のハロゲン化アルキル基、 炭素数 2 3 0の ハロゲン化アルケニル基、 ハロゲン化ァリール基等が挙げられる。 具体的に は、 上記例示した炭化水素基中の水素原子の 1個以上がフッ素原子、 塩素原 子又は臭素原子等のハロゲン原子に置換された基が挙げられる。
[0084] これらの中でも、 前記ハロゲン化炭化水素基としては、 炭素数 1 3 0の アルキル基中の水素原子の 2個以上がハロゲン原子に置換された基が好まし
く、 炭素数 1 3 0のアルキル基中の水素原子の 2個以上がフッ素原子に置 換されたフッ素化アルキル基がより好ましい。 また、 フッ素化アルキル基が 分岐構造を有する場合には、 分岐部分は炭素数 1 4、 好ましくは炭素数 1 2の短鎖であるのが好ましい。
[0085] フッ素化アルキル基としては、 末端炭素原子にフッ素原子が 1個以上結合 した基が好ましく、 末端炭素原子にフッ素原子が 3個結合した C F基部分を
3
有する基がより好ましく、 末端部分に、 アルキル基の全ての水素原子がフッ 素原子に置換されたペルフルォ口アルキル部分を有し、 かつ後述する金属原 子 M1との間に、 - ( C H ) - (式中、 hは 1 6の整数を表し、 好ましくは 2
2 h
4の整数である。 ) で表されるアルキレン基を有する基が特に好ましい。
[0086] フッ素化アルキル基中のフッ素原子数は、 [ (フッ素化アルキル基中のフ ッ素原子数) Z (フッ素化アルキル基に対応する同一炭素数のアルキル基中 に存在する水素原子数) X 1 0 0 ] %で表現したときに、 6 0 %以上である のが好ましく、 8 0 %以上であるのがより好ましい。
[0087] 前記置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよい ハロゲン化炭化水素基の置換基としては、 力ルポキシル基; アミ ド基; イミ ド基; エステル基; メ トキシ基、 ェトキシ基等のアルコキシル基;又は水酸 基等が挙げられる。 これらの置換基の数は 0 3であるのが好ましい。
[0088] 連結基を含む炭化水素基の炭化水素基としては、 具体的には、 前記置換基 を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基として挙げたものと同様のもの が挙げられる。
[0089] また、 連結基を含むハロゲン化炭化水素基のハロゲン化炭化水素基として は、 具体的には、 前記置換基を有していてもよいハロゲン化炭化水素基のハ ロゲン化炭化水素基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
[0090] 前記連結基は、 炭化水素基若しくはハロゲン化炭化水素基の炭素-炭素結合 間、 又は炭化水素基の炭素と後述する金属原子 M1との間に存在するのが好ま しい。
[0091 ] 連結基の具体例としては、 -o-、 -S -、 -S O -、 -C O-, -C ( = 0 ) O-
又は- C ( = 0) N R21- (式中、 R21は、 水素原子; メチル基、 ェチル基、 n - プロピル基、 イソプロピル基等のアルキル基; を表す。 ) 等が挙げられる。
[0092] これらの中でも、 R1としては、 撥水性、 耐久性の観点から、 炭素数 1 3
0のアルキル基、 炭素数 1 30のフッ素化アルキル基、 又は連結基を含む フッ素化アルキル基であるのが好ましい。
[0093] R1のより好ましい具体例としては、 CH -、 CH CH -、 (CH ) C H-
3 3 2 3 2
、 (C H ) C一、 CH (CH ) -、 CH (CH ) -、 CH (CH ) -、 C
3 3 3 2 2 3 2 3 3 2 4
H (CH ) -、 CH (CH ) -、 CH (CH ) -、 CH (CH ) -、 CH
3 2 5 3 2 6 3 2 7 3 2 8 3
(CH ) -、 CH (CH ) -、 CH (CH ) -、 CH (CH ) -、 CH
2 9 3 2 10 3 2 11 3 2 12 3
(CH ) -、 CH (CH ) -、 CH (CH ) -、 CH (CH ) -、 CH
2 13 3 2 14 3 2 15 3 2 16 3
(CH ) -、 CH (CH ) -、 CH (CH ) -、 CH (CH ) -、 CH
2 17 3 2 18 3 2 19 3 2 20 3
(CH ) -、 CH (CH ) -、 CH (CH ) -、 CH (CH ) -、 CH
2 21 3 2 22 3 2 23 3 2 24 3
(CH ) 一、
2 25
[0094] C F -、 C F C F -、 (C F ) C F -、 (C F ) C -、 C F (CH ) -、
3 3 2 3 2 3 3 3 2 2
C F (C F ) (CH ) -、 C F (C F ) (CH ) -、 C F (C F ) (C
3 2 3 2 2 3 2 5 2 2 3 2 7
H ) -、 C F (C F ) (CH ) -、 C F (C F ) (CH ) -、 C F (C
2 2 3 2 3 2 3 3 2 5 2 3 3
F ) (CH ) -, C F (C F ) O (C F ) (CH ) -、 C F (C F )
2 7 2 3 3 2 4 2 2 2 2 3 2 4
O (C F ) (CH ) -. C F (C F ) O (C F ) (CH ) -、 C F (C
2 2 2 3 3 2 7 2 2 2 2 3
F ) CONH (CH ) -、 C F (C F ) CONH (CH ) -、 C F (C F
2 7 2 2 3 2 7 2 3 3
) O [C F (C F ) C F (C F ) O] C F (C F ) CON H (CH ) -、
2 3 3 3 2 3 2 3
[0095] CH (C F ) (CH ) -、 CH (C F ) (CH ) -、 CH (C F ) (
3 2 7 1 1 3 2 8 1 1 3 2 9
CH ) -、 CH (C F ) (CH ) -、 CH (C F ) (CH ) 一、 CH (
1 1 3 2 10 1 1 3 2 11 1 1 3
C F ) (CH ) -、 CH (C F ) (CH ) -、 CH (C F ) (CH ) -
2 12 1 1 3 2 7 2 3 3 2 9 2 3
、 CH (C F ) (CH ) -、 CH CH (C F ) (CH ) -. CH CH
3 2 11 2 3 3 2 2 6 2 2 3 2
