以下に、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。
本技術は、撮像装置に適用できるため、ここでは、撮像装置に本技術を適用した場合を例に挙げて説明を行う。なおここでは、撮像装置を例に挙げて説明を続けるが、本技術は、撮像装置への適用に限られるものではなく、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置、携帯電話機などの撮像機能を有する携帯端末装置、画像読取部に撮像装置を用いる複写機など、画像取込部(光電変換領域)に撮像装置を用いる電子機器全般に対して適用可能である。なお、電子機器に搭載されるモジュール状の形態、即ちカメラモジュールを撮像装置とする場合もある。
図1は、本開示の電子機器の一例である撮像装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、撮像装置10は、レンズ群11等を含む光学系、撮像素子12、カメラ信号処理部であるDSP回路13、フレームメモリ14、表示部15、記録部16、操作系17、及び、電源系18等を有している。
そして、DSP回路13、フレームメモリ14、表示部15、記録部16、操作系17、及び、電源系18がバスライン19を介して相互に接続された構成となっている。CPU20は、撮像装置10内の各部を制御する。
レンズ群11は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで撮像素子12の撮像面上に結像する。撮像素子12は、レンズ群11によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。この撮像素子12として、以下に説明する画素を含む撮像素子(イメージセンサ)を用いることができる。
表示部15は、液晶表示部や有機EL(electro luminescence)表示部等のパネル型表示部からなり、撮像素子12で撮像された動画または静止画を表示する。記録部16は、撮像素子12で撮像された動画または静止画を、HDD(Hard Disk Drive)やメモリカード等の記録媒体に記録する。
操作系17は、ユーザによる操作の下に、本撮像装置が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源系18は、DSP回路13、フレームメモリ14、表示部15、記録部16、及び、操作系17の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
<撮像素子の構成>
図2は、撮像素子12の構成例を示すブロック図である。撮像素子12は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサとすることができる。
撮像素子12は、画素アレイ部41、垂直駆動部42、カラム処理部43、水平駆動部44、およびシステム制御部45を含んで構成される。画素アレイ部41、垂直駆動部42、カラム処理部43、水平駆動部44、およびシステム制御部45は、図示しない半導体基板(チップ)上に形成されている。
画素アレイ部41には、入射光量に応じた電荷量の光電荷を発生して内部に蓄積する光電変換素子を有する単位画素(例えば、図3の画素50)が行列状に2次元配置されている。なお、以下では、入射光量に応じた電荷量の光電荷を、単に「電荷」と記述し、単位画素を、単に「画素」と記述する場合もある。
画素アレイ部41にはさらに、行列状の画素配列に対して行ごとに画素駆動線46が図の左右方向(画素行の画素の配列方向)に沿って形成され、列ごとに垂直信号線47が図の上下方向(画素列の画素の配列方向)に沿って形成されている。画素駆動線46の一端は、垂直駆動部42の各行に対応した出力端に接続されている。
撮像素子12はさらに、信号処理部48およびデータ格納部49を備えている。信号処理部48およびデータ格納部49については、撮像素子12とは別の基板に設けられる外部信号処理部、例えばDSP(Digital Signal Processor)やソフトウエアによる処理でも良いし、撮像素子12と同じ基板上に搭載しても良い。
垂直駆動部42は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、画素アレイ部41の各画素を、全画素同時あるいは行単位等で駆動する画素駆動部である。この垂直駆動部42は、その具体的な構成については図示を省略するが、読み出し走査系と、掃き出し走査系あるいは、一括掃き出し、一括転送を有する構成となっている。
読み出し走査系は、単位画素から信号を読み出すために、画素アレイ部41の単位画素を行単位で順に選択走査する。行駆動(ローリングシャッタ動作)の場合、掃き出しについては、読み出し走査系によって読み出し走査が行われる読み出し行に対して、その読み出し走査よりもシャッタスピードの時間分だけ先行して掃き出し走査が行われる。また、グローバル露光(グローバルシャッタ動作)の場合は、一括転送よりもシャッタスピードの時間分先行して一括掃き出しが行われる。
この掃き出しにより、読み出し行の単位画素の光電変換素子から不要な電荷が掃き出される(リセットされる)。そして、不要電荷の掃き出し(リセット)により、いわゆる電子シャッタ動作が行われる。ここで、電子シャッタ動作とは、光電変換素子の光電荷を捨てて、新たに露光を開始する(光電荷の蓄積を開始する)動作のことを言う。
読み出し走査系による読み出し動作によって読み出される信号は、その直前の読み出し動作または電子シャッタ動作以降に入射した光量に対応するものである。行駆動の場合は、直前の読み出し動作による読み出しタイミングまたは電子シャッタ動作による掃き出しタイミングから、今回の読み出し動作による読み出しタイミングまでの期間が、単位画素における光電荷の蓄積期間(露光期間)となる。グローバル露光の場合は、一括掃き出しから一括転送までの期間が蓄積期間(露光期間)となる。
垂直駆動部42によって選択走査された画素行の各単位画素から出力される画素信号は、垂直信号線47の各々を通してカラム処理部43に供給される。カラム処理部43は、画素アレイ部41の画素列ごとに、選択行の各単位画素から垂直信号線47を通して出力される画素信号に対して所定の信号処理を行うとともに、信号処理後の画素信号を一時的に保持する。
具体的には、カラム処理部43は、信号処理として少なくとも、ノイズ除去処理、例えばCDS(Correlated Double Sampling;相関二重サンプリング)処理を行う。このカラム処理部43による相関二重サンプリングにより、リセットノイズや増幅トランジスタの閾値ばらつき等の画素固有の固定パターンノイズが除去される。なお、カラム処理部43にノイズ除去処理以外に、例えば、AD(アナログーデジタル)変換機能を持たせ、信号レベルをデジタル信号で出力することも可能である。
水平駆動部44は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、カラム処理部43の画素列に対応する単位回路を順番に選択する。この水平駆動部44による選択走査により、カラム処理部43で信号処理された画素信号が順番に信号処理部48に出力される。
システム制御部45は、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータ等によって構成され、タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号を基に垂直駆動部42、カラム処理部43、および水平駆動部44などの駆動制御を行う。
信号処理部48は、少なくとも加算処理機能を有し、カラム処理部43から出力される画素信号に対して加算処理等の種々の信号処理を行う。データ格納部49は、信号処理部48での信号処理に当たって、その処理に必要なデータを一時的に格納する。
<単位画素の構造>
次に、画素アレイ部41に行列状に配置されている単位画素50の具体的な構造について説明する。以下に説明する画素50によると、Si(シリコン)基板(図3においては、Si基板70)の光入射側のピニングが弱体化し、発生した電荷がフォトダイオード(図3においては、PD71)に流れ込んでDark特性が悪化し、例えば、白点が生じたり、暗電流が発生したりする可能性を低減させることができる。
<第1の実施の形態における画素の構成例>
図3は、本技術が適用された画素50の第1の実施の形態における画素50aの垂直方向の断面図であり、図4は、画素50aの表面側の平面図である。なお、図3は、図4中の線分X−X’の位置に対応するものである。
以下に説明する画素50は、裏面照射型である場合を例に挙げて説明を行うが、表面照射型に対しても本技術を適用することはできる。
図3に示した画素50は、Si基板70の内部に形成された各画素の光電変換素子であるPD(フォトダイオード)71を有する。PD71の光入射側(図中、下側であり、裏面側となる)には、P型領域72が形成され、そのP型領域72のさらに下層には、平坦化膜73が形成されている。このP型領域72と平坦化膜73の境界を、裏面Si界面75とする。
平坦化膜73には、遮光膜74が形成されている。遮光膜74は、隣接する画素への光の漏れ込みを防止するために設けられ、隣接するPD71の間に形成されている。遮光膜74は、例えば、W(タングステン)等の金属材から成る。
平坦化膜73上であり、Si基板70の裏面側には、入射光をPD71に集光させるOCL(オンチップレンズ)76が形成されている。OCL76は、無機材料で形成することができ、例えば、SiN、SiO、SiOxNy(ただし、0<x≦1、0<y≦1である)を用いることができる。
図3では図示していないが、OCL76上にカバーガラスや、樹脂などの透明板が接着されている構成とすることもできる。また、図3では図示していないが、OCL76と平坦化膜73との間にカラーフィルタ層を形成した構成としても良い。またそのカラーフィルタ層は、複数のカラーフィルタが画素毎に設けられており、各カラーフィルタの色は、例えば、ベイヤ配列に従って並べられているように構成することができる。
PD71の光入射側の逆側(図中、上側であり、表面側となる)には、アクティブ領域(Pwell)77が形成されている。アクティブ領域77には、画素トランジスタ等を分離する素子分離領域(以下、STI(Shallow Trench Isolation)と称する)78が形成されている。
Si基板70の表面側(図面上側)であり、アクティブ領域77上には、配線層79が形成されており、この配線層79には、複数のトランジスタが形成されている。図3では、転送トランジスタ80が形成されている例を示した。転送トランジスタ(ゲート)80は、縦型トランジスタで形成されている。すなわち、転送トランジスタ(ゲート)80は、縦型トランジスタトレンチ81が開口され、そこにPD71から電荷を読み出すための転送ゲート(TG)80が形成されている。
さらに、Si基板70の表面側にはアンプ(AMP)トランジスタ、選択(SEL)トランジスタ、リセット(RST)トランジスタ等の画素トランジスタが形成されている。これらのトランジスタの配置については、図4を参照して説明し、動作については、図5の回路図を参照して説明する。
画素50a間には、トレンチが形成されている。このトレンチを、DTI(Deep Trench Isolation)82と記述する。このDTI82は、隣接する画素50a間に、Si基板70を深さ方向(図中縦方向であり、表面から裏面への方向)に貫く形状で形成される。また、DTI82は、隣接する画素50aに不要な光が漏れないように、画素間の遮光壁としても機能する。
PD71とDTI82との間には、DTI82側からPD71に向かって順にP型固相拡散層83とN型固相拡散層84が形成されている。P型固相拡散層83は、DTI82に沿ってSi基板70の裏面Si界面75に接するまで形成されている。N型固相拡散層84は、DTI82に沿ってSi基板70のP型領域72に接するまで形成されている。
なお、固相拡散層とは、不純物ドーピングによるP型層とN型層の形成を、後述する製法によって形成した層を指すが、本技術では固相拡散による製法に限られず、イオン注入などの別の製法によって生成されたP型層とN型層をDTI82とPD71との間にそれぞれ設けてもよい。また、実施の形態におけるPD71はN型領域で構成されている。光電変換は、これらN型領域の一部、または全てにおいて行われる。
P型固相拡散層83は裏面Si界面75に接するまで形成されているが、N型固相拡散層84は裏面Si界面75に接しておらず、N型固相拡散層84と裏面Si界面75の間に間隔が設けられている。
このような構成により、P型固相拡散層83とN型固相拡散層84のPN接合領域は強電界領域を成し、PD71にて発生された電荷を保持するようにされている。このような構成によれば、DTI82に沿って形成したP型固相拡散層83とN型固相拡散層84が強電界領域を成し、PD71にて発生された電荷を保持することができる。
仮に、N型固相拡散層84が、DTI82に沿ってSi基板70の裏面Si界面75に接するまで形成されていた場合、光の入射面側であるSi基板70の裏面Si界面75とN型固相拡散層84が接する部分で、電荷のピニングが弱体化してしまうため、発生した電荷がPD71に流れ込んでDark特性が悪化してしまい、例えば、白点が生じたり、暗電流が発生したりしてしまう可能性がある。
しかしながら、図3に示した画素50aにおいては、N型固相拡散層84が、Si基板70の裏面Si界面75とは接しない構成とされ、DTI82に沿ってSi基板70のP型領域72に接する形成とされている。このような構成とすることで、電荷のピニングが弱体化してしまうことを防ぐことができ、電荷がPD71に流れ込んでDark特性が悪化してしまうようなことを防ぐことが可能となる。
また、図3に示した画素50aは、DTI82の内壁に、SiO2から成る側壁膜85が形成され、その内側にはポリシリコンから成る充填剤86が埋め込まれている。
第1の実施の形態における画素50aは、裏面側にP型領域72が設けられており、PD71およびN型固相拡散層84が裏面Si界面75付近に存在しないような構成とされている。これにより、裏面Si界面75付近におけるピニングの弱体化が生じないので、発生した電荷がPD71に流れ込んでDark特性が悪化してしまうようなことを抑止することができる。
なお、DTI82については、側壁膜85に採用したSiO2の代わりSiNを採用してもよい。また、充填剤86に採用したポリシリコンの代わりにドーピングポリシリコンを用いてもよい。ドーピングポリシリコンを充填した場合、または、ポリシリコンを充填した後にN型不純物またはP型不純物をドーピングした場合には、そこに負バイアスを印加すれば、DTI82の側壁のピニングを強化することができるので、Dark特性をさらに改善することができる。
図4、図5を参照し、画素50aに形成されているトランジスタの配置と、各トランジスタの動作について説明する。図4は、画素アレイ部41(図2)に配置されている3×3の9画素50aを表面側(図3において、図中上側)から見たときの平面図であり、図5は、図4に示した各トランジスタの接続関係を説明するための回路図である。
図4中、1つの四角形は、1画素50aを表す。図4に示したように、DTI82は、画素50a(画素50aに含まれるPD71)を取り囲むように形成されている。また、画素50aの表面側には、転送トランジスタ(ゲート)80、FD(フローティングディフュージョン)91、リセットトランジスタ92、増幅トランジスタ93、および選択トランジスタ94が形成されている。
PD71は、受光した光量に応じた電荷(信号電荷)を生成し、かつ、蓄積する。PD71は、アノード端子が接地されているとともに、カソード端子が転送トランジスタ80を介して、FD91に接続されている。
転送トランジスタ80は、転送信号TRによりオンされたとき、PD71で生成された電荷を読み出し、FD91に転送する。
FD91は、PD71から読み出された電荷を保持する。リセットトランジスタ92は、リセット信号RSTによりオンされたとき、FD91に蓄積されている電荷がドレイン(定電圧源Vdd)に排出されることで、FD91の電位をリセットする。
増幅トランジスタ93は、FD91の電位に応じた画素信号を出力する。すなわち、増幅トランジスタ93は、垂直信号線33を介して接続されている定電流源としての負荷MOS(不図示)とソースフォロワ回路を構成し、FD91に蓄積されている電荷に応じたレベルを示す画素信号が、増幅トランジスタ93から選択トランジスタ94と垂直信号線47を介してカラム処理部43(図2)に出力される。
選択トランジスタ94は、選択信号SELにより画素31が選択されたときオンされ、画素31の画素信号を、垂直信号線33を介してカラム処理部43に出力する。転送信号TR、選択信号SEL、及びリセット信号RSTが伝送される各信号線は、図2の画素駆動線46に対応する。
画素50aは、以上のように構成することができるが、この構成に限定されるものではなく、その他の構成を採用することもできる。
<DTI82周辺の製造方法>
図6は、DTI82周辺の製造方法を説明するための図である。
Si基板70にDTI82を開口するに際しては、図6のAに示されるように、Si基板70上のDTI82を形成する位置以外をSiNとSiO2を用いたハードマスクで覆い、ハードマスクによって覆われていない部分をドライエッチングによりSi基板70の所定の深さまで垂直方向に溝が開口される。
次に、開口された溝の内側にN型の不純物であるP(リン)を含むSiO2膜を成膜してから熱処理を行い、SiO2膜からSi基板70側にP(リン)をドーピング(以下、固相拡散と称する)させる。
次に、図6のBに示されるように、開口した溝の内側に成膜したPを含むSiO2膜を除去してから、再び熱処理を行い、P(リン)をSi基板70の内部にまで拡散させることによって、現状の溝の形状にセルフアラインされたN型固相拡散層84が形成される。この後、ドライエッチングにより溝の底部がエッチングされることにより、深さ方向に延長される。
次に、図6のCに示されるように、延長した溝の内側にP型の不純物であるB(ボロン)を含むSiO2膜が成膜されてから熱処理が行われ、SiO2膜からSi基板70側にB(ボロン)が固相拡散されることにより、延長された溝の形状にセルフアラインされたP型固相拡散層83が形成される。
この後、溝の内壁に成膜されているB(ボロン)を含むSiO2膜が除去される。
次に図6のDに示されるように、開口されている溝の内壁にSiO2から成る側壁膜85を成膜し、ポリシリコンを充填してDTI82を形成する。その後、画素トランジスタや配線が形成される。その後、裏面側からSi基板70が薄膜化される。この薄膜化されるとき、DTI82の底部はP型固相拡散層83を含めて同時に薄膜化される。この薄膜化は、N型固相拡散層84に達しない深さまで行うものとする。
以上の工程を経ることにより、裏面Si界面75に接していないN型固相拡散層84と、裏面Si界面75に接しているP型固相拡散層83とから成る強電界領域をPD71に隣接して形成することができる。
<第2の実施の形態>
図7は、本技術が適用された第2の実施の形態における画素50bの垂直方向の断面図である。
第2の実施の形態では、DTI82がSTI78に形成されている点が、第1の実施の形態と異なり、その他の構成は第1の実施の形態と同様であり、同様の部分には、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。この後の画素50の説明においても、第1の実施の形態における画素50bと同一の部分には、同一の符号を付し、その説明は適宜説明を省略する。
図7に示した画素50bにおいては、アクティブ領域77に形成されているSTI78bが、DTI82bが形成される部分まで形成(画素50bの端部まで形成)されている。そして、そのSTI78bの下部にDTI82bが形成されている。
換言すれば、DTI82bが形成されている部分に、STI78bが形成され、STI78bとDTI82bが接するような位置に、STI78bとDTI82bが形成されている。
このような形成とすることで、STI78bとDTI82bを別の位置に形成する場合(例えば、第1の実施の形態における画素50a(図3))と比べ、画素50bを小型化することが可能となる。
また第2の実施の形態における画素50bによっても、第1の実施の形態における画素50aと同様の効果、すなわち、Dark特性が悪化することを防ぐことができるという効果を得ることができる。
<第3の実施の形態>
図8は、本技術が適用された第3の実施の形態における画素50cの垂直方向の断面図である。
第3の実施の形態では、DTI82cの側壁に負の固定電荷をもった膜101が形成され、その内側に充填剤86cとしてSiO2が充填されている点が第1、第2の実施の形態における画素50a、画素50bと異なる。
第1の実施の形態における画素50aは、DTI82の側壁にSiO2の側壁膜85が形成され、ポリシリコンが充填されている構成とされているのに対し第3の実施の形態における画素50cは、DTI82cの側壁に負の固定電荷をもった膜101が形成され、その内側にSiO2が充填されている。
DTI82cの側壁に形成する負の固定電荷を有する膜101は、例えば、酸化ハフニウム(HfO2)膜、酸化アルミニウム(Al2O3)膜、酸化ジルコニウム(ZrO2)膜、酸化タンタル(Ta2O5)膜、もしくは酸化チタン(TiO2)膜で形成することができる。上記した種類の膜は、絶縁ゲート型電界効果トランジスタのゲート絶縁膜等に用いられている実績があり、そのため、成膜方法が確立されているので容易に成膜することができる。
成膜方法としては、例えば、化学気相成長法、スパッタリング法、原子層蒸着法等が挙げられるが、原子層蒸着法を用いれば、成膜中に界面準位を低減するSiO2層を同時に1nm程度形成することができるので好適である。
また、上記以外の材料としては、酸化ランタン(La2O3)、酸化プラセオジム(Pr2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化ネオジム(Nd2O3)、酸化プロメチウム(Pm2O3)、酸化サマリウム(Sm2O3)酸化ユウロピウム(Eu2O3)、酸化ガドリニウム(Gd2O3)、酸化テルビウム(Tb2O3)、酸化ジスプロシウム(Dy2O3)、酸化ホルミウム(Ho2O3)、酸化エルビウム(Er2O3)、酸化ツリウム(Tm2O3)、酸化イッテルビウム(Yb2O3)、酸化ルテチウム(Lu2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)等があげられる。
さらに、上記負の固定電荷を有する膜101は、窒化ハフニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸窒化ハフニウム膜または酸窒化アルミニウム膜で形成することも可能である。
上記負の固定電荷を有する膜101は、絶縁性を損なわない範囲で、膜中にシリコン(Si)や窒素(N)が添加されていてもよい。その濃度は、膜の絶縁性が損なわれない範囲で適宜決定される。ただし、白点等の画像欠陥を生じさせないようにするために、上記シリコンや窒素等の添加物は、上記負の固定電荷を有する膜101の表面、すなわち上記PD71側とは反対側の面に添加されていることが好ましい。このように、シリコン(Si)や窒素(N)が添加されることによって、膜の耐熱性やプロセスの中でのイオン注入の阻止能力を上げることが可能になる。
第3の実施の形態では、DTI82のトレンチ側壁のピニングを強化することが可能である。よって、例えば、第1の実施の形態における画素50aと比較したとき、画素50cによれば、Dark特性が悪化するようなことをより確実に防ぐことが可能となる。
第3の実施の形態におけるDTI82を形成するために、図6のDに示された状態から裏面側を、充填剤86として充填されたポリシリコンが露出するまで研磨された後に、フォトレジストとウェットエッチングにより溝内部の充填剤86(ポリシリコン)と側壁膜85(SiO2)を除去し、膜101を成膜してからSiO2を溝に充填すればよい。
なお、充填剤としてSiO2の代わりに、溝の内部をW(タングステン)等の金属材で充填してもよい。この場合、斜め方向からの入射光に対するDTI82での光透過が抑制されるので混色を改善することができる。
<第4の実施の形態>
図9は、本技術が適用された第4の実施の形態における画素50dの垂直方向の断面図である。
第4の実施の形態では、DTI82に沿って形成されているN型固相拡散層84dが、Si基板70の深さ方向に濃度勾配を持っている点が、第1の実施の形態における画素50aと異なり、その他の構成は第1の実施の形態における画素50aと同様である。
第1の実施の形態における画素50aのN型固相拡散層84のN型の不純物の濃度は、深さ方向に関係なく、一定の濃度とされていたのに対し、第4の実施の形態における画素50dのN型固相拡散層84dのN型の不純物の濃度は、深さ方向に依存した異なる濃度とされている。
すなわち、画素50dのN型固相拡散層84dの表面側に近いN型固相拡散層84d−1は、N型の不純物の濃度が濃く、裏面側に近いN型固相拡散層84d−2は、N型の不純物の濃度が薄く形成されている。
第4の実施の形態における画素50dは、第1の実施の形態における画素50aと同様の効果が得られることに加えて、N型固相拡散層84dに濃度勾配を設けたことにより、裏面側のポテンシャルが浅くなり、電荷を読み出し易くすることできるという新たな効果を得ることもできる。
N型固相拡散層84dに濃度勾配を設けるには、例えば、DTI82の溝を開口する際に溝の側壁にエッチングダメージが入るので、そのダメージ量による固相拡散ドーピング量の違いを利用することができる。
なお、N型固相拡散層84dに濃度勾配を設ける代わりに、表面側に近いP型固相拡散層83dのP型不純物の濃度を薄くし、裏面側に近いP型固相拡散層83dのP型不純物の濃度が濃くなるように形成するようにしてもよい。この場合にも、N型固相拡散層84dに濃度勾配を設けた場合と同様の効果を得ることができる。
また、N型固相拡散層84dとP型固相拡散層83dの両方に、それぞれ濃度勾配を持たせてもよい。
<第5の実施の形態>
図10は、本技術が適用された第5の実施の形態における画素50eの垂直方向の断面図である。
第5の実施の形態における画素50eは、DTI82eの内壁に形成されているSiO2から成る側壁膜85eが、第1の実施の形態における画素50eの側壁膜85と比較して厚く形成されている点が第1の実施の形態と異なり、その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
SiO2は、Siに比較して光の屈折率が低いので、Si基板70に入射した入射光は、スネルの法則に従って反射して隣接画素50に光が透過することが抑制されるが、側壁膜85の膜厚が薄いとスネルの法則が完全に成り立たずに透過光が増えてしまう可能性がある。
第5の実施の形態における画素50eの側壁膜85eの膜厚は、厚く形成されているため、スネルの法則からの乖離を少なくすることができ、入射光の側壁膜85eでの反射が増えて隣接画素50eへの透過を減らすことができる。よって、第5の実施の形態における画素50eは、第1の実施の形態における画素50aと同様の効果を得られることに加えて、斜め入射光に起因する隣接画素50eへの混色を抑止することができるという効果も得ることができる。
<第6の実施の形態>
図11は、本技術が適用された第6の実施の形態における画素50fの垂直方向の断面図である。
