JPWO2020059589A1 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
Description
また、ドット孔はサイドウォール部の表面から凹んだ形状を有するので、タイヤの使用に伴ってドット孔にクラックが発生し、サイドゴムの厚さ方向に、さらに、サイドウォール部の表面に沿ってクラックが進展することは、サイドゴムの耐久性、ひいては空気入りタイヤの耐久性の点から好ましくない。
前記空気入りタイヤのカーカスプライをタイヤ外側から覆うように前記空気入りタイヤのサイドウォール部のそれぞれに設けられたサイドゴムと、
前記サイドゴムの表面に設けられ、前記表面の凹凸によって互いに識別可能に形成された2種類の濃淡要素でドットパターンを形成し、前記濃淡要素の濃要素に対応して光を用いてドット孔が刻印された構成の二次元コードと、を備える。
前記サイドゴムは、ブタジエンゴムを含むジエン系ゴムであり、
前記サイドゴムに含まれる前記ジエン系ゴム100質量部に対する前記ブタジエンゴムの配合量をAとし、カーボンの配合量をBとして、比A/Bと、前記ドット孔の開口から前記ドット孔の孔底までの孔深さD[mm]とは、1.1≦(A/B)/D≦6.0の関係を満足する。
前記切断面がタイヤ径方向に沿った切断面であり、前記切断面において、前記ドット孔の孔壁角度のうち、前記タイヤ径方向の前記第1の側にある孔壁角度θ1は、前記タイヤ径方向の前記第2の側にある孔壁角度θ2に比べて小さい、ことが好ましい。
本明細書において、タイヤ幅方向は、空気入りタイヤの回転軸と平行な方向である。タイヤ幅方向外側は、タイヤ幅方向において、タイヤ赤道面を表すタイヤ赤道線CL(図1参照)から離れる側である。また、タイヤ幅方向内側は、タイヤ幅方向において、タイヤ赤道線CLに近づく側である。タイヤ周方向は、空気入りタイヤの回転軸を回転の中心として回転する方向である。タイヤ径方向は、空気入りタイヤの回転軸に直交する方向である。タイヤ径方向外側は、前記回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ径方向内側は、前記回転軸に近づく側をいう。
図1は、一実施形態の空気入りタイヤ10(以降、単にタイヤ10という)の構成の一例を示す図である。図1は、タイヤ赤道線CLに対してタイヤ幅方向の一方の側のプロファイル断面を示す。
この他に、ベルト材14bとトレッドゴム18との間には、ベルト14のタイヤ径方向外側からベルト14を覆う、有機繊維をゴムで被覆した3層のベルトカバー30が設けられる。ベルトカバー30は、必要に応じて設ければよく、必須ではない。ベルトカバー30の層数も3枚に限定されず、1枚あるいは2枚であってもよい。
このようなタイヤ10のサイドウォール部10Sの表面に二次元コード40が設けられている。図1では、2次元コード40の配置位置は太線で示されている。
図2(a)は、タイヤ10のサイドウォール部10Sの表面に設けられた一実施形態の二次元コード40の例を説明する図である。図2(b)は、二次元コード40の表面凹凸の一例を説明する図である。
サイドウォール部10Sのいずれか一方には、サイドゴム20の表面に、二次元コード40が光、例えばレーザ光の照射によって刻印されている。二次元コード40は、表面の凹凸によって互いに識別可能に形成された2種類の濃淡要素でドットパターンを形成したものである。二次元コード40は、レーザ光をサイドウォール部10Sの表面で集束させて光エネルギーを集中しサイドゴム20を局所的に加熱し昇華させて表面に微小なドット孔40aを複数刻印することにより形成されたパターンである。ドットパターンを形成するドット孔40aは、図2(b)に示すように、深さ方向に沿って孔断面が徐々に小さくなる形状を成している。図2(b)に示す例では、ドット孔40aの深さ方向に延びる孔中心軸を通る平面でドット孔40aを切断した時の孔壁面の形状は直線であるが、孔壁面の形状は孔開口に向かって凸状のあるいは凹状の曲線であってもよい。ドット孔40a野開口形状は、真円形状及び楕円形状を含む円形状あるいは四角形状を成した孔で、真円形状の場合、その直径は0.1〜1.0mmであり、孔深さDは0.3〜1.0mmである。
図2(a)に示す二次元コード40はQRコード(登録商標)であるので、ドットパターン領域42は、QRコード(登録商標)のデータセルを表示したデータセル領域42aと、切り出しシンボルを表示した切り出しシンボル領域42bと、を含む。