(C F ) (CH ) 一、 CH CH (C F ) (CH ) 一、 CH (C F ) O
2 8 1 1 3 2 2 10 1 1 3 2 4
(C F ) (CH ) -、 CH (C F ) (CH ) O (CH ) -、 CH (C F
1 1 1 1 3 2 7 1 1 2 3 3 2
) (CH ) O (CH ) -、 CH (C F ) (CH ) O (CH ) -、 CH C
8 1 1 2 3 3 2 9 1 1 2 3 3
H (C F ) (CH ) O (CH ) 一、 CH (C F ) CON H (CH ) 一、
2 2 6 1 1 2 3 3 2 6 2 3
C H (C F ) CONH (CH ) -、 CH (C F ) O [C F (C F ) C F
3 2 8 2 3 3 2 3 3
(C F ) O] C F (C F ) CON H (CH ) -、 等が挙げられる。
3 2 3 2 3
[0096] M1は、 ケィ素原子、 ゲルマニウム原子、 スズ原子、 チタン原子、 及びジル コニゥム原子からなる群から選ばれる 1種の金属原子を表す。 これらの中で も、 原料の入手容易性、 反応性等の観点から、 ケィ素原子又はチタン原子が 好ましく、 ケィ素原子が特に好ましい。
[0097] Xは加水分解性基を表す。 加水分解性基としては、 水と反応して分解して 水酸基を生成する基であれば特に制約されない。 例えば、 置換基を有してい てもよい炭素数 1 6のアルコキシル基;置換基を有していてもよいァシル ォキシ基; フッ素原子、 塩素原子、 臭素原子、 ヨウ素原子等のハロゲン原子 ; イソシァネート基; シァノ基; アミノ基;又はアミ ド基等が挙げられる。
[0098] 炭素数 1 6のアルコキシル基としては、 メ トキシ基、 エトキシ基、 n-プ 口ポキシ基、 イソプロポキシ基、 n-ブトキシ基、 s e c-ブトキシ基、 t-ブ トキシ基、 n-ペンチルォキシ基、 n-へキシルォキシ基等が挙げられる。 ァ シルォキシ基としては、 ァセトキシ基、 プロピオニルォキシ基、 n-プロピル カルポニルォキシ基、 イソプロピルカルポニルォキシ基、 n-プチルカルポ二 ルォキシ基等が挙げられる。 これらの置換基としては、 力ルポキシル基、 ァ ミ ド基、 イミ ド基、 エステル基、 水酸基等が挙げられる。
[0099] これらの中でも、 Xとしては、 炭素数 1 6のアルコキシル基、 ァシルォ キシ基又はイソシァネート基が好ましく、 炭素数 1 4のアルコキシル基又 はァシルォキシ基がよリ好ましい。
[0100] mは、 金属原子 M1の原子価を表す。
nは、 1から (m-1 ) のいずれかの整数を表す。 高密度の有機薄膜を形成 する上では、 nは 1であるのが好ましい。
nが 2以上のとき、 R1は同一であっても、 相異なっていてもよい。
また、 (m-n) が 2以上のとき、 Xは同一であっても、 相異なっていても よい。
[0101] 本発明においては、 前記式 ( I ) で表される化合物の中でも、 下記 ( i )
(v) で表される化合物を好ましく例示することができ、 ( i ) で表され る化合物が特に好ましい。
[0102] ( i ) C F - (C F ) -R2-M1Y1 X
3 2 p q r m-r
( i i ) CH - (CH ) - M1Y1 X
3 2 g r m-r-1
( i i i ) CH - (CH ) - O - (CH ) - M1Y1 X
3 2 s 2 t r m-r-1
( i v) CH - (CH ) - S i (CH ) - (CH ) - M1Y1 X
3 2 u 3 2 2 v r m-r-1
(v) C F COO - (CH ) - M1Y1 X
3 2 w r m-r-1
[0103] 上記式 ( i ) (v) 中、 M1、 X及び mは前記と同じ意味を表す。
R2は、 アルキレン基、 ビニレン基、 ェチニレン基、 ァリーレン基、 又はケ ィ素原子及び 若しくは酸素原子を含む 2価の連結基を表す。
R2の具体例としては、 次のものが挙げられる。
[化 4]
Y1は、 水素原子; メチル基、 ェチル基、 n-プロピル基、 イソプロピル基、 n-ブチル基、 イソブチル基、 s e c-ブチル基、 t-ブチル基、 n-ペンチル 基、 イソペンチル基、 ネオペンチル基、 t-ペンチル基、 n-へキシル基、 ィ ソへキシル基等のアルキル基; メ トキシ基、 エトキシ基、 n-プロポキシ基、
イソプロポキシ基、 n-ブトキシ基、 s e c-ブトキシ基、 t-ブトキシ基、 n -ペンチルォキシ基、 n-へキシルォキシ基等のアルコキシル基; アルキル基 の一部又はすベての水素原子がフッ素原子に置換された含フッ素アルキル基 ;又はアルコキシル基の一部若しくはすべての水素原子がフッ素原子に置換 された含フッ素アルコキシル基;等を表す。
[0106] rは、 0から (m-2) のいずれかの整数を表すが、 高密度の有機薄膜を製 造する上では、 0が好ましい。 また、 rが 2以上のとき、 Y1は同一であって も相異なっていてもよく、 (m-r-i ) が 2以上のとき、 Xは同一であって も相異なっていてもよい。
pは 0又は自然数を表し、 qは 0又は 1を表す。
g、 s、 t、 u、 v、 及び wは、 任意の整数を表す。 特に好ましい範囲は 、 gは 1 25、 sは 0 1 2、 tは 1 20、 uは 0 1 2、 vは 1 2 0、 wは 1 25である。
[0107] 前記式 ( I ) で表される化合物の具体例としては、 下記に示すものが挙げ られる。
なお、 以下においては、 金属原子 M1がケィ素原子である化合物を代表例と して示しているが、 本発明はこれらに限定されるものではない。 また、 加水 分解性基についても、 例示した官能基に限定されず他の加水分解性基が結合 したものであってもよい。
[0108] CH (C H ) S i (OC H )
3 2 7 3 3
CH (C H ) S i (OC H )
3 2 δ 3 3
CH (C H ) S i (OC H )
3 2 9 3 3
CH (C H ) S i (OCH )
3 2 10 3 3
CH (C H ) S i (OCH )
3 2 11 3 3
CH (C H ) S i (OCH )
3 2 12 3 3
CH (C H ) S i (OCH )
3 2 13 3 3
CH (C H ) S i (OCH )
3 2 14 3 3
CH (C H ) S i (OCH )
() () () ()CH SiCHCH SiOCH
( () () () Cc Hェ SCiHC SCHiOH