第6の実施の形態における画素50fは、PD71と裏面Si界面75の間の領域111にP型不純物をドーピングすることにより、Si基板70におけるP型不純物の濃度が表面側よりも裏面側が濃くなるように濃度勾配が設けられている点が、第1の実施の形態の画素50aと異なり、その他の構成は第1の実施の形態の画素50aと同様である。
第1の実施の形態の画素50aは、図3を再度参照するに、Si基板70に濃度勾配が無く、裏面Si界面75との間に、P型領域72が形成されていた。第6の実施の形態における画素50fは、Si基板70に濃度勾配が設けられている。その濃度勾配は、P型不純物の濃度が表面側よりも裏面側(P型領域111側)が濃くなるような濃度勾配とされている。
このような濃度勾配を有する第6の実施の形態における画素50fによれば、第1の実施の形態における画素50aと同様の効果を得られることに加えて、第1の実施の形態における画素50aよりも、電荷を読み出し易くなるというさらなる効果を得ることができる。
<第7の実施の形態>
図12は、本技術が適用された第7の実施の形態における画素50gの垂直方向の断面図である。
第7の実施の形態のおける画素50gは、第1の実施の形態における画素50aと比較して、Si基板70の厚さが厚くなっており、Si基板70の厚さが厚くなるに伴い、DTI82などの深く形成されている点が、画素50aと異なる。
第7の実施の形態のおける画素50gは、Si基板70gが厚く形成されている。Si基板70gが厚く形成されていることに伴い、PD71gの面積(体積)が増加し、DTI82gも深く形成される。またDTI82gが深く形成されるのに伴い、P型固相拡散層83gとN型固相拡散層84gも深く(広く)形成される。
P型固相拡散層83gとN型固相拡散層84gが広くなることで、P型固相拡散層83gとN型固相拡散層84gから構成されるPN接合領域の面積が広くなる。よって、第7の実施の形態における画素50gは、第1の実施の形態における画素50gと同様の効果を得られることに加えて、第1の実施の形態における画素50aよりも、さらに飽和電荷量Qsを増加させることができる。
<第8の実施の形態>
図13は、本技術が適用された第8の実施の形態における画素50hの垂直方向の断面図である。
第8の実施の形態における画素50hは、図12に示した第7の実施の形態における画素50gと同じく、Si基板70gの深さ方向の長さが延長された画素とされている。
さらに画素50rにおいては、PD71に対し、その裏面側にイオン注入によりP型領域121−1、N型領域122、およびP型領域121−2が形成されている。P型領域121−1、N型領域122、およびP型領域121−2で形成されるPN接合部には、強電界が生じるため、電荷を保持することができる。
よって、第8の実施の形態における画素50hは、第7の実施の形態における画素50gと同様の効果が得られることに加えて、さらに飽和電荷量Qsを増加させることができる。
<第9の実施の形態>
図14は、本技術が適用された第9の実施の形態における画素50iの垂直方向の断面図である。
第9の実施の形態における画素50iは、Si基板70の表面側にMOSキャパシタ131および画素トランジスタ(不図示)が形成されている点が、第1の実施の形態における画素50aと異なり、その他の構成は、第1の実施の形態における画素50aと同様である。
通常、PD71の飽和電荷量Qsを大きくしても、変換効率を下げないと垂直信号線VSL(図2に示した垂直信号線47)の振幅リミットで出力が制限されてしまい、増加された飽和電荷量Qsを生かしきることが困難である。
PD71の変換効率を下げるためには、FD91(図4)に容量を付加する必要がある。そこで、第9の実施の形態における画素50iは、MOSキャパシタ131がFD91(図11では不図示)に付加する容量として追加された構成とされている。
第9の実施の形態における画素50iは、第1の実施の形態における画素50aと同様の効果を得られることに加えて、FD91にMOSキャパシタ131を付加したことにより、PD71の変換効率を下げることができ、増加された飽和電荷量Qsを生かしきることができる構成とすることができる。
<第10の実施の形態>
図15は、本技術が適用された第10の実施の形態における画素50jの垂直方向の断面図である。
第10の実施の形態における画素50jは、アクティブ領域77に形成されているウェルコンタクト部151に2つのコンタクト152が形成され、コンタクト152は、Cu配線153と接続されている点が第1の実施の形態における画素50aと異なり、その他の構成は第1の実施の形態における画素50aと同様である。
このように、ウェルコンタクト部151を備える構成とすることもできる。なお、図15では、2つのコンタクト152が形成されている例を示したが、ウェルコンタクト部151に2以上のコンタクト152を形成してもよい。
第10の実施の形態における画素50jによれば、第1の実施の形態における画素50aと同様の効果を得られることに加えて、重欠陥歩留まりを改善することができる。
<第11の実施の形態>
図16は、本技術が適用された第11の実施の形態における画素50kの垂直方向断面図と平面図を表す。
第11の実施の形態における画素50kは、縦型トランジスタトレンチ81kが画素50kの中央に開口されて転送トランジスタ(ゲート)80kが形成されている点が、第1の実施の形態における画素50aと異なり、その他の構成は第1の実施の形態における画素50aと同様である。
図16に示した画素50kは、転送トランジスタ(ゲート)80kが、PD71の各外周から等距離に位置した状態で形成されている。よって、第11の実施の形態における画素50kによれば、第1の実施の形態における画素50aと同様の効果を得られることに加えて、転送トランジスタ(ゲート)がPD71の各外周から等距離に存在することになるので、電荷の転送を改善することができる。
<第12の実施の形態>
図17は、本技術が適用された第12の実施の形態における画素50mの垂直方向断面図と平面図を表す。
第12の実施の形態における画素50mは、転送トランジスタ80mが2本の縦型トランジスタトレンチ81−1,81−2によって形成されている点が、第1の実施の形態における画素50aと異なり、他の点は同様に構成されている。
第1の実施の形態における画素50a(図3)は、転送トランジスタ80が1本の縦型トランジスタトレンチ81を備える構成とされていたが、第12の実施の形態における画素50mは、転送トランジスタ80mが2本の縦型トランジスタトレンチ81−1,81−2によって形成されている。
このように、2本の縦型トランジスタトレンチ81−1,81−2を備える構成とすることで、転送トランジスタ80kの電位を変えたときの2本の縦型トランジスタトレンチ81−1と縦型トランジスタトレンチ81−2に挟まれた領域のポテンシャルの追随性が向上する。よって、変調度を上げることができる。この結果、電荷の転送効率を改善することができる。
また、第1の実施の形態における画素50aと同様の効果も得られる。
なお、ここでは、転送トランジスタ80kが、2本の縦型トランジスタトレンチ81−1と縦型トランジスタトレンチ81−2を備える例を示して説明を行ったが、各画素領域に2本以上の縦型トランジスタトレンチ81が形成されるようにしても良い。
また、2本の縦型トランジスタトレンチ81−1と縦型トランジスタトレンチ81−2が同一の大きさ(長さ、太さ)で形成されている例を示したが、複数の縦型トランジスタトレンチ81が形成される場合、異なる大きさの縦型トランジスタトレンチ81が形成されるようにしても良い。例えば、2本の縦型トランジスタトレンチ81−1と縦型トランジスタトレンチ81−2のうち、一方を他方よりも長く形成したり、一方を他方よりも太く形成したりしても良い。
<第13の実施の形態>
図18は、本技術が適用された第13の実施の形態における画素50nの垂直方向の断面図である。
第13の実施の形態における画素50nは、遮光膜74の構成が、第1の実施の形態における画素50aと異なり、他の構成は同様とされている。
第13の実施の形態における画素50nは、DTI82nの上側と下側に、それぞれ遮光膜74n−1と遮光膜74n−2が形成されている。第1の実施の形態における画素50a(図3)は、DTI82の裏面側(図面下側)に、その裏面側を覆う遮光膜74が形成されていたが、画素50n(図18)は、その遮光膜74と同じ金属材(例えば、タングステン)により、DTI82nの内部が充填されているとともに、Si基板70の表面側(図面上側)も覆われている。
すなわち、各画素領域の裏面以外(光入射面以外)が金属材で囲まれた構成とされている。ただし、画素50nを、画素50nの裏面以外を金属材で囲んだ構成とした場合、遮光膜74n−2の、転送トランジスタ80nが位置する部分は開口され、外部との接続用の端子が形成されるなど、必要な箇所には、適宜開口部分が設けられている。
なお、遮光膜74等には、タングステン(W)以外の金属材を用いてもよい。
第13の実施の形態における画素50nによれば、入射光が隣接画素50nに漏れ出すことを防ぐことができるため混色を抑止することができる。
また、裏面側から入射して光電変換されずに表面側に到達した光は、金属材(遮光膜74n−2)により反射されて再びPD71に入射される構成とすることができる。よって、第13の実施の形態における画素50nでは、第1の実施の形態における画素50aと同様の効果を得られることに加えて、PD71の感度をより向上させることができる。
<第14の実施の形態>
図19は、本技術が適用された第14の実施の形態における画素50pの垂直方向の断面図である。
第14の実施の形態における画素50pは、裏面側に形成されているP型固相拡散層83pや側壁膜85pの形状が、第1の実施の形態における画素50aと異なり、その他の構成は、第1の実施の形態における画素50aと同様である。
画素50pの裏面側のP型固相拡散層83pは、N型固相拡散層84pの下側に張り出すような形状で形成されている。画素50pは、P型領域72pの端部に、P型領域72p内に張り出すような形状で形成されているP型固相拡散層83pを有する。またP型固相拡散層83p内に形成されている側壁膜85pも、P型領域72p方向に張り出すような形状で形成されている。さらに、側壁膜85p内に形成されている充填剤86pも、P型領域72p方向に張り出すような形状で形成されている。
このような形状とすることで、N型固相拡散層84pが、Si基板70の裏面Si界面75とより確実に接しない構成とすることができる。よって、電荷のピニングが弱体化してしまうことを防ぐことができ、電荷がPD71に流れ込んでDark特性が悪化してしまうようなことを防ぐことが可能となる。
N型固相拡散層84pを形成する際、その深さや濃度にはばらつきがある可能性がある。例えば、A画素50のN型固相拡散層84の深さは、B画素50のN型固相拡散層84の深さよりも深く形成されるといったようなばらつきがある可能性がある。この場合、深く形成されたN型固相拡散層84は、P型領域72内や、P型領域72を貫き、Si基板70の裏面Si界面75に達してしまう可能性がある。
また、例えば、A画素50のN型固相拡散層84のN型不純物の濃度が、B画素50のN型固相拡散層84のN型不純物の濃度よりも濃く形成されるといったようなばらつきがある可能性がある。この場合、濃く形成されたN型固相拡散層84は、P型領域72内や、P型領域72を貫き、Si基板70の裏面Si界面75に達してしまう可能性がある。
画素50pにおいては、N型固相拡散層84pの裏面Si界面75側には、P型領域72pだけでなく、P型固相拡散層83pが、張り出すような形でN型固相拡散層84pの下側にも形成されているため、仮に、上記したように、N型固相拡散層84pの深さや濃度にばらつきが発生しても、そのばらつきを吸収し、確実に、P型固相拡散層83pにて、Si基板70の裏面Si界面75にN型固相拡散層84pが接するようなことを防ぐことができる。
第14の実施の形態における画素50pは、第1の実施の形態における画素50aと同様の効果を得られる。
<強電界領域の形状について>
上記した第1乃至第14の実施の形態における画素50は、例えば、図20に示したように、平面視において、DTI82に取り囲まれるように形成されている。DTI82の側壁には、P型固相拡散層83とN型固相拡散層84が形成されることによるPN接合領域が形成されており、このPN接合領域は、強電界領域を形成している。なお、上記および以下の説明において、PN接合領域は、P型固相拡散層83とN型固相拡散層84のみから構成されている場合を含むのはもちろんであるが、そのP型固相拡散層83とN型固相拡散層84との間に空乏層領域が存在している場合も含まれる。
図20に示したように、PD71は、N型固相拡散層84で囲まれている。そのN型固相拡散層84は、P型固相拡散層83で囲まれている。さらに、P型固相拡散層83は、DTI82で囲まれている。
上記したように、P型固相拡散層83とN型固相拡散層84によりPN接合領域が形成され、強電界領域が、PD71の周りに形成されていることにより、飽和電荷量を向上させることができる。平面視において、図20に示したように、PN接合領域を直線形状で形成する場合よりも飽和電荷量をさらに向上させるPN接合領域の形状について以下に説明を加える。
以下に、強電界領域の形状に関して第15乃至第19の実施の形態として説明するが、この第15乃至第19の実施の形態のいずれかの実施の形態と、上記した第1乃至第14の実施の形態のいずれかを組み合わせることが可能である。
また、上述および以下に説明において、PN接合領域は、DTI82側からPD71側にP型固相拡散層83、N型固相拡散層84の順で配置されている場合を例に挙げて説明するが、PD71の構成によっては、DTI82側からPD71側にN型固相拡散層84、P型固相拡散層83の順で配置されているPN接合領域であっても良い。DTI82の側壁に設けられているPN接合領域は、第1の不純物を含む第1の不純物領域と第2の不純物を含む第2の不純物領域とから構成され、第1の不純物をN型の不純物とし、第2の不純物をP型の不純物とした場合、または第1の不純物をP型の不純物とし、第2の不純物をN型の不純物とした場合に、本技術を適用できる。
また、上記および以下に説明するP型またはN型とは、所定の材料に対して、P型として機能するまたはN型として機能する場合を表すとする。ここでは、Si基板70を用いた画素を例に挙げて説明しているため、Si(シリコン)に対して、P型として機能する不純物をP型の不純物とし、N型として機能する不純物をN型の不純物として扱う場合を例に挙げて説明を行う。
<第15の実施の形態>
図21は、本技術が適用された第15の実施の形態における画素50qの水平方向の断面図(平面図)である。
第15の実施の形態における画素50qは、PD71qを囲む強電界領域に凹凸がある形状とされている。図21に示した画素50qを参照するに、画素50qに含まれるPD71q−1に注目したとき、PD71q−1を囲む辺のDTI82qは、凸部(凹部)を有する形状で形成されている。
ここでは、凸部と記述して説明を続けるが、基準とする辺をどこにするかにより、基準とした辺に対して凸となるか凹であるかは異なる。ここでは、DTI82qのうち直線形状で連続的に形成されている部分(図20でDTI82として記述した部分)を基準とし、その基準としたDTI82qに対して突起している部分を凸部として記述し、説明を続ける。
DTI82qの形状に合わせて、P型固相拡散層83qも凸部を有する形状で形成されている。さらに、P型固相拡散層83qの形状に合わせて、N型固相拡散層84qも凸部(P型固相拡散層83qの凸部の部分は、N型固相拡散層84qの凹部となる)を有する形状で形成されている。
P型固相拡散層83qに凸部を設けることで、N型固相拡散層84qと接する面積を増やすことができる。P型固相拡散層83qとN型固相拡散層84qから形成されるPN接合領域が増すことになるため、強電界領域が増すことになる。強電界領域が大きくなることで、強電界領域で保持できる電荷量が増え、飽和電荷量を向上させることができる。
図21に示した画素50qでは、例えば、PD71q−1を囲む4辺のうちの左側に形成されているDTI82q−1の辺には、3つの凸部が形成されている例を示した。この凸部の数は、一例であり、1以上形成されていれば良い。また、形状も、四角形状ではなく、他の形状であっても良い。他の形状としては、第16の実施の形態として後述するような三角形状であっても良い。
また、図21に示した画素50qでは、PD71q−1を囲む4辺にそれぞれ3個の凸部が形成されている例を示したが、4辺のうちの少なくとも1辺に凸部が形成されている構成とすることも可能である。例えば、図22に示した画素50qのように、PD71qを囲む4辺のうちの1辺に、凸部が形成されている構成とすることも可能である。
図22に示した画素50qは、画素50qに含まれるPD71q−1に注目したとき、左側のDTI82q−1に凸部が形成され、右側のDTI82q−2、上側のDTI82q−11、および下側のDTI82q−12には、凸部は形成されていない。このように、PD71qを囲む4辺のうちの1辺に凸部が形成され、強電界領域が他の強電界領域よりも大きく形成されている構成とすることも可能である。
また、図示はしないが、4辺のうちの2辺または3辺に、凸部を設ける構成としても良い。
凸部を設けることで、強電界領域を大きくすることができるが、PD71qの受光面積が小さくなる可能性がある。凸部の大きさは、PD71qの大きさとの関係で設定することができる。また、凸部の大きさは、上記したように、凸部を設ける辺(1乃至4辺のうちの何辺に設けるか)を設定することで調整することができる。また、凸部自体の大きさを調整することでも、強電界領域の大きさを調整することができる。
図23を参照し、凸部の大きさについて説明を加える。図23では、PD71を囲む1辺を例に挙げて説明する。図23のAは、図20に示した凸部が形成されていない場合の1辺を示し、図23のBは、図21または図22に示した凸部が形成されている場合の1辺を示す。なお、図23を参照した説明においては、層の厚さについては考慮せずに説明する。
図23のAを参照するに、凸部が形成されていない場合、DTI82は、直線形状で形成され、そのDTI82に沿ってP型固相拡散層83が形成されている。このため、P型固相拡散層83も、直線形状で形成されている。このP型固相拡散層83の長さを長さL1とする。この長さL1は、PD71の周りに形成されているDTI82の上辺と下辺との間の距離に該当する。
図23のBを参照し、凸部が形成されている場合について説明を加える。図23のBでは、1辺に1つの凸部が形成されている場合を例に挙げて説明を加える。図23のBを参照するに、DTI82qは、直線に1つの凸部がある形状で形成され、そのDTI82qに沿ってP型固相拡散層83qが形成されている。このため、P型固相拡散層83qも、直線と1つの凸部が合わさった形状で形成されている。
このP型固相拡散層83qの凸部の高さに該当する部分の長さを長さL2とする。この長さL2は、P型固相拡散層83qの直線形状に形成されている部分から、凸部の先端の部分までの長さに該当する。凸部を有するP型固相拡散層83qの長さは、図23のBに示したように、長さ(L1+2×L2)となる。
P型固相拡散層83に凸部を形成しない構造とP型固相拡散層83に1つの凸部を形成した構造を比較した場合、凸部を1つ設けることで、(2×L2)分だけP型固相拡散層83の長さが長くなる。P型固相拡散層83の長さは、N型固相拡散層84q(図23のBでは不図示)と接している部分の長さと等しい。よって、凸部を1つ設けることで、(2×L2)分だけP型固相拡散層83とN型固相拡散層84が接する部分が長くなり、PN接合面積が増え、強電界領域を大きくすることができる。
凸部を複数設けることで、P型固相拡散層83とN型固相拡散層84の接合領域を拡大させることができ、強電界領域を大きくすることができる。
凸部の長さL2は、画素50qの大きさにもよるが、例えば、10nm以上に設定することができる。また、凸部が形成されていないP型固相拡散層83の長さL1を1とした場合、凸部が形成されているP型固相拡散層83qの長さL3は、所定の値以上、例えば、1.3倍以上になるように設定される。長さL3は、1つの凸部の長さL2や、凸部の個数により調整することができる。
このように、P型固相拡散層83qの長さL3を、PD71qを囲む4辺のうちの平行に配置されている2辺、例えば、DTI82の上辺と下辺の間の長さよりも長くなるように形成することで、PN接合面積を増やすことができ、強電界領域を大きくすることができる。P型固相拡散層83qは、DTI82qに沿って形成されるため、P型固相拡散層83qの長さL3は、DTI82qの側壁の長さに依存するため、DTI82qの側壁の長さを、PD71qを囲むDTI82uのうちの平行に配置されているDTI82qの間の長さよりも長く形成することで、PN接合面積を増やすことができ、強電界領域を大きくすることができる。
このように、P型固相拡散層83に凸部を形成することで、P型固相拡散層83とN型固相拡散層84の接合面積を拡大することができるため、飽和電荷量を向上させることができる。
このように、凸部を形成する場合の強電界領域の製造の仕方について図24、図25を参照して説明する。ここでは、図21に示したPD71を囲む4辺にそれぞれ凸部を有する構造である場合を例に挙げて説明を続ける。
工程S51(図24)において、DTI82を形成する基板が用意される。基板には、シリコン酸化膜200が形成され、形成されていた溝には絶縁膜(絶縁材料)201が埋められる。シリコン酸化膜200としては、例えば、LP-TEOSが堆積される。
工程S52において、シリコン酸化膜200の一部、絶縁膜201の一部、SiNの一部、Si基板70の一部が、ドライエッチングにより掘り込まれる。この工程S52において深い溝(ディープトレンチ)が形成される。このディープトレンチの形状は、平面形状では、例えば、図26に示したような格子状と凸部が合わさった形状となり、深さは、この後の工程の固相拡散でN型領域を形成したい領域の下端までとされる。
工程S53において、ウエハの全面に、ALD(Atomic Layer Deposition)方が用いられ、P(リン)を含んだシリコン酸化膜(PSG)202が堆積される。この工程S53における処理により、ディープトレンチを形成していないウエハの表面、ディープトレンチの側面、およびディープトレンチの底面に、PSG膜202が形成される。ここでは、P(リン)が用いられているため、PSG膜202は、N型の膜として成膜される。
工程S54において、熱拡散処理が実行される。工程S54において、ウエハがアニールされることで、PSG膜202とSi基板70が接触している領域では、PSG膜202からSi基板70へ、P(リン)が固相拡散される。その結果、図20の工程S54に示したように、N型の不純物領域203が形成される。このN型の不純物領域203は、N型固相拡散層84qとなる領域である。
工程S55において、ウエハ上のPSG膜202が除去される。PSG膜202の除去は、例えば、フッ酸を用いたウェットエッチングにより行うことができる。
工程S56において、ウエハのディープトレンチの底面のシリコンがドライエッチングによりさらに掘り込まれる。このとき、図26に示した格子状のトレインの部分と凸部のトレンチの部分の両方が、さらに掘り込まれる。この時点では、図27に示すように、N型固相拡散層84qとなる領域が形成されている状態である。図27に示したN型固相拡散層84qは、PD71側は、ほぼ直線形状となっている。
工程S54においてリンがSi基板70内に拡散するとき、トレンチ(DTI82q)の凸部の形状や個数に依存し、図27に示したように、PD71側は、ほぼ直線形状になるまで拡散する場合もあり、必ずしも、トレンチの形状と同一の形状に、N型固相拡散層84qが形成されるとは限らない。図27に示したようなN型固相拡散層84qの形状であっても、図21に示したようなN型固相拡散層84qの形状であっても良く、どちらの形状であっても本技術の適用範囲内であり、どちらの形状であっても、同様の効果を得られる。
工程S57(図25)において、ALD(Atomic Layer Deposition)方が用いられ、B(ボロン)を含んだシリコン酸化膜(BSG)205が堆積される。この工程S57における処理により、ディープトレンチを形成していないウエハの表面、ディープトレンチの側面、およびディープトレンチの底面に、BSG膜205が形成される。ここでは、B(ボロン)が用いられているため、BSG膜205は、P型の膜として成膜される。
工程S58において、熱拡散処理が実行される。工程S58において、ウエハがアニールされることで、BSG膜205とSi基板70が接触している領域では、BSG膜205からSi基板70へ、B(ボロン)が固相拡散される。その結果、図25の工程S58に示したように、P型の不純物領域206が形成される。このP型の不純物領域206は、P型固相拡散層83q(図21)となる領域である。
工程S59において、BSG膜205が除去される。BSG膜205の除去は、例えば、フッ酸を用いたウェットエッチングにより行うことができる。
工程S60において、トレンチ内に、充填剤86pとして、ポリシリコンが埋め込まれ、ウエハ上面に堆積された不要なポリシリコンが除去される。また、画素トランジスタや配線なども形成される。その後、裏面側からSi基板70が薄膜化される。この薄膜化は、ディープトレンチの底部が露出する程度まで行われる。
このようにして、図21または図22に示したような凸部を有するP型固相拡散層83qが形成されることで、強電界領域が拡大された画素50qが形成される。
<第16の実施の形態>
図28は、本技術が適用された第16の実施の形態における画素50rの平面図である。
第16の実施の形態における画素50rは、第15の実施の形態における画素50qと同じくPD71rを囲む強電界領域に凹凸がある形状とされている。図28に示した画素50rの凸部は、三角形状である点が、図21に示した画素50qと異なり、他の点は基本的に同様であるため、重複する説明は省略する。
図28に示した画素50rでは、PD71を囲む4辺のうち2辺に凸部が形成されている例を示した。PD71を囲む4辺のうち少なくとも1辺に凸部が形成されている構成とすることができ、4辺のうちの1辺、2辺、3辺または4辺に凸部が形成されている構成とすることができる。
図28に示した画素50rでは、例えば、PD71r−1を囲む4辺のうちの左側に形成されているDTI82r−1の辺には、2つの三角形状の凸部が形成されている例を示した。この凸部の数は、一例であり、1以上形成されていれば良い。また、形状も、三角形状であっても、頂点が丸まっていたり、三角を構成する辺が直線でなく曲線であったりしても良い。また、三角形状ではなく、半円や楕円に近い形状や、多角形であっても良い。
三角形状の凸部を形成する場合の凸部の高さは、画素50qの大きさにもよるが、例えば、10nm以上に設定することができる。また、図23を参照して説明した場合と同じく、凸部が形成されていないP型固相拡散層83の長さに対する、凸部が形成されているP型固相拡散層83rの長さは、所定の値以上、例えば、1.3倍以上になるように設定される。長さの調整は、1つの凸部の高さや、凸部の個数により調整することができる。