ドット孔40aの孔深さDは、所定の深さの範囲を超えて深くなると、孔底からカーカスプライ12までの距離が短くなって(孔底位置におけるサイドゴム20の厚さが薄くなって)、サイドゴム20のタイヤ10の変形を吸収する程度が小さくなり、タイヤの長期使用によって孔底からクラックが発生し易くなる。また、孔底から発生したクラックが進展してカーカスプライ12まで到達することは、タイヤ10の耐久性の低下に繋がるため好ましくない。また、孔底に発生したクラックにより、ドット孔40aが形成されたサイドゴム20の表面は凹凸が形成されやすく、二次元コード40の濃淡要素の淡要素に悪影響を与えて、二次元コード40の読み取り性の低下を促進させる。しかも、タイヤの長期使用によってドット孔40aに泥等の異物が詰まりやすくなり、二次元コード40の読み取り性を低下させる。このように、孔深さDが、所定の深さの範囲を超えて深くなると、タイヤ10の長期使用に伴う二次元コード40の読み取り性が大きく低下する。一方、ドット孔40aの孔深さDが所定の深さの範囲に対して浅い場合、二次元コード40の濃淡要素の濃要素が薄くなり、タイヤ10を使用する前の新品時点から二次元コード40の読み取り性が低くなる。
サイドゴム20には、ゴム原材料としてブタジエンゴムを含むジエン系ゴムが用いられる。この場合、ブタジエンゴムは、レーザ光の照射により、昇華し易いが、補強材(充填材)として含まれるカーボン(カーボンブラック)は、レーザ光の照射により昇華し難い。このため、サイドゴム20のブタジエンゴムの配合量とカーボンの配合量の比率によってサイドゴム20の昇華のし易さの程度が定まる。ブタジエンゴムの配合量に対するカーボンの配合量の比率が高くなる程、昇華のし易さの程度は低くなり、カーボンの配合量に対するブタジエンゴムの配合量の比率が高くなるほど、昇華のし易さの程度は高くなる。
サイドゴム20におけるジエン系ゴム100質量部に対するブタジエンの配合量をA質量部とし、サイドゴム20に含まれるカーボンの配合量をB質量部とし、ブタジエンの配合量Aの、カーボンの配合量Bに対する比を比(A/B)とし、二次元コード40のドット孔40aの開口から孔底までの孔深さをD[mm]としたとき、実施形態では、比(A/B)と孔深さDとは、1.1≦(A/B)/D≦6.0の関係を満足する。
例えば、比(A/B)が小さいにも係らず、(A/B)/Dが上記数値範囲からはずれるように深さDを大きくした場合、レーザ光の照射時間を長く、あるいはエネルギ密度を高めることになるので、サイドゴム20に大きな熱が付与されて、ドット孔40aの孔底あるいは孔壁およびその周辺のサイドゴム20の表面の変質の程度が大きくなり、クラックの発生およびクラックの進展を誘発し易くなる。比(A/B)が大きいにも係らず、(A/B)/Dが上記数値範囲からはずれるように孔深さDを小さくしようとすると、レーザ光の照射時間を短く、あるいはエネルギ密度を低くすることになるが、この場合、ドット孔40aを形成しやすいサイドゴム20であるため、カーボンの配合量に対するブタジエンゴムの配合量の場所による変動の影響を受けて、ドット孔40aの孔深さDや孔の形状がばらつき易く、タイヤ10の読み取り性に悪影響を与える。
このため、(A/B)/Dは1.1以上6.0以下に設定される。上記(A/B)/Dは、1.5以上5.0以下であることが好ましい。なお、配合量Aは、例えば50〜70質量部の範囲にあり、配合量Bは、例えば30〜55質量部の範囲にある。
同じ照射条件でレーザを照射するとき、ブタジエンゴムの配合量が相対的に多く、比(A/B)が高い場合、サイドゴム20の昇華のし易さの程度は高くなり、孔壁角度θが小さくなり易い。一方、比(A/B)が小さく、カーボンの配合量が相対的に多い場合、サイドゴム20の昇華のし易さの程度は低くなり、孔壁角度θが大きくなり易い。
このような比S70/S0の上記数値範囲は、(A/B)/Dを1.1以上6.0以下とし、レーザ光の照射条件を調整することにより達成することができる。
図3(a)に示すように、孔壁角度θ1は、孔壁角度θ2に比べて小さい。このような形状のドット孔40aを設けることで、ドット孔40aの孔底位置が、タイヤ径方向の第1の側(内側)にシフトする。タイヤ径方向の第1の側(内側)のサイドゴム20の厚さは、第2の側(外側)のサイドゴム20の厚さに比べて厚いので孔底位置にクラックが入り難くなり、クラックの進展を抑制することができる。
