JP7393628B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
したがって、目視検査により加硫故障の発生しているタイヤを排除しても、加硫故障したタイヤをすべて排除することはできないので、目視検査で判別できない、程度の低い加硫故障の発生した部分に二次元コードを設ける場合もある。加硫故障の発生した部分に二次元コードを設けると、加硫が十分でないことに起因して、タイヤの長期使用によって二次元コードのドット孔周りに発生するクラックが多くなり、これによって二次元コードの表面凹凸が変化して二次元コードの読み取り性は低下し易い。
このように二次元コードを刻印する領域に加硫故障があることは好ましくない。
一対の円環状のビードコアと、
前記一対のビードコアの周りに巻きまわして前記一対のビードコア間に設けられた、トロイダル状のカーカスプライと、
前記カーカスプライをタイヤ幅方向の外側から覆うように前記空気入りタイヤのタイヤ幅方向外側に湾曲したサイドウォール部のそれぞれに設けられた一対のサイドゴムと、を備え、
前記サイドウォール部の少なくとも一方の表面には、前記空気入りタイヤのタイヤ周方向に沿った形状が平面状にあるいは湾曲状であり、周りの領域に対して凹んだスムース面の凹領域と、前記凹領域内にあり、前記スムース面に対して表面凹凸によって互いに識別可能に形成された2種類の濃淡要素でドットパターンが形成された二次元コードと、を備え、
前記空気入りタイヤの、前記ビードコアのタイヤ径方向の最も内側の位置からタイヤ最大外径位置までのタイヤ径方向に沿った断面高さは80mm以下であり、
前記凹領域の、前記凹領域が設けられない前記サイドゴムの非凹領域からの凹み量のうち、前記凹み量が最大となる位置を、前記二次元コードの配置領域は含む。
図1は、一実施形態の空気入りタイヤ10(以降、単にタイヤ10という)の構成の一例を示す図である。図1は、タイヤ赤道線CLに対してタイヤ幅方向の一方の側のプロファイル断面を示す。
なお、図1に示すトレッドゴム18は、タイヤ径方向外側にあるキャップトレッドゴムと、タイヤ径方向内側にあるベーストレッドゴムとを備える。
このようなタイヤ10のサイドウォール部10Sの表面に二次元コード40が設けられている。図1では、二次元コード40を太い線で記している。
図2は、一実施形態のタイヤ10に設けられる二次元コード40の一例を示す図である。図2に示すように、二次元コード40が、凹領域56のスムース面に設けられている。スムース面は、例えば、算術平均粗さRa(JIS B 0601:2001)が、10μm~100μmである面である。このような二次元コード40は、タイヤ幅方向の両側にあるサイドウォール部10Sの双方の、サイドゴム20の表面に形成される。別の一実施形態によれば、いずれか一方のサイドウォール部10Sのサイドゴム20の表面に形成される。
二次元コード40は、二次元コードの濃淡要素を区分けする単位セルのうち濃領域の1つの単位セル領域に1つのドット孔(凹部)が設けられて構成されている。すなわち、二次元コード40は、格子状に分割した同一サイズの矩形形状の複数の単位セル領域に対応して、1つのドット孔が濃淡要素の濃い1つの単位セル領域を形成するように、ドット孔が配置された構成を有する。図2中、単位セル領域の濃領域は、黒く塗りつぶされた領域で示されている。
図2に示す二次元コード40はQRコード(登録商標)であるので、ドットパターン領域42は、QRコード(登録商標)のデータセルを表示したデータセル領域と、切り出しシンボルを表示した切り出しシンボル領域とを含む。
このように、二次元コード40は、スムース面の凹領域56上に設けられているので、読み取り性はリッジ模様領域に二次元コード40を設ける場合に比べて向上する。
このようなタイヤ10では、サイドウォール部10Sの面積が小さく、サイドウォール部10Sの大部分をリッジ模様領域が占有している場合が多い。二次元コード40を設けることができるスムース面の凹領域56は、サイドウォール部10Sのパターンエンドに近いバットレス領域に制限される。上述したように、この部分には、加硫故障が生じ易い部分であり、加硫故障のある場所に二次元コード40を設けると、タイヤ10の長期使用により二次元コード40の読み取り性が低下し易い。
このため、実施形態では、加硫後のタイヤ10に二次元コード40を設けるときの、二次元コード40の配置予定領域において加硫故障の発生を抑制するために、タイヤ周方向に沿った形状が平面状あるいは湾曲状であり、周りの領域に対して凹んだスムース面の凹領域56が設けられる。二次元コード40は、凹領域56に設けられる。
