明細書 画像形成装置および画像形成方法 技術分野
この発明は、 プリン夕、 複写機およびファクシミリ装置などの電子写真方式の 画像形成装置において画像濃度を安定化させる技術に関するものである。 背景技術 '
電子写真技術を応用した複写機、 プリン夕、 ファクシミリ装置などの画像形成 装置では、 装置の個体差、 経時変化や、 温湿度など装置の周囲環境の変化に起因 してトナー像の画像濃度が異なることがある。 そこで、 従来より、 画像濃度の安 定化を図るための種々の技術が提案されている。 このような技術としては、 例え ば像担持体上にテスト用の小画像 (パッチ画像) を形成し、 そのパッチ画像の濃 度に基づいて、画像の濃度に影響を与える濃度制御因子を最適化する技術がある。 この技術は、 濃度制御因子を種々に変更設定しながら像担持体上に所定のトナー 像を形成するとともに、 像担持体上のトナー像、 もしくは該トナ一像を中間転写 媒体などの他の転写媒体に転写してなるトナー像をパツチ画像としてその画像濃 度を検出し、'そのパッチ画像濃度が予め設定された目標濃度と一致するように濃 度制御因子を調節することで、 所望の画像濃度を得ようとするものである。
パッチ画像濃度を測定する技術(以下、 「パッチセンシング技術」 という) とし ては種々のものが従来より提案されているが、 光学的手段によるものが最も一般 的である。 すなわち、 パッチ画像を形成された像担持体もしくは転写媒体の表面 領域に光を照射するとともに、 該表面領域から反射または透過する光を光センサ により受光し、 その光量に基づいてパッチ画像濃度を求めている。
パッチ画像濃度に基づいて濃度制御因子を調節する画像形成装置では、 濃度制 御因子を適正に設定して良好な画質のトナー像を得るためには、 形成したパッチ 画像の濃度を如何に精度よく検出するかが重要な問題となる。 しかしながら、 上 記した従来のパッチセンシング技術では、 形成された画像の濃度が直接的に測定
されるのではなく、 パッチ画像として像担持体もしくは転写媒体の表面に一時的 に担持されているトナー像から出射される光量を検出し、 その検出結果から間接 的に画像濃度を見積もっているに過ぎないため、 センサ出力が必ずしも最終的な 画像濃度を正しく反映しているとは言えない場合がある。 また、 センサの特性ば らつきや検出誤差によってセンサ出力と最終的な画像濃度との間に齟齬を生じる こともある。
また、 上記のように感光体や転写媒体などの像担持体上に形成されるトナー画 像の画像濃度を濃度センサによって測定する場合、 その測定結果は単に像担持体 に付着されるトナー量のみで決定されるのではなく、 像担持体の表面状態、 例え ば反射率や表面粗さ等に応じて測定結果が変動することがある。 例えば、 画像形 成装置の累積印字枚数の増大に伴って像担持体の表面色が変化すると、 トナー付 着量が同一であったとしても表面色の変化に応じて濃度センサからの出力が変動 してしまい、 正確な濃度測定が困難となる。 また、 像担持体の表面状態が不均一 となっている場合には表面状態による影響を無視することができなくなる。 このようにセンサ出力が最終的な画像濃度を正しく反映していないと、 このセ ンサ出力から誤って見積もられた画像濃度に基づいて濃度制御因子が調節される こととなる。 その結果、 濃度制御因子はその最適値から外れた状態に設定されて しまう。 特に、 例えばベタ画像を形成したときのように比較的高密度にトナーが 付着した状態では、 トナー付着量の増減に対して最終的な画像濃度の変化は小さ いため、 センサ出力のわずかなズレであってもそれにより設定される濃度制御因 子の値は大きく変化してしまい、 その結果、 濃度制御因子がその最適値とは大き く異なる状態に設定されて、 画像品質が損なわれるほか、 下記のような不具合を 生じることがあった。
例えば、 ベ夕画像などの高濃度画像において、 センサ出力から求まる画像濃度 が実際の画像濃度より低く見積もられた場合、 装置はさらに画像濃度を上昇させ るべく濃度制御因子を調節することとなる。 その結果、 トナー付着量が過剰とな つて転写 ·定着不良を起こしたり、 トナーの消費量が異常に多くなつてしまうこ とがある。 また、 必要以上にトナー付着量が高くなる条件の下で画像形成を繰り 返すことにより、 先の画像形成の履歴が後に形成する画像に影響を及ぼしたり、
さらには装置の寿命を著しく縮めてしまうことがある。
さらに、 形成されるパッチ画像の画像濃度は様々な要因の組み合わせによって 決まるものであるから、 その画像濃度に基づいて、 画像濃度に影響を与える複数 の濃度制御因子を個別に最適化するためには複雑な処理が必要となる。そのため、 従来の濃度制御技術では、 このような複雑な行わせることによって装置コストの 上昇を招いたり、 処理に長時間がかかって画像形成のスループットが低下するな どの問題があった。 そこで、 より簡易な方法で、 しかも確実に濃度制御因子を最 適化することのできる技術の確立が望まれている。
この発明の第 1の目的は、 センサの特性ばらつき等によるパヅチ画像濃度の検 出誤差に影響されることなく濃度制御因子を適切な状態に設定することのできる 画像形成装置および画像形成方法を提供することである。
また、 この発明の第 2の目的は、 トナー像の画像濃度に基づき濃度制御因子を 適切な状態に設定し、 画質の良好なトナー像を安定して形成することのできる画 像形成装置および画像形成方法を提供することである。
さらに、 この発明の第 3の目的は、 非接触現像方式の画像形成装置に好適な濃 度制御技術を提供することである。 発明の開示
第 1の目的を達成するために、 この発明は、 画像濃度に影響を与える濃度制御 因子を多段階に変更設定することにより画像形成条件を多段階に変化させながら 各画像形成条件でパッチ画像を形成するとともに、 濃度検出手段による各パッチ 画像のトナー濃度の検出結果と、 濃度制御因子に対する検出結果の変化率とに基 づき濃度制御因子を最適化する。
このように構成された発明では、 濃度検出手段により検出された各パッチ画像 の絶対的なトナー濃度だけではなく、 その濃度制御因子に対する変化率も加味し て濃度制御因子を最適化するようにしている。 そのため、 各パッチ画像について 検出されたトナー濃度が検出誤差により実際とは異なっていたとしても、 濃度制 御因子をその最適値から大きく異なる状態に設定してしまうことは未然に防止さ れている。 その理由は以下の通りである。
濃度検出手段により検出された各パッチ画像のトナー濃度には、 前述したよう に、 センサの特性ばらつき等に起因する検出誤差が含まれている可能性がある。 そのため、 検出されたパヅチ画像のトナー濃度のみに基づい 濃度制御因子を調 節すると、 この検出誤差のために最適値から外れた状態に設定されてしまうこと がある。 このような検出誤差は一般には各パッチ画像について同様の傾向で現れ る。 つまり、 各パッチ画像についての検出結果が実際の濃度に比べ全体として高 めとなるか、 低めとなるかのいずれかであって、 一連の検出結果にその両方が現 れることはあまりない。 そのため、 各パッチ画像について求められた絶対的なト ナー濃度が検出誤差により変動しても、 各パッチ画像間の相対的な濃度差にはあ まり変化がない。 すなわち、 検出された各パッチ画像のトナー濃度から求めた濃 度制御因子に対するトナー濃度の変化率は、 検出誤差の影響を受けにくい。 そし て、 濃度制御因子とトナー濃度との理想的な、 すなわち検出誤差を含まない対応 関係は事前に実験的にもしくは理論的に把握することが可能である。
そこで、 このように検出誤差の影響が現れにくいトナー濃度の変化率を求め、 その結果と絶対的なトナー濃度との双方の結果に基づき濃度制御因子を最適化す るようにすれば、 検出誤差の影響を抑えてより最適値に近く濃度制御因子を設定 することが可能となり、 こうして設定された画像形成条件の下で画像形成を行う ことにより、画質の良好なトナー像を安定して形成することが可能となる。なお、 ここでいうパッチ画像の 「トナー濃度」 とは、 濃度検出手段による検出結果から 求められる推定値であって、 形成されたパッチ画像の 「真の」 トナー濃度とは必 ずしも一致しない。
この発明において、 トナー濃度が濃度目標値と一致する条件が見つかれば、 そ のときの濃度制御因子の値をその最適値として設定してよいことは言うまでもな い。 ただし、 求められたトナー濃度は誤差を含んでいるから、 こうして設定され た値が本当にその最適値となっているとは限らない。 特に、 例えば高濃度のパッ チ画像を形成したときのように、 濃度制御因子の変化に対するトナー濃度の変化 率が比較的小さくなっている場合には、 わずかな検出誤差でも設定される濃度制 御因子の値が大きく異なってしまうこととなる。 このような場合には、 むしろト ナ一濃度の変化率に基づいて、 変化率が所定の有効変化率とほぼ一致するときを
濃度制御因子の最適値とする方が好ましいこともある。
また、 第 2の目的を達成するため、 この発明は、 像担持体上のトナー像の画像 濃度を求めるのに先立って、 像担持体に関する情報を補正情報として予め記憶し ておき、 トナー像の画像濃度を求める際には、 濃度センサからの出力をそのまま 用いて画像濃度を求めるのではなく、 そのセンサ出力を補正情報によって補正し ている。 これによつて像担持体の表面状態による影響がキャンセルされてトナー 像の画像濃度のみを反映した補正値が求められる。 そして、 この補正値に基づき トナー像の画像濃度を求めることでトナー像の画像濃度を高精度に測定すること ができ、 その測定結果に基づき安定した濃度で画像を形成することが可能となる また、 濃度センサからの出力に対して像担持体の表面状態が与える影響は、 後 述するように像担持体に形成される トナー像の濃淡に応じて異なる。 つまり、 比 較的濃度の低いトナー像が像担持体上に形成されている場合には、 発光素子から の光の一部がトナー像を通過して像担持体で反射された後、 再度像担持体を通過 して受光素子で受光されるため、 像担持体の表面状態に応じて濃度センサからの 出力が比較的大きく異なる。 一方、 トナー像が濃くなるにしたがってトナー像を 通過して像担持体に入射する光はもちろんのこと、 像担持体で反射された後に再 度像担持体を通過して受光素子に入射する光も少なくなり、 像担持体の表面状態 が濃度センサからの出力に及ぼす影響は少なくなる。 したがって、 トナー像の濃 淡を全く考慮せずに一律に補正情報に基づきトナー像の画像濃度を求めたのでは その精度に一定の限界がある。 これに対し、 本発明の如く像担持体上のトナー像 の濃淡に応じて前記補正情報を補正することによって画像濃度の測定精度がさら に向上する。
ここで、 補正情報については、 像担持体にトナー像を形成する前に濃度センサ から出力される信号に基づき求めるようにしてもよく、 こうして求めた補正情報 を記憶部に記憶しておけばよい。 また、 補正情報を求めるにあたって、 像担持体 にトナー像を形成する前に濃度センサから出力される信号を構成するサンプリン グデ一夕そのものを補正情報として用いてもよいが、 そのサンプリングデ一夕に スパイク状のノィズが重畳してしまうことがある。 このようなスパイク状ノイズ
を除去するためには、 例えばサンプリングデ一夕のうち上位レベルおよび/また は下位レベルをキャンセルするとともに、 該キャンセルデ一夕を残りのサンプリ ングデ一夕の平均値に置き換えるのが効果的である。
また、 上記のようにトナー像が濃くなるにしたがって像担持体の表面状態が濃 度センサからの出力に及ぼす影響は少なくなるため、 トナー像が濃くなるにした がって補正情報に基づく補正量を小さくなるように設定することで精度良く トナ —像の画像濃度が求められる。
さらに、 第 3の目的を達成するため、 この発明は、 静電潜像を担持する潜像担 持体に対して離間配置されたトナー担持体に現像バイァスを印加してトナー像を 形成し、 しかも、 現像バイアスを多段階に変更設定して各バイアス値で高濃度用 パッチ画像を形成し、 その画像濃度に基づいて現像バィァスを最適化するととも に、 最適化された現像バイアスを前記トナー担持体に印加しながら、 露光ビーム のエネルギー密度を多段階に変更設定して各エネルギ一値で低濃度用パ Vチ画像 を形成し、 その画像濃度に基づいて露光ビームのエネルギー密度を最適化する。 このように構成された発明では、 高濃度用画像、 つまり画像の面積に対するド ット部の面積率の高い画像と、 低濃度用画像、 つまり画像の面積に対するドット 部の面積率の低い画像との間で、 露光ビームのエネルギー変化がそれぞれの画像 濃度に与える影響の大きさが異なっていることに基づき、 トナー担持体に与える 現像バイアスおよび光ビームのエネルギー密度を個別に最適化している。 すなわ ち、 高濃度用画像では光ビームのエネルギ一を増減しても画像濃度の変化は比較 的小さく、 その画像濃度は主に現像バイアスの大小によって決まるため、 光ビー ムのエネルギー密度を一定として現像バイァスを変化させながら高濃度のパッチ 画像を形成することで、 その画像濃度に基づいてまず現像バイァスの最適値を求 めることができる。
そして、 次に、 こうして最適化された現像バイアス条件の下で、 露光エネルギ —を変えながら低濃度用パッチ画像を形成し、 その画像濃度に基づいて露光エネ ルギ一の最適値を求めるようにすることで、 現像バイアスおよび光ビームのエネ ルギ一密度の 2つのパラメ一夕について個別に、 しかもそれぞれの最適値に設定 することが可能となる。
また、 一のパラメ一夕のみを変化させながら形成したパヅチ画像の濃度からそ のパラメ一夕の最適値を見出すことができるので制御が簡単であり、 従来技術の ように、 制御が複雑になって装置コストが高くなつたり、 処理に長時間を要する という問題もない。 図面の簡単な説明
第 1図は、 この発明にかかる画像形成装置の第 1実施形態を示す図である。 第 2図は、 第 1図の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
第 3図は、 この画像形成装置の現像器を示す断面図である。
第 4図は、 濃度センサの構成を示す図である。
第 5図は、 第 4図の濃度センサにおいて採用された受光ュニットの電気的構成 を示す図である。
第 6図は、 第 4図の濃度センサにおける光量制御特性を示す図である。
第 7図は、 第 4図の濃度センサにおける反射光量に対する出力電圧の変化の様 子を示すグラフである。
第 8図は、 第 1実施形態における濃度制御因子の最適化処理の概要を示すフロ
—チヤ一トである。
第 9図は、 第 1実施形態における初期化動作を示すフローチャートである。 第 1 0図は、 第 1実施形態におけるプレ動作を示すフロ一チャートである。 第 1 1図は、 中間転写ベルトの下地プロファイルの例を示す図である。
第 1 2図は、 第 1実施形態におけるスパイクノィズ除去処理を示すフローチヤ —トである。
第 1 3図は、第 1実施形態におけるスパイクノイズ除去の様子を示す図である。 第 1 4図は、 トナーの粒径と反射光量との関係を示す模式図である。
第 1 5図は、 トナーの粒径分布と O D値の変化との対応を示す図である。
第 1 6図は、 第 1実施形態における制御目標値の導出プロセスを示すフローチ ヤートである。
第 1 7図は、 制御目標値を求めるルックアツプテ一ブルの例を示す図である。 第 1 8図は、 第 1実施形態における現像バイアス設定処理を示すフローチヤ一
トである。
第 1 9図は、 高濃度用パッチ画像を示す図である。
第 2 0図は、 感光体周期で生じる画像濃度の変動を示す図である。
第 2 1図は、 第 1実施形態における直流現像バイアスの最適値算出処理を示す フローチヤ一トである。
第 2 2図は、 直流現像バイアスとベタ画像についての評価値との関係を示すグ ラフである。
第 2 3図は、 直流現像バイアスに対する評価値およびその変化率を示すグラフ である。
第 2 4図は、 第 1実施形態における評価値曲線およびその変化率を示す図であ る。
第 2 5図は、 第 1実施形態における露光エネルギーの設定処理を示すフローチ ャ一トである。
第 2 6図は、 低濃度用パッチ画像を示す図である。
第 2 7図は、 第 1実施形態における露光エネルギーの最適値算出処理を示すフ ローチヤ—トである。
第 2 8図は、 第 2実施形態における光量制御信号変換部を示す図である。 第 2 9図は、 光量制御信号の設定方法を説明する原理図である。
第 3 0図は、 第 2実施形態における基準光量設定処理を示すフローチャートで ある。
第 3 1図は、 基準光量設定処理の原理を説明する図である。
第 3 2図は、 第 3実施形態における下地プロフアイル検出位置とパッチ画像と の閧係を示す図である。
第 3 3図は、 第 3実施形態における現像バイアス設定処理を示すフローチヤ一 トである。
第 3 4図は、 第 3実施形態におけるカラ一トナーについての現像バイアス設定 パラメ一夕の最適値算出処理を示すフローチャートである。
第 3 5図は、 第 3実施形態におけるブラヅクトナーについての現像バイアス設 定パラメ一夕の最適値算出処理を示すフローチャートである。
第 3 6図は、 その表面状態が均一である像担持体へのパッチ画像 (トナー像) の形成前後において、 各サンプリング位置で得られるセンサ出力値を示す図であ る。
第 3 7図は、その表面状態が不均一である像担持体へのパッチ画像(トナー像) の形成前後において、 各サンプリング位置で得られるセンサ出力値を示す図であ る。
第 3 8図は、 その表面状態が不均一である像担持体への濃度均一画像 (トナー 像) の形成前後において、 各サンプリング位置で得られるセンサ出力値を示す図 である。
第 3 9図は、 第 1パヅチ画像 (トナー像) の形成前後でのセンサ出力値の関係 を示す図である。
第 4 0図は、 この発明にかかる画像形成装置の第 4実施形態において実行され る濃度制御因子の最適化処理を示すフローチャートである。
第 4 1図は、 補正情報の算出処理を示すフローチャートである。
第 4 2図は、 カラートナーの画像濃度に対するセンサ出力値の変化の様子を示 すグラフである。
第 4 3図は、 パヅチセンシング処理を示すフロ一チヤ一トである。
第 4 4図は、 ブラックトナーにより形成されるパヅチ画像 (トナー像) の形成 前後でのセンサ出力値の関係を示す図である。
第 4 5図は、 カラ一トナーにより形成されるパッチ画像 (トナー像) の形成前 後でのセンサ出力値の関係を示す図である。
第 4 6図は、 補正情報の算出処理を示すフローチャートである。
第 4 7図は、 パッチセンシング処理を示すフローチヤ一トである。
第 4 8図は、 カラートナーにより形成されるパッチ画像 (トナー像) の形成前 後でのセンサ出力値の関係を示す図である。
第 4 9図は、非接触現像方式の画像形成装置における現像位置を示す図である。 第 5 0図は、 現像バイァスの波形の例を示す図である。
第 5 1図は、 感光体上のトナー密度とトナー像の光学濃度との関係を示す図で ある。
第 5 2図は、 この発明にかかる画像形成装置の第 5実施形態におけるパッチ処 理を示すフローチヤ一トである。
第 5 3図は、 ベ夕画像および細線画像に対応する静電潜像を形成した場合の感 光体の表面電位プロファイルの例を示す図である。
第 5 4図は、 ベ夕画像および細線画像に対する等濃度曲線を示す図である。 第 5 5図は、 この発明にかかる画像形成装置の第 6実施形態を示す図である。 発明を実施するための最良の形態
<第 1実施形態 >
( 1 ) 装置の構成
第 1図は、 この発明にかかる画像形成装置の第 1実施形態を示す図である。 ま た、 第 2図は第 1図の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。 この 画像形成装置は、 イエロ一 (Y )、 シアン (C )、 マゼン夕 (M)、 ブラック (K ) の 4色のトナーを重ね合わせてフルカラ一画像を形成したり、 ブラック (K ) の トナーのみを用いてモノクロ画像を形成する装置である。この画像形成装置では、 ユーザからの画像形成要求に応じてホストコンピュータなどの外部装置から画像 信号がメインコントローラ 1 1に与えられると、 このメインコントローラ 1 1か らの指令に応じて本発明の 「像形成手段」 として機能するエンジンコントローラ 1 0がエンジン部 E Gの各部を制御してシート Sに画像信号に対応する画像を形 成する。
このエンジン部 E Gでは、 感光体 2が第 1図の矢印方向 d l に回転自在に設け られている。 また、 この感光体 2の周りにその回転方向 d l に沿って、 帯電ュニ ヅ ト 3、 口一夕リー現像ュニヅト 4およびクリーニング部 5がそれぞれ配置され ている。帯電ュニヅト 3は帯電制御部 1 0 3から帯電バイアスが印加されており、 感光体 2の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。
そして、 この帯電ュニット 3によって帯電された感光体 2の外周面に向けて露 光ユニッ ト 6から光ビーム Lが照射される。 この露光ユニット 6は、 露光制御部 1 0 2から与えられる制御指令に応じて光ビーム Lを感光体 2上に露光して感光 体 2上に画像信号に対応する静電潜像を形成する。 例えば、 ホストコンピュータ
などの外部装置よりィン夕ーフェース 1 1 2を介してメインコントローラ 1 1の C P U 1 1 1に画像信号が与えられると、 エンジンコントロ一ラ 1 0の C P U 1 0 1が露光制御部 1 0 2に対し所定のタイミングで画像信号に対応した制御信号 を出力し、 これに応じて露光ュニッ ト 6から光ビーム Lが感光体 2上に照射され て、 画像信号に対応する静電潜像が感光体 2上に形成される。 また、 必要に応じ て後述するパッチ画像を形成する場合には、 予め設定された所定パターンのパッ チ画像信号に対応した制御信号が C P U 1 0 1から露光制御部 1 0 2に与えられ、 該パターンに対応する静電潜像が感光体 2上に形成される。 このように、 この実 施形態では、 感光体 2が本発明の 「潜像担持体」 として機能する。
こうして形成された静電潜像は現像ュニット 4によってトナー現像される。 す なわち、 この実施形態では、 現像ユニッ ト 4は、 軸中心に回転自在に設けられた 支持フレーム 4 0、 図示を省略する回転駆動部、 支持フレーム 4 0に対して着脱 自在に構成されてそれぞれの色のトナーを内蔵するイェロー用の現像器 4 Y、 シ アン用の現像器 4 C、 マゼン夕用の現像器 4 M、 およびブラック用の現像器 4 K を備えている。 この現像ユニット 4は、 第 2図に示すように、 現像器制御部 1 0 4により制御されている。 そして、 この現像器制御部 1 0 4からの制御指令に基 づいて、 現像ユニット 4が回転駆動されるとともにこれらの現像器 4 Y、 4 C、 4 M、 4 Kが選択的に感光体 2と対向する所定の現像位置に位置決めされて、 選 択された色のトナーを感光体 2の表面に付与する。 これによつて、 感光体 2上の 静電潜像が選択トナー色で顕像化される。 なお、 第 1図は、 イエロ一用の現像器 4 Υが現像位置に位置決めされた状態を示している。
これらの現像器 4 Υ、 4 C、 4 M、 4 Kはいずれも同一構造を有している。 し たがって、 ここでは、 現像器 4 Κの構成について第 3図を参照しながらさらに詳 しく説明するが、 その他の現像器 4 Υ、 4 C 4 Mについてもその構造および機 能は同じである。 第 3図は、 この画像形成装置の現像器を示す断面図である。 こ の現像器 4 Kでは、 その内部にトナー T Nを収容するハウジング 4 1に供給口一 ラ 4 3および現像ローラ 4 4が軸着されており、 当該現像器 4 Kが上記した現像 位置に位置決めされると、 本発明の 「トナー担持体」 として機能する現像ローラ 4 4が感光体 2と当接してまたは所定のギヤップを隔てて対向位置決めされると
ともに、 これらのローラ 4 3、 4 4が本体側に設けられた回転駆動部(図示省略) と係合されて所定の方向に回転する。 この現像ローラ 4 4は、 後述する現像バイ ァスを印加されるべく銅、 アルミニウム、 鉄、 ステンレス等の金属または合金に より円筒状に形成されている。 これらの材料は適宜表面処理 (例えば酸化処理、 窒化処理、 ブラスト処理など) を施される。 そして、 2つのローラ 4 3、 4 4が 接触しながら回転することでブラックトナーが現像ローラ 4 4の表面に擦り付け られて所定厚みのトナ一層が現像ローラ 4 4表面に形成される。
また、 この現像器 4 Kでは、 現像ローラ 4 4の表面に形成されるトナー層の厚 みを所定厚みに規制するための規制ブレード 4 5が配置されている。 この規制ブ レ一ド 4 5は、 ステンレスやリン青銅などの板状部材 4 5 1と、 板状部材 4 5 1 の先端部に取り付けられたゴムや樹脂部材などの弾性部材 4 5 2とで構成されて いる。 この板状部材 4 5 1の後端部はハウジング 4 1に固着されており、 現像口 —ラ 4 4の回転方向 d 3 において、 板状部材 4 5 1の先端部に取り付けられた弾 性部材 4 5 2が板状部材 4 5 1の後端部よりも上流側に位置するように配設され ている。 そして、 その弾性部材 4 5 2が現像ローラ 4 4表面に弾性的に当接して 現像ローラ 4 4の表面に形成されるトナー層を最終的に所定の厚みに規制する。 なお、 現像ローラ 4 4表面のトナー層を構成する各トナー粒子は、 供給ローラ 4 3、 規制ブレード 4 5と摩擦されたことによって帯電しており、 ここではトナ 一が負に帯電するものとして以下説明するが、 装置各部の電位を適宜変更するこ とで正に帯電するトナーも使用可能である。
このようにして現像ローラ 4 4の表面に形成されたトナー層は、 現像ローラ 4 4の回転によって順次、 その表面に静電潜像が形成されている感光体 2との対向 位置に搬送される。 そして、 現像器制御部 1 0 4からの現像バイアスが現像口一 ラ 4 4に印加されると、 現像ローラ 4 4上に担持されたトナーは、 感光体 2の表 面各部にその表面電位に応じて部分的に付着し、 こうして感光体 2上の静電潜像 が当該トナー色のトナー像として顕像化される。
現像ローラ 4 4に与える現像バイアスとしては、 直流電圧、 もしくは直流電圧 に交流電圧を重畳したものを用いることができるが、 特に感光体 2と現像ローラ 4 4とを離間配置し、 両者の間でトナーを飛翔させることでトナー現像を行う非
接触現像方式の画像形成装置では、 効率よく トナーを飛翔させるために直流電圧 に対して正弦波、 三角波、 矩形波等の交流電圧を重畳した電圧波形とすることが 好ましい。 このような直流電圧の大きさおよび交流電圧の振幅、 周波数、 デュー ティ比等については任意であるが、 以下、 本明細書においては、 現像バイアスが 交流成分を有すると否とにかかわらず、 その直流成分 (平均値) を直流現像パイ ァス Vavgと称することとする。