タイヤ周方向では、サイドゴム20の厚さは、タイヤ周方向で均一に近いため、差(θ3−θ4)の絶対値は、角度差(θ1−θ2)の絶対値よりも小さいことが好ましい。
また、サイドゴム20は、老化防止剤として、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’フェニル−p−フェニレンジアミン、又はポリ−(2,2,4−トリメチル−1,2ジヒドロキノリン)を含む、ことが好ましい。
上述の実施形態の効果を確認するために、二次元コード40(具体的には、QRコード(登録商標))のドット孔の形状が異なるタイヤ10(タイヤサイズ:195/65R15 91H)を種々作製し、タイヤ10の長期使用時の二次元コード40の読み取り性の試験を行った。タイヤ10のタイヤ構成は、図1に示す構成とした。
二次元コード40のドット孔40aは円形状の孔とし、その開口の内径は0.5mmとした。QRコード(登録商標)の大きさは15mm×15mmとした。
タイヤ10の長期使用については、長期使用を模擬した所定の条件で、室内ドラム上でタイヤ10のドラム試験を行った。ドラム試験は、FMVSS139に基づく低圧試験である(リムサイズ 15×6J、XL:160kPa、荷重 100%LI)。長期使用を模擬した所定の条件として、具体的には、タイヤ10に対して、オゾン濃度100pphmの条件でオゾン照射をしつつ、時速81km/時の速度で10000km走行させた。走行後、照明光の当て方を種々変化させて携帯端末で二次元コード40の読み取りの可否を調べた。
“溝壁角度θ[度]”は、ドット孔周りの周上の8箇所における孔壁角度の平均である。
“溝壁角度θ1、θ2”は、図3(a)に示す角度であり、二次元コード40が設けられる範囲において、サイドゴム20の厚さはタイヤ径方向内側の方が外側に比べて厚くなるようにした。実施例7,8では、孔壁角度θ1、θ2を20度あるいは40度にし、それ以外の孔壁角度を約30度にした。
実施例4〜8の比較より、孔壁角度を10〜50度とすることにより、タイヤの長期使用時の二次元コードの読み取り性が向上することがわかる。
また、二次元コード40が設けられる範囲において、サイドゴム20の厚さはタイヤ径方向内側の方が外側に比べて厚くなる場合、タイヤ径方向内側の孔壁角度θ1を、タイヤ径方向外側の孔壁角度θ2より小さくすることにより、タイヤの長期使用時の二次元コードの読み取り性が向上することがわかる。
10T トレッド部
10S サイドウォール部
10B ビード部
12 カーカスプライ
14 ベルト
14a,14b ベルト材
16 ビードコア
18 トレッドゴム
20 サイドゴム
22 ビードフィラーゴム
24 リムクッションゴム
26 インナーライナゴム
30 ベルトカバー
40 二次元コード
40a ドット孔
42 ドットパターン領域
42a データセル領域
42b 切り出しシンボル領域
44 空白領域
図2(a)は、タイヤ10のサイドウォール部10Sの表面に設けられた一実施形態の二次元コード40の例を説明する図である。図2(b)は、二次元コード40の表面凹凸の一例を説明する図である。
サイドウォール部10Sのいずれか一方には、サイドゴム20の表面に、二次元コード40が光、例えばレーザ光の照射によって刻印されている。二次元コード40は、表面の凹凸によって互いに識別可能に形成された2種類の濃淡要素でドットパターンを形成したものである。二次元コード40は、レーザ光をサイドウォール部10Sの表面で集束させて光エネルギーを集中しサイドゴム20を局所的に加熱し昇華させて表面に微小なドット孔40aを複数刻印することにより形成されたパターンである。ドットパターンを形成するドット孔40aは、図2(b)に示すように、深さ方向に沿って孔断面が徐々に小さくなる形状を成している。図2(b)に示す例では、ドット孔40aの深さ方向に延びる孔中心軸を通る平面でドット孔40aを切断した時の孔壁面の形状は直線であるが、孔壁面の形状は孔開口に向かって凸状のあるいは凹状の曲線であってもよい。ドット孔40aの開口形状は、真円形状及び楕円形状を含む円形状あるいは四角形状を成した孔で、真円形状の場合、その直径は0.1〜1.0mmであり、孔深さDは0.3〜1.0mmである。