( ( ) ( ) ( ) Ccェ S HC iHC SCHiO H
O
( ) () C CHHC S oHiOCH
( () ( ) Cc FC C SHHCiOH =
( ( ) ( ) Cc FC SHiCOH
( ) ( ) C cHooC SHiOCH
(Ω (Ω (Ω 0) (Ω (Ω (Ω (Ω 0) (Ω W ( () () () Cc Hェ SCiHC SCHiOH
( ( ) ( ) ( ) Cc Hェ SC iHC SCHiOH
( ) ( ) C C Fェ oC SHiOCH
〔〕 ( ) ( ) C C0109HH οC SHiOCH
( ) C Hc H 〇 C H
( ) C Hc H 〇 C H
( ) C Hc H 〇 C H
( ) C Hc H 〇 C H
( ) C Hc H 〇 C H
( ) C Hc H 〇 C H
( ) C Hc H 〇 C H
( ) C Hc H 〇 C H
( ) C Hc H 〇 C H
( ) C Hc H 〇 C H
( ) Cc HェC Oェ
( ) ( ) ( ) ) cCFCH Si〇H〇H■
C
o o o o o o o o o o o o o o
c
c
c
c
c
c
c
c
( ) () C C ScCェi HOH
( ) ( ) ( ) C CC SCC FHiHOH
C H (C F ) (C H ) O (C H ) S (O C H )
3 2 7 2 2 2 3 3
C H (C F ) (C H ) O (C H ) S (O C H )
3 2 8 2 2 2 3 3
C H (C F ) (C H ) O (C H ) S (O C H )
CH CH (C F ) (C H ) O (C H ) S i (OCH )
3 2 2 6 2 2 2 3 3 3
CH (C F ) CO N H (CH ) S i (OCH )
3 2 6 2 3 3 3
CH (C F ) CO N H (CH ) S i (OCH )
3 2 8 2 3 3 3
CH (C F ) O [C F (C F ) C F (C F ) O] C F (C F ) CO N H
3 2 3 3 3 2 3
(C H ) S i (OCH )
2 3 3 3
これらの化合物は 1種単独で、 あるいは 2種以上を組み合わせて用いるこ とができる。
前記有機溶媒溶液中の金属系界面活性剤の含有量は、 特に制限はないが、 緻密な単分子膜を製造するためには、 0. 1 30重量%の範囲が好ましい
[0114] 第 2の薄膜は、 前記第 1の薄膜に、 上述した有機金属化合物を含有する溶 液 (以下、 「第 2の薄膜形成用組成物」 ということがある) を接触させ、 得 られた第 2の薄膜形成用組成物の塗膜を乾燥して形成することができる。
[0115] 前記第 2の薄膜形成用組成物としては、 前記有機金属化合物を含有する溶 液であればよいが、 前記有機金属化合物と触媒とを水の存在下に混合して得 られるものが好ましい。
[0116] ここで、 第 2の薄膜形成用組成物の調製に用いる有機溶媒としては、 前記 金属化合物等の有機溶媒溶液に用いる有機溶媒として列記したものと同様の ものが挙げられる。
[0117] 前記有機金属化合物と混合する触媒としては、 有機金属化合物の金属部分 又は加水分解性基部分と、 配位結合や水素結合等を介して相互作用をするこ とにより、 加水分解性基又は水酸基を活性化させ、 縮合を促進させる作用を 有する触媒であれば、 特に制限されない。 なかでも、 金属酸化物、 金属アル コキシド類、 金属アルコキシド類部分加水分解生成物、 シラノール縮合触媒 及び酸触媒からなる群から選ばれる少な〈とも 1種の化合物が好まし〈、 金
属アルコキシド類、 金属アルコキシド類部分加水分解生成物がよリ好ましい
[0118] 金属酸化物としては、 特に限定されないが、 チタン、 ジルコニウム、 アル ミニゥム、 ケィ素、 ゲルマニウム、 インジウム、 スズ、 タンタル、 亜鉛、 タ ングステン、 鉛からなる群から選ばれる一種の金属の酸化物を好ましく例示 することができる。
[0119] 金属酸化物は、 ゾル、 ゲル、 固体状等の何れの状態のものも使用すること ができる。 ゲル、 ゾルの製造方法は、 特に限定されず、 例えばシリカゾルを 例にとると、 珪酸ナトリウム溶液を陽イオン交換する方法、 シリコンアルコ キシドを加水分解する方法等を例示することができる。 特に、 有機溶媒中に 安定に分散しているゾルが好ましく、 さらに、 ゾルの粒子径が 1 0 1 00 nmの範囲、 さらに好まし〈は、 1 0 20 n mの範囲であるものが好まし し、。 ゾルの形状は特に限定されず、 球状、 細長い形状等、 いずれのものも用 いることができる。
[0120] 具体的には、 メタノールシリカゾル、 I PA-ST、 I PA-ST-U P、 I PA_ST_Z L、 N PC_ST_30、 DMAC_ST、 MEK_ST、 M I B K-ST、 XBA-ST、 PMA-ST (以上、 いずれも日産化学工業 (株) 社 製オルガノシリカゾルの商品名を表す。 ) 等を例示することができる。
[0121] 金属アルコキシド類としては、 特に限定されないが、 透明性に優れる有機 薄膜を得ることができること等の理由から、 チタン、 ジルコニウム、 アルミ 二ゥム、 ケィ素、 ゲルマニウム、 インジウム、 スズ、 タンタル、 亜鉛、 タン グステン及び鉛からなる群から選ばれる少なくとも 1種の金属のアルコキシ ド類が好ましい。
[0122] 金属アルコキシド類のアルコキシル基の炭素数は特に限定されないが、 含 有酸化物濃度、 有機物の脱離の容易さ、 入手の容易さ等から、 炭素数 1 4 がより好ましい。
[0123] 本発明に用いる金属アルコキシド類の具体例としては、 S i (OCH ) 、
3 4
S i (OC H ) 、 S i (OC H - i ) 、 S i (OC H -t ) 等のケィ素ァ
ルコキシド; T i (O C H ) 、 T i (O C H ) 、 T i (O C H - i ) 、 丁
3 4 2 5 4 3 7 4 i (OC H ) 等のチタンアルコキシド; T i [OS i (C H ) ] 、 T i [
4 9 4 3 3 4
OS i (C H ) ] 等のテトラキストリアルキルシロキシチタン; Z r (O
2 5 3 4
C H ) 、 Z r (OC H ) 、 Z r (OC H ) 、 Z r (OC H ) 等のジル
3 4 2 5 4 3 7 4 4 9 4 コニゥムアルコキシド; A l (OCH ) 、 A I (OC H ) 、 A I (OC H
3 3 2 5 3 3
