JP2006036967A - 樹脂組成物及び樹脂溶液 - Google Patents

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隆志 岡田
Nobuyuki Toyomasu
信之 豊増
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Abstract

【課題】 耐熱性、力学特性に優れ、高い透明性を有する樹脂組成物、更に工業的規模で位相差フィルムを製造するに好適な、長期の保存安定性に優れた樹脂溶液及び高品位の負の位相差フィルムを提供する。
【解決手段】 特定のN−フェニル置換マレイミド残基単位が55〜65モル%、特定のオレフィン残基単位が45〜35モル%よりなるN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)30〜95wt%、及び、スチレン系単量体残基単位と、シアン化ビニル化合物残基単位、アクリル酸アルキルエステル残基単位、メタクリル酸アルキルエステル残基単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の残基単位からなり、スチレン系単量体残基単位が95〜60モル%であるスチレン系共重合体(b)70〜5wt%からなる樹脂組成物、さらにそれよりなる負の位相差フィルム。
【選択図】 選択図なし。

Description

本発明は、透明性、耐熱性や力学特性に優れ、液晶表示装置(以下、LCDと述べる。)用位相差フィルム材料に好適の樹脂組成物、樹脂溶液及びそれを用いてなる負の位相差フィルムに関するものである。
近年、LCDは低電圧、低消費電力、軽量という特徴を活かし、携帯機器、移動体通信機器、移動体搭載機器、パーソナルコンピュータ、テレビ、家庭用電気製品、オーディオ製品、産業機器等の表示装置として広く採用されている。LCDは、2枚の偏光板で液晶分子を挟み込み、偏光板の光フィルター機能と液晶分子の複屈折特性を利用して白黒表示を行う光学素子として知られ、LCDには偏光フィルム及び偏光フィルムの保護フィルム(以下、偏光膜保護フィルムと述べる。)からなる偏光板、位相差フィルム、光拡散フィルム、透明電極フィルムなどの光学フィルムが用いられている。
一方、N−フェニル置換マレイミド単位を有する共重合体は、透明性に優れ、耐熱性及び表面硬度が優れるといった特徴を有し光学材料に適している事が開示されており(例えば特許文献1参照。)、N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体は、スチレン系重合体と混和可能である事も知られている(例えば特許文献2参照。)。
また、光学特性の一つである複屈折性は、2つ以上の樹脂と混合することにより、変化させる事ができることも知られており(例えば非特許文献1参照。)、負の位相差フィルムとすることが提案されている(例えば特許文献3参照。)。
特開平05−117334号公報 特開昭62−100544号公報 機能材料 3月号 1987 p21 特開2001−194530号公報
しかしながら、位相差フィルム等の光学材料は、高い透明性とともに耐熱性が要求されており、これらを満足する負の位相差を有する光学材料は得られていないのが現状である。また、N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体とスチレン系重合体からなる組成物についても、透明性として満足できるものは得られていなかった。
そこで、本発明は、上記事実を鑑みてなされたものであり、その目的は、耐熱性、力学特性に優れ、高い透明性を有する樹脂組成物を提供することにあり、更に工業的規模で位相差フィルムを製造するに好適な、長期の保存安定性に優れた樹脂溶液及び高品位の負の位相差フィルムを提供する事にある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定組成のN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体と特性組成のスチレン系重合体からなる樹脂組成物が、特に耐熱性、力学特性に優れ、高い透明性を有し、また、該樹脂組成物から調製された樹脂溶液は、長期の保存安定性に優れ、該樹脂組成物及び該樹脂溶液より製造されるフィルムが負の複屈折性を有する位相差フィルムとなる事を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、一般式(I)で示されるN−フェニル置換マレイミド残基単位が55〜65モル%、一般式(II)で示されるオレフィン残基単位が45〜35モル%よりなるN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)30〜95wt%、及び、スチレン系単量体残基単位と、シアン化ビニル化合物残基単位、アクリル酸アルキルエステル残基単位、メタクリル酸アルキルエステル残基単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の残基単位からなり、スチレン系単量体残基単位が95〜60モル%であるスチレン系共重合体(b)70〜5wt%からなることを特徴とする樹脂組成物及びそれよりなる負の位相差フィルムに関するものである。
Figure 2006036967
(I)
(ここで、R1,R2はそれぞれ水素又は炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状アルキル基であり、R3、R4、R5、R6、R7はそれぞれ水素、ハロゲン系元素、カルボン酸、カルボン酸エステル、水酸基、シアノ基、ニトロ基又は炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である。)
Figure 2006036967
(II)
(ここで、R8、R9、R10はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基である。)
