JP3631066B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式を用いた、たとえば複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ、印刷装置等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写機やレーザービームプリンタの需要が高まり、消費される現像剤(トナー)の量も増加している。一方で、資源枯渇、ごみ処理等の問題から、省エネルギー、廃棄物の抑制等が強く求められている。こうした流れの中で、電子写真方式、静電記録方式等の複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等において、現像剤の消費量を削減することは重要な課題になっており、環境対応に加えてランニングコストの低減が求められている。
【0003】
一般に電子写真方式の画像形成装置としては、像担持体の表面を一様帯電し、アナログ露光または半導体レーザーもしくはLEDにより画像露光を行って像担持体上に静電潜像を形成し、これを現像装置により現像してトナー像として可視化し、このトナー像を転写材に転写し、転写材を像担持体から分離し、定着器で定着して画像を出力するものが知られている。
【0004】
図1を用いてその画像形成工程について説明する。画像形成装置は、像担持体としてたとえばドラム状感光体、すなわち感光ドラム1を有し、この感光ドラム1は表面にOPC、a−Si等の光導電層を備え、矢印A方向に回転される。この感光ドラム1の表面を一次帯電器3によりたとえば−700Vに一様帯電し、次いで画像情報の信号による画像露光12を行って、感光ドラム1上の露光部の表面電位をたとえば−200Vに減衰し、感光ドラム1上に画像信号に対応した静電潜像を形成する。画像露光12には、たとえば半導体レーザーあるいはLEDアレイが用いられる。
【0005】
つぎに静電潜像を現像器2により現像してトナー像として可視化する。この現像器2の現像方式には、トナーとキャリアを用いる2成分現像や、トナーだけ(磁性1成分現像剤)を用いるジャンピング現像等がある。現像時、現像器2の現像剤担持体には現像バイアスとしてたとえば−500V程度の直流バイアスを印加して、潜像を反転現像(ないし正規現像)する。
【0006】
この後、必要に応じて、ポスト帯電器10を用いてトナー像を転写前処理し(通常はDCもしくはACによるコロナの付与、または光除電などを組み合わせたりする)、感光ドラム1に供給された転写材上に転写帯電器4により転写する。ついで分離除電器5により転写材を感光ドラム1から分離して定着器7に送り、そこでトナー像を定着して最終的なプリントが得られる。一方、感光ドラム1は、表面上に残留した転写残りトナーをクリーニング装置6により除去して、つぎの画像形成に備える。
【0007】
トナーの消費量を低減する技術としては、画像形成装置にトナーセーブモードを設け、実際に使用するユーザーがモードを選択することによって、トナーの濃度を低下させる方法などが公知である(特開平6−348094、特開平7−160150)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来、トナーセーブモードは、画像の線濃度が薄く、試しコピーとしてや文字を認識する目的のみのプリントとしては有効であるものの、多量にプリントする通常の業務用配布書類に対してはあまり有効なものではなかった。またトナーセーブモードにおける画像濃度の微調整は、ユーザーがその時々に行わなければならず、使いづらいものであった。
【0009】
本発明の目的は、ユーザーの画質要求を満足させた上で、感光体上の潜像に付着する必要以上のトナーを節約することができ、トナーの消費量を最小限に抑制して、ランニングコストを削減し、環境対策性に富んだ画像形成装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、感光体上に階調パターンを形成する手段と、階調パターンを現像剤にて現像する現像手段と、階調画像の反射濃度を検出する検出手段と、前記検出手段の出力に応じて最大画像濃度を与える現像コントラストを設定する設定手段と、を有する画像形成装置において、
