JP2001342018A - 金属酸化物前駆体溶液及び金属酸化物薄膜 - Google Patents

金属酸化物前駆体溶液及び金属酸化物薄膜

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JP2001342018A
JP2001342018A JP2000162453A JP2000162453A JP2001342018A JP 2001342018 A JP2001342018 A JP 2001342018A JP 2000162453 A JP2000162453 A JP 2000162453A JP 2000162453 A JP2000162453 A JP 2000162453A JP 2001342018 A JP2001342018 A JP 2001342018A
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mol
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JP2000162453A
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Yosuke Hara
陽介 原
Akihiro Shinagawa
昭弘 品川
Nagamitsu Shindo
修光 進藤
Seiichi Rengakuji
聖一 蓮覚寺
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Japan Carlit Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 芳香環の面を基準として二次元方向に十分に
構造規制され、かつ金属酸化物オリゴマーよりも重合度
の高い金属酸化物高分子−芳香族化合物溶媒錯体を含有
する、保存安定性に優れた金属酸化物前駆体溶液と、該
溶液を用いて形成させたクラックの全くない均質な金属
酸化物薄膜を提供する。 【解決手段】 金属塩1モルに対して0.01モル以
上、0.1モル未満となる量の水を含有させた芳香族化
合物溶媒1Lと金属塩0.03〜3.0モルとを混合さ
せた後、加熱させ、金属塩を加水分解させる。ついで金
属塩1モルに対して0.1〜2.0モルとなる量の水含
有アルコール溶液を加え、混合させた後、加熱させ、金
属塩を加水分解させ金属水酸化物ととする共に、金属水
酸化物を脱水縮合させた後、濃縮して金属酸化物前駆体
溶液を得る。基体上に、前記溶液を付着、乾燥、熱処理
させて金属酸化物薄膜を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学材料、光電変
換材料、電子材料、表面保護膜、光触媒等に好適な金属
酸化物薄膜及び該薄膜の形成に用いられる金属酸化物前
駆体溶液に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属酸化物薄膜は、化学的気相成
長法(以下、CVD法と略記)、物理的蒸着法(以下、
PVD法と略記)またはゾルゲル法により形成されてい
た。
【0003】CVD法やPVD法では、大面積の基体上
に薄膜を形成させることができず、また、真空系を必要
とするため高価となり、経済性の点で問題がある。さら
に、PVD法で用いる原料のターゲットは、高価であ
る。
【0004】一方、ゾルゲル法では、大面積の基体上に
薄膜を形成させることができ、原料のゾル液は、安価で
あり、経済性に優れている。
【0005】一般に、ゾルゲル法では、まず、金属塩を
アルコール溶媒で溶解させた後、酸やアルカリ触媒を添
加させて、金属塩を加水分解させ金属水酸化物とすると
共に、この金属水酸化物を脱水縮合させることにより、
ゾル液を得る。このゾル液は、金属酸化物微粒子の分散
溶液すなわちコロイド溶液である。ついで、基体上に、
得られたゾル液を付着、乾燥させた後、熱処理させるこ
とにより、加水分解、脱水縮合させて、金属酸化物薄膜
を形成させる。
【0006】金属酸化物微粒子の分散溶液であるゾル液
を用いて形成される薄膜は、微粒子の集合体であり、微
粒子間の結合力が弱く、クラックが生じやすいという欠
点を有している。
【0007】クラックをできるだけ発生させずに均質な
薄膜を形成させるには、1回の工程で形成させる薄膜の
厚さを極力薄くしなくてはならず、目的とする厚さの薄
膜を得るためには、複数回の工程を繰り返さなくてはな
らず、多大の時間を要し、作業性に劣るという問題点が
あった。
【0008】T.Yoko,K.Kamiya and S.Sakka. Yogyo Kyo
kaishi. 95, 1987, p.150や加藤薫一. ニューセラミッ
クス. 9, No.8, 1996, p.28に記載されているゾルゲル
法では、1回の工程で形成される薄膜の厚さは、約0.
