明 細 書
技術分野
本発明は、 クランプ装置に関し、 特に、 ワークパレット又は金型を繰り返し使 用しても安定したクランプ状態を維持できるものに関する。 背景技術
従来、 ワークパレット又は金型を工作機械のテーブル等に設けられたベース体 に固定するために、 種々の形式のクランプ装置が用いられている。 例えば、 本願 出願人は、 次のようなクランプ装置を実用化しつつある。
このクランプ装置においては、 クランプ本体の上半部に筒状の保持部が形成さ れ、 この保持部には複数の鋼球が径方向へ移動可能に保持されている。 保持部に はクランプ力とクランプ解除力を出力する出力部材としてのピストン部材が移動 可能に挿入されている。 このピストン部材は、 例えば皿パネにより下方へ付勢さ れており、 クランプ解除時には油圧シリンダにより上方へ駆動される。 ピストン 部材の上端側部分には、 複数の鋼球を外側へ押圧する為の複数の傾斜部が設けら れ、 これら傾斜部の下側には複数の鋼球が内側へ退避可能な複数の凹部も夫々設 けられている。 一方、 ワークパレットには環状のブッシュが固定され、 このブッ シュの上端側部分には、 複数の鋼球が係合可能な環状テーパー面が形成されてい る。
クランプ解除状態では、 ピストン部材は、 皿パネの弾性付勢力に抗して油圧シ リンダにより上方へ押し上げられている。 この状態から、 油圧シリンダの油圧を 排出すると、 ピストン部材は皿パネの弾性付勢力により下方へ駆動され、 それに 伴い、 複数の鋼球が複数の傾斜部により径方向外側へ押し出される。 そして、 鋼 球の外側部分が環状テ一パ一面に係合し、 ブッシュにクランプ力が伝達されてヮ —クパレツトがクランプされる。
クランプ状態から油圧シリンダに油圧を供給すると、 油圧シリンダによりビス トン部材が上方へ駆動され、 それに伴い、 鋼球が夫々内側へ退避して鋼球の内側 部分が凹部に収容されるため、 鋼球と環状テーパー面との係合が解除されて、 ヮ ークパレツ卜の固定が解除される。
次に、 本発明が解決しょうとする課題について説明する。
前記のクランプ装置においては、 複数の鋼球がブッシュの環状テーパー面に係 合してワークパレツトをクランプするが、 各鋼球と環状テーパー面との接触面積 が小さく、 クランプ力は環状テーパー面に局所的に作用することになる。 従って 、 特に、 クランプ力が大きい場合に、 環状テーパー面に鋼球の接触跡が付き、 ヮ ークパレツトを繰り返し使用するにつれ環状テーパー面にクランプ力が不均一に 作用するようになり、 安定したクランプ状態を維持することが困難になる虞があ る。
環状テーパー面に局所的に作用する力を小さくして、 鋼球の接触跡が付かない ようにすることは可能であるが、 鋼球と環状テーパー面との接触面積を大きくす るために、 鋼球のサイズを大きくしたり、 鋼球の数を増やしたりする必要がある ため、 クランプ装置が大型化する等、 製作コスト的に不利である。
本発明の目的は、 ワークパレツト又は金型を繰り返し使用しても安定したクラ ンプ状態を維持できるクランプ装置を提供すること、 小型で且つ大きなクランプ 力でワークパレツト又は金型をクランプできるようなクランプ装置を提供するこ とである。 その他の本発明の目的は、 後述の本発明の効果の記載及び実施形態の 記載からも判るであろう。 発明の開示
本発明のクランプ装置は、 機械加工に供するワークを取付ける為のワークパレ ット又は金型などの固定対象物をベース体に固定するクランプ装置において、 環 状に配置された複数の部分球面状の係合凹部を備え且つ固定対象物に固定された 環状のブッシュと、 前記ブッシュに挿通可能な筒状の保持部を有する保持体と、 前記複数の係合凹部に対向させて保持部に径方向へ移動可能に保持された複数の
鋼球と、 保持部の軸孔に移動可能に挿入されたクランプ出力部材とを有し、 複数 の係合凹部に複数の鋼球を夫々係合可能にしたクランプ機構と、 前記クランプ出 力部材をその軸心方向へ移動させて複数の鋼球を複数の係合凹部に夫々係合させ るクランプ作動手段と、 前記クランプ出力部材をその軸心方向へ移動させて複数 の鋼球を複数の係合凹部から離脱可能にするクランプ解除手段とを備えたことを 特徴とするものである。