- i ) 、 A I (OC H ) 等のアルミニウムアルコキシド; G e (OC H )
7 3 4 9 3 2 5 4 等のゲルマニウムアルコキシド; I n (OCH ) 、 I n (OC H ) 、 I n
3 3 2 5 3
(OC H - i ) 、 I n (OC H ) 等のインジウムアルコキシド; S n (O
3 7 3 4 9 3
C H ) 、 S n (OC H ) 、 S n (O C H - i ) 、 S n (OC H ) 等のス
3 4 2 5 4 3 7 4 4 9 4 ズアルコキシド; T a (OCH ) 、 T a (OC H ) 、 T a (O C H - i )
3 5 2 5 5 3 7 5
、 T a (OC H ) 等のタンタルアルコキシド; W (OCH ) 、 W (OC H
4 9 5 3 6 2
) 、 W (OC H - i ) 、 W (OC H ) 等のタングステンアルコキシド; Z
5 6 3 7 6 4 9 6
n (OC H ) 等の亜鉛アルコキシド; P b (OC H ) 等の鉛アルコキシド
2 5 2 4 9 4
;等が挙げられる。 これらの金属アルコキシド類は 1種単独で、 あるいは 2 種以上を組み合わせて用いることができる。
[0124] また本発明においては、 金属アルコキシド類として、 2種以上の金属アル コキシド類の反応によリ得られる複合アルコキシド、 1種もし〈は 2種以上 の金属アルコキシド類と、 1種もしくは 2種以上の金属塩との反応によリ得 られる複合アルコキシド、 及びこれらの組み合わせを用いることもできる。
[0125] 2種以上の金属アルコキシド類の反応により得られる複合アルコキシドと しては、 アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシドと、 遷移金属の アルコキシドとの反応により得られる複合アルコキシドゃ、 第 3 B族元素の 組合せにょリ錯塩の形で得られる複合アルコキシド等を例示することができ る。
[0126] その具体例としては、 Ba T i (OR) 、 S r T i (OR) 、 Ba Z r (
6 6
OR) 、 S r Z r (OR) 、 L i N b (OR) 、 L i T a (OR) 、 及び
6 6 6 6
、 これらの組合せ、 L i VO (OR) 、 M g A I (OR) 、 (RO) S i
4 2 8 3
OA I (OR' ) 、 (RO) S i OT i (OR' ) 、 (RO) S i OZ r
(OR' ) 、 (RO) S i OB (OR' ) 、 (RO) S i ON b (OR'
3 3 2 3
) 、 (RO) S i OT a (OR' ) 等のケィ素アルコキシドと、 前記金属ァ
4 3 4
ルコキシド類との反応物及びその縮重合物等が挙げられる。 ここで、 R及び
R' はアルキル基等を表す。
[0127] 1種もしくは 2種以上の金属アルコキシド類と 1種もしくは 2種以上の金 属塩との反応により得られる複合アルコキシドとしては、 金属塩と金属アル コキシド類との反応により得られる化合物を例示することができる。
[0128] 金属塩としては、 塩化物、 硝酸塩、 硫酸塩、 酢酸塩、 ギ酸塩、 シユウ酸塩 等を、 金属アルコキシド類としては、 上述した金属アルコキシド類と同様の ものをそれぞれ例示することができる。
[0129] 金属アルコキシド類部分加水分解生成物は、 金属アルコキシド類を完全に 加水分解する前に得られるものであって、 オリゴマーの状態で存在するもの である。
[0130] 金属アルコキシド類の部分加水分解生成物の製造方法としては、 有機溶媒 中、 上記例示した金属アルコキシド類に対し 0. 5 2. 0倍モル未満の水 を用い、 -1 00°Cから有機溶媒還流温度範囲で加水分解する方法を好ましく 例示することができる。
[0131] 前記シラノール縮合触媒としては、 カルボン酸金属塩、 カルボン酸エステ ル金属塩、 カルボン酸金属塩ポリマー、 カルボン酸金属塩キレート、 チタン 酸エステル及びチタン酸エステルキレート等を例示することができる。
[0132] 具体的には、 酢酸第一スズ、 ジブチルスズジラウレート、 ジブチルスズジ ォクテート、 ジブチルスズジアセテート、 ジォクチルスズジラウレート、 ジ ォクチルスズジォクテート、 ジォクチルスズジアセテート、 ジオクタン酸第 —スズ、 ナフテン酸鉛、 ナフテン酸コバルト、 2-ェチルへキセン酸鉄、 ジォ クチルスズビスォクチリチォグリコール酸エステル塩、 ジォクチルスズマレ イン酸エステル塩、 ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、 ジメチルスズメル カプトプロピオン酸塩ポリマー、 ジブチルスズビスァセチルアセテート、 ジ ォクチルスズビスァセチルラウレート、 チタンテトラエトキサイド、 チタン
テトラブトキサイド、 チタンテトライソプロポキサイド、 チタンビス (ァセ チルァセトニル) ジプロポキサイド等を例示することができる。
[0133] 前記酸触媒としては、 塩酸、 硝酸、 ホウ酸、 ホウフッ化水素酸等の鉱酸; 酢酸、 ギ酸、 シユウ酸、 炭酸、 トリフルォロ酢酸、 P -トルエンスルホン酸、 メタンスルホン酸等の有機酸; ジフヱ二ルョードニゥムへキサフルォロホス フェート、 トリフヱニルホスホニゥムへキサフルォロホスフヱ一ト等の光酸 発生剤;等を例示することができる。
[0134] 前記触媒の使用量は、 形成する単分子の有機薄膜の物性に影響を与えない 量であれば特に制限されないが、 有機金属化合物 1モルに対して酸化物換算 モル数で、 通常 0 . 0 0 1 1モル、 好まし〈は 0 . 0 0 1 0 . 2モルで める。
[0135] 前記有機金属化合物と触媒とを混合するに際し、 水を存在させる方法とし ては、 例えば
( a ) 有機金属化合物の有機溶媒溶液に接触して水層を設ける方法、
( b ) 有機金属化合物の有機溶媒溶液中に、 保水性物質を水を含ませた状態 で共存させる方法、
( c ) 有機金属化合物の有機溶媒溶液を、 水分を含む気体に接触させる方法
( d ) 有機金属化合物と触媒を含む有機溶媒溶液に、 適宜水を添加する方法 、 等を例示することができる。
これらの方法は単独で用いても、 2以上を組み合わせて用いてもよい。
[0136] 上記 (a ) - ( d ) の方法において、 用いる水は中性であれば特に制限さ れないが、 純水又は蒸留水を用いるのが好ましい。 また、 用いる有機溶媒は 、 無水のものでも、 あらかじめ一定量の水分含むものでも構わない。