所定の濃度間隔となるように高濃度域を含む複数の階調画像を形成し、該複数の階調画像の反射濃度を検出し、連続する階調画像間での検出濃度差が0.05以下へと移行する階調画像が最大画像濃度となるように現像コントラストを設定することを特徴とする画像形成装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に即して詳述する。
【0013】
実施例1
図1は、本発明の画像形成装置の一実施例を示す断面図である。
【0014】
本画像形成装置は、350mm/秒の(プロセススピード)を有し、毎分65枚の画像形成を行う白黒デジタル複写機である。画像形成装置は、像担持体としてa−Siによる感光ドラム(ドラム状電子写真感光体)1を備え、この感光ドラム1は外径108mmを有し、矢印A方向にプロセススピードで回転される。a−Siは有機感光体(OPC)と比べて高耐久で、画像形成300万枚上の寿命があり、高速機に向いている特長がある。
【0015】
感光ドラム1は、表面を帯電器3によりたとえば+400Vに一様帯電された後、600dpiで画像露光12がなされる。画像露光12は半導体レーザーを光源に用いて行われ、露光部の表面電位をたとえば+50Vに減衰させることにより、感光ドラム1の表面に静電潜像を形成する。半導体レーザーのレーザー光の波長は680nmである。
【0016】
原稿を読み込むスキャナー部、画像データを作成するイメージプロセッサー部は図示しないが、スキャナーのCCD上に結像した原稿からの反射光は、A/D変換されて600dpi、8bit(256階調)の画像の輝度信号に変換され、イメージプロセッサー部に送られる。イメージプロセッサー部では、周知の輝度−濃度変換(Log変換)を行い、画像信号を濃度信号に変換した後、必要ならばエッジ強調やスムージング、高周波成分の除去等のフィルター処理を通し、その後に濃度補正処理(いわゆるγ処理)をかけてから、たとえば誤差拡散法等の2値化処理やドット集中型のディザマトリックスによるスクリーン化処理を通して2値化される。もちろん8bitのままで周知のPWM(パルス幅変調)法等で半導体レーザーを駆動して潜像を形成してもよいが、本発明では、画像データのハンドリングのしやすさの点から2値を採用した。
【0017】
その後、画像信号はレーザードライバーに送られ、信号に応じてレーザーを駆動する。そのレーザー光はコリメータレンズ、ポリゴンスキャナー、fθレンズ、折り返しミラー、防塵ガラス等を介して感光ドラム1上に照射される。レーザー光は、600dpiの1画素=42.3μmよりも若干大きい55μm程度のスポット径で感光ドラム上に結像し、前記のように、露光部を+50V程度に除電して静電像を形成する。
【0018】
感光ドラム1上に形成された静電潜像は、現像器2により現像してトナー像として可視化し、ついでポスト帯電器10で総電流+100μA(AC+DC)を流してトナー像を帯電させた後、矢印方向に進む転写材(紙)Pに転写帯電器4により転写し、分離除電器5で転写材Pを感光ドラム1から分離して定着器7に送り、そこでトナー像を定着して最終的なプリントを得る。
【0019】
本実施例では、現像器2は、簡易で、現像スリーブ寿命までメンテナンスの要らない現像方式である黒の磁性トナー(磁性1成分現像剤)を用いたジャンピング現像方式を採る。本実施例で用いた現像器2について詳述する。
【0020】
現像器2は、感光ドラム1と対向した開口部に現像スリーブ20を回転自在に備え、この現像スリーブ20内には、図2に示すように、ローラ状のマグネット21が非回転に配置されている。現像器2内に収容された磁性トナーは、2つのトナー搬送部材23により現像スリーブ20に搬送され、回転する現像スリーブ20の表面上にマグネット21の磁力により担持され、現像スリーブ20と所定の間隔を開けた磁性ブレード22により層厚を規制された後、感光ドラム1と対向した現像領域へ搬送される。そして現像スリーブ20に印加した現像バイアスにより、トナーが感光ドラム1上の静電潜像に飛翔して付着し、潜像をトナー像として可視化する。