第16の実施の形態における画素50rも、第15の実施の形態における画素50qと同じく、P型固相拡散層83qの長さを、PD71qを囲む4辺のうちの平行に配置されている2辺の間の長さよりも長くなるように形成することできるため、PN接合面積を増やすことができ、強電界領域を大きくすることができる。換言すれば、DTI82rの側壁の長さを、PD71rを囲むDTI82rのうちの平行に配置されているDTI82rの間の長さよりも長く形成することで、PN接合面積を増やすことができ、強電界領域を大きくすることができる。
このように、凸部を形成する場合の強電界領域の製造の仕方について説明する。図28に示した画素50rの製造の仕方は、基本的に図21に示した画素50qと同様であり、図24、図25を参照して説明した製造の仕方と同様であるため、同様の部分は説明を省略し、異なる点について説明を加える。
画素50rのように、三角形状の凸部を形成する場合、工程S52(図24)において、ディープトレンチが形成されるときの工程が、2工程に分けられる点が、画素50q(図21)を製造する際の工程と異なる。
まず工程S52−1として、シリコン酸化膜200の一部、絶縁膜201の一部、SiNの一部、Si基板70の一部が、ドライエッチングにより掘り込まれる。この工程S52により深い溝(ディープトレンチ)が形成される。このディープトレンチの形状は、平面形状では、例えば、図29に示したような格子状と凸部が合わさった形状となり、深さは、この後の工程の固相拡散でN型領域を形成したい領域の下端までとされる。
工程S52−2として、さらに、ウェットエッチングにて、シリコン酸化膜200の一部、絶縁膜201の一部、SiNの一部、Si基板70の一部が掘り込まれる。ウェットエッチングにより、特に凸部の部分の形が結晶面で揃うようにエッチングされることで、ディープトレンチの形状は、平面形状では、例えば、図30に示したような凸部の部分が三角形状に形成された形状となり、深さは、この後の工程の固相拡散でN型領域を形成したい領域の下端までとされる。
このように、ドライエッチングとウェットエッチングを組み合わせることにより、所望とされる形状、この場合、凸部が三角形状のディープトレンチが形成される。この後の工程にて、N型固相拡散層84rに該当する領域が形成されたり、P型固相拡散層83rに該当する領域が形成されたりする工程は、図24、図25を参照して説明した場合と同様に行われる。
図31に、工程S56においてディープトレンチの底面のシリコンがドライエッチングによりさらに掘り込まれた後の画素50rの構成を示す。工程S56においては、図30に示した格子状のトレインの部分と三角形状の凸部のトレンチの部分の両方が、さらに掘り込まれる。この時点では、図31に示すように、N型固相拡散層84rとなる領域が形成されている状態である。
工程S54においてリンがSi基板70内に拡散するとき、トレンチ(DTI82r)の凸部の形状や個数に依存し、図31に示したように、トレンチの形状とほぼ同様の形状のN型固相拡散層84rが形成される。または、図27を参照して説明したように、トレンチの凸部の形状や個数に依存し、トレンチの形状と異なり、PD71側は、ほぼ直線形状になるまで拡散する場合もある。
よってトレンチの形状と同一の形状に、N型固相拡散層84rが形成されるとは限らない。トレンチの形状と一致するようなN型固相拡散層84rであっても、トレンチの形状とは一致しないN型固相拡散層84rの形状であっても良く、どちらの形状であっても本技術の適用範囲内である。
このようにして、図28に示したような三角形状の凸部を有するP型固相拡散層83rが形成されることで、強電界領域が拡大された画素50rが形成される。
<第17の実施の形態>
図32は、本技術が適用された第17の実施の形態における画素50sの平面図である。
第17の実施の形態における画素50sは、第15の実施の形態における画素50qと同じくPD71rを囲む強電界領域に凹凸がある形状とされている。図32に示した画素50sは、微細な凹凸が形成されている点が、画素50qと異なる。
図32を参照するに、画素50sの平面視における構成は、図20に示した画素50の平面視における構成と同じく、PD71sが、DTI82sに取り囲まれるように形成され、DTI82sの側壁には、P型固相拡散層83sとN型固相拡散層84sが形成されることによるPN接合領域が形成されている。
DTI82sを含む部分を拡大すると、図32の右図に示したようになる。図32の右図を参照するに、DTI82s−1のPD71s−1側は、凸凹した形状とされている。この凸凹した形状のDTI82s−1の形状と同じく、P型固相拡散層83s−1のDTI82s−1側の面とPD71s−1側の面も、凸凹した形状となっている。さらに、P型固相拡散層83s−1の凸凹した形状と同じく、N型固相拡散層84s−1のP型固相拡散層83s−1側も、凸凹した形状となっている。
P型固相拡散層83sが微細な凸凹を有する形状とされることで、P型固相拡散層83sとN型固相拡散層84sが接する接合面積を増やすことが可能となる。よって、P型固相拡散層83sとN型固相拡散層84sとから構成される強電界領域を拡大させることができ、飽和電荷量を向上させることができる。
第17の実施の形態における画素50sも、第15の実施の形態における画素50qと同じく、P型固相拡散層83sの長さを、PD71sを囲む4辺のうちの平行に配置されている2辺の間の長さよりも長くなるように形成することできるため、PN接合面積を増やすことができ、強電界領域を大きくすることができる。換言すれば、DTI82sの側壁の長さを、PD71sを囲むDTI82sのうちの平行に配置されているDTI82sの間の長さよりも長く形成することで、PN接合面積を増やすことができ、強電界領域を大きくすることができる。
このように、微細な凹凸を形成する場合の強電界領域の製造の仕方について説明する。図32に示した画素50sの製造の仕方は、図21に示した画素50qと途中まで同様の工程である。工程S51(図24)から工程S56の処理が実行されることで、ディープトレンチの側壁に、N型固相拡散層84sとなる領域が形成されるまでの工程は、画素50sの製造工程においても、同様に行われる。
ディープトレンチの側壁に、N型固相拡散層84sとなる領域が形成された後の処理について、図33を参照して説明する。
ポリシコンの表面に凹凸を形成し、表面積を増加させる方法が提案されており、このときに得られるポリシリコンは、その表面の状態から粗面ポリシコン(Rugged Polysilicon)と称される場合がある。ここでは、粗面ポリシコンを形成することで、DTI82sに凹凸形状を形成し、P型固相拡散層83sやN型固相拡散層84sにも凸凹形状を形成する場合を例に挙げて説明する。
工程S101(図33)において、ディープトレンチの側壁に、N型固相拡散層84sとなる領域が形成されているSi基板70に対して、トレンチの側壁に凹凸形状(粗面ポリシリコンの膜)が形成される。粗面ポリシコンの膜を、RP膜301と記述する。RP膜301は、例えばシリコン酸化膜上にドープトポリシリコン膜とアモルファスシリコン膜を形成し、そのアモルファスシリコン膜に所定の粗面化処理を施すことにより形成することができる。
工程S102は、工程S57(図25)と同じ工程であり、ALD方が用いられ、B(ボロン)を含んだシリコン酸化膜(BSG)205が堆積される。この工程S102における処理により、ディープトレンチを形成していないウエハの表面、ディープトレンチの側面でありRP膜301上、およびディープトレンチの底面に、BSG膜205が形成される。ここでは、B(ボロン)が用いられているため、BSG膜205は、P型の膜として成膜される。
工程S103において、工程S58、工程S59(図25)と同じ工程であり、まず熱拡散処理が実行される。ウエハがアニールされることで、BSG膜205とSi基板70が接触している領域では、BSG膜205からSi基板70へ、B(ボロン)が固相拡散される。その結果、図33の工程S103に示したように、P型の不純物領域206が形成される。このP型の不純物領域206は、P型固相拡散層83s(図32)となる領域である。
ボロンの固相拡散は、RP膜301が拡散阻害層となるため、トレンチ側の側壁内に拡散するボロンは不均一となる。ボロンの拡散が不均一となることで、図33の工程S103に示したように、P型の不純物領域206に凹凸が形成される。P型の不純物領域206が凹凸のある形状となることで、既に形成されているN型の不純物領域203と接する部分が凹凸のある形状となるため、P型固相拡散層83sとN型固相拡散層84sの接する接合面積を、ボロンが均一に拡散されるときよりも増やすことができる。
熱処理後、BSG膜205が除去される。BSG膜205の除去は、例えば、フッ酸を用いたウェットエッチングにより行うことができる。
工程S104は、工程S60(図25)と同じ工程であり、トレンチ内に、充填剤86pとして、ポリシリコンが埋め込まれ、ウエハ上面に堆積された不要なポリシリコンが除去される。また、画素トランジスタや配線なども形成される。その後、裏面側からSi基板70が薄膜化される。この薄膜化は、ディープトレンチの底部が露出する程度まで行われる。
このようにして、図32に示したような微細な凹凸を有するP型固相拡散層83sが形成されることで、強電界領域が拡大された画素50sが形成される。
<第18の実施の形態>
図34は、本技術が適用された第18の実施の形態における画素50tの平面図である。
第18の実施の形態における画素50tは、強電界領域を拡大するために、PD71の一部に、強電界拡大領域が形成されている。強電界拡大領域は、強電界領域を拡大するために形成されたPN接合領域であり、図34では、PD71t−1の領域の四隅にそれぞれ四角形状の強電界領域が形成され、PD71t−2の領域の中央にクロス形状の強電界領域が形成されている例を示した。
PD71t−1の領域の四隅にそれぞれ形成されている四角形状の強電界領域は、中心部にDTI82t−21が形成され、その周りにP型固相拡散層83t−21が形成されている。さらにP型固相拡散層83t−21の周りにN型固相拡散層84t−21が形成されている。このような構成は、PD71tを囲むDTI82tに形成されている強電界領域と同一の構成である。
N型固相拡散層84t−21の一部は、DTI82t−1の側壁に形成されているN型固相拡散層84t−1と共有されている。またN型固相拡散層84t−21の一部は、DTI82t−11の側壁に形成されているN型固相拡散層84t−11と共有されている。
PD71t−2の領域に形成されているクロス形状の強電界領域は、クロス(十字)形状にDTI82t−22が形成され、その周りにP型固相拡散層83t−22が形成されている。さらにP型固相拡散層83t−22の周りにN型固相拡散層84t−22が形成されている。このような構成は、PD71tを囲むDTI82tに形成されている強電界領域と同一の構成である。
N型固相拡散層84t−22の一部、換言すればクロスの先端部分のN型固相拡散層84t−22は、DTI82t−2の側壁に形成されているN型固相拡散層84t−3、DTI82t−3の側壁に形成されているN型固相拡散層84t−4、DTI82t−11の側壁に形成されているN型固相拡散層84t−11、DTI82t−12の側壁に形成されているN型固相拡散層84t−12と、それぞれ共有されている。
図34に示した例では、四角形状の強電界領域とクロス形状の強電界領域を示したが、他の形状であっても良い。また、四角形状の強電界領域とクロス形状の強電界領域が1画素50t内に形成されている例を示したが、異なる形状の強電界領域が形成されている必要はなく、全て四角形状の強電界領域またはクロス形状の強電界領域であっても良い。
また図34では、PD71t−1の四隅に四角形状の強電界領域が形成されている場合を示したが、4個の強電界領域ではなく、1、2、または3個の強電界領域がPD71t−1の四隅のいずれかの隅に形成されているようにしても良い。
また、図34では、PD71t−2にクロス形状の強電界領域が形成されている場合を示したが、クロス形状でなくても良く、クロス形状の一部、例えば、L字形状の強電界領域が形成されていたり、縦棒(または横棒)だけの強電界領域が形成されていたりする形状とされていても良い。
また、第15乃至第17の実施の形態の画素50q乃至50sと組み合わせ、PD71tを囲むDTI82tの側壁に形成されている強電界領域に凹凸が形成されているように構成しても良い。
このように、PD71tを囲むDTI82t以外の領域に、P型固相拡散層83tとN型固相拡散層84tからなる強電界拡大領域を形成することで、1画素50tに設けられている強電界領域を拡大することができ、飽和電荷量を向上させることができる。
第18の実施の形態における画素50tも、第15の実施の形態における画素50qと同じく、P型固相拡散層83tの長さを、PD71tを囲む4辺のうちの平行に配置されている2辺の間の長さよりも長くなるように形成することできるため、PN接合面積を増やすことができ、強電界領域を大きくすることができる。
第18の実施の形態における画素50tにおいては、P型固相拡散層83tの長さは、DTI82tの側壁の長さだけでなく、PD71tの四隅に形成された四角形状の強電界領域に含まれるP型固相拡散層83tの長さや、PD71tにクロス形状に形成された強電界領域に含まれるP型固相拡散層83tの長さも含まれるため、上記したように、P型固相拡散層83tの長さは、PD71tを囲む4辺のうちの平行に配置されている2辺の間の長さよりも長くなるように形成することできる。
よって、換言すれば、DTI82tの側壁の長さを、PD71tを囲むDTI82tのうちの平行に配置されているDTI82tの間の長さよりも長く形成することができ、PN接合面積を増やすことができ、強電界領域を大きくすることができる。
このように、PD71tの領域に強電界領域を形成した画素50tの製造の仕方について説明する。図34に示した画素50tの製造の仕方は、図24、図25を参照して説明した図21に示した画素50qと同様の工程で製造することができるため、ここでは説明を省略する。ただし、工程S52(図24)において形成されるDTI82tの形状が異なるため、この点について説明を加える。
工程S52として、シリコン酸化膜200の一部、絶縁膜201の一部、SiNの一部、Si基板70の一部が、ドライエッチングにより掘り込まれることにより深い溝(ディープトレンチ)が形成される。このディープトレンチの形状は、平面形状では、例えば、図35に示したような格子状のDTI82t、四角形状の強電界領域が形成される部分のDTI82t−21、クロス形状の強電界領域が形成される部分のDTI82t−22が形成される。形成されるトレンチの深さは、この後の工程の固相拡散でN型領域を形成したい領域の下端までとされる。
このように、ドライエッチングにより強電界領域が形成される部分に所望とされる形状でディープトレンチが形成される。この後の工程にて、N型固相拡散層84rに該当する領域が形成されたり、P型固相拡散層83rに該当する領域が形成されたりする工程は、図24、図25を参照して説明した場合と同様に行われる。
このようにして、図34に示したような四角形状やクロス形状の強電界領域を含む強電界領域が形成されることで、強電界領域が拡大された画素50tが形成される。
<第19の実施の形態>
図36は、本技術が適用された第19の実施の形態における画素50uの平面図である。
第19の実施の形態における画素50uは、PD71uを囲むDTI82uの一部が途切れるように形成されている。図36を参照するに、図中左右方向(横方向)に形成されているDTI82u−11は、一部が途切れるように形成されている。他のDTI82u、例えば、DTI82u−12は、途切れることなく形成されている。
DTI82u−11を含む部分を拡大すると、図36の右図に示したようになる。図36の右図を参照するに、DTI82u−11は、途切れた部分があるように形成されている。この途切れた部分は、PD71u−1囲むDTI82uのうちの、DTI82u−11とDTI82u―2の間に形成されている。換言すれば、図36に示した例では、PD71−1の右上に、DTI82uが途切れた部分が設けられている。
DTI82−11が途切れている部分は、P型固相拡散層83uで覆われている。
DTI82u−11の図中上側に形成されているP型固相拡散層83u−10と、DTI82−11の図中下側に形成されているP型固相拡散層83u−11は、DTI82u−11が途切れている部分で接するように形成されている。よって図36に示したように、DTI82u−11が途切れている部分は、P型固相拡散層83uで覆われているように形成されている。
DTI82u−11の図中上側に形成されているP型固相拡散層83u−10を参照するに、P型固相拡散層83u−10は、DTI82u−11途切れている部分では、円弧形状(曲面形状)となっている。また、DTI82u−11の図中下側に形成されているP型固相拡散層83u−10を参照するに、P型固相拡散層83u−11は、DTI82u−11途切れている部分では、円弧形状(曲面形状)となっている。
P型固相拡散層83uが曲面形状となることで、N型固相拡散層84uと接する部分(接合面)が増大するため、強電界領域を拡大させ、飽和電荷量を向上させることが可能となる。
図32に示した例ではDTI82uが途切れた部分は、例えば、PD71u−1に注目したとき、右上の一カ所に形成されている場合を示したが、途切れた部分の位置や個数は、図32に示した位置や個数に限定されるわけではない。
例えば、DTI82uの途切れた部分は、PD71uに対する四隅にそれぞれ形成されていても良い。また例えば、DTI82uの途切れた部分は、辺の中央に形成されていてもよい。また例えば、DTI82uの途切れた部分は、1辺に複数形成されていても良い。この1辺に複数形成されている場合の一例を図37に示す。
図37は、本技術が適用された第19の実施の形態における画素50uの他の構成を示す平面図である。図37に示した画素50uは、DTI82uの1辺に複数の途切れた部分が形成されている。
DTI82u−2を含む部分を拡大すると、図37の右図に示したようになる。図37の右図を参照するに、DTI82u−2は、不連続に形成され、途切れた部分があるように形成されている。DTI82u−2は、複数のDTI82u−2から構成され、各DTI82u−2は、P型固相拡散層83uにより囲まれている。DTI82u−2の図中左側に形成されているP型固相拡散層83u−2と、DTI82u−2の図中下側に形成されているP型固相拡散層83u−11は、DTI82−11が途切れている部分で接するように形成されている。
よって図37に示したように、DTI82−2が途切れている部分で、DTI82−2はP型固相拡散層83uで覆われているように形成されているため、個々のDTI82u−2は、P型固相拡散層83uで囲まれた形状で形成されている。
このように、個々のDTI82uを囲むようにP型固相拡散層83uを形成することで、N型固相拡散層84uと接する部分(接合面)を増大するため、強電界領域を増大させ、飽和電荷量を向上させることが可能となる。
図37の左図では、個々のDTI82uは四角形状で図示し、図37の右図では、個々のDTI82uは楕円形状で図示してある。個々のDTI82uの形状は、四角形状であっても、楕円形状であっても良く、また他の形状であっても良い。楕円のように曲線を含む形状で個々のDTI82uを形成すると、N型固相拡散層84uと接する部分(接合面)をより増大させることができる。
上記した第15乃至第18の実施の形態の画素50q乃至50tと組み合わせ、PD71tを囲むDTI82uの側壁に形成されている強電界領域に凹凸が形成されているように構成したり、PD71uの領域に強電界領域を形成した構成としたりすることもできる。
第19の実施の形態における画素50uも、第15の実施の形態における画素50qと同じく、P型固相拡散層83sの長さを、PD71sを囲む4辺のうちの平行に配置されている2辺の間の長さよりも長くなるように形成することできるため、PN接合面積を増やすことができ、強電界領域を大きくすることができる。
このように、DTI82uを不連続に形成する場合の強電界領域の製造の仕方について説明する。図36または図37に示した画素50tの製造の仕方は、図24、図25を参照して説明した図21に示した画素50qと同様の工程で製造することができるため、ここでは説明を省略する。ただし、工程S52(図24)において形成されるトレンチの形状が異なるため、この点について説明を加える。
工程S52として、シリコン酸化膜200の一部、絶縁膜201の一部、SiNの一部、Si基板70の一部が、ドライエッチングにより掘り込まれることにより深い溝(ディープトレンチ)が形成される。このディープトレンチの形状は、平面形状では、例えば、図37に示した不連続なDTI82uを形成する場合、図38に示したような格子状であるが不連続に形成されたDTI82uが形成される。形成されるトレンチの深さは、この後の工程の固相拡散でN型領域を形成したい領域の下端までとされる。
このように、ドライエッチングにより強電界領域が形成される部分に所望とされる形状でディープトレンチが形成される。この後の工程S53、工程S54(図24)において、N型固相拡散層84uに該当する領域が形成される。この工程で形成されるN型固相拡散層84uは、DTI82uが途切れている部分で接合された状態で形成される。
また、工程S57、工程S58(図25)において、P型固相拡散層83uに該当する領域が形成される。この工程で形成されるP型固相拡散層83uは、DTI82uが途切れている部分で接合された状態で形成される。
このようにして、図36または図37に示したようなDTI82uに途切れた部分を有し、その途切れた部分で強電界領域を拡大された画素50tが形成される。
第15乃至第19の実施の形態によれば、固相拡散層のPN接合面積を増大させることができ、飽和電荷量を増大させることができる。
<第20の実施の形態>
図39は、本技術が適用された第20の実施の形態における画素50vの平面図である。
第20の実施の形態における画素50vは、PD71vを囲む強電界領域に凹凸がある形状とされている。このような構成は、図21に示した第15の実施の形態における画素50qと同一であるが、凸部が放射状に形成されている点が異なる。
図39に示した画素50vを参照するに、画素50vに含まれるPD71v−1に注目したとき、PD71v−1を囲む辺のDTI82vは、凸部を有する形状で形成されている。DTI82vのうち直線形状で連続的に形成されている部分を基準とし、その基準としたDTI82vに対して突起している部分を凸部としたとき、その凸部は、放射状に形成されている。
図39に示した例では、画素50vの略中央に転送トランジスタ80(のゲート)が形成されている場合を示した。このように、転送トランジスタ80が中央部分に形成されている場合、凸部の先が、転送トランジスタ80の方向に向くように形成される。
このような凸部を有するDTI82vの形状に合わせて、P型固相拡散層83vも凸部を有する形状で形成されている。さらに、P型固相拡散層83vの形状に合わせて、N型固相拡散層84vも凸部を有する形状で形成されている。
P型固相拡散層83vに凸部を設けることで、N型固相拡散層84vと接する面積を増やすことができる。P型固相拡散層83vとN型固相拡散層84vから形成されるPN接合領域が増すことになるため、強電界領域が増すことになる。強電界領域が大きくなることで、強電界領域で保持できる電荷量が増え、飽和電荷量を向上させることができる。
ここで、凸部を放射状、換言すれば、凸部の先を転送トランジスタ80側に向くように形成することにより得られる効果について、図40を参照して説明を加える。
図40のAに、比較のため、図21に示したPD71qの一部を拡大した図を示す。図40のBは、図39に示したPD71vの一部を拡大した図である。図40のAを参照するに、凸部を直線形状で連続的に形成されているDTI82qに対して垂直になるように形成した場合、PD71qの角の部分に蓄積された電子は、凸部を避けて転送トランジスタ80まで到達し、読み出される。凸部を大きく(凸部を長く)形成すると、角の部分に蓄積された電子は、より遠回りしなければ、転送トランジスタ80に到達しないことになる。凸部が大きくなると、PD71qの角の部分に蓄積された電子は読み出しづらくなる。
図40のBを参照するに、凸部を直線形状で連続的に形成されているDTI82vに対して斜め方向であり、転送トランジスタ80に向くように形成した場合も、PD71vの角の部分に蓄積された電子は、凸部を避けて転送トランジスタ80まで到達し、読み出される点は、図40のAに示したPD71qの場合と同様である。しかしながら、PD71vの場合、凸部が斜めに形成されていることで、PD71vの角の部分で、転送トランジスタ80側に開口された部分が大きくなり、電子が流れやすい道を形成することができる。
よって、PD71vの場合、PD71vの角の部分に蓄積された電子も、転送トランジスタ80に移動しやすくなり、読み出しづらくなるといったようなことを防ぐことが可能となる。また、図示はしないが、PD71vの角の部分だけでなく、他の部分も、転送トランジスタ80v側に向かう道ができているため、読み出しやすい構造となっている。
このように、凸部の先端が、転送トランジスタ80(のゲート)側に向くように形成することで、転送トランジスタ80での読み出し効率を向上させることができる。よって、転送トランジスタ80のゲートが形成されている位置により、例えば、図41に示したような構成とすることもできる。
図41に示したPD71v’(図39に示したPD71vと区別するためにダッシュを付して記載する)は、転送トランジスタ80v’のゲートがPD71v’の4つの角のうち、1つの角付近に形成されている。このような位置に転送トランジスタ80v’が形成されている場合も、この転送トランジスタ80v’の方に向くように、凸部が形成される。
図41に示したで例では、転送トランジスタ80v’が配置されている角の対角に当たる2辺に、それぞれ凸部が形成され、その凸部の先端は、転送トランジスタ80v’に向くように形成されている。
第20の実施の形態は、上述した第1乃至第19の実施の形態のいずれかと組み合わせることも可能である。
<第21の実施の形態>
図42、図43は、本技術が適用された第21の実施の形態における画素50wの構成例を示す図である。
図21の実施の形態における画素50wも、上記した例えば第15の実施の形態における画素50q(図21)と同じく、PD71wを囲む強電界領域に凸部がある形状とされている。ここでは、図42に示すように、凸部が、PD71wを囲む4辺のそれぞれに1箇所設けられている場合を例に挙げ、また垂直に形成されている場合を例に挙げて説明を続ける。
図42に示したPD71wの構成は、図21に示したPD71qと同一であるが、1辺に形成されている凸部が、1つである点が異なる。図42に示したPD71wにおいて、線分A−A’における断面図を図43に示す。
線分A−A’の部分には、凸部が形成されている。ここでは、凸部を構成するDTI82w’、P型固相拡散層83w’、N型固相拡散層84w’は、凸部以外の部分のDTI82w、P型固相拡散層83w、N型固相拡散層84wと区別するためにダッシュを付して記載する。
図43を参照するに、PD71wの両側には、貫通したDTI82が形成されている。これに対して、凸部の部分は、貫通したDTI82wではなく、非貫通なDTI82w’が形成されている。換言すれば、凸部の部分に形成されているDTI82w’は、オンチップレンズ76w側にPD71wを構成する部分が残った状態で形成されている。