このクランプ装置においては、 固定対象物としてのワークパレツ卜には機械加 ェに供するワークが取付けられ、 その後、 ワークパレットは工作機械に搬送され て、 工作機械のテーブルに固定されたベース体もしくはテーブル自体としてのベ ース体にセットされる。 この状態から、 クランプ作動手段によりクランプ出力部 材を軸心方向へ移動させ、 複数の鋼球を保持部において径方向に移動させて、 複 数の鋼球を複数の係合凹部に夫々係合させると、 ワークパレツトはべ一ス体に固 定される。 このとき、 複数の鋼球が複数の係合凹部に夫々係合してクランプ力を ブッシュに伝達するため、 ブッシュと鋼球の接触面積が比較的大きくなり、 ブッ シュに鋼球の接触跡が付くことがないし、 安定したクランプ状態を維持できる。 前記のクランプ状態から、 クランプ解除手段によりクランプ出力部材を軸心方 向で且つクランプ状態移行時とは逆方向へ移動させ、 複数の鋼球を保持部におい てクランプ状態移行時とは逆方向へ移動させて、 複数の鋼球を複数の係合凹部か ら離脱させると、 ワークパレットの固定が解除される。 金型をこのクランプ装置 により固定する場合の作用は、 ワークパレットを固定する場合と同様であるので 、 その説明を省略する。
本発明によれば、 複数の鋼球を複数の係合凹部に夫々係合させてワークパレツ ト又は金型からなる固定対象物をクランプすることができるので、 ブッシュと鋼 球の接触面積が比較的大きくなつてブッシュに鋼球の接触跡が付くことがないし 、 固定対象物を繰り返し使用しても鋼球とブッシュの係合位置が変わらず、 常に クランプ力がブッシュに均等に作用して安定したクランプ状態を維持できる。 ま た、 大きなクランプ力が必要な場合でも、 鋼球とブッシュの接触面積が比較的大 きいことから、 接触面積を増やすために鋼球のサイズを大きくしたり鋼球の数を
増やしたりする必要がなく、 クランプ装置を小型化することが可能になる。 次に、 本発明の構成に関する好ましい形態について説明する。
a ) 前記クランプ作動手段は、 クランプ出力部材に形成され軸心方向に対して 所定角度傾斜した複数の傾斜部であって、 複数の鋼球を径方向外側へ夫々移動さ せる複数の傾斜部を有する。 クランプ状態に移行する際に、 クランプ出力部材が 軸心方向へ移動すると、 クランプ出力部材に形成された複数の傾斜部が複数の鋼 球に夫々当接し、 クランプ出力部材の移動に伴って複数の傾斜部も軸心方向へ移 動して複数の鋼球を夫々径方向外側へ移動させる。 径方向外側へ移動した複数の 鋼球は、 ブッシュに形成された複数の係合凹部に夫々係合し、 固定対象物はべ一 ス体に固定される。
従って、 クランプ状態に移行する際に、 クランプ出力部材を軸心方向へ移動さ せて、 クランプ出力部材に形成された複数の傾斜部を複数の鋼球に夫々当接させ 、 複数の傾斜部により複数の鋼球を夫々径方向外側へ移動させて、 複数の鋼球を 複数の係合凹部に夫々係合させることができる。
b ) 前記クランプ解除手段は、 前記傾斜部に夫々隣接させてクランプ出力部材 に形成された複数の半球面状の凹部であって、 複数の鋼球を径方向内側へ夫々退 避可能にする複数の凹部を有する。 クランプ状態からクランプ解除状態に移行す る際に、 クランプ出力部材がクランプ状態移行時とは逆方向に軸心方向へ移動す ると、 クランプ出力部材の移動に伴って傾斜部も同方向へ移動するため、 傾斜部 により径方向外側へ押圧されていた複数の鋼球は、 内側へ移動して傾斜部に隣接 した複数の凹部に夫々退避する。 従って、 鋼球が係合凹部から離脱して固定対象 物の固定が解除される。
従って、 クランプ状態からクランプ解除状態に移行する際に、. クランプ出力部 材の移動に伴い傾斜部も同方向へ移動させることで、 複数の鋼球を内側へ移動さ せて傾斜部に隣接した複数の凹部に夫々退避させ、 複数の鋼球を複数の係合凹部 から夫々離脱させて固定対象物の固定が解除することができる。