ここで、 非接触現像方式の画像形成装置における上記現像バィァスとして好ま しいものの一例を示す。 例えば、 現像バイアスの波形は直流電圧に矩形波交流電 圧を重畳したものであり、 その矩形波の周波数は 3 kH z、振幅 Vppは 1400 Vである。 また、 後述するように、 本実施形態では現像バイアス Vavgを濃度制 御因子の 1つとして変更可能としているが、 その可変範囲としては、 画像濃度へ の影響や感光体 2の特性ばらつき等を考慮して、 例えば (一 1 10) V〜 (― 3 30) Vとすることができる。 なお、 これらの数値等は上記に限定されず、 装置 構成に応じて適宜変更されるべきものである。
また、 第 2図に示すように、 各現像器 4Y、 4 C、 4M、 4 Kには該現像器の 製造口ットゃ使用履歴、 内蔵トナーの特性などに関するデータを記憶するメモリ 91〜94がそれぞれ設けられている。 さらに、 各現像器 4Y、 4 C、 4M、 4 Kにはコネクタ 49Y、 49 C、 49M、 49 Kがそれそれ設けられている。 そ して、 必要に応じて、 これらが選択的に本体側に設けられたコネクタ 108と接 続され、 イン夕一フエ一ス 105を介して CPU 101と各メモリ 9 1〜94と の間でデータの送受を行って該現像器に関する消耗品管理等の各種情報の管理を 行っている。 なお、 この実施形態では本体側コネクタ 108と各現像器側のコネ ク夕 49 Υ等とが機械的に嵌合することで相互にデータ送受を行っているが、 例 えば無線通信等の電磁的手段を用いて非接触にてデータ送受を行うようにしても よい。 また、 各現像器 4Y、 4 C、 4M、 4Kに固有のデ一夕を記憶するメモリ 91~94は、 電源オフ状態ゃ該現像器が本体から取り外された状態でもそのデ —夕を保存できる不揮発性メモリであることが望ましく、 このような不揮発性メ モリとしては例えばフラヅシュメモリや強誘電体メモリ、 E E P R ΟΜなどを用 いることができる。
第 1図に戻って、 装置構成の説明を続ける。 上記のようにして現像ユニット 4 で現像されたトナー像は、 一次転写領域 T R 1 で転写ユニット 7の中間転写ベル ト 7 1上に一次転写される。 転写ュニット 7は、 複数の口一ラ 7 2〜7 5に掛け 渡された中間転写ベルト 7 1と、 ローラ Ί 3を回転駆動することで中間転写ベル ト 7 1を所定の回転方向 d 2 に回転させる駆動部 (図示省略) とを備えている。 さらに、 中間転写ベルト 7 1を挟んでローラ 7 3と対向する位置には、 該ベルト 7 1表面に対して不図示の電磁クラッチにより当接 ·離間移動可能に構成された 二次転写ローラ 7 8が設けられている。 そして、 カラー画像をシート Sに転写す る場合には、 感光体 2上に形成される各色のトナー像を中間転写ペルト 7 1上に 重ね合わせてカラ一画像を形成するとともに、 カセット 8から取り出されて中間 転写ベルト 7 1と二次転写ローラ 7 8との間の二次転写領域 T R 2 に搬送されて くるシート S上にカラ一画像を二次転写する。 また、 こうしてカラー画像が形成 されたシ一ト Sは定着ュニツト 9を経由して装置本体の上面部に設けられた排出 トレイ部に搬送される。 このように、 この実施形態では、 中間転写ベルト 7 1が 本発明の 「中間体」 として機能している。
なお、 中間転写ベルト 7 1へトナー像を一次転写した後の感光体 2は、 不図示 の除電手段によりその表面電位がリセットされ、 さらに、 その表面に残留したト ナ一がクリーニング部 5により除去された後、 帯電ュニット 3により次の帯電を 受ける。
そして、 引き続いてさらに画像を形成する必要がある場合には上記動作を繰り 返して必要枚数の画像を形成して一連の画像形成動作を終了し、 新たな画像信号 が与えられるまで装置は待機状態となるが、 この装置では、 待機状態での電力消 費を抑制するためその動作を停止状態に移行させる。 すなわち、 感光体 2、 現像 ローラ 4 4および中間転写ベルト 7 1等の回転駆動を停止するとともに、 現像口 ーラ 4 4への現像バイァスおよび帯電ュニット 3への帯電バイァスの印加を停止 することにより、 装置は動作停止状態となる。
また、 ローラ 7 5の近傍には、 クリーナ 7 6、 濃度センサ 6 0および垂直同期 センサ 7 7が配置されている。 これらのうち、 クリーナ 7 6は図示を省略する電 磁クラッチによってローラ 7 5に対して近接 ·離間移動可能となっている。 そし
て、 ローラ Ί 5側に移動した状態でクリーナ 7 6のブレードが口一ラ Ί 5に掛け 渡された中間転写ベルト 7 1の表面に当接し、 二次転写後に中間転写ベルト 7 1 の外周面に残留付着しているトナーを除去する。 また、 垂直同期センサ 7 7は、 中間転写ベルト 7 1の基準位置を検出するためのセンサであり、 中間転写ベルト 7 1の回転駆動に関連して出力される同期信号、つまり垂直同期信号 Vsyncを得 るための垂直同期センサとして機能する。 そして、 この装置では、 各部の動作夕 ィミングを揃えるとともに各色で形成されるトナー像を正確に重ね合わせるため に、 装置各部の動作はこの垂直同期信号 V syncに基づいて制御される。 さらに、 本発明の 「濃度検出手段」 として機能する濃度センサ 6 0は、 中間転写ベルト 7 1の表面に対向して設け.られており、 後述するようにして構成されて中間転写べ ルト 7 1の外周面に形成されるパッチ画像の光学濃度を測定する。 したがって、 この実施形態では、 中間転写ベルト 7 1が本発明の「像担持体」に相当している。 なお、 第 2図において、 符号 1 1 3はホストコンピュータなどの外部装置より イン夕一フェース 1 1 2を介して与えられた画像信号を記憶するためにメインコ ントロ一ラ 1 1に設けられた画像メモリであり、 符号 1 0 6は C P U 1 0 1が実 行する演算プログラムやエンジン部 E Gを制御するための制御デ一夕などを記憶 するための R O M、 また符号 1 0 7は C P U 1 0 1における演箅結果やその他の デ一夕を一時的に記憶する R A Mである。
第 4図は濃度センサの構成を示す図である。 この濃度センサ 6 0は、 中間転写 ベルト 7 1の表面領域のうちローラ Ί 5に卷き掛けられた卷き掛け領域 7 1 aに 光を照射する L E Dなどの発光素子 6 0 1を有している。 また、 この濃度センサ 6 0には、 後述するように C P U 1 0 1から与えられる光量制御信号 S icに応じ て照射光の照射光量を調整するために、 偏光ビームスプリッ夕ー 6 0 3、 照射光 量モニタ用受光ュニット 6 0 4および照射光量調整ュニット 6 0 5が設けられて いる。
この偏光ビームスプリヅ夕ー 6 0 3は、 第 4図に示すように、 発光素子 6 0 1 と中間転写ベルト 7 1との間に配置されており、 発光素子 6 0 1から出射される 光を中間転写ベルト Ί 1上における照射光の入射面に平行な偏光方向を有する p 偏光と、 垂直な偏光方向を有する s偏光とに分割している。 そして、 p偏光につ
いてはそのまま中間転写ベルト Ί 1に入射する一方、 s偏光については偏光ビー ムスプリヅ夕ー 6 0 3から取り出された後、 照射光量モニタ用の受光ュニット 6 0 4に入射され、 この受光ュニット 6 0 4の受光素子 6 4 2から照射光量に比例 した信号が照射光量調整ュニット 6 0 5に出力される。
この照射光量調整ュニヅ ト 6 0 5は、 受光ュニヅト 6 0 4からの信号と、 ェン ジンコントロ一ラ 1 0の C P U 1 0 1からの光量制御信号 S icとに基づき発光素 子 6 0 1をフィードバヅク制御して発光素子 6 0 1から中間転写ペルト 7 1に照 射される照射光量を光量制御信号 S icに対応する値に調整する。 このように、 こ の実施形態では、 照射光量を広範囲に、 かつ適切に変更調整することができる。 また、 この実施形態では、 照射光量モニタ用受光ユニット 6 0 4に設けられた 受光素子 6 4 2の出力側に入力オフセット電圧 6 4 1が印加されており、 光量制 御信号 S icがある信号レベルを超えない限り、 発光素子 6 0 1が消灯状態に維持 されるように構成されている。 その具体的な電気的構成は第 5図に示す通りであ る。 第 5図は第 4図の濃度センサ 6 0において採用された受光ュニヅト 6 0 4の 電気的構成を示す図である。 この受光ユニット 6 0 4では、 フォトダイオードな どの受光素子 P Sのアノード端子は電流一電圧 ( I ZV ) 変換回路を構成するォ ぺアンプ O Pの非反転入力端子に接続されるとともに、 オフセット電圧 6 4 1を 介して接地電位に接続されている。 また、 受光素子 P Sの力ソード端子は、 オペ アンプ 0 Pの反転入力端子に接続されるとともに、 抵抗 Rを介してオペアンプ 0 Pの出力端子に接続されている。 このため、 受光素子 P Sに光が入射されて光電 流 iが流れると、 オペアンプ O Pの出力端子からの出力電圧 VOは、
VO = i · R + Voff … (1- 1)
(ただし、 Voffはオフセット電圧値である)
となり、 反射光量に対応した信号が受光ユニット 6 0 4から出力される。 このよ うに構成した理由について以下説明する。
第 6図は第 4図の濃度センサにおける光量制御特性を示す図である。 入力オフ セット電圧 6 4 1を印加しない場合には、 第 6図の破線で示すような光量特性を 示す。 つまり、 光量制御信号 S lc(0)を C P U 1 0 1から照射光量調整ュニット 6 0 5に与えると、 発光素子 6 0 1は消灯状態となり、 光量制御信号 S icの信号レ
ベルを高めると、 発光素子 6 0 1は点灯し、 中間転写ベルト 7 1上への照射光量 も信号レベルにほぼ比例して増大する。 しかしながら、 光量特性は周辺温度の影 響や照射光量調整ュニット 6 0 5の構成などによって第 6図に示す一点鎖線や二 点鎖線のように平行シフトすることがあり、 仮に同図の一点鎖線のようにシフト してしまうと、 C P U 1 0 1から消灯指令、 つまり光量制御信号 S lc(0)を与えて いるにもかかわらず、 発光素子 6 0 1が点灯していることがある。
これに対し、 本実施形態の如く、 入力オフセット電圧 6 4 1を印加して予め同 図の右手側にシフ トさせて不感帯 (信号レベル S lc(0)~ S lc(l)) を設けている場 合 (同図の実線) には、 C P U 1 0 1から消灯指令、 つまり光量制御信号 S lc(0) を与えることで確実に発光素子 6 0 1を消灯することができ、 装置の誤作動を未 然に防止することができる。
—方、 信号レベル S lc(l)を超える光量制御信号 S icが C P U 1 0 1から照射光 量調整ユニッ ト 6 0 5に与えられると、 発光素子 6 0 1は点灯し、 中間転写ペル ト 7 1に p偏光が照射光として照射される。 すると、 この p偏光は中間転写ベル ト 7 1で反射され、 反射光量検出ュニット 6 0 7で反射光の光成分のうち p偏光 の光量と s偏光の光量とが検出され、 各光量に対応する信号が C P U 1 0 1に出 力される。
この反射光量検出ユニット 6 0 7は、 第 4図に示すように、 反射光の光路上に 配置された偏光ビ一ムスプリ ヅ夕ー 6 7 1 と、 偏光ビームスプリ ヅ夕一 6 7 1を 通過する P偏光を受光し、 その p偏光の光量に対応する信号を出力する受光ュ二 ヅ ト 6 7 0 pと、 偏光ビームスプリ ヅ夕ー 6 7 1で分割された s偏光を受光し、 その s偏光の光量に対応する信号を出力する受光ュ二ヅ ト 6 7 0 sとを備えてい る。 この受光ユニット 6 7 0 ρでは、 受光素子 6 7 2 pが偏光ビ一ムスプリヅ夕 —6 7 1からの p偏光を受光し、 その受光素子 6 7 2 pからの出力をアンプ回路 6 7 3 pで増幅した後、 その増幅信号を p偏光の光量に相当する信号として受光 ュニヅト 6 7 0 ρから出力している。 また、 受光ュニヅ ト 6 7 0 sは受光ュニヅ ト 6 7 0 pと同様に受光素子 6 7 2 sおよびアンプ回路 6 7 3 sを有している。 このため、 反射光の光成分のうち互いに異なる 2つの成分光 (p偏光と s偏光) の光量を独立して求めることができる。
また、 この実施形態では、 受光素子 672 p, 6 72 sの出力側に出力オフセ ヅ ト電圧 674 p, 674 sがそれそれ印加されており、 アンプ回路 673 p, 6 73 sから CPU 1 0 1に与えられる信号の出力電圧 Vp, Vsは第 7図に示す ようにプラス側にオフセヅ 卜されている。 第 7図は第 4図の濃度センサにおける 反射光量に対する出力電圧の変化の様子を示すグラフである。 各受光ュニット 6 70 p , 670 sの具体的な電気的構成については、 受光ュニヅト 6 04と同一 であるため、 ここでは図示説明を省略する。 このように構成された受光ユニット 670 p , 6 70 sにおいても、 受光ュニヅト 604と同様に、 反射光量がゼロ であるときであっても、 各出力電圧 Vp, Vsはゼロ以上の値を有し、 しかも反射 光量の増大に比例して出力電圧 Vp, Vsも増大する。 このように出力オフセット 電圧 674 p, 674 sを印加することで第 6図の不感帯の影響を確実に排除す ることができ、 反射光量に応じた出力電圧を出力することができる。
これら出力電圧 Vp、 Vsの信号は図示を省略する A/D変換回路を介して CP U 1 0 1に入力されるとともに、 CPU 10 1が必要に応じてこれらの出力電圧 Vp、 Vsを所定の時間間隔 (この実施形態では 8ms e c毎) でサンプリングす るように構成されている。 そして、 適当なタイミング、 例えば装置電源が投入さ れた時点、 いずれかのユニットが交換された直後などのタイミングで、 CPU 1 0 1が、 現像バイアスや露光エネルギーなどの画像濃度に影響を与える濃度制御 因子の最適化処理を行って画像濃度の安定化を図っている。 より具体的には、 所 定のパッチ画像パターンに対応して ROM 106に予め記憶された画像デ一夕を 画像信号として、 各トナー色毎に上記した濃度制御因子を多段階に変更しながら 画像形成動作を実行し、 該画像信号に対応したテスト用の小画像 (パッチ画像) を形成するとともに濃度センサ 60によりその画像濃度を検出し、 その結果に基 づいて所望の画像濃度を得られる条件を見出している。 以下ではこの濃度制御因 子の最適化処理について説明する。
( 2 ) 最適化処理
第 8図は、 この実施形態における濃度制御因子の最適化処理の概要を示すフ口 —チャートである。 この最適化処理は、 その処理順に次の 6つのシーケンス :初 期化動作 (ステップ S 1); プレ動作 (ステップ S 2);制御目標値の導出 (ステ
ップ S 3 );現像バイアス設定 (ステヅプ S 4 );露光エネルギー設定 (ステヅプ
S 5 ) および後処理 (ステヅプ S 6 ) から構成されており、 以下、 その動作の詳 細について上記各シーケンス毎に分説する。
( A ) 初期化動作
第 9図は、 この実施形態における初期化動作を示すフローチャートである。 こ の初期化動作では、 まず準備動作として (ステップ S 1 0 1 )、 現像ュニット 4を 回転駆動していわゆるホームポジションに位置決めするとともに、 電磁クラヅチ によりクリーナ 7 6および二次転写ローラ Ί 8を中間転写ペルト 7 1から離間位 置に移動させる。 そして、 この状態で中間転写ベルト 7 1の駆動を開始し (ステ ップ S 1 0 2 )、次いで感光体 2の回転駆動および除電動作を開始することにより 感光体 2を起動する (ステヅプ S 1 0 3 )。
そして、中間転写ベルト Ί 1の基準位置を示す垂直同期信号 Vsyncを検出しそ の回転が確認されると(ステヅプ S 1 0 4 )、装置各部に対し所定のバイアス印加 を開始する (ステップ S 1 0 5 )。 すなわち、 帯電制御部 1 0 3から帯電ュニット 3に帯電バイァスを印加して感光体 2を所定の表面電位に帯電させ、 引き続いて 中間転写ベルト 7 1に対して図示を省略するバイァス発生部から所定の一次転写 バイァスを印加する。
この状態から、 中間転写ペルト 7 1のクリーニング動作を行う (ステップ S 1 0 6 )。 すなわち、 クリーナ 7 6を中間転写ベルト 7 1の表面に当接させ、 この状 態で中間転写ベルト 7 1をほぼ 1周回転させて、 その表面に残留付着したトナー や汚れを除去する。 そして、 クリーニングバイアスを印加した二次転写ローラ 7 8を中間転写ベルト 7 1に当接させる。 このクリーニングバイアスは、 通常の画 像形成動作を実行中に二次転写ローラ Ί 8に与えられる二次転写バイァスとは逆 の極性であり、 そのため二次転写口一ラ Ί 8に残留付着したトナーは中間転写べ ルト 7 1表面に移行し、 さらにクリーナ 7 6によって中間転写ベルト 7 1の表面 から除去される。 こうして中間転写ベルト 7 1および二次転写ローラ 7 8のクリ —ニング動作が終了すると、 二次転写ローラ 7 8を中間転写ベルト 7 1から離間 させるとともに、 クリーニングバイアスをオフする。 そして、 次の垂直同期信号 Vsync を待って (ステヅプ S 1 0 7 )、 帯電バイアスおよび一次転写バイアスを
オフにする (ステップ S 1 0 8 )。
また、 この実施形態では、濃度制御因子の最適化処理を実行するときに限らず、 必要に応じて、 C P U 1 0 1がこの初期化動作を他の処理とは独立して実行でき るようにしている。 すなわち、 次の動作を引き続いて実行するときには (ステツ プ S 1 0 9 )、上記したステップ S 1 0 8までを実行した状態で初期化動作を終了 し次の動作に移行する。 一方、 次の動作が予定されていない場合には、 停止処理 として(ステップ S 1 1 0 )、クリーナ 7 6を中間転写ベルト Ί 1から離間させる とともに、除電動作および中間転写ベルト 7 1の回転駆動を停止する。この場合、 中間転写ベルト 7 1は、 その基準位置が垂直同期センサ 7 7との対向位置の直前 に位置した状態で停止されることが望ましい。 というのは、 以後の動作で中間転 写ベルト Ί 1が回転駆動されるとき、その回転状態は垂直同期信号 Vsyncにより 確認されるが、 上記のようにすれば、 駆動開始後直ちに垂直同期信号 Vsyncが検 出されるか否かで短時間にて異常の有無を判断することができるからである。
( B ) プレ動作
第 1 0図は、 この実施形態におけるブレ動作を示すフロ一チャートである。 こ のプレ動作では、 後述するパッチ画像の形成に先立つ前処理として、 2つの処理 を同時に行っている。 すなわち、 濃度制御因子の最適化処理を精度よく行うため に装置各部の動作条件の調整を行う (プレ動作 1 ) のと並行して、 各現像器 4 Y、 4 C、 4 M、 4 Kのそれぞれに設けられた現像ローラ 4 4の空回し処理 (プレ動 作 2 ) を行っている。
( Β— 1 ) 動作条件の設定 (ブレ動作 1 )
第 1 0図に示す左側のフロー (プレ動作 1 ) では、 まず濃度センサ 6 0の校正 を行う (ステップ S 2 1 a s S 2 1 b )。 ステヅプ S 2 1 aの校正 ( 1 ) では、 濃 度センサ 6 0の発光素子 6 0 1が消灯状態にあるときの受光ュニット 6 7 0 p、 6 7 0 sの各出力電圧 Vp、 Vs を検出し、 暗出力 Vp0、 VsO として記憶してお く。 次に、 ステヅプ S 2 1 bの校正 (2 ) では、 低光量 ·高光量の 2種の点灯状 態となるように発光素子 6 0 1に与える光量制御信号 S icを変化させ、 その各々 の光量で受光ュニット 6 7 0 pの出力電圧 Vp を検出する。 そして、 これら 3点 の値から、 トナーが付着していない状態での出力電圧 Vpが所定の基準レベル(本
実施形態では、 3 Vに上記した暗出力 VpOを加えた値) となる発光素子 6 0 1の 基準光量を求める。 こうして発光素子 6 0 1の光量がこの基準光量となるような 光量制御信号 S icのレベルを算出し、 その値を基準光量制御信号として設定する (ステップ S 2 2 )。 これ以後、発光素子 6 0 1を点灯させる必要があるときには、 C P U 1 0 1から照射光量調整ュニット 6 0 5に対してこの基準光量制御信号が 出力され、 これにより発光素子 6 0 1は常にその基準光量で発光するようフィ一 ドバック制御される。
また、 発光素子 6 0 1が消灯状態にあるときの出力電圧 Vp0、 VsOを本センサ 系の 「暗出力」 として記憶しておき、 後述するようにトナー像の濃度を検出する 際に各出力電圧 Vp、 V sからこの値を差し引くことによって、 暗出力の影響を排 除してより高精度にトナー像の濃度を検出することが可能となっている。
なお、 発光素子 6 0 1の点灯状態での受光素子 6 7 2 pからの出力信号は中間 転写ベルト 7 1からの反射光量に依存するが、 後述するように中間転写ベルト Ί 1の表面状態は光学的に必ずしも均一ではないから、 この状態での出力を求める 際には中間転写ベルト 7 1の 1周分にわたる出力の平均値をとることが望ましい 一方、 発光素子 6 0 1の消灯状態ではこのように中間転写ペルト 7 1の 1周分の 出力信号を検出する必要はないが、 検出誤差を小さくするためには数点での出力 信号を平均するのが好ましい。
この実施形態においては、 中間転写ペルト 7 1表面は白色であるため光の反射 率が高く、 該ベルト 7 1上にいずれかの色のトナーが付着するとその反射率は低 下する。 したがって、 この実施形態では、 中間転写ペルト 7 1表面へのトナー付 着量が増えるにつれて受光ュニットからの出力電圧 Vp、 V sが基準レベルから低 下してゆくこととなり、 これらの出力電圧 Vp、 V sの大きさからトナーの付着量、 ひいてはトナ一像の画像濃度を見積もることが可能となっている。
また、 この実施形態では、 カラ一 (Y、 C、 M) トナーとブラヅク (K ) トナ —との間で反射特性が異なっていることに基づき、 後述するブラヅクトナーによ るパッチ画像の濃度は該パッチ画像からの反射光のうち]?偏光の光量に基づいて 求める一方、 カラートナーによるパッチ画像の濃度は P偏光、 s偏光の光量比に 基づいて求めるようにしているので、 広いダイナミヅクレンジにわたって精度よ
く画像濃度を求めることが可能となっている。
さて、 第 1 0図に戻って、 プレ動作の説明を続ける。 中間転写ベルト 7 1の表 面状態は必ずしも光学的に一様であるとはいえず、 また使用につれてトナーが融 着するなどして次第に変色や汚れが生じることもある。 このような中間転写ベル ト 7 1の表面状態の変化により トナー像の濃度検出に誤差を生じるのを防止する ため、 この実施形態では、 中間転写ベルト 7 1の 1周分についての下地プロファ ィル、 つまり トナー像を担持しない状態での中間転写ベルト 7 1表面の濃淡に閧 する情報を取得している。 具体的には、 発光素子 6 0 1を先に求めた基準光量で 発光させ、 受光ュニヅト 6 7 0 p、 6 7 0 sからの出力電圧 Vp、 Vsをサンプリ ングしながら中間転写ベルト 7 1を 1周回転させ(ステヅプ S 2 3 )、各サンプル デ一夕 (本実施形態におけるサンプル数: 3 1 2 ) を下地プロファイルとして R A M 1 0 7に記憶しておく。 このように中間転写ペルト 7 1の表面各部の濃淡を 予め把握しておくことで、 その上に形成されるトナー像の濃度をより正確に見積 もることが可能になる。 この点については、 後の実施形態で詳述する。
ところで、 上記した濃度センサ 6 0からの出力電圧 Vp、 Vsには、 ローラ 7 5 および中間転写ベルト 7 1の微小な汚れや傷による反射率の変化、 さらにはセン サ回路に混入する電気的なノィズ等に起因するスパイク状のノイズが重畳してい ることがある。 第 1 1図は、 中間転写ペルトの下地プロファイルの例を示す図で ある。 中間転写ベルト 7 1の 1周分以上にわたりその表面からの反射光量を濃度 センサ 6 0によりサンプリングしてプロヅトすると、 第 1 1図 (a ) に示すよう に、 センサ 6 0からの出力電圧 Vp は中間転写ベルト 7 1の周長もしくはその回 転周期に対応して周期的に変化するだけでなく、 その波形には幅の狭いスパイク 状のノイズが重畳することがある。 このノイズは上記回転周期に同期した成分お よびこれに同期しない不規則成分のいずれをも含んでいる可能性がある。 第 1 1 図 (b ) はこのようなサンプルデ一夕列の一部を拡大したものである。 この図で は、 ノイズの重畳により各サンプルデ一夕のうち符号 Vp( 8 )、 Vp( 1 9 )を付し た 2つのデ一夕が他のデ一夕より突出して大きくなつている一方、符号 Vp(4 )、 Vp( l 6 )を付した 2つのデ一夕が他より突出して小さくなつている。なお、 ここ では 2つのセンサ出力のうち p偏光成分について述べたが、 s偏光成分について
も同様に考えることができる。
濃度センサ 6 0の検知スポット径は例えば 2〜 3 mm程度であり、 また中間転 写ベルト 7 1の変色や汚れは一般により大きな範囲で生じると考えられるから、 このような局所的に突出したデータは上記ノイズの影響を受けているものとみる ことができる。 このようにノイズが重畳したままのサンプルデ一夕に基づき下地 プロファイルやパッチ画像の濃度を求め、 その結果から濃度制御因子を設定する と、 各濃度制御因子を必ずしも最適な状態に設定することができなくなり、 却つ て画像品質が劣化してしまう場合がある。
そこで、 この実施形態では、 第 1 0図に示すように、 ステヅプ S 2 3において 中間転写ベルト 7 1の 1周分についてセンサ出力のサンプリングを行った後、 ス パイクノィズの除去処理を実行している (ステップ S 2 4 )。
第 1 2図はこの実施形態におけるスパイクノイズ除去処理を示すフローチヤ一 トである。 このスパイクノイズ除去処理では、 取得した 「生の」 すなわち加工を 加えていないサンプルデ一夕列のうち連続する一部の区間 (ここでは 2 1サンプ ル分に相当する長さ) を抽出し (ステヅプ S 2 4 1 )、 その区間に含まれる 2 1個 のサンプルデータのうちそのレベルが上位 3つおよび下位 3つに該当するデ一夕 を除去した後 (ステップ S 2 4 2、 S 2 4 3 )、残る 1 5個のデ一夕の算術平均を 求める (ステヅプ S 2 4 4 )。そして、 その平均値をこの区間における平均レベル とみなし、 ステップ S 2 4 2および S 2 4 3で除去した 6つのデ一夕をこの平均 値に置き換えることでノイズが除去された 「補正後」 のサンプルデ一夕列を得る (ステップ S 2 4 5 )。さらに、必要に応じて次の区間についても上記ステップ S 2 4 1〜S 2 4 5を繰り返し、 同様にしてスパイクノイズを除去する (ステップ S 2 4 6 ) o