[0137] 上記 (a ) の方法においては、 炭化水素系溶媒等の、 水層と分離する有機 溶媒を用いた場合には、 有機溶媒層と分離した形で水層を共存させてもよい し、 有機金属化合物の有機溶媒溶液を水層中に循環又は通過させ分離した有 機溶媒層を用いてもよい。
低級アルコール等の、 水層と分離しない水の溶解度の大きい有機溶媒を用 いた場合には、 有機溶媒は浸透しないが水は浸透する膜等を介在させて、 有 機金属化合物の有機溶媒溶液と水層を接触させる方法等を例示することがで さる。
[0138] 上記 (b ) の方法において、 保水性物質としては、 有機金属化合物の有機 溶媒溶液中において、 水を分離せずに前記有機溶媒溶液中に浮遊しない物質 が好ましい。
具体的には、 吸水性高分子、 セルロース等の有機系保水材;ゼォライ ト、 珪酸白土、 バーミキユライ ト、 多孔質セラミック等の無機系保水材;界面活 性剤等の、 溶液中に水を核とするミセル分子を形成することのできる化合物 ;等が挙げられ、 なかでも、 ゴミ等の混入が避けられる等の理由から、 ガラ ス繊維フィルター又はセルロース製フィルターが特に好ましい。 また、 有機 溶媒への水の溶解度をあげるために親水性の溶媒を用いる方法も考えられる 。 この場合の親水性溶媒も便宜上保水することのできる物質として含むこと とする。
[0139] 保水性物質に含ませる水分量は特に制限されないが、 有機金属化合物の有 機溶媒溶液中で水が保水性物質と分離して遊離していない状態になるまでの 水分量が好ましい。 また、 水分を適時添加して保水できる物質に含ませるこ ともできる。 また、 保水性物質を、 溶液と外気の界面又は、 外気から連続し て溶液内に設けることにより、 外気の湿気等を吸湿することにより、 水分を 溶液に補給することもできる。
[0140] 上記 (c ) の方法において、 用いる気体は、 溶液中の各成分に影響を及ぼ さないものであれば特に制限されず、 具体的には、 空気、 窒素ガス、 ァルゴ ンガス等を例示することができる。
水分を含む気体を得る方法としては、 気体に水分を含ませる方法;気体を 加湿する方法;等が挙げられる。
[0141 ] 気体に水分を含ませる方法として、 ガスを水中に潜らせる、 ガスを水又は 温水表面に接触させる等の水とガスを接触させる方法;水蒸気を含むガスを
そのまま用いる方法;等を例示することができる。 また、 気体を加湿する方 法として、 蒸気加湿法、 水噴霧加湿法、 又は気化加熱法等を例示することが できる。
[0142] 水分を含む気体と、 有機金属化合物の有機溶媒溶液とを接触させる方法と しては、 水分を含む気体を前記有機溶媒溶液中に吹き込む、 又は前記有機溶 媒溶液表面に吹き付ける方法;有機金属化合物の有機溶媒溶液を、 水分を含 む気体雰囲気下に、 必要に応じて撹拌しながら放置する方法;有機金属化合 物の有機溶媒溶液を、 加湿された雰囲気下に、 必要に応じて撹拌しながら放 置する方法;等を例示することができる。 また、 水分を含む気体を吹き込む 方法においては、 必要に応じて吹き込み装置、 清浄装置、 ろ過装置等を付設 するのが好ましい。
[0143] 上記 (d ) の方法において、 具体的には、 有機金属化合物の有機溶媒溶液 中の水分量の減少を観測し、 減少量に応じて水、 又は相溶性を有する有機溶 媒もし〈は同一の有機溶媒で希釈した水を適宜追加する方法;一定量の水を 含有する同一組成の、 有機金属化合物の有機溶媒溶液を供給する方法;等を 例示することができる。
[0144] 水分含有量としては、 具体的には、 5 0 p p m以上が好ましく、 5 0 p p mから有機溶媒への飽和水分量の範囲、 よリ具体的には、 5 0 1 0 0 0 p p mの範囲がより好ましく、 2 0 0 8 0 0 p p mの範囲が特に好ましい。 水分量が 5 0 p p m以上であると、 迅速に有機薄膜の形成を行うことができ 、 また、 水分量が 1 0 0 0 p p m以下であれば、 金属系界面活性剤等が失活 するという問題がない。
[0145] なお、 ここで示す水分量は、 第 2の薄膜形成用組成物の一部を採取して力 ールフィッシャー法で測定した値である。 測定装置は、 カールフィッシャー 法の原理を用いる装置であれば、 特に限定されない。 なお、 第 2の薄膜形成 用組成物の溶液が均一である場合には、 均一な溶液を一部採取して測定し、 有機溶媒層と水分層が 2層となっている場合には、 有機溶媒層よリ一部採取 して測定し、 有機溶媒中に水分層が分散し分離不可能な状態な場合には、 そ
の分散液をそのまま採取して測定した値を示す。
[0146] 第 2の薄膜形成用組成物を第 1の薄膜と接触させる方法としては、 特に制 限されず、 前記第 1の薄膜形成用組成物の塗布方法と同様の塗工方法を用い ることができるが、 均一な単分子膜を形成するには、 デイツビング法が好ま しい。
[0147] 第 2の薄膜形成用組成物中の有機金属化合物の含有量は、 特に制限はない が、 緻密な薄膜を製造するためには、 0 . 1 3 0重量%の範囲が好ましい また、 有機金属化合物を含有する溶液の塗膜を乾燥する温度は、 通常 2 0 - 1 5 0 °Cであり、 乾燥時間は、 通常数分から数十時間である。
[0148] 以上のようにして得られる第 2の薄膜としては、 単分子膜であるのが好ま しく、 自己集合膜であるのが好ましく、 撥水性及び 又は撥油性を有するも のであるのが好ましい。
[0149] 得られる第 2の薄膜は、 光照射によリ表面が撥水性から親水性に変化する 性質を有する。 これは、 第 1の薄膜が光照射により活性化されて、 第 2の薄 膜の光特性の変化を生じしめたリ、 光照射された第 2の薄膜を分解するため であると考えられる。 光照射により変化する水の接触角は、 特に制限されな いが、 7 0 ° 以上変化するのが好ましい。
[0150] 照射する光としては、 紫外線が好ましく、 波長 3 5 0 n m以下の光がよリ 好ましく、 波長 2 5 0 3 1 0 n mの光が特に好ましい。
[0151 ] また、 照射光量は、 第 2の薄膜が光照射により表面が撥水性から親水性に 変化するだけの照射量であれば、 特に制限されないが、 好ましくは 4 0 J Z c m2以下、 より好ましくは 5 J Z c m2以下である。
[0152] 本発明の光感応性基体は、 好ましくは波長が 3 5 0 n m以下、 よリ好まし くは 2 5 0 3 1 0 n mの光に対して高い光感応性を有するので、 低い光照 射量であっても高い光感応性を発揮する。 ディスプレイや蛍光灯等において は、 3 6 5 n m以上の波長の光が存在する。 本発明の光感応性基体は、 3 6 5 n m以上の波長の光に対してほとんど感応しないものであるので、 デイス