ここで、図20と図21を再度参照する。図20は、凸部が形成されていない場合のPD71の平面図であり、図21は、凸部が形成されている場合のPD71qの平面図である。図21を参照して説明したように、凸部を設けることで、強電界領域を大きくすることができる。しかしながら、PD71qの受光面積が小さくなる可能性がある。
図20に示したPD71の領域と、図21に示したPD71qの領域を比較した場合、凸部がない分だけ、図20に示したPD71の領域の方が、図21に示したPD71qの領域よりも大きくなっている。
図20は、例えば、図43の線分B―B’の部分で切断したときの平面図に該当し、図21は、例えば、図43の線分A―A’の部分で切断したときの平面図に該当する。よって、凸部を形成した場合でも、光入射面側は、図20に示したように、PD71wの領域が大きくなるため、凸部を形成することで、感度が劣化するようなことを防ぐことができる。一方で、光入射面側から離れた領域では、図21に示したように、凸部が形成されることで、PN接合領域が増し、強電界領域が増やすことができる。
このように、感度を劣化させずに、飽和電荷量を増大させることができる。
第21の実施の形態は、第15の実施の形態における画素50q(図21)、第16の実施の形態における画素50r(図28)、第18の実施の形態における画素50t、第20の実施の形態における画素50v(図39)と組み合わせることができる。すなわち、凸部を有する構成としたとき、その凸部は、非貫通に形成することができる。
このように、凸部に該当する部分は非貫通に形成し、凸部以外の部分は貫通に形成する場合、製造時にDTI82の幅を異なるようにすることで、非貫通の部分と貫通の部分を形成することができる。図43を再度参照する。凸部のDTI82w’の幅を幅L1とし、凸部以外のDTI82wの幅を幅L2とする。幅L1は、幅L2よりも狭い幅とする。
このように、幅を異ならせると、トレンチを形成するときの工程において、ローディング効果により、幅が狭い方はトレンチの深さが浅くなり、幅が広い方はトレンチの深さは深くなる。この場合、幅L1のトレンチは浅くなり、幅L2のトレンチは深くなる。
例えば、図24乃至27を参照して、凸部を有する強電界領域の製造の仕方について説明したが、工程S52において、ドライエッチングでシリコン基板が掘り込まれる。このドライエッチングとして、例えばRIE(Reactive Ion Etching)を用いることができる。そしてドライエッチングでトレンチを形成すると、ローディング効果により、幅が狭い方は、幅が広い方よりも浅いトレンチとなる。
凸部のDTI82w’の深さは、幅L1を調整することで、所望の深さで形成することができる。よって、凸部に該当する部分は非貫通に形成し、凸部以外の部分は貫通に形成する場合であっても、プロセスを追加することなく、深さの異なるDTI82を形成することができる。
第1乃至第21の実施の形態は、以下に説明する撮像装置1にも適用できる。以下に、撮像装置1について説明する。
[撮像装置1の機能構成]
図44は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置(撮像装置1)の機能構成の一例を示すブロック図である。
図44の撮像装置1は、例えば、入力部510A、行駆動部520、タイミング制御部530、画素アレイ部540、列信号処理部550、画像信号処理部560および出力部510Bを含んでいる。
画素アレイ部540には、画素541がアレイ状に繰り返し配置されている。より具体的には、複数の画素を含んだ画素共有ユニット539が繰り返し単位となり、これが、行方向と列方向とからなるアレイ状に繰り返し配置されている。なお、本明細書では、便宜上、行方向をH方向、行方向と直交する列方向をV方向、と呼ぶ場合がある。図44の例において、1つの画素共有ユニット539が、4つの画素(画素541A,541B,541C,541D)を含んでいる。画素541A,541B,541C,541Dは各々、フォトダイオードPD(後述の図49等に図示)を有している。画素共有ユニット539は、1つの画素回路(後述の図46の画素回路210)を共有する単位である。換言すれば、4つの画素(画素541A,541B,541C,541D)毎に、1つの画素回路(後述の画素回路210)を有している。この画素回路を時分割で動作させることにより、画素541A,541B,541C,541D各々の画素信号が順次読み出されるようになっている。画素541A,541B,541C,541Dは、例えば2行×2列で配置されている。画素アレイ部540には、画素541A,541B,541C,541Dとともに、複数の行駆動信号線542および複数の垂直信号線(列読出し線)543が設けられている。行駆動信号線542は、画素アレイ部540において行方向に並んで配列された、複数の画素共有ユニット539各々に含まれる画素541を駆動する。画素共有ユニット539のうち、行方向に並んで配列された各画素を駆動する。後に図4を参照して詳しく説明するが、画素共有ユニット539には、複数のトランジスタが設けられている。これら複数のトランジスタをそれぞれ駆動するために、1つの画素共有ユニット539には複数の行駆動信号線542が接続されている。垂直信号線(列読出し線)543には、画素共有ユニット539が接続されている。画素共有ユニット539に含まれる画素541A,541B,541C,541D各々から、垂直信号線(列読出し線)543を介して画素信号が読み出される。
行駆動部520は、例えば、画素駆動するための行の位置を決める行アドレス制御部、言い換えれば、行デコーダ部と、画素541A,541B,541C,541Dを駆動するための信号を発生させる行駆動回路部とを含んでいる。
列信号処理部550は、例えば、垂直信号線543に接続され、画素541A,541B,541C,541D(画素共有ユニット539)とソースフォロア回路を形成する負荷回路部を備える。列信号処理部550は、垂直信号線543を介して画素共有ユニット539から読み出された信号を増幅する増幅回路部を有していてもよい。列信号処理部550は、ノイズ処理部を有していてもよい。ノイズ処理部では、例えば、光電変換の結果として画素共有ユニット539から読み出された信号から、系のノイズレベルが取り除かれる。
列信号処理部550は、例えば、アナログデジタルコンバータ(ADC)を有している。アナログデジタルコンバータでは、画素共有ユニット539から読み出された信号もしくは上記ノイズ処理されたアナログ信号がデジタル信号に変換される。ADCは、例えば、コンパレータ部およびカウンタ部を含んでいる。コンパレータ部では、変換対象となるアナログ信号と、これと比較対象となる参照信号とが比較される。カウンタ部では、コンパレータ部での比較結果が反転するまでの時間が計測されるようになっている。列信号処理部550は、読出し列を走査する制御を行う水平走査回路部を含んでいてもよい。
タイミング制御部530は、装置へ入力された基準クロック信号やタイミング制御信号を基にして、行駆動部520および列信号処理部550へ、タイミングを制御する信号を供給する。
画像信号処理部560は、光電変換の結果得られたデータ、言い換えれば、撮像装置1における撮像動作の結果得られたデータに対して、各種の信号処理を施す回路である。画像信号処理部560は、例えば、画像信号処理回路部およびデータ保持部を含んでいる。画像信号処理部560は、プロセッサ部を含んでいてもよい。
画像信号処理部560において実行される信号処理の一例は、AD変換された撮像データが、暗い被写体を撮影したデータである場合には階調を多く持たせ、明るい被写体を撮影したデータである場合には階調を少なくするトーンカーブ補正処理である。この場合、撮像データの階調をどのようなトーンカーブに基づいて補正するか、トーンカーブの特性データを予め画像信号処理部560のデータ保持部に記憶させておくことが望ましい。
入力部510Aは、例えば、上記基準クロック信号、タイミング制御信号および特性データなどを装置外部から撮像装置1へ入力するためのものである。タイミング制御信号は、例えば、垂直同期信号および水平同期信号などである。特性データは、例えば、画像信号処理部560のデータ保持部へ記憶させるためのものである。入力部510Aは、例えば、入力端子511、入力回路部512、入力振幅変更部513、入力データ変換回路部514および電源供給部(不図示)を含んでいる。
入力端子511は、データを入力するための外部端子である。入力回路部512は、入力端子511へ入力された信号を撮像装置1の内部へと取り込むためのものである。入力振幅変更部513では、入力回路部512で取り込まれた信号の振幅が、撮像装置1の内部で利用しやすい振幅へと変更される。入力データ変換回路部514では、入力データのデータ列の並びが変更される。入力データ変換回路部514は、例えば、シリアルパラレル変換回路により構成されている。このシリアルパラレル変換回路では、入力データとして受け取ったシリアル信号がパラレル信号へと変換される。なお、入力部510Aでは、入力振幅変更部513および入力データ変換回路部514が、省略されていてもよい。電源供給部は、外部から撮像装置1へ供給された電源をもとにして、撮像装置1の内部で必要となる各種の電圧に設定された電源を供給する。
撮像装置1が外部のメモリデバイスと接続されるとき、入力部510Aには、外部のメモリデバイスからのデータを受け取るメモリインタフェース回路が設けられていてもよい。外部のメモリデバイスは、例えば、フラッシュメモリ、SRAMおよびDRAM等である。
出力部510Bは、画像データを装置外部へと出力する。この画像データは、例えば、撮像装置1で撮影された画像データ、および、画像信号処理部560で信号処理された画像データ等である。出力部510Bは、例えば、出力データ変換回路部515、出力振幅変更部516、出力回路部517および出力端子518を含んでいる。
出力データ変換回路部515は、例えば、パラレルシリアル変換回路により構成されており、出力データ変換回路部515では、撮像装置1内部で使用したパラレル信号がシリアル信号へと変換される。出力振幅変更部516は、撮像装置1の内部で用いた信号の振幅を変更する。変更された振幅の信号は、撮像装置1の外部に接続される外部デバイスで利用しやすくなる。出力回路部517は、撮像装置1の内部から装置外部へとデータを出力する回路であり、出力回路部517により、出力端子518に接続された撮像装置1外部の配線が駆動される。出力端子518では、撮像装置1から装置外部へとデータが出力される。出力部510Bでは、出力データ変換回路部515および出力振幅変更部516が、省略されていてもよい。
撮像装置1が外部のメモリデバイスと接続されるとき、出力部510Bには、外部のメモリデバイスへとデータを出力するメモリインタフェース回路が設けられていてもよい。外部のメモリデバイスは、例えば、フラッシュメモリ、SRAMおよびDRAM等である。
[撮像装置1の概略構成]
図45および図46は、撮像装置1の概略構成の一例を表したものである。撮像装置1は、3つの基板(第1基板100、第2基板260、第3基板300)を備えている。図45は、第1基板100、第2基板260、第3基板300各々の平面構成を模式的に表したものであり、図46は、互いに積層された第1基板100、第2基板260および第3基板300の断面構成を模式的に表している。図46は、図45に示したIII−III’線に沿った断面構成に対応する。撮像装置1は、3つの基板(第1基板100、第2基板260、第3基板300)を貼り合わせて構成された3次元構造の撮像装置である。第1基板100は、半導体層100Sおよび配線層100Tを含む。第2基板260は、半導体層260Sおよび配線層260Tを含む。第3基板300は、半導体層300Sおよび配線層300Tを含む。ここで、第1基板100、第2基板260および第3基板300の各基板に含まれる配線とその周囲の層間絶縁膜を合せたものを、便宜上、それぞれの基板(第1基板100、第2基板260および第3基板300)に設けられた配線層(100T、260T、300T)と呼ぶ。第1基板100、第2基板260および第3基板300は、この順に積層されており、積層方向に沿って、半導体層100S、配線層100T、半導体層260S、配線層260T、配線層300Tおよび半導体層300Sの順に配置されている。第1基板100、第2基板260および第3基板300の具体的な構成については後述する。図46に示した矢印は、撮像装置1への光Lの入射方向を表す。本明細書では、便宜上、以降の断面図で、撮像装置1における光入射側を「下」「下側」「下方」、光入射側と反対側を「上」「上側」「上方」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、便宜上、半導体層と配線層を備えた基板に関して、配線層の側を表面、半導体層の側を裏面と呼ぶ場合がある。なお、明細書の記載は、上記の呼び方に限定されない。撮像装置1は、例えば、フォトダイオードを有する第1基板100の裏面側から光が入射する、裏面照射型撮像装置となっている。
画素アレイ部540および画素アレイ部540に含まれる画素共有ユニット539は、ともに、第1基板100および第2基板260の双方を用いて構成されている。第1基板100には、画素共有ユニット539が有する複数の画素541A,541B,541C,541Dが設けられている。これらの画素541のそれぞれが、フォトダイオード(後述のフォトダイオードPD)および転送トランジスタ(後述の転送トランジスタTR)を有している。第2基板260には、画素共有ユニット539が有する画素回路(後述の画素回路210)が設けられている。画素回路は、画素541A,541B,541C,541D各々のフォトダイオードから転送トランジスタを介して転送された画素信号を読み出し、あるいは、フォトダイオードをリセットする。この第2基板260は、このような画素回路に加えて、行方向に延在する複数の行駆動信号線542および列方向に延在する複数の垂直信号線543を有している。第2基板260は、さらに、行方向に延在する電源線544を有している。第3基板300は、例えば、入力部510A,行駆動部520、タイミング制御部530、列信号処理部550、画像信号処理部560および出力部510Bを有している。行駆動部520は、例えば、第1基板100、第2基板260および第3基板300の積層方向(以下、単に積層方向という)において、一部が画素アレイ部540に重なる領域に設けられている。より具体的には、行駆動部520は、積層方向において、画素アレイ部540のH方向の端部近傍に重なる領域に設けられている(図45)。列信号処理部550は、例えば、積層方向において、一部が画素アレイ部540に重なる領域に設けられている。より具体的には、列信号処理部550は、積層方向において、画素アレイ部540のV方向の端部近傍に重なる領域に設けられている(図45)。図示は省略するが、入力部510Aおよび出力部510Bは、第3基板300以外の部分に配置されていてもよく、例えば、第2基板260に配置されていてもよい。あるいは、第1基板100の裏面(光入射面)側に入力部510Aおよび出力部510Bを設けるようにしてもよい。なお、上記第2基板260に設けられた画素回路は、別の呼称として、画素トランジスタ回路、画素トランジスタ群、画素トランジスタ、画素読み出し回路または読出回路と呼ばれることもある。本明細書では、画素回路との呼称を用いる。
第1基板100と第2基板260とは、例えば、貫通電極(後述の図49の貫通電極120E,121E)により電気的に接続されている。第2基板260と第3基板300とは、例えば、コンタクト部261,262,305,302を介して電気的に接続されている。第2基板260にコンタクト部261,262が設けられ、第3基板300にコンタクト部305,302が設けられている。第2基板260のコンタクト部261が第3基板300のコンタクト部305に接し、第2基板260のコンタクト部262が第3基板300のコンタクト部302に接している。第2基板260は、複数のコンタクト部261が設けられたコンタクト領域261Rと、複数のコンタクト部262が設けられたコンタクト領域262Rとを有している。第3基板300は、複数のコンタクト部305が設けられたコンタクト領域305Rと、複数のコンタクト部302が設けられたコンタクト領域302Rとを有している。コンタクト領域261R,305Rは、積層方向において、画素アレイ部540と行駆動部520との間に設けられている(図46)。換言すれば、コンタクト領域261R,305Rは、例えば、行駆動部520(第3基板300)と、画素アレイ部540(第2基板260)とが積層方向に重なる領域、もしくはこの近傍領域に設けられている。コンタクト領域261R,305Rは、例えば、このような領域のうち、H方向の端部に配置されている(図45)。第3基板300では、例えば、行駆動部520の一部、具体的には行駆動部520のH方向の端部に重なる位置にコンタクト領域305Rが設けられている(図45,図46)。コンタクト部261,305は、例えば、第3基板300に設けられた行駆動部520と、第2基板260に設けられた行駆動線542とを接続するものである。コンタクト部261,305は、例えば、第3基板300に設けられた入力部510Aと電源線544および基準電位線(後述の基準電位線VSS)とを接続していてもよい。コンタクト領域262R,302Rは、積層方向において、画素アレイ部540と列信号処理部550との間に設けられている(図46)。換言すれば、コンタクト領域262R,302Rは、例えば、列信号処理部550(第3基板300)と画素アレイ部540(第2基板260)とが積層方向に重なる領域、もしくはこの近傍領域に設けられている。コンタクト領域262R,302Rは、例えば、このような領域のうち、V方向の端部に配置されている(図45)。第3基板300では、例えば、列信号処理部550の一部、具体的には列信号処理部550のV方向の端部に重なる位置にコンタクト領域305Rが設けられている(図45,図46)。コンタクト部262,302は、例えば、画素アレイ部540が有する複数の画素共有ユニット539各々から出力された画素信号(フォトダイオードでの光電変換の結果発生した電荷の量に対応した信号)を、第3基板300に設けられた列信号処理部550へと接続するためのものである。画素信号は、第2基板260から第3基板300に送られるようになっている。
図46は、上記のように、撮像装置1の断面図の一例である。第1基板100、第2基板260、第3基板300は、配線層100T、260T、300Tを介して電気的に接続される。例えば、撮像装置1は、第2基板260と第3基板300とを電気的に接続する電気的接続部を有する。具体的には、導電材料で形成された電極でコンタクト部261,262,305,302を形成する。導電材料は、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、などの金属材料で形成される。コンタクト領域261R、262R、305R、302Rは、例えば電極として形成された配線同士を直接接合することで、第2基板と第3基板とを電気的に接続し、第2基板260と第3基板300との信号の入力および/または出力を可能にする。
第2基板260と第3基板300とを電気的に接続する電気的接続部は、所望の箇所に設けることができる。例えば、図46においてコンタクト領域261R、262R、305R、302Rとして述べたように、画素アレイ部540と積層方向に重なる領域に設けても良い。また、電気的接続部を画素アレイ部540と積層方向に重ならない領域に設けても良い。具体的には、画素アレイ部540の外側に配置された周辺部と、積層方向に重なる領域に設けても良い。
第1基板100および第2基板260には、例えば、接続孔部H1,H2が設けられている。接続孔部H1,H2は、第1基板100および第2基板260を貫通している(図46)。接続孔部H1,H2は、画素アレイ部540(または画素アレイ部540に重なる部分)の外側に設けられている(図45)。例えば、接続孔部H1は、H方向において画素アレイ部540より外側に配置されており、接続孔部H2は、V方向において画素アレイ部540よりも外側に配置されている。例えば、接続孔部H1は、第3基板300に設けられた入力部510Aに達しており、接続孔部H2は、第3基板300に設けられた出力部510Bに達している。接続孔部H1,H2は、空洞でもよく、少なくとも一部に導電材料を含んでいても良い。例えば、入力部510Aおよび/または出力部510Bとして形成された電極に、ボンディングワイヤを接続する構成がある。または、入力部510Aおよび/または出力部510Bとして形成された電極と、接続孔部H1,H2に設けられた導電材料とを接続する構成がある。接続孔部H1,H2に設けられた導電材料は、接続孔部H1,H2の一部または全部に埋め込まれていても良く、導電材料が接続孔部H1,H2の側壁に形成されていても良い。
なお、図46では第3基板300に入力部510A、出力部510Bを設ける構造としたが、これに限定されない。例えば、配線層260T、300Tを介して第3基板300の信号を第2基板260へ送ることで、入力部510Aおよび/または出力部510Bを第2基板260に設けることもできる。同様に、配線層100T、260Tを介して、第2基板260の信号を第1基板1000へ送ることで、入力部510Aおよび/または出力部510Bを第1基板100に設けることもできる。
図4は、画素共有ユニット539の構成の一例を表す等価回路図である。画素共有ユニット539は、複数の画素541(図4では、画素541A,541B,541C,541Dの4つの画素541を表す)と、この複数の画素541に接続された1の画素回路210と、画素回路210に接続された垂直信号線5433とを含んでいる。画素回路210は、例えば、4つのトランジスタ、具体的には、増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSEL、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDを含んでいる。上述のように、画素共有ユニット539は、1の画素回路210を時分割で動作させることにより、画素共有ユニット539に含まれる4つの画素541(画素541A,541B,541C,541D)それぞれの画素信号を順次垂直信号線543へ出力するようになっている。複数の画素541に1の画素回路210が接続されており、この複数の画素541の画素信号が、1の画素回路210により時分割で出力される態様を、「複数の画素541が1の画素回路210を共有する」という。
画素541A,541B,541C,541Dは、互いに共通の構成要素を有している。以降、画素541A,541B,541C,541Dの構成要素を互いに区別するために、画素541Aの構成要素の符号の末尾には識別番号1、画素541Bの構成要素の符号の末尾には識別番号2、画素541Cの構成要素の符号の末尾には識別番号3、画素541Dの構成要素の符号の末尾には識別番号4を付与する。画素541A,541B,541C,541Dの構成要素を互いに区別する必要のない場合には、画素541A,541B,541C,541Dの構成要素の符号の末尾の識別番号を省略する。
画素541A,541B,541C,541Dは、例えば、フォトダイオードPDと、フォトダイオードPDと電気的に接続された転送トランジスタTRと、転送トランジスタTRに電気的に接続されたフローティングディフュージョンFDとを有している。フォトダイオードPD(PD1,PD2,PD3,PD4)では、カソードが転送トランジスタTRのソースに電気的に接続されており、アノードが基準電位線(例えばグラウンド)に電気的に接続されている。フォトダイオードPDは、入射した光を光電変換し、その受光量に応じた電荷を発生する。転送トランジスタTR(転送トランジスタTR1,TR2,TR3,TR4)は、例えば、n型のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。転送トランジスタTRでは、ドレインがフローティングディフュージョンFDに電気的に接続され、ゲートが駆動信号線に電気的に接続されている。この駆動信号線は、1の画素共有ユニット539に接続された複数の行駆動信号線542(図44参照)のうちの一部である。転送トランジスタTRは、フォトダイオードPDで発生した電荷をフローティングディフュージョンFDへと転送する。フローティングディフュージョンFD(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)は、p型半導体層中に形成されたn型拡散層領域である。フローティングディフュージョンFDは、フォトダイオードPDから転送された電荷を一時的に保持する電荷保持手段であり、かつ、その電荷量に応じた電圧を発生させる、電荷―電圧変換手段である。
1の画素共有ユニット539に含まれる4つのフローティングディフュージョンFD(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)は、互いに電気的に接続されるとともに、増幅トランジスタAMPのゲートおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソースに電気的に接続されている。FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのドレインはリセットトランジスタRSTのソースに接続され、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのゲートは駆動信号線に接続されている。この駆動信号線は、1の画素共有ユニット539に接続された複数の行駆動信号線542のうちの一部である。リセットトランジスタRSTのドレインは電源線VDDに接続され、リセットトランジスタRSTのゲートは駆動信号線に接続されている。この駆動信号線は、1の画素共有ユニット539に接続された複数の行駆動信号線542のうちの一部である。増幅トランジスタAMPのゲートはフローティングディフュージョンFDに接続され、増幅トランジスタAMPのドレインは電源線VDDに接続され、増幅トランジスタAMPのソースは選択トランジスタSELのドレインに接続されている。選択トランジスタSELのソースは垂直信号線543に接続され、選択トランジスタSELのゲートは駆動信号線に接続されている。この駆動信号線は、1の画素共有ユニット539に接続された複数の行駆動信号線542のうちの一部である。
転送トランジスタTRは、転送トランジスタTRがオン状態となると、フォトダイオードPDの電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。転送トランジスタTRのゲート(転送ゲートTG)は、例えば、いわゆる縦型電極を含んでおり、後述の図49に示すように、半導体層(後述の図49の半導体層100S)の表面からPDに達する深さまで延在して設けられている。リセットトランジスタRSTは、フローティングディフュージョンFDの電位を所定の電位にリセットする。リセットトランジスタRSTがオン状態となると、フローティングディフュージョンFDの電位を電源線VDDの電位にリセットする。選択トランジスタSELは、画素回路210からの画素信号の出力タイミングを制御する。増幅トランジスタAMPは、画素信号として、フローティングディフュージョンFDに保持された電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する。増幅トランジスタAMPは、選択トランジスタSELを介して垂直信号線543に接続されている。この増幅トランジスタAMPは、列信号処理部550において、垂直信号線543に接続された負荷回路部(図44参照)とともにソースフォロアを構成している。増幅トランジスタAMPは、選択トランジスタSELがオン状態となると、フローティングディフュージョンFDの電圧を、垂直信号線543を介して列信号処理部550に出力する。リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELは、例えば、N型のCMOSトランジスタである。