1μmであった。
【0009】また、空気中の水分により、金属塩の三次
元方向への加水分解が加速されてしまうため、乾燥不活
性ガス下で過剰の水が存在しないようにして、ゾル液を
調製しなくてはならなかった。
【0010】さらに、得られたゾル液は、空気中の水分
により凝集し、最後には沈殿またはゲルとなり使用でき
なくなるので、密閉容器中で保存する必要がある。しか
しながら、密閉容器中、冷暗所保存しても、1〜3ケ月
で、沈殿またはゲルとなり、寿命が短く、保存安定性に
解決すべき点が残されていた。
【0011】特開平11−222690号公報には、チ
タンアルコキシドを溶解させた芳香族化合物溶媒に、チ
タンアルコキシド1モルに対し水が0.1モル以上とな
る量の水含有アルコール溶液を添加させた後、チタンア
ルコキシドを加水分解させチタン水酸化物とすると共
に、チタン水酸化物を脱水縮合させて得た高分子状二酸
化チタン溶液が開示されている。また、該公報には、芳
香族化合物溶媒は、チタンアルコキシドの加水分解、チ
タン水酸化物の脱水縮合を、芳香環の面を基準にして二
次元方向に進行させるために用いられ、形成された高分
子状二酸化チタンは、芳香環の面を基準にして二次元方
向に構造規制された平面構造であることが開示されてい
る。
【0012】しかしながら、該公報では、芳香族化合物
溶媒による二次元方向への構造規制は、チタンアルコキ
シド全てには及ばず、形成された高分子状二酸化チタン
には、二酸化チタンの分子鎖が三次元方向に脱水縮合さ
れたものが一部含まれており、低重合度の二酸化チタン
オリゴマーであった。
【0013】該公報において、開放下、基体上に、該高
分子状二酸化チタン溶液を付着、乾燥させた場合、空気
中の水分により、未反応のチタンアルコキシドが急激に
加水分解され、かつ芳香族化合物溶媒が急激に蒸発する
結果、高分子状二酸化チタンの三次元方向への脱水縮合
が加速され、得られた薄膜は、クラックが発生しやす
い。これを防止するために、該公報では、溶媒雰囲気下
でゆっくりと乾燥させる必要があると記載されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、芳香
環の面を基準にして二次元方向に十分に構造規制され、
かつ金属酸化物オリゴマーよりも重合度の高い金属酸化
物高分子−芳香族化合物溶媒錯体を含有する、保存安定
性に優れた金属酸化物前駆体溶液を提供することであ
り、また、該金属酸化物前駆体溶液を用いて形成された
クラックの全くない均質な金属酸化物薄膜を提供するこ
とである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、上記課題を解決し得る金属酸化物前駆体溶液
及び金属酸化物薄膜を得、本発明を完成するに至った。
【0016】すなわち、本発明は、金属塩1モルに対し
て0.01モル以上、0.1モル未満となる量の水を含
有させた芳香族化合物溶媒と金属塩とを混合させた後、
加熱させ、金属水酸化物―芳香族化合物溶媒錯体と金属
塩―芳香族化合物溶媒錯体との混合物含有溶液を形成さ
せ、ついで該混合物含有溶液と水含有アルコール溶液と
を混合させた後、加熱、濃縮させてなることを特徴とす
る金属酸化物前駆体溶液であり、また、基体上に、該金
属酸化物前駆体溶液を付着、乾燥、熱処理させてなるこ
とを特徴とする金属酸化物薄膜である。
【0017】以下、本発明について、詳細に説明する。
【0018】本発明の金属酸化物前駆体溶液は、以下に
より調製される。
【0019】まず、金属塩1モルに対して0.01モル
以上、0.1モル未満となる量の水を含有させた芳香族
化合物溶媒1Lに対して、金属塩が0.01〜3.0モ
ルとなるように溶解させ、ついで、温度30〜200℃
で1〜24時間加熱させ、金属塩を加水分解させて、芳
香環の面を基準にして二次元方向に十分に構造規制され
た金属水酸化物−芳香族化合物溶媒錯体と未反応の金属
塩−芳香族化合物溶媒錯体との混合物含有溶液を得る。
【0020】本発明に用いられる芳香族化合物溶媒とし