プレイ、 蛍光灯、 太陽光等の 3 6 5 n m以上の波長の光を多く含む光が照射 された場合であっても、 ダメージを受けることが少なく、 取扱い性及び保存 安定性に優れている。
[0153] 2 ) パターニング方法
本発明のパターニング方法は、 本発明の光感応性基体の所定部分を光照射 し、 光照射された有機金属化合物部分の第 2の薄膜の光特性の変化を利用す ること、 第 2の薄膜を分解及び 又は除去することを特徴とする。
照射する光としては、 紫外線が好ましく、 波長 3 5 0 n m以下の光がよリ 好まし〈、 波長 2 5 0 3 1 0 n mの光が特に好ましい。
[0154] 光源としては、 紫外線を照射することができるものであれば特に制限され ないが、 2 5 4 n mの紫外光を照射できる殺菌灯の使用が特に好ましい。 ま た、 照射光量は、 好まし〈は 4 0 J c m2以下、 より好ましくは 5 J Z c m 以下である。
[0155] 本発明のパターニング方法は、 本発明の光感応性基体の所定部分に紫外光 を照射することで、 本発明の光感応性基体の基体表面を撥水性から親水性に 変化させてパターニングを行うものである。 紫外光の照射は、 通常は第 2の 薄膜が形成された面側から第 2の薄膜の所定部分に行うが、 基体として透明 基体を使用する場合には、 透明基体側から行うこともできる。
[0156] 本発明のパターニング方法の好ましい態様としては、 本発明の光感応性基 体の第 2の薄膜側に、 所望のパターンを有し、 紫外光を遮断するマスクを配 置して紫外光を照射することで、 本発明の光感応性基体のパターニングを行 うものが挙げられる。
[0157] 本発明のパターニング方法は、 従来のフォトリソグラフィープロセスと同 様、 種々の薄膜プロセスに応用できる。 例えば、 金属膜、 セラミック膜、 有 機材料膜等のパターニングゃ、 パターニングされたこれらの膜を形成するこ とができる。
発明を実施するための最良の形態
[0158] 以下、 実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、 本発明の範囲は
実施例に限定されるものではない。
実施例
[0159] (実施例 1 1 2)
( 1 ) 第 1の薄膜形成用組成物の調製
窒素ガス置換した 4つ口フラスコ中で、 チタンテトライソプロポキシド ( 製品名 : A-1、 純度 99%、 酸化チタン換算濃度 28. 2重量1 ½、 日本曹達 社製) をエタノールで希釈し、 ァセト酢酸ェチル (和光純薬社製) を滴下し て、 室温で 0. 5時間攪拌した。 得られた溶液に、 エタノールで希釈したィ オン交換水を滴下して、 室温で 3時間攪拌することにより、 酸化チタン換算 で 1重量%の無色透明な溶液 (C-1 ) を得た。 テトライソプロポキシチタン : ァセト酢酸ェチル: イオン交換水のモル比は 1 : 2 : 1に調整した。
[0160] 4つ口フラスコ中で、 チタンテトライソプロボキシド (製品名 : A-1、 純 度 99%、 酸化チタン換算濃度 28. 2重量%、 日本曹達社製) 1 2. 4 g をトルエン 45. O gに溶解した (この溶液を 「溶液 (1 ) 」 とする) 。 フ ラスコ内部を窒素ガス置換した後に、 エタノール 液体窒素バス中で- 80°C に冷却した。
[0161] 別に、 イオン交換水 1. 26 g (モル比 (水 T i原子) = 1. 6) をィ ソプロパノール 1 1. 3 gに混合した溶液を調製した。 この溶液を- 80 - 70°Cに冷却した状態で、 上記溶液 (1 ) 中へ攪拌しながら滴下した。 滴下 中は、 フラスコ内の液温を- 80 - 70°Cに維持した。 滴下終了後、 30分 間同温度で攪拌した後、 攪拌を継続しながら室温まで昇温して、 無色透明な 第 1の薄膜形成用組成物 (C-2) を得た。 この組成物の固形分濃度は酸化チ タン換算で 1重量%であった。
[0162] また、 メチルシリケート (MS 51、 コルコート社製) をエタノールで S i O換算濃度 1重量%に希釈した溶液と、 上記 (C-1 ) とを重量比で 1 : 4
2
に混合することにより、 第 1の薄膜形成用組成物 (C-3) を調製した。
[0163] (2) 第 2の薄膜形成用組成物の調製
水分量 350 p pmのトルエンに、 n-ォクタデシルトリメ トキシシラン (
G e I e s t社製、 以下、 「ODS」 と略記する。 ) を 0. 5重量%の濃度 になるように加えて、 室温で 30分間攪拌した。 この溶液を溶液 (2) とす る。
[0164] 次に、 得られた溶液 (2) 中に、 前記第 1の薄膜形成用組成物を、 前記溶 液 (2) 中の ODSに対し 0. 1倍モル量 (酸化チタン換算) 滴下し、 滴下 終了後、 室温で 3時間攪拌した。 得られた溶液を溶液 (3) とする。
[0165] 次いで、 溶液 (3) に、 溶液 (3) の 1 O O gに対して蒸留水 1 gとなる 量の蒸留水を滴下し、 室温で 2時間静置して第 2の薄膜形成用組成物 (B-1 ) を得た。 第 2の薄膜形成用組成物 (B-1 ) の水分含有量は 550 p pmで あった。
[0166] (3) 光感応性基体の作製
上記で得た (C-1 C-3) の組成物を用いて、 デイツビング法により、 下記に示す基板 (D-1 D-4) 上に第 1の薄膜 (E-1 E-8) を形成し た。 第 1の薄膜は、 引上げ速度: 1 O cmZ分で成膜して、 60°C、 1 0分 間乾燥して形成した。
得られた第 1の薄膜 (E-1 E-8) の膜厚は、 1 5±3 nmであった。
X線回折の結果より、 第 1の薄膜 (E-1 E-8) は全てアモルファスであ つた。
[0167] また、 同様に (C-1 C-3) の組成物を用いて、 メイャバ一法 (バー N o. 3を使用) により、 下記に示す基体 (D-1、 D-2) 上に成膜し、 得ら れた塗膜を、 温度 60°C、 1 0分間乾燥することにより、 第 1の薄膜 (E-9 -E-1 2) を形成した。
得られた第 1の薄膜 (E-9 E-1 2) の膜厚は、 1 5±3 nmであった 。 X線回折の結果より、 第 1の薄膜 (E-9 E-1 2) は全てアモルファス であった。
[0168] 次に、 上記で作製した第 1の薄膜 (E-1 E-1 2) を有する基板を UV