以下に、本発明に関し詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、一般式(I)で示されるN−フェニル置換マレイミド残基単位が55〜65モル%、一般式(II)で示されるオレフィン残基単位が45〜35モル%よりなるN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)30〜95wt%、及び、スチレン系単量体残基単位と、シアン化ビニル化合物残基単位、アクリル酸アルキルエステル残基単位、メタクリル酸アルキルエステル残基単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の残基単位からなり、スチレン系単量体残基単位が95〜60モル%であるスチレン系共重合体(b)70〜5wt%からなるものである。ここで、N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)が30wt%未満の場合、得られる樹脂組成物は耐熱性に劣るものとなる。一方、N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)が95wt%を越える場合は、得られる樹脂組成物は脆くなり十分な力学強度が得られなくなる。
本発明を構成するN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)は、一般式(I)で示されるN−フェニル置換マレイミド残基単位が55〜65モル%と一般式(II)で示されるオレフィン残基単位が45〜35モルからなる共重合体であり、特に得られる樹脂組成物を溶液とした際の保存安定性に優れる溶液となることから該N−フェニル置換マレイミド残基単位が60〜65モル%と該オレフィン残基単位が40〜35モル%からなる共重合体であることが好ましい。ここで、該N−フェニル置換マレイミド残基単位が55モル%未満又は65モル%を越える共重合体である場合、得られる樹脂組成物は透明性に劣るものとなる場合がある。
一般式(I)で示されるN−フェニル置換マレイミド残基単位におけるR1,R2は、それぞれ水素又は炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状アルキル基であり、R3、R4、R5、R6、R7はそれぞれ水素、ハロゲン系元素、カルボン酸、カルボン酸エステル、水酸基、シアノ基、ニトロ基又は炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である。R1,R2を構成する炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、n−オクチル基等を挙げることができる。また、R3、R4、R5、R6、R7を構成するハロゲン系元素としては、例えばフッ素、塩素、臭素、沃素を挙げることができ、カルボン酸エステルとしては、例えばカルボン酸メチルエステル、カルボン酸エチルエステル、カルボン酸ブチルエステル等を挙げることができ、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、n−オクチル基等を挙げることができる。そして、R1〜R7が炭素数8を越えるアルキル基である場合、N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体は、ガラス転移温度(以下、Tgと記す。)が著しく低下したり、結晶化する場合があり、得られる樹脂組成物は耐熱性、透明性等に劣るものとなる可能性がある。
該N−フェニル置換マレイミド残基単位としては、例えばN−フェニルマレイミド残基単位、N−(2−メチルフェニル)マレイミド残基単位、N−(2−エチルフェニル)マレイミド残基単位、N−(2−n−プロピルフェニル)マレイミド残基単位、N−(2−イソプロピルフェニル)マレイミド残基単位、N−(2−n−ブチルフェニル)マレイミド残基単位、N−(2−s−ブチルフェニル)マレイミド残基単位、N−(2−t−ブチルフェニル)マレイミド残基単位、N−(2−n−ペンチルフェニル)マレイミド残基単位、N−(2−t−ペンチルフェニル)マレイミド残基単位、N−(2,6−ジメチルフェニル)マレイミド残基単位、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド残基単位、N−(2,6−ジ−n−プロピルフェニル)マレイミド残基単位、N−(2,6−ジ−イソプロピルフェニル)マレイミド残基単位、N−(2−メチル−6−エチルフェニル)マレイミド残基単位、N−(2−メチル−6−イソプロピルフェニル)マレイミド残基単位、N−(2−クロロフェニル)マレイミド残基単位、N−(2−ブロモフェニル)マレイミド残基単位、N−(2,6−ジクロロフェニル)マレイミド残基単位、N−(2,6−ジブロモフェニル)マレイミド残基単位、N−2−ビフェニルマレイミド残基単位、N−2−ジフェニルエーテルマレイミド残基単位、N−(2−シアノフェニル)マレイミド残基単位、N−(2−ニトロフェニル)マレイミド残基単位、N−(2,4,6−トリメチルフェニル)マレイミド残基単位、N−(2,4−ジメチルフェニル)マレイミド残基単位、N−パーブロモフェニルマレイミド残基単位、N−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)マレイミド残基単位、N−(2,6−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)マレイミド残基単位、N−ナフチルマレイミド残基単位等が挙げられ、その中でも特に耐熱性、透明性、機械強度に優れる樹脂組成物となることからN−フェニルマレイミド残基単位が好ましい。また、該N−フェニル置換マレイミド残基単位は1種又は2種以上組み合わされたものでもよく、その比率は特に制限はない。
一般式(II)で示されるオレフィン残基単位のR8、R9、R10は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基であり、炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基を挙げることができる。ここで、R8、R9、R10が炭素数6を越えるアルキル基である場合は、N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体は、Tgが著しく低下したり、結晶化する場合があり、得られる樹脂組成物は耐熱性、透明性等に劣るものとなる可能性がある。
一般式(II)で示されるオレフィン残基単位としては、例えばイソブテン残基単位、2−メチル−1−ブテン残基単位、2−メチル−1−ペンテン残基単位、2−メチル−1−ヘキセン残基単位、2−メチル−1−ヘプテン残基単位、1−イソオクテン残基単位、2−メチル−1−オクテン残基単位、2−エチル−1−ペンテン残基単位、2−メチル−2−ペンテン残基単位、2−メチル−2−ヘキセン残基単位、エチレン残基単位、プロピレン残基単位、1−ブテン残基単位、1−ヘキセン残基単位等が挙げられ、その中でも特に耐熱性、透明性、機械強度に優れる樹脂組成物となることからイソブテン残基単位が好ましい。また、該オレフィン残基単位は1種又は2種以上組み合わせて使用しても良く、また、その比率は特に限定されない。