具体的には、サイドウォール部10Sの表面には、タイヤ周方向に沿った形状が平面状にあるいは湾曲状になるように、周りの領域に対して凹んだスムース面の凹領域56が設けられ、二次元コード40は凹領域56内に設けられる。しかも、凹領域56の、凹領域56が設けられないサイドウォール部10Sの非凹領域からの凹み量のうち、凹み量が最大となる位置を、二次元コード40の配置領域は含む。
凹領域56の形状は、周囲の非凹領域に対して凹む限りは特に制限されず、サイドウォール部10Sが大気と接するタイヤ外側に向かって湾曲状に突出する形状でもよく、また、タイヤ10と装着するリムの間のタイヤ空洞領域の側に向かって湾曲状に凹む形状でもよく、また、平面形状でもよい。
このような凹領域56は、タイヤ加硫時、生タイヤを拡張して加硫金型の内表面に押し付けるとき、凹領域56を形成する加硫金型の内表面は、周りの領域に対して凹んでいない曲面(凹曲面あるいは凸曲面)形状あるいは平面形状である。図4は、加硫金型の内表面に押し付ける加硫時の生タイヤの一例を説明する図である。
図4では、内容を理解し易いように、加硫金型60の内表面には、凹領域56を形成するために、周りの領域に対して生タイヤ10*の側に突出した突出部62が設けられている。生タイヤ10*が拡張して加硫金型60の内表面と当接するとき、突出部62の最大突出部分から生タイヤ10*との当接を開始し、生タイヤ10*との当接領域を広げていく。このため、加硫金型60の内表面と生タイヤ10*との間にある気体は、当接領域の広がりにしたがって、その周囲に押し出される。このため、凹領域56と突出部62の間には、気体が残留しない。押し出された気体は、図示されない加硫金型60の内表面に形成された溝、さらには図示されないベントホールを通して、加硫金型60の外部に排出される。したがって、加硫金型60の内表面と生タイヤ10*との間にある気体の排出が十分にできず気体が残り、この気体が、高温に制御された内表面と生タイヤ10*との接触を阻害して生タイヤ10*の加硫を十分にさせないことにより生じる、上述の加硫故障は抑制される。
なお、図5(a),(b)に示す凹領域56は、非凹領域58に比べて曲率が小さいがサイドウォール部10Sが大気と接するタイヤ外側に凸状に湾曲した形状である。
タイヤ10の効果を確認するために、二次元コード40、具体的にはQRコード(登録商標)をサイドウォール部10Sのバットレス領域のサイドゴムとトレッドゴムの境界部分を跨ぐように刻印したタイヤ(タイヤサイズ 295/25ZR21(96Y))を作製した。タイヤの断面高さSHは、72mmである。作製したタイヤは、21×10.5Jのリムに装着した。このタイヤに対して、オゾン濃度100pphmの条件でオゾン照射をした後、FMVSS139に準拠した低圧試験(XL:空気圧160kPa、荷重100%LI)による室内ドラム走行(速度120km/時)を行いつつ、上記濃度のオゾン照射を所定の時間間隔で行って、1.5時間走行させた。この試験は、タイヤの長期使用によるタイヤの劣化を再現したものである。
実施例、従来例、比較例それぞれについて、二次元コード40を設けたタイヤを10本ずつ用意して上記試験を行った。
求めた読み取りの成功率は、いずれの場合も、タイヤの使用開始時の読み取りの成功率よりも低下したが、低下した成功率のうち、従来例の読み取りの成功率を100として、実施例及び比較例の読み取りの成功率を指数化して、タイヤの長期使用時の読み取り性の評価結果とした。
下記表1,2に評価結果を示す。
表1,2における「凹領域の表面形状」において「非球面形状」は、タイヤ径方向の曲率がタイヤ周方向Cの曲率に比べて大きい形状であり、実施例5,6の「球面形状」は、曲率半径100mmでタイヤ外側に凸形状とした表面形状である。
また、範囲Aが凹領域56内に含まれることにより、上記読み取り性の低下をより抑制できることがわかる。
また、凹領域56の最大凹み量を、0.3mm以上とすることにより、上記読み取り性の低下をより抑制できることがわかる。
また、凹領域56の表面形状を球面形状とすることにより、上記読み取り性の低下をより抑制できることがわかる。
さらに、トレッドゴムとサイドゴムの境界部分を、凹領域56の最大凹み量の位置に一致させることにより、上記読み取り性の低下をより抑制できることがわかる。
10* 生タイヤ
10T トレッド部
10S サイドウォール部
10B ビード部
12 カーカスプライ
12a,12b カーカスプライ材
14 ベルト
14a,14b ベルト材
16 ビードコア
18 トレッドゴム
20 サイドゴム
22 ビードフィラーゴム
24 リムクッションゴム
26 インナーライナゴム
30 ベルトカバー
40 二次元コード
44 空白領域
56 凹領域
58 非凹領域
60 加硫金型
62 突出部
Claims (7)
- 空気入りタイヤであって、
一対の円環状のビードコアと、
前記一対のビードコアの周りに巻きまわして前記一対のビードコア間に設けられた、トロイダル状のカーカスプライと、
