JPWO2020137577A1 - 光学材料用樹脂組成物、光学フィルム及び表示装置 - Google Patents

光学材料用樹脂組成物、光学フィルム及び表示装置 Download PDF

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Abstract

高い透明性と負の位相差の発現性と保存安定性を有する光学材料用樹脂組成物を提供する。具体的には、(メタ)アクリル樹脂(A)と、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)を含む光学材料用樹脂組成物。

Description

本発明は、光学材料用樹脂組成物、光学フィルム及び表示装置に関する。
近年のディスプレイ市場の拡大に伴い、より画像を鮮明に見たいという要求が高まっており、用いられる光学フィルムは、単に透明性を有しているだけでなく、高画質化のために位相差機能の付与が必要とされてきている。一般に、高分子フィルムの位相差は、延伸により複屈折を制御することで達成される。
光学フィルムに利用されるポリマー材料は、正又は負の複屈折を有する。ここで正又は負の複屈折とは、延伸により分子鎖軸方向の屈折率が大きくなるものを正の、分子鎖軸と直交する方向の屈折率が大きくなるものを負の複屈折を示す材料として定義されている。
近年、更なる高画質化を達成するために、負の位相差フィルムが求められている。負の複屈折を有するポリマー材料としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂やスチレン樹脂があり、なかでもアクリル樹脂フィルムは、その優れた透明性と意匠性から各種光学部材に適用されている。しかしながらPMMAに代表されるアクリルフィルムは延伸時の負の位相差発現性が不十分であった。
アクリル樹脂フィルムに負の位相差を付与する手段として添加剤の添加が挙げられる。
特許文献1−3では、アクリル樹脂にスチレン樹脂を加えた光学材料用樹脂組成物を開示する。通常、アクリル樹脂とスチレン樹脂は互いに相溶性が悪く透明にはならないが、特許文献1−3では、相溶性を高めるために、少なくとも一方の樹脂にカルボン酸等の特定の官能基を有するモノマーを共重合させることで相溶性を得ている。
特許文献1−3が開示する光学材料用樹脂組成物によっても、負の位相差を含む一定の光学特性が得られるものの、さらなる光学特性の向上が求められていた。
特開2008−268929号公報 特開2008−146003号公報 特開2008−225452号公報
本発明が解決しようとする課題は、高い透明性と負の位相差の発現性と保存安定性を有する光学材料用樹脂組成物を提供することである。
本発明が解決しようとする課題は、高い透明性と負の位相差と性能安定性を有する光学フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、(メタ)アクリル樹脂(A)と、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)を含む光学材料用樹脂組成物は高い透明性と負の位相差の発現性と保存安定性を有し、当該組成物から得られるフィルムは高い透明性と負の位相差を有し、光学特性の経時劣化を防ぐ性能安定性を有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、(メタ)アクリル樹脂(A)と、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)を含む光学材料用樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、前記光学材料用樹脂組成物を含む光学フィルムを提供するものである。
また、本発明は、前記光学フィルムを備える表示装置を提供するものである。
本発明により、高い透明性と負の位相差の発現性と保存安定性を有する光学材料用樹脂組成物が提供できる。
本発明により、高い透明性と負の位相差と性能安定性を有する光学フィルムが提供できる。
以下、本発明の一実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を損なわない範囲で適宜変更を加えて実施することができる。
[光学材料用樹脂組成物]
本発明の光学材料用樹脂組成物は、(メタ)アクリル樹脂(A)と、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)を含む。
(メタ)アクリル樹脂とスチレン樹脂は相溶性が悪く、これらの混合物は透明とはならないが、スチレン樹脂をスチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体とすることで、(メタ)アクリル酸のカルボキシル基によって、(メタ)アクリル樹脂とスチレン樹脂の極性の差が小さくなり、(メタ)アクリル樹脂とスチレン樹脂が相溶して、透明の組成物とすることができる。一方で、スチレン樹脂にカルボキシル基が導入されることで、時間の経過とともに当該カルボキシル基が前記(メタ)アクリル樹脂を劣化させてしまう問題が生じる。
本発明では、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)を用いることで、(メタ)アクリル樹脂(A)との相溶性を確保しつつも、高い負の位相差の発現性と高い保存安定性が得られる。
以下、本発明の光学材料用樹脂組成物が含む各成分について説明する。
((メタ)アクリル樹脂(A))
(メタ)アクリル樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸の誘導体を反応原料とする重合体であり、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸の誘導体に由来する単量体単位を有する重合体である。