ては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン、ニトロベンゼン、アセトフェノン、エトキシベンゼ
ン、エチルベンゾエイト、メチルベンゾエイト、ナフタ
リン、ジメチルアニリンまたはアニリンがあげられ、こ
れらの少なくとも1種以上が用いられる。
【0021】本発明に用いられる芳香族化合物溶媒中に
含有させる水の量は、金属塩1モルに対して0.01モ
ル以上、0.1モル未満である。
【0022】芳香族化合物溶媒中に予め含まれている水
の量が上記範囲内の時は、そのまま用いられ、金属塩1
モルに対して0.01モルに満たない時は、水含有アル
コール溶液等を芳香族化合物溶媒に適宜添加させて、水
の量が上記範囲内となるように調製される。
【0023】芳香族化合物溶媒中の水の量が、金属塩1
モルに対して0.01モル未満でも、水が存在しさえす
れば、金属塩の加水分解を長時間行うことにより、二次
元方向に十分に構造規制された金属水酸化物−芳香族化
合物溶媒錯体を得ることは、理論的には可能である。し
かしながら、あまりにも長時間を要するため、経済性に
劣り、実用的でない。
【0024】一方、水の量が、金属塩1モルに対して
0.1モル以上の場合、芳香族化合物溶媒中において、
過剰の水が部分的に存在し、金属塩の加水分解が芳香環
の面を基準にして三次元方向に進行するため、二次元方
向に構造規制された金属水酸化物−芳香族化合物溶媒錯
体が得ることができない。このため、本発明の金属酸化
物前駆体溶液を得ることができない。
【0025】以上のように、芳香環の面を基準にして二
次元方向に十分に構造規制され、かつ金属酸化物オリゴ
マーよりも重合度の高い金属酸化物高分子−芳香族化合
物溶媒錯体を含有する、本発明の金属酸化物前駆体溶液
を得るためには、芳香族化合物溶媒に含有させる水の量
を、金属塩1モルに対して0.01モル以上、0.1モ
ル未満となるように調整することが重要である。
【0026】本発明に用いられる金属塩の金属は、M
g、Al、Si、Ca、Ti、V、Mn、Fe、Co、
Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Cr、Sr、Y、Z
r、Nb、Mo、In、Sn、Sb、Cs、Ba、T
a、W、Ru、Os、Ir、Pb、Bi、La、Ce、
Gdからなる群から選ばれた少なくとも1種以上であ
る。
【0027】本発明に用いられる金属塩は、上記金属の
アルコキシド、有機酸塩または無機塩である。
【0028】アルコキシドとしては、例えば、エトキシ
ド、n−プロポキシト゛、iso−プロポキシト゛、n−ブ
トキシド、iso−ブトキシド、sec−ブトキシト゛、
tert−ブトキシド等があげられる。
【0029】有機酸塩としては、例えば、フェノール
塩、1,3−ジケトン型化合物、カルボン酸塩等があげ
られる。
【0030】無機塩としては、例えば、塩化物、硫酸塩
等があげられる。
【0031】本発明に用いられる金属塩の量は、前記範
囲内となる量の水を含有させた芳香族化合物溶媒1Lに
対して、0.01〜3.0モルである。
【0032】金属塩の量が、芳香族化合物溶媒1Lに対
して0.03モル未満の場合、金属塩濃度が低すぎるた
め、金属塩の加水分解に長時間を要し、経済性に劣る。
【0033】また、3.0モル超の場合、芳香族化合物
溶媒による二次元方向への構造規制が不十分となり、金
属塩の加水分解が芳香環の面を基準として三次元方向に
も進行し、本発明の金属酸化物前駆体溶液を得ることが
できない。
【0034】上記調製された金属塩を溶解させた芳香族
化合物溶媒を、温度30〜200℃で1〜24時間加熱
させて、金属塩を加水分解させることにより、金属塩―
芳香族化合物溶媒錯体を経て、芳香環の面を基準として
二次元方向に十分に構造規制された金属水酸化物―芳香
族化合物溶媒錯体と未反応の金属塩―芳香族化合物溶媒
錯体との混合物含有溶液を得る。
【0035】ベンゼンとチタンアルコキシドを用いた場
合、ベンゼン−チタン−ベンゼンのようなサンドイッチ
構造のベンゼノイド−チタン錯体が形成され、チタンア