【0021】
現像器2の上部にはトナー補給ホッパー24が取り付けられており、現像スリーブ20に近い側のトナー搬送部材23付近の磁性トナーがなくなると、そこに設置した圧電素子25の検知信号により、制御CPU27がホッパー24内下部のマグネットローラ26を回転させる信号を図示しないモータに出し、これによりマグネットローラ26が回転して、ホッパー24内から磁性トナーを切り出して現像器2内に補給する。
【0022】
マグネット21の磁極パターンは、現像方式をデジタル反転現像とした場合、たとえば図3および表1に示すように形成される。
【0023】
【表1】
Figure 0003631066
本実施例では、現像スリーブ20は感光ドラム1に対して150%の周速度で回転する。現像スリーブ20と磁性ブレード22の間隔(S−Bギャップ)を250μm、現像スリーブ20と感光ドラム1との距離(S−Dギャップ)は250μmとした。現像スリーブ20に印加する現像バイアスは、図4に示すようなピークツウピーク電圧1.5kV、周波数2.7kHz、デューティー(Duty)50%の矩形波の交流電圧に、280Vの直流電圧を重畳して使用した。したがって、現像コントラストは感光ドラム1への飛翔方向に230V、かぶり取り(トナー引き戻し)コントラストは120Vとなる。
【0024】
本実施例では、磁性トナーとして、スチレンアクリル樹脂に磁性粒子を分散した粒径8.0μmのポジトナーを用いた。このトナーはSiOを1.0重量%外添して使用した。
【0025】
つぎに従来の画像形成装置でのトナーの無駄な消費について説明する。図5は、現像コントラストと画像反射濃度の関係(V−Dカーブ)、図6は現像コントラストと画像透過濃度の関係である。この2つの濃度は転写材である紙の濃度を含んでいる。そこで、紙の濃度を差し引いたものを図7に示す。これは、反射濃度については0.08、透過濃度ついては0.5を紙の濃度として差し引いた値である。
【0026】
これらの図より、反射濃度は現像コントラストの高いところで飽和特性を示している。この飽和特性を示しているところは、ユーザーにとっては画像濃度がほぼ同じに見えることを意味する。これに対し、透過濃度は現像コントラストとともに増加している。これは、トナー量が現像コントラストとともに増加することを意味する。したがって、反射濃度が飽和示している領域ではそれ以上のトナーは無駄である。
【0027】
本発明の特徴は、ユーザーにとって反射濃度として反映されない無駄なトナーを削減することにある。これを表したのが図8で、紙P上にトナー像を構成するトナーTが積層されており、そのトナー像の上の部分のトナーT’は、反射濃度に反映されない無駄なトナーを表している。そこで、本発明では、このような無駄なトナーを極力減らすように、現像コントラストを制御する。
【0028】
本実施例における現像コントラストの制御方法について説明する。
【0029】
図1に示すように、感光ドラム1に対し現像器4の下流側の位置に反射濃度センサー40を設ける。そして、図9に示すように、感光ドラム1上に形成した所定濃度のパッチパターン(略してパッチ)302にセンサー40の発光部303から光を照射して、そのパッチ302からの反射光を受光部304で受光して、パッチの濃度(反射濃度)を測定し、測定した濃度データの勾配に基づいて現像コントラストの制御を行う。
【0030】
本実施例で用いたパッチの例を図10に示す。説明の便宜のために、パッチは、7段階の階調パターンであるとする。パッチ濃度は、図10に示すように、0から255レベルのうち16進法で表して、A0H、B0H、C0H、D0H、E0H、F0H、FFHの7パターンで、FFHのときのレーザーのフルパワーを5mWにする。本方式は、レーザーの光量を変化させるため感光ドラムの電位は等間隔にならないが、目安を言えば、本実施例の場合、10Hで約20Vである。
【0031】