尚、「反応原料」とは、(メタ)アクリル樹脂(A)を構成する原料という意味であり、(メタ)アクリル樹脂(A)を構成しない溶媒や触媒を含まない意味である。また、単量体単位とは、高分子化合物の構成単位を意味する。
本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の一方又は両方をいう。
前記(メタ)アクリル酸の誘導体は、好ましくは(メタ)アクリル酸エステルである。
(メタ)アクリル樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸エステルを反応原料とする重合体が好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸エステル単量体と必要に応じて他の重合性単量体を併用して重合させて得られる重合体が好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられ、具体例としては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、1種単独でもよく、2種以上を併用してもよい。
前記他の重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物類;アクリロニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸エステル単量体と他の単量体を重合させて(メタ)アクリル樹脂(A)とする場合、前記他の単量体としては、芳香族ビニル化合物類が耐熱性と経済性に優れる光学フィルムが得られることから好ましく、中でも、スチレン、α−メチルスチレンがより好ましい。ここで、芳香族ビニル化合物類の使用量は、(メタ)アクリル酸エステル100質量部に対し、1〜50質量部が好ましく、2〜30質量部がより好ましい。
尚、(メタ)アクリル樹脂(A)が(メタ)アクリル酸エステル単量体と他の重合性単量体を反応原料とする共重合体の場合、その重合形態はランダムでもブロックでもよい。
(メタ)アクリル樹脂(A)として、(メタ)アクリル酸エステル単量体を反応原料とする重合体を用いる場合、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体は1種単独でもよく、2種以上を併用してもよい。
また、(メタ)アクリル樹脂(A)として、(メタ)アクリル酸エステル単量体と他の重合性単量体を反応原料とする重合体を用いる場合、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体は1種単独でもよく、2種以上を併用してもよく、前記他の重合性単量体も1種単独でもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル樹脂(A)は、好ましくは(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸の誘導体に由来する単量体単位のみからなる重合体である。
(メタ)アクリル樹脂(A)の具体例としては、メタクリル酸メチル重合体、メタクリル酸エチル重合体、メタクリル酸プロピル重合体、メタクリル酸ブチル重合体、アクリル酸メチル重合体、アクリル酸エチル重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体等が挙げられ、これら中でも、(メタ)アクリル酸メチル重合体が光学特性に優れるフィルムが得られ、しかも、経済性にも優れていることから好ましい。
(メタ)アクリル樹脂(A)の重量平均分子量は、50,000〜200,000が、強度のある光学フィルム等の成形品が得られ、且つ、流動性が十分で、成形加工性にも優れる樹脂組成物が得られることから好ましく、70,000〜150,000がより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂(A)の数平均分子量は、15,000〜100,000が好ましく、20,000〜50,000がより好ましい。
本発明において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)はゲルパーミエージョンクロマトグラフィー(GPC)測定に基づきポリスチレン換算した値である。なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製高速GPC装置「HLC−8320GPC」
カラム:東ソー株式会社製「TSK GURDCOLUMN SuperHZ−L」+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZM−M」+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZM−M」+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZ−2000」+東ソー株式会社製「TSK gel SuperHZ−2000」
検出器:RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「EcoSEC Data Analysis バージョン1.07」
カラム温度:40℃
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.35mL/分
測定試料:試料7.5mgを10mlのテトラヒドロフランに溶解し、得られた溶液をマイクロフィルターでろ過したものを測定試料とした。
試料注入量:20μl
標準試料:前記「HLC−8320GPC」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−300」
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
東ソー株式会社製「F−288」
(メタ)アクリル樹脂(A)は市販品をそのまま使用してもよく、市販品から公知の方法で製造することもできる。