c ) 前記クランプ作動手段は、 クランプ出力部材に形成された環状テーパー面 であって、 複数の鋼球を径方向外側へ移動させる環状テーパー面を有する。
クランプ状態に移行する際に、 クランプ出力部材が軸心方向へ移動すると、 ク ランプ出力部材に形成された環状テーパー面が複数の鋼球に夫々当接し、 クラン プ出力部材の移動に伴って環状テーパー面も軸心方向へ移動して複数の鋼球を夫 々径方向外側へ移動させる。 径方向外側へ移動した複数の鋼球は、 ブッシュに形 成された複数の係合凹部に夫々係合し、 固定対象物はベース体に固定される。 従って、 クランプ状態に移行する際に、 クランプ出力部材を軸心方向へ移動さ せて、 クランプ出力部材に形成された環状テ一パ面を複数の鋼球に夫々当接させ 、 この環状テーパ面により複数の鋼球を夫々径方向外側へ移動させて、 複数の鋼 球を複数の係合凹部に夫々係合させることができる。
d ) 前記クランプ解除手段は、 前記環状テーパー面に隣接させてクランプ出力 部材に形成された環状リセスであって、 複数の鋼球を径方向内側へ退避可能にす る環状リセスを有する。 クランプ状態からクランプ解除状態に移行する際に、 ク ランプ出力部材がクランプ状態移行時とは逆方向に軸心方向へ移動すると、 クラ ンプ出力部材の移動に伴って環状テーパー面も同方向へ移動するため、 環状テー パー面により径方向外側へ押圧されていた複数の鋼球は内側へ移動して環状テー パー面に隣接した環状リセスに退避する。 従って、 鋼球が係合凹部から離脱して 固定対象物の固定が解除される。
従って、 クランプ状態からクランプ解除状態に移行する際に、 クランプ出力部 材の移動に伴い環状テーパー面も同方向へ移動させることで、 複数の鋼球を内側 へ移動させて環状テーパ面に隣接した環状リセスに夫々退避させ、 複数の鋼球を 複数の係合凹部から夫々離脱させて固定対象物の固定を解除することができる。 e ) 前記クランプ作動手段は、 前記クランプ出力部材を軸心方向へ付勢する皿 パネを有する。 従って、 クランプ状態に移行する際に、 皿バネによりクランプ出 力部材を軸心方向へ駆動して、 複数の鋼球が径方向へ移動して複数の係合凹部に 夫々係合させることができる。
f ) 前記クランプ解除手段は、 前記皿パネの弾性付勢力に抗して前記クランプ 出力部材を軸心方向へ駆動可能な油圧シリンダを有する。 従って、 クランプ状態 からクランプ解除状態に移行する際には、 油圧シリンダにより、 皿パネの弾性付
勢力に抗してクランプ出力部材をクランプ状態移行時とは逆方向へ軸心方向へ駆 動して、 複数の鋼球を複数の係合凹部から夫々離脱させることができる。 図面の簡単な説明
図 1は本発明の実施の形態に係るワークパレット、 ベース体及びクランプ装置 の全体構成斜視図であり、 図 2はクランプ装置の平面図であり、 図 3はクランプ 装置 (クランプ解除状態) の縦断面図であり、 図 4はクランプ装置 (クランプ状 態) の縦断面図であり、 図 5は図 3の要部拡大図であり、 図 6は図 4の要部拡大 図であり、 図 7はブッシュの平面図であり、 図 8はブッシュの縦断面図であり、 図 9はピストン部材の斜視図であり、 図 1 0はテーパーコレットの斜視図であり 、 図 1 1はテーパーコレットの縦断面図であり、 図 1 2は変更形態のピストン部 材の斜視図である。 発明を実施するための最良の形態
次に、 本発明を実施するための最良の形態について説明する。
この実施の形態は、 機械加工に供するワークを着脱可能に取り付ける為のヮ一 クパレツトを、 工作機械のテーブルに設けられたベース体に固定するクランプ装 置に本発明を適用した場合の一例である。
図 1に示すように、 固定対象物であるワークパレット 1は、 ベース体 2に 4組 のクランプ装置 3により固定される。 これら 4組のクランプ装置 3は、 ワークパ レツ卜 1をベース体 2に対して水平方向と鉛直方向に位置決めして、 ワークパレ ット 1をべ一ス体 2に固定する。