図11は、感光ドラム上のパッチを濃度センサーで測定した濃度データで、図11の横軸はパッチのビデオ信号を示す。ここでは分かりやすいように、00HからFFHまでのパッチを形成した場合の例を示す。実際に用いるのはA0HからFFHまでである。ここでの反射濃度は、感光ドラムにパッチも何も形成しないときの感光ドラムのみの反射濃度を差し引いてある。図12に、A0HとB0Hの差、B0HとC0Hの差というように、隣り合う2つのパッチの濃度差を示す。
【0032】
さて、本実施例では、現像コントラスト値を反射濃度がほぼ飽和するところに定めるため、濃度差が0.05以下となったところを現像コントラストとした。本実施例の場合、現像バイアスのDC成分が280V一定な系であるため、感光ドラムの静電潜像を形成する際の最大画像部の電位V1で、つまりレーザーの最大光量で現像コントラストを制御する。反射濃度が飽和値になる最初の現像コントラストを最大画像部の電位となるように、レーザ発光量を調整することにより、できるだけ現像コントラストを小さくでき、その結果、反射濃度にあまり寄与しない分のトナーを低減することができる。図12によれば、B0Hで0.06、C0Hで0.03となっているので、レーザーパワーとしてC0Hを最大光量とする。
【0033】
通常の画像形成装置では、上記のようなレーザーの最大光量による現像コントラスト制御を行っていないため、現像コントラストとしては環境や耐久、機械本体の差まで見込んでかなり大きく現像コントラストを設定しなければならないが、本発明では、上記の制御により、反射濃度としては最大濃度が保証された上で、自動的にそれ以上の無駄なトナーの付着を抑えることができる。現像コントラストの変更の際には、それに合わせてリーダーから読み込んだ画像信号に対して階調補正を新たに設定する。
【0034】
つぎに、上述した画像露光12を行うレーザーを制御する画像信号制御部の詳細を、図13により説明する。
【0035】
図13に示すように、画像信号制御部は、画像処理部201、γ補正部202、2値部203、LUT算出部205、パターンジェネレータ206、ROM207、CPU208、RAM209を備えてなっている。CPU208は、画像信号制御部の各構成要素を、ROM209に格納された制御プログラム等に従って統括的に制御し、RAM209はCPU209の作業領域として使用される。
【0036】
画像処理部201は、、入力される画像信号に対して解像度変換等、操作者の所望する画像処理を施し、γ補正部202は、画像処理部201からの画像信号に対してLUT算出部205からのルックアップテーブル(LUT)を参照してγ補正を行う。2値部203は、γ補正後の画像信号に基づいてレーザーの駆動信号を発生し、この駆動信号に基づきレーザー部204を駆動して、画像部に対応する画像露光12を行う。LUT算出部205は、濃度センサー40によって得られたパッチパターンの濃度測定値に応じて現像コントラストを定め、それと同時に新たに設定された現像コントラストに対して、γ補正部202内のLUTを現在の動作環境において適切となるように新たに算出し、更新する。パターンジェネレータ206は、サンプルパッチパターンの画像データを予め保持している。
【0037】
本実施例では、上述したように、適切な現像コントラストに加え、適切な階調補正(たとえばγ補正等)を施す。そして得られた階調特性が理想的な濃度再現曲線(TRC:Tone Reproduction Curve)になるように、LUT算出部205においてγ補正部202のLUTを更新する。TRCはたとえばROM207に格納されている。
【0038】
つぎに表2に、本実施例の制御を実施した場合のトナーの消費量を改良後、従来の場合を改良前として示す。トナー消費量は、画像比率6%の標準チャートを10000枚出力した際の1枚あたりの消費トナー量である。
【0039】
【表2】
Figure 0003631066
表2に示されるように、本実施例の制御を行った場合は、この制御を実施しない従来の場合に比べてトナー消費量をおよそ19.6%抑制することができた。
【0040】
以上において、現像コントラスト制御を行うタイミングは、感光ドラムの電位、トナーの帯電状態等が朝方と夕方で異なることが多いので、画像形成装置の電源投入時および画像形成2000枚ごとにした。このようにすることにより、ユーザーにとってより画質、濃度を満足させた上で、トナーの節約を安定してできた。