ルコキシドの加水分解がベンゼン環の面を基準にして二
次元方向に促進されるので、二次元方向に十分に構造規
制されたチタン水酸化物−ベンゼン錯体を形成させるの
に好都合である。また、ベンゼンは、疎水性であり、か
つ水の溶解度も極めて小さいため、チタンアルコキシド
の加水分解を制御するのに好都合である。
【0036】次に、先に得られた混合物含有溶液に、金
属塩1モルに対して水0.1モル〜2.0モルとなる量
の水含有アルコール溶液を添加させた後、温度30〜2
00℃で1〜24時間加熱させて、未反応の金属塩を加
水分解させ金属水酸化物とすると共に、金属水酸化物の
脱水縮合により、芳香環の面を基準にして二次元方向に
十分に構造規制された金属酸化物高分子−芳香族化合物
溶媒錯体を形成させ、さらに、濃縮させた後、金属イオ
ン濃度として0.05〜5.0モル/Lとなるように濃
度調整させて、本発明の金属酸化物前駆体溶液を得る。
【0037】本発明に用いられる水含有アルコール溶液
は、水濃度が0.46〜9.2モル/Lであり、かつア
ルコールが炭素数1〜10のアルコールからなる群から
選ばれた少なくとも1種以上である。
【0038】本発明に用いられるアルコールとしては、
例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチ
ルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコー
ル、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニル
アルコール、デシルアルコール等があげられる。
【0039】水含有アルコール溶液中のアルコールは、
水の活量を制御して、金属塩の加水分解を制御させるた
めのものであり、水とアルコールの配合割合が重要であ
る。
【0040】水含有アルコール溶液中の水濃度が0.4
6モル未満/L場合、金属塩の加水分解が抑制されすぎ
て、長時間を要し、経済性に劣る。また、9.2モル超
/Lの場合、金属塩の加水分解が加速されて、金属酸化
物高分子が形成されず、不都合である。
【0041】混合物含有溶液に添加される水含有アルコ
ール溶液は、金属塩1モルに対して水0.1〜2モルと
なる量である。
【0042】金属塩1モルに対して水0.1モル未満の
場合、金属塩の加水分解、金属水酸化物の脱水縮合が不
十分となり、金属酸化物高分子の形成が十分に行われず
不都合である。また、2.0モル超の場合、金属塩の加
水分解が加速され、金属酸化物高分子の形成が芳香環の
面を基準として三次元方向にも進行し、本発明の金属酸
化物前駆体溶液を得ることができない。
【0043】本発明の金属酸化物前駆体溶液に含有され
る金属酸化物高分子−芳香族化合物溶媒錯体は、前記混
合物含有溶液中の金属水酸化物−芳香族化合物溶媒錯体
の立体構造を、金属塩を加水分解させ金属水酸化物とす
る共に、金属水酸化物を脱水縮合させ、芳香環の面を基
準にして二次元方向に、−M−O−M−架橋構造として
進行させたものであり、その重合度は、金属酸化物オリ
ゴマーより高い。
【0044】本発明の金属酸化物前駆体溶液は、芳香環
の面を基準にして二次元方向に十分に構造規制され、か
つ金属酸化物オリゴマーより重合度の高い金属酸化物高
分子−芳香族化合物溶媒錯体を含有しており、従来のゾ
ルゲル法により得られる金属酸化物微粒子の分散溶液で
あるコロイド溶液とは異なるものである。
【0045】本発明の金属酸化物前駆体溶液は、常温
下、密閉容器中で保存した場合、1年以上経過しても、
使用可能であり、保存安定性に優れている。
【0046】つぎに、本発明の金属酸化物薄膜は、以下
のように形成される。
【0047】基体上に、金属イオン濃度として0.05
〜5.0モル/Lの金属酸化物前駆体溶液を、付着さ
せ、ついで乾燥により固着させた後、熱処理により結晶
化させて、本発明の金属酸化物薄膜を得る。
【0048】本発明の金属酸化物薄膜を形成させるため
に用いられる基体としては、目的、用途に応じて、材