FD変換ゲイン切替トランジスタFDGは、フローティングディフュージョンFDでの電荷―電圧変換のゲインを変更する際に用いられる。一般に、暗い場所での撮影時には画素信号が小さい。Q=CVに基づき、電荷電圧変換を行う際に、フローティングディフュージョンFDの容量(FD容量C)が大きければ、増幅トランジスタAMPで電圧に変換した際のVが小さくなってしまう。一方、明るい場所では、画素信号が大きくなるので、FD容量Cが大きくなければ、フローティングディフュージョンFDで、フォトダイオードPDの電荷を受けきれない。さらに、増幅トランジスタAMPで電圧に変換した際のVが大きくなりすぎないように(言い換えると、小さくなるように)、FD容量Cが大きくなっている必要がある。これらを踏まえると、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGをオンにしたときには、FD変換ゲイン切替トランジスタFDG分のゲート容量が増えるので、全体のFD容量Cが大きくなる。一方、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGをオフにしたときには、全体のFD容量Cが小さくなる。このように、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGをオンオフ切り替えることで、FD容量Cを可変にし、変換効率を切り替えることができる。FD変換ゲイン切替トランジスタFDGは、例えば、N型のCMOSトランジスタである。
なお、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGを設けない構成も可能である。このとき、例えば、画素回路210は、例えば増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSELおよびリセットトランジスタRSTの3つのトランジスタで構成される。画素回路210は、例えば、増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSEL、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGなどの画素トランジスタの少なくとも1つを有する。
選択トランジスタSELは、電源線VDDと増幅トランジスタAMPとの間に設けられていてもよい。この場合、リセットトランジスタRSTのドレインが電源線VDDおよび選択トランジスタSELのドレインに電気的に接続されている。選択トランジスタSELのソースが増幅トランジスタAMPのドレインに電気的に接続されており、選択トランジスタSELのゲートが行駆動信号線542(図44参照)に電気的に接続されている。増幅トランジスタAMPのソース(画素回路210の出力端)が垂直信号線543に電気的に接続されており、増幅トランジスタAMPのゲートがリセットトランジスタRSTのソースに電気的に接続されている。なお、図示は省略するが、1の画素回路210を共有する画素541の数は、4以外であってもよい。例えば、2つまたは8つの画素541が1の画素回路210を共有してもよい。
図48は、複数の画素共有ユニット539と、垂直信号線543との接続態様の一例を表したものである。例えば、列方向に並ぶ4つの画素共有ユニット539が4つのグループに分けられており、この4つのグループ各々に垂直信号線543が接続されている。図48には、説明を簡単にするため、4つのグループが各々、1つの画素共有ユニット539を有する例を示したが、4つのグループが各々、複数の画素共有ユニット539を含んでいてもよい。このように、撮像装置1では、列方向に並ぶ複数の画素共有ユニット539が、1つまたは複数の画素共有ユニット539を含むグループに分けられていてもよい。例えば、このグループそれぞれに、垂直信号線543および列信号処理回路550が接続されており、それぞれのグループから画素信号を同時に読み出すことができるようになっている。あるいは、撮像装置1では、列方向に並ぶ複数の画素共有ユニット539に1つの垂直信号線543が接続されていてもよい。このとき、1つの垂直信号線543に接続された複数の画素共有ユニット539から、時分割で順次画素信号が読み出されるようになっている。
[撮像装置1の具体的構成]
図49は、撮像装置1の第1基板100、第2基板260および第3基板300の主面に対して垂直方向の断面構成の一例を表したものである。図49は、構成要素の位置関係を分かりやすくするため、模式的に表したものであり、実際の断面と異なっていてもよい。撮像装置1では、第1基板100、第2基板260および第3基板300がこの順に積層されている。撮像装置1は、さらに、第1基板100の裏面側(光入射面側)に受光レンズ401を有している。受光レンズ401と第1基板100との間に、カラーフィルタ層(図示せず)が設けられていてもよい。受光レンズ401は、例えば、画素541A,541B,541C,541D各々に設けられている。撮像装置1は、例えば、裏面照射型の撮像装置である。撮像装置1は、中央部に配置された画素アレイ部540と、画素アレイ部540の外側に配置された周辺部540Bとを有している。
第1基板100は、受光レンズ401側から順に、絶縁膜110、固定電荷膜112、半導体層100Sおよび配線層100Tを有している。半導体層100Sは、例えばシリコン基板により構成されている。半導体層100Sは、例えば、表面(配線層100T側の面)の一部およびその近傍に、pウェル層115を有しており、それ以外の領域(pウェル層115よりも深い領域)に、n型半導体領域114を有している。例えば、このn型半導体領域114およびpウェル層115によりpn接合型のフォトダイオードPDが構成されている。pウェル層115は、p型半導体領域である。
図50は、第1基板100の平面構成の一例を表したものである。図50は、主に、第1基板100の画素分離部117、フォトダイオードPD、フローティングディフュージョンFD、VSSコンタクト領域118および転送トランジスタTRの平面構成を表している。図49とともに、図50を用いて第1基板100の構成について説明する。
半導体層100Sの表面近傍には、フローティングディフュージョンFDおよびVSSコンタクト領域118が設けられている。フローティングディフュージョンFDは、pウェル層115内に設けられたn型半導体領域により構成されている。画素541A,541B,541C,541D各々のフローティングディフュージョンFD(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)は、例えば、画素共有ユニット539の中央部に互いに近接して設けられている(図50)。詳細は後述するが、この共有ユニット539に含まれる4つのフローティングディフュージョン(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)は、第1基板100内(より具体的には配線層100Tの内)で、電気的接続手段(後述のパッド部120)を介して互いに電気的に接続されている。さらに、フローティングディフュージョンFDは、第1基板100から第2基板260へ(より具体的には、配線層100Tから配線層260Tへ)と電気的手段(後述の貫通電極120E)を介して接続されている。第2基板260(より具体的には配線層260Tの内部)では、この電気的手段により、フローティングディフュージョンFDが、増幅トランジスタAMPのゲートおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソースに電気的に接続されている。
VSSコンタクト領域118は、基準電位線VSSに電気的に接続される領域であり、フローティングディフュージョンFDと離間して配置されている。例えば、画素541A,541B,541C,541Dでは、各画素のV方向の一端にフローティングディフュージョンFDが配置され、他端にVSSコンタクト領域118が配置されている(図50)。VSSコンタクト領域118は、例えば、p型半導体領域により構成されている。VSSコンタクト領域118は、例えば接地電位や固定電位に接続されている。これにより、半導体層100Sに基準電位が供給される。
第1基板100には、フォトダイオードPD、フローティングディフュージョンFDおよびVSSコンタクト領域118とともに、転送トランジスタTRが設けられている。このフォトダイオードPD、フローティングディフュージョンFD、VSSコンタクト領域118および転送トランジスタTRは、画素541A,541B,541C,541D各々に設けられている。転送トランジスタTRは、半導体層100Sの表面側(光入射面側とは反対側、第2基板260側)に設けられている。転送トランジスタTRは、転送ゲートTGを有している。転送ゲートTGは、例えば、半導体層100Sの表面に対向する水平部分TGbと、半導体層100S内に設けられた垂直部分TGaとを含んでいる。垂直部分TGaは、半導体層100Sの厚み方向に延在している。垂直部分TGaの一端は水平部分TGbに接し、他端はn型半導体領域114内に設けられている。転送トランジスタTRを、このような縦型トランジスタにより構成することにより、画素信号の転送不良が生じにくくなり、画素信号の読み出し効率を向上させることができる。
転送ゲートTGの水平部分TGbは、垂直部分TGaに対向する位置から例えば、H方向において画素共有ユニット539の中央部に向かって延在している(図50)。これにより、転送ゲートTGに達する貫通電極(後述の貫通電極TGV)のH方向の位置を、フローティングディフュージョンFD、VSSコンタクト領域118に接続される貫通電極(後述の貫通電極120E,121E)のH方向の位置に近づけることができる。例えば、第1基板100に設けられた複数の画素共有ユニット539は、互いに同じ構成を有している(図50)。
半導体層100Sには、画素541A,541B,541C,541Dを互いに分離する画素分離部117が設けられている。画素分離部117は、半導体層100Sの法線方向(半導体層100Sの表面に対して垂直な方向)に延在して形成されている。画素分離部117は、画素541A,541B,541C,541Dを互いに仕切るように設けられており、例えば格子状の平面形状を有している(図50,図51)。画素分離部117は、例えば、画素541A,541B,541C,541Dを互いに電気的および光学的に分離する。画素分離部117は、例えば、遮光膜117Aおよび絶縁膜117Bを含んでいる。遮光膜117Aには、例えば、タングステン(W)等が用いられる。絶縁膜117Bは、遮光膜117Aとpウェル層115またはn型半導体領域114との間に設けられている。絶縁膜117Bは、例えば、酸化シリコン(SiO)によって構成されている。画素分離部117は、例えば、FTI(Full Trench Isolation)構造を有しており、半導体層100Sを貫通している。図示しないが、画素分離部117は半導体層100Sを貫通するFTI構造に限定されない。例えば、半導体層100Sを貫通しないDTI(Deep Trench Isolation)構造であっても良い。画素分離部117は、半導体層100Sの法線方向に延在して、半導体層100Sの一部の領域に形成される。
半導体層100Sには、例えば、第1ピニング領域113および第2ピニング領域116が設けられている。第1ピニング領域113は、半導体層100Sの裏面近傍に設けられており、n型半導体領域114と固定電荷膜112との間に配置されている。第2ピニング領域116は、画素分離部117の側面、具体的には、画素分離部117とpウェル層115またはn型半導体領域114との間に設けられている。第1ピニング領域113および第2ピニング領域116は、例えば、p型半導体領域により構成されている。
半導体層100Sと絶縁膜110との間には、負の固定電荷を有する固定電荷膜112が設けられている。固定電荷膜112が誘起する電界により、半導体層100Sの受光面(裏面)側の界面に、ホール蓄積層の第1ピニング領域113が形成される。これにより、半導体層100Sの受光面側の界面準位に起因した暗電流の発生が抑えられる。固定電荷膜112は、例えば、負の固定電荷を有する絶縁膜によって形成されている。この負の固定電荷を有する絶縁膜の材料としては、例えば、酸化ハフニウム、酸化ジルコン、酸化アルミニウム、酸化チタンまたは酸化タンタルが挙げられる。
固定電荷膜112と絶縁膜110との間には、遮光膜117Aが設けられている。この遮光膜117Aは、画素分離部117を構成する遮光膜117Aと連続して設けられていてもよい。この固定電荷膜112と絶縁膜110との間の遮光膜117Aは、例えば、半導体層100S内の画素分離部117に対向する位置に選択的に設けられている。絶縁膜110は、この遮光膜117Aを覆うように設けられている。絶縁膜110は、例えば、酸化シリコンにより構成されている。
半導体層100Sと第2基板260との間に設けられた配線層100Tは、半導体層100S側から、層間絶縁膜119、パッド部120,121、パッシベーション膜126、層間絶縁膜123および接合膜124をこの順に有している。転送ゲートTGの水平部分TGbは、例えば、この配線層100Tに設けられている。層間絶縁膜119は、半導体層100Sの表面全面にわたって設けられており、半導体層100Sに接している。層間絶縁膜119は、例えば酸化シリコン膜により構成されている。なお、配線層100Tの構成は上述の限りでなく、配線と絶縁膜とを有する構成であれば良い。
図51は、図50に示した平面構成とともに、パッド部120,121の構成を表している。パッド部120,121は、層間絶縁膜119上の選択的な領域に設けられている。パッド部120は、画素541A,541B,541C,541D各々のフローティングディフュージョンFD(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)を互いに接続するためのものである。パッド部120は、例えば、画素共有ユニット539毎に、平面視で画素共有ユニット539の中央部に配置されている(図51)。このパッド部120は、画素分離部117を跨ぐように設けられており、フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4各々の少なくとも一部に重畳して配置されている(図49,図51)。具体的には、パッド部120は、画素回路210を共有する複数のフローティングディフュージョンFD(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)各々の少なくとも一部と、その画素回路210を共有する複数のフォトダイオードPD(フォトダイオードPD1,PD2,PD3,PD4)の間に形成された画素分離部117の少なくとも一部とに対して、半導体層100Sの表面に対して垂直な方向に重なる領域に形成される。層間絶縁膜119には、パッド部120とフローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4とを電気的に接続するための接続ビア120Cが設けられている。接続ビア120Cは、画素541A,541B,541C,541D各々に設けられている。例えば、接続ビア120Cにパッド部120の一部が埋め込まれることにより、パッド部120とフローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4とが電気的に接続されている。
パッド部121は、複数のVSSコンタクト領域118を互いに接続するためのものである。例えば、V方向に隣り合う一方の画素共有ユニット539の画素541C,541Dに設けられたVSSコンタクト領域118と、他方の画素共有ユニット539の画素541A,541Bに設けられたVSSコンタクト領域118とがパッド部121により電気的に接続されている。パッド部121は、例えば、画素分離部117を跨ぐように設けられており、これら4つのVSSコンタクト領域118各々の少なくとも一部に重畳して配置されている。具体的には、パッド部121は、複数のVSSコンタクト領域118各々の少なくとも一部と、その複数のVSSコンタクト領域118の間に形成された画素分離部117の少なくとも一部とに対して、半導体層100Sの表面に対して垂直な方向に重なる領域に形成される。層間絶縁膜119には、パッド部121とVSSコンタクト領域118とを電気的に接続するための接続ビア121Cが設けられている。接続ビア121Cは、画素541A,541B,541C,541D各々に設けられている。例えば、接続ビア121Cにパッド部121の一部が埋め込まれることにより、パッド部121とVSSコンタクト領域118とが電気的に接続されている。例えば、V方向に並ぶ複数の画素共有ユニット539各々のパッド部120およびパッド部121は、H方向において略同じ位置に配置されている(図51)。
パッド部120を設けることで、チップ全体において、各フローティングディフュージョンFDから画素回路210(例えば増幅トランジスタAMPのゲート電極)へ接続するための配線を減らすことができる。同様に、パッド部121を設けることで、チップ全体において、各VSSコンタクト領域118への電位を供給する配線を減らすことができる。これにより、チップ全体の面積の縮小、微細化された画素における配線間の電気的干渉の抑制、および/または部品点数の削減によるコスト削減などが可能になる。
パッド部120、121は、第1基板100、第2基板260の所望の位置に設けることができる。具体的には、パッド部120、121を配線層100T、半導体層260Sの絶縁領域212のいずれかに設けることができる。配線層100Tに設ける場合には、パッド部120、121を半導体層100Sに直接接触させても良い。具体的には、パッド部120、121が、フローティングディフュージョンFDおよび/またはVSSコンタクト領域118の各々の少なくとも一部と直接接続される構成でも良い。また、パッド部120、121に接続するフローティングディフュージョンFDおよび/またはVSSコンタクト領域118の各々から接続ビア120C,121Cを設け、配線層100T、半導体層260Sの絶縁領域212の所望の位置にパッド部120、121を設ける構成でも良い。
特に、パッド部120、121を配線層100Tに設ける場合には、半導体層260Sの絶縁領域212におけるフローティングディフュージョンFDおよび/またはVSSコンタクト領域118に接続される配線を減らすことができる。これにより、画素回路210を形成する第2基板260のうち、フローティングディフュージョンFDから画素回路210に接続するための貫通配線を形成するための絶縁領域212の面積を削減することができる。よって、画素回路210を形成する第2基板260の面積を大きく確保することができる。画素回路210の面積を確保することで、画素トランジスタを大きく形成することができ、ノイズ低減などによる画質向上に寄与することができる。
特に、画素分離部117にFTI構造を用いた場合、フローティングディフュージョンFDおよび/またはVSSコンタクト領域118は、各画素541に設けることが好ましいため、パッド部120、121の構成を用いることで、第1基板100と第2基板260とを接続する配線を大幅に削減することができる。
また、図51のように、例えば複数のフローティングディフュージョンFDが接続されるパッド部120と、複数のVSSコンタクト領域118が接続されるパッド部121とは、V方向において直線状に交互に配置される。また、パッド部120、121は、複数のフォトダイオードPDや、複数の転送ゲートTGや、複数のフローティングディフュージョンFDに囲まれる位置に形成される。これにより、複数の素子を形成する第1基板100において、フローティングディフュージョンFDとVSSコンタクト領域118以外の素子を自由に配置することができ、チップ全体のレイアウトの効率化を図ることができる。また、各画素共有ユニット539に形成される素子のレイアウトにおける対称性が確保され、各画素541の特性のばらつきを抑えることができる。
パッド部120,121は、例えば、ポリシリコン(Poly Si)、より具体的には、不純物が添加されたドープドポリシリコンにより構成されている。パッド部120,121はポリシリコン、タングステン(W)、チタン(Ti)および窒化チタン(TiN)等の耐熱性の高い導電性材料により構成されていることが好ましい。これにより、第1基板100に第2基板260の半導体層260Sを貼り合わせた後に、画素回路210を形成することが可能となる。以下、この理由について説明する。なお、以下の説明において、第1基板100と第2基板260の半導体層260Sを貼り合わせた後に、画素回路210を形成する方法を、第1の製造方法と呼ぶ。
ここで、第2基板260に画素回路210を形成した後に、これを第1基板100に貼り合わせることも考え得る(以下第2の製造方法という)。この第2の製造方法では、第1基板100の表面(配線層100Tの表面)および第2基板260の表面(配線層260Tの表面)それぞれに、電気的接続用の電極を予め形成しておく。第1基板100と第2基板260を貼り合わせると、これと同時に、第1基板100の表面と第2基板260の表面のそれぞれに形成された電気的接続用の電極同士が接触する。これにより、第1基板100に含まれる配線と第2基板260に含まれる配線との間で電気的接続が形成される。よって、第2の製造方法を用いた撮像装置1の構成とすることで、例えば第1基板100と第2基板260の各々の構成に応じて適切なプロセスを用いて製造することができ、高品質、高性能な撮像装置を製造することができる。
このような第2の製造方法では、第1基板100と第2基板260とを貼り合わせる際に、貼り合わせ用の製造装置に起因して、位置合わせの誤差が生じることがある。また、第1基板100および第2基板260は、例えば、直径数十cm程度の大きさを有するが、第1基板100と第2基板260とを貼り合わせる際に、この第1基板100、第2基板260各部の微視的領域で、基板の伸び縮みが発生するおそれがある。この基板の伸び縮みは、基板同士が接触するタイミングが多少ずれることに起因する。このような第1基板100および第2基板260の伸び縮みに起因して、第1基板100の表面および第2基板260の表面それぞれに形成された電気的接続用の電極の位置に、誤差が生じることがある。第2の製造方法では、このような誤差が生じても、第1基板100および第2基板260それぞれの電極同士が接触するように対処しておくことが好ましい。具体的には、第1基板100および第2基板260の電極の少なくとも一方、好ましくは両方を、上記誤差を考慮して大きくしておく。このため、第2の製造方法を用いると、例えば、第1基板100または第2基板260の表面に形成された電極の大きさ(基板平面方向の大きさ)が、第1基板100または第2基板260の内部から表面に厚み方向へ延在する内部電極の大きさよりも大きくなる。
一方、パッド部120,121を耐熱性の導電材料により構成することで、上記第1の製造方法を用いることが可能となる。第1の製造方法では、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRなどを含む第1基板100を形成した後、この第1基板100と第2基板260(半導体層260S)とを貼り合わせる。このとき、第2基板260は、画素回路210を構成する能動素子および配線層などのパターンは未形成の状態である。第2基板260はパターンを形成する前の状態であるため、仮に、第1基板100と第2基板260を貼り合わせる際、その貼り合わせ位置に誤差が生じたとしても、この貼り合わせ誤差によって、第1基板100のパターンと第2基板260のパターンとの間の位置合わせに誤差が生じることはない。なぜならば、第2基板260のパターンは、第1基板100と第2基板260を貼り合わせた後に、形成するからである。なお、第2基板にパターンを形成する際には、例えば、パターン形成のための露光装置において、第1基板に形成されたパターンを位置合わせの対象としながらパターン形成する。上記理由により、第1基板100と第2基板260との貼り合わせ位置の誤差は、第1の製造方法においては、撮像装置1を製造する上で問題とならない。同様の理由で、第2の製造方法で生じる基板の伸び縮みに起因した誤差も、第1の製造方法においては、撮像装置1を製造する上で問題とならない。
第1の製造方法では、このようにして第1基板100と第2基板260(半導体層260S)とを貼り合せた後、第2基板260上に能動素子を形成する。この後、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGV(図49)を形成する。この貫通電極120E,121E,TGVの形成では、例えば、第2基板260の上方から、露光装置による縮小投影露光を用いて貫通電極のパターンを形成する。縮小露光投影を用いるため、仮に、第2基板260と露光装置との位置合わせに誤差が生じても、その誤差の大きさは、第2基板260においては、上記第2の製造方法の誤差の数分の一(縮小露光投影倍率の逆数)にしかならない。よって、第1の製造方法を用いた撮像装置1の構成とすることで、第1基板100と第2基板260の各々に形成される素子同士の位置合わせが容易になり、高品質、高性能な撮像装置を製造することができる。
このような第1の製造方法を用いて製造された撮像装置1は、第2の製造方法で製造された撮像装置と異なる特徴を有する。具体的には、第1の製造方法により製造された撮像装置1では、例えば、貫通電極120E,121E,TGVが、第2基板260から第1基板100に至るまで、略一定の太さ(基板平面方向の大きさ)となっている。あるいは、貫通電極120E,121E,TGVがテーパー形状を有するときには、一定の傾きのテーパー形状を有している。このような貫通電極120E,121E,TGVを有する撮像装置1は、画素541を微細化しやすい。
ここで、第1の製造方法により撮像装置1を製造すると、第1基板100と第2基板260(半導体層260S)とを貼り合わせた後に、第2基板260に能動素子を形成するので、第1基板100にも、能動素子の形成の際に必要な加熱処理の影響が及ぶことになる。このため、上記のように、第1基板100に設けられたパッド部120,121には、耐熱性の高い導電材料を用いることが好ましい。例えば、パッド部120,121には、第2基板260の配線層260Tに含まれる配線材の少なくとも一部よりも、融点の高い(すなわち耐熱性の高い)材料を用いていることが好ましい。例えば、パッド部120,121にドープトポリシリコン、タングステン、チタンあるいは窒化チタン等の耐熱性の高い導電材を用いる。これにより、上記第1の製造方法を用いて撮像装置1を製造することが可能となる。