ワークパレツト 1は平面視略正方形の厚板状のものであり、 ベース体 2も同様 に正方形の厚板状のものである。 尚、 ベース体 2は工作機械のテーブル自体で構 成される場合もある。 4組のクランプ装置 3は、 ワークパレット 1とベース体 2 における、 正方形の 4隅付近に夫々配置されている。
次に、 クランプ装置 3について説明する。 伹し、 4組のクランプ装置 3は夫々 同様の構造を有するため、 1組のクランプ装置 3につレ て以下説明する。
図 2〜図 4に示すように、 クランプ装置 3は、 ワークパレット 1に固定された 環状のブッシュ 1 0と、 このブッシュ 1 0をベース体 2側へ固定するクランプ機 構 1 1と、 クランプ機構 1 1をクランプ側へ作動させるクランプ作動手段 1 2と 、 クランプ機構 1 1をクランプ解除側へ作動させるクランプ解除手段 1 3と、 ヮ ークパレツト 1をベース体 2に対して水平方向と鉛直方向に位置決め可能な位置 決め機構 1 4と、 除塵用の加圧エアを供給するエア供給機構 1 5などを備えてい る。
図 2〜図 8に示すように、 ブッシュ 1 0はワークパレツト 1の下部に形成され た収容穴 1 aに内嵌状に収容され、 高さ調整用のシムプレート 2 0を介在させて 高さ調整した状態で、 例えば 4本のボルト 1 bでワークパレット 1に固定されて いる。 尚、 ワークパレット 1には、 収容穴 1 aの上端中央部に連なる凹穴 1 cも 形成されている。
図 7、 図 8に示すように、 ブッシュ 1 0の上端部には、 環状に配置された例え ば 6つの部分球面状の係合凹部 2 1が形成されている。 後述するように、 これら 係合凹部 2 1にクランプ機構 1 1の複数の鋼球 2 4が夫々係合して、 ブッシュ 1 0はベース体 2側へ引き付けられて固定される。
図 2〜図 6に示すように、 クランプ機構 1 1は、 筒状の保持部 2 3 bを有する 保持体 2 3と、 6つの係合凹部 2 1に対向させて保持部 2 3 bに径方向に移動可 能に保持された 6つの鋼球 2 4と、 保持部 2 3 bの軸孔 2 8に移動可能に挿入さ れたピストン部材 2 5 (クランプ出力部材) とを有し、 クランプ機構 1 1は、 6 つの鋼球 2 4を 6つの係合凹部 2 1に夫々係合させることが可能に構成されてい る。
保持体 2 3は、 上下方向中段の大径部 2 3 aと、 この大径部 2 3 aから上方へ 延びブッシュ 1 0に挿通可能な保持部 2 3 bと、 大径部 2 3 aの下端から突出し た環状部 2 3 cを有する。 保持体 2 3は、 環状部 2 3 cがベース体 2の収容穴 2 aに内嵌された状態で、 大径部 2 3 aを貫通する 6本のボルト 2 6でベース体 2 に固定されている。
大径部 2 3 aの上面には、 ブッシュ 1 0を受け止めてワークパレツト 1の鉛直
方向位置を決める環状の受止面 2 7が形成されている。
保持部 2 3には、 ビストン部材 2 5のロッド部 2 5 bが貫通する軸孔 2 8が形 成されている。 保持部 2 3 bの上半部には、 保持部 2 3 bを径方向に貫通する 6 つの貫通孔 2 9が設けられている。 保持部 2 3 bの下半部の外周には、 上方ほど 小径化する環状テーパー面 3 0が形成されている。 環状部 2 3 cとベース体 2に はシリンダ穴 3 1も形成されている。
6つの鋼球 2 4は、 保持部 2 3 bの 6つの貫通孔 2 9において、 径方向に移動 可能に保持されている。 後述するように、 クランプ状態へ移行する際には、 これ ら 6つの鋼球 2 4は径方向外側へ移動して係合凹部 2 1に係合し、 クランプ解除 状態に移行する際には、 6つの鋼球 2 4は径方向内側へ移動してピストン部材 2 5の凹部 3 4に夫々退避する。