質、形状、大きさ等適宜選択でき、特に限定されない。
例えば、材質としては、ガラス、金属、セラミックス等
があげられ、また形状、大きさとしては、1枚の厚板、
小断片、ビーズ状球体、リング状物、鎖状物等があげら
れる。
【0049】金属酸化物前駆体溶液の基体上への付着
は、ハケ塗り、スプレー塗布、ディップコート、スピン
コート、スクリーン印刷、フローコート等により行われ
る。
【0050】本発明の金属酸化物前駆体溶液を用いて、
一回の工程で形成される金属酸化物薄膜の厚さは、約
0.01〜約7.0μmである。薄膜の厚さは、金属前
駆体溶液中の金属酸化物高分子−芳香族化合物溶媒錯体
の重合度及び金属前駆体溶液濃度により、所望の厚さに
制御できる。
【0051】基体上に付着させた金属酸化物前駆体溶液
の乾燥は、温度20〜150℃で5分〜1時間行われ、
基体上に金属酸化物ゲル薄膜として固着される。乾燥
は、特開平11−222690号公報のような溶媒雰囲
気下という特別の条件を必要とせず、自然乾燥あるいは
赤外線ランプの照射、乾燥器、電気炉等で行われる。
【0052】ついで、基体上に固着させた金属酸化物ゲ
ル薄膜は、電気炉等を用いて、温度300〜1100℃
で10分〜15時間熱処理され、本発明の金属酸化物薄
膜が形成される。
【0053】温度が300℃未満の場合、金属酸化物ゲ
ル薄膜を結晶化できず、不都合である。また、温度11
00℃を超えても、温度300〜1100℃と同様のも
のが得られるだけであり、経済性に劣る。
【0054】本発明の金属酸化物薄膜は、クラックの全
くない均質な薄膜である。また、特開平11−2226
90号公報のように、溶媒雰囲気下という特別な条件下
での乾燥が不要であり、従来より作業性、経済性に優れ
ている。
【0055】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態を実施例
に基き説明する。なお、本発明はこれらの実施例になん
ら限定されない。
【0056】実施例1 まず、芳香族化合物溶媒であるベンゼンに、金属塩であ
るチタン−n−ブトキシド1モルに対して水0.02モ
ルとなる量の水濃度2.3モル/Lの水含有ブタノール
溶液を添加させた。ついで、ベンゼン1Lに対して0.
5モルとなる量のチタン−n−ブトキシドを加えた後、
温度80℃で10時間加熱を行い、チタン−n−ブトキ
シドを加水分解させて、チタン水酸化物−ベンゼン錯体
とチタン−n−ブトキシド−ベンゼン錯体との混合物含
有溶液を得た。
【0057】次に、上記混合物含有溶液に、チタン−n
−ブトキシド1モルに対して水0.2モルとなる量の水
濃度2.3モル/Lの水含有ブタノール溶液を加えた
後、温度80℃で10時間加熱させ、チタン−n−ブト
キシドを加水分解させてチタン水酸化物とすると共に、
チタン水酸化物を脱水縮合させて、チタン酸化物高分子
−ベンゼン錯体を形成させ、ついで、エバポレーターを
用いて、チタンイオンとして1.0モル/Lとなるよう
に濃縮させ、チタン酸化物前駆体溶液を得た。
【0058】得られたチタン酸化物前駆体溶液は、密閉
容器中、冷暗所保存時、1年経過後でも、経時変化がな
く、十分使用することができた。
【0059】先に得られたチタン酸化物前駆体溶液中
に、平均粒径1μmアルミナで研磨したチタン基体を浸
漬させ、ステッピングモーターを用いて、速度0.15
mm/秒で引き上げた。ついで、空気中で自然乾燥させ
た後、電気炉((株)デンケン製KDF900GL)を用
いて、空気中、温度500℃で1時間熱処理させた後、
室温まで自然放冷させて、チタン酸化物薄膜を得た。
【0060】薄膜厚測定装置(Filmetrics社
製F20)を用いて測定したチタン酸化物薄膜の厚さ
は、約1.2μmであった。
【0061】得られたチタン酸化物薄膜の表面SEM写
真図を、図1に示す。図1より、クラックの全くない均
質な薄膜が形成されていることがわかる。
【0062】実施例2 実施例1において、チタン−n−ブトキシド1モルに対
して0.09モルとなる量の水濃度2.3モル/Lの水
含有ブタノール溶液をベンゼンに添加させた以外は、実