(メタ)アクリル樹脂(A)を製造する場合、その製造方法としては、例えば、キャスト重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、アニオン重合等の種々の重合方法を用いることができる。製造方法の中でも、塊状重合や溶液重合が、微小な異物の混入が少ない重合体が得られることから好ましい。溶液重合を行う場合には、原料の混合物をトルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素の溶媒に溶解して調製した溶液を用いることができる。塊状重合により重合させる場合には、通常行われるように加熱により生じる遊離ラジカルや電離性放射線照射により重合を開始させることができる。
(メタ)アクリル樹脂(A)の重合に用いることができる開始剤としては、一般にラジカル重合において用いられる任意の開始剤を使用することができる。
前記開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチルニトリル等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物等が用いられる。90℃以上の高温下で重合をする場合には、溶液重合が一般的であるので、10時間半減期温度が80℃以上でかつ用いる有機溶媒に可溶である過酸化物、アゾビス開始剤などが好ましく、具体的には1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、シクロヘキサンパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等を挙げることができる。これらの開始剤は0.005〜5質量%の範囲で用いられる。
(メタ)アクリル樹脂(A)を重合する際には、必要に応じて分子量調節剤を使用してもよい。
前記分子量調節剤は、一般的なラジカル重合において用いる任意のものが使用され、例えば、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘキシル等のメルカプタン化合物が好ましいものとして挙げられる。これらの分子量調節剤は、分子量が上記の範囲内に制御されるような濃度範囲で添加される。
(スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B))
スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)は、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸を反応原料とする共重合体である。
スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)は、スチレンに由来する単量体単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する単量体単位及び(メタ)アクリル酸に由来する単量体単位を有する共重合体であり、当該共重合体の重合形態はランダムでもブロックでもよい。
尚、本明細書において、単量体単位とは、高分子化合物の構成単位である。
前記スチレンは、スチレンの誘導体も含む意味である。
前記スチレンの誘導体としては、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、カルボキシスチレン、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
前記スチレンの誘導体は1種単独でもよく2種以上を併用してもよい。
前記(メタ)アクリル酸エステルは、好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロプロピル、(メタ)アクリル酸シクロブチル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸エステルは1種単独でもよく2種以上を併用してもよい。
スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)中の(メタ)アクリル酸の含有量は、好ましくは7.0モル%以下であり、より好ましくは6.0モル%以下である。
前記(メタ)アクリル酸の含有量を7.0モル%以下とすることで、前記(メタ)アクリル酸のカルボキシル基が(メタ)アクリル樹脂(A)を劣化させてしまうことを防ぐことができる。
前記(メタ)アクリル酸の含有量の下限は特に限定されないが、例えば0.1モル%以上である。
スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)中の前記(メタ)アクリル酸の含有量は、実施例に記載の方法で確認する。
スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)中のスチレンの含有量は、好ましくは10〜80モル%であり、より好ましくは35〜80モル%である。
前記スチレンの含有量を上記範囲とすることで、得られるフィルムの透明性と負の位相差の発現性のバランスを良くすることができる。
スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)中の前記スチレンの含有量は、実施例に記載の方法で確認する。
スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸以外のモノマーに由来する単量体単位を有してもよい。
前記スチレン、(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸以外のモノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類;無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物類;マレイン酸等の不飽和酸類等が挙げられる。
スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)は、好ましくはスチレンに由来する単量体単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する単量体単位及び(メタ)アクリル酸に由来する単量体単位のみからなる共重合体である。
スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)の数平均分子量は、好ましくは5,000〜50,000であり、より好ましくは10,000〜50,000であり、さらに好ましくは10,000〜35,000である。
(メタ)アクリル樹脂(A)は光学樹脂組成物として用いられる他の樹脂と比較してガラス転移温度が低く、当該(メタ)アクリル樹脂(A)に添加剤を加えると、組成物全体としてのガラス転移温度が更に低下して、十分な耐熱性を得ることが難しくなる。スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)の数平均分子量を上記範囲とすることで、十分な耐熱性と十分な透明性を保持することができる。
スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)の数平均分子量の測定方法は、(メタ)アクリル樹脂(A)の測定方法と同じである。
本発明の光学材料用樹脂組成物中の、(メタ)アクリル樹脂(A)とスチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)の質量比は、前記(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対して、前記スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)が5〜100質量部であると好ましく、10〜100質量部であるとより好ましく、20〜100質量部であるとさらに好ましい。
(その他成分)
本発明の光学材料用樹脂組成物は、(メタ)アクリル樹脂(A)とスチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)を含めばよく、これら成分以外のその他成分(任意の樹脂成分及び任意の添加剤)を含んでもよい。
前記任意の樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル共重合体等のスチレン系樹脂;ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂;及びフェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら樹脂成分を1種単独で含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。
前記任意の添加剤としては、例えば、無機充填剤、酸化鉄等の顔料;ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤;離型剤;パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の軟化剤・可塑剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤、りん系熱安定剤、ラクトン系熱安定剤、ビタミンE系熱安定剤等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾエート系光安定剤等の光安定剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;難燃剤;帯電防止剤;有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤;着色剤、その他添加剤或いはこれらの混合物等が挙げられる。
本発明の光学材料用樹脂組成物は、例えば、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上、又は99.9質量%以上が、(メタ)アクリル樹脂(A)、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)及び溶剤であってもよい。
本発明の光学材料用樹脂組成物は、本質的に(メタ)アクリル樹脂(A)、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)及び溶剤からなってもよい。この場合、不可避不純物を含んでもよい。
また、本発明の光学材料用樹脂組成物は、(メタ)アクリル樹脂(A)、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)及び溶剤のみからなってもよい。
[光学フィルム]
本発明の光学フィルムは、本発明の光学材料用樹脂組成物を含む。
本発明の光学フィルムは、高い透明性と負の位相差の両方を示すことができ、性能安定性にも優れる。例えば、高温高湿下という過酷な環境下であっても高い透明性を維持することができる。
本発明の光学フィルムは、負の面内レタデーション(Re)及び負の厚み方向レタデーション(Rth)を示すことができる。ここで、面内レタデーション(Re)と厚み方向レタデーション(Rth)は下式により定義される。
Re =(nx−ny)×d
Rth=((nx+ny)/2)−nz)×d
(式中、nxは、光学フィルム面内において屈折率が最大となる方向をxとした場合のx方向の主屈折率である。
nyは、光学フィルム面内においてx方向に垂直な方向をyとした場合のy方向の主屈折率である。
nzは、光学フィルムの厚み方向の主屈折率である。
dは、光学フィルムの厚み(nm)である。)
本発明の光学フィルムにおける、面内レタデーション(Re)は、好ましくは−15nm以下、より好ましくは−35nm以下、さらに好ましくは−50nm以下である。