本発明に用いられるN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)は、例えば一般式(I)で示されるN−フェニル置換マレイミド残基単位を誘導するマレイミド類化合物と一般式(II)で示されるオレフィン残基単位を誘導するオレフィン類とをラジカル共重合反応することにより得ることができる。
該マレイミド類化合物としては、例えばN−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−n−プロピルフェニル)マレイミド、N−(2−イソプロピルフェニル)マレイミド、N−(2−n−ブチルフェニル)マレイミド、N−(2−s−ブチルフェニル)マレイミド、N−(2−t−ブチルフェニル)マレイミド、N−(2−n−ペンチルフェニル)マレイミド、N−(2−t−ペンチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジ−n−プロピルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジ−イソプロピルフェニル)マレイミド、N−(2−メチル−6−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−メチル−6−イソプロピルフェニル)マレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−(2−ブロモフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジクロロフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジブロモフェニル)マレイミド、N−2−ビフェニルマレイミド、N−2−ジフェニルエーテルマレイミド、N−(2−シアノフェニル)マレイミド、N−(2−ニトロフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリメチルフェニル)マレイミド、N−(2,4−ジメチルフェニル)マレイミド、N−パーブロモフェニルマレイミド、N−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−ナフチルマレイミド等が例示でき、その中でも特に耐熱性、透明性、機械強度に優れる樹脂組成物となることからN−フェニルマレイミドが好ましい。また、該マレイミド類化合物は1種又は2種以上組み合わされたものでもよく、その比率は特に制限はない。
また、該オレフィン類としては、例えばイソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘプテン、1−イソオクテン、2−メチル−1−オクテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−2−ペンテン、2−メチル−2−ヘキセン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等が挙げられ、その中でも特に耐熱性、透明性、機械強度に優れる樹脂組成物となることからイソブテンが好ましい。また、該オレフィン類は1種又は2種以上組み合わせて使用しても良く、また、その比率は特に限定されない。
該N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)としては、例えばN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体、N−(2−メチルフェニル)マレイミド・イソブテン共重合体、N−(2−エチルフェニル)マレイミド・イソブテン共重合体、N−(2−n−プロピルフェニル)マレイミド・イソブテン共重合体、N−フェニルマレイミド・エチレン共重合体、N−(2−メチルフェニル)マレイミド・エチレン共重合体、N−(2−エチルフェニル)マレイミド・エチレン共重合体、N−(2−n−プロピルフェニル)マレイミド・エチレン共重合体、N−フェニルマレイミド・2−メチル−1−ブテン共重合体、N−(2−メチルフェニル)マレイミド・2−メチル−1−ブテン共重合体、N−(2−エチルフェニル)マレイミド・2−メチル−1−ブテン共重合体、N−(2−n−プロピルフェニル)マレイミド・2−メチル−1−ブテン共重合体等を挙げることができ、その中でも、特に耐熱性、透明性、機械強度に優れた樹脂組成物となることから、N−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体であることが好ましい。
該N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)は、得られる樹脂組成物が成形加工性、機械強度に優れることから重量平均分子量(Mw)1×10以上5×10以下であることが好ましく、特に靱性と成形加工性のバランスに優れる樹脂組成物となることから1×10以上5×10以下であることが好ましい。ここで、重量平均分子量とは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)により求めた標準ポリスチレン換算値のことである。
更に、該N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)は、本発明の目的を損なわない範囲で他の単量体成分より誘導される単位を含有してもよく、そのような他の単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸又はそのエステル類;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸又はそのエステル類;酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピオビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;無水マレイン酸;アクリロニトリルより選ばれる1種類以上の化合物が挙げられ、その含有率としては5モル%以下であることが好ましい。
