JP2012012514A - ジエン系ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】空気入りタイヤのインナーライナーとカーカスとの間に配置されるタイゴムにより、操縦安定性と耐久性とを損なうことなく低燃費性を改善せしめるタイゴム用ジエン系ゴム組成物を提供する。
【解決手段】ジエン系ゴム100重量部に対し、ヨウ素吸着量が50mg/g以下のカーボンブラック30〜60重量部および下記式で定義される扁平係数A
A=(レーザー回折法での平均粒子径−遠心沈降法での平均粒子径)
/(遠心沈降法での平均粒子径)
の値が3〜7である扁平状タルク10〜30重量部を配合してなるインナーライナーとカーカスとの間に配置されるタイゴム用ジエン系ゴム組成物。
【選択図】なし
【解決手段】ジエン系ゴム100重量部に対し、ヨウ素吸着量が50mg/g以下のカーボンブラック30〜60重量部および下記式で定義される扁平係数A
A=(レーザー回折法での平均粒子径−遠心沈降法での平均粒子径)
/(遠心沈降法での平均粒子径)
の値が3〜7である扁平状タルク10〜30重量部を配合してなるインナーライナーとカーカスとの間に配置されるタイゴム用ジエン系ゴム組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、ジエン系ゴム組成物に関する。さらに詳しくは、インナーライナーとカーカスとの間に配置されるタイゴム用ジエン系ゴム組成物に関する。
昨今、空気入りタイヤの低燃費化に対する要求が強まっている。低燃費化の手法の一つとして、各パーツのゲージダウンによる軽量化があるが、ゲージダウンによる操縦安定性の低下や低剛性化による耐久性の低下がみられるというように、低燃費化と操縦安定性、耐久性との両立は十分ではなかった。
特許文献1には、天然ゴムおよびブタジエンゴムよりなるジエン系ブレンドゴム等のゴム成分100重量部に対して、平均粒子径が10〜100μmである平板状天然鉱石、例えばアスペクト比20〜500のセリサイト、マスコバイト、フロゴバイト、カオリナイトまたはタルクを5〜50重量部含有させたサイドウォール用ゴム組成物が記載されており、これは低空気透過性にすぐれていると述べられている。
本発明の目的は、空気入りタイヤのインナーライナーとカーカスとの間に配置されるタイゴムにより、操縦安定性と耐久性とを損なうことなく低燃費性を改善せしめるタイゴム用ジエン系ゴム組成物を提供することにある。
かかる本発明の目的は、ジエン系ゴム100重量部に対し、ヨウ素吸着量が50mg/g以下のカーボンブラック30〜60重量部および下記式で定義される扁平係数A
A=(レーザー回折法での平均粒子径−遠心沈降法での平均粒子径)
/(遠心沈降法での平均粒子径)
の値が3〜7である扁平状タルク10〜30重量部を配合してなるインナーライナーとカーカスとの間に配置されるタイゴム用ジエン系ゴム組成物によって達成される。
A=(レーザー回折法での平均粒子径−遠心沈降法での平均粒子径)
/(遠心沈降法での平均粒子径)
の値が3〜7である扁平状タルク10〜30重量部を配合してなるインナーライナーとカーカスとの間に配置されるタイゴム用ジエン系ゴム組成物によって達成される。
特定の扁平係数Aを有する扁平タイプのタルクを、空気入りタイヤのインナーライナーとカーカスとの間に配置されるタイゴムに使用することによって、操縦安定性と耐久性とを損なうことなく、低燃費性を改善せしめることができる。
ジエン系ゴムとしては、従来からインナーライナー用あるいはカーカス用として用いられている任意のゴム、例えば天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム等を用いることができ、中でもインナーライナーおよびカーカスコートゴムとの親和性の点から天然ゴム(45〜85重量%、好ましくは55〜75重量%)とスチレンブタジエンゴム(55〜15重量%、好ましくは45〜25重量%)とのブレンドゴムが好んで用いられる。
かかるジエン系ゴム100重量部に対して、ヨウ素吸着量(JIS K6217-1による)が50mg/g以下のカーボンブラック、例えばFEFカーボンブラック(ヨウ素吸着量42〜45mg/g)、GPFカーボンブラック(同30〜36mg/g)、SRFカーボンブラック(同26〜31mg/g)等が、30〜60重量部、好ましくは45〜60重量部の割合で用いられる。
これ以上の値を有するヨウ素吸着量のカーボンブラックが用いられると、操縦安定性は良好となるものの、転がり抵抗が大きくなり、低燃費化という目標を達成することができない。また、規定されたヨウ素吸着量を有するカーボンブラックが、これ以上の割合で用いられた場合にも同様の傾向が示され、これ以下の割合で用いられた場合にも、程度は少なくなるが、やはり同様の傾向が示される。
扁平状タルクとしては、下記式で定義される扁平係数Aの値が3〜7、好ましくは3.5〜5.5であるものが用いられる。
A=(レーザー回折法での平均粒子径−遠心沈降法での平均粒子径)
/(遠心沈降法での平均粒子径)
A=(レーザー回折法での平均粒子径−遠心沈降法での平均粒子径)