オゾン洗浄器で 5分間洗浄した後、 第 2の薄膜形成用組成物 (B-1 ) 中に 1分間浸潰した。 浸漬後、 トルエンで超音波洗浄し、 余分に付着した前記の
第 2の薄膜形成用組成物を除去した後、 60°Cで 1 0分間乾燥することによ リ、 第 2の薄膜が形成された光感応性基体 (F-1 F-1 2) を得た。
[0169] (比較例 1 , 2)
基体 (D-3) 上に、 第 1の薄膜を形成しない以外は実施例 1 と同様にして 、 第 2の薄膜を直接に形成した光感応性基体 (F-1 3) を作製した (比較例
1 )
また、 基体 (D-1 ) 上に、 第 1の薄膜を形成しない以外は実施例 1 と同様 にして、 第 2の薄膜の形成を試みたが、 第 2の薄膜は形成されなかった (こ の基体を 「F-1 4」 とする (比較例 2) 。
[0170] <使用した基体 >
基体としては、 下記のものを使用した。
D-1 :ポリエステルフィルム:ルミラー (東レ社製、 250 im厚)
D-2 :ポリイミ ドフィルム: カプトン (デュポン社製、 1 25 m厚)
D-3 :無アルカリガラス: AN-1 00 (旭硝子社製)
D-4 : S U S 304
[0171] <膜外観 >
上記で得た光感応性基体 (F-1 F-1 2) の第 1の薄膜及び第 2の薄膜 の外観を目視により観察した。 また、 同様に比較例 1 , 2の基体 (F-1 3, F-1 4) の外観を観察した。 これらの観察結果を第 1表に示す。
[0172] <膜密着性評価試験 (セロテープ (登録商標) 剥離試験) >
上記で得た光感応性基体 (F-1 F-1 3) の第 2の薄膜にセロテープ ( 登録商標) を貼り付け、 指の腹で複数回擦りつけて後、 テープを引き剥がし て基体上の膜の剥離の有無を目視により観察した。 剥離しない場合を〇、 剥 離した場合を Xとして評価した。 評価結果を第 1表に示す。
[0173] <第 1の薄膜の深さ方向の元素分布 >
上記で得た光感応性基体 (F-1 F-1 3) 及び比較例 2の基体 (F-1 4 ) の表面から、 アルゴンスパッタリングにより約 1 O nmの深さ方向に 1 k v、 0. 25分間隔で膜を削り、 X線光電子分光法により膜中の炭素原子、
酸素原子、 金属原子 (シリコン、 チタン原子等) の含有率を測定した。 XP S装置 (Q u n t um2000) (アルバックフアイ社製) を用いた。
[0174] <第 1の薄膜の元素分布 >
上記と同様の方法で、 試料の表面から約 5 nmの深さ (第 1の薄膜) にお ける元素分布を測定し、 炭素元素の含有比率を次式により求めた。
[0175] [数 1] 炭素元素の含有比率 (%)
= (炭素原子の濃度) / (酸素原子 +炭素原子の濃度十全金属原子の濃度) X 100
[0176] 上記で得た光感応性基体 ( F- 1 F- 1 3 ) の第 1の薄膜及び基体 ( F- 1
4) の炭素元素の含有比率を第 1表に示した。
なお、 第 1表中、 D i pはデイツビング法を、 Ba 「はメイャバ一法をそ れぞれ表す。
[0177] [表 1]
第 1 表
[0178] 第 1表より、 実施例 1 1 2の第 1の薄膜は、 透明で、 炭素原子含有比率 が 7 1 2%の薄膜であり、 密着性に優れるものであった。
[0179] また、 光感応性基体 (F-1 ) の ESC Aでの深さ方向の元素分布を図 1に
示した。
図 1中、 横軸は表面からの深さ (nm) 、 縦軸は原子の含有比率 (%) を それぞれ表す。 また、 C 1 sは炭素原子の含有比率を、 T i 2 sはチタン原 子の含有比率を、 01 sは酸素原子の含有比率をそれぞれ表す。
[0180] 図 1より、 第 1の薄膜は有機物由来の炭素を含有しており、 この有機物に より、 基体への密着性が維持されていると考えられる。 また、 実施例 1にお ける光感応性基体 (F-1 ) の ES C Aの深さ方向の元素分布から、 表面から 深さ 1 nm付近までの領域には、 ODSの単分子膜が形成されており、 その 下層に炭素の含有した T i O膜が形成されていることが判明した。
2
[0181] (4) パターニング方法
上記で得た光感応性基体 (F-1 F-1 2) に紫外線を照射したところ、 有機金属化合物を用いてなる薄膜が、 撥水性から親水性に変化した。 照射光 の波長、 光量を変えて測定し、 光感応性基体の光感応特性を求めた。 評価法 を以下に示す。 評価結果を、 第 2表にまとめて示す。
[0182] <接触角 (親水性評価試験) >
接触角測定器 (36 O S型、 エルマ (株) 社製) を用いて、 試料の光感応 性基体表面層にマイクロシリンジから水滴若し〈はテトラデカン 5 I を滴 下した後、 1 0秒後の試料表面の接触角を測定した。
[0183] <光源ランプ >
以下の U V照射用ランプを用いた。
A. 殺菌灯 (G L-1 5 : 254 n mの U V光、 東芝社製) :
強度 4 mW c
B. ブラックライ ト (F L 1 5 B L B : 365 nmのUV光、 東芝社製) : 強度 2 mW c
第 2表中、 光源ランプの表記として、 Aは殺菌灯を、 Bはブラックライ ト をそれぞれ表す。
[0184] <評価方法 >
光感応性基体 (F-1 F-1 3) 及び基体 (F-1 4) に紫外線を照射し、
接触角を測定した。 照射光波長、 照射光量を変えて有機金属化合物を用いて なる薄膜が、 撥水性から親水性に変化する程度を接触角にて評価した。 水の 接触角がともに 5° 以下になる最低光量を算出し、 照射光量 (JZcm2) と した。
なお、 実施例 1の光感応性基体 (F-1 ) にブラックライ トを照射した場合 を、 比較例 3とした。
第 2表に、 光感応性基体及び光源の種類、 光照射前の水及びテトラデカン の接触角をまとめた。
2]
第 2表から、 照射光量 1. 2- 1. 6 JZcmで、 実施例 1 1 2の光感 応性基体 (F-1 F-1 2) では、 殺菌灯を使用して波長 254 nmの紫外
光を照射すると、 水の接触角が、 撥水性の 1 00° 以上から超親水性の 5° 以下の領域まで変化した。 また、 実施例 1 1 2の光感応性基体 (F-1 F -1 2) では、 照射光量 1. 2 1. 6 J c m
2で、 テトラデカンの接触角が 30° 以上の撥油性から 5° 以下の親油性に変化した。 これらのことから、 第 1の薄膜が 254 nmの波長の光により活性化されて、 第 2の薄膜に含ま れる有機物 (ODS) の有機部分が短時間で分解されたと考えられる。 一方 、 実施例 1の光感応性基体 ( F- 1 ) は、 365 n mの波長の光には感応しな かった (比較例 3) 。