該N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)は、一般式(I)で示される単位を誘導する化合物及び一般式(II)で示される単位を誘導する化合物を公知の方法により重合することで得ることができる。このような重合方法として、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法のいずれの方法によっても得ることができ、その中でも特に透明性、色調に優れる樹脂組成物が得られることから溶液重合法、懸濁重合法により得られるものであることが好ましい。
重合反応の際に用いる重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、パーブチルネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤等が挙げられる。
溶液重合法、沈殿重合法において用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒;シクロヘキサン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、酢酸イソプロピル、芳香族系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒などが挙げられる。
その際の重合温度は、開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができ、一般的には40〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
該N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)は、別法として無水マレイン酸・オレフィン共重合体にアミン化合物を反応させ、後イミド化することによっても得ることができる。
このような後イミド化反応は、例えば無水マレイン酸・オレフィン共重合体をメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール溶媒;ベンゼン、トルエンなどの芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶媒;芳香族系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと記す。)、ジメチルホルムアミド(以下、DMFと記す。)などの溶媒に溶解あるいは分散させ、アミン化合物と50〜250℃の温度で反応させることによりアミド化反応とイミド化反応を連続的に行う方法、アミン化合物と反応させてアミド体を得た後、該アミド体を加熱して脱水閉環させ、イミド化を行う方法等により製造することができる。
アミン化合物としては、例えばアニリン、2−メチルアニリン、2−エチルアニリン、2−n−プロピルアニリン、2−イソプロピルアニリン、2−n−ブチルアニリン、2−s−ブチルアニリン、2−t−ブチルアニリン、2−n−ペンチルアニリン、2−t−ペンチルアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジエチルアニリン、2,6−ジ−n−プロピルアニリン、2,6−ジ−イソプロピルアニリン、2−メチル−6−エチルアニリン、2−メチル−6−イソプロピルアニリン、2−クロロアニリン、2−ブロモアニリン、2,6−ジクロロアニリン、2,6−ジブロモアニリン、2−ビフェニルアミン、2−ジフェニルエーテルアミン、2−シアノアニリン、2−ニトロアニリン、2,4,6−トリメチルアニリン、2,4−ジメチルアニリン、パーブロモアニリン、2−メチル−4−ヒドロキシアニリン、2,6−ジエチル−4−ヒドロキシアニリン、ナフチルアミンなどが挙げられ、その中でも特に耐熱性、透明性、機械強度に優れる樹脂組成物となることから、アニリンが好ましい。
本発明の樹脂組成物を構成するスチレン系共重合体(b)は、スチレン系単量体残基単位と、シアン化ビニル化合物残基単位、アクリル酸アルキルエステル残基単位、メタクリル酸アルキルエステル残基単位からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の残基単位からなり、スチレン系単量体残基単位が95〜60モル%であるスチレン系共重合体である。該スチレン系共重合体(b)は、N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体の構造、屈折率などに照合することから、N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)と配合し樹脂組成物とした際には、透明性、耐熱性、加工性、機械強度などのバランスに優れた負の複屈折性を示す樹脂組成物となる。
ここで、スチレン系単量体残基単位としては、例えばスチレン残基単位、α−メチルスチレン残基単位、o−メチルスチレン残基単位、p−メチルスチレン残基単位、エチルスチレン残基単位、ジメチルスチレン残基単位、p−t−ブチルスチレン残基単位、2,4−ジメチルスチレン残基単位、メトキシスチレン残基単位、ブロモスチレン残基単位、フルオロスチレン残基単位、ヒドロキシスチレン残基単位、アミノスチレン残基単位、シアノスチレン残基単位、ニトロスチレン残基単位、クロロメチルスチレン残基単位、アセトキシスチレン残基単位、p−ジメチルアミノメチルスチレン残基単位等のスチレン系単量体残基単位が挙げられ、これらは単独又は2種以上用いても良い。
シアン化ビニル化合物残基単位としては、例えばアクリロニトリル残基単位、メタクリロニトリル残基単位等が挙げられ、これらは単独又は2種以上用いても良い。
アクリル酸アルキルエステル残基単位としては、例えばメチルアクリレート残基単位、エチルアクリレート残基単位、プロピルアクリレート残基単位、ブチルアクリレート残基単位、アミルアクリレート残基単位、ヘキシルアクリレート残基単位、2−エチルヘキシルアクリレート残基単位、オクチルアクリレート残基単位、シクロヘキシルアクリレート残基単位、ドデシルアクリレート残基単位等が挙げられ、これらは単独又は2種以上用いても良い。
メタクリル酸アルキルエステル残基単位としては、例えばメチルメタクリレート残基単位、エチルメタクリレート残基単位、プロピルメタクリレート残基単位、ブチルメタクリレート残基単位、アミルメタクリレート残基単位、ヘキシルメタクリレート残基単位、2−エチルヘキシルメタクリレート残基単位、オクチルメタクリレート残基単位、シクロヘキシルメタクリレート残基単位、ドデシルメタクリレート残基単位等が挙げられ、これらは単独又は2種以上用いても良い。