パッシベーション膜126は、例えば、パッド部120,121を覆うように、半導体層100Sの表面全面にわたって設けられている(図49)。パッシベーション膜126は、例えば、窒化シリコン(SiN)膜により構成されている。層間絶縁膜123は、パッシベーション膜126を間にしてパッド部120,121を覆っている。この層間絶縁膜123は、例えば、半導体層100Sの表面全面にわたって設けられている。層間絶縁膜123は、例えば酸化シリコン(SiO)膜により構成されている。接合膜124は、第1基板100(具体的には配線層100T)と第2基板260との接合面に設けられている。即ち、接合膜124は、第2基板260に接している。この接合膜124は、第1基板100の主面全面にわたって設けられている。接合膜124は、例えば、窒化シリコン膜により構成されている。
受光レンズ401は、例えば、固定電荷膜112および絶縁膜110を間にして半導体層100Sに対向している(図49)。受光レンズ401は、例えば画素541A,541B,541C,541D各々のフォトダイオードPDに対向する位置に設けられている。
第2基板260は、第1基板100側から、半導体層260Sおよび配線層260Tをこの順に有している。半導体層260Sは、シリコン基板で構成されている。半導体層260Sでは、厚み方向にわたって、ウェル領域211が設けられている。ウェル領域211は、例えば、p型半導体領域である。第2基板20には、画素共有ユニット539毎に配置された画素回路210が設けられている。この画素回路210は、例えば、半導体層260Sの表面側(配線層260T側)に設けられている。撮像装置1では、第1基板100の表面側(配線層100T側)に第2基板260の裏面側(半導体層260S側)が向かうようにして、第2基板260が第1基板100に貼り合わされている。つまり、第2基板260は、第1基板100に、フェイストゥーバックで貼り合わされている。
図52〜図56は、第2基板260の平面構成の一例を模式的に表している。図52には、半導体層260Sの表面近傍に設けられた画素回路210の構成を表す。図53は、配線層260T(具体的には後述の第1配線層W1)と、配線層260Tに接続された半導体層260Sおよび第1基板100の各部の構成を模式的に表している。図54〜図56は、配線層260Tの平面構成の一例を表している。以下、図49とともに、図52〜図56を用いて第2基板260の構成について説明する。図52および図53ではフォトダイオードPDの外形(画素分離部117とフォトダイオードPDとの境界)を破線で表し、画素回路210を構成する各トランジスタのゲート電極に重なる部分の半導体層260Sと素子分離領域213または絶縁領域212との境界を点線で表す。増幅トランジスタAMPのゲート電極に重なる部分では、チャネル幅方向の一方に、半導体層260Sと素子分離領域213との境界、および素子分離領域213と絶縁領域212との境界が設けられている。
第2基板260には、半導体層260Sを分断する絶縁領域212と、半導体層260Sの厚み方向の一部に設けられた素子分離領域213とが設けられている(図49)。例えば、H方向に隣り合う2つの画素回路210の間に設けられた絶縁領域212に、この2つの画素回路210に接続された2つの画素共有ユニット539の貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGV(貫通電極TGV1,TGV2,TGV3,TGV4)が配置されている(図53)。
絶縁領域212は、半導体層260Sの厚みと略同じ厚みを有している(図49)。半導体層260Sは、この絶縁領域212により分断されている。この絶縁領域212に、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVが配置されている。絶縁領域212は、例えば酸化シリコンにより構成されている。
貫通電極120E,121Eは、絶縁領域212を厚み方向に貫通して設けられている。貫通電極120E,121Eの上端は、配線層260Tの配線(後述の第1配線W1,第2配線W2,第3配線W3,第4配線W4)に接続されている。この貫通電極120E,121Eは、絶縁領域212、接合膜124、層間絶縁膜123およびパッシベーション膜126を貫通して設けられ、その下端はパッド部120,121に接続されている(図49)。貫通電極120Eは、パッド部120と画素回路210とを電気的に接続するためのものである。即ち、貫通電極120Eにより、第1基板100のフローティングディフュージョンFDが第2基板260の画素回路210に電気的に接続される。貫通電極121Eは、パッド部121と配線層260Tの基準電位線VSSとを電気的に接続するためのものである。即ち、貫通電極121Eにより、第1基板100のVSSコンタクト領域118が第2基板260の基準電位線VSSに電気的に接続される。
貫通電極TGVは、絶縁領域212を厚み方向に貫通して設けられている。貫通電極TGVの上端は、配線260Tの配線に接続されている。この貫通電極TGVは、絶縁領域212、接合膜124、層間絶縁膜123、パッシベーション膜126および層間絶縁膜119を貫通して設けられ、その下端は転送ゲートTGに接続されている(図49)。このような貫通電極TGVは、画素541A,541B,541C,541D各々の転送ゲートTG(転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4)と、配線層260Tの配線(行駆動信号線542の一部、具体的には、後述の図55の配線TRG1,TRG2,TRG3,TRG4)とを電気的に接続するためのものである。即ち、貫通電極TGVにより、第1基板100の転送ゲートTGが第2基板260の配線TRGに電気的に接続され、転送トランジスタTR(転送トランジスタTR1,TR2,TR3,TR4)各々に駆動信号が送られるようになっている。
絶縁領域212は、第1基板100と第2基板260とを電気的に接続するための前記貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVを、半導体層260Sと絶縁して設けるための領域である。例えば、H方向に隣り合う2つの画素回路210(共有ユニット539)の間に設けられた絶縁領域212に、この2つの画素回路210に接続された貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGV(貫通電極TGV1,TGV2,TGV3,TGV4)が配置されている。絶縁領域212は、例えば、V方向に延在して設けられている(図52,図53)。ここでは、転送ゲートTGの水平部分TGbの配置を工夫することにより、垂直部分TGaの位置に比べて、貫通電極TGVのH方向の位置が貫通電極120E,121EのH方向の位置に近づくように配置されている(図50,図53)。例えば、貫通電極TGVは、H方向において、貫通電極120E,121Eと略同じ位置に配置されている。これにより、V方向に延在する絶縁領域212に、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVをまとめて設けることができる。別の配置例として、垂直部分TGaに重畳する領域のみに水平部分TGbを設けることも考え得る。この場合には、垂直部分TGaの略直上に貫通電極TGVが形成され、例えば、各画素541のH方向およびV方向の略中央部に貫通電極TGVが配置される。このとき、貫通電極TGVのH方向の位置と貫通電極120E,121EのH方向の位置とが大きくずれる。貫通電極TGVおよび貫通電極120E,121Eの周囲には、近接する半導体層260Sから電気的に絶縁するため、例えば、絶縁領域212を設ける。貫通電極TGVのH方向の位置と貫通電極120E,121EのH方向の位置とが大きく離れる場合には、貫通電極120E,121E,TGV各々の周囲に絶縁領域212を独立して設けることが必要となる。これにより、半導体層260Sが細かく分断されることになる。これに比べ、V方向に延在する絶縁領域212に、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVをまとめて配置するレイアウトは、半導体層260SのH方向の大きさを大きくすることができる。よって、半導体層260Sにおける半導体素子形成領域の面積を大きく確保することができる。これにより、例えば、増幅トランジスタAMPのサイズを大きくし、ノイズを抑えることが可能となる。
画素共有ユニット539は、図4を参照して説明したように、複数の画素541のそれぞれに設けられたフローティングディフュージョンFDの間を電気的に接続し、これら複数の画素541が1つの画素回路210を共有する構造を有している。そして、前記フローティングディフュージョンFD間の電気的接続は、第1基板100に設けられたパッド部120によってなされている(図49、図51)。第1基板100に設けられた電気的接続部(パッド部120)と第2基板260に設けられた画素回路210は、1つの貫通電極120Eを介して電気的に接続されている。別の構造例として、フローティングディフュージョンFD間の電気的接続部を第2基板260に設けることも考え得る。この場合、画素共有ユニット539には、フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4各々に接続される4つの貫通電極が設けられる。したがって、第2基板260において、半導体層260Sを貫通する貫通電極の数が増え、これら貫通電極の周囲を絶縁する絶縁領域212が大きくなる。これに比べ、第1基板100にパッド部120を設ける構造(図49,図51)は、貫通電極の数を減らし、絶縁領域212を小さくすることができる。よって、半導体層260Sにおける半導体素子形成領域の面積を大きく確保することができる。これにより、例えば、増幅トランジスタAMPのサイズを大きくし、ノイズを抑えることが可能となる。
素子分離領域213は、半導体層260Sの表面側に設けられている。素子分離領域213は、STI(Shallow Trench Isolation)構造を有している。この素子分離領域213では、半導体層260Sが厚み方向(第2基板260の主面に対して垂直方向)に掘り込まれており、この掘り込みに絶縁膜が埋め込まれている。この絶縁膜は、例えば、酸化シリコンにより構成されている。素子分離領域213は、画素回路210を構成する複数のトランジスタ間を、画素回路210のレイアウトに応じて素子分離するものである。素子分離領域213の下方(半導体層260Sの深部)には、半導体層260S(具体的には、ウエル領域211)が延在している。
ここで、図50,図51および図52を参照して、第1基板100での画素共有ユニット539の外形形状(基板平面方向の外形形状)と、第2基板260での画素共有ユニット539の外形形状との違いを説明する。
撮像装置1では、第1基板100および第2基板260の両方にわたり、画素共有ユニット539が設けられている。例えば、第1基板100に設けられた画素共有ユニット539の外形形状と、第2基板260に設けられた画素共有ユニット539の外形形状とは互いに異なっている。
図50,図51では、画素541A,541B,541C,541Dの外形線を一点鎖線で表し、画素共有ユニット539の外形形状を太線で表している。例えば、第1基板100の画素共有ユニット539は、H方向に隣接して配置された2つの画素541(画素541A,541B)と、これにV方向に隣接して配置された2つの画素541(画素541C,541D)により構成されている。即ち、第1基板100の画素共有ユニット539は、隣接する2行×2列の4つの画素541により構成されており、第1基板100の画素共有ユニット539は、略正方形の外形形状を有している。画素アレイ部540では、このような画素共有ユニット539が、H方向へ2画素ピッチ(画素541の2個分に相当するピッチ)、かつ、V方向へ2画素ピッチ(画素541の2個分に相当するピッチ)、で隣接して配列されている。
図52および図53では、画素541A,541B,541C,541Dの外形線を一点鎖線で表し、画素共有ユニット539の外形形状を太線で表している。例えば、第2基板260の画素共有ユニット539の外形形状は、H方向において第1基板100の画素共有ユニット539よりも小さく、V方向において第1基板100の画素共有ユニット539よりも大きくなっている。例えば、第2基板260の画素共有ユニット539は、H方向には画素1個分に相当する大きさ(領域)で形成され、V方向には、画素4個分に相当する大きさで形成されている。即ち、第2基板260の画素共有ユニット539は、隣接する1行×4列に配列された画素に相当する大きさで形成されており、第2基板260の画素共有ユニット539は、略長方形の外形形状を有している。
例えば、各画素回路210では、選択トランジスタSEL、増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGがこの順にV方向に並んで配置されている(図52)。各画素回路210の外形形状を、上記のように、略長方形状に設けることにより、一方向(図52ではV方向)に4つのトランジスタ(選択トランジスタSEL、増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDG)を並べて配置することができる。これにより、増幅トランジスタAMPのドレインと、リセットトランジスタRSTのドレインとを一の拡散領域(電源線VDDに接続される拡散領域)で共有することができる。例えば、各画素回路210の形成領域を略正方形状に設けることも可能である(後述の図65参照)。この場合には、一方向に沿って2つのトランジスタが配置され、増幅トランジスタAMPのドレインと、リセットトランジスタRSTのドレインとを一の拡散領域で共有することが困難となる。よって、画素回路210の形成領域を略長方形状に設けることにより、4つのトランジスタを近接して配置しやすくなり、画素回路210の形成領域を小さくすることができる。即ち、画素の微細化を行うことができる。また、画素回路210の形成領域を小さくすることが不要であるときには、増幅トランジスタAMPの形成領域を大きくし、ノイズを抑えることが可能となる。
例えば、半導体層260Sの表面近傍には、選択トランジスタSEL、増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGに加えて、基準電位線VSSに接続されるVSSコンタクト領域218が設けられている。VSSコンタクト領域218は、例えば、p型半導体領域により構成されている。VSSコンタクト領域218は、配線層260Tの配線および貫通電極121Eを介して第1基板100(半導体層100S)のVSSコンタクト領域118に電気的に接続されている。このVSSコンタクト領域218は、例えば、素子分離領域213を間にして、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソースと隣り合う位置に設けられている(図52)。
次に、図51および図52を参照して、第1基板100に設けられた画素共有ユニット539と第2基板260に設けられた画素共有ユニット539との位置関係を説明する。例えば、第1基板100のV方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうち、一方(例えば図51の紙面上側)の画素共有ユニット539は、第2基板260のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうちの一方(例えば、図52の紙面左側)の画素共有ユニット539に接続されている。例えば、第1基板100のV方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうち、他方(例えば図51の紙面下側)の画素共有ユニット539は、第2基板260のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうちの他方(例えば、図52の紙面右側)の画素共有ユニット539に接続されている。
例えば、第2基板260のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539では、一方の画素共有ユニット539の内部レイアウト(トランジスタ等の配置)が、他方の画素共有ユニット539の内部レイアウトをV方向およびH方向に反転させたレイアウトに略等しくなっている。以下、このレイアウトによって得られる効果を説明する。
第1基板100のV方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539では、各々のパッド部120が、画素共有ユニット539の外形形状の中央部、即ち、画素共有ユニット539のV方向およびH方向の中央部に配置される(図51)。一方、第2基板260の画素共有ユニット539は、上記のように、V方向に長い略長方形の外形形状を有しているので、例えば、パッド部120に接続される増幅トランジスタAMPは、画素共有ユニット539のV方向の中央から紙面上方にずれた位置に配置されている。例えば、第2基板260のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539の内部レイアウトが同じであるとき、一方の画素共有ユニット539の増幅トランジスタAMPと、パッド部120(例えば、図7の紙面上側の画素共有ユニット539のパッド部120)との距離は比較的短くなる。しかし、他方の画素共有ユニット539の増幅トランジスタAMPと、パッド部120(例えば、図7の紙面下側の画素共有ユニット539のパッド部120)との距離が長くなる。このため、この増幅トランジスタAMPとパッド部120との接続に要する配線の面積が大きくなり、画素共有ユニット539の配線レイアウトが複雑になるおそれがある。このことは、撮像装置1の微細化に影響を及ぼす可能性がある。
これに対して、第2基板260のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539で、互いの内部レイアウトを少なくともV方向に反転させることにより、これら2つの画素共有ユニット539の両方の増幅トランジスタAMPとパッド部120との距離を短くすることができる。したがって、第2基板260のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539の内部レイアウトを同じにした構成と比べて、撮像装置1の微細化を行いやすくなる。なお、第2基板260の複数の画素共有ユニット539各々の平面レイアウトは、図52に記載の範囲では左右対称であるが、後述する図53に記載の第1配線層W1のレイアウトまで含めると、左右非対称のものとなる。
また、第2基板260のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539の内部レイアウトは、互いに、H方向にも反転されていることが好ましい。以下、この理由について説明する。図53に示したように、第2基板260のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539はそれぞれ、第1基板100のパッド部120,121に接続されている。例えば、第2基板260のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のH方向の中央部(H方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539の間)にパッド部120,121が配置されている。したがって、第2基板260のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539の内部レイアウトを、互いに、H方向にも反転させることにより、第2基板260の複数の画素共有ユニット539それぞれとパッド部120,121との距離を小さくすることができる。即ち、撮像装置1の微細化をさらに行いやすくなる。
また、第2基板260の画素共有ユニット539の外形線の位置は、第1基板100の画素共有ユニット539のいずれかの外形線の位置に揃っていなくてもよい。例えば、第2基板260のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうち、一方(例えば図53の紙面左側)の画素共有ユニット539では、V方向の一方(例えば図53の紙面上側)の外形線が、対応する第1基板100の画素共有ユニット539(例えば図51の紙面上側)のV方向の一方の外形線の外側に配置されている。また、第2基板260のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうち、他方(例えば図53の紙面右側)の画素共有ユニット539では、V方向の他方(例えば図53の紙面下側)の外形線が、対応する第1基板100の画素共有ユニット539(例えば図51の紙面下側)のV方向の他方の外形線の外側に配置されている。このように、第2基板260の画素共有ユニット539と、第1基板100の画素共有ユニット539とを互いに配置することにより、増幅トランジスタAMPとパッド部120との距離を短くすることが可能となる。したがって、撮像装置1の微細化を行いやすくなる。
また、第2基板260の複数の画素共有ユニット539の間で、互いの外形線の位置は揃っていなくてもよい。例えば、第2基板260のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539は、V方向の外形線の位置がずれて配置されている。これにより、増幅トランジスタAMPとパッド部120との距離を短くすることが可能となる。したがって、撮像装置1の微細化を行いやすくなる。
図51および図53を参照して、画素アレイ部540での画素共有ユニット539の繰り返し配置について説明する。第1基板100の画素共有ユニット539は、H方向に2つ分の画素541の大きさ、およびV方向に2つ分の画素541の大きさを有している(図51)。例えば、第1基板100の画素アレイ部540では、この4つの画素541に相当する大きさの画素共有ユニット539が、H方向へ2画素ピッチ(画素541の2つ分に相当するピッチ)、かつ、V方向へ2画素ピッチ(画素541の2つ分に相当するピッチ)、で隣接して繰り返し配列されている。あるいは、第1基板100の画素アレイ部540に、画素共有ユニット539がV方向に2つ隣接して配置された一対の画素共有ユニット539が設けられていてもよい。第1基板100の画素アレイ部540では、例えば、この一対の画素共有ユニット539が、H方向へ2画素ピッチ(画素541の2つ分に相当するピッチ)、かつ、V方向へ4画素ピッチ(画素541の4つ分に相当するピッチ)、で隣接して繰り返し配列している。第2基板260の画素共有ユニット539は、H方向に1つ分の画素541の大きさ、およびV方向に4つ分の画素541の大きさを有している(図53)。例えば、第2基板260の画素アレイ部540には、この4つの画素541に相当する大きさの画素共有ユニット539を2つ含む、一対の画素共有ユニット539が設けられている。この画素共有ユニット539は、H方向に隣接して配置され、かつ、V方向にはずらして配置されている。第2基板260の画素アレイ部540では、例えば、この一対の画素共有ユニット539が、H方向へ2画素ピッチ(画素541の2個分に相当するピッチ)、かつ、V方向へ4画素ピッチ(画素541の4個分に相当するピッチ)、で隙間なく隣接して繰り返し配列されている。このような画素共有ユニット539の繰り返し配置により、画素共有ユニット539を隙間なく配置することが可能となる。したがって、撮像装置1の微細化を行いやすくなる。
増幅トランジスタAMPは、例えば、Fin型等の三次元構造を有していることが好ましい(図49)。これにより、実効のゲート幅の大きさが大きくなり、ノイズを抑えることが可能となる。選択トランジスタSEL、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGは、例えば、プレーナー構造を有している。増幅トランジスタAMPがプレーナー構造を有していてもよい。あるいは、選択トランジスタSEL、リセットトランジスタRSTまたはFD変換ゲイン切替トランジスタFDGが、三次元構造を有していてもよい。
配線層260Tは、例えば、パッシベーション膜221、層間絶縁膜222および複数の配線(第1配線層W1,第2配線層W2,第3配線層W3,第4配線層W4)を含んでいる。パッシベーション膜221は、例えば、半導体層260Sの表面に接しており、半導体層260Sの表面全面を覆っている。このパッシベーション膜221は、選択トランジスタSEL、増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDG各々のゲート電極を覆っている。層間絶縁膜222は、パッシベーション膜221と第3基板300との間に設けられている。この層間絶縁膜222により、複数の配線(第1配線層W1,第2配線層W2,第3配線層W3,第4配線層W4)が分離されている。層間絶縁膜222は、例えば、酸化シリコンにより構成されている。
配線層260Tには、例えば、半導体層260S側から、第1配線層W1、第2配線層W2、第3配線層W3、第4配線層W4およびコンタクト部261,262がこの順に設けられ、これらが互いに層間絶縁膜222により絶縁されている。層間絶縁膜222には、第1配線層W1、第2配線層W2、第3配線層W3または第4配線層W4と、これらの下層とを接続する接続部が複数設けられている。接続部は、層間絶縁膜222に設けた接続孔に、導電材料を埋設した部分である。例えば、層間絶縁膜222には、第1配線層W1と半導体層260SのVSSコンタクト領域218とを接続する接続部218Vが設けられている。例えば、このような第2基板260の素子同士を接続する接続部の孔径は、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVの孔径と異なっている。具体的には、第2基板260の素子同士を接続する接続孔の孔径は、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVの孔径よりも小さくなっていることが好ましい。以下、この理由について説明する。配線層260T内に設けられた接続部(接続部218V等)の深さは、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVの深さよりも小さい。このため接続部は、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVに比べて、容易に接続孔へ導電材を埋めることができる。この接続部の孔径を、貫通電極120E,121Eおよび貫通電極TGVの孔径よりも小さくすることにより、撮像装置1の微細化を行いやすくなる。
例えば、第1配線層W1により、貫通電極120Eと増幅トランジスタAMPのゲートおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソース(具体的にはFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソースに達する接続孔)とが接続されている。第1配線層W1は、例えば、貫通電極121Eと接続部218Vとを接続しており、これにより、半導体層260SのVSSコンタクト領域218と半導体層100SのVSSコンタクト領域118とが電気的に接続される。