図 3〜図 6 , 図 9に示すように、 ピストン部材 2 5は、 ピストン部 2 5 aと口 ッド部 2 5 bとを一体形成したものである。 ピストン部 2 5 aはシリンダ穴 3 1 に摺動可能に内嵌装着されている。 ロッド部 2 5 bは、 軸孔 2 8にその軸心 3 2 方向へ移動可能に挿通され、 ロッド部 2 5 bと軸孔 2 8との間には、 保持体 2 3 内部に切削切粉等の異物が侵入するのを防止するダストシール 3 3が装着されて いる。 ロッド部 2 5 bの上端側部分には、 下方程軸心 3 2側へ移行するように軸 心 3 2に対して約 3 0 ° 傾斜した 6つの傾斜部 3 3が周方向に形成され、 6つの 傾斜部 3 3の下側には、 これら傾斜部 3 3に夫々隣接する半球面上の 6つの凹部 3 4も形成されている。
クランプ作動手段 1 2は、 ビストン部材 2 5を下方へ移動させて 6つの鋼球 2 4を 6つの係合凹部 2 1に夫々係合させるものであり、 このクランプ作動手段 1 2は、 ピストン部材 2 5を下方へ付勢する複数の皿パネ 4 0と、 ピストン部材 2 5に形成され 6つの鋼球 2 4を径方向外側へ移動させる 6つの傾斜部 3 3を備え ている。
複数の皿パネ 4 0は、 環状部 2 3 cとピストン部 2 5 aの内部に圧縮状態で配 設され、 一部の皿パネ 4 0は、 大径部 2 3 aに形成された環状のパネ収容部 4 1 に収容され、 残りの皿パネ 4 0は、 ピストン部 2 5 aに形成された環状のバネ収
容部 4 2に収容されている。 これら皿バネ 4 0は、 ピストン部材 2 5を下方へ強 力に付勢するクランプ力を発生させる。
クランプ状態へ移行する際には、 皿パネ 4 0によりピストン部材 2 5が下方へ 駆動され、 このピストン部材 2 5の下方への移動に伴って、 6つの傾斜部 3 3が 6つの鋼球 2 4に夫々当接して 6つの鋼球 2 4を径方向外側へ押圧するため、 図 4、 図 6に示すように、 これら鋼球 2 4は径方向外側へ移動して 6つの係合凹部 2 1に夫々係合する。
クランプ解除手段 1 3は、 ピストン部材 2 5を上方へ移動させて 6つの鋼球を 6つの係合凹部 2 1から夫々離脱可能にするものであり、 このクランプ解除手段 1 3は、 皿バネ 4 0の弾性付勢力に抗してピストン部材 2 5を上方へ駆動可能な 油圧シリンダ 4 5と、 6つの鋼球 2 4を径方向内側へ夫々退避可能にする 6つの 凹部 3 4を備えている。
油圧シリンダ 4 5は、 シリンダ穴 3 1と、 ピストン部 2 5 aと、 ピストン部材 2 5を上方へ駆動するクランプ解除力を発生させる油室 4 6などを有する。 前述 のように、 ピストン部 2 5 aはシリンダ穴 3 1に摺動可能に内嵌装着され、 シリ ンダ穴 3 1とピストン部 2 5 aの間はシール部材 4 7で封止されている。 ベース 体 2の内部において、 ピストン部 2 5 aの下側には油室 4 6が設けられ、 この油 室 4 6には、 ベース体 2に形成され外部の油圧供給装置に接続された油路 4 8か ら油圧を給排可能である。
クランプ状態からクランプ解除状態へ移行する際には、 油室 4 6に油圧が供給 されて、 油室 4 6で発生したクランプ解除力により、 皿バネ 4 0の弹性付勢力に 抗してピストン部材 2 5が上方へ駆動される。 このピストン部材 2 5の上方への 移動に伴って、 6つの傾斜部 3 3も上方へ移動するが、 6つの傾斜部 3 3が上方 へ移動するにつれて 6つの鋼球 2 4が内側へ移動するため、 図 3、 図 5に示すよ うに、 これら鋼球 2 4は 6つの凹部 3 4に夫々退避し、 鋼球 2 4は係合凹部 2 1 から離脱する。
図 5、 図 6に示すように、 位置決め機構 1 4は、 ワークパレット 1の鉛直方向 位置を決める為の受止面 2 7と、 ワークパレツト 1の水平方向位置を決める為の
環状テーパー面 3 0と、 ブッシュ 1 0に装着されたテーパーコレツ卜 5 0などを 備えている。 ブッシュ 1 0の下端には、 受止面 2 7に当接する当接面 5 1が形成 され、 クランプ状態において、 受止面 2 7に当接面 5 1が当接することで、 ヮー クパレツト 1の鉛直方向位置が高精度に位置決めされる。