該スチレン系共重合体(b)におけるスチレン系単量体残基単位の含有量は95〜60モル%であり、特に透明性、耐熱性、熱安定性に優れた樹脂組成物となることから90〜70モル%であることが好ましい。ここで、スチレン系単量体残基単位の含有量が95モル%を越える場合又は60モル%未満である場合、N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)との相溶性が悪く、得られる樹脂組成物は透明性に劣るものとなる。
また、該スチレン系共重合体(b)の重量平均分子量(Mw)は任意であり、その中でも特に機械強度と成形性のバランスに優れる樹脂組成物となることから1×10以上5×10以下であることが好ましく、特に1×10以上5×10以下であることが好ましい。
該スチレン系共重合体(b)としては、例えばスチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・アクリル酸メチル共重合体、スチレン・アクリル酸エチル共重合体、スチレン・アクリル酸ブチル共重合体、スチレン・アクリル酸へキシル共重合体、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、スチレン・メタクリル酸エチル共重合体、スチレン・メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン・アクリル酸へキシル共重合体等を挙げることができ、その中でも特に耐熱性、透明性、機械強度に優れた樹脂組成物となることから、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・アクリル酸ブチル共重合体、スチレン・メタクリル酸エチル共重合体であることが好ましい。
該スチレン系共重合体(b)の製造方法としては、公知の重合方法が利用でき、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの方法により、スチレン系単量体と、シアン化ビニル化合物、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の単量体を重合することにより製造することが可能である。また、市販品として入手したものであっても良い。
ここで、スチレン系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、メトキシスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレン、ヒドロキシスチレン、アミノスチレン、シアノスチレン、ニトロスチレン、クロロメチルスチレン、アセトキシスチレン、p−ジメチルアミノメチルスチレン等のスチレン系単量体が挙げられ、これらは単独又は2種以上用いても良い。
シアン化ビニル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、これらは単独又は2種以上用いても良い。
アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート等が挙げられ、これらは単独又は2種以上用いても良い。
メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート等が挙げられ、これらは単独又は2種以上用いても良い。
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、特に制限はなく如何なる方法を用いても良く例えば該N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)及び該スチレン系共重合体(b)を溶融混練する方法、該N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)及び該スチレン系共重合体(b)を有機溶剤に溶解し樹脂溶液とする方法、等が挙げられ、その中でも、特にフィルム化する際に表面平滑性に優れる溶液流延法に適したものとなることから樹脂溶液とすることが好ましく、特に透明性、成形加工性に優れたものとなることから、一般式(I)のN−フェニル置換マレイミド残基単位が55〜65モル%、オレフィン残基単位が45〜35モル%よりなるN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)、スチレン系単量体残基単位と、シアン化ビニル化合物残基単位、アクリル酸アルキルエステル残基単位、メタクリル酸アルキルエステル残基単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の残基単位からなり、スチレン系単量体残基単位が95〜60モル%であるスチレン系共重合体(b)及び有機溶媒からなり、N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)/スチレン系共重合体(b)=30〜95/70〜5(重量比)からなる樹脂溶液とすることが好ましい。なお、本発明の樹脂組成物をフィルム化する際には、樹脂組成物を加熱して融かしてフィルムにする溶融法を行うことも可能である。
該有機溶媒としては、本発明の樹脂組成物を溶解するものであれば特に制限はなく、例えば塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等が挙げられ、特に成形加工に供した際の溶媒除去が容易であることから塩化メチレン及び/又はクロロホルムが好ましい。
該樹脂溶液としては、フィルムを成形する際の乾燥時における気泡の発生、製膜時の厚み斑の発生がおこりにくく品質に優れるフィルムが得られることから、25℃での溶液粘度が1000〜50000cPであることが好ましい。また、フィルム成形の際には長期に樹脂溶液を保存することが一般的に行われており、保存安定性に優れる樹脂溶液となることから25℃で7日間静置した際の溶液粘度が50000cP以下であることが好ましい。なお、ここでいう溶液粘度とは、JIS Z8803に準拠し測定したものである。
本発明の樹脂組成物、樹脂溶液は、樹脂に一般的に配合されている酸化防止剤、滑剤等の添加剤を含んでいても良く、これら添加剤は樹脂の製造時であっても、樹脂溶液の製造時であってもどの段階で添加しても問題ない。