上記処理によるスパイクノイズ除去について、 第 1 1図 (b ) に示すデ一夕列 を例にとり、 第 1 3図を参照しながらさらに詳しく説明する。 第 1 3図は、 この 実施形態におけるスパイクノイズ除去の様子を示す図である。 第 1 1図 (b ) の デ一夕列においては、他のデ一夕から突出して大きい 2つのデ一夕 Vp( 8 )および Vp( l 9 )、 突出して小さいデ一夕 Vp( 4 )および Vp( l 6 )にノイズの影響が現れ ているとみられる。 このスパイクノイズ除去処理では、 各サンプルデ一夕のうち
上位 3つを除去しているため(第 1 2図のステップ S 2 4 2 )、 これらのデ一夕の うちノイズを含むとみられるデ一夕 2つを含む 3つのデータ Vp( 8 )、 Vp( l 4 ) および Vp( l 9 )が除去される。 同様にして、 ノイズを含むとみられるデ一夕 2つ を含む 3つのデ一夕 Vp( 4 )、 Vp( l 1 )および Vp( l 6 )も除去されている (第 1 2図のステヅプ S 2 4 3 )。そして、 第 1 3図に示すように、 これら 6つのデータ が、 他の 1 5デ一夕の平均値 Vpavg (斜線を付した丸印で示す) に置き換えられ ることで、 元のデ一夕列に含まれていたスパイクノイズが除去されるのである。 なお、 このスパイクノイズ除去を実施するに際し、 抽出するサンプル数、 除去 するデータの数は上記に限定されるものではなく、 任意の個数としてよいが、 そ の選び方によっては十分なノイズ除去効果が得られないばかりか、 却って誤差を 増大させてしまうおそれもあるため、 以下の観点に基づき慎重に決定されること が望ましい。
すなわち、 ノイズの発生頻度に対しあまり短い区間のデ一夕列を抽出したので は、ノイズ除去処理を実行する区間内にノイズが含まれていない確率が高くなり、 また演箅処理の回数も増大するため効率的でない。 一方、 あまり広い区間のデ一 夕列を抽出したのでは、 センサ出力における有意な変動、 すなわち検出対象の濃 度変化を反映した変動分まで含めて平均化されてしまうこととなり、 本来の目的 である濃度プロファイルを正しく求めることができなくなってしまう。
また、 ノイズ発生の頻度は一定ではないから、 抽出したデ一夕列からこのよう に上位または下位それそれ所定個数のデータを一律に除去するだけでは、 上記し た例におけるデ一夕 Vp( l 1 )、 Vp( l 4 )のようにノイズを含まないデ一夕まで 除去されてしまったり、 また逆にノイズが十分に除去されない可能性がある。 こ のうち、 ノイズを含まないデ一夕がいくつか除去されてしまったとしても、 第 1 3図に示すように、 これらのデ一夕 Vp( l 1 )、 Vp( l 4 )と平均値 Vpavgとの差 は比較的小さいため、これらのデ一夕が平均値 Vpavgに置き換えられたことによ る誤差は小さい。 一方、 ノイズを含むデ一夕が除去されずに残された場合には、 このデータを含めて求めた平均値で他のデ一夕を置換することによって却って誤 差が大きくなつてしまうおそれがある。 したがって、 抽出したデ一夕のサンプル 数に対して除去するデータ数の比率は、 実際の装置において発生するノィズの頻
度と同等もしくはそれより若干大きくなるように決められるのが望ましい。 この実施形態においては、 第 1 1図 (a ) に示すように、 ノイズの影響により 本来のプロファイルより大きい側にずれるデ一夕と小さい側にずれるデータの頻 度が同程度であり、 かつノイズそのものの発生頻度が 2 5 %以下 (2 1サンプル 中 5サンプル以下) 程度であったという実験的事実に基づき、 スパイクノイズ除 去処理を上記のように構成しているのである。
なお、 スパイクノイズ除去の処理方法については、 上記以外にも種々の方法が 考えられる。 例えば、 サンプリングにより得られた 「生の」 サンプルデータに従 来より周知の低域通過フィル夕処理を施すことによつても、 スパイク状のノィズ を取り除くことは可能である。 ただし、 従来のフィル夕処理においては、 ノイズ 波形の鋭さを緩和することはできるものの、 その結果として、 ノイズを含むデ一 夕のみならずその周辺のデータも元の値から変化することとなるため、 発生する ノイズの態様によっては大きな誤差を招く可能性がある。
これに対して、 本実施形態では、 各サンプルデ一夕のうちノイズの発生する頻 度に応じた個数の上位/下位データを平均値に置き換える一方、 それ以外のデ一 夕は元のままとしているのでこのような誤差が生じる可能性は低くなつている。 また、 このスパイクノイズ除去処理は、 上記した下地プロファイルを求めると きのみでなく、 後述するようにトナー像の画像濃度を求める際にその反射光量と して取得したサンプルデ一夕に対しても施される。
( B— 2 ) 現像器の空回し (ブレ動作 2 )
電源オフ状態、 または電源がオンであっても画像形成動作を行わず動作停止状 態にある期間が長時間継続した後に画像形成を行うと、 画像に周期的な濃度ムラ が現れる場合があることが従来より知られている。 本明細書ではこの現象を放置 バンデイング現象と称するが、 本願発明者は、 この放置バンデイング現象が、 ト ナ一が各現像器の現像ローラ 4 4に担持されたまま長時間放置されたことにより 現像ローラ 4 4から離れ難くなり、 しかもその程度が現像ローラ 4 4表面上にお いて一様でないことから現像ローラ 4 4上のトナー層が次第に不均一となること に起因するものであることを見出した。 例えば、 第 3図に示す本実施形態の現像 器 4 Kでは、 現像ローラ 4 4の回転が停止した状態において、 その表面のうちの
一部に供給ローラ 4 3または規制ブレード 4 5が当接した状態となっており、 さ らにその表面のうちハウジング 4 1の内側に位置する部分は大量のトナーに覆わ れた状態となっているのに対し、 ハウジング 4 1の外部に露出する部分は薄いト ナ一層を担持したまま大気中に曝されているなど、 現像口一ラ 4 4の表面状態は その周方向において不均一となっている。
このように現像ローラ 4 4表面が不均一な状態で長時間にわたり装置が動作停 止状態におかれた後、 次の画像形成を行うのに先立って濃度制御因子を新たに最 適化する場合、 放置バンディング現象によって生じるパッチ画像の濃度ムラがこ の最適化処理に影響を与えるおそれがある。
そこで、 この実施形態の画像形成装置では、 パッチ画像を形成するのに先立つ て放置バンディング現象を解消するため、 各現像ローラ 4 4の空回しを行ってい る。 具体的には、 第 1 0図の右側のフロー (プレ動作 2 ) に示すように、 まずィ エロ一現像器 4 Yを感光体 2と対向する現像位置に配置し(ステップ S 2 5 )、直 流現像バイアス V avg をその可変範囲においてその絶対値が最小となる値に設定 した後に(ステップ S 2 6 )、本体側の回転駆動部により現像ローラ 4 4を少なく とも 1周回転させる (ステップ S 2 7 )。そして、現像ュニヅト 4を回転させて現 像器を切り換えながら (ステップ S 2 8 )、 他の現像器 4 C、 4 M、 4 Kを順番に 現像位置に位置させて、 それそれに設けられた現像ローラ 4 4を同様に 1周以上 回転させる。 こうして各現像ローラ 4 4をそれそれ 1周以上空回しすることによ つて現像ローラ 4 4表面のトナ一層が供給ローラ 4 3および規制ブレード 4 5に よりいったん剥ぎ取られて再形成されることとなり、 引き続いて形成するパッチ 画像ではこのように再形成されてより均一な状態のトナー層が像形成に供される ため、 放置バンデイング現象による濃度ムラは発生し難くなる。
なお、 上記したプレ動作 2においては、 そのステヅブ S 2 6において直流現像 バイアス V avg をその絶対値が最小となるようにしている。 その理由は以下のと おりである。
後述するように、 画像濃度に影響を与える濃度制御因子としての直流現像バイ ァス V avg は、 その絶対値 I Vavg lが大きいほど形成されるトナー像の濃度が高 くなる。 これは、 直流現像バイアスの絶対値 I Vavg Iが大きくなるほど、 感光体
2上の静電潜像のうち光ビーム Lにより露光された領域、 つまり トナーを付着さ せるべき表面領域と現像ローラ 4 との電位差が大きくなつて現像ローラ 4 4か らのトナー移動がより促進されるからであるが、 中間転写ベルト 7 1の下地プロ ファイルを取得する際にはこのようなトナー移動が起こることは好ましくない。 というのは、 現像ローラ 4 4から感光体 2に移動したトナーが一次転写領域 T R 1 において中間転写ベルト Ί 1上に転写されると中間転写ベルト Ί 1からの反射 光量を変化させてしまうため、 下地プロファイルを正しく求めることができなく なるからである。
この実施形態では、 後述するように、 直流現像バイアス V avg を濃度制御因子 の 1つとして所定の可変範囲で多段階に変更設定可能としている。 そこで、 直流 現像バィァス V avg をその可変範囲においてその絶対値が最小となる値に設定し、 現像ローラ 4 4から感光体 2へのトナー移動が最も起こりにくい状態を実現する ことで、 中間転写ベルト 7 1へのトナー付着を最少限に抑えるようにしている。 同様の理由により、 現像バイァスに交流成分を有する装置においてはその振幅を 通常の画像形成時より小さく設定することが好ましい。例えば、前述したように、 現像バイァスの振幅 Vpp を 1 4 0 0 Vとしている装置では、 この振幅 Vpp を 1 0 0 0 V程度とするとよい。 なお、 直流現像バイアス V avg以外のパラメ一夕、 例えば現像バィァスのデューティ比や帯電バイアス等を濃度制御因子として用い る装置においても、 上記したトナー移動がより起こりにくい条件を実現するよう に適宜その濃度制御因子を設定するのが好ましい。
また、 この実施形態では、 上記したプレ動作 1およびブレ動作 2を並行して同 時に実行することで処理時間の短縮を図っている。 すなわち、 プレ動作 1では下 地プロファイルを取得するため中間転写ベルト 7 1の少なくとも 1周、 さらに望 ましくはセンサ校正を行うための 2周を含めた 3周の周回が必要である一方、 プ レ動作 2においては各現像ローラ 4 4をできるだけ多く周回させるのが好ましく、 しかも、 これらの動作は互いに独立して行うことが可能であることから、 これら を並行して行うことでそれそれの処理に要する時間を確保しつつ、 最適化処理全 体に要する時間を短縮することが可能となる。
( C ) 制御目標値の導出
この実施形態の画像形成装置では、 後述するように、 パッチ画像として 2種類 のトナー像を形成し、 その濃度が予め定められた濃度目標値となるように各濃度 制御因子の調節を行っているが、 この目標値を一定とはせず、 装置の稼動状況に 応じて変更するようにしている。 その理由は以下の通りである。
前述したように、 この実施形態の画像形成装置では、 感光体 2上で顕像化され て中間転写ベルト 7 1の表面に一次転写されたトナー像からの反射光量を検出す ることでその画像濃度を見積もつている。 このようにトナ一像の反射光量から画 像濃度を求める技術は従来より広く用いられているが、 以下に詳述するように、 このような中間転写ベルト 7 1上に担持されたトナー像からの反射光量 (または それに対応する濃度センサ 6 0からのセンサ出力 Vp、 V s) と、 最終的な転写材 であるシート S上に形成されたトナー像の光学濃度 (O D値) との対応関係は一 意的に定まるわけではなく、 装置やトナーの状態により微妙に変化している。 そ のため、 従来技術のように、 たとえ各濃度制御因子をトナー像からの反射光量が 一定となるように制御したとしても、 シ一ト S上に最終的に形成される画像の濃 度はトナーの状態により変動してしまうこととなる。
このようにセンサ出力とシ一ト S上の〇D値とがー致しない原因の一つは、 定 着プロセスを経てシ一ト S上に融着されたトナーと、 定着されず単に中間転写べ ルト 7 1表面に付着しているだけのトナーとでその反射の状態が異なることであ る。 第 1 4図はトナーの粒径と反射光量との関係を示す模式図である。 第 1 4図 ( a ) に示すように、 最終的にシート S上に得られた画像 I s では、 定着プロセ スでの加熱 ·加圧によって溶融されたトナー T mがシ一ト Sに融着した状態とな つている。 したがって、 その光学濃度 (O D値) はトナーが融着した状態での反 射光量を反映したものとなるが、その大小は主としてシ一ト S上のトナー密度(例 えば、 単位面積あたりのトナー質量で表すことができる) によって決まることと なる。
これに対して、 定着プロセスを経ない中間転写ベルト 7 1上のトナー像では各 トナー粒子が個別に中間転写ベルト 7 1表面に付着しているに過ぎない。 したが つて、 たとえトナ一密度が同じ (つまり定着後の O D値は等しい) であったとし ても、 例えば第 1 4図 (b ) に示す粒径の小さなトナー T 1 が高密度に付着して
いる状態と、 第 1 4図 (c ) に示す粒径の大きなトナー T 2 がより低密度に付着 して中間転写ベルト 7 1の表面が部分的に露出した状態とでは、 その反射光量は 必ずしも同じにはならない。 言い換えれば、 定着前のトナー像からの反射光量が 同じであっても定着後の画像濃度 (O D値) が同じになるとは限らない。 一般に は、 反射光量が等しい場合、 トナー像を構成するトナー粒子中に占める大粒径ト ナ一の比率が高いと定着後の画像濃度が高くなる傾向にあることが本願発明者の 実験によりわかっている。
このように、 シ一ト S上での O D値と中間転写ベルト 7 1上でのトナー像から の反射光量との対応はトナーの状態、 特にその粒径分布によって変化する。 第 1 5図はトナーの粒径分布と O D値の変化との対応を示す図である。 トナ一像を形 成すべく各現像器に収容されているトナ一粒子はその粒径が全て設計中心値に揃 つているのが理想である。 しかしながら、 第 1 5図 (a ) に示すように、 実際に はその粒径は様々な態様の分布を有しており、 その態様はトナーの種類や製法に よって異なるのはもちろんのこと、 同一の仕様で製造したトナーであってもその 製造ロッ ト毎、 製品毎に微妙に異なっている。
これら様々な粒径のトナーはその質量や帯電量が異なるため、 このような粒径 分布を有するトナーを用いて画像形成を行うと、 これらのトナーが一様に消費さ れるわけではなく、 その装置により適合した粒径のトナーが選択的に消費される 一方、 それ以外のトナーはあまり消費されず現像器内に残ることとなる。 したが つて、 トナー消費が進むにつれて現像器内に残るトナーの粒径分布も変化してゆ くこととなる。
前述したように、 定着前のトナー像からの反射光量は像を構成するトナーの粒 径によって変化するから、 この反射光量が常に一定となるように各濃度制御因子 を調節したとしても、 シ一ト S上に定着された後の画像濃度は必ずしも一定とは ならない。 第 1 5図 (b ) は、 トナー像からの反射光量が一定となるように、 つ まり濃度センサ 6 0からの出力電圧が一定となるように各濃度制御因子を制御し ながら画像形成を行った場合のシート S上における画像の光学濃度 (O D値) の 変化を示している。 例えば、 第 1 5図 (a ) に示す曲線 aのように、 トナーの粒 径が設計上の中心値付近によく揃っている場合には、 第 1 5図 (b ) の曲線 aの
ように、 現像器内のトナー消費が進んでも O D値はほぼ目標値に保たれる。 これ に対し、 例えば第 1 5図 (a ) の曲線 bに示すように、 より幅広い粒径分布を有 するトナーを用いた場合には、 第 1 5図 (b ) の曲線 bに示すように、 当初は設 計中心値付近の粒径のトナーが主に消費されてほぼ目標値どおりの O D値が得ら れるものの、 トナー消費が進むにつれてこのようなトナーの割合が減少し、 代わ つてより粒径の大きなトナ一が画像形成に使われるようになるため O D値が次第 に上昇する。 さらに、 第 1 5図 (a ) の各点線で示すように、 トナーまたは現像 器の製造口ットによっては分布の中央値が当初より設計値からずれている場合も あり、 これに対応してシート S上の O D値も、 第 1 5図 (b ) の各点線に示すよ うに、 トナー消費量の増加とともに様々な変化を示すこととなる。
このようにトナーの特性を左右する要因としては、 上記したトナーの粒径分布 以外にも、 例えばトナー母粒子内の顔料の分散の状態や、 トナー母粒子と外添剤 との混合の状態によるトナーの帯電性の変化などがある。 このようにトナー特性 が製品毎に微妙に異なっているため、 シ一ト S上での画像濃度は必ずしも一定と はならず、使用するトナーにより濃度変化の程度はまちまちである。 したがって、 濃度センサからの出力電圧が一定となるように各濃度制御因子を制御する従来の 画像形成装置においては、 トナー特性のばらつきによる画像濃度の変動が避けら れず、 必ずしも満足できる画像品質が得られないことがあった。
そこで、 この実施形態では、 装置の稼動状況に応じ、 後述する 2種のパッチ画 像それそれについて、 濃度センサ 6 0からの出力に基づいて算出されて画像濃度 を表す尺度となる画像濃度の評価値 (後述) の制御目標値を設定し、 各パッチ画 像について得られる評価値がこの制御目標値となるように各濃度制御因子を調節 することで、 シ一ト S上での画像濃度が一定に保たれるようにしている。 第 1 6 図はこの実施形態における制御目標値の導出プロセスを示すフローチャートであ る。 このプロセスでは、 各トナー色毎に、 そのトナーの使用状況、 具体的には、 現像器に充填されたトナーの粒径分布等の初期特性と、 該現像器に残存している トナーの量とに見合った制御目標値を求めている。 まずトナー色の 1つを選択し (ステップ S 3 1 )、 C P U 1 0 1が該トナーの使用状況を推定するための情報と して、 選択トナー色に関するトナー個性情報、 露光ユニット 6により形成された
ドッ トの数を示すドットカウント値および現像ローラ回転時間に関する情報を取 得する (ステヅプ S 3 2 )。 ここでは、 ブラック色に対応した制御目標値を求める 場合を例として説明するが、 他のトナー色についても同様である。
「トナー個性情報」 とは、 現像器 4 Kに充填されたトナーの特性を表す情報で ある。 この装置では、 上記したトナーの粒径分布等の諸特性が製造ロット等によ り異なることに鑑みてトナーの特性を 8種のタイプに分類している。 そして、 現 像器内のトナーがどの夕イブに属するかによつて、 後述する複数のルヅクァヅブ テーブルのうち制御目標値を決定する際に参照すべき 1つのテーブルを選択する。 また、 「ドッ トカウント値」は、現像器 4 K内に残存しているトナーの量を推定 するための情報である。 トナーの残量を推定する方法としては画像形成枚数の積 算値から求めるのが最も簡便であるが、 1枚の画像を形成することで消費される トナーの量は一定ではないからこの方法では正確な残量を知ることは難しい。 一 方、 露光ユニッ ト 6が感光体 2上に形成したドット数は、 感光体 2上でトナーに より顕像化されるドットの数を表しているから、 トナーの消費量をより正確に反 映したものとなる。 そこで、 この実施形態では、 当該現像器 4 Kで現像されるべ き感光体 2上の静電潜像を露光ュニット 6が形成したときのドット数をカウント して R A M 1 0 7に記憶しておき、 このドットカウント値を、 該現像器 4 Kのト ナー残量を示すパラメ一夕としている。
さらに、 「現像ローラ回転時間」は、現像器 4 K内に残存しているトナーの特性 をより詳しく推定するための情報である。 前述したように、 現像ローラ 4 4表面 にはトナ一層が形成されており、 そのうちの一部のトナーが感光体 2上に移動す ることで現像が行われる。 このとき、 現像ローラ 4 4表面では、 現像に寄与しな かったトナーは供給ローラ 4 3との当接位置まで搬送され、 該ローラ 4 3により 剥ぎ取られて新たなトナー層が形成されるのであるが、 こうして現像ローラ 4 4 への付着、 剥離が繰り返されることでトナーが疲労し、 その特性は次第に変化し てゆく。 このようなトナーの特性変化は、 現像ローラ 4 4が回転を重ねるにつれ て進行する。 したがって、 例えば、現像器 4 K内のトナー残量は同じであっても、 未使用のフレッシュなトナーと何度も付着、 剥離を繰り返した古いトナーとでは その特性が異なっていることがあり、 これらを用いて形成した画像の濃度は必ず
しも同じにはならない。
そこで、 この実施形態では、 トナー残量を示すドットカウント値と、 トナーの 特性変化の程度を示す現像ローラ回転時間との 2つのパラメ一夕の組み合わせに 基づいて現像器 4 Kに内蔵されたトナーの状態を推定し、 その状態に合わせてき め細かく制御目標値を設定することで画質の安定化を図っている。
なお、 これらの情報は装置各部の損耗状況を管理してメンテナンス性を高める ためにも用いられる。 すなわち、 1 ドットカウントは 0 . 0 1 5 m gのトナ一量 に相当しており、 1 2 0 0 0 0 0 0 ドットカウントでその消費量はほぽ 1 8 0 g となって各現像器内に貯留されたトナーのほとんどを使い切った状態となる。 ま た現像ローラの回転時間については、 その積算値 1 0 6 0 0 s e cが A 4サイズ での連続印字で 8 0 0 0枚に相当しており、 画像形成をこれ以上続けるのは画像 品質の点で好ましくない。 そこで、 この実施形態では、 これらの情報のいずれか が上記の値に達したときには、 図示を省略する表示部にトナーェンドを報知する 旨のメッセージを表示し、 ユーザに対し現像器の交換を促すようにしている。 さて、 こうして取得した装置の稼動状況に関する各情報から、 その状況に応じ た制御目標値を定める。 この実施形態では、 トナーの夕イブを表すトナー個性情 報と、 ドツトカウント値および現像ローラ回転時間の組み合わせから推定される 残存トナーの特性とに応じた最適な制御目標値が予め実験的に求められており、 この値はトナーのタイブ毎のルックァヅプテ一ブルとしてエンジンコントロ一ラ 1 0の R O M 1 0 6に記憶されている。 C P U 1 0 1は、 トナー個性情報に基づ いてこれらのルックァヅプテ一ブルのうちトナーのタイプに対応して参照すべき 1つのテ一ブルを選択し(ステヅプ S 3 3 )、その時点でのドヅトカウント値と現 像ローラ回転時間との組み合わせに対応する値をそのテーブルから読み出す (ス テヅブ S 3 4 )。
また、 この実施形態の画像形成装置では、 図示しない操作部によりユーザが所 定の操作入力を行うことによって、 形成する画像の濃度を好みに応じて、 または 必要に応じて所定の範囲で増減できるように構成されている。 すなわち、 上記ル ヅクアップテ一ブルから読み出された値に対して、 ユーザが画像濃度を 1段階増 加または減少する毎に所定のオフセツト値、 例えば 1段階あたり 0 . 0 0 5が加
算または減算され、その結果がそのときのブラツク色に対する制御目標値 Aktと して設定されて R AM 1 0 7に記憶される (ステヅプ S 3 5 )。 こうしてブラヅク 色における制御目標値 Aktが求まる。
第 1 7図は制御目標値を求めるルックアップテ一プルの例を示す図である。 こ のテ一プルは、 ブラック色でその特性が 「タイプ 0」 に属するトナーを使用する 場合に参照されるテ一ブルである。 この実施形態では、 後述する高濃度用、 低濃 度用の 2種類のパッチ画像のそれぞれに対応して、 各トナー色毎に、 8タイプの トナー特性に対応する 8種のテ一ブルが用意されて、 エンジンコントロ一ラ 1 0 に設けられた R O M 1 0 6に記憶され いる。 ここで、 第 1 7図 (a ) は、 高濃 度用パッチ画像に対応したテ一ブルの一例であり、 また第 1 7図 (b ) は、 低濃 度用パッチ画像に対応したテ一プルの一例である。
トナー個性情報が、 例えば 「夕イブ 0」 を示すものであったとすると、 ステツ プ S 3 3では、 8種のテーブルの中からトナー個性情報 「0」 に対応する第 1 7 図のテ一ブルが選択される。 そして、 取得したドットカウント値と現像ローラ回 転時間とに基づき制御目標値 Aktが求められる。例えば、 高濃度用パッチ画像に ついては、 ドットカウント値が 1 5 0 0 0 0 0カウント、 現像ローラ回転時間が 2 0 0 0 s e cであれば、 第 1 7図 (a ) を参照して、 これらの組み合わせに相 当する値 0 . 9 8 4がこの場合の制御目標値 Aktである。 さらに、 例えばユーザ が画像濃度をその標準状態より 1段階高く設定している場合には、 この値に 0 . 0 0 5を加算した値 0 . 9 8 9が制御目標値 Aktとなる。 同様にして、 低濃度用 パヅチ画像についての制御目標値も求めることができる。
このようにして求めた制御目標値 Akt についてはエンジンコントロ一ラ 1 0 の R A M I 0 7に記憶しておき、 以後の各濃度制御因子の設定においてはパッチ 画像の反射光量に基づき求められる評価値がこの制御目標値に一致するようにす る。
このように、 上記ステップ S 3 1〜S 3 5を実行することにより一のトナー色 についての制御目標値が求まるが、 各トナー色について上記処理を繰り返すこと で (ステップ S 3 6 )、 全てのトナー色についてその制御目標値 Ayt、 ActN A mtおよび Aktが求まる。 ここで、 添字 y、 c、 mおよび kは各トナー色すなわ
ちイエロ一、 シアン、 マゼン夕およびブラヅクをそれそれ表し、 また添字 tは制 御目標値であることを表すものである。
( D ) 現像バイアス設定
この画像形成装置では、 現像ローラ 4 4に与える直流現像バイアス V avg と、 感光体 2を露光する露光ビーム Lの単位面積当たりのエネルギー(以下、単に「露 光エネルギー」 という) Eとを可変としており、 これらを調節することで画像濃 度の制御を行っている。 ここでは、 直流現像バイアス V avgの可変範囲を低レべ ル側から V0 ないし V 5 の 6段階、 また露光エネルギー: Eの可変範囲を低レベル 側からレベル 0ないし 3の 4段階に変更設定してそれそれの最適値を求める場合 について説明するが、 これらの可変範囲およびその分割数についてはその装置の 仕様に応じて適宜改変することができる。 なお、 先に述べた直流現像バイアス V avgの可変範囲を (一 1 1 0 ) V〜 (一 3 3 0 ) Vとしている装置では、 最も低 レベルの V0 は電圧の絶対値が最も小さい (— 1 1 0 ) Vに、 また最も高レベル の V 5は電圧の絶対値が最も大きい (一 3 3 0 ) Vにそれぞれ相当する。