サイドゴム20には、ゴム原材料としてブタジエンゴムを含むジエン系ゴムが用いられる。この場合、ブタジエンゴムは、レーザ光の照射により、昇華し易いが、補強材(充填材)として含まれるカーボン(カーボンブラック)は、レーザ光の照射により昇華し難い。このため、サイドゴム20のブタジエンゴムの配合量とカーボンの配合量の比率によってサイドゴム20の昇華のし易さの程度が定まる。ブタジエンゴムの配合量に対するカーボンの配合量の比率が高くなる程、昇華のし易さの程度は低くなり、カーボンの配合量に対するブタジエンゴムの配合量の比率が高くなるほど、昇華のし易さの程度は高くなる。
サイドゴム20におけるジエン系ゴム100質量部に対するブタジエンの配合量をA質量部とし、サイドゴム20に含まれるカーボンの配合量をB質量部とし、ブタジエンの配合量Aの、カーボンの配合量Bに対する比を比(A/B)とし、二次元コード40のドット孔40aの開口から孔底までの孔深さをD[mm]としたとき、実施形態では、比(A/B)と孔深さDとは、1.1≦(A/B)/D≦6.0の関係を満足する。
図3(a)に示すように、孔壁角度θ1は、孔壁角度θ2に比べて小さい。このような形状のドット孔40aを設けることで、ドット孔40aの孔底位置が、タイヤ径方向の第1の側(内側)にシフトする。タイヤ径方向の第1の側(内側)のサイドゴム20の厚さは、第2の側(外側)のサイドゴム20の厚さに比べて厚いので孔底位置にクラックが入り難くなり、クラックの進展を抑制することができる。
Claims (7)
- 空気入りタイヤであって、
前記空気入りタイヤのカーカスプライをタイヤ外側から覆うように前記空気入りタイヤのサイドウォール部のそれぞれに設けられたサイドゴムと、
前記サイドゴムの表面に設けられ、前記表面の凹凸によって互いに識別可能に形成された2種類の濃淡要素でドットパターンを形成し、前記濃淡要素の濃要素に対応して光を用いてドット孔が刻印された構成の二次元コードと、を備え、
前記サイドゴムは、ブタジエンゴムを含むジエン系ゴムであり、
前記サイドゴムに含まれる前記ジエン系ゴム100質量部に対する前記ブタジエンゴムの配合量をAとしカーボンの配合量をBとして、前記配合量Bに対する前記配合量Aの比A/Bと、前記ドット孔の開口から前記ドット孔の孔底までの孔深さD[mm]とは、1.1≦(A/B)/D≦6.0の関係を満足する、ことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記ドット孔の孔壁面は、前記開口から前記孔底に進むに連れて孔断面が小さくなるように設けられ、前記ドット孔の深さ方向の孔中心軸を含む平面で切断した前記ドット孔の切断面において、前記ドット孔の前記深さ方向に対する孔壁角度は、10〜50度である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記孔深さDの70%、前記開口から前記ドット孔の深さ方向に離れた位置における前記ドット孔の孔断面の面積をS70とし、前記開口における前記孔断面の面積をS0としたとき、比S70/S0は、0.2〜0.5である、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記二次元コードが設けられる範囲において、前記サイドゴムの厚さはタイヤ径方向の第1の側の方が前記第1の側と反対の側である第2の側に比べて厚く、
前記切断面が前記タイヤ径方向に沿った切断面であり、前記切断面において、前記ドット孔の孔壁角度のうち、前記タイヤ径方向の前記第1の側にある孔壁角度θ1は、前記タイヤ径方向の前記第2の側にある孔壁角度θ2に比べて小さい、請求項2に記載の空気入りタイヤ。 - 前記切断面がタイヤ周方向に沿った切断面であり、前記切断面において、前記ドット孔の孔壁角度のうち、前記タイヤ周方向の一方の側にある孔壁角度θ3と他方の側にある孔壁角度θ4の差の絶対値は、前記孔壁角度θ1と前記孔壁角度θ2との角度差の絶対値よりも小さい、請求項4に記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイドゴムの300%引っ張りモジュラスが5.0〜10.0MPaである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーボンの窒素比表面積が30〜90[m2/g]である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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