本発明の樹脂組成物、樹脂溶液はフィルムとすることが可能であり、該フィルムは、透明性、耐熱性に優れたものとなり、例えば位相差フィルムとして用いることが可能である。特に本発明の樹脂組成物よりなる位相差フィルムは、負の位相差を発現する事から負の位相差フィルムとしてもちいることが可能である。そして、該負の位相差フィルムは、高い透明性が要求されるLCDなどの表示装置に用いることが可能となり、鮮明な画質を有するLCDとなることから、ヘーズが2%以下であることが好ましく、特に1%以下であることが好ましい。なお、ここでいうヘーズとは、JIS K7136に準拠して測定したものである。
負の位相差フィルムの製造方法としては、例えば本発明の樹脂組成物、樹脂溶液を溶液流延法により原反フィルムとし、その後、該原反フィルムを延伸成形加工することにより得ることが可能である。延伸加工工程は、原反フィルムを成形する工程内で連続して行う工程、原反フィルムを一旦巻き取った後、該フィルムを延伸加工装置に供して延伸加工する工程、等を行うことが可能である。また、フィルムの延伸方法は、一般的にフィルム面内方向に延伸するフラット法延伸とチューブ状に膨らませて延伸するチューブラ法延伸に大分類され、その中でも厚み及び延伸倍率の精度の高いフラット法延伸が特に好ましい。またフラット法延伸は、一軸延伸法と二軸延伸法に分類され、一軸延伸法としては、自由幅一軸延伸法と一定幅一軸延伸法がある。一方、二軸延伸法としては、二段階自由幅二軸延伸法、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法があり、さらに逐次二軸延伸には全テンター方式とロールテンター方式がある。本発明の樹脂組成物、樹脂溶液から位相差フィルムを製造するための延伸方法は、上記延伸方法のいずれを用いても良く、要求される3次元屈折率および位相差量を得るために最も適した方法を選択すればよい。
そして、負の位相差フィルムとする際には上記一軸延伸法による場合、延伸方向をフィルム面内のx軸とし、該x軸に対するフィルム面内の直交方向をy軸、該x軸に対するフィルム面外の垂直方向をz軸とした際のx軸方向屈折率をnx、y軸方向屈折率をny、z軸方向屈折率をnzとした場合に三次元屈折率の関係がnz≧ny>nx又はny≧nz>nxとなる位相差フィルムとすることが好ましい。また、上記二軸延伸による場合、延伸方向をフィルム面内のx軸及びフィルム面内のy軸とし、フィルム面外の垂直方向をz軸とした際のx軸方向屈折率をnx、y軸方向屈折率をny、z軸方向屈折率をnzとした場合に三次元屈折率の関係がnz>ny≧nx又はnz>nx≧nyとなる位相差フィルムとすることが好ましい。
更に、延伸成形加工する際には、位相差の精度に優れることから、示差走査熱量計により昇温速度10℃/minで測定した樹脂組成物のガラス転移温度−20℃〜ガラス転移温度+20℃の温度範囲で延伸することが好ましい。
本発明の樹脂組成物、樹脂溶液から得られる位相差フィルムは、負の位相差フィルムとしてLCD用の光学補償部材として好適に用いることができ、例えばSTN型LCD、TFT−TN型LCD、OCB型LCD、VA型LCD、IPS型LCDなどのLCD用の位相差フィルム;1/2波長板;1/4波長板;逆波長分散特性フィルム;偏光板の視野角補償フィルムなどの光学補償部材を挙げることができる。また、その他の光学フィルムとして、例えば有機EL、PDP、複写機、プリンター、ファクシミリ、タッチパネル、光ファイル等の情報機器に使用される位相差フィルム、反射防止フィルム;LCDなどのフラットパネルディスプレイに使用される偏光膜保護フィルム、リフレクターフィルム、セパレーターフィルム、光拡散フィルム、透明電極フィルム基板、ディスプレイ表面の保護フィルム、アンチグレアフィルム、アンチリフレクションフィルム、電磁波遮蔽フィルム、紫外線吸収フィルム、遠赤外線吸収フィルムなどにも好適に用いることができる。
本発明により得られる樹脂組成物は、透明性、耐熱性、力学特性に優れ、該樹脂組成物から調製された樹脂溶液は、長期の保存安定性に優れるため、工業規模での位相差フィルムの製造が可能ある。また、得られた位相差フィルムは、高品位の負の位相差フィルムとして、LCD用途に好適に使用することができる。
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
実施例に示された諸物性は以下の方法により測定した。
〜重量平均分子量〜
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い測定したマレイミド・オレフィン共重合体の溶出曲線により、標準ポリスチレン換算値として求めた。
〜溶液粘度〜
JIS Z8803に準拠して、内筒定速方式の共軸二重円筒形回転粘度計で測定した。
〜ガラス転移温度(Tg)の測定〜
示差走査型熱量計(セイコー電子工業(株)製、商品名DSC2000)を用い、10℃/min.の昇温速度で測定した。
〜引張り強度〜
幅10mm×長さ100mm×厚さ100μmの短冊状試料を調製し、引張試験器(TOYO BALDWIN製、商品名テンシロン)を用い、5mm/minの速度で引っ張り、ASTM D822に準拠し測定した。
〜ヘーズ〜
JIS K7136に準拠して測定した。
〜フィルムの製造〜
樹脂溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム上に流延し、塩化メチレンを揮発させて固化、剥離させることによりフィルムを得た。得られた剥離後のフィルムを1昼夜放置後、75℃から155℃にかけて20℃間隔にてそれぞれ1時間乾燥し、フィルムを製造した。
〜フィルムの延伸〜
50×50mmのフィルムを、二軸延伸装置((株)井元製作所製)を用いて、温度145℃、チャック間距離40mm、延伸速度100mm/分の条件で2倍に自由幅一軸延伸することにより延伸フィルムを得た。
〜複屈折の正負判定〜
高分子素材の偏光顕微鏡入門(粟谷裕著、アグネ技術センター版、第5章、pp78〜82,(2001))に記載の偏光顕微鏡を用いたλ/4板による加色判定法により複屈折性の正負判定を行った。
〜位相差量の測定〜
高分子素材の偏光顕微鏡入門(粟谷裕著、アグネ技術センター版、第5章、pp78〜82,(2001))に記載のセナルモン・コンペンセーターを用いた偏光顕微鏡(Senarmont干渉法)により位相差量の測定を行った。
合成例1(N−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体の合成)
内容量3Lのステンレス反応器製オートクレーブにN−フェニルマレイミド239g、液化イソブチレン155g、メチルエチルケトン595g、t−ブチルパーオキシピバレート0.3gを仕込み、60℃で8時間重合を行った。反応終了後の溶液を室温まで冷却した後、メタノールに添加して樹脂を析出させ、次いでろ過、乾燥することにより共重合体を得た。