第 1 8図はこの実施形態における現像バイアス設定処理を示すフローチヤ一ト である。 また、 第 1 9図は高濃度用パヅチ画像を示す図である。 この処理では、 まず露光エネルギー Eをレベル 2に設定し(ステップ S 4 1 )、次いで直流現像バ ィァス Vavg を最小レベルの V0 から 1レベルずつ増加させながら、 各バイアス 値で高濃度用パヅチ画像としてのベ夕画像を形成する (ステヅプ S 4 2、 S 4 3 ) c
6段階に変更設定される直流現像バイアス V avgに対応して、 第 1 9図に示す ように、中間転写ペルト Ί 1の表面には 6個のパッチ画像 I v0〜 I v5が順次形成 されるが、 このうち先頭から 5個のパッチ画像 I vO〜I v4は長さ L 1に形成され る。 この長さ L 1 は、 円筒形の感光体 2の周長よりも長くなるように構成されて いる。 一方、 最後のパッチ画像 I v5は感光体 2の周長より短い長さ L 3に形成さ れる。 このようにする理由は後に詳述する。 また、 直流現像バイアス V avg を変 更設定したとき、 現像ローラ 4 4の電位が均一になるまでには若干の時間遅れが あるので、 この時間遅れを見込んで各パッチ画像は間隔 L 2を隔てて形成される。 中間転写ベルト 7 1表面のうち、 実際にトナ一像を担持可能な領域は同図に示す 像形成領域 7 1 0であるが、 パッチ画像の形状および配置を上記のように構成し
ているため、 像形成領域 7 1 0に形成することのできるパッチ画像は 3個程度と なり、 6個のパッチ画像は、 第 1 9図のように中間転写ベルト 7 1の 2周分にわ たって形成される。
ここで、 パッチ画像の長さを上記のように設定している理由について、 第 1図 および第 2 0図を参照しつつ説明する。 第 2 0図は感光体周期で生じる画像濃度 の変動を示す図である。 第 1図に示すように、 感光体 2は円筒形に形成されてい る (その周長を L 0 とする) が、 製造上のばらつきや熱変形等に起因して、 その 形状が完全な円筒でなかったり偏心を有する場合があり、 このような場合、 形成 されるトナー像の画像濃度に感光体 2の周長 L 0 に対応した周期的な変動を生じ ることがある。 というのは、 感光体 2と現像ローラ 4 4とが当接した状態でトナ —現像が行われる接触現像方式の装置では両者間の当接圧が変動し、 また両者が 離間配置されてトナー現像が行われる非接触現像方式の装置では両者間にトナー を飛翔させる電界の強度が変化し、 いずれの装置においても現像ローラ 4 4から 感光体 2へトナーが移動する確率が感光体 2の回転周期で周期的に変動すること となるからである。
この濃度変動の幅は、 第 2 0図 (a ) に示すように、 特に直流現像バイアス V avgの絶対値 I V avg Iが比較的低い場合に大きく、この値 I Vavg |が大きくなるに つれて小さくなる。 例えば、 直流現像バイアスの絶対値 I Vavg Iを比較的小さい 値 Va に設定してパヅチ画像を形成すると、 第 2 0図 (b ) に示すように、 その 画像濃度 O Dは感光体 2上での位置によって幅 Δ 1 の範囲で変化することとなる c 同様に、 他の直流現像バイアスでパッチ画像を形成した場合でも、 その画像濃度 は第 2 0図 (b ) の斜線部に示すようにある範囲で変動する。 このように、 パヅ チ画像の濃度 O Dは直流現像バイアス Vavgの大きさだけでなく、 その感光体 2 上への形成位置によっても変動する。 したがって、 その画像濃度から直流現像バ ィァス Vavg の最適値を求めるためには、 パッチ画像に及ぼす上記感光体 2の回 転周期に対応した濃度変動の影響を排除する必要がある。
そこで、 この実施形態では、 感光体 2の周長 L 0 を超える長さ L 1 のパッチ画 像を形成し、 後述するようにそのうちの長さ L 0 分について求めた濃度の平均値 を該パッチ画像の画像濃度としている。 こうすることによって、 各パッチ画像の
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濃度に及ぼす感光体 2の回転周期に対応する濃度変動の影響を効果的に抑制して おり、 その結果、 その濃度に基づいて直流現像バイアス Vavgの最適値を適正に 求めることが可能となっている。
なお、 この実施形態では、 第 1 9図に示すように、 各パッチ画像 I v0〜 I v5 のうち、直流現像バイァス V avgを最大として形成する最後のパッチ画像 I v5に ついては、 その長さ L 3 を感光体 2の周長 L 0 より小さくしている。 これは、 第 2 0図 (b ) に示すように、 直流現像バイアスの絶対値 I Vavg lが大きい条件で 形成したパッチ画像では感光体 2の回転周期に対応した濃度変動が小さいため上 記のように感光体周期にわたる平均値を求める必要がないからであるが、 こうす ることでパッチ画像の形成およびその処理に要する時間を短縮するとともに、 パ ッチ画像形成におけるトナー消費量を低減することが可能である。
このように、 感光体周期に対応して生じる濃度変動が濃度制御因子の最適化処 理に及ぼす影響を排除するためにはパッチ画像の長さを感光体 2の周長 L 0 より 長く形成することが望ましいが、 必ずしも全てのパヅチ画像をこのような長さと する必要はなく、 何個のパツチ画像をこのような長さとするかは各装置において 現れる濃度変動の程度や求められる画像品質のレベルに応じて適宜決定されるべ きものである。例えば、感光体周期での濃度変動の影響が比較的小さい場合には、 直流現像バィァス V avgが最小の条件で形成されるパッチ画像 I νθのみを長さ L 1として、 他のパッチ画像 I vl〜 I v5についてはこれより短い長さ L 3に形成す るようにしてもよい。
逆に、 全てのパヅチ画像を長さ L 1 に形成してもよいが、 この場合には処理時 間およびトナ一消費量が増大するという問題がある。 また直流現像パィァス V avgを最大とした状態でも感光体周期に対応した濃度変動が現れるのは画像品質 の観点から好ましくなく、 少なくともその最大値に設定したときにはこのような 濃度変動が現れないように、 直流現像バイアス V avgの可変範囲を定めるのが本 来的である。 そして、 そのように直流現像バイアス V avgの可変範囲を設定した 場合には、 少なくともその最大値においてこのような濃度変動は現れないから、 この場合のパッチ画像の長さを L 1とする必要はない。
第 1 8図に戻って、 現像バイアス設定処理の説明を続ける。 こうして各直流現
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像バイァスで形成したパツチ画像ェ v0〜 I v5については、その表面からの反射光 量に対応して濃度センサ 6 0から出力される電圧 Vp、 V s をサンプリングする (ステップ S 4 4 )。 この実施形態では、 長さ L 1 のパヅチ画像 I v0〜 I v4では 7 4点(感光体 2の周長 L 0に相当する)、 また長さ L 3のパヅチ画像 I v5では 2 1点 (現像ローラ 4 4の周長に相当する) について、 サンプリング周期 8 m s e cで濃度センサ 6 0からの出力電圧 Vp、 V sのサンプルデ一夕を得ている。 そし て、 前述した下地プロファイルの導出時 (第 1 0図) と同様にして、 サンプルデ —夕からスパイクノイズを除去した後(ステップ S 4 5 )、そのデ一夕からセンサ 系の暗出力や下地プロファイルの影響を除いた各パッチ画像の 「評価値」 を算出 する (ステップ S 4 6 )。 ただし、 上述した長さ L 1 のパッチ画像 I v0〜 I v4 に ついては、 7 4サンプルのうち値の大きいものおよび小さ ものから順にそれそ れ 1 0サンプルずつを除去してスパイクノイズ除去を行う。
前述したように、 この装置における濃度センサ 6 0は、 中間転写ペルト 7 1に トナーが付着していない状態での出力レベルが最も大きく、 トナー量が多くなる につれてその出力が小さくなるという特性を示す。 さらに、 この出力には暗出力 によるオフセヅトも加わっているから、 このセンサからの出力電圧デ一夕のまま ではトナー付着量を評価する情報として扱い難い。 そこで、 この実施形態では、 得られたデータを加工してより トナー付着量の大小を反映したデ一夕、 すなわち 評価値に変換し、 以後の処理を容易に行えるようにしている。
この評価値の算出方法について、 ブラヅクトナ一色によるパッチ画像を例とし てより具体的に説明する。 ブラックトナーにより現像された 6個のパッチ画像の うち、第 n番目のパツチ画像 I VII (ただし、 n = 0、 1、 ···、 5 )の評価値 Ak( n) については、 以下の式:
Ak(n) = 1 - { D p_avek(n)~ VpO} / { Tp_ave - VpO} … (1-2) に基づき、 算出する。 ここで、 上式の各項の意味はそれそれ以下のとおりである。 まず、 D p— avek( n)は、 第 n番目のパヅチ画像 I vnからの反射光のうち p偏光 成分に対応する出力電圧 Vp として濃度センサ 6 0から出力され、 サンプリング された各サンプルデ一夕のノイズ除去後の平均値である。 すなわち、 例えば最初 のパッチ画像 I vO に対応する値 Dp_avek( 0 )は、 該パッチ画像のうちの長さ L 0
分において濃度センサ 6 0からの出力電圧 Vp として検出された後スパイクノィ ズ除去処理を施されて R A M 1 0 7に記憶された 7 4個のサンプルデータの算術 平均である。 なお、 上式における各項の添字 kは、 ブラヅク色についての値であ ることを表すものである。
また、 VpOは、 先のプレ動作 1において発光素子 6 0 1を消灯した状態で取得 した受光ユニット 6 7 0 pからの暗出力電圧である。 このように、 サンプリング された出力電圧から暗出力電圧 VpOを差し引くことにより、暗出力の影響を排除 してより高精度にトナー像の濃度を求めることが可能である。
さらに、 T p_aveは、 先に求められ R A M 1 0 7に記憶されている下地プロフ アイルデ一夕のうち、 中間転写ペルト 7 1上において上記 D p_avek(n)の箅出に 用いた 7 4個の各サンプルデ一夕が検出されたのと同じ位置で検出された各サン プルデータの平均値である。
つまり、 ブラック色における第 n番目のパヅチ画像 I vn に対する評価値 A k(n)とは、 トナーが付着する前の中間転写ベルト 7 1の表面から得られたセンサ 出力 Vpの平均値と、 トナーの付着したパッチ画像 I vnから得られたセンサ出力 Vp の平均値とのそれぞれからセンサの暗出力を差し引いた後に両者の比を取り、 その値を 1から減じたものである。 したがって、 パッチ画像としてのトナーが中 間転写ベルト 7 1に全く付着しない状態では D p— avek(n) = T p_ave となって評 価値 Ak( n)がゼロとなる一方、中間転写ペルト Ί 1の表面がブラックトナーによ り完全に覆われて反射率がゼロとなった状態では D p_avek( n) = VpO となって 評価値 Ak( n) = 1となる。
このように、 センサ出力電圧 Vpの値をそのまま用いるのでなく評価値 Ak(n) を用いると、 中間転写ベルト 7 1の表面状態による影響をキャンセルしてパヅチ 画像の画像濃度を高精度に測定することができる。 また、 中間転写ベルト 7 1上 のパッチ画像の濃淡に応じて補正されているため、 画像濃度の測定精度をさらに 向上させることができる。 さらに、 トナーが付着しない状態を表す最小値 0から 中間転写ベルト 7 1の表面が高密度のトナーに覆われた状態を表す最大値 1まで の値でパヅチ画像 I vnの濃度を正規化して表すことができるので、以後の処理に おいてトナ一像の濃度を見積もるのに好都合である。
なお、 ブラヅク以外のトナー色、 すなわちイエロ一色 (Y)、 シアン色 (C) お よびマゼン夕色 (Μ) については、 ブラック色より反射率が高く トナーが中間転 写ベルト 7 1の表面を覆った状態でもその反射光量はゼロではないから、 上記に より求めた評価値ではその濃度を精度よく表すことができない場合がある。 そこ で、 この実施形態では、 これらのトナー色に対する評価値 Ay(n)、 Ac(n)、 A m(n)を求めるに際して用いるサンプルデ一夕として p偏光成分に対応した出力 電圧 Vpではなく、 これから暗出力 VpOを差し引いた値を、 s偏光成分に対応し た出力電圧 Vsからその暗出力 VsOを差し引いた値で除した値 Dps、 すなわち、
Dps- (Vp- VpO) / (Vs- VsO) … (1-3)
を各位置におけるサンプルデータとして用いることにより、 これらのトナー色に ついても精度よくその画像濃度を見積もることを可能としている。 また、 ブラッ ク色の場合と同様に、 トナーが付着する前の中間転写ベルト 7 1の表面から得ら れたセンサ出力を考慮することで、 中間転写ベルト 7 1の表面状態による影響を キャンセルし、 また中間転写ベルト 7 1上のパッチ画像の濃淡に応じて補正され ているため、 画像濃度の測定精度を向上させることができる。
例えばシアン色 (C) に対しては、 その評価値 Ac(n)は、 次式:
Acm)= 1― i ps_avec(n)— Dps½olor }/ { T ps_ave― D ps<,color } ···
(1-4)
により求めることができる。 ここで、 Dps一 avec(n)は、 シアン色における第 n番 目のパヅチ画像 Ivn の各位置におけるセンサ出力 Vp、 Vs に基づいて求めた上 式(1-3)に示す値 Dpsのノイズ除去後の平均値である。 また、 Dps(color)は、 中間 転写ペルト 7 1の表面がカラートナーにより完全に覆われた状態でのセンサ出力 Vp、 Vsに対応する上記値 Dpsであり、 この値 Dpsが取りうる最小値である。 さらに、 Tps— aveは、 中間転写ベルト 7 1上の各位置において下地プロファイル としてサンプリングしたセンサ出力 Vp、 Vs に基づき求めた上記値 Dps の平均 値である。
カラ一トナーに対応する評価値を上記のように定義することによって、 先に述 ベたブラック色の場合と同様に、 中間転写ベルト 7 1にトナーが全く付着しない 状態 (このとき、 Dps_avec(n)= Tps— ave) を表す最小値 0から該ベルト 7 1が
完全にトナーに覆われた状態 (このとき、 Dps— avec(n)=Dps(color)) を表す最 大値 1までの値でパッチ画像 Ivnの濃度を正規化して表すことができる。
こうして各パッチ画像の濃度 (より正確にはその評価値) が求まると、 その値 に基づいて直流現像バイァス Vavgの最適値 Vopを算出する (ステツプ S 47)。 第 2 1図は、 この実施形態における直流現像バイアスの最適値箅出処理を示すフ 口—チャートである。なお、 この処理の内容はトナー色によらず同一であるため、 第 2 1図および下記においてはトナー色に対応する評価値の添字 (y、 c、 m、 k) を省略しているが、 評価値およびその目標値については各トナー色毎に異な る値であることはいうまでもない。
まず、変数 nを 0に設定し(ステップ S 47 1)、評価値 A(n)、 すなわち A(0) と、 先に求めた制御目標値 At (例えばブラック色においては Akt) とを比較する (ステップ S 472)。 このとき、 評価値 A(0)が制御目標値 At以上であれば、 直流現像バイアス Vavg の最小値 V0 において目標濃度を超える画像濃度が得ら れていることを意味しているから、 これより高い現像バイァスについては検討す るまでもなく、 このときの直流現像バイアス V0を最適値 Vopとして処理を終了 する (ステップ S 477)。
これに対して、 評価値 A(0)が目標値 Atに達していないときには、 1レベル高 い直流現像バイアス VI において形成したパッチ画像 Ivl についての評価値 A (1)を読み出し、 評価値 A(0)との差を求めるとともに、 その差が所定の値 以 下であるか否かを判断する (ステップ S 473 )。 ここで、 両者の差が所定の値△ a以下である場合には、 上記と同様に直流現像バイアス V0をその最適値 Vop と する。 このようにする理由は後に詳述する。
一方、 両者の差が所定の値△ a より大きい場合にはステップ S 474に進み、 評価値 A(l)と制御目標値 Atとを比較する。 このとき、 評価値 A(l)が目標値 A t以上であれば、 目標値 Atは評価値 A(0)より大きくかつ A(l)以下、 すなわち A(0)く At≤A(l)であるから、直流現像バイァス V0と VIとの間に目標の画像 濃度を得るための直流現像バイァスの最適値 Vopが存在することになる。すなわ ち、 V0< Vop≤ VIである。
そこで、 このような場合にはステップ S 478に進み、 計算により最適値 Vop
を求める。 この計算方法としては種々の方法が考えられるが、 例えば直流現像バ ィァス Vavgに対する評価値の変化を V0 ないし V I の区間で適当な閧数に近似 し、 その関数の値が目標値 At となるような直流現像バイアス V avg をその最適 値 Vopとしてもよい。このうち評価値の変化を直線で近似する方法が最も簡単で あるが、 直流現像バイァス Vavgの可変範囲を適当に選ぶことによって十分な精 度で最適値 Vopを求めることが可能である。 もちろんこれ以外の方法、 例えばよ り精確な近似関数を導入して最適値 Vopを算出するようにしてもよいが、装置の 検出誤差やばらつき等を考慮すると必ずしも現実的でない。
一方、ステップ S 4 7 4において評価値 A( l )より目標値 Atの方が大きい場合 には、 nを 1だけインクリメントし(ステップ S 4 7 5 )、 nが最大値となるまで (ステップ S 4 7 6 ) 上記したステヅプ S 4 7 3〜S 4 7 5を繰り返して直流現 像バイアスの最適値 Vopを求めるが、 ステップ S 4 7 6において nが最大値(n = 5 ) となっても最適値 Vopが求まらなかった、 つまり 6つのパヅチ画像に対応 する評価値のいずれもが目標値に達していなかったときには、 濃度が最大となる 直流現像バイアス V5を最適値 Vopとする (ステップ S 4 7 7 )。
このように、 この実施形態では、各ノ ツチ画像 I vO〜: E v5に対応する評価値 A ( 0 )〜A ( 5 )のそれぞれと目標値 Atとを比較し、 その大小関係に基づいて、 目標 濃度を得るための直流現像バイァスの最適値 Vopを求めているが、上記したよう に、 ステップ S 4 7 3においては、 連続する 2つのパヅチ画像に対応する評価値 A (n)と A (n + 1 )との差が所定値 以下であるときには直流現像バイァス Vn を最適値 Vopとするようにしている。 その理由について以下に説明する。
第 2 2図は、 直流現像バイアスとべ夕画像についての評価値との関係を示すグ ラフである。 第 2 2図 (a ) の曲線 aは、 検出誤差のない本来の関係を示してい る。 このように、 直流現像バイアスの絶対値 I V avg lが大きくなるにつれてべ夕 画像についての評価値は増加するが、 直流現像バイアス Vavgが比較的大きい領 域ではその変化率は小さくなり、 次第に飽和するという特性を示す。 これは、 あ る程度高密度にトナーが付着すると、 それ以上にトナー付着量を多く しても画像 濃度はあまり増加しないからである。 このように画像濃度の変化が小さくなると 評価値の変化も小さくなるから、 曲線 aの傾きも直流現像バイァス I Vavg Iが大
きくなるにつれ小さくなる。 なお、 以下では、 第 2 2図 (a ) に示す直流現像バ ィァス Vavg と評価値との対応を表す曲線 a、 b等を単に 「評価値曲線」 と称す ることとする。
このような関係の下、 センサ出力 Vp、 Vsに基づいて上記したようにパッチ画 像についての評価値を求める場合、 もしセンサ出力に検出誤差が含まれていなけ れば、 直流現像バイアス Vavgの各値 V0、 V I、 …で形成された各パッチ画像に ついての評価値は第 2 2図 (a ) の白丸印で示す値をそれそれ取るはずである。 一方、 濃度センサ 6 0の特性ばらつき等に起因して、 センサ出力 Vp、 Vsに検出 誤差が含まれる場合がある。 例えば、 センサ出力 Vp が本来の値よりわずかに高 電位側にずれて出力される傾向があるとき、 この出力 Vp に基づき求めた評価値 は、 第 2 2図 (a ) の曲線 bおよび斜線を付した丸印に示すように、 本来の値よ りわずかに小さな値となる。 また、 先に述べたトナー特性のばらつきにより、 セ ンサ出力に基づき求めた評価値が本来の画像濃度と一致しない場合もある。 この ように、 センサ出力に基づいてパッチ画像の画像濃度を間接的に求める場合、 そ の結果と実際の画像濃度との間に齟齬を生じることがある。
さて、 こうして求めたパッチ画像の評価値に基づき直流現像バイアス Vavgの 最適値 Vop を求める場合について検討する。 第 2 2図 (b ) は、 第 2 2図 (a ) に示すグラフの部分拡大図である。 直流現像バイアス Vavg としては、 ベ夕画像 についての評価値がその制御目標値 At と一致するときの値をその最適値とすれ ばよいから、 検出誤差がなければ、 第 2 2図 (b ) に示すように、 評価値曲線 a と、制御目標値 Atを表す直線 cとの交点に対応する直流現像バイアス Vtをその 最適値とすればよい。 この例では、 直流現像バイアスの最適値は直流現像バイァ ス V3、 V4の中間の値となるはずである。
しかし、 実際には、 センサ出力から求めた評価値には検出誤差が不可避的に含 まれており、 例えば上記したようにセンサの特性ばらつきにより評価値が本来の 値より低く出る傾向にある場合、 評価値曲線は第 2 2図 (b ) の曲線 bのように なる。 したがって、 この場合、 この曲線 bと直線 cとの交点に対応する直流現像 バイアス Vf をその最適値とすると、 この値 Vfは本来の最適値 Vtとは大きく異 なったものとなってしまう。
このように、 直流現像バイアス V avgに対する画像濃度の変化が小さい、 すな わち評価値曲線の傾きが小さい領域では、 最適値として求められた直流現像バイ ァス V avgはわずかな検出誤差によっても大きく変動することとなる。 このよう な変動によって画像濃度が大きく変化することはないものの、 直流現像バイアス の絶対値 I V a V g Iが必要以上に大きく設定された場合には、 以下のような問題を 生じることがある。 すなわち、 画像濃度の変化は少なくてもトナーの付着量は増 加しているため、 各現像器内のトナーの消耗が激しくなつて、 現像器交換の手間 が繁雑になるとともに、 装置のランニングコストが上昇する。 また、 トナー像を 構成するトナーの量が増加するため、 感光体 2から中間転写ベルト 7 1へまたは 中間転写ベルト 7 1からシ一ト Sへの転写プロセスにおいて転写不良が発生した り、 定着プロセスにおいてトナ一が十分に溶融されず定着不良が発生するなど、 画質劣化の原因となる。 さらには、 現像ローラ 4 4に必要以上に高い電圧が印加 された状態で現像が行われることにより現像ローラ 4 4の表面に電荷が残留して 均一なトナー層の形成に支障を来し、 その結果、 先に形成された画像の影響が後 の画像に現れるなどの画質劣化を引き起こすことがある。 このように、 評価値曲 線の傾きが小さい領域では、 必要以上に高い直流現像バイアス V avg を現像ロー ラ 4 4に印加することは好ましくない。
この実施形態では、 センサ出力から求められた各パッチ画像についての評価値 をそのトナー濃度を表す指標として用いているが、 直流現像バイァス V avgの最 適値を求める際には評価値の値そのものだけでなく、 その現像バイアス V avgに 対する変化率をも加味することで、 直流現像バイアス V avgの最適化処理におけ る検出誤差等の影響を抑えている。
第 2 3図は、 直流現像バイアスに対する評価値およびその変化率を示すグラフ である。 第 2 3図 (a ) の曲線 aに示すように、 直流現像バイアス I V avg |の増 加に対して評価値は次第に飽和するから、 その変化率は、 第 2 3図 (b ) に示す ように、 直流現像バイアス I V avg lの増加に対して単調に減少する。 ここで、 検 出誤差を含む曲線 bに基づき評価値曲線から直流現像バィァス V avgの最適値を 求めると、 上記したように、 本来その最適値は Vt であるにもかかわらず、 検出 誤差のためこれと大きく異なる値 Vf として求められる。 一方、 第 2 3図 (b )
に示すように、 直流現像バイアス V avgに対する評価値の変化率を表す曲線 (以 下、 「変化率曲線」 という)は、検出誤差によって評価値曲線が若干変化したとし てもその変化は小さい。 というのは、 検出誤差等に起因して生じる評価値曲線の 変動は、 第 2 3図 (a ) に示すように、 本来の曲線がいずれかの方向にシフトし た形で現れ、 曲線の形状そのものが大きく変化することは考えにくい一方、 変化 率曲線はこの評価値曲線を微分して得られるものであるため、 その形状はこのよ うな評価値曲線のシフトによってもほとんど変わらないからである。
そこで、 第 2 3図 (b ) に示すように、 評価値の変化率に対しても所定の目標 値、 すなわち本発明にいう 「有効変化率」 に相当する値 A t を定めるとともに、 直流現像バィァス V avg に対して単調減少する評価値の変化率がこの目標値 Δ t とほぽ一致するときの直流現像バイアス V d を求め、 この値 V d と、 先に評価値 曲線から求められた最適値とに基づき直流現像バイァス Vavgの最適値を求めれ ばよい。 そして、 例えば、 評価値曲線から求めた値と、 変化率曲線から求めた値 V d との差があまり大きくなければ、 これらのうちいずれか一方の値、 もしくは これらの値に基づき求めた値 (例えば両者の平均値) を直流現像バイアス V avg の最適値としてよい。 しかし、 両者の差が大きい場合には、 上記した諸問題を解 消するため、 より トナー付着量の少ない、 すなわち直流現像バイアス I V avg lが より小さくなる方の値を直流現像バイァス V avgの最適値とするのが好ましい。 こうすることで、 例えば第 2 3図 (a ) に示す値 Vf のように、 評価値曲線から 求めた値が検出誤差により本来の値 Vt とは大きく異なっている場合でも、 直流 現像バイアス Vavgの最適値は変化率曲線から求めた値 Vd となるから、 本来の 値 Vtにほぼ近い値を導出することが可能となる。