ブッシュ 1 0の内周側部分には、 径拡大方向に弾性変形可能なテ一バーコレツ ト 5 0が上下摺動可能に装着されている。 テーパーコレツト 5 0の外周面は円筒 面に形成されており、 テーパーコレツト 5 0の内周面は環状テーパー面 3 0に密 着係合可能な下方程大径のテーパー面に形成されている。 図 1 0、 図 1 1に示す ように、 テーパーコレット 5 0の周方向 4等分位置には、 テーパーコレット 5 0 の弹性変形を促進するスリット 5 0 a, 5 O bが形成されている。
ブッシュ 1 0の内周側部分において、 テーパーコレツト 5 0の上側には環状溝 5 2が形成され、 この環状溝 5 2には、 テーパーコレツト 5 0を下方に弾性付勢 する皿バネ 5 3が設けられている。 テーパーコレツト 5 0の下側には、 テーパー コレット 5 0を抜け止めする止め輪 5 4が装着されている。
テーパーコレツト 5 0が環状テーパー面 3 0に外嵌した状態で、 6つの鋼球 2 4が 6つの係合凹部 2 1に夫々係合して、 ブッシュ 1 0がベース体 2側へ引きつ けられると、 テーパーコレツト 5 0は皿バネ 5 3により下方へ付勢されているた め、 テーパーコレツト 5 0が環状テーパー面 3 0に密着係合してワークパレツト 1は水平方向に高精度に位置決めされる。 このとき、 同時に受止面 2 7にブッシ ュの当接面 5 1が当接し、 ワークパレット 1は鉛直方向にも高精度に位置決めさ れる。
図 3、 図 5に示すように、 エア供給機構 1 5は、 外部の加圧エア供給装置 (図 示略) に接続されるベース体 2内のエア通路 6 0と、 保持体 2 3内のエア通路 6 1と、 ロッド部 2 5 b内のエア通路 6 2, 6 3と、 環状溝 6 4 , 6 5と、 ブロー 孔 6 6 , 6 7などを有する。 ブロー孔 6 6 , 6 7は夫々放射状に例えば 4本形成 されている。 エア通路 6 3の上端はプラグ部材 6 8で閉塞されている。 このエア 供給機構 1 5においては、 加圧エア供給装置から供給された加圧エアは、 エア通 路 6 2、 環状溝 6 4を介してブロー孔 6 6から噴出して受止面 2 7と当接面 5 1
の付近をエアブローすると共に、 エア通路 6 2 , 6 3、 環状溝 6 5を介してプロ —孔 6 7から噴出して環状テーパー面 3 0とテーパーコレツト 5 0の付近をエア ブローする。
次に、 クランプ装置 3の作用について説明する。
図 3、 図 5に示すように、 ワークパレット 1をベース体 2に搬送してセットす る前に、 油室 4 6に油圧を供給してクランプ解除状態に保持しておく。 このとき 、 油圧シリンダ 4 5で発生したクランプ解除力が皿パネ 4 0のクランプ力に抗し てピストン部材 2 5を押し上げており、 ロッド部 2 5 bの上端が凹穴 1 cの上端 に当接している。 ここで、 6つの鋼球 2 4は径方向内側へ移動して 6つの凹部 3 4に夫々退避した状態である。
次に、 前記の状態からワークパレット 1をベース体 2にセットした後、 図 4、 図 6に示すように、 油室 4 6の油圧を排出すると、 皿バネ 4 0によるクランプ力 がピストン部材 2 5に作用してピストン部材 2 5を押し下げる。 このとき、 ビス トン部材 2 5に形成された 6つの傾斜部 3 3も下降して 6つの鋼球 2 4を夫々径 方向外側へ押し出すため、 6つの鋼球 2 4は外側へ移動して 6つの係合凹部 2 1 と夫々係合する。
このとき、 鋼球 2 4を介してブッシュ 1 0にクランプ力が伝達されて、 ブッシ ュ 1 0はベース体 2側へ引きつけられる。 同時に、 保持部 2 3 bの環状テーパー 面 3 0にテーパーコレツト 5 0が密着係合してワークパレツト 1は水平方向に位 置決めされ、 受止面 2 7にブッシュ 1 0の当接面 5 1が当接してワークパレット 1は鉛直方向に位置決めされる。 従って、 ワークパレット 1は、 水平方向と鉛直 方向に夫々高精度に位置決めされた状態でベース体 2に固定される。