H−NMR測定から、生成した共重合体はN−フェニルマレイミド残基/イソブテン残基=0.565/0.435(モル比)のN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体であることを確認した。また、重量平均分子量は280000であった。
合成例2(N−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体の合成)
内容量3Lのステンレス製オートクレーブにN−フェニルマレイミド301g、液化イソブチレン136g、メチルエチルケトン595g、t−ブチルパーオキシピバレート1.5gを仕込み、60℃で5時間重合を行った。反応終了後の溶液を室温まで冷却した後、メタノールに添加して樹脂を析出させ、次いでろ過、乾燥することにより共重合体を得た。
H−NMR測定から、生成した共重合体はN−フェニルマレイミド残基/イソブテン残基=0.581/0.419(モル比)のN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体であることを確認した。また、重量平均分子量は220000であった。
合成例3(N−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体の合成)
内容量3Lのステンレス製オートクレーブにN−フェニルマレイミド433g、液化イソブチレン140g、メチルエチルケトン595g、t−ブチルパーオキシピバレート2.1gを仕込み、60℃で1.5時間重合を行った。反応終了後の溶液を室温まで冷却した後、メタノールに添加して樹脂を析出させ、次いでろ過、乾燥することにより共重合体を得た。
H−NMR測定から、生成した共重合体はN−フェニルマレイミド残基/イソブテン残基=0.605/0.395(モル比)のN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体であることを確認した。また、重量平均分子量は270000であった。
合成例4(N−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体の合成)
内容量1Lのステンレス製オートクレーブにN−フェニルマレイミド155g、液化イソブチレン35g、メチルエチルケトン451g、t−ブチルパーオキシピバレート0.9gを仕込み、60℃で11時間重合を行った。反応終了後の溶液を室温まで冷却した後、メタノールに添加して樹脂を析出させ、次いでろ過、乾燥することにより共重合体を得た。
H−NMR測定から、生成した共重合体はN−フェニルマレイミド残基/イソブテン残基=0.647/0.353(モル比)のN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体であることを確認した。また、重量平均分子量は75000であった。
合成例5(N−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体の合成)
内容量3Lのステンレス製オートクレーブにN−フェニルマレイミド43g、液化イソブチレン140g、メチルエチルケトン595g、t−ブチルパーオキシピバレート0.3gを仕込み、60℃で5時間重合を行った。反応終了後の溶液を室温まで冷却した後、メタノールに添加して樹脂を析出させ、次いでろ過、乾燥することにより共重合体を得た。
H−NMR測定から、生成した共重合体はN−フェニルマレイミド残基/イソブテン残基=0.520/0.480(モル比)のN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体であることを確認した。また、重量平均分子量は270000であった。
合成例6(N−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体の合成)
内容量3Lのステンレス反応器製オートクレーブにN−フェニルマレイミド239g、液化イソブチレン20g、メチルエチルケトン595g、t−ブチルパーオキシピバレート1.5gを仕込み、60℃で11時間重合を行った。反応終了後の溶液を室温まで冷却した後、メタノールに添加して樹脂を析出させ、次いでろ過、乾燥することにより共重合体を得た。
H−NMR測定から、生成した共重合体はN−フェニルマレイミド残基/イソブテン残基=0.695/0.305(モル比)のN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体であることを確認した。また、重量平均分子量は330000であった。
実施例1
合成例1により得られたN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体50重量%及びスチレン・アクリロニトリル共重合体(ダイセルポリマー製、商品名セビアンN050、重量平均分子量=130000、アクリロニトリル残基単位:スチレン残基単位(重量比)=25:75)50重量%からなる樹脂組成物を調製した。該樹脂組成物46gに、塩化メチレン138gを加え、25wt%の樹脂溶液を調製した。
溶液調製3日後と14日後での、溶液白濁の有無、溶液粘度、溶液流延法で製造したフィルムのTg、引張り強度及び延伸前後のヘーズ、複屈折の正負及び位相差量を測定し、その結果を表1、表2に示す。
実施例2
合成例1により得られたN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体の代わりに合成例2により得られたN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、樹脂組成物、樹脂溶液を調製した。
溶液調製3日後と14日後での、溶液白濁の有無、溶液粘度、溶液流延法で製造したフィルムのTg、引張り強度及び延伸前後のヘーズ、複屈折の正負及び位相差量を測定し、その結果を表1、表2に示す。
実施例3
合成例1により得られたN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体の代わりに合成例3により得られたN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、樹脂組成物、樹脂溶液を調製した。
溶液調製3日後と14日後での、溶液白濁の有無、溶液粘度、溶液流延法で製造したフィルムのTg、引張り強度及び延伸前後のヘーズ、複屈折の正負及び位相差量を測定し、その結果を表1、表2に示す。