本発明の光学フィルムにおける、厚み方向レタデーション(Rth)は、好ましくは−5nm以下、より好ましくは−15nm以下、さらに好ましくは−35nm以下である。
前記Re及びRthの値は、MD及びTD方向の延伸倍率、フィルム厚さ、アクリル樹脂(A)及びスチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)の質量比により調整することができる。
本発明の光学フィルムは、例えば、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上、又は99.9質量%以上が、(メタ)アクリル樹脂(A)、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)であってもよい。
本発明の光学フィルムは、本質的に(メタ)アクリル樹脂(A)、及びスチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)からなってもよい。この場合、不可避不純物を含んでもよい。
また、本発明の光学フィルムは、(メタ)アクリル樹脂(A)及びスチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)のみからなってもよい。
本発明の光学フィルムは、光学材料として、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイに用いられる偏光板保護フィルム、1/4波長板、1/2波長板、視野角制御フィルム、液晶光学補償フィルム等の位相差フィルム、ディスプレイ前面板、光反射防止部材等に好適に用いることができる。
本発明の光学フィルムの膜厚は、20〜120μmの範囲が好ましく、25〜100μmの範囲がより好ましく、25〜80μmの範囲が特に好ましい。
本発明の光学フィルムは、本発明の光学材料用樹脂組成物を用いることにより製造できる。
本発明の光学フィルムは、例えば、本発明の光学材料用樹脂組成物を用いて、押し出し成形、キャスト成形等の方法により未延伸フィルムを製造し、当該未延伸フィルムを延伸することにより得られる。
未延伸フィルムの製造方法としては、キャスト成形である溶液流延法(ソルベントキャスト法)が挙げられる。以下、溶液流延法について詳述する。
溶液流延法で得られる未延伸フィルムは、実質的に光学等方性を示す。前記光学等方性を示すフィルムは、例えば液晶ディスプレイなどの光学材料に使用することができ、中でも偏光板用保護フィルムに有用である。また、前記方法によって得られたフィルムは、その表面に凹凸が形成されにくく、表面平滑性に優れる。
前記溶液流延法は、一般に、例えば、前記(メタ)アクリル樹脂(A)と前記スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)とを溶剤中に溶解させ、得られた樹脂溶液を金属支持体上に流延させる第1工程と、流延させた前記樹脂溶液中に含まれる有機溶剤を留去し乾燥させてフィルムを形成する第2工程、それに続く、金属支持体上に形成されたフィルムを金属支持体から剥離し加熱乾燥させる第3工程からなる。
前記第1工程で使用する金属支持体としては、無端ベルト状又はドラム状の金属製のものなどを例示でき、例えば、ステンレス製でその表面が鏡面仕上げの施されたものを使用することができる。
前記金属支持体上に樹脂溶液を流延させる際には、得られるフィルムに異物が混入することを防止するために、フィルターで濾過した樹脂溶液を使用することが好ましい。
前記第2工程の乾燥方法としては、特に限定しないが、例えば30〜50℃の温度範囲の風を前記金属支持体の上面及び/又は下面に当てることで、流延した前記樹脂溶液中に含まれる有機溶剤の50〜80質量%を蒸発させ、前記金属支持体上にフィルムを形成させる方法が挙げられる。
次いで、前記第3工程は、前記第2工程で形成されたフィルムを金属支持体上から剥離し、前記第2工程よりも高い温度条件下で加熱乾燥させる工程である。前記加熱乾燥方法としては、例えば100〜160℃の温度条件にて段階的に温度を上昇させる方法が、良好な寸法安定性を得ることができるため、好ましい。前記温度条件にて加熱乾燥することにより、前記第2工程後のフィルム中に残存する有機溶剤をほぼ完全に除去することができる。
尚、前記第1工程〜第3工程で、溶媒は回収し再使用することも可能である。
例えば、前記(メタ)アクリル樹脂(A)、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)を有機溶剤に混合させ溶解する際に使用できる有機溶剤としては、それらを溶解可能なものであれば特に限定しないが、例えば、クロロホルム、二塩化メチレン、塩化メチレン等の溶媒を挙げることができる。
前記樹脂溶液中の(メタ)アクリル樹脂(A)の濃度は、10〜50質量%が好ましく、15〜35質量%がより好ましい。
得られた未延伸フィルムを延伸することで本発明の光学フィルムが得られる。具体的には、機械的流れ方向に縦一軸延伸、又は機械的流れ方向に直行する方向に横一軸延伸することで本発明の光学フィルムを得ることができる。また、得られた未延伸フィルムをロール延伸とテンター延伸の逐次2軸延伸法、テンター延伸による同時2軸延伸法、又はチューブラー延伸による2軸延伸法等によって二軸延伸することによっても本発明の光学フィルムを得ることができる。
延伸における延伸倍率は少なくともどちらか一方向に0.1%以上1000%以下であることが好ましく、0.2%以上600%以下であることがさらに好ましく、0.3%以上300%以下であることがさらに好ましい。延伸倍率を当該範囲とすることにより、複屈折、耐熱性、強度の観点で好ましい延伸された光学フィルムとすることができる。
本発明の光学フィルムの膜厚は、20〜120μmの範囲が好ましく、25〜100μmの範囲がより好ましく、25〜80μmの範囲が特に好ましい。