【0041】
以上説明したように、本実施例によれば、ユーザーの画質要求を満足させた上で、感光ドラム上の静電潜像に付着する必要以上のトナーを節約して、トナーの消費量を最小限に制御することができ、ランニングコストを削減し、かつ環境対策性の高い画像形成装置が実現できた。
【0042】
実施例2
本発明の他の実施例について説明する。本実施例では、現像コントラスト制御をより正確に数値制御するために、パッチ(パッチパターン)の形成法を改良したことが大きな特徴である。本方式は、ベルト状感光体など比較的像担持体の1周分が長い場合に特に有効である。
【0043】
LED乃至レーザーパワーフル点灯のFFHで感光体にパッチを形成し、現像バイアスのDC成分を変化させるようにする。これは、LED光(もしくはレーザー光)によるビデオ信号では、特に10Hごとに制御する場合、感光体の感度やLEDのロット、光学系等により若干変化するため、パッチ形成時は比較的電位の安定するフル点灯電位にして、現像バイアスをたとえば20Vずつ変化させる方が、より現像コントラストの細かい制御を行う際には有利である。ただし、現像バイアスを変化させる場合は、制御信号に対して高圧の応答性が光(レーザー光)と比べて比較的遅いため、パッチの長さとしては幾分長くなるので、前述のように、ベルト状感光体を用いた画像形成装置に対して適用することが好ましい。
【0044】
本実施例の画像形成装置について図14により説明する。図14に示すように、本画像形成装置は、像担持体としてベルト状感光体、すなわち感光ベルト101を備え、この感光ベルト101はOPC感光体からなっており、図中矢印A方向に回転する。感光ベルト101は、一次帯電器102によりたとえば−600V(暗部電位)に一様帯電した後、画像信号に対応した画像露光103が施され、静電潜像が形成される。
【0045】
画像露光103は600dpiのLEDにより実行され、その波長は680nmである。LEDを制御する画像信号制御部については実施例1と同様にした。LEDにより発せられた光は結合レンズを経た後、感光ベルト101に照射され、その露光部の表面電位が画像信号レベルに応じて減衰して、静潜像が形成される。このとき感光ベルトの表面電位は、最大濃度部でたとえば−100Vとなる。露光装置としては、LEDのみでなく、半導体レーザー等も使用可能である。
【0046】
潜像は、現像器121により、負に帯電した黒トナーとフェライト等の磁性粒子からなる2成分現像剤を用いて現像され、トナー像として可視化される。現像器121では、現像スリーブ120に現像バイアスとして、200Hz、1500Vppの交流電圧に−500Vの直流電圧(Vdc)を重畳した電圧を印加し、潜像を反転現像する。
【0047】
感光ベルト101上に形成されたトナー像は、図示しないポスト帯電器によってDC電圧にAC電圧を重畳した電圧を印加して電荷量を最適に揃えた後、感光ベルト101に送られた記録紙等の転写材Pに転写帯電器150により転写される。ついで転写材Pは、分離除電器151による除電および感光ベルト101の曲率により、感光ベルト101から剥離される。そして定着器160に送られ、そこで定着された後、画像形成装置の機外に排出される。一方、感光ベルト101は、クリーニング装置170によって残留トナーが除去さ、前露光180が施されて電気的に初期化された後、つぎの画像形成プロセスに供される。
【0048】
本実施例における現像コントラスト制御について説明する。図14に示すように、感光ベルト101に対し現像器121の下流側に反射濃度センサー140を設け、実施例1と同様、この濃度センサー140により感光ベルト101上に形成されたパッチ(パッチパターン)の濃度を測定し、得られた濃度データの勾配に基づいて現像コントラストの制御を行う。
【0049】
実施例1と同様、形成するパッチは7段階の階調パターンであるが、本実施例では、上記したように、現像コントラスト制御をより正確に安定に数値制御するために、パッチの形成法を改良した。すなわち、LEDパワーフル点灯のFFHで感光ベルトにパッチの静電潜像を形成し、現像バイアスのDC成分を7段階に変化させて現像し、7段階のパターンを得た。