次に、図54〜図56を用いて、配線層260Tの平面構成について説明する。図54は、第1配線層W1および第2配線層W2の平面構成の一例を表したものである。図55は、第2配線層W2および第3配線層W3の平面構成の一例を表したものである。図56は、第3配線層W3および第4配線層W4の平面構成の一例を表したものである。
例えば、第3配線層W3は、H方向(行方向)に延在する配線TRG1,TRG2,TRG3,TRG4,SELL,RSTL,FDGLを含んでいる(図55)。これらの配線は、図47を参照して説明した複数の行駆動信号線542に該当する。配線TRG1,TRG2,TRG3,TRG4は各々、転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4に駆動信号を送るためのものである。配線TRG1,TRG2,TRG3,TRG4は各々、第2配線層W2、第1配線層W1および貫通電極120Eを介して転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4に接続されている。配線SELLは選択トランジスタSELのゲートに、配線RSTLはリセットトランジスタRSTのゲートに、配線FDGLは、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGのゲートに各々駆動信号を送るためのものである。配線SELL,RSTL,FDGLは各々、第2配線層W2、第1配線層W1および接続部を介して、選択トランジスタSEL,リセットトランジスタRST,FD変換ゲイン切替トランジスタFDG各々のゲートに接続されている。
例えば、第4配線層W4は、V方向(列方向)に延在する電源線VDD、基準電位線VSSおよび垂直信号線543を含んでいる(図56)。電源線VDDは、第3配線層W3、第2配線層W2、第1配線層W1および接続部を介して増幅トランジスタAMPのドレインおよびリセットトランジスタRSTのドレインに接続されている。基準電位線VSSは、第3配線層W3、第2配線層W2、第1配線層W1および接続部218Vを介してVSSコンタクト領域218に接続されている。また、基準電位線VSSは、第3配線層W3、第2配線層W2、第1配線層W1、貫通電極121Eおよびパッド部121を介して第1基板100のVSSコンタクト領域118に接続されている。垂直信号線543は、第3配線層W3、第2配線層W2、第1配線層W1および接続部を介して選択トランジスタSELのソース(Vout)に接続されている。
コンタクト部261,262は、平面視で画素アレイ部540に重なる位置に設けられていてもよく(例えば、図46)、あるいは、画素アレイ部540の外側の周辺部540Bに設けられていてもよい(例えば、図49)。コンタクト部261,262は、第2基板260の表面(配線層260T側の面)に設けられている。コンタクト部261,262は、例えば、Cu(銅)およびAl(アルミニウム)などの金属により構成されている。コンタクト部261,262は、配線層260Tの表面(第3基板300側の面)に露出している。コンタクト部261,262は、第2基板260と第3基板300との電気的な接続および、第2基板260と第3基板300との貼り合わせに用いられる。
図49には、第2基板260の周辺部540Bに周辺回路を設けた例を図示した。この周辺回路は、行駆動部520の一部または列信号処理部550の一部等を含んでいてもよい。また、図46に記載のように、第2基板260の周辺部540Bには周辺回路を配置せず、接続孔部H1,H2を画素アレイ部540の近傍に配置するようにしてもよい。
第3基板300は、例えば、第2基板260側から配線層300Tおよび半導体層300Sをこの順に有している。例えば、半導体層300Sの表面は、第2基板260側に設けられている。半導体層300Sは、シリコン基板で構成されている。この半導体層300Sの表面側の部分には、回路が設けられている。具体的には、半導体層300Sの表面側の部分には、例えば、入力部510A、行駆動部520、タイミング制御部530、列信号処理部550、画像信号処理部560および出力部510Bのうちの少なくとも一部が設けられている。半導体層300Sと第2基板260との間に設けられた配線層300Tは、例えば、層間絶縁膜と、この層間絶縁膜により分離された複数の配線層と、コンタクト部305,302とを含んでいる。コンタクト部305,302は、配線層300Tの表面(第2基板260側の面)に露出されており、コンタクト部305は第2基板260のコンタクト部261に、コンタクト部302は第2基板260のコンタクト部262に各々接している。コンタクト部305,302は、半導体層300Sに形成された回路(例えば、入力部510A、行駆動部520、タイミング制御部530、列信号処理部550、画像信号処理部560および出力部510Bの少なくともいずれか)に電気的に接続されている。コンタクト部305,302は、例えば、Cu(銅)およびアルミニウム(Al)等の金属により構成されている。例えば、接続孔部H1を介して外部端子TAが入力部510Aに接続されており、接続孔部H2を介して外部端子TBが出力部510Bに接続されている。
ここで、撮像装置1の特徴について説明する。
一般に、撮像装置は、主な構成として、フォトダイオードと画素回路とからなる。ここで、フォトダイオードの面積を大きくすると光電変換の結果発生する電荷が増加し、その結果画素信号のシグナル/ノイズ比(S/N比)が改善し、撮像装置はよりよい画像データ(画像情報)を出力することができる。一方、画素回路に含まれるトランジスタのサイズ(特に増幅トランジスタのサイズ)を大きくすると、画素回路で発生するノイズが減少し、その結果撮像信号のS/N比が改善し、撮像装置はよりよい画像データ(画像情報)を出力することができる。
しかし、フォトダイオードと画素回路とを同一の半導体基板に設けた撮像装置において、半導体基板の限られた面積の中でフォトダイオードの面積を大きくすると、画素回路に備わるトランジスタのサイズが小さくなってしまうことが考えられる。また、画素回路に備わるトランジスタのサイズを大きくすると、フォトダイオードの面積が小さくなってしまうことが考えられる。
これらの課題を解決するために、例えば、本実施の形態の撮像装置1は、複数の画素541が1つの画素回路210を共有し、かつ、共有した画素回路210をフォトダイオードPDに重畳して配置する構造を用いる。これにより、半導体基板の限られた面積の中で、フォトダイオードPDの面積をできるだけ大きくすることと、画素回路210に備わるトランジスタのサイズをできるだけ大きくすることとを実現することができる。これにより、画素信号のS/N比を改善し、撮像装置1がよりよい画像データ(画像情報)を出力することができる。
複数の画素541が1つの画素回路210を共有し、これをフォトダイオードPDに重畳して配置する構造を実現する際、複数の画素541各々のフローティングディフュージョンFDから1つの画素回路210に接続される複数の配線が延在する。画素回路210を形成する半導体基板260の面積を大きく確保するためには、例えばこれらの延在する複数の配線の間を相互に接続し、1つにまとめる接続配線を形成することができる。VSSコンタクト領域118から延在する複数の配線についても同様に、延在する複数の配線の間を相互に接続し、1つにまとめる接続配線を形成することができる。
例えば、複数の画素541各々のフローティングディフュージョンFDから延在する複数の配線の間を相互に接続する接続配線を、画素回路210を形成する半導体基板260において形成すると、画素回路210に含まれるトランジスタを形成する面積が小さくなってしまうことが考えられる。同様に、複数の画素541各々のVSSコンタクト領域118から延在する複数の配線の間を相互接続して1つにまとめる接続配線を、画素回路210を形成する半導体基板260に形成すると、これにより画素回路210に含まれるトランジスタを形成する面積が小さくなってしまうことが考えられる。
これらの課題を解決するために、例えば本実施の形態の撮像装置1は、複数の画素541が1つの画素回路210を共有し、かつ、共有した画素回路210をフォトダイオードPDに重畳して配置する構造であって、前記複数の画素541各々のフローティングディフュージョンFDの間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、前記複数の画素541のそれぞれに備わるVSSコンタクト領域118の間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、を第1基板100に設けた構造を備えることができる。
ここで、前記複数の画素541各々のフローティングディフュージョンFDの間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、前記複数の画素541各々のVSSコンタクト領域118の間を相互に接続して1つにまとめる接続配線とを、第1基板100に設けるための製造方法として、先に述べた第2の製造方法を用いると、例えば、第1基板100および第2基板260各々の構成に応じて適切なプロセスを用いて製造することができ、高品質、高性能な撮像装置を製造することができる。また、容易なプロセスで第1基板100および第2基板260の接続配線を形成することができる。具体的には、上記第2の製造方法を用いる場合、第1基板100と第2基板260の貼り合わせ境界面となる第1基板100の表面と第2基板260の表面とに、フローティングディフュージョンFDに接続する電極とVSSコンタクト領域118に接続する電極とをそれぞれ設ける。さらに、第1基板100と第2基板260を貼り合せた際にこれら2つの基板表面に設けた電極間で位置ずれが発生してもこれら2つの基板表面に形成した電極同士が接触するように、これら2つの基板表面に形成する電極を大きくすることが好ましい。この場合、撮像装置1に備わる各画素の限られた面積の中に上記電極を配置することが難しくなってしまうことが考えられる。
第1基板100と第2基板260の貼り合わせ境界面に大きな電極が必要となる課題を解決するために、例えば本実施の形態の撮像装置1は、複数の画素541が1つの画素回路210を共有し、かつ、共有した画素回路210をフォトダイオードPDに重畳して配置する製造方法として、先に述べた第1の製造方法を用いることができる。これにより、第1基板100および第2基板260各々に形成される素子同士の位置合わせが容易になり、高品質、高性能な撮像装置を製造することができる。さらに、この製造方法を用いることによって生じる固有の構造を備えることができる。すなわち、第1基板100の半導体層100Sと配線層100Tと第2基板260の半導体層260Sと配線層260Tをこの順で積層した構造、言い換えれば、第1基板100と第2基板260をフェイストゥーバックで積層した構造を備え、かつ、第2基板260の半導体層260Sの表面側から、半導体層260Sと第1基板100の配線層100Tを貫通して、第1基板100の半導体層100Sの表面へと至る、貫通電極120E,121Eを備える。
前記複数の画素541各々のフローティングディフュージョンFDの間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、前記複数の画素541各々のVSSコンタクト領域118の間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、を第1基板100に設けた構造において、この構造と第2基板260とを前記第1の製造方法を用いて積層し第2基板260に画素回路210を形成すると、画素回路210に備わる能動素子を形成する際に必要となる加熱処理の影響が、第1基板100に形成した上記接続配線に及んでしまう可能性がある。
そこで、上記接続配線に対して、上記能動素子を形成する際の加熱処理の影響が及んでしまう課題を解決するために、本実施の形態の撮像装置1は、前記複数の画素541各々のフローティングディフュージョンFD同士を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、前記複数の画素541各々のVSSコンタクト領域118の間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、に耐熱性の高い導電材料を用いることが望ましい。具体的には、耐熱性の高い導電材料は、第2基板260の配線層260Tに含まれる配線材の少なくとも一部よりも、融点の高い材料を用いることができる。
このように、例えば本実施の形態の撮像装置1は、(1)第1基板100と第2基板260をフェイストゥーバックで積層した構造(具体的には、第1基板100の半導体層100Sと配線層100Tと第2基板260の半導体層260Sと配線層260Tをこの順で積層する構造)と、(2)第2基板260の半導体層260Sの表面側から、半導体層260Sと第1基板100の配線層100Tを貫通して、第1基板100の半導体層100Sの表面へと至る、貫通電極120E,125Eを設けた構造と、(3)複数の画素541のそれぞれに備わるフローティングディフュージョンFDの間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、複数の画素541のそれぞれに備わるVSSコンタクト領域118の間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、を耐熱性の高い導電材料で形成した構造と、を備えることで、第1基板100と第2基板260との界面に大きな電極を備えることなく、第1基板100に、複数の画素541のそれぞれに備わるフローティングディフュージョンFDの間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、複数の画素541のそれぞれに備わるVSSコンタクト領域118の間を相互に接続して1つにまとめる接続配線と、を設けることを可能としている。
[撮像装置1の動作]
次に、図57および図58を用いて撮像装置1の動作について説明する。図57および図58は、図46に各信号の経路を表す矢印を追記したものである。図57は、外部から撮像装置1に入力される入力信号と、電源電位および基準電位の経路を矢印で表したものである。図58は、撮像装置1から外部に出力される画素信号の信号経路を矢印で表している。例えば、入力部510Aを介して撮像装置1に入力された入力信号(例えば、画素クロックおよび同期信号)は、第3基板300の行駆動部520へ伝送され、行駆動部520で行駆動信号が作り出される。この行駆動信号は、コンタクト部305,261を介して第2基板260に送られる。さらに、この行駆動信号は、配線層260T内の行駆動信号線542を介して、画素アレイ部540の画素共有ユニット539各々に到達する。第2基板260の画素共有ユニット539に到達した行駆動信号のうち、転送ゲートTG以外の駆動信号は画素回路210に入力されて、画素回路210に含まれる各トランジスタが駆動される。転送ゲートTGの駆動信号は貫通電極TGVを介して第1基板100の転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4に入力され、画素541A,541B,541C,541Dが駆動される(図57)。また、撮像装置1の外部から、第3基板300の入力部510A(入力端子511)に供給された電源電位および基準電位は、コンタクト部305,261を介して第2基板260に送られ、配線層260T内の配線を介して、画素共有ユニット539各々の画素回路210に供給される。基準電位は、さらに貫通電極125Eを介して、第1基板100の画素541A,541B,541C,541Dへも供給される。一方、第1基板100の画素541A,541B,541C,541Dで光電変換された画素信号は、貫通電極120Eを介して画素共有ユニット539毎に第2基板260の画素回路210に送られる。この画素信号に基づく画素信号は、画素回路210から垂直信号線543およびコンタクト部262,302を介して第3基板300に送られる。この画素信号は、第3基板300の列信号処理部550および画像信号処理部560で処理された後、出力部510Bを介して外部に出力される。
[効果]
本実施の形態では、画素541A,541B,541C,541D(画素共有ユニット539)と画素回路210とが互いに異なる基板(第1基板100および第2基板260)に設けられている。これにより、画素541A,541B,541C,541Dおよび画素回路210を同一基板に形成した場合と比べて、画素541A,541B,541C,541Dおよび画素回路210の面積を拡大することができる。その結果、光電変換により得られる画素信号の量を増大させ、かつ、画素回路210のトランジスタノイズを低減することが可能となる。これらにより、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1は、よりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。また、撮像装置1の微細化(言い換えれば、画素サイズの縮小および撮像装置1の小型化)が可能となる。撮像装置1は、画素サイズの縮小により、単位面積当たりの画素数を増加させることができ、高画質の画像を出力することができる。
また、撮像装置1では、第1基板100および第2基板260が、絶縁領域212に設けられた貫通電極120E,125Eによって互いに電気的に接続されている。例えば、第1基板100と第2基板260とをパッド電極同士の接合により接続する方法や、半導体層を貫通する貫通配線(例えばTSV(Thorough Si Via))により接続する方法も考え得る。このような方法に比べて、絶縁領域212に貫通電極120E,125Eを設けることにより、第1基板100および第2基板260の接続に要する面積を小さくすることができる。これにより、画素サイズを縮小し、撮像装置1をより小型化することができる。また、1画素あたりの面積の更なる微細化により、解像度をより高くすることができる。チップサイズの小型化が不要なときには、画素541A,541B,541C,541Dおよび画素回路210の形成領域を拡大することができる。その結果、光電変換により得られる画素信号の量を増大させ、かつ、画素回路210に備わるトランジスタのノイズを低減することが可能となる。これにより、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
また、撮像装置1では、画素回路210と列信号処理部550および画像信号処理部560とが互いに異なる基板(第2基板260および第3基板300)に設けられている。これにより、画素回路210と列信号処理部550および画像信号処理部560とを同一基板に形成した場合と比べて、画素回路210の面積と、列信号処理部550および画像信号処理部560の面積とを拡大することができる。これにより、列信号処理部550で生じるノイズを低減したり、画像信号処理部560により高度な画像処理回路を搭載することが可能となる。よって、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
また、撮像装置1では、画素アレイ部540が、第1基板100および第2基板260に設けられ、かつ、列信号処理部550および画像信号処理部560が第3基板300に設けられている。また、第2基板260と第3基板300とを接続するコンタクト部261,262,305,302は、画素アレイ部540の上方に形成されている。このため、コンタクト部261,262,305,302は、画素アレイに備わる各種配線からレイアウト上の干渉を受けずに自由にレイアウトにすることが可能となる。これにより、第2基板260と第3基板300との電気的な接続に、コンタクト部261,262,305,302を用いることが可能となる。コンタクト部261,262,305,302を用いることにより、例えば、列信号処理部550および画像信号処理部560はレイアウトの自由度が高くなる。これにより、列信号処理部550で生じるノイズを低減したり、画像信号処理部560により高度な画像処理回路を搭載することが可能となる。したがって、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
また、撮像装置1では、画素分離部117が半導体層100Sを貫通している。これにより、1画素あたりの面積の微細化によって隣り合う画素(画素541A,541B,541C,541D)の距離が近づいた場合であっても、画素541A,541B,541C,541Dの間での混色を抑制できる。これにより、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
また、撮像装置1では、画素共有ユニット539毎に画素回路210が設けられている。これにより、画素541A,541B,541C,541D各々に画素回路210を設けた場合に比べて、画素回路210を構成するトランジスタ(増幅トランジスタAMP,リセットトランジスタRST,選択トランジスタSEL,FD変換ゲイン切替トランジスタFDG)の形成領域を大きくすることが可能となる。例えば、増幅トランジスタAMPの形成領域を大きくすることにより、ノイズを抑えることが可能となる。これにより、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
さらに、撮像装置1では、4つの画素(画素541A,541B,541C,541D)のフローティングディフュージョンFD(フローティングディフュージョンFD1,FD2,FD3,FD4)を電気的に接続するパッド部120が、第1基板100に設けられている。これにより、このようなパッド部120を第2基板260に設ける場合に比べて、第1基板100と第2基板260とを接続する貫通電極(貫通電極120E)の数を減らすことができる。したがって、絶縁領域212を小さくし、画素回路210を構成するトランジスタの形成領域(半導体層260S)を十分な大きさで確保することができる。これにより、画素回路210に備わるトランジスタのノイズを低減することが可能となり、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
以下、上記実施の形態に係る撮像装置1の変形例について説明する。以下の変形例では、上記実施の形態と共通の構成に同一の符号を付して説明する。
<変形例1>
図59〜図63は、上記実施の形態に係る撮像装置1の平面構成の一変形例を表したものである。図59は、第2基板260の半導体層260Sの表面近傍の平面構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した図52に対応する。図60は、第1配線層W1と、第1配線層W1に接続された半導体層260Sおよび第1基板100の各部の構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した図53に対応する。図61は、第1配線層W1および第2配線層W2の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した図54に対応する。図62は、第2配線層W2および第3配線層W3の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した図55に対応する。図63は、第3配線層W3および第4配線層W4の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した図56に対応する。
本変形例では、図60に示したように、第2基板260のH方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうち、一方(例えば紙面右側)の画素共有ユニット539の内部レイアウトが、他方(例えば紙面左側)の画素共有ユニット539の内部レイアウトをH方向にのみ反転させた構成となっている。また、一方の画素共有ユニット539の外形線と他方の画素共有ユニット539の外形線との間のV方向のずれが、上記実施の形態で説明したずれ(図53)よりも大きくなっている。このように、V方向のずれを大きくすることにより、他方の画素共有ユニット539の増幅トランジスタAMPと、これに接続されたパッド部120(図7に記載のV方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539のうちの他方(紙面下側)のパッド部120)との間の距離を小さくすることができる。このようなレイアウトにより、図59〜図63に記載の撮像装置1の変形例1は、H方向に並ぶ2つの画素共有ユニット539の平面レイアウトを互いにV方向に反転させることなく、その面積を、上記実施の形態で説明した第2基板260の画素共有ユニット539の面積と同じにすることができる。なお、第1基板100の画素共有ユニット539の平面レイアウトは、上記実施の形態で説明した平面レイアウト(図50,図51)と同じである。したがって、本変形例の撮像装置1は、上記実施の形態で説明した撮像装置1と同様の効果を得ることができる。第2基板260の画素共有ユニット539の配置は、上記実施の形態および本変形例で説明した配置に限定されるものではない。
<変形例2>
図64〜図69は、上記実施の形態に係る撮像装置1の平面構成の一変形例を表したものである。図64は、第1基板100の平面構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した図50に対応する。図65は、第2基板260の半導体層260Sの表面近傍の平面構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した図52に対応する。図66は、第1配線層W1と、第1配線層W1に接続された半導体層260Sおよび第1基板100の各部の構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した図53に対応する。図67は、第1配線層W1および第2配線層W2の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した図54に対応する。図68は、第2配線層W2および第3配線層W3の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した図55に対応する。図69は、第3配線層W3および第4配線層W4の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した図56に対応する。
本変形例では、各画素回路210の外形が、略正方形の平面形状を有している(図65等)。この点において、本変形例の撮像装置1の平面構成は、上記実施の形態で説明した撮像装置1の平面構成と異なっている。
例えば、第1基板100の画素共有ユニット539は、上記実施の形態で説明したのと同様に、2行×2列の画素領域にわたって形成されており、略正方形の平面形状を有している(図64)。例えば、各々の画素共有ユニット539では、一方の画素列の画素541Aおよび画素541Cの転送ゲートTG1,TG3の水平部分TGbが、垂直部分TGaに重畳する位置からH方向において画素共有ユニット539の中央部に向かう方向(より具体的には、画素541A,541Cの外縁に向かう方向、かつ画素共有ユニット539の中央部に向かう方向)に延在し、他方の画素列の画素541Bおよび画素541Dの転送ゲートTG2,TG4の水平部分TGbが、垂直部分TGaに重畳する位置からH方向において画素共有ユニット539の外側に向かう方向(より具体的には、画素541B,541Dの外縁に向かう方向、かつ画素共有ユニット539の外側に向かう方向)に延在している。フローティングディフュージョンFDに接続されたパッド部120は、画素共有ユニット539の中央部(画素共有ユニット539のH方向およびV方向の中央部)に設けられ、VSSコンタクト領域118に接続されたパッド部125は、少なくともH方向において(図64ではH方向およびV方向において)画素共有ユニット539の端部に設けられている。