本発明の光学材料樹脂組成物から得られる成形品は、光学フィルムに限定されず、光通信システム、光交換システム、光計測システムの分野において、導波路、レンズ、光ファイバー、光ファイバーの基材、被覆材料、LEDのレンズ、レンズカバーなどにも用いることができる。
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明についてさらに具体的に説明する。尚、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
合成例1
温度計、攪拌機、及び還流冷却器を付した内容量0.5Lの四つ口フラスコに、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を180g加え、窒素バブリングを行ってフラスコ内を窒素置換しながら95℃まで昇温した。昇温後、スチレン117g、メタクリル酸メチル54g、アクリル酸9g、重合開始剤としてパーブチルO(日油株式会社製)を1.8gとを混合した溶液を4時間かけて滴下した。滴下後、95℃で4時間ほど反応を継続した。反応終了後、減圧処理を施すことでPGMEを除去し、常温白色固体のスチレン−メタクリル酸メチル−アクリル酸共重合体であるスチレン樹脂B−1を得た。
下記方法によりスチレン樹脂B−1の数平均分子量(Mn)を評価したところ20,300であった。また、下記方法によりスチレン樹脂B−1中のアクリル酸の含有量を評価したところ、アクリル酸の含有量は5.0モル%であった。
(スチレン樹脂の数平均分子量の測定方法)
テトラヒドロフラン(THF)溶媒を用い、示差屈折検出によるゲルパーミエージョンクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量を測定した。
(スチレン樹脂中のアクリル酸等の含有量)
試料となるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)を重クロロホルムに溶解し、周波数500MHz、室温にて下記条件で13C−NMR測定を行なった。測定結果より、スチレン単位中のベンゼン環の炭素ピーク(130〜140ppm付近)と(メタ)アクリル酸メチルのカルボニル炭素ピーク(170ppm付近)と(メタ)アクリル酸のカルボニル炭素ピーク(160ppm付近)の面積比から、試料中のスチレン単位と(メタ)アクリル酸メチル単位と(メタ)アクリル酸単位のモル比を求めた。
13C−NMR測定条件]
測定装置 :日本電子株式会社製「JNM−ECA500」
溶媒 :重水素化クロロホルム
合成例2
温度計、攪拌機、及び還流冷却器を付した内容量0.5Lの四つ口フラスコに、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を180g加え、窒素バブリングを行ってフラスコ内を窒素置換しながら95℃まで昇温した。昇温後、スチレン117g、メタクリル酸メチル54g、アクリル酸9g、重合開始剤としてパーブチルOを0.9gとを混合した溶液を4時間かけて滴下した。滴下後、95℃で4時間ほど反応を継続した。反応終了後、減圧処理を施すことでPGMEを除去し、常温白色固体のスチレン−メタクリル酸メチル−アクリル酸共重合体であるスチレン樹脂B−2を得た。スチレン樹脂B−2について、合成例1と同じ方法で評価した。
スチレン樹脂B−2の数平均分子量(Mn)は30,000であった。
また、スチレン樹脂B−2中のアクリル酸の含有量は5.0モル%であった。
合成例3
温度計、攪拌機、及び還流冷却器を付した内容量0.5Lの四つ口フラスコに、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を180g加え、窒素バブリングを行ってフラスコ内を窒素置換しながら95℃まで昇温した。昇温後、スチレン167g、メタクリル酸13g、重合開始剤としてパーブチルOを0.9gとを混合した溶液を4時間かけて滴下した。滴下後、95℃で4時間ほど反応を継続した。反応終了後、減圧処理を施すことでPGMEを除去し、常温白色固体のスチレン−メタクリル酸共重合体であるスチレン樹脂C−1を得た。スチレン樹脂C−1について、合成例1と同じ方法で評価した。
スチレン樹脂C−1の数平均分子量(Mn)は40,000であった。
また、スチレン樹脂C−1中のメタクリル酸の含有量は9.0モル%であった。
合成例4
温度計、攪拌機、及び還流冷却器を付した内容量0.5Lの四つ口フラスコに、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を180g加え、窒素バブリングを行ってフラスコ内を窒素置換しながら95℃まで昇温した。昇温後、スチレン158g、メタクリル酸22g、重合開始剤としてパーブチルOを0.9gとを混合した溶液を4時間かけて滴下した。滴下後、95℃で4時間ほど反応を継続した。反応終了後、減圧処理を施すことでPGMEを除去し、常温白色固体のスチレン−メタクリル酸共重合体であるスチレン樹脂C−2を得た。スチレン樹脂C−2について、合成例1と同じ方法で評価した。
スチレン樹脂C−2の数平均分子量(Mn)は37,000であった。
また、スチレン樹脂C−2中のメタクリル酸の含有量は11モル%であった。
合成例5
温度計、攪拌機、及び還流冷却器を付した内容量0.3Lの四つ口フラスコに、溶媒として酢酸ブチルを79g加え、窒素バブリングを行ってフラスコ内を窒素置換しながら110℃まで昇温した。昇温後、スチレン4g、2−フェニルプロペン(αメチルスチレン)5g、1−アダマンチルメタクリレート27g、メタクリル酸1g、重合開始剤としてパーブチルO 0.9gとを混合した溶液を4時間かけて滴下した。滴下後、110℃で4時間ほど反応を継続した。反応終了後、減圧処理を施すことで酢酸ブチルを除去し、常温白色固体であるスチレン−αメチルスチレン−アダマンチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体であるスチレン樹脂B−3を得た。
得られたスチレン樹脂B−3について合成例1と同様にして評価したところ、数平均分子量(Mn)は6,500であった。