施例1と同様にして、チタンイオンとして1.0モル/
Lのチタン酸化物前駆体溶液を得た。
【0063】得られたチタン酸化物前駆体溶液は、密閉
容器中、冷暗所保存時、1年経過後でも、経時変化がな
く、十分使用することができた。
【0064】先に得られたチタン酸化物前駆体溶液を用
いて、実施例1と同様にして、厚さ約1.4μmのチタ
ン酸化物薄膜を得た。得られた薄膜の表面SEM写真図
は、実施例1と同様に、クラックの全くない均質な薄膜
が形成されていた。
【0065】比較例1 特開平11−222690号公報に準じて、金属酸化物
薄膜を形成した。
【0066】チタン−N−ブトキシド0.03モルをベ
ンゼン1Lに溶解させ、温度6℃で、チタン1モルに対
し水1モルとなる量の水濃度2.3モル/Lの水含有n
−ブタノール溶液を滴下させた後、超音波下、温度6℃
で1時間、チタン−N−ブトキシドを加水分解させチタ
ン水酸化物とすると共に、チタン水酸化物を脱水縮合さ
せ、ついで、濃縮させて、チタンイオンとして1.0モ
ルの高分子状二酸化チタン溶液を得た。
【0067】以下、飽和ベンゼン溶媒雰囲気下、容器外
より赤外線ランプで間接照射して、温度200℃で20
分間乾燥させた以外は、実施例1と同様にして、厚さ約
0.5μmのチタン酸化物薄膜を得た。
【0068】得られたチタン酸化物薄膜の表面SEM写
真図を、図2に示す。図2より、クラックがわずかに見
られる均質な薄膜が形成されていることがわかる。
【0069】比較例2 T.Yoko,K.Kamiya and S.Sakka. Yogyo Kyokaishi. 95,
1987, p.150に準じて、金属酸化物薄膜を形成した。
【0070】室温下、脱水エタノール0.4モルに、チ
タンイソプロポキシド0.1モルを溶解させた後、攪拌
下、温度0℃で脱水エタノール0.4モル、水0.1モ
ル及び塩酸0.008モル溶液を滴下させた後、室温
下、チタンイソプロポキシドを加水分解させチタン水酸
化物とする共に、チタン水酸化物を脱水縮合させて、チ
タン酸化物ゾルを得た。以下、得られたチタン酸化物ゾ
ルを用いて、実施例1と同様にして、厚さ約0.09μ
mのチタン酸化物薄膜を得た。
【0071】得られたチタン酸化物薄膜の表面SEM写
真図を、図3に示す。図3より、細かいクラックが多数
散在していることがわかる。
【0072】
【発明の効果】本発明の金属酸化物前駆体溶液は、芳香
環の面を基準にして二次元方向に十分に構造規制された
平面構造の金属酸化物高分子−芳香族化合物錯体溶媒を
含有し、かつ該前駆体溶液中の金属酸化物高分子の重合
度は、金属酸化物オリゴマーよりも高いので、クラック
の全くない均質な金属酸化物薄膜を形成させるのに好適
である。
【0073】本発明の金属酸化物前駆体溶液は、従来の
ゾルゲル法により得られる金属酸化物微粒子の分散液で
あるコロイド溶液と異なり、密閉容器中、冷暗所保存
時、1年以上経過しても、使用可能であり、保存安定性
に優れている。
【0074】基体上に、本発明の金属酸化物前駆体溶液
を付着、乾燥、熱処理させて形成させた金属酸化物薄膜
は、クラックの全くない均質な薄膜である。
【0075】また、金属酸化物薄膜の形成に際して、特
開平11−222690号公報のような溶媒雰囲気下と
いう特別な条件下での乾燥は、不要であり、作業性、経
済性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた金属酸化物薄膜の表面SE
M写真図である。
【図2】比較例1で得られた金属酸化物薄膜の表面SE
M写真図である。
【図3】比較例2で得られた金属酸化物薄膜の表面SE