なお、 前述したように、実際の装置では、上記のように直流現像バイアス V avg を連続的に変化させているわけではなく、直流現像バイアス V avgを V0〜V 5の 6段階で離散的に変化させている。 したがって、 第 2 4図 (a ) に示すように、 各パッチ画像の画像濃度に対応して 6個の評価値が導出され、 これらの間を直線 補間することで評価値曲線が求められる。 第 2 4図は、 この実施形態における評 価値曲線およびその変化率を示す図である。 また、 このように評価値が離散的に 求められるのに伴って、 その変化率は、 直流現像バイアス V avgが 1段階だけ異
なる 2つのパツチ画像に対応する評価値の差分△として求められる。 すなわち、 先に述べた通り、 △ = A ( n + 1 )— A (n)である。
そして、 第 2 4図 (a ) の評価値曲線に基づき評価値が制御目標値 At とほぼ 一致するときの直流現像バイアス Vc をその最適値とすることを原則としつつも、 この値 V c 以下の直流現像バイアス V avg において上記した差分△が所定の有効 変化率△ a以下となる場合には、評価値が制御目標値 Atに達していなくても、そ のときの直流現像バイアスをその最適値 Vopとするようにしている。すなわち、 第 2 4図 (b ) の例では、 Vop = V 3である。 このように、 この実施形態では、 この値 A a が本発明の 「有効変化率」 に相当する。 この値 は、 それそれの評 価値が A a だけ異なる 2つの画像があるとき、 両者の濃度の差が肉眼では容易に 判別できない程度、 もしくはその装置において両者の濃度の差が許容しうる程度 となるように選ぶことが望ましい。
こうすることによって、 濃度センサ 6 0の検出誤差等に起因して画像濃度の増 加がほとんどないにもかかわらず直流現像バィァス V avg を必要以上に高い値に 設定してしまうことは防止されており、 上記した諸問題の発生を効果的に抑制し ながら、 ほぼ所定値に近い画像濃度が得られるようになつている。
—方、 差分△が有効変化率△ a より大きい領域では、 評価値曲線の傾きが大き いから、 検出誤差による評価値曲線のシフトに伴う直流現像バイアス V avgの変 動は小さく、 したがって、 この場合、評価値曲線のみから直流現像バイアス V avg の最適値 Vopを求めてよい。 なお、 ここでは画像濃度を表す指標として、 センサ 出力値から求めた 「評価値」 を用いて説明したが、 画像濃度の値そのもの、 また は画像濃度を示す他の指標を用いても同様にすることができる。
以上のようにして、 所定のベ夕画像濃度が得られる直流現像バイアス V avgの 最適値 Vopが、 その最小値 V0から最大値 V 5までの範囲のいずれかの値に設定 される。 なお、 この画像形成装置においては、 画質向上の観点から、 感光体 2上 の静電潜像のうち画像信号に対応してトナーを付着させない部分 (非画線部) の 表面電位と直流現像バイアス V avg との電位差が常に一定 (例えば、 3 2 5 V ) となるようにしており、上記のように直流現像バイアス V avgの最適値 Vopが求 まると、 それに応じて帯電制御部 1 0 3から帯電ュニット 3に与えられる帯電バ
ィァスの大きさも変更されて、 上記電位差が一定に保たれている。
( E ) 露光エネルギー設定
引き続いて、 露光エネルギー Eをその最適値に設定する。 第 2 5図はこの実施 形態における露光エネルギーの設定処理を示すフローチャートである。 第 2 5図 に示すように、 その処理内容は先に述べた現像バイアスの設定処理 (第 1 8図) と基本的に同じである。 すなわち、 まず直流現像バイアス V avg を先に求めた最 適値 Vop に設定し (ステップ S 5 1 )、 次いで露光エネルギー Eを最小レベルの レベル 0から 1レベルずつ増加させながら、各レベルでパヅチ画像を形成する(ス テヅプ S 5 2、 S 5 3 )。そして、 各パヅチ画像からの反射光量に対応するセンサ 出力 Vpヽ V s をサンプリングし (ステップ S 5 4 )、 そのサンプルデータからス パイクノイズを除去するとともに(ステップ S 5 5 )、各パッチ画像の濃度を表す 評価値を求め(ステツプ S 5 6 )、その結果に基づいて露光エネルギーの最適値 E opを求める (ステヅプ S 5 7 )。
この処理 (第 2 5図) において、 その処理内容が前記した現像バイアス設定処 理 (第 1 8図) と相違しているのは、 形成するパヅチ画像のパターンおよび個数 と、 評価値から露光エネルギーの最適値 E opを求める演算処理とであり、 その他 の点については両者はほぼ共通の処理を行っている。 そこで、 ここでは主にその 相違点について説明する。
この画像形成装置では、 感光体 2表面が光ビ一ム Lにより露光されることで画 像信号に対応した静電潜像が形成されるが、 例えばべ夕画像のように露光される 面積が比較的広い高濃度画像では露光エネルギー Eを変化させても静電潜像の電 位プロファイルはあまり変化しない。 これに対して、 例えば細線画像やハーフト ーン画像のように露光される領域が感光体 2表面にスポット的に散在している低 濃度画像では、露光エネルギー Eによりその電位プロファイルが大きく変化する。 このような電位プロファイルの変化はトナー像の濃度変化をもたらす。 つまり、 露光エネルギー Eの変化は、 高濃度画像にはあまり影響を及ぼさないのに対し、 低濃度画像ではその濃度に大きく影響する。
そこで、 この実施形態では、 まず画像濃度に対する露光エネルギー Eの影響が 少ないベ夕画像を高濃度用パツチ画像として形成し、 その濃度に基づいて直流現
像バイアス Vavgの最適値を求める一方、 露光エネルギー Eの最適値を求める際 には低濃度用パヅチ画像を形成するようにしている。 そのため、 この露光エネル ギー設定処理においては、 直流現像バイアス設定処理において形成したパッチ画 像 (第 1 9図) とは異なるパターンのパヅチ画像を用いている。
なお、 露光エネルギ一 Eの高濃度画像に対する影響は小さいものの、 その可変 範囲を広く しすぎると高濃度画像の濃度変化も大きくなつてしまう。 これを防止 するため、 露光エネルギー Eの可変範囲としては、 露光エネルギーを最小 (レぺ ル 0 ) から最大 (レベル 3 ) に変化させたときの高濃度画像 (例えばべ夕画像) に対応する静電潜像の表面電位の変化が 2 0 V以内、 より望ましくは 1 0 V以内 となるようにするのがよい。
第 2 6図は、 低濃度用パッチ画像を示す図である。 先に述べたように、 この実 施形態では露光エネルギー Eを 4段階に変更設定するようにしており、 ここでは その各レベルで各 1個ずつ、 計 4個のパヅチ画像 I e0〜 I e3を形成している。 ま た、 ここで用いるパヅチ画像のパ夕一ンは、 第 2 6図に示すように、 互いに離隔 配置された複数の細線により構成されており、 より詳しくは、 1オン 1 0オフの 1 ドヅトラインパ夕一ンである。 低濃度用パヅチ画像のパターンはこれに限定さ れるものではないが、 このようにラインまたはドッ 卜が互いに孤立したパターン を用いると、 より露光エネルギー Eの変化を画像濃度の変化に反映させることが でき、 より精度よくその最適値を求めることが可能となるのである。
また、 各パヅチ画像の長さ L 4は、 高濃度用パヅチ画像の長さ L 1 (第 1 9図) より小さく設定されている。 これは、 この露光エネルギー設定処理では直流現像 バイァス Vavgが既にその最適値 Vopに設定されており、 この最適条件の下では 感光体 2周期での濃度ムラが発生しないからである (逆に、 この状態でこのよう な濃度ムラが発生するようなら Vopは直流現像バイァス Vavgとして最適な値で はない)。 しかし、一方で現像口一ラ 4 4の変形に伴う濃度ムラが発生している可 能性もあるので、 パッチ画像の濃度としては現像ローラ 4 4の周長に相当する長 さについて平均した値を用いるのが好ましく、 そこでパッチ画像の周長 L 4 は現 像ローラ 4 4の周長よりは大きくなるように設定している。 なお、 非接触現像方 式の装置において現像ローラ 4 4および感光体 2それぞれの表面の移動速度 (周
速) が同一でない場合には、 その周速比を考慮して現像ローラ 4 4の 1周分に対 応する長さのパッチ画像を感光体 2に形成するようにすればよい。
また、 各パッチ画像の間隔 L 5 については、 第 1 9図に示す間隔 L 2 より小さ くしてよい。 というのは、 露光ュニヅ ト 6からの光ビーム Lのエネルギー密度は 比較的短時間で変更することが可能であり、 特にその光源が半導体レーザーで構 成されている場合にはきわめて短い時間でそのエネルギー密度を変更することが できるからである。 このように各パヅチ画像の形状およびその配置を構成したこ とにより、 第 2 6図に示すように、 中間転写ベルト 7 1の 1周分に全てのパヅチ 画像 I e0〜 I e3を形成することが可能となっており、それに伴って処理時間も短 縮されている。
このようにして形成された低濃度用パヅチ画像 I e0〜 I e3については、先に述 ベた高濃度パッチ画像の場合と同様にしてその画像濃度を表す評価値が求められ る。 そして、 その評価値と、 先に述べた高濃度パッチ画像用とは別に用意された 低濃度パヅチ画像用のルヅクァヅプテーブル(第 1 7図(b )) から導き出される 制御目標値とに基づいて露光エネルギーの最適値 E opが算出される。第 2 7図は、 この実施形態における露光エネルギーの最適値算出処理を示すフローチャートで ある。 この処理においても、 第 2 1図に示す現像バイアスの最適値算出処理と同 様に、低エネルギーレベルで形成したパッチ画像から順にその評価値を目標値 A t と比較し、 評価値が目標値と一致するような露光エネルギー Eの値を求めること でその最適値 E opが決定される (ステップ S 5 7 1〜S 5 7 7 )。
ただし、 通常用いる露光エネルギー Eの範囲では、 細線画像濃度と露光エネル ギ一 Eとの間にはべ夕画像濃度と直流現像バィァスとの関係においてみられる飽 和特性 (第 2 0図 (b )) は現れないため、 第 2 1図のステヅプ S 4 7 3に相当す る処理は省かれている。 このようにして、 所望の画像濃度を得られる露光エネル ギー Eの最適値 E opが求められる。
( F ) 後処理
以上のように直流現像バイァス V avg、 露光エネルギー Eについてそれそれの 最適値が求められたことにより、 これ以降は所定の画像品質での画像形成が可能 な状態となる。 したがって、 この時点で濃度制御因子の最適化処理を終了し、 中
間転写ベルト 7 1等の回転駆動を停止して装置を待機状態に移行させるようにし てもよいし、 さらに他の濃度制御因子を制御すべく何らかの調節動作を行うよう にしてもよく、 このように後処理の内容は任意であるのでここでは説明を省略す る。
( 3 ) 効果
以上のように、 この実施形態では、 直流現像バイアス Vavgを 6段階に変化さ せながら形成したパッチ画像について、 その画像濃度に対応した評価値を求める とともにその変化率を求め、 該評価値が制御目標値 At とほぼ一致するときの直 流現像バイァスおよび変化率が有効変化率 A a 以下となるときの直流現像バイァ スのうち、 その絶対値 I Vavg lがより小さい、 すなわち感光体 2へのトナー付着 量がより少なくなる方の値を直流現像バイァスの最適値 Vopとしている。そのた め、 求められた評価値が濃度センサ 6 0の特性ばらつきやトナーの特性ばらつき に起因する誤差を含んでいたとしても、 本来の最適値とは大きく異なる値となつ てしまうことは未然に防止されている。
こうして検出誤差の影響を抑制しつつ、 直流現像バイアス Vavgをほぼその最 適値に設定することができるので、 この画像形成装置では、 トナー消費量が過大 となったり、 転写,定着不良を起こすなどの問題の発生も抑制されており、 その 結果、 画質の良好なトナー像を安定して形成することが可能となっている。
( 4 ) その他
上記した実施形態では、 濃度センサ 6 0を中間転写ベルト 7 1の表面に対向配 置し、 中間転写ペルト 7 1に一次転写されたパッチ画像としてのトナ一像の濃度 を検出するように構成しているが、 これに限定されるものではなく、 例えば濃度 センサを感光体 2の表面に向けて配置し、 感光体 2上に現像されたトナー像の濃 度を検出するようにしてもよい。
上記した実施形態は、 第 2 4図 (a ) に示す評価値が制御目標値 At となる直 流現像バイアス Vc を見出すより先に第 2 4図 (b ) に示す差分 Δが有効変化率 厶 a以下となる直流現像バイァス V3を見出したときには、この値 V3を直流現像 バイアスの最適値 Vop とするように構成されている (第 2 1図)。 しかし、 例え ば第 2 4図に示すように、 評価値曲線から求めた最適値 Vc とその変化率から求
めた最適値 V 3との差が比較的小さい場合には、 両者のいずれを最適値 Vopとし ても差し支えない。 したがって、 第 2 1図におけるステヅプ S 4 7 3と S 4 7 4 との順序を入れ換えてもよい。このようにした場合には、 Vcと V 3とが第 2 4図 に例示する関係にあつたときの直流現像バィァスの最適値 V opは V cとなる。 上記した実施形態では、 評価値曲線およびその変化率の双方に基づいて直流現 像バイアス V avgの最適値 Vopを求めているが、 変化率曲線のみに基づいて最適 値 Vopを求めることができる場合もある。すなわち、 トナー濃度の変化率が所定 の有効変化率とほぼ一致する画像形成条件を求めるだけで濃度制御因子の最適値 を求めることができる場合がある。 例えば第 2 3図に示すように、 評価値と変化 率、 より一般的には検出されたパッチ画像のトナー濃度とその変化率との対応関 係が予めわかっている場合には、 いずれか一方が求まれば他方を求めることが可 能であるから、 このうち一方のみから濃度制御因子の最適化を行うことが可能で ある。 .
従来の画像形成装置では、 このうち検出されたトナ一濃度のみに基づいて濃度 制御因子の最適化を行っているが、 前述したように、 検出結果には誤差が含まれ る可能性があるから、むしろ本発明のようにトナー濃度の変化率に着目する方が、 検出誤差の影響を排除してより高い精度で濃度制御因子の最適化を行うことがで きる。特に、 トナー濃度と濃度制御因子との対応関係が予め明らかになつており、 しかも濃度制御因子に対する トナー濃度の変化率がその濃度目標値付近で大きく なっている装置では、 必要十分な精度で濃度制御因子の最適化を行うことが可能 である。
上記した実施形態における濃度制御因子の最適化処理の手順はその一例を示し たものであって、 これ以外の手順であってもよい。 例えば、 本実施形態ではプレ 動作 1およぴプレ動作 2を同時に開始するようにしているが、 これらは必ずしも 同時に実行しなくてもよい。 また、 画像濃度の制御目標値は少なくとも直流現像 バイアスの最適値 Vopを求める時点で求められていればよく、本実施形態とは異 なるタイミング、例えばプレ動作より前に制御目標値を求めるようにしてもよい。 上記した実施形態では、 中間転写ベルト 7 1の下地プロファイルとして濃度セ ンサ 6 0の出力を中間転写ベルト Ί 1の 1周分についてサンプリングした各サン
プルデータを記憶するようにしているが、 後にパヅチ画像が形成される位置に相 当する位置からのサンプルデ一夕のみを記憶するようにしてもよく、 こうするこ とで記憶すべきデ一夕量を削減することが可能である。 この場合には、 中間転写 ベルト 7 1への各パヅチ画像の形成位置をできるだけ一致させるようにすれば、 各パッチ画像について共通の下地プロファイルを使用して演算を行うことができ てさらに効果的である。
上記した実施形態では、 画像濃度を制御する濃度制御因子としての直流現像バ ィァスおよび露光エネルギーを可変としているが、 これらのうち一方のみを可変 として画像濃度を制御するようにしてもよく、 また他の濃度制御因子を用いるよ うにしてもよい。 さらに、 上記実施形態では、 帯電バイアスが直流現像バイアス に追従して変化するように構成されているが、 これに限定されるものでなく、 帯 電バィァスを固定としたり、 直流現像バィァスとは独立に変更できるようにして もよい。
く第 2実施形態 >
第 2 8図は第 2実施形態における光量制御信号変換部を示す図である。 第 1実 施形態の装置 (第 4図) では C P U 1 0 1から光量制御信号 S icが出力され、 濃 度センサ 6 0の照射光量調整ュニット 6 0 5に直接入力されているのに対し、 こ の第 2実施形態の装置は、 C P U 1 0 1と照射光量調整ュニヅト 6 0 5との間に 光量制御信号変換部 2 0 0が設けられている点で第 1実施形態とは相違している c この光量制御信号変換部 2 0 0は、 C P U 1 0 1から光量制御のために出力さ れる 2種類のデジタル信号 D A 1および D A 2に応じた電圧値の光量制御信号 S lcを濃度センサ 6 0の照射光量調整ュニヅト 6 0 5に供給するものである。 この 光量制御信号変換部 2 0 0では、 C P U 1 0 1からの 2つのデジタル信号 D A 1、 D A 2をそれぞれアナログ信号電圧 VDA1、 VDA2に変換する 2つの D /A (デ ジ夕ル /アナログ) 変換器 2 0 1、 2 0 2が設けられている。 そして、 これらの アナログ信号 VDA1、 VDA2はそれそれバヅファ 2 0 3、 2 0 4を介して演算部 2 1 0に入力される。
この実施形態では、 D ZA変換器 2 0 1および 2 0 2は、 いずれも 8ビヅ トの 分解能を備え、 + 5 Vの単一電源にて動作する。つまり、これらの出力電圧 VDA1
および VDA2は、 C P U 10 1からの 8ビヅトデジタル信号 D A 1または D A 2 の値 (0ないし 255 ) に応じて、 ◦ Vから + 5 Vまで 256段階の離散的な値 を取る。 例えば、 CPU 101からのデジタル信号: D A 1が 0であるとき、 D/ A変換器 201の出力電圧 VDA1は 0 Vとなる。 そして、 デジタル信号 D A 1の 値が 1増加する毎に出力電圧 VDA1は最小電圧ステップ AVDA= ( 5/ 255 ) Vずつ増加し、 デジタル信号 D A 1が 255のとき、 D/A変換器 20 1の出力 電圧 VDA1 は + 5 Vとなる。 D/A変換器 202の出力電圧 VDA2 についても 同様である。 このように、 D/A変換器 201の出力電圧 VDA1および D/A変 換器 20 1の出力電圧 VDA2は、いずれも 8ビヅ トデジタル信号に対応する 25 6段階の離散的な値を取りうる。
ここで、 発光素子 60 1による照射光量を細かく制御するためには、 光量制御 信号 Sicをより細かい刻みで多段階に設定できることが望ましい。 デジタル信号 DA 1、 DA2のビッ ト数を多くすればより細かい設定が可能となるが、 装置コ ストの面では現実的でない。 すなわち、 0 変換器20 1、 202として入力 ビヅト数がより多く分解能の高いものを使う必要があるが、 このようなデバイス は高価である。 とりわけ CP Uについては、 8ビヅ トを超えるデ一夕を扱うため にはデ一夕ビヅト長が 16ビッ トの製品を使用する必要があり、 このような製品 はデ一夕ビヅ ト長が 8ビヅトのものに比べて非常に高価となってしまう。
そこで、 この実施形態では、 これら 2つの DZA変換器 201、 202の出力 電圧に対して演算部 2 10が所定の演算を行い、 その演算結果を光量制御信号 S lcとすることで、 デ一夕ビット長を 8ビットに留めて装置コストを抑えながら、 高い分解能で光量制御を行えるようにしている。
演算部 2 10は、 4つの抵抗器 2 1 1〜214とオペアンプ 2 15とで構成さ れる減算回路である。 4つの抵抗器 2 1 1〜2 14のうち、 2つの抵抗器 2 1 1 と 2 14とは同じ抵抗値 R 1を有し、 また他の 2つの抵抗器 212と 2 13とは 同じ抵抗値 R 2 (ただし、 R 2 >R 1) を有している。 このような構成では、 演 箅部 2 10から出力される出力電圧 Voutは下式:
Vout=VDAl- (R 1/R2) VDA2 … (2-1)
で表される。 この出力電圧 Voutが光量制御信号 Sicとして濃度センサ 60の照
射光量調整ュニット 6 05に入力されている。
上式 (2-1)において、 値 VDA1が△ VDAだけ増加すると、 出力電圧 Voutも△ VDAだけ増加する。 これに対して、 値 VDA2が厶 VDAだけ増加すると、 出力 電圧 Voutは (R 1/R2) AVDAだけ減少することとなる。 つまり、 CPU 1 0 1から D/A変換器 20 1に与えるデジタル信号 D A 1の値を 1だけ変化させ ると出力電圧 Voutは△ VDAだけ変化するのに対して、 D/A変換器 202に与 える信号 D A 2の値を 1だけ変化させると、 出力電圧 Vout は (R 1/R 2) Δ VDA だけ変化する。 したがって、 信号 D A 1および D A 2の値の組み合わせを 適宜設定することによって、 最小電圧ステップ (R 1/R 2) AVDA で光量制 御信号 Sic を調節することができる。 例えば、 (R 1/R 2) = 1/4となるよ うに抵抗値 R 1および R 2を定めれば、 信号! A 1および D A 2の値の組み合わ せにより、 光量制御信号 Sicを 0から + 5 Vの範囲で、 しかも最小電圧ステップ (Δ VDA/4) で任意の値に設定することが可能となる。 これは、 8ビッ トデジ タル信号 D A 1の値のみで設定を行う場合と比較して、 2ビット分に相当する分 解能の向上となる。
第 29図は光量制御信号の設定方法を説明する原理図である。 ここでは、 一例 として (R 1/R 2) = 1/4の場合について説明する。 まず、 CPU 1 0 1か らの 8ビッ トデジタル信号 D A 1のみでは、 第 2 9図の白丸印に示すように、 出 力信号 Voutは最小電圧ステツプ厶 VDA刻みでしか設定することができない。例 えば、 信号 D A 1の値が (X— 1) のとき、 第 2 9図に示すように、 出力信号 V outは Vout(x-l)であるのに対し、信号 D A 1の値が 1増加して Xとなれば出力信 号 Voutはこれより△ VDAだけ大きい Voutxとなり、出力信号 Voutをこれらの 中間の値に設定することはできない。
ここで、 信号 D A 1の値を Xとして、 信号 D A 2の値を 0から 1つずつ増加さ せると、 出力信号 Voutは Voutxから (厶 VDA/4) ずつ低下する。 すなわち、 第 2 9図の黒丸印に示すように、 信号 D A 2の値を 0から 3までの範囲で設定す ることにより、 Vout(x-l)から Voutまでの中間の出力信号 Voutの値を取ること ができるようになる。すなわち、信号 D A 1のみによる場合に比べ、 より高い(こ の例では 4倍の) 分解能で光量制御信号 Sicを設定することができる。
なお、 信号 D A 1の値を固定して、 信号 D A 2のみで出力電圧 Vout を調節す ると、 細かい刻みで出力電圧を設定することはできるが、 その反面、 出力電圧の 可変範囲自体が狭くなつてしまう。 上記のように、 比較的粗い刻みで出力電圧 V out をおよその値に設定するための信号 D A 1と、 その電圧ステップをより細か い刻みで補間するための信号 D A 2とを組み合わせて用いることによって、 可変 範囲の広さと高分解能との両立が可能となるのである。
このように、 抵抗値 R 1と R 2との比 (R 1 / R 2 ) の値によって、 出力電圧 Vout の刻みを任意に設定することができる。 したがって、 分解能向上の観点か らは、 値 (R 1 / R 2 ) をできるだけ小さくするのが好ましい。 ただし、 信号 D A 2による出力電圧 Vout の可変範囲もこの比の値に応じて小さくなつてしまう c 信号 D A 1の最小ステヅプ 1に相当する電圧ステヅプ△ VDA を信号 D A 2の調 節によって補間するためには、 信号 D A 2によって調節可能な出力電圧 Vout の 範囲が A VDA より小さくすることは好ましくない。 より具体的には、 信号 D A 1のデ一夕ビヅ ト長が 8ビヅ トであるので、 値 ( R 1 /R 2 ) を ( 1 / 2 5 6 ) より小さく してしまうと、 出力電圧 Vout として Vout(x- l)と Voutx との間を均 等に補間することができなくなる。
実際の装置においては、 装置で扱うデータのビッ ト長と、 光量を設定するのに 必要な分解能とに応じて抵抗値 R 1、 R 2を定めればよい。 この実施形態では、 R 1 = 1 k Ω , R 2 = 6 4 . 9 としており、 これによりデ一夕ビット長は 8 ビッ トでありながら、 ほぼ 1 4ビット相当の分解能を実現している。
第 3 0図は第 2実施形態における基準光量設定処理を示すフローチャートであ る。 また第 3 1図は基準光量設定処理の原理を説明する図である。 この基準光量 設定処理は、 第 1 0図に示した第 1実施形態におけるプレ動作 1の各動作ステツ ブのうち、 「センサの校正( 1 )、 (2 )」 (ステップ S 2 1 a、 S 2 1 b )および「基 準光量制御信号の設定」 (ステップ S 2 2 )の各ステップに代えて、第 2実施形態 の装置において実行するものである。 具体的には、 発光素子 6 0 1を所定の基準 光量で発光させるための光量制御信号 S kが照射光量調整ュニヅ ト 6 0 5に与え られるように、 信号 D A 1および D A 2の値を設定する処理である。 これ以外の 第 2実施形態の装置構成および動作は第 1実施形態と同一である。
第 3 0図に示すように、 この基準光量設定処理では、 第 1実施形態と同様にま ず暗出力の検出を行う (ステップ S 2 1 1 )。 ここでは、 発光素子 6 0 1を消灯し た状態で、 受光素子 6 7 0 p、 6 7 0 sの出力電圧 Vp、 Vsを検出する。 なお、 以下では、 2つの受光素子の出力電圧 Vp および Vs のアナログ値に代えて、 こ れらの電圧値をそれそれ図示を省略する A/D変換回路により 1 0ビットデジ夕 ル値に変換した検出値 D pおよび D sを用いることとする。