/(遠心沈降法での平均粒子径)
ここで、レーザー回折法での平均粒子径は、コヒーレント光のレーザー回折によって測定される平均粒子径(D50;粒子径分布で50%のものの粒子径)であり、沈降法での平均粒子径は例えば独マイクロメリテックス計器社製セディグラフ5100粒子径測定装置で測定される。かかる扁平係数Aを有するタルクの調製は、例えば特許文献2に記載されている。
扁平係数Aが3〜7の範囲外のタルクを使用すると、操縦安定性および転がり抵抗に改善がみられなくなる。また、ジエン系ゴム100重量部当り10〜30重量部、好ましくは15〜20重量部の割合で用いられる扁平状タルクの配合割合がこれよりも少ないと、操縦安定性の改善がみられず、一方これよりも多い配合割合で扁平状タルクが用いられると、転がり抵抗が低くなりすぎ、安全な運転に支障をきたすようになる。
ジエン系ゴム組成物中には、さらにゴムの配合剤として一般的に用いられている配合剤、例えば硫黄等の加硫剤、チアゾール系、スルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系等の加硫促進剤、シリカ、クレー、グラファイト、珪酸カルシウム等のカーボンブラック、タルク以外の補強剤または充填剤、ステアリン酸、パラフィンワックス、アロマオイル等の加工助剤、老化防止剤、可塑剤などが必要に応じて適宜配合されて用いられる。
組成物の調製は、ニーダ、バンバリーミキサ等の混練機およびオープンロール等を用いる一般的な方法で混練することによって行われ、得られた組成物は、空気入りタイヤのインナーライナーとカーカスとの間に配置されるタイゴム部を形成するように成形された後、加硫剤、加硫促進剤の種類およびその配合割合に応じた加硫温度で加硫される。
次に、実施例について本発明を説明する。
標準例
天然ゴム(SIR20) 60重量部
スチレンブタジエンゴム(日本ゼオン製品SBR1502) 40 〃
カーボンブラックI(東海カーボン製品シーストV; 60 〃
ヨウ素吸着量27mg/g)
亜鉛華(正同化学工業製品酸化亜鉛3種) 3 〃
ステアリン酸(千葉脂肪酸製品工業用ステアリン酸) 1.5 〃
アロマオイル(昭和シェル石油製品エクストラクト4号S) 8 〃
硫黄(鶴見化学工業製品金華印油入微粉硫黄、硫黄分95%) 2.5 〃
加硫促進剤(大内新興化学工業製品ノクセラーCZG) 1 〃
以上の各成分の内、硫黄および加硫促進剤を除く各成分を1.7LのB型バンバリーミキサで混合し、冷却したマスターバッチを再度同ミキサに投入し、これに硫黄および加硫促進剤を加え、混練した。混練物について、160℃、20分間加硫が行われた。
天然ゴム(SIR20) 60重量部
スチレンブタジエンゴム(日本ゼオン製品SBR1502) 40 〃
カーボンブラックI(東海カーボン製品シーストV; 60 〃
ヨウ素吸着量27mg/g)
亜鉛華(正同化学工業製品酸化亜鉛3種) 3 〃
ステアリン酸(千葉脂肪酸製品工業用ステアリン酸) 1.5 〃
アロマオイル(昭和シェル石油製品エクストラクト4号S) 8 〃
硫黄(鶴見化学工業製品金華印油入微粉硫黄、硫黄分95%) 2.5 〃
加硫促進剤(大内新興化学工業製品ノクセラーCZG) 1 〃
以上の各成分の内、硫黄および加硫促進剤を除く各成分を1.7LのB型バンバリーミキサで混合し、冷却したマスターバッチを再度同ミキサに投入し、これに硫黄および加硫促進剤を加え、混練した。混練物について、160℃、20分間加硫が行われた。
混練物および加硫物について、次の各項目の測定が行われた。
損失正接Tanδ(60℃):初期歪10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件下で測定し、標
準例を100とする指数で示した
(指数値が小さい程転がり抵抗が低い)
硬さ:JIS K6253に準拠し、20℃での硬さを測定し、標準例を100とする指数で示した
(指数値が大きい程操縦安定性が良好)
損失正接Tanδ(60℃):初期歪10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件下で測定し、標
準例を100とする指数で示した
(指数値が小さい程転がり抵抗が低い)
硬さ:JIS K6253に準拠し、20℃での硬さを測定し、標準例を100とする指数で示した
(指数値が大きい程操縦安定性が良好)
比較例1
標準例において、カーボンブラックI量が50重量部に変更された。
標準例において、カーボンブラックI量が50重量部に変更された。
比較例2
標準例において、カーボンブラックI量が58重量部に変更され、タルクI(Rio Tinto Minerals社製品Mistronn HAR;扁平指数A:4.7)が5重量部用いられた。
標準例において、カーボンブラックI量が58重量部に変更され、タルクI(Rio Tinto Minerals社製品Mistronn HAR;扁平指数A:4.7)が5重量部用いられた。
比較例3
比較例2において、カーボンブラックI量が20重量部に、またタルクI量が40重量部に、それぞれ変更された。
比較例2において、カーボンブラックI量が20重量部に、またタルクI量が40重量部に、それぞれ変更された。