次に、 このクランプ状態から油室 4 6に油圧を供給すると、 油室 4 6で発生し たクランプ解除力により皿パネ 4 0の弾性付勢力に抗してピストン部材 2 5は上 方へ駆動される。 このとき、 傾斜部 3 3も上昇して 6つの鋼球 2 4が径方向内側 へ移動するため、 6つの鋼球 2 4は 6つの係合凹部 2 1から夫々離脱し、 夫々凹 部 3 4に退避して、 ワークパレツト 1の固定が解除される。
以上説明したクランプ装置 3によれば次のような効果が得られる。
1 ) クランプ状態では、 6つの鋼球 2 4を 6つの係合凹部 2 1に夫々係合させ てワークパレツ卜 1をクランプするので、 ブッシュ 1 0と鋼球 2 4の接触面積が 比較的大きくなつてブッシュ 1 0に鋼球 2 4の接触跡が付くことがないし、 ヮー クパレット 1を繰り返し使用しても鋼球 2 4とブッシュ 1 0の係合位置が変わら ないため、 常にクランプ力がブッシュ 1 0に均等に作用して安定したクランプ状 態を維持できる。 また、 大きなクランプ力が必要な場合でも、 鋼球 2 4とブッシ ュ 1 0との接触面積が比較的大きいことから、 接触面積を増やすために鋼球 2 4 のサイズを大きくしたり鋼球の数を増やしたりする必要がなく、 クランプ装置 3 を小型化することが可能になる。
2 ) 保持部 2 3 bの環状テーパー面 3 0にテーパーコレット 5 0を密着係合さ せると共に、 受止面 2 7にブッシュ 1 0の当接面 5 1を当接させることができる ので、 ワークパレツト 1をベース体 2に対して水平方向と鉛直方向に高精度に位 置決めすることができる。 さらに、 テーパーコレット 5 0には、 弾性変形を促進 するスリット 5 0 a, 5 0 bが形成されているので、 クランプ状態でテーパーコ レット 5 0を環状テーパー面 3 0に確実に密着させることができ、 ワークパレツ ト 1を水平方向により精度よく位置決めすることができる。 次に、 前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。 尚、 前 記実施形態と同様のものについては同じ符号を付し、 適宜その説明を省略する。
A〕 図 1 2に示すように、 クランプ作動手段 1 2 Aは、 ピストン部材 2 5 Aに 形成された環状テーパー面 3 3 Aであって、 複数の鋼球 2 4を径方向外側へ移動 させる環状テーパー面 3 3 Aを有する。 一方、 クランプ解除手段 1 3 Aは、 環状 テー ^—面 3 3 Αの下側に隣接させてピストン部材 2 5 Aに形成された環状リセ ス 3 4 Aであって、 複数の鋼球 2 5を径方向内側へ退避可能にする環状リセス 3 4 Aを有する。 このクランプ装置の作用 ·効果は前記実施形態とほぼ同様である ため、 その説明を省略する。
B ) 位置決め機構 1 4は省略することができる。 例えば、 ワークパレツト 1と ベース体 2との間に、 クランプ装置 3とは別の種々の構造の位置決め機構を設け
て、 ワークパレツト 1をベース体 2に対して位置決めするように構成できる。
C ] 鋼球 2 4の数は 6つに限定されるものではなく、 クランプ装置 3のサイズ 、 クランプ力の大きさ等に応じて、 種々の選択が可能である。
D] 固定対象物として金型を固定するクランプ装置に本発明を適用することも できる。 この場合の作用 ·効果は前記実施形態と同様であるので、 その説明を省 略する。
本発明は以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、 当業者であれば 、 本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、 前記実施形態に種々の変更を付加して実施 することができ、 本発明はそれらの変更形態も包含するものであ。 産業上の利用可能性
本発明のクランプ装置は、 機械加工に供するワークを取付ける為のワークパレ ットを固定するクランプ装置、 プレス加工用金型を固定するクランプ装置、 射出 成形機用金型を固定するクランプ装置、 等に適用可能なものである。