こうして発光素子 6 0 1の消灯状態で検出された値 Dp、 D sをそれそれ暗出力 値 D pO、 D sOとして記憶しておく。 これらの値は、 第 1実施形態で暗出力 VP0、 VsOとして説明したアナログ値に対応するデジタル値である。 なお、 検出誤差を 小さくするため、 電圧検出は 8 m s e c間隔で 2 2サンプル行い、 それらの平均 を上記暗出力値 D p0、 D sOとしている。
次に、 発光素子 6 0 1を低光量で発光させ、 そのときの p偏光成分に対応する 検出値 D pを検出する (ステップ S 2 1 2 )。 このとき、 発光素子 6 0 1を低光量 で発光させるため、 C P U 1 0 1が D ZA変換器 2 0 1に出力する信号 D A 1の 値 D ATEST1を 5 6とする一方、 Dノ A変換器 2 0 2に出力する信号 D A 2の値 を 0とした。 そして、 この状態で 3 1 2サンプルの検出値 D p を取得し、 その平 均値を P avelとする。
次に、 発光素子 6 0 1を高光量で発光させ、 そのときの p偏光成分に対応する 検出値 D p を検出する (ステップ S 2 1 3 )。 このときの信号 D A 1の値 D A TEST2は、先のステヅブより高光量となるように 6 7とした。信号 D A 2の値は ここでも 0である。 そして、 この状態で同様に 3 1 2サンプルの検出値 D p を取 得し、 その平均値を P ave2とする。
なお、 低光量および高光量で発光素子 6 0 1を発光させるための信号 D A 1の 値 D ATEST1、 D ATEST2 は上記数値に限定されるものではないが、 発光素子 6 0 1の発光光量と信号 D A 1との関係において、 発光素子 6 0 1の発光光量が 信号 D A 1の値に比例する領域に属する数値にこれらの値を設定することが好ま しい。 こうすることで直線補間により計算を行うことができる。
そして、 後述する計算に用いるためのデータとして、 信号 D A 1の値に対する 検出値 D pの変化率:
厶 Dp= (Pave2- Pavel) / ( D ATEST2- D ATEST1) … (2-2) を求める (ステヅプ S 2 14)。
ここで、 発光素子 60 1が基準光量で発光しているときの検出値 Dp に相当す る目標値 Dpt と、 上記で求めた値 Pave2 との大小関係によって、 以下の計算方 法を異ならせている (ステヅプ S 2 15)。 ここでの目標値 Dpt は、 第 1実施形 態の場合と同様に、 3 Vに暗出力 VpOを加えたアナログ値に相当する値である。 なお、 検出値 Dp と信号 DA 1の値との間には直線関係が成立し、 この直線の傾 きに相当するのが、 先に求めた値 Δϋρである。
( 1 ) Pave2≥Dpt: ステップ S 2 16 (第 3 1図 (a))
この場合、 第 3 1図 (a) に示すように、 目標値 Dpt は実測による値 Pavel および Pave2の中間にあるから、 目標の光量を得るための信号 D A 1、 D A 2の 設定値 DA10、 DA20を内挿によって求めることができる。 まず、 検出値 Dpが 目標値 Dpt以上で、 かつ、 目標値 Dptに最も近くなるときの D A 1の値を、 DA 1の設定値 DA10 とする。 そして、 設定値 DA10 との組み合わせで検出値 Dp が目標値 Dptに最も近くなるように、 信号 D A 2の値 D A20を求める。
具体的には、 以下の計算式:
D A10=D ATEST2- I NT [(Pave2-Dpt) /Δϋρ] … (2-3) DA20= [(Pave2-Dpt) mod ADp] / (Δϋρ/64. 9) … (2-4) により設定値 DA 10、 D A20を求める。 ここに、 I NT [X] は、 xを超えない 最大の整数を求める演算子を表し、 [X mod y]は、 Xを yで除したときの剰余 を求める演算子を表す。
( 2 ) Pave2<D t: ステップ S 2 17 (第 3 1図 (b))
この場合、 第 3 1図 (b) に示すように、 目標値 Dpt は実測による値 Pavel および Pave2の中間にはないから、 目標の光量を得るための信号 D A 1、 D A 2 の設定値 D A10、 D A20を外揷によって求める。基本的な求め方は上記と同様で あるが、 計算式が若干異なっており、 以下の式:
D A10=D ATEST2+ I NT [(Dpt-Pave2) /Δϋρ] + 1 … (2-5) DA20= {ADp— [(Dpt—Pave2) mod Δϋρ]} / (Δϋρ/64. 9) ... (2-6)
により設定値 D A 10、 D A20を求める。
以後の動作において、 発光素子 6 0 1を基準光量で発光させるためには、 C P U 1 0 1が D /A変換器 2 0 1および 2 0 2に対し出力する信号 D A 1および D A 2を、 それそれ上記設定値 D A 10および D A20 とすればよい。 こうすること で、 基準光量に対応した光量制御信号 S icが照射光量調整ュニット 6 0 5に与え られ、 これにより発光素子 6 0 5が基準光量で発光する。 なお、 光量制御信号 S kの変更を行った直後は発光素子 6 0 1の光量が安定しないので、 変更後は所定 時間の経過を待ってから光量の検出を行うことが好ましい。 この実施形態では、 信号 D A 1または D A 2の値を変更したときは、 変更後 1 0 0 m s e c以上経過 した検出値のみを有効とするようにしている。
なお、 上記した抵抗値や設定値等の数値は単に例として示したものにすぎず、 これらの数値に限定されるものでないことはいうまでもない。
<第 3実施形態 >
次に、 本発明にかかる画像形成装置の第 3実施形態について説明する。 この実 施形態の画像形成装置の構成は、 先に説明した第 1実施形態の画像形成装置に、 第 2実施形態の光量制御信号変換部 2 0 0をさらに備えたものである。 ただし、 後述するように、 装置構成が一部異なっている。 これに伴って、 濃度制御因子の 最適化処理における処理の内容も一部異なっている。 ここでは、 本実施形態にお ける装置構成および濃度制御因子の最適化処理のうち、 先に述べた第 1または第 2実施形態とは相違している点について以下に分説し、 これらの実施形態と共通 する部分についてはその説明を省略する。
( 1 ) 装置構成上の差異
上述した第 1実施形態では、 濃度センサ 6 0 (第 4図) は、 中間転写ベルト 7 1からの反射光のうち p偏光成分を受光する受光ュニット 6 7 0 pと、 s偏光成 分を受光する受光ュニット 6 7 0 sとは同一の構成を有しているものとして説明 した。 一方、 この第 3実施形態では、 両受光ュニヅ トのアンプ回路 6 7 3 p、 6 7 3 sのゲインを互いに異なる値に設定している。 これは、 s偏光成分として受 光ュニッ ト 6 7 0 sにより受光される反射光は散乱光であるため、 p偏光成分に 対応する出力電圧 Vp と比較して s偏光成分に対応する出力電圧 Vs はレベルが
低く、信号としてのダイナミヅクレンジが狭くなるのを補うためである。つまり、 s偏光成分に対応するアンプ回路 6 7 3 sのゲインを高めることによって、 出力 電圧 Vs のダイナミックレンジが広くなり、 より高精度に濃度検出を行うことが 可能となる。
具体的には、 アンプ回路 6 7 3 sのゲインを、 アンプ回路 6 7 3 pのゲインの S g倍 (ただし、 S g > l ) とする。 このゲイン倍率 S gは、 中間転写ベルト 7 1の光学特性や各受光素子 6 7 2 p、 6 7 2の感度等に応じ適宜定めればよいが、 後の実施形態で述べるように、 カラ一トナーの最大濃度時の両センサの出力電圧 Vp、 Vsが同一値になるようにすると、 後の計算に好都合である。 また、 これに 伴って、 濃度センサ 6 0からの出力電圧 Vp および Vs 双方の検出値を用いて各 種計算を行う際には、 両検出値のレンジを揃えるために、 まず出力電圧 Vp に対 応する検出値を S g倍する必要がある。
( 2 ) 最適化処理の実行タイミングおよび実行する処理内容
第 1実施形態の装置においては、 装置電源の投入後やいずれかのュニットが交 換された直後等のタイミングで、 第 8図に示す一連の最適化処理を実行するよう に構成されていた。 一方、 この第 3実施形態の装置では、 電源投入直後、 新しい 感光体 2が装着されたとき、 およびいずれかの現像力一トリッジが交換されたと きには、 上記と同様の最適化処理を実行する。 ただし、 一度取り外された現像器 が再び装着された場合には最適化処理は不要であるため、 取り出された現像器と 装着された現像器とが同一であったときは、 最適化処理を行わない。 このような 現像器の同一判定のためには、 各現像器 4 Y等に設けられたメモリ 9 1等に、 現 像器固有の情報、 例えば製造番号を予め記憶させておくとよい。
さらに、 現像器の稼動状態を示す情報として各現像器毎にカウントされている 現像ローラ回転数およびドットカウント値を参照し、 その結果、 濃度制御に用い る制御目標値の変更が必要となったときには、 第 8図に示す最適化処理を実行す る。 このようにする理由は以下の通りである。 すなわち、 この画像形成装置にお いても、 上記した第 1実施形態と同様に、 濃度制御因子の最適化を行うときのパ ツチ画像濃度の制御目標値を、 現像器の使用状況によって異ならせている。
したがって、 ある時点で最適化処理を実行することで、 そのときの制御目標値
に基づいて画像濃度を調整することができる。 しかし、 その時点から画像形成を 繰り返すうちに現像器内のトナーの状態が変化し、 画像濃度も次第に変動してゆ く。 このような画像濃度の変動を抑制するためには、 上記した電源投入時ゃュニ ット交換時だけでなく、 例えば多数枚の画像を連続的に形成している途中であつ ても、 適当な夕イミングで画像濃度の再調整を行うことが望ましい。
この再調整をどの夕ィミングで行うかについては様々に考えられるが、 例えば 上記した制御目標値の変更が必要となる夕ィミングで実行するのが合理的な方法 の 1つである。 というのは、 こうすることで、 トナー特性の変化に応じて制御目 標値変更の必要性が生じたときに、 その変更を直ちに画像形成条件に反映させて 画像濃度の安定化を図ることができるからである。 そして、 この制御目標値は、 各現像器毎にカウントされている現像ローラ回転数およびドットカウント値に基 づいて設定される。
そこで、 この実施形態では、 4個の現像器のうちいずれかの現像器について当 該現像器に対応する現像ローラ回転数またはドットカウント値が所定の閾値に達 したときに、 画像濃度の再調整を行うようにしている。 なお、 装置は動作状態に あるから、 第 8図に示す最適化処理のうちステップ S 1の初期化動作を省くこと も可能である。 このように初期化動作を省略して画像濃度の調整のみを行うよう にすることで、 処理時間を短縮し、 ユーザの待ち時間を短くすることができる。 なお、 装置の構成上、 装着された現像器が取り出されたものと同一であるか否 かや、 制御目標値を変更すべきタイミング等の情報については、 メインコント口 —ラ 1 1よりも、 エンジンコントローラ 1 0側で把握する方が容易である。 そこ で、 現像器の個体情報および稼動状況に関する情報はエンジンコントローラ 1 0 の C P U 1 0 1で処理しておき、 これらの情報に基づいて画像濃度の調整が必要 であると判定したときには、 C P U 1 0 1がその旨をメインコントローラ 1 1の C P U 1 1 1に報知し、 これを受けた C P U 1 1 1が装置各部を濃度調整のため に適切な動作状態に移行させるようにしている。
( 3 ) 中間転写ベルト 7 1の下地プロファイルのサンプリング位置
第 1実施形態では、 トナー像の濃度の検出結果に与える中間転写ベルト 7 1の 表面状態の影響を排除するため、 中間転写ベルト 7 1の 1周分について下地プロ
ファイルを求めた。 一方、 この実施形態では、 中間転写ベルト 7 1表面'のうち、 後にパッチ画像を形成する領域についてのみ下地プロファイルを求めるようにし ている。 こうすることで、 記憶すべきデータ量を削減し、 メモリ資源の節約を図 つている。
第 1 9図に示すパッチ画像 I vOを例として説明する。先に説明したように、 Λ ツチ画像 I νθの長さ L 1は、感光体 2の周長 L 0に対応した長さである。そして、 こうして形成したパッチ画像 I vO の互いに異なる Ί 4点について濃度センサ 6 0によりサンプリングを行い、その結果に基づきパヅチ画像 I vOの濃度を求めて いる。 したがって、 少なくともパヅチ画像 I vOにおいてその濃度をサンプリング する Ί 4点と同一の位置についての下地プロファイルを求めておけば、 中間転写 ペルト 7 1の表面状態の影響を受けずに当該パッチ画像の濃度を求めることが可 能である。 具体的には、 次のようにしている。
第 3 2図はこの実施形態における下地プロフアイル検出位置とパッチ画像との 関係を示す図である。 まず、 濃度センサ 6 0による中間転写ベルト 7 1表面の下 地プロファイルを求めるためのサンプリングは、 第 3 2図 (b ) に示すように、 中間転写ベルト 7 1の回転駆動に関連して垂直同期センサ 7 7から出力される垂 直同期信号 V sync (第 3 2図 (a ) ) の変化から一定時間 t s後に開始される。 同 図において、 #を付した数字は何番目のサンプリング位置であるかを表している。 そして、 3番目のサンプリング位置 # 3から 7 6番目のサンプリング位置 # 7 6 までにおいて検出された 7 4個のサンプルデ一夕を有効デ一夕として記憶する。 次に、 中間転写ベルト 7 1上にパヅチ画像 I vOを形成するが、 このパヅチ画像 I vOについては、 第 3 2図 ( c ) に示すように、 少なくともサンプリング位置 # 3ないし # 7 6を覆うように形成する。 より具体的には、 サンプリング位置 # 1 ないし # 7 8の間に形成する。そして、 パヅチ画像 I vOの濃度を検出するときに は、 下地プロファイルを検出したと同じサンプリング位置、 すなわちサンプリン グ位置 # 3ないし # 7 6についてサンプリングを行う。 こうして得た下地プロフ アイルおよびパヅチ画像 I vOについて各 7 4個のサンプルデータに基づき、中間 転写ベルト 7 1の表面状態の影響を排除したパッチ画像濃度を求めることができ る。
このようにすることで、パヅチ画像 IvOの濃度検出を行う範囲外のサンプリン グ位置 (# 2以前および # 77以降) についての下地プロファイルのサンプリン グデ一夕を記憶しておく必要はなくなり、 メモリ資源を節約することができる。 他のパヅチ画像 I vl等についても同様にすることができる。この実施形態では、 各パヅチ画像に対して、 中間転写ベルト 7 1の周上の 3 1 2点のサンプリング位 置 # 1〜#3 1 2のうち、 以下のサンプリング位置を各パッチ画像に対応するブ 口ヅクとして割り当てている。
IvO, I v3: # 3〜# 76 ( 74点)
I vl, I v4: # 1 1 9〜# 1 92 ( 74点)
Iv2 : # 2 3 5〜# 308 (74点)
Iv5 : # 23 5〜# 2 5 5 (2 1点)
IeO: # 5 6 ~# 76 ( 2 1点)
Iel : # 1 1 9〜# 1 3 9 (2 1点)
Ie2 : # 1 82〜# 2 02 (2 1点)
Ie3: # 245〜# 2 6 5 ( 2 1点)
このように、 サンプリング位置をできるだけ共通化するように各パッチ画像の 形成位置を設定すると、 下地プロファイルとして記憶しておくべきサンプルデ一 夕は 232個で済む。 さらに、 各パッチ画像に対応した代表値として、 各ブロヅ ク内のサンプルデータの総和または平均値のみを記憶しておくようにすれば、 さ らに記憶すべきデ一夕数を少なくできる。 この場合の評価値の計算は、 各パッチ 画像に対応したブロックにおける上記代表値に基づき行う。
(4) 現像バイアス設定
これは、 第 1 実施形態における 「(D) 現像バイアス設定」 に置き換わる処理 である。 この実施形態では、 0ないし 2 5 5の整数値を取り得る現像バイアス設 定パラメ一夕 Pv を設定することで、 直流現像バイアス Vavg を (一 5 0) Vか ら (一400) Vの範囲で 2 5 6段階に設定可能となっている。 すなわち、
Vavg=- ( 5 0 +Pvx 350/2 5 5) [V] … (3-1)
と表される。 例えば、 Pv= 0とすれば、 Vavg= (— 5 0) Vとなり、 Pv= 1 00とすれば、 Vavg= (― 1 87. 3 ) Vとなる。 以下では、 現像バイアス設
定パラメ一夕 Pvに対応する現像バイァス Vavgの値を Vavg(Pv)と記す。上記の 例では、 Vavg(0)= (- 50) V、 Vavg(l00)= (- 187. 3 ) Vである。 画 像濃度は、 現像バイァス設定パラメ一夕 Pvが大きいほど高濃度となる。
また、 この実施形態では、 露光エネルギーを最低レベルの E(0)から最高レべ ルの: E(7)まで 8段階に設定することが可能である。 画像濃度は、 露光エネルギ — E(0)のとき最も低く、 エネルギ一 E (7 )で最高濃度となる。
第 33図はこの実施形態における現像バイアス設定処理を示すフローチヤ一ト である。 この現像バイアス設定処理では、 まず露光エネルギ一を E(4)に設定し (ステップ S 401)、 次に、 現像バイアス設定パラメ一夕 Pvを順次変更設定す ることで直流現像バイアス Vavgを変化させながら、 各バイ ス値でパヅチ画像 を形成する (ステップ S 402 )。形成するパッチ画像のパターンおよび形状は、 第 19図に示す第 1実施形態の場合と同じである。 また、パッチ画像 Ivnに対応 する現像バイァス設定パラメ一タ Ρν(η)の値はそれぞれ次のとおりとした: Ρ ν(0)= 44 ( Vavg=- 1 10 Vに相当); P v( 1 )= 76 ; Pv(2)= 108 ; P v(3)= 140 ; Pv(4)= 172 ; Pv(5)= 204 (Vavg=- 330 Vに相当)。 こうして形成した各パヅチ画像については、 濃度センサ 60によりその反射光 量を所定のサンプル数検出し(ステップ S 403 )、それらのサンプルデ一夕から スパイクノィズの除去を行った後 (ステヅプ S 404 )、 当該パツチ画像 Ivnに 対する評価値 A(n)を算出する (ステップ S 405 )。 これらの演算処理は第 1実 施形態と同一である。 そして、 求めた評価値に基づき、 最適現像バイアス Vopを 与える現像バイアス設定パラメ一夕 Pvの最適値 Pvop を算出する (ステップ S 406 )。 この最適値 Pvopと最適直流現像バイァス Vopの間には、
Vop= Vavg(Pvop) … (3-2)
なる関係がある。 したがって、 現像バイアス設定パラメ一夕 Pv の最適値 Pvop を求めることで、 最適直流現像バイアス Vopを得ることができる。 また、 この実 施形態では、 以下に詳述するように、 カラートナーおよびブラヅクトナーで異な る算出方法を用いている。
第 34図はこの実施形態におけるカラ一トナーについての現像バイアス設定パ ラメ一夕の最適値算出処理を示すフローチャートである。 この最適値算出処理で
は、 まず、 変数 nを 0に設定し (ステヅプ S 48 1)、 パッチ画像 IvOの評価値 A(0)とその目標値 Atとを比較する(ステップ S 482 )。その結果、評価値 A(0) が目標値 At以上であれば ( Y E S )、 ステップ S 487にジャンプして、 パヅチ 画像 IvO を形成したときの現像バイァス設定パラメ一夕の値 Pv(0)を最適値 P vop として計算を終える。 これは、 現像バイアスパラメ一夕 Pv をこのように低 い値に設定しているにもかかわらず十分な画像濃度が得られた場合に相当する。 一方、 ステップ S 482において NOの場合は、 ステップ S 483〜S 486 からなる処理ループに移行し、 次のようにして現像バイアスパラメ一夕 Pv の最 適値を求める。すなわち、変数 nに対し、パヅチ画像 I vnについての評価値 A(n) が目標値 Atと等しい場合には (ステップ S 483 )、 ステップ S 487にジヤン プして、 そのときの現像バイアスパラメ一夕 Pv(n)を最適値 Pvopとする。 そう でない場合には、 当該パッチ画像 I vnについての評価値 A(n)と、 これより 1段 階高濃度となる条件で形成したパヅチ画像 I v(n+l)についての評価値 A ( n + 1 ) との間に目標値 Atがあるか否かを判断する (ステヅプ S 484)。 ここで、 2つ の評価値の間に目標値 At があった場合には、 ステップ S 488にジャンプし、 以下の計算式に基づく内挿により最適値 Pvopを求める :
Pvop= {At-A(n)} / {A(n+ 1)— A(n)} x {Pv(n+ l)-Pv(n)} + Pv (n) … (3-3)
ただし、 計算の結果については、 四捨五入により整数に丸めるものとする。
また、 2つの評価値の間に目標値 At がない場合には、 変数 nをインクリメン トし (ステップ S 485)、 上記処理を繰り返して最適値 Pvopを求める。 ただし、 最適値が見つからないまま変数 nが最大値 5になったときは(ステップ S 486)、 そのときの現像バイアスパラメ一夕 Pv(n)、すなわち Pv( 5)を最適値 Pvopとす る。 この処理をイエロ一、 シアン、 マゼン夕の各色について行うと、 各色毎に、 現像バイァス設定パラメ一夕の最適値 Pvopが、卩 (0)から? (5)までの間のぃ ずれかの値に設定される。そして、 CP U 101が現像器制御部 104 (第 2図) にこの値 Pvopを出力すると、 その値に対応した最適現像バイアス Vopが現像器 制御部 104から現像ローラ 44に印加される。
第 35図はこの実施形態におけるブラヅク トナーについての現像バイァス設定
パラメ一夕の最適値算出処理を示すフローチヤ一トである。 ブラヅクトナーでの パッチ画像においては、 第 1実施形態において説明したトナ一付着量に対する評 価値の飽和がカラ一トナーの場合よりも起こりやすい。 そこで、 この実施形態で は、 ブラックトナーについては第 1実施形態と同様に評価値の変化率を考慮しな がら現像バイアス設定パラメ一夕の最適値を求めるようにしている。 すなわち、 ステップ S 493において、 ノ ヅチ画像 I v(n+l)についての評価値 A(n+ 1)と、 パッチ画像 Ivnについての評価値 A(n)との差が Δ&以下であるときには、 ステ ヅプ S 497にジャンプし、パヅチ画像 I vnを形成したときの現像バイァスパラ メ一夕 Pv(n)を最適値 Pvopとするようにしている。
その他の処理内容はカラートナーの場合とほぼ同じである。 また、 ステヅプ S 498における計算式も、 カラ一トナーの場合と同じ式 (3-3)を適用することがで きる。 こう して 4つのトナー色 (Y, M, C, K) について、 最適現像バイアス Vopを与える現像バイアス設定パラメ一夕 Pvが求められる。
(5) 露光エネルギー設定
これは、 第 1実施形態における 「(E)露光エネルギー設定」 に置き換わる処理 である。 本実施形態の 「(4)現像バイアス設定」 の項で述べた通り、 第 3実施形 態の装置では、露光エネルギーを E(0)ないし E(7)の 8段階に設定することがで きる。 具体的には、 露光エネルギー設定パラメ一夕 Pe を 0ないし 7のいずれか に設定することで、 露光ュニット 6から照射される光ビーム Lの露光エネルギー が E(Pe)に設定される。 この実施形態の露光エネルギー設定処理では、 このうち 4つの露光エネルギー: E(0) ; E(2) ; E(4) ; E(7)の 4通りについて、 最適 現像バイァス Vopの下でパツチ画像を形成し、その画像濃度に基づいて露光エネ ルギ一の最適値を与えるパラメ一夕 Pe を各トナー色毎に求めている。 その処理 内容は基本的に第 1実施形態の露光エネルギー設定処理 (第 25図) と共通であ るため説明を省略するが、ステップ S 57において最適露光エネルギー Eopを直 接的に算出するのに代えて、最適露光エネルギー Eopを与える露光エネルギー設 定パラメ一夕 Peの最適値を求めるようにしている。
以上のように、 この第 3実施形態の画像形成装置では、 第 1実施形態の装置と は部分的に異なる構成および動作を有している。 しかし、 上記のような構成によ
つても、 第 1実施形態の装置と同様に、 直流現像バイアス V avgおよび露光エネ ルギ一 Eを最適値に設定して画像形成を行うことができ、 画質の良好なトナー像 を安定して形成することが可能である。
なお、 第 1および第 2の実施形態において互いに異なる処理内容については、 その目的を同一とするものについて相互に入れ換えて実施してもよい。 例えば、 第 1実施形態の装置において、 現像バイアス設定処理 (第 1 8図、 第 2 1図) に 代えて第 3実施形態における現像バイアス設定処理 (第 3 3図〜第 3 5図) を適 用したり、 その逆としてもよい。
<第 4実施形態 >
次に、 感光体 2や中間転写ベルト 7 1などの像担持体上に形成されたパッチ画 像の画像濃度を正確に求めるために、 像担持体の表面状態を考慮することが重要 となる理由を説明する。 また、 像担持体の表面状態にかかわらず、 トナー像の画 像濃度を高精度に測定する具体的な実施形態について説明する。 第 3 6図はその 表面状態が均一である像担持体へのパッチ画像(トナー像)の形成前後において、 各サンプリング位置で得ら.れるセンサ出力値を示す図である。 また、 第 3 7図は その表面状態が不均一である像担持体へのパッチ画像 (トナー像) の形成前後に おいて、 各サンプリング位置で得られるセンサ出力値を示す図である。