【0050】
これは、LED光(もしくはレーザー光)によるビデオ信号では、特に10Hごとに制御する場合、感光体の感度等により若干変化し、また電位センサー等を使わないと、現像コントラストの数値の把握がしづらいためである。そこでパッチ形成時は比較的電位の安定するフル点灯電位にして、現像バイアスをたとえば20Vずつ変化させる方が、電位センサーがない場合、より現像コントラストの数値制御管理を行う際に有利である。
【0051】
通常設定は、一次帯電器102による帯電で、感光ベルト101の電位は−600V、現像バイアスのDC成分が−500V、LEDによるフル点灯電位が−100Vと設定してある。これに対し、本実施例では、現像バイアスを20Vずつ変化させ、−500V、−480V、−440V、−420V、−400V、−380Vと7レベル変化させる。
【0052】
本実施例のときの感光ベルト上パッチの濃度変化を図15に示す。現像バイアスにより濃度変化させてパッチを形成した場合は、光量で濃度変化させてパッチを形成するのと比べて、現像バイアスの高圧出力応答が若干遅いため、先の図10のときよりも、パッチ全体の長さが長くなる。
【0053】
本実施例でも、現像コントラスト値を反射濃度がほぼ飽和するところに定めるため、濃度差が0.05以下となったところを現像コントラストとした(反射濃度は感光ベルトにパッチも何も形成しない感光ベルトのみの反射濃度を差し引いてある)。
【0054】
特に高湿環境では現像性が低いため、初期設定は−500Vの現像バイアスに対して、現像コントラストは400V、かぶり取りコントラスト(|一次帯電電位−現像バイアスDC成分|)を100Vに設定してある。これに対し、低湿環境であると現像性が高まり、上記条件で反射濃度の勾配をとったところ、現像バイアスが−400Vと−420Vのパッチ濃度の差が0.05以下の0.04となったため、−420Vを現像バイアスのDC成分値とし、さらにかぶり取りコントラストを100Vにするために、一次帯電電位を−600Vから−500Vにする。この際に暗部電位である一次帯電電位が変化すると、同じFFHの光を感光ベルト101に照射しても下がる電位が変化するため、さらにもう一度同様にパッチを形成して、現像コントラストの制御を行う。
【0055】
通常の画像形成装置では、本実施例のような現像コントラスト制御を行っていないため、現像コントラストとしては環境や耐久、機械本体の差まで見込んでかなり大きく現像コントラストを設定しなければならないが、本実施例の制御をすれば、反射濃度としては最大濃度が保証された上で、それ以上の無駄なトナーの付着を抑えることができる。
【0056】
現像コントラストの変更の際には、それに合わせてリーダーから読み込んだ画像信号に対して階調補正を新たに設定する。
【0057】
このように、本実施例によれば、現像コントラストをより正確に安定してまた数値として定量的に制御することができ、それにともない階調補正の精度も向上させることができ、したがって画質、階調性の安定性を向上させることができる。
【0058】
本実施例の制御を実施した場合(改良後)のトナーの消費量を、従来の場合(改良前)と比較して先の表2に示す。同様に、画像比率6%の標準チャートを10000枚出力した際の1枚あたりの消費トナー量である。
【0059】
表2に示されるように、本実施例の制御を行った場合は、この制御を実施しない従来の場合に比べてトナー消費量をおよそ20.6%抑制することができた。
【0060】
現像コントラスト制御を行うタイミングは、感光ベルトの電位、トナーの帯電状態等が朝方と夕方で異なることが多いので、画像形成装置の電源投入時および画像形成2000枚ごとにした。このようにすることにより、ユーザーにとってより画質、濃度を満足させた上で、トナーの節約を安定してできた。
【0061】
以上説明したように、本実施例によっても、ユーザーの画質要求を満足させた上で、感光ドラム上の静電潜像に付着する必要以上のトナーを節約して、トナーの消費量を最小限に制御することができ、ランニングコストを削減し、かつ環境対策性の高い画像形成装置が実現できた。