比較例4
比較例2において、カーボンブラック量Iが70重量部に、またタルクI量が20重量部に、それぞれ変更された。
比較例2において、カーボンブラック量Iが70重量部に、またタルクI量が20重量部に、それぞれ変更された。
比較例5
標準例において、カーボンブラック量Iが50重量部に変更され、またタルクII(同社製品Mistronn Vapor R;扁平指数A:0.65)が15重量部用いられた。
標準例において、カーボンブラック量Iが50重量部に変更され、またタルクII(同社製品Mistronn Vapor R;扁平指数A:0.65)が15重量部用いられた。
比較例6
比較例4において、カーボンブラックIの代わりに、カーボンブラックII(東海カーボン製品シーストN;ヨウ素吸着量70mg/g)が40重量部用いられた。
比較例4において、カーボンブラックIの代わりに、カーボンブラックII(東海カーボン製品シーストN;ヨウ素吸着量70mg/g)が40重量部用いられた。
実施例1
比較例2において、カーボンブラックI量が40重量部に、またタルクI量が15重量部に、それぞれ変更して用いられた。
比較例2において、カーボンブラックI量が40重量部に、またタルクI量が15重量部に、それぞれ変更して用いられた。
実施例2
比較例2において、カーボンブラックI量が37重量部に、またタルクI量が20重量部に、それぞれ変更して用いられた。
比較例2において、カーボンブラックI量が37重量部に、またタルクI量が20重量部に、それぞれ変更して用いられた。
以上の標準例、各比較例および実施例で得られた結果は、亜鉛華以下の共通成分以外の各組成物成分の配合量(重量部)と共に、次の表に示される。
表
比較例 実施例
標準例 1 2 3 4 5 6 1 2
〔組成物成分〕
天然ゴム 60 60 60 60 60 60 60 60 60
SBR 40 40 40 40 40 40 40 40 40
カーボンブラックI 60 50 58 20 70 50 − 40 37
カーボンブラックII − − − − − − 40 − −
タルクI − − 5 40 20 − 20 15 20
タルクII − − − − − 15 − − −
〔測定項目〕
Tanδ(60℃) 100 78 101 105 112 102 105 87 85
硬さ(20℃) 100 94 101 104 120 102 112 99 101
表
比較例 実施例
標準例 1 2 3 4 5 6 1 2
〔組成物成分〕
天然ゴム 60 60 60 60 60 60 60 60 60
SBR 40 40 40 40 40 40 40 40 40
カーボンブラックI 60 50 58 20 70 50 − 40 37
カーボンブラックII − − − − − − 40 − −
タルクI − − 5 40 20 − 20 15 20
タルクII − − − − − 15 − − −
〔測定項目〕
Tanδ(60℃) 100 78 101 105 112 102 105 87 85
硬さ(20℃) 100 94 101 104 120 102 112 99 101
Claims (3)
- ジエン系ゴム100重量部に対し、ヨウ素吸着量が50mg/g以下のカーボンブラック30〜60重量部および下記式で定義される扁平係数A
A=(レーザー回折法での平均粒子径−遠心沈降法での平均粒子径)
/(遠心沈降法での平均粒子径)
の値が3〜7である扁平状タルク10〜30重量部を配合してなるインナーライナーとカーカスとの間に配置されるタイゴム用ジエン系ゴム組成物。 - ジエン系ゴムが天然ゴムおよびスチレンブタジエンゴムとのブレンドゴムである請求項1記載のタイゴム用ジエン系ゴム組成物。
- 請求項1または2記載のタイゴム用ジエン系ゴム組成物から成形および加硫されたタイゴムをインナーライナーとカーカスとの間に配置した空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010150859A JP2012012514A (ja) | 2010-07-01 | 2010-07-01 | ジエン系ゴム組成物 |
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JP2012012514A true JP2012012514A (ja) | 2012-01-19 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016107578A (ja) * | 2014-12-10 | 2016-06-20 | 住友ゴム工業株式会社 | 空気入りタイヤの製造方法 |
CN112789181A (zh) * | 2018-09-20 | 2021-05-11 | 横滨橡胶株式会社 | 充气轮胎 |
-
2010
- 2010-07-01 JP JP2010150859A patent/JP2012012514A/ja active Pending
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