また、スチレン樹脂B−3中のメタクリル酸の含有量は5.0モル%であった。
合成例6
温度計、攪拌機、及び還流冷却器を付した内容量0.5Lの四つ口フラスコに、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を134g加え、窒素バブリングを行ってフラスコ内を窒素置換しながら95℃まで昇温した。昇温後、スチレン78g、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA、日立化成社製)55g、メタクリル酸3g、重合開始剤としてパーブチルO 2.5gとを混合した溶液を4時間かけて滴下した。滴下後、95℃で4時間ほど反応を継続した。反応終了後、減圧処理を施すことでプロピレングリコールモノメチルエーテルを除去し、常温白色固体であるスチレン−ジシクロペンタニルメタクリレート−メタクリル酸共重合体であるスチレン樹脂B−4を得た。
得られたスチレン−アクリル樹脂B−4について合成例1と同様にして評価したところ、数平均分子量(Mn)は9,300であった。
また、スチレン樹脂B−4中のメタクリル酸の含有量は3.0モル%であった。
実施例1
80質量部の市販の(メタ)アクリル樹脂である(メタ)アクリル樹脂A(三菱ケミカル社製PMMA系アクリル樹脂;アクリペットV)と20質量部の合成例1で製造したスチレン樹脂B−1に、メチレンクロライド270質量部及びメタノール30質量部を加えて溶解し、ドープ液を得た。
得られたドープ液をガラス板上に流延し、溶媒を留去する(乾燥する)ことで膜厚約60μmのフィルムを得た。得られた未延伸フィルムの透明性及び耐熱性を下記の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
(未延伸フィルムの透明性)
得られたフィルムを打ち抜き機で打ち抜いて40mm角の試験片とし、この試験片についてHAZEメーターNDH−5000(日本電色工業製)にて、HAZE値の測定を行った。
尚、HAZE値は小さいほど、透明性に優れることを示す。
(未延伸フィルムの耐熱性)
得られたフィルムについて、動的粘弾性測定(DMA)装置を用いてtanδを測定し、tanδのピークトップ値における温度をTgと定義し、その値を評価した。
未延伸フィルムを下記の方法と条件で熱延伸を行い、延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムの光学特性と保存安定性を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
(熱延伸の方法と条件)
未延伸フィルムを超音波カッターで切り抜いて5.5cm角の試験片とし、二軸延伸機(株式会社井元製作所製)を用いて、下記条件にて自由一軸延伸を行った。
倍率:2.0倍
速度:100%/min
温度:(DMA測定のtanδピークトップを与える温度)−12℃
(延伸フィルムの光学特性)
延伸フィルムを23℃かつ相対湿度55%で2時間以上静置し、複屈折測定装置(KOBRA−WR,王子計測器(株)製)を用いて波長590nmにおける面内位相差(Re値)および面外位相差(Rth値)を測定した。
(フィルムの保存安定性)
フィルムを金属クリップに挟み、吊るした状態で温度70℃、相対湿度90%RHの恒温恒湿中に5日間放置した。その後、濁度計(日本電色工業株式会社製「NDH 5000」)を用いて、JIS K 7105に準じて、延伸フィルムのHAZE値を測定すると共に目視による延伸フィルム全体の透明度の評価を行った。
HAZEが1.0以下で、かつ、フィルム全体が透明である延伸フィルムを「○」と評価し、HAZEが1.0を超えるもの、および、HAZEが1.0以下であっても一部白濁が目視で確認された延伸フィルムは「×」と評価した。
実施例2−10及び比較例1−3
(メタ)アクリル樹脂Aとスチレン樹脂B−1、B−2、B−3、B−4、C−1及びC−2を表1及び2に示す配合割合で配合し、実施例1と同様にして未延伸フィルム及び延伸フィルムを製造し評価した。結果を表1及び2に示す。
Figure 2020137577
Figure 2020137577

Claims (8)

  1. (メタ)アクリル樹脂(A)と、
    スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)とを含む光学材料用樹脂組成物。
  2. 前記スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)中の(メタ)アクリル酸の含有量が7.0モル%以下である請求項1に記載の光学材料用樹脂組成物。
  3. 前記スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)中のスチレンの含有量が10〜80モル%である請求項1又は2に記載の光学材料用樹脂組成物。
  4. 前記スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)の数平均分子量が5,000〜50,000である請求項1〜3のいずれかに記載の光学材料用樹脂組成物。
  5. 前記(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対して、前記スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(B)を10〜100質量部含む請求項1〜4のいずれかに記載の光学材料用樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光学材料用樹脂組成物を含む光学フィルム。
  7. 請求項6に記載の光学フィルムを備える表示装置。
  8. 有機ELディスプレイ又は液晶ディスプレイである請求項7に記載の表示装置。
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