【0062】
実施例3
図16は、本発明の画像形成装置のさらに他の実施例を示す断面図である。本画像形成装置は、像担持体としてa−Siドラムを用いたデジタル複写機で、プロセススピードは560mm/秒の120枚/分である。
【0063】
a−Siドラムからなる感光ドラム201の表面を一次帯電器203により+500Vに一様帯電し、ついで波長680nmの半導体レーザーを用いて600dpiでPWMによる露光212を施して、感光ドラム201上に静電潜像を形成する。つぎに現像器202により潜像を正規現像し、トナー像として可視化する。
【0064】
現像器202の現像方式は、現像剤として負極性の磁性1成分トナーを用いたジャンピング現像であり、磁性トナーの粒径は6.0μmである。2成分現像では、キャリアの交換を10万枚ごとにサービスマンが行わなければならず、メンテナンスフリーでないため、リユースの利点があまり生かされないが、磁性1成分トナーを用いるジャンピング現像は、耐久性が無限で、メンテナンスフリーで済み、リユースの利点を最大限に享受することができる。現像スリーブ202aはSUS製で、32mmの外径を有している。現像スリーブ202aに印加した現像バイアスは、2000Hz、1500Vpp、デューティー50%の交流電圧に+200Vの直流電圧を重畳した電圧とした。S−Bギャップは250μm、S−Dギャップは250μmとした。
【0065】
その後、ポスト帯電器210で総電流−200μAを流してトナー像を帯電させた後、矢印方向に進む転写材Pに転写帯電器204により転写し、次いで転写材Pを定着器207に送ってトナー像を定着する。転写が終了した感光ドラム201は、表面の転写残りトナーをクリーニング装置206により回収して、つぎの画像形成に備えられる。
【0066】
クリーニング装置206で回収したトナーは、搬送パイプ208を通って現像器202のホッパー209Bに収容される。搬送パイプ208は、内部にスクリュー状の搬送部材が設置してあり、搬送部材が回転することにより回収トナーを現像ホッパー209Bに運ぶ。現像器202には別に新トナーを入れたホッパー209Aが設置されている。
【0067】
ホッパー209A内の新トナー、ホッパー209B内の回収トナーは、それぞれホッパー下部のマグローラ209A1、209B1を回転することにより現像器202内に供給され、現像器202内で新トナーと回収トナーとが混合される。通常、新トナー80%に対して回収トナー20%を混合する。これら両トナーを混合は、ホッパー209Aおよび209B下部で行う方式にしてもよい。混合されたトナーは、再び現像スリーブ202aに送られ、感光ドラム201の現像に使用される。
【0068】
リユース系の画像形成装置の現像器202には、転写されずに残留した感光ドラム201からの回収トナーが入っており、この回収トナーは、新トナーと比較して劣化によりトナーの帯電電荷量が極めて小さく、現像性が落ちるため、新トナーのみを用いる非リユース系における現像器と比べて、図17に示すように、濃度変動が大きい。リユース系の現像特性では、V−Dカーブの変動が同一環境であっても大きく、新トナーのみの場合と比較して濃度が低く、現像コントラストがさらに必要で、その差が大きいのが分かる。本実施例は、これに対処すべく実施したものである。これは、新トナーのみの場合は、反射濃度にあまり反映しない余分のトナーを消費する設定となっていることを意味する。
【0069】
したがって、このようなリユース系の画像形成装置の現像器に、本発明の現像コントラスト制御を適用することは一層効果的である。そこで本実施例においても、現像コントローラ制御を実施した。本実施例で実施した現像コントローラ制御方法および制御タイミングは実施例1と同様とした。
【0070】
本実施例の制御を実施した場合(改良後)のトナーの消費量を、従来の場合(改良前)と比較して先の表2に示す。画像比率6%の標準チャートを1000枚出力した際の1枚あたりの消費トナー量である。
【0071】