[0187] (実施例 1 3)
ジ (イソプロボキシ) ビス (ァセチルァセトナト) チタン (T i (0- i - C H ) (a c a c) ) 8. 75 gのイソプロピルアルコール溶液 ( 25重
3 7 2 2
量%溶液) に、 水 35. 05 g (モル比 (水 T i原子) =44. 4) を加 えて加水分解反応を行った。 得られた反応液をイソプロピルアルコールで希 釈し、 酸化チタン換算で 1重量%の無色透明な第 1の薄膜形成用組成物 (C- 4) を得た。
[0188] ジ (イソプロボキシ) ビス (ァセチルァセトナト) チタンのイソプロピル アルコール溶液は、 チタンテトライソプロポキシドのイソプロピルアルコー ル溶液に、 2倍モルのァセチルアセトンを添加して攪拌する、 公知の方法に より調製した。
[0189] 得られた組成物 (C-4) を、 メイャバ一法 (バー N o. 5を使用) により 、 基板 (D-1 ) 上に塗布し、 得られた塗膜を温度 60°C、 1 0分間乾燥する ことにより、 第 1の薄膜 (E-1 3) を形成した。
得られた第 1の薄膜を有する基板を用い、 実施例 I 1 2と同様にして光 感応性基体 (F-1 5) を得た。
[0190] (実施例 1 4)
ジ (イソプロボキシ) ビス (ラクテート) チタン ( [T i (0- i -C H )
3 7 2
(C H O ) ] ) 7. 98 gのイソプロピルアルコール溶液 (25重量%溶
3 5 3 2
液) に、 水 1 3. 4 g (モル比 (水 ZT i原子) = 1 7) を加えて加水分解
反応を行った。 得られた反応液をイソプロピルアルコールで希釈し、 酸化チ タン換算で 1重量%の無色透明な第 1の薄膜形成用組成物 (C-5) を得た。
[0191] ジ (イソプロボキシ) ビス (ラクテート) チタンのイソプロピルアルコー ル溶液は、 チタンテトライソプロポキシドのイソプロピルアルコール溶液に 、 2倍モルの乳酸を添加して攪拌する公知の方法により調製した。
[0192] 得られた組成物 (C-5) を、 メイャバ一法 (バー N o. 5を使用) により 、 基板 (D-1 ) 上に塗布し、 得られた塗膜を温度 60°C、 1 0分間乾燥する ことにより、 第 1の薄膜 (E-1 4) を形成した。
得られた第 1の薄膜を有する基板を用い、 実施例 1 1 2と同様にして光 感応性基体 (F-1 6) を得た。
[0193] 実施例 1、 1 3、 及び 1 4の光感応性基体 (F-1 ) 、 (F-1 5) 、 及び
(F-1 6) の、 波長 254 nmの紫外光照射時の光感応特性の測定結果を図 2、 3に示す。 図 3において、 黒丸が (F-1 5) の場合、 白丸が (F-1 6 ) の場合である。 また、 比較例 1の光感応性基体 (F-1 3) の波長 254 η mの紫外光照射時の光感応特性の測定結果を図 4に示す。
[0194] 図 2、 3から、 光感応性基体 (F-1 ) 、 (F-1 5) 及び (F-1 6) の第
2の薄膜は、 約 5 7分で親水性に変化することがわかった。 一方、 比較例 1の光感応性基体 (F-1 3) は、 254 n mの波長の光には感応しなかった
[0195] (比較例 4)
無アルカリガラス板 (D-3) 上に、 酸化チタンゾル (STK-03、 石原 産業社製、 平均粒径 20 nm) をスピンコート法により塗布し、 得られた塗 膜を 1 20°Cで 40分乾燥後、 500°Cで 30分焼成することにより酸化チ タン薄膜を形成した。 次いで、 この酸化チタン薄膜が形成されたガラス基板 を第 2の薄膜形成用組成物 (B-1 ) 中に 1分間浸漬した。 浸漬後、 トルエン で超音波洗浄し、 余分に付着した前記の第 2の薄膜形成用組成物を除去した 後、 60°Cで 1 0分間乾燥して、 第 2の薄膜を形成して光感応性基体 (F-1 7) を得た。
[0196] 得られた光感応性基体 (F-1 7) に、 殺菌灯 (G L-1 5、 強度 4mWZ cm2、 東芝社製) を用いて、 波長 254 nmの紫外線を照射し、 接触角を測 定した。 照射時間と水の接触角の変化を図 5に示す。
図 5から、 本発明の光感応性基体の第 1の薄膜を酸化チタンゾル (アナタ 一ゼ型チタニアゾル) から形成した光触媒層とした比較例 4の光感応性基体 は、 波長 254 nmの紫外光に対して、 光感応性が低いことがわかった。 産業上の利用の可能性
[0197] 本発明の光感応性基体は、 波長が 350 nm以下、 好まし〈は 250 3
1 0 nmの光に対して高い光感応性を有するので、 低い光量であっても良好 な光感応性を発揮する。 また、 ディスプレイや蛍光灯等においては 365 n m以上の波長の光が存在する。 本発明の光感応性基体のうち、 365 nm以 上の波長の光に対してほとんど感応しないものは、 ディスプレイ、 蛍光灯、 太陽光等の 365 nmの紫外光を多く含む光が照射された場合であっても、 ダメージを受けることが少なく、 取扱い性及び保存安定性に優れる。
本発明の光感応性基体によれば、 特に焼成工程等を経ることなく基体上に 第 1の薄膜及び第 2の薄膜を形成できる。 従って、 基体としてプラスチック 製の基体等を使用した場合であっても、 良好な光感応性を有する光感応性基 体を得ることができる。
本発明のパターニング方法によれば、 本発明の光感応性基体を使用して、 簡便に、 かつ短時間で、 従来のフォトリソグラフィ一の技術により形成され たパターンと同様の微細なパターニングが可能である。 従って、 本発明のパ ターニング方法は種々の薄膜プロセスに応用できる。
図面の簡単な説明
[0198] [図 1]図 1は、 実施例 1における光感応性基体 (F-1 ) の ES CAの深さ方 向の元素分布を示す図である。
[図 2]図 2は、 実施例 1における光感応性基体 (F-1 ) の 254 nmの紫外 線照射時の照射時間に対する水の接触角の変化を示す図である。
[図 3]図 3は、 実施例 1 3、 1 4における光感応性基体 (F-1 5) 及び (F-
1 6) の 254 nmの紫外線照射時の照射時間に対する水の接触角の変化を 示す図である。
[図 4]図 4は、 比較例 1における光感応性基体 (F-1 3) の 254 nmの紫 外線照射時の照射時間に対する水の接触角の変化を示す図である。
[図 5]図 5は、 比較例 4における光感応性基体 (F-1 7) の 254 nmの紫 外線照射時の照射時間に対する水の接触角の変化を示す図である。