M写真図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 進藤 修光 群馬県渋川市半田2470番地 日本カーリッ ト株式会社研究開発センター内 (72)発明者 蓮覚寺 聖一 富山県富山市粟島1丁目8番27−110号 Fターム(参考) 4G047 CA02 CB05 CC03 CD02 4G069 AA03 AA08 BA04A BA04B BA18 BA48A BB04A BC06A BC09A BC10A BC12A BC13A BC16A BC17A BC18A BC21A BC22A BC23A BC25A BC26A BC31A BC35A BC40A BC42A BC43A BC44A BC50A BC51A BC54A BC55A BC56A BC58A BC59A BC60A BC62A BC66A BC67A BC68A BC70A BC73A BC74A BD05A EA08 FA03 FB23 FB30 FC07 4J038 AA011 HA116 HA126 HA156 HA376 JA04 JA05 JA06 JA23 JA28 JA33 JA43 JA60 JA65 JB06 JB21 JC38 KA06 NA01 NA26 PA19

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属塩1モルに対して0.01モル以
    上、0.1モル未満となる量の水を含有させた芳香族化
    合物溶媒と金属塩とを混合させた後、加熱させ、金属水
    酸化物―芳香族化合物溶媒錯体と金属塩―芳香族化合物
    溶媒錯体との混合物含有溶液を形成させ、ついで該混合
    物含有溶液と水含有アルコール溶液とを混合させた後、
    加熱、濃縮させてなることを特徴とする金属酸化物前駆
    体溶液。
  2. 【請求項2】 芳香族化合物溶媒が、ベンゼン、トルエ
    ン、キシレン、エチルベンゼン、ニトロベンゼン、アセ
    トフェノン、エトキシベンゼン、エチルベンゾエイト、
    メチルベンゾエイト、ナフタリン、ジメチルアニリンま
    たはアニリンからなる群から選ばれた少なくとも1種以
    上であることを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物
    前駆体溶液。
  3. 【請求項3】 金属塩の金属が、Mg、Al、Si、C
    a、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、
    Ga、Ge、Cr、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、I
    n、Sn、Sb、Cs、Ba、Ta、W、Ru、Os、
    Ir、Pb、Bi、La、Ce、Gdからなる群から選
    ばれた少なくとも1種以上であり、かつ金属塩がアルコ
    キシド、有機酸塩または無機塩であることを特徴とする
    請求項1または請求項2に記載の金属酸化物前駆体溶
    液。
  4. 【請求項4】 金属塩が、芳香族化合物溶媒1Lに対し
    て0.01〜3.0モルであることを特徴とする請求項
    1から請求項3のいずれか1項に記載の金属酸化物前駆
    体溶液。
  5. 【請求項5】 水含有アルコール溶液の水濃度が0.4
    6〜9.2モル/Lであり、かつアルコールが炭素数1
    〜10のアルコールからなる群から選ばれた少なくとも
    1種以上であることを特徴とする請求項1から請求項4
    のいずれか1項に記載の金属酸化物前駆体溶液。
  6. 【請求項6】 水含有アルコール溶液が、金属塩1モル
    に対して水0.1〜2モルとなる量であることを特徴と
    する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の金属
    酸化物前駆体溶液。
  7. 【請求項7】 基体上に、請求項1から請求項6のいず
    れか1項に記載の金属酸化物前駆体溶液を付着、乾燥、
    熱処理させてなることを特徴とする金属酸化物薄膜。
  8. 【請求項8】 熱処理温度が、300〜1100℃であ
    ることを特徴とする請求項7に記載の金属酸化物薄膜。
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