別の配置例として、転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4の水平部分TGbを垂直部分TGaに対向する領域のみに設けることも考え得る。このときには、上記実施の形態で説明したのと同様に、半導体層260Sが細かく分断されやすい。したがって、画素回路210のトランジスタを大きく形成することが困難となる。一方、転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4の水平部分TGbを、上記変形例のように、垂直部分TGaに重畳する位置からH方向に延在させると、上記実施の形態で説明したのと同様に、半導体層260Sの幅を大きくすることが可能となる。具体的には、転送ゲートTG1,TG3に接続された貫通電極TGV1,TGV3のH方向の位置を、貫通電極120EのH方向の位置に近接させて配置し、転送ゲートTG2,TG4に接続された貫通電極TGV2,TGV4のH方向の位置を、貫通電極125EのH方向の位置に近接して配置することが可能となる(図66)。これにより、上記実施の形態で説明したのと同様に、V方向に延在する半導体層260Sの幅(H方向の大きさ)を大きくすることができる。よって、画素回路210のトランジスタのサイズ、特に増幅トランジスタAMPのサイズを大きくすることが可能となる。その結果、画素信号のシグナル/ノイズ比を改善して、撮像装置1はよりよい画素データ(画像情報)を出力することが可能となる。
第2基板260の画素共有ユニット539は、例えば、第1基板100の画素共有ユニット539のH方向およびV方向の大きさと略同じであり、例えば、略2行×2列の画素領域に対応する領域にわたって設けられている。例えば、各画素回路210では、V方向に延在する1の半導体層260Sに選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMPがV方向に並んで配置され、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGおよびリセットトランジスタRSTがV方向に延在する1の半導体層260Sに、V方向に並んで配置されている。この選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMPが設けられた1の半導体層260Sと、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGおよびリセットトランジスタRSTが設けられた1の半導体層260Sとは、絶縁領域212を介してH方向に並んでいる。この絶縁領域212はV方向に延在している(図65)。
ここで、第2基板260の画素共有ユニット539の外形について、図65および図66を参照して説明する。例えば、図64に示した第1基板100の画素共有ユニット539は、パッド部120のH方向の一方(図66の紙面左側)に設けられた増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELと、パッド部120のH方向の他方(図66の紙面右側)に設けられたFD変換ゲイン切替トランジスタFDGおよびリセットトランジスタRSTとに接続されている。この増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSEL、FD変換ゲイン切替トランジスタFDGおよびリセットトランジスタRSTを含む第2基板260の共有ユニット541の外形は、次の4つの外縁により決まる。
第1の外縁は、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMPを含む半導体層260SのV方向の一端(図66の紙面上側の端)の外縁である。この第1の外縁は、当該画素共有ユニット539に含まれる増幅トランジスタAMPと、この画素共有ユニット539のV方向の一方(図66の紙面上側)に隣り合う画素共有ユニット539に含まれる選択トランジスタSELとの間に設けられている。より具体的には、第1の外縁は、これら増幅トランジスタAMPと選択トランジスタSELとの間の素子分離領域213のV方向の中央部に設けられている。第2の外縁は、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMPを含む半導体層260SのV方向の他端(図66の紙面下側の端)の外縁である。この第2の外縁は、当該画素共有ユニット539に含まれる選択トランジスタSELと、この画素共有ユニット539のV方向の他方(図66の紙面下側)に隣り合う画素共有ユニット539に含まれる増幅トランジスタAMPとの間に設けられている。より具体的には、第2の外縁は、これら選択トランジスタSELと増幅トランジスタAMPとの間の素子分離領域213のV方向の中央部に設けられている。第3の外縁は、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGを含む半導体層260SのV方向の他端(図66の紙面下側の端)の外縁である。この第3の外縁は、当該画素共有ユニット539に含まれるFD変換ゲイン切替トランジスタFDGと、この画素共有ユニット539のV方向の他方(図66の紙面下側)に隣り合う画素共有ユニット539に含まれるリセットトランジスタRSTとの間に設けられている。より具体的には、第3の外縁は、これらFD変換ゲイン切替トランジスタFDGとリセットトランジスタRSTとの間の素子分離領域213のV方向の中央部に設けられている。第4の外縁は、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGを含む半導体層260SのV方向の一端(図66の紙面上側の端)の外縁である。この第4の外縁は、当該画素共有ユニット539に含まれるリセットトランジスタRSTと、この画素共有ユニット539のV方向の一方(図66の紙面上側)に隣り合う画素共有ユニット539に含まれるFD変換ゲイン切替トランジスタFDG(不図示)との間に設けられている。より具体的には、第4の外縁は、これらリセットトランジスタRSTとFD変換ゲイン切替トランジスタFDGとの間の素子分離領域213(不図示)のV方向の中央部に設けられている。
このような第1,第2,第3,第4の外縁を含む第2基板260の画素共有ユニット539の外形では、第1,第2の外縁に対して、第3,第4の外縁がV方向の一方側にずれて配置されている(言い換えればV方向の一方側にオフセットされている)。このようなレイアウトを用いることにより、増幅トランジスタAMPのゲートおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGのソースをともに、パッド部120にできるだけ近接して配置することが可能となる。したがって、これらを接続する配線の面積を小さくし、撮像装置1の微細化を行いやすくなる。なおVSSコンタクト領域218は、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMPを含む半導体層260Sと、リセットトランジスタRSTおよびFD変換ゲイン切替トランジスタFDGを含む半導体層260Sとの間に設けられている。例えば、複数の画素回路210は、互いに同じ配置を有している。
このような第2基板260を有する撮像装置1も、上記実施の形態で説明したのと同様の効果が得られる。第2基板260の画素共有ユニット539の配置は、上記実施の形態および本変形例で説明した配置に限定されるものではない。
<変形例3>
図70〜図75は、上記実施の形態に係る撮像装置1の平面構成の一変形例を表したものである。図70は、第1基板100の平面構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した図51に対応する。図71は、第2基板260の半導体層260Sの表面近傍の平面構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した図52に対応する。図72は、第1配線層W1と、第1配線層W1に接続された半導体層260Sおよび第1基板100の各部の構成を模式的に表しており、上記実施の形態で説明した図53に対応する。図73は、第1配線層W1および第2配線層W2の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した図54に対応する。図74は、第2配線層W2および第3配線層W3の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した図55に対応する。図75は、第3配線層W3および第4配線層W4の平面構成の一例を表しており、上記実施の形態で説明した図56に対応する。
本変形例では、第2基板260の半導体層260Sが、H方向に延在している(図72)。即ち、上記図65等に示した撮像装置1の平面構成を90度回転させた構成に略対応している。
例えば、第1基板100の画素共有ユニット539は、上記実施の形態で説明したのと同様に、2行×2列の画素領域にわたって形成されており、略正方形の平面形状を有している(図70)。例えば、各々の画素共有ユニット539では、一方の画素行の画素541Aおよび画素541Bの転送ゲートTG1,TG2が、V方向において画素共有ユニット539の中央部に向かって延在し、他方の画素行の画素541Cおよび画素541Dの転送ゲートTG3,TG4が、V方向において画素共有ユニット539の外側方向に延在している。フローティングディフュージョンFDに接続されたパッド部120は、画素共有ユニット539の中央部に設けられ、VSSコンタクト領域118に接続されたパッド部125は、少なくともV方向において(図70ではV方向およびH方向において)画素共有ユニット539の端部に設けられている。このとき、転送ゲートTG1,TG2の貫通電極TGV1,TGV2のV方向の位置が貫通電極120EのV方向の位置に近づき、転送ゲートTG3,TG4の貫通電極TGV3,TGV4のV方向の位置が貫通電極125EのV方向の位置に近づく(図72)。したがって、上記実施の形態で説明したのと同様の理由により、H方向に延在する半導体層260Sの幅(V方向の大きさ)を大きくすることができる。よって、増幅トランジスタAMPのサイズを大きくし、ノイズを抑えることが可能となる。
各々の画素回路210では、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMPがH方向に並んで配置され、選択トランジスタSELと絶縁領域212を間にしてV方向に隣り合う位置にリセットトランジスタRSTが配置されている(図71)。FD変換ゲイン切替トランジスタFDGは、リセットトランジスタRSTとH方向に並んで配置されている。VSSコンタクト領域218は、絶縁領域212に島状に設けられている。例えば、第3配線層W3はH方向に延在し(図74)、第4配線層W4はV方向に延在している(図75)。
このような第2基板260を有する撮像装置1も、上記実施の形態で説明したのと同様の効果が得られる。第2基板260の画素共有ユニット539の配置は、上記実施の形態および本変形例で説明した配置に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態および変形例1で説明した半導体層260Sが、H方向に延在していてもよい。
<変形例4>
図76は、上記実施の形態に係る撮像装置1の断面構成の一変形例を模式的に表したものである。図76は、上記実施の形態で説明した図46に対応する。本変形例では、撮像装置1が、コンタクト部261,262,305,302に加えて、画素アレイ部540の中央部に対向する位置にコンタクト部263,204,303,304を有している。この点において、本変形例の撮像装置1は、上記実施の形態で説明した撮像装置1と異なっている。
コンタクト部263,204は、第2基板260に設けられており、第3基板300との接合面の露出されている。コンタクト部303,304は、第3基板300に設けられており、第2基板260との接合面に露出されている。コンタクト部263は、コンタクト部303と接しており、コンタクト部204は、コンタクト部304と接している。即ち、この撮像装置1では、第2基板260と第3基板300とが、コンタクト部261,262,305,302に加えてコンタクト部263,204,303,304により接続されている。
次に、図77および図78を用いてこの撮像装置1の動作について説明する。図77には、外部から撮像装置1に入力される入力信号と、電源電位および基準電位の経路を矢印で表す。図78には、撮像装置1から外部に出力される画素信号の信号経路を矢印で表している。例えば、入力部510Aを介して撮像装置1に入力された入力信号は、第3基板300の行駆動部520へ伝送され、行駆動部520で行駆動信号が作り出される。この行駆動信号は、コンタクト部303,263を介して第2基板260に送られる。さらに、この行駆動信号は、配線層260T内の行駆動信号線542を介して、画素アレイ部540の画素共有ユニット539各々に到達する。第2基板260の画素共有ユニット539に到達した行駆動信号のうち、転送ゲートTG以外の駆動信号は画素回路210に入力されて、画素回路210に含まれる各トランジスタが駆動される。転送ゲートTGの駆動信号は貫通電極TGVを介して第1基板100の転送ゲートTG1,TG2,TG3,TG4に入力され、画素541A,541B,541C,541Dが駆動される。また、撮像装置1の外部から、第3基板300の入力部510A(入力端子511)に供給された電源電位および基準電位は、コンタクト部303,263を介して第2基板260に送られ、配線層260T内の配線を介して、画素共有ユニット539各々の画素回路210に供給される。基準電位は、さらに貫通電極125Eを介して、第1基板100の画素541A,541B,541C,541Dへも供給される。一方、第1基板100の画素541A,541B,541C,541Dで光電変換された画素信号は、画素共有ユニット539毎に第2基板260の画素回路210に送られる。この画素信号に基づく画素信号は、画素回路210から垂直信号線543およびコンタクト部204,304を介して第3基板300に送られる。この画素信号は、第3基板300の列信号処理部550および画像信号処理部560で処理された後、出力部510Bを介して外部に出力される。
このようなコンタクト部263,204,303,304を有する撮像装置1も、上記実施の形態で説明したのと同様の効果が得られる。コンタクト部303,304を介した配線の接続先である、第3基板300の回路等の設計に応じてコンタクト部の位置および数等を変えることができる。
<変形例5>
図79は、上記実施の形態に係る撮像装置1の断面構成の一変形例を表したものである。図79は、上記実施の形態で説明した図49に対応する。本変形例では、第1基板100にプレーナー構造を有する転送トランジスタTRが設けられている。この点において、本変形例の撮像装置1は、上記実施の形態で説明した撮像装置1と異なっている。
この転送トランジスタTRは、水平部分TGbのみにより転送ゲートTGが構成されている。換言すれば、転送ゲートTGは、垂直部分TGaを有しておらず、半導体層100Sに対向して設けられている。
このようなプレーナー構造の転送トランジスタTRを有する撮像装置1も、上記実施の形態で説明したのと同様の効果が得られる。さらに、第1基板100にプレーナー型の転送ゲートTGを設けることにより、縦型の転送ゲートTGを第1基板100に設ける場合に比べて、より半導体層100Sの表面近くまでフォトダイオードPDを形成し、これにより、飽和信号量(Qs)を増加させることも考え得る。また、第1基板100にプレーナー型の転送ゲートTGを形成する方法は、第1基板100に縦型の転送ゲートTGを形成する方法に比べて、製造工程数が少なく、製造工程に起因したフォトダイオードPDへの悪影響が生じにくい、とも考え得る。
<変形例6>
図80は、上記実施の形態に係る撮像装置1の画素回路の一変形例を表したものである。図80は、上記実施の形態で説明した図47に対応する。本変形例では、1つの画素(画素541A)毎に画素回路210が設けられている。即ち、画素回路210は、複数の画素で共有されていない。この点において、本変形例の撮像装置1は、上記実施の形態で説明した撮像装置1と異なっている。
本変形例の撮像装置1は、画素541Aと画素回路210とを互いに異なる基板(第1基板100および第2基板260)に設ける点では、上記実施の形態で説明した撮像装置1と同じである。このため、本変形例に係る撮像装置1も、上記実施の形態で説明したのと同様の効果を得ることができる。
<変形例7>
図81は、上記実施の形態で説明した画素分離部117の平面構成の一変形例を表したものである。画素541A,541B,541C,541D各々を囲む画素分離部117に、隙間が設けられていてもよい。即ち、画素541A,541B,541C,541Dの全周が画素分離部117に囲まれていなくてもよい。例えば、画素分離部117の隙間は、パッド部120,125近傍に設けられている(図51参照)。
上記実施の形態では、画素分離部117が半導体層100Sを貫通するFTI構造を有する例(図49参照)を説明したが、画素分離部117はFTI構造以外の構成を有していてもよい。例えば、画素分離部117は、半導体層100Sを完全に貫通するように設けられていなくてもよく、いわゆる、DTI(Deep Trench Isolation)構造を有していてもよい。
<適用例>
図82は、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1を備えた撮像システム7の概略構成の一例を表したものである。
撮像システム7は、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、スマートフォンやタブレット型端末等の携帯端末装置などの電子機器である。撮像システム7は、例えば、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1、DSP回路243、フレームメモリ244、表示部245、記憶部246、操作部247および電源部248を備えている。撮像システム7において、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1、DSP回路243、フレームメモリ244、表示部245、記憶部246、操作部247および電源部248は、バスライン249を介して相互に接続されている。
上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1は、入射光に応じた画像データを出力する。DSP回路243は、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1から出力される信号(画像データ)を処理する信号処理回路である。フレームメモリ244は、DSP回路243により処理された画像データを、フレーム単位で一時的に保持する。表示部245は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1で撮像された動画または静止画を表示する。記憶部246は、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1で撮像された動画または静止画の画像データを、半導体メモリやハードディスク等の記録媒体に記録する。操作部247は、ユーザによる操作に従い、撮像システム7が有する各種の機能についての操作指令を発する。電源部248は、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1、DSP回路243、フレームメモリ244、表示部245、記憶部246および操作部247の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
次に、撮像システム7における撮像手順について説明する。
図83は、撮像システム7における撮像動作のフローチャートの一例を表す。ユーザは、操作部247を操作することにより撮像開始を指示する(ステップS101)。すると、操作部247は、撮像指令を撮像装置1に送信する(ステップS102)。撮像装置1(具体的にはシステム制御回路36)は、撮像指令を受けると、所定の撮像方式での撮像を実行する(ステップS103)。
撮像装置1は、撮像により得られた画像データをDSP回路243に出力する。ここで、画像データとは、フローティングディフュージョンFDに一時的に保持された電荷に基づいて生成された画素信号の全画素分のデータである。DSP回路243は、撮像装置1から入力された画像データに基づいて所定の信号処理(例えばノイズ低減処理など)を行う(ステップS104)。DSP回路243は、所定の信号処理がなされた画像データをフレームメモリ244に保持させ、フレームメモリ244は、画像データを記憶部246に記憶させる(ステップS105)。このようにして、撮像システム7における撮像が行われる。
本適用例では、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像装置1が撮像システム7に適用される。これにより、撮像装置1を小型化もしくは高精細化することができるので、小型もしくは高精細な撮像システム7を提供することができる。
<内視鏡手術システムへの応用例>
また、例えば、本開示に係る技術(本技術)は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
図84は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図84では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
光源装置11203は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
図85は、図84に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
<移動体への応用例>
また、例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
図86は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図86に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図86の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
図87は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
図87では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
なお、図87には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
基板と、
前記基板に設けられた第1の光電変換領域と、
前記第1の光電変換領域の隣であって、前記基板に設けられた第2の光電変換領域と、
前記第1の光電変換領域と前記第2の光電変換領域との間であって、前記基板に設けられた画素分離部と、
前記画素分離部の側壁に、第1の不純物を含む第1の不純物領域と第2の不純物を含む第2の不純物領域とから構成される接合領域と
を備え、
前記第1の光電変換領域を囲む4辺の前記画素分離部のうちの平行する2辺の前記画素分離部の間の長さよりも、前記平行する2辺の前記画素分離部と垂直に交わる前記画素分離部の側壁に形成されている前記第1の不純物領域の辺の長さは長い
撮像素子。
(2)
前記平行する2辺の前記画素分離部間の長さを基準としたとき、前記第1の不純物領域の辺の長さは、1.3倍以上の長さである
前記(1)に記載の撮像素子。
(3)
前記第1の不純物領域は、前記第2の不純物領域側に凸部を有する
前記(1)または(2)に記載の撮像素子。
(4)
前記画素分離部は凸部を有する
前記(1)乃至(3)のいずれか記載の撮像素子。
(5)
前記凸部は、四角形状で形成されている
前記(3)または(4)に記載の撮像素子。
(6)
前記凸部は、三角形状で形成されている
前記(3)または(4)に記載の撮像素子。
(7)
前記第1の不純物領域と前記第2の不純物領域の接合面は、凹凸を有する形状である
前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の撮像素子。
(8)
前記画素分離部の壁面は、凹凸を有する形状である
前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の撮像素子。
(9)
前記第1の光電変換領域の四隅の少なくとも1隅に前記接合領域をさらに備える
前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の撮像素子。
(10)
クロス形状の前記画素分離部をさらに備え、前記クロス形状の前記画素分離部の側面に前記接合領域をさらに備える
前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の撮像素子。
(11)
前記画素分離部は、一部に途切れた部分を有し、
前記途切れた部分の前記第1の不純物領域は曲線形状で形成されている
前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の撮像素子。
(12)
前記途切れた部分は、1辺に複数設けられている
前記(11)に記載の撮像素子。
(13)
前記第1の不純物は、N型の不純物であり、前記第2の不純物は、P型の不純物であるか、または前記第1の不純物は、P型の不純物であり、前記第2の不純物は、N型の不純物である
前記(1)乃至(12)のいずれかに記載の撮像素子。
(14)
前記画素分離部は凸部を有し、前記凸部の先端は、転送トランジスタのゲート側に向いている
前記(1)乃至(13)のいずれかに記載の撮像素子。
(15)
前記画素分離部は凸部を有し、前記凸部は、前記基板を非貫通に形成されている
前記(1)乃至(6)、(13)、(14)のいずれかに記載の撮像素子。
(14)
撮像素子が搭載された電子機器において、
前記撮像素子は、
基板と、
前記基板に設けられた第1の光電変換領域と、
前記第1の光電変換領域の隣であって、前記基板に設けられた第2の光電変換領域と、
前記第1の光電変換領域と前記第2の光電変換領域との間であって、前記基板に設けられた画素分離部と、
前記画素分離部の側壁に、第1の不純物を含む第1の不純物領域と第2の不純物を含む第2の不純物領域とから構成される接合領域と
を備え、
前記第1の光電変換領域を囲む4辺の前記画素分離部のうちの平行する2辺の前記画素分離部の間の長さよりも、前記平行する2辺の前記画素分離部と垂直に交わる前記画素分離部の側壁に形成されている前記第1の不純物領域の辺の長さは長い
電子機器。