画像形成装置において用いられる濃度センサの多くは、 発光素子から像担持体 に向けて光を照射するとともに、 像担持体からの反射光を受光素子で受光し、 そ の受光量に応じたアナログ信号を出力するように構成されている。 そして、 画像 形成装置では、 そのアナ口グ信号をデジ夕ル信号に変換して得られるセンサ出力 値に基づき画像濃度の測定を行っている。 ここで、 像担持体の表面全体にわたつ て反射率や表面粗さ等が一定であり、 像担持体の表面状態が均一であると仮定す ると、 像担持体上にパッチ画像などのトナー像を形成する前のセンサ出力値は例 えば第 3 6図( a )に示すようにサンプリング位置にかかわらず一定値 Tとなる。 また、例えば像担持体上に互いに異なる濃度 0 D 1〜 0 D 3のパッチ画像を形成し た場合、 第 1ないし第 3パッチ位置で画像濃度に対応する量だけセンサ出力値が それそれ変化してセンサ出力値 D l, D 2 , D 3 となる (同図 (b ) )。 なお、 ここ では像担持体の表面状態が均一であるため、 各パッチ位置においてセンサ出力値
Dl, D2, D3はそれそれ一定値となっている。
しかしながら、 実際の画像形成装置では像担持体の表面状態は均一ではなく、 像担持体上にパッチ画像などのトナー像を形成する前においても、 センサ出力値 は例えば第 3 7図 (a) に示すようにサンプリング位置に応じて変動している。 また、像担持体上に互いに異なる濃度 0 D 1~ 0 D 3の複数のパッチ画像を形成し た場合、 第 1ないし第 3パッチ位置で画像濃度に対応する量だけセンサ出力値が それそれ変化しているが (同図 (b))、 各パッチ位置を詳細に検討すると、 同一 のパヅチ領域においてもセンサ出力値はサンプリング位置に応じて変動している。 これは像担持体の表面状態の影響を受けたものと考えられる。
しかも、 同図 (a) と同図 (b) とを対比することでわかるように、 各パヅチ 位置における変動量は、 パッチ画像が濃くなるにしたがって小さくなつている。 換言すれば、 各パッチ位置における表面状態の影響力は、 パッチ画像が濃くなる にしたがって弱まっている。 このことをより明確にするために、 互いに異なる濃 度 0 Dl〜OD3 で像担持体全面に均一濃度画像を形成した場合のセンサ出力値 をプロットすると、 例えば第 38図に示す結果が得られる。
第 38図は、 像担持体に画像を形成する前のセンサ出力値、 ならびに像担持体 に 3種類の濃度の均一濃度画像を形成した時のセンサ出力値を示すグラフである 同図および第 37図中の 「Tave」、 「Dave— 1」、 「Dave_2」、 「Dave_3」 は、
「Tave」 …像担持体に画像を形成する前の平均センサ出力値、
「Dave_l」 …濃度 (OD1) の画像を形成した時の平均センサ出力値、 「Dave_2」 …濃度 (OD2) の画像を形成した時の平均センサ出力値、 「Dave_3」 …濃度 (OD3) の画像を形成した時の平均センサ出力値、 を示している。 ここで、 これら 「Tave」、 「Dave— 1」、 「Dave_2」、 「: Dave— 3」は それぞれ第 3 6図中の 「T」、 「D1」、 「D2」、 「D3」 にほぼ一致しており、 「D ave_l」、 「Dave_2」、 「; Dave— 3」 を求めることで像担持体の表面状態の影響をキ ヤンセルした値が得られ、 各画像濃度を正確に検出することができる。
また、 同図からわかるように、 センサ出力値に対して像担持体の表面状態が与 える影響は、 像担持体に形成されるトナー像の濃淡に応じて異なる。 つまり、 比 較的濃度の低いトナー像が像担持体上に形成されている場合には、 発光素子から
の光の一部がトナー像を通過して像担持体で反射された後、 再度像担持体を通過 して受光素子で受光されるため、 像担持体の表面状態に応じて濃度センサからの 出力が比較的大きく異なる。 一方、 トナー像が濃くなるにしたがってトナー像を 通過して像担持体に入射する光はもちろんのこと、 像担持体で反射された後に再 度像担持体を通過して受光素子に入射する光も少なくなり、 像担持体の表面状態 が濃度センサからの出力に及ぼす影響は少なくなる。 したがって、 像担持体に画 像を形成する前のセンサ出力値 (像担持体の表面状態を示すもの) を補正情報と して予め求めておき、 像担持体上のある表面領域、 例えばサンプリング位置 x l に形成されたトナー像の画像濃度を実際に検出する際に、 トナー像の濃淡を全く 考慮せず、 一律に補正情報によりサンプリング位置 X I でのセンサ出力値を補正 し、 その補正値に基づきトナー像の画像濃度を求めたのではその精度に一定の限 界がある。
これに対し、 サンプリング位置 x l に形成されたトナー像の画像濃度を実際に 検出する際に、 その検出値を補正情報に基づき補正するのみならず、 トナー像の 濃淡に応じて補正情報を補正しておくことで画像濃度の測定精度をさらに向上さ せることができる。
さらに、 本願発明者は、 像担持体上の画像の濃度が濃くなるにしたがってセン サ出力値の変動量は比例的に小さくなつていることを突き止めた。 そして、 これ に基づき以下のように計算することで像担持体の表面状態の影響をキャンセルし た値 「D ave_l」、 「D ave_2」、 「D ave— 3」 を求めることができることを見い出し た。 以下、 第 3 9図を参照しつつ詳述する。
第 3 9図は第 1パッチ画像 (トナー像) の形成前後でのセンサ出力値の関係を 示す図である。 同図において、 符号 x l は像担持体上の表面領域の位置を示すサ ンプリング位置であり、 第 1パヅチ画像の形成前後におけるサンプリング位置 X 1でのセンサ出力値はそれそれ T (xl)、 D (xl)となっている。 また同図中の符号 D 0 は濃度センサの発光素子を消灯した状態で受光素子から出力されるアナログ信 号をデジタル信号に変換した、 いわゆる暗出力値を示している。 このように暗出 力値 D O を求める理由は、 センサ出力値から暗出力値 D O を差し引くことで暗出 力成分の影響を取り除いて濃度測定精度を高めるためである。 すなわち、 D O は
センサでの受光量に関連する基準値である。
ここで、 上記したように像担持体上の第 1パッチ画像の濃度が濃くなるにした がってセンサ出力値の変動量は比例的に小さくなることから、 次式
(Tave-D0) / (T(xl)-DO)
= (Dave— 1— DO) / (D(xl)-DO) … (4-1)
に示す関係が成立すると考えられる。 同式 (4-1)の左辺はトナー像の形成前におけ る関係を示しており、 暗出力値 DO を取り除いた後の、 像担持体にトナー像を形 成する前の平均センサ出力値 Taveとセンサ出力値 T(xl)との比とを示している。 一方、 右辺は第 1パッチ画像と同一濃度のトナー像を均一に形成した時の関係を 示しており、 該トナ一像を像担持体に均一に形成した時のセンサ出力値の平均値 D ave_l (つまり像担持体の表面状態の影響をキャンセルした値) とセンサ出力 値 D(xl)との比を示している。 そして、 これらの比がともに等しいと考えられる。 さらに、 式 (4-1)を変形すると、
(Dave_l-D0) = (D(xl)-DO) X {(Tave— DO) / (T(xl)-DO)} … (4-2)
が得られる。 したがって、 暗出力値 D0、 像担持体にトナー像を形成する前の平 均センサ出力値 Taveおよび表面領域 xlでのセンサ出力値 T(xl)を、パツチ画像 の形成前に求めておき、 実際にパッチ画像を形成した時に第 1パッチ画像を形成 した表面領域 xl でのセンサ出力値 D(xl)を検出し、 上記式 (4-2)にそれそれの値 を代入することで、 像担持体の表面状態の影響および暗出力成分の影響をともに 取り除いたセンサ出力値が補正値 C(xl)として得られ、 この補正値 C(xl) (=D ave_l - DO) に基づき第 1パヅチ画像の画像濃度を正確に求めることが可能とな る。
なお、 第 3 9図には第 1パッチ画像を形成した場合についてのみ図示している が、 第 2および第 3パヅチ画像についても全く同様である。
また、 上記においては、 濃度センサの受光素子からの信号を A/D変換してセ ンサ出力値を求め、 この単一のセンサ出力値に基づきパッチ画像の画像濃度を求 める場合について説明しているが、 第 1実施形態や第 3実施形態と同様に像担持 体からの反射光を 2つの光成分に分割し、 それらの光成分の光量に基づきセンサ
出力値を求め、 これら 2つのセンサ出力値に基づきパッチ画像の画像濃度を求め るようにしてもよい。 特に、 パヅチ画像がブラヅクトナーで形成されている場合 には前者による濃度測定が適しており、 パツチ画像がカラ一トナーで形成されて いる場合には後者による濃度測定が適している。
次に、 この第 4実施形態にかかる画像形成装置の動作について説明する。なお、 以下に説明する実施形態にかかる画像形成装置の機械的および電気的構成につい ては、 第 1実施形態と同一であるため、 説明を省略する。
第 4 0図は第 4実施形態において実行される濃度制御因子の最適化処理を示す フローチャートである。 この画像形成装置では、 上記したタイミングで C P U 1
0 1は予め R O M 1 0 6に記憶されているプログラムにしたがって装置各部を制 御して濃度制御因子の最適値を決定している。
まずパッチ画像を本発明の 「像担持体」 に相当する中間転写ペルト 7 1に転写 するのに先立って、 ステップ S 7 1〜S 7 3を実行して中間転写ベルト 7 1に関 する情報を補正情報として求める。 すなわち、 最初のステップ S 7 1では、 暗出 力電圧 VpO , V sOを検出するとともに、 それらを A/ D変換して得られた値をそ れそれ暗出力値 D pO, D sO として R A M 1 0 7に記憶する。 ここで、 「暗出力電 圧 VpO , V s0」 とは、 消灯指令に相当する光量制御信号 S lc(0)を照射光量調整ュ ニッ ト 6 0 5に出力して発光素子 6 0 1を消灯し、 この消灯状態での pおよび s 偏光の光量を示す出力電圧であり、 pおよび s偏光の暗出力成分を意味している。 そして、 後述するように実際に検出されたセンサ出力値から暗出力値 D p0, D sO をそれそれ差し引くことで暗出力成分の悪影響を排除し、 より高精度な測定が可 能となる。 このように本実施形態では、 センサでの受光量に関連する基準値とし て暗出力値 D p0, D sOを求めており、 本発明の 「基準値検出工程」 に相当してい る。
次に、 光量制御信号 S icとして不感帯を超える信号レベルの信号 S lc(2)を設定 し、 この光量制御信号 S lc(2)を照射光量調整ュニット 6 0 5に与えて発光素子 6 0 1を点灯させる (ステヅプ S 7 2 )。 すると、 発光素子 6 0 1からの光が中間転 写ペルト 7 1に照射されるとともに、 中間転写ベルト Ί 1で反射された光の p偏 光および s偏光の光量が反射光量検出ュニット 6 0 7によって検出され、 各受光
光量に対応する出力電圧 Vp, Vsが A/D変換されてセンサ出力値として CP U 1 0 1に入力される。 そして、 CPU 1 0 1がセンサ出力値に基づき補正情報を それそれ算出し、 RAM I 07に記憶する (ステップ S 73 ;補正情報検出工程)。 第 4 1図は補正情報の算出処理を示すフローチャートである。 この補正情報の 算出処理 (ステップ S 73) では、 垂直同期信号 Vsyncが出力されてから所定時 間だけ経過する (ステヅブ S 73 1) と、 p偏光および s偏光のセンサ出力値 T p(x), Ts(x)のサンプリングを開始し、パヅチ画像を形成する前の中間転写ベルト 7 1の 1周期分のセンサ出力値を検出して以下の 3種類のプロファイルを補正情 報として求め、 RAM I 07に記憶する (ステヅプ S 73 2 )。
P偏光のプロファイル: Tp(x)—Dp0
s偏光のプロファイル: Ts(x)— DsO
p s比のプロファイル: Tps(x)
なお、 Tps(x)とは、 各サンプリング位置 Xでの p偏光と s偏光との比、 つまり、
Tps(x)= SgX {(Tp(x)-DpO) / (Ts(x)-DsO)}
である。 ここで、 符号 Sg は s偏光に関するゲイン倍率を示しており、 この実施 形態ではカラートナ一の最大濃度時の各センサ出力値がともに同一値となるよう に各アンプ回路 673 p、 673 sのゲインを設定している (第 42図)。 このた め、 画像濃度の変化に応じてセンサ出力値も大きく変化し、 特にカラ一トナーに ついては p s比 Tps(x)は画像濃度の増大にしたがって減少し、 最大濃度で 「 1」 となる。
また、 p偏光おょぴ p s比の平均センサ出力値、 つまり、
p偏光の平均センサ出力値: Tp— ave_DpO
p s比の平均センサ出力値: Tps—ave— Dps (color)
をそれぞれ求め、 RAM 1 07に記憶する (ステヅプ S 733 )。 ここで、 符号 D ps(color)は以下の内容を意味している。 上述したように、 カラ一トナー最大濃度 検出時に p s比が 「1」 となることを基本に設定しているが、 実際にはセンサを 構成する部品のばらつき、 さらに設定時の出力検出器精度、 調整方法などによる 調整精度により、 厳密に 「1」 に設定できない場合がある。 また、 使用される ト ナ一の仕様、 色、 ロットなどにより、 各トナーの最大濃度を検出した場合の出力
は 「1」 に対して変動する。 この際、 最大濃度検出時は 「1」 であると固定して 計算してしまうと、 カラートナーの検出精度および補正精度を低下させる要因と なってしまう。 そこで、 センサによる各カラートナーの最大濃度検出値を単純に
「 1」 と固定するのではなく、 Dps(color)として設定可能とし、 これにより p s 比によるカラ一トナー検出精度を向上させている。 つまり、 Dps(color)とはカラ ―トナー検出時のセンサ受光量に関連する基準値であり、 式 (4-2)における DOに 相当する。
こうして補正情報が得られると、 第 40図のステップ S 74に進んでパッチセ ンシング処理を行う。 第 43図はパヅチセンシング処理を示すフロ一チヤ一トで ある。 このパヅチセンシング処理 (ステヅプ S 74) では、 濃度制御因子を多段 階に変化させながら ROM 1 06に予め記憶されたパッチ画像信号に対応するパ ツチ画像を感光体 2上に形成するとともに、 該パッチ画像を中間転写ベルト 7 1 に転写する (ステップ S 74 1)。
そして、 補正情報の算出処理 (ステップ S 73) の場合と同様に、 垂直同期信 号 Vsyncが出力されてから所定時間だけ経過した (ステヅプ S 742 ) 後、 濃度 センサ 60©センシング位置にパヅチ画像が移動してくるごとにステップ S 74 3〜S 748を実行して全パッチ画像に対して補正値を求める。 すなわち、 ステ ヅブ S 743でパヅチ画像がブラックトナー ( K ) により形成されたものか、 力' ラートナ一 (Y, M, C) により形成されたものかを判定し、 ブラヅクトナーの 場合には、 そのパッチ画像が形成された表面領域に対応するサンブリング位置 X でのセンサ出力値 Dp(x)を検出する (ステヅプ S 744 ;出力検出工程)。 そして、 式 (4-2)に相当する式、
Cp(x)= (Dp_ave-DpO) = (Dp(x)-DpO) X {( Tp— ave— DpO) / (T p(x)-DpO)} … (4-2A)
に基づき補正値 Cp(x)を算出する (ステヅプ S 745、 第 44図参照)。 すなわち、 RAM 107に記億されている p偏光の平均センサ出力値(Tp_ave— Dp0)、 サ ンプリング位置 Xでのセンサ出力値 (Tp(x)— Dp0)、 および暗出力値; DpO を読 み出し、 上記のようにして検出したセンサ出力値 Dp(x)と併せて上記式 (4-2A)に 代入してセンサ出力値 Dp(x)を補正して補正値 Cp(x)を算出する (補正値算出ェ
程)。
一方、 ステヅプ S 743でカラ一トナ一であると判定した場合には、 そのパヅ チ画像が形成された表面領域に対応するサンプリング位置 Xでのセンサ出力値 D p(x), Ds(x)を検出する (ステヅプ S 746 )。 そして、 式 (4-2)に相当する式、 Cps(x)= D s_ave= (Dps(xノ一 Dps colorノ) X {( Tps_ave— D s(color)) / ( Tps(x)- Dps(color))} +D s(color) … (4-2B)
に基づき補正値 Cps(x)を算出する (ステヅプ S 747、 第 45図参照)。 すなわ ち、 RAM 1 0 7に記憶されている p s比の平均センサ出力値 {Tps_ave—D ps(color)}、 サンプリング位置 xでの p s比の値 {Tps(x)— Dps(color)}、 および 基準値 Dps(color)を読み出し、 上記のようにして検出したセンサ出力値 Dp(x)お よび Ds(x)の p s比 Dps(x)と併せて上記式 (4-2B)に代入して p s比を補正して補 正値 Cps(x)を算出する (補正値算出工程)。
このような検出動作 (ステップ S 744 , S 746 ) および算出処理 (ステヅ プ S 745, S 747 ) が全てのパッチ画像に対して実行される、 つまりステツ プ S 748で 「YE S」 と判定すると、 第 40図のステヅプ S 75に進み、 各パ ツチ画像の画像濃度を補正値 Cp(x), Cps(x)に基づき算出する。 そして、 これら の画像濃度に基づき濃度制御因子の最適値を決定する (ステップ S 76 ;濃度導 出工程)。
以上のように、 この実施形態によれば、 中間転写ベルト 7 1に形成されるパッ チ画像 (トナー像) の画像濃度を求めるのに先立って、 中間転写ベルト 7 1の表 面状態を示す 3種類のプロフアイルを補正情報として予め記憶しておき、 パッチ 画像の画像濃度を求める際には、 濃度センサ 60によって検出されるセンサ出力 値をそのまま用いて画像濃度を求めるのではなく、 そのセンサ出力値を補正情報 によって補正しているので、 中間転写ベルト 7 1の表面状態による影響をキャン セルしてパツチ画像の画像濃度を高精度に測定することができ、 その測定結果に 基づき安定した濃度で画像を形成することが可能となる。
また、 上記実施形態では、 パッチ画像の濃淡を考慮した上でパッチ画像の画像 濃度を求めている。 すなわち、 中間転写ベルト 7 1上のパヅチ画像の濃淡に応じ て補正情報を補正しているので、 画像濃度の測定精度をさらに向上させることが
できる。 しかも、 補正値を求める方法として 2種類の処理、 つまりステップ S 7
4 4、 S 7 4 5を実行して補正値 C p(x)を求める処理と、 ステヅブ S 7 4 6、 S
7 4 7を実行して補正値 C ps(x)を求める処理とを用意し、パッチ画像を形成する トナー色に応じて選択的に実行しているため、 各トナー色に対応した最適な処理 でパッチ画像の画像濃度を求めることができ、 画像濃度の測定精度を向上させる 上で有利なものとなっている。
ところで、 上記した濃度センサ 6 0からの出力電圧 Vp、 Vsには、 ローラ 7 5 および中間転写ペルト 7 1の微小な汚れや傷による反射率の変化、 さらにはセン サ回路に混入する電気的なノイズ等に起因するスパイク状のノイズが重畳してい ることがある。 そこで、 第 1実施形態や第 3実施形態と同様に、 スパイクノイズ 除去を実行するのが望ましい。
なお、 第 4 0図のステップ S 7 5で補正値 Cp(x)、 C ps(x)に基づきパヅチ画像 の濃度そのものを求めているが、 濃度値に代わりに濃度を指標する値に変換する ようにしてもよい。 例えばブラックトナーで形成されたパッチ画像の画像濃度を 指標する評価値 Aを、 次式
評価値 A = 1一 Cp(x)/ T _ave
に基づき求める一方、 カラ一トナーで形成されたパツチ画像の画像濃度を指標す る評価値 Aを、 次式
評価値 A = 1 - { C ps(x - D ps(color)} / { T ps_ave - D ps(color)} に基づき求めるようにしてもよい。 これらの評価値は、 各色毎のトナー付着量を 表す尺度として、 中間転写ベルト 7 1の表面状態を示す補正情報を用いてパッチ 画像についての検出値を正規化したものである。 評価値は画像濃度と同様にトナ —個性情報と装置の稼動状況 (例えばトナーの使用状況) に応じて変動するが、 各状況における評価値と画像濃度との関係は予め実験により求めテーブル化して 記憶しておくことが可能である。 したがって、 評価値は、 検出誤差を補正した画 像濃度を表す尺度として好適なものである。
また、 上記第 4実施形態では p偏光と s偏光との比に基づきカラ一トナーで形 成されたパヅチ画像の濃度を求めているが、 p偏光と s偏光との差に基づきパヅ チ画像の濃度を求めるようにしてもよい。 以下、 第 4 6図〜第 4 8図を参照しつ
つ説明する。
まずパッチ画像を本発明の 「像担持体」 に相当する中間転写ベルト 7 1に転写 するのに先立って、 第 4実施形態と同様に、 ステップ S 7 1〜S 73を実行して 中間転写ペルト 7 1に関する情報を補正情報として求める。 ただし、 後述するよ うにカラ一パヅチ画像の濃度については、 p偏光と s偏光との差に基づき求める ため、 第 46図に示す動作フローにしたがって補正情報を算出している。
第 46図は補正情報の算出処理を示すフローチャートである。 この補正情報の 算出処理では、 垂直同期信号 Vsyncが出力されてから所定時間だけ経過する (ス テツプ S 73 1) と、 p偏光おょぴ s偏光のセンサ出力値 Tp(x), Ts(x)のサンプ リングを開始し、 パッチ画像を形成する前の中間転写ベルト Ί 1の 1周期分のセ ンサ出力値を検出して以下の 3種類のプロファイルを補正情報として求め、 R A M l 07に記憶する (ステップ S 734)。
P偏光のプロファイル: Tp(x)— DpO
s偏光のプロファイル: Ts(x)— DsO
p s差のプロファイル: Tp_s(x)
なお、 Tp_s(x)とは、 各サンプリング位置 Xでの p偏光と s偏光との差、 つま り、
Tp_s(x) = Sgx {Tp(x)-Dp0}一 {Ts(x)-Ds0}
である。 そして、 この実施形態においても、 カラ一トナーの最大濃度時の各セン サ出力値がともに同一値となるように各アンプ回路 673 p、 673 sのゲイン を設定している (第 42図)。 このため、画像濃度の変化に応じてセンサ出力値も 大きく変化し、 特にカラートナーについては p s差 Tp_s(x)は画像濃度の増大に したがって減少していく。
また、 p偏光および P s差の平均センサ出力値、 つまり、
P偏光の平均センサ出力値: Tp— ave— DpO
p s差の平均センサ出力値: Tp_s— ave= {S X∑ [Tp(x)- DpO] -∑ [T s(x) -DsO]} / (サンプリング数)
をそれそれ求め、 RAM 1 07に記憶する (ステヅプ S 73 5 )。
こうして補正情報が得られると、第 47図に示すパヅチセンシング処理を行う。
第 47図はパヅチセンシング処理を示すフロ一チヤ一トである。 このパッチセン シング処理では、 カラ一に関する補正値の算出方法を除いて、 第 4実施形態にお けるパッチセンシング処理(第 43図) と同一のステヅプを実行する。すなわち、 ステップ S 74 1で濃度制御因子を多段階に変化させながらパッチ画像を感光体 2上に形成するとともに、該パヅチ画像を中間転写ベルト Ί 1に転写する。また、 垂直同期信号 Vsync が出力されてから所定時間だけ経過した (ステップ S 74 2) 後、 濃度センサ 60のセンシング位置にブラヅクトナー (K) で形成された パッチ画像が移動してくると、 そのパッチ画像が形成された表面領域に対応する サンプリング位置 Xでのセンサ出力値 Dp(x)を検出する (ステップ S 7 44 ; 出 力検出工程)。 そして、 式 (4-2)に相当する式、
Cp(x)= (Dp_ave-DpO) = (Dp(x)- DpO) x {( Tp_ave- DpO) /[T p(x)-DpO]} … (4 -2 A)
に基づき補正値 Cp(x)を算出する (ステップ S 745、 第 44図参照)。 すなわち、 RAM 107に記憶されている p偏光の平均センサ出力値(Tp_ave— Dp0)、 サ ンプリング位置 Xでのセンサ出力値 (Tp(x)— Dp0)、 およぴ暗出力値 DpO を読 み出し、 上記のようにして検出したセンサ出力値 Dp(x)と併せて上記式 (4-2A)に 代入してセンサ出力値 Dp(x)を補正して補正値 Cp(x)を算出する (補正値算出ェ 程)。
—方、 濃度センサ 60のセンシング位置にブラヅクトナー (K) で形成された パッチ画像が移動してくると、 そのパッチ画像が形成された表面領域に対応する サンプリング位置 Xでのセンサ出力値 Dp(x), Ds(x)を検出する(ステップ S 74 6)。 そして、 式 (4-2)に相当する式、
C p— s、x) = p_s_ave = D p_s(x) x ( Tp_s_ave/Tp_s(x) … (4-2C)
に基づき補正値 Cp一 s(x)を算出する (ステップ S 749、 第 48図参照)。 すなわ ち、 R AM 1 07に記憶されている] s差の平均センサ出力値 (Tp_s_ave)、 サ ンプリング位置 Xでの p s差の値 (Tps(x)) を読み出し、 上記のようにして検出 したセンサ出力値 D p(x)および D s(x)の p s差 D p_s(x)と併せて上記式 (4-2C)に 代入して p s差を補正して補正値 Cp_s(x)を算出する (補正値算出工程)。
このような検出動作 (ステップ S 744, S 746 ) および算出処理 (ステヅ
プ S 7 4 5 , S 7 4 9 ) が全てのパヅチ画像に対して実行される、 つまりステツ プ S 7 4 8で 「Y E S」 と判定すると、 各パヅチ画像の画像濃度を補正値 Cp(x), C p_s(x)に基づき算出する。 そして、 これらの画像濃度に基づき濃度制御因子の 最適値を決定する。
なお、 スパイクノイズ除去を実行するのが望ましい点、 また濃度値の代わりに 濃度を指標する値に変換するようにしてもよい点については、 上記第 4実施形態 と同様である。
く第 5実施形態 >
ところで、 非接触現像方式の画像形成装置では、 現像ローラ 4 4と感光体 2と がギヤヅプを隔てて対向配置されているが、 このギャップの大きさは、 装置の製 造上のばらつきや熱膨張による変形等に起因して、 装置毎に、 また 1台の装置に おいても位置によって、 あるいは経時的に微妙に変動することとなる。 このよう なギャップ変動があるとトナーを飛翔させる交番電界の強度も変動してしまう。 . その結果、 トナー像の画像濃度が大きく変動することがあった。 そこで、 非接触 現像方式の画像形成装置に好適なパッチ処理技術について検討した。