表2に示されるように、本実施例の制御を行った場合は、この制御を実施しない従来の場合に比べてトナー消費量をおよそ32.8%抑制することができ、また変動しやすい濃度変動も抑えることができた。
【0072】
以上説明したように、本実施例によれば、リユース系の画像形成装置において、ユーザーの画質要求を満足させた上で、感光ドラム上の静電潜像に付着する必要以上のトナーを節約して、トナーの消費量を最小限に制御することができ、ランニングコストを削減し、かつ環境対策性の高い画像形成装置が実現できた。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば感光体上に階調パターンを形成する手段と、階調パターンを現像剤にて現像する現像手段と、階調画像の反射濃度を検出する検出手段と、検出手段の出力に応じて最大画像濃度を与える現像コントラストを設定する設定手段と、を有する画像形成装置において、所定の濃度間隔となるように高濃度域を含む複数の階調画像を形成し、該複数の階調画像の反射濃度を検出し、連続する階調画像間での検出濃度差が0.05以下へと移行する階調画像が最大画像濃度となるように現像コントラストを設定する構成とされるので、例えば、図5の濃度勾配が非線形的に寝てしまうところの使用は避けて線形的なところのみを使用することで、濃度勾配が線形的な領域を使用して階調性を維持しつつ、人間にとってはもはや階調を認識するのが不可能な非線形領域でのトナー消費量が無駄になるのを防止できる。つまり、本願発明によれば、ユーザーの画質要求を満足させた上で、感光ドラム上の潜像に付着する必要以上のトナーを節約することができ、トナーの消費量を最小限に抑制して、ランニングコストを削減し、環境対策性に高い画像形成装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施例を示す断面図である。
【図2】図1の画像形成装置に設置された現像器を示す断面図である。
【図3】図2の現像器の現像スリーブおよびマグネットを示す説明図である。
【図4】図1の実施例で用いた現像バイアスを示す波形図である。
【図5】現像コントラストと画像反射濃度の関係を示すグラフである。
【図6】現像コントラストと画像透過濃度の関係を示すグラフである。
【図7】現像コントラストと紙の濃度を差し引いた画像反射濃度および画像透過濃度の関係を示すグラフである。
【図8】紙上のトナー像を構成するトナーに無駄があるのを示す説明図である。
【図9】図1の実施例で感光ドラム上にパッチパターンを形成して、反射濃度センサーで濃度を測定することを示す説明図である。
【図10】図1の実施例で形成したパッチパターンを示す説明図である。
【図11】図1の実施例での感光ドラム上に形成したパッチのビデオ信号と測定した濃度を示す説明図である。
【図12】図11のパッチのビデオ信号と隣り合う2つのパッチの濃度差の関係を示す説明図である。
【図13】図1の実施例での画像処理部を示すブロック図である。
【図14】本発明の画像形成装置の他の実施例を示す断面図である。
【図15】図14の実施例で形成したパッチパターンを示す説明図である。
【図16】本発明の画像形成装置のさらに他の実施例を示す断面図である。
【図17】図16のリユース系の画像形成装置での現像特性を示す説明図である。
【符号の説明】
1 感光ドラム
3 一次帯電器
2 現像器
12 画像露光
20 現像スリーブ
40 反射濃度センサー
302 パッチ

Claims (1)

  1. 感光体上に階調パターンを形成する手段と、階調パターンを現像剤にて現像する現像手段と、階調画像の反射濃度を検出する検出手段と、前記検出手段の出力に応じて最大画像濃度を与える現像コントラストを設定する設定手段と、を有する画像形成装置において、
    所定の濃度間隔となるように高濃度域を含む複数の階調画像を形成し、該複数の階調画像の反射濃度を検出し、連続する階調画像間での検出濃度差が0.05以下へと移行する階調画像が最大画像濃度となるように現像コントラストを設定することを特徴とする画像形成装置。
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