実施例4
合成例1により得られたN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体の代わりに合成例4により得られたN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、樹脂組成物、樹脂溶液を調製した。
溶液調製3日後と14日後での、溶液白濁の有無、溶液粘度、溶液流延法で製造したフィルムのTg、引張り強度及び延伸前後のヘーズ、複屈折の正負及び位相差量を測定し、その結果を表1、表2に示す。
実施例5
スチレン・アクリロニトリル共重合体(ダイセルポリマー製、商品名セビアンN050、重量平均分子量=130000、アクリロニトリル残基単位:スチレン残基単位(重量比)=25:75)の代わりにスチレン・アクリロニトリル共重合体(ダイセルポリマー製、商品名セビアンN080、重量平均分子量=130000、アクリロニトリル残基単位:スチレン残基単位(重量比)=29:71)を用いた以外は、実施例3と同様の方法により、樹脂組成物、樹脂溶液を調製した。
溶液調製3日後と14日後での、溶液白濁の有無、溶液粘度、溶液流延法で製造したフィルムのTg、引張り強度及び延伸前後のヘーズ、複屈折の正負及び位相差量を測定し、その結果を表1、表2に示す。
比較例1
合成例1により得られたN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体の代わりに合成例5により得られたN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、樹脂組成物、樹脂溶液を調製した。
溶液調製3日後と14日後での、溶液白濁の有無、溶液粘度を測定し、その結果を表1、表2に示す。
得られた樹脂溶液は、白濁すると共にその溶液粘度も高くフィルムを作成することができなかった。
比較例2
合成例1により得られたN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体の代わりに合成例6により得られたN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、樹脂組成物、樹脂溶液を調製した。
溶液調製3日後と14日後での、溶液白濁の有無、溶液粘度、溶液流延法で製造したフィルムのTg、引張り強度及び延伸前後のヘーズを測定し、その結果を表1、表2に示す。
得られた樹脂溶液は、白濁しており、フィルムのヘーズも悪いものであった。
Figure 2006036967
Figure 2006036967

Claims (10)

  1. 一般式(I)で示されるN−フェニル置換マレイミド残基単位が55〜65モル%、一般式(II)で示されるオレフィン残基単位が45〜35モル%よりなるN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)30〜95wt%、及び、スチレン系単量体残基単位と、シアン化ビニル化合物残基単位、アクリル酸アルキルエステル残基単位、メタクリル酸アルキルエステル残基単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の残基単位からなり、スチレン系単量体残基単位が95〜60モル%であるスチレン系共重合体(b)70〜5wt%からなることを特徴とする樹脂組成物。
    Figure 2006036967
    (I)
    (ここで、R1,R2はそれぞれ水素又は炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状アルキル基であり、R3、R4、R5、R6、R7はそれぞれ水素、ハロゲン系元素、カルボン酸、カルボン酸エステル、水酸基、シアノ基、ニトロ基又は炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である。)
    Figure 2006036967
    (II)
    (ここで、R8、R9、R10はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基である。)
  2. 一般式(I)で示されるN−フェニル置換マレイミド残基単位が60〜65モル%よりなるN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)からなることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)が、N−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の樹脂組成物。
  4. スチレン系重合体(b)が、アクリロニトリル・スチレン共重合体であることを特徴とする請求項1〜3に記載の樹脂組成物。
  5. 一般式(I)のN−フェニル置換マレイミド残基単位が55〜65モル%、オレフィン残基単位が45〜35モル%よりなるN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)、スチレン系単量体残基単位と、シアン化ビニル化合物残基単位、アクリル酸アルキルエステル残基単位、メタクリル酸アルキルエステル残基単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の残基単位からなり、スチレン系単量体残基単位が95〜60モル%であるスチレン系共重合体(b)及び有機溶媒からなり、N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体(a)/スチレン系共重合体(b)=30〜95/70〜5(重量比)からなることを特徴とする樹脂溶液。
  6. JIS Z8803に準拠して測定した25℃での溶液粘度が1000cP〜50000cPであることを特徴とする請求項5に記載の樹脂溶液。
  7. 25℃で7日間静置した後、JIS Z8803に準拠して測定した溶液粘度が50000cP以下であることを特徴とする請求項5又は6のいずれかに記載の樹脂溶液。
  8. 有機溶媒が、塩化メチレン及び/又はクロロホルムであることを特徴とする請求項5〜7に記載の樹脂溶液。
  9. 請求項1〜4に記載の樹脂組成物よりなることを特徴とする負の位相差フィルム。
  10. JIS K7136に準拠して測定したヘーズが2%以下であることを特徴とする請求項9に記載の負の位相差フィルム。
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