第 4 9図は、非接触現像方式の画像形成装置における現像位置を示す図である。 また、 第 5 0図は、 現像バイアスの波形の例を示す図である。 この装置では、 感 光体 2との対向位置に配置された一の現像器 (例えば第 1図ではイエロ一現像器 4 Y ) に設けられた現像ローラ 4 と感光体 2とがギヤップ Gを隔てて対向配置 されている。 そして、 現像ローラ 4 4に対して、 現像制御部 1 0 4から現像バイ ァスが印加される。 この現像バイアスは、 第 5 0図 (a ) に示すように、 直流成 分 Vavg に対して振幅 Vpp なる矩形波電圧が重畳された波形を有する交番電圧 である。後述するように、 このような波形の現像バイァスを印加することにより、 その振幅 Vppにより トナーの飛翔量を制御することができる一方、その直流成分 Vavgにより画像濃度を制御することが可能である。
なお、現像バイァスとしての交番電圧の波形はこれに限定されるものではなく、 例えば直流成分に正弦波や三角波を重畳したものであってもよい。 また例えば第 5 0図 (10 ) に示すように、 そのデューティ比が 5 0 %でない波形を用いてもよ い。 この場合には、 その直流成分 V avg としては、 加重平均電圧、 すなわち、 時
間とともに振幅の変化する電圧波形の瞬時値をある時間範囲について平均化して 直流電圧値に換算した値を用いることができる。
この現像バイァスのデューティ比については、 感光体 2へのトナー付着を促進 する方向、 すなわち第 5 0図 (b ) の波形ではその 1周期 (符号 t O) に対する 負 (同図における上側) の電圧が加わる期間 (符号 t l ) のデューティ、 すなわ ち (t l/ t O) を 5 0 %より小さくしてゆくと細線画像の濃度が上昇することが 発明者の実験によりわかっている。 さらに詳細に説明すると、 現像バイアスの振 幅 Vppを一定に保った状態でデューティ比を変え、そのときのベタ画像の濃度が 一定となるように直流成分 V avg を調整した場合、 細線画像の濃度にはデューテ ィ依存性があり、 デューティ比が小さいほど細線画像の濃度はより高くなる、 と いう知見を発明者は得ている。 また、 装置の経時変化やトナーの劣化により トナ —の飛翔性が低下すると特に細線画像の品質が劣化しやすい。 そこで、 より安定 した画質で細線画像を継続的に形成するためには負電圧が加わる期間を 5 0 %よ り小さくすることが好ましく、 現像バイアスのデューティ比 (t l/ t O) として は 3 0〜4 8 %、 さらに望ましくは 3 5〜4 5 %程度とするのがよい。
第 4 9図に戻って、 現像ローラ 4 4に現像バイアスとしての交番電圧が印加さ れると、 現像ローラ 4 4と感光体 2とに挟まれた現像位置 D Pには交番電界が発 生する。 この電界の作用により、 現像ローラ 4 4に担持されたトナ一 T Nの一部 が現像ローラ 4 4から遊離して現像位置 D Pに飛翔し往復運動する (符号 T 3)。 こうして飛翔したトナーが感光体 2各部にその表面電位に応じて付着することに よって、 感光体 2上の静電潜像がトナーにより現像される。
ここで、 上記のようにして行う現像プロセスでは、 現像位置 D Pに飛翔させる トナーの量には適当な範囲がある。 第 5 1図は、 感光体 2上のトナー密度とトナ —像の光学濃度との関係を示す図である。 第 5 1図に示すように、 トナー像を構 成するトナーの密度を高くすればその光学濃度は高くなる。 しかし、 トナーが密 に付着した状態になれば、 それ以上に付着トナー量を増加させても光学濃度はあ まり変化しなくなり、 第 5 1図に示すようにトナー密度の高い領域で飽和特性を 示す。 言い換えれば、 このような高密度にトナーが付着する状態では、 感光体 2 に付着するトナー量に多少の変動があつたとしてもその画像濃度はほとんど変化
しない。 トナー像として感光体 2に付着するトナーの密度は現像位置 D Pに飛翔 するトナー量に依存するから、 この特性は、 トナーの飛翔量をある程度多くして おけば、 その量に多少の変動があっても得られるトナー像の濃度変化を少なくで きるということを示している。
非接触現像方式の画像形成装置において、 濃度ムラが少なく、 かつ画像コント ラストの高いトナー像を形成するためには、 このように画像濃度変化の少ないト ナー飛翔量が得られる条件で画像形成を行うことが好ましい。 というのは、 非接 触現像方式の装置では製造上の理由からギャップ Gにある程度の変動が生ずるの は避けられないが、 こうすることでギヤップ変動に起因する画像濃度の変動を抑 制することができるからである。 但し、 付着させるトナ一量を多くしすぎると、 トナーの消耗が激しくなり、 また後述する転写 ·定着プロセスに支障を来すおそ れもあるため、 これらの要請により トナ一量の上限が規制される。
この実施形態では、 以下の ( 1 )、 (2 ) に示す構成とすることで必要十分なト ナ一飛翔量を確保するとともに、 後述するように、 直流現像バイアスと露光エネ ルギ一とを制御することで画像濃度の調整を行っている。
( 1 ) 規制プレード 4 5により、 現像ローラ 4 4上のトナー層の厚みをトナー 2層程度に規制している。 トナー層を構成するトナ一 T Nのうち、 現像ローラ 4 4と直接接触しているトナー (第 4 9図に示す符号 T 4) には現像口一ラ 4 4と の間に強い鏡像力が作用しているので飛翔し難い。 そこで、 トナ一層の厚みをト ナ一 2層程度として、 直接現像ローラ 4 4に接触せずより飛翔しやすいトナーの 量を増やしている。 このように飛翔しやすいトナーが存在すると、 そのトナーは 比較的小さな力によって現像ローラ 4 4から飛翔することができ、 かつ、 そのト ナ一が交番電界に応じ往復運動を行う中で現像ローラ 4 4上のトナー T 4 に衝突 することでトナ一 T 4 を飛翔させる効果もある。 そのため、 十分な量のトナーを 現像位置 D Pに供給することができる。
( 2 )現像バイアスの振幅 Vppを、現像位置: D Pで放電が発生しない程度でで きるだけ大きくしている。 この実施形態のような非接触現像方式の画像形成装置 では、 現像位置 D Pに発生させる電界強度を変化させることにより トナー飛翔量 を制御することが可能であるが、 ギャップ G (第 4 9図) の変動によっても交番
電界の強度は変化する。そこで、交番電圧の振幅 Vppをできるだけ高く設定する ことで、 ギャップ Gが大きく電界が弱い場合でも十分な量のトナーを飛翔させる ことができるようにしている。 但し、 電圧を高く しすぎると現像ローラ 4 4と感 光体 2との間で放電が発生し著しく画質を損ねることとなるので、 このような放 電が起きない程度の電圧とする必要がある。 この第 3実施形態では、 ギャップ G の設計中心値は 1 5 0〃mであるが、 現像ローラ 4 4と感光体 2が最も近接する ときのギヤップを 8 0〃mとして、現像バイアスの振幅 Vppを 1 5 0 0 Vに設定 しており、 またその周波数を 3 k H zとしている。 また、 現像バイアスのデュー ティ比を 4 0 %としている。
そして、 画質の良好なトナー像を安定して形成するため、 この第 5実施形態に かかる画像形成装置では、 電源投入時などの適当な夕ィミングで所定のパッチ画 像を形成し、 その画像濃度に基づいて画像形成条件を最適化するパッチ処理を行 つている。 具体的には、 エンジンコントロ一ラ 1 0の C P U 1 0 1が予め記憶さ れたプログラムを実行して、 各トナ一色毎に第 5 2図に示す処理を行っている。 第 5 2図は、 この画像形成装置のパッチ処理を示すフローチャートである。 この パヅチ処理の概要は次の通りである。
第 5 2図の左側に示した処理では、 露光ビーム Lの単位面積当たりのエネルギ ― (以下、 単に 「露光エネルギー」 という) Eを一定の値、 例えばその可変範囲 における中央値に仮設定した状態で(ステップ S 8 1 )、現像バイアスの直流成分 (以下、 「直流現像バイアス」 という) Vavgを変更設定しながら各バイアス条件 の下で高濃度用パッチ画像として例えばべ夕画像を形成する (ステップ S 8 2〜 S 8 5 )。そして、 こうして形成した各パッチ画像の画像濃度を濃度センサ 6 0に より検出し(ステップ S 8 6 )、 その濃度が予め設定された目標値、 この実施形態 では光学濃度 O D = 1 . 3にほぼ一致するときのバイァス値を求めてその値を最 適現像バイァスとする。
それに続いて、 第 5 2図の右側の処理を実行する。 すなわち、 直流現像バイァ ス Vavgを先に求めた最適現像バイァスに設定し(ステップ S 9 1 )、露光エネル ギ一 Eを変更設定しながら各エネルギー条件の下で低濃度用パッチ画像として例 えば 1オン 1 0オフのパターンのように互いに離隔配置された複数の 1 ドヅトラ
ィンからなる細線画像を形成する (ステップ S 9 2〜S 9 5 )。 そして、 こうして 形成した各パッチ画像の画像濃度を濃度センサ 6 0により検出し (ステップ S 9 6 )、 その濃度が予め設定された目標値、 この実施形態では光学濃度 O D = 0 . 2 2にほぼ一致するときの露光エネルギーを求めてその値を最適露光エネルギーと している。
このようにする理由について、 第 5 3図を参照しつつ説明する。 第 5 3図は、 ベ夕画像およぴ細線画像に対応する静電潜像を形成した場合の感光体 2の表面電 位プロファイルの例を示す図である。 均一の表面電位 Vu に帯電した感光体 2を 部分的に光ビーム Lにより露光すると、 その部分の電荷が中和されて感光体 2の 表面に静電潜像が形成されるが、 ベ夕画像のような高濃度用の画像では感光体 2 表面の比較的広い範囲が露光されているため、 その表面電位プロファイルは、 感 光体 2の特性で決まる残留電位 Vr 程度まで低下した井戸型となる。 一方、 細線 画像のような低濃度用画像では露光される領域が狹いため、 その表面電位 V sur は鋭いディップ状のプロファイルを有することとなる。 なお、 同図では低濃度用 画像として 1ラインのみの例を示しているが、 互いに離隔配置されている複数の ラインの場合も同様である。
そして、 このような電位プロファイルを有する静電潜像がトナーを担持する現 像ローラ 4 4と対向する現像位置 D Pに搬送されてくると、 この現像位置 D Pで 往復飛翔しているトナーは、 現像ローラ 4 4、 感光体 2各部の直流電位に応じて そのいずれかに付着する。 このとき、 直流現像バイアス V avg と感光体 2の表面 電位 Vsur との電位差が大きいほど現像ローラ 4 4から感光体 2へのトナー移行 が促進されるため、 この電位差すなわちコントラスト電位 Vcontが大きいほど感 光体 2に付着するトナーの密度は高くなり、 それに伴って画像濃度も高くなる。 ここで、 露光エネルギーを変化させた場合を考えてみると、 第 5 3図の点線で 示すように、 ベ夕画像では表面電位プロファイルの変化は小さいのに対し、 細線 画像ではディ ップの深さまたは幅、 あるいはその両方が大きく変化することとな る。 このように、静電潜像の電位プロファイルに対する露光エネルギーの影響は、 ベ夕画像では小さく、 細線画像で大きくなる。 したがって、 現像されるトナー像 の濃度も、 ベ夕画像では変化が小さいのに対し細線画像では露光エネルギー Eに
より大きく変化することとなる。
一方、直流現像バイァス Vavgを変化させた場合には、コントラスト電位 Vcont が変化することとなるため、 ベ夕画像、 細線画像いずれの場合においてもその画 像濃度が大きく変化する。
このように、 2つのパラメ一夕、 すなわち直流現像バイアス Vavg と露光エネ ルギー Eとでは、 ベ夕画像、 細線画像それそれの画像濃度に及ぼす影響が異なつ ている。 すなわち、 細線画像の画像濃度は直流現像バイアス V avg、 露光エネル ギ一 Eの双方に大きく影響されるのに対し、 ベ夕画像の画像濃度は直流現像バイ ァス V avg によって大きく変化するものの、 露光エネルギー Eによってはあまり 変化しない。
このことについて、 第 5 4図を参照してさらに詳しく説明する。 第 5 4図は、 ベ夕画像おょぴ細線画像に対する等濃度曲線を示す図であるが、より具体的には、 直流現像バイアス Vavgと露光エネルギー Eとの組み合わせ(Vavg, E ) を変え ながらべ夕画像および細線画像を形成したときに、 それぞれの画像濃度が目標濃 度 (O D = l . 3および O D = 0 . 2 2 ) に一致するような組み合わせを示すも のである。
上記したように、 ベ夕画像の濃度に対する露光エネルギー Eの影響は小さいの で、 ベ夕画像において光学濃度 O D = 1 . 3を示す等濃度曲線は、 第 5 4図の実 線に示すように垂直に近い傾きを有している。 その意味するところは次の通りで ある。すなわち、直流現像バイァス Vavgと露光エネルギー Eとの組み合わせ(V avg, E ) がこの曲線上にあるとき、 この条件でベ夕画像を形成すれば常に目標 値 O D = l . 3の画像濃度が得られる。 ここで、 第 5 4図に示す符号 E A以上の 露光エネルギー領域では曲線の傾きがほぼ垂直であることから、 直流現像バイァ ス Vavgを同図に示す電位 VAに定めれば、 この領域では露光エネルギー Eの値 によらず目標濃度のベ夕画像が得られることとなる。 ¾お、 露光エネルギー E A 以下で等濃度曲線が湾曲しているのは、 このような弱いエネルギーでの露光では 感光体 2の表面電位 Vsurが残留電位 Vr程度まで十分に低下せず、そのエネルギ 一の大小によって潜像の深さが変化することに起因する。
このことから、 EA以上の露光エネルギー E (この実施形態では、 その可変範
囲における中央値が E Aより大きくなるように設定されている) の下で、 種々の 直流現像バイァス V avgで高濃度用パヅチ画像としてのベ夕画像を形成し、 その 濃度が目標値 (O D = 1 . 3 ) となるようなバイアス電位 VAを求めることによ り、 ベ夕画像で所望の画像濃度を得るための直流現像バイアス V avgの最適値を 求めることができる。 なお、 上記したように、 ベ夕画像においては露光エネルギ —Eは E A以上の任意の値としてよい。
一方、 細線画像においては、 その画像濃度は露光エネルギー E、 直流現像バイ ァス V avgのいずれによっても変化し、 その等濃度曲線は、 第 5 4図の破線に示 すように右下がりの曲線となる。
さて、 ベ夕画像および細線画像のいずれにおいても目標どおりの画像濃度を得 るためには、 直流現像バイアス V avg、 露光エネルギー Eを第 5 4図の 2つの曲 線の交点に相当する組み合わせとなるように設定すればよい。 ここで、 この交点 に対応する直流現像バイアス V avgの値は、 ぺ夕画像に対応する等濃度曲線がほ ぼ垂直な傾きを有していることから明らかなように、 目標濃度のベ夕画像を得ら れるバイアス電位 VAとして既に求められている値とほぼ同じとなる。 つまり、 先に求めたベ夕画像での最適直流現像バイァス VAは、 細線画像でも目標濃度を 得ることのできるこの装置における最適現像バイァス Vop であったことがわか る。 したがって、 直流現像バイアス V avgとしてこの最適値 Vopを与えながら、 種々の露光エネルギー Eで低濃度用パツチ画像としての細線画像を形成し、 その 濃度が目標値 (O D = 0 . 2 2 ) となるような露光エネルギー E opを求めること により、 ベ夕画像、 細線画像で共に目標濃度を満足する画像形成条件 (Vop , E op) を求めることができるのである。
なお、 直流現像バイアス V avgおよび露光エネルギー Eの可変範囲を定めるに あたっては、 その実現可能な組み合わせの範囲の中でベ夕画像、 細線画像ともに 所望の画像濃度が得られることはもちろんであるが、 次のような事柄も考慮され る。
すなわち、 所望の画像濃度を得るべくコントラス ト電位 (第 5 3図に示す V cont) を極端に大きくまたは小さくすると、 画像のにじみ (コントラス ト電位 V contが高すぎる場合、例えば 1 c m角程度のベ夕画像を形成するとその画像の周
辺にトナーの飛び散りが発生する) や歪み (コントラスト電位 Vcontが低い場合、 例えば 1 c m角程度のベタ画像を形成するとその画像は正方形でなく菱形状に歪 む) など他の要因による画質劣化を引き起こすことがあり、 また感光体 2の残留 電位 Vr はその温度や製造ばらつきによるばらつきを有しているため、 直流現像 バイァス Vavgの可変範囲は感光体 2のばらつきをカバ一しつつ、 コントラスト 電位 Vcont を所定の範囲内に収めることができるような範囲に決める必要があ る。 この実施形態では、 直流現像バイアス V avgの可変範囲を (― 1 1 0 V ) 〜 ( - 3 3 0 V ) に設定している。
さらに、 発明者らの知見によれば、 感光体 2表面のうち露光されていない領域 (非画像部) の表面電位 Vu と直流現像バイアス V avg との電位差も画質に影響 を与えることがわかっている。 例えば、 この電位差が大きくなると、 非画像部へ のトナーのカプリの増加や孤立ドットラインの再現性低下を招く。 一方、 この電 位差が小さくなると地汚れが発生しやすくなる。 そこで、 この実施形態では、 直 流現像バイアス Vavg を変更するのに連動させて帯電制御部 (第 2図) からの帯 電バイアスを変更しており、 これにより両者の電位差 ( I Vu |— I Vavg l ) を一 定値 ( 3 5 0 V ) に保持している。
また、 ベ夕画像における静電潜像の深さは露光エネルギー Eによる変化は少な いものの、 全く変化しないわけではないから、 露光エネルギー Eの可変範囲を大 きく しすぎると露光エネルギー Eの変化によってべ夕画像の濃度も変動すること となり、 最適な画像形成条件を見出すのが困難となる。 そこで、 露光エネルギー Eが変化してもべ夕画像の濃度変化が無視できる程度とするために、 露光エネル ギ一 Eをその可変範囲における最小値から最大値まで変化させたとき、 静電潜像 のうちべ夕画像に対応する領域の表面電位の変化が 2 0 V以内、 より望ましくは 1 0 V以内となるように、 露光エネルギー Eの可変範囲を定めるのがよい。
なお、 これらの値は本実施形態の構成に即して決められたものであって、 装置 構成に応じて適宜改変されるべきものであることはいうまでもない。
以上のように、 この実施形態では、 トナーを飛翔させやすくするために現像口 —ラ 4 4に担持されるトナー層の厚みをトナー 1層より多く し、 かつ現像バイァ スの振幅 Vppをできるだけ高く設定することで、予め現像位置 D Pにおけるトナ
—飛翔量を十分多くしておき、 画像形成条件を構成する 2つのパラメ一夕 (直流 現像バイアス V avg、 露光エネルギー E ) を制御することによって画像濃度を調 節するようにしている。
また、 これらのパラメ一夕を最適化するのに際して、 まず露光エネルギー Eを 一定値に仮設定した状態で、 直流現像バイアス V avgを種々の値に変更しながら 高濃度用パッチ画像としてのベ夕画像を形成し、 その画像濃度に基づいて直流現 像バイァスの最適値 Vopを求めている。そして、 こうして求めた最適直流現像バ ィァス Vopの下で、露光エネルギー Eを種々の値に変更しながら低濃度用パヅチ 画像としての細線画像を形成し、 その画像濃度に基づいて露光エネルギーの最適 値 E opを求めている。
このように、 この実施形態の画像形成装置では、 比較的簡単な処理によって、 各パラメ一夕について 1つずつ個別に、 しかも確実にそれそれの最適値を求める ことができ、 こうして最適化された画像形成条件の下で画像形成を行うことによ つて、 画質の良好なトナー像を安定して形成することが可能となっている。
<第 6実施形態 >
次に、 本発明にかかる画像形成装置の第 6実施形態について説明する。 この実 施形態の装置は、 第 5実施形態と比較してその現像器の構成が一部異なっている が、その他の構成および動作については同一であるのでここでは説明を省略する。 第 5 5図は、 この発明にかかる画像形成装置の第 6実施形態を示す図である。 こ の実施形態においては、 現像ローラ 4 4は、 金属ローラ 4 4 1と、 その表面に形 成された抵抗層 4 4 2とで構成されている。 この抵抗層 4 4 2は本発明の 「表面 層」 に相当するものであって、 例えば導電粉を分散させた樹脂層で形成されてい る。 ここで、 導電粉としてはアルミニウムなどの金属粉、 力一ボンブラヅク等を、 また樹脂層としてはフヱノール樹脂、 ユリア樹脂、 メラミン樹脂、 ポリウレ夕ン 樹脂、 ナイロン樹脂等を用いることができる。 さらに、 この抵抗層 4 4 2の比抵 抗は 1 0 4 Ω c m以上であることが好ましい。
このように、 抵抗層 4 4 2を設けたことによってトナー T Nと金属ローラ 4 4 1とが直接接触することは防止されており、 これにより トナー T Nに作用する鏡 像力は低減されて、 現像ローラ 4 4からのトナー飛翔性が向上している。 これに
伴って、 この実施形態では、 第 5 5図に示すように、 規制ブレード 4 5が現像口 —ラ 4 4上のトナ一層の厚みを略トナー 1層に規制している。 というのは、 抵抗 層 4 4 2を設けたことで、 第 5 5図に示すように現像ローラ 4 と直接接触して いるトナー T 5 も飛翔しやすくなつており、 その結果、 搬送されるトナー量は少 なくても現像位置: D Pに十分な量のトナ一を飛翔させることができるようになつ ているからである。
このように構成された装置においても、 第 1実施形態の装置と同様の処理 (第 5 2図) を行うことにより、 直流現像バイアス V avgおよび露光エネルギー Eの 最適値を、 簡単な処理によって個別に求めることが可能であり、 こうして最適化 された画像形成条件の下で画像形成を行うことによって、 画質の良好なトナー像 を安定して形成することができるのである。
以上のように、 上記した第 5および第 6の実施形態の装置は、 それぞれその手 法は異なるものの、 いずれも現像位置 D Pにおけるトナー飛翔量を大きく した構 成となっており、 上記したパッチ処理技術を好適に適用できるものである。 この 技術は、 他の手法により トナ一飛翔量を大きくした装置においても有効である。 このようにトナー飛翔量を高める手法としては、 上記以外にも種々のものが考え られる。
例えば、 トナーの外添剤として酸化チタンを用いると、 トナー粒子と現像ロー ラ 4 4表面との間で作用するいわゆる分子間力を効果的に低減することが可能と なり、 その結果として、 トナーの飛翔性が向上する。 また、 トナーと現像ローラ 4 4との分子間力の大きさを評価する指標としてトナーの流動性がある。 トナー の流動性が高いトナーほど分子間力を小さくでき、 本発明に用いるトナーとして 好適な流動性の目安はその安息角で 2 5 ° 以下である。 さらに、 トナーの流動性 はトナー母粒子に対する外添剤の被覆率に依存し、 その被覆率を 1以上とするこ とで分子間力を低減してその流動性を高めることができる。 ここで、 外添剤の被 覆率は下式にて定義する :
(被覆率) = ( D · P 1 · w) / ( d · p 2 · W · 7Γ ) … (6-1) 上式において、 Dおよび dはトナー母粒子および外添剤それそれの体積平均粒径、 β 1および ρ 2はトナ一母粒子および外添剤それそれの真比重、 Wおよび wはト
ナー母粒子および外添剤それそれの質量、 7Γは円周率である。
また、 同じ帯電量であればその粒径が小さいほど鏡像力が大きくなるので、 鏡 像力を低くするために、 比較的粒径の大きなトナーを用いることも有効である。 発明者らの実験によれば、 その体積平均粒径が 8 m以上のトナーを使甩するこ とにより、 十分なトナー飛翔量を確保することができることがわかった。
なお、 上記した第 5および第 6実施形態では、 直流現像バイアス Vavgの最適 値を求めるためのパッチ画像を形成する際に露光エネルギー Eの値をその可変範 囲における中央値に仮設定しているが、 このときの露光エネルギーの値はこれに 限定されるものではなく任意である。 但し、 露光エネルギーが大きすぎると潜像 に付着するトナー量が多くなり トナーの消費量が増大してしまう。 また、 露光ェ ネルギ一が小さすぎると細線画像のみならずベ夕画像の濃度も露光ェネルギ一に より変化してしまうこととなり、 最適な画像形成条件を精度よく求めることが難 しくなるので、 このときの露光エネルギーは第 5 4図に示す符号 EA以上であま り大きすぎない値とすることが好ましい。
くその他 >
なお、 本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、 その趣旨を逸脱 しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。 例 えば、 以下のように構成することができる。
上記した各実施形態では、 高濃度用パッチ画像としてべ夕画像を、 また低濃度 用パッチ画像として互いに離隔配置された複数の 1 ドッ トラインからなる細線画 像を用いているが、 パヅチ画像として用いることのできる画像はこれらに限定さ れるものではなく、 他のパターンを有する画像であってもよい。 これらは使用さ れる トナーの特性や濃度センサの感度等に応じて適宜変更されるべきものである c また、 各パッチ画像の目標濃度も上記の数値に限定されるものではなく、 適宜変 更してよい。
上記実施形態では、 中間転写ベルト 7 1を本発明の 「像担持体」 とする画像形 成装置に本発明を適用しているが、 本発明の適用対象はこれに限定されるもので はなく、 例えば像担持体として転写ドラムを用いた画像形成装置、 感光体上に形 成されるパッチ画像の画像濃度を測定するように構成した画像形成装置などにも
適用可能であり、 感光体や転写媒体などの像担持体上に形成されたトナー像の画 像濃度を求める画像形成装置および方法全般に本発明を適用することができる。 上記実施形態では、 4色のトナーを用いたカラ一画像を形成することができる 画像形成装置であつたが、 本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、 モノクロ画像のみを形成する画像形成装置にも当然に適用することができる。 ま た、 上記実施形態にかかる画像形成装置は、 ホストコンピュータなどの外部装置 より与えられた画像を複写紙、 転写紙、 用紙および 0 H P用透明シートなどのシ ―ト Sに形成するプリン夕であるが、 本発明は複写機ゃファクシミリ装置などの 電子写真方式の画像形成装置全般に適用することができる。 産業上の利用可能性
以上のように、 この発明は、 プリン夕、 複写機およびファクシミリ装置などの 電子写真方式の画像形成装置に対して適用可能であり、 画像濃度に影響を与える 濃度制御因子を調節することで画像濃度を安定化させ、 画像品質の向上を図るこ とができる。