前記カーカスプライをタイヤ幅方向の外側から覆うように前記空気入りタイヤのタイヤ幅方向外側に湾曲したサイドウォール部のそれぞれに設けられた一対のサイドゴムと、を備え、
前記サイドウォール部の少なくとも一方の表面には、前記空気入りタイヤのタイヤ周方向に沿った形状が平面状にあるいは湾曲状であり、周りの領域に対して凹んだスムース面の凹領域と、前記凹領域内にあり、前記スムース面に対して表面凹凸によって互いに識別可能に形成された2種類の濃淡要素でドットパターンが形成された二次元コードと、を備え、
前記空気入りタイヤの、前記ビードコアのタイヤ径方向の最も内側の位置からタイヤ最大外径位置までのタイヤ径方向に沿った断面高さは80mm以下であり、
前記凹領域の、前記凹領域が設けられない前記サイドゴムの非凹領域からの凹み量のうち、前記凹み量が最大となる位置を、前記二次元コードの配置領域は含んでおり、
前記凹領域は、前記空気入りタイヤのトレッドゴムと前記サイドゴムの境界を跨ぐように設けられている、ことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記二次元コードの前記タイヤ周方向に沿った幅の50%の長さ、前記二次元コードの前記タイヤ周方向の両側の縁から前記タイヤ周方向に沿って離れた、前記タイヤ周方向の両側の位置の間の前記タイヤ周方向に沿った範囲は、前記凹領域である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記凹み量の最大凹み量は、0.3~1.0mmである、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記凹領域の表面は、球面である、請求項1~3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記凹み量が最大となる位置は、前記空気入りタイヤのトレッドゴムと前記サイドゴムの境界部分に位置する、請求項1~4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 空気入りタイヤであって、
一対の円環状のビードコアと、
前記一対のビードコアの周りに巻きまわして前記一対のビードコア間に設けられた、トロイダル状のカーカスプライと、
前記カーカスプライをタイヤ幅方向の外側から覆うように前記空気入りタイヤのタイヤ幅方向外側に湾曲したサイドウォール部のそれぞれに設けられた一対のサイドゴムと、を備え、
前記サイドウォール部の少なくとも一方の表面には、前記空気入りタイヤのタイヤ周方向に沿った形状が平面状にあるいは湾曲状であり、周りの領域に対して凹んだスムース面の凹領域と、前記凹領域内にあり、前記スムース面に対して表面凹凸によって互いに識別可能に形成された2種類の濃淡要素でドットパターンが形成された二次元コードと、を備え、
前記空気入りタイヤの、前記ビードコアのタイヤ径方向の最も内側の位置からタイヤ最大外径位置までのタイヤ径方向に沿った断面高さは80mm以下であり、
前記凹領域の、前記凹領域が設けられない前記サイドゴムの非凹領域からの凹み量のうち、前記凹み量が最大となる位置を、前記二次元コードの配置領域は含んでおり、
前記二次元コードの前記タイヤ周方向に沿った幅の50%の長さ、前記二次元コードの前記タイヤ周方向の両側の縁から前記タイヤ周方向に沿って離れた、前記タイヤ周方向の両側の位置の間の前記タイヤ周方向に沿った範囲は、前記凹領域である、ことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 空気入りタイヤであって、
一対の円環状のビードコアと、
前記一対のビードコアの周りに巻きまわして前記一対のビードコア間に設けられた、トロイダル状のカーカスプライと、
前記カーカスプライをタイヤ幅方向の外側から覆うように前記空気入りタイヤのタイヤ幅方向外側に湾曲したサイドウォール部のそれぞれに設けられた一対のサイドゴムと、を備え、
前記サイドウォール部の少なくとも一方の表面には、前記空気入りタイヤのタイヤ周方向に沿った形状が平面状にあるいは湾曲状であり、周りの領域に対して凹んだスムース面の凹領域と、前記凹領域内にあり、前記スムース面に対して表面凹凸によって互いに識別可能に形成された2種類の濃淡要素でドットパターンが形成された二次元コードと、を備え、
前記空気入りタイヤの、前記ビードコアのタイヤ径方向の最も内側の位置からタイヤ最大外径位置までのタイヤ径方向に沿った断面高さは80mm以下であり、
前記凹領域の、前記凹領域が設けられない前記サイドゴムの非凹領域からの凹み量のうち、前記凹み量が最大となる位置を、前記二次元コードの配置領域は含んでおり、
前記凹領域の表面は、球面である、ことを特徴とする空気入りタイヤ。
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